1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十五年七月二十二日(土曜日)
午前十時三十九分開会
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本日の会議に付した事件
○委員会の運営に関する件
○小委員の選任の件
○失業保險法の一部を改正する法律案
(内閣送付)
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001・赤松常子
○委員長(赤松常子君) 随分お待たせいたしました。これより委員会を開きます。
本日は、先ず本委員会の運営に関する件につきまして、昨日の委員長及び理事打合会における打合事項を御報告いたしたいと存じます。磯部專門員からお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815289X00219500722/1
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002・磯部巖
○專門員(磯部巖君) それでは委員長の命によりまして、私から昨日の委員長、理事打合会において決まりましたことにつきまして御報告を申上げます。
最初に前国会の終りから当委員会に委託されておりました公共企業体労働関係法の改正に関する件につきまして、今後の方針をどうするかということについてお打合があつたわけでございますが、只今までは先日の公労法の改正につきましてのいろいろな資料の收集、或いは外国の立法例の調査というような技術的な面につきましては、可なり準備は進めてあるわけでございますが、これから先はこの改正についての方針をどうするかという、そういう根本態度が決まらないと、これ以上進行することができないのでございます。それにつきまして前国会の最後の議運におきまして、四月二十五日でございますが、全会一致を以て労働委員会に改正の意味で委嘱されたのでございますが、そのときに根本方針といたしまして、中村委員から詳細に御発言になつたのでございまするが、それによりますると、「根本の精神においては各派は大体一致しておると思います。それは憲法で保障しておりまする、労働者の基本的人権である争議権を公労法で奪つておる、十七条で奪つておる、その代りといたしまして三十五条に仲裁委員会の裁定の効力を規定しておるものであるという点であろうと思います」。「やはり公労法というものが憲法の規定を受けまして、争議権の代りに仲裁委員会の制度を設けておるものである。從つてこの仲裁の裁定につきましては、憲法上の基本的人権と同じような効力を認めるものであるということの根本の方針に立ちますれば」云云と、そうして「この根本の精神で一貫するような改正を労働委員会に委任いたしまして」云々という御発言でございまして、それで満場異議なく御決定になつておるのでございまするので、今朗読いたしましたような根本の精神は大体一致しておると思うのでありまするが、これを労働委員会としてその改正案を作るということにつきましては、今の基本的根本の精神については、はつきりしておりましても、いろいろと又解釈もあろうと存ずるのでございますが、これにつきましては一つこれらを具体化して推進して行くためには、やはり小委員の手に移しまして進行したがどうであろうかということに大体御意見が一致したわけでございます。
それからその次に只今運輸委員会に付託されておりまする国鉄の第二次仲裁裁定の取扱につきまして、本委員会の方もこれに参加した方がいいであろうという御意見がございまして、それについて御協議がありました結果、委員長より運輸委員長にそういう申し入れをして頂くということになつております。
両、只今ついでございますから申上げて置きますが、只今朗読いたしました議運の中村委員の御発言の終りの方に、第二次裁定につきましても前例に從つて運輸委員会に付託して、そうして労働委員会との合同審査をして貰いたいというふうに、これもそういう御希望が出ておつたわけでございますから、そういうふうにして更に連合して審査して頂くのがいいのであろうと考えるのであります。
その次に決まりましたことは、只今付託されておりまする失業保險法の一部改正に関する件の審議をいたします関係上、或いは更に一般失業問題の調査の関係上、来る二十五日の午前六時に出発いたしまして午前十時くらいに終了の予定を以て渋谷、五反田、芝浦あたりの職業安定所を視察いたしまして、いわゆる日雇労務者の状況を現地で見るということが御決定になつたのであります。
それからその次に、失業保險法改正の審査上の参考にするために、証人として学識経験者並びに実際の日雇労務者の代表の諸君に二十六日の午前十時から委員会を開きまして、ここに来て頂いて意見を聞いてみようということが御決定になつたのであります。今のところその候補者としては大体五人にしてございまして、申上げますと第一生命の取締役の齊藤斉氏、それから芝園の職業安定所の芝浦分室谷藤係長、それから池袋の安定所の高山所長、それから労働者代表としては、これは目下選定中でございますが二名、合わせて五名の方を予定しておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815289X00219500722/2
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003・赤松常子
○委員長(赤松常子君) 只今の御説明で何か御質問ございましたらどうぞお質し下さいませ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815289X00219500722/3
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004・原虎一
○原虎一君 運輸との連合委員会は向うの進行状態はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815289X00219500722/4
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005・磯部巖
○專門員(磯部巖君) 向うは確か一回開かれまして、ちよつと日は忘れましたが、今日が二回目であります。説明を聴取した後質疑を行なつたということになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815289X00219500722/5
