1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和二十五年七月二十六日(水曜日)
午後一時五十三分開会
—————————————
本日の会議に付した事件
○水産物増産対策に関する調査の件
(水産金融に関する件)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814562X00319500726/0
-
001・木下辰雄
○委員長(木下辰雄君) 只今から水産委員会を開会いたします。本日は水産庁の家坂長官、山本次長、松任谷漁政部長の外に大蔵省の舟山銀行局長もお見えになつております。それで主として今までの懸案事項でありました諸問題の中で、金融に関する問題について委員の御質疑をお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814562X00319500726/1
-
002・青山正一
○青山正一君 今日は安本の方からどなたかお見えになるわけであつたのですが、まだお見えになつていないので、又安本の方が来て重複するというようなことになるかも知れませんが、一つ大蔵省の銀行局長にちよつとした点についてお聞きしたいと思います。
先ず第一に、この見返資金の問題とそれから預金部の問題でありますが、見返資金の問題は、これは大体北海道の魚田関係の七千七百万円と、それから高度利用、これも北海道の関係で一億円、それから図南丸の引揚げの問題、これが九億円の大体七割内外というふうに決まつておられるようで、これ以上食い込む余地があるかどうかという問題と、それから預金部の問題でありますが、最近水産経済新聞などに発表になつておりますが、中小企業信用保險基金法案というものが大蔵省、運輸省、或いは農林省、こういつた関係から通常国会に出るというような話を承わつておりますが、この中小企業信用保險基金法案、これは当初の予算が十億ぐらいと考えておるのであります。例えば資本の総額が五百万円以下の会社及び会社以外の事業所、こういうものを対象といたしまして、これが一昨日ですか、その前の日ですか、ちよつと忘れましたが、ラジオにおきまして見返資金の中から十億出す。それで又改めて預金部の方からそれ以上に三十億、合計四十億出しまして、この方の関係に特別水産業のものも含む。なぜならばその條項の中に、法案の中に、農林中央金庫が入つておるところを見ますと、そういう解釈をしてもよかろうと、こういうふうに考えておるのでありますが、この点について、つまり見返資金全般の問題について、或いは只今申上げましたこの預金部の問題について、一つ水産に関係しておる事柄について銀行局長からお話を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814562X00319500726/2
-
003・舟山正吉
○政府委員(舟山正吉君) 先ず第一に見返資金の配分の問題でございますが、これは御承知の通り各所からの要求を安本にまとめまして、主として安本で資金の配分を決定するのであります。それを大蔵省から司令部に交渉いたしますが、直接審査いたしますのは安本と御承知願いたいのであります。従いまして、私共の方は直接の所管でございませんので、これ以上に食い込めるかどうかという点は十分に了承いたしておりません。
それから次に中小企業金融の保險制度の問題でございますが、実は本国会に提案の目的で案を拵えまして、関係方面に折衝中でございます。その大体の構想は、只今お話しになりました新聞記事と大同小異であろうと思うのでありますが、大体見返資金より千億の資金を出して、金融機関が貸出す融資というものを保險するのでございますから、貸出について若干の保險料を取る。この保險料を積立てまして、そうして貸倒れになりました融資に対して保險金としてその穴埋めをすると、ここいう構想でございます。それでこれは大蔵省といたしましては、いわゆる中小企業者に対してできるだけ恩恵を広めます関係で、一般に通産省のやつております。いわゆる中小企業庁管内の中小企業のみならず、農林中央金庫の融資先にもこれを均霑させたいと考えまして、そういうふうな案になつておるのであります。こういう保險の仕組でございますから、例えば漁業についてその保險料をどうするか。こういう細目につきましてはまだ十分練つた案はございません。でこの中小金融の保險基金の成行きでございますが、司令部と折衝いたしまして、相当好感を持つてこれを研究して貰つておる状況でございます。一両日中に返事があると思いますが、今国会で決めるかどうかそこはまだはつきりと申上げられる段階にはなつておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814562X00319500726/3
-
004・千田正
