1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十五年七月二十六日(水曜日)
午後一時三十五分開議
出席委員
委員長 千賀 康治君
理事 足立 篤郎君 理事 野原 正勝君
理事 小林 運美君 理事 井上 良二君
遠藤 三郎君 河野 謙三君
幡谷仙次郎君 平野 三郎君
八木 一郎君 坂口 主税君
足鹿 覺君 木村 榮君
山口 武秀君 河口 陽一君
出席国務大臣
農 林 大 臣 廣川 弘禪君
委員外の出席者
農林事務官
(食糧庁総務部
物資課長) 長谷川善彦君
專 門 員 岩隈 博君
專 門 員 藤井 信君
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七日二十六日
委員平野三郎君辞任につき、その補欠として吉
武惠市君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員吉武惠市君辞任につき、その補欠として平
野三郎君が議長の指名で委員に選任された。
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七月二十五日
主要食糧供出報奨物資の配給に伴う損失の補て
んに関する法律案(内閣提出第一六号)
同月二十四日
土地改良事業費国庫補助増額等に関する請願(
多武良哲三君紹介)(第二九五号)
岩中から宮原を経て松仁子に至る間に農道開設
の請願(星島二郎君紹介)(第二九六号)
大野原地区開拓事業促進に関する請願(前田郁
君紹介)(第三四〇号)
野井倉地区開拓事業促進に関する請願(前田郁
君紹介)(第三四一号)
牧本村地内開拓事業中止等に関する請願(圓谷
光衞君紹介)(第三四二号)
宮崎県下農地等交換分合経費国庫補助増額の請
願(渕通義君外二名紹介)(第三四三号)
結城郡下水害農家救済に関する請願(鈴木明良
君紹介)(第三四四号)
本郷村地内国有林と村有林との交換に関する請
願(志田義信君紹介)(第四一一号)
見沼代用水路改良事業費国庫補助の請願(天野
公義君紹介)(第四一二号)
同月二十五日
南予地区における農業特異性の解決策に関する
請願(中村純一君外六名紹介)(第四五一号)
向原、豊永地区未墾地買収取消に関する請願(
坂口主税君紹介)(第四五二号)
家畜衞生試験場東海支場設置に関する請願(千
賀康治君外三名紹介)(第四五三号)
同(多武良哲三君紹介)(第五三〇号)
岩手県の災害復旧費及び土地改良費国庫補助増
額に関する請願(志賀健次郎君紹介)(第五〇
五号)
北海道耕地改良事業助成に関する請願(河口陽
一君外四名紹介)(第五二五号)
同(小川原政信君紹介)(第五二六号)
北海道酸性土じよう改良事業助成に関する請願
(河口陽一君外四名紹介)(第五二七号)
同(小川原政信君紹介)(第五二八号)
智頭町地内国有林拂下げに関する請願(稻田直
道君紹介)(第五二九号)
農業緊急対策に関する請願(今澄勇君外七名紹
介)(第五三一号)
の審査を本委員会付記された。
同日
昭和二十五年産麦類価格決定に関する陳情書
(第八〇号)
農産物自由販売方式に伴う対策に関する陳情書
(第八四
号)
土地改良費全額国庫負担の陳情書
(第九九号)
米価決定に関する陳情書
(第一〇〇号)
かんがい排水用電力料金全額国庫負担の陳情書
(
第一〇三号)
土地改良費増額の陳情書
(第一〇六号)
東北地方の土地改良費全額国庫負担の陳情書
(第一一四
号)
早場米奨励金制度継続に関する陳情書
(第一一七号)
森林協同組合法制定反対の陳情書外四件
(第一二五号)
蚕糸業対策に関する陳情書
(第一二九号)
小麦粉配給事業民間移行に関する陳情書
(第一三一号)
国営養苗事業に関する陳情書
(第一四一
号)
を本委員会に送付された。
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本日の会議に付した事件
小委員の補欠選任
主要食糧供出報奨物資の配給に伴う損失の補て
んに関する法律案(内閣提出第一六号)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804988X00619500726/0
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001・千賀康治
○千賀委員長 これより農林委員会を開会いたします。
本日の出席政府委員は、廣川農林大臣、長谷川物資課長、説明員でございます
ただいまから昨二十五日本委員会に付託になりました、主安食糧供出報奨物資の配給に伴う損失の補てんに関する法律案を議題といたし、審議に入ります。まず本案の趣旨について政府の説明を求めます。農林大臣廣川弘禪君。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804988X00619500726/1
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002・廣川弘禪
○廣川国務大臣 主要食糧供出報奨物資の配給に伴う損失の補てんに関する法律案の提案理由を御説明申し上げます。
