1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十五年七月二十六日(水曜日)
午後二時九分開会
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委員氏名
建設委員
委員長 柴田 政次君
理事 岩崎正三郎君
理事 赤木 正雄君
理事 小川 久義君
石川 榮一君
石坂 豊一君
島津 忠彦君
平井 太郎君
門田 定藏君
小林 亦治君
田中 一君
尾山 三郎君
久松 定武君
田方 進君
東 隆君
地方行政委員
委員長 岡本 愛祐君
理事 堀 末治君
理事 吉川末次郎君
理事 岩木 哲夫君
石村 幸作君
岩沢 忠恭君
高橋進太郎君
安井 謙君
小笠原二三男君
相馬 助治君
中田 吉雄君
西郷吉之助君
鈴木 直人君
竹中 七郎君
石川 清一君
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本日の会議に付した事件
○京都国際文化観光都市建設法案(衆
議院提出)
○奈良国際文化観光都市建設法案(衆
議院提出)
〔柴田政次君委員長席に着く〕
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001・柴田政次
○委員長(柴田政次君) 只今より建設、地方行政連合委員会を開会いたします。
本日の議題は京都国際文化観光都市建設法案及び奈良国際文化観光都市建設法案であります。先ず京都国際文化観光都市建設法案について、発議者に提案理由の説明をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814146X00119500726/1
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002・田中伊三次
○衆議院議員(田中伊三次君) 我が京都市は五百三十平方キロに亘る広い面積と百十万に上る人口を有し、延暦十王年遷都以来悠久一千年を越える都市の生命を保ちつつある古くて美しい都市であります。
先づ国際的文化観光の都市としての京都の姿を眺めますと、教学の機関としては京都大学、立命館、同志社、女子大など十指に余る最高学府を有し、その学問の水準は、自然科学、人文科学共に首都東京には勿論、広く世界の水準に比肩するものがあります。比叡山延暦寺、平安神宮等を始めとして多数の神社仏閣を持ち、更に国有財産、皇室財産、国宝、重要美術品等多数の歴史的且つ、美術的重要古文化財が存在することは皆様の御承知の通りであります。比叡山より伏見、桃山に連る東山通峯は都を貫流する加茂川の流れと共に世界いずれの地にも特有なる風光を誇るものであります。
これらの学問、古文化財、風光等を保護し、歴史的、美術的、文化的観光資源の保護の施設を整備強化し、京都市を世界的文化観光の都として建設するため必要な法律的措置を講ずる必要がありますので、ことに本法案を提出するゆえんであります。
尚、本法案第一條は目的を記載し、第二條は計画と事業を規定し、第三條は文化観光保存地区を、第四條は事業執行者を、第五條は国家並びに地方公共団体の援助を受けることを、第六條は普通財産讓與に関する特別の助成を受け得ることを、それぞれ規定したものであります。更に、第七條には事業執行者の建設大臣に対する事業進行状況についての報告義務と、内閣総理大臣の国会に対する報告義務を併せて規定し、最後に第八條に於て本事業については都市計画法及び特別都市計画法第三條を準用する規定であります。更に若干の附則を設けた次第であります。
以上が本法律案の趣旨並びに内容でありますが、何とぞ愼重に御審議の上、速かに可決あらんことをお願いする次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814146X00119500726/2
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003・柴田政次
○委員長(柴田政次君) 次に奈良国際文化観光都市建設法案について、発議者に提案理由の説明をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814146X00119500726/3
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004・東井三代次
○衆議院議員(東井三代次君) 奈良は、日本屈指の観光地であり、世界の観光都市であります。それはすぐれた天然の景勝と、日本古代及び東洋文化の尊い遺産が盡く「古都奈良」の名の下に蓄積集成されており、奈良全体が歴史であり、絵であり、詩の都市であるからであります。殊に今回の世界大戦のさ中においても特に我が奈良爆撃の目標から除外されたのは、奈良の持つ人類文化を戦火から守ろうとする国境を越えた文化愛の願望であり、今この残された日本の宝庫ともいうべき奈良市をして、更に新らしい平和文化国家の象徴として保護することは、市民のみならず日本国民すべての責務であります。
奈良は、都市自体が一つの大きな博物館であり、その包蔵している数々の文化遺産は、市民の生活から遊離した単なる古文化財としてあるのではなく、奈良の持よき自然環境のうちに古典的な風俗、行事、芸能などと溶け合つて市民の教養と生活の中に生きているのであります。
奈良が国際文化観光都市として広く内外の注目を浴びているのも、奈良が持つ美しい風光と日本文化の遺産、伝統が、東洋の生きた古典、風俗、環境を味わおうとするツーリストの憧憬の的となつているからであります。又国際観光の観点から見れば、奈良はいずれの都市にも劣らない日本の重要な観光資源であり、日本の見えざる輸出振興の最良の資本であります。更に奈良の文化史的意義と、日本の国際観光事業が当面している切実な要請とに鑑みるとき、観光都市としての奈良は、奈良の観光資源たる古文化財や自然風致等を保護するというだけに止まらず、日本資源としての奈良そのものを開発育成するという高次の立場にまで進めるべきであります。奈良を日本の国際的な観光資源として設定し、日本の文化観光の中心都市として建設することは、外資獲得の有力な手段であり、見えざる輸出振興の民族的な資本を大きく培養することを意味するのであります。然るに奈良の文化的観光的施設の現状は未だ国際文化観光都市としての水準には遠く及ばないのであります。
終戰後逸早く諸般の計画を策定しながらも、一小都市の限られた枠を以てしては到底十分な成果を挙げることができ得ないのは誠に遺憾とするところであります。よつて国際文化観光都市としての特別都市計画を実施し、奈良をして真に名実共に恥じない国際文化観光都市としての近代的施設と、奈良固有の美しい自然環境と、そのうちにある観光資源との出万全な調和を完成し、奈良文化が持つ世界的意義にふさわしい国際文化観光都市の実現を期するものであります。奈良市民は、奈良国際文化観光都市の建設を通して、人類の貴重な文化遺産を永久に擁護すると共に国際間の親善と東西文化の交流を深め、以て日本経済の自立を促進して世界恒久平和の保持に資するため、これを国家的事業として採択せられ、奈良国際文化観光都市建設法案を議決せられるようここにお願い申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814146X00119500726/4
