1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十五年七月十九日(水曜日)
午前十時五十四分開議
出席委員
委員長 前尾繁三郎君
理事 生田 和平君 理事 川本 末治君
理事 塚田十一郎君 理事 藤田 義光君
理事 門司 亮君
池見 茂隆君 大泉 寛三君
門脇勝太郎君 河原伊三郎君
清水 逸平君 高塩 三郎君
野村專太郎君 吉田吉太郎君
龍野喜一郎君 鈴木 幹雄君
床次 徳二君 山手 滿男君
大矢 省三君 久保田鶴松君
立花 敏男君 米原 昶君
松本六太郎君
出席国務大臣
国 務 大 臣 岡野 清豪君
出席政府委員
地方自治政務次
官 小野 哲君
地方自治庁次長 鈴木 俊一君
地方自治庁財政
課長 奧野 誠亮君
大蔵事務官
(主税局長) 平田敬一郎君
委員外の出席者
参 考 人
(日本租税研究
会研究部長) 内山 徳治君
参 考 人
(東京都鉄工機
械工業経営者協
会專務理事) 国井 秀作君
参 考 人
(東京都議会議
員) 中島喜三郎君
参 考 人
(農林中央金庫
理事長) 湯河 元威君
專 門 員 有松 昇君
專 門 員 長橋 茂男君
七月十九日
委員橋本登美三郎君及び受田新吉君辞任につき、
その補欠として高塩三郎君及び大矢省三君が議
長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した事件
地方税法案(内閣提出第一号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/0
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001・前尾繁三郎
○前尾委員長 これより会議を開きます。
前回に引続き地方税法案を議題といたします。
本日の予定は市町村民税、目的税、都等の特例というところの御審議を願う予定にいたしておりますが、その前に昨日の委員会で決定いたしました参考人のうちで、東京都都会議員の中島喜三郎君、東京都鉄工機械工業経営者協会理事の国井秀作君、農林中央金庫理事長湯河元威君、租税研究会研究部長内山徳治君の四名の方がお見えになる予定になつておりまして、ただいますでに中島、国井、内山三名の参考人の方々が御出席になつております。従いましてさつそく参考人の方から御意見を聽取することにいたしたいと思いますが、この際委員長といたしまして、参考人の各位にごあいさつを申し上げます。
本日は酷暑の折柄、御多忙中にもかかわりませず、本委員会に御出席くださいまして、貴重な御意見を承ることができますことは、本委員会今後の法案審査の上に、多大の参考になることと確信いたしておるのでありまして、委員会を代表いたしまして、厚く感謝を申し上げる次第であります。本日は何とぞ忌憚のない御意見の開陳を切望する次第でございまして、よろしくお願いを申し上げます。
まず租税研究会研究部長の内山徳治君から御意見を承ることにいたします。内山徳治君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/1
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002・内山徳治
○内山参考人 私ただいま御紹介にあずかりました内山でございます。きようは日本租税研究会の肩書きで参つておりまするけれども、主たる職業は、むしろ経済団体連合会の事務局の方にあるのでございます。なお経済団体連合会は、事務局が日本産業協議会と共同になつております関係上、日本産業協議会の方にも、そういう意味で私関連があり、なおその上に企業研究会というのがございますが、これは産業関係の主要なる会社の経理、税務等の実務担当者の集まりでございまして、それに中西寅雄さんその他若干の学者が参加しております研究会でございますが、私その方にも関係いたしておりますので、本日はそのような各種団体の動きから、私の頭に結論づけられました見解の若干を申し上げてみたいと思う次第であります。
日本租税研究協会は、経済界の団体という意味ではないのでございまして、学界、法曹界等も経済界と平等な立場で参加いたしており、また官庁方面とも特に密接な連絡をとりまして、中立的な立場で租税問題に関する研究をすることになつております。従いまして、協会としての統一した意見をまとめて決議をするというふうなことは、いたさない建前になつております。ただ各界の租税問題のエキスパートの方々が、どういうふうな意見を持つておられるかということにつきましては、ときどきその意見を輿論調査的な方式によつて調査いたしまして、各方面の御参考に供しております。今年の二月ごろに調査いたしました地方税に対する見解は、たしか四月と思いますが、前の国会のとき、私お呼び出しをいただきまして、そのときに御紹介申し上げたのであります。その後若干の事情の変化がございまするので、新しい立場でもう一度調査をいたしつつありますが、本日は遺憾ながらまだその結果をまとめて申し上げ得る段階に至つておりませんので、あとで御参考に供することにいたしたいと思つております。それから租税協会の方の動きといたしましては、この地方税の問題を考えます場合に、国税と地方税とを通じました租税の負担関係がどういうふうになるかということを、できるだけ正確に調査してみることが必要であるということが租税協会の問題になりまして、その方針に従いまして、経済団体連合会の事務局で調査をいたしたのでありますが、主要なる会社の租税負担の状況をできるだけ正確に、また公正につかむことに努力いたしております。これも実は今度の臨時国会の御参考に供し得るようにという予定で着手いたしたのでありますが、正確な数字を会社からいただくことがなかなかむずかしいために、今日はなおごく中間的な大体の結論を申し上げるにとどめるほかないのでございますが、数日中にはもう少し正確な表ができると思いまするので、今度の議会の御審議には十分間に合わないことになるかもしれませんが、あとで御参考にしていただきたいと存じております。経済団体連合会といたしましては、地方税につきましては通常国会の前に数回にわたりまして意見をまとめて発表いたしましたが、その後ただいま申しました税負担の調査をさらに正確に見ますと同時に、新しい情勢に応じまして、特に委員会を設けて愼重に審議いたしました結果、今回は特に固定資産税についてぜひとも経済界として要望いたしたい点が数点ございまするので、その点をとりまとめまして、去る十一日付で要望意見書を発表いたしました。そのプリントを本日御参考にお配り申し上げた次第でございます。企業研究会の方は最近そうした意見のとりまとめをいたしておりませんが、附加価値税、固定資産税等につきましては、やや基本的な研究調査をいたしまして、その都度謄写版で発表いたしておりましたが、もう少しはつきりした形にまとめておきたいということで、企業と税制改革という表題で一冊の本にいたしまして、公刊いたしました。ちようど昨日その本ができまして、書店に配給をする段取りになつたような次第でございます。当面の、今回の臨時国会の問題としては少し手ぬるい感があるかも存じませんが、この地方税の問題は来年度まで持ち越される問題も相当多いと存じまするので、何かの折に御参考にしていただくことができればはなはだ幸いと存じます。
大体以上のような動きを通じまして、当面問題になつておると思いまする主要点をかいつまんで申し上げてみたいと存じます。まず附加価値税でございますが、これにつきましては経団連からも前の通常国会に法案が出ます前に、これはいろいろな意味において二十五年度から実施することは非常にむりと思われるから、ぜひ延期をしてもらいたいということを要望いたしました。結果においてその要望が取入れられた形になつておりまするので、この際あまり多くを申し上げることはございませんが、ただ私どもの研究して参りました結論といたしましては、この附加価値税を附加価値税という形で実施することが、はたして日本に適するかどうかという根本に、相当の疑問を抱いておりまするので、実施を延期いたしました以上は、もう一度相当根本にさかのぼつて再検討をしていただきまして、附加価値税という形の中でも、地方自治庁でおつくりになつた原案と、またそれとは相当違つた考え方もできるわけでございますが、附加価値税として来年度から必ず実施することにこの際きめていただくことは、少し早計ではないかと考えておる次第でございます。そういう含みの上で、とりあえず延期をしておいて再検討なさるということであれば、けつこうでございまするが、必ず来年一月一日から実施するのだという前提で延期するというだけでは、民間の租税研究協会としては相当強い不満が残るだろうと考えます。
次に固定資産税でございますが、固定資産税のうち特に減価償却資産に対しまして、新たに課税するようになつたのでありますがこれがまつたく新しい税でありますことと、減価償却資産の評価、その他の調査そのものが非常にむずかしいという理由からいたしまして、これまた固定資産税は固定資産税として二十五年度から実施をし、法案をつくつておくことはさしつかえないけれども、減価償却資産に関する分は実施を延期してもらいたいというのが、経団連の要望であつたわけであります。これに対しまして今度の修正案を拝見いたしますと、課税標準の決定の非常にむずかしいことをお認めくださいまして、二十五年度は仮決定にしておいて、二十六年度の相当終りのころになつてから、二十五年度分についても正式の決定をして調整をはかる、こういうことでございますから、その限りにおいてはまことに改善されておると思いますが、ただこの固定資産税については、かなり根本的な点になお未解決の問題があるというふうに、私どもは考えておるのであります。それは結局資産の評価の方法が、今までの考え方では、適正な時価というはなはだ抽象的な言葉が用いられておりますが、しからばこれを具体的に適正な時価とは何を意味するのであるか、何を現実につかまえて適正な時価と呼ぶのかということになりますと、まつたく標準がないといつてよいのであります。このままで進みますことは、徴税上においても非常に問題を起す懸念もあると思いますし、また納税者側としても非常に不安を感ずる事柄でありますので、固定資産税を固定資産税としてはつきりきめます場合には、ぜひともこの点をもう少しはつきりときめた上で実施していただきたいというのが、広いかなり一般的な要望でございます。ただ、そのような明確な決定は二十六年度までにきめればよいのであつて、二十五年度はかりにきめておくのであるというのが今度の法案でございますから、その意味においては、その根本問題にはあまり深く触れなくてもよいということになりますが、その根本方針について、経済界としては今までの研究の結論として、ある程度の方向を持つております。そこで二十五年度の仮決定においても、これはできるだけ正しい妥当な方法に従つていただきたいというのが経済界の要望でございまして、そのことが先刻お配りいたしました経済団体連合会の意見に入つておるわけでございます。
それからもう一つ固定資産税につきまして、前の通常国会の前から要望しておつたことでございますが、業種によりまして、今度の固定資産税が、企業に対してはなはだ重い、また苛酷な重圧になると思われる場合が相当にある、これをどうしても何とかしていただきたいということを前から強く要望しておつた次第でございますが、今回の修正案においても、その点の考慮が、民間から見ましては、はなはだ欠けておるのではないかと思われるわけでございます。そこでこれにつきましては、さらに負担の状況を相当精密に調査いたしましたものを裏づけといたしまして、この要望書の中に書いてありますように、船舶と、私鉄の軌道及び車両、これについてはいろいろ議論もあることでございますが、私どもの結論といたしましては、特別な扱いをしてもらわなければならぬ。それから発電及び発送電の施設、ガスの供給施設、それからそのほかに、少し性質はかわりますが、鉱山の軌道、それから遊休未稼働になつておるもので、それが経営者の責任上、必ずしも遊休にする必要がないのに遊休になつておる場合は、課税されても当然といわなければなりませんが、経営者の責任に帰すべからざる、いわば不可抗力によつて遊休となつておる場合が相当にあるのであります。そういうものについては、ぜひ特別の考慮をしていただきたい。それからなお価格統制の残つておるものがございますので、これについては、租税の転嫁の問題をぜひ考えていただきたい、こういうような点が今度の要望に入つておるわけであります。大体書いたものを出してございますので、一応説明の方は省略いたしまして、あと簡單に進んで参りたいと思いますが、固定資産税につきましては、大体そういうふうなことで、根本論としての評価の方法が一番問題でございます。
次に市町村民税につきましては、経済界として特に非常に強い意見を出すほどの空気は、ただいまのところございませんが、しかしこれは企業の立場から見ても相当重大な問題であるということだけは、申し上げておきたいと思います。それは結局、この税を負担いたします賃金俸給生活者が、税負担の重くなる分を賃金の引上げに持つて行きたいという空気が相当にある。これはむりからぬことだと判断されるような事情が相当ございますので、結局、会社の負担になる傾きが相当ございます。この点は他の税の負担の問題と関連いたしまして、企業の一つの負担になる傾向にあるということを、ぜひとも御注意いただきたいと思うのであります。
それからもう一度固定資産税の方にもどつて、簡單に御説明申し上げたいと思います。船舶につきまして、海運業の方からいろいろ意見が出ておりますので、皆様方御承知のことと存じますが、この問題は、ひとり海運業だけの問題ではなしに、日本の海運、従つて海運賃といいますか、外国との競争もありまするから、結局、日本の海運業ということになりまするが、これの前途をどう考えるかということは、他のすべての産業にとつて非常に深い関心のあるところでございます。大体世界的に見ましても、イギリスなどば、海運業には相当強い補助政策をとつております。アメリカは、イギリスほどの補助金政策はとつておりませんけれども、やはり実質上、補助金政策になるような政策を相当にとつておるのであります。それに対しまして、日本では、そうした特別の政策がまつたくない上に、今度の税制改革によつて、固定資産税の重圧が非常に強く感ぜられる海運業におきましては新船の建造が当分の間相当続きます結果として、附加価値税は大体当分の間全然かからないものとして、税負担を計算しておるのでありますが、固定資産税が非常にふえる結果として——これは他の業種に比べまして、断然負担が重くなることは大体確実であります。そういうことになりますと、海運業の将来に重大な影響を及ぼすと考えられまするので、経団連といたしましては、他の業種、金融貿易等の方々も、全部一致して要望しておる次第でございますから、ぜひそういう意味において、おくみとりを願いたいと思います。その他の業種につきましても、大体同様のことでございまするから、ぜひお考えをお願い申し上げたいと存じております。
大体要点だけ以上お述べいたしました。はなはだ簡單かつ不備でございましたが、以上で公述を終りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/2
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003・前尾繁三郎
○前尾委員長 それでは内山参考人に対して質疑がありましたら、この際願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/3
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004・久保田鶴松
○久保田委員 いろいろ参考人の方々の話を、大臣その他政府委員の人々にも聞いてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/4
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005・前尾繁三郎
○前尾委員長 鈴木政府委員が来ておりますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/5
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006・河原伊三郎
○河原委員 ただいまのお話中、経済団体としては、市町村民税についてはあまりやかましくはないが、これが各勤労者の方への影響のきつい関係から、その方面の影響が転嫁されて賃金値上げを誘発しないかという懸念を持つておるというお話でございますが、先般来固定資産税または附加価値税の審議において、委員中の労働組合方面の意見を反映したと思われる向きの質問によりますと、固定資産税において、直接の影響は勤労者方面にはないが、土地家屋に対する税負担が重くなれば、借家人に転嫁されるおそれがあるというので非常に心配しておる。また附加価値税におきましても、工業方面において人件費が見込まれない関係上、首切りあるいは減俸といつたふうに、これが勤労者方面に転嫁されるおそれがあるというので心配しておる。こういうお話でございまして、両方を照し合せますと、ともどもに自分にかかつて来ないことではあるが、ひいてこれが間接的に影響をしないかと御心配になるわけであります。ところで今の経済団体の方のお考えとしましては、これが賃金値上げを誘発するような懸念がある。そういうふうな場合には、賃金の値上げについて格別の考慮を拂つてやろうというお心構えがあるものかどうか。なければ御心配はないわけでありますが、やはりそういうお心構えがあるによつて御心配なさるのであるか、この点をお伺いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/6
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007・内山徳治
○内山参考人 大体今お話のように、企業側としては、ある程度これを考慮してやらざるを得ないのではないかと思われる節が若干ございますので、その意味で心配しておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/7
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008・大泉寛三
○大泉委員 今日の産業界は、必ずしも資本の全面的な適正な活動ということにはなつていないと思いますが、そこで産業界における経済団体としての事業上の收益あるいは利益率というようなものは、資本に対し大体どのくらいが適正であるという、一つの目標があられるかどうか。それによつてちよつとお伺いしたいことがあります。大体事業界の再評価後におけるところの資産に対する收益率の目標が、どの程度であるかということを聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/8
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009・内山徳治
○内山参考人 大体現在の情勢といたしましては、株式に対する金利と見合つて妥当な配当ができることが、どうしても会社としては必要でございますので、その意味で社債の発行利回りが、応募者利回りの方から言うと、一割一、二分というところになりましようけれども、発行者の方は一割四、五分になるのであります。そういうところの割合から考えまして、利益がなければいたし方ありませんが、適正なと言いますか、適正なものとしてやれば、率としては一割五分程度の株主配当ができるような利益がほしいということになるわけでございます。そのためには、それは荒利益から減価償却を引き、税負担を差引いた後、重役賞與、積立金等も見なければなりませんが、その残りが一割五分配当できるようにというのが、現在の大体の標準でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/9
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010・大泉寛三
○大泉委員 資産の再評価前に、あまり詳しく論議はされませんけれども、今日の産業界における投資額というものは、現在のいわゆる投資額よりも、実際の評価は二十層倍、あるいは五十層倍というようなことも聞いております。それに対して資本に対する配当あるいは借入金に対する利子というものは、まつたくやめて、一割五分とかあるいは一割というような、まつたく厖大な資本に対するその利潤の少さを私は嘆いておる。でも一割五分を目標とされておるとするならば、そこで今度新しく地方税の改革によつて法人税その他所得税は地方税にまわされる、固定資産税のごときは、いわゆる責任を負わされた一つの税である。あるいは附加価値税においても、そうした利益があろうとなかろうと、とにかく一つの活動資本に対して課せられる税であるけれども、これらの地方税は必ず経費のうちに控除されるものと私は思います。そうすると少くとも收益を唯一の目標として、また生命としておるところの事業会社が、必ず私はこの点において相当軽減されるものと思う。固定資産税に対しても、附加価値税に対しても、いわゆる利潤の基準がきまつているならば、私は一向苦しくないと思うのであります。先ほどのお話の中に、固定資産税に対して、相当適正なる評価が問題であるというようにおつしやつておりまするが、これは資産の再評価が一つの基準になると思いますが、何か御名案がありまするかどうか、これと二つ承つておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/10
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011・内山徳治
○内山参考人 固定資産の評価の方法でございますが、これについては具体的に何をつかむかという場合には、考え方が大体四つほど出て来ると私は思う。一つはいわゆる売却価格というようなもので、これはいわゆる資本価格とは違うわけであります、稼動するものとして売却する場合の価格ということになるわけであります。そういうものが一つ。これは今度の再評価の陳腐化資産については、そういう考え方をとつております。大体固定資産税の評価の場合にも、売却価格という考え方はかなり強くシヤウプ勧告でも入つているようであります。それが一つ。それから收益還元価格という考え方が一つ。これにも、いつの收益をとるかという問題がございますけれども、とにかく收益力から見た還元価格。それから次には取得価格から減価償却を差引いた価格、もう一つは物価の変動する場合がありますので、再取得価格から減価償却に相当する部分を控除した価格、こういう大体四つの基準が考えられると思います。
このうち一番具体的につかみやすいのは、取得価格を標準にしたもの。これは法人税の計算上、現実に行われているわけでありますから、法人税の方のきめ方が妥当でないという点はございますけれども、数字としてはつかみやすい。再取得価格の方は、そのときの設備の価格の方から推定して参りますから、これも割合はつきりとつかめる。しかしそれでは不合理の点はありますが、数字はつかみやすい点がある。それからこれに対しまして売却価格というのは、非常に抽象的でありまして、一番いい観念でありますけれども——実際問題としては、個人の住宅とか宅地とか耕地とかいうものについては、そういうものが割合つかみやすいと思いますが、事業用の資産については売却価格というものは、りくつでははつきりしておるのでありますけれども、具体的な数字をつかむのは、適正な時価というのとほとんどかわらないことになる。收益還元価格というのは、過去の收益の実績を基礎にすると、非常に不合理なことが起ります。大体この四つがありますから、問題はそのうちのどれを中心にして他の要素を考慮するかということを考えるよりほかないと思います。
私どもは事業用の資産につきましては、やはり取得価格を基準にした、つまり減価償却の基礎になる価格を、まず第一につかむことが一番適当なのではないか。それには現在の耐用年数のきめ方その他から来る不合理も若干ありますけれども、しかし非常に不明確な売却価格というようなものでつかむよりは、その方がまだ公平に行くだろう、こういうふうに私は考えておるわけであります。それで今度の場合でも、特に事業用の建物については、一般の賃貸価格の倍率によらないで、その方法によつてもらいたいということを申しておりますのは、その意味であります。
それから一般の減価償却資産のつかみ方も、なるべく実際の再評価価格によつてもらいたい。再評価価格にいろいろ非常に不合理のあることもよく存じておりますけれども、それを中心にして著しく不合理なものを訂正するという行き方をとつてもらいたいというのが、大体私の考え方であります。
それから前の方の御質問の固定資産税、附加価値税等は消費者に転嫁できるから、企業の負担に全部はならない、少くとも全部はならないと考えていいのではないかという御趣旨だろうと思いますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/11
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012・大泉寛三
○大泉委員 違います。いわゆる法人税の收益の中から控除される、であるから一向転嫁しない。もちろん経済活動としては一向さしつかえないのじやないかという意味です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/12
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013・内山徳治
○内山参考人 控除された收益がかわらなければ、お話の通りになるわけでありますが、それは今申しました消費者への転嫁ができるかできないかによりまして、結局それを控除した收益が同じに保つて行くことができるか、かわるかというところがわかれるわけであります。転嫁ができないとすれば、その原価に織り込むべき税額が増加いたしますと、結論として利益が減つて来ることになる。それから原価に織り込んで、それだけ物を高く売ることができれば、利益の方はかわらずに、差引かれたものとして利益が上る、こういう関係になるわけであります。結局転嫁の問題になるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/13
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014・大泉寛三
○大泉委員 私の申し上げるのは、御答弁と違いまして、この地方税というものは收益面から控除される。であるから、一割も一割五分も配当される事業経営であつたならば、一向それは会社の負担にならない、こういうのであります。いわゆる経費の中にそれは計算されて控除される。であるからこれは赤字経営の会社であつたならば、地方税を負担しただけそれだけなお過重になりますけれども、利益を得る、あるいは配当をし得る一つの事業会社であつたならば、一向それは負担になつていないのじやないか、こういうのであります。特にそれは今度の税制というものは、いわゆる国税と地方税と抱き合わせて、そうして総合的にこれを計算をされる立場から、特に法人税は三五%と、一つの限定されておる税に対しては、きわめて私は今度のは産業界における更生策ともいわれる一つの税制ではないか、收益を目的とする事業会社であるならば、この地方税としては大した負担でないと私はこう思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/14
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015・内山徳治
○内山参考人 大体御趣意はわかりました。結局收益力のある会社は負担力がある、收益力のない会社は負担力がないということになるのじやないかというお話でございます。これはもうその通りでございまして、結局附加価値税にいたしましても、固定資産税にいたしましても、大体そうでありますが、現在の收益力が非常に低い業者が、きわめてこれを痛切に感ずるわけであります。收益力の相当高い事業ではそれほど感じないということはお話の通りでございまして、私が先ほど申し上げました調査に従いましても、——この調査は地方自治庁でお調べになつたのと少し実は違う方法をとりまして、二十四年度の実績をすべて基礎にいたしまして、そうして再評価による法人税の増減ということは見ないことにいたしました。ただ超過所得税が廃止になつたことによる法人税の軽減と、それからその他のものを織り込んだわけでありますが、固定資産税は、最近の考え方によつて計算いたしました。それで結論だけを申し上げますと、紡績業とか、それから石炭、鉱山なども、かえつて負担の減る会社もあるようであります。それから倉庫業なども負担が減るという会社もあります。紡績業の中でもふえる会社もありますが、減る会社も相当あります。そういう状況でありますから、大体軽工業方面は、まず負担はふえない。それから商業などはもちろん減るだろうということがはつきり想像されるわけであります。これに対しまして、機械工業、それから船は先ほど申し上げましたが、現在收益力が最もない方の典型的なものでありますから、その意味でも重圧を感ずるわけでありまして、その上に固定資産税が特別にかかつて来る。機械工業が特に苦しいのは、やはり收益力が低い関係で、非常に苦しいのであります。それから造船というようなものも非常に苦しくなり、私鉄なども收益力のないものが特に困難を感ぜられておる。それから電気なども、やはり料金が統制されておる関係もございまして、今の收益力では非常につらい。これは考え方がそういう收益力の少い事業は、倒した方が、むしろ整理した方いいのではないかという考え方から言えば、それでさしつかえないということになるわけでありますけれども、しかしやはり現在あります産業を整理するのにも限界がございますから、ある程度以上に負担が重くなる場合には、考慮してやる必要があるだろう。それを大体私どもが分析してみました関係では、附加価値税の関係から処置をして来る事業と、固定資産税の方から来る事業とまつ二つにわけて考えることができます。固定資産税の方から来る分は、個別に資産の多いものを拾い上げまして、それに特別の処置をするというのが一番よろしいだろう。それで大体解決されるだろう。それから附加価値税の方は、二十五年度は事業税に振りかえましたから、大体さしつかえないのであります。問題は二十六年度以後のことになりますが、これはやはり收益力ということに相当重きを置いた税に附加価値税を直していただかぬと、その点で非常に困るところが出て来るだろうというのが、大体の結論であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/15
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016・大泉寛三
○大泉委員 それから御意見の中に、鉱山のレール等、または事業者の責任においてはつきりと稼働しないもの、それはやむを得ないが、しかし事業者の責任外にあるものに対しては、これは課税の対象とされてははなはだ迷惑であるというお言葉であつた。私どもも非常に貴重な御意見として承りましたが、具体的にはどんなことがございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/16
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017・内山徳治
○内山参考人 それがきわめてはつきりしておる場合は、大体地方自治庁でもお考えくださることになつておるかと存じておりますが、一番迷惑なのは、賠償指定設備で、稼働することが許されていない資産、これが一番はつきりしておるわけでございます。それから建設中の設備で稼働しがたいもの、稼働し得るに至らないもの。それからその次は、処分を目的として持つておる資産ということでございますが、これは主として、今具体的に問題になりますのは、企業再建整備法によつて整理しつつある旧会社の所有資産でございます。この中にも二色ございまして、稼働しておるものもあります。稼働しておるものはもちろんいいわけであります。しかし一般の経済情勢から、稼働しがたいもの、これは整理する資産として——稼働する資産と整理する資産と一応再建整備法によつてはつきりとわけまして、これは整理する資産であるときめておるわけでございますから、これが全部ということが困難ならば、その何割かでもけつこうでありますから、ぜひ考慮してもらいたい、まあ大体こういうことが私の考え方であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/17
