1. 会議録本文
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000・会議録情報
本委員は昭和二十五年七月十二日(水曜日)議長
の指名で次の通り選任された。
生田 和平君 池見 茂隆君
大泉 寛三君 門脇勝太郎君
川本 末治君 河原伊三郎君
清水 逸平君 田中 豊君
塚田十一郎君 中島 守利君
野村專太郎君 橋本登美三郎君
前尾繁三郎君 吉田吉太郎君
龍野喜一郎君 鈴木 幹雄君
床次 徳二君 藤田 義光君
山手 滿男君 大矢 省三君
久保田鶴松君 門司 亮君
立花 敏男君 米原 昶君
松本六太郎君
同日前尾繁三郎君が、議長の指名で委員長に選任
された。
会議
昭和二十五年七月十三日(木曜日)
午後二時十分開議
出席委員
委員長 前尾繁三郎君
生田 和平君 池見 茂隆君
大泉 寛三君 門脇勝太郎君
川本 末治君 河原伊三郎君
清水 逸平君 塚田十一郎君
野村專太郎君 橋本登美三郎君
吉田吉太郎君 龍野喜一郎君
鈴木 幹雄君 床次 徳二君
藤田 義光君 山手 滿男君
大矢 省三君 久保田鶴松君
門司 亮君 立花 敏男君
米原 昶君 松本六太郎君
出席国務大臣
国 務 大 臣 岡野 清豪君
出席政府委員
地方自治政務次
官 小野 哲君
地方自治庁次長 鈴木 俊一君
委員外の出席者
專 門 員 有松 昇君
專 門 員 長橋 茂男君
七月十二日
地方税法案(内閣提出第一号)の審査を本委員
会に付託された。
本日の会議に付した事件
理事の互選
国政調査承認要求に関する件
地方税法案(内閣提出第一号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00119500713/0
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001・前尾繁三郎
○前尾委員長 これより開会いたします。
まず理事の互選を行います。その方法についてお諮りいたしたいと思いますが、これは先例によりまして投票の手続を省略して、委員長において指名するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」「異議あり」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00119500713/1
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002・立花敏男
○立花委員 従来ともわが共産党は理事を出しておりまして、委員会の運営の方法につきまして、種々皆さんと懇談的に御協力申し上げたわけなんですが、本日から理事の数が減りまして、共産党は参加できないというような事情にありますが、幸いに国会法によりますと、理事はただいま委員長の申されましたように互選になつておりますので、私どもはこの委員会を円満に遂行するために、また議事の運営に関しまして共産党としても協力さしていただきまして、いろいろな点で皆さんと御協力しながら、この地方行政委員会を進めて行きたいと思いますので、できるだけ共産党の方からも理事が出せますように、互選の形をとつていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00119500713/2
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003・藤田義光
○藤田(義)委員 ただいま立花君からの御発言でございますが、本日の議院運営委員会において、理事数の変更があつたように拝聽しておりますが、その点に関して委員長の御報告をお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00119500713/3
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004・前尾繁三郎
○前尾委員長 今回全部改選になりました機会に、従来十人の理事でありましたのを五人にいたしまして、そしてその各党の比率は自由党が三人、民主党が一人、社会党が一人という比率にきまつておりますので、これは議院運営委員会できまつておりますから、その点を御了承願いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00119500713/4
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005・立花敏男
○立花委員 それは私、議院運営委員会としての越権ではないかと思うのです。委員長自身が申されましたように、理事は委員会の互選ということになつております。運営委員会で各委員会の自主的な決定を無視いたしまして、自由党三人、社会党一人、民主党一人と決定いたしましたのは、明らかに私、議院運営委員会の越権ではないかと思います。この点を委員長はどういうふうにお考えになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00119500713/5
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006・前尾繁三郎
○前尾委員長 私はやはり議会の運営については、運営委員会で決定いたしましたら、その決定に従うのが最も妥当で、公平だと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00119500713/6
