1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十五年七月二十日(木曜日)
午後二時七分開会
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本日の会議に付した事件
○連合委員会開会の件
○調査承認要求の件
○商品取引所法案(内閣提出)
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001・深川榮左エ門
○委員長(深川榮左エ門君) それではこれより委員会を開きます。
先ず最初にちよつとお断りして置きたいことがございまするが、地方税法案に関しましての連合委員会の件でありますが、当委員会の決定に基きまして申出ましたところが、早速地方行政委員会で受入れられましたのでありますが、連合審査の申入が非常に多かつたのでありまして、それで結局連合委員会の形式になつたのであります。折角御出席下すつた各委員の方々も十分にその質問をなさることもできなかつたことと思いまするが、御承知の通りに各委員会から非常に多数の連合審査の申出がありましたので、遂にああいうふうになりましたことは甚だ申訳ないと思いますが、その点は何とぞ御了承下さいますようにお願いをいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814793X00219500720/1
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002・深川榮左エ門
○委員長(深川榮左エ門君) それからもう一つ先般の委員打合会で栗山委員から発議になりました調査承認要求の案件につきまして、専門員室に依頼していろいろ案を作らしておりますので一応説明申上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814793X00219500720/2
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003・山本友太郎
○専門員(山本友太郎君) 御指名によりましてそれでは私から一応簡単に御説明申上げます。
従来当委員会におきましては調査承認要求を出します場合には、できるだけ調査の範囲を限定いたしまして、具体的な問題をテーマとして取上げて参つたのであります。例えば貿易対策の振興調査とか、或いは中小企業対策に関する調査とか、そういつたような件名が極めてはつきりしたものを出しておつたわけでございます。改めまして参議院規則の第七十四條を適用するまでもありませんで、当委員会の所管事項が通商産業省の所管事項全部に亘つておるわけなんでございますが、そういう関係で非常に受持範囲が広うございますので、個々のケースを取りまして調査要求いたしますと勢い沢山になりまして、前国会の例を以ていたしますと先ず電力関係に対する調査が一つ、それから産業的立場から見ました税制に関する調査が一つ、それから中小企業振興対策に対する調査が一つ、かように三本建の調査でやつて行つたというような状況でございまして、ところが前回栗山委員から御提案になりました趣旨を、私共の考え方によりまして解釈いたしますと、通商産業省所管事項のもつと非常な広い範囲に亘つて調査ができるような体制というような御希望もあつたやに考えましたので、今回私共が一応作りました素案は、そういう意味で従来当委員会でやりましたやり方と少し方角を変えまして、非常に広範囲に融通無礙に使えるような点を一応取上げたわけであります。そこで一応この調査承認要求書の内容を朗読いたします。
調査承認要求書
通商産業委員会
一、事件の名称
通商及び産業一般に関する調査
一、調査の目的
最近の国際情勢に伴う我が国経
済政策樹立の要請に基き、通商状
況及び産業情勢を全面的に検討す
る。
一、利益
貿易及び産業に関する法案審査
に資すると共に、経済自立体制確
立に寄與する。
一、方法
政府、各産業団体、各企業及び
学識経験者並びにその他関係者の
出席を求め、説明文は意見を聴取
し、資料をしう集し又必要に応じ
て関係諸施設を視察する。
一、期間
今期国会中
以上のような承認要求書の素案を作つたわけでございますが、本案につきまして御検討を願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814793X00219500720/3
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004・深川榮左エ門
○委員長(深川榮左エ門君) 只今専門員から一応説明いたしましたが、只今の調査承認要求の決議につきましては、右の説明通りに取計らつてよろしうございますか、どうですかお伺いいたします。……では別に異議もないようでございますからさよう取計らいいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814793X00219500720/4
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005・栗山良夫
○栗山良夫君 そうしますと、それは月曜日の本会議で大体調査承認が得られることになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814793X00219500720/5
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006・山本友太郎
○専門員(山本友太郎君) 本日皆さんの御賛成を得たといたしますれば、早速運営委員会なりそういつた関係筋の方へ手続をしまして、できるだけ早い機会に本会議の承認を得るように取計らいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814793X00219500720/6
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007・深川榮左エ門
○委員長(深川榮左エ門君) いいように取計らいます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814793X00219500720/7
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008・深川榮左エ門
○委員長(深川榮左エ門君) それから次に商品取引所法案の審議に関しまして、農林委員会から連合審査の申入がございます。前国会で会期切迫して時間がございませんでしたので、委員会を代表して農林委員長が御出席になりまして、原則的に法案に賛成をされたのでありまするが、かような経緯からいたしましても、又このたび上場を予定されておる商品として生糸、乾繭など、いわゆる農林省関係の物資が沢山あるわけでありますので、農林委員会が法案審査に御参加あることは妥当とも考えまするが、連合委員会を開きますことにつきまして、御異議がございませんかどうかお諮りいたします。……御異議がないようでございまするが、さよう決定いたしましてよろしうございますか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814793X00219500720/8
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009・深川榮左エ門
○委員長(深川榮左エ門君) それではさよういたします。それでは連合委員会を二十一日午前十時から開くことにいたしたいと思いまするが、如何でございますか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814793X00219500720/9
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010・深川榮左エ門
○委員長(深川榮左エ門君) それでは明二十一日午前十時から開くことにいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814793X00219500720/10
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011・深川榮左エ門
○委員長(深川榮左エ門君) それでは日程に入りまして、商品取引所法案を議題にいたします。前回の委員会で提案趣旨の説明がございましたので本日から質疑に入りたいと思いますが、順次発言をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814793X00219500720/11
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012・栗山良夫
○栗山良夫君 商品取引所法案の再提案でありますが、これは内容を拝見いたしますと、前国会に提案いたしましたものと殆んど変りがないわけでありますが、片方我が国の置かれておりまする内外の情勢からいたしまして、経済情勢は相当な変革を来しつつあり将来も来すのではないかと私共は予想いたしておるわけであります。元来この法案は自由主義経済の頂点に立つところの最も巧みな経済の運営をやるために立案されたところの法案であると考えておりますけれども、すでに朝鮮におけるあの戦乱の勃発後は、アメリカ本国におきましても重要産業に対しては再び再統制が行われようとしておる状態であります。又我が国におきましてもすでに各市場で私共が散見いたしておりまするように、あらゆる商品について相当投機的な思惑の売買さえ行われようとしておる現状であります。従いまして私はこういうような国際勢を加味しました世界の経済情勢、或いはこれと不可分な関係にありますところの日本国内の経済情勢というものを十分に考えましてその上でなければ、こういうような全く自由主義経済の上に運用しようとしておる法案が今日時を得ているのかいないのか、その判断すらつき得ない状態にあるのじやないかと思うのであります。従いまして本法案が今日時宜を得ているかいないかということは、もう少し日本経済の根本を衝きまして、その上に立つての見通しを立てた上でなければ私共は態度の決定ができ得ないとこう考えるわけであります。