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006・赤松常子
○委員長(赤松常子君) それでは如何でございましようか。運輸委員会と連合してこの問題をもつと研究いたしますことについて御異議ございませんでしようか。全体で一応の御了承を頂けますでございましようか。御異議ございませんでしようか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815289X00219500722/6
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007・赤松常子
○委員長(赤松常子君) それでは他に御発言もございませんから一応昨日の打合事項に基いて、これから運営いたして参りたいと思つております。
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008・赤松常子
○委員長(赤松常子君) それで小委員の選び方はどういうふうにいたしましようか。先程公労法改正に関する問題について小委員会を作ることに御賛成頂いたのでございますが、小委員の任命は如何いたしましよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815289X00219500722/8
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009・原虎一
○原虎一君 委員長が各派を勘案し委員長が指名されたらどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815289X00219500722/9
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010・赤松常子
○委員長(赤松常子君) 今の御意見でございますが、さよう取計らわせて頂いてよろしうございましようか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815289X00219500722/10
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011・赤松常子
○委員長(赤松常子君) では一応考えて参りましたのをちよつと発表いたします。城義臣氏、中村正雄氏、波多野林一氏、鈴木強平氏、堀木鎌三氏、以上五名の方に小委員をお願いいたしたいと思つております。如何いたしましようか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815289X00219500722/11
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012・赤松常子
○委員長(赤松常子君) 御異議ないものと認めます。以上の方にお願い申上げます。ちよつと速記を止めて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815289X00219500722/12
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013・赤松常子
○委員長(赤松常子君) では速記をお願いいたします。只今進駐軍の要員の賃金の問題につきまして、委員外議員の山田節男議員が労働大臣に質疑をいたしたいと申して来ておりますが、許可することにいたして御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815289X00219500722/13
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014・赤松常子
○委員長(赤松常子君) 御異議ないものと認め、山田議員の発言を許可いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815289X00219500722/14
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015・山田節男
○委員外議員(山田節男君) ちよつと労働大臣に御質問申上げたいのですが、御承知のようにこの占領軍政下に全国二十四万に余る進駐軍の要員がいるわけでありますが、この中にはもとより陸上勤務が大部分でありますが、海上の勤務者もあるわけです。この朝鮮戦争が勃発しまして以来、この進駐軍の要員に対しましてはいろいろの意味で非常な、何と申しますか、アブノーマルな状態が出て参りました。一面においては非常に労働力の強化ということが激烈になりますと共に、精神的或いは身柄の拘束、例えば從来八時間勤務であつたものが、二十四時間三交代が二交代になり、更に二十四時間勤務、而も身柄を拘束されるというような事態が全国相当多方面に起りつつあるのであります。これで第一に私お伺いいたしたいことは、労働省としてそういう労働の強化ということに対しまして、労働基準法に牴触する面が非常に多くなつた。これに対しまして労働省としてはすでに相当把握されていると思うのでありますが、これに対しての対策をどういうようにせられるおつもりかどうか。又現に取つておられる我々の知らない範囲ですが、関係方面に対しましての折衝の結果、経過というものを一つお伺いしたいのであります。
それからもう一つは、これは賃金に関する問題でありますが、これはもうすでに労働委員会にも再三第七国会で取上げて頂いたのでありますが、この前の国会でまとまりました例のプリヴエイリング・ウエイジ、一般職種別賃金であります。これは進駐軍の要員は、例の確か一昨年の十二月と思いますが、これによつて規定されておる。これが今ないわけであります。進駐軍としては特殊の労働関係に立ち、そうして地位の安定というものが非常に不安定であり、依然として一般職種別賃金による賃金の確保ということをお願いしたいわけであります。法制化して頂きたいわけでありますが、これに対して政府はどういう考えを持つておるか。国会においてこれに対する法案を出して頂けるのかどうか。或いは出せない事情にあるのか、この点を一つ明確にお願いしたい。先ずこの二点を一つお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815289X00219500722/15
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016・保利茂
