1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十六年三月二十八日(水曜日)
午後二時七分開議
出席委員
委員長 藥師神岩太郎君
理事 内海 安吉君 理事 田中 角榮君
理事 村瀬 宣親君 理事 前田榮之助君
淺利 三朗君 今村 忠助君
小平 久雄君 瀬戸山三男君
西村 英一君 中島 茂喜君
増田 連也君 佐々木更三君
池田 峯雄君 寺崎 覺君
出席国務大臣
建 設 大 臣 増田甲子七君
出席政府委員
建設事務官
(河川局次長) 伊藤 大三君
経済安定事務官
(建設交通局次
長) 今泉 兼寛君
委員外の出席者
大蔵主計官 佐竹 浩君
建設事務官
(河川局防災課
長) 賀屋 茂一君
建設事務官 前田 壽雄君
専 門 員 西畑 倫君
専 門 員 田中 義一君
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三月二十四日
委員小平久雄君辞任につき、その補欠として塚
田十一郎君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員塚田十一郎君辞任につき、その補欠として
小平久雄君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した事件
小委員及び小委員長選任に関する件
公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法案(内
閣提出第一二九号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X01619510328/0
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001・藥師神岩太郎
○藥師神委員長 これより会議を開きます。
この際お諮りいたしますが、請願の審査につきましては、その数においてはなはだ多く、また質においてまことに重要なものがございますので、この際請願審査に関する小委員会を設けまして、ただいままでに議決いたしました部分を除いた請願全部と、陳情書全部について慎重に審議することにいたしたいと思います。御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X01619510328/1
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002・藥師神岩太郎
○藥師神委員長 御異議なしと認めます。それでは請願審査に関する小委員を指名いたします。
内海 安吉君 小平 久雄君
鈴木 仙八君 田中 角榮君
内藤 隆君 増田 連也君
前田榮之助君 池田 峯雄君
以上八名の方を指名いたします。なお小委員長を指名いたしたいと思いますが御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X01619510328/2
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003・藥師神岩太郎
○藥師神委員長 御異議ないようでありますから、小平久雄君を指名いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X01619510328/3
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004・藥師神岩太郎
○藥師神委員長 次に本日本委員会に付託されました、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法案を議題にいたします。まず政府側より提案理由の説明を求めます。増田建設大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X01619510328/4
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005・増田連也
○増田国務大臣 公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法案について提案の趣旨と内容の概要を御説明申し上げます。
わが国は地勢及び気象等の関係から、古来有数の災害国でありますが、ことに戦時中の国土の荒廃等に基因いたしまして、終戦後災害が連年相次いで起り、その被害は驚くべき巨額に達しております。しかして公共土木施設の災害はその大半を占めておりますが、その復旧費は地方公共団体の負担に属しまする関係上、一面において地方の財政に過重な負担を課することとなり、地方財政を破綻に瀕せしめるおそれがありますのみならず、他面においてこれがため迅速にして適切な復旧事業の遂行を不可能ならしめ、災害を累増せしめる大きな原因となつておるのであります。御承知のごとく一昨年シヤウプ使節団の勧告の次第もありまして、昭和二十五年度は公共土木施設の災害復旧事業は、合理的な恒久的負担制度を確立するまでの暫行措置として、とりあえず全額国庫負担の特例を設けることになりました。その後地方行政調査委員会議において、シヤウプ勧告を基礎にして恒久的制度の調査審議に力をいたされておりましたが、昨年十月、国会及び政府に対しまして、これに関する勧告を提出されたのであります。政府におきましても、かねて窮迫した地方財政の現状と、激甚な災害の頻発とにかんがみまして、地方の財政能力に即して災害のすみやかな復旧をはかり得ますように、復旧費の国と地方との間における負担関係を合理的に調整することの緊要なるを痛感いたしまして、関係各省において、審議検討を重ねていたのでありますが、さらに勧告を受けましたので、その趣旨を尊重しながら、現在の国家財政の実情を勘案いたしまして、愼重検討を加えました結果、成案を得ましたので、ここに法律案として御審議を願うことにいたした次第であります。
以下法案の大要を申し上げますと、第一に本制度の対象とする災害復旧事業は、地方公共団体またはその機関の維持管理に属する河川、海岸、砂防設備、林地荒廃防止施設、道路、港湾及び漁港のうち、政令で定める公共土木施設の災害にかかるものでありまして、災害にかかつた施設を原形に復旧することを原則といたしますが、これが不可能な場合におきましては、当該施設が従前の効用を復旧するための施設をすることとし、かつ原形に復旧することが著しく困難、または不適当な場合には、これにかわるべき必要な施設をすること、すなわちいわゆる超過事業をあわせて行うことができるものとし、また一箇所の工事費は、二十五年度の特例通り十五万円以上とすることといたしました。
次に国庫負担率は、各地方公共団体の一箇年の災害復旧事業費の総額を当該年度の普通税の標準税収入見込み額と比べまして、その二分の一までは三分の二、その二倍までは四分の三、それ以上は全額と、逐次に負担率を増加して、個々の地方公共団体の財政力に適応して算定することといたしました。もつとも超過事業費については、一般の改良事業費に対する負担率と同率とするものであります。北海道につきましては、同地が現在なお開発途上にあり、従来災害復旧事業費については、八割補助をしておりました事情を勘案いたしまして、当分の間、暫定的に特例を設けることとし、五分の四に満たない場合には、五分の四とすることといたしました。なお昭和二十五年以前の災害による復旧事業費で、主務大臣の決定を受けたが、国庫負担金の未交付のものにつきましては、昭和二十五年度の標準税収入を基礎として、各年の災害復旧事業費の総額ごとに前述の同様の方法により負担率を定めまして、その残事業費の負担率とするものであります。地方行政調査委員会議は、この法律に規定した事業のほか、災害復旧事業費の支十年度の限定、予算計上方法及び特別会計の新設等に関しても、勧告いたしておるのでありますが、国家財政の現状からいたしまして、時期尚早と認めまして、今回は採用いたさないことといたしました。
以上申し述べましたように、この法律は、公共土木施設の災害復旧事業費について、地方公共団体の財政力に適応するように、国の負担率を定めまして、災害のすみやかな復旧をはかり、もつて公共の福祉を確保せんとするものでありまして、何とぞ十分御審議あらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X01619510328/5
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006・藥師神岩太郎
○藥師神委員長 これより質疑に入ります。質疑は通告順によつてこれを許します。村瀬君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X01619510328/6
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007・村瀬宣親
○村瀬委員 ただいまの御説明によりますると、本法律案は、地方公共団体の財政力に適応するように、国の負担率を定めたとあるのでございまするが、はたしてそうであるかどうであるか、昨年は全額国庫負担であつたのでありますけれども、それによつて地方財政が非常にゆたかになつて余裕を生じたという地方団体を聞かないのであります。そこでお伺いしたいのは、政府は地方公共団体の、たとえば二十六年度を例にとりまして、その全国の総額におきまして、どれだけの負担力を地方公共団体が持つておるとお見込みを立てたのでありまするか、つまり税収入はどれだけまで全部とれて、災害はどれまで復旧ができて、それに対する地方起債はどれだけを認める、だからこういうふうに直しても十分地方はやつて行けるのだという断定をお下しになつた根拠を承りたいのであります。われわれは地方平衡交付金等についても、いろいろな主張をいたしておるのでありまするが、政府と所見を異にいたしております。これの点に対する全体のわくから、この法案がはたして御説明の通りのものであるかどうかという総わくから御説明を承つてみたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X01619510328/7
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008・増田連也
○増田国務大臣 地方財政の負担力に適応して災害の国庫負担をいたしたい、こういう趣旨を先ほど以来申し上げた次第でありまして、もとより村瀬さんの御説のごとく、本年度のような全額国庫負担から、ああいうわくから見ますと、地方財政の負担力というものは、現在ないのであるから、それは貧弱なのであるからして、この言葉は当らない、こういう御説も立ちます。しかしながら従来の、去年までのような一律に三分の二ということでは、地方財政の負担力に応じた一定のわくとは言えないわけでありまして、今日われわれのこの法律によつて設けんとするわくは、災害の額が地方の財政収入の、ことに税収入の、半分以下である場合は、なるほど額が少いからして、三分の二でもよろしい、しかしそれ以上二倍に至る間は、四分の三ぐらい国庫で持つべきである。さらにそれ以上の災害復旧費を生じた場合は、全額国庫で持つべきである、こういうふうにいたしまして、もとより絶対的の見地から見ますと、一般論としては、地方財政はそう豊富とはいえません。もとより窮迫に瀕しているということも一概にはいえませんが、相当程度負担力というものは、終戦後は減殺されておりまするから、その負担力に適応して災害の国庫負担率を設定せんとするものでありまして、この言葉は、私はあえて言い得るのではないか、こう考える次第でございます。それからなおもとより九百数十億も過年度災害がございます。そのうちできれば全額の事業費を本年度支出してしまいたいのでありますが、御承知のごとく、三割、五割、二割というような一種の比率で、従来でき得る限り国庫で負担いたしたい、また災害復旧をいたしたい、こう考えておりますが、国家財政の関係もあり、率直に申すと予算もそうありませんものですから、予算をもらつた範囲においてべストを盡しておる、こういうわけでございます。こまかい数字のことは九百億が幾らになるか、本年度の事業費を行えばおそらく五、六百億にはなる、こう考える次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X01619510328/8
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009・村瀬宣親
