1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十五年七月十九日
島田 末信君 福永 健司君
吉武 惠市君 早川 崇君
赤松 勇君
が理事に当選した。
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昭和二十五年七月二十一日(金曜日)
午後三時二十一分開議
出席委員
委員長 倉石 忠雄君
理事 島田 末信君 理事 福永 健司君
理事 赤松 勇君
麻生太賀吉君 天野 公義君
金原 舜二君 佐々木秀世君
佐藤 親弘君 篠田 弘作君
船越 弘君 三浦寅之助君
柳澤 義男君 石田 一松君
稻葉 修君 青野 武一君
前田 種男君 柄澤登志子君
中原 健次君
出席国務大臣
労 働 大 臣 保利 茂君
出席政府委員
労働政務次官 山村新治郎君
労働事務官
(労働基準局
長) 寺本 広作君
労働事務官
(職業安定局
長) 齋藤 邦吉君
委員外の出席者
專 門 員 横大路俊一君
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七月二十一日
委員中原健次君辞任につき、その補欠として玉
井祐吉君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員玉井祐吉君辞任につき、その補欠として中
原健次君が議長の指名で委員に選任された。
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七月二十日
失業応急事業に関する請願(水谷長三郎君紹
介)(第三号)
北海道に身体障害者公共職業補導所設置の請願
(松澤兼人君紹介)(第四号)
戸畑市に労働基準監督署設置の請願(淵上房太
郎君紹介)(第一一〇号)
の審査を本委員会に付託された。
同日
失業対策費全額国庫負担の陳情書外五件
(第四九号)
を本委員会に送付された。
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本日の会議に付した事件
国政調査承認要求に関する件
失業保險法の一部を改正する法律案(内閣提出
第九号)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100805289X00219500721/0
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001・倉石忠雄
○倉石委員長 これより会議を開きます。
まず国政調査承認要求の件についてお諮りいたします。
一、調査する事項
一、失業対策に関する事項
一、労資関係に関する事項
一、労働基準に関する事項
一、その他労働行政に関する事項
二、調査の目的
労働行政の適正を期するため
三、調査の方法
関係各方面よりの意見聽取及び資料の要求等
四、調査の期間
本会期中といたすことに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100805289X00219500721/1
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002・倉石忠雄
○倉石委員長 御異議がなければさように決定いたしまして、諸般の手続を行いますから、御了承願います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100805289X00219500721/2
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003・倉石忠雄
○倉石委員長 次に失業保險法の一部を改正する法律案を議題といたします。質疑を許します。前田種男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100805289X00219500721/3
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004・前田種男
○前田(種)委員 最初に失業対策の問題でございます。先日来本会議等において答弁されたと思いますが、今会期中本委員会が初めてでありますので、本席上において、最近の失業者の実情、それの対策を、できるだけ簡潔でいいですから、お知らせ願いたいと思います。それと関連いたしまして、失業保險関係の給付状態も聞きたいと思います。私は昨年、失業保險の金がある程度余裕があつた当時にも申し上げましたが、この春でございましたか、保險金を幾らか、値下げしたことがございますが、最近の失業者の実情から行くと、失業保險の財政面についても、相当苦しくなつて来ておるという見通しが立つのではないかと思います。そういう点等につきましての概略でよろしいですから、要点だけ一応お答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100805289X00219500721/4
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005・齋藤邦吉
○齋藤(邦)政府委員 ただいまのお尋ねの失業対策の問題につきましてお答え申し上げます。
まず最初に失業者の状況の問題でございますが、一般的に申し上げまして逐次失業者が増加の傾向をたどつて来ておるのでございます。特に日雇い失業者につきましては、安定所に登録する数も逐次増加して参つておりまして、本年一月当時、日雇い登録者数が二十八万七千人程度でありましたが、最近五月に至りましては、四十一万程度に伸びて参つておるような次第でございます。なお常用関係の安定所の窓口に現われております求人求職の状況でございますが、大体昨年末は安定所の窓口の求職者の数は七十万人程度であつたのでありまするけれども、本年一月、二月、三月、この時期は、特に御承知のように新規学校の卒業生の就職という問題もありまして逐月増加して参りまして、求職者の数は本年の三月に九十二万程度に及びました。最近多少減少いたしましたが、なお五月におきまして八十万台であるのであります。この八十万台の求職者に対しまして、求人口は割合にまだ増加の傾向をたどつておりませんで、求人の数は大体二十万前後を動いているような次第でございます。二十万前後の求人者に対しまして、安定所の就職あつせんによつて約十万内外の者が就職をしておる、こういう状態でございます。すなわち八十万台の求職者に対して求人は約二十万、就職は十万ということになつております。しかしながらこの八十万の中には、企業整備等によりまする者が約半数程度入つておりまして、この人たちは失業保險金によつてその生活をつないでおる状態かと存じております。すなわち五月の例を申し上げますと、求職者の数は八十三万でありまして、失業保險の受給者は約四十一万五千人ということに相なつております。
就職者はこの月約七万七千人ということになつておりまして、大体三十万人が保險金ももらわず、未就職の状態に終つておるという状態かと存じております。こうした状況でありますので、これに対しまする失業対策といたしましては、去る七月四日の閣議決定におきまして、失業保險制度の改正の問題、あるいは失業対策事業費の繰上げ支出の問題、あるいは対日援助見返り資金によりまする公共事業にできるだけ失業者を吸收するといつたふうなことを、内閣の御方針としておきめになりましたので、こうした方向に進んで努力して参りたい、かように考えておる次第でございます。
なお最後に失業保險の保險経済の状況につきまして、非常に御心配いただいたのでありますが、目下のところの状況を簡單に御説明申し上げたいと思つております。本年度の大体の保險経済の状況は、四月以降大体四十万程度の受給者がありまして、その金額は大体十三億程度の金額を支出いたしておるのであります。この状況がこのまま毎月一年間続くといたしまして、かりに大体百四、五十億となるといたしましても、現在のところでは本年度の失業保險経済において何とかまかなつて行ける、かように考えておる次第でございます。すなわち本年度失業保險特別会計におきましては、すでに百二十億が議決せられておりまして、そのほかに保險金のみの予備費として四十億を予算に計上しておりますので、この予備費四十億を全部使用するとするならば、合計百六十億を使用することになる予算に相なつておりまして、本年度大体毎月十三億といたしましても、そこまでは行かないではないだろうか。従つて保險経済といたしましては、今のところまだ心配はする必要はないのではないだろうか、事務的にはこう考えておる次第でございます。なお失業保險経済は、このほかに昭和二十三年度この制度始まりまして以来、昨年度までの保險料收入によります積立金を約六十五億持つておりますので、その点から申しましても、一応事務的に申しまして失業保險経済は、今の情勢では心配はない、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100805289X00219500721/5
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006・前田種男
○前田(種)委員 今の答弁に続きまして、大臣にさらに御答弁願いたいと思いますが、就任以来四十億の本年度予算の繰上げ支給等について御努力を願つた点は了といたしますが、さらにこれを繰上げ支給をするという努力をしていただきたいと考えるのであります。というのは、現在の予算の全体と失業者の現状から見ますと、なおかつあぶれが相当あるという現状でございますので、その点で予算不足を来しているという現状がございますので、さらに繰上げ支給をするというとりはからいを願つて、足らないものは次回の臨時国会、あるいは一月の通常国会等に、急速に補正予算を提出するという見通しを立てなければならぬじやないかという状態にございますが、こういう点に対する見解を承つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100805289X00219500721/6
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007・保利茂
