1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十五年七月二十六日(水曜日)
午前十時二十四分開議
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議事日程 第八号
昭和二十五年七月二十六日
午前十時開議
第一 両院法規委員辞任の件
第二 地方財政委員会委員任命につき事後承認の件
第三 日本国有鉄道監理委員会委員任命につき事後承認の件
第四 運輸審議会委員任命につき事後承認の件
第五 日本銀行政策委員会委員の任命に関する件
第六 阿波丸事件の見舞金に関する法律案(内閣提出)(委員長報告)
第七 昭和二十五年における教育委員会の委員の定例選挙の期日の特例等に関する法律案(内閣提出)(委員長報告)
第八 商品取引所法案(内閣提出)(委員長報告)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815254X00919500726/0
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001・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815254X00919500726/1
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002・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) これより本日の会議を開きます。
日程第一、両院法規委員辞任の件。
去る二十二日、岡部常君及び前之園喜一郎君から両院法規委員を辞任いたしたい旨の申出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815254X00919500726/2
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003・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。
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004・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) つきましては、この際、日程に追加して、只今の辞任に伴い欠員となりました二名と、尚従前から欠員中でありました三名、計五名の両院法規委員の補欠選挙を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815254X00919500726/4
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005・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815254X00919500726/5
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006・中村正雄
○中村正雄君 只今の両院法規委員の補欠選挙は、成規の手続を省略いたしまして、議長において指名せられんことの動議を提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815254X00919500726/6
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007・鈴木直人
○鈴木直人君 只今の中村君の動議に賛成いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815254X00919500726/7
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008・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 只今の中村君の動議に御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815254X00919500726/8
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009・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつて議長は両院法規委員に小林英三君、松永義雄君、鈴木直人君、鬼丸義齊君及び堀木鎌三君を指名いたします。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815254X00919500726/9
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010・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) この際、日程に追加して、緊急失業措置に関する決議案(山花秀雄君外八名発議)(委員会審査省略要求事件)を議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815254X00919500726/10
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011・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。
本決議案につきましては山花秀雄君外八名より委員会審査省略の要求書が提出せられております。発議者要求通り委員会審査を省略し、直ちに本決議案の審議に入ることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815254X00919500726/11
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012・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発議者に対し趣旨説明の発言を許します。山花秀雄君。
〔山花秀雄君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815254X00919500726/12
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013・山花秀雄
○山花秀雄君 只今提出されました緊急失業措置に関する決議案を読み上げます。
緊急失業措置に関する決議案
最近における失業者の数は、月々激増し、失業問題は今や大きな社会問題となつている。しかもこれに対する緊急、適切な措置が行われないために、社会不安は深刻化の一途を辿り、政府の局部的かつ不完全な失業対策に対しては、政府機関である失業対策審議会ですら、九十億円の予算追加を要求しておる実情である。
本院はここに、勤労大衆の生活安定と社会不安一掃のため、失業対策審議会案による九十億円の追加予算の即時提出並びに日雇労務者に対する失業保險法の拡充等の緊急措置をとることを、政府に強く要望するものである。
右決議する。
只今読み上げました決議案の趣旨の弁明をいたしたいと思うものであります。
政府は常に失業保險給付人員数を以て完全失業者の数のごとくしばしば説明報告されるのであります。成る程本年五月期の失業保險給付人員数は四十一万五千人、日雇失業保險給付人員数は四万人、合計四十五万五千人となるのでありますが、現在我が国の失業者の正確なる数は失業保險給付人員数で言い現わすことは当を得たものではありません。何故ならば、失業給付金は六ヶ月打切りで、打切られた者が直ちに就職したとは絶対に言い得ないのであります。労働省の労働力調査によりますと、短時間就業者の数は次のように発表されておるのであります。一、完全失業者四十万人、一、非求職の就業希望者四十六万人、一、一週三十四時間未満の就業者一千百五十六万人、その内訳を示しますと、全然仕事をしない者は百十万人、一時間以上十九時間までの就労が四百九十七万人であります。二十時間以上三十四時間未満、これが五百四十九万人であります。合計千二百四十二万人でありますが、このうち二十時間以上三十四時間未満の者を除きましても六百九十三万人になるのであります。これに農林業方面の不完全失業者が約五百五十万人と見られておりますので、全産業の完全、不完全失業者総数は約一千二百万人を超える状態であります。これは労働省の労働力調査によつてこの数字が示されておるものであります。このうち職業安定所に職を求めに来た者の実人員数は、昨年の五月の十万四千人より毎月増加しておるのであります。本年二月は三十二万人にも達し、延人員は四百九十七万人となり、安定所による就職成功率は、最近の実領に徴しますと約二〇%を出ない極めて不成績と言われておるのであります。このように多数の失業者が街の巷に溢れ、深刻なる様相を呈したことは、経済自立再建途上にある我が国経済政策の貧困より来たものと断じて差支ないと思うものであります。(拍手)特に昨年より施行されたドツジ・ラインにより生じた企業整備による人員整理は、職業安定局労働市場調査課調べによりますと、昭和二十四年二月より二十五年四月まで一年二ケ月間で、一万二千五十七事業所において、五十四万七百十三人の整理者が出たと報告されているのであります。その後も増加の一途を辿つておることは諸君が十分御承知の通りであります。企業整備時代におけるこれらの多くの企業者のうち、果してどの程度が再就職したかは不明でありますが、極めて就職困難であることは明らかであります。たとえ就職いたしましても、多くの者は前職場の雇用條件より著しく低下した惡條件で就職しておるのであります。このことば單に本人達の雇用條件の低下だけでなくして、生産能率性を極度に低下せしめ、国家経済の見地より見ても大なる損失を来たしていることは明らかであります。
只今申述べましたごとく、都市に農村に刻々失業者は増加の一途を辿り、これら多くの勤労大衆がまじめに生活を守らんがために職を求めて職業安定所に参りましても、約二〇%の就職率では、到底これらの人々は生きて行かれないのであります。止むなく不安定な日雇労務に就労して、まじめに生き抜かんとしておるのでありますが、一日平均賃金全国平均百九十余円の低賃金と、完全就労不可能な実情は、全国各地方の公共職業安定所を中心として、生かせろ、食わせろ、仕事を與えろ、この要求の下に職よこせ運動が起きて来ていることば諸君の御承知の通りであります。昨年六、七月分二ヶ月では、百十二件、延五千四十一名が、本年の一月、二月分二ケ月では、件数三百四十六、延人員二万二千九百七十五名で、件数は三倍、動員数は四倍、こういうふうに拡大され、尚この職よこせ運動は刻々と熾烈化し所によつては不祥事件も生み、民主国日本のあり方に一つの暗い影を投げかけているのが今日の実情であります。我々は民主国日本の再建のために、かかる事態を瞬時も放置することは断じて許されないのであります。真劍にこれらの事態のよつて来たるところの原因を深く追及し、検討し、失業問題解決のために全力を盡さなければなりません。失業問題が大きく諭せられるに至つたことは、日本経済再建途上における経済政策の拙劣さから生じた一大失策であります。(拍手)失業問題解決のためには、現在政府が施行されておる数々の経済政策の修正と、思い切つた失業対策を確立しなければなりません。我々はお互いに過去の経済政策の面目に囚われることなく、敗戰窮乏の日本経済を再建するためには、国の経済政策の基調として、国土資源に比し人口圧力の大きいこと、及び潜在失業群が古い社会機構、即ち農村、中小企業及び家族制度の中に累積されておる事実を確認して、経済の資本主義的合理性よりも社会的合理性の追求を先ず重視しなければならないと存ずるものであります。