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007・立花敏男
○立花委員 そういたしますと、国会法というものが單なる運営委員会の決定によつて無視され得るというふうにお考えになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00119500713/7
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008・前尾繁三郎
○前尾委員長 運営委員会は、国会法に従つてすべての行動をしておると、私は信じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00119500713/8
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009・立花敏男
○立花委員 そうしますと、国会法にあります理事はその委員会における自主的な互選によるという條文と、今委員長が言われました運営委員会が三、一、一に各委員会の理事の比例をきめたということは、明らかに矛盾すると思いますが、この点御説明をしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00119500713/9
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010・前尾繁三郎
○前尾委員長 さらに互選の方法として、そういうような比率で一応の基準を示すということについて、私何らそれが運営委員会の越権だと考えておりません。従来からこれは先例のあることであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00119500713/10
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011・立花敏男
○立花委員 しかし委員会によりまして、たとえば五名の理事のうち二、一、一、一という比例もとれますし、共産党の委員が理事になれないというようなことを、運営委員会の方で一方的にきめてしまうことは、明らかにこれは各委員会の自主性を無視するものだと思いますが、その点は各委員会の自主的な互選ということにまかされるのが、ほんとうの意味の国会法の趣旨に従うのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00119500713/11
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012・前尾繁三郎
○前尾委員長 私は見解の相違になると思いますが、自主的に運営委員会の決議に従つて行くことは当然であり、また従来からそういう方法をとつて来ているのでありまして、この際御了承を願つておくべきだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00119500713/12
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013・立花敏男
○立花委員 私どもは反対なのでございますので、やられるなら御採決を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00119500713/13
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014・前尾繁三郎
○前尾委員長 それでは採決によつて決することにいたします。ただいまの立花君の動議に賛成の方は御起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00119500713/14
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015・前尾繁三郎
○前尾委員長 起立少数、よつて立花君の動議は否決されました。
私の最初申しました指名の手続によつて行います。
次に五名の委員を指名申し上げます。
生田和平君、塚田十一郎君、川本末治君、藤田義光君、門司亮君。
以上五名の方を理事に指名いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00119500713/15
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016・前尾繁三郎
○前尾委員長 次に国政調査承認要求の件についてお諮りいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00119500713/16
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017・立花敏男
○立花委員 その前に、きようの公報によりますと一時から理事会を開き、一時半から委員会を開くことになつている。そして従来の委員長の御意見によりましても、最初のとき理事会をやりまして、それから委員会の運営方針、議事進行の方針なんかを打合せまして、それから委員会に移るということを承つております。きようの公報にもそういうふうになつているのでございますが、理事会をどういう意味でおやりにならないのか、お説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00119500713/17