○国務大臣(保利茂君) 第一点の進駐軍関係の労務者の労働状況、これに伴う対策措置の問題でございますが、お話のように事変以来、只今といたしましては労働基準法の示す臨時的な措置によつて対処しておりますわけでありますが、事態の推移によりましては、相当これは各方面とも併せましてできるだけ例外的措置をとらないように人員の充足を図り、或いは労務状況の管理を合理化いたしまして御懸念の点に対して十分善処する必要があると、かように考えまして、この事態について只今のところ関係方面に折衝いたしております。最も大事な点は、時間外の勤務或いは休日労働、そういうものをできるだけなくして貰いたいということで折角折衝をいたしておるところでございます。
第二の、国等を相手方にするあの法律案でございますが、先般も原委員からお尋ねがございまして、間に合えばこの国会に提出いたしたいと考えて折角事務当局を督励いたしまして急がせておりましたが、未だに関係方面との完全な了解が得られない。且又関係各省との話合も残つておる面もございますし、かたがた立案過程におきまして、どうしても労働省所管として或る程度の予算措置を講ぜなければ、この法律を出しましても半ばその意義を失するというようなこともございまして、その点につきましても努力をいたしたのでございまするけれども、この国会に提出することは只今のところ困難な状態でございますけれども、成るべく速かな機会に立法するようにいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815289X00219500722/16
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017・山田節男
○委員外議員(山田節男君) 今の第二の問題でありますが、これは先程申上げましたように、進駐軍の労働関係は非常に不安定であるということを認めであつて、ああいう進駐軍労務者の給料は、これは日給月給になつておつて、月給制度でないわけであります。そういう点からでもでしようが、他より高くなつております。併しそういつたような法律で保障がないと、今日失業者が非常に多くなつております。であるからしてこれを雇い替えれば非常に安い賃金で雇える、労働市場に非常に供給者が多いわけであります。そういう点もやはり労務者が非常にこわがつておるわけであります。政府として現在慣行されておる賃金はこれを下げるということはしないかどうか。これに対する一つ保障ができるかどうかということをお尋ねしたい。
それから第一の、今の労働基準法に関する問題でありますが、これは労働基準法と言いますけれども、一面労働組合法の不当労働行為もあるし、特に現在はつきり浮び出て来ているのは、労働基準法にふれる仕事が非常に多いということであります。御承知のように進駐軍労務者は労務の提供であります。戦争の協力ということはできない建前でありまするが、実際に職場に行つて見ると、先程申上げましたように殆んど二十四時間勤務で、身柄を拘束して、これは或いは勤務地の関係等もあると思いますが、労務を提供しておるという立場にある者が、殆んど協力者の立場に今置かれておる。そこに身柄と精神的苦痛が非常にあるわけです。これは第二の問題とも関係しますが、そういうようなわけで、すでに戦争以来、北鮮の問題が起きて以来四週間も経過しておる、四週間も経ておりまして、そうして今まで休日を一回も貰つていない。三週間のうちで休暇を一回も貰わんというのが現実にあるのでありますから、こういう点を一つ労働省としては飽くまで労務を提供するのだという立場から、関係方面に強く言つて頂かにやいかん。私の方からもやつておりますが、これは少くとも労働基準の、行政からそこの区別をはつきりして保障して頂きたいということを申上げて置きます。
もう一つ、海上勤務者に対して触れてなかつたわけでありますが、これは社会党としては一般船員の問題でいろいろ論議されて、大蔵委員会或いはここでも又御質問になつたかと思いますが、これは進駐軍の現在の要員の中に陸上勤務者も海上勤務者になつて徴集のような形で行つておる。それから勿論船員として行つた者はどんどん戦争危險区域に入つているわけです。私の聞くところによりますと、日本の海員組合は船主協会と一種の取決めをいたしまして、手当についてはかなり詳細なことも決まつておる。それから昨日も私のところに訴えておりますが、電気通信省では、これは全逓の関係でありますが、海底電線の敷設のために数日のうちに戦争区域の方へ入つて行くというような問題でありますが、危險その他の手当についての陳情がありまして、こういうような船員労務者に対する進駐軍の船員、要員に対して、今の日本の海員組合が日本船主協会と行なつておるようなまあ団体協約でありますが、それに対すると同じような程度の、これは身分とそれから手当の保障、賃金の増加ということが望ましいのでありますが、これに対してはまだ労働省としては何ら具体的な御決定はないかどうか、その点を一つ伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815289X00219500722/17
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018・寺本廣作
○政府委員(寺本広作君) 朝鮮事変が始りましてから火薬類の包装であるとか或いは小銃類の発射試験であるとか、相当な危險作業に日本人労働者が從事しておるということは事案でございます。現在までのところは、大体本俸の一割乃至二割の危險手当を支給するということで暫定的な措置をとつておりますが、こういう危險作業が段々長く続いて行くというような状態になりますれば、いろいろの危害防止のための措置も具体的に研究しなければならん問題が沢山あろうと思います。尚問危險の程度に応じまして、更に危險手当を増額する必要があるかどうかということにつきましては、目下特別調達庁と打合せて考究中でございます。
尚船員の点につきましては、これは具体的には労働省の問題ではなく運輸省の方が取扱つておりますので、私の方では船員の問題は深く関知いたしておらない状況であります。以上のようなわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815289X00219500722/18
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019・山田節男