昭和二十四年産米及びかんしよの供出に対する報奨物資は、計画量を完全に確保いたしまして、供出と同時に配給できるようにする目的で、昨年九月供米開始と前後して出荷を開始いたし、昨年中にその大部分の出荷を完了いたしました次第でございます。しかるに衣料品については、本年一月より織物消費税が撤廃され、三月にはさらに加工賃を引上げた新公定価額が告示されました。從つて旧公定価格で仕入れた報奨物資は割高となるに至つたのであります。なお本年に入つて一般物価の値下りと、農村購買力の低下によりまして、報奨物資の売行が著しく不振となり、二月末現在都道府県共同荷受組合及び小売段階に、衣料品、自転車、魚肥について約二十五億六千万円の滯貨を生ずるに至つたのでございます。これら滯貨を持つている機関と出荷機関との代金決済が滯りまして、そのまま放置すれば経済界の混乱を生ずるおそれがありましたので、政府はさきに三月三十一日の閣議の決定に基きまして、主食供出報奨物資用衣料品の流通を促進いたし、経済界の混乱を防止するため、主食供出報奨用衣料品に関し、都道府県荷受機関及び衣料品登録小売商が振出し、または裏書した商業手形の取扱いにいつて、特に愼重に取扱うよう金融機関に勧奨いたしますとともに、これら都道府県の手持滯貨は、一応取扱い卸商に売りもどすことによりまして、取扱い卸商の負担において一定額の値引をするよう指示いたしました。なおこの結果取扱い卸商に生ずる損失については、三億三千四百万円を限度といたしまして、卸商が政府に納入すべき価格差益金によつて措置することといたしました次第でございます。
しかしながらこの措置だけでは、主食の供出農家に必需物資を購買し得る価格で配給するに十分とは言えませんし、また衣料品以外の自転車、魚肥には依然として問題が残ることになるのであります。事実報奨物資として出荷した物資は、農家の必需物資でありまして、品質及び規格も農家向きのものでありますから、政府といたしましては、農家が購入できる価格まで値引して、計画通り農家に配給することを希望するものでございます。政府は本年二月末日現在の都道府県共同荷受組合及び小売段階の手持滯貨について、農家が購入できる価格まで値引して、これを農家に配給いたしまして、そのためにこれらの配給機関に生じた損失を補てんすることとし、滯貨となつた各品目について、適当な値引率を予定いたし、また別に二月末日現在における滯貨数量の詳細な調査を行つたのでございますが、その結果を集計いたしますと、これらの機関に生ずべき損失の額は約八億九千九百万円となるのであります。このうち前に述べました三億三千四百万円を差引きまして、五億六千五百万円がこの法律によつて政府が補てんするに必要な額となりますのでその額を補てんするために、この法律案を上程いたした次第でございます。
以上この法律案を提出する理由と、その内容の概略を御説明申し上げましたが、本法律の施行によりまして農家の必需物資を農家の購入できる価格で配給できることとなり、また取扱い機関の種々の困難も解決されますので、政府といたしましては、できるだけ早く本法律案を成立せしめたいと考へる次第であります。この点十分御了察の上、本法案の審議につきまして最大の御便宜を与えられますようお願いする次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804988X00619500726/2
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003・千賀康治
○千賀委員長 これより質疑に入ります。質問の通告がございますから、順序によつて発言を許します。井上良二君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804988X00619500726/3
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004・井上良二
○井上(良)委員 先に政府に資料を要求したいのですが、各品目別の資料は、いただいておりますけれども、各県別それから各配給機関別の取扱い、または滯貨しております品目別の資料が出ておりません。問題はこれが一番大事でありまして、これが提出されてないのでありますから、これの御提出を願いたい。
ただいま大臣より提案理由の説明を伺いまして、まことに時宜を得ました法案で、われわれ長い間この問題の解決に努力をし、また主張して来ました者としましては、この法案が一日もすみやかに通過いたし、かつ一日もすみやかに損失の補てんが具体化されることを希望するものでありますが、この際この補てんを行います場合に、政府として特に愼重に考えなければならぬ問題がございますので、この点について伺つておきたいのであります。この法案を出し、ここに五億六千万円からの莫大な損失補てんをせなければならぬことになりましたのは、まつたくこれは政府の経済政策の失敗から来た結果でありまして、毎年農村用の報奨物資というものは、供米割当が行われる前にすでにその年の計画が樹立され、そして実際供米期に入りますまでに、それぞれ報奨物資は各県に引取らすというのが、政府の建前でございます。そういうことがはつきりわかつておりながら、この説明にもあります通り、織物消費税を撤廃し、さらに二回にわたつて大量の衣料あるいは綿布を国内市場に放出するというようなことから、急激に衣料が値下りを来した。しかもそのときは、すでに各單位の配給機関、取扱い機関は、報奨物資を引取つて持つておるということからして、まつたくどうにもこうにもならぬ状態に政府みずからが追込んだのであつて、決して農業団体及び関係団体の運営や、あるいは取扱いの不手ぎわから起つた損失ではない。全部これは政府の責任において起つたことであるから、政府がその責任を考えて、処置すべきであるのに、容易にこれが解決されず、今日廣川新農林大臣によつて、この難問題が解決されて、ここにこれが具体化されることになりましたことは、まことに感謝にたえませんが、この提案理由を読んでおりますと、一番大事なことは、すでに農家が政府の値引きした値段で引取つておるということ、そしてその結果生じた配給機関の損失、それと現在農協その他が抱えております滯貨の数量、これが実は問題になつておるのであります。現に農家が引取つて、配給を完了したという金額は、このうちでどのくらいを占めておるか、それから現に農協その他が滯貨して持つておるというのですが、かりにこの処置がとられました場合、はたしてその滯貨したものは、完全に農民が今日引取りますかどうか、この点をまず明らかにしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804988X00619500726/4