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018・前尾繁三郎
○前尾委員長 実はきよう理事の指名をしなければ委員会が成立しないのであります。昨日そういう手続がすべて完了するような予定で考えておりましたので、そういうような通知を差上げたのでありますが、理事の手続ができませんでした。従つて本日の理事会は開けなかつた次第であります。ただちに委員会を開いた次第でありますから、その点御了承を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00119500713/18
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019・立花敏男
○立花委員 そういたしましたならば、理事会を省略いたしまして、この委員会で今後の運営の方針を御審議願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00119500713/19
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020・前尾繁三郎
○前尾委員長 いずれその運営の方法につきましては、あとで理事会できめたいと思つております。その前に国政調査の件と、それから提案になりました地方税法の政府の提案理由の説明を聽取いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00119500713/20
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021・立花敏男
○立花委員 そういたしますと今後の理事会の運営に関しまして、特に委員会の運営方針とか、あるいは審議方針とかいうものを審議いたします場合に、私ども共産党といたしまして理事がございませんが、参加して発言いたしましてもよろしゆうございますかどうか、最初に承つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00119500713/21
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022・前尾繁三郎
○前尾委員長 理事ではありませんから、理事会に参加していただくというわけに参りませんが、いろいろ御意見を出していただいて、それを参酌することは、われわれもできるだけ皆さんの御意見を反映したいと考えておりますから、おそらく理事会でも、お申出になればいろいろ皆さんの御意向をしんしやくしてやると思います。
先ほど申し上げました国政調査承認の件についてお諮りいたします。本委員会におきましては、前国会においても本委員会の重要なる使命にかんがみ、また委員会活動を便ならしむるため、議長の承認を得て地方自治、地方財政、警察制度及び消防制度等に関する国政の調査をいたして参つたのでありまするが、本国会においても、衆議院規則第九十四條により議長の承認を得たいと思います。まず調査する事項といたしましては地方自治、地方財政、警察制度、消防制度及び選挙に関する事項とし、調査の目的としましては地方自治、地方財政、警察制度、消防制度及び選挙に関する法律の改正及び立案等とし、調査の方法としては、関係方面よりの説明聽取並びに参考資料の要求及び小委員会の設置等とし、調査の期間は本会期中であります。以上といたしまして、国政調査承認要求書を議長に提出いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00119500713/22
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023・前尾繁三郎
○前尾委員長 御異議なしと認めさよう決定いたします。
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それでは昨十二日本委員会に付託になりました地方税法案内閣提出第一号を議題といたします。まず政府よりその提案理由の説明を聽取いたしたいと思います。岡野国務大臣。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00119500713/23
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024・岡野清豪
○岡野国務大臣 ただいま提出いたしました地方税法を制定する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
