1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十五年十二月八日(金曜日)
午前十時五十分閣議
出席委員
委員長 冨永格五郎君
理事 小高 熹郎君 理事 川端 佳夫君
理事 田口長治郎君 理事 林 好次君
理事 上林與市郎君
石原 圓吉君 鈴木 善幸君
田渕 光一君 永田 節君
平井 義一君 松田 鐵藏君
小松 勇次君 水野彦治郎君
井之口政雄君
出席政府委員
水産庁長官 家坂 孝平君
委員外の出席者
参議院水産委員
長 木下 辰雄君
農林事務官
(水産庁次長) 山本 豐君
専 門 員 杉浦 保吉君
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十二月七日
水産業協同組合法の一部を改正する法律案(木
下辰雄君外六名提出、参法第三号)(予)
同月八日
水産業協同組合法の一部を改正する法律案(参
議院提出、参法第三号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した事件
水産業協同組合法の一部を改正する法律案(参
議院提出一参法第三号)
中央卸売市場の手数料等に関する件
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001・冨永格五郎
○冨永委員長 これより水産委員会を開きます。
水産業協同組合法の一部を改正する法律案を議題といたします。まず提案者より趣旨の弁明を求めます。木下参議院水産委員長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100904562X00919501208/1
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002・木下辰雄
○木下参議院水産委員長 水産業協同組合法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由を簡単に申し上げます。
本法案は衆議院の鈴木善幸君を通じて本委員会との交渉方を依頼しまして、電波に関する問題と共済会の問題と、二つを議員提出としようじやないか。これは衆議院の方で御提案になつてもさしつかえないが、御相談してもらいたいということで、私どもの方で申し込みましたところが、その答えは、電波の方は衆議院の方から議員提出にする、共済会の問題については参議院から議員提出にしてもらいたいというようなお話がありました。それに基きまして参議院の方ではこの法案を作成いたしまして、司令部の方に出しました。ところがようやく昨日オーケーが参りまして衆議院の水産委員会の御審議上はなはだ御迷惑をかけることになつたのであります。
この法案の骨子は、水産業協同組合も農業協同組合と同様共済事業をなし得るというだけの簡単なる内容であります。しかしそれに関係するいろいろな事業法であるとかいうのがたくさんありますために、十箇条ほどになつておりますが、要は共済事業を完全に行うというのに尽きるのであります。その理由はと申しますと、水産業協同組合並びにその組合員の資産すなはち冷凍、製氷設備、共同販売所、水産倉庫、協同組合事務所その他水産業の生産の用に供する物件が火災、風災、または水災の災害によりまして損害を受けた場合、相互に救済することは、水産業協同組合の経営を安定し、組合員の事業経営の健全化をはかるゆえんでありまして、水産業の振興上きわめて重要なる事柄であると存じます、よつて以上の目的達成のために水産業協同組合及びその所属組合員が結集しまして、水産業協同組合共済会を組織して、相互救済の一手段として共済事業を行わんとするものであります。しかしてこの共済事業は、農業におきましては、農業災害補償法及び農業協同組合法によりまして、すでに実施をいたしておるのであります。しかるに水産業協同組合法では、この改正を行わなければ完全にこの事業を遂行することができないので、今回この法律の改正によりまして、農業と同様にこの共済事業を行わんとするものであります。
次に本法案の内容につきまして簡単に御説明申し上げます。まずその条文の改正といたしましては、第一は設立の目的でありまして、それは水産業協同組合はその経営の安定及び改善をはかるために、災害によつて受けることのある損害を相互に救済することを目的といたしまして、水産業協同組合共済会を設立することができることにいたしたのであります。
第二には事業の内容でありまして、この共済会は会員から共済掛金の支払いを受け、会員が事業の用に供する建物、工作物などが火災、風災または水災によつて生じた損害について、会員に対して共済金を交付するのであります。なおこの事業で保険事業に該当するものにつきましては、保険業法を適用しないことにいたしたのであります。
第三は共済金額の制限及び監督上の指示の規定でありまして、主務大臣は必要があると認めたときは、共済金についてその最高限度を定めることができる。この場合には共済会は当該金額を越えて共済金を交付してはならない、こういうことになつております。また主務大臣は監督上必要な事項を指示することができるのであります。