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005・長谷川善彦
○長谷川説明員 私からお答え申し上げたいと思います。ただいま御質問になりました前段のことについては、私少し御返事申し上げかねますので、最後の数字的な問題についてお答え申し上げたいと思います。
織物と自転車と魚肥につきましては、ほぼ五十億程度出荷しておつたわけでございます。そのうち二月末日で、お手元の表にありますように、二十五億六千二百万円程度の滯貨がございました。それでその後配給を続けて、値引きした額で農業協同組合その他が配給しておるわけでございますが、これは推定でございますが、四月末で、旧価格で十二、三億の保有物資があつたのではないかと思います。現在では各保有機関の物資は五、六億程度に減じておるというふうに推定しております。正確な数字は県からのレポートが十分集計できませんので、申し上げかねるわけでありますが、一応推定の数字では五、六億程度にただいま減じておるということになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804988X00619500726/5
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006・井上良二
○井上(良)委員 話が非常に機微にわたつた質問になつて来ますから、委員長、速記をやめるなり、傍聽を禁止願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804988X00619500726/6
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007・千賀康治
○千賀委員長 速記をとめてください。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804988X00619500726/7
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008・千賀康治
○千賀委員長 速記を始めてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804988X00619500726/8
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009・井上良二
○井上(良)委員 特に大臣に伺つておきたいのは、この法案の法的処置でございます。この五億六千五百万円という金は、これは予算的措置が必要と思いますが、追加予算をお出しになるつもりでございますか。これはどういう処置をして金を渡そうとされますか。これが一点。
それから今日この供米報奨制度というものは、ここに新しい何かの政策を政府としては立てる必要が、この際ありはせぬかということであります。つまり物資が非常に不足をして、特に農業生産増強に必要なる当面の衣料、あるいは地下たび等の物資が極端に不足をしておりました時分は、政府が供米奬励の必要から、特に安くてよい物を敏速に配給してあげるという国家的な大きな手も必要でありましたが、すでに今日相当衣料品は出まわつておりますし、その他農村に必要なものも漸次潤沢になりつつあります。そこで、私まだよく調べておりませんけれども、報奨物資をとりまく役所ののいろいろな機関の経費、それから会議費、これに関連するいろいろな中央、地方の事務費を合せますと、莫大なものになつておるのです。今日政府が報奨物資だ、報奨物資だと言うて声高々に配給しても、農民がそれを喜んでいない。これは現実にあるのです。そこで私は、これだけの大きな経費をかけますならば、これでたとえば、供米を完納いたしました村に対しては、農業の共同施設を政府が補助してやる、あるいは一村が供米を完遂いたしましたならば、農業倉庫の建設資金を政府が補助するとか、あるいはまた発動機であるとか、リヤカーであるとか、その村にそういう共同の農業施設を、供出の奨励として特に政府が考えてやる、こういう生産面また実際上その村がよく政府に協力してくれたということを、永久に農民にも考えていただくような施設が、この際必要じやないか。物でつるというのではなしに、実際村の農業生産を増強し、供出を完遂できるような施設を、政府で手伝うてやることが必要じやないかと思いますので、この点に対する大臣の所見を承りたい。つまり予算的措置と、報奨物資として政府の今後とらなければならぬ新しい施策について、大臣の考え方をこの際伺いたい。從つて二十五年度の産米が近く収穫される時期に入つておりますから、今日一体二十五年度も依然として從来の報奨物資の制度を、政府は続けるつもりがあるのではないか。それは結局少数の都会のメーカーとそれを取扱う商人が利益して、農民がかえつて迷惑になる危險がありますから、この際明確に承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804988X00619500726/9