前国会においても、政府は新地方税法案を提出いたしたのでありますが、提案時期の遅延等の関係から、その審議は新年度にまたがることとなりましたので、旧税法から新税法への移行を円滑にするため、新税法において廃止または税率の改正を予定する税目については、新しい地方税法の成立するまでの間、その徴收を停止しておくことを適当と考え、別途その旨の法律案を提出することといたしたのであります。しかるところ、徴收停止の法律案は成立いたしたのでありますが、その後この法律を存置したまま、言いかえれば、現行地方税制の主要部分の効力を停止したまま、新しい地方税法案は幾多の論議の後、遂に不幸にして成立を見ることができなくなつたのであります。徴收を停止せられました税目は、現行地方税法の主要税目のほとんど全部でありますので、地方団体は、その活動の原動力とも称すべき税收入の大部分について徴收の道が絶たれたことになつたわけであります。従つて、地方団体はその歳入について年間の確たる見通しを得ることができなくなつたのでありまして、自然年間を通ずる地方財政の計画的執行も困難となり、多くの事業が停止せられたまま今日に至つているのでありまして、これが地方行政の運営に少からぬ障害をなしていることを恐れているものであります。政府といたしましては、このような情勢にかんがみ、今までに地方財政平衡交付金約六百二十億円を概算交付するとともに、爾余の不足資金については、大蔵省預金部より短期融通することとし、もつて最低限度の財政需要をまかなうに足る財源は確保することとしたのであります。しかしながら、右はあくまでも暫定措置でありまして、事態の根本的解決はもとより、新地方税法案の一日もすみやかな成立実施をおいて、他にこれを求めることができないのであります。ここにおきまして、政府は前国会における論議にかんがみ、かつは法案成立の遅延に伴い、原案に若干の修正を施して、再びここにこれを提案することとした次第であります。
最初に新地方税法案制定の目標と方針を申述べたいと存じます。言うまでもなく、わが国は、敗戰による苦い体験から、終戰後いち早く新しい憲法のもとに、民主主義に基いて国政を運営する旨を確定したのでありました。もとより民主政治の確立は、單に政治運営の形式を民主化するにとどめてはなりませず、政治運営に関する判断が、広く国民の中から生れて来るようにし向けて参らなければなりません。
これがためには、すべて公事に関する問題は、可及的にその問題の周辺にあつて、その問題から直接の影響を受ける人たちの手によつて、責任ある処理を行わせるようにして参らなければなりませんので、民主政治の確立と地方自治の強化とは、表裏一体をなす問題であります。
しこうして、地方自治の確立を意図して、すでに地方自治法が制定せられ、地方公共団体の骨格は整つたのでありますが、それよりもむしろ住民につながるその事務をゆたかにし、活発な自治活動を可能にするその財政を強化して、地方自治の内容を充実させることこそが、先決の問題であります。しかるに地方公共団体の現状は、相次いで負荷せられる任務の重いのに比べて、財政力は微弱であり、ために地方自活は財政的に破綻に瀕しているとまで極言せられているのであります。
これを税制の面について申し上げますならば、すでに地方団体のうち七割を越えるものが、標準税率を越えて課税しておりますし、法定税目のほかに、地方団体が新税の設定を余儀なくされておりますものが、課税団体で二千、税目で百数十種類に及んでいるのであります。たいていの団体が、その税率で課税するものとして定められているはずの標準税率で課税している団体が、むしろ例外でありましたり、法定税目そのものが、かなりむりなものを拾い上げて、国民に圧迫感を與えていることを恐れているのに、その上さらに多くの団体が幾多のむりな税目を設けざるを得ない状況に置かれているということは、地方税收入のはなはだしい不足を示すものであつて、そもそも地方税制そのものが、破綻していると申さねばならないのであります。
現行地方税制は、すでに国税附加税の制度を捨てて、独立税中心主義をとつているのでありますが、中枢をなす事業税、地租及び家屋税の三收益税は、あるいは国の所得税や法人税と課税標準を同じくし、あるいは国の決定した賃貸価格を課税標準とする等なお著しく国に依存する態勢を改めないのであります。そもそも地方自治の伸長を期そうといたしますならば、活動の源泉となるべき財源を豊富にするとともに、これを地方団体みずからの責任において確保させ、もつて自治運営に対する住民の鋭い監視と批判とを求めるようにして行かねばならないのであります。よつて地方税收入を拡充し、地方税制の自主性を強化して、地方自治の根基をつちかうことを、今次地方税制改正の第一の目標といたしているのであります。
次に現行地方税の主要な税目の個々について申し述べたいと存じます。その一は事業に対する課税でありますが、戰前地方税総額の二〇%を占める程度であつたものが、現行税制そのままで参りますと、昭和二十五年度には三五%内外を占めることとなつておるのであります。しかも事業税のうち個人の事業主の負担いたしますものが、戰前の五〇%内外から九〇%内外に増加して参つているのであります。このことは、現行事業税が二重の意味において不合理になつているのでありまして、すなわち第一には、他の課税客体に比べて、事業の負担が重過ぎるということがあり、第二には本来応益的に負担すべき事業税が、大企業に不当に軽課されているということであります。
その二は土地及び家屋に対する課税でありますが、地代家賃統制令との関係があるからとはいえ、戰前地方税総額の三〇%を占めていたものが、現行税制で参りますと、昭和二十五年度ではようやく一〇%を占めるにすぎなくなるのであります。しかも他の税目と比べましても、かなり負担の均衡を欠いていることが感ぜられるのでありまして、営業用乗用車ですら、その一台の負担は畑地三十七町歩、家屋八百数十坪の負担に匹敵しているのであります。
その三は、住民税であります。元来戸数割を廃止して住民税が設けられた当時は、收入を上げることを主たる目的にはしないで、單に負担分任の精神を地方税制の上に存置しておくための、ごく少額のものであつたのであります。ところが地方財政の窮乏は、この税に相当多くの收入と彈力性とを求めざるを得なくなり、自然、団体間においても、課税額にかなり大きな幅ができ、標準税額の十数倍に達している町村も珍しくなくなつて来たのであります。こうなつて来ると、応能原則を重視すべき租税として、もはや放任しがたくなつてしまつたといわねばならないのであります。