そこで二三の点について先ず大臣に私は御質問申上げたいと思うのであります。商品取引所法案のポイントというのは大体二つあると思いますけれども、その第一点は先程も申上げましたように、我が国の経済が商品取引所を設置しなければならんというような客観條件を只今具備しておるかどうかという点の判断にあると思うのであります。第二点は、現在のような経済環境の中にありまして果して商品取引所が商品価格の安定に決定的な役割を果し得るかどうか、こういう点にあると思うのであります。第一点の問題即ち客観的な取引所を設置しなければならんという條件があるかないかという問題でありますが、これを解明いたしまするためには正確な現在の経済情勢の分析が必要であり、その意味におきまして私は先程申上げましたような所信を述べたのであります。元来この法案が提出されました前国会のときから僅かに二ヶ月ばかりを経過しているだけでありますけれども、国際情勢の急転と共に我が国の経済も又非常に大きな転換期に入ろうとしているのであります。即ち前国会におきまして法案が提出されましたときと現在とでは、我が国の客観情勢が大きく変動を来しております。そうしてこの法案が前国会に提案せられたと全く同じものであるということになるのでございますが、政府は最近の国際情勢の変動、もつと率直に申しまするならば朝鮮事件の進展が我が国の経済に現在並びに将来どういうような影響を及ぼして来るものであるか、どういう見通しを持つておいでになるのか、この点を明確に伺いたいと思うのであります。自由党が一枚看板としておられますところの自由主義、放任的な経済主義をそのまま適用して行つても差支えないような情勢にあると判断しておられるのかどうか、この点を、この法案審議の最も重要なポイントになりますのでお伺いしたいと思うのであります。
それから第二点の問題は、商品価格の安定のためにこの法案が果して今日置かれている経済情勢下において役立つかどうか、こういう問題であります。この法案の第一條には「商品の価格の形成及び売買その他の取引を公正にするとともに、商品の生産及び流通を円滑にし、もつて国民経済の適切な運営に資することを目的とする。」こういう工合に謳つているのであります。併し前国会の委員会で提案の理由が説明をされたのでありますが、残念ながら商品取引所なるものがどうして価格安定に役立つのか、積極的な又具体的な説明は聽かないままに審議未了になつている現状でありまして、この機会に大臣から、只今商品取引所法案が最も大きな使命としておりますところの価格安定について、果して十二分に機能を発揮し得る見通しを持つているか、その点を承わりたいのであります。
大体以上二つの点を明確にして頂かなければならないと思いますし、又これにつきましてはここで大臣からいろいろ抽象的な御説明を頂くことと思うのでありますけれども、それだけでは到底私共が直ちに判断をし得るわけには参らないのであります。殊に取引所に上場されますところの各種の商品につきましても、果して現在置かれているこの状況下において、この多数の上場を予定されている商品が果して適当であるかどうかということは、国内における需要供給の状況、或いは国際的な状況等を十分に考えまして、資料的な内容の検討によつて経済の混乱を来さないような状況にあるかどうかの判断をした上でなければ態度の決定ができない、こういう工合に思うのであります。従いまして私は大臣から説明を伺いました直後におきましては、そういうような資料的な御説明を後日準備をして頂きたい、こういう工合に併せてお願い申上げる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814793X00219500720/12
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013・横尾龍
○国務大臣(横尾龍君) 只今の御質問に対しまして……。私は現在の情勢下におきましてはまだ大して変化はなし、こういう状態ではまだこの提案を撤去する必要はなく、むしろこの取引所法案を設定して頂きまして、若しも非常なる変化がありましたらそのときにおいて善処することがよかろうかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814793X00219500720/13
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014・栗山良夫
○栗山良夫君 只今の御答弁は大臣として至極常識的であり尤もであると思いますが、それだけでは私共が心配している本問題にちつとも触れないのであります。従つて急であり突然の御質問でありますので、十分意を盡さない点があろうかと思いまするが、これは非常に重要な問題でありますので、一片の御回答だけで私共了承するのにはちよつとまだ時間が欲しいと思います。従いまして大臣の方におかれていろいろ具体的な数字をお示し頂きまして、成る程これならばいいということを一つお示しを頂きたいと思うのであります。特に現状ではというお断りがありましたけれども、すでにこの頃毎日入つて来る外電の報道を見ましても、アメリカにおける産業の軍需的な生産計画というものがどんどん進んでいる。従つてこの影響を無視して日本経済の運営ということはあり得ないと私は考えるのであります。少くともここ半年や一年の見通しを立てないでやるということは非常に冒險だと思います。ましてや一度やつて見まして工合が悪ければ又復元するという話もありますけれども、こういうものが若しストツプいたしました場合には、如何に経済的に混乱を生ずるかということは私が申上げるまでもなく大臣自身も十分御承知だと思うのであります。
最近におきましても一番いい例は毛織物の統制を撤廃いたしましてから、あと商人のダンピング的な行為によりましてその供給の裏付が十分でなかつたために非常な値上りをいたしました。そうして毛織物界に混乱を生じ、中には今デフレーシヨンでこういう工合になつておるときに不当利得的なものが業者の間に行われて、そうして遂に政府筋はこれを容認することができなくなりまして、窮余の一策として勧告価格というようなものを設けて急場を凌ぐというような状況にあるのでありますが、私共はこういうことに対しては河の水の流れのように摩擦なしに円滑に運営をするような組織の指導を、経済界には行わなければならんと思うのでありますが、そういうものに人為的な、強いて異を立てまして波乱を捲起し、そうしてそのために更に混乱を重ねて行くというようなことは嚴に戒めなければならんと思うのであります。
昨日の例えば決算委員会において報告を受けまして唖然としましたのは、十七ばかりあります公団の経理内容なんかを伺いましても全く私共は国民の一員として憤激を覚えざるを得ないような状況であります。そういうようなことから考えましても、もう少し慎重に一つ一旦出した法案であるので、前国会で審議未了になつたから本国会では簡單に通るだろうからやりたいという考えでなくして、この法案を考えられたのは数ヶ月前でありますけれども、世界の情勢、日本の国内情勢はその間に二年分にも三年分にも当るような大きな時間的なズレが来ておるということをお考えになつて、そうして私共の納得の行くような御説明を頂きたい、こう思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814793X00219500720/14
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015・横尾龍
○国務大臣(横尾龍君) 只今多少のデータを事務当局が持つておりますから、実状をお話するようにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814793X00219500720/15
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016・下條恭兵
○下條恭兵君 詳細な説明を伺う前に栗山君の今のお尋ねを補足するような形になりますが、一二大臣にお尋ねいたしたいと思います。朝鮮事件が起きましてからいろいろな意味で日本の産業界並びに経済界が今日すでに影響を蒙りつつあることは、私がここに指摘するまでもなく産業界の大先輩である通産大臣十分御承知の筈だと思うのであります。新聞の伝えるところによれば、政府は物資の先高を見越してか、政府買入を取急ぐというような報道があつたように私は記憶しておりますし、又金融政策につきましても従来の政策で切抜けのやりにくい面があるということで、再に御検討を加えつつあるというふうにこれ又私承知しておるわけであります。私共現実に現在の産業界の昨今の様子からいつて誠に当然のことだと考えておるのでありますが、通産大臣としまして只今栗山君に対するこの商品取引所法案等に対する先の見通しについても、一応やつて見てまずかつたらそのとき止めるというような自信のない御答弁だつたように承わるのでありますが、一遍この法案が出まして取引所ができましたならば、これも又証券取引所のようなことになると、経済界にいろんな混乱を生ずると思うので、私はこの段階においてすでに政府の確固たる見通しがなくそう自信のない御答弁をなさる程度であるならば、むしろこの法案を撤回しまして、そして暫く時期を見て又再提出しても遅くはないと考えるのでありますが。
そこで私今大臣にお尋ねいたしたいのは、第一番目がこの当面の非常に行詰つている、而も特殊需要なんかに対する生産に資金なんか伴つて来ておつて、そのために円滑を欠くというような形に見える。この点に対して通産大臣は如何なる手を現在打ちつつあるか、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814793X00219500720/16
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017・横尾龍
○国務大臣(横尾龍君) 先ず下條委員に御答弁いたします。見越輸入と申しますか、国内の物質の激減のために異常のインフレーシヨンが起るというようなことも考えられますので、できるだけ必要品の早期輸入をしたらどうかという案はこの際考えつつあるのであります。つきましてはこれらに対する資金についても又考究をせなければならんと考えて、今事務当局でその案を練りつつあるのであります。
それから現在の各企業に対する金詰りのお話でありますが、これはお説の通り各界において困窮いたしておることは事実であります。抽象的に申しまして甚だ相済みませんけれども、政府といたしましては金融界にも呼びかけまして、そして又需要者の方にも受入態勢等に関しまして何らかの手を打ちまして、両々相俟つてこれを打開して行きたいというので折角努力中でありますので、さように御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814793X00219500720/17
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018・下條恭兵
○下條恭兵君 今大臣、いろいろ手を打ちつつあるということで、非常に我我この効果に期待いたす次第でございますが、今朝の新聞に載つておりますアメリカの大統領教書にも百億ドルの予算の増額、或いは金融統制までも、各種の計画経済の実施ということと、かねてから早期講和を提唱されて、そしてアメリカ陣営といいますか、国連軍に積極的に協力しようという決意を披瀝しておられる吉田内閣、今後の日本の経済が今まで施行しておられたような自由経済、野放し経済で支障なく遂行できるとお考えであるかどうか。その点を通産大臣にお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814793X00219500720/18
