1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十五年七月二十四日(月曜日)
午前十時五十一分開議
出席委員
委員長 安部 俊吾君
理事 北川 定務君 理事 田嶋 好文君
理事 猪俣 浩三君
角田 幸吉君 鍛冶 良作君
佐瀬 昌三君 牧野 寛索君
松木 弘君 山口 好一君
大西 正男君 上村 進君
世耕 弘一君
出席政府委員
民事法務長官 田中 治彦君
検 事
(法務府民事局
長) 村上 朝一君
委員外の出席者
專 門 員 村 教三君
專 門 員 小木 貞一君
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七月二十四日
猪俣浩三君が理事に補欠当選した。
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七月二十二日
岡山地方法務局高梁支局庁舍建設に関する請願
(橋本龍伍君紹介)(第一八七号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した事件
理事の互選
土地台帳法等の一部を改正する法律案(内閣提
出第二号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100805206X00519500724/0
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001・安部俊吾
○安部委員長 これより会議を開きます。
本日の議事に入る前にお知らせしておくことがあります。それは去る七月二十一日委員でありました猪俣浩三君が辞任せられ、その補欠として武藤運十郎君が委員となりましたが、同日再び武藤運十郎君が委員を辞任せられ、猪俣浩三君が委員となられましたことであります。つきましてはこの際お諮りいたします。猪俣浩三君は理事でありましたので、理事一名を補欠選任しなければならぬのであります。理事の選任は先例によりまして選挙の形式を省略し、委員長において御指名いたすに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100805206X00519500724/1
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002・安部俊吾
○安部委員長 御異議なしと認めます。それでは猪俣浩三君を理事に御指名いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100805206X00519500724/2
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003・安部俊吾
○安部委員長 次に土地台帳法等の一部を改正する法律案を議題といたします。前回の委員会に引続いて質疑を続けます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100805206X00519500724/3
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004・大西正男
○大西(正)委員 他の委員の方からすでに御質問があつたかもわかりませんが、私了承いたしておりませんので、お尋ねいたします。
一つは予算の関係でありますが、この土地台帳法等の法律を施行いたしますについて、これがために法務府関係に対しましてどれだけの事務量が増加されるのであるか、その事務量を人員に換算いたしまして、大体何名分ぐらいの事務量になるか。それからこれを施行するについての物件費、最初に申しました人件費、それらを含めまして、大体どれくらいの予算が必要であるかということをまずお尋ねいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100805206X00519500724/4
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005・田中治彦
○田中(治)政府委員 この問題につきましては、先般猪俣委員からも御質問を受けたのであります。国会でその点につきまして御心配になられることは、私どもとして非常に恐縮に存ずると同時に、非常にありがたく存ずるのであります。これはこの前お答え申しました通りに、土地台帳の移管は初め地方税法を考えられるときに考えなければならなかつた問題でございましたが、いろいろの関係でその所管をどこにするかが遅れまして、実は昨年の十月下旬にようやくその所管についての閣議決定がありまして、その結果法務府民事局において所管をするということになりまして、従つてその予算の編成時期も経過いたしておりました関係上、本年度予算に組むことができなかつた次第であります。そこでとりあえず私どもといたしましては、登記諸費をもちましてその一部に充てまして、不足なものは予備費の流用または補正予算の計上にまつことになるのであります。かりに本年の八月一日から事務が移管されるものと仮定いたしまして、本年度のごく大ざつぱな数字を申し上げてみますと、大体税務署におきまして、二十四年度にこの土地台帳に関する事務量をどれだけ扱つたかと申しますと、大体三千九百余名、ところが民事局におきましては御承知の通り自作農のために相当の増員をしました。ところが御承知の通り自作農の登記が順次に整備をいたしまして、その数量がだんだん減つて参りました。本年度におきましては、その残りを処理すればいいというような状況にあります。従つてそれに要しておりまする数字は一千九百人くらいであります。そこで事務量が減つて、前に申しました三千九百人余から土地の賃貸調査に要しました人間大体千人ぐらい、それを引きました数字と、私どもの方で今持つております千九百余と引当てまして、人間の手数の問題はそれで暫定的に処置をするつもりであります。それから事務費につきましては、もちろん計上されておりませんので、とりあえず法務府の持つております登記諸費、この登記諸費は御承知の通り補充費系統でありますので、その一部を流用をいたしまして、これをまかなつて参りまして、いずれその金額が足りなくなつて参りますので、その不足します数字につきましては、追つて補正予算なり、予備費の流用なりをお願いいたしたいと存ずるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100805206X00519500724/5
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006・大西正男