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010・廣川弘禪
○廣川国務大臣 この法案を通したら追加予算を出さなければならぬじやないかということは、まつたくその通りであります。しかし今回の国会は特定された国会でありまするので、本国会には追加予算を出さないで、金融措置を講じたい。その金融措置について池田君と私の間で了解しているところは、預金部資金を中金に預託いたしまして、中金から流してもらう、こういうふうに了解をいたしておる次第であります。
なお報奨物資につきましてはいろいろな問題がありまするので、本年はやらないようにやつておるそうでありますが、しかしこれも十分考えなければならぬことは、来年度予算につきましては、まだ私、省議にかけておりませんのではつきりしたことは申し上げられませんが、増産計画を立てて、そして食糧の自給度を高めるということに帰一して行くことが、一番よろしいのじやないかと、私は考えるのです。予算の全般が食糧の自給度を高めることに直結せしめて行きたい、こう考えておる。そうして農林省のみでなく、各省の予算も、農民の自給度を高めて行く。今度の朝鮮問題を契機といたしまして、どうしてもそこまで考えなければならぬと考えまして、私はさように考えておるのであります。これから省議を開いて、その方向に進みたいと考えております。それにつきまして、増産をした者等に対しましては、今あなたの言われるのも一つでありますが、報奨金なり、あるいは何らかの報奨制度を設けまして、増産した農家に対しましては国家がその労に報いる、こういう方法があつていいのじやないかと思いますが、これも農林委員会の皆さんから、名案をぜひひとつ御提示願いまして教えていただいて、それを具体化して行くように努めたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804988X00619500726/10
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011・井上良二
○井上(良)委員 もう一点、そうすると政府は、本年度からは從来の供出報奨物資の制度はもうやめるのでございますか。またやめた場合に、新しく他に何か手を考えておりますか。この制度は今日のように食糧が国際的に相当緩和された現状においては、供出を勧奨する必要は全然ない、こういうつもりでおりますか、それとも勧奨する必要があるならば、私が今申します通り、生産の方に直結していろいろな施設をやるべきじやないか、その費用をそこに持つて行くベきじやないか、こう私は考えます。報奨制度を全然やめるというではなしに、やつぱりそのやり方を、私はかえなければいかぬのじやないかと考えます。今の大臣のお話を伺つておりますと、本年で打切るというようなお話のように聞えますから、これは非常に大事な問題でありますので、この点を明確にしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804988X00619500726/11
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012・廣川弘禪
○廣川国務大臣 少し早まつてお考えのようですが、物資についてはやめたい、こういうことであります。統制もはずれておりまして、非常に入手も楽になつておりますから、物資についてはやめたい。他の方法については、先ほど私が申しました通り、何らかの方法で農民にこたえたいと考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804988X00619500726/12
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013・井上良二
○井上(良)委員 この際特に大臣に伺つておきたいのは、單に供米の報奨制度というだけの問題じやございません。今大臣のお話の通り、現にこの五億六千万円の損失補填の金は、当然予算化せなければならぬ費目であります。ただ本国会においてこれを予算化することにいろいろな難点がある。つまりこれだけを予算化するわけに行かないという、特殊な政府の国会対策の上から考えられておるのじやないかと思いますが、しかし問題は、これはこれで、かりに今の大臣のような処置によつて解決されたとしても、農村全体の問題としては、とても解決できない大きな問題があとへあとへと控えておるのでありまして、われわれ農村関係の者は、何としても当面するこの国際情勢の緊迫下において、特に農村窮乏対策の臨時国会を開いてもらいたい、こういうことを強く要求をしておるのであります。農林大臣は、特に閣内においても重大な発言権をお持ちのようでありますから、ぜひひとつ大臣から、本国会終了直後、ただちに政府は農村対策に緊急必要なる重大な法案並びに予算を準備されて、少くともこの秋口までには臨時国会を召集するようにしてもらいたいと思いますが、その御意思をこの際承つておきたいと思います。(「賛成」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804988X00619500726/13
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014・廣川弘禪