現在進行中のドツジ・ラインは、敗戰日本の経済基盤を無視して資本の合理性々貫く結果、経済の再生産規模を縮小せしめて、失業を増大し、他方、中小企業、農村を圧迫して、潜在失業者の生活を更に悲惨な方向に追いやり、社会不安の温床を急速に作りつつあるのであります。従つてかかる政府のデフレ政策を根本的に修正し、あらゆる有効需要を喚起して、自主経済の規模を拡大しなければなりません。即ち工業及び農業の基礎投資を拡大し、雇用の増大を基本方針とし、このため予算の国債償還分を直接投資に廻し、金融な計画化し、社会化する等の財政金融政策を確立し、又貿易條件の改善等によつて輸出の振興を図り、雇用を増大すべきであります。又古い社会経済機構の中に失業群が潜在するところに、日本の失業問題、低賃金問題の特質的話題が潜むのであるから、中小企業の合理化のための投資の拡大、農村の近代化のための基礎的農業投資は、單に当面の失業者吸収に役立つばかりでなく、労働問題の近代的解決のためにも絶対必要の政策だと私は信じておるものであります。これらの政策は逆に潜在失業の顯在化となるでありましようが、これを近代的社会保障制度の確立を以て対処することが正しい解決法であります。敗戰日本の脆弱な国家財政の現状は、遺憾ながら十分な施行を阻むでありましようが、如何なる困難を排しても一歩々々前進させて行くことのみが失業問題解決の鍵であり、近道であり、我々議員に與えられたる大きな義務であると確信しておるものであります。尚これらの政策の能率的な推進のために職業安定行政の整備拡充が必要であります。
最後に、異例の人口過剰に悩む我が国の現状では、これが国内的解決には限界がありますので、移民を列国に懇請する努力も又絶対我が国の現状に必要であります。以上のごとき根本対策を立てると共に、目下の社会不安を一掃するために、緊急措置として政府みずから作つた機関である失業対策審議会案たる九十億円の追加予算の即時提出並びに日雇失業保險法の拡充等の努力を政府は拂うべきであります。甚だ簡略でありますが、以上を以て決議案の趣旨の説明に代えるものであります。何とぞ本決着案に各員の満場一致の御賛成あらんことを希望するものであります。決議案を最後にもう一回読に上げます。
緊急失業措置に関する決議案
最近における失業者の数は、月々激増し、失業問題は今や大きな社会問題となつている。しかもこれに対す緊急、適切なる措置が行われないために、社会不安は深刻化の一途を辿り、政府の局部的かつ不完全な失業対策に対しては、政府機閥である失業対災審議会ですら、九十億円の予算追加を要求している実情である。
本院はここに、勤労大衆の生活安定と社会不安一掃のため、失業対策審議会案による九十億円の追加予算の御提出並びに日雇労務者に対する失業保除法の拡充等の緊急措置をとることを、政府に強く要望するものである。
右決議する。
以上であります。(拍手)
〔「違うぞ」と呼ぶ者あり〕
〔山花秀雄君発言の許可を求む〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815254X00919500726/13
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014・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 山花君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815254X00919500726/14
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015・山花秀雄
○山花秀雄君 ちよつと只今の決議案の内容に若干読み違いがございましたから、甚だ恐縮ですが自席で修正さして頂きます。「追加予算の即時提出」、「即時提出」であります。これを一つ皆さんに御了解願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815254X00919500726/15
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016・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 只今山花君の読まれました決議案は、かねて配付してある印刷の通りとお心得を願います。御了承願います。
別に御発言もなければ、これより本決議案の採決をいたします。本決議案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815254X00919500726/16
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017・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本決試案は全会一致を以て可決せられました。
只今の決議に対し山村労働政務次官より発言を求められました。山村労働政務次官。
〔政府委員山村新治郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815254X00919500726/17
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018・山村新治郎
○政府委員(山村新治郎君) 只今の御決議につきましては、政府といたしましては、決議の趣旨に副いまして、一段と努力をいたす考えでございます。(「本当か」と呼ぶ者あり)
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815254X00919500726/18
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019・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 日程第二、地方財政委員会委員任命につき、事後承認の件。
去る十七日、内閣総理大臣から、地方財政委員会委員に青木得三君、菊山嘉男君、上原六郎君、木村清司君及び野村秀雄君を任命したことについて、地方財政委員会設置法附則第四項並びに第五項の規定により本院の承認を求めて参りました。本件に関し承認を與えることに賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815254X00919500726/19
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020・佐藤尚武
○団長(佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本件は全会一致を以て承認を與えることに決定いたしました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815254X00919500726/20
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021・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 日程第三、日本国有鉄道監理委員会委員任命につき事後承認の件。
去る十七日、内閣総理大臣から、日本国有鉄道監理委員会委員に阿部藤造君を任命したことについて、日本国有鉄道法第十二條の規定により本院の承認を求めて参りました。本件に関し承認を與えることに賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815254X00919500726/21
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022・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本件は全会一致を以て承認を與えることに決定いたしました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815254X00919500726/22
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023・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 日程第四、運輸審議会委員任命につき事後承認の件。
去る十七日、内閣総理大臣から、運輸審議会委員に太田三郎君及び松浦薫君を任命したことについて、運輸省設置法第九條の規定により本院の承認を求めて参りました。本件に関して承認を與えることに賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815254X00919500726/23
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024・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本件は全会一致を以て承認を與えることに決定いたしました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815254X00919500726/24
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025・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 日程第五、日本銀行政策委員会委員の任命に関する件。
去る十七日、内閣総理大臣から、日本銀行法第十三條の四の規定により、荷見安君を日本銀行政策委員会委員に任命することについて本院の同意を求めて参りました。本件に関し同意を與えることに賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815254X00919500726/25
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026・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本件は全会一致を以て同意を與えることに決定いたしました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815254X00919500726/26