○村瀬委員 ただいまの御説明を承りまして私は了解が行きかねるのであります。前回も他の委員からお尋ねがあつたと思うのでありますが、はたして地方公共団体の財政力に適応するように本法をおきめになつたのであるか、今の御説明によると、予算というようなお言葉が出ましたが、国の予算に合せてこの法律をおつくりになつたのであるか、私が今まで御説明を聞くと、そういう疑問を新たにいたします。この法案をおつくりになるときの良心的な気持をまず承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X01619510328/9
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010・増田連也
○増田国務大臣 村瀬さんに後段と前段にわけて御答弁申し上げておる通り、前段に御答弁申し上げた趣旨は、このわくというものは地方財政の負担力に順応し得る絶対的の見地からきめたわくであるということを一応申し上げておきました。しかしながらこのわくによつても、ほんとうはできればどんどん予算を獲得して、そうして災害復旧費が残存しておるということはおもしろくないのですから、出すべきだ、その点について、三百億とかあるいは三百二十億とかいうことにとどまつておることは、私は非常に残念に存じております。このことは率直に申し上げます。しかしこのわくを基礎として、ほんとうは四百億も五百億も、六百億までもとるべきだ、また大蔵大臣もくれるべきである、こう思つております。しかし国家財政の全体の見地から見て、まずこれ以上は出しがたいということで、私も池田君もあきらめておる、がまんしておる、こういう状態であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X01619510328/10
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011・村瀬宣親
○村瀬委員 いま少し数字をお示しいただきまするならば、この法案審議に非常に焦点がはつきりして参ると思うのでありますが、たとえば限度を標準税収入の二分の一から二倍というところに線をお引きになりました。これは二分の一から一倍のところで線を引いてもよいわけであります。科学的根拠はないわけであります。また三分の二、四分の三、四分の四というふうにおきめになりましたけれども、これも四分の三から初めてもよろしい、そして五分の四、五分の五としてもよいわけであります。そういう根拠を数字でただいま御説明になれば、なるほど二倍の線を引いてある、一倍ではいかぬ、二倍の線を引いていいのだという了解もできます。数字をお示しになれば、四分の三から始まつてはいかぬ、三分の二から始まるべきだなという証明がわれわれにできるわけであります。しかし数字の御説明がない以上は、去年は全額であつたのだから、最初の補助率を四分の三から始めてもよいのじやないか、こういうことを考えるわけであります。三分の二で十分地方公共団体はゆたかなのだという根拠をお示し願えれば、われわれは安心してこの審議が進められるのであります。従つて去年は全額であつたために、地方公共団体がこんなに財政上のゆとりがあつた、あるいはことしは平衡交付金をこれだけふやしたから、全額を三分の二にしても地方財政は困らぬのだ、あるいは補助は非常に減つたけれども、起債のわくを大幅にふやしたから地方、財政が十分これでやつて行けるのだ、その二つのどれかの理由をはつきり承らぬことには、私はこういうふうな線を出した根拠の了解に苦しみますので、その御説明を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X01619510328/11
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012・増田連也
○増田国務大臣 数字のこまかい点はあとで調査してお答え申し上げることにお許しを願いたいと思います。ただ村瀬さんもよく御存じの通りに、去年は四百億でありました。その過年度分の四百億というものはすべて出し切りにいたして、これは全額国庫負担であります。そこで全額国庫負担によつて災害町村がどれだけ助かつたか、どこへ向けたかというような御質問でありますが、これは地方自治庁も、あるいは地方財政委員会も調査しろということでしたら、私は今即答する能力はありません。しからば調査すればそういう事例が出て来るが、たとえば長野県の伊那町が非常に災害を受けた、そこで去年は全額国庫負担をしてもらつたのだから相当助かつているはずだ。文教施設なり社会施設に金が出たはずだ。その数字を全国的に推算して出せ、こうおつしやられても、これはなかなか困難であろう、こう思つております。というのは伊那町自身がかりに一千万円の災害を受けた。その一千万円のうち去年はおそらく十二、三パーセント、百二、三十万円が全額出ただけなので、あとの八百七十万円というものは、伊那町の未執行の事業、あるいはかりに伊那町が一時金融を受けたならば、一時金融で借金になつています。元来全額が百二、三十万円来たのだから、その金は浮いておるのだから、伊那町の学校の方へまわしておいた。そこのところを全国一万一千の市町村を調べて出せと言われても、これは地方自治庁も、あるいは地方財政委員会もなかなか困難ではないか、もとより調査はいたしますが、村瀬さんのおつしやりたいことは、去年の全額負担というのは、これはまことにけちなことである、政府としてはたつた一箇年にすぎないじやないか、こういうことをおつしやりたいのだと思いますが、その点私もある程度同感であります。政府の財政が許せば、ことしも全額国庫負担というものを継続したい。そうして五百億も六百億も出したいのですが、ところが災害復旧費が四百億円以下ということになつてみますと、今度建設省なり政府としてはほかのりくつを考え出しまして、災害復旧というものは国の事務かもしれぬけれども、助かるのは自治団体を構成しておる市町村民諸君である、市町村民諸君だつて相当この事務の費用として金を持つてもらうべきじやないか、持つてもらつてもいいじやないか、むしろ民主国家というものは地方自治を細胞として発達すべきものなのだから、主体性はそちらにあつていいのじやないかという議論さえする人がございます。しかしわれわれは一定の比率、すなわち三分の一とかあるいは四分の一とかいうものを持つてもらう、そうして事業量だけはある程度去年以上出したい、こういう趣旨で進んでおるわけであります。去年の全額国庫負担によつて、市町村が目に見えてこれだけ助かつた。だから文教施設や社会施設にこれだけがまわつたということは、これから調べて出しますが、なかなか困難なことではないかというのは、あなたもよく御存じの通り、助かつたのは一年にすぎない、それで目に見えて助かつた、どこへまわしたということはなかなか出て来ないのじやないか、こう考える次第でございます。
〔委員長退席田中委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X01619510328/12
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013・村瀬宣親
○村瀬委員 事業量をふやしたいという大臣のお気持は、私たちもさように思つております。ただ法案としてこれは恒久的な研究をした結果、ここに成案を得たから出すのだという御説明であつたのであります。三分の二、四分の三、四分の四とした根拠をもう少しはつきりお示し願いたいと思うのであります。今建設省から提出されました、私の前回の要求に対する資料によりますと、二十三年度、二十四年度、二十五年度を通じて、本案を適用いたしますと、現在残つておる災害額でありまするが、十六%というものを国庫負担することになるという資料を出した。それから私が要求いたしました率はこのままにしておいて、二倍というのを一倍の線に直してみるとどういうふうになるかというと、資料としては八〇%国庫負担ということになるというのであります。さらに二倍はそのままにしておいて、四分の三、五分の四、五分の五というようにすると、それが国庫負担が八二%同じくそれを二倍とあるのを一倍の線で区切りますると、それが八五%にふえる。こういうふうな資料が出ておるのでありますが、これらのたとえば四つの方法のうち、特に原案の七六%の線にとめようとなさつた科学的な根拠がありましたならば、お聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X01619510328/13
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014・増田連也
○増田国務大臣 元来最初建設省の政府委員等が私のるす中にも私の名において御答弁申し上げておつたのは、事業量がどうも全額国庫負担では少い。結局建設省自身が技術的、事務的に考えるところによると、事業量をうんとふやしたいのである。そして災害復旧なんというのは早く全部やつてしまいたい、こういう見地に立つておつた。そういう見地に立てば、全額国庫負担は結局事業量が限定されてしまうから困る。三分の二にしてもらつて、結局かりに本年度と同じような災害復旧費があるならば、本年度の災害復旧費に比べて明年度は三分の二にするならば、その額に二分の三をかければよろしい、つまり六百億の事業量ができるわけなんで、早く堤防なら堤防、護岸なら護岸を直してしまいたい。こういう見地から最初は三分の二ということを力説しておつたのです。私もその点は同感しておりましたから、政府委員の答弁ももとより私の答弁といたしておる次第であります。ところで建設省は元来そういう建設を促進するとともに、そうやればほんとうはよろしいのですが、やはり政府は有機体でもある、また地方財政のめんどうを見るというような任務を持つております。そういうところから見ると、一概に地方自治団体の財政能力を顧慮せずして、また災害の程度を顧慮せずして、何でも三分の二だといつたのでは、地方自治団体の健全な発達を期待するゆえんではないからというような、地方自治庁のような頭も実は建設省で取入れまして、当初からそれで災害の大きいところは三分の二では気の毒だ、四分の三もあるいは全額も持たなくては気の毒ではないかという感じを持つて来たわけであります。それでいろいろな数字が出ますが、結局七六%というようなところにおちついたのは平均四分の三、三分の二は気の毒だから四分の三くらいはどうだというような一つの過程はありました。そこでこの一つのわくをいろいろに切りまして、その災害によつて地方財政に与える影響といつたようなことから、三段、四段のわくをつくりまして、そうしてやつて行くのも地方財政の能力に比例がとれる一つの比率ではないか、わくではないかという結論に達したわけであります。しからば八五%になるようにしろというと、これは建設省の建設という立場から見ると相当悲観せざるを得ないことになるのであります。すなわち一五%きり地方で持たぬということになりますと、事業量がそれきりふえない、こういうことになりまするから、できればわれわれは最初私が申した通り、地方財政の負担能力さえあれば、従来通り六六%で、三三・三三%というものを持つてもらう方が、事業量は二分の三になる、そこで私はいろいろな数字の操作上の、たとえばあなたは御研究の結果申されましたが、結局常識の線とか、四分の三の線におちつくようにということで、結果的あるいは道義的にこの辺におちついたのではないかと、こう考えておりまして、非常な合理的、科学的の根拠というものはそれが全部科学的、合理的の根拠に基いたのであるとまでは言い切れない、もとより多少の合理的、科学的の根拠はありますが、常識の線から考えたことも一つの根拠であるというふうに御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X01619510328/14
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015・村瀬宣親
○村瀬委員 建設大臣の御答弁を承つておりますと、やはりいつも予算というものをじつと頭にお置きになつての御説明であります。工事量をふやしたい、七五%を八五%にすれば、それだけ工事量が減る。これはその予算額というものをいつも一定の四百億とか、四百五十億とか、いう前提のもとにそういう考えが出るわけでありまして、われわれは法案そのものとしては、予算はともかくとして、根本の法律をつくつておいて、それに応じた予算を国が持つという建前でなくてはあくまでもならないのでありまして、予算の方が先にどうも気にかかつて、そうして合理的な法律ができぬというのでは、これはけだし立法の趣旨でないと考えておるのであります、そこで私はもう一度お尋ねいたしたいと思うのでありまするが、北海道はスライドの標準の八割から始めた、これは従前八割であつたからそこからきめた、こういうことでありまして、これもまた八割からスライドで進むという方針でやつていらつしやるのでありますが、これもまた九割から始めてもいいし、十割から始めてもいいと思いますが、最初の出発点を八割とおきめになりましたのは、やはり財政上の根拠というものがあればお聞きいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X01619510328/15