○千田正君 銀行局長にお尋ねしたいと思うのですが、それは現在の我が国の水産業にとつて、今一番問題になつておる点は金融問題だと思いますが、そのうちでも新協同組合法によつて水産業会から引き継いだところの資産が焦げついて、殆んど固定資産で約十八億、それから流動資産のうちにも動かないで固定しいるものが二十二億、この四十何億というものが、この新らしい漁業組合が発足するに当つて、すでに発足からマイナスである。こういう点において日本のこの水産業の発達が阻害されておるような現状なのでございます。それでこの点においては各県の協同組合連合会からしばしば委員会に対しても陳情がありますし、又行政官庁であるところの水産庁に対してもその善処方に対する要望があつた筈でありますが、我々としましては、どうかしてこの新らしい漁業協同組合法によつて設立されたものの今後の運営に対して国として十分なるこの発達を援助する方法をとらなくちやならない。こういう考えでおりまするが、現在のような状況では恐らく発足と同時に壌滅しなければならないという現状であります。そこで大蔵省当局としてこの漁業協同組合法によつて生れ出たところの新らしい漁業協同組合に対するところの長期資金その他に対する援助の方法が何とかとられないか。その例から言いまするというと、岩手県等は、この間水産物の統制に関しての未回收金については予算外のいわゆる義務負担として五千万円を計上して、県会が一致してこれを通過しておる。こういうふうな一県にさえもこのようないわゆる新漁業法、協同組合法によつて再スタートしたところのこの水産業に対しての助成の方法をしとつておりますが、国としては当然とつて頂けるものと我々は考えております。先般も農林大臣に対して私がこの点について質問いたしましたところが、廣川農林大臣は大蔵当局と折衝しまして予備金の中から何とか操作する方法を講じたい。或いは補給金の中から或る方法を講じてこの新漁業協同組合法によつてスタートしたところの水産業に対して何分の処置をとりたいというのでありまするが、この予備金の支出が、この協同組合に対して助成育成するという意味の方法を何らかの方法でとれる段階に立至つているかどうか。或いは将来とる意思があるかどうかという点において、特に局長からお答えを頂きたいと思つております。この点について、そればかりじやなく長期資金の借入がなかつたならば、これは当然赤字を或る程度補填しながら運営して行かなければならない立場にあるから、その点をお願いするのでありまするが、更に長期資金の貸附に対して何らかの方法をとつて行かなかつたならば、水産業は壊滅する外ない。今度の地方税法案によるというと、農業と同じような基礎産業である水産業が、一方的に相当な苦しい目に合つている。仮借なく水産業に対しては税金が徴收されるに拘わらず。それに対する政府の、国の政策が非常に片手落のような行き方であるというふうに我々は考えますが、この点につきましても大蔵省当局としてのお答えを頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814562X00319500726/4
-
005・青山正一
○青山正一君 只今の千田先生の御質問に補足して、私からもちよつとこの旧団体の資産を新団体が引継ぐ問題についてお聴きしたいと思います。この問題につきましては赤字のないところは、これは帳簿価格で引継ぐのでありますから、これは問題はなかつたと思います。併しこれはどうして一体こういうことになつたかと申上げますと、旧団体が今まで政府の命令によつて官僚の統制の欠陷から焦げつきの債権ができた。これはもうはつきりしておるわけです。それからこの漁業協同組合注そのものがやはり政府の責任で法律化されることが、二、三年遅れたために、空白時代ができて、それでこの経済事情に拘束を受けて、そのために予期しない赤字ができた。そのためにそういうようなものに携つておる職員の整理もできないで、人件費も相当かかつた。そして恐らくこの旧団体の費用は、今まで国庫補助とか、或いは県の補助金でできたものでありますからして、或る程度これは国家で資金の面倒を見て貰わなければいけない。私はこういうふうに思つておるのですが、これに対する局長の解釈を承わりたいと思います。差当り預金部資金などに五百億ぐらい残つておるように聞いておるわけですが、こういつたものを流用して引継ぎ資金に差出す必要がないかどうか、この問題も一つ承わりたいと思います。例えば北海道の例を見ますと、これは道庁の調査でありますが、水産関係の税負担額が十二億五千万円に対しまして国と道の予算額が二億七千万円、大体六分の一から五分の一になつておるわけです。ところがこれを農業に比べて見ますと、農業の税負担に対する予算の比率は百分の八十七、殆んど匹敵するだけ出ておるわけです。ところが水産は百分の二十二ということで二割程度に過ぎないわけです。こういう例が示す通り、如何にこの水産業に対する国庫補助なり或いはその他、道府県の補助が薄いか、この点について大蔵当局あたりはどういうふうに考えておるか、一つ見解を示して頂きたい。
