1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十五年七月二十二日(土曜日)
午前十時四十九分開議
出席委員
委員長 寺島隆太郎君
理事 青柳 一郎君 理事 大石 武一君
理事 金子與重郎君
堀川 恭平君 松井 豊吉君
丸山 直友君 亘 四郎君
柳原 三郎君 赤松 勇君
堤 ツルヨ君 苅田アサノ君
松谷天光光君
出席政府委員
厚生政務次官 平澤 長吉君
厚 生 技 官
(公衆衞生局
長) 三木 行治君
厚 生 技 官
(医務局長) 東 龍太郎君
委員外の出席者
厚生事務官
(医務局医務課
長) 河野 鎭雄君
厚生事務官
(社会局物資課
長) 熊崎 正夫君
厚 生 技 官
(公衆衞生局環
境衞生部長) 石橋 卯吉君
專 門 員 川井 章知君
專 門 員 引地亮太郎君
七月二十二日
委員福田昌子君辞任につき、その補欠として赤
松勇君が議長の指名で委員に選任された。
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七月二十日
外地引揚歯科医師免許に関する請願(池見茂隆
君紹介)(第六六号)
大津援護館改築に関する請願(吉武惠市君紹
介)(第六七号)
佐世保九十九島等を国立公園に指定促進の請願
(川野芳滿君紹介)(第九九号)
薬事法改正に関する請願(池田正之輔君外二名
紹介)(第一〇〇号)
の審査を本委員会に付託された。
同日
国民健康保險国庫補助の陳情書
(第六号)
生活保護事務職員費全額国庫負担の陳情書
(第
二一号)
覚せい剤の製造並びに販売禁止に関する陳情書
(第二九号)
戰沒者の遺族援護に関する陳情書
(第五九号)
災害救助法による救助費全額国庫負担の陳情書
(第七二
号)
を本委員会に送付された。
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本日の会議に付した事件
災害救助法の一部を改正する法律案(内閣提出
第一三号)
公衆衞生に関する件
医療制度に関する件
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804237X00319500722/0
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001・寺島隆太郎
○寺島委員長 これより会議を開きます。
本日はまず災害救助法の一部を改正する法律案を議題とし、通告順により質疑を許すことといたします。丸山委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804237X00319500722/1
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002・丸山直友
○丸山委員 災害救助法の一部改正法律案でございますが、実はこの改正部分につきましては、大した質問はないわけでありますが、それに関連して医務局長の東さんにお伺いします。
災害救助法の救助の中の医療の救助、三十二條でありますか、「都道府県知事は、救助又はその応援の実施に関して必要な事項を日本赤十字社に委託することができる。」この條項で大部分医療救助につきましては、日本赤十字社に委託するような形で行われるようになつております。その費用の支出その他のことが、どうもうまく参りませんのか、また相当大きな災害に関するその救助の準備態勢を整えるような資金の関係でございますか、現在の機構では、もし非常に大きな災害が起つた場合には、完全な救助が行われないのではないかという懸念を持つておるものが非常に多い。これらに対しての現在の実情、そういうことに関するお見通しを承ることができましたら、たいへんけつこうであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804237X00319500722/2
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003・東龍太郎
○東政府委員 ただいま質問の問題は、医療並びにそれに関する財政的の裏づけというふうな問題のようでありますが、実は私はその具体的の問題についてお答えするだけの知識も材料も持つておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804237X00319500722/3
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004・丸山直友
○丸山委員 どなたかおわかりの方ございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804237X00319500722/4
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005・熊崎正夫
○熊崎説明員 日本赤十字社の災害救助法における活動のことにつきましては、厚生省の社会局の方でやつておりますので、説明員でございます私から御答弁させていただきたいと思います。
日本赤十字社が災害救助活動といたしまして現在のところ行われておりますのは、第三十二條に「救助又はその応援の実施に関して必要な事項を日本赤十字社に委託することができる。」——「必要な事項」というふうになつております。これは現在の日赤の機構からいたしまして、厚生省では医療及び助産につきましての委託をやつておるわけでありますが、各都道府県におきましてそれぞれ委託契約を締結いたしまして、日本赤十字社にその事務を委託しております。それで災害救助活動に従事しました日赤の活動に要しました費用につきましては、これは法律の第三十四條に、日本赤十字社が救助活動に要しました費用は、都道府県がこれを補償する、つまりそれに要した分だけは補償するということになつておりますので、日赤が出ましたときには、これは原則的には都道府県にそれに要した費用を要求することができるようになつておるわけでございます。今までの例を申し上げますと、二十三年度に起りました福井の大震災におきましては、日本赤十字が非常に大きな活動をいたしたわけでありますが、そのときに要しました看護班の派遣その他につきましては、福井県に日本赤十字社がこれを求償をする、こういう形で処理いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804237X00319500722/5
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006・丸山直友
○丸山委員 実はその地方に支払いを受けるということのために、日本赤十字社が災害救助の医療救助に関するいろいろな施設をする、準備をする。たとえば救護自動車をつくるとか、いろいろそういうことをやるに関して、資金というものが国家からもらえないからということで、そういうことに関する熱意のあります支部もございますが、またない支部もあります。またある場所ではこういう事実がある。国立病院のような、つまり官立あるいは公立と申しますか、そういうような病院が救護班を出しました場合に、それが救護に関しては赤十字社が委託を受けておるのだから、赤十字社の指揮命令下に入れというようなことを言われて、ちよつと困つたというような事実もあるのですが、その辺の関連性についてお考えがございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804237X00319500722/6
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007・熊崎正夫
○熊崎説明員 医療及び助産につきまして、日本赤十字社に委託しておりますことにつきましては、都道府県が日本赤十字社に対しまして、そのことにつきましての救助活動を委託しておるわけでありまして、医療及び助産につきましても、全体的な活動といたしましては、都道府県の衛生部長の指揮下に日本赤十字社も入りますし、その他各病院その他の看護班も、この法律では災害救助隊というものを都道府県で持つておるわけでありますが、その災害救助隊の一員といたしまして、ほかの団体と一緒になりまして衛生部長の指揮のもとに動いておるわけであります。ただその場合に、この法律でも、運用上日本赤十字社に対しまして連絡調整の責任は持たせておりますから、結局日本赤十字社が各団体の活動につきまして、連絡調整をするだけの範囲内におきましては、いろいろとその間に日本赤十字社が中心になつてやるというようなことは考えられると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804237X00319500722/7
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008・寺島隆太郎
○寺島委員長 関連して委員長からお尋ねしたいのですが、法第二十一條の、救助の一部を特に日赤に委託したる理由と、現在の日赤の機構で、その末端において本法運用の上に遺憾なきを期せられる見込みであるか、現状にかんがみて若干分析していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804237X00319500722/8
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009・熊崎正夫