○保利國務大臣 大体御意見の通りの考えをもつて対処したいと思つております。二十五年度の失業対策事業費の繰上げ支出ということは、実は必ずしも今年一ぱいという膠着した考えを持つておりません。情勢に応じまして、相当彈力を持つた支出方法をいたしたい。従いまして、当然この第四・四半期は申すに及ばず、場合によりましたならば、さらに第三・四半期の幾分かについても、補正予算措置を講じなければならぬ場合も起るであろうということを考えております。大体御所見の通りの考えを持つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100805289X00219500721/7
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008・前田種男
○前田(種)委員 その次に日雇い労務者関係につきまして、大臣並びに局長から御答弁願いたいと思いますことは、提案されておりますところの本法の改正にも出ておりますが、三十八條の待期期間の問題でございます。これも現行法から見ますと、それぞれ一日ずつ短くなつておりますが、さらにこれをむしろ待期期間を廃止するという意見があるわけです。またぜひそうしてもらいたいという強い要望がございますが、そういう意思があるかどうかという問題が一つ。その次には輪番制と登録制の問題と関連いたしまして、予算関係に縛られて行く関係から、新しく登録されることを拒否する、入れないといつたような態度がありはしないか、要するに新しく入つて来る者を認めないというような状態があるように承りますが、そうした問題等についてどういう処置をとつておられるか、あるいはそういうことはないかどうか、またないように下部のそれぞれの機関に徹底するような処置をとつてもらいたいと思うのであります。
それから労働省と直接関係はありませんが、日雇い労務者に対しましても、健康保險に加入するという処置を講じてもらいたいという要望があります。これは厚生省との関係もございますが、労働省としては何とかして、健康保險が適用されておる現在において、日雇い労務者にも健康保險の適用を受けさすというような処置を講じていただきたいと考えます。
その次には新宿その他の問題でございます。これは一概には言えないのでありますが、労働手帳を取上げられるという現実の事例が、あちらこちらに起きております。もちろんこのためにまじめな者がそばづえを食つておるという事実もあるわけです。その点でそういう処置をなぜとらなくてはならなかつたか、あるいはそういう処置はけしからぬから、そういうことはやめさすというような方針を堅持してもらいたいと思いますが、過去に起りました現実の事実と、全体の方針との間には、いろいろな問題があろうと思いますが、手帳が取上げられるということは、その労働者にとつては生活の道が断たれるということになります。万々一でも手帳を取上げてはならないと考えますが、こうした点につきまして一応当局から、その実情なり方針なりを承つておきたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100805289X00219500721/8
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009・齋藤邦吉
○齋藤(邦)政府委員 まず御質問の最初の待期の点からお答え申し上げますが、日雇い労働の実情から申しまして待期はなるべく短縮する。いなむしろ全然なくしてしまうということが、理想としてはあるいは考えられるか存じておりますが、御承知のように日雇いばかりではありませんが、保險制度そのものが、給付と保險料といつたような関係、いわゆる保險経済といつたようなことから申しまして、今ただちに待期を全然なくするということは、きわめて困難ではないだろうか、かように考えておる次第でございます。なお今回のこの規定によりまして、現在の待期はすでに六月一日から、通算して六日、継続して四日ということになつておりますので、この改正法律案の三十八條の九第六項の自動的な規定が成立いたしますと、そうしてまた現在の保險経済の実情からいたしますれば、もう一日程度、八月ごろには短縮できるのではないだろうか、かように考えておる次第であります。
すなわち通算して五日、継続して三日という、一日さらに短縮できるのではないだろうかと、かように考える次第であります。
第二の登録拒否の問題でございますが、ただいまお話のありましたように、東京その他の安定所におきまして、一時登録を拒否するといつたようなことがないでもなかつたことは、御指摘の通りであります。しかしながらいやしくも安定所に職業を求めに来た者につきまして、求職の申込みを拒否するということがもしありとするならば、安定法の精神から申しまして、好ましくない事柄でありますので、今日まで私どもも求職の受付はこれを拒否しちやいかぬということで参つたのでありますけれども、地方によりましては、予算のわく等の制約もありますので、非常に苦しい立場に置かれたこともありまして、やむを得ずそういう事例もないではなかつたのであります。しかし最近におきましては逐次改善されておると思つております、しかし全部ないとはここで断言しきれませんけれども、将来におきましてはそういうことのないように、大いに努力して参りたい、かように考えておる次第でございます
第三の日雇い健康保險の問題でございますが、これは各方面から要望された事項でありまして、私の承知しておるところでは、厚生省におきましても研究をしておられるということを承つております。なおお話の点は、必要によりまして厚生省の方にお伝えいたしたいと存じておる次第であります。
最後に、最近の新宿の手帳取上げの事件につきまして、本日東京都から報告の要旨が参つておるのがございますので、簡單に実情を御説明申し上げたいと思います。七月六日のことでございます。「平日の通り、午前七時から紹介を開始したが、左記五名の者が主謀者となり「今日は一人も紹介を受けずに頑張ろう。紹介を受けていては何時までも輪番制はやまらない。」と怒号し、多数の共産系組合員の雷同による実力行使によつて紹介業務の継続は困難となるとともに、妨害行為の阻止に努力した職員数名が殴打されるという混乱状態となつたため、七時三十分遂に紹介業務を中止した。午前八時安定所長は約三千の労務者に対し、紹介拒否による就労者の不利益について説得し、事態の鎭静をまつて八時十分紹介を再開九時四十分これを終了した。安定所長は、当日における如き事件の頻発によつて失業対策事業の運営が阻害される虞れがありとし、又一部の指導者の煽動によつて多数の労務者の不利益を招来すべきことを案ずるとともに前記五名は「就労の意思なき者」と認め就労整理番号の抹消を決定し、五名の手帳及び関係帳簿の整理の必要上手帳を留置した。七月九日手帳記載の整理番号抹消の上手帳を返付したところ、五名の者は「都労委に対し提訴中であるから安定所において預かつて貰いたい旨申出があり、申出の通り保管中である。」と報告いたしておるのであります。すなわちこの報告によりますと、安定所におきまして紹介業務を開始しようとしましたときに、その紹介業務を阻害された、こういうことであつたのであります。すなわち求職の申込みをしておりながら、紹介業務を妨害する。すなわちみずから求職の申込みをしておりながら、その意思を自分で放棄するというような行為があるということでありますので、就労手帳の整理番号を抹消する、こういう手続をとつた、こういうふうな報告を受けておる次第でございます。以上最近の七月六日の新宿の事柄につきまして御報告申し上げた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100805289X00219500721/9
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010・前田種男
○前田(種)委員 日雇い労務者の職の問題について、いろいろ忌まわしい事件が起きておることを私は承知しております。しかしこれは十分就労が満たされないという点から、いろいろな騒ぎが起きているという点もございます。また見ようによれば、今の内閣は共産党彈圧政策に便乘して、日雇い労務者の問題についても非常に冷淡ではないかという印象が、現実には見受けられるのです。私は、こういう点については細心の注意を拂つて、いやしくも共産党彈圧の一つの手段として日雇い労務者の就労問題が取扱われるというようなことがないようにしてもらわなければならぬと私は考えます。この点についてはひとつ大臣の見解を承つておきたいと考えます。それとともにこの日雇い労務の対象になる人々は、ただ給料をやつて働かせているという形だけ整えることでいいというのでなくして、何十万かの日雇い労務者がもつと積極的に、ほんとうに能率を発揮して、国家の再建に協力できるような仕事がやれるような態勢を確立するということが、基本的に大事な問題だと考えます。東京においても、大阪においても、あるいは府や市においても、実はたくさんの日雇い労務者がおりますが、実際能率の点その他の面等についてもてあますというような点が、端的に申し上げて、ないとは言えないのです。これがよつて来るところの原因はいろいろあるといたしましても、せつかく莫大な経費を使つて仕事をさせますところの人々が、もつと能率的に、あるいは気持よく仕事ができるような環境と事情に置かれなくてはならぬと思います。こういう点については、なかなか容易なことではございせんが、政府は率先してそうした基本的な方針をよく検討されて、せつかく国費を使うのだから、十分能率が発揮できるような対策が願いたいと考えます。こういう点につきまして、新しい労働大臣の抱負もあわせて承つておきたいと考えます。一応今の点についてお答えを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100805289X00219500721/10
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011・保利茂