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005・柴田政次
○委員長(柴田政次君) 速記を止めて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814146X00119500726/5
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006・柴田政次
○委員長(柴田政次君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814146X00119500726/6
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007・相馬助治
○相馬助治君 今赤木先生の質問したことにちよつと連関いたしますが、私提案者に二つの点をお聞きしたい。第一点は地方自治法というものがあつて、いろいろな法的措置がこれで行われるわけでありますが、こういうふうな特別立法が相次いでどんどん起きて来ることも一応予想されます。勿論このことは、私、京都と奈良の都市が外資獲得の現段階において極めて重要であるということは、十分認識の上に立つてこういうことを申しているのですが、ともかく地方自治法の全体的体系を破る一つの危險性があるというふうにも一応考えられるわけです。そこで提案者としてはこれらの連関をどういうふうにお考えでありましようかということを一つ私教えて頂きたい。
第二は、只今赤木先生が国土総合開発法によつても大体できるのじやないか、こういう趣旨のお話でございましたが、一方に又都市計画法というような法律もあるわけでございます。こういう都市計画法によつてはこういう点はできない。從つてこの特別立法を是非ともして貰わなくちやならないのだということを具体的な事例を引かれまして、一つ御説明頂きたい、こういうふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814146X00119500726/7
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008・田中伊三次
○衆議院議員(田中伊三次君) 地方自治法との関係でございますが、これも法制局の意見を、只今御質疑のような、相馬先生のお尋ねのような内容についてよく法制局と打合せしたのでございますが、これは地方自治法は地方公共団体の自治に関する法則を決めたものである。從つて今度私達がお願いしております京都、奈良の法案というものはその定まりました、許された地方公共団体が行なつて行く事業計画の一環としての観光事業計画の内容を定めるのであります。決められた自治体が、自分の行う事業内容についての一環を担うものであるから差支えはなかろうという解釈になりました。これは政府の法制局の当局の意見もその通り、私から衆議院のことを申して恐縮でございますが、衆議院の法制局の意見も大体そのようでございますので、地方自治法があるに拘わらず重ねてこれを作つて頂くことは何ら牴触をせないのじやなかろうかという信念を持てるに至りまして、これを提出するような心持になつたわけでございます。
それから第二の都市計画法とどんな関連があるか。お尋ねにもありますように、都市計画法があるに拘わらず、なぜこの法律がなければいけないのか、こういうお言葉でございますが、誠に御尤もなお尋ねと存じますが、都市計画法によりますと御承知のごとくに交通、衞生などの計画をいたしておりますわけであります。観光の計画は交通、衞生が非常な大部分を成します大きな計画でございますから、一応両方とも同じことを考えておることになるのでありますが、例えて申しますと、交通の場合について申しますと、道路をつける、或いは道路を改修する、道路を補修する、新たな道路をつける、或いは地下鉄の地下道路を作るというような事柄は都市計画法によつてお説の通りやれます。併しこれを観光的に眺めますと、作つた道路の上にどんなタクシーを走らすとか、どんな観光バスを走らすとか、どういうすばらしい衞生的な通風のよい採光のよい、よい電車を走らすとかいうことになりますというと、これは都市計画法の存知せざるところ、そこで道路は作るのだが、道路の上を走るところの車を考えたり、レールを考えたり、装備を考えたり、その周辺に美しい木を植えて気持のよい道路を通るのだというようなことによつて道路の装備まで装飾となります場合におきましては、やはりこの法律がないと工合が惡いのではないか。都市計画法だけではそういう附随のことからできた道路を観光的、に装備するということは或いはむずかしいのではないかということが考えられるのであります。この点が本法を必要とする理由でございます。更に一つの例を上げますと、衞生の場合でございますが、都市計画法でございますと、御詮のごとく上万水道岬は敷けます。併しながら下水が完備をいたしましても、その下水を利用する各家庭の例えば水槽便所、台所の水の流れて行くトンネルの工合、そういうこの下水に薫るまでの衞生装備というものはこれは都市計画法ではできませんので、これをやりませんと、蚊のいない都市、蝿のいない都市などという気のきいた文化観光都市はできんわけでございます。そこで基礎となるべき下水道はお説の都市計画法でやるのだ。それは国家も大いに努力をして呉れるわけですが、それを活用するに足るその上の設備につきましては、水槽設備を中心としてこれはこの法律によつて国や公共団体の援助を受けて、財源の援助を受けて、これで独自の見解で京都市長がこれを執行して行くのだ、こういう意味なのであります。そういうふうにすべての場合が考えられるのであります。例えばもう一つの場合は特別都市計画法との関連でありますが、特別都市計画法の第三條によりまして、緑地帶の指定ができることになつております。緑地帶の指定なんというもので立派なことができるのならこんな観光法は要らんということに一応なるのでありますが、この特別都市計画法第三條の対象となつております緑地帶は自然の緑地帶、風光自然の人工を加えざる天然自然の緑地帶の指定ができるのであります。天然自然ばかりじやありませんので、京都の街のように街のど真中に国宝建造物があるというような場合は、その国宝建造物は文化財保護法によつて保護されております。ひとたびその周辺に行きますと、保護法では保護はできません。やはり国宝そのもめでなく国宝の周辺を観光的に眺めるというような場合に、幸いに自然の風景を持つております場合は緑地帶の指定が特別都市計画法第三條によつてできますが、人工的に人工を加えた風光の装備をしなければならんというようなことが多いのでございます。そういう場合は自然天然の風俗の指定ではございませんから、人工を加えます場合においてはどうしてもこの特別都市計画法第三條では指定ができません。これはやはり本法の規定によりましてこれをやつて行くより外に途がない。こういうように考えて参りますと、自治法につきましても、都市計画法につきましても、特別都市計画法の第三條につきましても、例外というよりはむしろ一段進んだ観光的装備ということになると、皆これらの法律では不十分である。そこでこのようなお手数をかけておるような状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814146X00119500726/8