第四は会員の資格でありまして、すなわち会員は共済会の地区の全部、または一部を地区三する水産業協同組合のすべてが加入することができるのであります。また定款で定めますれば、その所属組合員も加入することができるのであります。
第五は定款に記載すべき事項を規定しております。
第六には発起人は水産業協同組合の二十以上が発起しなければならないのであります。
第七は設立認可の場合の条件、及び解散の効力、その他準用条文を規定したのであります。
以上申し述べましたほかに、共済会の事業については商法中、損害保険に関する規定を準用いたし、会員、管理、設立、解散及び清算等につきましては、漁業協同組合に関する規定を準用いたしました。さらに主務大臣が共済金の最高金額を定めました場合に、これに対する違反につきましては罰則を設け、登記、監督の規定につき、以上の改正に関連して必要となつた若干の改正を行つたのであります。
以上が提案の理由及び要旨の概要でございます。参議院の水産委員会におきましては、今日の委員会に委員長報告をいたし、満場一致可決するものと決定いたした次第であります。どうぞ御審議をせられ、はなはだ会期も差迫つた今日ではありますけれども、事案そのものが非常に急を要しますので、何とぞ至急に本院を通過しまするように、特別の御詮議をお願いいたします。なお内容につきまして御質問がありましたならばお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100904562X00919501208/2
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003・冨永格五郎
○冨永委員長 ただいま木下参議院水産委員長から詳細な説明を承りましたが、午後本委員会を再開した際に、さらに審議を続行することにいたしたいと思います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100904562X00919501208/3
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004・冨永格五郎
○冨永委員長 次に先日鈴木委員からの御意見がありました中央卸売市場における手数料に関する問題を議題に供します。
この場合委員会から要望をいたしたいと思います。
中央卸売市場における卸売人の手数料は十二月四日農林大臣の裁定によりとりあえず最高六分として十二月五日より実施することに決定を見た模様であるが、急迫せる漁業経営の実情に鑑み政府は、手数料の値上げの前提要件たる漁民生活の確保と漁業経済の安定を期するための諸施策をすみやかに確立されるよう要望する。
記
一、水産金融対策の確立
(イ)漁業災害補償制度の確立
(口)漁業手形制度の整備強化
(ハ)長中期生産設備資金融資の対策
二、魚価維持対策の急速実施
(イ)生産地並びに主要消費地における製氷、冷蔵網の整備
(口)水産物貿易の振興対策の確立
三、漁業経営費の軽減に関する対策決定
(イ)燃油、綿製品、マニラ製品等漁業資材の価格の引下げ
(ロ)右主要資材の量的確保
四、水産物流通機構の根本的刷新
以上であります。これに対する水産庁長官の答弁を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100904562X00919501208/4
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005・家坂孝平
○家坂政府委員 手数料の値上げに関しまして、これはひいては結局生産者たる漁民の生活にも非常に影響のあることでもありまするので、水産庁といたしましては、この前提条件といたしまして、ただいま考えておりまする諸施策をここに簡単に申し上げてみたいと思います。
まず水産金融対策でありまするが、漁業災害補償制度の確立につきましては、かねて国会よりの要望もありまして、政府において鋭意研究を重ねて来たところでありますが、次期国会におきまして農林漁業融資特別会計法案の提出を機会に、漁業災害復旧融資の道を開いて、災害補償制度確立に資するよう努力いたしたいのであります。また漁業手形制度の整備強化につきましては関係当局と鋭意折衝を重ねて参りましたが、次期国会におきましてその法案を提出し、漁業手形の担保である積立基金に対する財政的措置につきましても考慮して行きたいのであります。
中長期生産設備資金の対策でありまするが、水産関係中長期生産設備資金に関しましては、対日援助資金の活用、農林中央金庫よりの貸出し等について努力いたしたいのであります。
それから魚価維持対策の急速実施の点でありまするが、漁獲の豊凶が魚価に与える影響を調整するためには、鮮魚介の鮮度保持、保蔵並びに加工の施設を整備することは最も緊急と認められまするので、生産地におきまして製氷冷蔵の施設を充実し、消費地におきましても、入荷量の調節をはかるための冷蔵庫を整備する必要があるのであります。見返り資金のあつせんによりまして、これらの施設の整備拡充をはかるつもりであります。すでに本年度におきまして見返り資金一億円のわくを水産物高度利用施設のため確保し得たのでありますが、さらに農林水産用の残つたわくもありまするので、極力これを魚価維持施設のため充当するよう努力いたしております。