○保利國務大臣 日雇い労務者の問題につきましては、私も就任以来最も心配をいたしている点でございまして、働きたくともどうしても仕事がない、しかも生活が非常に窮迫しておられるという方々が、今年になつて非常な多くの数に達して来ている。しかも緊急失業対策事業費が、今年度を通じて四十億という予算になつておりまして、それが最近の傾向といたしましては、就労の日数が全国的に漸次低下して参る、従つて就労できないときに失業保險の給付を受けることもできない、すなわち受給要件にも満たないというような状態を呈して参つておるのを見まして、お説のように政府といたしましては、今日重税の声が非常に強い折、国民の負担になることでございますけれども、これはやはり社会連帯というか、相互扶助というか、全国民の責任においてこれを改善して行くという気持をもつて対処しなければならぬではないか。従いまして財政上のいろいろな困難の事情もございますけれども、先ほど申しますように、今年度予定せられております四十億の失業対策費を、許せるだけ繰上げ支出をいたしまして、就労の機会を多からしめる、今日よりももつと改善して参る、こういう考えの上に立つて、先ほど来申し上げますような諸般の施策をとつているわけでございますが、御指摘のごとく、そういう性質のものでございますから、日々職業安定所においでいただいている方々の御事情は、むろん十分察しなければならぬのでございますけれども、政府としましては最良にその日の仕事につく、そして今日の非常な国民負担のもとに行われる失業対策事業に十分の労務を提供して、事業自体に対しても貢献するというお気持を持つて働いていただく方に対しては、私はどうしても政府の責任において十分のことをやつて行かなければならぬと存じますが、今年の初頭来、いわゆる職安闘争というものが行われておりまして、その職安闘争は必ずしもそういう切実な生活上の問題から出たものばかりとも言えない。職を得る、その日の賃金を得るというその気持のみ——むろんそういう事例が非常に多うございますけれども、そういう目的以外に、こういう窮迫した人たちの気持を利用して、一部の政治目的、あるいは他の目的にこれを利用しようとする煽動分子によつて、多数のこれらの方々が不幸な事態に陷られているということは、私は非常に遺憾に存じております。これらのことにつきましては、政府としては十分日雇い労務者の方々に対して国民の許し得る限度においてこれをいたします以上は、また日雇い労務者の方々もそのお気持を持つていただいて、そしていわゆる一部の煽動に乘つて就労の秩序を乱すようなことのないように私は念頭もいたし、また政府としてもそう措置することが、公共の福祉を守つて行くゆえんであろう、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100805289X00219500721/11
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012・前田種男
○前田(種)委員 今の大臣のお言葉に私は何も反駁はいたしません。本年初頭来の職安闘争の事情等につきましては、私自身だれよりもよく実情を知つております。しかしあまりにこうしたことにおびえて、末端のそれぞれの責任者あるいは労働省関係の方々が、いたずらな毛ぎらいをする、あるいは逃げまわる、あるいは十分の応待をしないということになりますと、かえつてよりどころかないということで、問題が紛糾する、紛糾することで一つの目的が達せられるというようなことになつてしまつて、さらに輪をかけるということになる現状も私は知つておりますから、できますならばやはり飛び込んで行つて、正しいことはあくまで説得して、了解せしめるという努力をしなければならぬ考えます。いろいろなことについて、切実な生活の問題から来ておりますところの職安闘争の変化あるいはあり方等については、予測しない問題ももちろんございすが、こうした問題に対する責任は明確にして、多くの国民を指導し、あるいはよく説得して、そして十分目的が達せられ、しかも安んじて職につき得るような対策を講じていただきたいということを要望しておきます。
その次には、進駐軍関係の労務者が失業しているのも、被保險者のらち外にございます。今日二十三、四万の進駐軍関係の労務者がございますから、ぜひともこれを失業保險の対象にしていただきたいと思いますが、そうした余地があるかどうか。法案を改正してでも、そうした措置を講じてもらえるかどうかという点が第一点。それから第二点は、これは労働大臣というよりも、国務大臣としての保利さんに承つておきたいと思いますことは、今度の朝鮮事変以来、予測しなかつたいろいろな特殊任務についている国民が相当多数ございます。船員の問題、進駐軍の問題、あるいは輸送、荷役、飛行場その他等に使われております多数の人人がございます。根本的には一体こうした任務が、今日の占領政策の範囲内であるか、占領政策以外にあるかという点を聞かなければなりませんが、法律上の問題、そうした点等の解釈を労働大臣に聞くということはどうかと思いますが、しかしその範囲内であるか範囲外であるかということによつて次の問題がかわつて来ると思います。その次の問題は、特殊の任務についておりますところの多くの従事者に対する待遇は、特別の待遇がなされなくてはならぬと考えます。海員と運輸省の間に、あるいは船主協会の間には、それぞれある程度の妥結が団体協約的に成立したと聞いておりますが、これは船員だけの問題ではございません。進駐軍、通信、運輸、荷役あるいはその他いろいろなものに関連しますが、こうした全体の特殊任務につきますところの労務者に対する手当の問題は、一体どういうように政府は関係方面と交渉してやられる熱意があるかどうか。ある面にはアメリカの予算において支給する、あるいはアメリカ人同様に手当をもらえるという点も承りますが、しかし一面において、われわれは国の法律の適用を受けますために、税を引かれますと、半分以上税金にとられてしまうというような、今日の日本の所得税法の関係から行きますと、実際の手取りの面で非常な不合理な立場にあるわけです。今度の問題に対する日本の国民のそれぞれ勤めております仕事というものは、まつたく特殊な仕事でございますから、こういう特殊な仕事に対するところの家族の問題、あるいは本人の危險、あるいは本人の待遇の問題等については、まつたく十分の処置が講じられなくてはならぬと考えますので、そういう点等につきまして、むしろこれは特調関係あるいはその他の関係であろうかと考えますが、ひとつ国務大臣として、そういう問題に対する実情、あるいは今後どういうように努力して行くというお気持があれば、そういう見解を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100805289X00219500721/12
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013・保利茂
○保利國務大臣 第一の進駐軍関係の労務者に、失業保險を適用するようにしないかということにつきましては、実際の事情からいたしまして、強制適用はおそらく困難ではないかと考えておりますが、政府職員と同様に考える性質のものであろうと存じますから、そういう趣旨によつて措置して参りたいと考えております。
なお第二点の問題につきましては、ただいまのところはまつたく臨時的の現象として、格段の措置を講じておりませんけれども、事態が長期化するということになりますれば、お話のごとく十分対処して行かなければならぬ。このことは政府全体としていろいろの面がございますので、すでにこれが長期化して行くような傾向があります場合には、できるだけ御趣意のような線に沿うて対処して参る、こういう考えでおります。
なお両点につきまして、詳細なことは政府委員から……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100805289X00219500721/13
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014・前田種男
○前田(種)委員 今の特殊任務に従事する人の待遇の問題につきましては、長期化すればそれぞれの処置を講じなければならぬという程度の御答弁でございましたが、もうすでに今日の見通しからいつて、相当の人が従事しておりますので、私はその人たちの身命、あるいは生活、あるいは留守家族等の生活権の問題、大きい立場で行きますならば、日本の国民生活の確保の点から行きましても、ぜひそうした問題等については、万遺漏のない措置を講じていただきたいと考えます。
最後に私がさらにお尋ね申したい点は、進駐軍関係の業務につきまして、直営の場合は別といたしまして、それぞれ請負業者が下請をやつておる場合におきましては、相当労働基準法その他の違反行為が現われております。これを労働省としては、どういう監督をしておられるか。これはただ單に進駐軍関係の労務者ばかりではございませんで、その他一般工場においても、最近は特に事業の不振等から、労基法の違反行為が相当顯著になつておりますが、進駐軍関係の請負業者の中にも相当ございますが、こういう点に対する基準監督局長の見解を承つておきたいと考えます。
その次には、前国会からも問題になつておりますが、国等を相手にするところの契約云々に対するところの新しい法律案を、次の議会に提案する。第八国会に必ず提案するという前国会からの審議経過がございますが、こういう法律案を至急に提案される意思があるかどうか。あるいは今国会は会期が短かいから、間に合わないというようなことも承つておりますが、しからば次に予測される議会に、必ず提案されるというような意志があるかどうか、この点を明確にお聞きしておきたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100805289X00219500721/14
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015・寺本廣作
○寺本政府委員 御質問の第一点でございますが、進駐軍関係の労働問題について、どういう監督をやつておるかという点につきましては、このたびの事変が起りまして以来、労働時間の延長、休日労働など、相当頻繁に行われておるのでありまするが、この点につきましては、一般の工場、事業場と同じように、厳重に監督をいたしております。特別調達庁で労務需要として直接雇つております分は、私の方で直接監督するよりも、司令部を通して監督した方が有効な場合がありますので、問題がありました場合には、司令部を通しまして軍の当局者に注意を喚起いたしまして、問題の解決をはかつております。なお事変の長期化に伴いまして、暫定的にとられました措置に相当のむりが出て来るという点につきましては、目下関係方面に労働省といたしましては、人員の増員をはかるとか、労務管理の合理化、改善をはかるというようなことで対処するように、申入れを行つている次第でございます。