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019・横尾龍
○国務大臣(横尾龍君) 今の下條委員の御質問に対しましては栗山委員に申上げたと同様で、現在の段階におきましてはさしたる困難はなしに行けるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814793X00219500720/19
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020・栗山良夫
○栗山良夫君 私もうちよつと率直に伺いますが、現状でも見通しは見解の相違でありましてあなたはそうお考えになつておるのでありますから、アメリカが今度の朝鮮の戰争といいましようか、一応戰争と言わして頂きますが、戰争を契機としてアメリカ経済のために相当運営を軍需的な臭のするように再整備しつつあるということはお認めになりますかどうか、その点を一つ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814793X00219500720/20
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021・横尾龍
○国務大臣(横尾龍君) 只今のことに対しましては私としてはお答えをし得ないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814793X00219500720/21
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022・栗山良夫
○栗山良夫君 少くともこれだけの商品取引所法案をお出しになつて、そして而もこれがこの提案理由説明書に明記してありますような趣旨で説明されたのに、一番その基本的な判断をしようというポイントの質問をいたしておりますのに、そういう国際情勢の判断さえもつかないようなことをお述べになることは、大臣の御言明としては非常に理解し得ないのであります。少くとも一般の新聞のいろいろな記事についての事態についてはこういうような情勢になりましたので、いろいろ固い制約も出て来ておるのではないかと思つておるのであります。そういう情勢においても日々報道されるところの新聞の記事というものだけを見ても、アメリカの国内におけるところの経済の動きなんというものは素人が見ても大体肯けるのであります。そういうことについて少くとも通商産業大臣が全然見通しを持つていないというようなことでは、私共はこの法案をとにかく審議する必要は認めぬと思います。そういうことでこれをこれ以上内容審議に入る必要を認めないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814793X00219500720/22
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023・横尾龍
○国務大臣(横尾龍君) 栗山さんにお答えいたします。先刻の質問のアメリカの軍需の用につきましては、私としてはここで私の意見は申上げることは差控えたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814793X00219500720/23
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024・栗山良夫
○栗山良夫君 いや意見でなくてアメリカの国内で朝鮮事変を契機としては、これは確かに変革を来しつつあることを私は認めるのであります。そういうことで軍需生産をどんどん上げています。重要物資においても再整備止むを得ない、そういうような態勢を取りつつある。先程下條委員も申しましたように金融的な統制も取らなければならんというような情勢におかれておるということを、海を越えた向うのことでありますからよく分りませんが、二ユースを通じて私共は知つておるのでありますが、そういうことに対して意見でなくても結構であります、アメリカの経済面の実態を御認識になつておるかどうか、そういうことを実情に基くところのお考えを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814793X00219500720/24
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025・横尾龍
○国務大臣(横尾龍君) 新聞に書いてあるだけでありまするので事実かどうかということも私にも分りませず、新聞に書いてあつたのに対して私の意見をここで申上げることは避けたいと思いますからさよう御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814793X00219500720/25
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026・栗山良夫
○栗山良夫君 これ以上お願いしても駄目でありますから又別な観点に立つて御質問いたすといたしまして、然らば日本の国内の状況は、これは十分通産大臣でありますからお分りになつておると思いますが、国内の経済界の実態が、朝鮮事変を契機にしまして事変前と事変後とその実態におきまして、相当性格が変りつつある、将来も更に変るであろうと、そういうような見通しをお持ちになつておるか、その点をお伺いしたい。これは決して抽象論を申上げたのではないので、各種の商取引の実態に現われております内容によつて、私共は考えるのでありますから、この点をどういうようにお考えになつておるか、これをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814793X00219500720/26
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027・横尾龍
○国務大臣(横尾龍君) 今の栗山委員のおつしやつた通り、商品の一部のものは上騰しつつあることは事実であります。併しこれが大してこれから上騰するということも又考えられないし、又そういうことがあるとするならばそれに対応する策を策じたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814793X00219500720/27
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028・栗山良夫
○栗山良夫君 今上騰しつつあるということをお認めになりましたが、これはただ單に二、三の商品に対する値段の動きだけでなくて、その裏にはいわゆる生産、或いは将来の消費等に関連する非常に深い根を持つての動きが私は出ておると思うのです。従つてそういう国内的な問題をあなたは今お認めになりましたけれども、この国内的なそういうような情勢が起きておるのは、金融的には全く金詰り的な金融政策が強行にとられておる現状におきましてすら、そういうことが起きるということは取りも直さず、今度の朝鮮事変が一つの大きなこういうような状況を招き出した原因であろうと私は考えるのですが、この点は如何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814793X00219500720/28
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029・横尾龍
○国務大臣(横尾龍君) 今栗山委員の御指摘なさる通り、朝鮮事変が起りましたために、その前よりも或るものは国民が余りに過敏になり過ぎて上騰したものもあり得ると考えております。これらにつきましても若しも実態をよく調べるならば、こういうことは減少して来やしないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814793X00219500720/29
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030・栗山良夫
○栗山良夫君 大体今朝鮮事変が契機になつて、こういう現象が起きておるということをおつしやつたのでありますが、そういうことになれば、そうして而もこれがよく現状を国民に周知させることによつて、又元に戻すことはできるというような意味のことをおつしやつたのでありますが、その国民に現状をよく周知させるということになりますれば、明らかに朝鮮事変が契機になつてこういうことが起きておるとするならば、朝鮮事変をやつておるのは日本ではありません、アメリカを中心とする国連の方々であります。従つてその中心勢力になつておるアメリカの経済の実態を把握しないで、国民に了解をして静まれと言つたつて私は恐らく理解し得ないと思う。従つて、アメリカの方の状況は先程いろいろ二、三重ねて御質問いたしましたけれども御答弁を頂かなかつたのでありますが、国内問題についてはあなたは明確に私の質問について大体御答弁を願つたのです。従つてそういうふうに考えますならば、アメリカの国内においての経済の問題と切離して、日本の経済の状態を判断することができないということをはつきり申されたと思うのですが、従いまして私は今大臣が御答弁をなさつた程度のことで、こういうような重要な性格を持つところの法案を審議することは、非常に準備不足であろうと考えますので、もう一点あなたの御意見を伺いたいのは、私共今お願いいたしましたように、将来の見通しについてアメリカ経済と切離して日本の経済を論ずるわけには参りませんから、従つてアメリカ経済の動きに対する若干の見通しというものを、この法案の審議に当つて私共にお示し願えるかどうか、この点を私は承わりたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814793X00219500720/30
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031・横尾龍
○国務大臣(横尾龍君) 国内の事情を先刻お話いたしまして、そうして現在の国内の実情を事務局員をして説明させ、それによつて大要を把握して頂くことをお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814793X00219500720/31
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032・下條恭兵
○下條恭兵君 私はもういろいろ栗山君からなにがあつたので大してお尋ねすることはありませんが、たつた一点大臣の御所見を伺つて置きたいと思うのであります。