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009・相馬助治
○相馬助治君 非常に懇切な説明でよく了解しました。そこでこの二つの建設法を見ますと、奈良と京都という文京だけが違うだけであとは同文です。それで或いはこれはこの際こういうことを聞くことは聞き過ぎかも知れませんが、提案者としては或いは答弁がないかも知れませんが、参考に私聞いて置きたいことは、それならば国際文化観光都市建設法案という理想的なものを作つて置いて、今後これを京都を入れるか入れないか、奈良を入れるか入れないか、日光を入れるか入れないか、こういうふうにやつて行つた方が話が早いし、筋途が立つように私は思う。この際特に非常に気のきいた答弁をなさる田中先生に一言御意見を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814146X00119500726/9
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010・田中伊三次
○衆議院議員(田中伊三次君) 相馬先生のお言葉の通りでございまして、これは基本法と言いいすか、お言葉の一般法を作りまして、委員会が漸次指定して行くということで十分なので、変な法律を続々作つて行くということは乱雑を極めることであります。私も御説の通りで、なぜ知りながら提出したかというと、併しながら熱海も出た、別府も出た、又あちらこちらからも出た。港湾都市ができて、温泉都市ができ得るというときに、この風光の中心である京都、奈良を沈黙のままでどうもおるということができませんので、このことを実ばお願しておるような状態でございますので、どうかあとのことは別にいたしまして、この法案だけはとにかく御考慮頂きたい(笑声)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814146X00119500726/10
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011・小笠原二三男
○小笠原二三男君 それで段々話が分つたのですが、これは結局口汚い話になるとお叱りを受けるかも知れませんが、第五條、第六條によつて国からの金の援助が欲しいという限りのこれは法案であるというふうにも考えられるのですが、この点如何でしよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814146X00119500726/11
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012・田中伊三次
○衆議院議員(田中伊三次君) 肚の中を割つて申上げますと、国並びに市町村の精神的な援助、御助力も頂きたい。と同時にその財源上の援助も頂きたいということなんでございますが、ただ頂戴をしたいと恩つておりますのは、この今のお説の第六條の中の普通財産くらいでございます。これも他の都合が惡ければ安くまけて頂いて頂戴ができるようにというので、こういう條文の文字を使つたわけでございます。二十八條に拘わらず、そうすると負担額の範囲を超えて頂戴ができることになると安くなります。全然負担額という縁故関係がなくても頂戴ができるというとただになります。できればただで貰いたいが、国の財政も窮屈なことでございますし、国有財産拂下の目的が財源を作つて税金を安くしようという点にあるわけでございますから、ただで頂戴をすることも申訳ないことであるから、できなければ安く頂戴することができれば結構だ、こういうふうに考えております。それから、それなら他力本願ばかりかというお叱りを受けましようが、そうではないので、第五條で特別の援助を受けるということはどういうことかというと、自主的に金儲けをする援助も受けたい。例えば余り博奕のことを言うと皆さんからいろいろと御意見が出ると思うのでありますが、例えば競馬法、これは戰災都市に限り優先して許可がされておるようでありますが、こういうものも時と所を得る場合におきましてはすばらしい観光的な競馬場も作りたい。そういう場合は非戰災都市であるが、戰災都市同様に京都にも認めてやろうという特別の温情ある計いによつて認可を受ける。将来何か戰災都市でなければ通用のできないような法律ができたときでも、京都は非戰災都市であるに拘わらず戰災都市同様にこれを受けることができるというようなことになりますならば、自主的に税外收入を得て税外の財源を考えることができると思います。更にお願をしたいと考えておりますのは、京都市の起債でございます。こういう起債の問題が起りましたとをには、これは皆様には決して御迷惑を掛けずして、京都市の起しました債務は京都市が長期に亘つて利息、元本の償還をすることに努力するのでありますが、国の財政上の都合の許す限り速かに長期の観光の文化施設をいたしますに必要な財源については起債のお許しを頂きたいというような事柄も含んでおるわけでございます。自主的に飽くまでもやつて行きたい。更に他人にばかり頼ることなく、今日は京都市長もここに参つておりますが、全京都市の市政を挙げまして、あらゆる画の歳出に縮減を加え、節約をいたしまして、余剩の財源を傾けて、この観光の面に努力をして、成るべくお国に御迷惑を掛けませんように、成るべく財政の……一挙に出ないように一生懸命計画に努力をしたい、こういう気持でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814146X00119500726/12
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013・小笠原二三男
○小笠原二三男君 それでは逐次伺いますが、行政措置の上でも手続きですか、内閣総理大臣が国会に報告をしなければならないということになつておりますが、この内閣と京都市長との関係、京都市長と京都府知事との関係、これらはどういうふうになつておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814146X00119500726/13
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014・田中伊三次