○委員外議員(山田節男君) もう一つ、これは寺本基準局長がお見えになつたから特にお伺いするのでありますが、進駐軍の要員は、御承知のようにこれは労務の提供だけなんであります。從つて労働基準法に準じて從来までやつておつた。ところがこういう朝鮮事変が起きて以来、もう全国的現象として、もう一週間四十八時間ということは全然問題になつて来ておらない。十二時間……三交代が二交代になつた。更に二十四時間勤務になつた。而も身柄を外へ出さん。そういつた労働になつて来ている。これは労務の提供の命令です。そうなつて来た場合に、進駐軍要員の日本人としては、これは戦争に協力することはできるものではない。ところが現地ではすべて命令で以て今のようなことをやられておる。これに対する政府の救済というものがどの程度できるものであるか。どの程度これができるか。この見込みを一つお聞きしたいと思います。この意味が分りますか。労務の提供者という建前、そして職場によつては労務提供以上の精神上及び身柄も拘束を受ける。而もこれに対して賃金の増額ということもない。これは労働基準法上どういうふうに考えますか。これは速記を止めて頂いてもいいですから、一つ明確な御答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815289X00219500722/19
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020・寺本廣作
○政府委員(寺本広作君) 朝鮮事変が始まりまして以来、進駐軍関係で、軍の命令によりまして、日本人の労働者に対して相当強いいろいろな要求が出されておるということは事実であると思いますが、それが基準法で申します強制労働に該当するかどうかということになれば、これは非常な疑問だと思います。基準法で強制労働と申します場合には、大体は退職の自由を認めぬというような場合を強制労働と申しておりまするが、現在でも進駐軍労働で退職の自由を認めぬという事例は余りないのではなかろうか。ただ問題といたしまして、御指摘の通り、休日の廃止であるとか、それから労働時間の延長であるとか、それから場合によつては女子の深夜業であるとかということを、今の基準法で許されるぎりぎりのところまで法律が使われまして、そういう事態が行われておる。その法律上の問題といたしましては、大体天災地変その他避けることのできない臨時の必要があるものということで、軍の命令が出た場合には扱うということで、現在までいたしております。ただすでに事変が起りまして四週間にもなりまするし、休日の廃止であるとか、労働時間の延長であるとか、女子の深夜業などということは、いずれも臨時の措置として基準法上認められておるのでありますが、それが平常化して、恒常化して行くということは、労務管理上避けなければならんということで、労働省といたしましては、増員をすることによつてそういう非常の措置を平常化するように関係方面に要望いたしております。関係方面のレーバーといたしましても、現在要員の充足に努めるように、現地の軍関係者に要求をして、現在続々充員中で、人員を増加中であるから、間もなくそういう非常の措置は平常化し得るようになるであろうということを申しておるような次第
であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815289X00219500722/20
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021・山田節男
○委員外議員(山田節男君) 今の強制労働は存在しないということですが、ちよつと私はそれは認識が誤つておると思う。というのは、私が得ておる各地からの情報によりますと、…………速記をちよつと止めて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815289X00219500722/21
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022・赤松常子
○委員長(赤松常子君) 速記を止めて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815289X00219500722/22
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023・赤松常子
○委員長(赤松常子君) 速記を始めて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815289X00219500722/23
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024・寺本廣作
○政府委員(寺本広作君) 只今具体的な事例をお挙げになりまして、いろいろ御指摘になりました点は、私共初めて伺わせて頂いたような状況でございますが、その点につきましては、私共の方でも十分調査した上、御指摘のような点につきましては、関係当局に対して申入れをしたいとこう思います。
尚事件が勃発いたしました当時、司令部では労働課関係官と、八軍の関係官が集まられまして、私共もその席へ呼ばれまして、大体進駐軍関係のこの労務管理は基準法の枠の中でやろうということで結論が出ておりました。基準法の枠の中でやれるかやれないかということを検討した上、枠の中でやれるという結論を出して、それを合法的にすべてやろうというような申合せになつておりますので、首脳部としては法律を無視して労務管理をやつたつもりはないのであろうと、こういうふうに考えております。從いまして只今御指摘のような事実が指摘されました場合には、十分考慮して頂けるものではなかろうかと思いますが、尚労働省といたしましては、事実調査の上で関係方面に申入れをしたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815289X00219500722/24
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025・山田節男
○委員外議員(山田節男君) 私は今申上げることについて尚政府にお願いして置きます。これについては私想起しますのは、昨年の十一月中旬にドイツヘ行きました。ドイツは丁度軍政が解かれまして、新らしい共和国ができた直後でしたけれども、併し米軍、フランス、イギリス、殊にアメリカは相当進駐しておりました。その要員の状態を実は私調べたので、今申上げている管理について注意して置く次第であります。ドイツは御承知のように、非常に何といいますか、民族性が強いと申しますか、日本では労働基準法で定められた以上のことはやらない。やれと言つてもやらない。殊にアメリカ人の労働者であると……ドイツ人は非常に頑固といいますか、むしろ反米的思想を持つているのじやないか、……………、速記を止めて頂きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815289X00219500722/25