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018・前尾繁三郎
○前尾委員長 ほかに御質疑はありませんか。大矢省三君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/18
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019・大矢省三
○大矢委員 今度の附加価値税は、御承知の通り労働者への支拂い賃金が経費として認められない。それでコストで労働賃金が非常に多くのパーセンテージを占める事業、いわゆる精密機械ですか、これと、それから労働賃金が至つて安いところの、経費が少いところの事業とは、負担に非常な不公平があります。その点を何らか差額を設ける必要があるかないかということと、それから附加価値税と固定資産税が、これはいずれも画期的な改正でありまするから、事業主に対しては非常な関心を持たれておる。これは事実困難でしようが、いずれが過重であるか、重圧であるかということ、これはもうどつちもそうでありましようが、この点がどの程度に影響が大きいだろうかということであります。大体この二点についてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/19
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020・内山徳治
○内山参考人 附加価値税と固定資産税と、どちらが特に強い重圧を感ずるかということは、先ほどちよつと申し上げましたように、業種によりまして若干の差がございます。しかし多くの場合、固定資産税の多くかかるような事業は、附加価値税の負担も多くなる場合が非常に多いのであります。ここに非常に考慮すべき点があると思うのであります。しかしまあそれは業種別に具体的に見て参りますと、ある程度その判定がつきますので、やはり先ほど申し上げましたように、船舶とか鉄道、軌道、電気、ガスというようなものは、固定資産税の方でかげんしていただくことが適当ではないか、こういうふうに考えておる次第であります。
それから附加価値税につきまして、ただいまの人件費の取扱い方の問題でございますが、これにつきましては、経団連の方からも、附加価値税の課税対象は、收益とそれから支拂い給與との大体二つにしてもらいたい。そうしてなるべく給與に対する方の課率を低くするようにしてもらいたい。ただこれを一本のものにして行くには、税率をかえるわけに行かないかもしれませんが、その場合に課税標準の方で考慮してもらいたいという意見を昨年の秋出しております。なおその後、これはちよつと先ほど申し上げました企業研究会の方でやや詳細な研究をいたしたのであります。その結論だけを申し上げますと、これは私の私見のようなことになりますけれども、私は附加価値税はむしろやめまして、今の事業税とそれからアメリカで行われておりますようなぺイロール・タクス——支拂い給與税というようなものを新たに興しまして、支拂い給與税の方はごく低率のところから始めていただく。そしてだんだんならして参りますれば、かえつてその成績がいいということになると思いますから、今必ずしもいいとは私は考えておりませんが、シヤゥプさんは非常に推奨しておるわけでありますから、ごく低率の支拂い給與税を設けて、それで経験を積んだ上で支拂い給與税の税率を引上げ、事業税の税率を引下げて、結局一本にしてよければ一本にする、二本で行くがよければ二本で行く、こういう考え方が最も適当であるというのが現在の私の考えであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/20
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021・大矢省三
○大矢委員 先ほどの陳述の中に、適正な時価というものは、なかなか決定がむずかしいということがありましたが、その通りであります。そこで今度のこの法案を見ますると、徴收する、すなわちとる方の市町村長が、評価委員、査定委員を任命して、わずか三名の任命しだ人によつて、査定あるいはまたこれに対する一つの標準をきめる。これは拂う方、徴收される方の事業によつてそれぞれ違いましようが、こういう專門知識のない少数の委員に決定されるということは、納税者としては非常に迷惑である。そこで徴收される、すなわち納税する側の業種別か何かによつて代表を選んで、そこで市町村長の任命した委員との合議の上で決定するような、何か民主的な決定方法はないものか。何かそれに対して、業者の方なりあなたたちが研究された結果、こういう方法なら大体妥当に行けるだろうというような案でもありますれば、この際伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/21
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022・内山徳治
○内山参考人 税の認定の問題につきましては、大体今のように解釈が不明瞭になりますると、国税ならば税務署、地方税ならば評価委員、その他徴税者側の一方的に認定する結果になる場合が相当ございますので、やや一般的な問題といたしましても、これに何か役所だけでなしに、公正な判断のできるものを加えた委員会のようなものをつくることがよくはないかという意見は、財界等にもぽつぽつ起つております。しかしそれをどういう組織にするのがいいかという具体案を立てるところまでは、まだ今日至つておりませんが、それにはいろいろな形式が考えられるように私どもは思つておるのであります。と申しますのは、はつきりした官庁組織で行くのか、あるいはむしろ民間の組織で行くのか、その辺に相当問題がございますので、具体案としてはむずかしいのでございますが、趣旨としてはそういう意見も相当ございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/22
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023・立花敏男
○立花委員 政府に聞いておきたいのですが、今度の地方税法の改正要綱は、第一といたしまして、財産課税の重課ということを書いてあるわけであります。財産は対して課税を従来よりも重課するということが、まず第一番に書かれております。これは何に現われておるかと申しますと固定資産税に現われておる、そういうふうに説明なさつておる。今度の地方税法の改正の要点が財産に対する重課であり、しかもそれが固定資産税であるというふうに従来私どもは説明を承つておりまするし、お出しになりました書類にも、それが書いてございます。ところが今経団連からいただきました書類によりますと、経団連の意見といたしましては、最後に税負担の転嫁とございまして、固定資産税は転嫁を建前とする税だというふうに、はつきり書いてございます。こうなりますと、この政府の修正の根本的な方向と、日本で一番有力な業者の団体である経団連の考え方と、非常に食い違つて参るのではないか。そうなります結果、今度の地方税法の修正のほとんど全部が大衆の負担になつて来る。これは私ども前の国会からも申しておりましたし、今度の国会でも申し上げたのでありますが、岡野大臣の説明によりましても、附加価値税自体が流通課税であり、終局的には大衆に転嫁される。今また政府が財産課税の重課といつて銘打たれました固定資産税自体が、実際のお拂いになる団体、経団連から申しますと、これは転嫁を建前とする税金であるというふうに、はつきり言われておるわけであります。こうなつて参りますと附加価値税も固定資産税も、住民税は申すまでもなく、ほとんど大部分の税金が大衆に転嫁されるということになつて参りまして、この千九百億という税金がほとんど全部が大衆の負担になつて来るということになるのであります。すなわち今度の政府の修正の地方税法の根本的な問題で、政府と団体との間に重要な食い違いがあるじやないかと思つておりますが、この点で団体の方では、この固定資産税をどうしても転嫁を建前とする税金であるというふうに処理なさるおつもりなのか、これは政府から意見を聞くのがほんとうでございますが、時間の関係上経団連の方から承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/23
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024・内山徳治
○内山参考人 大体建前といたしましては、固定資産税も附加価値税も、転嫁することが一応の建前になつておるのであります。従つてその転嫁が十分に行われれば、お話のように結局は大衆の負担になるだろうということも、一応言い得るわけであります。しかしながら、実際問題といたしましては、そう行かない場合が非常にありまして、企業がみずから負担しなければならない場合がありますから、企業としての負担の重圧が強いということを問題にしておるのでありますが、ただここで今度問題にいたしましたのは、価格が自由価格になつております場合には、それは転嫁が建前であるとかないとかいうことでなしに、実際の経済の需給関係に従つて、転嫁されるかされないかということが自然にきまるわけでありますから、これは政策の問題からはずれるわけであります。ところが価格あるいは料金を公定して、政府がそれを監督し、きめているという場合には、その料金なり価格なりのきめ方いかんによつて、これが転嫁されるかされないかということがきまつてくるわけであります。企業側といたしましては、なるべく企業の負担し得る限りにおいては、負担することももちろん辞さないわけでありますけれども、非常に負担が重過ぎる場合には、それは料金に織り込んでもらいたい。統制されておる料金価格を上げてもらいたいということになるのは、これは自然の成行きであります。それに対して料金価格政策上、今度はそれを上げることはできないという場合には、その企業の負担にならなければならないので加減してもらいたい。それは具体的に申しますと、電気とかガスあるいは鉄道とかいうような、いわゆる公益事業が一番問題になるわけであります。従いまして公益事業においては、料金政策とにらみ合せて税の方もきめていただかないと、これが負担の関係で非常に困ることになるから、そういうものについては、固定資産税をむしろ独立税にして、税率等についても彈力性あるようなものにしていただきたい。こういうことを経済団体として希望いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/24
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025・立花敏男
○立花委員 その点も政府と大いに意見の食い違いがあるわけでありますが、政府ではこの地方税の改正によりまして特に固定資産税、附加価値税の問題におきましては、価格料金の値上りは全然ないというふうにはつきりこの席上で御答弁なさつておるのであります。政府の方でそういう方針でございますと、おそらく料金価格は上げないと思いますが、そういうわくの上にお立ちになつて、しかも転嫁という方針をとられますと、勢い転嫁されますものは勤労大衆にほかならないということになつて参るのでございます。この点でも政府と経団連の間に大きな意見の食い違いがございまして、しかもそれが消極的には勤労大衆の負担になつて来るという重大な隘路があるわけでございますから、その点をどういうふうにお考えになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/25
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026・内山徳治
○内山参考人 今のお話の勤労所得への転嫁という場合に転嫁の道が二つあります。お話の点は、いわゆる逆進転嫁の方を意味しておられるように思うのであります。すなわち賃金を引下げる方向に行きはしないかというお話だと思います。これは企業経営者としては当然そうした方面に努力を向けなければならないことになる可能性があると思うのであります。しかし先ほどもちよつと申し上げましたように、住民税あるいは固定資産税等の中の地代家賃等が上る分については、むしろ企業者側がそれを負担する、つまり大衆が負担すべきものを企業に転嫁される結果になりはしないかと考えているほどでございますから、実際問題としてはそう御心配になるほど勤労者に転嫁されることはないだろうと思います。しかしおよそ税というものは、何らかの形でまわりまわつて、一箇所にかけましても、ある程度までは全体が負担するような形になることは自然のことでございますから、そのまわり方が妥当であるかどうかというところに一番問題があるわけでございますので、今のお話の点は結局賃金に関する経営者と従業員との関係になりますので、租税問題だけではきめられない、むしろ一般的な問題からきまるだろう、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/26
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027・前尾繁三郎
○前尾委員長 あとの参考人の方もおられますから、時間があれば質問していただくことにして次に移つて行つたらどうでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/27
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028・立花敏男
○立花委員 これは重要な問題でありまして、今の問題は勤労者にとりましては根本的な問題でありますから、もう少し……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/28
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029・前尾繁三郎
○前尾委員長 それではどうぞ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/29
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030・立花敏男
○立花委員 賃金引下げとおつしやいますが、賃金引下げというものは、はつきりした形で来たらいいのでありますが、目に見えない形で来るのが多いのじやないか、これも政府の意見でありますが、これは企業の合理化によつて吸收するということをはつきり申しております。そうなりますとやはり労働の強化、実質賃金の引下げという目に見えない形でやつて参りまして、これが結局労働者の生活を、あるいは労働者の肉体までを虫ばむような形になつて参るのであります。こういう形をとらざるを得ない状態が、政府の方針から見られるのでございますが、業者といたされましても、転嫁という建前をおとりになるならば、この方向に進まざるを得ないと思います。私ども経団連の方にお願いいたしたいと思いますことは、現在の大衆は実際食えない賃金をもらつております。その上に今度は拂えない税金を拂わざるを得ない立場にあります。経団連といたしましては転嫁という建前を固執なさらず、皆で負担するのだ、拂えるところから拂つてやるのだという気持を強くお持ち願いたいと思うのであります。たとえば統制価格の問題でございますが、価格統制を受けておりますのは、決して経団連関係の独占価格だけではございませんで、あるいは百姓などにいたしますと、主食の価格に対しましては重要な統制を受けておるわけであります。その百姓にいたしましても、重大な固定資産税のなにを受けますので、これが今の状態では、政府の方針では米価に転嫁されるという見通しは全然ございませんが、こういうふうに経団連の立場と申しますものが転嫁という方針で突き進まれますと、非常に勤労者といたしましては、重大なる危機に追い込まれて来ると思うのであります。この点経団連としてお考えになる御意思があるかどうか、根本的な問題でありますから、お聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/30
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031・内山徳治
○内山参考人 大体御趣旨には御同感でございまして、転嫁ということはやむを得ない場合として限定して考えております。ただ現在の案のままで進みますと、お話のような懸念が若干ございますので、それは適当に修正していただきたいという意見でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/31
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032・前尾繁三郎
○前尾委員長 次に中島参考人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/32
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033・中島喜三郎
○中島参考人 中島でございます。私都会議員という特殊な立場にありますもので、この地方税の改革をめぐりまして、非常に悩みが多いのであります。こうした悩みの中から出ました私どもの考えが、どの程度まで妥当であるかということは、自分ながらも迷うことがあるのでありますが、一応お聞き取り願つて、御批判、御指導願えれば、たいへん仕合せであります。
第一に、私どもが地方議員として考えますことは、特に東京都におきましては、平衡交付金の実施によつて、都会地にどういう影響が来るかということであります。今はつきりした数字は記憶しておりませんが、とにかく三、四十億の配付税、交付金のようなものが中央から来ておりましたものが、今度平衡交付金によりますと、それがあまり当てにならぬ。さよういたしますと、今回の税制改革で、どれだけ増收があるといたしましても、ほとんど大部分がその方に向いて、あるいは收入の面において少くなるのではないかというような危惧さえ持つておるのであります。ところが、一面地方税の値上げの理由といたしましてのシヤウプ報告を見ますと、地方財政が非常に窮迫しておるために、寄付行為が多いから、これをやめなければならぬ。一応ごもつともな話であります。私どももその線に沿いまして、東京都が寄付規制條例を制定いたしましたのも、私が発案しておるような次第でありまして、こうなりますと、一方において寄付を押えながら、その裏づけを何もしてやらぬというわけにも参りませんので、この点からも一つの悩みがあるのであります。
ところが一方におきまして都民の所得状態を見ますと、二十三年度以降はぐんぐんと下向きになつておることは、もう事実であります。それに国や地方の予算が、戰争中とはあまりかわつた角度でなしに、ぐんぐんとやはり幾らでも上に向いて上つて行くということは、これまた事実なのでありまして、この点におきましての私どもの悩みは、非常に強いのであります。また考え方によりましては、物の値段も近ごろ相当に安定し、下つたものもあるのでありますから、必ずしも租税にかかわらず、收入がさほど多くなくとも、何とか敗戰日本の状態においてやり得るのではないかという考えは持たれるのでありますが、先ほど申しました事情におきまして、東京都は特別の立場に置かれておりますので、こうした錯綜した気持から、私ども地方税値上げ反対をよく聞くのでありますが、値上げ反対、つまり地方税増徴に対する單なる反対という気持だけには立てませんので、話の中にそういうつじつまの合わない点が多くあると思います。でありますから、私はただ地方税の負担が多くなることに対してどうなるかということよりも、むしろ、はたしてこの課税方法が妥当であるか、今までよりも、改革という言葉を使うほど合理的なものであるかどうかという点において、私は一応お話申し上げて、御意見を拝聽いたしたいと思うのであります。
そこでまず今固定資産税と附加価値税に対しましては、たいへん参考になる御意見をありがたく拝聽いたしておりましたので、なるべくこの問題に触れずに、住民税の方へ重点を置いてお話し申し上げてみたいと思うのであります。住民税が今度三倍に値上げされた。これが多いとか少いとかいうことを、私今申し上げるのではありませんが、これの内容を見ますると、ああいう賦課徴收方法によりますると、どうしてもわれわれ貧乏人に対しては、五倍ないし十倍も値上げになることは明らかです。私の計算してみたところによりますると、五倍以下ということはない。必ず貧乏人は五倍以上に増額するという数字が出るのでございます。ところが、ずつと金持階級になりますと、ほとんどその影響が少い。こういうことを、ことに私ども考えまするので、あれは困つた税金だ、三倍に値上げされた上に、さらに貧乏人がもつと負担が多くなるということは、現在の社会情勢から見ましても、たいへん困つたことだというのが、私の考えなのであります。では、なぜそういうように大きく貧乏人にかかるかと申しますと、第一に考えられますことは、法人分が今度なくなつたということであります。これはシヤウプ勧告を見ますると、なかなかお説ごもつともな理論で、二重にとるわけに行かぬから、法人分はなくするんだという御意見は、まことにりつぱであります。私はそれを理論的に反駁しようとは申しませんが、今われわれ貧乏人が頭から三倍余の増額になつておりまするこの大きな打撃を受けておるところへ、さらにりくつ拔きにいたしまして、今まで東京都では三割五分まで法人分にかけておりました分が、個人にかかつて来ることに相なりますると、これだけですでにまた三倍も値上げされる、こういうことに相なりまするので、こう一ぺんに大きな打撃を與えるというだけでも、考え直してみなければならぬ問題ではないだろうか。私どもは法人分の廃止に対して、りくつ拔きでこう考えておりますので、このことも中央におきまして十分に御審議願いたい、かように考えるのであります。
第二には資産割でありますが、東京都におきましては、これを家屋割と称しております。今までは防空壕に住んでおるような人たちに対しましては最下低の、ほんのしるしだけの家屋割をかけておりましたし、またその賃貸価格が千円、二千円、三千円、五千円となりますると、厖大な累進的な家屋割をかけておつたのであります。これがなくなつたということに相なりますると、今度はもう堂々たる大邸宅に住んでいらつしやる方も、防空壕の中から出ることのできない哀れな方々に対しましても、同じだということになりまして、はたして金の問題でなく、国民感情がどういうものであるかということを、私どもは考えるのであります。こういうことについて、ただりくつ一点ばりで、そろばんの上だけでお考えになられることは、はたして政治の妙であるかどうかということにおいても、私どもは考えさせられておるのであります。またこの均等割にいたしましても、今まではなるほど均等割、あるいは所得割、あるいは資産割というようなものは、ただ與えられましたわくの中において、これを一般納税者にどう均霑するかということをあらゆる角度から見るために、三つにわけたのでありますけれども、今度はもうそういうものでなく、人頭税でなしに、中央から所得の一割八分、均等割は八百円、こういうようにきめられて参りますと、この均等割が非常に大きな負担になつて貧乏人にかかつて来る。これは金持に八百円だといいますけれども、金持階級の方々はそんなに家中働かなくとも、雇人まで置いて、女中さんまで置いて生活ができるのであります。しかし收入の少い貧乏人は娘さんが働いても二千円か三千円しかもらえない、これはほとんど家へなんか入りはせぬ。こういうような人たちにまでも——成年として所得に対してかけられるのはやむを得ないといたしましても、こういう者にまで八百円の均等割を平等にかけておるということは、これはどう考えても、私どもには納得のできないことであります。こういうようなものが積り積りまして、住民税が貧乏人に非常に重くなつて、金持階級にはさほどでない。私は別に金持階級にたくさんかけて喜ぼうというのではありませんけれども、結局は貧乏人が苦しむということが不平等から来ておるといたしますれば、これは平等に、力の多いものが多く負担していただくということにお願いできませんければ、相互扶助の精神というものがなくなると私は思いますので、これはよろしく中央においてお考え願いたいと思うのであります。大体住民税に対しましてはそういう考え方であります。
附加価値税に対しましては、先ほどからたいへんよい御意見がありましたので、私はその内容に入ろうとは思いませんが、ただ無産大衆という立場から考えますと、附加価値税の性格というものがどういうものであるか、これはもう労働賃金を認めていないということが一番大きな問題でありまして、こうなりますと、もう事業家としては、安いからというて人を使つておるわけには参りません。勢い精巧な機械を入れて設備をよくして、人とこれをかえて行くよりほかないと思います。こういう場合においては設備や機械を入れたものに対しては三年の間その赤字の繰越しをして税の中から引いて行くというのですから、これは新しい事業家には非常にけつこうな方法でありましようけれども、貧乏人の今つぶれかかつた工場なんかは、たいへんなことになるのじやないでしようか。もし私どもの杞憂が不幸にして的中いたしました場合には、現在においてすらあのような失業群の多い中に、もつともつと大量に何倍もの失業者が出て参りますものを、ただ産業予備軍くらいの簡單な考え方をしていてよいのかどうかということが、私ども一番心配なのであります。もちろん日本が戰争において敗れました結果として、もう世界の経済の中から何十年も置き忘れられたでしよう。これを今取返すためには、産業の合理化、もちろんけつこうであります。機械化されること、もちろんけつこうであります。けれども、よいから今すぐにこれを実現してよいかどうかということは、これは政治の中において考えていただきませんと、大きな問題を起しはせぬかというのが、私どもの附加価値税に対する第一の考え方であります。詳細にわたりましては、いろいろ意見もありますけれども、省略させていただきたいと思います。
それから固定資産税に対しましては、どれも常識論でありますけれども、一体九百倍という見積り方が、どういう考え方から出ておるのか。これが間違つておれば、私の間違いでありますが、多分空地、空家、今建つてある家、これを対象にしてお考えになつていらつしやるのじやないだろうか。これでは九百倍は高いでしよう、あるいは八百倍くらいにはなるかもしれぬと思うのであります。これは税務署のお役人が一番よく知つていらつしやると思う。この税金は物納でありますが、その物納の場合には、八百倍、九百倍どころではなく、五百倍にもおそらく引取つてくれないでしよう。今でもおそらく三百倍か四百倍でおとりになつておるのじやないかと思う。物は何というても売買が対象である、売る入があり、買う人があつて、初めて物の価値というものがきめられるのじやないかと思う。買手のないものを、自分はこれだけの値打があると言つてみても、おかしなものであると思いますが、そういう問題は拔きにいたしましても、政府が税金のかたに家をとる場合には、おまえの家は三百倍の価値しかないというのでとり、税金をとるときには八百倍、九百倍だというのは一体どういうことか、政府の信頼性というのはどこにあるのか。政治がもし国民の信頼を失つたときにどうなるかということは、一応皆さんからも考えてほしいと思う。一体どんなことで九百倍だとか八百倍だとかいうようにきめたのであるか。登記価格はどうなるか。今は不動産取得税がなくなりましたからいいようなものですが、譲渡税があります。登記税や譲渡税を計算してみましたならば、八百倍、九百倍ということになると、ただでもらつても損だということが起きて来ないでしようか。こういような現実を離れた政治は、何か危險性があるように考えるのでありまして、こういうこともひとつお考えおき願えれば、たいへんけつこうだと思います。
お暑い折柄、特に暑苦しいお話を申し上げまして、まことに失礼いたしましたが、私の申し上げましたことにつきまして間違つておることがないとは申せませんので、間違つておりました点がありましたならば、おしかり御指導を願えれば、たいへん仕合せだと思います。ひとまずこれで失礼いたします。
〔「委員長」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/33
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034・前尾繁三郎
○前尾委員長 あと国井参考人のお話を聞いたあとで、時間の許す限り質問を願つたらどうですか。——それでは国井参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/34
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035・国井秀作
○国井参考人 私、ただいま紹介を受けました国井であります。私が現在所属しております団体は、東京都鉄工機械工業経営者協会という零細機械工業者の団体、そこの專務理事をしております。会員は大体八百六十名ばかりおります。そのほか私は都の地方労働委員会の零細使用者側の代表として労働委員をやつており、あるいは簡易保險の加入者代表として、郵政審議会の委員もやつておるような次第でありまして、大体において都内における零細企業家、こういつたものの関係を掌握いたしまして、各種の団体におせわになつておるものでございます。
今いろいろ経団連の内山先生その他皆さんから有益なお話がありましたので、私から特に意見を述べろと言われても、もはや述べる面もないと思いますが、ただ私はやかましい理論的なことはやめまして、ほんとうに納税する、税金をとられるいわゆる零細企業者の立場から、いかに今度の地方税法の改正によつて苦しい立場に置かれるかというような点を訴えまして、特に賢明なる国会議員の方々に、中小企業者のために税の負担が重くならないように善処していただきたいということを、意見ではなく、お願いをこの機会にさせていただきたいと考える次第であります。
一応私から申し上げることは、今申し上げた通り、理論的なことはさておきまして、今日は大体においていろいろ皆さんのお話になつたことの重複を避けるわけでありますが、私が所属しておりまする機械業者と、いろいろ協議の中から生れて来ておりますところの固定資産税の問題から入つて行きたいと思います。これは先ほど内山先生のお話の中に、鉄道であるとか、あるいはガス、電気事業、その他船舶輸送等の関係の厖大なる資産に対して、今度課税されることになると、これは稼働していない機械等に対しましても、やはり同じようなことが言えるというお話がすでにあつたのでありますが、私どもが調べた中には稼働している機械で、いわゆる課税のできないものもあるという矛盾が一つあるのであります。それは終戰によつて、工場のある機械で、御承知の通り賠償施設の指令を受けておるものがございます。それが昨年の六月解除せられまして、今日においてはその所管が一体どこに所属しているか、はつきりしないようなものがあります。もちろんこれは国家の所有ではございましよう。しかし拂下げの手続は現在済んでいません。しかしその機械は賠償施設としての指定は受けておりますけれども、その工場になくてはならぬ生産に必要なる機械でありまするから、終戰以来持続してその機械を使つておるのであります。しかしその会社が毎年の決算の中には、財産としてそれは載つておらぬことは当然であります。こういうふうな機械が現在働いて、しかもそれが非常にその工場の生産力を上げる要素であるにかかわらず、これが課税の対象にならないということになる。こういう矛盾が現実に存するような固定資産税に対しては、よほどお考えを新しくしていただかなければならぬと思う。従つて、私どもは單純なる考えかもしれませんが、固定資産税は、やはり従来の土地家屋税と同じように、今年度に限つては土地家屋に限定せられたい。その他のいわゆる対象的な消費資産に対するところの課税は、もう一度深く掘り下げて御研究になつてから課税すべきではないかと考えるのであります。従つて固定資産税に対しましては、二十五年度はやはり附加価値税を延期して、そして事業税にせられたと同じように、いわゆる土地家屋に限定せられることにして、他のいわゆる償却資産の方に対するところの課税というものについては、もう一度深く研究をしていただきたいということをお願いをいたす次第でございます。