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027・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 日程第六、阿波丸事件の見舞金に関する法律案(内閣提出)を議題といたします。先ず委員長の報告を求めます。外務委員長櫻内辰郎君。
〔櫻内辰郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815254X00919500726/27
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028・櫻内辰郎
○櫻内辰郎君 只今議題となりました阿波丸事件の見舞金に関する法律案の外務委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。
先ず本案の提案現出及び内容について申上げます。昭和二十四年四月六日参議院及び衆議院において、阿波丸事件に基く日本国の請求権放棄に関する決議が採択せられ、政府に対して、国内措置として、本事件の犠牲者を慰藉するため適当の手段を講ずることを要望いたしたことは御承知の通りであります。政府はこの決議に基き、同船に乗つていて死亡した者の遺族及び同船の所有者たる日本郵船会社に対し見舞金を支給することとし、その所要経費を二十五年度予算に計上しているのでありまして、この見舞金を受くべき遺族の範囲、順位、見舞金の額、支給手続、船主に対する見舞金の支給等を規定したものがこの法律案の内容であります。尚、御参考までに巨舞金額の大体を申上げますと、死亡者一人につき七万円、日本郵船会社に対しては千七百八十四万三千円と定めてありまして、遺族に対する分配の具体的方法については法案第四條につき御承知を願いたいと存じます。
本委員会は七月十八日同じく二十四日の両日に亘り愼重審議をいたし、先ず各委員と政府側との間に熱心なる質疑応答が行われましたが、詳細は速記録によつて御承知を願いたいと存じます。討論に入りまして、社会党の曾祢委員より、阿波丸事件に関して日米間に取決められた協定に関連し、この種国際協定と国会との関係につき言及された後に、本案に賛成の発言があり、討論を終局し、採決を行いましたところ、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。
右御報告いたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815254X00919500726/28
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029・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案令部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815254X00919500726/29
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030・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815254X00919500726/30
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031・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 日程第七、昭知二十五年における教育委員会の委員の定例選挙の期日の特例等に関する法律案(内閣提出)を議題といたします。先ず委員長の報告を求めます。文部委員長堀越儀郎君。
〔堀越儀郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815254X00919500726/31
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032・堀越儀郎
○堀越儀郎君 文部委員会に付託いたされました昭和二十五年における教育委員会の委員の定例選挙の期日の特例等に関する法律案、この法案の審議並びにその結果の大要を御報告いたします。
本法案の要点とするところを先ず申上げます。すでに設置されてあるすべての都道府県及び一部の市町村の教育委員会の委員の定例選挙と、本年新たに設けられる市の教育委員会の委員の最初の選挙とは、公職選挙法並びに公職選挙法の施行及びこれに伴う関係法令の整理等に関する法律によりまして、本年十月五日に行われることになつているのであります。而して教育委員会の委員の定例選挙は、半数の関係もあり、二年目ごとにその年の十月五日に行われることになつているのであります。然るにその選挙期日を本年に限り十一月十日に繰延べることにすること、これに伴うて教育委員会の成立期日を十二月一日に繰延べること、現に教育委員会の委員の職にある者の半数は、十月四日にその任期が満了するのでありますが、本年に限つて十一月九日まで在任するものとすること、十一月十日に行われる選挙により選ばれた委員の任期の起算日は、同年十月五日とすること、この四点をその内容とするものであります。
その理由とするところについて政府の説明によりますると、第一に、十月五日の定例期日により選挙を行うといたしますれば、三十日前に期日の告示がせられて、十月一日以後は選挙運動が最も激しい時期となるのであるが、恰かも本年は国勢調査が十月一日現在で行われて、十月一日から数日間が調査員の活動時期となるため、選挙の公正を期することが困難である。次に、市町村における国勢調査と事務が重複いたしまして、いずれの事務も正確を期し難いこと、第三、丁度選挙人名簿作成の時期に当つておりますので、市町村の選挙管理委員会は繁忙に堪えないことなどの理由によりまして、十月五日に選挙を行うことは支障を来たすのであります。
而して国勢調査の期日を変更することば妥当でありませんので、期日を繰上げるといたしますれば、八月十五日に行われることに決定している海区漁業調整委員会の委員の最初の選挙と重複することになりまするし、又選挙人名簿調製、国勢調査の予備調査の諾事務ともせり合うことになり、従つて八月又は九月に繰上げることは困難である等の事情がありますので、止むを得ず十一月十日に繰延べることといたしまして、これに伴う関係事項の特例を制定したというのであります。
文部委員会においては本法案について愼重に審議を承れましたが、質疑応答の主なるものを申しますると、教育委員会の委員の選挙のごとき重要な法案をしばしば変更することは、法の権威を損い、且つ教育制度の威信を傷つけるのではないかとの質問に対し、特例法を設けることは真に止むを得ない措置であるとの答弁でありました。期日の延期は、それまでに教育公務員特例法の改正及び地方公務員法の制定により、教育職員の政治活動に制限を附し、委員の選挙に教員の政治的活動を阻止しようとする意図に基く政治的の措置ではないかとの質問に対し、教員の政治的活動については検討することがあるかも知れぬが、質問のような政治的意図を以て延期したものでなく、單に事務的の理由によるものであり、選挙もフエアに施行するよう努力するとの政府の答弁であつたのであります。
一応質問を終了いたしまして、地方行政委員会からその代表の委員が二名本委員会に出席されて、種々質疑応答を重ねられ、かくて討論に入りましたが、若木、岩間、矢嶋委員からおのおの反対の意見を述べられました。更に梅原、木村、谷口委員より政府の提案の理由とするところを諒とする賛成の意見が開陳されましたのでありまするが、かくて討論を終りまして、表決の結果、多数の賛成を以て本案を採択することにいたしたのであります。
右報告申上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815254X00919500726/32
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033・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 本案に対し討論の通告がございます。発言を許します。若木勝藏君。
〔若木勝藏君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815254X00919500726/33
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034・若木勝藏
○若木勝藏君 私は日本社会党を代表いたしまして本法案に反対の意見を表明するものであります。この法案は本年行わるべき教育委員会委員の選挙を一ヶ月余り延期するという一見簡單な法案のようでありまするけれど、併しその意義は極めて重要なものを含んでいるのであります。私はこの観点から反対の理由を明らかにしたいと思います。
政府の提案理由によりますと、教育委員会の選挙を極めて軽視しているのであります。元来教育委員会の職責は、我が国の教育制度の上から見まして重大な立場を持つていることは御承知の通りであります。その重要な委員の選挙が国勢調査の事務に左右されるということは、にわかに容認すべきことではないのであります。すでに教育委員会法を制定した当時におきまして、委員の選挙期日を十月五日とする場合、国勢調査の期日等は十分考えられた上に決定した筈であります。然るに今日に至つて両者の期日が接近するために種々の支障を生ずる慮れがあるという理由で、その選挙期日を簡單に変更しようとすることは、不見識も甚だしいと言わざるを得ないのであります。而もこの期日の変更によつてすでに定められてあるところの教育委員の任期に一ヶ月の異動を見るに至つては、委員の職務と教育行政の上に一種の空洞を生じまして、その基盤に亀裂を與えるところの結果になるのであります。更にこれば法の権威という点から見ましても、甚だこれを疎かに扱つているのであります。即ち政府の提案理由によりますというと、現行法通りにすれば国勢調査と接近し、繰上げれば海区漁業調整委員の選挙と衝突するなどと言つているのでありますが、かくのごとき重要な法が四囲の事情あるごとにその大本に動揺を與えるがごときことは、嚴に戒むべきことであると思うのであります。(拍手)況んや国勢調査が四年乃至十年に行われるとすれば、その都度、特例法を出さなければならなくなつて来るのでありまして、
〔議長退席、副議長着席〕
そういうことを予想するときに、本案の立法の趣旨は根拠薄弱にして又極めて妥当性を欠くものであるということを言わざを得ないのであります。
次にこの法案の審議に当つての質疑に際しまして、政府は教員の政治活動の制限には何ら関連すそものでないことを表明されたのでありますけれども、勿論さような意図のあるべき筈はないと思うものでありますが、政府の答弁がややともすれば教員の使命には身分について一定の制約が必要であるということを繰返している現状から推しまして、この案に示された一ケ月の延長は、結果において同一な事実が可能態として存在し得ることの濃度を高めるものであるということが予見されるのであります。若し不幸にしてこの可能態が現実化されるに至つたならば、特に教育委員という性格から、一般に比べまして普遍的・民主的でなければならない選挙が偏頗に陷り、その結果は大切な教育行政の平衡を失うことになるのでありまして、これは我が国の民主的発展に偉大な貢献をなしつつある現在の教育を再び好ましからぬ過去の教育に逆転せしむる契機を作るものであります。かくのごとき素因を胚胎するところの本法案は、我々の到底容認し得ないところであります。