○大西(正)委員 そうしますと、全部でその数字はどのくらいになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100805206X00519500724/6
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007・田中治彦
○田中(治)政府委員 大ざつぱな数字でたいへん恐縮でありますが、私どもの今考えております数字の結論を申し上げますと、来年度におきましては年間の経常費といたしまして、約二億一千万円のほかに、この土地台帳の事務を移管するために倉庫その他が狭くなつて参りました。それを収容するために倉庫その他の増築費を多少加えまして、約三億円くらいの数字を来年度の予算に要求するつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100805206X00519500724/7
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008・大西正男
○大西(正)委員 そうしますと、今年度は現在の予算の範囲内で行く予定でありましようか。先ほど申されましたように、一部は補正予算を組まなくてはならないようになるのでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100805206X00519500724/8
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009・田中治彦
○田中(治)政府委員 本年度は先に申し上げました通り、登記諸費でまかなつて参りましたので、多少ふえて参りますので、これを予備費あるいは補正予算で御審議を願う予定であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100805206X00519500724/9
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010・大西正男
○大西(正)委員 それでは次にもう一点お尋ねいたします。今回の改正が行われましたならば、登記所に、従来からの登記簿とさらに土地台帳とが備えつけられるわけでありまして、一機関に二つの帳簿ができるわけであります。この二つの帳簿は現在の当面の問題としてもちろん、必要でありますが、将来かような二つのものが必要でありましようかどうか。次に、これを将来統一する考えはないかどうか。また統一が適当であるか不適当であるかどうかわかりませんが、この機会におきまして、登記制度に対して全面的な検討あるいはその結果改革が必要になるかもわかりませんが、そういつた面について、政府におかれましては何らか研究をされておるでありましようか。また研究をする必要があると認められるでありましようか。その点についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100805206X00519500724/10
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011・田中治彦
○田中(治)政府委員 先ほど申し上げました通り、今年度法務府に土地台帳、家屋台帳事務を移管することになりましたが、昨年非常に押しつまつてからのことで、通常国会の開かれますまでに大きな企画をもつていろいろな受入れの態勢を整えるということは非常に困難な問題になりまして、そんな事情に置かれたものでありますので、今回の改正案におきましては、事務を移管するに必要な最少限度の改正にとどめております関係上、登記所は従来の登記事務のほかに、あわせて土地、家屋の登録事務を処理することになつたのであります。土地台帳、家屋台帳は今後土地価格の現実の状況の把握ということに第一義的な意義を置いたのであります。しかしながら御承知のように、現在台帳の登録と登記とが不一致のために、ただいま御指摘のようにいろいろな不便とか不都合が生じておる実情にあるのであります。従いまして、今回御審議を願つております法案におきましては、たとえて言いますと、不動産登記法の第四十九条の二を初めといたしまして、三十九条の二、八十条の二、九十二条の二というような規定におきまして、その両者の不一致の統一をできるだけはかりまして、手続の簡易化をはかるように措置して参つたのであります。しかしながら、これではもちろん足りるわけではないのでありまして、同一官庁であります登記所においてこの二つの事務を取扱います以上、ただいま申し上げましたように、手続の重複だとか、記載の不一致を避けますために、最も合理的な制度を設ける必要があることは申すまでもないことであります。そのためには、現在の登記制度と台帳登録制度を一元化することが一番望ましいことではないだろうか、こういうふうに考えます。しかしながら、この台帳と登記とを一致させるということは、単純な登記だとか登録の枝術上の問題だけではなくて、その関係するところが広いのであります。たとえば民法だとかその他関係するところが広いのでありますからいろいろ重要な問題を含んでおる。従いまして、ただいま申し上げました通り、私どもはその一致をはかることが望ましいと考えておりますので、現在も民事局におきましてはこれを研究、調査いたしております。なおその上に大学その他学者方面、あるいは国会その他有力な方々の御意見を伺い、御研究を願い、緊密に連絡をとりまして、この二つの制度の根本的な改正を進めることを考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100805206X00519500724/11
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012・大西正男
○大西(正)委員 けつこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100805206X00519500724/12
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013・安部俊吾
○安部委員長 世耕弘一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100805206X00519500724/13
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014・世耕弘一
