1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十六年五月十九日(土曜日)
午後一時四十九分開議
出席委員
委員長代理 理事 内海 安吉君
理事 田中 角榮君 理事 村瀬 宣親君
理事 前田榮之助君
逢澤 寛君 淺利 三朗君
今村 忠助君 上林山榮吉君
小平 久雄君 内藤 隆君
西村 英一君 中島 茂喜君
福田 繁芳君 増田 連也君
池田 峯雄君 寺崎 覺君
出席政府委員
建設事務官
(管理局長) 澁江 操一君
建設事務官
(河川局次長) 伊藤 大三君
建 設 技 官
(道路局長) 菊池 明君
委員外の出席者
建設事務次官 中田 政美君
建設事務官
(管理局営繕部
第一課長) 江ケ崎太郎君
建設事務官
(河川局防災課
長) 賀屋 茂一君
建 設 技 官
(管理局営繕部
長) 大村巳代治君
専 門 員 西畑 正倫君
専 門 員 田中 義一君
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五月十八日
由良川改修工事施行の請願(稻田直道君紹介)
(第一九八〇号)
一ツ瀬川を直轄河川に編入並びに改修工事施行
請願(渕通義君紹介)(第二〇三九号)
県道妻人吉線を国道に編入の請願(渕通義君紹
介)(第二〇四〇号)
県道宮崎熊本線を国道に編入の請願(渕通義君
紹介)(第二〇四一号)
狩野川治水工事による被害漁民の救済対策確立
実施に関する請願(水野彦治郎君紹介)(第二
〇七三号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した事件
連合審査会開会要求に関する件
官庁営繕法案(内藤隆君外十五名提出、衆法第
五三号)
災害復旧に関する件
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001・内海安吉
○内海委員長代理 これより会議を開きます。
官庁営繕法案、内藤隆君外十五名提出、衆法第五三号を議題といたします。前会に引続き、質疑を継続いたします。池田峯雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X02219510519/1
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002・池田峯雄
○池田(峯)委員 この法案の第五条、第六条、第七条、第八条等に、官庁の庁舎はこうなければならぬということがきめられておりますが、これによつて現在の予算に対してどういう影響を及ぼしますか、この点を承りたいと思います。予算を増額しなければならぬと思いますが、どの程度の増額を必要とすることになるかということを一つお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X02219510519/2
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003・田中角榮
○田中(角)委員 池田君にお答えいたします。本法律案を提出いたしましたおもなる目的の一つとして、国費の濫費を防ぐというのが目的であることは申すまでもありません。その意味におきまして、四条、五条、六条に規定しておることを行うことによりまして、逆に国費が節減できると思つておるのであります。なぜならば、合同庁舎といたしますために、大体の想定といたしましては、二分の一程度に減るつもりでおりますので、敷地の買収費その他を見ましても、当然これが経費節減になるという見込みであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X02219510519/3
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004・池田峯雄
○池田(峯)委員 経費節減になればけつこうだと思うのですが、実際には不燃材料でつくらなければならぬ、防火建築でなければならぬ、それも庁舎がそういう規定に適合しない場合には、各省各庁の長に対して、改築、移築、修繕、模様がえ等の必要な措置を勧告することができる、こういうような規定があるのでありまして、現在の庁舎は、相当これにはずれるようなものもあるのではなかろうか。全国的に見ますと、相当改築しなければならぬようなものも出て来るのであろうと思うのでありますが、そうなりますと、現在の官庁営繕に盛られている経費に対して相当の増額をしなければならぬ、こういうことになると思うのですが、それはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X02219510519/4
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005・田中角榮
○田中(角)委員 お答えいたします。一面から考えると池田君の理論が成り立つと思いますが、現実的な営繕の費用は、現在の予算の編成の状況をごらんになればおわかりになる通り、理想を達成せしむる予算の要求はあるのでありますが、限られた予算の中で年々これをまかなつて行く現状でありますので、予算を大幅に増額するということは、現実的には考えられないのでありますつそれよりも、現在各省別に異なつた見地から営繕を行つておりますので、これが統一強化をすることによつて、必然的に経費が節減されるという考えを持つておるわけであります。特にただいま池田君が申された通り、不燃建築に転化を要求しておるというのでありますが、これはもちろん将来建てるものは、衆議院の院議によつて可決された決議案にもあります通り、究極の理想としては、どうしても不燃構造物にいたしたいということを考えておるわけでありますから、このように規定したのであります。しかしこれからの官庁営繕物が、時も所も用途もかまわずして、不燃構造物になると規定しておるのではありません。防火地区内、その他どうしても不燃建築にすることが妥当であると思うものを不燃建築にすることを要求しておるのでありますから、これがために大幅な増額を来すということは考えられないのであります。
もう一つ申し上げたいことは、現在の庁舎に対する補修、修繕の要求でありますが、これは強度、危険の配慮という意味から、今までもこのような要求をやつておりますので、これは腐朽の度のはなはだしいもの、耐用年限を過ぎたもの等に対しては、当然主務官庁から監督の責任上、これが改修を命ずるということを法文に規定しているわけでありまして、これも理想からいえば、現在あります官庁営造物に対しては、相当危険度の多いものもありますが、限られた予算の範囲内で、より効率的にまかなうわけでありますので、これより大幅に増額をするということは現実的には起らないと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X02219510519/5
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006・池田峯雄
○池田(峯)委員 この法律で、各省のセクショナリズムというのですか、割拠主義とでもいうのですか、そういうものが今まで非常に強いので、これを是正したい、こういうような議論が昨日もあつたのでございますが、しからばその各省の割拠主義というのは、これは一体根本的な原因はどこにあると考えられて立案されたのでございましようか。この点を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X02219510519/6