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016・増田連也
○増田国務大臣 北海道はこの法律のうちまた特例があるわけでございますが、これは現行法——現行法と申しましても全額国庫負担のときはこれは全国一律であります。そこで去年の法律でありますが、去年の全額国庫負担の法律は、今年度一年限りの法律でありまするから効用がなくなります。そうしますとまた従前の例によるということになるのでありますが、従前の例とはすなわち八割——八割というのは結局法律の内容になつておるわけであります。そこで今北海道が内地並の開発が行われておるかどうか、あるいは財政負担力があるかどうか、こういう見地から検討いたしたわけでありまするが、まだ去年とそうかわつていない状況である。そこで従前の例によることにしたわけであります。ただしかしながら一つ違う点は、内地が全額のとき、すなわち税の二倍以上の災害を受けたという場合は、その場合に限つて全額であることは内地と同様である。とういうわけでありまして、従来通り、内容においては国庫負担の状況はかわつていないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X01619510328/16
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017・村瀬宣親
○村瀬委員 いろいろ御説明がありましても、私はどうしても、標準税収入の二倍のところで線を引いたということがどうもはつきりと了承いたしかねるのでありますが、もう少し上手な御説明がありまするならば承りたいと思います。
それから第四条の四項に、超過事業費の問題が書かれてあるのでありますが、これはたびたび申し上げます通り、国費の最も有効な使用という面から考えまして、当然この超過事業費についてもスライド制によつて国庫負担をすべきであると思うのであります。なぜかといいますと、せつかく原形復旧いたしましても、そういう構造であつたがために災害が次々と起るのでありまするから、もう再び災害が起らないようにするためには、十分の検討を加えた超過工事をしなければならないわけであります。いわゆる改良工事ではないけれども、十分工事を強固にして、工事費をむだにしないためには、この超過工事ということが非常に大事になつて参るのでありますが、それに対するスライド制がないために、もうちよつと強くしておけばよいけれども、まあ原形にとどめておこうということでありますと、また大雨が降れば再びそれがこわれるという憂いも生ずると思うのであります。この際思い切つてこの超過事業費についても、やはりこれを区分しないで、スライド制を認めておくということになれば、非常に強固な災害復旧工事が進捗すると思いますが、それに対するお考えはどうでありましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X01619510328/17
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018・増田連也
○増田国務大臣 村瀬さんの御質問の第四条の四項というのは、第二条の第二項なり第三項を受けた規定であります。それで私どもは、先ほど私が御説明を申し上げました通り、こういうような条文はこれは非常な改正である。これはぜひ皆様の積極的な御賛同を得て直したいと思つております。従来原形復旧——原形復旧というのをわれわれは常識的に考えるべきだ、こう思つておりましても、なかなか第一線へ参りますと、非常に機械的に解釈しておりまして、ほんとうに元通りの形にする以外は絶対金を出さぬ。しかも国の道路の改良費というようなものがなければ、ひとえば橋が従来木橋であつて貧弱な橋である。しかも幅は二・五メートルであつた。そこで原形復旧ということになると、二・五メートルであり、従来非常に貧弱な橋桁を使つておるならば、貧弱な橋桁でなければならぬ。従来非常に貧弱な橋脚であれば、従来通りの木造であり、しかも貧弱な橋脚でなければいかぬというような厳重な査定をする人もないとも限りません。そこでどうしてもわれわれは原形復旧というのは、経済的の原形復旧である、こういうふうに私は就任当時からずつと申しておりました。また建設省当局においてもそういう考えを持つておりましたが、やはり法令の上に、流れたことを機会として、災いを転じて福となす、二・五メートルの幅の橋では実は困つておる。この際五・五メートルぐらいにして、自動車が自由にすれ違いができるようにいたしたい。あるいは荷重制限などのないところの永久橋にいたしたい。これが災害を転じて福となすゆえんである。なるほど不幸ではあるけれども、幅となすところの契機にその災害がなつて来る、こういうふうにいたしたいとわれわれは考えておりまして、これが第二条第三項になつて現われておるわけでありまして相当この三項というものは、私は活用を皆様とともにいたしたいと考えております。その際従来は木橋のかわりに木橋しかかからなかつた。事務当局の解釈しておる限りでは……。ことに一年に三回も流れるときまつておる橋なんかありますから、これは非常識で、潮笑の的になつておつたわけであります。そういうことで、私どもは残念だと思つておりました。このたびは第二条第三項を相当程度私は活用いたしたい。ついては従来はどうも困るな困るなと思いながら、従来通り貧弱な橋しかかからなかつたところを、今度災害を転じて福となす、そこで災害復旧費をもらつて、あとは永久橋をかけたくてもかけることはできなかつたのですが、今度はできるようになるだろう。しかも災害費から出る。従来は改良費か何かなかつたら絶対かからなかつたのです。災害費はそういうところへまわすわけにいかぬ、まわすわけにいかぬのを、今度まわすわけに行くようにしたのだから、これはよほどの改正だと思います。そこでよくなる部分は、これは災害復旧国庫負担の従来の比率をそのままスライデイング・スケールとして延長せよという村瀬さんのお考えはどうであろうか、財政的見地に立つて見れば、私は御無理じやないかと思います。わくを拡張した、これはよかつた。従来は永久橋をかけたくともかけられない。中にはやかましいところは会計検査院が怒り出したり、あるいは刑法上の問題まで起る。そういうのが今度は堂々とかけ得ることになつたのですから、永久橋と木橋とのさや、あるいは従来の幅員の二メートル半が五メートル半になる、そういうさやというものは、国道であれば二分の一の橋梁費を持つとか、県道でも同じでしよう。とにかく従来のわくで——そのさやのよくなつた部分は、一般の道路費と同じようなわくで出る。しかもそれが災害費から出るのですから、私はその程度でごがまんを願うということが妥当な線じやないか。ぜひとも御了承願いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X01619510328/18
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019・村瀬宣親
○村瀬委員 ちよつと建設大臣の例の引かれ方が極端であつたと思うのでありまして、今の例のような場合は私よく了承いたします。私の言うのは、そういう場合ではない。自動車が通れなかつたのを通れるようにした場合に、それもスライドで全額出せと言うのではありません。この第二条の第二項、第三項とずいぶん手柄話をなさいましたが、私も非常にお手柄であり、われわれも非常に望んでおつたところでありまして、上出来であります。ところで私が今申している第四条第四項は、改良工事と認めらるべきものまでも、これに含めよという意味ではないのであります。従つて第四条第四項の超過事業費は改良事業費だという御答弁であるならば、私は十分満足をいたすのであります。しかし自動車の通れなかつたのを自動車が通れるような橋にするというようなものではなくて、第二条の第二項、第一項にあります通り、原形に復旧することが不可能な場合において、当該施設の従前の効用を復旧する場合、あるいはまたそういう構造をかえて、経済上、技術上かわつた構造でといつたような改良工事ではない。前の原形の効力をそのまま強めて行くというだけの工事の場合に、それをスライドの中に認めるのであるかどうかという点なのであります。災害が起つたときに、一緒に改良工事をやつて、その改良工事をも同時に全額負担にしてくれ、二倍を越えたならば全額負担にせよという意味ではありません。その点どういう御意見でありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X01619510328/19
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020・増田連也
○増田国務大臣 これはちよつと法制局的な御質問だと思いますけれども、私もそれでは法制局的な意味で、法律の解釈として私の感ずる点を申し上げます。この第四条の第四項は、第二条第三項に規定する部分のことを言つているのにすぎないのです。第二条第二項に規定することは何にも言つておりません。ですから問題でも何でもないので、それは要するに最初のわくで三分の二、四分の三、全額、こういうわくなんで、かりに形がかわつたところで、従前の効用を復旧するにすぎないというような災害復旧は、三分の二、四分の三、全額、このわくで行くだけである、こういうふうに法律は読めると思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X01619510328/20
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021・村瀬宣親
○村瀬委員 そういたしますと、私の質問の意味は二項にも含まれておりますが、とにかく私の申しますのは、原形復旧の効力を持たすようにするために行う工事は、たとい構造が多少かわつても、あるいは必ずしも原形通りやらなくても、それにはこの法律の規定によつて三分の二、四分の三、四分の四というスライドで補助が出せるかどうかという点を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X01619510328/21
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022・増田連也
○増田国務大臣 こまかい点は事務当局からお答えいたさせますが、私はこの第二項の、形がかわつたところで、当該施設の従前の効用を復旧するにすぎない、こういうようなものは、三分の二、四分の三、全額のわくで行くべきものである。この第二条の第二項といえども、相当常識的に読むべきものである。出先の官憲等においても、ある程度の幅をもつて常識的の線で解決すべきである。従来あまりぎこちなく解釈されるために、泣いている地方も相当あるのですから、二項といえども、相当常識の線にのつとつて解釈すべきである、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X01619510328/22
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023・村瀬宣親
○村瀬委員 非常に私の満足し得るに近い御答弁があつたのでありますが、もう一度本法に書いてある超過事業費はどういう内容のものでお使いになつたかということを承つておきます。もう一度申しますれば、ここにある超過事業費は改良工事費と同等であると解釈してよろしゆうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X01619510328/23
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024・淺利三朗