それから附加価値税は延期されたといたしましても、今回事業税として新しく生まれて来、その事業税は、政府の御説明では減額をすることになる。従来の一八%かあるいは一二%になりますか、あるいはまた修正されてどうなるかしらぬけれども、いずれにしても一八%より以下であることには間違いがないわけであります。しかしその事業税といえども、私どもの考えておりますることは、要するに今まですべて税金というものは中小企業者には安く、いわゆる大企業には高くなるような税金に一応はなつておるのでございます。つまり税率の累進の関係から見ましても、あるいはまたいろいろの場合に政府の方々の御説明にも、中小企業者のために税の負担を軽くするということを常に言われておる。しかしほんとうに中小企業者が納税をしておる立場から行きますと、私どもの目にはつきりと映つて来ておるところの事実というものは、中小企業者は、安い税率でありますけれども、決して負担が軽いという結果にはなつておらぬのであります。大きな企業がみなゆうゆうと税金を楽に納めている中に、企業者は、明日をもわからぬ苦しい中からとられております。現に昨年度の税收入の結果から申しましても、私がこんなことを申し上げますよりも、皆さんすでに御承知ではございますけれども、法人税においては九十何パーセントとれたと大蔵省は言われております。個人の申告所得に対しては六十何パーセント、たしか七十パーセントにはなつていないということを言われております。しかもその結果はすでに百パーセント以上の税金を取上げて、実際において収入いたしておりながら、ちまたにはまだ滞納の人がたくさんにある。しかも私どもの所属している中小機械工業者のいわゆる滞納状況というものを調べてみまするならば、大体において四割は滞納しております。この四割の滞納している税金が、実際において大蔵省のふところには一〇〇%以上入つて来ておつて、なおかつ四〇%の滞納があるというようなことは、税金のかけ方に非常なむりがあり、そしてこれが中小企業者がいつでもいじめられている大きな原因であるという結果論から、このことははつきり私は言えると思う。大企業に属するような法人関係というものは九十何パーセント入つて、個人経営の申告所得のものが六十何パーセントであつて、しかも全体の金としては全部入つておる。なおかつ中小企業者が四〇%の滞納をしておるというこの結果論からいつたら、中小企業者に非常に重い税金がかかつて来て苦しんでおるという結論がはつきり出るわけです。これをひとつよく御研究を願つて、中小企業者がほんとうに立ち行くようにしていただきたい。そういう意味においては、大体やかましい理論は別といたしまして、税金をきめます場合においての一番大事なことは、免税点をはつきりつけるということです。昔私どもの若かつた時分の税金は、免税点がはつきりしておりました。今の税金は、大道で手相を見ている易者から、裏長屋にある、子供相手の駄菓子屋に至るまで国税がかかつて来ておるのであります。こんなことは過去においてはなかつたと私は思う。私はこの間都の商工指導所の税務研究会のときのお話を聞いたが、これは笑えないナンセンスでありますけれども、人相見が青色申告をしたという話であります。一体どうして書いたらいいかという質問を受けて、指導所の方方がその書き入れ方を指導することに困つたというナンセンスさえある。ほんとうに零細なる企業、あるいはまた非常に收入の少い人たちには、当然税金などがかかつてはならない。現在の所得の二万五千円の免税点などでは低過ぎてだめなのでございます。現に政府がやられた取引高税でも、月三万円以下の取引に対しては免税点をきめた実例があるのであります。でありますから、今度の事業所得などに対しては、少くとも取引高税の場合と同じように、月に三万円以下の所得関係者は、免税してしかるべきだと思うのであります。こういう点について特にひとつ議員の方々の御善処をお願いいたしまして、零細企業者に税金のかからぬようにしていただきたい。これは事業税の立場をお願いをいたす次第であります。
それからただいま住民税についてのお話がございましたが、お話の中にもあつたように考えますけれども、今度の住民税は、私どもが計算いたしましても、非常に矛盾だらけであると思いまするし、これが結局、先ほどもどなたかからお話がございましたように、私は大企業あるいは大富豪というものと、われわれのようなその日の暮しにも困る人とが平等の税金を出すというところに、大きな矛盾があると思うのであります。しかも大企業あるいはまた大富裕者は、別に女中を使い、自分の子供を勤めさせる必要がないのであります。そこの主人一人が大会社の社長であるということにおいて、税金は一本で済むのであります。しかるに私どもの家では、子供が三人あれば三人働かせなければならぬのであります。四人あれば四人働かせている。零細な企業者であつたら、五人も六人もの子供を働かせて、ようやくその收益によつて生活を立てておるという状態が、中小企業者の実態であろうと思う。今度の市町村民税は、こういう方々一人一人に全部かかるのであります。五人の働き人があつたら、五人に個々に、先ほどもお話のあつたように、均等割がそれにかかり、所得割がかかり、財産割がかかるというようなことになつたならば、一体中小企業者、あるいはまた自分の生活が苦しいために、自分の子供をたくさん働かせておるような貧乏世帯の家庭の税金と、大邸宅を構えて、一人ででんと大会社の社長をしておるところの人との税金が、平等な税金であるとしたら、こんな矛盾は私はないと思うのであります。どうしても市町村民税は、必要なものでありまししようから、これはやはり今まで通り世帯單位あるいは生活單位にかかるということに改めていただかなければ、非常にむりがあると思います。貧乏者ほど子だくさんであり、貧乏者ほど子供をたくさん外へ出して働かせておる事実は、皆さんがお考えになつてもはつきりせられる問題だと思う。その一人一人に住民税がかかるとしたならば、五人働いておれば五つの税金をその貧乏世帯から生み出さなければならぬ。大邸宅におる大富豪は、大会社の社長なるがゆえに、一つの單位の税金だけを出せばいいというこの矛盾であります。これはどうしても世帯別あるいはまた家庭單位にひとつ改めていただくように、この機会にお願いいたしたいと思うのであります。いろいろ私からまだお願いいたしたいような点もあると考えますけれども、諸先輩の方々から十分お話があつたようでありまするから、私からは結論的な、今度の改正地方税に対するおもなるものについてお願いした次第であります。
最後に、どうぞ国会の議員の方々も、ぜひひとつ日本の中小企業者、いわゆる日本の全人口の九〇%を占めておるといわれるところのわれわれ小産階級者をほんとうに中心にしたところの政治をやつていただきたい。中小企業者をつぶして、決して日本の経済の再建はないと私は思うのであります。中小企業者をつぶさないような政治をやつていただくために、中小企業者をつぶさないような税制を立てていただくために特に御敢闘いただきたいことを総括的にお願いいたしまして、私のごあいさつとします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/35
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036・前尾繁三郎
○前尾委員長 それでは中島参考人並びに国井参考人に対して御質疑を許します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/36
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037・河原伊三郎
○河原委員 中島さんに対してひとつお尋ねいたします。今回の税法の改正で、三倍、五倍になる、こういうお話でございますが、御承知の通り、税は国税、都税、あるいは市町村民税といつたものを一体にして考えてみるべきでありまして、おそらくこの三倍、五倍という数字も、そういう点から来ておるのであると思います。もしこれを地方税だけについて申しますれば、今まで一厘もかからなかつたものが、新たにかかることになる人も相当できるわけで、そういう場合には、何千億、何兆といいましても、零に対する比でありますから、これはその倍数に限りがないわけであります。従つて三倍、五倍という数字は、みな今までかかつておつた人の多くがなるという点から、そういう数字が出て来ると思うのでありますが、こういう意味におきまして、国税、地方税を通じまして三倍、五倍になるという数字的な実例をお示し願いたいと存じます。
次に固定資産税の点でありますが、防空壕におる人も、大邸宅におる人も同じ税金では困る、こういうお話であります。御承知であるかないか存じませんが、今日の固定資産税は、固定資産を持ち、土地家屋を持ち、ことに大邸宅に住むものの税が重くて困るという陳情はたくさん出ておるのでありますが、この点についてどういうふうな御理解になつておりますか。防空壕におる人も、大邸宅に住んでおる人も同じ税金であるという根拠をお示し願いたい。
次に都民税の点でございますが、これは国井さんからのお話とも関連する問題でありますけれども、大会社の社長は一人で働いておる。従つてそこの世帯からは一人しか都民税を納めぬでもよいことになる。中小以下のものになれば、子供、老人でない限りは、家族あげて働いておるので、皆に都民税がかかつて来る、かような不合理はどうだというのでありますが、これは税を世帯主義で行くか、個人主義で行くかのわかれでありまして、世帯主義で参ります場合には、都民税は世帯に一本でありますけれども、所得税の面におきましては、今までのように合算所得で高率な所得税がかかつて来る。また一人々々の控除がない。それが今回国税においても、地方税においても、個人課税という面にかわりましたので、小さい所得、また分立的な所得者のある世帯の税の減り方が特別目立つてはなはだしいことになつておるのであります。この点に関してはどういうふうな御了解になつておりますか、その点をお伺いしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/37
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038・中島喜三郎
○中島参考人 私たいへん話がへたなために、よく私の言う意味が通じなかつたように思いますが、私、冒頭に、固定資産税並びに附加価値税に対しましては、先輩のお話もあつたので、主として住民税に対してお証申し上げましようと申し上げまして、そして住民税が税制改革という名にはたしてふさわしいものであるかどうかということにつきまして、数字まででもありませんが、パーセンテージをあげてお話申し上げましたので、私が五倍以上に必ずなると申し上げたのは住民税のことでありますから、さよう御了承願いたいと思います。そこでどうして五倍以上になるかということは、実は私覚え通りに書きましたものをお手元に差上げてありますから、それをごらん願いますと、大体御了解できるのではないか、かように考えております。また防空壕に住んでおる人も、大邸宅に住んでおる人も固定資産税で同じだ。——私まだそれほど耄碌しておらないので、これは住民税なるものが、便法ではありますけれども、あらゆる角度から見て公平を期する目的をもつて、均等割、家屋割、所得割の三つの角度から見て今まで税金をかけておつた。そこにおいて家屋割においては、防空壕に入つておるような人はほとんどただのような割合であり、大きな邸宅に住んでおる人は非常に高い税額がかけられておつた。それが今度の住民税において廃止になつた。ということは、住民税においては、防空壕の中に住んでおる人も、大きな邸宅に住んでおる人も同じだ、かように申しましたので、固定資産税に対しましてはさように大きな間違いはございませんから、その点御安心願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/38
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039・河原伊三郎
○河原委員 それでは都会議員さんのお話は、住民税だけの問題で、その他には一切触れない問題だと了解してよろしゆうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/39
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040・中島喜三郎
○中島参考人 それはたいへん間違つたお考えだと思います。私は区切つて申し上げましたのであつて、あなたが固定資産税に対してこれはどうかと御質問くださいますならば、私は固定資産税のお話も申し上げますけれども、私は住民税のお話を申し上げ、それに対する質問であり答弁でありますから、私は住民税のお話を申し上げたのでありまして、住民税だけしか考えておらないということにはなりません。私都会議員の一人といたしまして、固定資産税も、また附加価値税も地方税であることはよく承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/40
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041・龍野喜一郎
○龍野委員 ちよつと中島さんにお伺いいたします。中島さんは都会議員であられるので特にお伺いいたしますが、今度の税法は、御承知の通り本年度の固定資産の税率以外は、ことごとく標準税率になつております。主として都民税についてのお話がありましたが、東京都は五十万以上でありますから、均等割が八百円という標準税率になつております。そこで都民税につきましても、本法中、たとえば同居の妻とか、あるいは扶養の親族とかいうものに対してはこれを免税することになつておるのでありますが、本法律案の非常な特色は、総則の第六條ですか、その中にありまして、地方団体は公益上その他の事由によつて課税を減免し得る道が講じてあるわけであります。従いまして條例によつてこの減免の道は相当講じ得る余地があるのでありまして、それがために都会議員であられる方々の職責は非常に重大であろうと存ずるのであります。先ほどお述べになりましたような実情にある者につきましては、都においてその必要があると認めた場合においては、減免の措置を講ぜられると思うのでありますが、今後この地方税法案を都に実施する場合においては、都條例の制定等につきまして、実際問題として都会議員はどういうふうなぐあいにこの第六條を具体化して行くかということについて、お考えがあるならばお尋ねいたしたいと存ずるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/41
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042・中島喜三郎
○中島参考人 たいへんけつこうな御指導でありまして、私どもも相なるべくはそういう方針で、実情に照して負担していただきたいというのが熱意ではあります。私今ここに何も持つておりませんから申しかねますけれども、法的に減免する限度というものが、また法のどこかに確かにあるはずでありまして、あの人は困りそうだから無制限に減免するというわけにはたしか参らぬように思いますので、この減免という字句を応用するということは非常に狭められて参ります。それが広範囲でありましても、私の申し上げましたことは、住民税の性格を申し上げましたので、そういうことはたいへんけつこうな御意見でありまして、どうか中央議会におきましては、そのけつこうなお言葉がほんとうに地方自治におきまして応用のできるように一段の御努力を願えれば、たいへん私も仕合せに存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/42
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043・立花敏男
○立花委員 現在東京都の税金の徴收率は、どういう程度になつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/43
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044・中島喜三郎
○中島参考人 私ちよつと近くのものを聞いておりませんが、今のところ実際の徴收の数字は七割程度かと、これはおぼろげでありまして、はつきり申し上げることができませんで、はなはだ失礼ですけれども、その程度に私は考えております。この社会情勢下におきましてここまで徴税成績を上げるということは、たいへんに努力が必要だつたろうということで、私どもはむしろ吏員各位にその点では執務に対しては感謝しておるようなわけでありますが、これ以上どこまでこの徴税能力を上げ得るかということは、今のところではほとんど望み薄だ。それは今度の地方税法がきまりませんために、各地方におきましては、非常に財政に苦しんでおる。給料を拂わなければならぬが、税金はとれぬ。そこで私どもは、まずもつてこの未納徴收によつてある程度これをまかなつて行かなければならぬ、こういう考えもありましたので、非常に苛酷ではありますものの、窮余の一策としてそういうようなことも考えて、非常に苦しい敢闘を続けておるようなわけであります。はつきりした数字が必要でありましたら、あとでお示ししてもよいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/44
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045・立花敏男
○立花委員 お説の中にありましたように、住民税が五倍以上になる、特に貧乏人に多いというお言葉でございます。私どもいただいた資料によりましても、この数字ははつきり見せていただいておるのでありますが、現在七割の徴收しかできないものが、こういうふうにふえて参りますと、そうとれないということは明瞭になつて来るだろうと思うのであります。それに対しまして東京都ではどういうふうな特別徴税機構をお考えになつておられますか。聞くところによりますと、今度は区役所にまかせずに、都直接の徴税機構を各区にお設けになるということでございますが、それに対してどういう見通しがおありになり、またそれに対する徴税吏員の増加、徴税費の増嵩といいますものはどの程度になりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/45
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046・中島喜三郎
○中島参考人 たいへんこれはむずかしい話でありまして、私どもも今まで国におまかせしておつたものを、今度は都が直接とることによつて、成績をはたして上げ得るのかどうかということに対しましては、はつきり申し上げますと、確信は持てません。でありますけれども、苦しさのあまりにそこへ行つておるのでありまして、実は幾分早まつた点もありますけれども、附加価値税が実施いたされますと、急にこれを取立てるということは容易なことではない。だから、都は積極的にこれが調査、研究をしなければならぬというところが、今度のああいう改革にもなつたわけでありまして、附加価値税がわずかばかりでも延期されたことはたいへんけつこうであります。これは都の立場からいたしますと、附加価値税が決定になりまして、あれを徴收するには、これは私のちよつとした考えでありますけれども、おそらく東京都におきましても、一千人近くの増員をしなければ、あれだけの徹底した調査、研究の上で合理的な税金はかけ得ない。こういたしますと、そこにもうすでに一億からの徴税費を必要とする、こういうふうに徴税費のたくさんかかる税金というものは、私はどんなによくやろうとしても公平に行きづらい税金だ、こういうようにも考えます。御承知の通り課税対象なるものが、売上げでもなければ、所得でもないという、まことにつかみどころのない——話を簡單にしてもらいますと、たいへん簡單でありますけれども、あれを認めるには相当骨の折れる税金であると考えております。
ついでに申し上げてはまことに失礼でありますけれども、附加価値税でちよつと思い出したのですが、おかげさまで附加価値税が一年でも延期になつたことは私ども喜んでおります。相なるべくば永久にこれを延期させていただきたい、かように考えておるのでありますが、そこで今度は事業税になつてかかつて来る。これに対して非常に法人が得であつて、個人が損だという意見がまた相当出て参りまして、議論が百出しておるようであります。この根本論になりますと、私は世界中このようだか知りませんけれども、どうも日本の税金のかけ方に対して、第一にふしぎに思つておるのは、労働力を認めていないということなんです。法人ですと、給仕から秘書まで給料をもらつたことになるから、それを差引いたものに所得税がかかる。それを基準にして事業税がかかりますけれども、われわれ貧乏人は一つもこれが認められない。働いたものを認めないで、全部税金をかけられるのです。法人の方から考えますと、個人は労働賃金だけでほとんど終つておるのですから、事業税なんかかからなくてもいいはずなのに、ものすごくかかつて、法人の方では欠損だという報告をすれば事業税を免れるということは、私は事業税にも悪い面があつたと思いますので、ここでたといわずかの期間でも事業税に逆もどりいたしますならば、この点も十分にお考えおき願えますならば、たいへんけつこうだと私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/46
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047・立花敏男
○立花委員 聞くところによりますと、首都建設法は十月から着工されまして、予算が大体三千億ないし五千億と言われておるのでございますが、これに対しまして、都ではどういうふうな予算をお立てになり、またそれが都の税金にどういうふうに影響を及ぼすか、私ども非常に関心を持つておるわけでありますが、その点について見通しがありましたら、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/47
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048・中島喜三郎
○中島参考人 首都建設法については、率直に申し上げますと、私、小委員でもありませんし、そうして小委員といたしましても、まだどういうふうにという具体的なものが都としては何も進んでおらぬようでありますので、これといつて申し上げるわけには参らぬのでありますが、概括的に申し上げますと、先ほど苦情を申し述べましたように、平衡交付金制度が実施になつたあかつきにおいて、都の財政がどんなに苦しくなるだろうかということが考えられますし、はたして首都東京としての面目をどこで保つて行くかという考えもありましたので、首都建設法が理論的にいいか悪いかというよりも、そういうような考えが私どもに強かつた。従いまして、今後私どもはこの首都建設法に対する皆さんの御理解によりまして、日本の首都である東京をどう持つて行くかということについても、何分の御理解を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/48
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049・立花敏男
○立花委員 警視庁の費用は、大体東京都民一人当り千円近くになつておると思うのでございますが、その数字を聞かしていただきたい。最近の警察問題と関連いたしまして、警察費がより増嵩する傾向があると思うのでございますが、そういう見通しはどの程度でございましようか。
それからもう一つ警察の問題でございますが、東京都といたしまして、国家警察の警察協力費というようなものを相当お出しのように聞いておるのでございますが、これはどの程度お出しなのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/49
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050・中島喜三郎
○中島参考人 警察費のことにつきまして、私、資料を今日持つて来ておりませんので、どれだけどういう計算になるか、間違つたことを申し上げてはかえつて失礼になりますから、いずれあとでお示しいたしたいと思いますが、ただ私どもは警察費、消防費ほどむだなものはないと考えております。だから火事を出してもらいたくない。火事さえ出してもらわなければ、お互いが火に気をつけてもらえば、消防がいらなくなるだろうと考えております。何ともそれ以上申し上げ方のないことをおわびいたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/50
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051・前尾繁三郎
○前尾委員長 これをもつて内山、中島、國井参考人の御意見の開陳は終了いたしました。なお農林中央金庫理事長の湯河元威君は、午後御出席くださることになつております。この際参考人の方に厚くお礼を申し上げます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/51
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052・前尾繁三郎
○前尾委員長 それではこの際ちよつとお諮りいたしますが、それは行政書士法案起草の件であります。本委員会といたしましては、第七国会において行政書士法案の起草に着手し、閉会中に引続き起草に努力いたしましたが、成案の決定を見るまでに至りませんでしたので、本国会においても引続き行政書士法案を起草し、成案を決定いたしたいと思いますので、前国会において、一応起草した案をもととして関係筋に折衝することといたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/52
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053・前尾繁三郎
○前尾委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
それでは午前中の会議はこの程度にし、午後二時から再開いたします。午後は参考人の方がお見えになりますので、時間を嚴守していただきたいと存じます。それまで暫時休憩いたします。
午後零時五十分休憩
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午後二時三十分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/53
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054・前尾繁三郎
○前尾委員長 再開いたします。
休憩前に引続き地方税法案を議題といたします。ただいま参考人の農林中央金庫理事長湯河元威氏がお見えになつておりますので、ただちに御意見を承ることにいたしたいと思います。湯河さんにはお忙しいところをわざわざおいでくださいまして、ありがとうございました。それでは忌憚のない御意見をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/54
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055・湯河元威
○湯河参考人 私ただいま御紹介をいただきました農林中央金庫の湯河でございます。私は農林水産業の協同組合の金融の関係に携つておりますものでございまして、農山漁村の方々のお話をいろいろ伺つているといたしまして、せつかくの機会でございますので、所感を二、三申し上げてみたいと存ずるのでございます。
過般の国会でご審議がとうとう済みませんで、地方税法案が成立しなかつたために、農山漁村にいろいろと影響が現われておるのでございます。特に金融機関の見地からこれをながめておりますと、いろいろ都合のよい面、都合の悪い面等がございましたが、しかし基本的に申しまして、非常に困つた事態であつたというふうに存ずるのでございます。たとえばちようど時期が春先のことでございまして、いろいろ農林水産業の経済の上から申しまして資金がいる時でございましたが、地方税がかからないということからいたしまして、農山漁村の人たちは、ほつとしたような面も一面あつたようでございます。しかしさようなことはございましても、これは行先どうしても税がかかるのだということは、意識されたのでございまして、そのために貯金をしてくれというふうなことも私は申した次第でございましたが、しかしなかなかその通りに参りませんで、若干むだ使いも出たのではないかというふうにも存ぜられます。また地方団体の財政上には、これはもう申すまでもなく、非常に大きな狂いが来たように拝察いたされまして、そのためにいろいろ手違いができたり、あるいはその影響といたしまして、農山漁村の組合金融の面にしわ寄せが来ているやに見える点もあつたのでございます。とにかく何といたしましても、せつかく改革をなさろうとして法案を御審議になつたものが、その通りと申しますか、その時期に成立いたしませんで、そこに空白ができましたことは、結局国全体の上から、また地方の農山漁村の社会経済の上から見ましても、これはマイナスであつたというふうに存ぜられますので、この臨時国会におかれまして、お暑いところを委員の皆様方が御熱心に御審議いただいておりますことは、われわれとしてまことに感謝にたえないところでございます。いろいろ法案の内容等についての御審議は、これはわれわれとて申し上げたい問題もあるわけでございます。今度の国会においてはぜひひとつ成立になりまして、来るべき八月以降においては、正式の地方税制度の施行されますようにお願いいたしたいと存じます。さりながら何でもよいからというわけではございませんで、いろいろと国民の各界各層の御進言もあることと存じますので、それらの点につきましては、何とか都合のよいようにお手直しをいただきまして、その上で今度は必ず法案の成立いたしますように、御審議をお進めいただくことを、われわれのような者からもお願い申し上げる次第でございます。こういう機会に私日ごろ農山漁村の組合金融の立場から、地方の公共団体の財政面の御事情等を推察しておりますと、かなりいろいろとむりがあるように存ぜられますので、地方財政の根幹をなすこの地方税法の御審議に、あるいは迂遠で御参考にならないかもしれませんが、こういう機会に実情を申し上げさせていただきたいと存ずるのでございます。
世間でも申されます通り、わが国の地方団体は、相当国の委任事務の重圧を受けておりますので、なかなか仕事が手が張つているようでございます。それにもかかわらず、それをまかなう財政といたしましては、過去においては、あるいは相当国費がそちらの方にまわされる面等もございましたでしようが、しかし基本的には、その地方公共団体が自分で、とにかく貧弱ながら財源を持つております、それでとにかく立つて行くということで、その貧弱な財源の上に、相当重い委任事務と必要なる行政事務が重圧を課しておつたようでございます。この点が、ことにこの一両年、いわゆるドツジ・ラインの超均衡予算が始まりまして以来というものは、そのきらいが一層大きくなつて来たような感じがいたしてならないのでございます。国家財政におきます真に超均衡といつていいくらいな、あの厳正と申しますか、嚴密な均衡予算制度をとる、税金も国税として相当重いものをおとりになるといたしますれば、同じ町村民たる納税者の負担力には限度がございます。従つてそれだけ片方に国税をお取上げになりながら、従来何かと地方の実情に合うように支出されておりました地方財政調整交付金でありますとか、その他の国庫交付金、あるいは補助金等、これは財政の均衡の必要からその歳出の方を相当減らされているということからいたしまして、従来地方公共団体が重荷になつていたものを、何とか軽くしてもらつておりました国庫財政よりの協力というものが、減つて来ておりますのでございまして、こういうことからいたしまして、地方の府県あるいは町村のそれ自身の財政といたしましては非常に苦しい。收入を得ようにも、もう残つたいい財源はないとか、あるいはその結果として、何かとむりが来て、それが地方の金融に相当しわ寄せが来ております。たとえば、金をちよつと立てかえてくれ。あるいは公共団体の支拂いが延びているために、どうも組合の資金面に困難を来しておるというふうなことが一面にございまするし、他面におきまして、どうしても何とかして地方自治団体の財政をまかなう必要上、相当むりをして税金だとか、寄付金だとかを、村民、県民に課しておるというふうな実情もございます。かようなことは実は金融機関の窓から見ておりますと、何とかならぬものかというふうに、しみじみ感じておつたときでございます。そのときにシヤウプ勧告書なるあの四冊の本が出まして、われわれもそれをわからずなりに読んでみたのでございます。なかなかいいことが書いてあるようでございます。日本の新しい憲法、あるいは新しい地方自治制度のねらいに合つた地方自治団体のあり方をきめ、その財政の支出ということを規定しておりますいろいろの新しい考え方は、なかなかこれは大したものだというふうな気がいたしておりまして、われわれといたしましては、それに即応するように、あるいは地方財政法でありますとか、あるいは地方税法でありますとか、いろいろそういうふうな法律等が準備されておるというふうに承りましたので、ありがたいことだとは思つておりましたが、しかし実情がただいま申し上げましたような、かなり地方行政の自治団体のいびつな面がございますので、そのためにこういう画期的な財政制度が、はたして実情に合つてうまく行くかということについては、少からず心配をいたしておつたのでございます。結局国家あるいは府県あるいは市町村等の間において、適切なる事務の分配ができ、それに即応するような財源の配分が実現するのでなければ、今日われわれが日々感じておりまするような地方財政上のいろいろな悩みを、真に解決していただくことには行かないのではないかということを、漠然とながら感じておるのでございます。しかしこれが一朝一夕にできないといたしまするならば、これはひとり地方税法だけでどうにもならぬことかとは存じますが、地方税法をせつかくおつくりいただく上におきましても、あまりにも大きな急激な変化があり過ぎることによりまして、今非常に苦しい経済環境にありまする農山漁村の経済を、あまりにもいためないように御配慮いただきたいということを考える次第でございます。