それから最近問題になつておりますところのあの食糧公団のようなものには非常に莫大な欠損を出しておるのに、これを国家が負担をしておるわけでありますが、こういう例から考えて見ますと、水産団体も公団と同じようにお上の命令に絶対服従して、その結果先程いつた通り焦げつきの結果を産んだ。併し政府としては後は何ら見るところがない。この点について大蔵当局は如何なる見解を持つておられるか。要するに先程千田さんからもお話があつたかも知れませんが、固定資産で十八億、それから流動資産の固定した分が二十二億、この流動資産の固定した分の二十二億、これは先程から縷々申上げた通り統制の結果焦げついたものである。例えば軍の買上げたものをそのまま軍は放棄しておいて、そしてそれが焦げついた。そういう例が非常に多いわけです。そういつたいろいろなお上の命令によつてできた例が非常に多いわけです。こういうものを一体どうするか。こういつた面について一つ大蔵省の見解を示して頂きたい。若しこの焦げつきの資金をどうしても作つて呉れないというようなことになれば、恐らく旧団体も破産し、それから新団体も解散の重大な時期になろうと思うのです。こういう問題について一つ忌憚ない御意見を承りたいと思います。これは安本の方にお聴きしてもいいわけなんですが、一つ大蔵省の御意見も……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814562X00319500726/5
-
006・舟山正吉
○政府委員(舟山正吉君) 漁業協同組合が旧漁業会関係から引継ぎました資産についてですが、これはいろいろお話も伺つているのであります。この処理問題については、一つは予算的措置を以てする法と、それからもう一つは金融的措置を以てする法とあると思うのでございます。この予備金その他国の費用でこの際一まとめにこれらの後始末をするということになりますと、実は水産庁の方の御政策になりますし、これと大蔵省の予算当局との御折衝ということになるかと思うのであります。この点につきましては私の管轄外でございますので、私は主として金融方面の対策というようなことについてお答え申上げたいと思います。金融対策につきましては、或いはこれらの旧債務につきましては、農林中央金庫から、漁業組合連合会あたりへ貸付けになつておるものもあるかと思うのであります。実は現在の金融情勢からいたしまするというと、この貸付の資金も短期であるし、又金利も比較的高いことであろうかと思うのであります。実はこの問題のみならず、水産金融一般については、敢えて長期と申しませんでも、中期の且つ低利な資金を中央から出したいということをかねて思つておるのでありますが、それにはこの預金部資金の地方還元というようなことができますれば、ぴつたりとこの目的にかなう。只今の資金の方は、大体日本銀行からの貸出ということになつております。これはいわゆる短期であります。そこで預金部資金、これはその本来の性質において長期資金の性質を持つておる。これを市中に豊富に還元いたしまして、本当に長期の金の要るところには長期の資金を供給して行くということが大きな狙いで、実は農林中央金庫も債券を発行できるようにこの前の国会で法律を制定いたしたのであります。その後制度はできましたが、預金部資金の地方還元につきましては、産業界への還元につきましては、なかなか関係方面の許可が得られないという実情でございます。尤も預金部資金も郵便貯金の増勢が非常に顯著でございまして、相当の余裕金がございます。これは一年を通じて見まするというと、月によつて非常に余る時と足らない時とあるのであります。これを産業界に還元いたしたいと考えておるのでありますが、私共の長い間の努力にも拘わらず、これを産業界に還元する。或いは金融債券を引受けるということは認められておらないのであります。従つて漁業協同組合関係にも、まだ問題が解決せずに残つておるという面があるのであります。遺憾ではございますが、実情はさようなふうで、今後共預金部資金の活用については、大きな金融政策を目途として骨折つて参りたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814562X00319500726/6
-
007・千田正
○千田正君 水産庁長官にお伺いしまつすが、今の大蔵省の局長のお話によりますると、出してやりたいけれどもなかなかできないと、こういうふうに私共は今の御答弁を承わりましたのですが、併し現実においては、この水産協同組合がすでに発足しなければならない。而もやつて行けない、更にこれはかりでなく、秋の仕込み資金が恐らく全国で百七、八十億要るでありましようが、こうした水産業の危機に到達した今日において水産庁としましては如何なる方途を以てこの危機を切拔けるだけの政策を持つて行くか。この点につきまして長官の、水産庁としての、この危機突破の方法があるならば、明確に示して頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814562X00319500726/7
-
008・家坂孝平