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026・赤松常子
○委員長(赤松常子君) 速記を止めて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815289X00219500722/26
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027・赤松常子
○委員長(赤松常子君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815289X00219500722/27
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028・山花秀雄
○山花秀雄君 只今基準局長が来ておりますので、本来ならばもう少し具体的に調査して質問したいと思いましたが、この機会を利用して一つ質問したいと思います。
それは例の賃金の遅払いの問題であります。最近各地に遅払いが起きまして、その遅払いによつて基準監督署がそれを調査して、そしてこれが訴訟になりましたときに、一応罰金、こういうまあ結論が出るのでありますが、なかなか監督署の方でよく監督をやつて呉れているところもございますけれども、やらない。そうしてそれが訴訟になつて罰金ということになりますと、特にこの事件が一つ一つの事件となりますので、仮に五百人は罰金というような判決がありましたときには、賃金の遅払いをするような工場でありますから、罰金によつて工場が倒れてしまう。從つて労働者が法によつて保護されたる権利を主張すれば、共倒れになるというようなところから、非常に法を守るということに躊躇しておるという傾向が現実の問題としてあるのであります。又資本家の方はそれをよいことにして、逆に労働者をおどかす。訴訟をやれば共倒れになるのだ、罰金でもくつたらどうするのだ、こういうような、一つの或る意味における恐喝手段にこの問題を逆用しているという点が多々私共の関係しておる労働組合方面においても認められるのであります。從つて基準法の罰金というような処刑を、体刑という処刑にして貰いたい。そうすれば惡辣なる資本家も法を守る方向へ来るのではなかろうか。こういう意向が非常に強いのでありますが、最近のこうした事例に鑑みて、罰金を体刑に変更し得るような態勢とする意思があるかどうかということを一つ御返事を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815289X00219500722/28
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029・寺本廣作
○政府委員(寺本広作君) 賃金の不払、遅払いは、昨年の三月以来行政方針としましては、現金があつて賃金を払わんというのは、全部違反として嚴重に取締つております。乃至は現金がなくても、賃金債務が発生しておるのに、他の債権のために金を充当した、その結果賃金が払えんようになつたら、これは違反として取締るという方針を決めまして、賃金遅払いを嚴重に取締りを始めましてから、本年五月で百三十九億程の事件が基準局の手にかかつておりまして、五月末の統計では、百十九億だけ片付いております。現在約二十億が焦げつきと申しますか、基準局の手にかかりながら片付かないという統計になつております。月々基準局で扱います賃金不払事件は、三千件乃至四千件というような件数に達しておりまして、相当監督官の仕事の大部分を賃金遅払いで占めておるというのが昨今の状況でございます。そういたしまして、この基準局に持込まれます事件で片付くのが、大体金額にして八六%、事件にして七四、五%片付くのでありますが、その残りの片付かない分をどうするかという問題でございますが、現金があつても払わんというのを基準局は検事局に送る。御指摘の通り現在の法律によりますれば、賃金遅払い、不払は基準法違反として一件罰金五千円が最高刑でございます。体刑がございません。これがやはり昨年の三月以来、法律の解釈に新たな意見が取られまして、賃金遅払いは労働者一人々々に対する権利の侵犯である、労働組合のように組合として権利を保障されたものでなく、労働者一人一人に保障された権利を侵すものであるから、賃金遅払いは労働者の数だけ罰金を取るべきであるという新たな意見が生まれまして、その方針で私共の方でも送検いたし、検事局でもその方針で処理いたしております。最近の判決例で、労働者の数に五千円を掛けたという、最高の刑を科するというのが出て参りまして、賃金遅払い事件の判決で罰金十万円という事例が起つております。その結果御指摘のように、却つて賃金が払えなくなるというような面が現われつつあります。併しまあ罰金がそういうふうに多額に科せられます場合は、主として現金があつて払わんというような事例が、惡質の使用者によつて行われる事例が相当にあるのであります。併しながらいずれにいたしましても、結果としては使用者が罰金を取られたからといつて労働者の賃金が帰つて来るものではないという点で、労働保護としては直接的でなく間接的なものになつております。この点は御指摘の通り罰金でなく体刑にした場合でも、恐らく労働者の保護が間接的なものになるという点ではなかろうかというふうに考えるのであります。この点で最近までずつと労働省で研究いたしております政府を相手方にする契約における労働条項に関する法律、昨年の国際労働会議で採択されました条約に準拠して作ろうという法律では、從来のように使用者を処罰して間接的に労働者の賃金を保護するということでなく、工事代金の遅払分から未払賃金相当額を事業官庁なり支払官庁が押えて、それを労働者に払込み得るようにすれば、その方が賃金保護としては徹底するのではないかということで、目下その案が研究されております。もともとこの賃金不払は民事の罰であります。民事の債務を払う払わんの問題であつて、民事の問題でありまして、これを刑罰で処理するということにはいろいろの反対意見もございます。近代の法制でこの債務支払を刑罰にするというようなことは外に余り事例がないということで、賃金不払を罰金にするということについても相当有力な反対意見がございますので、これを体刑にすることになれば、又いろいろその方面からの反対意見も出るのではなかろうかと思うのであります。労働保護といたしましては、労働者の賃金を確保するということが第一の問題でありますので、労働省としては体刑問題を同時に研究はいたしますけれども、立法の方向としてはできるだけ直接的に労働者の利益を保護するというような方向を考究する方が適当ではなかろうかと、こう思つて目下研究中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815289X00219500722/29