○廣川国務大臣 どうも農政問題になると、野党も与党も一致されるので、政府はたじたじなのでありますが、私は野党諸君からの、ただいま井上君が言われたような名題で臨時国会を開いたらどうかという申出に対しまして、双手をあげて賛成いたしたい。また内閣もさようにいたしたいと考えているのであります。それは私、前から考えていることでありますが、重工業等が中心で行つていた前の戰争時代の国内態勢を、農村を中心にした一つの行き方にかえてよろしいのではないかという考えを、私は持つておるのであります、欧州第二次戰争の当時、ドイツが戰時産業からいわゆる公共事業、道路あるいはその他のものに転換いたした例を私は知つておりますので、ここがどうしても朝鮮問題を契機として、国内の農産物の自給態勢を整える絶好の機会だと考えておりますので、私は閣内においても発言をいたしたいと思つておる次第であります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804988X00619500726/14
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015・足鹿覺
○足鹿委員 関連いたしまして大臣にお伺いしたいのでありますが、報奨物資の問題につきましては、ここに処理案が出ているのであります。しかし報奨と名のつくものは、必ずしも物資のみに限つておらないのであります。たとえば本年産の麥に対して、予算に計上されているにもかかわらず、その報奨金の倍率を、政府内部においてはこれを下げようという方向に向つているようであります。先般の米価審議会におきましても、その報奨金の倍率につきましては、これを予算に計上されておられる二倍を実行していただきたいということについて、正式の答申案が政府に出されている。新聞紙上で見ますと、大臣いろいろ御盡力になつておるようでありますが、この問題に対するところのその後の経過、また見通しについて、ひとつこの機会にお漏らしをいただきたい。なお同時に、ただいま農政の根本について御方針を承つたのでありますが、早場米の奨励金及び超過供出の報奨金等について、来年度の問題については、すでに予算の編成期に入つておりますが、来年度のこの問題についての大臣の御所見はいかがでありましようか、この点をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804988X00619500726/15
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016・廣川弘禪
○廣川国務大臣 この前米価審議会から非常に鞭撻を受けたのではありますが、あれ以来一・二五の問題を閣内において訂正させまして、二倍ということで意見の一致をさせているのであります。その線に沿つて関係当局が目下交渉中であります。明日か明後日知事会議を控えておりますので、これを早急に解決するために努力中であります。これも実は、私の着任前からそういつたようなことがきまつておつたので、あのままでやつたのでありますが、考えてみますと、どうしてもあれは二倍がよろしい、こう考えておりますので、そのように進んでおります。それから後段の御質問に対しましては、その方向に向つて進みたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804988X00619500726/16
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017・足鹿覺
○足鹿委員 これは長谷川課長でけつこうでありますが、この法案の第二條を見ますと、農林大臣と大蔵大臣が補填金額について協議をして定める基準というものがある。基準によつてこれを流して行く、こういう法案なのです。先刻井上委員の質問に対して、下から上つて来た農家の申告を基準に補填して行くのである、こういう御答弁があつたようであります。法案と課長は食い違つた御答弁をなさつておるのですが、それはどういうふうにお考えでありますか、それをまず伺いたい。それから先刻大臣の御答弁で、この金額を農林中金に預託をして、正式の補正予算がきまつてから現金の受渡しを終るというお話でありますが、その間の金利とか、そういうものはどういうかうになるのですか。これは補填を受ける団体がその金利は持つのですが、政府がそれをお持ちになるのですか、この点をはつきりしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804988X00619500726/17
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018・廣川弘禪
○廣川国務大臣 こまかい補給金のことは、実は池田大蔵大臣に相談しておりませんので、明確な御答弁ができないことを御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804988X00619500726/18
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019・長谷川善彦
○長谷川説明員 法律に書いてあります「基準に従い、」といいますのは、一定の値引率を農林大臣と大蔵大臣が相談いたしまして——ほぼ今相談しておりますのは、資料として御配付申し上げております表で御了承願いたいと思います。その表によりまして、滯貨数量その他差引くべき数量を申告してもらいまして、農林大臣が補填する額をきめて行く、こういう手続になると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804988X00619500726/19
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020・小笠原八十美