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007・田中角榮
○田中(角)委員 池田君の質問が少し本論から離れたようでありますが、私の考えだけを申し述べます。
私が本法律案審議の途上お答え申し上げました、各省のセクショナリズムによつていろいろな弊害が起きておるというのは、そのセクショナリズムの現実を除去したいために、なおまたそのセクショナリズムのために起るマイナスを本法の制定によつてとりたいということを申し上げたのでありまして、セクショナリズムが何によつて起るかということは、あえて私が申し上げるまでもなく、池田君の方で十分御存じだろうと思いますので、答弁の限りではないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X02219510519/7
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008・池田峯雄
○池田(峯)委員 この法律をつくる最初の意図として、そういうセクショナリズムがあるから、だからこれをなるべく建設省で一元化するような方向に持つて行きたい、こういうような意味で立案されたのであろうということは、これは疑いないと思うのです。でありますからして、もつと根本的に、しからばどういうところからこのセクシヨナリズムというものが起つて来るのであるかということを、これはあるいは小委員会などで十分討論されたのではないかと思うのでありますが、そういう点について立案者の私見でも述べていただければけつこうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X02219510519/8
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009・田中角榮
○田中(角)委員 お答えの限りではないと思うのでありますが、執拗な御質問でありますので、私の考えだけを申し上げます。
これは簡単に申し上げて、官僚についてだけ申し上げるのではありませんが、いかなる人間でも、生存意欲とか名誉欲というものが非常に強いのでありまして、特に自分の生活権という問題に対しては重大なる関心を持つと同時に、おのずからこれが権限の拡大強化というものをはかつて行くのは本能のしからしむるところであります。特に長い、明治初年からの国家権力の非常に強かつた官庁の機構の中で働いておる官吏は、自分の権限が縮小せられるということに対しては、相当根強い反対をいたしておることは私が申し上げるまでもありません。それは歴代内閣が必要であるといいながら、あえて行えなかつたところの行政機構の再編、改革、行政機構の簡素化という問題がなかなかできなかつた現実に徴しても明らかなのでありまして、二百八十名の多数を擁する自由党でさえも、まだまだ不満足ながら第一段階の行政整理を行つたに過ぎぬという現状から見れば、池田君おわかりの通りだろうと思います。そういうような理由を申し上げるよりも、必然的な、しかも長い日本の官庁機構の情勢から起きて来る必然的な現象でありまして、将来はこういうものに対しては強力な配慮を必要とするものだ、こういうふうに考えているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X02219510519/9
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010・池田峯雄
○池田(峯)委員 多少議論にわたるかもしれませんが、たとえばこういうことは考えられないでしようか。最高裁判所があの大建築をやる場合に、建設省などにまかせておかぬ方が、これはそれを受持つた役人と業者と結託して、多少自分の腹を肥やすことができる。自分の権限でやつた方が金がもうかる。また業者の方も、そういう役人、あるいは部局の連中にうまくやつておけば、それで厖大な請負工事を請負わしてもらえる。こういう業者というものと役人、あるいは役所の一つのポストの連中が結託して、そうして業者との密接不離な関係において官庁の建造物をやつて行く。こういう関係がございまして……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X02219510519/10
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011・内海安吉
○内海委員長代理 池田さん、御発言中で恐れ入りますが、準御大葬に対する敬弔の意を表する決議案が今上程されるそうでありますから、この際しばらく休憩いたしまして、本会議が終つてから再開いたします。
午後二時休憩
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午後二時十八分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X02219510519/11
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012・内海安吉
○内海委員長代理 休憩前に引続き、これより会議を開きます。質疑に入ります。池田峯雄君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X02219510519/12
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013・池田峯雄
○池田(峯)委員 簡単に続いて質問したいと思うのですが、そういうように各省のセクシヨナリズムとかいろいろ言いますが、根本は、端的に言えば、土建屋と役人が密接不可分に結託しまして、そうしてどうにもこうにもしようがないというのが、実情じやないんでしようか。そういうのをこの法律で直すので、はなはだけつこうだと思つていたのでありますが、審議会というものができる、建設省も相当にこれにタツチをする、こういうことになりますと、土木建築請負業者が一つの建物を請負う場合に、たとえば法務府の建物を建てる場合には、法務府にも顔を出さねばならぬ。顔を出すには手ぶらでは行けぬ。それから今度検察庁にも顔を出さねばならぬ。この方も手ぶらではちよつと行けない。そのほか審議会にも顔を出さねばならぬ。こういうことになつて、四方八方相当の運動をしないと、一つの工事、あるいは一つの特許権をとつたような場合に、これを各官庁の建物に応用してもらうというようなこともなかなかできぬ。非常に複雑多岐にわたつておる。従つて運動費も相当かかつて来る。この運動費が工事費に食い込むから、粗雑な建物ができる。あるいはまたその運動費、飲み食いの費用を、労働者の賃金の引下げ、こういうことで捻出して来る。こういうことが考えられるのでありますが、提案者はこの点いかがお考えになつておりましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X02219510519/13