○熊崎説明員 日本赤十字社の委託のことにつきましては、第三十二條におきましては、ただいまのような條文がございますが、その前に法第二十一條におきまして、日本赤十字社の協力義務というふうに規定いたしまして、冒頭に「日本赤十字社は、その使命に鑑み、救助に協力しなければならない。」つまり日本赤十字社の使命というものが、災害救助活動におきましての、強力な推進をやらなければならない崇高な使命があるのだというふうな目的のもとに、このような條文を入れたわけであります。現在の日本赤十字社の機構その他につきましては、政府といたしましては、まだいろいろと指導なりあるいは助成しなければならない点は多々あるとは考えておりますが、現在の機構で十分やつて行つておりますし、また今までの経験から言いましても、非常な成績をあげておる、こういうふうに申し上げてもさしつかえないのではなかろうか、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804237X00319500722/9
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010・丸山直友
○丸山委員 ただいま十分な機能を発揮しておる、完全であるというような御答弁があつたのでありますが、地方へ参りますと、あながちそうばかりも申されない面もあるように考えられます。その場合におきまして、その態勢をととのえ、資材を整えるということに関して足らない地方、そういうものに対して督励なさる御意思がありますかどうか。完全にやつて行かれる御自信をお持ちでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804237X00319500722/10
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011・熊崎正夫
○熊崎説明員 その点につきましては、御承知のように、日本赤十字社は、赤十字募金をいたしておりまして、その募金の内容の中にも、災害救助活動に要するいろいろな費用は、募金の中から一部さくような方法で現在やつておりまして、これは逐次募金がふえて行くことに応じまして、どしどしとそういつた方面も現在のところ準備をいたしておりますし、次第によくなつて行く、こういうふうにわれわれは見通しを立てておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804237X00319500722/11
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012・寺島隆太郎
○寺島委員長 青柳委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804237X00319500722/12
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013・青柳一郎
○青柳委員 この災害救助法の目的を見ますのに、その第一條に「非常災害に際して、国が地方公共団体、日本赤十字社その他の団体及び国民の協力の下に、応急的に、必要な救助を行い、災害にかかつた者の保護と社会の秩序の保全を図る。」ということになつております。ところでわれわれは新聞紙上で見たのでありますが、北鮮の問題にからみまして、北九州におきましては、空襲警報でありましたか、あるいは警戒警報でありましたか、そういう警報が出たということを聞いておるのであります。北鮮の問題がどういうふうに進展するかということはわかりませんが、とばつちりを受けて、戰争的な行為のために、日本の国土において、あるいは国民に災害を及ぼすことが、あるいはありはしないかということをおそれるのであります。そういう際に国民の保護のため、救助のために発動する法律は、現在におきましては、この災害救助法一本だと私は存ずるのでございます。そういう際に、この法律をもつて救護に当ることをお考えになつておると思うのでありますが、もしそういう事態になりました際には、今度の改正は、従前に増していい改正ではございますが、この程度では足らないと私は存ずるのであります。その辺に関しまして、政府御当局の御意向を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804237X00319500722/13
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014・平澤長吉
○平澤政府委員 お答えいたします。ただいまの事柄は、もしそういう災害が起りますれば、やはり災害といたしまして、政府といたしましては、この災害救助法によつて実施をするというふうになつておるのでありますが、ただいまの青柳委員の仰せられるように、はたしてこれが十分であるかどうかということに対しては、目下検討をいたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804237X00319500722/14
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015・丸山直友
○丸山委員 それでは今の問題は、その程度にとめておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804237X00319500722/15
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016・寺島隆太郎
○寺島委員長 他に本法案についての御質疑はございませんでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804237X00319500722/16
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017・苅田アサノ
○苅田委員 私、本日あまり十分調べておりませんので、いただいた資料の中のどこかから、それが出て来るかもしれないと思いますが、ちよつとお尋ねいたします。法案だけ拜見いたしますと、大きな災害につきまして補償が多少ふえているということはわかるわけですけれども、ごく少さな災害に対しまして新しい救助法と古い救助法との間に、どういうふうな違いが実際的にあるかということについて御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804237X00319500722/17
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018・熊崎正夫
○熊崎説明員 この災害救助法という法律は、第一條の目的のところに出ておりますように、「必要な救助を行い、災害にかかつた者の保護と社会の秩序の保全を図ることを目的とする。」こういうことでございますので、罹災者の保護とそれに加えて社会秩序の保全という要件が入つております。苅田委員の小災害と言われる内容が、どのような小災害を考えておられるか、その点はわかりませんけれども、一応われわれの考えといたしましては、家が一軒、二軒焼けたといつた場合には、災害救助法の発動はあり得ない、つまり災害が起つたことによつて、社会秩序の保全をはからなければならないような事態にならなければ、災害救助法の発動はない、こういうふうに考えておるわけでございます。しからば、小さな災害の場合にどのような手が打たれるかということにつきましては、これは生活保護法によりまして、そういう罹災者が困窮した場合に、これを保護して行く。生活保護法の内容につきましては、御承知のように一時扶助というので、物などが全然なくなつた場合には、一時扶助の規定で支給する手続が出ておりますから、その面でやつて行く、こういうふうにわれわれは考えておるわけであります。大災害にあつた場合の補償としましては、今度の改正は都道府県にとりましてはきわめて有利な国庫補償が出る、こういうふうに御理解願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804237X00319500722/18
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019・苅田アサノ
○苅田委員 そういたしますと、小災害でも何でもようございますが、一件の災害数が大体どの程度の被害を受けた場合にそれに該当するかというようなことは、新旧でどうなつておるかということを御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804237X00319500722/19
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020・熊崎正夫
○熊崎説明員 このことにつきましては、都道府県側の要望としましては、厚生省でたとえば五十戸だとかあるいは百戸だとかいうような一定の線を引いてもらいたいという要望がありまして、われわれの方はこれを過去の災害とにらみ合せまして、むろん大きな都市、あるいは町村によりまして、それぞれ規模が違うと思いますので、統計的な数字をいじりまして、いろいろと研究したことはございますが、しかし一律に、たとえば五十戸あるいは百戸というようなふうに線を引くことにつきましては、非常に問題が多いと思いますので、この点はこの法律が、救助の責任は都道府県知事の責任でやるというふうになつておりますから、知事の判断にまつというような態度をとつております。現実には大体二、三十軒以上焼けた場合に、ほとんどの県が適用いたしておるというふうな状況になつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804237X00319500722/20
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021・苅田アサノ