○衆議院議員(田中伊三次君) 京都府知事との観光計画を実行して参ります関係は、丁度府は市と隣接をしておりますので、府の中に市があるようなわけでございますので、あらゆることについて、物資の上からも又電力の上からも、それから都市計画の上からも、特別都市計画の指定による上からも、上下水道に関する上からも、あらゆる関係からこの事業を計画して参ります上に、京都市長に援助の義務を負わし、こちらは援助をして頂く立場に立つ。こういう関係だけでございまして、報告そのものは京都府を経由いたします。報告の関係を持ちますのは、六ケ月ごとにこれは建設大臣に直接報告をいたします。そこで建設大屋が内閣の一員でございますから建設大臣が内閣総理大臣に京都からこういう報告があつたということを報告する。それは書いてありませんが、報告をせねばならん建前になると思います。そこで内閣総理大臣は京都市長が建設大臣に出した報告の内容を間接に受取りまして、その内容をよく調べてみて、成る程この通り進行しておるということが分ります場合は、総理大臣の責任において参衆両院にこれを報告する、こういう関係に立つわけでございます。だから総理大臣との報告関係は間接でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814146X00119500726/14
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015・小笠原二三男
○小笠原二三男君 そうなるだろうと思つて伺つたのですが、京都府知事が財政的に援助しなくちやならない部面において義務を負うということは、隣接町村も又義務を負わせられた結果がこの第五條から出て来るのではないか。例えば観光道路なんというものがそれぞれの行政区の違つた町村との間にも関連がある問題じやないか。そうすると京都市の計画で決められたことに対しては、隣接町村なり京都府なりの地方議会が自由なる審議権を行使することなく、できる限りの援助を與えなければならないで、素通りで金を出す、或いは計画に参加する、こういう状態が起るのじやないかと思われます。と同様に、日本の国の財政で京都市自体の財政を賄えないという理由はどこにもないのであつて、できる限り……、だからできないものは援助しないという反対解釈もあるけれども、京都の一部の問題に対して国ができないというわけのものでもないと思いますが、国会における予算の議決の場合でも京都の要請さえあれば何でも出してやらなくちやならん、こういう結果になるのではないかということを憂うるのですが、この点如何でしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814146X00119500726/15
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016・田中伊三次
○衆議院議員(田中伊三次君) 御尤もでございまして、一言に申上げますが、進行状態は京都市長独自にやる、援助は他人から受ける、それは理屈が合わんじやないかというお説は御尤もでございます。そこでこの條文の中には記載しておりません一番重要な建設大臣と国会に対する関係等は報告義務を規定しておるようなわけでございますが、只今のお説を十分に頭に置きまして、関係の市町村、それから国家に対しましては規定はございませんが、一々具体的な京都観光計画の内容につきましては事前々々に報告いたしまして、変更のある場合は変更の旨をその理由を報告をいたしまして、円満なる協調を遂げるように努力いたしまして、その上で御協力を頂いて、御援助を頂くように努力をすることにいたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814146X00119500726/16
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017・小笠原二三男
○小笠原二三男君 国の財政的な部面で関係当局にも伺いたいのですが、先程相馬君の御質問に答えた例の中にもありました通り、普通の道路建設より以上金のかかる観光的な道路を施設するという特別な計画を京都市が持つというような場合に、この財政平衡交付金の方を京都のみ、或いは奈良市のみ特に軍備その他について特殊なる具体的な計算に基いて、その基礎によつて交付金を交付する場合があり得るか、これは一例でありまするが、又同様に市町村が法定外普通税なるものを京都市がこの建設事業のために特に設定したいと言つて国に持つて来た場合に、そのことを国としては優先的にこの法によつて許してやらなければならない。こういう建前になる場合もあるのか、この点お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814146X00119500726/17
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018・小野哲
○政府委員(小野哲君) 私からお答えをいたします。只今御質問の要点の第一は、できる限りの援助を與えなければならないという第五條の問題であろうと思います。その場合におきまして、国といたしましては例えば今御指摘になりました起債の問題であるとか、或いは平衡交付金の問題であるとか、いろいろの問題があろうかと思うのであります。併しながら国におきましても一つの財政計画を立てまして国家予算の遂行をいたして行かなければならない立場にございますので、さような場合におきましては、できる限りの一般原則に応じました援助はいたさなければならないと、かように考えております。
又第一点の地方税関係として、京都市がこれらの特別な施設を行いますための法定外普通税を設定するという場合におきましても、これは地方財政委員会において地方税法の示す一般原則に該当しておるか否かということを愼重に検討を加えまして、その趣旨に悖らない限りにおきましては、税源の問題であるとか或いは財政需要の問題等が明確に把握できました場合においては、許可をいたすという場合も考え得るかと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814146X00119500726/18
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019・吉川末次郎