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014・田中角榮
○田中(角)委員 先ほどもちよつと池田君から発言がありましたが、まさに共産党の宣伝演説そのものであります。ものは見方でありまして、池田君の見方は、本心はそういう見方をしておられないと思うのでありますが、共産党の宣伝演説をやられるために、そういうふうな譬喩をなされると思います。私は少くとも、今あなたが言われたことのうらはらを考えてみるとき、国民の官庁でなければならない官庁が、複雑多岐にわたつておる場合、大衆は一体便利であるか便利でないか。あなたは大衆的の見方をしておられるのか、おられないのかということを私は言いたいのであります。もちろん、これは一つの土建業者という譬喩をあなたがお話になつたので、一応りくつもあるようでありますが、国家の官庁の建物ということになりますと、国民の使わなければならない建物であります。その意味においては、当然三箇所、五箇所、十箇所にわかれておるものを、一箇所に統合することが、より国民のために利便であることは論をまたないところであります。
もう一つ申し上げたいことは、現在各省にわかれております建築行政というものは、当然国費の濫費を防ぎ、より理想的な経費の節減をはかるためには、官庁機構の簡素化ということがもくろまれるのでありますが、その第一段階として、いたずらに複雑多岐にわたつておるものを、一つの線にまとめるということは、実行の手段としては最も最適な手段である。しかも本法律案は、その線に沿つておるものであると考えます。もう一つ前段に言われましたところの、建設省一本にまとめることが土建業者には非常にいいのではないかというお話でありましたが、土建業者がいいのではなく、国家、国民がいいのであります。なぜならば、現在最高裁判所というところだけをお取上げになつたようでありますが、各省にこれがまたがつておりますために—実際仕事をやるのは、私が申し上げるまでもなく、もちはもち屋であります。すなわち建築に関する行政、あらゆる営繕の仕事の監督、管理を行うには、長い伝統と技術陣を持つ、すなわちその界におけるところのエキスパートがこれを行うことが一番いいわけであります。宣伝演説は共産党の池田君がやられる方が、私よりもうまいということと同じことであります。そういうことから考えまして、私はもちはもち屋と言うので、当然建設部門というものは、建設省に統合整理せらるべきものである。そのためには、私が申すまでもなく、各省に分割しておりましたところを戦災復興院に統一され、そして現在の建設省になつておることをお考えになれば、まさに自明の理であります。同時に戦後、終戦処理費のこの厖大なる工事が、各省、各府県にまたがつておつたのでありますが、これを統一し、そして国費の冗費を節約するためにとられたのが特別調達庁で、この一つの線にまとめること以外にないという事実に徴しても、本法律案は、あなたがお考えのような皮相な見方から来るところの考えには、あてはまらないことを申し上げたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X02219510519/14
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015・池田峯雄
○池田(峯)委員 国民感情ということを申されましたが、今、日本の国で、やたらに官庁ばかり建つております。裁判所、あるいは税務署、警察署、至るところに、人民の家屋を圧するような高層建築物が、続々と建つておる。国民感情は、一体役所ばかり建てて、おれたちの家をどうしてくれるか、こういう気持が、まず国民感情であろうと思う。そういうりつばな建物の中に入つているのは、ただ頭のからつぽな役人ばかりで、ちようど銀座街頭を歩いているアプレゲールの青年と同じで、服装はりつぱであるが、頭はテカテカ光らしておるが、中身は何もない。大体こういうことで、ああいう役人どもに、あんなりつばな建物は必要がないというのが、国民感情であろうと私は思う。それからもう一つは、日本のりつぱな建物、東京都などのりつぱな建物がアメリカ軍に使用されておる。だから早くアメリカに行つてもらつて、あの建物を日本人が使うようにしたらいいのじやないか。自由党は、アメリカにいてもらう、アメリカにいてもらうということばかり言つておつて、この建物を使つていてけしからぬ、これが国民感情だろうと思うのでありますが、私はこの国民感情の建前から、この法律をつくる上に、そういうことを頭においてやつてもらいたかつた。これが第一に私が言いたいことでございます。また第二には、各省にまたがつている、そういつた官庁営繕の工事を、建設省に統合するという建前が、この法律でははなはだあやふやになつておりますから、従つて大蔵省の建物を請負う場合には、大蔵省にも運動しなければならぬと同時に、建設省にも運動しなければならなくなる。また審議会というのができるから、この審議会にも多少心づけをしなければならぬ。こういうふうに、むしろ今までよりも、今度は各方面に運動しないと、なかなか業者がわたりをつけるのに困難になるのではなかろうか。従つてむしろさらに今までよりも工事費に、そういつた運動費が食い込む率が多くなるのではなかろうか、こういうことも考えられるのであります。その点をひとつ御質問したい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X02219510519/15
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016・田中角榮
○田中(角)委員 第一段の御発言に対しましては、もちろん池田君の考えている通りの気持で、国民感情に沿うように、本法律案を立法したわけであります。それは、このような法律がない現在におきましては、各省、各個ばらばらにやつておりますので、時と場合によつてはいらない建物などができて、国民の反撃を買つておるわけであります。その意味で、この法律で縛りまして、各省が要求する営繕物が必要であるかないかということを十分精査して、しかもまたあなたが言われる通り、からつぽの頭の人がよく働けるようにするためには、どういう設備をやつてやつた方が、より能率的であるかということを考え、しかも万全な策を講ぜしむるために、本法律案をつくつたのであります。
第二の問題は、土建業者が工事をとるために運動をするということは、国民の中のまつたく小部分の人の問題でありますので、この人たちの利益などを私は考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X02219510519/16
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017・池田峯雄