○小笠原委員 重大な関連質問があります。一体この法案の審議にあたつて一番重要な報奨物資の問題が成功なのか失敗なのか、失敗だとすればどういうところに原因があつたか、こういうことをまずお尋ねします。もう大臣がかわつたから、前の大臣の轍をふまぬということが一番重大な使命なんで、そこから話を持つて行かなければ、こんなものは審議に入れない。それが重大だ。第一、こういう報奨物資をどこに相談するか。農林省か安本に相談する、通産に相談する。ぐるぐるまわつて、もうそのうちに農村の方は用が済んでしまう、春になつて秋になつて………、失敗するのはあたりまえだ。そんなことばかりやつておるからとうていだめだ。農民に対する配給物資は、主体を農林省にしなければならない。農林省は至つて貧弱で、この課長なんかぺちやんこで、どこに当つて行つたつてだめだ。通産省に農林省の課長が言つたつてだめだ。そんなことはとんでもない話である。そういうことがあるのだから、廣川農林大臣はよく見きわめなければ——もつともまだ省議を開かない前だから幸いだ。そういうことで省議を、前の事務当局で報告され、おいそれで決定されましたのでは、とんでもない話だ。それが非常な失敗のもとなんだ、春のものはこうしよう、冬のものはこうしよう、東北の方はこうしよう、九州の方はこうしようというような、適切な配給や計画なんか絶対にできない。そんなことはできやしないと言つて、がんばつてやりはしない。農林省が言つたつて、通産省はきかない。そんなものはだめだ。そういうものははなはだ怪しいものだ。まず運動に取入れたものは成功するか、そうでないものは、公平論を持ち出してもそこに失敗する。とてもだめだ。今後どんなことを手をかえ、品をかえてしたつて、廣川農林大臣でもこれら三箇所へ行つて相談され、しまいには大蔵大臣と相談しなければならないといつたつて、とてもきまらない。その方面は全部農林省にまかせてもらつて、農林大臣の決意によつてみな取扱うことにしなければ、農村は助かりはしない。そこから始まつて、今井上君の言うように、そのためにこれ一つの議会を開いてでも解決しなければならない。とても農林省は貧弱で見ておられない。それをひとつがんばつていただきたい。廣川農林大臣はがんばりがきくと思うのでありますが、その方針をきめて、予算さえとつてくればそれでよろしい。ほかのことは何もいらぬ。廣川農政なんか言わぬがいい、農林政策なんか言わぬ方がいい。どうかその点に重点を置いて、御方針を進めていただきたい。これを希望申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804988X00619500726/20
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021・廣川弘禪
○廣川国務大臣 小笠原さんの威勢のいい御忠言、先ほどあなたは遅刻して参つたので、井上さんから同一な御小言を言われて恐縮しておるのですが、一体この前は失敗じやないか、それはあげて政府並びに与党が負うべきものである、こういうことを言つておるのでありますが、これはこの政策の転換による欠陥であることは間違いないところでありまして、かようなことをしないように今後努力いたします。なお最後にお願いしておきますが、農林大臣が幾らやろうと思いましても、農林委員会が一致して押さなければ、農林大臣の力が注げないのであります。これは国会法に明示いたしておるところでございますから、どうぞよろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804988X00619500726/21
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022・千賀康治
○千賀委員長 進行いたします。河口陽一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804988X00619500726/22
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023・河口陽一
○河口委員 この法律案が提案になりましたことに対しては、衷心感謝を申し上げる次第でございますが御説明の中で一点お尋ねしておきたいことは、これは御承知のように、滯貨に対する処置であります。地方によつてはその滯貨が非常にでこぼこになつておると考えられる。たとえば衣料品の不足しておる農家は、値段を言わず全部引取つて行つた。あるいは衣料品の潤沢な農家は引取らずにおつたために、今後受取る農家が値引きされたものを受取り、早く引取つた農家が高いものを引取つたというような、でこぼこができておると考えられるのであります。そのことは配給機関の段階においても、そういうことが生じておるのですが、これらに対してはなかなか操作がめんどうでありましようが、一応対策がありましたらお示し願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804988X00619500726/23
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024・長谷川善彦
○長谷川説明員 ちよつと速記をとめて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804988X00619500726/24
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025・千賀康治