以上の理由から現行法を主張いたしまして本法案に反対いたすものであります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815254X00919500726/34
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035・三木治朗
○副議長(三木治朗君) これにて討論の通告者の発言は終了いたしました。
討論は終局したものと認めます。
これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔起立者多数〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815254X00919500726/35
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036・三木治朗
○副議長(三木治朗君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815254X00919500726/36
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037・三木治朗
○副議長(三木治朗君) 日程第八、商品取引所法案(内閣提出)を議題といたします。先ず委員長の報告を求めます。通商産業委員長深川榮左エ町君。
〔深川榮左エ門君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815254X00919500726/37
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038・深川榮左エ門
○深川榮左エ門君 只今議題となりました商品取引所法案につきまして、涌商権業委員会における審議の経過並びに結果を御報告申上げます。
さて本法案は前国会におきまして審議未了となつたものでありまするが、一部修正の上、本国会に再提出された次第であります。御承知の通りに近時重要商品の統制撤廃に伴いまして、大部分の商品の価格は需給のバランスで決定されるようになりました。そこで価格の形成を初めとし、売買その他の取引を公正なものにして、商品の生産と流通を円滑にするため、商品取引所の設立が極めて必要となつて参つたという考え方が本法案提出の根本動機であります。然るに商品取引所を設立するとして、その開設の根拠になるものは差当つて現行の商品取引所法でありますが、もともと同法は明治二十六年に制定せられた取引所法を数回に亘つて小改正を重ねたものに過ぎず、現状に対しては全く不適当な法律であります。そこで新事態に即応した商品取引所を設立するためには、先ず現行の商品取引所法を全面的に改正する必要を生じました。かくして本法律案が生れたわけでありまするが、特に本法案においては先まず取所を定義いたしまして、商品の先物取引を行うために必要な市場のための施設を開設することを主たる目的として設立されたものと明定しているのであります。改正は全面的に行われ、現行法が七章三十六ケ條の簡單なものであるのに対し、本法案は十七章百六十六條の大きなものになつているのであります。
改正の主な点を挙げますと、第一点として、組織に関しては、各国の実例と従来の経験に鑑みまして、取引所はすべて会員組織の法人たるべきこととして、株式組織は全然認めないこと。第二点として、取引所の設立に当つては、特に産業界の自主的な活動を尊重して、免許主義をやめて登録主義を採つたこと。第三点として、上場商品を法定したこと。即ち本法案では綿花、綿糸、綿布、乾繭、生糸、人絹糸、スフ糸、毛糸、ゴムの九品目が指定されました。但し商品目の追加は必要の都度政令で行い得るような途を開いてあります。第四点として、商品取引所行政の重要事項を調査審議する機関として商品取引所審議会を新たに設けたこと。本審議会の会長及び委員は、原則として両議院の同意を得て内閣総理大臣が任命することになつております。第五点として、各種の紛争を円満に解決するため仲介の制度を設けたこと。第六点として、取引所の売買取引について委託を受け得る会員は、会員という資格の外に商品仲買人の資格をも兼ね備えなければならないことといたし、この仲買人に対して特に厳重なる規制を加え、委託者保護の徹底を期したこと等であります。その他にも、民主という観点から、前に述べました仲介制度と共に聴聞の制度を設けたこと、取引所の取引について嚴重な監督規定が設けられたこと等幾多の改正点がございます、尚、前国会に提案されました法案と異なる点は、訴訟に関する一ヶ條を削除したことで、その他に実質的の変更はありませんでした。
本委員会においては法案の重要性に鑑み、審議の慎重を期し、農林委員会とも合同審議の機会を持つたのであります。本委員会に恥いて質疑応答は頗る活撥に行われましたが、その主なものは次の通りであります。先ず栗山委員より、朝鮮動乱によつて統制経済の再現が論議されている際に、かかる法案を提出することは矛盾でないか、又商品取引所が果して価格安定に十分に役立つかどうかとの質問がありました。右に対して横尾通商産業大臣より次のような答弁がありました。現在において確たる見通しを付け難いのは申すまでもない、併し一部の商品が国際情勢の動きによつて思惑により幾らか騰貴するかも知れないが、原料輸入を確保して国内の需要を緩和し、惡影響なきように図りたい、又外貨資金の割当許可があり次第に自働許可制を実施すれば、関係事業の発展を来たし、両両相待つて取引所の開設と運営を円滑ならしめるというのであります。次いで各委員より商品別に需給の数量と価格につき質問があり、政府委員よりそれぞれ詳細な答弁がありました。農林委員会の各委員から特に乾繭と生糸の市価安定策につぎ質問があり、且つ右に関しては商品取引所だけでは安定を期し難いから、広い範囲で対策を考えることを要望されました。追加を予想される品目は何かとの問に対しては、差当つて織物などが考えられてはいるが、農林関係については目下のところ予想されているものはない、雑穀、砂糖なども條件が整えば上場されることも考えられるとの答えがありました。尚、物価を再統制する傾きはないかとの質問に対して、郡物価庁政務次官より、その意思なしとの答えがありました。次いで境野委員より、商品取引所の会員資格、信認金、禁止行為その他全面に亘つて詳細なる質疑があり、政府委員よりも実例を引用しての答弁がありましたが、右に関しては何とぞ速記録を御覧の程お願いいたします。
かくして質疑を終り、討論に入りましたところ、古池委員より次のような修正案が提出されました。即ち附則第一項中、この法律は昭和二十五年八月一日より施行となつているが、法案審議の模様からして、これは無理であり、本法の運用の万全を期するため、その施行期日を「公布の日から起算して十五日を経過した日」に修正するというのがその内容であります。次いで社会党を代表して栗山委員より、第一に物の面、価格の面よりして、近き将来において政府の見解と反対になると思われるから、本法案は時期尚早である。第二に、追加品目は政令でなくして法律で定むべきこと。第三に、審議会のメンバーの選任が事後承認の形で行われる疑念がある等の理由を挙げて、修正案及び修正部分を除く原案に対して反対意見が表明せられました。次いで国民民主党を代表して境野委員より、修正案及び修正部分を除く原案に対し賛成する旨の意見が述べられました。 かくして討論を終り、採決に入りましたところ、先ず古池委員より提案の修正案は多数を以て可決し、又修正部分を除く原案についても多数を以て可決し、よつて本案は修正可決すべきものと決定いたしました次第であります。
以上を以ちまして御報告といたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815254X00919500726/38
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039・三木治朗
○副議長(三木治朗君) 本案に対し討論の通告がございます。発言を許します。下條恭兵君。
〔下條恭兵君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815254X00919500726/39
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040・下條恭兵
○下條恭兵君 私は日本社会党を代表いたしまして本案に反対の意思を表明いたすものでございます。
本法案は、過ぐる第七国会の末期の五月一日参議院に提案されて、翌二日委員会並びに本会議を通過いたしまして、衆議院においては審議未了となつたのでございます。政府は今回、前回の提案と殆んど同様の法案を本院に提出せられたのでありますけれども、僅か三ヶ月足らずの時間的経過ではありまするけれども、この間、国際情勢の急変に伴いまして日本経済は重大な変革期に突入しておる次第でございます。政府の提案理由によりますると、九原則の実施並びにドツジ・ラインの堅持によつてインフレは終熄し、物価は安定いたしまして、公定価格や配給制度も極く限られた一部商品についてのみ存続いたし、大部分の商品については生産も配給も経済原則によつて規制されることになつたというふうに申しておるのでございます。併し今日の情勢は政府の提案説明とは全く反対の方向をとつておる次第でございまして、即ち先月二十五日の朝鮮動乱の勃発以来、我が国の物価事情は急に変化いたしまして、重要物資の自由価格は三割乃至五割の急騰を示しておることは、すでに皆様御承知の通りでございまするが、特に非鉄金属のごときは、昨今の事情からいたしますると、トン当り一日千円くらいずつの暴騰を告げつつあるような状況でございましてたださえ資金難に喘いでおりまする中小企業のごときは、この而から新たなる危機に見舞われておることは、これ又御承知のことと存ずるのでございます。又繊維製品のごときに至りましては、小売店の店頭から次第に品不足の様子が現われつつあるような状況でございます。これは大手筋の業者の思惑の対象になりまして、結果は結局勤労大衆の生活に新たな不安を與えつつあるような現状にあることは、私から指摘するまでもないことと存ずるのでございます。
且つ又政府は、国警予備隊の設置に際しましては、政府みずから債務償還を中止して、これに当てると言つておるのでありまするけれども、この一点だけをとりましても、ドツジ・ラインが事実上修正されつつある状況と私は考えるのでございます。併しアメリカにおきましては、先般の第二次大戰中、五ケ年間に二千億ドルもの赤字財政を以ちまして戰費を賄つた結果といたしましても、物価は僅かに二割そこそこしかしらなかつた状況でありまするけれども、この厖大なアメリカ経済にして、今日は百億ドルの軍事費の追加予算を編成するに当りまして、金融統制までも伴う統制を準備して、着々持久態勢を整えつつあるような実情にあることは、私から申上げるまでもないと思うのであります。
私は以上のような国内経済の現状並びにアメリカ経済の方向等から考えまして、もはや日本経済が統制に入る時期は、好むと好まざるとに拘わらず時間的な問題であるというふうに確信いたすものでございます。諸般の情勢からいたしまして、速かに総合的な計画経済によりまして平和維持の態勢を整備すべきであると考えるものでございます。