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030・山花秀雄
○山花秀雄君 今の基準局長の回答でよく分りました。労働者保護という点で、一つ真劍に急速にこの問題の解決に御尽力をお願いいたしたいと思います。
それからこの問題は元来総理大臣に聞けば一番いいと思いますが、幸い労働大臣が来ておりますのでこの機会に一言労働大臣の所信をお聞きしたいと思うのでありまするが、只今は山田議員の方から進駐軍要員に関する朝鮮問題を中心にいろいろ質疑がございましたが、私共は常識的に進駐軍費用と申しまするか、占領費と申しまするか、これは日本の義務付けられたものでありまして、予算に一応計上されてこの義務に服しておるのでありますが、最近のように朝鮮問題を中心に進駐軍の費用はぐつと嵩むということが常識的に考えられるのであります。我々は予算の範囲内で決めた進駐軍費用よりもはみ出た場合に、これを日本が負担していいかどうかという疑義が起きて来るのであります。日本は戦争には介入しない。戦争には超然たる態度をとるのが今日の日本の立場であります。決められた予算の範囲からはみ出る部分は、アメリカと南鮮と北鮮との、この戦争によつて生じた一つの費用だと思うのであります。当然これはアメリカ側が負担していいものと私はまあ考えるのでありますが、この問題に対して政府はどうお考えになつておるかという点を一つお聞かせを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815289X00219500722/30
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031・保利茂
○国務大臣(保利茂君) ひとり私共の所管であります場合のみならず、その種の問題はいろいろな面において、若し今後の事態がこういう傾向を大きく辿つて行くといたしましたならば、そういう事態も考えなければならない。そのことは総理大臣及び主管者において相当考慮しているように私承知いたします。大体お考えのような考え方を持つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815289X00219500722/31
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032・山花秀雄
○山花秀雄君 私は労働大臣がこの問題について直ぐにお答えなさることについては非常にむずかしい立場におると考えております。どうか閣議がございましたならば、労働委員会でこういう意見の質問があつたということを一つ御報告を願つて、政府のこの問題に対する明快なる態度を一つ御決定願いたいと思います。希望を申上げて置きます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815289X00219500722/32
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033・保利茂
○国務大臣(保利茂君) そのようにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815289X00219500722/33
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034・原虎一
○原虎一君 基準監督局長にお伺いしたいのですが、やはり先程山花君の言われた賃金不払の問題、これに対する…………このままで行つたら或いは労働者は賃金では食えなくなつて来ることは想像に難くないのであります。そこで問題は先程御説明、御答弁がありましたように、労働者の権利を保護するという建前から行きますれば、現在の訴訟で民法関係でありますと、即ち仮処分、仮差押をするには、賃金不払に対する仮差押をやる、或いは仮処分をやるということになりますれば、相当の積立金を要する。そういうことは普通の民事訴訟と違うのですから、併し労働者の賃金を今日の法律で確保するには、尤もそれ以外に方法がないが、そういうものをもつと簡易にやれる方法の法律を作るか、或いはその分を政府みずからやる。丁度健康保險の滯納に対して国税の滯納と同様に差押をやる。賃金不払に対しては先ず政府当局が労働者の権利を保護してやる。保護するために債権を確保して置くと、こういう手段を政府が講じなければならんではないか。ですから先程山花君が言われた体刑にしても、これは間接的な保護になり、直接的な保護は、結局他の債権者に押えられ、或いは銀行から押えられる前に、優先的に労働賃金の不払を確保して置くということを政府がすべきではないか。そうしなければ私は、これが景気が回復しますればいいのですが、とにかくそのままにしますればますます賃金不払になる。現にそういう問題が起つておりますのは、埼玉県においては上尾の東洋時計、これなんかは国税滯納が二千万円ある。これを利用して税務官吏が、我々から言いますれば職権を濫用して、その中に介入して労働争議の調停をするというような問題がある。これは国税庁の長官代理に今話がしてあり、大体解決しましたけれども、そういう問題が起つておる。それから現に方々に起つております文寿堂の争議のごときは、五百三十名が今年の二月から賃金を貰つていない。而もそれは軍の命令で立退きを受けておる事業主が、その措置よろしきを得ないから、軍の方で非常に信用をなくして立退料が貰えない。そうして從業員は二月から三月一ぱいの給料はこれは事業主の、事業場の責任で払われなかつた。四月からは立退き問題からこれは不可抗力と称して払つていない。而も銀行が機械の差押をする。債権者が差押えますから、うつかりしておつた労働者の方は五百三十名何も差押える物がなくなる状態になつておる。基準監督署はその示唆も与えないし、指導もしていない。こういう法律がないから示唆もしなければ指導もしない。こういう問題が現われて来ておるわけです。ですから私はやはり簡易に賃金の不払に対しての債権を確保できる手段を労働者みずからとり得るか、或いは政府が代つてやるという方法をとらなければならない。このことはずつと前からも申上げておりますが、まだその点についての政府の御決意がないようであります。今の基準監督局長の御答弁によると、ないようでありますが、そうだとしますれば、やはり本労働委員会において検討しまして、議院提出の法案を作るというふうにでもしなければならん。こういう考えをいたすのでありますが、この点は今基準局長としてはどうお考えになるか、ちよつとお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815289X00219500722/34