なお御質問の第二点でございますが、当国会に国を相手方にする契約における労働條項に関等する法律の提案か遅れておる理由について、一応御説明申し上げたいと思います。この法律は昨年ジュネーブで開かれました第三十二回の国際労働会議で定められました條約に準拠して、これを国内立法化しようとするものでありまして、そのねらいとしておりますところは、政府の発注いたします工事であるとか、物の生産などの契約に基いて事業が行われます場合、そこの労働者に対して、民間で拂われておりますところの一般の貸金と同じ賃金を拂うというところに、ねらいがあるのでございます。そういたしまして、このねらいを実現するために、政府と契約いたさせます場合に、業者が必ず労働者に対して、一般職種別賃金を拂うということを契約させる。その契約に違反して、一般職種別賃金を拂はない場合は、政府の工事代金を契約者に拂う場合に、未拂賃金相当額の賃金を留保するとか、あるいは契約の取消しをするとか、または政府がそういう違反をしばしばする業者のブラツク・リストをつくるというような民事的制裁を加えよう、この民事的制裁によつてそういうねらいを実現しようというのが、この法律のねらいでございます。しかしながらその法律のねらいの中で、契約の取消しであるとか、またはブラツク・リストをつくるというのは、使用者に制裁を加えて関接的に労働者を保護しようということでありまして、すでにわが国の労働立法で従来やつておりまする考え方と同じ考え方でありますが、ただ未拂い賃金を政府が留保しまして、労働者に直接拂つてやるという点は、従来の労働保護の考え方でございます。この点が、昨年の国際労働條約の眼目であらうと思われるのてございます、しかしながらこの未拂い賃金の留保に関する部分は、條約の規定が非常に簡單でございまして、これを国内立法化します場合に、財政法、会計法との関係などで幾多の疑問が出て参ります。また政府が契約者にかわりまして、直接未拂い賃金を拂います場合に、事業官庁が沸つた方がいいか、また行政官庁が沸つた方がいいか、どちらが労働者に有利であり、かつ国費の節減になるかというような点についても、検討すべき問題がございます。そのいずれの方法で支拂いまするにいたしましても、未拂い賃金を国が留保して支拂うということは、予算の裏づけがなくしては実施しがたいのでございます。その点で当国会にこの補正予算を提出するかどうかの問題とからみ合いまして、この法案が当国会に提出することが非常に困難な事情に置かれておるのでございます。また従来政府に対する不正手段による支拂請求の防止等に関する法律で行われておりましたように、一般職種別賃金を進駐軍労働に適用するかどうかという問題がございます。適用するといたしました場合に、この法律で適用するか、または特別職の給與に関する法律で適用するかというような技術的な問題につきましても、政府部内のみならず、関係方面とも折衝をしなければならぬ問題が残つておるのでございます。こういう事情で、この法案を当国会に提出するということは、非常な困難な状況に目下置かれております。なお将来の問題といたしましては、補正予算が提出され得る国会には、この法立案が提出されるであらうということを申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100805289X00219500721/15
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016・前田種男
○前田(種)委員 私は時間の関係で、質問はいろいろしたいのでありますが、これでおきます。最後にぜひ労働省の最善の努力を願いたい問題は、賃金の遅欠配の問題でございます。これは昨年来経済界の不振とともに、相当深刻になつて来ております。御承知のように賃金は生活の最低であるわけであります。お互いがもし国の財源が悪くして、給料がもらえぬということになつたらたいへんなことになります。それと同様に、民間事業の中において相当賃金の遅欠配が蔓延しておるのであります。その中にはほんとうに支拂い不能の事業工場があります。中にはそういうことを口実にして能力があるにかかわらず、いろいろな口実を設ける悪質なる業者もあるわけであります。私大阪から今日もらいました資料で、大阪だけの中の状況から見ましても、五月、六月だけで二百件以上、賃金の不拂い工場がふえておるという現状で、中には千名以上も使つておる工場で、六月分の賃金を拂つていない。あるいは五月分の賃金を拂つていないというような数字をもらつておるのであります。私はこうした問題はひとつ政府が相当監督し、あるいは援助をして、労働賃金だけは少くとも遅配欠配をなくして、支拂いができるように善処願いたいと考えますので、この点に対して大臣の簡單な御答弁を願つて、私の質問は留保いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100805289X00219500721/16
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017・保利茂
○保利國務大臣 昨年来の経済事情によりまして、賃金の遅欠配が慢性化しておるという状態は、まさにその通りであろうと思います。しかし労働省としましては、御指摘のような悪意ある遅欠配、これに対しましては相当嚴格な監督を行つておりまして、大阪方面の実情を伺いましても、労働基準局のその監督の結果、改善せられておる面は相当大きいように思います。今後も御趣旨のような方向で、できるだけ改善して参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100805289X00219500721/17
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018・柄澤登志子
○柄澤委員 このたびの日雇い労務者の就労の改正のことがありましたので、御質問申し上げたいと思うのでありますが、保利労働大臣より、せんだつて御就任になりましたときに商業新聞に、国民の税金の中から取上げた予算で失業救済事業が行われておるのに対して、職業安定所へ失業者の人たちが職よこせよこせといつて押しかけて来るのは、どうも当を得ないというような、これは商業新聞がおそらく間違つて載せたのではないかと思いますが、報道されておるのでございます。この点につきまして保利労働大臣は、どういうふうにお考えになつておりますか。ちよつと御見解を伺つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100805289X00219500721/18
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019・保利茂
○保利國務大臣 何の新聞でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100805289X00219500721/19
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020・柄澤登志子
○柄澤委員 あなたがおそばを食べておる写真の載つておる新聞でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100805289X00219500721/20
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021・保利茂
○保利國務大臣 私は存じません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100805289X00219500721/21
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022・柄澤登志子
○柄澤委員 そういうことについてどういう御見解か、大臣の御答弁を煩わしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100805289X00219500721/22
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023・保利茂
○保利國務大臣 日雇い労務者の職安闘争に対しまする私の考え方は、先ほど前田さんの御質問の際に申し上げた通り、それによつて御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100805289X00219500721/23
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024・柄澤登志子
○柄澤委員 それではお伺いしたいのでございますが、先月二十四日ごろから、——昨年の暮から、特に東京では畑もございませんし、その他の收入のないところの失業者に対しては、都の方針も、なるべく毎日仕事が当るようにというので、あぶれがないということが、私どもとしては原則として確立されていたように了承しておつたのでございます。ところが二十四日から急にこれが輪番制という方針がとられまして、新規登録をふやすことが、その根拠の一つになつておりますが、あぶれが出るということが承認されるような形で職安の方から発表されまして、非常にこの暑い炎天を控えまして、日雇いの人たちはあぶれる日がある。家に金を持つて帰れない日があるということで、不安を抱いたようでございました。そのことで労働組合でそれと同じような方法が講ぜられまして、何とかして元の通りに毎日仕事がもらいたいということが、全都に拡がつたように拜承しておるのでございますが、この方針は何か労働省として特に新しくお考えになつたものでございますか。どういうふうな根拠に立つたものであるか。私どもとしては、その労働省なり、政府の方針によつて事態が起きているというふうに考えておりますが、この二つの点について労働大臣から御答弁いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100805289X00219500721/24