○池田(峯)委員 もちろん田中さんがそういうお考えを持つておらないことは申すまでもないことで、信じておりますが、しかしこれは災害復旧工事にしても、何工事にいたしましても、業者と役人との結託はたいへんなものでございまして、飲み食いをやらせないとなかなかできないものです。まず工事費の三分の一ぐらいは、飲み食いの費用になるであろうと言われております。(「ノーノー、そんなことはない」と呼ぶ者あり。)この間大阪に参りまして、いろいろと聞きましたが、堤防がこわれたら、中からドラムカンがぶかぶかと出て来たなんということを聞きましたが、そういう工事をやらなければならぬのも、一方においては役人あるいはその他のいろいろの方面に金を使わなければならぬということが、相当の原因になつておるのではなかろうか。特別調達庁の工事なんかを見ても、会計検査院が報告しておる通り、実にべらぼうな不正な工事をやつておるのであります。そういう不正な工事をやらなければならぬということが、ここが今の日本の資本主義を変革することなくしては不可能な矛盾なんです。社会の矛盾なんです。こういう社会の矛盾を是正するという建前に立たないと、官庁のセクシヨナリズムも直らないし、業者の各官庁や役人どもに対するいろいろの不在、贈賄、収賄というようなことも直らない。この法律ではそういう点がむしろますます大きくなるのではなかろうか、こういうことを考えるわけなんです。大体田中さんと私の意見の相違点は明瞭になつたようですから、これで質問を打切りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X02219510519/17
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018・上林山榮吉
○上林山委員 ただいま共産党の池田君の発言の中に、私ども建設委員として聞き捨てておくことのできない重大な発言がありましたので、私は責任のある池田君の言論をさらに拝聴する意味において、委員長を通じて確かめていただきたい、こういうことがあります。それは、なるほどわれわれも一面工事が不十分であるという点を認める場合もありまするが、ただいま池田君が、大阪の工事がドラムカンをもつて工事をしたというような、まことにずさんな工事があつた、こういう発言であるが、それは大阪の何の工事であつたのであるか。また時はいつごろの問題であつたのか。あるいはまた、これを請負つた業者はどういう人たちであつたのか。これの所管は、何省の所管に属した仕事であつたのか。この点を私は当議場を通じて明瞭にせられたい。私どももまたそれが事実であるならば、これは共産党とは違つた立場において、この問題について善処をしなければならない、こういうことを考えますので、委員長を通じて池田議員に確かめていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X02219510519/18
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019・内海安吉
○内海委員長代理 ただいま上林山委員より、池田委員の発言に対しての質問がありましたが、さらにもう一つ委員長からも聞いておきたいことがあります。工事費全体を通じての三分の一は、酒食あるいはそういう方面に使われておるという発言もあつたようでありまするが、これもあわせて池田委員に聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X02219510519/19
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020・池田峯雄
○池田(峯)委員 実はこれは、そういう不正は数限りなくあります。われわれはそれを出しましよう。あなたに要求されるまでもなく、私は本委員会に提出するつもりでおりました。従つて確実な資料と、確実な証拠をもつて本委員会に提出して、そうしてその責任者に対しては、断固たる糾明を要求するつもりでおります。そのつもりでおります。御要望に応じたいと思います。
それから委員長の言われたことについても、もちろん三分の一になるか、あるいは二分の一になつているか、あるいは十分の一にすぎないか、そういう事実がとにかくあることは事実でありまして、これも資料をあげて提出いたしますから、十分に、何ら妥協するところなく、これらの不正に対して糾明していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X02219510519/20
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021・上林山榮吉
○上林山委員 私の発言に対して、池田君は後刻答えるということで、この場をば一応逃れるかのごとき、無責任な言論を吐いておられるのでありまするが、ただいま言論に責任を持つておるという立場から、これをば明瞭にし得るくらいの用意を持つて、この議場で発言するのが、私はそれこそ責任を背景におくところの議員の、これが発言でなければならぬと思う。しかるに後刻資料を提出するというに至つては、私どもその資料をはたしてどの程度まで信用してよいか、まことに疑わしいと言わなければならぬ。しかしながらその資料は資料として、われわれは提出を要求する。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X02219510519/21
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022・田中角榮
○田中(角)委員 池田君の先ほどの御質問に対して、私は答えなくてもいいと思いましたから、答えなかつたのでありますが、答えなかつたために紛糾が起きたようでありますので、私は池田君にちよつと申し上げます。池田君の提案者に対しての質問の要旨は、工事が非常に不正が行われておるが、本法律案がその不正を除去する目的をもつてつくつたのじやないかというようなこまかい面からのみお考えのようでありましたが、私たちはそういうふうに考えておらないのであります。いわゆる現在国費の支弁をもつてまかなわれておるところの工事費が、池田さんの言われたように非難をせられる条項が非常に少い。もちろん、決算委員会等に提出をせられております会計検査院の批難事項を見ますと、二十一年、二十二年、二十三年、二十四年というように、終戦後の混乱時代にはそういう批難事項はたくさんありましたが、二十五年度には非常に激減をしております。と同時に、私は今年度はなお激減をするのではないかという予想を持つております。なぜかと申し上げますと、いわゆる年度の予算は一年前に組まれる予算でありまして、大体去年、今年度の予算が—特に本法律を適用するところの官庁営造、建造物等の費用は、一年前予算が組まれるわけであります。あなたのお考えが、現在デフレがどんどんと進んでおるようなお考えであれば別なのでありますが、昭和二十年からこの方、物価は上る一方であります。ある一定の予算をもつて、しかも一年前の非常に安い当時の単価をもつて、見込まれたところの予定価格でもつて、公入札を行うにしても、指名入札を行うにしても、実際問題としては、その価格で請負ができないという現状であります。これは私が申さなくても、経済の原則であります。従つてそのような場合、現在のほとんどの入札請負というものは、公入札を行つても契約がまとまらないというような状態でありますので、三分の一、二分の一の多額の費用を、各官庁に持ちまわり、指名入札に入れてもらう運動費のために流用するようなことは、断じてないのではないかと私は思つております。だから、そのような問題と本法律案の提案というものは、大体無関係に私は考えて参つたわけであります。あなたがそれに対して注意深く観察をせられておつたならば、本法律案を提案する場合、あなたが言われたようなことを基礎に考えないでよろしいということはわかると思うので、そういう認定のもとに立案いたしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X02219510519/22