○苅田委員 そういたしますと、やはり県全体の被害の総額によつてこの補償が出るのであつて、その被害にあつた軒数がどうこうということは問題にならない、こういうわけなんでしようか。それとも大体被害の額、何万円とか何十万円とかいうものが参考になるわけでしようが、その点をもう一ぺんお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804237X00319500722/21
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022・熊崎正夫
○熊崎説明員 大体金額の点は、一応災害救助法を発動するかどうかということをきめました上で、実際の救助活動に移りました場合に、どの程度費用がかかつたかということが結果的に出て来るわけでございまして、災害が起つたときに知事が判断する場合には、大体先ほど申し上げましたように二、三十軒あるいは五十軒も焼けたといつた場合に、災害救助法を発動して罹災者の救助の万全を期さなければならぬというふうに判断いたした場合に、救助法が発動になる。それで費用がどのくらいかかるかということにつきましては、結果的に出て参るのでありまして、それがまあ二、三十軒でありますとすれば、むろん国庫補償の対象になるような応急活動はできないわけでございますが、しかし費用の点は結果的に出て来る、こういうことになつておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804237X00319500722/22
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023・寺島隆太郎
○寺島委員長 他に御質疑はございませんか。
それでは最後に政府にお聞きいたしたいのですが、第三次世界戰争というような問題が巷間うわさせられております。これを現実の問題として論議するのはいかがかと思いますが、さような場合において、この法の適用等に関して、いかような解釈をとるか、それが第一点。
第二点は、そういう場合を顧慮し、もしくはそういう場合を存念いたしましての予算的措置、折衝等が大蔵当局と立法者の間においては考えられなければならない問題だろうと思うが、さような問題について、どの程度考慮されておるか、伺つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804237X00319500722/23
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024・平澤長吉
○平澤政府委員 ただいまは、その点については考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804237X00319500722/24
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025・寺島隆太郎
○寺島委員長 それでは他に御発議もないようでございますから、この際お諮りいたします。本法案の質疑に対しましては、これを打切りたいと考えますけれども、御異議ございませんでしようか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804237X00319500722/25
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026・寺島隆太郎
○寺島委員長 御異議なしと認め、本法案の質疑を打切ります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804237X00319500722/26
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027・寺島隆太郎
○寺島委員長 次に医療制度に関する件を議題とし、本件に関連して、輸血問題についての御発言を求められておりますので、これを許します。亘委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804237X00319500722/27
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028・亘四郎
○亘委員 私は輸血に関して、事務当局にお尋ねいたしたいのでございます。第五国会におきまして、医師法及び歯科医師法の一部改正をやりました際「厚生大臣は、公衆衛生上重大な危害を生ずる虞がある場合において、その危害を防止するため特に必要があると認めるときは、医師に対して、医療又は保健指導に関し必要な指示をすることができる。」という一條があつたのでございます。その條項の適用は、主といたしまして輸血の適正を期することが目標とされまして、第一に、輸血の用に供する血液の純潔を確保すること。第二に、血液を提供する者の健康を保護すること。第三に、給血あつせん業者の存在は不必要であるから、これをなくして、医師と血液の提供者を直結させること等であつたと承知しておるのであります。しかるに現在なおしばしば輸血によつて性病等を感染した事件を耳にしておるのであります。また給血者の多くが非常に貧困者であるとか、あるいは学生であること等にかかわりませず、給血あつせん業者の中には、給血者から不当に多額の手数料をとつておるものもあるということを聞いております。こうした輸血問題は、ひとり医学上の問題だけではなく、社会的にも重要な問題でありますので、この際給血者の健康診断、あるいは血液の検査の励行、また給血あつせん業者に対する監督等が、いかなる方法によつてなされておるかを、詳細に承りたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804237X00319500722/28
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029・東龍太郎
○東政府委員 ただいま御質問になりました輸血の問題並びにこれに関連しての医師法及び歯科医師法の改正は、亘委員の仰せになりました通りでございます。昭和二十四年五月十四日に法律第六十六号によりまして、医師法の第二十四條の二及び歯科医師法の第二十三條の二として制定せられたものであります。この規定に基きまして、厚生省といたしましては、医師及び歯科医師が輸血に関しまして準拠すべき事項の基準を告示として施行いたす予定であります。また当時もさようの旨を厚生当局から御答弁をいたしておると存じます。従つてこの告示が出ておりません現在といたしましては、具体的にこれを取締るものはないともいえるわけでありますが、この告示が今日まで遷延いたしております理由といたしましては、その告示の内容が相当專門技術的に見まして重要な、そしてまた困雑な問題を含んでおりますので、各方面の專門家等の意見を徴しまして、これを施行いたしましても、そこに何らの間違いのないようなものにいたしたいというので、その結論を出すのに予想以上の日時を要したのでございます。
また一方、この輸血の問題につきましては、その重要性にかんがみまして、輸血対策委員会というものを——これは関係方面の示唆もございまして、まつたくこれは民間的と申しましようか、官庁の委員会ではないのでありますが、日本赤十字社を中心といたしまして委員会ができ上つております。そしてこの輸血対策委員会におきましても、厚生省が告示としていたします基準の内容について、十分審議をいたしております。不幸にして、ただいままで一応でき上りました案が、十分各方面、特にこの問題について多大の関心を持つておられます関係方面の專門の係官の納得を得るところまでに至りませんので、そのために最後の段階になりまして私どもの予想以上に遷延いたしたような次第であります。このことはわれわれといたしましても関係方面の指示がごもつともな点がありますので、その点を十分了解の行くようにこれを改めるつもりで、寄り寄り協議いたしておるのであります。従つて以前いたしましたような輸血取締り規則というものが、もはや失効いたしております今日においては、現在の法律の中に掲げられてあります條文のみであつて、それを実際に具体的に医師に指示するものもございませんので、ただ各都道府県におきまして、今までのしきたりと申しますか、今までやつておりました取締りに準じて、これを取締つておるにすぎないという状況であります。このことは幸いに最近は昨年起りましたようなきわめて深刻な不幸な結果が起つていないのでありますけれども、しかしながらいつ重大なるあやまちがあるかもしれぬということは危惧いたしております。私どもといたしましては、一日も早くこの基準を告示としていたしたい、そういうつもりでおるのであります。
なお全体の考え方といたしましては、いわゆる給血業者——言葉は不適当かもしれませんが、中間において血の売り買いをあつせんするような、そういう機関を私どもは考えておりません。せめてすべて輸血の責任は、これを行う医師にあるという考え方からいたしまして、医師と給血者が直結するように、それぞれの病院において給血者を常に用意しておくように、そういう方針をもつて臨んでおる次第であります。但し現在そういうような業を行つておりますものを、その営業を禁止するというような法的措置をとろうとは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804237X00319500722/29
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030・亘四郎