このような現状にかんがみ、地方税制を根本的に改革して、国民の地方税負担の合理化及び均等化を確保することを、今次地方税制改正の第二の目標といたしております。しかしてこのような目標のもとにのつとつた具体的な地方税制改革の方針は、第一は財産課税の重課、流通課税の整理、消費課税の減少軽減、所得課税の増加、事業課税の軽減、雑税の整理等を行い、地方税全般にわたつて、その負担の合理化と均衡化を徹底することであります。
第二は課税標準、税率等に関する地方団体の権限を拡充して、地方税制の自主性を強化するとともに、道府県税と市町村税とを完全に分離し、もつて税務行政の責任の帰属を明確にすることであります。これによつて道府県税としたものは、普通税で附加価値税、入場税、遊興飲食税、自動車税、鉱区税、漁業権税及び狩猟者税の七税目、目的税で水利地益税であり、市町村税としたものは、普通税で市町村民税、固定資産税、自転車税、荷車税、電気ガス税、鉱産税、木材引取税、広告税、入湯税及び接客人税の十種目であり、目的税で水利地益税及び共同施設税であります。
第三は、有力な直接税を市町村税として、市町村における税收入の強化をはかるとともに、住民の市町村行政に対する関心の増大を求め、もつて地方自治の基盤をつちかうとともに、民主政治の推進を期することであります。
第四は特別徴收に関する規定を整備すること、納税秩序を強化すること等により、税收入確保の方途を講ずることであります。
第五は、税率を全税目にわたつて明確に規定することにより、地域間における地方税負担の衡平化を期することであります。
かくして地方税法を全文にわたつて改正したのでありますが、これによつて、昭和二十五年度において、地方団体が收入することのできる税額は千九百八億円となる見込みであります。昭和二十四年度千五百二十四億円と比較すると、三百八十四億円の増收ということになります。この地方税の増收のほかに、地方財政平衡交付金制度を創設したり、災害復旧費の全額を国庫において負担することにいたしたりしましたので、相当の財源が増加になります。もちろんこれにより、地方財源は特に潤沢になつたということも言えないのでありますが、現下の国民租税負担の現状にかんがみまするとき、地方税としてはこの程度の増收にとどめることをもつて、適当とすると考えた次第であります。
以下新税の創設、既存税目の変更、徴税手続の合理化、改正原案に対する修正点の順に従つて、新地方税法案の内容を御説明申し上げます。
まず新設された税目についての説明でありますが、その第一は、附加価値税であります。附加価値税は、事業税及び特別所得税を廃止するとともに、これらの課税客体であつた事業の附加価値に対し、附加価値額を課税標準として、事業所または事務所所在地の道府県において課税するものであります。
ここに附加価値と申しますのは、当該事業がその段階において、国民総所得に附加した価値を指すものでありまして、生産国民所得の観念で申しますならば、一定期間における当該事業の総売上金額より他の事業から購入した土地、建物、機械設備、原材料、商品、動力等の代価を控除したものをいい、逆にこれを分配国民所得の観念で申しますならば、賃銀、地代、利子及び企業者利潤を合算したものといえましよう。このような附加価値額を課税標準とするところの附加価値税を従来の事業税にかえて創設するゆえんは、第一に、従来の事業税でありますと、まず收益課税たる本質上、非転嫁的なものでありますがゆえに今日のごとく所得税、法人税、道府県民税、市町村民税、さらにこの事業税と所得の上に累積的に課税されているときにおいては、事業に対する負担がたえがたいまでに重くなること。第二に、事業税の課税標準は所得であるがゆえに、必然的に国税たる所得税及び法人税の課税標準の算定の結果に追随せざるを得ないこととなり、事業税課税についての責任の帰属を不明確にすること。第三に、およそ事業を継続している以上は、常に地方団体の施設の恩恵に浴しているのであるから、事業はすべて応分の地方税負担とすべきであるにかかわらず、事業税によるときは、所得のないものは常に課税を免かれるという欠陷を有するのに対して、附加価値税においては、これらのいずれの欠陷をも一応克服できる上に、取引高税のごとく重複課税とならないこと。企業の垂直的結合を促進するがごとき欠陷を有しないことなどの長所があり、さらに進んで固定設備の購入代金が課税標準から控除されるがゆえに、現下のわが国経済にとつて、最も必要であるところの産業の有機的構成の高度化を促進するという効果もまた期待できるのであります。しかして、附加価値税は、農業、林業並びに鉱物の採掘及び採取の事業に対しては、非課税の取扱いをいたしたいと考えております。その理由は前二者につきましては、主として固定資産税の負担が、相当重くなつていることによるものであり、後者につきましては、別途鉱産税が存置されているからであります。