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023・内海安吉
○内海委員長代理 お諮りいたします。これにて質疑を終了いたすに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X02219510519/23
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024・内海安吉
○内海委員長代理 御異議なしと認めます。よつて質疑は終了いたしました。
ちよつと速記をやめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X02219510519/24
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025・内海安吉
○内海委員長代理 速記を始めて。西村君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X02219510519/25
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026・西村英一
○西村(英)委員 本法律案につきましては、質疑を通じまして、討論に似たようなことも行われたのでありまするが、討論を省略してただちに採決をされんことを、動議として提案いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X02219510519/26
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027・内海安吉
○内海委員長代理 お諮りいたします。ただいまの西村委員の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X02219510519/27
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028・内海安吉
○内海委員長代理 御異議なければさよう決しました。
採決いたします。本案に賛成の諸君の御起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X02219510519/28
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029・内海安吉
○内海委員長代理 起立多数。よつて本案は原案の通り可決いたしました。
お諮りいたします。本案に対する報告書の作成並びに提出手続に関しましては、委員長に御一任願いたいと存じます。御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X02219510519/29
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030・内海安吉
○内海委員長代理 御異議がなければさようにとりはからいます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X02219510519/30
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031・内海安吉
○内海委員長代理 この際連合審査会開会の件についてお諮りいたします。現在内閣委員会において予備審査中の利根川開発法案、石川榮一君外百二十二名提出、参報第一七号につきましては、当委員会の所管事項とも関連を有しておりますので、衆議院規則第六十条により、内閣委員会に連合審査会開会を申し入れたいと存じますが。御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X02219510519/31
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032・内海安吉
○内海委員長代理 御異議がなければさように決しました。
なお日時、場所等につきましては、内閣委員長と協議の上、決定次第御通知申し上げます。
ちよつと速記をやめて。
〔速記中止〕
〔内海委員長代理退席、田中委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X02219510519/32
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033・田中角榮
○田中(角)委員長代理 速記を始めてください。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X02219510519/33
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034・田中角榮
○田中委員長代理 災害復旧に関する件を議題といたします。本日建設省より中田事務次官、伊藤河川局次長、賀屋防災課長、澁江管理局長、以上四へが出席しております。本件に関しまして、今村忠助君より当局に対する質疑の通告があります。これを許します。今村君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X02219510519/34
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035・今村忠助
○今村(忠)委員 実はこれから質問いたしたいと考えておつたことは、前国会から事務的にも要求いたしたものが、今日に延びておつたものだということを申し上げておきます。
第一に、私は新憲法下における第一国会以来この十国会までを通じて建設委員である。この建設委員を四年間いたしたその間を通して、私の信念的な立場から質問をいたすのでありまして、ぜひこれは、まずその衝に当る委員長もそのつもりでお聞き取りを願いたい。実は私の要求しておる質問の相手は、一建設省だけではございません。法務府並びに会計検査院、大蔵省、安本等の係り全部に、一しよに来てもらいたいということを要求しでおります。なぜかといえば日本の政治は、今まで繰返されておつた通りに、セクシヨナリズムの弊害を持つておる。ことに公共事業費がどう使われておるかに関しては、ことに公共事業費そのものが、単に建設省だけではございません、その他の省にも関係があるがゆえに、当然これらの省の人に出てもらいたかつたのでございます。ことに私が質問する要点は、新しい憲法ができまして、地方分権というようなことが、いろいろの意味において具体化して参りました。その新しい憲法下における行政面の一つの欠陥ではないかということを感ずるのでありまして、これは問題自体を究明するというよりは、問題自体によつて、この憲法下における行政面の欠点を何とかいいように是正したいという信念から質問いたすのであります。