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025・保利茂
○保利國務大臣 輪番制をとるということは、決して本意の措置ではありません。御承知であられるように、全国の状況に比しますと、東京の管内はお話のようにほぼ従来完全就労ができておつた。地方におきましては、輪番制が非常に強化せられている地帯がございまして、東京だけが非常に楽にやつている。地方は実に苦しい、こういう声が非常に強かつた。全体として輪番制をしかなくてもよいというような状態でありますれば、もとより好むところではございませんけれども、今日の状態では、ある程度の輪番制はやむを得ない。また輪番制はこの日雇い労務者を公平に就労せしめる、機会均等を得せしめるという上から行きますと、私はまず公平な措置ではないかと思う。できるだけこの就労日数を上げるように、改善をして行かなければならぬと考えております。これは一方において失業保險の運営とにらみ合せまして実行して参りたい。東京につきましては、こういうふうな考えであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100805289X00219500721/25
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026・柄澤登志子
○柄澤委員 御答弁はどうもはつきりしないのでございますが、決して東京もたやすくあぶれがなくなつたのではないのでありまして、昨年の暮あたりは、完全就労しているというような、前の失業対策課長の報告が実は労働委員会においてございまして、完全就労をしておるのは一体どこの職業安定所の日雇いだということで、このことが知りたい、われわれは決して完全就労をしておらない、食えないのだということで、何べんも何べんも国会に何千人も要求においでになりまして、自由党の諸君もようやくこのことをお認めになり、政府でもこれが認められた形で、あぶれが出ないということに東京ではなつたのでございます。それがどういう情勢の変化で、なぜ先日の二十六日から東京は輪番制に切りかえられたか、それを伺いたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100805289X00219500721/26
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027・齋藤邦吉
○齋藤(邦)政府委員 私からお答え申し上げます。御承知のように東京におきましては、最近まで割合就労日数はよかつたのでありまして、東京の就労平均日数はきわめて良好でありまして、先ほど大臣がお話しになりましたように、ほぼ完全就労の域に達しておつたのであります。しかしながら一面新規求職者は増加の一途をたどつております。かような状態のもとにおきまして、限られた予算のもとにできるだけ多くの人に就労の機会を均等に與えるということが、私どもの考え方からいつても最も適当ではないかと考えております。すなわち限られた予算のもとにおいて、登録された一部の者のみが完全就労し、あとの新規の求職者は一切職につかせないというようなことになりましては、就労の機会均等の趣旨にも反しますので、あくまでも、一つのりんごを三人の子供にわけるなら三つにわける、四人の子供なら四つにわけるという趣旨で行くべきものである。こういうわけで東京都知事が決済をされまして、六月二十六日に輪番制をとられた、かように相なつたと承知いたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100805289X00219500721/27
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028・柄澤登志子
○柄澤委員 このあぶれが出ませんときも、夜番、休み番というものがありまして、なかなか容易な形で完全就労していただいたのではないというのでございます。新宿などへ行つて伺つてみますと、大体四百から五百くらいのつつ込みというものを、毎朝やむなく事業場に入れていたわけでございます。ところが新規登録者が出たからというので、それに公平に仕事をやらなければならないことになつたということが、今度の根拠になつているようでございますが、それでは一体全都でどのくらい新規登録者がふえているかということを、御報告願いたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100805289X00219500721/28
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029・齋藤邦吉
○齋藤(邦)政府委員 本日までの東京の新規登録の数がどういうふうになつておりますか、ただいま資料を持つておりませんので、本日お答えすることはできません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100805289X00219500721/29
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030・柄澤登志子
○柄澤委員 さらにお伺いしておきたいのでございますが、新規登録が、前の完全就労させましたときの、いろいろの当面する役所の苦労の結果として、つつ込としてやつておりましたものも、これは当然予算のわく内でやつておいでになつたと思うのでございます。今度も別にこれはかわつておいでにならないはずでございますが、どうしてそれができないかということが、私どもとしてどうしても疑問なんでございますが、この点について、どういうふうにお考えになりますか。さらに東京都では予算が余つたということを聞いております。前はその余つた予算は、職よこせ、働かしてもらいたい、そうして何とかしてあぶれたくないという真劍な労働者の要求に対して、融通されておつた。ところが予算が余つていても、今後は一切これを失業者の方には融通せぬ、別の方に融通しても、しないということが言われておるということでございますが、こういう事実につきましては、どういうところに根拠があるのでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100805289X00219500721/30
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031・齋藤邦吉
○齋藤(邦)政府委員 ただいまのお尋ねの点、詳細わかりかねる点もありますが、失業対策事業の労力費の予算は、いかなる場合でも労力費以外に流用することはできないのでございます。国会できめられた通り、失業対策費の労力費は、労力費以外には流用したことは一回もございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100805289X00219500721/31
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032・柄澤登志子
○柄澤委員 それではお伺いしたいのでございますが、先日予算委員会で池田蔵相は、失業の問題はやはり重大であるということをお認めになつたそうでございます。そうして預金部資金の、現在一千億くらいありますものを、失業対策のために地方に貸し出してもいいというような御意向を持つておるということでございますが、これが利子は、大衆には三分二厘でやられておりまして、地方は、失業対策などに借りますときには、九分六厘という高利のために、そうでなくても破綻しております地方財政が、これを借りてはとても失業救済はやれぬと言つているそうであります。特に労働大臣や関係の官庁では、そういうものに対して無利子で融通するというような考えや努力はなされておるかどうか、ちよつと承つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100805289X00219500721/32
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033・保利茂
○保利國務大臣 お話のようなことは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100805289X00219500721/33
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034・柄澤登志子
○柄澤委員 考えていないのでございますか。この非常に少いわくの失業対策費から、いろいろの問題が派生していると思うのでございます。このことを私ども現場に参つていろいろ調査してみますと、失業対策の労力費としてのわくが、非常に不正に使われている事実を聞くのでございます。たとえば昨日飯田橋の職業安定所へ参りましたところが、ここでは職員の不正が摘発されておりまして、そうして日雇いの状態も御承知のように、もう晩の飯がないというほど追い込まれたような人たちで、あるいは夫が失業しているとか、病気しているとか、戰争で死んだとかいうような、気の毒な方が多いわけでございますから、そういう職を求める人の弱い状態につけ込みまして、登録をしてやるから、だからこの何がしの報酬をというような形で、そのように弱みを持つておる人たちに対しまして、報酬を求めて、登録手帳を交付しておるという事実が発見されたのでございます。これは私ども考えますのに、決して飯田橋だけではないと考えております。飯田橋ではこの職員は首になつておるのでございますが、こういうような状態は、結局どういうところから来るかと申しますと、簡單に新規登録を受けないというようなことから来るわけでございまして、今度の御方針によりますと、新規登録を受取るということになりますと、そういう点もあるいは緩和されるのではなかろうかと思いますが、承りますと、何か條件をつけて、新しい再登録をしておるようにも承つております。ですから労働省の方針といたしましては、その子供連れであるとか、あるいは独身者であるとか、女であるとかというような理由で、もし今後新規登録が制限されるとすれば、現在戰後の特殊な状態の失業という問題は、根本的な解決はできないと思うのでございますが、こういう点についての御方針はどうでございましようか。今職業安定所に来る労働者が不安がつております。八月一日からとか、新しく写真を添付して手帳が交付されるというような場合に、こういう制限を一切しないかどうか、あるいはなさるお考えであるかどうかということを承つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100805289X00219500721/34