○亘委員 大体ただいまの御説明によりまして、取扱上、現実の問題として非常に困難をされておることも想像するに難くないのでありますが、聞くところによりますと、すでにアメリカ等におきましてはブロツド・バンク、血液銀行、あるいは金庫とでも申しますか、そういう機関がございましてその活用によりまして輸血の純潔が保たれ、また運用が適正に行われておる、かように聞き及んでおるのでございますが、そうした形のものを、将来日本においてもすみやかにつくるように、政府として現在お考えになり、また何かそれらの点に対して御研究なさつておられますか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804237X00319500722/30
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031・東龍太郎
○東政府委員 ただいまお話の、かりに血液金庫とでも申しますか、ブロツド・バンクとか、あるいはブロツド・センターというようなことがアメリカにおいて非常に進歩いたしておりまして、そのために輸血が完全に、そしてまたいかなる辺鄙なところでも、その恩惠を受けられるということまでよくでき上つておると聞いております。実は先ほど申し上げました日本赤十字社を中心として設けた輸血対策委員会なるものの主たる使命は、この日本においてかような血液金庫を具体化するためには、いかなる方策によるべきかということを考えるのにあつたのであります。幸いにアメリカ赤十字社の方から、日本にブロツド・センターをつくる場合には、精神的にはもちろんのこと、物質的にも、でき得る限りの援助を惜しまないという申出がありました。これについて関係方面といろいろ折衝いたしました結果、やはり日本においても、日本赤十字社にこれを置くことがよかろうというので、日本赤十字社を輸血に関するいろいろな対策の中心機関ということにいたしたのであります。すでに本年の当初でありましたか、アメリカ赤十字社の好意によつて、日本赤十字社から、輸血問題の研究者として、加藤勝治という東京医科大学の病院長がアメリカに派遣されまして、アメリカの血液金庫なるものの実態を調査いたして参りました。その報告等に基きまして、日本においてつくるべき血液金庫の規模、設備等を一応つくり上げまして、その具体案がすでにでき上つたということを聞いております。そうしてこの具体案は、アメリカの赤十字社に提出して、もしその承認が得られますならば、それに対してアメリカ赤十字社の方で、施設等の面において全部応援をしてくれるという話になつております。目下その日本の計画案は、ワシントンヘの途中にあるのであります。従つてその結果によりまして、初めて日本のブロツド・センターが、たつた一つではありますが、日赤の中につくり上げられるということになると思います。そのために、日赤自体といたしましても、大体一億円内外の初年度予算を必要とするので、その準備をしなければならぬというようなことも伺つておるのでありまして、おそらくこれは本年から来年にかけまして、血液金庫がささやかながら東京にできることと存じます。それができましたならば、それに準じまして各地方になるべく広く、なるべく多数に完全な血液金庫を設けるようにいたしたいと思います。厚生省といたしましては、直接これには何らの物質的な援助もいたしておりませんが、幸いに日赤がこれの主体になつておられますので、日赤のあと押しをして、できる限りすみやかに完全なものができ上りますよう、われわれとしても協力を惜しまないつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804237X00319500722/31
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032・松井豊吉
○松井(豊)委員 ちよつと関連して伺います。なかなか本問題は重大でありまして、この輸血という問題に対しては、全国的に大きな弊害はありましても、表面化しないという事実もあります、祕密に付しておる事実がずいぶん各所にあります。先刻の御答弁中に、輸血に対する取締りもしないが、禁止もしないという御答弁があつたのでございますが、この程度で妥当であるかどうか、その点を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804237X00319500722/32
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033・東龍太郎
○東政府委員 あるいは私の答弁が少しくあいまいでありまして、誤解のおそれがあるかもしれませんが、禁止をしないと申しましたのは、現在あります営業として行つているものに対して、これを禁止するというような法的措置は講じない。もつと具体的に申しますれば、もし現在私ども並びに輸血対策委員会の考えておるような方向に進んで参りますならば、これらの業者というものは、自然に存在の必要がなくなり、自然消滅を来すものであるということを申し上げるつもりであつたのであります。また取締りの問題につきましては、これが人命に重大なる影響のあることでありますので、さような危險をはらむような事柄につきましては、これは十分の取締りをしなければなりません。従つてこの輸血の問題につきましては、それぞれ輸血を行うべき医師が、十分それらのことは心得えておるべきはずであります。従つて事前の検査、あるいは事後の注意等につきましては、医師がその責任において、十分にあやまちのないよう行うようにという指導は、すでに医師会等をも通じていたしております。なおそれをはつきりと法的の根拠の上に立つた指示といたしますために、目下案をつくつている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804237X00319500722/33
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034・赤松勇
○赤松委員 医療行政につきましては、私は全然しろうとでございます。しろうとの私が今日あえて福田君にかわつて本委員会に出て参りました理由は、先般来社会党の国会対策委員会の決定に従いまして、本会議において私は緊急質問をしようという手続をとつた次第であります。これは運営委員会において委員会付託になつた。従いまして、緊急質問の手続をとりました関係上、私今日委員会にお願いに上りました。その方面に非常に明るい皆さんの御協力を得まして、この問題は超党派的にしつかり対策をとつていただきたいと思いまして、実はお願いかたがた上つたわけであります。
私の方の郷土新聞で新東海新聞というのがあります。現に私はここに持つておりますが、この新東海新聞が、二回にわたりましてこの問題を取上げております。こういう地味な、しかもあまり問題にならない問題を、新聞社が、社会の報道機関として、公正な立場から取上げて、そうして積極的にこれの改正の警鐘を鳴らしたということは、新聞社としては非常にいいことだと考えます。この新聞の報道によりますと、名古屋では非常なセンセーシヨンを巻き起しておるのであります。ただいま東さんから、だんだんそういう弊害はなくなつて来ているという御答弁もございましたが、次のようなことがこの新聞に現われております。これは新東海の記者が協会に出かけまして、そうして給血者という形で実際に協会に当つて、協会の内部をしさいに調査して参つたものでございます。従いまして、新聞社といたしましては、十分に責任を負うと申しておりまするから、ここに載つておりまする若干の点を御紹介申し上げまして、御参考に供したいと思うのであります。
この記者が訪問いたしましたのは、スペンダー協会のある家でございまして、Tという者がその記者になつておりますが、これは社会部の次長でございます。家並みの建て混んだ二軒続きのあばら家、看板もなく、出て来た五十歳前後のおやじは、出された名刺に顔色をかえた。一昨年の夏から始め、会員は出入りが激しく、現在では四十名ぐらいで、世帶持ちが多い、と、始終不安そうに落ちつかない。会費は、と聞くと、あわてて首を振る。そうしてその際に、おれたちは税金を拂つていない商売だ、新聞記者に用はない、帰れ、と、大男二人がすごいけんまくで押し出したというので、今度は愼重を期して、記者がかわりまして、アルバイト学生になつて行くと、六十歳前後の片目のつぶれた気味の悪い男が現われて来て、だれの紹介だと根掘り葉掘り戸籍調査を始めた。先日も新聞記者が来やがつたと、じろりとにらんで質問に応ずる。どれくらいになるかといつたら百グラム六、七百円だ、こちらへ拂う手数料はその中の三割だ。そのとき奥の部屋から三割もとららぬと大声でむすこらしい四十歳ぐらいの男が現われた。見るからにたくましい、上から下までじろじろながめ、帰れ、どうしてですかと聞くと、あんたでは給血はできない、二、三百グラムとるだけでぶつ倒れてしまうといつて押し倒そうとした。しかしこれよりほかに金を得る道がないからといつて食い下ると、同情したのか態度がかわつて、そうしてまあ三割でもつてここで契約した。こういう形になつておるわけであります。