○千賀委員長 速記をとめてください
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804988X00619500726/25
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026・千賀康治
○千賀委員長 速記を始めてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804988X00619500726/26
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027・木村榮
○木村(榮)委員 今の河口委員と関連しておりますが、今の県別の農業協同組合の段階は、今の説明で大体わかる。もう少し末端に行きますと、たとえば二月二十八日までに、末端の農業協同組合が引取つたものと引取らないものがある。そこで引取つたものは現金もむろん操作して払います。ところが引取らないものが半分くらいおつて、引取らないものがストツクしておる。そのストツクだけは補償されますと、引取つたものは、補償を受けてから、買つたものはもう少し安いものを買うということになると思うのですが、それでは結局そのことがわかつて来ますと、末端では相当大きな問題が起ると思う。お互い農業協同組合の仲間同志で争いが起つて来る、こういうふうなことを考えますと、この辺は大体どのような方法で調停をとるか、こういうことを伺つておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804988X00619500726/27
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028・千賀康治
○千賀委員長 速記をとめてください。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804988X00619500726/28
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029・千賀康治
○千賀委員長 速記を始めてください。
主要食糧供出報奨物資の配給に伴う損失の補てんに関する法律案の審議は本日はこの程度にいたしておきまして、自作農創設特別措置法等の一部を改正する法律案を議題といたし、質疑に入りたいと思いますが、御異議ございませんが。
「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804988X00619500726/29
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030・千賀康治
○千賀委員長 それではさよういたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804988X00619500726/30
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031・千賀康治
○千賀委員長 この機会にお諮りいたしたいと思います。畜産に関する小委員、平野三郎君が本日委員を辞任いたされましたが、先刻再び議長の指名により農林委員に選任になりましたので同書を再び畜産に関する小委員に選任いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804988X00619500726/31
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032・千賀康治
○千賀委員長 異議なしと認めます。さよう決定いたしました。
この際お諮りをいたします。自作農創設特別措置法等の一部を改正する法律案を審議をするという御相談をいたしましたが、参議院の方でただいま議事進行中で、どうしても政府委員が間に合わないそうでございますから、明日再開するということで、今日はこの程度で散会をいたしたいと思いますが御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804988X00619500726/32
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033・井上良二
○井上(良)委員 自作農創設特別措置法案の審議も重要でございますが、かねてわれわれから政府に要求してあります本年度産麦の補正割当等に関する報告が、まだ本委員会にございません。すでに政府は中央農業調整委員会、あるいは知事会議等を招集して、政府案についての報告をやつておるやに承つております。国会に報告をせずして、そつちに先に報告するということはけしからぬ。この際委員長はただちに政府をここへ呼んで、詳細に御報告をされんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804988X00619500726/33
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034・千賀康治
○千賀委員長 ただいまの井上君の御意思もなるべく盛り込むように盡力をいたします。
今日はこれで散会をいたします。
午後二時三十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804988X00619500726/34
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