私、さつきアメリカですでに金融統制までもやることになつて来たということで大臣の所見を伺つたのでありますが、まあ大臣は日本は別だというふうに、やつて行けるというふうにお答え頂いたのでありますけれども、私共は今日の世界のいろいろな情勢からいたしまして、日本が計画経済に移行する外に行く途はなかろうと確信しているのであります。これは大臣と私の見解の差ならば一向差支えないのであります。併し日本の経済が今日まで回復して参りましたのも一にアメリカの援助によつたことでありますし、今後もアメリカの援助に期待しなくちやならん場合が相当多いわけでありまして、そういう意味からしましても、私はアメリカの方がそういうふうに金融統制までもやるときに、日本に野放しに自由に援助をしてもいいという事態が可能であるということは、道義的な考え方からのみいつても不可能であろうと思つているのであります。この点一点だけについて大臣の御見解を伺つて置きたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814793X00219500720/32
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033・横尾龍
○国務大臣(横尾龍君) 先刻初めに答弁いたしましたように、現在の段階においては左程考えぬでよかろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814793X00219500720/33
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034・加藤正人
○加藤正人君 この問題につきましてはいろいろ先程から御意見が出ておるようでありますが、いろいろこの取扱商品の種類によりましても事情が違いましようし、日本の経済の現状についても判断の如何によつても違うと存ずるのであります。尚又現在の朝鮮事件が局地的に幸いにして治まるか、或いはこれが非常に発展して大きな戰争に移行するかというような判断の如何によつても違うのでありまして、これらの大きな問題は政府の御調査によつてお聽かせを願うことができると存じますけれども、ただ個々の商品については現在自分達の当つておりまする職業上の関係から、端的に私は申上げることができる範囲に止まつている。この朝鮮問題の経過如何ということを別にして、ただ業界の要望だけ只今申上げるに止まるわけであります。
現在我々の製出しております綿糸、綿布並びにこれの綿花が今回の取引所に上場される我々の方の関係の品物であります。そこで綿花につきましては、資金割当の関係上最初にこの取引所を利用して綿糸布の程度に活発な取引は期待できないのでありまして、我我紡績として最も差当り困難を予想されますことは、海外から買入れた原綿が果して適品として所要の商品に使い得るかどうか、全部が全部使えない場合がしばしば起るのであります。かような不適品は紡績業者間において交換をする必要がある、そういうような必要が段々これから多くなる、さような場合において取引所を利用してそういう困難を克服するということの必要性を非常に感ずるわけであります。尚綿花、綿糸、綿布の取引所の必要なことは、先般日本に参りました英米綿業使節と我々との間の会談中におきましても、大きな問題になりました日本の海外における安売防止の手段をいたしまして、先ず盲貿易の克服打開ということもありますけれども、日本商品の相場の世界水準への近接ということのためには、どうしても取引所開設が頗る有効適切であるという意見は、我々日本の業者ばかりでなく英米の業者も全くそうである。綿業取引所の開設は是非やられたいということを英米の使節も我々に要望したのであります。こういう意味があると同時に、我々現在販売をいたしておりますものは、最近のものは殆んど売り切れまして本年十一月或いは十二月程度のものをもう売りつつあるのであります。十一月などは売切つております。併しながら米国綿花の取引所の相場の急降下、或いはインドの綿花の急降下によりまして、我我はこれを相場の上でヘツジする何らの機関を持つていないので非常に冒險を敢えてしつつあるのであります。最近綿花が作付反別の三割方の減少によつて暴騰いたしましたが、多少は手持を持つておるので好影響を相場の上では我々は受けておるのであります。これが逆に日本品とも逆に下落するような場合には、全くこの下落を目の前にして何らのこれを防ぐ方法が現在ないのであります。これらのためにも重要産業の経営を安定せしめる意味において、我々は綿業取引所の開設というものは是非とも実現したいという熱望を持つておるのであります。
併しながらこれが朝鮮問題が非常に大きく発展するというような見方によつて、或いは日本国内が爆撃を受けるというような段階まで想像せられるような場合においては、敢えて取引所の開設の問題のごときは非常に小さな問題になるのでありますが、果してさような点までこの際この問題と併わせて考慮する必要があるかどうか、これらは不敏にして我々の判断は到底不可能なのであります。政府において十分御調査の上に我々に対して資料を與えて頂きたいということを要望するわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814793X00219500720/34
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035・栗山良夫
○栗山良夫君 只今大体討論のような形式で御発言がありましたけれども、まだ法案は討論に入つておるわけじやありませんので、質問を一つ続行するように委員長の方でお取計らいを願いたいと思います。それから只今私が御質問申上げました点についても甚だ私納得しかねるのであります。従つて後でこの法案に対しまして、私は正面からこれは反対であると申上げておるのではないのでありまして、今申上げましたような非常に重要な性格を持つておりますから、政府の方で誠意ある資料を元にしてお説明を頂きますならば、私はそれを伺うのにちつとも吝かでないのであります。
併し今大臣がおつしやつたようなお口振りだけで私共に納得しろとおつしやつても、私はこれは御免を蒙りたいと思うのであります。従つてその辺のお考えをまとめて頂きまして、そして私共はどういう工合にこれを審議して行くかということを再度決定をいたしたいと思いますので、この問題については今日はこの辺で一応打切つて頂きまして、次に議事進行を計つて頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814793X00219500720/35
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036・横尾龍
○国務大臣(横尾龍君) 栗山さんのお話の詳細につきましては商品別に御報告したいと思いますので、さよう御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814793X00219500720/36
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037・小野義夫
○小野義夫君 只今加藤委員から御説明であるか或いは質問であるかは分りませんが、この法案御提出の理由の一部として加藤委員の主張せられたることが包含せられておるや否やを大臣から御確答願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814793X00219500720/37
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038・横尾龍
○国務大臣(横尾龍君) 先程の加藤委員のお話につきましては、只今は質問の時期であるからというお話も出たので差控えましたのであります。お話の通り綿花につきましては現在暴騰しておることは事実でございます。つきましては政府としましてもそれに対する対策の一つとして、七—九月の輸入について特に綿花を重く考えております。又今後起るであろう緊急の輸入があるとするならば、そのうちに重く加えて行きたいと、こう考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814793X00219500720/38
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039・深川榮左エ門
○委員長(深川榮左エ門君) それではちよつとお諮りいたしますが、この取引所法案につきましては、今政府から局長初め係の政府委員が見えておりまするが、説明を聞くことにいたしましようか。それとも栗山君の御発言のように一応もう一度懇談でもしてから進むようにいたしましようか。その辺について御意見がございましたら。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814793X00219500720/39
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040・西田隆男
○西田隆男君 私はこの法案を審議する前に、少くとも政府としてはこの法案審議に要する基本的な考え方についで、もう少し明瞭に御答弁を願わなければならんと思います。この法案に書いてある商品の対象になるものは、その大部分は絹糸を除いた以外は原料は輸入しなければならないものである。而もドル資金によつて前買さえも考えられておるという現状から考えまして、そういう点についてもう少し詳しい、仮に朝鮮事変がこの程度まで行つたにしたところで、原綿、原料の輸入は大丈夫ということの見通しはついておるか、だから日本の商品がそのために或いは変な恰好に持つて行かれる心配はないかという点について、詳しい御説明がない限り、この法案の審議に私は入れないと思いますので、本日は政府委員の詳細な説明を聞く必要はない、大臣の方でもう少し的確な御答弁を頂いた上で審議に入るべきである、私はかように考えております。(「賛成」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814793X00219500720/40
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041・栗山良夫
○栗山良夫君 それで今の御発言に私賛成いたしますが、資料をやはり重要な問題でありますから各商品別に亘りましてもう少し完璧なものをお作りになつて、各委員に配付されることを私はお願い申上げたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814793X00219500720/41
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042・深川榮左エ門
○委員長(深川榮左エ門君) 外に御意見ございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814793X00219500720/42
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043・廣瀬與兵衞