○吉川末次郎君 段々各位から御質問がありまして、提案者の方からそれに対する御答弁があつて、提案の御真意、本音というようなものも大体了解することができたかと思うのであります。提案者でありまする田中さんからお答えになりましたように、別府観光温泉都市法案が通過し、熱海が同様の法案を出して来る、伊東が出して来るというようなことで、段々とそういうものができて来たから、京都もそれに遅れじと出さなければならんというようなことでこういうことになつて来たのであるというお話でありますが、全く田中さんのお話の通りのことが御真意であると思うのであります。その最初のこうした法案は田中さんからお話がありましたように、別府国際観光文化温泉都市法案でありましたか、当時我々地方行政委員会に対しましても、建設委員会から合同審議の御処置がありまして、その節意見を申述べたのでありまするが、あの議員提出法案は衆議院におきましては委員会を省略して、そうして本会議で可決して直ちに参議院へ廻して来るというところの例外的な処置をとつて廻して来られたのであります。ところがあの法案を見ますというと、その提案理由よりいたしましても極めて当時私の言つた言葉でありますが、知性の低い、世界で以て観光都市としては別府の右に出ずる所がないというような考えの、端的に申しますると、極めて愚劣な内容の法案であつたのでありまするが、それが井戸の中の蛙のような極めて狭い私見に基いてお国自慢の考えで出されて来たと思うのであります。そういう愚劣な内容を持つておりましたところの別府に対する法案をば衆議院はそうした委員会にも付話しないで、それを直ちに本命会議で可決するような、露骨に申しますると、甚だ軽卒な態度をとられたのであります。併しながら私達はその法案に対しましては反対をいたしまして、建設委員会が慎重な態度をおとり下さることを希望したのでありますが、不幸にしてその法案は通過してしまつたのであります。ひとたびその法案が通過してしまいますというと、相次いで伊東、熱海共の他のところから同様の法案が出て参りましたので、その時に私も言つたのでありますが、別府を観光都市として特別の法律を作る必要があるといたしまするならば、そういう見地からすれば先ず日本においては第一に挙げなければならないところのものは京都であり、奈良でなければならないと申したのであります。で、今この法案が出て来たのでありまするが、それに同様法案がそういううな過程を経まして国会を通過いたしておる現在の状態に鑑みまして、これは結論を申しまするというと、やはり一応これは通して上げなければならないというのが、まあこの際の考え方ではないかと実は考えておるのであります。そうして相馬委員から提案者に御質問がありましたように、地方行政制度の全体系を破壊する憂いがあるのではないか。或いは又現行都市計画に関するところの法令でその目的は十分達成することができるのではないかというところの御質問があつたのでありまするが、提案者からそれに対する御答弁はありましたけれども、私は相馬君の質問点が極めて剴切なるところの質問であつて、それに対する田中さんの御答弁は私といたしましては甚だ不満足に思つておる次第であります。例を挙げていろいろと現行都市計画法ではできないというような御答弁でありましたが、私は今法令集をここに持つておりませんけれども、私の都市計画法に対する記憶いたしておりまする知識から言いますると、必ずしも田中さんのおつしやるような答弁は相馬君の質問に対する答弁として該当していないと思うのであります。又先程来両都市からの提案理由の説明書が我々に配付され、又お話もあつたのでありまするが、別府のような田舎の小都市でなくして京都のような大都市、或いは奈良のような文化都市がまだ若干地方的な利害に余り損われ過ぎて、お国自慢的な口吻が多少強く出過ぎておるというような感じを受けるのであります。併しながらこれもまあ一つのお国自慢の感情として一応は納得いたしますが、田中さんは私は中央政界におけるところの大政治家であると考えて今日まで来たのでありまするが、先程来のお話によるというと、丁度京都の市会議員の言うようなことを頻りに言つていらつしやるということについては、甚だ田中さんのためにも多少遺憾に実は思う次第であります。それで大体私の地方行政委員といたしましての見解は以上申上げた通りで、ともかくももうこうなつて来たことであるから、この両法案は建設委員会が議決されるのでありまするし、又本会議において我々も議決権を持つておるのでありまするが、参議院としてはこれを一応通過さす。然る後において更に日光であるとか、いろいろな所からこうした特別法の提案が起つて来ると思うのでありますが、そうしてその結果は相馬君が言われたように、地方行政法の全体系を破り、又その他現行の法令でも大体その目的が達成することができる。又若し部分的にできないようなところがあるならば、現行法を改正するというようなことでもできるのじやないか。或いは又田中さんも答えられたように、然る後においてこうした文化関係の、観光都市というようなものには共通する一つの法律を作るというようなことも考えられるのでありまして、一先ずこれは通して、然る後に地方行政の制度の全体系を破らないように、又そうした特別法を共通的に国家的な見地からこれを再調整するというような方向に出るということが或いはいいのじやないか。このように天体考えておる次第でありまして、とうした意見が多少共建設委員の諸君に御参考になりまするならば、一地方行政委員の意見として御了解が願いたいと思うのであります。
ただ先程来多数の御質問がありましたが、一点だけもう一つ政府の代表の方にお伺いいたしたいと思うのであります。御答弁は大蔵省から御答弁願うのが一番妥当であると考えるのでありまするが、大蔵省の政府委員がおいでになつておらなければ自治庁の方でも結構でありますが、第六條の問題であります。この法案の恐らく提案者の最も主眼といたしておりまするところは、第六條に私はあるじやないかと思うのであります。端的に申しまするならば、こういう特別の都市計画をするのについての国の財産というものをば、できるならばただでできるだけ沢山国から貰いたいというのが、これは京都市及び奈良市の私は真意ではないかと思うのでありますが、この第六條を実際上実行いたしまするということにつきまして、できれば大蔵省、おいでにならなければ自治庁の方が第六條に対してどういうような御見解を持つていらつしやるかということを一つ御答弁が願いたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814146X00119500726/19
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020・柴田政次
○委員長(柴田政次君) 古川君にお答えいたします。大蔵省の管財局長吉田君が来ておりますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814146X00119500726/20
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021・吉田晴二
○政府委員(吉田晴二君) 大蔵省の管財局長でございます。
只今の御質問の点は、これは実は從来からのいろいろの特別法がございまして、これの全般に通ずるような問題であると存じます。この法案で申上げれば、この「国際文化観光都市建設事業の用に供するため必要があると認める場合」というものをどの範囲に考えるか。これに該当すれば公共団体に対し普通財産を讓與ることができるわけです。その範囲をどの程度に見るかということに結局なるかと思うのでありますが、この点についてはやはりその都市のその事業が果してこの法案の第一條にあるような施設或いは事業としてどうしてもそれがなければならないものであるかということを判断するわけでありますが、又一方におきまして、只今お話のございましたように、国としてはこれは一応国有財産を、特にこの目的となつております対象となつておりますものは大体において普通財産でございますから、一応国としてはこれを売拂いまして收入にするという目的を持つておる財産であります。從つてこれが收入になりませんで無償で讓與されることになれば、それだけ国の財源は減つて参るわけであります。從つてその財源の減るということは一般の租税負担等にも関係して参りますから、その点は非常に慎重にいたさなければならんという重要な法案であると思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814146X00119500726/21