それから東さんに特に重要視していただかなくてはならぬのは、給血者というのは、いろいろGHQの方では議論があると思います。血を売ることそれ自身が、いいか悪いかという問題がある。私もこのことは議論の余地があると思う。これはやはり道義上の問題でありまして、こういうことがやれるのではないか。これは重大な社会問題でありまして、むしろ政府や国会の責任である。血を売つて生計を立てなければならぬということは、お互いにすみやかにやめなくてはならぬ。私はそういうことを考えておるのでありますが、いずれにしましても、血を売らなければ生活ができない。このスペンダー協会へ行く者は——私は労働組合の方へ関係しておりますが、労働組合の諸君、それから公務員の中でお給金が安いために血を売つて生計を立てる者、それから遺家族の人たちもたくさん行く。現在名古屋にはこういう血を売つて生活しておる人が四百五十人あると聞いております。それでこの実態がどうなつておるかということは、今度はあなたも御承知でしようが、日赤の外科部長の田代さんが新聞にこう言つておられる。現在の手数料は高過ぎる、一割以下にすべきだ、また協会はずぶのしろうとで運営しているが、当然血液銀行のような組織にして、專門家に経営させるべきだ。全血輸血は梅毒、マラリヤの感染する危險性が多分にある、乾燥血漿にすればそんなことはほとんどなくなるだろうと言つて、さらにもう一つ田代さんは、血液銀行とは言い得ないまでも、これに似た事業は県血清製造所あたりでやつて来ていたのであるが、これが中断されてしまつておる。乾燥血漿製造機が爆撃でやられて、その補充がつかない上に、資金が続かなかつたからである。当病院には——日赤でございますが、現在二台の乾燥血漿製造機があり、協会を利用するよりはと思つて、昨年の夏あたりから運転を計画しているのだが、何分にも金がない。これを動かすには五、六百万円は必要だ、本格的な血液銀行を設立するならば、乾燥血漿だけでは不十分で、どうしても全血輸血が必要だから、こうした設備の面から、また給血者の生活保護の面から、相当の資金が必要とされるだろうが、県あたりが中心となつてぜひとも実現してもらいたい。お医者さんの方はこわいということもここに言つておられます。それから血を提供した給血者の意見も載り、また名大の戸田という外科の方の御意見も載つておりますが、とにかく公的な責任ある血液銀行組織の実現が望ましい。信用しなければならぬから、やむを得ず信用しているが、確かにこれは危險だ、特に緊急のときはほとんど検血をしないので、非常に危險である。医者としてはまつたく良心の呵責にたえないということを新聞で言つておられるのであります。先ほど亘君から三点について御質問がございました。私の聞こうとすることも実はこの三点に要約されるわけであります。ただその中ではなはだ遺憾なことは、営業としての協会を法的に禁止する意思は当局にないという御答弁でありましたが、その対策としては、日赤を中心とした対策委員会で、日赤に何らかのそういう給血機関を設けて、それをセンターにすれば、だんだん地方にも広がつて行くだろうから、やがて協会はなくなるだろう。東京につくるのは今年あるいは来春になるだろうというお話でございましたが、事態はそんな状態にないのであります。東京にできて行けば、自然に地方にできて行くだろうというような考え方は、非常に進歩的な東さんの御意見としては、私どうかと思います。こういうはなはだしいもぐり業者というのが現に存在しております。お互いわれわれでも、われわれの子供でも、いつ何どき不測の事態が起るかもしれない。そういう場合に、検査をしない血をどんどん輸血されるということになればたいへんである。ことに輸血をする方の側は、遺家族とか勤労者という方が非常に多いという。従いまして、もう少し積極的に、たとえば、一方においては輸血金庫をつくつて行く、同時に、他面においてはこのようなもぐり業者を断固として取締る、こういう監督権を強く発動していただかなければ、これはゆゆしい社会問題である、こういうふうに考えるのでございます。営業と申しましても、三割も手数料をとる、その上四、五十人の会員をもつてこれで生活をしておるということは、これこそ文字通り生血を吸うブローカーでございます。この新聞記事にも「生血のブローカー」という見出しで報道しておるのであります。さらにこちらには「せせら笑う生血のボス」こういうふうに報道しておるのであります。こういう問題は、もう少し積極的にやつていただきたい。
それから今、アメリカの赤十字の援助で、こういうような機関が日本にできるということは、はなはだ望ましいことであります。けれども、一方積極的にこういう面の取締りを行つていただきたいが、それに関しましてどのようにお考えになつているか、厚生省のお考えをこの際お伺いしておきたいとおもいます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804237X00319500722/34
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035・東龍太郎
○東政府委員 ただいまの新聞記事に基いてのお話を伺いましたが、それを伺つておりまして、おそらくそれは事実であろうと存じます。そうして現在日本にある血液あつせん業者なるものの最も悪いものの典型が、それであると存じます。しかしながら全部のあつせん業者がその程度のものであるとは、私ども考えておりませんが、不幸にしてそういうのが各地にあることはこれも事実であります。それが今のような、血を供給する人にも、あるいはまたその血を受ける者にも大きな害悪を流しておることは、否定のできぬ事実であります。これの対策として、そういうものがあるのを見て見ぬふりをしておるのは、はなはだ手ぬるい、そういうものはすぱりとやめさせてしまつて、りつぱな血を求めさせるようにしたらどうかという御注意、ごもつともであります。私どもの考えておりますのは、今のようないわゆる生血を吸つたり売つたりするような業者のかわりに、同じような血液の供給のあつせんと申しますか、そういうものを、さしあたり責任のある、また技術のある病院に移しかえたい、それが当面のねらいであります。今御希望になり、またわれわれも期待をいたしております血液金庫がフルに活躍いたすまでには、まだその間に何箇月かの空虚があるのでありまして、その間を満たすためには、今のような仕事は病院においてそれをやるべきである。つまり病院があつせんの労をとるという方向に進めて行きたい。そうしますれば、今のように検血をしないでやるということは、およそ想像もできないことであります。病院でありますれば、必ず十分な身体検査をし、安全な血液であるからこそそれをリストに載せる、そうして十分の注意のもとに使うというので、病院にそういうふうな機関、機能を持たせたい、持たすように指示はしておるのであります。
それから乾燥血漿の問題でありますが、これはたとい血液金庫ができて、生の血液を十分に得られるといたしましても、非常な辺鄙なところまで、今のような血を随時供給するということは、なかなか困難であります。従つて乾燥血漿は血液金庫のいかんにかかわらず、十分にりつぱなものをつくる必要があります。ただこれは技術上非常な高度の技術を要するものとみえまして、いい乾燥血漿というものが、なかなかざらにはできないのであります。これにつきましても、東京都その他地方でも乾燥血漿をつくつておるところがございますが、漸次器械等を整備いたしまして、いい血漿ができつつあります。これは血液金庫と並行いたしまして、各地において乾燥血漿のつくられますように——この方は輸送に耐えますから、いいものが東京でできれば、これを遠方まで送ることも可能であります。私どもといたしましては血液金庫の計画を進めて参りますと同時に、乾燥血漿の製造をやはり奨励いたしたいと存じております。すでに信頼すべき技術を持つた製薬会社等においても、乾燥血漿の製造に乗り出しておるということも聞いておりますので、この方面もますます進めて参りたいと存じております。ただ、今のような、はなはだ害毒を流すおそれのある業者を、このまま放置しておくというふうに感ぜられますことは、私どもとしてははなはだ遺憾でありますが、現在のところそういうもぐりの業者をどうすることもできませんので、事実そういうふうな問題のありましたことによつて、これを押えるというよりほかに手がないのではないかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804237X00319500722/35
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036・赤松勇
○赤松委員 東京、京都では県條例によつて、何かそういう方面の監督をやつておるようですね。愛知県ではまだその條例はできておりません。そこで私、今のはたいへんけつこうだと思いますが、ただ病院へ移行する時期の問題です。この際もう一歩進めて、條例のないような地方、特にあなたが今おつしやうたようなひどいと思われる地方に対しましては、これは急速に省令か何かで、そういうものの営業は禁止できないまでも、ほとんど不可能にするような手を打つて、そうして日赤や官立の病院にそういう業務を代行させるようなことを、至急におやりになる必要があるのではないか、この点についてはどうお考えでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804237X00319500722/36
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037・東龍太郎
○東政府委員 法律の改正と、それに伴う厚生省の告示の内容につきまして、当時東京都とも密接に連絡いたしまして、東京都におきましては、その内容とほとんど同一のものを東京都條例として出すという準備を進めたのでありますが、やはり私どもの告示が遅れましたと同じような理由によつて、私は東京都條例は出なかつたと記憶いたしておりますが、私のそのときの考えは、東京都がその條例を出しましたならば、その他の府県はおそらくこれに右ならえするであろう、また右ならえさせますように、衛生部長会議その他地方庁の会議等を通じまして、東京都條例をつまり模範にしてやつてもらいたいということまで積極的にやろうと思つておつたのであります。あいにく東京都條例がちよつと行き悩みになつたものでありますから、その手も打てないでおりますが、なお今回かような御質問も衆議院の厚生委員会でございましたので、私どもといたしましては、この告示を急ぎますと同時に、もう一度東京都の関係者とも相談いたしまして、もしも今でもこの東京都條例が可能であるという見通しがつきましたならば、すみやかにそういうふうな條例に基く取締りというものも進められますように努力いたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804237X00319500722/37