○廣瀬與兵衞君 大臣の答弁が余りうまくなかつたかも知れませんが、折角局長方大勢来ていられるのですから、説明だけ伺つて、これはこの次又審議する資料になりますから、説明だけは伺いたいと、こう思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814793X00219500720/43
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044・深川榮左エ門
○委員長(深川榮左エ門君) 外に御発言ございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814793X00219500720/44
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045・高瀬荘太郎
○高瀬荘太郎君 只今のお話伺つておりまして、資料を政府の方で出さなければ審議が進められんという御意見のようでございますが、私少し遅く来て聞き漏したかも知れませんが、どういう資料を御要求になりますか。具体的にお話になりませんと分らないのではないかと私考えます〇発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814793X00219500720/45
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046・深川榮左エ門
○委員長(深川榮左エ門君) 速記を止めて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814793X00219500720/46
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047・深川榮左エ門
○委員長(深川榮左エ門君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814793X00219500720/47
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048・横尾龍
○国務大臣(横尾龍君) 只今のお話はこれは見方によることと思いますので、私は詳細とおつしやると、どういうデータをどういうような数字で挙げていいかということに対しましては、今日申しかねるのであります。但し私の考えは現在の情勢におきましては、この法案を通過させて頂きまして、この法案を成立しても差支えない段階にあり、若しも朝鮮事変があなた方のお考えのように非常に重大なる変化を来たした場合においてはそのとき考慮してもいいのじやないか、併し重大なる段階に来るか来んかという問題は今日我々が判断ができないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814793X00219500720/48
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049・西田隆男
○西田隆男君 只今の通産大臣の御答弁を伺つて私誠に奇怪に考えます。何となれば、通産大臣なり政府においてドル資金による先物の貿易の改良計画をせられておるのでありまして、然らば現在の状態においてすらも日本経済の運行に現状の輸入に対しては支障を来しておるという実情であります。それに対して只今の通産大臣の御答弁を頂くということは私は全く奇怪なことだと思うのですが、そういうふうな意味合の点をもう少し親切丁寧に具体的に御説明を願いたい、こう私は思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814793X00219500720/49
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050・栗山良夫
○栗山良夫君 それだから私は先程申上げたように、今日この席では大臣に何回御質問申上げても御用意が大体私はないと思います。ですから今の御答弁の範囲を出でないと私は思います。本日はこの質問はこの程度に打切りまして、そうして大臣の方も一つお忙がしいところだけれども勉強して頂いて、我々の納得の行くような御説明を頂く。そうしてどうしても頂けないということになれば、私共も再度考えなければなりませんが、そこのところを研究して頂く。それから我々の方も政府の方でお作りになる資料がよく分らない、或いは見通しの点についてどういう見通しを立てるかお分りにならんということになれば、この委員会でまとめますとか、或いは只今御発言になつた方々に委員長を交えましてまとめますとか、何らかの形によつて十分私共の意思の通ずるような形を取りたい。こういう意味のことを私は言外に含めて提案したわけであります。そういう工合に委員長においてお取りなしを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814793X00219500720/50
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051・深川榮左エ門
○委員長(深川榮左エ門君) 只今栗山君から御発言になりました朝鮮問題に関連してこの取引所法案をこの際提出することは妥当であるかどうかというような意味について、外に御発言がございましたら御発言をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814793X00219500720/51
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052・境野清雄
○境野清雄君 大変話がこじれておるようでございますしするので、一つ懇談に入つて頂きまして、そうして懇談の席上只今の九品目に対するそれぞれの……繊維局長さんも見えておるようですから、それの需給の現在の情勢をお聞きしまして、それから後にしたらどうか、こういうふうに思いますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814793X00219500720/52
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053・深川榮左エ門
○委員長(深川榮左エ門君) 只今境野委員から一応懇談に入つて、懇談の席上において各局長の説明なりを一応聞いたらどうかというような御発言がございましたが、それに対して如何いたしましようか。
〔「賛成、異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814793X00219500720/53
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054・深川榮左エ門
○委員長(深川榮左エ門君) それではちよつと懇談をすることにいたします。ちよつと速記を止めて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814793X00219500720/54
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055・深川榮左エ門
○委員長(深川榮左エ門君) 速記を始めて。
それでは大臣の答弁ではまだ不十分なところがありますので、次回に改めて答弁をお願いすることにいたしまして、当局の説明をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814793X00219500720/55
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056・近藤止文
○政府委員(近藤止文君) それでは私から繊維局の所管に拘わります物資につきましての概略の御説明を申上げますが、この法案では、綿花、綿糸、綿布、人造絹糸、ステープルフアイバー糸、毛糸と、これだけが繊維局の所管でございまして、乾繭、生糸、ゴムにつきましては外の政府委員が参つておりますから、そちらの方から御説明を申上げることにいたします。初めにこれらの商品につきましての生産の状況を概略御説明を申上げますと、昭和二十四年度におきましての生産数量は、すでにお手許に御配付申上げました資料の中に正確な数字が載つておりますのでございますが、その後二十五年に入りましてから、お手許に差上げました資料は四月までの数字しか載つておりませんので、それを補足いたしまして、本日一枚刷りの紙をお配りいたしましたが、その一枚刷りの紙に六月までの生産実績を掲げてございますし、又昭和二十五年度といたしましてどういう年間に、生産計画を持つておるかということが只今御配付申上げました資料に載つておるわけでございます。
それで綿花につきましては、御承知のように、全部輸入品でございますが最近の状況におきましては、これはお手許に差上げました資料にもございますが、大部分の輸入先はアメリカでございますが、最近の状況といたしまして、逐次その他の地域の輸入が増加いたして参つて来ておりまして、御承知のようにパキスタンあたりからも最近相当入つておりますし、又一方インドの綿花も最近入つて参つております。それから南米方面ではブラジル、それから中米と申しますか、北米の関係ではメキシコの綿が相当量入つて来ております。つまりドルで買います地域の外に、ポンド地域の方と同時にオープンアカウントによりまして買入れます地域のものと、この三者が輸入先でございまして、昨年の綿花の輸入総量はお手許に差上げました資料にございますように、八十八万俵という数字を年間に輸入いたしたのでございますが、本年度におきましては、百三十万俵程度の輸入を予想いたしております。これは最近の資金の実情から申しますと、或る程度ドル資金に余裕がございますのと、それから綿につきまして、この上期並びに下期につきまして、先程加藤委員からお話がございましたように、大体輸出の関係はすでに十一月の分までを売つてしまつたというような状況でございますし、そのために国内の供給が圧迫されるということがございますと、国民経済の確立上も支障がございますので、御承知のように今般綿紡績四百万錘の枠の撤廃がございまして、今後は四百万錘以上に生産設備の方も上昇することに相成つておりますので、それと対応いたしまして綿花の輸入につきましても急速にこれを増大して行くという考えをいたしておるのでございまして、本年度におきましては百三十万俵程度を予想しておりますけれども、その先を申しますと、百五十五、六万俵の輸入を年間に予想いたしたい、かように思つておるわけでございます。
それから次の綿糸でございますが、綿糸は昨年の生産実績は三億四千五百万ポンドという数字でございますが、本年度は五億二千六百万ポンドという数字を見込んでおるのでございまして、これは約六割の増加になつておりますが、最近の設備の増強の事情と睨み合せまして、尚これ以上の増産をいたしたいというように考えておるわけでございます。