以上の見解からいたしまして、私共は政府の所信を質しましたところ、政府は、只今統制するの意思がないと答えるのみでありまして、何ら将来長期に亘りまして自由経済を維持する確信のある披瀝がなかつたような次第でございます。又政府は近く物資の欠乏を見越しまして、原材料の輸入に対しては、ドル資金の全土部を挙げて全力を以て資材の充足を図るというふうに答弁いたしておるのでございまするけれども、このような努力が一方に必要なとき、国内市場が豊富な物資によつて自由経済が維持できるというようなことは、私の拙い体験を以てしましては想像できない事実でございます、而してこの計画輸入と、商品取引所を設置いたしまして、自由価格を実現せしめようとする自由経済方式との矛盾は、私が指摘するまでもない次第でございます。
以上述べましたごとく、今や情勢の急変によりまして、日本経済は計画経済による外、解決の途がない段階に入つておると思うのでございまするが、こういう際、朝に商品取引所を開設いたし、夕に更にこれを閉鎖するがごとき短見的措置は、経済界に無用な摩擦や混乱を起すのみならず、且つ又これによつて犠牲を強いられるものが一に労働者であり、農民であり、勤労者大衆であることを考えまするが故に、私は本法案に反対するものでございます。
次に、私は本法案の内容につきまして申上げたいと思います。上場品目が現在綿花以下ゴムまで九品目規定されておるのでありまするが、その他は第十項において、「その他の品質が比較的均等であつて、大量の取引に適し、且つ耐久性を有する物品のうち、取引の状況を考慮して政令で定める」とある点でございまして、これは飽くまで法律で愼重に国会の協賛を経て後に上場品目は決定すべきものと考えるのでございます。これを軽々しく政令によつて定めまするときは、とかく投機的対象その他になるがごとき誤解を生ずる場合もあることを考えまして、特にこの点を指摘したいと考えるのでございます。
以上申上げましたような薄弱な設置理由によりまして、而もこの法案によれば、今後の商品は政令によつて上場せられまして、徒らに投機的、思惑的にのみ利用せられるものとしますと、国民経済に及ぼす影響が甚だ甚大であることは申すまでもない次第であります。故に商品取引所のごときは、日本経済が現在のような精々戰前の七割程度にしか生産が回復しないような今日において実施すべきものではなく、十分な日本産業の回復の後、且つ世界経済の動向も定まりましてから徐ろに実施すべきものであると考えるのであります。
以上のような見地に立ちまして、私は速かに日本の産業並びに経済が、この世界的動揺期の中にも安定して、国民生活に聊かの不安もならりしめるために、政府は速かに総合的計画経済を立案実施すべきだという見地に立ちまして、皆様の御明察によりまして本法案を否決せられんことを切望いたす次第であります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815254X00919500726/40
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041・三木治朗
○副議長(三木治朗君) これにて討論の通告者の発言は終了いたしました。討論は終局したものと認めます。
これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。委員長の報告は修正議決報告でございます。委員長報告過り修正議決することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔起立者多数〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815254X00919500726/41
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042・三木治朗
○副議長(三木治朗君) 過半数と認ます。よつて本案は委員会修正通り議決せられました。
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〔細川嘉六君発言の許可を求む〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815254X00919500726/42
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043・三木治朗
○副議長(三木治朗君) 細川嘉六君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815254X00919500726/43
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044・細川嘉六
○細川嘉六君 私はこの際、日ソ中立條約及び共産軍侵略の見解に関する緊急質問の動議を提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815254X00919500726/44
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045・小川久義
○小川久義君 只今の細川君の動議に賛成いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815254X00919500726/45
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046・三木治朗
○副議長(三木治朗君) 細川君の動議に御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815254X00919500726/46
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047・三木治朗
○副議長(三木治朗君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発言を許します。細川嘉六君。
〔細川嘉六君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815254X00919500726/47
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048・細川嘉六
○細川嘉六君 私が日本共産党を代表し緊急質問をいたしますわけは、本会議において総理大臣吉田茂君が我々国民の運命にとつて黙過することのできない主張をなされたからであります。
吉田君は奧議員の質問に答え、特別警察力の設置は共産軍が日本の領土を侵す不安があるからだと述べられた。この吉田君の主張に何の根拠があるのでありますか。
第一に、共産党の領導している国が他国を侵略するということは、そのよつて以て立つ理論の上から考えてもあり得ないことであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)共産党の領導しておる国が他国を侵略することがあつたとしたら、それは共産党の領導する国家自体が自滅せざるを得ないということであります。他国領土を掠奪する政策そのものは、自国内においても又異民族を圧迫し、勤労者を暴圧することとなるからであります。現在隆々進歩しておるソ連はこの真理を現実に眼前に証明しておるではありませんか。(「そうだ」と呼ぶ者あり)
第二に、現実当面の問題といたしまして、中国、ソ連等の諸政府をとつて見ましても、現にこれらの国は国内における無限の建設に全力を注いでおり、侵略どころではない。世界平和擁護運動の先頭に立つておるではありませんか。(「そうだ」と呼ぶ者あり)却つて日本において侵略政策の方向がますます強化しておる事実に対して深甚なる脅威を感じておるのであります。中ソ條約においても、日本及び日本を助ける国の侵略政策に対して闘うものであることを明言しておる。これは空想上の危險に対して言つたのではない。実際に我が国の産業が軍需産業へ切り換えられ、軍事基地が設定されておるなどの事実に対応して言つておるものであります。軍事基地に関する大山君の質問に答え、吉田君は、将来のことは将来起つた場合においてお答えすると述べられた。又軍事基地と占領基地とを区別しておりますが、国民はこの区別は変だと考えておる。占領基地は日本管理のためにそう沢山要るものかどうか、深く疑いを持つております。同時に国民はかかるものが設けられることは堪え難いことだと挙つて反対しておるではありませんか。(「その通り」と呼ぶ者あり)吉田君はこの国民の熱望に応え、如何なる場合においても一切軍事基地を設けさせないと確言することはできないか。できないとすれば如何なる理由によつてそう言われるのであるか。(「答弁々々」と呼ぶ者あり)
更に吉田君は、義勇兵を結成するとか再軍備を行うとかいうことについては許すことはできないということを衆議院の外務委員会で述べられておるのであります。この点について我々国民にとつて最も重大なことは、我が国内における措置がこの方針によつて具体的に運ばれておるかどうかということであります。最近諸所において義勇兵が隠密の間に募集されておるということが伝えられております。政府はこれを知らない筈はない。火のない所に煙は立たない。昨年国会において国民党政府のための義勇兵の募集が問題となつた際、政府は、これは日本政府の管轄外であり、総司令部のものであるとして、これについての糾明をなさなかつたのであります。今日政府は義勇兵の問題に対し如何なる取締方策を具体的に立てておられるか、伺いたい。
又特別警察隊の設置についても、政府は勿論再軍備のためのものではないと言つております。併しここでも問題は言葉の上のやりとりではありません。実際我々国民の求めるところは、結果において再軍備にならないという具体的な保証であります。ヒトラー・ドイツにおいて警察力を設置するという名の下に再軍備が遂行されたことは周知のことであります。戰後の我が国において軍国主義を根絶するための公職追放が徹底していないことは言うまでもなく、殊に今日朝鮮の内乱に関連して裏面において旧軍人将校が策動していることはぽつぽつ表面に現われておるのである。我が国に関係ある外国側においても、日本の軍備撤廃は誤まりであるとか、日本国民八千万で安い兵隊が作れるとかいうことが公言され、国内の反動的情勢を煽つている現状であります。政府は再軍備は賛成できぬと言つておるが、実際上朝鮮の内乱に乗じて再軍備の方針をとつているということを疑われてもしようがないではありませんか。政府は我々のこの深甚な疑いが事実となつた場合、如何なる責任をとられる覚悟でいるか。再軍備にならぬということを何によつて具体的に保証し得るか、伺いたい。今日は今日のこと、明日は野となれ山となれというのでは政府としての資格は全く欠いているものであります。