○淺利委員 今の村瀬委員の御質問の意味はおわかりでしようけれども、もう少しこれをはつきりこの際御説明したいと思います。第四条の第二項の終りの方に「第二条第三項に規定する災害復旧事業の事業費のうち、災害にかかつた施設を原形に復旧するものとした場合に要する全額をこえる金額(以下超過事業費という。)」つまり第二条の第二項、第三項においては、原形に復することが不可能な場合、あるいはそれが困難であるか不適当である場合には、災害工事とみなす、こう規定してある以上は、災害工事である以上は、当然これはすべてスライド制によるべきものであるが、これを原形に復するものと認めて、その程度の金を越えた場合にはスライドにかけないというところに疑問があると思うのです。あとの改良工事の方は別個に考えて、これは当然先刻大臣の御説明の通りでいいと思うのですが、一方において明らかに原形に復することが不適当であるか不可能であるかという場合には、災害工事とみなしながら、予算の面においては原形に復する程度の費用までは認めるが、それ以上のものは認めないというところに明らかに矛盾があると思う。超過事業であつても、災害工事とみなす、復旧工事とみなすという限度においては、これを当然このスライドのうちに入れるべきじやないかというのが村瀬君の質問の趣旨であると思うのであります。でありますから、明らかに橋の幅を拡張するとかいうようなものじやなく、木橋をもつてやつておりますれば、その地勢上年々いくらかけかえても流失のおそれがある場合には、あるいはコンクリートのピヤーをもつてやるというような場合には、原形復旧より工事費はかかるけれども、その程度のものは災害工事とみなし復旧工事とみなして今の率を適用する、こういうふうにお考えになるのかどうかということの質問だと思いますから、この点をはつきり御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X01619510328/24
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025・増田連也
○増田国務大臣 法の解釈からいえば、先ほど村瀬さんにお答えをした通り、木橋が流れた、しかも百間の長さで幅が二メートル半である。その場合に二メートル半を今度あらためて五メートル半にする、自動車が自由に往来できるようにする、しかして、鉄筋コンクリートにする、長さが同じ百間である場合には。これは私の私見でありますけれども、ある程度公式の所見と見ても、私は責任を負いまするが、要するに災害復旧費というものは、百間の二メートル半の木橋を復旧するに要する費用が災害復旧費である。そこで同じ百間の幅五メートル半の鉄筋コンクリートの橋をかけたとします。そうすると、それが幾らかかるかは別で、この場合は問題ではございませんが、鉄筋コンクリートの橋をかけるのに相当の額がいつた。その額のうち木橋の百間の二メートル半の橋をかけた場合に要する費用を引きまして、その残額が第二条第二項にいう超過事業費である。それから災害復旧費とは、百間の二メートル半の橋をかけたとすれば——かけないで実際は鉄筋コンクリートの橋をかけるのですが——それに要する費用を災害復旧費としてこれを控除する。それで残額の方は超過事業費ですから、二分の一というようなことになると思います。あるいは直轄事業であるならば、三分の二というようなことになると思います。そういうような従来の道路の関係の改良費の率と同じ比率がかかる、こういうわけであります。そこで災害復旧費の算定の仕方ですが、従来木橋は厳格にいつてこれくらいでかかるという場合に、多少そこを大目に見て、相当災害復旧費がかかるのだといつて、十万円引くところを十三万円引く、それで残額だけ二分の一持つというようなことは、私は相当常識的にやるべきであると思つております。しかし法律の理論といいますか、法の解釈の理論からいえば、従来の効用を復活するための物的費用、あるいは原形そのものを再び復活するための費用が災害復旧費である。それ以上のものは超過事業費である、こういうふうに考える次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X01619510328/25
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026・村瀬宣親
○村瀬委員 これは実際にこの法律を適用する段になつて非常に大事だと思いますので、重ねてお尋ねいたすのでありますが、去年法律として実施いたしました全額国庫負担法の第一条の文句は、「災害にかかつた施設を原形に復旧することが著しく困難又は不適当な場合において」云々とあるのであります。ことしの今出されております法律案によりますと、第二条に括弧いたしまして、「(原形に復旧することが不可能な場合において)」云々と、文句がかわつて来ておるのであります。こういうふうに言葉をおかえになつた趣旨はどこにあるのでありますか、従前と同じであると解釈してよいかどうかという点が一つであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X01619510328/26
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027・田中角榮
○田中委員長代理 村瀬君に申し上げますが、増田建設大臣のほかに、大蔵省より佐竹主計官、経済安定本部より今泉建設交通局次長「建設省より伊藤河川局次長、賀屋防災課長、前田説明員の諸君が来ておられますので、事務的なことはこの諸君から御答弁願うことにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X01619510328/27
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028・今泉兼寛
○今泉政府委員 現行法では、この法案の第二条の三項にございますような、「災害に因つて必要を生じた事業で、災害にかかつた施設を原形に復旧することが著しく困難又は不適当である場合においてこれに代るべき施設をすることを目的とする」、こう現行法と同じ規定がございます。
それから第二項の方の括弧の原形に復旧という説明の中に、「原形に復旧することが不可能な場合において当該施設の従前の効用を復旧するための施設をすることを含む。」こう書いてありまして、二つを完全に書きわけてございます。第三項の方は現行法と同じような趣旨でここに規定しまして、こういつたものも災害では見るのだということは現行法と同じであります。但しこの三項でいう超過工事は、災害復旧費では見るけれども、例のスライド算定の基礎の数字には、この超過分は入れないのだというのを四条の二項ですかに規定するわけで、従つて第二条の二項の「原形に復旧することが不可能な場合において当該施設を従前の効用に復旧するための施設をすることを含む。」とありますのは、たとえば例をあげますると、百完の木橋が流れて、川幅が広がつたために百間では橋がかからない、百五間の橋がいるといつたような場合に、それじや百間で橋がかかるかというと、これはもう絶対にかからぬ、不可能でございます。そういつたような不可能な場合に、百五間の橋をかけても、それはやはり原形復旧としてこのスライドの算定の基礎数字には入る。しかし第三項の方はそうではなくて、従来木橋でかけてあつた、しかしたびたび流される、長さは同じであるけれども、これはやはり鉄橋にかけかえないと、国家のため、地方のためにも損失であるから、それを鉄橋にかけかえた、こういつた場合に、それでは鉄橋と木橋との差額がどうなるか、これは、まあ改良だ、つまり超過工事である、その超過工事の差額分はあくまで災害復旧では見るのは見るのですけれども、その差額分はいわゆるスライドの算定に入れなくて、原形に復旧する分だけを超過工事のスライドの算定の基準に入れる、そうしませんと、今度スライドの算定をする場合に、地方によつて何でもかんでもみんな改良してくれという要求が非常に強くなつて、それではせつかく地方が負担に応ずるといつたような場合に、とかくあらゆる工事が、すべて改良に行つてしまうおそれがある、こういう点を防止する見地と、それから各地方にそれぞれ公平にやつて行こう、こういう見地からして、災害復旧では見るのだけれども、従来超過工事として見た分だけはスライドの算定から除く、こういう趣旨で二項と三項が書きわけてある、こういうわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X01619510328/28
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029・村瀬宣親
○村瀬委員 今の御答弁で非常にはつきりはして来たわけであります。第二条の第二項に該当する工事はスライドを適用するのだ、第三項によつてやる場合には、超過工事としてスライドは適用せぬのだ、大体こういう御答弁であつたと思うのであります。そうしますると、ある場合には第二項によつて原形に復旧することが不可能なのであるか、この場合は二項に入る。それから第三項によつて不可能ではないが、著しく困難または不適当な場合であるかという判定によつて、スライドが適用されるかされないかということが地方自治団体にとつては非常に大きな問題となるのであります。そういたしますると、ここでもう少しはつきりこの二項に該当する工事と、三項に該当する工事との例をあげて説明をしていただかねばならぬということになるのでありますが、たとえばある川の左岸を何十年かかかつてずつと工事をして来た、右岸は最初丈夫であつて工事をして来なかつたが、左岸がずつと改修されたために、今度は右岸の方がどうも危険に瀕しそうだ、今までの堤防の高さは八メートルであつた、それを当然九メートルにしておかねば温水のおそれが非常に多いといつたような場合に、その場所が災害を受けたときに、今までの八メートルを九メートルの堤防につくるということは、二項に該当するとお考えになりますが、三項でありまするか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X01619510328/29
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030・賀屋茂一
○賀屋説明員 不可能な場合の原形の範囲でありますが、これは実施の場合には、申合せ事項をがつちりとつくりまして、適用範囲をきめる方針でおります。大体われわれの考えておりますことを申し上げますと、その原形復旧には、文字通り原形になる場合と、それから査定の場合に原形の判定が不可能な場合があり、たとえばこわされたあと、水制を復旧しますときに水制の形状がわからないというような場合に、実情に即するような水制の形をつくるわけであります。また橋梁とか護岸とか、こういうものの根入れあたりが十分に元のものがわからないというときには、必要な程度の根入れをする、こういうふうに考えております。それからまた文字通りの原形復旧をすることが技術的に不可能な場合というのがございます。これは基礎地盤の変化による根入れの変化、根入れを変化させなければならぬ。それからのりの勾配は、場合によつては緩和させなければならぬ、こういうふうな場合には、技術的に不可能だ。技術的に適当でないというようなものは、これは原形復旧の中に再度災害をこうむらないような方法をとる、なおこまかい場合でありますが、たとえば基礎地盤の低下したために、橋梁の橋脚の根継ぎをしなければならぬ。こういうものは、どつちかと申しますと、つけたしのものでありますので、こういうものは原形復旧の不可能な場合に入れる、こういうふうに不可能の範囲は申合せでがつちりきめようと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X01619510328/30
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031・村瀬宣親
○村瀬委員 そういたしますと、技術上原形のままでは不適当と考えられるときには、第二項によつてスライドによる国庫負担をなさるというお考えでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X01619510328/31
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032・賀屋茂一
○賀屋説明員 さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X01619510328/32
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033・村瀬宣親
○村瀬委員 技術上の点は第二項でやるという御答弁でありまするから、それをはつきり速記に残しておいていただきまして、その次にお伺いいたしたいことは、建設大臣に伺うのでありまするが、先ほどからこの法律案がまつたく純粋な立場で立案したとお話になつておりますけれども、どうも御答弁の際になると、予算というものがいつも頭にこびりついておるという感じがいたしております。そこでこの二十六年度の公共土木施設の災害復旧事業費でありまするが、予算の編成当時は一律に三分の二の国庫負担によつて編成されたという御答弁があつたと思うのでありまするが、その後この法律案によりますると、三分の二から全額に至るまでのスライドによる方法ということにかわつて来ておるのでありまするから、自然先ほどから盛んにお話になりました事業量という問題がかわつて来ると思うのであります。この事業量の調整にあたりまして、すでに衆議院を通つておりまする災害復旧事業費の予算内で調整するお考えであるか、あるいは早急に補正予算等でこれらの処置をなさるのであるか、この点を伺つておきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X01619510328/33