次に附加価値税の税率は、標準税率を四%とし、最高税率を八%としているのでありますが、原始産業、自由業等につきましては、標準税率を三%、最高税率を六%とし、免税点はいずれも附加価値額の総額が十二箇月分として、九万円を原則といたしております。さらに附加価値税の徴收手続は、申告納付の方法によるものとしております。また、これと関連しまして附加価値税につきましても、青色の申告の制度を採用することとしたのであります。また、昭和二十六年度限りの課税標準算定の特例として、金融業、運送業及び倉庫業につきましては、その選択によつて、総売上金額の一定額をもつて、附加価値額とすることができるものとしておりますが、その理由はあるいは事業の特種な性格に基くものであり、あるいは事業の公共性にかんがみ、さしあたり負担の急変を避けようとする趣旨に出たものであります。この附加価値税の收入見込み額は、昭和二十六年度四百十九億円、平年度四百四十一億円であります。
新税のその二は、市町村民税であります。同じ税目は従前にも存していたわけでありますが、その性格を一変しているのでありまして、市町村内に住所を有する個人に対しては、均等割及び所得割により、事務所、事業所または家屋敷を有する個人及び事業所または事業所を有する法人に対しては、均等割によつて課するところの税であります。従来の市町村民税と異りますのは、第一には、世帯主を納税義務者とする家族主義的な構成をとつていたものを、所得のある限りは、成年者をすべて納税義務者とする個人主義的な構成をとつていることであり、第二には、均等割、資産割及び所得割の三者によつて課税していたのを、資産割を廃止して、均等割と所得割の二者によつて課税することとしたことであり、第三には、法人に対しては均等割しか課税しないこととしたことであります。しかして、均等割の額は、人口五十万以上の市において、個人は八百円を標準とし最高千円、法人は、二千四百円を標準とし、最高四千円、人口五万以上五十万未満の市において、個人は六百円を標準とし、最高七百五十円、法人は千八百円を標準とし、最高三千円、これら以外の市町村において、個人は四百円を標準とし、最高五百円、法人は千二百円を標準とし、最高二千円としているのであります。
他方、所得割につきましては、前年の所得税額を課税標準とし、その百分の十八を標準とし、百分の二十を最高とする方式及び前年の課税総所得金額を課税標準とし、百分の十を最高とする方式、並びに前年の課税総所得金額から所得税額を控除した後の金額を課税標準とし、百分の二十を最高とする方式の三方式のいずれかを選択し得るものとしておりますが、昭和二十五年度におきましては、第一の方式のみを採用することとしております。
なお、市町村民税は、前年において所得がなかつた者及び生活保護法の適用を受ける者並びに不具者及び未成年者に対しては、その全部を、同居の妻に対しては、均等割を課さないものとしております。ただ未成年者及び不具者であつても、一定額以上の資産所得または事業所得を有し、かつ独立の生計を営む場合、または同居の妻であつても、その夫が市町村民税の納税義務者でない場合においては、妻なるがゆえの非課税の取扱いは受けないのであります。
課税団体は、六月一日現在において住所または事務所、事業所もしくは家屋敷が所在した市町村で、その課税方法は賦課処分によるものとし、納期は原則として、均等割のみを納付するものは七月、その他のものは、七月、九月、十二月及び二月の四回としております。ただ本年度及び明年度におきましては、若干の特例を定めております。また收入見込額は、昭和二十五年度において五百七十五億円、平年度において四百七十億円であります。
新税のその三は、固定資産税であります。固定資産税は、土地、家屋及び減価償却の可能な有形固定資産に対し、その価格を標準として、原則として、所有者に課するところの税であります。これは、従来の地租、家屋税を拡充したものでありまして、そのおもな相違点は、課税客体が土地、家屋のほかに、償却資産の加えられていること、課税標準が、賃貸価格と異なり、価格であることであります。しかして、その価格は、毎年一月一日の適正な時価によつて、おおむね各市町村に設置される固定資産評価員の行う評価に基き、市町村長が決定いたします。この市町村長が決定した価格は、固定資産税の課税の必要上、市町村に作成を義務づけられた固定資産課税台帳に登録し、一定期間関係者の縦覧に供して、確定することとしております。但し、昭和二十五年度分の固定資産税の課税標準に限り、農地以外の土地及び家屋については、賃貸価格の九百倍の額、農地については、農地調整法による農地の公定価格に二二・五を乗じて得た額とするものとしております。
また、償却資産の価格については、資産評価法の規定によつて再評価を行つた場合における再評価額の限度額、同法の規定によつて償却資産の所有者が現実に行つた再評価額または再評価を行わない場合にあつては、その資産の帳簿価格等をしんしやくして、適正な時価を市町村長が決定するものであります。
固定資産税の税率は、百分の一・七を標準としておりますが、当分の間百分の三を最高とし、かつ昭和二十五年度分に限り、百分の一・七に一定したのであります。一定した趣旨は、課税の條件を同一にすることによつて、課税標準額について存する不均衡の所在を明確にし、次の機会における固定資産の公正な評価を容易ならしめようとする趣旨であります。なお、大規模の工場や発電施設が、近隣の市町村の公共費の支出に直接かつ重要な影響を與えたり、これらの地方における経済と直接かつ重要な関連を有する場合においては、地方財政委員会がこれらの固定資産を指定し、これを評価してその価格を決定し、固定資産の所在する市町村のいかんにかかわらず、その価格を関係市町村に配分することができるものといたしておりますのは、税源の極端な偏在を防止しようとする趣旨にほかならないものであります。