水産物の貿易振興についてでありますが、来年度予算におきましてその経費を確保すべく計上したのでありますが、遂に目的を達成することができなかつたのであります。輸出水産物の各種類別に通産省と連繋を保ちつつ、貿易業者をして不合理な安売りの防止、無暴なる競争の排除等、業者が自主的に協調するよう指導するとともに、在外事務所を通じ、海外の情報を積極的に収集しまして、生産者並びに貿易業者に周知せしめ、商機を逸しないように努力しているのであります。また通産省と連絡いたしまして、諸外国と締結せられる貿易協定中水産物を輸出品目に加えるよう特段の措置を講じております。なお輸出水産物の品質の確保につきましては地方庁の水産物検査所を動員いたしまして、海外の要望にこたえ、規格品の生産に遺憾なきを期する所存であります。
漁業経営費の低減に関する対策につきましては、燃油、綿製品、マニラ製品等、漁業資材は、主として海外からの輸入に仰ぐものでありまして、国際物価の変動は避け得られないのでありますが、その価格の引下げにつきましては極力尽力して参るつもりであります。
なお漁業用塩の価格引下げにつきましては、国会の援助を得まして特別価格の実現するように努力いたしております。
水産物流通機構の根本的刷新についてでありますが、本問題につきましては、中央卸売市場法の改正案を次期国元に提出いたしまして、水産物の合理別価格の形成、公正明朗な市場の実現年はかり、真に漁民の利益に合致する流通機構の確立を期する所存であります。なお市場における価格と末端消費者価格との遊離をできる限り調整し得るような組織を確立したいと考えまして、開設者ともいろいろ話合いを進めておるような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100904562X00919501208/5
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006・鈴木善幸
○鈴木(善)委員 手数料引上げの前提条件でありますところの漁業経営の安定並びに漁民の生活の確保に関するところの諸施策を、ただいま長官より力強く御説明に相なつたのでありますが、私どもはこの長官の国会における言明は、行動の責任を持つものでありまして、ただいま御披露になりました政策を、今後強力に御推進あらんことを期待してやまないものであります。またこの手数料問題につきましては、生産肴並びに消費者大衆も重大な関心を持ち、その影響するところも非常に大きく、かつ広汎でございますから、今回最高大分とするところの手数料の引上げが、一応農林大臣の裁定によつてきまりました機会に、ただいま長官から御説明にありましたような前提条件である諸政策を、農林大臣はその政治的責任からこれを公約して実行するものであるということを、談話の形において全国の漁業者並びに消費者諸君に対して、その所見を発表することが適切であると思うのであります。
わが党内閣は漁業の安定と漁民生活の確保のためには、党をあげて異常なる努力を払つておるのでありますが、このような燃油の値上げ、あるいは手数料の引上げ、こういうような諸情勢が惹起いたしますならば、わが党内閣の政策について、漁業者から誤解を招くようなおそれなしとしない際でございますから、委員長並びに水産丘長官におきましては、大臣ともよく御協議いただきまして、この際農林大臣の談話によつて、十分政府の考えておるところを全国の漁民並びに一般の国民大衆に明確にすべきであろうと思うのであります。このことを特に要望しておく次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100904562X00919501208/6
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007・冨永格五郎
○冨永委員長 了承いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100904562X00919501208/7
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008・井之口政雄
○井之口委員 ただいま中央卸売市場における手数料の値上げについて、その前提条件として、漁民生活の確保と、漁業経済の安定に対する、要望が出ております。これに対しましてひとつお尋ねいたします。