そう申しますのも、ごく最近の農山漁村の経済の実態は、これはもういろいろの機会にいろいろな方からお話が出ておることでございまして、これを狭い金融の窓口からながめておりましても、実は相当最近の事態は緊迫して来ておるのでございます。もしも農山漁村の経済が、あるいは農林水産業の経済が相当栄えておりますか、そうでなくとも、少くとも相当安泰でございますれば、そういう機会にいろいろと改革をなさるということにも耐え得るかと思いまするが、今日の農山漁村の経済情勢は、必ずしもさようではございませんのでいろいろと懸念されておるのでございます。その具体的な現われといたしまして、たとえばこの春先など、この前の国会のとき等に、いろいろと御心配、御懸念をいただきました農業協同組合も、末端の預金が拂えない、あるいは購買事業が非常にひつついてしまつたとか、ないしはいろいろの水産業等におきましても、漁業手形等の実施もやつてみたのでございまするが、積立て等も十分にできないとか、いろいろ表面に現われました故障が数々ございます。その背後には、何と申しましてもインフレ時代にわずかにいい目を見た農林水産業の経済が、デイスインフレと申しますか、ともすればデフレに傾くこの時期におきましては、早くも窮迫して参つたのでございまして、また統制経済が、いろいろと初めのうちはやつかいもの扱いされておりましたものも、今日の時代におきましては、農山漁村のささやかな経済を支えてくれておるというふうに思われましたその統制経済のいろいろの仕組がこわれて参りますので、かような機会に、何といたしましても、相当農山漁村の経済が苦しくなることはわかつていると思います。
のみならず、将来のことを考えてみますと、外国のそれらの農林水産業との競争もはげしくなつて来て、農山漁村の将来については、いろいろ懸念されることがございます。せつかく農地改革をやる、あるいは漁業権改革をやつて、また農業会とか水産業会とかもこわして、新しく協同組合をつくつてみたのでございますが、その協同組合それ自身も、必ずしも予期のようには発達しておりませんのでございまして、いろいろと農山漁家の経済は、その金詰まり、あるいは経済組織の不完備等からして、非常に苦しくなつて来ておる際でございます。この農山漁村の経済の実力を養つた上に、この地方制度の改革等が安泰に行われて行くのではないかと思うのでありまして、今日その農山漁村の経済実力の涵養ができませんときに、もしもこれだけの改革をおやりにならなければならないといたしますれば、そこにやはり若干の御配慮がいるのではないかというふうに存ぜられるのでございます。われわれの同僚等も、この法案の税等につきまして、個別的にいろいろと研究いたしまして、いろいろ直接間接に御進言申し上げていることもあろうかと存じます。それらのことは、一々それらにつきましての個別の理由もございましようが基本的にはただいま申し上げましたようなことがひそんでいるというふうに存ぜられる次第でございます。
特にこういう機会に私らの関係しております協同組合のことにつきまして申し上げておきたいと存ずるのでございます。協同組合課税の問題は、これは長い歴史のある問題でございますし、いつも国税、地方税等の御審議のありますときに、うるさいように申し上げておりますことを、繰返して申し上げることにも相なるのでございまして、恐縮には存じますが、われわれといたしまして考えておりますものは、協同組合は、やはり冷静にながめますれば、一つの経済組織である、何もこれを他の経済組織企業体と区別することはない、税金やその他の立場においてもこれを同一に扱う、一人前に扱つて行くのがほんとうだという御議論は、これは確かに一面の真理があることと信じます。金融等につきましても同様でございまして、これを特殊扱いをするよりも、むしろ一般の水準において扱つて行くということの方が望ましいという意味において、そうなることは望ましいことでございます。さりながら実際そうでないものを、その実情を無視しまして、一律一体な扱いをしますと、どうも結果が悪いのでございます。さような意味からいたしまして、協同組合と他の企業体との間に一律な扱いをすべきであるという議論、またそれを差別すべきであるという議論は、何も今日に始まつたことではございません、われわれは過去長い間、この問題につきましては、同じ議論を繰返して来ておるのであります。そのさ中におきまして、最近の様子を見ますと、戰争等を通じまして、漸次協同組合の歩が悪い。——歩が悪いということは、おかしな言い方かとも思いまするが、結局均等的な扱いがだんだん広まつて来ておる。これがはたして協同組合が均等的な扱いを受けるにふさわしくなつて来たためであるというならばよくわかります。しかし事実はそうでないのでありまして、あるいは財政当局と農林当局との間の議論のやりとりとでも申しますか、負ける勝つというふうなことがあるじやないかというふうに思いまするときに、われわれ局外におりまする者といたしましては、これは容易ならぬことである。実情と理論とは初めからあまりかわつていないのに、大体制度というものがこういうふうに移りかわつて来るということに、われわれとしては納得できないものがあるような気がいたします。これは実情と理論との食い違いであります。協同組合課税問題、これは今日の事態を見まするならば、私は先ほどもつたない説明で申し上げましたように、実は相当農山漁村の協同組合の実情というものは、かつて過去にありしような状態に近く、結局悪化して来ておるのであります。また農山漁村民の人たちの経済状態もまた過去に近く悪化して来ておるのであります。そのときにおいて、いろいろと議論いたしました議論は、まさに今日に適合するのではないかと思います。もとより一律一体の扱いをしようという理論は、これはその後いろいろ経済情勢、国の情勢、あるいは理論構造等がかわつて参りまして、進歩しておることもございましよう、いろいろりくつはございましようが、実情は、まさに最近の情勢は昔に帰りつつあるときでございますので、実情のおくみとりを十分にあやまちなくしていただきたいというふうに存ずる次第でございます。申し上げておきたいことは、協同組合を他と一律に扱うという議論は今日に始まつたことではない、過去においてもありました。その当時の常識は、これは理論はそうであるが、差別すべきものであるというのが常識でございました。ところが戰争を通じ、終戰後税制の改正を見てみますると、究極の常識がかわつて来ておるということでございます。こういうことにおきまして、今日国会の選良の皆様方の真の良識にお訴え申し上げたい。こういうふうに存ずるのであります。
もう一つ最後に、もうこれだけ申し上げてお願いしておきたいと思います。実は今度の地方税法を拝見いたしまして、先ほども申し上げましたように、シヤゥプさんの勧告の中に、非常に安心な、また将来の日本の民主主義の発達のために、われわれの気づかなかつたような非常にいい点があるようでございます。しかし今度の税法の結果を拝見しておりますると、府県と市町村との間におきまする関係が、どうもいかがかと思われる点がございます。われわれ過去におきまして、農林水産経済は、かなり財政のやつかいになつております。指導、奨励、あるいは監督、助成等の施策が、かなり必要なのでありまして、これはひとり地方財政ばかりでございません、国家財政にもそれがあるのでありますが、この点はこれも最近になりますと、一律一体論で補助金だとか何かはいかぬというようなことで、一はぎにはがれておるのでございます。わが国の現実の姿から申しますと、また農林水産業を、国民経済の中において、ある限度においてぜひ維持しなければ、国全体の産業構造が均衡を得ないということを認めまするときに、農林水産業と他の産業との生産力の発達を企図いたして参りまする資本の充実の問題、投資の問題につきまして、農林水産業以外の産業につきましては、金融のいろいろな方策がそこにあるのでございます。あるいは株式会社をつくつて、他人の資本を株式で集める。あるいは社債を募集して資金を取入れる、ないしは銀行から借入金をするとか、いろいろそこに措置があるのでございまするが、農山漁村の方々、農林水産業の零細経営の人たちには、その道がないのであります。その道がなくて、資本の充実ができませんときには、結局農林水産業の生産力は伸びがたく、鉱工業と農林業との間に、不均衡が生ずるということは、国全体のためによからぬことと存ぜられますので、財政がこの投資ということを、農林水産業に限つてやつて来ておるのであります。その財政の投資はひとり助成金、補助金ばかりではございません、各種の公共直営事業がございます。なお試験場でありまするとか、研究機関でありまするとか、指導組織でありまするとか、いろいろなものをつくつておりまするのが実情でございます。ところでこれはひとり国ばかりがやることでございません、地方財政でそれを負担していただいております。あるいは府県、あるいは市町村——ところで市町村という日本の最小限度のこの地方公共団体は、それをやるにはあまりにも小さく、また力が足りない。またあまりにもそういうことは地域的重複も起りますので、これは大体郡單位ぐらいで問題を処理して来ておつたのが、郡役所、郡制等の問題は、日本の地方の実情、あるいは農山漁村の実情に、あるいは長い間の経験から生れたものとして、しつくりしておつたのであります。それが郡制、あるいは郡役所等の廃止後におきましては、今や府県がこれを担当いたしておるのであります。ところでその府県の財政というものの将来を考えてみますると、今度の法案をわれわれもちよつと拝見いたしたのでございますが、府県の收入されるものの大半は都市に税源を持つ、あるいは遊興飲食税であるとか、あるいは附加価値税であるとかいうふうなものでございます。附加価値税のごとき事業税は、特に農林水産業にかからぬという点、これはありがたいようでございます。しかし反面から申しますると、地方の農山漁村の人たちは、府県財政に寄與するどころか、寄與し得ないという姿になつておるのでございます。ところで府県行政なり、府県財政なりを動かしておりまする府県議会、地方議会というものには、やはり地方の農山漁村からも相当の議員さんが出ておられる。しかし一面から申しますると、それらの人は自分らの背後である出身地たる農山漁村からは、府県財政にあまり寄與することなく、しかして府県財政、府県行政を動かさなければならぬということになりますると、都市の商工業者の上に重い税を課しはせぬかということを、一面懸念しておられる方もおられるようでございます。そういう非常識のことをなさるということを心配するよりも、われわれ農山漁村、農林水産業の立場から見ますと、従来農山漁村のためにあるいは数箇町村あるいは郡單位ぐらいにいろいろ施設をしてもらつておりました各種の公共施設、産業経済のために必要なる施設、試験場でございますとか、研究機関でございますとか、あるいは指導奨励その他の施設ないしは学校その他、こういうようなものを府県財政で従来のようにやつていただくのに、それらの府県にも議員の方々にいろいろとお立ちまわりいただくのにも、とにかく何もその府県財政に寄與しておられることのないときには、非常におやりにくいのではないかと存ぜられる筋もございますので、かようなことも今度の府県税あるいは市町村税のあり方を拜見していまして、われわれまことに間違つているかもしれませんが、将来が案ぜられるのでございます。これらの点はあるいは平衡交付金等の作用によりまして、十分適切にお直しいただけるもの、あるいはそうでなければならぬものと信ずるのでございますが、今度の地方税法を拜見いたしまして、われわれ若干懸念がないでもないような気がいたします。
実は一々こまかく申し上げることは恐れ入りますが、自分にもその力がございませんので、きわめて、雑駁なことを概略申し上げるのであります。当初に申し上げましたように、もう時期も切迫しているときでございますので、本年も大分第二・四半期に参りましたので、すみやかなるこの法案の成立が必要であろうと存じます。しかし基本的にどうにか直さなければならぬところはお直しいただく、もしも問題が残れば将来お直しいただくとか、あるいはその問題は残しておいて、他の措置によつてそれを補つて行つたらどうかというふうなことをお願い申し上げたいと、かように存ずる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/55
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056・前尾繁三郎
○前尾委員長 それでは湯河参考人に対して質疑がありますればこの際これを許します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/56
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057・床次徳二
○床次委員 一言伺いたいと思いますが、最近は農山漁村の金融関係は非常に逼迫している。むしろだんだんと苦しくなつて来ているのではないかと存じます。特に地方税の不成立以来、案外に地方はこれが影響しておりまして、苦しくなつているように思いますが、四月予定通り地方税が成立しておりますならば、たとい相当増額になりました地法税でも、まずまず納める力ができたのだろうということも考えられます。それが半年遅れるようになりまして、下半期に税金がずれて来れば、同じ百の金額が今納める百とは大分意味が違う。今の苦しくなつた金融状態においては、なかなか困難です。その当時であつたら百納めることができたけれども、今では百は困難だという経済状況になりつつあるのではないかと思います。特に金融方面に関係の深い参考人としては、この点どのようにお考えになつておりまするか、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/57
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058・湯河元威
○湯河参考人 床次さんのお話の通りに、私も懸念いたしておりますので、実は先ほどもちよつと申し上げましたように、税をとられなかつたから楽だという気持を引締めますために、将来重い負担をしなければならないから、貯金をなさいというてお勧めをしてみましたけれども、やはりその通りに参りませず、むだづかいしてしまつたものもあろうと思います。経済界は漸次きゆうくつになつて来ております。この秋は農村の方も相当おえらかろうと私懸念いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/58
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059・前尾繁三郎
○前尾委員長 ほかに御質疑はありませんか。——それではこれをもちまして、本日の参考人の意見の聽取は全部終了いたしました。まことにありがとうございました。
これより地方税法案に対する質疑を続行いたします。本日は市町村民税と目的税及び都等の特例を一括して質疑をいたすことにいたしたいと思います。質疑は通告順によりまして床次徳二君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/59
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060・床次徳二
○床次委員 突然でちよつと不用意でありますので、順序を追いませんで御質問申し上げたいと思います。
市町村民税につきまして、ここに各都市の大きさによりまして、段階が三段階にわかれております。人口五十万以上の市あるいは五万から五十万、あるいは前二号の市以外の市及び町村というふうにわかれておりますが、この政府案につきまして、いろいろ世間の批評を聞いておりますと、この三つのわけ方では適切でないのではないかという意見があるのです。どこにあるかと申しますと、この第二段にあります五万から五十万という市のわけ方が、あまりに大きいのではないか。実際公共団体の性格を見て参りますと、いわゆる中都市以上になりますと、文化施設も相当ある。たとえば電車もある、あるいは水道も敷いてある、道路もよくなるというような施設が非常に充実しておるのでありますが、どうも五万というところと五十万というところは、非常にこの間に施設の内容において開きが出て来ておる。だからこの負担をわけるにつきましても、もう少しこの段階の刻み方をかえた方がいいのではないかという意見が多いのであります。実際地方の自治体の公共事業の現在の実施状況からしまして、はたして政府がお考えになつておるようなこういう三段階の方が適当であるかどうかということについて、御意見を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/60
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061・鈴木俊一
○鈴木政府委員 市町村民税の、均等割の区分の仕方についてのお尋ねでございます。お話のようにあるいは市町村、さらにこまかくわけるというようなことも考えられまするし、いろいろあろうと存じますが、従来このような段階をとつておりましたこともございますし、またかたがたこの八百、六百、四百というところは、標準税率というようなこともございますので、その間に彈力性もあるわけでございますから、大体この程度の区分の仕方で適当ではないだろうかということで、こういうようなわけ方をしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/61
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062・床次徳二
○床次委員 ただいまお尋ねしましたことは、はつきりしなかつたと思いますが、各市におきましていろいろ公益事業を実施しておるというその実施の状態から見ますと、五万から五十万までを一括するということが、はたして適当であるかどうか。市民が利益を受けます限度と申しますか、受益の程度から申しますと、五万の市というのは、ほとんど電車とか水道とかいうものがないところじやないか。しかし二十万かあるいはそれくらいになりますと、大体そういう方面は大分平均して来るのではないかと思われるのです。そういう公共事業の立場から見まして、この大きさの方の区分がいいかどうかということを、承りたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/62
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063・鈴木俊一
○鈴木政府委員 それは御指摘のように、それぞれの市の性格なり、また地方々々の事情によりまして、いろいろ市のいたしますサービスの内容は違つて参ると存ずるのでございますが、大体五万以下の市町村と、それから五十万以下というところで区切ることが適当ではないか。あるいはいま一つこまかくわけますならば、十五万から五十万までというようなことも考えられないわけではございませんが、私どもといたしましては、大体この税率が標準的なものでございますし、それぞれ市の経費というものも、サービスが少ければそれだけ経費が少く、従つて税も少くていいわけでありますから、そういうようなそちらの財政、需要自体に彈力性がございますし、それに対応しまして、税率の方も標準税率ということに相なつておりますので、大体この程度のわけ方でいいのではないか。こまかくすればするほど、それぞれの実情に合つて来るとは存じますけれども、そういうことであるなら、あまりにもこの区切りを多くしますのもどうかというようなことで、大体総額自体が四百、六百、八百というような区分の仕方でございますから、この程度でよいのではないかというふうに考えたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/63
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064・床次徳二
○床次委員 大臣がお見えになりましたから、一つ根本の方針について、大臣から御答弁を承りたいと思います。昨日県税並びに市町村税につきまして、いろいろの脱税について討議いたしたのでありますが、御承知の通り県税の中にありまする入場税、遊興飲食税あるいは狩猟者税のごときものは、税といたしましてまことに不適当な税である。納める者の立場から申しますと、どちらかといえば大衆課税に類する税金が多いのでありまして、でき得ればこれを廃止軽減いたすべきものが少くないと思うのであります。また市町村税の方にしても、自転車税、荷車税、入湯税あるいは接客人税というようなもの、いずれも税制といたしましては、まことに感心しない税金であると思います。適当な財源が地方にありまするならば、当然これはまず廃止すべきものでありまして、事務当局の答弁によりましても、財源があれば順次これを廃止して行きたい、廃止の方向にあることにつきましては、ほとんど異存がないようであります。それで私は特に大臣に承りたいと思うのでありますが、総理大臣は過般減税ができるようであれば、本年度においても減税をしたいと言つておられる。また明年度の予算編成方針におきましても、自由党は一千億の減税を主張しておられる。まことにけつこうでありまして、この場合に減税をどこにおいてされるかということが問題であります。今までの例で申しますと、往々にして国税において減税をはかつて行かれまして、地方税の方の減税がむしろ行われておらない。今回の税制の改正にいたしましても、もつぱら国税の方には軽減されておりますが、地方税の方においてこれが重くなつておる。反面におきましては、地方財政を確立されるという趣旨でありますからけつこうでありますが、地方税においてもらつた財源は、先ほども申しましたように、でき得れば廃止したいという税源が、地方の相当大きな数字を占めておる財源でありまして、これではほんとうの地方財政の確立にはならない。いわんや明年におきまして政府が相当額の減税を予想しておられまするならば、この減税は政府が適当でないと認めておられるところの県税あるいは市町村民税の中に振り向けられまして、所得税の軽減はむしろあとまわしにしてもよいのではないか。その方が国民大衆の負担の軽減という趣旨を達すると思うのであります。たとえば、入場税、自転車税、荷車税というようなもの、あるいは狩猟者税のごときものも、ぜいたくにおいて狩猟する者は別といたしまして、山村にありまして狩猟を業とする者は、当然減税してよいと思います。しかも今日の狩猟者税というのは、ぜいたくに、あるいはスポーツとしてやつておりまするしろうとと同じ扱いを受けておる、これはまことに不合理であります。減税をいたしますならば、やはりその税目の内容を検討しまして、当然将来廃止したいという税金から漸次減税の方針を向けて、それを廃止して行かれるということが適当であると思います。これは国務大臣だけでできるのではなくて、当然大蔵大臣もお考えになる必要があるのでありますが、往々にして地方税につきましては、大蔵省の見解からはまことに閑却せられておるのであります。私は将来において負担の軽減をはかられるならば、今度の地方税について政府がとられましたように、国税と地方税と両方一括いたしまして、全体の軽減をはかるという趣旨を徹底されて、この次はぜひとも地方税の悪いものを廃止して行く。あるいは本年度において軽減が行われるならば、地方税の悪いもの、適当でない地方税を廃止されるということが必要だと思います。この点はぜひ岡野大臣におきまして特別な御努力をお願いしたい。今日まで大蔵省で大蔵大臣が立案せられますのは、往往にして所得税優先である。国は確かに楽をしていい子になるのでありますが、あとでしりぬぐいをさせられる、徴税の苦労をするのは、結局自治庁関係、地方団体が迷惑をしておるというのが実情だと思います。来年度相当額の減税を発表しておられますので、この減税については、ぜひとも地方税の減税、県税、市町村税の中の悪いもの、当然将来廃止したいと言つておりますものを、廃止していただきたいと思うのであります。昨日大臣には各委員の質疑を聞いていただけなかつたのでありますが、十分に他の政府委員からお聞きになつたと思います。ぜひこの入場税、遊興飲食税、狩猟者税、市町村税にありましては自転車税、荷車税、入湯税、接客人税、こういう不合理なものからまず廃止して行くことを一つお考えいただきたい。これに対する大臣のお考えを承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/64
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065・岡野清豪
○岡野国務大臣 お答え申し上げます。ただいまの床次委員の御説は、しごく同感でございます。そういう方向に向つて私も善処いたしたいと存じますから、御了承を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/65
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066・床次徳二
○床次委員 ただいまの大臣のお話は、まことに私どもうれしく聞いたのであります。でき得るならば今年の減税からもその趣旨を実現していただきたいと思うのであります。
次に、これは事務的な問題でありますので、事務当局にお答えをいただきたいと思うのでありますが、町村の徴税事務能力の問題であります。今日地方団体に相当税の額がよけい参りまして、財源といたしましては豊富になつておるのでありますが、しかしながら徴税能力につきましては、十分な発達がしていないのであります。今年予定されました額を一挙にとるということにつきましては、なかなか市町村の税務機構がそこまで拡充して行かないのではないかということを、私どもおそれるのであります。幸いにと申しますか、不幸にしてと申しますか、地方税の実施が少し遅れましたので、地方には多少余裕ができたと思いますが、何と申しても、市町村におきましては、市町村民税と固定資産税という大きなものが今日目前に残されております。特に対法人関係と申しますか、固定資産税の問題に関しましては、これから非常に困難な仕事が残つておるのでありますが、これを一挙に今年においてやられる、多少暫定的な方針を採用して緩和せられたあとは見えるのでありますが、しかしこれは実際においては容易でないということを、私ども痛感するのであります。でき得るならば、これを漸進的に順を追うてやつて行くというお考えをお持ちになることはできないかどうかということを、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/66
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067・鈴木俊一
○鈴木政府委員 町村の徴税能力につきましての御心配でございますが、これはまさに御指摘の通り、町村といたしましては、よほど一生懸命に徴税の問題を考えて行かなければならぬと私どもも考えております。固定資産税のうち土地家屋に対する分につきましては、従来の地租なり家屋税なりの基礎がございますから、これは比較的簡單だと思いますが、償却資産につきまして一番問題があるわけであります。今回前国会に提案をいたしました案につきまして、ことに償却資産の価格の算定の方法につきまして、仮決定という簡便な方法をとりまして、大体限度額の七〇%を越えておりますならば、各納税者側の出して参りました再評価額なり、あるいは見積額、あるいは帳簿価格というものをおおむねそのまま押えてきめるというような形にいたしましたので、これは時期的に遅れて参りましたための便法ということもございますが、同時に町村の徴税能力等の実態をも勘案して訂正をいたした点でございまして、これらの点につきましては、御心配の点をある程度除去いたしておるつもりでございます。しかしいずれにいたしましても、まつたく固定資産税、ことに償却資産に対する課税につきましては、町村としては相当積極的にやつてもらわなければならぬと思いまして、この点は地方財政委員会等とも今連絡をいたしまして、遺憾のないように極力努力いたして参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/67
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068・床次徳二
○床次委員 市町村民税のうちの所得割でありますが、今度の改正案におきましては、法人に対して所得割でなしに、均等割のみを認められております。この案が発表せられまして以来、各方面の意見を聞きますと、この点につきましては、いまだに相当議論が多いのであります。法人に対しましても、ある程度までの所得割をとる方がよかろうという意見を、少からず聞くのでありまして、私も現在の状態におきましては、なお法人からも所得割をとることが、必要ではないかという感じを、依然として持つておる次第であります。今日法人に対しまして、法人税その他において課税せられ、また地方税におきましても、附加価値税あるいは固定資産税等について、いろいろの税はありまするが、現状から見ますると、なお法人がある程度まで軽いのではないかということで、政府当局におきましても、でき得る限り法人に重課したいという点が、附加価値税等の論議の場合においても、政府の御所見として見えておるのであります。今日附加価値税が一年延期になつておるというような場合にありましては、ある程度までこれにかわるべきものが、市町村民税におきまして、法人に対する所得割という形において現われて来ることも、むしろ均衡上はさしつかえないのではないかとも思うのでありまするが、この点に関しまして、政府の御所見を伺いたいと思うのであります。なおでき得べくんば、法人というものに対する課税の目標を大体どういう形において押えて行くか、個人との差がありまするならば、どういうところに差をつけて法人の所得に当つて参るかということについて、承つておきたいと思うのであります。今日の地方税の様子を見ますと、実は対法人の税金の非常にむずかしい部面が、地方税の方に移つて来ておる。国の方は楽な取立てをやつておつて、法人というむずかしい相手に対しまして、地方団体が立ち向わなければならぬというところに、相当大きな問題が残されて来ているのではないかと思うのであります。たださえ法人は脱税がしやすいというような場合に、地方団体が十分な徴税能力を発揮して遺憾のない事務を行えるかどうか、この点もまた一つの問題があると思いますが、当局の御意見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/68
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069・鈴木俊一