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035・寺本廣作
○政府委員(寺本広作君) 御指摘の通り賃金不払、遅払い事件に対する監督署の処置は、現在までのところ非常に消極的なものでございます。既存の訴訟法の下では監督官が現在基準法に基いて使用者を責めたてて払わせるという以外は、有効な方法をとり得ることがないのであります。尤も簡易裁判所では訴訟代理人に裁判長の許可を得れば、弁護士以外の者でもなれる制度がございますが、この制度を使つて監督官に訴訟代理をやらせるということは、現在の状況では非常に困難と思います。具体的にいろいろ研究をいたしておりましたが、現在の法制の下では、監督官が現在基準法二十四条を使つて、使用者を責め立てて賃金を労働者に払わしておるという以上の措置はとり得ない状況でございます。それでは何か政府が直接労働者に代つて簡易な方法で賃金の取立てをして、労働者に渡してやるというような方法が考えられないであろうかということでございますが、この点につきましては、実はアメリカの労働基準局長がアメリカの公正労働基準法施行十週年の報告を国際労働事務局に出しております。その文書の最後の結びのところに、やはり賃金を払わない使用者に対してただ単に処罰をするというだけでは労働者の権利は確保されない、從つて何か行政機関が代つて取立ててやるというような方法が必要であると考えられるということを附加えておる程度でございまして、私共の承知いたしておりますところでは、現在まで労働立法として一般に監督官が賃金、債権を代つて取立てて、簡易な方法で労働者の権利を確保している立法例を承知いたさないのであります。ただ先程申上げましたような、政府が発註いたします工事であるとか、政府が発註いたします物の生産の場合には、政府が代金を支払います際に、未払い賃金なりその請負師乃至製造業者の未払賃金相当額を押えれば労働者にその分を廻し得るということはありますので、政府を相手方にする契約における事業で賃金未払が起りました場合には、実質的に労働者の権利を政府が確保することができるというふうに考えますので、その点は先程山花委員にも申上げました通り、目下私共としては是非それを実現したいということで研究を続けております。それを実施いたしまして、それからその運用の結果いろいろ我々としても将来一般的にその制度をどういうふうに拡げ得るかというふうな経験が出て来るのではなかろうかと思いますが、只今までのところでは、どうも労働立法として外国にもそういう立法例がございませんし、いろいろ工夫研究はいたしておりまするけれども、現在までのところではいい案が出ないという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815289X00219500722/35
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036・原虎一
○原虎一君 責任ある御答弁としてはその程度かと思いますが、事実上労働者の権利である不払賃金を取立てるために今の民事訴訟法によつてやるということはこれは不合理である。この点はもつと簡易に訴訟ができて、法の力によつて少くともどちらにしても、ストライキを賃金不払だからといつてやつても、賃金は来ないと思います。働いておれば尚幾らかは来るかも知れないという程度である。そのうちに債権者が来て会社の財産を皆差押えてしまう、こうなれば労働者は不安である。そうなつてからの労働者の罷業権を行使しようが、それは非常な社会に同情を訴える程度でありまして、罷業の効果というものは削減されてしまつておる。争議の効果というものは削減される。これはやはり基準法に基く使用者側の義務不履行でありますから、これは法によつて労働組合なり労働者が簡単に債権を確保して置くということは考えられることであります。外国に例がなくても、日本くらい賃金不払を図図しくする資本家は例がないのであります。こういう点はやはり日本特殊な法律を作るべきで、法律を作るのは議員の任務でありますから議員がやるべきでありますけれども、直接衝に当つておるところの基準局長は、全国を総合的に観察して、どういう観察を持つておられるかということをお伺いしたわけです。
次に労働大臣にお伺いいたしたいのでありますが、基準局長にもお伺いしますが、先程から例の朝鮮事変による労務の問題でありますが、これは基準法違反云々という問題は、これは非常に事変の根本的な、基本的な考えに及んで来るだろうと思いますが、これはそこまで考えることなくしても、実際の労働強化が行われておる。労働強化が基準法違反であるか云々と言われるが、事実上の労働強化に対する一体正当なる報酬を如何にして保障してやるかということは政府の責任だと思います。この問題を労働組合が取上げて、マッカーサー元帥に要求を出すわけにいかん。從つてやはり政府が、基準法違反であることは勿論でありますが、労働強化の問題が先程言いますように一週間、それは不法監禁ではありませんけれども、一週間泊込み、或いは二週間泊込みで作業をしなければならん。或いは海底電線を敷設するために直ちに命令が出て、逓信從業員が船に乘らなければならん。今までの職業の関係からいやも言えない、こういうことが多く起きておる。從つて問題は、先程労働大臣は、これの予算関係は折角研究中だと言われておりますけれども、これは非常に私は明確を欠いておる。然らば今運輸省の関係だと言われましたけれども、運輸省の方の関係におきますと、すでにも5手当額は決まつて、その金はアメリカにおいて負担するものだと明確になつておることを我々は聞き及んでおる。例えて申しますれば、船長なんかは危險区域内におけるところの航海に対しては一〇〇%の手当が貰える。三十日間勤めれば三十日間一〇〇%の手当が貰える。又危險品を搭載する場合の手当、危險区域内に航海しなくても危險品を積むだけでも五〇%の手当が支給されている。そういうものなどはアメリカの金においてなされる。すでに決まつているのです。