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022・鈴木直人
○鈴木直人君 この両法案はもはやこれはこうなつては吉川君と同じような取扱いをせざるを得ないと私は考えておるのであります。むしろ国際文化観光都市建設法というものができるならば、京都、奈良のごとき、そういう程度ならむしろよかつた。これが一番先であつたらよかつたじやないかと思つているくらいに考えているのであります。併し今後どういうふうにどんどん出て来るかという点については相当出て来るであろうと思いますが、こうなつてはこれはもう止めても止まらないようなことになりやせんかということを考えるものでありまして、これについては建設委員会の御意見、御意向に我々は從うという考え方を持つておるわけでありますが、ここで問題は、先程吉川君が言われた第六條ともう一つ、この点につきましてはお聞きしませんが、もう一点についてお聞きしたいと思うのは、第八條の特別都市計画法の第三條を準用するということであります。都市計画法の適用につきましてはこれは当然でありまするが、特別都市計画法の第三條を準用するという点で、それに関係している政府の方面からお聞きしたいのです。特別都市計画法は戰災都市にのみ適用するところの特別都市計画法であると了承しておるのです。從いまして原則としましてはこれは戰災都市にのみ適用されるために作つたところのこの法律が、国際文化観光都市建設法というものの中にそういう理由の下に戦災都市以外のものに準用されて行くという点であります。これは別府の場合におきましては適用するというような字句になつていたと思うのでありまするが、その点につきましては字句が間違つておる。これは準用すべきものである。準用ということであるが、併しながらこれを準用するということが将来どうであろうかということで我々はむしろそれを修正したらよかろう、これを削除した方がよかろうということを主張したのでありましたが、この点につきましては建設委員会において原案のまま通過されて通つたのであります。その後ずつとそれが続きまして大部分この戰災都市でない所が国際文化観光都市でありまするので、いつまでも戰災都市にのみ適用する法案が準用されて段々とこれが拡張されて行くという形になるのであつて、こういう傾向につきましては政府といたしましてはどういうようなお考えを持つておられるかという点についてお聞きしたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814146X00119500726/22
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023・八嶋三郎
○説明員(八嶋三郎君) 只今の第八條におきまして、特別都市計画法の第三條の準用という点についての御質問でございまするが、実はこの特別都市計画法の第三條の規定というのは緑地地域の規定でございます。ざつくばらんにお話を申上げますれば、この緑地地域の規定は本来ならばこれは都市計画法の中に規定すべきものであるのでございます。この第三條を入れました経緯を簡單に申上げて見まするならば、当時緑地地域の問題が現在の都市計画法において解決されておりませんでしたので、実は都市計画法を改正いたしまいて、この緑地地域の規定を入れたいということで当時法制局ともこれはずつと前でございまするが、この特別都市計画法ができまする際でございますが、その際におきまして実は都市計画法を改正して緑地地域を入れたいということで法制局と折衝いたしましたのでありまするが、その際におきまして、都市計画法はまあこういう部分的な改正は今どうか。それよりも今特別都市計画法というものを制定するのであるから、その際においてこの特別都市計画法の中へ一つ入れて置こうということに実は相成つたのであります。その際におきましても私共といたしましては実は大都市においてこの緑地地域の問題が非常に必要であるのでございます。当時戦災都市として適用されておりまするものは東京、大阪、名古屋、神戸といつたようなのが特別都市計画法の適用を受けておつたのでございまするが、非戰災都市におきまして実際緑地地域を必要といたしまするものは実は京都であつたのでございます。その際におきましても京都の事例等を申上げまして、都市計画法を改正して特別都市計画法の中に入れるべきものでないという実は主張をいたしておつたのでございまするが、当時まあ特別都市計画法を制定するから一応これで我慢して呉れということになりまして、実はこの規定を都市計画法の中へ必要とは思いながら入れておらなかつたのであります。今回京都におきまして特別にこの点を考えられまして、特別都市計画法で足らなかつたところをこの規定によつて補つて行こうということにされましたので、実は当初私共が考えておりましたところをこの規定によつて補うことができた。将来都市計画法の全面的改正の際におきましては、私は都出市計画法の中においてこの問題を謳うべきものであろうと中人は考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814146X00119500726/23
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024・小川久義
○小川久義君 議事進行について……。地方行政の委員の方から御意見を伺い、又提案者の趣旨説明、関係当局の意見も総合いたしまして、この辺で連合委員会を打切りまして、会期も残り少いのでありますので、建設委員会に戻して、慎重審議の上速かに結論を得たいと思いますが、さようお取計い願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814146X00119500726/24
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025・岡本愛祐