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035・齋藤邦吉
○齋藤(邦)政府委員 安定所の職員が登録あつせんするために、不正をしたといつたふうなお尋ねでございますが、私どもはさような報告を聞いたこともございませんし、さようなこはないと信じております。
なお将来の新規登録の問題でございますが、御承知のように職業安定法は、男女の性別にかかわらず、申込みがあれば、求職の申込みはすることになつております。従つて男女の性によつて区別をするなどというがごときことは、毛頭考えておりません。ただし失業対策事業に就労する條件といたしましては、おのずから当該労働使用の要求する労働の意思と、労働の能力を具備することは、当然であろうかと考えております。すなわち求職の申込みは何人に対してもこれはいたします。但し失業対策事業に就労する場合には、そこにおのずから労働能力という問題がありますことは、御承知の通りだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100805289X00219500721/35
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036・前田種男
○前田(種)委員 今の柄澤君の質問は、それぞれ職員が不正をやつたということをはつきり言つております。今の局長の答弁は、そういう事実の報告はない、知らない、やつていない、という明確な答弁をしております。私はこうしたことが国会の委員会で正式に論議をされた限りにおいては、明らかにせなければいかぬと思います。少くとも失業者を相手にしてやつている、日雇い労働者のいろいろな事務をとつております人々の間におきまして、簡單な言葉で言えば、頭をはねたり、いろいろな恩を着せて、そうして利益を得て、そういう取扱いをするというようなやり方は、けしからぬことであります。もしこういう事実がはつきりありますならば、当局は責任をとらなければなりません。またそうしたことがうわさや何かでありますならば、そうしたことはあくまでうわさであつて、こういう委員会の席上において論議すべきものじやないと思います。私はこの事実がここで論議された限りにおいては、明確にしておかなければ、質問者と答弁をされる間において、はつきり齟齬をしておるという関係において、このまま見送るというわけには参らぬのでございますから、この点に対して、当局なり質問者なりの間で明らかにしてもらいたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100805289X00219500721/36
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037・柄澤登志子
○柄澤委員 御存じないのは、職務怠慢だと思うのでございますけれども、御存じないということで、事実がないと思うということは出て来ないと思うのです。これは非常にわれわれが根拠のないことをでつち上げて申し上げるというふうに、非常に侮辱した御発言だと思うのでございます。実は私ども職安に行つて、そういうふうに事実を調べて交渉します以上は、根拠のないことを国会議員として言うわけにはいかないのでございます。ですからこれは飯田橋の職業安定所の立川課長がはつきり認められた事実でございまして、本人が首になつている問題でありますから、こういう問題は決して知らないということや、事実はないというような御答弁では、前田さんのおつしやるように、私も引下るつもりはないわけでございます。そういうことはさらに積極的に取調べますというような態度にお出になるのが、当然ではないかと思います。それは日雇いの人の実情を知らないから、そういう言葉が出ると思います。日雇いの人のせつない状況というものがおわかりになれば——そういうだにが育成される條件があるということでございます。こういう問題は私どもあくまでも摘発して、不正のないようにいたしますけれども、職安局長としても、当然これは責任を持つて今後やつていただきたい。
さらにこれにつけ加えて申し上げておきたいのでございます。このことで職員は首になりました。しかし労働者がそれを理由にして手帳を取上げられることは、私どもは断じて間違いだと思つております。この人たちがせつかく何千円もとられてとりました手帳というものが、どうか無効にならずに、継続して就労できるようにしてもらいたい。これはぜひやつていただきたい。そういうことを條件といたしませんと、職業安定所の日雇い労働者にたかりまして、血を吸つているところのだにを摘発して、これをなくすることはできないのでございます。ぜひそれをやつていただきたいと思います。
それに関連しまして、労働大臣にお尋ねします。東京の特殊の條件で、毎日あぶれはないという状態にありましたものが、あぶれることになりまして、今いろいろな混乱が起きておるわけでございます。これをやめていただきたいのでございますが、これをおなくしになる考えはないかどうか、そういう対策はお持ちになつておらないかどうか、それをただ今のような形で警官を派遣して、断圧だけでお臨みになるかどうかということを、ひとつ承つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100805289X00219500721/37
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038・保利茂
○保利國務大臣 断圧をもつて臨むなどという考えは毛頭ありません。先ほど来御説明申し上げた通りで、御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100805289X00219500721/38
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039・齋藤邦吉
○齋藤(邦)政府委員 私は先ほど申し上げましたように、何の報告も受けておりませんが、しかしすでにお名前も出たことでございますので、十分調査いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100805289X00219500721/39
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040・柄澤登志子
○柄澤委員 そうすると、労働大臣としての御方針は、断圧をもつて事態の解決ができるとは思つておいでにならないわけでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100805289X00219500721/40
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041・保利茂
○保利國務大臣 何べん申し上げても同じでございますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100805289X00219500721/41
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042・柄澤登志子
○柄澤委員 私ども最近陳情を受けております実情は、二十六日から実施されました輪番制に対しまして、事業その他の経営の労働者諸君は、罷業権もございますし、いろいろな団体交渉の方法もございます。しかし職業安定所の日雇いの労務者諸君の、昨年末からの労働組合運動の形態というものは、何をもつて交渉するかといえば、職業安定所に自分たちの身をすえて、土の上にすわり込んで、所長が団体交渉に応じてくれるまで待つという以外にはないのでございます。どんな極寒にも、どんな雨の日にもどんな炎天のもとにも、そういう方法で団体交渉に応じてくれるまでやつて来たようなことを、私どもは陳情を承つております。ところがそれに対して公安條例が出たということで、多いときには約一千名の警官隊が武装いたしまして、つつ込めという号令のもとに、ちようどインドの労働者が、イギリスの官憲の乘つた馬のひずめの下にけ散らかされたように、警官の棒でもつてなぐられたり、けられたりいたしまして、けがをしているという陳情が、私どものところに来ておるのでございます。婦人は髪を引きずられたりしているのもございまして、これはちようどインドの状況ではないかというように私どもは考えております。そのようなことで、けが人などが出ておる状況を、労働大臣がもし御存じないとすれば、ただ單に仕事がほしいというのでやるだけではない。何か別な意図を持つていてああいうことをやつているのだというお考えで、これを御判断になるとすれば、今後の事態は解決しないと思います。私どもは、どうかして毎日働かせてもらいたいということに根拠があつて、出発していると思う。それを彼らが、今起きているこの事態を、ただけ散らかしたり、棒でつつ込んだりしただけで解決するならば、これはおそらく彈圧以外にはないと思うのであります。ですから、今のような事態を今度の失業保險法でもし解決されるとするならば、どこに日にちの根拠がおありになるか。一日でもあぶれれば、金を持つて帰らなければ、米びつがからで、子供に食わせられないと言つて、すわり込んでいなければならない人たちに、たつた一日か二日——つまり労働者はこう言つております。私らは六日か七日休んで、一日の保險料しかもらえない、六日分の保險料がどうしてもらえないのか、働いているときは保險料を毎日拂つておるのに、こう言つておるのです。ですから、今度改正をされますところの日にちの根拠がどこにおありになるかということを承りたいのでございます。