○政府委員(家坂孝平君) 水産業といたしましては、誠に苦難に直面しておるのでありまするが、殊に金融問題といたしましては、私共も非常に悩み続けておるのであります。それで大体の行き方といたしましては短期資金といたしましては、現在制度としてでき上つておりまする共済制度を十分に活かしまして、尚これに伴いまして繋ぎ融資の円滑なる活用を取り運んで参りたい。かように考えていろいろ施策を練つておるのであります。それから尚長期の資金につきましては、これは中金、勧銀、興銀、或いは北拓あたりが見返資金によりまして、増資をいたしまして、起債能力も非常に増大する直前にありまするので、この起債能力の増大に取り入りまして、是非これに食い込んで見返資金を水産業に流して貰うように努力して参りたい。かように八体方針としては考えておるのであります発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814562X00319500726/8
-
009・千田正
○千田正君 方針としては非常に結構な方針でありますが、これは長官がお答えがしにくかつたら、次長或いは担当の方々からでもよろしいですが、現在の方針で行つて、どれだけ差し迫つたところの問題を解決できるか。今の長官のおつしやつた方途によつて、どれだけの……大体の数字でいいのですが、見通しがどれだけ然らば今の金融の緩和に役立ち、実際的の問題の解決ができるか、この点について私は承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814562X00319500726/9
-
010・山本豐
○説明員(山本豐君) 只今長官からお答えいたしましたような線は、別にこと新らしいことではないのでありますが、ただ長官が申されました後段の農中等の見返資金を対象とした増資、或いは債券発行増額というこういう面につきましては、農林中央金庫におきましても、今年度後年におきましても、五、六十億くらいのまあ見込みが一応立つわけであります。その中に果して十億程度入るか、或いはもう少し余計に取れますか、その点はまあこれからの折衝次第でありますが、或る分はその方面からも打開の途は必ずあり得ると確信しておるのであります。それから前回にも申したのでありまするが、只今その点について銀行局長から明確な御答弁は得られなかつたのでありますが、水産庁といたしましては、只今千田さんもお話のように、そういう従来の普通の方式だけでは、到底これは解決はむずかしいと考えまして、秋漁の資金について、或いは協同組合の本当の焦げつきの一つの解決策という二つの線、その他いろいろ問題があるのでありますが、これを先ず最重要視いたしまして、大蔵省、安本等と折衝いたしたいと考えておるわけであります。この二つの点につきましては、併しながら結局するところ、預金部資金等を紐つきに農中その他に特別に考えて貰うという方法しか、我々の考えではなかなか他に智慧がないのであります。併し預金部資金の運用につきましては大蔵省は大蔵省の一応の御見解があろうと思うのでありますが、これはまあ今後の折衝にかかると思うのでありますが、我々といたしましては、新らしい長中期の金融でもできざる限り、こういうような方法を無理でも一つ強引に御折衝をいたしまして、何かそこに
一つの打開の途を開きたいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814562X00319500726/10
-
011・千田正
○千田正君 どちらのお答えも誠に我我としては不本意であります。ということは今も申上げました通りこれはもう現実に差追つておる。そこで銀行局長にお願いしたいのは、これはこの前の漁業手形類似の、いわゆる不漁対策として特に大蔵省からお考えを頂いて、当時のあぐり業者に対して出して頂いたいわゆる利子保証というような形において貸付けて来て貰つたんでありますが、それも今のところ十分な回收もできないから、或いは不安定なところがあるかも知れないが、併しそういうような方法でも取つて今の危機突破をする以外にない。そこで大蔵省としましては預金部の資金の融通も直ちにできないとするならば、取敢えずこの利子保証というような形においてでもよろしいから、この協同組合の新発足におけるところのこの固定資産に対する、或いは運営に対するところの資金の面を面倒を見て頂けないかどうか、この点を重ねてお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814562X00319500726/11
-
012・舟山正吉
○政府委員(舟山正吉君) 漁業金融のうち、短期の出漁資金ということにつきましては水産庁からお話がありましたように、現在の漁業手形の制度を活用する。そして尚それにつきましてはいろいろ御不満もあるかと思いますがこれらにつきましては私共も改善を加えましてできるだけの金融の円滑を期すという気持に少しも変りはございません。尤も共済基金の積立方が足りない、予定通り進まないといつたような面はこれは別途業者によつて解決して頂かなければなりません。この漁業手形の制度は最も短期の金融には恰好の制度である。こういう確信を持つております。そこでこれによりまして金融機関の充足を図つて行く。これにつきましては十分御相談し、日本銀行とも話合う用意を持つておるのであります。