第一こういう手数料の値上げ最高六分をすでに十二月五日から実施しておるということそれ自体が、委員会において今までこの値上げに対して反対して来たことを押し切つてやつておるわけであります。でありますからして、これを事後に承認するというふうな形でなくして、むしろこういうものに徹底的に反対し続けるという態度がとらるべきものではないかと思うのであります。さらに漁民生活の確保と漁業経済の安定として、長官はただいま水産金融対策、魚価の維持対策、第三番目に漁業経営の経営費の軽減に関する対策、それから流通機構の根本的刷新、こういう四項目を上げておられます。ところがこの四項目は一番かんじんなものをなくしてしまつておる。と申しまするのは、たとえば大水産会社において、大資本で経営しておるところにおきましては、漁業労働者の生活確保に対して、何らの考慮が払われていないという点であります。この人たちに対してもつと徹底的な考慮が払われなければならないのに、そういう重大なることがここから抜けておる。さらに零細漁民は、今日もう配給もとれないというふうな人たちがたくさんおる。さらに税金——地方税の問題においてもこの人たちは払えないで困つておる、そういうふうな重要なる今日の零細漁民の衰頽状態に対して何らの規定がない。なるほど経営費の軽減で、あるいは燃料その他のものの価格は幾分引下げられ、または流通関係でも幾分の考慮は払われるというふうなことがあつて、間接的に利益を得る点はありましよう。しかしながら、零細なる漁民が直接受けておるところのこの打撃に対して、何らかのもつと積極的な方針がここに考慮されなければならないのではないか、こう思う次第であります。もしこの四項目だけを実施するとしますならば、おそらく大きな漁業資本家に対しては非常に有利であるが、そういう方面にこれはむしろ利用されがちであつて、中ぐらいのところはごくわずかこれに均霑し、零細漁民においてはほとんど均霑する点がないのではないか。こう考える次第でありますが、その意味におきまして、この項目の最初に、漁業労働者並びに零細漁民の生活の確保、並びに経済の安定というものをもつと考慮されて、方針を確立されんことを要望する次第でございますが、これに対してどう考えられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100904562X00919501208/8
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009・石原圓吉
○石原(圓)委員 この四項目に対する説明がありましたが、この四項目なるものは、一分の値上げをしなくても当然やらなければならない事柄であります。これをもし市場が六分に値上げをしなかつたとしたら、当局はやらないのか、ここにこういう議論が起つて来るのであります。私どもは、こらの問題は一分値上げをしようとしまいと、絶対に当局がやらなければならぬ問題であると思う。「分値上げによつて生ずる事柄は、その一分の金を積み立てて、そうして金融を円滑にして、生産者に好影響を与えるということは、この過剰になつておる荷受け機関、市場開設者の整理統合をするとか、また市場の付近に生産者、漁業従業員等の福利施設をするとか、そういうような事柄において、一分値上げをすることの特殊の事情に対する施設がなければならぬと思うのでありますが、一体それは、どうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100904562X00919501208/9
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010・家坂孝平
○家坂政府委員 お答えいたします。ただいま前提条件として申し上げましたものは、もちろんこれで全部を尽しておるものではないのであります。なおその他にもいろいろ一分値上げをして、市場の状態を健全化せしめて、そしてこれがひいては生産者の稗益するところともなるという考え方でおるのでありまして、なお直接的にいろいろこの一分値上げをすることに対しまして、市場側に要求するところ、あるいは政府側において、やらねばならぬ方策、そういうものは実は昨日の委員会でも報告の内容にも御説明したと思いますが、いろいろの施策を考えておりまして、政府といたしましては、早急に市場法の改正をはかる措置を講ずるということも申し上げております。それからなお焦げつきの資金といつたものを解除するために特別なる融資をはかつて行つて、そうして卸売業者の健全化をはかつて、これがひいては生産者にも稗益するところに持つて参りたいということも考えております。それから市場の開設者に対しましては、卸売人の整理をただちに断行する、それからその業務の充実をただちにはかつて参る、産地荷主に対する未払金の返済を早急にやつて行く、売掛金等の回収も迅速にはかる、なお仕切金の早期決済ということにつきましても、急速にできるような措置を講じて、そうして市場の明朗化をはかつて、これがひいては生産者の利益増進になるように開設者にやらしめるというような施策も、いろいろ考えまして、すでにこの点につきましては、ぜひ断行するようにということで、開設者とも話を進めている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100904562X00919501208/10
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011・石原圓吉