○岡本愛祐君 もう二、三点伺つて置きたいと思います。地方行政委員の各位からだんだんと御質問があり御答弁がありました。大体私はこれに賛成であります。吉川委員からこの京都、奈良の建設法案は大分そのお国自慢の点があるというようなお話がありましたが、成る程京都の例をとつて見ますと、比叡山より伏見、桃山に連なる東山連峰と京都を貫流する加茂川の流れは、世界一の特異なる眺めを誇るものであるというのがあるが、加茂川のごとき実に情ない状態でありまして、このパリーのセーヌ河とは言わないまでも、フローレンスのアルノ河と比へて見ますと、まるで成つていない、あの加茂川を見て京都が文化観光都市なりということは言えないのであります。まあそのような点がある、これは何としても一時も早く京都市として善処せられなければならんと私共も痛感をしておるのであります。又近頃古いものは封建的のものである、だからそんなものはどんどん亡ぼしちやつてもいいのだというような誤つた考え方がとかく若い青年には一部あるようだ、で、金閣寺が燒けた、法隆寺なんかもそれとは違いますけれども、ともかく一部亡びてしまつた。誠に情ない状態でありまして、この奈良並びに京都の国際、文化観光都心面談というようなことに力を入れられることは私は非常にいいと思つております。それで先程相馬委員が起つしやつたように、文化観光都市建設法というものを作るべき機運になつて来ておると私も信ずるのでありますが、それがなかなかできないとすれば、この法案は私は結構だと思つております。で、その前提におきまして、尚少し質問してみたいのですが、この法案が別府や熱海や伊東と違つておりますのは第三條であります。第三條の問題、つまり文化観光保存地区というものを指定するというようなことは、これまで外の法案にはありません。で、これが指定されますと、この第三項に書いてありますように所有権の制限になつて来る、そのためにまあ「通常生ずべき損害」を補償するということになつておりますが、この「通常生ずべき損害」というのはどういうふうなものを大体考えておりますか。これは判例でもありましたらそういう判例はどういうふうなことになつておるか、それを聞いて置きたい、それが第一点であります。
それからその次は第四條の第一項であります。「京都国際文化観光都市建設事業は、京都市の市長が執行する。」これは先程田中衆議院議員が御説明に当つて注意深く説明をなさいました。それは国の代行機関として京都市の市長が執行する意味である、こういう御説明がありましたけれども、どうむそれは法律文句に現われていないのであります。そういうふうに果して読めるかどうかと言えば、私は読めないと思う。建設省の都市局長も来ておられますから、そういう意味になるかどうか、建設省の方としてはそういうふうに考えるかどうか、これを伺つて置きたい。何故それを伺つて置くかというと、これはこの法案の生命とも言うべきところなんであります。外の別府とか熱海の法律にはありません。それは都市計画法に入りまして、都市計画法の第五條に「都市計画事業ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ行政庁之ヲ執行ス」と、そうあります。そうして第六條に「都市計画事業ノ執行ニ要スル費用ハ行政官庁之ヲ執行スル場合ニ在リテハ」国がその経費を負担するとある。つまりこれは国で京都の都市計画をやつて呉れれば国の費用でやつて貰える、これがこの文化都市法案の非常に大きな狙いどころであります。別府や熱海や伊東にはその句の第一項がありませんから、この都市計画法の第五條、第六條が働いて、從つて国がその都市計画をやつて興れるということがあり得る。費用も国から出して呉れるということがあり得る。ところがこの第四條におきましては、京都の市長が執行する。つまり国はやらないでも京都市の市長がみずからやれる。こういうふうに読めるのです。これは田中さんが注意深く説明なさいましたが、どうも残念ながら私はそういうふうに読めないと思う。だからその点はどうなのか、それを私は確めて置く必要があると思います。
それからもう一つ、この第七條に「この事業がすみやかに完成するように努め、少くとも六箇月ごとに、建設大臣にその進行状況を報告しなければならない。」こうあります。で、この建設事業の内容は何かと、こういう問題になりますが、私共に配付せられた京都の趣意書の中にずつと項目が挙げてあります。ところがこの六項、七項を見ますと、景観、風致の保護育成、観光関係産業の保護振興、こういうふうなことがあります。これはいつ完成されるというものはないのです。その風致や景観護育成ということはもう永久に続くわけです。それから観光関係の産業の保護、振興ということもこれは永久に続くわけです。こういう完成されることのないものを内容として掲げて、「すみやかに完成するように努め、」と言われてもこれは無理な話で、これは恐らく趣意書の方が間違つておるのだと解釈して、私は事業の内容としては資源を維持、保存するための建設事業、それから観光施設の整備、それから古文化財の防災なんかのための建設事業、こういうことになるのだろうと思います。その保護育成なんということはその蔭でやる建設事業で、それが直接の目的ではないと思います。その点の観念が混同があると思います。その点の御説明を願つて置きたいと思います。
それから恐縮ですが、もう一点だけお聞きして置きたい。それは若し将来第四條の第一項がどうしても邪魔になる。国でもどうしてもやつて貰わなければ、京都とか奈良とか金のうんとかかる風致地区の都市計画をやるときに、国でやつて貰わなければならん。これがあつて邪魔になるときに、この法律の一部修正をしなければならない。その法律の一部を修正するときにも住民投票が要るかという問題であります。私はこの前脚府の法案のときに言つたのでありますが、あのくらいのものは住民投票をしなくてもいいじやないか、又蔵都建設法案のときにもそうであります。ああいうくらいのものは住民投票をする必要はないじやないか。住民に非常な負担を生ずる場合はやらなければならんけれども、あのくらいの程度のものはいいのじやないかということを言つたのでありますが、それは法務府初め皆要るのだという解釈でありました。それで、そうするとこの一部修正にも住民投票が要るということになりますれば、これは地方自治法の改正が必要になつて来る。憲法には法律の定めるところによつて住民の投票に附すると、こうあるのでありますから、法律で定めまして、そういう住民の権利義務に余り関係のないものは、特別の公共団体に適用する法律であろうとも住民投票は要らないのだという規定を地方自治法に設けた方がいいのじやないか、こういう説を出しておる、又そういうふうに考えておるのであります。こういう点について地方自治庁側の意見を伺いたい。この四点を伺つて置きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814146X00119500726/25
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026・田中伊三次
○衆議院議員(田中伊三次君) 第一点から第三点までの点について、岡本委員長のお尋ねにお答え申上げます。この第三條の「通常生ずべき損害」の基準でございますが、これは成る程これ自体の判例はございませんが、文化財保護法によりまして文化財の指定を受けましたような場合の若干の前例がございます。それは先ず一応その被害を蒙むると見られます物件の時価を測定をいたしまして、正常の時価を以て損害を認定する、こういうような認定のいたし方が一番よいのではなかろうか。併しそうでなしに、ものの認定でございますから、或いはそれはそうでない、もつと高い認定をしなければならん、被害者が気の毒だというような状態がありましたときは、成るべく計画と財源の許す範囲内におきまして、できるだけ被害を蒙むると見られる人々の有利な基準によつてこれを認定することに努力をして参りたいという心持であります。