こういう事実から考えて見ましても、これは速かに、何も我々は事に乘じて労働者が一銭でも多く取る、ただの十円でも多く取るというような、そういう卑しい根性ではなくして、正当なる労働に携わつて、正当なる支払を受けるために適当な処置をされるということが必要だ。これは先程山田議員から特別発言がありまして、要するに基準法違反はどうだ、強制労働はどうだということを強調せられておりましたけれども、私はそういう問題は勿論言うまでもないことで、政府は事実上労働強化に対する賃金を如何にするか、危險手当を如何にするかという問題までをお考え願わなければならんのではないか。勿論終戦処理費以外のものでありますから、それは今支払がなかろうとも、先にはある筈で、こういう問題は関係当局、実は本日特調の契約部長の御出席を願つたのでありますが、何かこういう問題で関係方面と折衝されるために出席されないということで、恐らく午後には幾らか明確になるのではないかと思つておりますが、ちよつと私はこの海員の方は、労働組合もしつかりしている関係もあるかも知れませんけれども、或いは船主協会がしつかりしている関係もあるかも知れませんが、明確に数字によつて明らかになるところまで来ておる。労働省が余りに遠慮なさる必要はないと思う。もつと明確に法令化することが必要だ。一応この点は希望を附して置きたいと、こう思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815289X00219500722/36
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037・寺本廣作
○政府委員(寺本広作君) 只今御指摘のありました朝鮮事変劾発以来労働強化が行われておる。法律違反の行われないようにすべきは勿論であるが、法律の枠内であつても、労働強化に対しては正当な補償をするように労働省は尽力すべきであるという御意見でございますが、御尤もな仰せであつたと考えます。私共といたしましては、先程申上げました通り、事変が勃発いたしまして以来、時間外労働が非常に殖え、休日労働も殖えております。深夜労働も殖えておりますので、それにつきましてはそれを平常化するようにという申入れを行うのと同時に、その時間外労働、休日労働に対してはそれぞれ基準法で定めておる最低限以上の補償を与えるように申入れを行なつております。現在までその筋の関係官の言明するところによりますれば、朝鮮事変以来行われた時間外労働並びに休日労働、深夜労働に対しては確実に五割増しの賃金を支払つておるということでございまして、尚先程も申しました通り、危險手当の点は船員関係が非常に明確になつておりますのに、陸上労働ではやや立ち遅れの感があるということも仰せの通りでございます。現在までは小銃や大砲類の発射試験の手伝であるとか、それから火薬包装の業務であるとかということに関して危險手当を本俸の一割乃至二割支払つておるだけでございますが、これにつきましては、危險の種類に応じまして更に増額の必要があるものがありはしないかということで、その危險の、災害の防止の措置と併せて目下特別調達庁方面と協議中でございます。労働省といたしましては、御指摘の通り既存の労働法令の枠内で、労務管理が行われるということについて十分注意を払いますのと同時に、労働強化が行われた場合には、それに対する報酬、補償は的確に行われる必要があるということを明確にして、関係方面にもその旨要望するつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815289X00219500722/37
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038・赤松常子
○委員長(赤松常子君) それでは一応外に御発言ございませんようならば、前回からの引続きの失業保險法の一部を改正する法律案に対する質問を終りたいと存じますけれども、時間も参つておりますが、午後続行いたすことにいたしましようか。又次回に讓ることにいたしましようか。如何いたしましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815289X00219500722/38
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039・一松政二
○一松政二君 午後続行はちよつと今日はやめて頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815289X00219500722/39
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040・赤松常子
○委員長(赤松常子君) 外の方の御意見は如何でございましようか。それから尚進駐軍要員の問題で特別調達庁の御出席も願つていた筈でございますけれども、司令部関係の方においでになつたということで御出席が願えなかつたのでございますが、この問題に対してまだ御質問なさりたい方ございましようか。如何でございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815289X00219500722/40
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041・原虎一
○原虎一君 委員長それは私から要求しておつたのですが、私直接会つて話を聞いた上で又、委員会なら委員会で質問します。ですから今日はもうこれで閉会いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815289X00219500722/41
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042・赤松常子
○委員長(赤松常子君) では本日はこれにて散会いたすことにいたします。
午後零時八分散会
出席者は左の通り。
委員長 赤松 常子君
理事
一松 政二君
原 虎一君
波多野林一君
委員
山花 秀雄君
鈴木 強平君
堀木 鎌三君
堀 眞琴君
委員外議員
山田 節男君
国務大臣
労 働 大 臣 保利 茂君
政府委員
労働政務次官 山村新治郎君
労働省職業安定
局長 齋藤 邦吉君
労働省労働基準
局長 寺本 広作君
事務局側
常任委員会專門
員 磯部 巖君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100815289X00219500722/42
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