○石原(圓)委員 ただいま申されましたような説明の事柄の——一分の値上げということは、現実に生産者が一分の金を支出することでありまして、この施行の日より生産者がそれだけよけいに現実に支出することでありますから、このときにおいて、市場関係開設業者と具体的なとりきめがなければいけないと思うのであります。ただいまの長官の御説明では、こういうことをやれ、ああいうことをやれということを条件をつけたような言葉でありますけれども、それが具体化しておらぬ限りは、市場の開設者が実行することは、とうてい信じられないと思うのであります。その信じられる方法を講ずると同時に、一分の値上げをするということにおいてのみ、隻方の相互的な条件がそこに備わると思うのであります。ただ出す方のみは認めて、そうして彼らに対する義務制を何ら具体的にせぬということは、はなはだ生産者に対して不親切であつて、生産者を思わないことはなはだしいと私は思うのであります。一分というものは現実にここに数字に現われている。それに交換するところの生産者に与えるものは何ものがあるか。このことが具体的にならない以上は、私は絶対に納得できないのであります。この四つの条項というものは、一分二分にかかわらない問題である。水産庁及び農林省としてやらなければならぬ問題である。これをもつて交換的なことのようにしてお茶を濁すというような御意向には、絶対に服従できないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100904562X00919501208/11
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012・井之口政雄
○井之口委員 さつきの値上げは不当だと私が言つたことに対する答弁を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100904562X00919501208/12
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013・家坂孝平
○家坂政府委員 この一分の値上げの点につきましては、私どもといたしましても数学的にいろいろ検討いたしまして、本年の三月までの決算内容につきましても検討し、なお統制撤廃されました四月以降九月までの経理内容につ書しても、いろいろ検討いたしまして、大体六分の線であればこの卸売業者というものが健全なる経営をなし得る、そうしてこれをもつて生産者の便益もはかつて行くことができるというような見通しをつけまして、それでこの六分というものの裁定ができたのであります。もちろん生産者と、これが委託販売を承つております荷受け業者というものは脣齒輔車の関係にあるのでありまして、片一方が健全化すれば片一方の方にもその健全化の反映することは当然でありまして、お互いにこの健全化をはかりながら進んで行くということが、必要なのではないかと考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100904562X00919501208/13
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014・井之口政雄
○井之口委員 次に零細漁民と漁業労働者は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100904562X00919501208/14
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015・家坂孝平
○家坂政府委員 その点につきましてはここに明記はしておりませんけれども、結局こういう施策を施して参りますれば、ひいては企業体が健全化するのでありますので、一般の漁民にとりましても、零細漁民にとりましても、やはり生活の安定を確保することができるのではないかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100904562X00919501208/15
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016・井之口政雄
○井之口委員 ただいまの長官のお話は、どうもわれわれは承認できません。ひいては漁業労働者へも、または零細漁民へも利益になるというような断定でありましたが、たとえば市場の手数料が一分値上げされますと、生産者は直接それだけ打撃を受ける。そうすると、その打撃は自分の使用しているところの労働者の方に転嫁して参るのであります。転嫁して来て、なるべくその損害を免れようとするが、零細漁民の方はそれに抵抗する力が足りませんから、どうにも方法がなくなつて、この負担は直接かかつて来るのであります。それに対する何らかの保障がここに規定されて、初めていわゆる手数料の値上げの前提要件という条項が成立つわけでありますが、それなくして六分の値上げをやりましたならば、これは当然ここに働いている漁業労働者並びに零細漁民の方に、大きな負担としておつかぶさつて来る。しかるにそれを防止する何らの方法もないというのが、この四項目となつて現われておる次第であります。この六分の損害を漁業生産者全体が直接ただちに受けないようにというような、先ほどの石原委員の御意見もありますが、そういう方法をとりましたならば、そつちの方に負担は来ないでありましようけれども、六分というものを許す以上は、漁業労働者並びに抵抗力の弱い零細漁民の方に必ずおつかぶさつて来る。もしかりにここで四項目が実行できましても、それは一部の中並びに大きな資本家は利益を受けますけれども、しかし零細なる漁民が直接利益を受けるという性質のものではないと思いますが、この辺はいかがでありましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100904562X00919501208/16