○鈴木政府委員 市町村民税の均等割の問題についての、第一のお尋ねでございますが、法人につきましては、すでに御承知のごとく、シヤウプ勧告の中におきましては、法人税に対する課税が、従来非常に重課されているというようなこと、また法人に対する税法の扱い方といたしまして、法人自体に課しまするよりも、法人から個人の手に渡りました際において、そこで捕捉をして課税することが、より望ましいというような考え方が現われておりまして、そういうような考え方から、法人税の軽減とか、あるいは配当利子につきましての軽減の問題等が出ておると思うのでございますが、市町村民税につきましても、そのような考え方から、法人は均等割をむしろはずすべきであるというような趣旨のととが、たしかシヤウプ勧告の中にもあつたと存ずるのであります。ただ私どもといたしましては、そのようなシヤウプ博士の勧告をそのまま取入れませんで、やはり法人に対してもこれは均等割を課すべきであろうというふうに考えたのであります。その理由といたしましては、やはり法人に対しましては、今御指摘のごとく所得割をかけない建前にいたしておりまするので、その結果といたしまして、法人に対する市町村民税だけの課税の税負担の軽減が、一割五分なり二割なり非常に少いものになりますので、反面均等割だけでもこれをかけていいのではないかということを考えましたのと、また法人といたしましては、やはり市町村において工場を持ち、事業場を持ち、あるいは事務所を持つということの結果といたしまして、やはり市町村から各種のサービスを受けるものであるから、少くとも負担を分任するというか、あるいは応益的な面におきましての均等割だけはかけていいのではないか、少くともその程度のものは出してしかるべきであろうということで、法人に対しても均等割をかけるように立案をいたしたのであります。この点はシヤウプ勧告の意見とは違つておるわけでございますが、その点につきましては、ただいま床次さんのお述べになりましたような考え方もしんしやくをいたしまして、そういうように、原案におきまして、すでにシヤウプ勧告案に訂正を加えておるのであります。それ以上に、さらに均等割のみならず、所得割をかけたらどうかというような趣旨の御議論と存じまするが、これは先ほど最初に申し上げましたような趣旨から、シヤウプ勧告の精神をくみまして、法人に対しては所得割はかけない、かように考えた次第でございます。
法人に対する課税の問題というのは非常にむずかしい。そのむずかしい面が、今回の改正案によると、地方団体が負担しなければならぬことになつたという点は、まさにその通りでございまするが、しかしながら一番むずかしいと思われまする附加価値税は、市町村ではありませんで、府県の責任になつておりまするし、府県におきましては、従来事業税というものをとつており、これにつきましての徴税の技術的な経験も、府県の徴税職員はある程度持つておりまするので、そういうものを基礎にいたしまして、訓練をいたして行きまするならば、ただちに理想通りには参らぬといたしましても、逐次改善され、理想の目的に達し得るのではないかというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/69
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070・門司亮
○門司委員 これはあとで審議する上において非常に参考になると思いますので、一応聞いておきたいと思うのでありますが、大臣にちよつとお聞きしておきたいと思いまするのは、市町村民税の意義であります。私がこういうことを聞きまするのは、今までのいわゆる県民税、市民税の徴收の方法と非常に異なつております。それは従来の県民税、市民税というものは、当然法人が含まれておりましたし、それから個人の場合におきましても、單に均等割と所得割でなくして、その中には資産割が当然入つておつた。今度はそういうものが大体除かれておりますので、今度の市町村民税の意義というものに、多少の疑義を持つて来たのであります。それはなぜかと申し上げますると、法人がシヤウプ勧告案には書いてなかつたが、しかし政府は書いたと申されておりますが、従来の割合から申し上げますると、非常に大きな差を持つておる。ほとんど法人に対しては申訳だけであつて、実質的にはかけないといつてもさしつかえない程度であります。そうなつて参りますと、従来はこの県民税、市民税というものが均等割を含んでおつた、また均等割を認めておつたということは、お互いが共同の生活を営みますために、こうしたものも一応必要ではないか、いわゆる税の性質は公課的の面を多分に持つておつたものだ、こういうふうに心得ておつたのでありますが、その要素の中から法人が除かれ、資産が除かれて参りますと、そういう性格が非常に薄れて来たように感ずるのであります。従つて従来の県民税あるいは市民税と意義の上で多少私どもは疑義を持つようになつて参りましたので、実はこういう御質問を申し上げるのであります。そのつもりで市町村民税の新しい意義について、何か特別のお考えがありまするならば、ひとつ御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/70
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071・岡野清豪
○岡野国務大臣 お答え申し上げます。市町村民税の意義でございますが、これはもととあまりかわりませんが、税制を改革いたしましたにつきまして、資産割を除きましたことは、資産割に匹敵しますところの固定資産税がとられることになつておりますから、重複になるという意味で除いたわけであります。それから法人にはシヤゥプ勧告には除いてあつたけれども、かけることになりました。しかしこれが法人の性格のアメリカにおける考えと、今までの日本における考えとの差でございまして、アメリカの方の考えといたしましては、法人というものは、その法人を組織しておる株主とか何とかいうものが持つておるものであつて、そういうものに税をかければ、法人自体にそうかけなくてもいいのではないかというような意味で、法人は市町村民税から除かれておつたのでございますが、やはり市町村民税に籍を置いて、その市町村の中で仕事をしておるということになりますれば、一応は今までもかけておつたのだから、均等割くらいだけはかけた方が適当ではないかという意味でかけた次第でありますから、御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/71
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072・門司亮
○門司委員 その点、アメリカの考え方はそうかもしれませんが、われわれの従来の通念といたしまして、また現在のものの考え方といたしまして、法人でありましても、個人でありましても、その地方の公共団体にいろいろな迷惑をかけると申しますか、いろいろな施設その他を利用する面においては、大きければ大きいなりに、小さければ小さいなりにその度合いはかわらないと思うのです。ことに住民はそこで生業を営み、その收益によつて生活をしておる。法人といえどもやはりそこに生活しておることには間違いはないし、また收益を得ておることも聞違いはないのであります。従つてこれらのものについては、従来われわれが考えておつたような考え方で、当然これに課すべきであると考えております。市町村民税が、そうしたことでかけられたというのでなく、私が申し上げておりますことは、先ほどから申し上げておるような意味で、この税金はお互いの生存しておることのために、共同の施設その他を利用することのために、申しまするならば、公課的の性質を多分に持つておると思う。いわゆる租税という形を一面で持ちますと同時に、これはお互いの義務的なものではないというようなことで、従つて今回均等割がたくさんかけられておるということも、そこから来ておると思うのです。そういたしますと、法人を除いたということに大きな欠陷があるのではないかというように考えられますので、もう一度伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/72
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073・岡野清豪
○岡野国務大臣 一応門司さんの御所見は了承できるのでございますが、やはり均等割をかけますることは、負担分任の意味からかけることになる。それから法人に所得割をかけないということは、これはアメリカ式の考え方と同時に、今度できました附加価値税によりましてそれが補われる、こういう意味で所得割は除くことになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/73
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074・門司亮
○門司委員 その点、附加価値税は、法人ばかりにかけておるのではありませんで、個人にもやはりかかつております。それからその他の固定資産税におきましても、何も法人ばかりに特別にかけておるものではありません、個人にもかかつておる。そういうことからいえば、同じことだと思う。特に法人だけを安くするということはないと思う。特に今回の国の税制を見て参りましても、法人の減額されておりまする高は、総額において昨年度よりも相当大きな開きを持つておるのであります。御承知のように昨年の法人税は、国税におきまして大体五百億とられておりますのに、本年度は三百八十六億しかとつていない。その間に百十四億という数字は、明らかに法人には減税になつておるのであります。だから大臣も言われるように法人から少しも余計に税金をとつておるとは考えられないので、あまりに法人に対する税金のかけ方が少な過ぎるのではないか、個人をいじめ過ぎる形が出ておるのではないかという感じを実は持つておるのであります。従つて大体の意義についての議論は、これ以上申しましても、あるいは大臣のお答えはないかもしれませんが、私どもといたしましては、ただそうした公課的のものであるならば、やはりそうした意味から申しましても、当然法人にかけるべきであるということを、ひとつお考えを願いたいと考えておるのであります。
それから最後に了承をしておいていただきたいと思いますことは、市町村民税の意義の解釈は、大体私が申しましたような公課的な性質を持つておるものだというふうに解釈してさしつかえないかどうかということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/74
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075・岡野清豪
○岡野国務大臣 門司委員の御意見に了承いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/75
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076・藤田義光
○藤田委員 大臣が御用があるようですから簡單に伺います。地方税審議の途上において、この際ぜひとも念を押しておきたいことがございます。昨日池田大蔵大臣の答弁を見まして、大体において大蔵大臣も認めた重大な点でございます。御存じの通り、先般閣議におきまして、二十六年度の予算編成方針を決定した。そのうちの重要な一項目に、明年度から災害復旧の国庫負担はやらぬというようなことになつております。御存じの通りシヤウプ博士が国会にこの税法を勧告いたしました際において、災害復旧の国庫負担を全額認めよということを、その裏に強力に勧告いたしております。いわば新税制の片一方の車輪をなす重大な新機軸でございましたが、明年度の予算編成方針では、これを廃止するということでございますと、われわれが現在審議いたしております地方税法の体系というものが、根底からくつがえることになるわけでございます。この点は大臣が新任早々でございましたが、どういう経緯でああいう閣議決定があつたのか、はたして従来通りにもとに返すというふうなことを、どの方面から希望されてああいう決定がなされたか、伺つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/76
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077・岡野清豪
○岡野国務大臣 お答え申し上げます。閣議決定事項といたしまして、明年度の予算編成方針のうちに、災害復旧費を将来それから除くというような一項目があるのでございますが、これは御承知の通りに、予算編成の方針でございまして、今後具体的に予算の編成をいたしますときに、数字に現われて来るわけでございます先般大蔵大臣はどういう答弁をいたしたか存じませんけれども、今藤田さんの仰せの通りの状態でございますから、やはりあれは二十五年度の特例ではございましたけれども、二十五年度同様にやつて行かなければならぬという考えを私は持つております。そういう考えでございますから御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/77
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078・藤田義光
○藤田委員 非常に良心的な御答弁で、ぜひともそのお気持で、今後あらゆる場合に処していただきたいということを強くお願いいたしておきます。どうも昨年の配付税で、地方公共団体は苦杯をなめておりますので、再び新しい税法は出ておるが、重大な特権は失うというようなごまかしの政治をやつたということになりますと、事態は非常に重大であると考えております。
次にお伺いしたいのは、先ほど門司委員からも発言がありましたが、シヤウプ勧告によりますと、市町村民税で、法人には均等割も所得割も一切課さないという方向になつておりましたのを、均等割だけは賦課するということになりました点は、政府原案の進歩であるというふうにわれわれは考えております。法人に対する見方が、アメリカと日本では違いますから、この点に関しましては、日本的な修正をされたことに敬意を表しておきますが、この市町村民税を概観いたしますると、所得税額の一割八分を所得割として賦課するという、非常に高い税率になつております。今回地方財政委員になりました木村清司氏のごときは、名前は市町村民税である、従来の住民税であるが、実質においては地方所得税であるということを、はつきり日本租税協会から出しましたシヤウプ博士の総合研究の著書において言明いたしております。地方税制の権威である木村さんあたりが、市町村民税は地方所得税であるというふうな解釈をされております。大臣の先ほどの御答弁によりますと、負担分任の精神を生かしまして、従来の住民税のそのままであるというような印象を受けましたが、この点に関しましては、私は住民税の本質というものが、相当飛躍して来ているというふうに解釈しているのですが、この点の御答弁を願いたいと思います。実はこういうふうな所得税額の一割八分もとるということになれば、何と申しましても、法律は大衆に直接訴えるような形式をとつた方が、最も実施しやすいわけでございますから、むしろ市町村民税という名前を廃止いたしまして、地方所得税という名前をとつた方が、税の内容に符合したものではないかというふうにわれわれは考えておりますが、この点に関する大臣のお考えを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/78
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079・岡野清豪
○岡野国務大臣 お答え申し上げます。市町村民税の中に所得割を含んでありますが、これはやはり地方所得税の意味を持つておるものでございますから、お説のように市町村所得税とでも申していいのではないかとも言えないことはございませんが、せつかく市町村民税として原案を出しましたのですから、名前の点はこれで御了解を願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/79
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080・松本六太郎
○松本(六)委員 ただいま藤田委員の御質問にありました災害復旧費の全額国庫負担をやめるという問題は、これははなはだ重大であると思うのでありまして、ただいま国務大臣は従来通りの方法でやつて行きたいという希望的な御意見はありましたけれども、これは少くとも閣議決定になつておりますところの重大なる予算編成方針であります。従つてわれわれは大臣の今後の御努力に期待することはもちろんでありますけれども、さようにこの決定された方針がやすやすと変更されて、われわれの期待するような、いわゆるさきに決定せられております全額国庫負担ということにはなり得ないのではないかという点を、非常に心配いたすのであります。そうなつて参りますれば、今審議いたしておりまする地方税法案というもの全体がくつがえされて参るという、非常に大きい問題でありますので、これは少くともごく近いうちに、この閣議決定の方針なるものをすみやかに変更していただかなければ、われわれはこの審議は安心してやれない、かように思うのであります。この点御所見を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/80
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081・岡野清豪
○岡野国務大臣 お答え申し上げます。先ほども申し上げましたように、編成方針でございますので、最終決定にはなつておりません。でございますから、皆様の御期待に沿いますように、地方自治団体が財政的に十分拡充されますように、私は全力をあげて努力いたしたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/81
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082・藤田義光
○藤田委員 ただいまの問題は、岡野国務大臣の初の大仕事でございますから、ぜひともひとつただいまの御答弁通りに実現を、われわれは期待いたしております。きのう池田大蔵大臣にお尋ねしたのですが、もし災害復旧の全額国庫負担という線がこわれると、地方税に大きな影響があるということをはつきり認めました。そうなりますと、今審議している税法というものが、非常に妙なものになりますので、この点はぜひとも十分善処していただきたいと思います。
それからお伺いしたいのですが、この均等割を法人と個人で一対三の比率にされました根拠、それから人口によつて四百円を最低限にされました根拠が何かありますかどうか、大臣からお伺いしたいと思いますが、この点は後刻政府委員からお聞きしたいと思います。
それでは次にお伺いしたいのは、市町村民税の捕捉の問題でございます。この捕捉率を、提出になりました資料にはいろいろ書いてございます。これはどういう根拠で七〇%あるいは九五%という率をきめられたのか、いわゆる收入見込額から逆算されまして、従来の実績を見られたのであるか。おそらく政府当局の勘から、こういう捕捉率が出たとは思いませんが、この点は税法全般に影響する非常に重大な点でございますから、大臣から個々の捕捉率をお聞きしておるのではございませんで、全般的に見て捕捉率というものはどういう観点からきめられたのか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/82
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083・岡野清豪
○岡野国務大臣 これは今までの徴税の実績、経験から割り出した、一言にして申しますれば、藤田さんの御意見のように、勘で行つておるわけでございますけれども、その勘は、やはり過去の数字がその勘を組成した要素である、こう御了承を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/83
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084・立花敏男
○立花委員 第七回国会におきまして、本多国務大臣から、住民税の累進の問題につきまして、御確言は得ているわけなんでございますが、本国会で特にまた新しく長官になられました大臣から、住民税の累進の問題について、前に本多国務大臣がお答えになりましたことと同様の御明言を得ておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/84
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085・岡野清豪
○岡野国務大臣 お答え申し上げます。所得税というものを基礎にして割り出しておりますから、自然累進的の性質を帶びて来ることと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/85
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086・立花敏男
○立花委員 そういう意味ではございません。本多国務大臣の言われましたのは、新しく所得税が累進的になつているから、イコール住民税も累進的になるのだというのではなしに、新しく住民税として累進的にやつてもいいというふうなはつきりしたお言葉でございました。これは再三再四確認をしていただきました問題なんでございますが、今の大臣の答弁とは大分違いますので、もう一応御確言願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/86
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087・岡野清豪
○岡野国務大臣 そういうことはございませんから、事務官から詳しく御説明申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/87
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088・鈴木俊一
○鈴木政府委員 所得税自身が、すでに累進的な形になつておりまするので、それを課税標準にいたしまして、さらに市町村民税の税率を累進的にとりますことは、これは適当でない、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/88
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089・立花敏男
○立花委員 お考えをおかえになつたのならば、おかえになつたと言われてもけつこうでございますが、しかし前はそういう意味ではない。これは速記録をお調べになれば、はつきりわかることですが、この点はこういう問題がありますので、再三再四御確認願つて決定したのでございましようから、それをお考えがおかわりになつたならおかわりになつたでけつこうでございますが、そういうことは言つていないという問題になりますと、これは重大な問題でございますので、速記録を調べてやらなければならぬと思いますが、もう一度ひとつその点を……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/89
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090・鈴木俊一
○鈴木政府委員 市町村民税の捕捉の方式としては、この案におきましては、御承知のごとく三つ考えておるわけであります。そのうち二十五年度におきましては、所得税を基礎にする案だけをとることが認められる、こういうかつこうに立案しておりますが、来年度以降におきましては、課税総所得金額なり、あるいは課税総所得金額から税引きの残りを押える、この二つの方法がさらに許されるのであります。あとの二つの方法につきましては、それ自身といたしましては生の所得を押えておるのと大体同じでございますから、そういうものに対して、ことにこの課税総所得金額のみをとつておるような場合におきまして、市町村民税に対して累進税率をとるということは、これは考えられることであります。しかしもちろん制限税率がございますから、その制限税率の範囲内においてこれを考えるということでなければならぬのは当然でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/90
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091・立花敏男
○立花委員 私の言つておりますのは、制限税率のわく内での累進税、その点は大臣もお認めになつております。あるいは均等割につきましても八百円でございますが、これは三つぐらいの段階にわけてもいいのではないかということを付加して申されておるのでありまして、私は無制限の累進税率を言つておるのではないのであります。制限税率のわく内の累進税率ということを言つておるので、この点は前に本多国務大臣も御了解になつたと思いますから、その範囲内で大臣が新しく確認願えるかどうか、ちよつとお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/91
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092・岡野清豪
○岡野国務大臣 お答え申し上げます。先ほども事務官から申し上げましたように、制限以内においては累進になると申し上げました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/92
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093・立花敏男
○立花委員 それでけつこうなんです。その通りのことを私前に本多国務大臣にお尋ねいたしましたので、その点を御確認願つたことにしておきます。
それから根本的な住民税の問題でございますが、御承知のように所得税がかかつて参ります。それから事業税で、これも所得を調査してかかつて参ります。さらに住民税で所得税の一八%がかかつて参ります。こういうふうに折重なりまして所得税、事業税、住民税と申しますように、所得を中心といたしまして、非常に大きな負担が重なつて参ります。しかも累進になつておりますのは所得税だけでありまして、事業税にいたしましても、あるいは住民税にいたましても、大体の方針は累進にならないわけであります。そういうように所得を基礎として重大な負担がかかつて来る。しかもそれが累進ではない形でかかつて来る分が多いのであります。これはいわゆる所得の少い者にとりましては、非常に大きな負担になりまして、ここから、大所得者と僅少な所得者との間に、非常に大きな実際上の税の不均衡が生れて来ると思うのであります。こういう意味で、住民税の所得割というものは、もう一度考え直していただく必要があると思いますが、この点についての御意見を伺つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/93
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094・岡野清豪
○岡野国務大臣 ただいまのところでは、これを変更する考えは持つておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/94
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095・立花敏男
○立花委員 変更するか、しないかはともかくとして、こういうふうな税の不均衡がこの問題から生れておるということを、お認めになつておられるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/95
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096・岡野清豪
○岡野国務大臣 総合的に見まして、地方税として均衡がとれておると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/96
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097・立花敏男
○立花委員 それからこの問題と関連いたしまして、もう一つ起つて参ります問題は、この住民税も事業税も、大体所得税に関する資料を基礎としてかけられて参るわけでありますが、こういうことでは、地方の独立税、あるいは地方財政の自主権ということから見て、非常に中央依存になる傾向が強いのでございます。この点でやはり名実ともに地方の独立税、地方の自主的な税体系というものをお考えになる必要があるのではないかと思いますが、この点の御見解をお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/97
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098・鈴木俊一
○鈴木政府委員 御指摘のように、なるべく地方団体において独自の課税標準を基礎にした種類の税を考えたらどうかということは、地方自治の上から望ましいことであるのでありますが、市町村民税につきましては、先ほどもいろいろ御議論がございましたように、国におきまして所得税を軽減いたしまして、その相当の部分を地方に委讓し、地方所得税的な要素をも加味して市町村民税を創設いたしたような関係もございまして、やはり市町村民税といたしましては、資産割によつて資産を基礎にいたしまするか、あるいは所得を基礎にいたしまするか、このいずれかと思いますが、資産については、固定資産税というものが一方において立てられておりますので、それを基礎にしてさらに別の税を考えるということは困難であります。また所得というものについて、直接押えているものもありませんので、この所得というものを基礎にいたしました税を置いて、市町村民税につきましては、特にそのような直接税的な要素を加味し、自治に対する関心を深めることが必要であろう、かように考えたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/98
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099・立花敏男
○立花委員 修正案につきましてお尋ねしておきたいと思います。住民税につきましては、ほとんど何らの修正も加えられていないと申しても過言ではないと思うのでございますが、固定資産税あるいは附加価値税などにつきましては、若干の修正がございますのに、どういうわけで最も勤労大衆に関係の深い住民税の問題にお触れにならなかつたか、この問題をどういうわけで修正されなかつたか。これは修正案の根本的な性格を示す問題であると思いますので、御意見を聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/99
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100・鈴木俊一
○鈴木政府委員 この点はたしか予備審査の際でございましたか、その後もいろいろ政府委員から御説明を申し上げたと存ずるのでありまするが、今回の地方税法案におきましては、前国会に提案をたしました点の中で、特に提案の時期が遅れました関係で、賦課期日あるいは納期等について調整をいたしました点と、さらに固定資産税の税率及び償却資産の評価の方法の変更が第二であります。第三に事業税特別所得税を附加価値税の延期のかわりにとる。この三つの修正の点だけに限つたわけでございまして、これは政府といたしましては、現段階ではこのような程度の訂正で、今度の国会でも御審議を願いたいというふうに決定をいたし、提案をいたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/100
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101・立花敏男