さらに失業保險課長に伺いたいのでございますが、労働者から取上げましたところの失業保險料の総額と、失業者に支拂つておられるところの失業保險金の総額を、ひとつ御説明願いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100805289X00219500721/42
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043・保利茂
○保利國務大臣 どうも私はよくのみ込めないのでございますが、先ほど来申しますように、失業対策事業は、事業があつてそこに人を紹介するのではない。それはたとえば一般公共事業であるとか、あるいは見返り資金による特別公共事業でありますとか、そういうふうに事業自体が目的としてあつて、そういうところに働いていただいている方もむろんございますけれども、失業対策事業と申しておりますのは、要するにその失業者の方々のために、特にいろいろな仕事をつくり出してやつていただいている。しかもそういうところにまじめに働きたい、そして一日のかてを得たという希望を持つて、安定所に来られる。これは安定所としてはできるだけ、一人でも残らず就労せしめなければならない。たまたまそうやつて来られて、群衆をなしておられるところに、一部の煽動者が、先ほど申されたような事態を起される。私は、そういう一部の方々のために、如数の方々がその日一日をを不幸な事態に送らなければならぬということに、非常な遺憾を感じておるのでございまして、これは公共の福祉を守る上から行きましても、政府としても相当の措置をしなければならぬのじやないかと考えます。
後段につきましては、政府委員から申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100805289X00219500721/43
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044・齋藤邦吉
○齋藤(邦)政府委員 今日の改正法案の待期の問題、あるいは資格、期間等の問題は、保險経済の許し得る範囲内において、できるだけ労働者の保護をはかつた内容のものでございます。保險料は昨年の十一月から徴收いたしておりまして、約二億ほど徴收いたしております。給付はほぼ一億ほど支給いたしておるような状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100805289X00219500721/44
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045・柄澤登志子
○柄澤委員 そういたしますと、日雇いの場合は約半額給付になつておりますか。ちよつと私どもの聞いております実情と違うように思いますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100805289X00219500721/45
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046・齋藤邦吉
○齋藤(邦)政府委員 その通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100805289X00219500721/46
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047・柄澤登志子
○柄澤委員 それに関連して先ほどの質問に労働大臣がお答えなかつたと思うのでございますが、どうして今度の日雇いの失業保險の数字の根拠が生れて来たか。つまりほかの経営の労働者は、失業いたしますと、一箇月の給料の六割が完全にもらえるわけでございます。ところが失業者の場合には、二箇月で三十二枚以上の切手がなければもらえない。しかもそれで一日分もらえるというような形でございまして、その不満は、請願書となつて私どものところに今まで山のように積まれております。今度の改正はそれに比べますと、その要求が満たされておりませんし、それからまたことに今度の東京都のように、あぶれがあれば、すぐその日その日に困るような人たちが、ああいう状態になるようなもとはどこにあるかというと、生活困窮ということがこのことのもとでありまして治安の乱れる根拠は、宣伝、煽動ではなしに、労働者の生活の困窮にあるということだろうと思います。その根本的な問題を拔きにいたしまして、今度のような改正だけでは、事態が解決しないと思います。今度この法案が出ましたけれども、むしろおやりになるならば徹底的にやつていただきたい。これは欺瞞的な政策のようにむしろとられるくらいに思うのでございますが、どこにその根拠がおありになるか。なぜ四日あぶれさせてよろしいのか、なぜ四日給付しなくてよろしいのか。失業者の場合には、一日あぶれますのは餓死で、五日あぶれてその次の日にもらうときには、命がなくなつているということすら言つているような、逼迫した状態でございます。ですからなぜ四日もらえないという根拠が、どこから生れておいでになつたのかということを承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100805289X00219500721/47
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048・齋藤邦吉
○齋藤(邦)政府委員 今回の改正の一つは、資格の問題でございます。これは十分御承知だと思いますが、資格というものは、一般保險でも日雇い保險でもあるのでありまして、一般保險では六箇月以上勤務しているということが要件であります。日雇いでは、今日の法律では二月間に三十二日、これは一般よりも有利に規定をいたしておる次第でございます。ところが先ほど大臣からのお話もありましたように、最近の民間企業における稼働日数等も減つて参つておりますので、三十二日ではなかなか資格がつかないのじやないだろうか、それでは労働者にとつて不利益ではないだろうか、労働者の保護に欠ける点があるというので、それを二十八日に短縮しよう、こういう趣旨でございます。
それから待期の問題でございますが、これは現行法におきましては、通算して七日、継続して五日となつておりますが、三十八條の九、第六項の規定がございまして、本年六月から、通算して六日、または継続して四日になつております。そこで今回の法律案では、それを原則として、そして将来保險経済の状況がよくなれば、さらにまた一日短縮する、さらによくなればもう一日短縮するというような、自動的な規定を設けて行こう。そして日雇い失業保險は短期保險でありますので、保險料として收納いたしましたものは、できるだけすみやかに労働者に給付として支拂つて行く、こういう趣旨で考えたのであります。この日数、資格等は、現在の保險制度の範囲内におきまして、最大限度に労働者の保護をはかるということにいたしたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100805289X00219500721/48
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049・柄澤登志子
○柄澤委員 私の質問はそれで打切りますが、労働大臣に伺つておきたいと思うのでございますけれども、先ほどのお話では全部を就労させたいのだ。それを妨害する者があるために、今警官などが動員されておるのは、これはやむを得ないことだとお考えになつておるのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100805289X00219500721/49
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050・保利茂
○保利國務大臣 妨害する者があれば、それを取締ることは当然だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100805289X00219500721/50
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051・柄澤登志子
○柄澤委員 妨害するという見解の根拠がどこにおありになるのか、不明でございますけれども、事実現場に朝六時から八時ごろまでに行つて実情を見ますと、私どもの考えますのには、労働組合の活動というものが、失業者の場合には認められないのかということをお伺いしたくなるのでございます。労働組合の活動というものは、そこに参加しております組合員が統一ある行動を組織して、そうしてその団結の力で、自分たち労働者としての生きる権利を主張し、要求し、獲得する。これはもちろん私どもは十分保障されておると思うのでございますが、何かそれが新しい事態によりまして、特に日雇いの場合には認められないというようなことが出て来たのか。そういう法律でもいつか出されたのか。私どもはそういうことはまだ覚えておらないのでございます。この前の国会のときにも都の林労働局長に、あなたは職業安定所の職員の場合、労働組合活動が必要で、これでなければ生命の危險というものを守ることかできないと思うかということを申し上げたのでございますが、保利労働大臣はその妨害するという根拠を何か感違いされておるのではないかと思うのであります。この前の労働委員会の議事録をよくお読みくださればわかるのでございますけれども、職業安定所の所長は、労働者が自分たちの生命の危險を冒していると言い、労働者たちの方では、あぶれを出されるという方針、また組合活動を彈圧されるということが、われわれの生命を冒しているのだと言つておるのであります。労働委員会では、あのときに職業安定所の所長だけをお呼びになりまして、そうして失業者の労働組合運動をでつち上げられる意図であつたかというように、私どもには考えられたくらいでございましたが、失業者に聞きましたところが、私どもはそういうような結論は出なかつた、かように思つておるのでございます。ですから日雇い労働者の統一ある、組織的行動によりまして要求を出して、それを獲得するために闘うということが、当然のことだと思うのでありますが、それを何か妨害だというふうに考えておいでになるとすれば、これは組合運動の彈圧だと思うのでございます。失業者の場合には特に組合活動が私は大事だと思うのですが、その点の御見解をはつきり伺つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100805289X00219500721/51