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034・増田連也
○増田国務大臣 いつも御答弁申し上げます通り災害予防の方へ主として力が行きまして、災害復旧はもとよりわれわれは忽諸に付すべからざることと考えておりまするが、しかし災害をなからしめる、あるいは災害の程度をできるだけ少からしめる。そのためには予防の方面へ相当力を入れたい。御承知のごとく河川改修費は三割五分、砂防関係は八割三分、公共事業費全体としては一割しかふえないにもかかわらず、そのわくの中においてそれぞれ三割五分あるいは八割三分ふやした次第でありまして、すなわち災害予防に最も私は力を入れております。その関係で災害復旧というような一日もゆるがせにできない関係の費用が幾分減つたことは、非常に残念に思つております。但し事業量等は去年と同じ事業量にいたしたいというわけで、一生懸命努力をいたします。しかし災害復旧費全体として、過年度分は、去年は四百億であり、ことしは三百二十億である。それに荒つぽく三分の四をかけるといたしますと、ほぼ四百億くらい、これは農林省や運輸省の災害も含めて申すわけでありまするが、数字の上からほぼ去年と同じくらいの事業量である。ただしかしながら、あなたもお認めの通り、物価等は相当上つております。でありまするから数字の事業量では同じでありましても物質的の事業量としては同じとは必ずしもいえないのじやないかという状況にただいま立ち至つております。そこで将来の問題でありまするが、将来財政の許す限り補正予算なり何なりを考慮してほしいということを私は強く財政方面を担当する政府に対して要望いたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X01619510328/34
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035・村瀬宣親
○村瀬委員 この法案の審議の経過から申しまして、なるべく事業量を減らしたくないというお気持が非常に濃厚に出ておることは、先ほどからの御答弁にもたびたび出て来たわけでありす。その趣旨が一貫されまするならば、ここに最初三分の二の率で二十六年度予算を組んだ、その工事量を減らしたくないという気持をそのまま続けて行こうといたしまするならば、こういう法律案が出る以上は、さつそく間髪を入れず、建設大臣としては、事業量が減るではないか、だから予算をくめんせよ、こういうのが当然建設復旧工事の早期実現に対する非常に大事なところであると思いまするが、これに対しまして、むろん物価高による工事量の減少もありまするけれども、それはともかくとして、三分の二から今度平均して四分の三ということになりましたのによる工事量の減少については、当然この際ただちにその対策措置が講じられなければならないと思うのでありますが、一体その時期はいつごろと判断なさつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X01619510328/35
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036・増田連也
○増田国務大臣 お説の通りわれわれといたしましては、できる限り災害復旧費の増額を御示唆に基いて要求すべきであつたのであります。——もつとも私は御示唆通り申した。閣議の内容をあまり申すことはできないのですが、わくがかわつた以上は、災害復旧費の全体がかわつて来る、であるから何とか考慮してほしい、こう申したのでありまするが、財政の見地からいたしまして、私の要求はもつともであるけれども、国家財政全体が許さないのであるから、ゆとりが生じたりした際には、間髪を入れず考えるというようなことを、財政当局としても私に申しておつた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X01619510328/36
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037・田中角榮
○田中委員長代理 池田峯雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X01619510328/37
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038・池田峯雄
○池田(峯)委員 こり法律案の第一条に、地方公共団体の財政力に適応するようにということがありまして、地方税収入が災害復旧費交付の一つの基準になるようでありますが、この税収入というのは、なるほど一応の目安にはなるかもしれませんが、地方財政平衡交付金法によつて、地方財政の基準財政需要額に足りない分を、政府が平衡交付金として交付して、従つて地方財政は一応平均にその財政の貧富の度合い、でこぼこというようなものをなくするような建前になつておるわけであります。現実にでこぼこがなくなつておるかどうかということはわかりませんけれども、平衡交付金を交付するということによつて、地方財政は一応でこぼこがなくなり、その貧富の度というものの差もなくなつておるということになつておるのでありまするが、そういたしますと、地方税収入が災害復旧費を交付する基準になるということは、これは矛盾があるのではなかろうかと考えるのでありますけれども、この点いかがでありましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X01619510328/38
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039・増田連也
○増田国務大臣 私は地方財政の状況を勘案してわくが三段あるということは平衡交付金についても同じであると思う。であるから、おかしな話ではないかとおつしやいますが、平衡交付金の額はおよそまだきまつてもいませんし、地方財政を勘案するという点は、もちろん税収入以外の恒常的の、コンスタントに入つて来るところの他の地方財政収入も考慮に入れて考えてもいいのじやないかということも一応考えましたが、やはり普遍的に妥当なのは地方の税収入を基礎にして考えるのがよろしい。でありまするから、ものさしは何べん使つても、別に比例がとれないとか、不公平になるということは考えてない次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X01619510328/39
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040・池田峯雄
○池田(峯)委員 こういうことなのであります。地方税収入が少いところへは平衡交付金がよけいに行つて、地方税収入がたくさんあつて、財源がたくさんあるところへは、平衡交付金は少ししか行つていないのであります。そういう意味で地方財政はならされている。従つて地方税収入というものを基準にして災害復旧費の交付をきめるということは、むしろ不公平な結果になるのではなかろうかというふうに私は考えるのでありますが、この点をもう一ぺん御質問したいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X01619510328/40
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041・増田連也
○増田国務大臣 池田さんは、地方財政の平衡交付金というものが、地方税を基礎として一応やつて、でこぼこを整理しておるのであるから、そのたくさんもらつている村は地方税収入が少い、従つてたくさんもらつている村が災害を受けた場合に、その災害復旧費が地方税を基準として行くからして、二重取りのようになるきらいがあつて、不公平な結果になるのではないかといつたような趣旨の御質問でありましようか、もしそういうふうでしたら、地方税収入を基礎として平衡交付金をやりますけれども、この額は一応きまつているのです。そのあとで災害を受けた、しかもひどい災害を受けたという場合に、その災害復旧費としての地方財政平衡交付金というのは行かないのですから、これはやはり地方税を基礎にして、われわれが地方財政平衡交付金のときに使つたようなものさしを、同じく地方財政の判定の寒暖計として使つても別に不公平はない、二重に行くわけでも何でもありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X01619510328/41
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042・池田峯雄
○池田(峯)委員 その点、各府県別にどういう程度に平衡交付金を交付したか、もつと研究したいと思いますから、平衡交付金交付の尺度となる資料を提出していただきたいと思います。
それからもう一点質問したいのであります。第六条の四項、五項でありますが、「明らかに設計の不備又は工事施行の粗漏に起因して生じたものと認められる災害」、あるいは「甚しく維持管理の義務を怠つたことに基因して生じたものと認められる災害」に対しては、災害復旧費を出さないということなのでありますが、しかしこの四項に該当する工事担当者は、おそらく都道府県であろうと思う。都道府県がこういう不行届きなことをやつて、それで迷惑をこうむるのはだれかというと、その周囲の住民なのであります。都道府県がそういうことをやつたからといつて、県民が災害復旧費をもらえないで、そのためにまた来年もものすごい災害を受ける。あるいは地方住民の負担によつて、なけなしの金をたたき出して、自家労力によつて災害復旧をやらなければならぬ。これははなはだ不合理なことではあるまいか。都道府県が災害復旧費を不正に使用して、そのために工事の粗漏をやつたということに対しては、国が当然十分な監督をやつておらなければならぬはずである。従つて都道府県が悪いことをやつたということは当然国にも責任があるのでありますから、そういう責任を住民が負つて、そして災害復旧ができない、また来年も雨が降ると家が流されたりたんぼが流されたりする。こういうことははなはだ不合理だと思いますので、これは当然除くべきだと思うのですが、この点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X01619510328/42
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043・増田連也
○増田国務大臣 まず先ほどの御質問にもう一ぺんお答えいたしまするが、地方税を基準として平衡交付金も交付されまするし、災害復旧費の国庫負担分も交付されるわけです。かりに甲村と乙村とがありまして、両方とも税収入が百万円しかないという場合には、平衡交付金は税収入が基礎ですから、甲村も乙村も同じ額が行くわけです。そこでわれわれの災害復旧費の関係も、百万円の税収入があるところへ持つて来てかりに百万円の災害が起きたという場合は、これは年度割はいろいろあります。三割、五割、二割とありますが、要するに税収入の二倍以下ですから、乙村に災害が起きれば、乙村には四分の三、七十五万円だけが行くが、甲村には行かない。甲村へは乙村と同じだけの市町村財政平衡交付金が行くだけなんです。乙村へ特別七十五万円だけ平衡交付金がよけい行くわけでも何でもない。ですから平衡交付金の資料を出せとおつしやればそれは出します。これは地方行政委員会等のお仕事になりますが、しかし御参考になることであればいくらでも出しますが、そういうふうに御了解を願いたいと思つております。
それから第二の、地方が維持管理を怠つておつたということで災害が起きた場合、あるいは設計の不備または工事の粗漏等に起因して生じた災害に災害復旧費を出さないのは地方民に気の毒である、何も地方民自身にはその罪がないのであるからという御質問は一応ごもつともであります。しかし私どもといたしましては、営造物の設計なり、あるいは工事なり、あるいは管理なりは、ぜひとも適正に注意の上にも注意を重ねてやつてもらいたいと考えておる次第であります。それで「明らかに」とか「甚しく」という修飾語を特に使つておるわけでありまして、まつたくだれが見ても憤慨せざるを得ないといつたような設計の不備であるとか、あるいは工事施行の粗漏であるとか、あるいは維持管理が怠られておるという場合までも、災害復旧費を国庫で持たなくてもよろしいというふうに考えております。どこまでも「明らかに」だとか「甚しく」とかいう形容詞がついておることをお認め願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X01619510328/43