それから綿布につきましては、昨年は大体約十億足らず、九億五千六百万方ヤール、ロングヤールでございますが、という生産がございましたのでございますが、昭和二十五年度の現下の生産見込といたしましては十四億ヤールの数字を見込んでおるのでございまして、これは生産が大体五割増という数字になるわけでございます。
それから人造絹糸でございますが、これは最近急激に増産態勢になつて参りまして、昨年度におきましては七千三百万ポンドの生産がございましたのでありますが、本年度は一億一千七百万ポンドという数字を予定いたしておりまして、これは従来の生産の実績から見て参りますと、大体その数字よりは一割乃至二割の増産を見込まれる程度に至つておるわけでございます。
次にお手許に差上げました資料ではスフ糸と書いてございますが、これはスフ糸ではございませんで、ステープルフアイバーの綿の誤りでございます。これは昨年は生産の数量が、お手許に差上げました資料には糸だけ載つておりまして、綿の方が載つておりませんので、お手許に資料がございませんが、昨年の生産数量は大体九千万ポンド程度でございまして、本年度は一億七千三百万ポンド、大体二倍程度の増産を見込んでおるのであります。それでそのスフ綿の点から申しまして、スフ糸の生産がどうであるかということを申上げますと、昨年度におきましては、お手許に差上げました資料にありますように、毎年三千六百万ポンドの生産があつたのでございますが、本年におきましては、六千七百万ポンドの生産をいたす予定に相成つておるのでございまして、これは数字から申しますと、大体倍の数字になつておるわけでございます。
それから毛糸でございますが、毛糸につきましては、昨年の実績は四千万ポンド程度のものでございましたが、本年は五千六百万ポンド、つまり約四割近くの生産増ということに相成つておるわけでございますが、ただ毛糸につきまして特に申上げたいと思いますのは、昨年の毛糸の生産数量は、毛を二割、スフを八割というベースにおきまして四千万ポンドという数字を生産しておつたのでありますが、本年度の見込みといたしましては、大体毛八割、スフが二割という程度におきまして、五千六百万ポンドの生産を上げることになつておりまして、昨年は毛糸と申しますけれどもスフ糸に近いようなものでございましたが、本年度は漸くいわゆる毛糸と称する程度のものができて来つつあるわけであります。
この中先程申上げましたように綿につきましては、全部原料は輸入でございますが、最近の買付状況はアメリカ本国その他オープン・アカウント或いはポンド・ブロツクという相当各地から買付をいたしております。最近米綿につきましても民間の個人買付というものがこの七月から実行されることになりまして、同時にそれに対する為替資金の手当も相当額に上つておりますので、目先見当の付いておりますところで、本年度一杯の綿につきましても、もうすでに買付済でございますし、七—九からの綿花の為替によりまして買付をいたしますと、相当長期に亘りまして、原料的な手当は見込みがあるということになつております。
それから人絹、スフの関係におきましては、輸入品はパルプの一部分でございまして、大体原料でございます。パルプのうち三分の一は今輸入に待つておるのでございますが、このパルプにつきましては、現在年内は大体原料的に割当ができておりまして、来年の一—三以降の分につきましてこれからどういうふうな買付をするか、大体市場といたしましては北欧の外にアメリカ、カナダというところが市場になつておりますので、現在為替につきましても、緊急に割当をいたしまして、買付をしつつある状況でございます。はつきりした見通しはございませんが、国産パルプの増産に伴いまして、パルプの供給につきましては余り大きな不安がないというように考えておるわけでございます。
それから毛につきましては、昨年の年間におきまして、原毛の輸入数量は二十五万八千俵という数字を予定いたしておりまして、これは大体最近までに計画通り輸入を完了することになりました。それでこれから先の一年間の見通しにつきましては、現在日英協定が確定いたしませんので、最後的な数字は決まつておりませんけれども、大体三十一万五千俵程度の原毛の輸入の見通しを付けておるのでございます。
尚これは今後の朝鮮問題からの変異によりまして、昨年は非常にソヴイエトが濠州の洋毛を買付たのでありますが、依然としてそういうことがあるか、或いはソヴイエトに対して濠州は洋毛を余り売らんという態度に出るか、そういうことによりまして又獲得される数にも変動を来すということになると思いますし、又もう一つは、日英協定の関係で、外に輸入するような物資がございませんと、勢い羊毛を入れなければならないというような恰好になりまして、今日日英協定における輸出数量と原毛の輸入数量というものは常に見合いになつておりますので、そういう不確定な要素がありますが、只今では三十一万五千俵程度の数字を予定いたしておるわけでございます。そういつた実情によりまして、実は繊維につきましては、昨年から本年にかけまして、相当大幅な増産に相成つております。従いまして現在統制を依然として存続してございますのは、綿につきましての国内用のものにつきまして、大体綿糸の程度までが的確な配給統制が行われておりまして、綿布以降の製品の段階におきましては、現在末端の衣料切符も一時停止になつておりますし、又その中間の卸、小売の配給段階におきましては、單に報告を取りまして証明書を切るというようなことで、実質的には統制が行われておらない。ただ綿布につきましては、価格の統制が依然として国内におきましては残つておるという状況でございます。ただ二次製品、つまりメリヤスその他の製品につきましては、最高級品の最高価格というものだけが一つございまして、それ以外には全部その中の段階におきましては統制がない形に相成つておりますが、綿につきましてそういつた国内用のものの統制をいたしております外におきましては、人絹、スフ、毛、こういつたものにつきましては、現在全部統制を撤廃しておる状況でございます。
尚これらの品物につきまして、価格につきまして、最近の変動の状況につきまして、一枚刷りの表を差上げたのでありますが、ここにございますように、最近相当程度それぞれの商品につきまして値上りを見ております。ただここでこれらの商品につきまして、或いは朝鮮の問題に関連いたしまして、思惑的に値が上つたという要素は或る程度ございますけれども、それ以外の繊維につきましては、相当他の要素の大きな変動がございます。それは一つはアメリカの綿花の、先程加藤委員からお話があつたかと思いますが、綿花の生産が昨年におきまして非常に米綿が豊作でございまして、従つて値段を維持することが可なり困難であるという状況から、アメリカでは作付反別の二割の減少を勧告いたしたのでありますが、その結果が出たのを見ますと、三割何分という減産になりまして、大体千五、六百万俵の生産がございます。米綿が一千万俵ちよつとのところに止まるだろうという見通しになつております。従つて米綿の繰越数量も逐次減少するという状況にございましたので、そういつた見込を入れまして、米綿が最近相当暴騰いたしております。それよりもう少し前に、エジプト綿なり、或いは印綿、パキスタン綿につきましては、米綿に比較いたしまして大体二割乃至三割、エジプト綿につきましてはそれ以上約五割くらい平均から申して割高になつておつたのでありますが、それと逐次鞘寄せされて来るというような傾向にあるようでありまして、そういうことで綿糸、綿布というものにつきましても値上りを見ておるのでありますが、ただ綿糸、綿布につきましては、御承知のように現在輸出が非常に盛んでありまして、輸出価格が現在の国内マル公に比べまして大体六割から七割高の状況にございます。これは勿論国内価格につきましてはまだ的確な原材料の値上りのデータが織り込まれておりませんので、それだけ開いておるのでありますが、とにかく輸出は現在国内用の生産より有利な状況にありまして、それだけ世界的な市場に日本の綿布の値段が鞘寄せされて来つつあるという状況であります。
それから次に人絹、スフの関係でございますが、これは御承知のように最近一時的にちよつと暴騰したところがございますが、人絹、スフ等につきましては逐次生産が増加いたしておりますが、同時にこれらに対する需要も可なり大きくなつて来ておりますので、この統制を解除いたした以後におきまして、比較的堅実に増産、或いはそれに対する値段の動きというものがあつたのであります。極く最近にちよつと異常な騰貴がございました。ところがいろいろ調べて見ますと、極く少数の人が思惑によりまして、人絹のごときは福井の極く一部の人が思惑によりまして、先物について非常な高い取引をしておる。それが相場に出まして、これも実際実物は動いておらないのでございますが、非常にノミナルな相場を出す。つまりこういつたものは統制がございませんために、取引所というような機能がございませんので、結局全体をプールしまして適正な相場を出すという機能がないというところに、こういつたような異常な値段の出た理由があろうかと思うのであります。これらのものにつきまして、やはり早急に全体の安定した市価を出して行くという何らかのファンクシヨンが要るのではないか、かように思つておるわけでございます。
それから毛糸につきましては、先程も申上げましたように、本年度は大分輸入の予想が殖えておりまして、結局混紡割合というものも可なり上つて参つて来ております。今度の計画で行きますと、年間大体八割の毛を使うということになつておりますが、これが実は先程ちよつとお話がございましたが、毛糸につきまして、最近の非常な減少が問題になつたという事情がございますが、この毛につきましては、極く特別な事情がございます。御承知のように日本では元来毛糸織物の輸出ということは元々むずかしい状況にございました。戰前におきましても、日本では六十万俵、八十万俵の羊毛を入れましても、これは大体国内消費に使われておつたのであります。僅かに満、韓、支方面或いは香港というような所に極く幼稚なサージ類が出ておつたのでありますが、終戰後においてもとにかく外貨を獲得しなければいかんということで、毛につきましては、いろいろ輸出奨励策をとり、又値段につきましても、殆んどメーカーは利潤を無視いたしまして輸出をやつておつた。たまたまそのとき国内価格との開きが相当大きくなつて参りましたので、ダンピングという問題から実は毛糸の問題が起つたわけでございます。これにつきましては、最近勧告価格というものによりまして、国内価格の安定を期するということをやつておりますが、同時に純毛の品物を相当多量に国内に出すということによりまして、この価格の安定に費そうということで、今月からその計画を実施しております。その実施後におきましての状況を考えて見ますと、大体安定をいたして参つて来ておるのでありまして、一時輸出の毛糸が九百円程度のものでございましたのが、国内におきましては、千八百円くらいの金額が出たことがあるのであります。現在のところでは千四百円程度まで下りました。この勧告価格が実施いたされますれば、仲間取引といたしまして、千百円程度のところで、落ち付くという見通しを持つておりますが、この毛につきましては、全く特殊なまあ何と申しますか、無理をして輸出を奨励しておつたということが今度の価格問題の契機になつたようなわけでございます。そういつた事情でございます。