それから短期の金融とは別に長期な金融になりますと、実はこれは水産業界でお困りのことは十分分るのでございますが、それを申しますとこれは金融界全般の問題でございまして、現在中期、長期の金融が非常に円滑を欠いておるために各方面で困つておるのであります。そこでそうでございますが、これも逐次改善せられつつあるのでありまして、まあ農林中金の債券も先般発行いたしまして、これは半年後でありまして極めて長期の金とは言えないのでありますが、成績はよろしかつた。これから続々と債券を発行して行く計画もございます。これに対しましては大蔵省も例の債務償還、国債償還と給びつけ、合せまして市中消化を促進して参りたい。これによつて農林中央金庫といたしましても相当の長期資金が今後計画的に入つて来ることになると思うのであります。これを一歩進めまして更に望みたいことは先程も申上げました預金部資金によるこれらの債券の引受けでございます。そういたしますれば長期であつて且つ抵利である金が出るのでございます。これはいろいろの事性でまだ実現にはなつておらんのでございます。併し先程も申上げましたように私は是非これを解決したいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814562X00319500726/12
-
013・千田正
○千田正君 重ねてお願いしたいのは先程一例に申上げましたことへ、岩手県の予算外義務負担を例えば五千万、或いは成る県においては一億万くらい負担するかも知れませんが、そうした地方自治団体がそれ程義務負担までして水産業の育成強化に努めようという場合において、国はこれに対する多少のパーセンテージの、地方自治団体の引受けた予算外負担と同等若しくはその何%という分を国が、或いは預金部のうちから同様の額を補償してやるとかいうような方法がないというわけでもないと思いますが、こういう点において特に特段のお考えを以て、今後処置して行かれる方針を取つて頂きたいと思いますが、この点についての御見解を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814562X00319500726/13
-
014・舟山正吉
○政府委員(舟山正吉君) 利子の補給とか、或いは損失の補填とかいうことになりますと、單なる金融の問題ではございませんで、予算上の問題になります。それは大蔵省とも所管が違いますので、又大きな政策の問題になると考えますので、私よりはお答えいたしかねます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814562X00319500726/14
-
015・青山正一
○青山正一君 これも政策の問題になりまして或いは大蔵省の答えにくいことかも知れませんが、漁業権の証券が二年後において……大体つまり漁業法実施によつて新たに発行される証券というものが百七十億円程度あるようです。それに対してそのうち八割、大体百四十億というものは協同組合に与えられるという恰好になりますが、そういうものを一括預託するような、これはまあ一つの政策になるかも知れませんが、制度を設けてこれを担保にして、例えば金融の途を開くとか何とかいう、そういう方法があるかないか。例えばですね、これは明細にいろいろ説明しますと限りないことでありますが、ちよつと補給金の問題を見ましても、そういう点がはつきり現われて来るわけなんです。例えばこの補給金の廃止後に値上りによつての差額というものは今年一年の状態を調べて見ましても、大体第一・四半期には二十七億、第二・四半期には四十七億、第三・四半期には二十二億、第四・四半期には四十億、こういうものを全部混ぜますと百四十億くらい、その額は相当あるのですが、そういつた理由をつけまして、それは理由のないことではないのですが、補給金の撤廃によつてそれだけ値上りがある、その額が百四十億だ。これを何とかしてやらなければならんから、一つ漁業権の証券を一括担保にして資金化の方策を立てたらどうか。そういうふうなこれは政策問題になるかも知れませんが、一つお考え置きを願えるかどうか。又可能なものかどうか一つ承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814562X00319500726/15
-
016・舟山正吉
○政府委員(舟山正吉君) 漁業証券につきましては、まだ証券自体の方の問題が具体的になつておらんようでございますが、若しこはがはつきりして参りますれば、これと金融とどう結びつけるかということにつきましては、私の方は十分考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814562X00319500726/16
-
017・千田正