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044・池田峯雄
○池田(峯)委員 最初の平衡交付金の問題でありますが、重ねてお答えになられましたので、私の方ももう一ぺん質問いたします。実例をあげます。先ほど大臣も額を申されましたから、私もそれを申しましよう。たとえばこういうことはあるいは実際には即し得ないかもしれませんが、甲村は百万円の税収入があつた。乙村は五十万円の税収入があつた。ところが財政需要額としては甲村も乙村も同じで、従つて平衡交付金は甲村には五十万円来て、乙村には百万円来た、両方とも百五十万円の財政需要額だという場合に、五十万円の災害が起つたとすると、甲村と乙村とでは交付額がたいへん違うのであります。ではしからばその村が災害復旧をやる場合にどこに財源を置くかというと、これは税収入以外にはないのであります。その税収入は百万円と五十万円というふうにかわつてはおりますけれども、しかしこのかわつた税収入が平衡交付金によつて救われて、実際はいずれも同じような財政収入額になつているのであります。予算はどこの村もいずれも同じです。甲村も乙村も平衡交付金はならされて同額になつています。その同額になつている予算で災害復旧を実行して行く以外に方法はないのであります。それ以外にまた寄付金であるとか何とかいうことを考えれば別でありますけれども、税収を財源として考える以上は、甲村も乙村も負担力は同じでなければならぬ。しかるにもかかわらず、災害復旧費は違つて来る、交付額は違つて来る、これは少しおかしいのではあるまいか、これが私の質問の趣旨でありますけれども、その点もう一ぺんお答え願いたいと思うのであります。
それから第六条の四項、五項の問題でありますが、これは「明らかに」とあり、あるいは「甚しく」とありましようとも、このことによつて責任を地元住民が負うという話は何にもないのであります。であればあるほど、これは国の監督が不行届きであつたということの責任を、国が当然とるべきであると私は考えるのでありまして、そういう点につきまして、もう一ぺん大臣の御意見を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X01619510328/44
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045・増田連也
○増田国務大臣 地方財政平衡交付金との関係は、なお後刻勉強してから申し上げます。ただダブることはないということだけは、はつきり言うことができると思います。但し地方財政委員会なり地方自治庁当局と連絡いたしまして、お説のようなことのないようにいたしたいと考えております。
それから第六条の四項、五項というのは、これは今係官から聞きますと、昔からこういう文句はあるそうであります。これがすなわちわれわれが責任を果すゆえんにもなるのであります。すなわちあなたのおつしやる監督上の責任は、法律というようなこの条文を通じてでも監督はいたしておるのである。この条文の威力というものは、皆様の議決にかかる法律の威力に現われて、私が監督しやすいようになる、こういうことにも相なるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X01619510328/45
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046・池田峯雄
○池田(峯)委員 総括的に簡単に質問したいと思います。よく国家財政上やむを得ないとかいろいろ申されて、災害復旧費の少い理由にされているのでありますけれども、災害復旧費を国庫の予算に組み込む場合に、人員はどういう人員になつているのでありましようか。二の次、三の次、四の次、五の次くらいになつているのでありましようか、それとも第一次的にこれを考えているのでありましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X01619510328/46
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047・増田連也
○増田国務大臣 災宝復旧費及び災害予防費というものは、優先性を持つておるものと私は考えておりまするし、また財政当局においてもそういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X01619510328/47
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048・池田峯雄
○池田(峯)委員 そういたしますと、二十六年度予算に盛られている災害復旧費は、政府が優先的に盛つた予算額であるこういうふうに了解してさしつかえないのでありましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X01619510328/48
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049・増田連也
○増田国務大臣 私は優先的に考慮せらるべきである、こう考えております。しかし公共土木関係ばかりが優先性を持つておるわけではありませんので、ほかにも優先性を持つものもあり、結局総合的な考察の結果、こういう数字におちついた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X01619510328/49
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050・池田峯雄
○池田(峯)委員 なお質問したいと思います。この法律は全額国庫負担の法律よりは悪いけれども、三分の二国庫負担のときよりはいいのだ、こういうふうに政府は考えていると了解してさしつかえないでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X01619510328/50
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051・増田連也
○増田国務大臣 先ほど村瀬さんにお答え申した通り、災害復旧というものはできるだけ完成いたしたいという見地から見れば、むしろ三分の二の方がいいという議論も立つのであります。でありますから、建設省なりあるいは政府は、最初予算を組むときには、三分の二というようなことを考えておりましたが、しかし池田さんが大分御心配のような、地方財政を強化する、そうして地方自治を健全に発達させることが、民主国家を全体として健全に発達させるゆえんでもあるということを考慮いたす必要がある。建設省自身はむしろプロパーのことさへ考えておりさへすればいいのかしれませんが、財政委員会あるいは地方自治庁当局のような地方自治団体を健全に育成するという役目からものを考えまして、四分の三というところにおちつきました。そこでいろいろな条件を勘案いたしますと、ただいまの四分の三に結果的になる、何も四分の三が悪いとか何とか、いうことでなく、ただいまのところへストのものであると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X01619510328/51
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052・池田峯雄
○池田(峯)委員 全額国庫負担の方と比べてどういうことになりますか。全額国庫負担よりはこの方が悪いのだ、こういう結論は出ると思うのですが、いかがなものでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X01619510328/52
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053・増田連也
○増田国務大臣 これはスタンド、ポイントの相違なんで、結局事業量をふやしたり——さつき村瀬さんは、増田はいつも予算のことを考えていけないと言われましたが、やはり予算のことを考えないと現実的な考え方でないので、予算獲得能力が自分は貧弱であるというように考えてはいけないので、村瀬さんのおしかりもそこにあると思いますが、予算はとにかくどこどこまでも十分とります。しかしやはり国家財政にも限度があるのでありまして、そういたしますと、国庫負担というものは地方自治当局から見れば非常にいい案であります。しかし災害復旧を早く完成したいという見地から見れば、橋を五本かけるところを十本かけて早く完成したいということには、全額国庫負担というものはあまりおもしろくない案である。結局これはいろいろな見地から総合考察をした結果、明年度からは結果的に七六%におちつくところのこの案が一番よろしい、こういう結論になつておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X01619510328/53
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054・池田峯雄
○池田(峯)委員 どうもりくつはあとからつけられたように考えられまして、これは改悪のように私は考えます。私の本日の質問はこれで終りますが、もう少し研究をいたしまして、次会にもう一、二点御質問したいと思いますから、その点御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X01619510328/54
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055・田中角榮
○田中委員長代理 瀬戸山三男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X01619510328/55
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056・瀬戸山三男
○瀬戸山委員 本法案につきましては、事前に本委員会においても相当研究が進められておりますし、またほかの委員からもいろいろ御質疑がありましたので、重複は一切やらないことにいたしまして、簡単にきわめて小さいことでありますが、まず事務当局の方にお尋ねいたします。
今度の法律案の第三条でありますが、これはさきに衆議院を通過いたしました農林水産業施設災害復旧事業費国庫負担の暫定措置に関する法律の一部改正法律と大体表裏一体になつておると思います。そこで本法案の第三条に各災害復旧事業に該当する項目が並べてあるのでありますが、従来よりふえておりますのが、第四の林地荒廃防止施設と第七の漁港これだけが今日までのいわゆる公共土木施設災害復旧費に関する法律よりもふえておるのでありますが、これはどういう理由でかようになつたのか、その趣旨をお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X01619510328/56
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057・今泉兼寛
○今泉政府委員 現行法では林地荒廃とか漁港とかいう文句は書いてございませんけれども、それは実際の解釈上、取扱い上、漁港は港湾という中に含めて、そういう解釈で取扱いをしておる次第であります。それから林地荒廃防止施設とありますものも、現在の砂防関係ということで、その中に含めて書いてあつたわけでございますけれども、今回名前も、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法という名前にはつきり改めまして、農林関係と一応区別する、こういう建前をとつた関係上、農林関係に属してはおるけれども公共土木施設である、それははつきり法律の文句においても明示したがよかろうということで、別に取扱いはかわつたわけではありませんが、四の林地荒廃防止施設と、七の漁港というものを明示した、こういう次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X01619510328/57
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058・瀬戸山三男