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038・赤松勇
○赤松委員 第一点は、対策委員会の構成だとか機能、そういうものにつきましてちよつとお伺いしたい。それからもう一つは、これは給血者側の立場も実は代表しておるわけですが、今こういうふうな公的な報道機関、しかも責任ある記者たちが探訪しまして、こういうふうに記載をされて、すでに社会的には一つの問題として出されておる以上、しかもこれが国会において取上げられるということは、すでに新聞も報道しておりまするので、さしあたりそういうひどい地方に対しましては、厚生省として何らかの積極的な対策をひとつ立てていただきたい。この二点について医務局長の御見解はどうでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804237X00319500722/38
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039・東龍太郎
○東政府委員 第一点の輸血対策委員会の構成、機能でございますが、ただいま輸血対策委員会の委員となつております方々は、日本赤十字社の社長、それから医務課長と申しますか、そういうふうな職責上なつておる委員、また厚生省から医務局長、あるいは東京都の衛生局長、東京都の血漿の方をやつておりまする宮本課長、それから日本医師会を代表いたしまして医師会の会長、東京都の医師会の会長、それから專門家といたしまして東京大学の血清学の緒方教授、皮膚科の石川教授、外科の福田教授、それから国立東京第一病院の栗山副院長、慶応大学の産婦人科の安藤教授、先ほど名前をあげました東京医科大学の付属病院長で、特にこのためにアメリカに参りました加藤博士、それから聖路加病院の院長であります橋本博士、それから日本赤十字社の中央病院の院長、これが私の舎弟でありますが、目下その具体案を持つてアメリカヘの途中にあるわけであります。そういうふうな專門家ばかりになつております。その機能と申しますか、やりますことは、おもな目的が血液金庫の設立ということでありますが、同時に今のような告示案の内容について專門的な意見を伺つて——行政的な機能を持つた委員会でありませんで、むしろ專門家としての技術家の委員会というふうに御承知を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804237X00319500722/39
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040・赤松勇
○赤松委員 告示はいつごろになりましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804237X00319500722/40
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041・東龍太郎
○東政府委員 ちよつと具体的に何箇月ということは、関係方面との折衝があるものでありますから、申し上げかねますが、しかし取急いで進めることにいたします。それから各地方に対しての問題は、今のように具体的な御指示もありましたから、特に愛知県等に対しましては、ただいまのような具体的な事実をあげまして、そうしてすでに法律として医師法、歯科医師法の中に改正を行つたのは、輸血の問題を当面の目標としてやつたのです。従つてこの問題については、取締りを嚴重にやるようにという指示をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804237X00319500722/41
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042・松谷天光光
○松谷委員 ちよつと関連して……。ただいま医務局長のお話になつたのも、私は一つの方法だと思います。先ほどから伺つておりますと、医務局長のお言葉の中に、法的措置はとれないということを非常に強調されておるように伺いましたが、先ほどの御説明の中で、大体病院にこれを取扱わせる。赤松委員の御質問の中にも出ておりましたけれども、取扱わせることによつて、そういう悪徳業者を抹殺して行くのだというお考えのようでございますけれども、これは今までの例から見ましても、かりに病院で扱うようになれば、そこの病院の予算というものがすぐにからんで参ると思うのであります。この悪徳業者がはびこつて参りますのは、先ほど来赤松委員から御説明のように、困窮者たちの集まるところをねらつて悪徳業者のはびこつて来る原因が出て来るのではないかと思いますから、そういう価格の問題がまたそこに出て参りまして、かりに病院が正式に扱うようになりましても、もぐりの業者というものは根を絶たないと思います。そのまま放置いたして法的措置をとらない場合には、必ずそこには悪徳業者の跋雇が出て来ると私は思います。そういうものに対して法的措置をとるということを、何か恐れておられるような立場があるのではないかというようなことが、どうも考えられるのであります。今日、児童福祉法の中にありまするが、人身売買者に対しては、はつきりと法的措置がとられているにもかかわらず、この血の問題も、やはり人身売買と同じように、あるいは考え方によりましては、それ以上に罪悪と申してよろしい種類のものではないかと思うのでございます。先ほどのお話から見ましても、三割もの高い手数料をとるという、まさに人食い的な事業——事業といえない商売に対しまして、そういう悪徳のものに対して、なぜ法的措置がとれなかつたのでしようか。もちろん先ほどのお話のように、全部の業者がそうでないことは、私も十分存じております。しかしそこに法的措置ができましても、決して善良なる業者に対して、取締りは何ら影響するものではないのでございますから、悪徳な者に対してのみの法的措置は、私当然なされてしかるべきだと思います。その点についての当局のお考えと、なお法的措置は全然おとりになるおつもりはないのかどうか、伺いたいと思います。私はぜひ法的措置をとつていただきたいということを、むしろ要求したいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804237X00319500722/42
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043・東龍太郎
○東政府委員 私が法的措置をとらないということを、非常に強く申したような印象を與えたのでありますが、別に法的措置をとることを恐れるとか遠慮するという理由があるわけではございません。これは問題の考え方でありまして、私は、人身売買の場合と違つて、この輸血の問題は、やはり医師というものがそれの主体にならなければならない。医師が十分なる責任を持つて、そして十分なる検査を行つて輸血するというぐあいに、医師がもつと積極的にこの問題に関與をいたしますならば、今のようなインチキ輸血業者というものは、自然になくなるはずである。私はそれらの者の行いました結果の害悪については、これを憎むことは人一倍憎みたいと思うのであります。ただしかしながら、それだからといつて、業者をいじめるのみで、医師の方のやるべき仕事を今まで通りにしておるというのでは、私はなはだ片手落ちだと思いますので、厚生省の者の立場といたしましては、医師の方で十分なる注意を持つてやつて行くことに重点を置きたい。もちろん地方の條例等の中に、もしもそういうふうなものを禁止するような條項が含まれ得るものでありますれば、私はそれに反対するものではございません、もしもそういう措置が簡單にとられ得まするならば、とつていただけばなおけつこうだと存じます。ただ私の立場といたしまして、それと今までのいろいろないきさつの間からして、これに対して、ただちに法的措置をとることがきわめて困難であるということの結果であるのでありまして、積極的に法的措置をとらない方がいいというふうな意味では毛頭ございません。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804237X00319500722/43
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044・寺島隆太郎
○寺島委員長 次に公衆衞生に関する件を議題といたします。本件に関連して、狂犬病予防問題について発言を求められておりますので、これを許します。亘委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804237X00319500722/44
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045・亘四郎
○亘委員 私は、狂犬病につきまして、公衆衞生局長の方からお答えをいただきたいと思います。けさほど手元にいただきました厚生省の「広報だより」によりますと、狂犬病の発生が最近非常に多くなつておる、そうして死亡者の率もたいへん多くなつておる。本年は狂犬病の発生が例年よりも非常に多いように考えられるのでありますが、この狂犬病が発生いたしまするために、子供その他が非常に恐怖を感じておるのであります。この際、厚生省といたしまして、狂犬病の発生の状況並びにこれに対する予防対策について、政府はいかなるお考えを持つているか、詳細に承りたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804237X00319500722/45