内容はどういうことであるかといいますと、御承知の通り、公共事業費を一つあげましても、本年度千百五億という厖大なものであります。この公共事業費は、補助金という形になつて地方へ参りますから地方においてみなこれに幾らか加えて事業をいたさなければなりません。従つてこの公共事業費の実際面の使用される総額は、二千億近くに及んでおるのではないかと考える。この厖大な国費がどう使われておるか。私は各地各所に起つておる新聞紙上等の問題を通して、はなはだ適正に全部が使われておるのでないという感じを持つのであります。先ほど共産党の池田君が、この公共事業費、あるいは土木費のごときものが適正に使われておらぬではないかといつて指摘しました。その欠陥は資本主義政治にあるのだとさえ指摘しております。われわれ自由党の者は、わが自由党の政治が資本を擁護した政治でないということを明らかにするためにも、ぜひともこの質問によつて、いわゆる新憲法下の欠陥がどこにあるかを明らかにして、是正に努めるところの責務があると信ずるのであります。こういう意味におきまして、私はこれから質問をいたしたいと思うのであります。これを聞き取つてくださつた委員長から、単に建設関係だけでなく、事実の検査、会計の検査等を伴うものとするならば、それらの弊害の事実を明らかにするためにも、法務府でありますとか、会計検査院でありますとか、予算経理上の問題であるとすれば大蔵省、あるいはこれが調節をはかる安本等も同時に出席を要求されまして、総合的な質問を私は試みたいと考えるのであります。そこで、それではどういうことを私は聞かんとするか、その概略を申しますと、こうであります。
今申します通りに、一千億を越える厖大な公共事業費のうち、一例を建設省にとりますと、建設省においては、建設省直轄で事業をする場合と、地方に補助金として与えて地方にやらす場合とがございます。おそらく建設省直轄のことについては、そう実際問題としても非難されるようなことはなかつたでありましよう。ところが地方に補助されるものになりますと、これが先ほど申します新憲法下における地方分権問題と関連いたしまして、新しい憲法下で新しい行政が行われることによつて、いろいろの点に不完全な点があろうかと思うのであります。ことに民主主義的なものの考え方が、いわゆる誤られた自由というようなことから、政府から補助を受けた金品が、結局簡単な言葉で言えば、ただで中央から補助を受けたのだというものの考え方があるやに考えられるのであります。それはどういうことかと申しますと、ここで私は具体的な事実に入りたいのでありますが、現に飯田市は四年前に町の七割近くを焼きまして、建設省の補助を受けて復興をいたしております。私は実際その土地から選ばれた議員として、四年間を通じてこれを見て参つたのでありますが、卑近な例をあげますと、大体補助金をもらいに来る市の理事者が宿屋にとまつておらない、待合にとまつでおる。それで私は、なぜ待合にとまつておるということを市長にただしましたところが、市長は、はつきりこう言うのであります。旅館にとまつておつて役人の人を料理屋に呼ぶと、経費が二重にかかる。待合にとまつておつて、待合に直接に呼んでそれで済ませば、一度で済んでしまう、この方が経費がかからないのだと、こう言つておる。これは幾多私自身が味わつた実例であります。言いかえますと、現にこれは市会議員の一人が、新聞などにもはつきり名前まで書いて発表した事実でありますが、市長が金をよけい使うということを今村代議士は非難するけれども、五百万とつてくれば百万ぐらい使つてもいいじやないかということを、堂々名前入りで、新聞紙上において私に挑戦しております。五百万円もらえば百万円使つたつて四百万円残つている、もらわぬよりいいじやないかという議論である。これが私がまず指摘しなければならぬ新憲法下における地方分権的なものの考え方が、中央からもらつて来てから後の金は、われわれの責任どうにもなるんだ、簡単な言葉で言えば二割というようなものが、いわゆる中央で運動費という形で消えてもいいではないかというものの考え方であります。私はこういう点をまず建設省と会計検査院に聞きたいのであります。この五百万円もらうものを百万円使つてよろしいというものの考え方は、一体会計検査院法の上において正しいとされておるかを私は知りたい。なお極端な例は、昨年の六月、天龍川は時ならぬ洪水によつて大災害を受けました。十億以上の厖大な災害を受けまして、復興に当つておるのでありますが、新聞によりますと、最終的のものではありませんが、七工事箇所、三十七業者、入札妨害、不正談合、こういう見出しで書かれているように、七つの箇所に三十七の請負業者が、いわゆる入札の上に何か不正なことがあつた。現にこのために県会の土木委員長も疑獄の人となり、その他の県議あるいは元県議などにも関係者が出たのであります。そして長きにわたつて取調べの結果、国家地方警察長野県本部発表のものとして見たものによりますと、ある請負業者は、工事費の七割五分が工事外のものに消えたということを検察庁で取調べの際述べておるそうであります。一体一つの工事のうち七割五分が消えて、あとの二割五分で工事をしたものか、請負師が損してやつたものか、これに対しての技術的検査と会計検査はどうなつておるか、これをお聞きしたいのであります。私は、先ほど申す全国の一千億を越える厖大な公共事業費のうち、全部が全部とは言えないが、かなり大きい部分がかような意味に使われておるのではないかという疑いを持つ。そしてこれを是正せずに置けば、共産党は資本主義政治が行われておるのだと指摘するのです。わが長野県が、共産党員の数も多く、いろいろの活動をしておるということには、やはりこういう誤られた新憲法下の行政面のあやまちというものが、何といつても青年を共産党に走らせておるのではないかと感ずるのであります。かかるがゆえに、これらの事態を根本的に、事実は事実として明らかに調べ出しまして、それに対して今後どうしたらいいかということを、わが建設委員会は真剣に考えねばならぬと考えるのであります。(「その通り」)そうでなければ、流れる堤防、こわれる橋、こんなものを繰返しつくつておつて、この敗戦のあとの日本は一体どうして完全に復興できますか。私は四年間の、しかも第十国会までの建設委員の一人として、黙視することはできないのであります。私は技術検査と会計検査を適正に、どうしたらいいかということを制度の上で改めなければならないと考えます。それを官庁に置くか、国会に別に置くかを考えてみたいと思います。同時に予算の編成が、いわゆるシヤウプ博士も指摘した通りに、日本の補助金制度が悪いと思う。私は先般国会から選ばれまして、アメリカに参つて、調べたところでは、アメリカには補助金制度がない。日本は補助金があるために、国会が開かれているときであるといなとを問わず、年中官庁に押しかけて陳情陳情。それが先ほど申す通りに、地方分権の形で、県も村も町も、何か自分らの町を自分らでよくするのだといういい考えが一面にあるとともに、もらつた金は自分でどうにもなるのだという考えがある。そして会計検査が、そういう金に対してはやはり私は何かしら不十分のような気がする。坊間伝えられておる。会計検査は現場に臨んでおらぬ、料理屋で会計検査をして帰つたというようなことは坊間聞いておることである。技術検査に至つてはなお驚く。災害対策委員長の松井豊吉氏は、昨年この天龍川の災害の直後に復旧工事を見に行つた。堤防を見て、この人は専門家でありますから、この堤防には、裏込めというのだそうでありますが、私にはわかりませんが、大きく石を積んだあと、小さい石を入れることだそうであります。