尚、この繊維に関しまして、極く最近のいわゆる朝鮮の問題に関連いたしました特殊需要というようなものがどの程度あるかという点でございますが、只今までのところでは特に特殊需要というものは出て参つておりません。僅かに麻製品につきまして、多少註文のあるのがあるようでございます。ロープ或いはヘシアン・クロスというようなものにつきまして、特需と見られるものがあるようでございますが、綿布、人絹或いはスフ、或いは毛、そういつたものに対しましては、特殊需要というものは全然参つて来ておりません。そういつた関係がございまして、今後の問題の推移はともかくといたしまして、最近の事情から申しますと、繊維につきましては需給関係が相当安定しつつあるように思われるのでありまして、やはり何らかの統制がない場合におきましてのヘツジング的な機構というものがそこに必要ではないかと考えるのであります。
尚、御参考までに繊維の輸出の事情を申上げて見ますと、これはさき程もいろいろお話が出ましたように、現在綿糸布につきましては、本年は輸出が非常に余計に出ました。昨年の輸出の実績は綿布で七億五千万ヤールという程度の実績であつたのでありますが、本年度は千億ヤールを超える数字になるということが大体確実に相成つて来ております。現に従来の実績を見ましても、六月一ぱいで五億ヤールを超える数字が出ております。年間には千億ヤールを当然超えるというような数字になるようでございます。又人絹、スフこういつた製品につきましては人絹につきましては或る程度インドに出たというような例があるのでございますが、昨年あたりから輸出が非常に減少いたして参つておつたのであります。最近再びインドの方でもやはり人絹糸の輸入につきまして、枠を與えるということになりまして、相当これから先の註文が出て参つて来ておるようであります。又非常に特殊な例といたしまして、従来はステープルフアイバー、あのステープルフアイバーの織物については、輸出が殆んどなかつたのでありますが、最近これが非常な勢いで増加をいたしております。特に南阿方面に可なりの輸出があるようでございます。毛につきましては輸出の関係は余り多くのものはございません。
そういうふうに、繊維の全般的な輸出の状況は昨年に比べますと、相当大幅に大体五割増しぐらいのところに落付くというふうに予想されておるのでありますが、而もその註文が綿につきましては現に来年の一月頃売るというような事情もございます。大体十一月までに売つてしまつておりまして、十二月、一月というようなところがそろそろ約定ができかかつておるというような状況でございます。こういつたことが今度の朝鮮の問題と関連いたしまして、それができなくなるということになるかどうか、又原料の輸入の手当の問題が不可能になるかどうかという問題でありますが、これは将来の問題で、はつきりしたことは申上げられないのでございますが、今までのところでございますと、順調に入つて参つておりますし、又輸出の問題も従来以上に出ておるような状況でございまして、一般的に申しますと、繊維の輸出或いは国内における需給関係というものにつきましては、相当安定性があるというように私は考えておるわけでございます。繊維の関係だけでございますが、以上簡單に御説明申上げました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814793X00219500720/56
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057・深川榮左エ門
○委員長(深川榮左エ門君) お諮りいたします。只今繊維局長から説明がございましたが、雑貨局長からゴムについての説明があるわけでございます。繊維局長に対する質問は雑貨局長のと一緒にしたらよいと思いますが、如何でしようか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814793X00219500720/57
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058・深川榮左エ門
○委員長(深川榮左エ門君) 御異議がないようでありますから、それでは雑貨局長にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814793X00219500720/58
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059・田中茂
○政府委員(田中茂君) 私からゴムの問題につきまして簡單に御説明申上げます。
只今の国内のゴム製品の事情を簡單にお分りになつて頂くためにゴム製品の価格の推移を先ず申上げて見たいと思います。本年のマル公を申上げますと、例えば自動車のタイヤー、チユーブで申しますと、一月のマル公が九千六百円でございまして、市中相場が一万八千円でございました。それが段々下りまして、二月に一万四千円、三月に一万一千円、四月に一万五百円、五月に一万五百円、六月に一万二千五百五十円、まあ市価はずつと下りまして、六月にちよつと上りかけて来ておるというような状況でございます。自動車のタイヤー、チユーブにつきましても市価が三千円でございましたものが千七百円、千六百円、千二百円、千二百円と、六月も千二百円の線を辿つております。地下足袋につきましては三百五十円でありましたものが、二月はそのまま過ぎまして、三月から下り始めまして三百円、二百六十円、二百五十円、二百五十円、こういうふうにゴム製品の需給の関係は一応価格で示しておりますように非常に緩和されて参りまして、いわゆる有効需要というものに対しましては十分製品がマツチして余りがあるというような状況になつております。生産量は生ゴムの換算で申しますと、昭和二十四年度、昨年度は約三万トンでございましたが、これは年度初めと年度のおしまいとでは非常に動きがありまして、第一四半期には年間に換算いたしまして、四万トン程度の生産に入りますために市価の動きも只今申上げたような動きを示したわけでございます。尚二十五年度につきましてはお手許に資料がございますように、生産が上つております。上つておりまするが、二十五年度につきましての生ゴムの状況でございます。生ゴムの輸入量をちよつと御参考までに申上げますと、二十二年度は一万五千八百トン、二十三年度になりまして二万六千九百トン、二十四年度になりまして三万九千トン、約四万トン輸入をいたしたのでございますが、今年度はこれを今後の見通しで申上げますと、先程からお話の出ております繰上輸入の問題を一応別といたしまして、六万一千トンくらいがこの十二月までに入るのじやないかという見通しでございます。従いまして年間といたしまして、有効需要五万一千トンに対しまして六万一千トンの或いは現物の確保ができるという状況でございます。但しこれを一応時期的に見ますというと、一月、二月、三月、四月、五月まではいわゆるプラントの、メーカーの工場のストツクは左程減らなかつたのでございますが、五月、六月になりまして非常にプラントのストツクが減つて参りました。それは第一四半期における私共の予定といたしましては、一万二千トン、約一万四千トンの生ゴムを入れる予定でございましたところ、單価の値上り、ゴムの値上りと、それといわゆるその当時全般的に問題になりましたポンドの手持不足等によりまして、これが九千五百トン程度しか入らないということが一つの原因であります。尚資力におきましても、いわゆるプラントのストツクを適当なところで抑えて行くというような意味からしますれば、少くとも一万一千トンを入れたかつたのでございますが、又後程お話に出るわけでございまするが、生ゴムの相場の急騰によりまして單価の開きがございまして、七千トン程度しか入らない。こういつたような事情がございまして、五月、六月に非常にメーカーの手持が六月になりますと、ちよつと一月分を割るというような在庫になつたのでございます。この問題を緩和いたしますために、六月の上旬になりまして約一万四千トンの生ゴムの輸入を決定いたしたのでございます。そうしてこの追加輸入の結果、国内の相場も非常に落着いてつ参たのでございます。これを月別に大体一月から五月までの生産の動きと、尚今後の生産の見通しを加えますと、実際の消費と供給を差引いたしまして、工場のストツクを予想いたしますと、最低が六月の約三千六百トン、これが逐次只今までに許可しました輸入が増加いたして参りまして、九月になりますと、約一万トン、十月、十一月になりますと一万三千トンに大体予定されております。大体消費量に対しまして、三ヶ月近くのストツクを持つという見通しに相成るわけであります。従つて今日現在で申しますと、七月のストツクの状況ではまだ一月の在庫に足らないというような意味におきまして、今日問題になつておりますような取引の問題は非常に運営に困難が思われるのでありますが、これが九月、十月、十一月になりますと、三ヶ月の手持ちを持つ、只今のメーカーの資金繰り等からいたしまして、御承知のように一方コム産業といたしましては、生コムに相当する繊維の手当も必要でございますので、只今までのような有効需要の状況からいたしますと、非常に三ヶ月のストツクを持つて行くということに問題があろうかと思います。今非常に世界の問題になつております生ゴムの価格の動きでございまするが、昨年度は大体まあアメリカ相場で申しまして十七セント半というようなところであつたのでありますが、六月の四日に至りまして三十セントを超す高値が現われたのでございます。これは千九百二十五年以来の高値であつたわけでございますが、それが六月の九日並びに六月の十二日に至りまして、アメリカ政府からの声明があつた関係で、ここで猛烈な値下りが起つたのでございます。その後又逐次段々上昇して参りまして、六月の二十五日朝鮮事変が勃発いたしましてから、最近の一番の高値は、七月の十七日に二ユーヨークで三十八・五セントの高値を出しておりますが、これが十八日になりますと又若干下つております。七月分十七日に三十八・五セント、これは今までの最高を示しているわけでありますが、翌日これが下つているというような状況であります。この生ゴムの相場がこう急騰いたしました事柄につきましては、まあいろいろ議論が戰わされているのでございます。況して今後の見通しについてはいろいろな議論があるわけでございますが、大体のこのゴムの相場につきましては、今度の事変が実力をもたらす原因であり、一方先程私が申しました六月九日にアメリカが手を打ちましたことは、ゴムの相場が暴騰いたしましたために合衆国政府の軍事用の備蓄に支障を来たすということで以て、その当時合衆国国内で行われておりまする騰貴に対する警告をなしたのでございますが、それで暴落し、更に十二日には皆様御承知の合成ゴムの法律が二年間期間を延長されて、従来アメリカはその当時月に一万七千トン程度の合成ゴムの生産に抑えておりますのを、一躍倍近くに持つて行つた、そうしてこれが更に二ヶ年延長されたということから言つて、そこにゴム相場のガラがあつたわけでございます。それにいたしましても、ゴムが非常に二十数年来の暴騰をいたしましたという事柄につきまして、いろいろな原因があるわけでございます。