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046・石橋卯吉
○石橋説明員 お答えいたします。狂犬病の発生状況から申し上げますが、昭和四年から大体過去二十年間ばかりの間、わが国での狂犬病の発生は、一番最高が昭和十八年の七百三十三頭、昭和四年の百七十二頭で、あとは毎年三十ないしは四十頭くらいの百以下の数字で、少いときには一頭というような年もあつたのでありますが、一昨年は百四十一頭でありましたのが、昨年は六百十四頭と増加いたしまして、本年は七月八日までの集計で五百五十七頭発生しておるのであります。この犬によつてかまれたものが今年は千百六十二名で、その中に狂犬病を発生いたしまして死亡した者が三十名あるのでございます。公衆衞生の行き渡つておるかどうかということを、私どもは天然痘の発生と狂犬病の発生ではかりまして、狂犬病の発生を防遏できましたことを、公衆衞生の一つの勝利のように言つておつたのでありますが、昨年、今年に至りまする発生については、きわめて遺憾に思つておるのであります。
この原因を考えてみますると、一に犬の頭数が急激に増加しまして、今私どもの計算では、全国の頭数を九十六万頭と推しておるのでありますけれども、実際にはもつと多い数であると思つておるのであります。大体届けられた犬、あるいはこちらで認めることができました犬が九十六万頭となつておるのであります。そこでこの狂犬病の予防に対しましては、第一に犬を移動することを制限すると同時に、予防注射を全部の犬に行い、徘徊している犬はこれを抑留いたしまして、必ず予防注射、予防接種をし、飼主が参りますれば、飼主に渡し、それでないものは処分をしております。もつぱら昨今は放し飼いに対して、きわめて嚴格なる処置をとりまして、放し飼いをいたしております飼主に対しては、一万円以下の罰金を科するという府県條例を制定するような方向に向いており、これは検察庁、法務府とも話合いまして、なるだけこれを励行していただきたい。一罰百戒の意味においてもいいから、府県はそういうふらちな飼主に対して告発をしますから、よろしく取扱つてくれという話合いをつけまして、この点についても嚴重に放し飼いを防止しております。本年度の発生状況では、五月の百五十三頭を最大にしまして、六月は百二十七頭、七月は漸次下る方向にはありますけれども、まだ予断を許さないのであります。
この狂犬病撲滅対策の根幹になります法的根拠は、ただいまは家畜伝染病予防法で実施しておるのでありますが、家畜伝染病予防法は、御承知の通り馬、牛等、経済動物を中心にした法律でありまして、犬、ねこのごときいわゆる愛玩動物に対する法律がありませんので、内容は国庫補助等が非常に多額に支出し得るようなことになつておりますけれども、実際の予算の折衝におきましては、狂犬病予防のための支出は、現在の国家財政状態では困難であるので、非常に少額の支出のみでただいまやつております。
申し遅れましたけれども、狂犬病の発生地区は関東地区だけでありまして、関西地区、東北地区は全然と言つていいほど、ないのであります。数週間前に大阪に一頭だけ発生いたしましたが、とにかく西は静岡以西はない。それから北も福島から北方は発生を見ないというような、関東地方だけに限られました流行でありまして、その点は防遏の地区が狭いだけに始末はいいのでありますけれども、野犬の頭数の多いことと、また飼主等の協力があまり得られませんような状況で、防遏に多少のひまをとつておる状況であります。
以上簡單でありますが御説明申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804237X00319500722/46
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047・寺島隆太郎
○寺島委員長 次に不良カン詰の問題について発言を求められておりますので、これを許します。松谷天光君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804237X00319500722/47
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048・松谷天光光
○松谷委員 公衆衞生局長にお尋ねいたしたいと思いますが、七月十三日ごろの新聞に、不良カン詰横行という記事がありました。最近町を歩いておりますと、店頭に一番見受けられますのはカン詰、ことに放出物などが非常に多うございますが、カン詰の山が私どもの目に迫つて参ります。そのカン詰の中に、非常に不良品が多いということが、消費者の側から東京都に届出があつた。そこでさつそく調べたところが、なるほど相当の不良品が出た。厚生省でもその不良品を調査しているというような記事でございました。これに対しまして、当局がどのような御処置あるいは検査の経過をたどつておりますか、その経過を伺わせていただきたいと思います。具体的な資料を今お持ちでなければ、次の機会にでも数字をもつて示していただきたいと思います。今とりつつある対策についてお尋ねだけさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804237X00319500722/48
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049・三木行治
○三木政府委員 不良カン詰に関する御質疑でございまするが、実は私ども、今日資料を持ち合せておりませんので、ごく概略のことにつきましてお答えをいたしたいと思います。
公団の方で二億五千万相当額のカン詰がございまして、公団の解散に伴いましてこれを市場に出したい、ところがこれらのカン詰は、三年前に製造したものでございまして、その中に約七%の更生カンを使用しておる。そこで不良品の心配がややあつたのでありますけれども、公団側の都合で、会計検査その他の点で、いろいろめんどうなことがあるからして、もし不良品があつた場合には、保健所の証明によつて金を返すというようなことで、放出をせられたのであります。これは、主として公団側の都合によつておやりになつた。ところがある業者が、その中の二十四箱相当のものが不良品であるということを、目黒の保健所に持ち込んで、この問題が明るみに出たというのが、私どもがただいま記憶いたしておる真相でございます。東京都並びに厚生省あるいは保健所といたしましては、こういうふうな大量の不良食品が出て来るということは、非常に困ることであり、かつまた赤痢が猖獗をきわめておるときでありまして、食品衞生につきましては、格段の注意をいたしておる現状でございますので、これらの放出カン詰につきましては、食品衞生監視員を動員いたしまして、それぞれチエツクしておるというのが現状でございます。なおその他の詳細につきましては、この次の機会に資料等によりましてお答えをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804237X00319500722/49
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050・松谷天光光
○松谷委員 それで大体了承いたしましたが、この不良カン詰という言葉を聞くだけでも、私どもがすぐに連想するのは赤痢でございまして、御当局の御熱意で、不良品の発生と同時に、さつそく監視員の活動で、そうした不良品も整理され、没收されて、予防に努められるという御努力は、十分了承いたしますけれども、何分数の多いことでございますので、それだけではとうてい私どもは安心してゆだねておくことはできないのであります。ひとつ何らかの方法で、この不良カン詰を——もちろん製造の場合の個々一つ一つの具体的な問題、一つ一つの具体的な品について、不良なものが出て参りますことも、当然考えられはいたしますけれども、常識として、一つのメーカー、そうして同じ月につくり、同じ材料でつくられたカン詰というものは、おそらくその危險性が多分にあると思われますが、そのような商標あるいは製造所を、そういうカン詰が一箇でも発生した場合には、新聞その他の報道を通しまして、全主婦が一目でこのカン詰が不良に近いのだというような、何か認識が得られるような方法を、御当局としては国民の間にとつていただきたい。昔はよく回覧板などがございましたし、あるいはその他の方法で出ておりましたが、今はそうした具体的なあれがありません。何か新聞紙上などを通じ、あるいは保健所に掲示なさるとか、そういう方法をとつていただきたいと思いますが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804237X00319500722/50
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051・三木行治
○三木政府委員 カン詰等の、大量に製造いたしまして、全国的に行き渡るものにつきましては、国の検査をやつております。そうしてそれらの合格品につきましては、商標を張つてあるのでございまして、その商標のあるものにつきましては、安心できると御信用くださつてもいいというような措置を講じておる次第でございます。ただこのたび問題になりました製品は、三年以前のものであつて、食品衞生法施行以前のことでございますので、その売出し手続等につきまして、適当でなかつたということとあわせて、これが安心であるとか、不安心であるとかいうような証票が貼付してないのであります。今後あるいはこの食品衞生法施行以後に出て参りましたものにつきましては、ただいま申し上げましたような国家検定の方法によりまして、証票が貼付してございますので、御指摘になりましたような、主婦の目安は十分つくと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804237X00319500722/51