それをしてないがどうだと言つたところが、困つてしまつた。向うも認めた。それではこの次に来るまでにこれを直しなさいと言つた。承知したと言う。この松井豊吉氏はわれらの同志です。長い間建設委員をしていた人です。どうしても気になるからというので、おそらく自分の費用で行つたものでありましよう。再びその場所をたずねた。すでに堤防はきれいにできておつた。松井氏は専門的知識から、この堤防は私が指摘した裏込めがしてないがどうだと言つたところが、集まつた人全部口を揃えて、いたしましたと言つた。松井豊吉氏は、自分の知識ではしてないと思う。私はそのとき、くずしてもう一度調べると言つてみたけれども、自分には経費がないし、はたして自分がそういう点にまで立ち入ることが災害委員長としての使命であるかわからないというので、九月へ入つてからでありましたか、八月のうちであつたか、委員長はわざわざ、私が盲腸で入院しておるところにたずねて来て、君の選挙区の天龍川の災害復旧状況を見て慨嘆にたえないと言つて報告してくれた。私はこの問題を進める上には、どうしても松井豊吉氏にここへ来てもらつて、当時の事実をぜひ報告していただきたい。ここで私は、今指摘したようなことが、先ほど申す通りに、共産党の人たちの言うように事実としての証拠がないと言われては、私も同様に残念でありますから、まず第一に、国家地方警察の長野県本部の発表した天龍川工事に対する不正調査によれば、今申す通りに、ある請負師の人が工事費の七割五分を他へ使いましたということを現に言つておるのでありますから、それでは残りの二割五分でやつたものか、あるいは自分で金を出してつくつたものか、それは一例でありますが、これをまず調査していただきたい。また飯田市長が、五反田のある待合にとまり込んで、政府の補助金をもらうためにどれだけの金を使つておつたかという事実も調べてもらいたい。そして事実がこれまであつて、今言う通り、もらつて来る金の二割は平然として市会までが一緒になつて使つておるのだというなれば、これは根本的にわれわれは補助金制度というものを考えねばならぬものと思う。私は一日や二日を争うのではありません。前国会にかような質問をいたしたいということを申し出て、すでに半年も待ちました。また半年を待つてもよろしゆうございます。これらの事実を明らかにして、何とか今後の公共事業費が適正に使われることを私は期さねばならぬと、こう思うのであります。私は、この一部分が建設省に関係があるから、建設省の答弁を求めるという一人でありますけれども、先ほど申す通り、総合的な意味において質問いたしたいという事件でありますから、委員長において、建設省、法務府、会計検査院、大蔵、安本等、これらの関係者を一緒に出ていただいて、そして日本におきます建設事業のセクシヨナリズムの欠点もこの際ともに検討しつつ、この問題を明らかにして、これが対策をいかにすべきかということに及んでいただきたいと思います。(「賛成」)まず委員長の決意を承ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X02219510519/35
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036・田中角榮
○田中委員長代理 今村君にお答えいたします。私は、内海委員長代理が退席をしましたので、かわつたのでありまして、事情をつまびらかにしなかつたのでありますが、今村君の御要求によりまして、会計検査院、法務府、大蔵省、経済安定本部の方々をお呼びしておつたそうであります。しかし本日は都合が悪くて、出席を見なかつたわけであります。これは時間的な理由にもよるのでありますが、委員会といたしましては、本日建設省の方々から意見を徴して、その後理事会にはかつて、今村君と相談の上出席を要求するというお話だつたそうでありますが、これは建設委員会といたしましても重大な問題でありますし、特に公共事業費という問題に対しましては、本委員会が全力をあげて、この問題を考えておるのでありますから、私も今村君の御意思に沿うべく十分なる努力を傾けるということを誓つておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X02219510519/36
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037・今村忠助
○今村(忠)委員 委員長の御趣旨、まことに私もさようであることをけつこうだと思います。そこでひとつ、建設事務次官が見えておりますから、それに関連して一つだけお聞きいたしたい。それは、むしろ次に出て来ていただく準備に対する希望とでも申すのが当るかもしれませんが、こういうことであります。つまり補助金制度というものが、—私は古い昔のことをよく知らない。新憲法の第一国会後のことしか知りませんが、一体元からかような制度があつたものか、そしてこれに対して、実際の衝に当つておる皆さん方は、弊害を認めておるかどうか。またアメリカあたりのように、補助金制度というものを予算編成の上に持つておらない国のやり方と、日本との場合を比較されて、どちらがいいと思うか。それから、これは前にも私は一度お聞きしたのであつたが、当時不十分でありましたが、技術検査と会計検査とは、実際現在はどういうように行われておるか。これはあなた方が見ておつて不完全と思わないか。かりに不完全とするなら、どういう点をどういうように改めたらいいか。これは建設省だけの問題ではないけれども、建設省の立場からこういう点をこうというまたお考えもあろうと思う。私は先ほど来申す通りに、この問題は、わずかのものをつつき出して罪に落すというようなことで事足れりと考えるものではない。今後長きにわたつて新日本建設の上に厖大に使われるところの公共事業費であり、もう一つつけ加えれば、建設方面の経費というものが技術的に会計的に適切に使われるようにいたしたいというわれわれ建設委員の熱意でありますから、私はむしろ問題のあるものは二、三にとどめて研究して、こういうようだからこうなつたのだ、これがないように未然に防ぐのにはどうしたらいいかというように、むしろ私は建設的なことをこの委員会において取上げたい。そうして制度とするか、法律に基いてやるか、その点を考究して参つて、われわれ建設委員として国民にかわつていたしておるこの担当事務を完全にいたして参りたい、こう考えるので、この点について建設事務次官のお考えを承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X02219510519/37
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038・中田政美