○千田正君 先程の局長さんのお話につきましては、政策に関する問題は所管外であるからというお話でありましたが、これは私は水産庁長官に特にお尋ねいたします。政策上の問題になるというと、これは当然水産庁は大蔵省或いは安本その他に対して折衝しなければならない重大な問題でありますが、本年度の予算措置上において水産庁としてはこの問題に対してどれだけ要求しておるかという点と、将来或いは次の国会においてどういうような方法にしてこの問題を解決する予定になつておるのか。これが先程から何回も繰返して申す通り、二の問題を解決しこない限りにおいて、日本の水産業というものは新らしい民主主義国家におけるところの発達が停止され、破壊される寸前にあるということを十分に御了解になつておられると思いますが故に、特に政策上の問題についてどれ程の確信を持つて大蔵省或いは安本と折衝しておられるか。その点を明確にお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814562X00319500726/17
-
018・家坂孝平
○政府委員(家坂孝平君) 只今お尋ねの漁業証券、これに対しましての私共の考えておりまする方策は、これが水産業の差当つての一つの大きな金融の基礎をなすものじやないか。かように考えますので、これの有効に利用できることにつきましては、非常に今苦心を重ねて検討しておるのであります。それで予算面におきましてもこれの証券化につきましては相当巨額な金を計上いたしまして、これが実現を期しつつあるのであります。これは是非何といたしましても、この問題を最も有効に私共は水産金融の基礎になるように取運んで参りたいと、かように臍を固めて図つておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814562X00319500726/18
-
019・木下辰雄
○委員長(木下辰雄君) 千田さんの御質問はそうじやなかつたと思いますが、もう一遍……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814562X00319500726/19
-
020・千田正
○千田正君 今のお答えは漁業権の方になりましたが、私のお尋ねしたいのは漁業協同組合が今困つておる問題、大体四十億というようなこの問題、これに対して例えば岩手県のように義務負担をしても地方自治体が五千万円も引受けてやろうということに対して、国としては先程局長のお答えによるというと、これは所管外の問題であるからお答えができないというのでありまするが、主税局或いはその他に対して水産庁としてはどういう主張をしておるのか。こういうような現実に現われて来たところの、例えば岩手県のようにこういうふうに引受けてでも水産をやつて行こう、発展を図つて行こうというのに対して、水産庁としては行政官庁としてこういう問題に対して、同じように、岩手県が五千万円出すから国も五千万円出して呉れるかどうかというような折衝をしているかどうか。こういうような点について今後どういう措置を講じようとしておるのか。今までどういうことをやつておるのかということについて私はお尋ねしたのであります。でありますから、あなた方が今までやつて来られたいわゆる協同組合の再スタートに対するところの水産金融、或いはこの秋の仕込資金に対するところの措置に対して、どういうふうに大蔵省或いは安本に対して折衝をしているかということについてお答えを願いたいと田町うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814562X00319500726/20
-
021・山本豐
○説明員(山本豐君) 最近各地方で協同組合の非常な金詰りで、県としても放つて置けというような事情で、先般ここにも陳情が出ておりましたが、岩手にもこれは直接私は聴いておりませんけれども宮城県にもそういう考えがあるようであります。北海道におきましてもそういうような空気があるように聞いております。これらがやはり全国的に上つて参りますと、水産庁といたしましてもこれを十分研究いたしまして、いい方法をとりたいと考えておるのであります。現在のところは先程から言つておりますように、大蔵省の方の御了解は得ておりませんけれども、先程申しましたような線でいろいろとまあ折衝しておつたわけであります。利子補給等の方法につきましては未だ最近二三の方から初めてお話が出て参つた程度でありまして……併しこの利子補給の府県が損失を分担するというやり方につきましても、これは自治庁あたりでも多少の法律上の問題があるように聞いております。併し多少の法律上の問題等は、これは又解釈の仕様でいいということになりますればその裏付としまして、水産庁におきましても十分それを研究して見たい。法律が要るということになりますれば法律の問題にもなりましようが、恐らく私は法律によらずして若干の追加予算等でそういう裏付の問題が解決し得れば非常に好都合だと思うのでありますが、尚十分研究いたしまして、それらの県の熱意に応えるようにいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814562X00319500726/21
-
022・千田正