以上の問題と関連しまして、吉田君は永世中立は空念仏であると言つた理由を堀議員に説明した際、日本とソヴイエとの間の中立倹約はソヴイエトによつて侵害されたと答にております。ソヴイエト政府が期限満了前一年前にこの條約を解約する意思ある旨を通告し、更に太平洋戰争がますます熾烈となつた際、日本に対し宣戰を布告したことは事実であります。第一に、日本政府はこの中立條約を忠実に守つたかどうか。そうでないことは極東軍事裁判の記録によつても明らかである。その判決文には、「ソヴィエト連邦との中立條約にも拘わらず、日本はドイツに援助を與えた」と記されております。日本は中立條約にも拘わらず、ソ連に対する攻撃の時期を、独ソ戰における最も好都合な場合を選ぶつもりで大軍を満州に集結し、戦争準備を整えていたのであります。判決文によれば、時の外務大臣松岡氏は、中立條約に調印後、駐日ドイツ大使オツトー氏に対し、「ドイツとロシアの衝突の場合に、日本の総理大臣や外務大臣は誰であつても、日本を中立にして置くことはできないであろう。この場合日本は必然的にドイツ側に立つてロシアを攻撃しないわけには行かなくなるであろう」と述べております。更に独ソ開戰後スメタニン・ソ連大使が松岡氏に対し、日本は中立條約に従つて中立を維持するかどうかと聞いた際、松岡氏は「三国同盟は日本の対外政策の基礎であり、若し今次戦争と中立條約が矛盾した場合、中立條約は効力を失うであろう」と力説したのであります。これが日ソ中立條約に対する日本側の正体であつたのであります。ドイツ々援助し、シベリア侵入への準備の煙幕として使つたことは、何人にも明らかなことであります。そればかりではない。この條約が締結された直後、御承知の通りソ連に対するドイツの侵略が始まり、従つて日本はドイツの味方となり、米英はソ連の味方になつたという、重大な国際的変化が起つておるのであります。ドイツの敗北後、世界戰争は極東において尚続行され、連合国は世界平和を一日も早くもたらすために全力を挙げていた。アメリカ政府はこの際、この上更に幾百万の兵を犠牲にするということに対して不安の念を抱き、世界平和の立場から特にソ連に参戰を求めたのであります。この間の事情については、当事者であつた元国務長官バーンズ氏の回想録スピーキング・フランクリンによつても明らかにされております。トルーマン大統領がソヴィエト政府に参戦を要請した文書の中において、特に国連憲章第百三條を引用しておるのでありますが、それには、「本憲章に基く連合国の義務と他の国際協定に基く義務との間に抵触する場合には、本憲章に基く義務が優先する」と記されておるのであります。ソ連は中立條約違反の責を負うべきだという吉田君の主張は、これらの道理と真実とを国民の前に蔽い隠すものに外ならない。(「その通力」と呼ぶ者あり、拍手)ソ連の対日参戰は、日本帝国主義の侵略戦争を一日も早くやめさせ、世界平和をもたらすために、連合諸国民の要請に応じて行われたところの世界正義の戰争であります。(「ソ連に行け行け」と呼ぶ者あり)総理大臣吉田茂君、君はソ連からの帰還が完了した後も引続き未帰還者三十七万もあるという恥知らずなデマ宣伝を続けている。更に又、ソ連が中立條約を何の理由もなく破棄したと言うのである。これは厚顔無恥の上塗りではありませんか。(「そういうことを言うから駄目なんだ一と呼ぶ者あり)吉田君の答弁によつて今又更に明らかにされたことは、政府の根本政策が戰前軍部内閣の行なつた防共協定による謀略の手と何の異なるところがありましようか。(「何だ、大きな声を出しても駄目だ」と呼ぶ者あり)この協定が共産主義或いは共産党の危險を叫び、国民大衆を欺瞞することによつて、内は国民大衆を暴圧し、外は外国民を侵略するため、国民大衆を世界戰争に追込み、(「それは共産党だ」と呼ぶ者あり)帝国主義政策を強行することであつたではありませんか。(「懲罰だぞ」と呼ぶ者あり)この点において戰]前と戰後の今日と何の差があるか。(拍手)同僚諸君、明らかに今日の時勢は軍備や戰争や暴力沙汰で片付く時代ではありません。(「共産党じや駄目だ」と呼ぶ者あり)
ところで、現在大資本家の支配する国外の強大国は、その性質上切迫している大恐慌か第三次世界戰争によつて逃れようとして、軍備の空前の大拡張と全体主義の実行とに狂奔しているのではないか。(「そうだ」と呼ぶ者あり)吉田君の政府の一切の政策は、これに便乘して、朝鮮、満州を支配した帝国主義の再現を狙つているものであります。(拍手、「怪しからんことを言うな」と呼ぶ者あり)諸君、これは国民として、政治家として、許すべからざることではありませんか。(「何だ、お前だ、それは」と呼ぶ者あり)政府は、朝鮮、中国、インドシナ、フィリピン等の人民革命の情勢が民族の更正躍進であるということを理解する能力がなく、(「その通り」と呼ぶ者あり)共産主義乃至共産党の危險だとわめいて、我々国民を反動と戰争へ追込まんとしているものである。政府の月は狂つているのである。誠に遺憾千万であります。(「共産党の目が狂つている」と呼ぶ者あり)吉田君は先国会においても「中国は乱れている。これはアジアの危險である」という意見を述べられた。(「全く狂つている」「その通り」と呼ぶ者あり)併し国民の目は狂つてはいない。(「狂つているのは共産党だ」と呼ぶ者あり)毎日の事態の推移国民大衆を啓蒙している。況んや戰前の実物教訓は国民の胸に生きているのである。(「その通り」と呼ぶ者あり)現に今日国民大衆の間には、又々大本営発表の流行することになつたとか、朝鮮に対する干渉は理解できないとか、国連もいい加減なものではないかという見方が拡がつて来ている。(「アカハタの発表か」と呼ぶ者あり)この事実は政府にお分りではないか。若し政府が全面講和に対する国民的要望を抑圧し、單独講和を強行するとすれば、(「共産党には日本のことが分らない」と呼ぶ者あり)その結果はどうなるか。未曾有重大な結果が起らないと断言することができますか。(「ソ連へ行つてみい」と呼ぶ者あり)かかる事態が惹起された場合、その一切の責任はすべて政府の負うべきものであるということを肝に銘じて置きなさい。(拍子)
我々は総理大臣吉田茂君に次のことをお答え願います。共産軍が侵入する不安があるという根拠は一体何か。(拍手)第二には、義勇軍を募集せず、再軍備をしないという具体的保証は何であるか。(「ソ連へ行け」と呼ぶ者あり)軍事基地を一切設置させないと確約できない理由はどこにあるか。(「そうだそうだ」「具体的例を挙げて」と呼ぶ者あり)ソ連の中立條約の破棄は正当且つ適法でないと言うのかどうか。これらの四つの点について明確にお答えを願います。(「スターリンに聞け」「笑われぬようにしろ」と呼ぶ者あり)
〔国務大臣吉田茂君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815254X00919500726/48
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049・吉田茂
○国務大臣(吉田茂君) お答えいたします。
私が過日警察力増強の問題に関してお答えをしたうちに、この度の朝鮮事変等があつて、いつ如何なる治安上の懸念すべき問題が起るかも知れないから、予備隊を置くことになつたと申したのであります。そこで、どこから共産軍が来るか、或いはそれがソヴイエト云々というようなお話がありました。私はソヴイエト政府の政策についてとやかく言う、又批評がましいことは差控えます。併しながら朝鮮の状態を見ても、いつ共産軍が内外において、必ずしも外でない、内に起るかも知れないというような事態に処して、政府としては治安上かかる予備隊を設ける必要を感じたのであります。(拍手)又只今義勇兵をどうとかいうような、義勇兵が秘密の間に募集されつつあるということでありますが、これは共産党が募集せられたならとにかく、その他の部面においては現に義勇兵を募集しておる事実はないのであります。(「分つたか」と呼ぶ者あり、拍手)又軍事基地の問題についてはしばしば私がお答えした通りであります。又中立條約について、ソヴイエトが違反したことがないというお話でありますが、併しながら我々の考えておるところは、我々の承知しておる事実はそうでないのであります。日ソ中立條約は昭和十六年に成立して、そうして五年の期間があつたということはお話の通りでありますが、その五年は、昭和二十一年四月において失効することになつておつたのであります。併しながらその期間中、昭和二十年八月八日、日本に対して突然宣戰を布告した。これは事実であります。(「それをしたのが共産党だ」と呼ぶ者あり)そういういろいろな御議論は御意見として承わつて置くが、(「関連して聞いている、單独に聞いているのじやない」と呼ぶ者あり)私の承知している事実であります。
それから更に特別警察隊の設置の場合に、再軍備の考えは毛頭ないのであります。(「聞け」「黙れ」「そんなことがあるか」と呼ぶ者あり)再軍備の考えがないのみならず、これによつてドイツがどうしたとかいうことがありますが、これはドイツの例であつて、日本としては特別警察隊を置いて、やがて再軍備の基礎にするというような考えは毛頭持つておらないのであります。(拍手)将来の結果について御判断を願います。(「どうした、分つたか」と呼ぶ者あり、拍手)
〔細川嘉六君発言の許可を求む〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815254X00919500726/49
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050・三木治朗
○副議長(三木治朗君) 四分時間が残つておりますから、四分間だけ発言を許可いたします。
〔「どうした、まだ分らないのか」と呼ぶ者あり〕
〔細川嘉六君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815254X00919500726/50
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051・細川嘉六
○細川嘉六君 総理大臣の答弁は見当外れであります。私の聞いておるのは、外国から、それはソ連に限らない、朝鮮から、いずれの国からしても共産軍が攻めて来るということについての答えを聞いておるのであります。国内に朝鮮の軍隊ができるとか、そんなことは考えられることではありません。
それから軍事基地について(「笑われるな」と呼ぶ者あり)御免だと国民は考えておるが、(「共産党のだろう」と呼ぶ者あり)そういうことについて述べられない。返答になつていない。
義勇兵とか軍備の再編成ということについては、具体的にどうだということを聞いておるのであります。それがボイコツトされてしまつて答えられておらん。
日ソ條約の問題について、これは全く極東裁判の記録でさえ吉田君に分つていない。(「泣くな泣くな」と呼ぶ者あり)これを曲げている。こんなことで返答になつておりますか。(「何言つてるんだ」「寝言言うな」と呼ぶ者あり)一一のことを確かめる場合は、何よりも極東裁判の判決文にはつきりしている。それをそつちのけにしている吉田君の答弁であります。私はこれを答弁と思いません、(「それは決まつている、答弁する必要ない」と呼ぶ者あり)そういうことは国政を預かる総理大臣としては全く言語道断である。(「何だ、それで終りか」「それが質問か」「答弁の要なし」一答弁無用」と呼ぶ者あり、拍手)
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〔高良とみ君発言の許可を求む〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815254X00919500726/51
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052・三木治朗
○副議長(三木治朗君) 高良とみ君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815254X00919500726/52
