1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十五年七月二十四日(月曜日)
午後一時三十二分開会
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本日の会議に付した事件
○商品取引所法案(内閣提出)
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001・深川榮左エ門
○委員長(深川榮左エ門君) それでは只今から開会いたします。前回に引続き商品取引所法案を議題に供します。質疑は前回で終了したと思いますので本日は直ちに討論に入りたいと思いますが御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814793X00519500724/1
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002・深川榮左エ門
○委員長(深川榮左エ門君) 御異議ないと認めます。それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。尚修正案を提出される方がありましたら討論中に御提案をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814793X00519500724/2
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003・古池信三
○古池信三君 本法案の内容につきましては異議なく賛成いたすものでありまするが、ただ施行の期日に関しまして問題があると思うのでございます。この法律の内容によつて手続を進めて行く上におきまして「昭和二十五年八月一日から施行する。」と附則に規定がありまするけれども、只今の審議の情勢からいつて八月一日から施行は無理ではないかと考えます。つきましては本法運用の万全を期するために次のように修正することを提案いたしたいと考えます。即ち附則第一項中、「昭和二十五年八月一日」とあるを、「公布の日から起算して十五日を経過した日」に改める。以上附則の修正を提案いたしまして、本案には賛成をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814793X00519500724/3
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004・深川榮左エ門
○委員長(深川榮左エ門君) 只今の古池君の提案に御異議がございましたら御発言をお願いいたします……。別段御異議もないようでございますから、それでは古池君の修正案は異議ないものと認めましてその通り取計らいます。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814793X00519500724/4
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005・栗山良夫
○栗山良夫君 私は日本社会党の立場からこの法案に反対をいたすものでありまして、以下数点に亘つて反対の理由を明らかにいたしたいと考えます。すでに本法案に対する質疑の場合におきまして大体私共が賛成をし得ないところの理論的な根拠につきまして若干所信を述べたのでありますが、本法案の提案理由の政府から出されました、説明にも明記してあります、例えて申しますれば、その理由書には「昨年来経済九原則及びドツヂ・ラインの実施によりましてインフレも漸く終熄し物価も安定してまいり、物資に対する統制も順次解除されつつある情況であります。從つて公定価格制度や配給統制はごく限られた一部の商品についてのみ存続し、大部分の商品の生産及び配給は経済原則によつて規制されることと相成つたのであります。」こういう経済環境に日本の産業界が置かれているということが、商品取引所法案を至急に成立せしめたいという一つのお考えに相成つているようでありますが、私共は、少くとも朝鮮問題が発生いたしまして以後の今日の日本の経済状態におきましては、政府が提案理由の主要なるポイントに指摘せられておりまするこういう状態が、将来の見通しを考えまする場合にあり得ないものであると考えているのであります。私が通商産業大臣にこういう観点に立つて御質問を申上げました過程におきましても、政府当局は物の面におきましても、物価の面におきましてもはつきりとおつしやいましたことは、少くとも現在の状態においてはという前提條件の下に、この理由の正当性を主張せられそうしてその限りにおいてこの法案の成立を望まれているようであります。将来の見通しにつきましては遺憾ながら見解の相違を来たしたわけであります。併し例えば物資の面を考えて見まする場合に、政府から提出をせられました商品取引所土場予定品目の需給調べの一表を見ましても、提案理由の説明には「物資に対する統制も順次解除され」いわゆる品物が豊富になつているということをお示しになつたのでありますが、成る程この調書によりますると、二十五年度の生産見込数量と二十五年度における需要見込数、いわゆる内地向けと輸出向けとを考えて見まする場合にも、二十四年度の実績よりは確かに上廻つておるのであります。併しこういうテーブルが作られました根拠は朝鮮問題発生後の経済状況の見通しの中におきまして、殆んど重要品目が輸入に待つわけでありますが、それは繰上げ輸入その他のいわゆるストツク的の方法によつて確保せられ、そして生産の見込が立つという状態でありまするけれども、すでに米国におきましては重要な商品品目につきましては相当な物の統制も行われるやに私共は疑わざるを得ない状況にありまして、果して只今政府が持つておられるような見解で、商品取引所を開設いたしました後ここ数年の間においてもそういうような安易な状況が望まれるかどうかは非常に疑念を持たざるを得ないのであります。又物価の面にいたしましてもすでに国内におきましては相当重要物資についての値上りが起きているのであります。これに対しまして政府の方の御説明は、朝鮮問題と完全に関連がないという断定は下されなかつたのでありますが、その中心は主として商品の思惑によるインフレ的な傾向であるというような工合におつしやつておられたのでありまするが、私共の見まするところは相当大きな規模におきまして、アメリカ経済の動きを中心にして日本へその影響が参つておるのでありまして、必ずその朝鮮問題が急速に收拾する見込はない、或いは更に発展するというような見通しの下におきましては、物価の面におきましてもインフレ的な傾向を辿らざるを得ない運命にあると思うのであります。こういう工合にいたしまして、物の面でもその経済の面からいたしましても、政府の提案理由の説明にありますような状況には現在はあるかも知れませんが、ここ直ぐ近くの将来を勘案いたしましてもあり得ない状態にあると私共は遺憾ながら見通しを持たざるを得ないのです。從いましてその点からもこの法案に賛成をいたすことはでき得ない。即ちこういうような法案を成立せしめまして、物の需要と供給とを広い範囲に亘つて集中して、公正な価格を作るための市場価格は自然的の要求であるというこの理由が成立たない、時期が又尚早であるという見解に立つ者であります。