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017・家坂孝平
○家坂政府委員 一分を値上げいたしますということは、結局卸売機関の健全化をはかるということに相なるのでありまするが、今まで経済的にも非常に窮迫しておりました卸売機関も、内容あたりを問い詰めて参りますと、かなりむりなやり方でやつておるような面もあるのであります。そういつたことは生産者に対しましても非常に不都合千万なことでありますので、これを健全ならしめて参りますれば、ひいては生産者側にも稗益するところが多分にある、かように考えておるのであります。
なおただいま施策の一端を申し上げましたその四項目でありますが、この施策が十分効果を上げますならば、各企業者——大企業も、中企業も、小企業も、非常に健全なる企業形態に発展するのではないか、かように考えておりますので、これはひいては各企業に従事しておりまする従業者、あるいは零細な漁民にいたしましても、安定生活を確保するために非常に稗益するところがあるのではないか、かように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100904562X00919501208/17
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018・林好次
○林(好)委員 漁船保険の問題で水産庁長官にお伺いいたしたいと思いまするが、漁船保険の組合の区域の範囲の問題であります。これは内地方面はどのようになつておるかわかりませんが、北海道は御承知のように非常に区域が広うございまして、従来は支庁単位に漁船組合を結成いたしまして、その支庁単位に委譲して参つたわけでありますが、水産庁からそれを何か道単位に一本に統合しなければならぬというような事情があつて、北海道庁に指令を出されたかどうかということを、まずもつてお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100904562X00919501208/18
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019・家坂孝平
○家坂政府委員 道一本にしなければならぬという指令を出したことは、私は今聞いておりませんが、多分ないのではないかと思います。ただ御参考に申し上げておきまするが、関係筋あたりでは、漁船保険組合の力を強化するために、でき得るならばまとめてやつたらどうだろうというような話があつたことはあるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100904562X00919501208/19
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020・林好次
○林(好)委員 ただいまここにおられます方が北海道から陳情に参つておるわけでありますが、十一月の十五日の北海道の漁船組合長会議におきまして、突如として北海道庁から、この漁船組合は従来支庁単位でやつておつたのであるが、今度は全道一本に統合する、こういうような提案があつたそうであります。しかしながらただいま申し上げましたように、北海道はおのおの地区的に事情を異にしておりましてはたして全道一本にすることによつて、本事業の拡充強化ができるかと申しますと、かえつて弱体化すると私どもは考えるわけであります。従いまして、北海道に十一の漁船保険組合があるわけでありますが、その中の九組合が、この北海道庁の全道一本に統合するという案に対しては絶対に反対だという陳情に来ておられるわけでありまして後刻水産庁長官にも陳情がされるはずでありますが、ただいま申し上げましたように、全道一本にいたしますことは、北海道の実情に沿わないことでありまして、漁船保険組合の発達を阻害するものであると私どもは確信するものであります。この点を十分に御考慮願いまして、もし北海道庁があやまつた指導をするような考え方を持つているとしますならば、水産庁としてはつきりした指令を出していただきまして、そのような間違つた考えは是正していただきたいと思うのでありますが、長官の御意見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100904562X00919501208/20