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053・高良とみ
○高良とみ君 本議員はこの際、義勇兵問題その他について緊急質問の動議を提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815254X00919500726/53
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054・小川久義
○小川久義君 只今の高良君の動議に賛成いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815254X00919500726/54
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055・三木治朗
○副議長(三木治朗君) 高良君の動議に御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815254X00919500726/55
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056・三木治朗
○副議長(三木治朗君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発言を許します。高良とみ君。
〔高良とみ君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815254X00919500726/56
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057・高良とみ
○高良とみ君 安全保障を要求する国民感情は、今日の緊迫している現状から私共の共に共通するところであります。然りと雖も、国民の精神的生命である憲法を改正して僅かの軍備をするということは、却つて危險を誘発し、且つ多量軍備の許可もなく、力もないわけでありますから、世界の輿論は日本の再軍備を許すものでは又ないのであります。否、むしろ世界各国の輿論は、新憲法に示した日本の決意に対し深い尊敬の念を以て、軍国主義日本は死し、世界史上独特な性格を持つた一員として、国際社会に今後画期的役割を果すものとして、生れ変つた日本民族を歓迎する日を待望している声を開くものであります。日本民族を全滅するものにあらずとのポツダム宣言によりまして、我々は生きることを許されておるのであつて、戰う権利も義務も共に許されておらない。敗戰国として戰犯の立場にあり、民族として捕囚の境涯に置かれているということは寸時も忘れてならない嚴粛な事実であると考えるものでありますが、帰朝以来、国内の人心の中に甘えた心持、或いは先走つた思想がありまして、私共ポツダム宣言受諾によつて完全に裸になつた日本が、世界平和のために盡そうとする悲願を立てて、世界の良心を呼び起し、みずから武器を捨てたものの強みを持つていることを忘れているかの感があることは遺憾であります。ポツダム宣言に署名した国々が、日本の生存を保障し、侵略から守る法的根拠があると私は考えるものでありますが、国民もこれに信頼して、動揺することなく、正しく生きる確信を與えられんことを、当局の発言によつて希望するものであります。
海外ニュースは、然るところ、七月一日東京発として、内閣官房長官談、「日本人及び朝鮮人義勇兵志願者が前線出動を希望して殺到した。日本政府は今までの立場を変更して、出動を許可すべし。国際連合に協力せねばならぬ」と言つたと発表した。海外でこれを読みました本議員の意外の感は深刻なものがありました。義勇軍は要請されても断わるべきだとの首相の言葉を信ずるものでありますが、更に国民のために、はつきりした、確信のあるところを伺い、且つ法的根拠を伺いたいのであります。岡崎官房長官その他内閣責任者においても義勇軍許可の発言なかりしものかと信じまするが、これも一応否定ならば否定、肯定ならば肯定或いは国警予備隊の増員の許可ありし今日は態度がはつきりしたのであるか、その前は確定しなかつたのであるかということを聞きたいのであります。烏合の衆たる感を與える義勇兵の問題が、少くとも紙上或いは人の口に出るということは誠に遺憾でありまして、日本は自衛権を持ち、又ポツダム宣言によつて今日の緊急の畜態にも泰然自若として自己の信念に立つ国家でなければ、世界の輿論が日本の誠意を疑うところ多大のものがあると思うのであります。
次に日本の国連加盟は不可能と考えるが如何なものでありますか。その理由は、国際連合はその憲章の無條件受諾を必要といたします。国連加盟の條件には強制措置に参加する義務があり、又強制措置中には軍事措置、武力制裁があるのでありまして、武力なき国にとりましては参加できないことであります。憲法を改めてまで勝者の群に入らんとする輿論のごときは、正に自殺であると思うのであります。(拍手)その理由を以て、スイスは長い努力の結果、国連加入を諦らめ、永世中立を名誉としておるのであります。国連の平和理想への声援のためには、私共日本国民は局外にあつて能う限り多くの国家と講和を結び、真に不偏不党、人類の平和への悲願を実現するために純得の立場を持つべきものと信じますが、この点について外相の見解を伺いたいのであります。
次に海外諸国に残留しておる同胞は英・米・仏・伊等の好意によりまして監禁生活から解放され、新らしい旅券もなく、他地方への旅行も不便を感じつつ、而も祖国の変革を知ること少く、捨子同様の境地におりながらも尚、日本の新憲法、民法その他の彼らの行動の基礎となるべきものに飢えておるのであります。これらの人達が求めるところ切でありますが、私共は外交権なき実情においては方法がないと言えるかも知れませんが、これと共に世界各国は更生した日本を認識する希望を持つておりまするので、内外人を対象とする宣伝活動をし、外国語で出版しこれを配付する意思なきやを伺いたいのであります。中には敗戰を信じない同胞もあることを思いまするときに、我々の同胞としての責務を感ずるものであります。
第四に、国内の平和態勢ができておらないように思うのであります。講和の促進或いは平和樹立を口にいたしながら、国論、国会の議論が昨年以来一年近く講和問題について堂々めぐりの空転をしておるやに見えるのでありまして、海外に多大の疑惑を與えております。国民の独立精神と講和への途が二つあるかのごとき感を與えるのは、日本人の自治能力を疑わしめる点があるのであります。事実に即して各政党指導者間に理解を進め協力を促進する必要があると信ずるのでありまして、今日のごとく、ただ感情に走つて政党はその真の発達を忘れておる点があることを遺憾に思うのであります。殊に国内におきまして中和の樹立ということが真に国民の念願するところでなく、ただ外からの平和を望むや切でありまして、ために暴力行使さえも頻々として繰返されておりますことは、單なる殺人目的ではありませんで、これが社会の人心不安の原因でありますると共に、これらの罪悪に対しまする司法的な取扱がこれを社会騒擾罪、反乱罪として、法を改正して行く意思があるかないかを聞きたいのであります。暴力行使は国民生活に対する重大なる罪惡であることを、我々国民は次の世代に伝えるべきものであると信ずるものであります。
第五に、日本の民主化が真劍である証拠を我々は実行によつて示し、又内閣においてもその努力を求めたいのであります。戰後日本国民の民主化の努力に対して、一部の外国人はこれを指して、日本の民主主義の仮面はいつ脱がれるであろうかと、疑惑の感を以て監視怠りなきものがあるのであります。果してこの批評をなす人々には全然根拠なしと言い得るでありましようか。かくのごとく講和促進の障害となるものを残しておるところに、我々の反省を要するところが多いのでありまして、その一つとして国民と政治団体との離反を考えなければならないのであります。殊に日本の政党政治は徒党或いは私党的傾向が強く、戰]前の政党の政略駈引から少しも進歩しておらない。依然たる自己栄達或いは権力闘争であると批評されておることに鑑み、又国民の声もしばしばこれを叫び、政治に対し或いは政党に対して失望の声が深いことを、私共は講和の障害として心配するものであります。その二とて、政府と国会との関係は又真の民主的な三権分立の関係にはないと考えるのであります。政党は常に政府を攻撃のために攻撃し、みずからの主張を世界各国の政治動向から遊離して考え、希望観測を以て政権を得さえすれば実現可能かのごとくに宣伝し、国民の前に政党の権威を失墜せしめて、政府も政党も国会も共に国民からの信頼を失いつつあることを、私共はこの際このときに憂慮するものであります。私の観察しました英、米、インド、イタリア、スイス等の国会におきましては、雛段もなく政党議員の間においてのみ如何に国の政治をすべきかの議論が盛んでありまして、政府は執行に高い能力を示すために専念しておる姿であります。国会も改むべきは改むべきでありますが、明治憲法国会時代からの様式、雛段を改造して、又議員と共に議長中心の国会たらしめることがこの際必要であると信ずるものであります。国会と政府との民主的関係を改め得ない理由があるとしたならば、どこにあるかと聞きたいのであります。
次に事実上の講和條約、これこそ私のこの時局下に望み得る唯一の希望でありまするが、特に海外数ケ国におきましては、日本の技術者及び文化人を招聘して、願わくば長く滞在し、新興諸国家の切実な産業文化復興に資したい希望があるのであります。今日までの技術者海外渡航規則の枠ではこれを賄い切れない種類のものでありまして、家族同伴、そして先方の希望による農業及び産業の半永久的移植民であります。如何なる可能性がこの方面の要請に行われておるか。殊に門戸を開いて迎えんとする新興国家、即ちインド及び南米地方の平和移民に対する懇請が、事実上の講和のためにこの際、急を要すると信ずるものであります。吉田総理大臣及び外務大臣の御所見を承われれば仕合せであります。
更に通産大臣に承わりたいのは二つの点でありまして、最近における輸出総額の増加のみでは楽観を許されないのであります。各輸出業者間の価格引下げ競争が激しいために、又大資本商社におきましても、原価を割つても子会社を維持しようとするためダンピングの傾向が強く、米国その他の輸入商が仕入れた後に他により安い提供者のあることを見出すに至りましては、市場を混乱し、再び日本商品と日本輸出業者に対する信用を失うものと考えるのであります。これを回復するのは非常に困難な問題でありまして、この価格維持の目的のためよりも、むしろ国民に対する信用と名誉を維持し、再び排斥を買わないために、世界各国の小さな国々におきましても輸出業種別産業組合を作つておるのであります。然るに私共の国は如何に敗戰下とは申せ、独占禁止法、事業者団体法に抵触すると称して、この種組合の結成を見ないのは、実に前途に憂うべきものがあるのであります。秋の輸出シーズンを前にいたしまして、至急日本商品信用維持のための法案を折衝し、又懇請し、日本が正当なる商品を以て平和国家として生きる道を打開されたいのであります。
第二は、第二次大戰の結果、世界各国の市場と、その規格、価格が変化し、又購買者の嗜好も、購買の組織も激変したのであります。ポツダム宣言にある公正な産業を維持することを許さるべしとの約束を実現するために、造船の急務は勿論でありまするが、存外事務所員等は外務省人事であるとは言え、敢て進んで日本国民が血の涙を以て生産しつつある輸出品に対し、積極的に展示会を開き、宣伝に努め、商務官的任務を十分に進行するような予算と指導とを與えているか否か伺いたいのであります。