また、船舶、車両その他二以上の市町村にわたつて使用される移動性もしくは可動性償却資産及び鉄軌道、発送配電施設その他二以上の市町村にわたつて所在する固定資産のうち、地方財政委員会が指定するものについては、地方財政委員会が価格を決定し、その価額を関係市町村に配分するものとしておりますが、その趣旨は主として、広い見地からする評価によつて、関係市町村間における固定資産の価額配分の適正を期そうとするところにあるわけであります。固定資産税の賦課期日は、当該年度の初日の属する年の一月一日とし、納期は原則として、四月、六月、八月、及び十一月の四回としておりますが、本年度及び明年度におきましては、若干の特例を定めております。また、收入見込額は、昭和二十五年度において約五百二十億円であり、平年度において五百九十八億円であります。
第二は、既存種目に対して加えられた変更に関する説明でありますが、その一は、入場税に関するものであります。第一点はすでに切り離して去る三月より実施せられているところでありますが、税率を従来の十五割の部分を十割に、また、従來の六割の部分を四割に、それぞれ三分の一づつ引き下げたことであり、第二点は、新たに課税除外の規定を設けたことであり、第三点は、催しものの主催者等に所定の入場券または利用券の発行義務を課するとともに、入場者が入場し、または利用者が利用する際に、その入場券または利用券の一半を切り取つて、他の一半を入場者または利用者に交付する義務を課したこと、及び全員を無料で入場させた場合であつても、その情況にり経費を課税標準として課することができるものとしたこと等、徴收の強化をはかつた点であります。
その二は、遊興飲食税に関するものであります。第一点は、現行の税率十五割、八割、五割及び二割を十割、四割及び二割に引き下げ、もつて負担の軽減と、徴税の適正化をはからんとしたことであります。第二点は條例で領收証発行及び証紙使用の義務を課し得るものとし、乱れがちな遊興飲食税の徴收を確保する道を規定したことであります。
その三は、自動車税、漁業権税、自転車税、荷車税、広告税、入湯税、及び接客人税についても、新たに標準税率を定め、もつて地域間の負担の均衡化をはかるとともに、その課税手続、救済、罰則等に関する所要の規定を整備して、納税者の理解に便ならしめようとしたことであります。
第三は賦課徴收について、改正を加えました諸点に関する説明であります。
その一は、過納にかかわる地方団体の徴收金を納税者に還付し、または未納の徴收金に充当する場合において加算金の制度を創設し、もつて納税者の権利の保護に欠けるところのないようにしたことであります。
その二は納税者または特別徴收義務者について滯納処分、強制執行、破産宣告等があつたときは、地方団体は、その徴收金について交付要求をなし得るものとし、もつて、税收入の確保に遺憾なきを期したことであります。
その三は、納税者に交付すべき徴税令書には、課税の基礎及び税額算定の根拠を明確に示さなければならないものとし、もつて納税者の保護と、その納税への協力を期したことであります。
その四は、入場税、遊興飲食税、電気ガス税、木材引取税等を特別徴收によつて徴收させるときは、特別徴收義務者にその徴收にかかわる税金を申告納入させることとするとともに、入場税と遊興飲食税の特別徴收義務者が特別徴收する場合においては、そのことを明示する証票の交付方を、地方団体の長に申請するものとし、その交付を受けた証票を店頭その他公衆の見やすい箇所に貼付しなければならないものとし、もつて、この種租税徴收の強化をはかつたことであります。
その五は納税義務者が申告納付し、または特別徴收義務者が申告納入する場合においては、延滯金、過少申告加算金、不申告加算金及び重加算金の制度を、また、督促状を交付した場合においては、延滯加算金の制度をそれぞれ新たに設け、もつて納税意識の高揚と滯納の絶滅を期したことであります。
その六は、所要の罰則規定を整備して、徴收の強化をはかつたことであります。
なほ、今次の改正案において、本年度または来年度から廃止を予定している税は、先に成立いたしました地方税法の一部を改正する法律と合せ、道府県民税、地租、家屋税、事業税、特別所得税、不動産取得税、酒消費税、電話税、軌道税、電柱税、船舶税、舟税、金庫税と畜税、使用人税、漁業権の取得に対する漁業権税、自動車の取得に対する自動車税、自転車の取得に対する自転車税、荷車の取得に対する荷車税、都市計画税等の多数に上るのであります。
以上を要するに、今次改正案は、実にわが国の地方税制の創始以来の劃期的なものであり、特に附加価値税、固定資産税及び市町村民税の三大新税の創設、道府県税体系と市町村税体系との明確な分離及び賦課徴收手続の明確化等の諸点において、きわめてすぐれた特色を有し、地方財政の確立ないし地方自治強化のために、偉大な貢献をなすべきことが期待されるのであります。
しこうして政府は、概略右の如き趣旨と内容に基きまして、地方税法案を前国会に提出いたしたのでありますが、不幸にして不成立に終りましたため、ここに若干の修正を加えて再び提案する次第でありまして、以下修正を加えました諸点について御説明申上げます。
まず第一は、附加価値税の実施を一年間延期して、明年一月一日からとし、それまではおおむね現行の事業税及び特別所得税を課するものとしたことであります。これは元来その負担の転嫁することを予想する税種について、半年以上も過去にさかのぼつて実施するということは不隠でありますのと、新税の実施には何分法案の成立後も、準備に万全を期する必要があると考えたからであります。