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021・鈴木善幸
○鈴木(善)委員 関連して……。ただいま林委員から、北海道の漁船保険組合のことにつきまして、北海道の漁船保険関係者並びに漁業者の、道庁が突如として提案された道内を一本に統合する措置について反対の陳情を御紹介があつたわけでありますが、私ども漁船保険の今後の重点は、民間の営利保険会社がなし得ないところの、零細な漁業者の小型漁船をできるだけ多くこの保険組合に加入せしめまして、国家がそれに再保険をしてこれを擁護するというところに保険組合の使命があり、かつ今後の方向があると思うのであります。今後五トン、十トンというような小型漁船を、できるだけ多く保険組合に加入せしめますためには、北海道のような地域の広大な、東北六県に新潟県を合せたような大きな地域に、しかも交通その他不便な北海道におきましては、道一本の保険組合では、前述いたしましたところの多数漁民の漁船を加入せしめるということは、かえつて不都合を生ずるのではないか、動脈硬化になるおそれがあるのではないか。このことを私どもも憂えるものであります。北海道庁は、これを一本にして、官僚支配を強化しようというような意図が十分察知いたさるる次第でありまして、水産庁当局におきましては、漁船保険のあり方、特に高度の社会性を持つことによつて、国の再保険の趣旨が初めて生きるのでありますから、漁船保険行政の根本を忘却せずに、漁業者の盛り上る熱意によつてこの保険組合を指導されるよう、その見地から北海道の方々の陳情は妥当であると私どもは考えるのであります。長官の御意見をあわせてお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100904562X00919501208/21
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022・家坂孝平
○家坂政府委員 ただいま鈴木委員からもお話がありましたように、漁船保険の強化をはかつて参りまするために、加入者を増加するには、非常に零細なる漁船を対象としておりまする関係上、普通一般の海上保険というようなものに比較いたしますと、その機構というものが非常に問題になつて来るのであります。私ももちろん、普通の保険会社のように、大地域を一つの保険会社が扱うようなぐあいには、漁船の方は参らぬということは痛感しておるのであります。ただあまりに数が多く、ことにその資産内容にしろ、財力などにつきましても、弱小過ぎて非常に不便をしておるというような特別な場所でもあれば、これはまた合併をするというような考え方が出るかもしれぬと思いますけれども、ただいまの鈴木委員の言われました根本的な考え方につきましては、私も同意見であります。
それから林委員からお話のありました北海道の問題でありまするが、これはなお保険課長ともよく話合いまして、十分実情を聞きまして善処したいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100904562X00919501208/22
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023・冨永格五郎
○冨永委員長 午後一時より再開することにいたしまして、この際暫時休憩いたします。
午前十一時五十分休憩
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午後三時四十一分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100904562X00919501208/23
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024・冨永格五郎
○冨永委員長 午前中に引続き会議を開きます。
閉会中審査の件についてお諮りいたします。今日をもつて今会期は終了するのでありますが、本委員会におきましては参議院より提出されました水産業協同組合法の一部を改正する法律案を審査中であります。現在のところ会期は延長されるかどうかわかりませんので、もし会期が延長にならなかつた場合は、閉会中審査の申出を議長に提出いたしたいと思いますが御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100904562X00919501208/24
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025・冨永格五郎
○冨永委員長 御異議なしと認めます。さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後三時四十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100904562X00919501208/25
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