以上の二つができませんならば、日本産業の九割を占める中小企業及び輸出産業の体制は未だ緒に付いておらないものと考えるのでありまして、この秋の季節の前に至急にこれを行う、個人個人の会社の競争は日本の講和の障害になるものと憂慮いたすものであります。御回答を得られれば幸いであります。(拍手)
〔国務大臣吉田茂君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815254X00919500726/57
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058・吉田茂
○国務大臣(吉田茂君) お答えをいたします。
義勇兵応募の件につきまして、外国新聞の通信について私は承知いたしておりません。そういう事実は、事実においてなかつたろうと想像いたします。が併し取調べてお答えをいたします。
それから国際連合加入の可否についてお話がありましたが、これは御意見の通り加入については相当の條件があり、その條件を直ちに日本としては実行ができないような條件もありまするから、日本として仮りに許されても、日本の加入についての條件については、相当日本側においても問題がありましようし、又第一、国際連合が日本の加入を許すか許さないかということが第一でありますが、許す許さぬは国連の権利であつて、我々が要求したからといつて直ちにその要求を容れられるという筋合いでないのでありまするから、そこで日本の加入についてどういう條件、特別な條件でも置くか、或いは更に日本については、こういうことをしろというような注文が出ますか、その辺の具体的な交渉は今なされておりませんから、この問題が、加入の問題が具体化した場合に政府としては考慮いたしたいと思います。
そこで在外同胞の旅券等についてのお話がありましたが、これは在外事務所が置かれるに従つて、この不便は相当緩和することができるであろうと思います。只今のところはお話の通り遺憾な点が少くないのでありますが、これは現在の事情からいたし方ないのであります。併しながら近くアメリカ以外の国にも在外事務所が増設せられる運びになつておりますから、この点の不便は相当緩和せられるであろうと思います。
又日本に関する報道については、これは従来放送等の手段によつて日本の事情の説明に努めておりましたが、その範囲が甚だ狹いのであります。これを更に拡張する計画が今とられております。幾らかこの放送の範囲の広くなることによつて、放送が日本の事情を海外に知らすことができなかつた、或いはされなかつたというような不便が緩和せられるであろうと思いますが、尚この点については政府としても更に海外或いは海外同胞に日本の現状を知らしむる方法については研究いたします。
次に、講和態勢が不十分ではないか、いろいろな議論が今尚行われておつて国論が統一しておらないのではないかというお話であります。これは御尤もでありますが、併しながら政府が特に国論統一の運動に乗り出すことがいいか惡いか。これはしばしば私が説明いたしておりますが、講和問題について、政府がかかる措置をとつて国論の統一を図るというようなことをいたしますと、その結果が外国に及ぼす反響がどうであろうか、政府が特に故意に講和態勢を作つて、そうして連合国に強いるのであるというような惡い変な誤解を生ずることもあり得ることであり、過去において、そういう事実もあつたのでありまするから、日本政府としては、そういう政府自身が講和問題について国民運動を指導するというようなこと、或いは思想統一についての運動に乘り出すということは、私においては望ましくないと現在考えております。
それから日本の現在の民主政治と言いますか、政党政治についてのいろいろ御意見がありましたが、この日本の民主政治、政党政治を完成いたしまするのには相当の年月を要するのであつて、直ちにその完全なる状態を持ち来たすということは、国民が互いに協力して、政党政治、民主政治の完成に努力する、協力する以外に方法がないと思います。
又暴力云々のお話がありましたが、これは法の命ずるところによつて、政府は飽くまでもその暴力の抑制には努力いたします。
それから文化人、技術者等の海外渡航について更に自由にという御注文でありまするが、これは同感であります。努めてその海外渡航を自由ならしめるように政府も努めておりますが、最近は相当緩和されて、相当の数の人が米国以外の所にも出て参つております。一応お答えをいたします。(拍手)
〔政府委員首藤新八君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815254X00919500726/58
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059・首藤新八
○政府委員(首藤新八君) 私から高良議員にお答えをいたします。只今大臣に対する御質問でありましたので、私から御答弁いたしますることは或いは御不満かと存じまするけれども、大臣が万々止むを得ない事情のために欠席いたしましたので、私から代つて御答弁することをお許し願いたいと思うのであります。
只今の御質問は、輸出促進のために業態別組合の育成或いは価格維持のためにどういう努力をしておるか。第二問は、在外機関に対して中小農工産物の展示並びに輸出推進につき如何なる指示をしておるかというふうに承わつたのであります。
そこで第一間の方でありまするが、御承知の通り昨年来健全財政を樹立いたしましたために、それに関連いたして、国内の金融が非常に窮屈になつて参つて来ました。同時に又国内の消費が減退いたした。一方、生産の方は過去数ケ年に亘るところの生産増強の精神から相当上外して参つた。結局需給のバランスが相当アンバランスになりましたので、その過剰物はどうしても輸出に振向けなければ相成らん。同時に又輸出の振興が自立経済のためには唯一無二の対策であると考えておりまするので、政府は常に輸出促進に鋭意努力いたしておるのであります。ところが御承知のごとく現在の段階におきましては、日本商社の海外における支社、又出張所の設置が許されておりません関係上、その貿易の大部分はバイヤーによつて扱われておるのであります。ところがそのバイヤーの数と日本内地における輸出業者の数は非常な開きがありまして、嫁一人に婿九人以上の大きな開きがあります関係上、どうしても輸出業者がバイヤーの獲得に非常な競争をする、競争をする結果が値段が段々壞されて来るということに相伐つて参つておるのであります。そこで只今御説のような業態別の組合を結成いたしまして、その組合自体が価格の調整をする、協定をする、或いはその他の対策をするということは、確かに効果的であるということは信じられるのでありますけれども、お説のごとく現在におきましては、事業者団体法を中核といたしまして、一貫した独占禁止法という鉄の扉がありまして、容易に打開ができない。同時に又経済民主化という線からも一応問題がありまして、現在これを如何にするかということを研究いたしておるのであります。そこで只今では外国為替法並びに外国為替管理法、外国貿易管理令、この三つの法律によりまして、輸出品の価格並びにダンピングということを調査いたしまして、若しそれに該当するものがありましたならば戒告を加える、或いは又甚だしきものにつきましては輸出の停止をやるというような法的措置を講じておるのでありますけれども、併しながら政府といたしましては、かような消極的対策よりも、一日も早く積極的に、かような戒告のごとき措置を講ぜずして価格の維持を図ることが何としても緊急な措置と考えておりますので、今後も海外各地からあらゆる情報を獲得いたしまして、できるだけ速かに御期待に副うような措置を講じたいと考えておる次第であります。
又在外機関の問題でありまするが、御承知のごとく昨年在外通商事務所が許されまして、現在ニューヨークその他に五ケ所設置されておるのであります。申上げるまでもなく在外通商事務所は諸外国と日本との貿易促進を図ることが目的とされておるのでありまして、これがためには日本商品の斡旋仲介並びに日本商品の展示、終戦後におけるところの日本商品がどういう形を持つておるか、成るべく早目に然も広い範囲にこれを認識して貰う、これが日本の貿易振興のためにどうしてもとらなければならない対策である。こういう意味から、各在外事務所に対しましては、外務省と緊密な連絡をとりまして、常にその実現に督励をいたしておるのでありまして、同時に又在外涌商事務所からも諸外国の事情を、あらゆる面を調査いたしまして、沢山の情報が入り、又照会が入つておるのでありまして、このうちには大分お説の農工産物或いは雑貨が含まれております。現在のところアメリカが大部分でありまするので、特にその方面に関心を持ちまして、国内におけるところの情報を詳細にその方面の通商事務所に通知いたしまして、同時に又向うの方の情報を確実な而も広い範囲の情報を集めておる。更に又商品陳列所をどうしても早く設置したいという考え方から、現在それを計画いたしておりまして、すでにニユーヨークにその設置の準備を進めておりまして、第一回の見本品の発送は済んでおるのであります。近く開設されると存じまするが、尚これのみならず今後機会あるごとに展示会を催しまして、そうして日本商品の紹介をやりたい。幸いにすでにニヨーヨーク並びにニユーオルリアンスその他三ケ所にこの展示会の約束ができておるのでありまして、只今申上げました陳列所の開設ができましたならば、引続いてこの展示会をやつて行きたい。更に又只今総理から申されましたごとく、幸い近く在外通商事務所が相当数許されるような情勢に惠まれましたので、これらの通商事務所を総動員いたしまして目的達成に努力をいたしたい。併しながら中小商工業者はどうしても自力でそれをやるだけの能力がありませんので、政府はその欠点を補う、そうして御趣旨に副うようなことに努力して参りたいと存ずるのであります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815254X00919500726/59
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060・三木治朗
○副議長(三木治朗君) 本日の議事日程はこれにて終了いたしました。次会の議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時十七分散会
○本日の会議に付した事件
一、日程第一 両院法規委員辞任の件
一、両院法規委員の選挙
一、緊急失業措置に関する決議案
一、日程第二 地方財政委員会委員任命につき事後承認の件
一、日程第三 日本国有鉄道監理委員会委員任命につき事後承認の件
一、日程第四 運輸審議会委員任命につき事後承認の件
一、日程第五 日本銀行政策委員会委員の任命に関する件
一、日程第六 阿波丸事件の見舞金に関する法律案
一、日程第七 昭和二十五年における教育委員会の委員の定例選挙の期日の特例等に関する法律案
一、日程第八 商品取引所法案日ソ中立條約及び共産軍侵略の見解に関する緊急質問
一、義勇兵問題その他に関する緊急質問発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815254X00919500726/60
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