○瀬戸山委員 従来も実際的にはさような取扱いをいたしておつたからということであります。また私はかように統一されたということはきわめて適切な案であると思うのでありますが、しかし農林水産業施設、いわゆる農林関係の災害復旧補助の法律であります。これにもやはり漁港というのが入つておつたのでありますが、それについて今度の案にも詳しくいろいろ書いてある。内容は説明するまでもなく、御存じでありますから申し上げませんが、現に漁港というものは入つております。さらに今回の一部改正案におきましても、林地荒廃防止施設というものは、やはり農林省の災害復旧に関する規定にも入つている。両方に入つているということになつておりますが、この点はどういう区別をされることになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X01619510328/58
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059・佐竹浩
○佐竹説明員 その点主計局からお答え申し上げますが、本法案に出て参ります漁港は、公共団体の維持管理に属するものをいいまして、公共団体以外のもの、すなわち漁業協同組合でありますとか、そういう団体が維持管理をしておるものがございますので、この分を農林災害の方に振りかえるということにいたしております。なお林地荒廃防止施設につきましても、公共団体の維持管理に属するものは本法案で取上げ、その他のものを農林災害で取上げておる、こういう区別であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X01619510328/59
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060・瀬戸山三男
○瀬戸山委員 実際問題としては、特に林地荒廃防止施設は建設省としてはどういう扱いをいたしておられるのですか。山腹でもやはり林地荒廃でありましようし、いろいろあると思うのですが、両方の規定があつて、今日まで農林省と常に争いがあつたと思うのでありますが、両方の規定があるということは、やはり何か割り切れないものがある、かように考えますので、特にお尋ねいたしておくわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X01619510328/60
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061・伊藤六三
○伊藤(六)政府委員 砂防工事の問題でございますが、従来からこの問題はいろいろともつれもあるのであるますが、現在におきますところの両省の所管問題につきましては、主として渓流工事に関する砂防工事を建設省、主として山腹に関係する工事を林野庁、しかし渓流工事に付随して必要なるところの山腹工事は建設省、山腹工事に関連して必要なる渓流工事は農林省、その場合におきますところの両省の間の権限の問題につきましては、今のあとの二つの問題がいろいろと問題になるのでありますが、これは両省におきましてよく相談いたしまして、工事をやつておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X01619510328/61
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062・瀬戸山三男
○瀬戸山委員 本法案の第三条にいろいろ並べてありますが、結局一の河川ないし七の漁港までの各公共土木施設に対して災害復旧をするのは、その施設のうち政令で定める公共土木施設となつているのですが、この政令で定めるというのは、今日の現行法にはこういう規定がなかつた。それはどういうことをねらつて、政令で定めるということをつけ加えられておるのでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X01619510328/62
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063・伊藤六三
○伊藤(六)政府委員 一例をあげますと、港湾につきましてはいろいろの施設がございますので、その場合におきまして、どういうものをこの補助の対象にするか。たとえば上屋とか、そういうものは入れないという意味で、接岸施設とかいうようなことをこの政令の中でうたつて行きたい、こういうような考えであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X01619510328/63
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064・瀬戸山三男
○瀬戸山委員 もう一つ、これは先ほど他の委員からも御質疑があつたのでありますが、問題の第二条の第三項であります。いわゆる改良工事を行う場合の超過部分と申しますか、超過工事に対しては、二十五年度限りの現行法を審議いたします場合に非常に論争になつて、修正いたして現行法通りになつておるのですが、その際には、超過部分に対しては三分の二の国庫負担をするという規定を、特に国会において修正いたしたのであります。今度の案によりますと、第四条の第四項でそれは特に除いて、そして一般の規定によるのだ、こういうふうにされておるのでありますが、これはどういう理由でさようにされたのか、伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X01619510328/64
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065・伊藤六三
○伊藤(六)政府委員 全額負担の場合におきまして、超過工事につきまして区別いたしましたのも、実は同じような趣旨であつたわけであります。ただ全額負担の場合におきましては三分の二でありましたのに、このたびにおきましては、これを従来の改良事業と同じようにしたというところには、従来とかく改良面というか、超過部分というか、そういうものにつきましていろいろの問題がありましてこのために災害復旧の事業も、ときに不適当なる問題を惹起する場合が多分にありましたので、こういう面につきまして、若干広く解釈をくだすことによりまして、再度災害が起ることをできるだけ防ぐ、こういうような趣旨からいたしまして、今のように解釈上若干ゆとりをつけまして工事をやつてみたい、こういう意味からいたしまして、実は改良面におきまする負担率の問題と比較いたしましてあまり高くするということが、いろいろと不適当な問題が生じて来るというところから、改良面につきまして若干従来より広く解釈をくだす。その反面、補助率の方面におきまして一般改良と同じようにして行きたい。これは要するに災害復旧として取上げる改良面の部分を、従来の解釈より広くして行きたい、こういう趣旨からしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X01619510328/65
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066・瀬戸山三男
○瀬戸山委員 ただいまの点は、現行法を審議いたします場合に非常に論争になつて、先ほど申し上げましたように、衆議院で修正をいたしたところであります。それを元に返されたということについては、相当の理由がなければならないと思うのでありますが、ただいまの御説明ではまだ承服しかねるということだけ申し上げておきます。それからもう一つ、災害の原形復旧ということについては、しばしば論争されております。先ほども申されましたから、これ以上私は論争する考えはございませんが、安本の建設交通局次長が見えておられますので伺います。この原形復旧ということを理論的に考えてやるということも、これは非常にけつこうなことであると思います。あまりにこれはゆるやか過ぎてもいけない、かように考えておりますが、実際の面におきましてはなかなかそう簡単には参らない。また私どもの気持といたしましては、国費を使うのであるから、同じ災害を繰返すようなことを、いわゆる原形復旧というようなことにとらわれてたびたびやることは、国費の濫費である。これはどこまでも常に論じられておるところでございますが——ほんとうかうそか知りませんが、主として安本の方、あるいは大蔵省の方もそうであるかもしれませんが、原形復旧ということをきわめて嚴格に解される空気がある、かように、これは風聞であるかもしれませんが、承つております。そういうことになりますと、先ほど大臣もちよつと触れられましたが、末端に行くと規則通りにやられて、宮崎県の例をとるとおかしいのでありますが、五年間に十二回も流れる六十四メートルの橋があるなんということは、実にこつけいしごくでありますが、これは一つの例であります。今度それが永久橋にかえることになるそうですが、そういうことがたまたまあるのであります。原形復旧ということは、大体元通りにするということである。元通りにするということは、もう一度同じ災害が起るのだ——とまではいえないかもしれませんが、さような結論になる場合が多いのでございます。そこで第二条第二項、第三項が常に論争の的になつておるのでありますが、安本や大蔵省ではそれをきわめて厳格に解するような風潮があるということを承つております。ところが昭和二十四年度の経済安定本部で公共事業の監査をされた報告書がありますが、その序文と申しますか、前書きには、原形復旧ということにとらわれ過ぎて国費をむだづかいしておる面があるという報告書が出ております。それはどういうことかというと、原形復旧にとらわれて、さらにまた同じ箇所に災害が起る、それを繰返すような工事がたびたび行われて国費のむだづかいをしておるということが、明らかに経済安定本部の監査報告書に載つておる。ところが、先ほど申し上げましたように、安本は非常に原形復旧を強く主張されておる。風聞でありますから、間違つておつたら私があやまることにいたしますが、それはどういうわけかというと、監査の方法と、実施の計画をされる方とが意見が非常に相違いたしておるのだということも聞くのでありますが、さような事実がありますか。もしくは経済安定本部のあなたの方では、このいわゆる原形復旧というものを文字通りに解釈される態度をとつておられるのであるか。この点を、一言でもよろしゆうございますから、承つておきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X01619510328/66
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067・今泉兼寛
○今泉政府委員 原形復旧の解釈の問題でございますが、なるほど二、三年前までは、かなりこの原形復旧という文字に拘泥して、今おつしやる通りの、何か原形復旧を強制するがごとき風潮があるいはあつたかとも存じますけれども、昨今の安本の考え方といたしましては、この文字通りに原形復旧ということをとつて、これによつて当該工事を強制するという趣旨は毫もございません。今監査報告を例に引かれましたが、むしろ安本として考えておりますことは、そういつた機械的な原形復旧は国費のむだづかいであるということは、単に監督官ばかりでなく、十分認識しております。この問題は原形復旧を強制することではなくて、原形復旧と改良との間に差をつけて、補助率にあまりに差をつけると、どちらかというと改良ということが少し濫用されるおそれがある。むしろその方を補助率の関係の調整から考えなければならぬ。これが監査の二、三年前から一致した意見でございまして、安定本部は、そういつた理由のないところに原形復旧をあくまで強制する、また予算もそういつた原形復旧の予算しか受けつけないというやり方は毫もやつておりません。ただ、今繰返して申し上げます通り、改良原形復旧、つまり災害復旧と一般の改良との間にあまり差を設けることによつて、濫用される面が非常に多い。これが監査の有力な意見として出ておりますので、なるべくは災害復旧と改良との関係はあまり大きな差はつけたくはない、これが監査の一致した意見でございます。従つて安定本部が昔考えておつたように、何か予算を低くするために、当然改良しなければならぬところまで原形復旧で強制するというような考え方は、現在毫も持つておりませんので、この点何か現在そういう風潮があるというようなことは非常な誤解であろうと考えております。私どもとしてはこの法律の趣旨を十分体しまして、解釈等につきましても、十分理由のある、また合理的な解釈の仕方でこの法律を執行して行きたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X01619510328/67
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068・瀬戸山三男