○立花委員 繰返すようですが、もう一点だけお伺いいたします。昨日池田大蔵大臣は、災害復旧費を全額国庫負担にすることは一部弊害がある、こういう意味で閣議決定方針として、全額国庫負担は今年度だけに一応とどめる、こういうことをおつしやつたのであります。その弊害が起るとおつしやるのは、つまりどんどん地方からそういう要求があつた場合に、全額国庫負担ということにすると、非常な莫大な費用になるから、不必要なところにも、緊急を要しないところにも出るという意味ではないかというふうに、大体きのうのお話で伺つたのであります。そういう点に対して、ただいま岡野国務大臣は、そうではなくて、あくまでも全額国庫負担の線で今後もやつて行くとおつしやるのでありますが、どういうふうな考え方でこの問題に臨まれるか、この点をひとつお伺いしたいと思います。
それからもう一つは、今すでに来年度予算の決定方針として、一応来年度は全額国庫負担をやらないということになつているわけでありますから、岡野国務大臣が相当がんばられましても、あるいはそうでなくなるかもしれない。その場合には、当然この地方税制の根本的な点について、非常に大きな基礎がくつがえるということになると思いますが、そういう点について、もしもそうなつた場合には、この地方税制に対してはどういう態度をとらなくちやならぬと思われるか、この二点について国務大臣の意見をはつきりお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/101
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102・岡野清豪
○岡野国務大臣 お答え申し上げます。昨日大蔵大臣がどういうことを申しましたか、実は速記録も見ておりませんし、列席もしておりませんから、存じませんが、あるいはあなたが御列席でありましたら、弊害があるというような言葉が出たかもしれませんが、これは私の関知しないことでございます。あれはどうしても今年度と同じようにやらなければいけないだろうということは、地方財政の強化をはかるためには、やはりそれが必要であると私は感じておるから、そう申し上げたわけであります。そういたして私といたしましては、来年度の地方財政を組むときに善処したい、こう考えておりますから、御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/102
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103・大矢省三
○大矢委員 ちよつと税率の問題だけお尋ねいたしますが、今度の所得割の算出の方法は、御承知の通りに一八%であります。ところが所得税の累進が五十万円で、五十万円以上は五五%で打切られております。これは五十万円までは累進になつておるが、それ以上は無制限に、幾ら所得があつても五五%で打切られている。そこで先ほど立花君も言われるように、少額所得者に対しては、非常な不公平になる、均等を欠いておる。五十万円以上を五五%でとめられたこの所得に対しては、率をもつと上げて、少額の所得者に対しては一八%をさらに少くする意思があるか。これまでは累進になつているが、それが無限に所得があつても五五%でとまつておる、この点は五十万円以上は累進でないのです。少額の所得者に対しては下げ、五十万円以上に対しては上げれば、徴税するにももつと楽にできる。その点はお考えにならないか、承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/103
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104・岡野清豪
○岡野国務大臣 お答え申し上げます。所得税が五十万円で打切られておるということに対する欠陥であるとか、欠陷でないとかいう議論に一致するわけでございます。しかし地方税といたしましては、地方の財政を強化します点において、標準税率というものをつくつて、その間で制限をつくり、その制限以内で累進する程度でやつて行けばいいという考えでやつておるわけでございますから、いろいろ御議論もありましようけれども、この辺のところで、所得税を五十万円で打切つたと同じような立場で御審議を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/104
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105・米原昶
○米原委員 先ほどの御答弁、ちよつとわからなかつたのですが、閣議できまつたことを関知なさらないというのは理解できないのでありまして、そういうことが予算の編成方針として閣議で決定したとすれば、昨日の大蔵大臣の御意見はお聞きにならないかもしれないけれども、なぜそういう方針にきまつたかは、国務大臣として御存じだと思うわけです。それに対してどういう意見を持つておられるかということを私は聞きたいのであります。
それから第二点は全然お答えにならないので、もしも今のそういう全額国庫負担をやめるというようなことになれば、この地方税制に対しては、非常な問題が起つて来るのでありますが、その点について大臣はいかなる見解を持つておられるか、この税制のままでよろしいというふうに思つておられるかどうか聞きたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/105
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106・岡野清豪
○岡野国務大臣 お答え申し上げます。私が関知しないと言つたことを誤解なさつていらつしやるのではないかと思います。昨日大蔵大臣がここでお述べになつたことは、私は列席しておりませんから関知していない、こういう意味です。しかしあの閣議決定方針というものは、一応方針として閣議できめておるわけです、しかし最終的の決定でございません。これからいよいよ予算を編成しなければなりません。そういたしますと、これが来年度の地方財政にどう響くかということを私は考えまして、今の見解でおりますと、やはり全額国庫負担でやつて行かなければならぬ、こういうような感じを持つていますから、必ずこれをできるようにしたい、こういうような考えを持ち、同時に努力したい、こう申し上げたことを御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/106
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107・米原昶
○米原委員 それだけでは、事実上の方針がきまつているとしますと、なかなかその方針が通らぬのじやないか、国務大臣のおつしやるような意見が、そう簡單に通らないじやないかと思われるわけでありまして、その場合にどうなさるかということを聞いているわけなのですが、第二点をもう一度お答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/107
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108・岡野清豪
○岡野国務大臣 来年度の地方財政計画を立てますときに善処するということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/108
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109・前尾繁三郎
○前尾委員長 それでは先ほどの床次徳二君の質疑を続行願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/109
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110・床次徳二
○床次委員 一つ残つておりますから、簡單に御質問申し上げたいと思います。先ほど来、政府委員の御説明もありましたが、この改正地方税法案は、シヤウプ勧告の趣旨、いわゆる税法理論を相当中心に考えておられます。ところどころ日本の実情に合わすように苦心せられておる事実は認めるのでありますが、実際面におきまして、どうもシヤウプの理論だけを尊重することは、日本の実情に合わない。これが今日まで改正税法に対する相当大きな国民の輿論と申しますか、そういう形で現われて来ておるのだと思うのであります。ただいまの法人に対する課税の問題のごときも、その一つの例でありまして、いわゆる税制理論として一貫いたしまするならば、シヤウプ博士の趣旨で徹するのも、一つの行き方であります。しかし日本の実情から見ますると、この点はどうも必ずしもそれだけでは割切れないような気がするのであります。特に今年におきましては、附加価値税につきましては事業税で補い、しかもこの事業税に対しましては、政府におきまして、大企業に対しては負担が軽くなり過ぎるのだということを非常に強く指摘しておられる。そういう立場をとられるならば、たとい今年一年にいたしましても、事業税をとつておる間は、ある程度まで市町村民税におきまして、法人に対して所得割を課するということは、均衡をとる上におきましても、りくつが合うのであろう。理論を申し上げますならば、こういうことも成り立つだろうと私も思うのであります。これはあるいは見解の相違かもしれませんが、そういうことになるのじやないか。税制というものは、私たちは課税理論をこの場合に論ずるのではなしに、日本においていかなる地方税が一番しつくりとして実施でき、また満足して納税することができるかというところに観点を置きまして議論を申し上げますると、むしろシヤウプ博士の理論はともかくといたしまして、多少ずつ実情に合うようになさるのがいいのではないか。特に市町村民税につきましては、この際ある程度所得割を課することが、どうしてもりくつに合うように私ども考えるのであります。ただいままで、ほかの委員からもいろいろ議論がありましたので、重ねて申し上げるようでありますが、その点は実はもう一回お尋ねいたしたかつたのであります。事業税との関係上から見まして、多少調節する要が認められるのじやないか。私は政府が、ことさら事業税になると、大資本が課税を免れる大きな欠陷があるということを強く指摘されますので、そういうことを指摘されるならば、なおさら市町村民税においてカバーしなければならぬ、あるいはそれ以外のところにおいてカバーするならば、法人税化ということが必要じやないかと思うのですが、この点の御意見を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/110
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111・鈴木俊一
○鈴木政府委員 今年度は附加価値税を徴收しませんで、事業税をそのほかにとる。従つて事業税との関係において、市町村民税を、法人につきましても所得割をとつたらいいんじやないかという御趣旨の御議論と存じますが、大企業等につきまして、この事業税が比較的低下されており、あるいはこれを納めないということは、要するに大企業につきまして收益がない、所得がないというところから出て来ておるわけでありまして、そういう面を收益によらず、附加価値額ということから事業の規模を押えまして、事業の物量に応じて、それぞれの府県が提供いたしますサービスの対価として、公益的な附加価値税をとろう、こういうのが附加価値税創設の案の骨子でございます。そういう見地から申しますると、必ずしもただいま仰せになりましたようなことにはならないので、むしろ附加価値税をとることによりまして、所得のいかんにかかわらず応益的にとれる、こういうことが出て来ると思うのであります。従つて附加価値税と改正市町村民税というものは、むしろよりよくマツチすることになろうと思うのでありまして、事業税を存続しておきまする限りは、むしろ所得があるものに対しては、いよいよ所得に対する課税が重圧になつて来るということが言い得るのではないか。従いまして事業税と両方ありまする今日の段階におきましては、むしろ法人に対してはなおさら所得割を課さない方が、所得に対する重圧という点を緩和する点から申したら、よりよいのではないかというように考えられるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/111
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112・床次徳二
○床次委員 ただいまのところは、少し私の見解と相違があると思うのであります。附加価値税は、あなたの言われるように事業の大小に応じまして、しかも応益的見地から課せられるということを言われるのでありまするが、附加価値税は二十五年度においては、これを実施しない、事業税をもつて当てるという形に今日なつておるわけであります。なお地方団体との応益性と申しまするか、関連性を見て参りますると、県に対する関係もありまするが、市町村になりますると、よけい法人と市町村との関係は密接である。なお過去の実績から見ますると、地元に密接な関係を持ちまする法人に対しましては、あるいは特別な寄付とかいうような形におきましても、それぞれ金を納めておる、そういう事情さえもあつたということを見ておるのであります。従つて今日事業税がとにかく府県税として附加価値税にかえられたという場合にありましては、なおさら市町村民税におきまして、その応益的立場におきまして、所得に対してある程度までの負担が課せられるということは、よけい理由があることではないかということを私申し上げる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/112
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113・鈴木俊一
○鈴木政府委員 御見解は御見解として拜承いたしましたが、要するに私ども立案の態度といたしましては、シヤウプ勧告にございました法人につきましては、均等割も所得割もともに課さないという点を、ただいまのような御見解、御主張もあることを承知いたしまして、均等割だけは少くとも法人からはとつた方がよりよいであろうということで、その点の訂正を加えておるような次第でございまして、その事情を御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/113
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114・前尾繁三郎
○前尾委員長 大矢省三君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/114
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115・大矢省三
○大矢委員 今度の所得割の徴收の問題でありますが、今度の法規によりますると、二十五年度の所得割を、所得税額を基礎としてかける。これは事業者の場合は割合捕捉が簡單でございまするが、個人の所得というものは、二十五年度におきましては、今日なお徴收義務者というものが決定していない。そこでこつちに通知がない場合に、それはなかなか個人の場合は捕捉することが困難だと思いますが、これは大体の見込みが立つのかどうか。もつと言いかえますると、事業税の場合には、ただちにこれは前年度、二十四年度に納めた所得税は明らかでありますが、個人々々の所得というものは、なかなか転々としてかわつておりまするし、あるいはまた徴收義務者がまだ決定しておらぬのでございまするから、その住居に向つて通知することは困難であります。ほんとうに捕捉ができるかどうか、徴税技術において困難でないかと心配するのでありまするが、この点を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/115
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116・鈴木俊一
○鈴木政府委員 いろいろ住居の移動その他によりまする納税義務者の捕捉の困難という点は、まさに御指摘のごとくあると存じまするが、市町村民税につきましては、従来よりは、納税義務者の総数は約千九百万、——七百万ばかりふえておりまするけれども、しかしながら市町村といたしましては、市町村民税なる形態の税につきましては、従来からの経験も若干持つておりまするし、そういうようなところから、また徴税陣営をさらに強化いたさなければなりませんけれども、とにかく努力いたして参りまするならば、相当の実績が收め得るものであろう、かように私どもは期待しておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/116
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117・大矢省三
○大矢委員 先ほど来三段階にわかれたいわゆる四百円、六百円、八百円という均等割について、相当問題になつておるのであります。特に大都市は、晝間と夜間の人口が非常に違うのであります。戰災を受けた大都市の復興については、道路衛生、排水その他いろいろなことを公共事業として行わなければならぬ。そういう特殊な財源を必要とするから、おのずから三段階にして、大都市は五十万以上八百円にしたのではないか、これは私の想像でありますが、そういうことになりますると、事実上大都市に対して、そこに收入を持ち、住居の困難なために、近隣の農村に住んで毎朝通つておるということでありまして、ほんとうはその人たちが大都市の恩惠を受け、またその人のために大工場があつたりして、特殊な施設をしなければならぬ。これは個人がその大都市に住居しておるのでないから捕捉がなかなか困難であると思う。しかしそういう費用のいることは事実ですからこれは事業主が何かの形においてこれを納めなければならぬが、住んでいないということのために住民税を納めないが、一番恩惠その他いろいろの施設をしなければならぬのは大都市であります。特にこの点は、何らかの形で捕捉できないものか。そういう晝間夜間の住民の非常な相違のある、しかも大都市として戰災復興に必要欠くべからざる財源の一つの捻出の方法として、何か考慮をされる必要はないか、そのことをお聞きします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/117
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118・鈴木俊一
○鈴木政府委員 御指摘の点は、まさにあり得ることでありまして、大都市と周辺の市町村との間におきまする相互の関係と申しますのは、まつたく緊密でございますし、夜間住所を持つておりまするところと、晝間執務しておりまするところとは、まつたく違うわけでございまするが、しかしこれは全体の市町村民税につきましてだけ、この点の調整を求めますることは、やはり困難でありまして、地方税制全体の問題として考えて行かなければならぬだろうと思うのであります。まあ附加価値税等につきましては、法人なり事業所なりの所在地が大都市に多いわけでございますし、そういう意味では、そういうものを基礎にいたしました税は入つて来るわけでありまするが、それを住所地を基礎にいたしまして、住民に課するという場合におきましては、まさに御指摘のごとく、大都市のいろいろの施設の影響を受けおりながら、実際は税を負担しないということになるわけで、この点はやはり今後の研究問題ではあろうと存じまするが、市町村民税自体の問題といたしましては、さりとて晝間おるところを押えるということは、これまた困難でございまするし、あるいは重複して両方から課税するというようなことも、考えられないことはありませんけれども、そういうこともいかがかと存じまするし、やはり原案のような住所地の市町村民にこれを課するということのほか、今のところ名案がない次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/118
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119・大矢省三
○大矢委員 それからこの納期の問題ですが、七月、九月、十二月、二月となつておるのですが、四回にとにかく分納する。これは地方々々において、條例によつて決定されることであろうと思いますが、完全に徴收しようとしますると、結局これは毎月集金しなければならぬ。それに対しては非常な人件費もかさむし、あるいはこれを立案するにあたつて、そういう四回にはたして徴收ができるかどうかということを調査されたかどうか。それからこの報償金といいますか、前納額に対して千分の五以内の報償金といいまするか、これはまつたく空文ではないか。かりに滯納した場合には、これは利率が下つて、百円に対する四円かになりました。今度千分の五以内というと——さつきおつしやいましたこれに対する報償金の千分の五は、まつたく空文です。ほんとうに実行しようとし、むしろそうすることが納税に非常な協力をするのだという意味から行きましても、私は相当に報償金というものは率を上げる必要がある。その徴收方法を四回にしたこと、並びに報償金の千分の五の制度というものはほとんど空文で、改正する必要があるのではないか、この二点をお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/119
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120・鈴木俊一
○鈴木政府委員 納期の点でございますが、これは勤労所得者の便宜から申しますならば、むしろ月々源泉でとつてもらうというようなことが、一番便宜であろうと存じますけれども、しかし源泉で徴收をするということは、いろいろ困難な点がございまして、原案ではとつておりません。従いましてこういう形で参りました場合に、二回にするか三回にするか、あるいは四回にするかいろいろ論議があろうと存じますが、やはり納税者の所得の状況等によりまして、多い者は回数が少く一回で納めた方が便宜でございましようし、また多くの納税者はなるべく少しずつ出した方がいいということであろうと思います。しかし一方あまり回数を多くわけますと、それだけ徴税費がよけいかかりますので、大体従来のいろいろな税等の関係を考えまして四期くらいにするのが適当であろう、こう考えたわけであります。しかしながら均等割につきましては、納期をそのようにわけることは適当でないと考えまして、一回に納める、こういうような形にいたしております。
それから第二点の報償金の問題でございますが、これは一つの新しい制度でございまして、税がはたして報償に値するやいなやにつきましては、根本的にいろいろ問題があろうと存じます。ただ実際の運用といたしまして、現在地方におきまして、若干この種の制度を採用しているような地方団体もありまするので、またそういうところにおきまする運営の実情は、相当の成績を納めているようにも考えておりまするので、ごく低率の報償金制度であるならば、税に対する観念というものをあまり基本的にこわさないでも済むのではないかというようなことで、この程度のものを市町村民税なり、固定資産税について設けたような次第でございます。一方非常に遅れて納める者が結局において得をするとか、納期後に納める者が得をするということがないように、すでに各種の加算金の制度をつくつておりますので、いつ納めるかということによつて、少くとも制度上ははなはだしい差異がないようにいたしておりまするから、報償金の制度につきましても、そういうような関係からここをあまりふくらませますと不均衡な点が出て来ると考えますので、大体この程度が適当でないかと考えている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/120
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121・大矢省三
○大矢委員 それから個人均等割は、御承知の通り少しでも收入のある個人を対象とするのであります。これもせんだつて来、学生アルバイト諸君が陳情に参りまして、收入のない場合には、戸主に対しての所得税のときにこれが扶養家族としてこのうちに入る。ところが收入が少しでもありますると、扶養家族でないのでありますから、所得税がさらに対象としてかかる、その上に今度また住民税の均等割というものがかかる。これは極端なことを申しますと、未亡人が家庭で内職をして收入があります。そういう人にも免税点がないのでありますから、少しでも收入があれば、大体とつていいということになつております。ところで、それはまた一つの條例で、その地方の財政実情において免税してもよろしいという規定があるのでありますから、これは適当にやるかもしれません。しかし行政措置において、あるいはまた地方の自治体の條例において、そういうものが完全に均等割税を課せられないように、負担しなくてもいいようにできるのかどうか。この規定から行きますと、結局これは收入があるのだから、財政の困難な町村においてはとつてよろしいということになつております。こういうことについて、これを立案した当時、そういうアルバイト、あるいは非常に家庭の苦しい人の家庭内職に対してもかけるということを御考慮になつて、こういう立案をせられたのかどうか。その点を行政措置で行けるか。あるいはこれを完全に実施しようとすると、そういうことは認められないことになりますが、その点をひとつお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/121
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122・鈴木俊一
○鈴木政府委員 今の独立いたしておりませんようなもので、世帶主と同居いたしておりまするような者の所得でありますが、そういうような者に所得がございました場合には、多くはその世帶主の所得と合算をせられて、所得税はその世帶主にかかつて来る場合が多いだろうと存じます。そういう場合におきましては、今の所得のある者という考え方に入らないことになる場合が多いと思います。従つて今の均等割はかからないというような場合が多いのではなかろうかと存ずる次第であります。今の未亡人の場合等におきましては、これは所得が十万円未満でございまするならば、市町村民税はかからないということになるわけでございまして、従つて前年におきまして十万円未満であるならばかからない、こういうことになるわけであります。所得税の賦課の状況につきましては、主税局長がお見えになつておりますから、主税局長からお答えいたすことにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/122
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123・平田敬一郎
○平田政府委員 学生アルバイトの所得につきましてのお尋えでございますが、合算制度と扶養控除の点につきましては、先般から実施しておりまする改正所得税法によりまして、従来と大分違つた関係になりますことを御了承願いたいと思います。すなわち学生等でありまして、一万二千円以下の程度の所得でございますと、この場合におきましては扶養家族としまして、年齢のいかんを問わず、合算はいたしますが扶養家族の控除を認めるのでございます。従来御承知の通り十八歳未満でないと控除を認めなかつたのでございますが、今度の改正税法によりまして、十八歳以上でありましても、所得が一万二千円以下でありますれば、扶養控除を認めることになるのであります。それからさらにアルバイトをやりまして所得がより以上多くなつた場合におきましては、今後は勤労所得に関する限りにおきましては合算いたしません、別に課税することになります。そうしますと、今度の所得税法で本人の分といたしまして二万五千円基礎控除を受ける。従いまして月三千円のアルバイトの收入がある場合におきましては、大体月二千円強を基礎控除といたしまして控除して、残額に対して所得税を課税する。このような関係になつておりまして、昨年と比べますと、アルバイトの收入等に対しましても、大分違つた関係になるということを御了承願いたいと思います。今の陳情がありました趣旨は、そのほかにさらに特別の控除を認めたらどうか。不具者の場合におきましては、御承知の通り基礎控除、家族控除のほかに、不具者は実情が気の毒でございますので、別に一万二千円の特別控除を認めております。学生につきましてもその特別控除を認めたらどうか、こういう希望があるわけでございまして、私どもいろいろ研究しておりますが、晝役所に勤めて、夜学校に通つているというような場合、どうするか。それから晝学校に行つて、ほんとうにアルバイト的な所得がある場合どうするか。いろいろ問題がございまして、簡單でございませんので、今度の改正で従来よりは大分よくなりましたので、不具者としてさらに控除を認めるというところまでは、今のところ行くというわけには参らないのではないかと考えております。しかし不具者の問題とか、あるいは老年者の問題につきましては、家族控除のほかに、不具者と同じような特別の控除をさらにしたらどうかという意見もいろいろございますから、なお将来は研究してみたいと思つております。一応今のところはそのようなことになつておると御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/123
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124・大矢省三
○大矢委員 大蔵省の方が見えておりますから、この機会にお尋ねします。せんだつて私はお聞きしたのですが、地方税あるいは国税を問わず、更正決定があるまで、かりに延滯差押えても、その品物を公売しない。そうして決定していよいよ納める場合には、その品物がなかつたということになりますと、非常な困難を来す。それからいま一つは滯納処分に対する費用、徴收の事務というものは、これは大蔵省国税庁でやるべきである。それを滯納したからといつて、大きなトランクを持つて行つて、事実上押えてみたら何もなかつた、あるいはわずかなものを押えて、その費用を差引いてしまうと一厘も税金は納まらない。特別に何か補償金制度というものをつくつて、最近やたらにこの物納の処分をしたり、あるいは差押えの処分をして、その人たちの手を経るたびに手数料を出して、結局本人に対しては一つも税金は軽くならない。国にも納まらないということで——一体徴税事務は国税庁あるいは政府がやるのでありますが、その費用は実際国が負担して、ほんとうに本人から取上げたものは税金の中に入るということに、もし法的に何かできないことがあるならば、それを改正するとか何かの形にしないと、今申しました二つの点、徴税に関する費用、さらに更正決定がされない前に物を処分する——差押えはこれはやむを得ません。しかしそれを処分してしまうと、いよいよ決定したときにはその品物は自分の手にもどらないということが——日本の家族制度には、金銭にかえがたいいろいろなものがありますから、こういうことが特に私は考慮される必要があると思います。それが数箇月を待つことができずして、処分することがあると私どもは考えるのですが、こういうことの実際問題で、今日苦しんでおりますから、この機会にひとつお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/124
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125・平田敬一郎
○平田政府委員 お話は、二つの問題のようでございます。一つは滯納になりまして督促をし、差押えをし公売をするといつたような場合において、滯納処分の費用を納税者に負担せしめるのはむりじやないか、こういうお話でございますが、大部分の納税者は、実は滯納し、差押えし、かつ公売をするというところまで行かないで、納税してもらつておるわけでございます。事情どうにも行かないような場合におきまして、やむを得ず差押えをいたしております。差押えは、御承知の通り相当な件数になつておりますが、公売まで行きます例は、実は全体のケースから行きましても非常に少い。私どもは、できますれば公売なんという処置はやらなくて納まるようにしたいと、実は極力努めておるわけでございますが、なかなか今の実情はそうも行かないので、お話の通り若干公売いたしまして、それによつて徴收しておるものも、遺憾ながらございます。しかしそのようなものは、私は将来税が合理化され、それから納税思想が発達し、同時に経済の状況がよくなりますれば、徐々によくなつて来るんじやないかというふうにも考えます。そういう場合におきまして、費用を全然政府が負担してしまうということになりますと、これはやはりむりして金をつくつて納められた人たちの間におけるバランスも失しますし、公売に要しました費用は、やはり納税者の方で負担するというのが、行き方としては妥当なんじやないかと思います。