○世耕委員 私は、簡単に土地台帳の問題についてお尋ねいたしたいと思います。他の委員の方からお尋ねがあればけつこうであります。たとえばこういう場合はどうなるんでしようか。最近の事例でありますが、実は土地の所有者が知らぬうちに国有財産に編入されている事実がある。さように知らぬうちに処理されたということが証明された場合に、救済する方法を講ぜられておるかどうか。一例を申し上げますと、昭和二十二年まで税金を納めておつた。そうして二十三年に今度は税金の督促がなかつたからおかしいというので、区役所の方へ届け出たところ、一向それについて返事がなかつたから、それでは税はまだあとかなと思つているうちに、二十四年になつたものだからおかしいと思つて調べに行つたところ、それはもう国家の所有になつておつた。しかも詳しいことを聞いてみると、告示したではないか、こういう返事であつたという。かような場合に実は善意でさような状況に陥つておるのでありますが、私は土地台帳等を記載する場合に、たとえば登記所が登記手続をする場合に、少くとも税務署と連絡をとつて、なおその上に所有者が行方不明だというような場合はいたし方がないけれども、東京都内の焼け跡の処理の場合には税務署と連絡をとりさえすれば、住所不明ということはあり得ないだろうと思う。そういう場合の救済はどういうふうな処置をとられるのか、救済できるのかどうかということをお尋ねしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100805206X00519500724/14
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015・田中治彦
○田中(治)政府委員 お答えいたします。ただいまの問題は、御指摘が事実だといたしますと、何か誤りで登記されたのではないかと思います。今度の台帳法改正案の三十八条二項によりますと「登記所は、土地台帳の登録に誤りがあることを発見したときは、これを訂正しなければならない。」とこう規定しております。そこでその登記の記載が誤りであることがわかれば訂正するのであります。ただこの場合に、国であろうと私人であろうと、土地の関係でありますから利害関係が深いのであります。その場合に国の方で異存がなければこの三十八条の二項によつて訂正をする手続をいたすだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100805206X00519500724/15
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016・世耕弘一
○世耕委員 そういう間違いは、事実に徴してみますと手続は簡単なんです。たとえば二十二年度まで税金を納めておつたので、納めておる場所へ通知すればわかるやつを、なぜ連絡をとつてくれなかつたかと言つたら、通知をする必要はないんだ、たとえば区役所なり国が告示さえすればいいということでは、国民に対して不親切ではないか。しかも同一の国家機関である。その調査を経ずして、かつてに国有財産に編入するというような行き方は、私はどうも国民に対して不親切であると思う。そういう事件は東京都内におそらくたくさんあるのではないかと考えるのでありますが、こういう場合には税務署とよく協議して、さような事実があるときには、特に手続をとるというようなことをお考え願いたいと思いますが、いかがでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100805206X00519500724/16
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017・田中治彦
○田中(治)政府委員 ただいま御指摘になりましたような事実は、先ほど申し上げましたように、何か誤りでなかつたかと思うのであります。できるだけ申請者に御便宜をはかり、御指導を申し上げるのが、私どもの方の登記所の役人の心構えであろうと存じます。ただいまの御指摘のようなことが事実だとしますれば、きわめて簡単な問題でございます。おそらく関係官庁に連絡をとれば、簡単に登記の誤りの訂正がなされるものだと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100805206X00519500724/17
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018・安部俊吾
○安部委員長 ほかに質疑はありませんか。——質疑はないものと認めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100805206X00519500724/18
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019・田嶋好文
○田嶋(好)委員 本案は質疑も終了したようでございますから、討論を省略して、ただちに採決に入られんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100805206X00519500724/19
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020・安部俊吾
○安部委員長 ただいまの田嶋委員の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100805206X00519500724/20
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021・安部俊吾
○安部委員長 御異議なければさように決定いたします。
それでは討論を省略してこれより採決に入ります。本案に賛成の諸君の御起立を願います。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100805206X00519500724/21
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022・安部俊吾
○安部委員長 起立総員。本案は原案の通り可決確定いたしました。
この際お諮りいたします。衆議院規則第八十六条による委員会報告書の作成については、委員長に御一任願いたいと思いますが、よろしゆうございましようか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100805206X00519500724/22
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023・安部俊吾
○安部委員長 御異議がなければさよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午前十一時十五分散会
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