○瀬戸山委員 ただいまけつこうな意見を承りまして、ありがとうございました。その通りにひとつ今後指導してやつていただきたいと思うのであります。
そこでもう一つ、従来現行法によつて改良を相当加えるような計画に基き、災害復旧の査定ができておるのであります。今度この法律によつて配分される場合には、従来の考え方によつて査定された額によつて配分されるのかどうか、今回の改正法律によつてやられるということになると、地方では計画が非常に齪齢することになりはせぬかと思うのですが、従来の査定は今日までの法律によつてやつた通りにやはり補助を出されるのかどうかをお尋ねしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X01619510328/68
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069・今泉兼寛
○今泉政府委員 従来の査定は十分尊重したいと思います。但し従来の査定でも何か非常に誤つた査定の仕方があれば、あるいは再検討の要があるかと思いますけれども、合理的にやつた査定につきましては、安定本部としても十分尊重して参りたい。そのほかに今度はこの第二条二項によつて、従来には見られなかつたような範囲まで見てやろうという規定もできた次第でございますので、その間十分注意して御趣旨に沿うように進めたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X01619510328/69
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070・田中角榮
○田中委員長代理 本日通告せられた質問者の質問は一応終了いたしました。その他の委員諸君には御質問ありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X01619510328/70
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071・淺利三朗
○淺利委員 皆さんの質問で大体盡きたのですが、ただただいまの瀬戸山君の質問の点についてもう少し突きとめておきたいと思います。第四条の第四項に「それぞれの施設に関する改良工事について、国が、他の法令又は予算の定めるところにより」云々とあります。そこでこの参考資料によりますと、建設省の関係においては、河川法によつて河川は二分の一、道路橋梁もまた二分の一、運輸省においては十分の五とか、あるいは農林省関係においては三分の二、十分の六、こういうふうにまちまちになつております。そこで河川の災害復旧の場合、また道路、橋梁の場合、これが問題になつて来ると思うのであります。第二条の第三項によつて、これらの原形に復旧することが著しく困難又は不適当な場合においてこれに代るべき必要な施設を」云々、これは災害復旧工事とみなしておるのであります。みなしておるにかかわらず、この第四条の第四項においては、これは単純な改良工事と見て、あるいは二分の一あるいは三分の二とまちまちになつておる。さきの法令においては、これはすべて三分の二の限度でとどめる、こういうのでありました。この点はむしろ改悪になつておる。災害工事とみなしたならば、何ゆえ最小限度の三分の二というものを確保しなかつたか。すでに前法律において、国会がその趣旨に修正したという沿革もあるのでありますから、これは法律的に見れば、第二条の規定においては災害復旧工事とみなしておつて、そうして第四条においては、それをくつがえしたような一般改良工事とあわせて施工したものというような形になつております。この点について、どういうわけでこういうふうに見られたか、なぜこれを災害復旧工事と見た以上は最小限度の三分の二という線を確保しなかつたか。また現在明らかに改良工事というものを附加するというならば、ついでに橋の幅をふやすとかなんとかいうことならば、これは明らかに改良工事であります。しかしそれならば何も災害工事とみなさぬで、災害費の方から出さぬでもいいという理論が立つのではないかと思います。この点について、もう少し明確に承つておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X01619510328/71
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072・伊藤六三
○伊藤(六)政府委員 従来災害復旧をいたします場合におきまして、相当厳格な原形復旧を施工して来ておりました。その場合に不適当な場合におきましては、設計の比較をいたしまして、できるだけ再度災害を受けないようにというので、足らない部分につきましては、改良費額を追加いたしまして、工事した実例は相当あるのでございます。今回いたしますものにつきましても、再度災害を受ける、また経済社会上から見て、非常に不適当だというようなものにつきましては、できるだけゆとりのある査定をいたしたい、こう存ずるにつきましてその場合におきまして、改良費等を一緒にやればいいのですが、改良費もなかなかちぐはぐになるという問題が起りますので、これを一本の災害費から支出いたします。しかし支出いたしますかわりに、いわゆる改良工事になるというような部面につきましては、これを改良と同じ率で行つた方がいろいろの改良部面の補助の関係との均衡からいつて、非常によかろう。こういうような考え方から来たわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X01619510328/72
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073・淺利三朗
○淺利委員 そうすれば、当局のお考えは明らかに第二条の第三項というものを災害復旧工事とみなす、すなわち災害復旧に関連して、原形に復旧することが不適当である、あるいはまた著しく困難だというために、これは初めて災害復旧工事とみなすのであります。にもかかわらず、改良工事を付加したものと、こういうふうにお考えになつての御説明のようであります。そうすれば、いわゆる原形に復旧することが著しく困難か、あるいは不適当ということの判断の基礎において誤つて来ることになると思います。ですから第二条の精神を生かすならば、やはりこの第四条の第四項というものは、他の法令によつてきめるということになりますと、あるいは二分の一になり、あるいは十分の六あるいはまた三分の二、あるいはものによつては十分の七五というのもあり、こうまちまちになる。でありますから、その点はどうも私どもは納得が行かぬのであります。災害復旧工事と見たならば、やはり災害復旧工事としての補助率を基礎として考えるということが一番妥当じやないかと思うのであります。しかしそれ以上は議論になりますから、われわれはこれをどうするかということは別に考えたいと思います。
その次に、この法案全体を見まして、一つの均衡を得ない点があります。附則の第三に、北海道における場合は、十分の八というものを出発点として、八割補助を最低限度として、それから出発しております。ところが北海道以外の方面においては三分の二を出発点として、その次は四分の三となつておる。なおこれが北海道以下であります。一体この四分の三という限界を付するということがはたして適当かどうかということもありますが、もしここでこの法案全体を比較するならば、北海道の八割を最低とするならば、その他の分においても四分の三をむしろ五分の四というふうに改めたら、法案の権衡が得られたろうと思うのであります。ことに北海道においてもこの税収入というものを基準とする以上は、内地と北海道とそう区別する理由は少いと思うのであります。国全体が全額補助を廃止して、かくのごとき基準を設けたならば、北海道も従来の基準というものを改めて、内地と公平になすべきじやないかという考え方もまた起つて来るはずであります。しかし北海道の既得権を侵害するのは不穏当だという考えであるならば、内地のこのスライド制において、その段階を第二段階の場合に、北海道と同様に八割補助ということを考慮されてしかるべきじやないか。しかるにここになお北海道とその他の府県の住民の負担力に差等を設けたという点について、私どもは了解ができないのであります。もちろん北海道は新開拓地であり、あるいは開発を中心とする考えで今まで八割補助をやつておるのであります。しかし今度は考え方を新たにして、その地方団体の負担力というものを中心として考える建前になりまするならば、北海道も内地も——内地と申しては語弊がありまするが、その他の都道府県においても、同じ立場において考えていいのじやないか。この点について当局はどういうお考えで、こういう矛盾といいますか、不権衡な法令を出したか。その点をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X01619510328/73
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074・伊藤六三
○伊藤(六)政府委員 その点につきましては、先ほど大臣から御答弁のありました通りでございまして、北海道については、北海道が開発後進地域であるという点と、それから従来北海道を助けるという意味で相当高額の補助を続けて来たという、この二点を採用いたしたわけでございまして、淺利委員からお話になりました点については、重々ごもつともなところもございますが、私どもといたしましては、なおしばらくの間は北海道につきましては従来の先例を尊重して参りたい、こういうような考えからこの案を立てたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X01619510328/74
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075・淺利三朗
○淺利委員 御説明はよくわかります。私も北海道のを今減らせという意見ではないのであります。建設大臣は、そういうことを申したらお冠が曲るかと思いますが、そういう意味ではなくして、北海道は従来今御説明のような未開発地であり、開発を要するという意味で出した。しかし今度の考え方は、負担力というものを基準にして補助額を決定するということならば、北海道と内地は公平に扱うべきではないか、従つて北海道を八割補助するならば、内地の分においても二分の一を越えた場合においては、四分の三ということにせずに、これを北海道と同じ率に、せめて北海道並に、八割補助ということを考えるのが適当じやないか、そういうふうにすれば、一体どれほど補助額に影響するか、その点お調べになつているかどうか、もしおわかりになつていれば、伺いたいのであります。そういう基準にして、北海道を従来の通りに置くならば、なぜ内地の方も二分の一以上の災害費があつた場合に、ただちに八割という基準を設けて北海道と一率にしなかつたかということについて御意見を承りたい。これはやはり予算の関係であるのか、それが適正であるのか。つまりこの一つの法文のうちにあまりに公平を欠いた法文がここに現われて来るから、われわれはそういう疑いを持つのであります。その点について伺つたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X01619510328/75
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076・伊藤六三
○伊藤(六)政府委員 北海道と内地の関係につきまして、財政力から見た点において区別する必要がないじやないかということはしごくごもつともな点でございます。ただこの場合におきまして、何べん申し上げてもこれは盡きないとは思いまするけれども、北海道というものの特殊性を特に認めたという点をわれわれとしては北海道を特別に扱つたという理由といたしておるのでございます。なお北海道を上げましたために負担がふえるというのは、現在の災害費からしまして、大体三億円程度の増加があるかと存ずるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X01619510328/76
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077・田中角榮
○田中委員長代理 その他御質疑はありませんか。——次会は明二十九日午前十時より開会いたすこととし、本日はこれにて散会いたします。
午後四時十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X01619510328/77
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