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052・保利茂
○保利國務大臣 お答えになるかどうかわかりませんが、速記録はよく読んでおきましよう。なお日雇い労務者と申しますか、失業者の労働組合の活動に対して云々と言われますけれども、私は少くとも失業対策事業に従事せられるところの労働者の方と、一般民間企業等に従事せられる労働者の方とは、おのずから違つて来るのではないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100805289X00219500721/52
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053・柄澤登志子
○柄澤委員 違つて来るというのは、どういうふうに違つて来るのでございますか。その法律的な根拠がどこにあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100805289X00219500721/53
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054・齋藤邦吉
○齋藤(邦)政府委員 私からお答え申し上げます。最近の職安のような闘争でございますが、御承知のように安定所は職業のあつせんをするところでございまして、仕事をつくるところでもございませんし、雇うところでもないのでございます。ところがそれにもかかわらず、安定所に対して雇えと言う。安定所の職権と申しますものは、法律できめられた通り、あつせんするだけでありまして、雇うところでもございません。それを雇え雇えと言われましても、安定所にはできないことではないかと思います。私は公安條例の内容はよくわかりませんが、公安條例の定めるところによつていろいろ事件が起るということは、ほんとうに遺憾なことと思います。いろいろの事案が起る場合の公案條例の解釈については、別の方からお聞きいただくことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100805289X00219500721/54
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055・柄澤登志子
○柄澤委員 今までやはり直接所管の官庁であつせん所でございましたから、従つて労働者もそこへ要求を出してやつてもらつていたし、また現実に各職業安定所も、大きいところは三千名以上、新宿で四、五百名のつつ込みをやるという権限が、職業安定所にはあつたという事実を私どもは承つておるのでありますが、ただいまの御答弁でありますと、それはどうかと思われるのでございます。やはりこれはあくまでも失業者の職業を安定するために最大の努力をするのが、当該の安定所の職務ではないかと思うのでございます。そういう点でやはり四百、五百のつつ込みをやつておいでになつたと思うのでございます。従来の事態を考えまして、当然そこへ要求が出されて来るのだと思いますが、新しくそれが彈圧されるというようなことで、いろいろな困難が起きておると思います。それに対してこの委員会におきましては、組合運動を彈圧の方法で解決するのではなしに、日本の労働行政において、失業者の就業状態をよくして、あぶれを出さないようにして問題を解決上て行くというふうにやつていただきたい。そういう行き過ぎに対しては、どうぞお取締り願いたい。ことに齋藤局長のような態度は、今後一切やめていただきたい。強力にこのような不正を摘発して、そうして下部の官庁を十分監督してやつていただきたい。彈圧的な態度では、絶対に今後失業者の問題は解決はできないと思うのでございます。それをやつていただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100805289X00219500721/55
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056・齋藤邦吉
○齋藤(邦)政府委員 職安は先ほど来申し上げましたように、職業のあつせんをするところで、これは当然の使命でありますから、できるだけ民間の求人の開拓なり、その他大いに努力いたします。その他不正なる問題等は、先ほど来申し上げておりますように報告を受けておりませんが、お名前も出たことでありますので、十分調査いたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100805289X00219500721/56
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057・柄澤登志子
○柄澤委員 予算の裏づけがなければ問題は解決できないのでございます。努力するというのではなしに、労働大臣はせつかく新しく拔擢されまして、この困難な時期に労働大臣におなりになつたのでございますから、このような事態に処して、責任を持つてやつていただきたい。それからけがをさせたようなことに対しても、十分処分していただきたいと思うのございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100805289X00219500721/57
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058・保利茂
○保利國務大臣 しばしば申し上げておりますように、その点については言葉だけではなしに、十分努力いたすつもりでおります。なお職安に来られる方が非常にふえまして、わずかな人数でもつてこれを短時間のうちに処理しております。しかも職安闘争というようなことで、事務以外にも非常な過重な働きをいたしております。私はこれは全国の職業安定所の職員が、今日最も恵まれない待遇において、よくしんぼうをしてやつておることに対して、敬意を表するわけでありますが、ただ先ほど御指摘のような者がもしありとすれば、その一名の不心得の者があつて、職業安定所職員全体のそういう気の毒な、しかも敬意を表すべき事情にいささかでも曇りがかかるようなことがないように、ぜひ御了承願いたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100805289X00219500721/58
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059・柄澤登志子
○柄澤委員 これは当然定員法の問題に関係して来ると思うのです。それから職業安定所の職員の給與にも関係して来ると思うのです。給與が安くて食えないから、結局下の方をしぼつて行くということになると思うのです。それから失業者の少いときの定員法でやつておる。現在は目に見えて職業紹介のあつせんの数がふえておるにかかわらず、同じ定員法で押しつけて来ておるということにあると思うのです。ひどいところでは、失業者に組んでおる予算を使つておる。そうして新宿あたりでぶらぶらした町のよたもののような者が、整理員となつて暴力を振つて、失業者を彈圧しておる。こういうような状態があるわけです。そういう点もはつきり申し上げますが、新宿やその他のそういう状態の改善は、ぜひ徹底的にやつていただきたいと考えるわけでございます。その点やつていただけるかどうか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100805289X00219500721/59
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060・保利茂
○保利國務大臣 職業安定所の職員の待遇につきましては、私としてはどうしても一般の方々よりも改善をしなければならない、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100805289X00219500721/60
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061・柄澤登志子
○柄澤委員 最後に伺つておきたいのでありますが、いつでも闘争が起きますと、それが共産党の宣伝とか、一部の者の宣伝とか、おつしやいますけれども、その根本はドツジ・ラインの強行の結果、中小企業がつぶれちやつて、首を切るとか、輪番制という問題になる。その根本的な解決をなさらず、派生的な問題を取上げて、いつも理由にしておいでになると思うのでございます。今度の職安の闘争も、またそういうふうにでつち上げられるおそれが十分あると私ども考慮いたしまして、活動しておるわけでございますが、どうぞそういう点で労働者の利益が踏みにじられないようにしていただきたい。毎日働かしてくれという正当な労働者の要求に対して動員されておる警察のお金がありますと、全部あぶれることなくできます。全部を仕事につかせて日本の再建ができるのです。むしろ警察の彈圧費をふやすために、輪番制をしいてあぶれを出したのではないかというくらいに考えたのでございまして、その点も十分御考慮くだいまして警察の費用をふやすくらいなら、失業者に対する費用をふやすように、労働大臣として努力していただきたい、こういうふうに思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100805289X00219500721/61
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062・倉石忠雄
○倉石委員長 本日はこれにて散会いたします。
午後四時五十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100805289X00219500721/62
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