お話の第二の問題でありますが、いたずらに公売をして税金を徴收するというのは、実は能じやないのでありまして、なるべくそういうような方法によらないで行くべきである。従いまして、この税金がまだはつきりきまらないのに公売してしまうというようなことは、これはよほど異例の場合でないと、実際問題としてやるべきでないし、またやつていないんじやないか。大体審査の請求等がありました場合におきまして、一応解決に相当時日を要する場合がございます。そういう場合におきましても、やはり財産の差押えというのは、ある程度捕税のためにやつておりますが、公売するということは、よほどのときでないとやるべきでない。そういうことによりまして、お話のように不測の損害を納税者に及ぼすようなことは極力避けねばならない。御承知の通り予定申告の段階につきましては、差押えはできますが、法律上公売はできないということになつております。ただ確定申告の段階及びそれに対する決定の場合におきまして、法律上いかなる場合といえども公売できないということまで行きますのには、まだどうも少し仕事の運びが完全に至つていないようでありますので政府としましてはいたし方ないと思います。運用につきましては、今申し上げましたように、お話の趣旨にのつとりまして、不当に納税者に損害を及ぼすことがないようにしたらどうであろうか、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/125
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126・立花敏男
○立花委員 御趣旨非常にごもつともですが、それを通達か何かの形で下部の徴税機構へお流しになるお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/126
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127・平田敬一郎
○平田政府委員 公売で売却処分をやります際の方針としましては、なるべく私が今申し上げましたような方針でやることになつておりまして、実際ある場合といたしましては、よほど特別な事情によりまして、納税者が最初から納税の意思がなくて、非常に、何と言いますか、所得があることが明らかであつても、審査の請求を出して頑強に納税に抵抗する、こういうような場合におきましては、これはやむを得ず、場合によりましたら強行手段に訴える場合もあるかと思いますが、そうでない限りにおきましては、極力今申し上げましたような趣旨でやるように、従来からも注意いたしておりますし、また今後におきましても、当然そうやるべきものだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/127
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128・立花敏男
○立花委員 御趣旨は非常にはつきりわかつてけつこうなんでございます。それをはつきりした文書の形でお出しになる御意思があるかどうか、できたらひとつ出していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/128
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129・平田敬一郎
○平田政府委員 従来におきましても、そういう趣旨の方針はたびたび通達いたしております。今後におきましても、もちろん私どもとしましてはそういう方向で行くべきだと思つておりますので、極力趣旨の徹底をはかりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/129
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130・立花敏男
○立花委員 ちよつとお尋ねしておきますが、所得税を納めている人間の数は何人くらいおりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/130
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131・平田敬一郎
○平田政府委員 昭和二十四年度におきましては、源泉課税の納税者が約一千百万人、それから申告所得税の納税者が約六百五、六十万、約七百万人弱、合せまして千八百万というのが二十四年度の所得税の納税者の数であります。二十五年度におきましては基礎控除、家族控除の引上げ等によりまして、免税点以下になるものが大分多いようでございまして、大体三百万人か四百万人くらい納税者の数が本年度の所得税において減少するものと見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/131
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132・立花敏男
○立花委員 ところが住民税は二千万からもとるのでございますが、これはどういうことでございますか。所得のない者からとるということになるのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/132
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133・鈴木俊一
○鈴木政府委員 これはただいま主税局長のお話のありましたように、千八百万人所得税の納税者があるそうでありますが、国税の方は今お話のありましたように、それぞれ基礎控除があります。住民税の建前といたしましては、要するに前年所得のあつた者には課する、こういう建前であります。しかもその点は均等割であります。従つてその数よりはやはり多い。今二千万ということでございませんが、大体千九百万くらいの数にわれわれは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/133
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134・平田敬一郎
○平田政府委員 ちよつと私から補足的に申しておきますが、所得税の基礎控除は二万五千円でございますが、家族控除を加えて御判断にならないと、免税点の問題は解決しない。家族控除は一人一万二千円でございますから、たとえば農家等で扶養家族の五人くらいある世帶が相当あるようでありますが、そういう場合になりますと、一万二千円に五をかけました六万円と二万五千円、つまり八万五千円までは所得税がかからないということになるわけでございます。勤労所得税の場合におきましても、所得の一割五分の控除がある。そのほかに家族控除、基礎控除がございますから、都会ではあまりございませんが、いなかにおきましては、今度の大幅改正で免税点以下に落ちる階級が相当あるようでございます。單によく免税点を基礎控除だけで御判断になる向きが多いのでございますけれども、家族控除の関係で非常に納税者が左右されるということもあわせて御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/134
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135・立花敏男
○立花委員 非常におかしいんです。大体二千万人くらいから住民税をとるわけなんですが、それよりも所得税を納める者の方が数百万人少いというのであります。これはどうも私納得行かない。所得税をとつた上でまた住民税をとるのですから、とられる方が減るのはわかるのですが、ふえるというのはどうもわからぬ。ここに私は住民税の苛酷性がはつきり現われているのじやないかと思う。だから全然所得のない者からも取立てる税金であるということが、この数字の上から出ているのじやないか。事実均等割などは、一文も所得のない者からもとりますので、こうなつて参りますと、数百万人の所得のない者から税金をとるということがはつきり現われておるわけであります。これは非常に重大な問題なんで、どういうところでこういう数字の食い違いが出て来るか御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/135
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136・平田敬一郎
○平田政府委員 私から申し上げますが、さつき申しましたように、所得はあるが、所得税の控除の関係で課税されない人が相当多い。現実に今申しましたように、今年の改正だけで三百万人くらいおつこちてしまう、こういう関係になりますから、やはり私は所得税は納税著として失格するが、均等割くらいは納めていい方が相当あるじやないか。さらにさしさわりまして生活保護を受けるような段階になりますと、住民税は課税しない、そういうことになりまして、不自然でも何でもないじやないかと私は考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/136
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137・立花敏男
○立花委員 じや何のために免税点をおつくりになつたか。免税点の関係は、飯も食えない者に対する免税点たと思うのですが、そういう免税点を置きながら、その免税点を越えて、やはり税金をとつておるということが、はつきり数字の上に現われておる。均等割くらいとおつしやられますが、飯も食えない者にとりましては、東京で八百円と申します数字は、決して少い数字じやございませんので、こういう所得税を免除されているような階級、何百万人もの連中から、こういうものを取立てるというところに非常なむりがあるのじやないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/137
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138・平田敬一郎
○平田政府委員 これはあるいは自治庁の方から申し上げることになるかもしれませんが、住民税の性質といたしまして、やはり所得税を納めるほどの力はなくとも、若干の税金は負担してもいい、それは結局額の大きさによりまするが、今回提案されておる程度の額くらいは納めさせてもいいのじやないか。さらに所得はあるが一層生活に困窮いたしておりまして、生活保護を受けておるような人からは、住民税はとらない。こういうことになつておりまして、これは私どもといたしまして、市町村民税の性格からいたしまして、そのようなことがあつても妥当だと考える次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/138
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139・立花敏男
○立花委員 一体幾らの免税点なんですか。飯が食えない免税点であり、そういう者に免税をしておきながら、しかもそれから均等割をとるというのですから、べらぼうだと思う。私は全然所得のない者から均等割をとるということは、根本的に税法の精神に反するのじやないかと思う。公私の扶助を受けている者は免税だということが明らかに書いてあります。公私の扶助とありますから、必ずしもお役所から扶助を受けておらなくとも、いくら成年に達しておつても、おやじの扶助を受けておれば税金を拂う必要はないと思う。こういうふうに非常に大きなむりが住民税に出ておるわけです。しかも修正案ではこういう住民税に一言も触れられておらないというところに問題があると思うのですが、この点はもう少しまじめに考えていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/139
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140・鈴木俊一
○鈴木政府委員 立花委員から再三のお尋ねでございますが、この市町村民税の納税義務者というのは、この案におきましては、前年において所得を有しなかつた者はかけないけれども、前年において所得のあつた者にはかけるということが書いてあるのです。所得のない者にかけるとは書いてないのです。均等割につきましても、前年において所得を有しなかつた者を除くということを書いてあるのでありまして、所得のある者にかけるのです。ない者にはかけないのです。その点は誤解のないようにお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/140
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141・立花敏男
○立花委員 しかし均等割を課さない者のうちに、不具者、未成年者、それと寡婦、同居の妻、三つが除かれておりまして、そのほかの者は除かれていないわけです。だから、たとい收入がなくとも、成年以上に達しておりますれば、均等割はかかると思う。その点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/141
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142・鈴木俊一
○鈴木政府委員 その一つ前を見ていただきますと、「市町村内に住所を有する個人(前年において所得を有しなかつた者及び生活保護法の規定による生活扶助を受ける者を除く。)」こう書いてあるので、逆に申すと、所得のあつた者で市町村内に住居のある者に課する、こういうわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/142
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143・立花敏男
○立花委員 しかしそれは免税点の以内でもかかるのでございましよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/143
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144・鈴木俊一
○鈴木政府委員 免税点の思想は、要するに徴收技術の上から申しまして、そういう零細の大衆にこれをかけるということは、かえつて徴税上の出費が多くて不適当であるということから、主たる点はとられておる制度だろうと思うのです。従いまして、この市町村民税につきましては、そういう意味の免税点というものは考えておりません。同時にこの市町村民税は、従来からのいわゆる負担分任という考え方から、昭和十五年以来非常に軽度な市町村民税があつたわけです。これが地方財政の逼迫について非常に額が多くなりましたけれども、そういう負担分任の精神というものは依然として残つておるわけでありまして、均等割の精神は、負担分任の精神並びに応益的な面を多少加味した意味で残つておるわけでありますから、この点はそういう免税点というふうな思想からどうこうというようなことはないと私は考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/144
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145・立花敏男
○立花委員 少しおかしいのです。免税点をつくつたのは、生活の問題ではなしに、徴税技術の上で、少しの額だから、そんなものは徴税費がたくさんかかるから免税点をつくつたというのでは、根本的に免税点の精神が違うのではないか。そういうお考えだから、免税点以内の者からも取上げる。だから所得税を納める者よりも住民税を納める者の方が数百万人多くなるということが現われておるのじやないか。この点は根本的に直していただきませんと困ります。私たちが免税点と申しますのは、最低の生活ができるという建前から免税点を置いていただいておると思うのです。何も徴税費用がたくさんかかるから、少いからということで免税点を置いているのではないと思う。そういう論法を逆に行きますと、とつて得になれば食費までも食い込んでとつていいということになるわけでございますが、これでは税法の根本的な観念が間違つておると思うのです。そういう意味でとにかく今の免税点の内容では最低の生活も保障できないのです。ここまでも食い込んでとつておるということは問題だろうと思う。これは住民税が、最も人間を奴隷に陷れる税金だと思うのです。それをひとつ御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/145
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146・鈴木俊一
○鈴木政府委員 均等割と所得割といささか性格が違うわけでありますが、所得割の方は特に二十五年度におきましては、所得税をそのまま使いまするから、要するに所得税で基礎控除になり、あるいは免税になつておるような者、免税点以下の者は、所得がなければ結局かからぬ、こういうことになるわけでありますが、均等割の方は先ほど申し上げますように、従来ありますような負担分任の精神世びに応益的な精神からこれを考えておるのでありまして、しかも生活保護法による生活扶助を受けておりますような困窮者は除きまして、それ以外の者でおよそ前年所得のあつた者に対しては、この八百、六百、四百というような基準でひとつ出してもらおうというようなことによつて、市町村との結びつきを考えて行こう、こういうことでありまして、根本の考えとしては、私どもはこれで一向さしつかえない、かように考えております。ただ、今のお話にございました免税点は困るから、結局そういう者のための措置として考えておるのだというお話でございますが、これは主税局長から説明していただいた方がいいと思いますけれども、私どもの承知しておりますところとしては、今お話のような点は、むしろ基礎控除のような観念に該当すべきものであつて、そういう意味から二万五千円とか、一万五千円とか、それぞれの額の差引があろうと思いますけれども、免税点という観念は、やはりそういう徴税技術上の費用からいつて、どうしてもこれは困難であるというものは、むしろこれを課税の対象からはずして行く、こういうような観念があることは、私ども了解しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/146
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147・立花敏男
○立花委員 基礎控除は二万五千円で月二千円、これでは足りないということは明らかです。それを補うものとして免税点があるだろうと思います。そういう場合にもやはり單なる徴税技術から免税点がつくられている。だから免税点に食い込んでとつてもよいのだということはできない。実際の額からいたしましても、所得税の免税点の中からとられますと、非常にこれは困ると思います。これは議論の余地がないと思います。そういう観念から、家族の均等割を軽減なされるお考えはないのか。これは前の国会で、東京都では八百円でございますが、これを三段階ぐらいにわけてやつてもよいということを、本多国務大臣は言われたのであります。そういうことは、さいぜん岡野国務大臣が、所得割の累進にしてもよい、制限税率内では累進にしてもよいと言われましたので、念を押すまでもないと思いますが、均等割も、そういうふうに二、三の段階にわけて適当にやつてもよいのかどうか伺つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/147
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148・鈴木俊一
○鈴木政府委員 均等割につきましては、この法案にございますように、同じ家族の中にそういうような均等割の該当者が多数ありました場合において、これは逓減の方法を規定しているわけであります。今の八百、六百、四百というのは、標準でございますから、必ずこれだけとらなければならぬということではございません。全体の財政事情から考えて、そこはある程度の調節はもちろんさしつかえないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/148
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149・立花敏男
○立花委員 そういうわけで、均等割も何も拂えないものが大分出て来ると思いますが、そういう場合に差押えをおやりになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/149
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150・鈴木俊一
○鈴木政府委員 その点につきましては、それぞれの減免措置を講じ得るわけであります。公益上その他の必要な理由によります減免措置というものは考えられますから、そういうことは一一地方財政委員会等で指示いたしませんでも、それぞれの地方団体がとる税金でありますから、地方団体において、それぞれの適切な措置はとり得ると思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/150
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151・立花敏男
○立花委員 地方財政委員会並びに地方団体で、そういう理想的な運営が行われればよいのですが、そういうことはめつたにないと私は思いますので、そういう差押えを受けた場合のことですが、その場合には連帶責任で同じようなものも差押えられるかどうか、これをひとつ聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/151
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152・鈴木俊一
○鈴木政府委員 これは納税義務者としては、世帶主も、また世帶の中の他の均等割の納税義務者も、それぞれ独立でありますから、一方の納税義務者の財産を他方の納税義務者の滯納のために差押えるということはできないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/152
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153・立花敏男
○立花委員 しかし国税徴收法によりますれば、同居親族ということがありますが、これはお使いにならないのですか。むすこが滯納しても、同居しているおやじの方は差押えになりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/153
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154・鈴木俊一
○鈴木政府委員 今国税徴收法を手元に持つておりませんが、今申し上げました建前は、少くともそれぞれの納税義務者の財産に対してならば、差押えはできると思いますけれども、他の者はそれに該当する根拠は何らないわけでありますから、そういう他の者の財産を、ほかの人の滯納の債務のために押えるということは、私はできないことと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/154
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155・立花敏男
○立花委員 昨日入場税の場合に、何ら関係のない小屋主に税金を納める義務を負わせまして、強制執行をやると言われておりましたから、私はおやじの場合もやられると思いますが、まつたくおやりになりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/155
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156・鈴木俊一
○鈴木政府委員 入場税の場合に限つて、特にこういうような規定を設けたいというのが、私どもの考えでありまして、その他の一般の税につきましては、そういう特別の規定がない限りは、それぞれの納税義務者に対する財産についてのみ差押えるということが、適当と考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/156
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157・米原昶
○米原委員 ちよつと関連して伺います。今の問題は、国税徴收法によると、同居親族の者は押えることができることになつておると思いますが、幸いに主税局長も見えておりますし、この法案によると、そういう場合に国税徴收法を適用するという條文になつておりますから、ただいまの御回答のようであれば非常にけつこうでありますが、法律的に国税徴收法の適用ができるということになると、その可能性もあるわけでありまして、その点についてどうなるかを、明確に御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/157
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158・平田敬一郎
○平田政府委員 今のお話は、たとえば世帶主が滯納した場合におきまして、その家族たるほかの人の個人的所有財産に対して差押えることができるかどうかとい問題だろうと思いますが、こういう場合は、国税徴收法にありまするように、連帶して納税の義務を負担するわけであります。そういう場合におきましては、当然及び得ると思いますが、そういう納税義務がない場合におきまして、他人の財産を差押えるということは、国税徴收法においてもできないことになつております。それから逆に世帶主の財産を押える場合におきましても、これは規定がありまするように、滯納者とその同居親族に必要な三箇月間の食糧及び薪炭、これは納税者自体の財産であつても差押えできないという規定がさらにあります。大体徴收法におきましては、そのようになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/158
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159・立花敏男
○立花委員 その次に聞いておきたいと思いますのは、所得の範囲でございます。給料とか、そういうものをもらつておれば、よくわかると思うのでありますが、そうではなしに、市町村で所得の計算をやるという條項があるのでございます。たとえばこの間聞きましたのは、農業の專従者の問題でございますが、そのほかにも、都市におきましても、非常に所得の不明確なものがあると思うのであります。そういう場合に、市町村で所得を計算するとあるのでございますが、この基準は一体どういうふうにおきめなさいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/159
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160・鈴木俊一
○鈴木政府委員 これは国のきめられました所得税の額によるということが、大前提でありまして、多くの場合は、それで行くであろうと思います。ただ万一のことをおもんぱかりまして、国がかりに決定をいたしましたものが、実際と非常に違つておるとか、あるいは国の決定がいつまでもない、結局国が決定しないというような、そういう特殊な場合におきましてのみ、これを行使するということであるのでありまして、しかもその場合の計算の方法は、まさに所得税法に規定せられている、その規定に従つて計算をする、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/160
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161・立花敏男
○立花委員 住民税が非常に過重だということは、大体おわかりになつたと思うのであります。ところが、このほかにありますところの固定資産税、附加価値税、これがこの上に全面的に乗つかかつて来るわけであります。附加価値税も、大臣みずから言われておりますように、これは大衆に転嫁する課税である。あるいは固定資産税は、朝の公述人の経団連の代表が言われましたように、これは転嫁する税金である。このように恐ろしい住民税の上に、さらに固定資産税、附加価値税がおつかぶさつて来るのでありますが、こういうものを考慮されておきめになつておるのか。この税の文章に書かれました形の上では、一応固定資産税、住民税、附加価値税とわかれておりますが、実際拂うものは一人になつておるという形が、はつきり現われて来るのであります。さいぜんから申しましたように、所得税の免税点まで食い込んでとつた住民税、その上にさらに固定資産税、附加価値税が折り重なつて、重圧となつて来る、こういうことではまつたくたまらないと思うのでありますが、この点をどういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/161
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162・鈴木俊一
○鈴木政府委員 今立花さんの仰せになりましたように、地方税も、すべての地方税が折り重なつて、一人の納税者にかかるわけでありますが、国税もやはりその一人の納税者にかかるわけでありまして、結局国税において減税になつたということは、総体の国民の負担として、一人にかけられるものがそれだけ減つて来たということであつて、私どもは国税、地方税を通じて、税制改革による負担軽減の面と、負担の公平化をはかつておるのだということを御承知願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/162
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163・立花敏男
○立花委員 これはこの間から何回も言つて、三百億減つたといいますが、これは決して均等に減つているのではないということを申し上げましたので、何回言つてもだめだと思いますから言いませんが、とにかくあなたがお認めになりましたように、全部の住民税が一人にかかつて来るということはお認めになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/163
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164・鈴木俊一
○鈴木政府委員 全部の住民税が一人にかかつて来るという言葉の意味がよくわかりませんが、とにかく納税者というものは一自然人であつて、そこに国税も地方税もみなかかつて来るのだ、そういう意味で国税、地方税全体を通じて負担が軽減されておるという面から見ますれば、やはり全体としては負担の軽減もはかられておるということを、私は申すわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/164
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165・久保田鶴松
○久保田委員 関連してひとつお伺いしておきたいのですが、二十四年度の所得に基きまして住民税をとるということでございますが、二十四年度は職についたが、二十五年度になつて職なく失業しているような場合にはどうなるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/165
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166・鈴木俊一
○鈴木政府委員 これは前年所得を押えまするところから、今御指摘のようなむりな場合も、事実出て来るだろうと思います。その程度のはなはだしいものにつきましては、やはり一般的な減免規定を働かせて、地方において善処してもらうということより、いたし方ないと考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/166