又法案の個々の内容につきましては、只今申上げました基本的な問題の見方の外に、例えて申しまするならば、第二條には本法律によりまして上場されるところの品物の名前がずつと列記されておるのでありますが、こういう工合に法律を以ちまして九つの商品の指定を行なつておるのでありますけれども、更に今後市場に追加上場せられるべきところの重要品目に対しましては、政令を以て政府が自由に行うことができるようになつておるのであります。併しながらよく考えて見ますると只今申上げましたような日本の置かれている経済環境からいたしまして、特に農林方面から強い意見が出ておるようでありまするが、物価の安定なり、或いは品物の需給的な安定が得られないうちに或る意図を持つてどんどん政令を以て上場が決定されるということになりまするならば、物並びに物価の面からの一つの安定をさせようということが目的のために作られるこの法律の力によつて、その目的とするところと正反対にこれによつて物のダンピングを行う、或いは思惑を行いまして経済界に混乱を生じせしめるというような、国民大衆への犠牲の撥ね返りを及ぼすような影響も又懸念せざるを得ないのであります。從つて私共は九品目を法律によつて決定いたしまする以上は、残された品目につきましても上場の必要が生じました場合には少くとも法律によつてこれを定めて行くのが正当であると考えるのでありまして最近は年間を通じまして殆んど国会は開きつぱなしのような状況になつておるのでありまするから、必要とあらばいつでも法律化することができるわけであります。從いまして私共はそういう観点からいたしましても、この第二條によつて上場品目を政令で思うままに政府の手によつて行うことができるというようなことについては賛成をいたしかねるのであります。
又この商品市場の運営の最も中心になりますところの百三十七條に規定されておりまする商品取引所審議会の問題でありますが、これにつきましても正式にはその委員を内閣総理大臣が両議院の同意を得て任命するということに原則が確立せられておるのであります。併しながらこれにつきまして一番最初にこの法律の適用を受けまして審議会を作ることができる冒頭の委員の選任に当りましては附則を以て、途中で事故が起きましたときの場合と同じように、事後承認の形を以つて行い得ることに相成つておるのであります。それは附則の第七項にそういう條章が明記されておるのでありますが、これなどもこの法案の取廻しを今少し注意を以てせられまするならば、十分国会の開会中に審議会を衆参両院の同意を得て設置することができた筈でありまして、一番重要なこの運営の任務を持ちまするところの審議会のメンバーが、法律では原則的に国会の同意を得ておるということに相成つておりまするが運用の面については、国会の事前同意を得なくして行うというような建前によつて運用されようとしております点におきましても、私は法の権威のためにも又運用のためにも賛成をいたしかねるものであります。先程古池委員からこの施行期日の問題につきましては、本法案の運用に支障があるというので修正動議が出されておりまするが、その外に根本的な問題として只今の問題を私は指摘をいたすわけであります。
以上申述べました数点を挙げまして私は遺憾ながら本法案に対して反対をいたすものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814793X00519500724/5
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006・深川榮左エ門
○委員長(深川榮左エ門君) 外に御発言ございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814793X00519500724/6
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007・境野清雄
○境野清雄君 私は国民民主党を代表いたしまして本法案に賛成するものであります。
この法律が第七国会に提出せられまして五月二日本委員会において可決せられました当時と比較いたしまして、日本経済の現状は朝鮮動乱を契機として大きな変化を来しておるのでありまするが、朝鮮の今回の事件は地震や火災と異なりまして一時的に片付く問題ではなく、将来に亘つて日本経済にいろいろの意味において影響するものであることは認めるのであります。併しこれが今まで回復と復興への大道を歩んで参りました日本経済を、根本的に方向を変換をさせるべき契機を孕むものとは考えられないのでありまして、日本経済を平和経済へ移行させようとする方針もこの際変更すべきではないと思うのであります。而して我々は平和経済は一応自由経済を基調とすべきであると考える以上、自由経済の機能を十分に果すべき商品取引所の設置については躊躇すべき理由は発見されないのであります。朝鮮動乱によりまして一部物資の価格上昇とインフレヘの懸念もありますが、これを以て取引所の必要を抹殺すべきではないのであります。取引所ができたために却つて価格の暴騰を来たし、又はインフレへの拍車をかけるという事実はないのであります。取引所は元来あるべき公正なる価格を表現する機能を持つものでありまして、いつも受動的な立場にあるのであります。取引所があるから需給が逼迫するとか、生産が過不足になるとかいうのではなく、需給の不均衡や生産の過不足が取引所を通じて価格の面に作用し、この価格が逆に生産と消費に影響するのであつてそこに、需給のバランスを来たそうとするのであります。或の意味におきましては体温計のごときものでありまして、これによつて経済の動きを如実に知ることができるのであります。勿論思惑により、操作により価格の乱高下を生ずることはあり得るのでありますが、これに対しては対策の講じようもあり、又取引所の存在によつて価格対策もむしろ検討し易くなるのではないかと思うのであります。価格の安定については申すまでもなく量的、場所的、時間的なズレ、不均衡が最も大きな障害を持ちますが、取引所はそれを幾分でも少くしようとするところに狙いがあるのであります。取引高の大きいほど、需給の地域の広いほど、期間の長いほど価格の安定は得られるのであります。