○千田正君 これ以上私は申しませんが、すでに研究の時期は経過しておる。現実の今としましては今からでもすでに遅い程であります。でありますから、今日からでも、或いは明日からでもこれは大蔵省或いはその他と折衝しまして、今の協同組合に対する金融の問題、或いは秋の仕込資金に対する金融の問題に対しては、研究すべきことは今まで相当研究しておられた筈であります。でありますから問題は実行である。その実行の熱意に対して私は重ねて長官並びに水産庁の職員に対しては荷一層の検討を願いたいということを申上げまして私の質問を打切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814562X00319500726/22
-
023・木下辰雄
○委員長(木下辰雄君) 私からちよつと局長に質問いたしますが、農林中央金庫の見返資金からの増資の二十億円の中で約十八億円は復金のものですね。今復金はどういうふうになつておるか、どのくらいの金があるのか。その金はやはり農林水産復興資金として出せないのかどうか、或いはこれをこの前の岩手県、宮城県、福島県方面に出した漁業手形の補償金みたような法方は取れんものかどうか、あなたの方のお見込を一つ承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814562X00319500726/23
-
024・舟山正吉
○政府委員(舟山正吉君) 復金の回收方法につきましては四月から六月まで四十七億回收されております。これと前年度から繰越しました約四十億ばかりの金と合せまして、九十億ばかりの金が国庫に納入されております。実は今年度の復金の国庫に納入する予算額は百八千億であります。約半分まで入つてしまつたというわけであります。それで私共はこれを、この事態もやはり財政が金融に圧迫を加えることになると考えるのでございまして、できれは復金の回收は手心を加えるいうことも必要ではないかと考えるのでありますが、とにかく関係方面の復金に対する見方が非常に厳格でございまして、どうもこれは一日も早く復金として一応回收すべきものであるという考えを持つておりますために、復金の持つておりました貸付金、債権というものはびしびし取立てておるようなわけであります。そこで農林中金が折角見返資金から二十億の増資を受けたのでありますが、これを例の農業復興融資関係の、復金が農中に対して持つております債権の十八億の償還に充てるというのであります。これをまあ否応なしに強行させられたような次第であなります。これを返すことを前提として、條件附といたしまして二十億の出資が許可されたというのが実情でございます。私共としては甚だ遺憾に思いましたが、併し農中はこれによつてとにかく債券発行限度は獲得いたしますので、まあしないよりは非常に結構であるという意味で、こうしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814562X00319500726/24
-
025・青山正一
○青山正一君 今度は水産庁長官にお尋ねしたいのですが、先程から千田先生を通じていろいろ当面の金融の措置の問題について御質問があつたわけでありますが、こういつた当面の金融措置ではなく、前国会からいろいろ農業協同組合に対しては百億とか何とかいうように、いろいろな補助関係が出ておるわけでありますが、漁業協同組合への補助金を予算で取つて、育成強化を図らなければいけないと思いますが、これに対する長官の所見をはつきり承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814562X00319500726/25
-
026・家坂孝平
○政府委員(家坂孝平君) 水産関係の金融につきましては農業関係に比較いたしまして非常に遅れておる事実を私ははつきりと認めておるのでありますが、私共農林省の省議などでもいろいろな角度からその点をよく突きまして、農業でこうやつておるのに、水産の方でこはんな程度にしか行つておらない、発展性が多分にあるということを常に私主張しておるのでありますが、只今のこの金融の関係につきましても、いろいろ私共の面から見まして手遅れになつておるという感が深いのであります。殊に協同組合関係につきましては農業関係に比較いたしまして甚だ恵まれざる状態にあるということを私ははつきり認識しておりますので、この点につきましては十分農業協同組合の関係までに是非とも持ち運んで行きたい、かように努力するよう臍を固めておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814562X00319500726/26
-
027・木下辰雄
○委員長(木下辰雄君) 外に御質問はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814562X00319500726/27
-
028・秋山俊一郎
○秋山俊一郎君 水産庁長官に金融問題に関連してお尋ねしたいのであります。