先ず供給の面で見ますと、マレーの天候不順と、それからゲリラの活動によりまして確かに本年の一月から三月の間に減産いたしております。尚又インドネシアの生産も一—三月は、昨年の同期に比べてこれも減少いたしております。その外にインドネシアにおきましては、通貨に対する不安、不信を持つておりましたので、土民がこれを退蔵したという事情もあつたかと思います。一方需要の面はこれ又御承知の、アメリカの景気が上昇線をやや辿つておりましたので、自動車工業の活況によりまして商品が殖えたということ、それからもう一つはアメリカ、ソ連等に戰略的な買付が目立つて来たといつたような事柄がゴムの高値、或いはニユヨーク等において産地以上の実は価格を示しておるのでございまするが、投機的買付が行なわれた原因だろうと思います。併し一応この五月にブラツセルで開かれました国際ゴム会議の統計によりますると、本年度の生産は百六十万五千トンに対しまして消費は百四十六万五千トン、差引き十四万トン供給過剰だということをついこの五月のブラツセルの国際会議で研究の結果を発表いたしております。この供給過剰という一つの要素、それから先程申しましたマレーの状況も段々改善されて参りまして、増産ができておりまするし、尚又特にインドネシアにおきましては生産も上昇しておる外に、輸出が非常に伸びておるのでございます。これは結局通貨不信に対する問題が解決ついた証拠でございまして、供給方面に一つの強い線が現われておるということ、尚又需要の方について申上げますと、先程申しましたようにアメリカにおいて合成ゴムの大増産を始めたということがございます。御承知のようにこれは戰時中は約八十万トンに達する合成ゴムの生産をやつておつたのでございますが、それをずつと合成ゴムの混合率の抑制を撤廃しており、生産を月一万七千トンというように抑えておつたのでありますが、これを法案を延長し、更に非常な覚悟を以て合成ゴムの増産を考えて来た、こういうことになりますると、結局は生ゴムの相場が余りに暴騰いたしますると、この合成ゴムの使用について政府は勿論のこと、民間事業自体においてもこの生ゴムの使用を研究する。現に只今でもアメリカのゴム工場におきましては、この合成ゴムの混合を始めておりまするし、更にその方も強化して行くことが盛んに準備されておる、こういうようなこともあるわけであります。こういう面から申しますと、結局現在の異常な生ゴムの暴騰することでも殖えるであろうという要素をなす事柄でございます。併しまあ一応大体のゴムに関係しておられる方々の考えを伺つて見ますると、今年度は暴騰はないにしても、まあ、そう急激に下ることはあるまい、こういうことが大体の大方の見方のようでございます。そこで先程のところに戻りまして、只今も申しましたような事情からいたして見ますと、七—九の資金が近く最後的に決定いたすわけでございまするが、繰上輸入は別といたしまして、大体年内に六万一千トンの輸入確保は大丈夫である。そうして十月頃になれば三ヶ月を超すストツクを持つような計算になるような意味におきまして、この取引所を設けることによる危險をシフトする問題、尚又一部小さな取引におきまするこの四、五月頃にありました浮動の価格の問題を安定するというような意味におきまして、只今の見通しとしては取引所の問題を考えたらいいじやないか、かように存じております。一応簡單でございますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814793X00219500720/59
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060・深川榮左エ門
○委員長(深川榮左エ門君) 農林省関係の繭、生糸に関して蚕糸局長がお見えでございまするが、これは明日農林委員会との合同審査がありますので、その際説明をお願いすることにいたしまして、次に繊維局長、雑貨局長に対する質問がございましたら御発言をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814793X00219500720/60
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061・境野清雄
○境野清雄君 結局今の御説明を頂いたのですが、大きく見て繊維局長の所管事項におけるすべての繊維に関しては、やや取引所を置いても差支えないという情勢で、同時にゴムの問題に関しては只今七月は一ヶ月の在庫にも足らない、十一月、十二月に行かなければ三ヶ月分のストツクがないというような情勢だと、ゴムというものに対しては十一月まで行かなければ現状ではこの取引所を設置する段階に至つていない、こういうふうに解釈していいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814793X00219500720/61
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062・田中茂
○政府委員(田中茂君) 大体の私共の推察によりますストツクの事情から申しますと、九月には二ヶ月を超しまして、十月には約三ヶ月近くの手持になろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814793X00219500720/62
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063・首藤新八
○政府委員(首藤新八君) 只今の御質問にお答えします。大体十月頃になりますれば三ヶ月に匹敵するようなストツクができますので、取引所を設置いたしましても取引に紛糾を来さないような客観情勢が揃つた場合にやつたらどうかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814793X00219500720/63
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064・深川榮左エ門
○委員長(深川榮左エ門君) 外に御質疑はございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814793X00219500720/64
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065・栗山良夫
○栗山良夫君 大体今御説明を伺つたわけでございますけれども、我々は又これに対して更に尋ねたいいろいろな問題もあろうかと思いますが、そういう点を今少し保留して置きたいと思います。一応今日はこの程度で説明を聞いたという程度にして頂きたいと思います。それから又今伺つたところ、どれを見ましても繭を除いては全部輸入材料である、生糸を除いては全部輸入材料である。而も輸入というものが順調に進むということが前提に言われておるわけでありまして、この点は局長の御説明としては私は御尤もだと思うのでありますが、繰返して申上げますけれども、政府のいろいろな見通しにおいてそういうものに対して将来行けるかどうかというような点は、もう少し明確に是非共、先程質問も保留してあるわけですから考えて貰いたい、それから政府次官の話では、ゴムのごときは一応不安が解消してから取引所を開けばいいじやないかというお話がありましたが、その外のものも全部そういうことでおやりになるのかどうか、而もそういう見通しが解消するという時期は、ただ三ヶ月のストツクができたからそれでいいというような簡單な関係であるかどうか、若しそういう含みでお考えになつておるならば、もう少つ突つ込んで御説明を伺いたい、こういう工合に考えております。いずれにしましてもそういつたような問題を含めて、今日はこの辺で打切られんことを希望いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814793X00219500720/65
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066・田中茂
○政府委員(田中茂君) ちよつと先程申しましたことでもう一言だけ追加さして頂きたいと思います。それは只今審議されておりまするオートマチツク・アプルーヴアルの問題でございます。大体この点が近く解決すると思いますが、その制度がゴムにも適用される予定になつておりますので、そうなればもう少し早く、又量的にも多く事態は解決するものと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814793X00219500720/66
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067・深川榮左エ門
○委員長(深川榮左エ門君) それでは繊維局長、雑貨局長に対する質疑はこれは後刻することにして、本日は説明を聞く程度に止めておきたいという栗山委員の発言がございましたが、さように取計らつて御異存ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814793X00219500720/67
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068・深川榮左エ門
○委員長(深川榮左エ門君) 御異議ないと認めます。それではそういうことに取計らいいたします。
それからちよつと申上げます。委員会を開会しまする前に打合会に御出席にならなかつた方もございまするので、重ねて報告且つお願いをいたしますが、栗山委員より提案の電源開発に関する決議案に対しましては、扱い方をできるだけ早く決定いたしたいと思いますので、成るべく土曜日の議運にかけられるように運ぶことを希望いたしますから、各会派におかれましてはさような意味を以ちまして至急に御相談をお願いをいたします。その決定について委員長といたしましては、各派からの報告を受けまして理事会を開き、手続等扱い方について協議いたしたいと思つております。さよう御承知を願います。
それでは委員会はこれで散会いたします。
午後四時十二分散会
出席者は左の通り。
委員長 深川榮左エ門君
理事 古池 信三君
廣瀬與兵衞君
栗山 良夫君
結城 安次君
委員
小野 義夫君
上原 正吉君
小松 正雄君
下條 恭兵君
椿 繁夫君
加藤 正人君
高瀬荘太郎君
駒井 藤平君
境野 清雄君
西田 隆男君
国務大臣
通商産業大臣 横尾 龍君
政府委員
通商産業政務次
官 首藤 新八君
通商産業省繊維
局長 近藤 止文君
通商産業省雑貨
局長 田中 茂君
通商産業大臣官
房長 永山 時雄君
農林省蚕糸局長 最上 章吉君
事務局側
常任委員会専門
員 山本友太郎君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814793X00219500720/68
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