そういう意味で取引所は各種の需給を統合し、各地の生産消費を見合い、先物取引によつて時間的ズレを調整し、いわば平均価格を出すことによつて価格の平準作用、保險作用を営むものであると思うのであります。取引所のあつたときとなかつたときといすれが価格は安定していたかという問題になると、讓論の材料はあるけれども水掛論になると思うのであります。同一商品について同一條件で、取引所があつた場合との双方を見ることができないのですが、取引所があつた場合に価格の乱高下があつたとして、若しなかつたらもつと乱高下したともいえるだろうし、取引所があつた際に価格が比較的安定していたとしても、反対論者は、そのときは世界経済の安定期であつたためで、取引所のためではないというかも知れません。併し過去の統制経済において無理に価格を安定させても、闇相場によつてそれが乱される場合が少くなく、むしろ公開の市場価格を作つて、価格安定対策もこれに向つてなさるべきが良策と思うのであります。併しながら朝鮮における戰局の推移と本腰を入れた米国の態度は、いよいよ戰争の長期化を思わせ世界の経済情勢も敏感にこれを反映し、国際商品特に戦略物資の思惑買は激増し、六月下旬よりの物価の動きは慌しいものがあるのであります。このような情勢下における商品取引所の完全なる運行は、かかつて商品取引所取引紛争審査会と、商品取引所審議会にあると考えられるのでありまして政府におかれましてもこの点十二分に留意せられまして、万遺憾なきを期せらるることを附言いたしまして本法案に賛成するものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814793X00519500724/7
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008・深川榮左エ門
○委員長(深川榮左エ門君) 外に御発言はございませんか……。外に御意見もないようでございますが討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814793X00519500724/8
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009・深川榮左エ門
○委員長(深川榮左エ門君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。商品取引所法案について採決いたしますが、先ず討論中にありました古池君の修正案を議題に供します。古池君提出の修正案に賛成の方の挙手をお願いいたします。
〔挙手者多数〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814793X00519500724/9
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010・深川榮左エ門
○委員長(深川榮左エ門君) 多数と認めます。よつて古池君提出の修正案は可決されました。
次に只今採決されました古池君の修正にかかる部分を除いた内閣提出にかかる商品取引所法案全部を問題に供します。修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手をお願いいたします。
〔挙手者多数〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814793X00519500724/10
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011・深川榮左エ門
○委員長(深川榮左エ門君) 多数と認めます。よつて商品取引所法案は多数を以て修正可決されました。
尚本会議における委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四條により、予め多数意見者の承認を経なければならないことになつております。これは委員長において本案の内容、委員会における質疑応答の要旨、討論の要旨及び表決の結果を報告することとして御承認を願うことに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814793X00519500724/11
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012・深川榮左エ門
○委員長(深川榮左エ門君) 御異議ないと認めます。それから本院規則第七十二條によりまして、委員長が議院に提出する報告書には多数意見者の御署名を附することになつておりますから、本案を可とせられた方は順次御署名をお願いいたします。
多数意見者署名
境野 清雄 廣瀬與兵衞
松本 昇 駒井 藤平
古池 信三 重宗 雄三
上原 正吉 加藤 正人
結城 安次 山川 良一
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814793X00519500724/12
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013・深川榮左エ門
○委員長(深川榮左エ門君) それでは只今から政府提案になつておりまする日本製鉄株式会社法廃止法案につきまして、前回提出理由の説明がございましたが、本日はこれに対する質疑をお願いいたしたいと思います。速記を止めて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814793X00519500724/13
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014・深川榮左エ門
○委員長(深川榮左エ門君) 速記を始めて下さい。本日はこれにて散会いたします。
午後二時六分散会
出席者は左の通り。
委員長 深川榮左エ門君
理事
古池 信三君
廣瀬與兵衞君
栗山 良夫君
結城 安次君
委員
上原 正吉君
松本 昇君
重宗 雄三君
小松 正雄君
下條 恭兵君
加藤 正人君
山川 良一君
駒井 藤平君
境野 清雄君
国務大臣
通商産業大臣 横尾 龍君
政府委員
通商産業省企業
局長 石原 武夫君
通商産業省雑貨
局長 田中 茂君
通商産業省纖維
局長 近藤 止文君
農林省蚕糸局長 最上 章吉君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814793X00519500724/14
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