現在金融の梗塞しておることはいろいろな條件が重なつておるのでありますけれども、生産者が生産物を各地に送荷した場合、荷受機関の不良と言いますか、余りにも荷受機関が多過ぎて競争したりなんかする関係上、機能が非常に弱つておりまして、従つて支払の面において非常に不都合を生じておる。これは私共最初統制を外しまして、各地に荷受機関の複数制を採るというような事態になつた場合に、非常に沢山の荷受機関ができたのでございます。当時において大して大きくもない市に十七、八、或いは二十といつたような荷受機関ができましたときに、将来いずれ行詰りが来るということを我々は予想しておつたのです。それが今日我々の予想通り非常に如何わしい荷受機関ができまして、荷を送つておるが金を送らない。行つて見ると荷受機関がどこに行つているか分らないといつたような事態も随所に出ておりますが、これも業者が金融に悩んでおる上に、更に拍車をかけたような恰好になつておるのは事実だと思います。この荷受機関の問題につきまして、水産庁といたしましてどういうふうな将来お考えを持つておりますか。このままでそのままやつて行つていいものであるか、或いは何らかの方途を講ずる必要があるかどうか。若しあるとすればどういうふうにすればいいかということについてお考えを承わりたいと思います。私共生産者といたしましては何とかこれを整理して行く必要がありはせんか。が今日整理の方法、いわゆる統制を強いて行くというわけには参りませんので、自然淘汰に任せるということは、非常に生産者にも損害を与える結果になる。生産者が生産者の申合せによつて優秀な荷受機関を選んで、それのみに送荷しよう、荷を送ろうというふうな考えを持ちましても、いわゆる事業者団体法に触れて来るというようなことで、生産者の団体がそういう申合せをして行くというわけにも参りません。この点特にこの海産物の荷受機関において、そういう何とかしなければならんという声が多いようでありますが、この点水産庁の御意見を承わりたいと思います発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814562X00319500726/28
-
029・家坂孝平
○政府委員(家坂孝平君) 終戰後荷受機関が非常に多数続出いたしたのでありまするが、これが経済界のデフレ傾向に禍いされまして、最近におきましては可なりお互い同士悩みを持つておられるようであります。私共といたしましてはこれが整理統合が非常に望ましいのでありまするけども、役所といたしましてこれを強硬に持つて参るというようなこともできかねる立場にもありまするので、若しそういつた状態にある場合には、そうした方向に沿うように、私共も御注意も申上げ、或いは勧告もいたしまして、私共の方もできるだけ又金融の措置などにつきましても御援助して参つておるような状態であります。この点につきましては、只今のところ積極的に整理統合を強行して行くというような考えは持つておりませんが、本当に自発的にお互い同士が整理統合されて行くということを、実は望んであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814562X00319500726/29
-
030・木下辰雄
○委員長(木下辰雄君) 漁業法の一部改正法律案、漁業法及び水産庁設置法の一部を改正する法律案、この三つの法案が廻つて来ておりますので、明後日の委員会にそれを附議したいと、かように思います。本日は別に御質問が外にありませんか発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814562X00319500726/30
-
031・松浦清一
○松浦清一君 この間から問題になつております機船底曳の繋船による補償金問題は、大蔵省との交渉の経過はどういうふうになつておりますか。もうこの国会は数日で終ろうとしておるし、船は繋船になるし、船員は失業しようとしておるわけですが、急速に大蔵省当局と御折衝になりましたその結果をこの委員会に一応御報告願いたいと思います。その御報告に基いて偶若干申上げたい件がございますから、できれば明後日の委員会までにそのお答えを頂けるように御配慮願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814562X00319500726/31
-
032・木下辰雄
○委員長(木下辰雄君) 明後日の委員会までに、そのお答えを水産庁長官にお願いします。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814562X00319500726/32
-
033・木下辰雄
○委員長(木下辰雄君) それでは本日はこれにて散会いたします。午後二時四十八分散会
出席者は左の通り。
委員長 木下 辰雄君
理事
青山 正一君
千田 正君
委員
秋山俊一郎君
松浦 清一君
櫻内 義雄君
政府委員
大蔵省銀行局長 舟山 正吉君
水産庁長官 家坂 孝平君
説明員
水産庁次長 山本 豐君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814562X00319500726/33
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。