それから第四條でございますが、お言葉の通りこの條文は少しおかしいのでございます。実は最初打明けたお話を申上げますと、関係方面に参りましたときには、この條文はながつたのでございます。なかつたのでございますが、段々と折衝をいたしておりますと、どうもこういう法律が段々とできて、建設大臣がいろいろな指示をする、憲法によつて京都市長は独自の自主的権限が與えられておるに拘わらずいろいろな指示をする。そういうことになると、どうもこれはこの法律ができたがために京都市長の権限が狭くなるのじやないか、或いは制限を受けるようなことになるんじやないかというようなお話がいろいろ関係方面でございました。そんなことをおつしやるならば、特別都市計画法というものを御覧なさい。或いは都市計画法を御覧なさい。これは皆指定を受けてやるのです。かから関係方面の御意見をそのままに貫くことになりますと、これは都市計画法、特別都市計画法などはすでに憲法上おかしいのです。併しこれはやがては改正されるであろうという過渡期に置かれておる状態でありますから、その点は大目に見て貰いたい。若しそういうような御懸念があるならば、国の指定によつて事業を行政官庁の指示なり或いは市長としてこれを執行ずる場合には国の代行機関としてその執行の件に当るのだ、こういうようなことであるが、その執行に際しては京都市長の独自の執行である、執行する立場は国の機関の代行なのである、執行そのものは京都市長が執行するのだ。こういう意味でこういう言葉を入れようという話をしましたところが、それならばよろしいというようなことになつたわけであります。併しでき上つて参りました英文の方を先に私は打合せをいたしまして、その英文を持つて帰つて来て日本語に飜訳して参りますと、やはり今御指摘を頂きましたような、少し理窟に合わんものになるのでありまして、京都市の市長がこれを執行をするというと、如何にもその権限の根拠において京都市に独自の権限があるというふうに読めるのであります。権限におきましとはこれは市の代行機関として、行政官庁としての立場において執行をするのである、国の執行すべきことを京都市長が代行して執行するのだ、併しその執行する場合には何人の指図も受けん、これは京都市長がこの執行の任に当ることはこれは当然のことでありますが、そういうふうに書いたわけであります。そこで余りにもおかしく思いましたので、この第二項のところに持つて参りまして、今までの既成の法文にはない文字でございますが、第二項に「地方自治の精神に則り」、こういう言葉を特に入れることにしたわけであります。地方自治の精神に則つて市長が執行する、下法な束縛、下法な指示は受けん、こういう何と申しますか、精神的な條文のような気持でこれを入れて、そうして誤解があつてはならんというので、次の項目に地方自治の精神に則るというような條文を入れていろいろ苦心をしたようなわけであります。これは御指摘の通り国の執行すべきものを市長が代つて執行をするのだ、それは何人の指示も受けずに自治の本旨に則つてやるんだ、こういう解釈にして頂きたいと思うのであります。立法の文字を作りました趣旨はそういう経過を辿つて来ておつたわけでございます。
それから第三点は、報告の点でございますが、いろいろな事業内容を持つわけで、その報告の内容、從つてその事業内容は今岡本先生より御指摘を頂きましたような京都市の計画として具体的に出しておる第六、第七、こういうところへ風致の保護育成、或いは観光関係産業の保護振興といつたような文言が挿んであります。これは御指摘の通り誤まりでございます。観光風致の保護育成に必要なる諸般の施設、こういうように御覧を頂きたいのであります。それからもう一つは観光関係産業の保護振興について必要なる諸般の建設上の施設、こういうようなふうに実は考えておるのでございまして、ぼんやりしておりまして、印刷の文字が徹底をいたしておりません。御指摘のような趣旨にやつて参りたいと考えております。第四点については官庁側から来ておりますから、官庁からお答えをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814146X00119500726/26
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027・小野哲
○政府委員(小野哲君) お答え申上げます。只今岡本さんから、この法律を改正する場合において地方自治法の規定に再検討を加える必要がなかろうか、こういう御質問であつたと思いますが、立法論といたしましては十分に拝承いたして置きたいと思うのであります。ただ憲法に基いた地方自治法のこの種特別法の取扱方に関する規定を解釈いたしますると、この法律を将来改正されるという国会の議決がありました場合におきましては、やはり住民投票に付することに相成るかと考えておりますので、お答えをいたして置きたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814146X00119500726/27
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028・小川久義
○小川久義君 先程の動議をお諮り願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814146X00119500726/28
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029・柴田政次
○委員長(柴田政次君) 先程来小川委員よりこの程度において連合委員会の打切りの動議がありまするが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814146X00119500726/29
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030・柴田政次
○委員長(柴田政次君) 御異議ございませんようですから、これを以て連合委員会を閉じることにいたします。
午後三時八分散会
出席者は左の通り。
建設委員
委員長 柴田 政次君
理事
岩崎正三郎君
赤木 正雄君
小川 久義君
委員
石川 榮一君
石坂 豊一君
門田 定藏君
田中 一君
小林 亦治君
尾山 三郎君
田方 進君
東 隆君
地方行政委員
委員長 岡本 愛祐君
理事
吉川末次郎君
委員
石村 幸作君
岩沢 忠恭君
高橋進太郎君
安井 謙君
小笠原二三男君
相馬 助治君
中田 吉雄君
鈴木 直人君
石川 清一君
衆議院議員
田中伊三次君
東井三代次君
国務大臣
国 務 大 臣 岡野 清豪君
政府委員
地方自治政務次
官 小野 哲君
大蔵省管財局長 吉田 晴二君
説明員
建設省都市局長 八嶋 三郎君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814146X00119500726/30
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