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052・松谷天光光
○松谷委員 ただいまの御説明の、三年前のものでございます品の鑑定というものは、どういうところでいたすか、何かそういう予備知識はございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804237X00319500722/52
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053・三木行治
○三木政府委員 これは放出する公団と食品衞生側との連絡が、実は適当でなかつたということが原因でございまして、もし三年前のものにつきましてこれを市販にいたします場合におきましては、一箱から一つずつというようにとりまして検査をするわけであります。そして腐蝕しておりますとか、あるいは膨脹カンというような、多少とも怪しいものにつきましては、検査施設におきまして検査することによりまして安心できるという場合にのみ売り出すのが正当な方法なんでございますが、このたびはかような連絡が不十分であつたという点、そういうわけでこういうことに相なつたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804237X00319500722/53
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054・松谷天光光
○松谷委員 そういたしますと、現在出まわつておりますものは、一応不良品は取除かれていると了承してよろしゆうございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804237X00319500722/54
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055・三木行治
○三木政府委員 不良品は取除かないで市場に出たわけでございます。もし不良品がある場合には、保健所の証明で不良であるという証明があれば、そのものについては金を返すということで、急速に処理するために、非常に簡便な方法で売り出しになつた。このために大体こういうことが起きたのであります。そういうふうにいたしましても、市場に売り出される場合には、食品衞生当局としては一々検査をする、こういう実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804237X00319500722/55
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056・松谷天光光
○松谷委員 ただいままで質問させていただきました不良カン詰、これを原因といたしましての赤痢の発生した事実が、御当局の御調査でございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804237X00319500722/56
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057・三木行治
○三木政府委員 ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804237X00319500722/57
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058・松谷天光光
○松谷委員 この赤痢発生患者の資料から拜見いたしますと、終戰以来ますます予防衞生が非常に叫ばれて、国民全般も予防衞生の点は、非常に熱意を持つて来たと考えられておつたにもかかわらず、昭和二十三年、昭和二十四年、昭和二十五年と、この表で比較いたしますと、昭和二十五年の患者数が一番多いというような、理想と現実のギヤツプが出ております。この数が昭和二十五年が最も多いという、これは一体どこに原因がおありになると、衞生局長はお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804237X00319500722/58
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059・三木行治
○三木政府委員 お手元の表でごらんいただきますように、今年、二十五年と昨年同期と比較いたしますと、本年の方が著しく伝染病患者が多いのでございます。これは一に赤痢に由来すると申すべきでございまして、別の表を見ますと、今年度の赤痢患者は九千名でございます。七月一日現在でありますが、昨年同期に比較いたしまして三倍になつておる。このうち集団発生と見られるものは、お手元に差上げました赤痢集団多発発生状況という表でごらんいただきますように、八百三十二名、約一割が集団でございますが、その他のものにつきましては、散発的にバラバラと出てるという状態でございます。これはどうしてこういうふうに伝染病患者がふえ、その原因が赤痢の多発であり、赤痢多発の原因は何であるかということでありますが、私どもといたしましては、本年の赤痢患者は比較的軽症患者が多いのでございます。というようなわけで届出が十分でない。また御存じのサルフア剤による療法が相当に行われておるのでありまして、そのために下痢でありますとか、あるいは血便というような赤痢病状は、すみやかに解決いたしますけれども、しかも赤痢菌を排泄するというような状態でありまして、これらが感染源になつておるのだろうということ、それから第二番目には、食糧事情が好転いたしましたために、外食あるいは会食の機会が多くなつた。そのために食品衞生、個人衞生等が適当でない、不十分であるというようなことが原因であろうと考えられるのであります。ともあれこの赤痢というものは、結局人糞が直接間接何らかの形で人の口に入つたということから流行いたしまするので、これが対策といたしましては、口に入らないように遮断するということが、対策のおもなるものに相なつておるわけでございます。お尋ねはその原因でございましたが、少しよけいにしやべり過ぎまして……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804237X00319500722/59
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060・松谷天光光
○松谷委員 いろいろ伺いたいことがございますが、今日は委員長のお手元にいろいろ件数が多数おありのように伺いますので、次の機会に関連して伺うことにさせていただくことにいたしまして、これで打切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804237X00319500722/60
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061・丸山直友
○丸山委員 ただいま赤痢の発生が多いということの原因の一つとして、しろうと療法のサルフア剤の濫用というお言葉があつたわけであります。御承知のようにサルフア剤は現在は薬店においては、医師の証明がなければ販売できないことに相なつておるはずであります。それがしろうとにたやすく手に入り、そうしてそれが流行して、しかもこれが赤痢を流行させた原因だということの御説明がただいまあつたのでありますが、これはどうしてしろうとがサルフア剤をたやすく手に入れるのでありますか、これをお取締りになるお考えがあるかどうかということをお伺いしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804237X00319500722/61
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062・三木行治
○三木政府委員 サルフア剤がたやすく手に入るかどうかという点につきましては、私どもも責任を持つて、サルフア剤がたやすく手に入るのだということを申し上げておるのではないのであります。どうもそうらしいと考えられるのであります。これがために医師の指示または処方箋がなければ販売してはならないという薬事法による取締りがあるとともに、各都道府県におきましても、一層の取締りをやるように通牒を発しておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804237X00319500722/62
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063・寺島隆太郎
○寺島委員長 ちよつと速記をやめてください。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804237X00319500722/63
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064・寺島隆太郎
○寺島委員長 速記を始めてください。
本日はこれにて散会いたします。次会は公報をもつて御通知申し上げます。
午後零時二十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804237X00319500722/64
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