しこうして、附加価値税にかえ、存置される事業税及び特別所得税につきましては、法案中に第六章として特に一章を設け、詳細に規定することとしたのであります。すなわちその課税客体については、おおむね現行の事業税及び特別所得税のそれと同一にしているのでありますが、ただ、農業、林業については、固定資産税との関連上、これを非課税とし、また原始産業中主として自家労力によつて行うものについても、附加価値税の場合と全く同様に課税しないこととしたのであります。税率についても附加価値税について予定した四百二十億円の收入を得ることを目途として、現行事業税の法人及び個人の第一種事業に対するもの、本税、附加税及び都市計画税割を合せて一八%を一二%に、特別法人及び個人の第二種事業に対するもの、同じく一二%を八%に、特別所得税中第一種業務に対するもの、九・六%を六・四%に、第二種業務に対するもの、一二%を八%に、それぞれ三割三分余りずつ引き下げるとともに、免税点を現行の四千八百円から二万五千円に引き上げ、もつて事業税負担の合理化をはかつた次第であります。
しこうして、この事業税及び特別所得税は、全額を道府県税とするとともに、納付の方法は現行通り徴税令書を交付して徴收するところの、いわゆる普通徴收の方法によるものとしているのであります。
第二に、市町村民税については、法案成立の遅延に伴い、昭和二十五年度分に限り、その賦課期日を八月一日とし、かつ固定資産税の修正との関連から、その納期を昭和二十五年度においては九月、十一月及び一月の三期とし、また昭和二十六年度においては七月、九月、十一月及び一月の四期としたのであります。
第三に、固定資産税については、前国会においても、この税の負担の急激なる増加については、とかくの論議のあつたところにかんがみ、標準税率を原案の百分の一・七五から一・七に引き下げるとともに、昭和二十五年度においては、百分の一・七の一定税率を用いるが、同年度分の固定資産税の收入見込額が五百二十億円を相当に上まわり、または下まわると認めるときは、おおむね五百二十億円となるように、昭和二十六年一月中において、地方財政委員会がその税率を変更するもとすることとし、その負担の合理化をはかることとしたのであります。また、昭和二十五年度及び昭和二十六年度の納付については、特に次のような特例を設けることとしたのであります。すなわち
(一) 昭和二十五年度分の固定資産税を課すべき償却資産に限り、その価格をおおむね、(1)帳簿価額、(2)資産再評価法の規定による現実の再評価額、(3)再評価を行わないものにあつてはその見積価額、(4)再評価額の限度の七〇%の額のいずれをも下らない範囲で、仮決定し、これを基礎としてかりに算定した税額を徴收し、昭和二十六年度において固定資産評価員の評価の実績に基いて本税額を決定し、同年十二月中に、かりに算定した税額との差額を追徴または還付するものとしたのであります。
(二) 次に、昭和二十六年度分の固定資産税は、最終納期前の各納期においては、農地以外の土地、家屋及び償却資産については、昭和二十五年度の固定資産税のかりの課税標準の算出方式によつて算出したかりの課税標準額、並びに農地については、農地の公定価格を基礎とした昭和二十六年度の課税標準額の合計額を基礎として、かりに算定した税額を納期数で除して得た額を徴收し、最終納期において、現実の評価の結果による課税標準額を基礎として税額を決定し、すでに徴收せられた仮算定税額との差額を追徴または還付することとしたのであります。
(三) なお、固定資産税の納期は、法案成立の遅延及び右の仮算定税額徴收の制度の採用に伴い、昭和二十五年度は土地、家屋にかかる固定資産税の納期を八月、十二月及び二月、償却資産にかかる固定資産税の納期を十二月及び二月とし、昭和二十六年度の納期は、四月、六月、八月及び十二月としております。
(四)免税点についても、課税標準額の仮決定制度の採用に伴い、徴收の便宜上、本年度分及び明年度分に限り土地、家屋及び償却資産の各別に計算し、その額を一万円とすることとしたのであります。
以上の諸点が前国会提案の法案について修正を加えた主要な点でありますが、新税法制定の趣旨にも照らし、地方財政法に次のごとき改正を加えることといたしております。すなわち
その一は、地方団体は、寄附金を割当て、強制的に徴收するようなことをしてはならないこと。
その二は、公共事業費の財源を起債に求める場合は、従来少くとも二割の増税をしていなければならなかつたのでありますが、少くとも標準税率で課税している場合であれば、よいものとしたことであります。
最後に、私といたしましては、この法律が一日もすみやかに成立して施行せられ、朝野の絶大なる理解と協力のもとに、よくその所期の目的を達成し、もつて地方自治の確立を通じて、国政民主化の上に、大きな貢献をすることを望んでやまないものがあります。何とぞ愼重御審議の上、すみやかに議決あらんことを希望いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00119500713/24
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025・前尾繁三郎
○前尾委員長 本日はこの程度にいたしまして、明日は午前十時より開会いたすことにいたします。
なお散会後、理事会を開きたいと思いますので、理事の方はお残りを願いたいと思います。
これをもつて散会いたします。
午後二時五十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00119500713/25
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