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167・久保田鶴松
○久保田委員 これはもうとろうと思つたつて、失業していてとるものはないのでございますから、政府の方では、そういう点はやはり法の上において、はつきりしておかなければならないと思いますが、その点お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/167
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168・鈴木俊一
○鈴木政府委員 この点が国税と地方税とおのずから違うところでありまして、地方議会が手元に控えておりまするし、実際のその者の今日の状況もよくわかるわけでありまするから、そういうようなことから勘案をいたしまして、徴税上適切なる処置が、それぞれの地方団体においてとられるというふうに、私ども考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/168
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169・久保田鶴松
○久保田委員 大蔵省関係のことについて、ちよつと伺つておきたいのですが、今度の青色申告についてでございます。たとえば二十万円の所得があつてその申告をなした。ところが調査の結果二十一万円ということになつた場合は、税務署の方において、三十万円なり五十万円なり認定決定をしていいことになつている。二十万円の青色申告をした場合に一万円よけいに出て来たという場合、その二十一万円に対する決定をするということの方法を、法の上においてどう解釈してよいかということを伺つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/169
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170・平田敬一郎
○平田政府委員 少し誤解があるようでございますが、青色申告の制度を利用することを届け出でまして、それによつておられる納税者の方々の場合におきましては、必ず税務官吏は、その人の帳面をよく調べまして、税務署が決定しようとする場合におきましては、本人の申告とどういうところが違うか、どういうわけで違うかという理由を付記して更正決定をしなくてはならぬ。よく調べないで認定決定をすることは、できないことになつておるのでございます。実はこれが青色申告制度の最大のねらいでございまして、それによつて税務官吏もうかつな決定はできない。しつかり勉強しまして、よく納税者の実態を調べ、帳面を調べた上で、納税者の申告と違つた決定をする場合におきましては、どういうわけで違つているか、どこが納税者の見方が正しくないか、その辺のところをよく納税者に通知しまして決定する、こういうことになつております。従いまして、今お話のように、青色申告者が正しいと思つて記帳して二十万円で計算する、税務官吏が見て調べましたところが、どうも二十一万円だという場合におきましては、これは当然二十一万円で決定するということになるわけでございます。ちよつと申告が違つたからという理由で、全部否認してしまいまして、いいかげんな推定決定をするということはできないことになつております。ただ帳面の記載の仕方その他がなつていない、脱落が多いというような場合におきましては、青色申告者としての資格を取消す場合があります。これはたびたび中央からも言つておるのでございますが、最初のうちは、なれない納税者が多いから、取消すことは極力避けるように、ある期間全然記帳してない、あるいはでたらめな記載をしておる、こういつた場合には、相当取消さざるを得ない場合があろうかと思いますが、とにかくまじめに記帳するつもりで記帳しておつて若干齟齬がある、こういつた程度の場合においては、取消さないで、なるべくこの制度を育て上げるように、運用をはかつて行くように注意いたしております。そういう趣旨で、極力この制度を積極的に守り立てる精神で、当局としては行きたいつもりでありますから、その点御了解の上で、十分御協力をお願いしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/170
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171・久保田鶴松
○久保田委員 大蔵省の方の話を伺つておれば、納得が行くのでありますが、しかし地方の税務署に参りますと、そうは行かないのであります。たとえば六月十五日をもつて打切られました減額申請の場合におきましても、税務署におきましては、その申告用紙すら渡さないのであります。また国税局を中心として、税務署の方では署長会議において、この申告をさせないようにしようじやないかという申合せを非公式にしておられたかのごときことも、われわれは聞いておるのであります。そういうように末端の税務署に行きます場合は、大蔵省と非常に離れてむちやをする。そういう例は、私ここで一々申し上げなくてもお聞きだろうと思いますが、一例をあげますと、奈良県において非常にむちやな差押え等を行いまして、その差押え物件を公売するためにとりに行く、そのときに奈良税務署の係の方が、運転免許も持たないのに、その自動車の運転をやつて、八十三歳になるお婆さんを大きなけがをさせておるのであります。非常に苦しんでおります税金を納められない人に対して、おもしろ半分に差押え等を行つておるというような実例もあるのであります。こういうような点につきまして、今答弁を伺いますと、われわれは納得が行くのでありますが、今あなたが説明をされたようなことを、末端の税務署の係の方に至るまで十分に注意をしていただきたい、私はかように思うのです。今申しましたような点も、お調べになつたら、よくおわかりのことと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/171
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172・平田敬一郎
○平田政府委員 課税の実際におきまして、末端でなかなか円滑な処置ができてないということは、仰せの通り私どもしばしば耳にいたしておりますので、極力指導し、訓練するように努めております。国税庁及び国税局の内部の機構等においても、直接その第一線の仕事を分担する人のほかに、特別に監督官というような制度を設けまして、極力一方におきましては納税者の立場を考えて、適正な処理をはかるように、いろいろ努力をいたしております。何しろ非常に課税件数が多いのと、末端の官吏の中には、まだ年齢の若いのが大分おりまして、この連中をいかにしてうまく育て上げ、うまく訓練し、有効に仕事ができるようにするか、今努力しておりますが、遺憾ながら私どもの目から見ましても、いかにもどうかと思うような節がときどきあるようでございます。そういうような場合におきましては、できる限り内部におきましてもよく捜査しまして、問うべき責任は問うつもりでございますが、そういうような点につきましては、皆さんにおきましても、十分御指摘、御指彈願いまして、正しく行くようにお願いしたいと思います。奈良の事件につきましては、必要でございますれば後ほど国税庁で調べまして、また適当な機会に御報告したいと思つておりますが、極力へんなところは是正するように努力いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/172
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173・山手滿男
○山手委員 今減額申請の話が出たのでありますが、三重県あたりにおきましても、これは非常に極端なことが行われておるのであります。私ども地方に参りまして、いろいろ地方民から話を承りますと、想像以上にむちやくちやなことが行われておる。六月十五日に締切つたのでありますが、その直前にラジオや何かを通じまして、早くやれというふうな放送をしておるが、その期間もないのでわざわざ行くと、税務署の窓口ではできるだけ用紙を渡さない。用紙がないというようなことを言つて帰すようなかつこうをして、全然話にならない。しかもこういうような方法をとつておるのだということだけは、新聞やラジオなんかで宣伝をしている。何のことをおやりになつておるかわからないというのが実情なんでありますが、大蔵省の局長さんは、末端でどういうふうに動いておるかということについて、どういうふうな監督をしていらつしやるか、もう一度お伺いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/173
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174・平田敬一郎
○平田政府委員 予定申告の際におきまする前年の所得金額以下の申告というのは、お話の通り六月十五日までに税務署に申請して行かなければならぬというようなことになつておりまして、中央といたしましては、実は御承知の通り新聞紙等にも、五月の終りごろから各紙に相当大きく広告も出しております。それから各地におきましても、大体五月の終り前後から相当講演会などが開かれまして、その趣旨の徹底に努めたのでありまして、決して私どもこういう制度があるということを知らさなかつたり、あるいは言つて来た納税者に対しまして不当に却下するようなことがないようにということは、くれぐれも注意いたしておるのであります。ただこういう点だけは納税者によく知らして置くようにということは、中央でも言つております。と申しますのは、前年の実績による課税ということは、所得金額が前年の実績額によるということでありまして、税額控除申請は、すべて新税法によるのであるから、申告等も必ず怠りなくやつてもらわないと、せつかくの家族控除が拡大できなくなつて来る。それと同時に、新税法によりますから、たとえば十万円ぐらいの事業所得者でありますと、家族四人ですと、昨年は一万六千円ぐらいの所得税が約五千円になる。税額といたしましては相当下るから、所得が減るか減らないか、なかなかはつきりしない、結局水かけ論に終つてしまう。納税者の方々の場合は、あまりそこでいざこざするよりも、一応前年でやつておいて、それによりまして、納めてもらいまして、確定申告の際にはつきりするという方が、お互いに手数をかけないでいいのじやないか。しかしながら、たとえば一般的に値段が非常に下つたとか、あるいは事業縮小だとか、あるいは最近非常に売れ行きが悪くなつたとか、そういう特殊な場合におきましては、前年以下の申告を受付ける、あるいは届を受付けるということは当然なことでありまして、そういうことにつきましては、新しい制度を設けた際に、むりなことをやつて、かえつて評判を悪くすることのないように、中央では督励いたしておる次第でございます。大分お話のような点もありまして、あるいは中には税務署等によつて、そういつたような態度に出たところが絶無でもなかつたと思いますが、極力そういう点につきましては、今後も反省を加えるように指導いたしまして、適正を期するつもりでおる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/174
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175・門司亮
○門司委員 今の説明ですが、平田さんはそういう説明しかできないと私は思います。実際問題として、私もある問題について国税庁へ参つたのであります。それは六月十五日までにやれと言われましても、農村は農繁期で非常に忙しい時期ではありますし、かたがたはつきりわかつていないので、何とか考え直してくれぬかということを、実は相談に参つたのであります。そのときも実はそういうようなお話が出て来たわけでありますが、実際の問題といたしましては、税務署に参りましても、用紙はほとんどないのであります。用紙が完全にあつて、それが事前に全部の——ことに農村につきましては、普通の農村にはそうありませんが、横浜あるいは東京近郊の蔬菜農家は、收穫の上で去年とは非常に大きな開きを持つのであります。従つてこれら農民は、そういうことに当てはまる可能性を多分に持つておりますので、実は各税務署に参りましても、まだ用紙が来ていない。それで去年はこれだけ、今年はこれだけだ、差引これだけ減つているんだという書類でも出していただければ、考えようというような税務署の態度であります。税務署がそういう態度であるということになると、そのときもラジオや新聞で広告を見ておりますが、実際ラジオや新聞の広告でほんとうに行き渡るかどうかということである。この点は特にこの機会に希望として申し上げておきますが、税務署はもう少し親切にわかりやすくしてもらわないと、実際に徴税をやつております專門家諸君に頼んでも記載が困難だと思われるようなむつかしいものを、農民、あるいは八百屋、魚屋さんにむりに押しつけてもできない、できないことをむりにやつておるからやらないことになつて、しまいには更正決定とか何とかでけんかすることになりますから、もう少し親切にわかりやすく、本庁においでになる方も、少し下の実情を調査してもらいたい。これは決して私個人のことで行つたのではありませんが、私が行つたときのことを申し上げますとこれはしようがないという感じ以外に何もなかつたのでありまして、おそらく今年もまたこの次の更正決定の場合には、必ずいざこざが出て来ると思う。その点今の御答弁に関連して、特に注意していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/175
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176・平田敬一郎
○平田政府委員 非常にごもつともなお話でありまして、私どもも、極力今お話しになりました趣旨で徹底をはかりたい。税務署に参りましても、全部が全部お話のようなところでもなく、相当やつているところもあります。用紙を備えつけて、見えられた人には記入してでも受けつけるように言つておりますが、なかなか取運びがうまく行かなくて、お話の通り用紙が揃つていないところもあるかもしれません。しかしそういうように一定の事項を記載して届け出てもらつておけば、あとで必要な資料はさらに整備して出してもらつてもいいというようなことを通牒で出しておるわけでありまして、お話の点は注意をいたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/176
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177・久保田鶴松
○久保田委員 用紙ができていなかつたのではなかろうかというような局長さんのお話でありますが、実際は税務署の方の説明を聞いたのです。今度は法の上においてはつきりこれはきめられたのであるということで、申告しなかつた場合と、申告した場合のその話を税務署の方がはつきり言われている。申告しなかつた場合には、前年度の所得と同額に見積つて決定する。これは決して税務署の者を恨んでくれるな、これはあなたたちが選挙した代議士がつくつた法律なんだからと、念の入つた話を税務署の方はされているのです。そういう点は今局長の言われますように、刷りものができていなかつたのだろうというような、そんななまやさしい考え方ではない、計画的にそういうようなことを納税者にはつきり言つておる。この点を局長さんこそ、誤解のないようにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/177
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178・平田敬一郎
○平田政府委員 ところによりまして非常に徹底を欠きまして、周知につきまして不十分なところがあつたという御非難のように承るわけでありますが、これは先ほども申しましたように、今度の所得税法の予定申告に対する改正の上におきましては、実は大きな点であるということは、国会でもたびたび議論になつたところであります。この制度につきましても、大蔵委員会におきまして、相当多くの方がその可否についても議論されたわけでありまして、私どもこの制度の運用につきましては、先ほどから言つておりますように、特に注意したわけであります。率直に申しまして、私の気持としては、最初はとにかく、新しい制度を設けて、むりをしてかえつて評判を悪くして、お互いにまずい結果になつてはぐあいが悪いから、少々のことは納税者の言うことをよく聞いて、円滑にやつて行けというようなことを、たびたびある会議で私は注意したくらいでございますが、そういうことがなかなかよく徹底しきれないで、ややもすると税務署においてはやすきにつきまして、都合のいいような方に動かして行こう、こういう傾向に対して今の御非難かと思いますが、極力そういう点につきましては将来とも十分努めまして、改善をはかりたいと存じます。青色申告制度につきましては、実は前から非難がありまして、税務署でいやがつておる、やりたくない、こういうような話も大分私は聞いておりますが、私は実はそういう制度だから意味があるので、税務署はどうでもいい、痛くもかゆくもないという制度なら、ほんとうにきき目がないのだ、かまわずどんどん出してくださいというようなことを、講演等に行きましても、たびたび言つた例を私は記憶しておるのであります。そういう点につきましては、納税者の方も十分主張すべきところは主張されまして、正しい運用に行きますようにお願いいたしたいと思います。もちろん国会議員の方々もそういう面につきましては啓蒙その他、税務署に対しましても十分な御鞭撻のございますことを、私どもむしろ希望しておるような次第でございますので、よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/178
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179・大泉寛三
○大泉委員 たいへん委員長が熱心にやつておられますので、どうも連日おそくなつておりますが、今日はなるたけ早くお切上げ願いたいと思います。それでどうも発言をそちらの方ばかりやつておるようでありますが、こちらの方にも移していただきたいと思います。
ただいま平田主税局長がいらつしやいますからお答え願いたいと思いますが、地方自治体、特に市町村の場合、税務署の決定に対して、たいていその決定に依存して、所得割を決定いたしますが、その場合、公平な場合にはそれでいいけれども、どうも不審の場合には、町村自治体独自の立場で調査をして、いわゆる税額を決定する場合もありますが、税務署の決定とか、あるいは国税庁の決定に対する食い違いがあつた場合にはどういう処置をとられるか、お伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/179
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180・平田敬一郎
○平田政府委員 今度の地方税には、御承知の通り必ずしも税務署の決定に乗つかりませんで、建前としては税務署の決定が正しくない場合には、独自の立場で決定してよろしいということにいたしております。ただ実際の運用におきましては、税務署と市町村と所得の実情について見解の相違があります場合には、相互によく連絡をいたしまして、どちらか正しい方で極力運用をはかつて行くというような方向に持つて行くべきではなかろうか。ただ制度の上では、そういう建前にいたしておきませんと、なかなか税務署の言いなりにならざるを得ない場合も出て来るかもしれませんが、それに対してそういうふうにしておきますと、おのずからそれぞれ責任を感じまして、そう変な結論にならないところに行き得るのじやないかと考えておるのであります。しかし違つた役所でございますから、場合によりますと見解の差があるかもしれません。それが理由なく違つておる場合においては、それぞれ監督の役所におきまして正しく調べまして、どちらか正しい方向に持つて行くように、やはり極力努力すべきものではなかろうか、かように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/180
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181・大泉寛三
○大泉委員 税務署の場合は、相当訓練された官吏で、また非常に正確な人たちがそろつておられるので、まず信頼は置けますけれども、官吏である以上は、ちよいちよい更迭される。市町村の場合には、長くそこに居住しておつて、また業者の実態を把握するに、側面的あるいは裏面的な生活状況にまでもよく食い入つてわかつておる。こういう点において互いに長所もあるけれども、また欠点もある場合がある。こうしたときに、やはりお互いに力を持ち寄つて、そうして公正な所得の決定をされる一つの手段を、何か国として考えておられましようか。ただ別々な機関であるから、こちらはこつち、そちらはそつちというような考え方でありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/181
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182・平田敬一郎
○平田政府委員 今お話の点は、最後にお話になつたことと、実はまつたく逆でございまして、今度市町村民税の実施を機として、従来より以上に税務官庁におきましても、市町村の調査なり、意見をよく聞くようにし、それから市町村側におきましても、税務官庁に、できるだけ正しい課税をするという意味におきまして協力を願うように、両者の関係をより一層今までよりも緊密にしてやつていただくように、方針といたしましては私ども極力運用に努めたいと考えております。いろいろ地方の状況を聞いてみますと、そのような方向に大分動いておるようでございまして、私非常によい機会だと思いますので、両者の協力態勢をさらに一層徹底させるようにして参りたいと考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/182
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183・大泉寛三
○大泉委員 今度は自治庁の方にお尋ねいたします。法人に対する均等割は、一法人に対して課税するのか、あるいは事務所、あるいは事業所ごとにかけられるのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/183
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184・鈴木俊一
○鈴木政府委員 均等割は事務所、事業所ごとにそれぞれかけるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/184
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185・大泉寛三
○大泉委員 そうすると事業所が十箇所あれば、一法人に対して十戸分かけられるということに、会社側から見ればなる。あるいはまた自治体は一つであるけれども、会社としては一つの本社に対し、事業所が十も二十もある場合には、そうした例でかけられるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/185
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186・鈴木俊一
○鈴木政府委員 これはお話のように、もしも一つの会社が同一市町村内に五つなり十なり、二十なり事務所を持つておりますれば、この案といたしましては、それぞれに対してそれだけのものがかかることになるわけであります。これは、なぜそういうふうにいたしましたかと申しますれば、やはり法人がそれだけの数の事務所なり業務所を持つておるということは、結局それだけ市町村との間におきまして、結びつきが多いということでございまするから、單に一箇所の事務所を持つておりまするものよりも、やはりそれだけ、より多くの市町村側からのサービスを受けておるわけでございまするし、そういうような点を考えますると、やはり一つ一つを一つの主体として見まして、それにかけて行くという方が適当ではないか、こう考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/186
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187・大泉寛三
○大泉委員 それから自治体が所得割を適用するに際して、種類が三つありますが、このうちどれを適用しても、自治体の任意にまかせるのですか。あるいはまた自治庁として、どれか、これが一番適当であるというような指示をされるのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/187
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188・鈴木俊一
○鈴木政府委員 この点はシヤウプ勧告にございまするように、市町村民税の課税標準の課税の方式として、この三つの方式をそのまま取入れたわけであります。あるいは所得税額だけとか、あるいは課税総所得金額だけとか、いろいろ考えもあろうと存じますが、やはりなるべく地方税制、財政の自主性という点から考えまして、それぞれの村柄、市柄に応じまして選択できるようにいたした方で、適当ではないであろうか。わくとしては、なるべくゆるいわくをもつて市町村の自主性を強くしておいた方がよいであろうという見地から、シヤウプ勧告のこの三つの方式を、実はそのまま取入れたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/188
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189・大泉寛三
○大泉委員 自治体の任意にまかせるという立場にあるわけでありますが、ことに減税を叫ばれており、また固定資産税が、各納税者には相当大きく響くのでありますから、これになるたけ軽い一つの箇所を選んで——いわゆる第三の場合が一番軽いと思いますが、これを自治庁として一つの範をたれるように指導していただきたい、こういうふうに私どもは思うのであります。
次に、これはせんだつて陳情があつたのでありますが、日本赤十字社の固定資産に対する課税は、やはりとられるのですか、やる方針なのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/189
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190・鈴木俊一
○鈴木政府委員 日本赤十字社につきましても、もちろん課税の対象としては一応これを予定いたしておるわけであります。ただ直接社会事業の用に供しておりますものについては、三百四十八條の第二項第九号でありますが、社会事業の用に供する固定資産という註によりまして、そういうふうなものは除外することになると思います。従つて日本赤十字社でも、たとえば何か販売取次をやつておるとかいうような、直接社会事業の用に供しておらないものがありますれば、かかるわけでありますけれども、まず大部分のものは、おそらく課税対象から除くことになるのだろう、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/190
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191・大泉寛三
○大泉委員 固定資産税としてはかけられないだろうこういうふうに聞きましたが、それでよろしゆうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/191
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192・鈴木俊一
○鈴木政府委員 固定資産税としては、まず大体かかるものはないのではないだろうか、さように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/192
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193・久保田鶴松
○久保田委員 もう一言だけお伺いしておきたい。先ほどお尋ねいたしました減額申請の今後の運用方法を、一応平田局長さんからはつきりしておいてもらいたい。税務署の方ではこれを返そうとしておる。一応減額申請を出したものを、税務署によつては持つて帰つてくれといつて返そうとする、こういう方針をとつておるところもあるのでありますが、この点をひとつ局長さんからはつきり伺つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/193
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194・平田敬一郎
○平田政府委員 減額申請につきましては、何しろ申告の時期が七月末でありますので、それまでになるべく早く処理してもらいたい、直税部長の会議では、異例のものを除きまして、ほとんどそれまでに処理するように指示しております。
それから今返すというお話がございましたが、書類の不備なものにつきましては、もう少し整備して出し直すようにということは、おそらくやつておるかと思いますが、よく調べもせずに、理由もなく返すということは、いたすべき筋合いのものではないと考えております。しかしいずれにいたしましても、申告の時期までにきめなければなりませんので、それまでにはいろいろな状況を調べまして、いずれかに決定する、こういう運びで目下懸命に努力しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/194
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195・立花敏男
○立花委員 関連して伺いますが、それは書類の上で審査なさると同時に、実態調査までやつてもらいたいと思う。書類は非常に書きにくくなつておりますし、農民などは農作物の価格が決定しないで、たなおろしができないということになつておりますので、書面審査だけで決定をなさらないで、実態調査まではつきりやつて御決定になりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/195
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196・平田敬一郎
○平田政府委員 お話の通り、できる限り実態調査をやつた上できめるということになると思うのでありますが、ただ簡單に机上でわかり得る場合は、机上で処理する場合があるかもしれません。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/196
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197・藤田義光
○藤田委員 議事進行に関して動議を提出いたします。連日お互いに大分働きまして疲れております。明日午前中に市町村民税を終るということで、本日はこの程度で散会せられんことを望みます。満場一致御賛成を得ることを期待いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/197
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198・前尾繁三郎
○前尾委員長 藤田君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/198
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199・前尾繁三郎
○前尾委員長 御異議なしと認めます。
明日は午前十時より開会することにいたしまして、本日はこれにて散会いたします。
午後五時三十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804720X00719500719/199
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