○中田説明員 ただいま今村委員より、公共事業費のあり方について非常に重大なお話を承りまして、ほとんど仕事の全部を担当いたしておりますわが建設省におきましても、工事の執行が国民経済の上において、また国家財政、地方財政の上においても、非常に重要な地位を占めるにかんがみまして、最もこれを適正に執行するべく、いかにその弊害を少からしめるかにつきましては、平素十分の注意を払いつつあるわけでございますが、ただいまのお話の点につきましては、まことにごもつともな点でございまして、どうしてもこれはさらに研究検討をして、よりよき制度なり、よりよき実施を見るようにわれわれは努めなければならぬという点につきましては、まつたく御同感でございます。もちろんこの問題は建設省ばかりの問題ではなく、仰せの通り非常に関係する省は多いわけであります。また中央と地方自治団体との関係に至りましては、まことに複雑な問題があるわけでございます。従いまして、この問題を解決するのには、お話のように地方行政というもののあり方についても問題を広げて考えなければ、ただ単に公共事業の予算の問題だけでは、おそらくは私は完全な結論が出ないであろうかと存じます。もちろん補助金制度は、お尋ねにございましたが、旧憲法、旧地方制度以来、かなり長い間にわたつて行われて参つた制度でございます。それにつきましても、真の意味の地方自治という観点からいたしますれば、税源その他財源の分配において適当なる方法があるならば、必ずしも補助金制度というものが最上の策であるとは私も信じません。しかしながら非常にこまかくわけられた地方自治団体の現代の制度におきましては、この財源の分配がなかなか思うように行かない。その補完作用として、すでに平衡交付金、その以前には地方財政調整交付金という制度すらあつたわけでございます。従いまして、財源を相当に持たせずして地方自治を完全にやるということはできない。従つて、ここにどうしても事業を助成する上においては、補助金制度というものが、ベストではないけれども、やはり長い間行われて来たと私は想像いたします。しかしながら補助金制度の持つ欠陥といいますか、そういうものについては、旧憲法以来においてもわれわれは常に戒心せなければならぬ点でございますが、特にその補助金制度の欠陥は、直接ある補助金をやつたものが、最後まで十分見届けることに不十分な点がある。どうしても二段構えになる。一ぺん県の財政に入りまして、県の責任のある執行機関がこれを執行するわけでございますから、二段構えになる。この点に、今お示しのように監査、検査、そういうものについての、どうしても目の届かぬ結果が生ずるのでございまして、相手をかなり信頼しなければならぬ。従つて信頼する裏づけとしては、その機構が、補助金によつて行う事業が適正にやれる態勢にあるかどうかというところまでさかのぼつて考えなければならぬわけでございますので、従つて現在の補助金制度を今後続けるとするならば、地方行政における新地方自治制度のその機構その他についても考えさせられる点があるわけでございます。しかし、これも究極においては、地方自治はおそらく国民の地方自治に対する真の理解、協力、そういうものからせなければ、ほんとうの解決はできぬと思いますが、御指摘のように、補助金制度というものについては、今後さらにわが国においてはどの程度が一番妥当であるかは十分検討をして、もう少し改善する方法を考えなければならぬということについては、私もまつたく先生の御意見と同感でございます。それについて、技術検査、会計検査というような点が、補給金制度を監査する上において従来も行われて参つておるわけでございますが、御承知の通り、災害に例をとりますれば、初めに査定をいたしまして、補助金額をきめます。その次に中間検査—工事の施行の途中において、あとう限り技術検査をやることにいたしておりますが、煩雑その他人員の都合上、なかなか入念にこれ生々やるというわけには参りません。最後に精算検査というものをいたしまして、竣工検査をいたして、これで工事は所期の目的を達するかどうか、また予算支出が妥当なりやということを見ることにいたしております。しかしながら、何と申しましても、一々これを中央が出て見るというわけにも行きませんので、この点の技術検査をいかにするかという点も、現在のやり方で十分とは決して申し上げられないと思います。もしそれ会計検査になりましては、会計上の適正を期するわけでございまして、これは国の制度として会計検査院がございますし、また地方自治制におきましては、監査委員あるいは地方議会において御監査を願うという制度もございます。また事業官庁のわれわれの方としましても、事業執行の上において適正なりやを見ることにいたしておりますが、これもどちらかと申しますと、過去のことになる。つまり済んでから見るという欠陥から、多少この会計監査が不十分になるおそれがあるのではないかということを私は感じておる一人でございます。
以上は、きわめて抽象的、一般的なことを申し上げたわけでございまして結論ではございません。要するに今村委員のお話のごとく、これらの問題については、今後建設省と申さず、関係省は打つて一丸となつて、この問題の根本的な改善の道に努力をいたしたいと存ずるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X02219510519/38
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039・今村忠助
○今村(忠)委員 先ほど委員長が申されたように、同時に私が要求しておる通りに、この問題は、今建設事務次官が言われても、すぐ会計検査院との関係が起きて来るというようなぐあいに、総合的に、ここにおつていただいて質問しなければ、一つ一つやつておつても、これは完全なものは得られぬと思います。そこで私はまず第一に、やはり官庁の側から見れば、補助金という制度があつて、地方にやつて、地方はこれを受取る。もとより責任を持つてやるはずなのですけれども、ものの考え方が、自分らが税金で苦しんだやつと、中央からもらつて来たやつと、そこに先ほど言う通りに、飯田市の例をとれば、市会でさえその中央からもらつて来る金の使い道のうち、簡単に言えば二割くらいが運動費に消えてもいいというようなものの考え方をしておるのです。この点が会計検査でどうなるか。もとよりそれらのことは、帳簿でごまかしておるといえばごまかしておるということになりましよう。そういうような関連を持つた問題でありますから、一応われわれはそういう弊害の、ある程度の事実を知つておく必要もありますから、順序として、昨年災害対策委員長でありました松井豊吉氏が、現に天龍川災害復旧のために指摘した——あるいは当時報告書をつくつておるかもしれませんが、事実もあるのでありますから、まずこれから聞きまして、先ほど申すように、県の警察本部においても、調査と申しますか、取調べした結果もあることであり、またあるいは飯田の場合の、ごとく、いわゆる補助金をもらうための経費というものを非常に大幅に見積つておるというような、いろいろの具体的なこともあるのでございますから、多少これを検討いたしまして、そして今言う直接関係各省の人に出ていただいて、質問をいたさなければ、いい建設的な結果が得られぬ、こう思うのであります。ただ現われた事実だけを糾明して行くというのではありません。先ほども言う通り、公共事業費が適切に使われるということについては、地方分権ということについて、ものの考え方に何らか間違いがあるとするなら、これを是正するというか、間違いの起きないような制度なり、法律なりを用意すべきだ、こういうところに観点があるのでありますから、どうか委員長において、ことに本国会もあと一週間でありますから、努めて勉強をして、かようなことのある程度の結末が得られるように、続いて継続審査というような形にしていただいて、これは大きな問題でありますから、一朝にして結論は出ないと思いますが、われわれ建設委員としても、この新らしい日本新憲法のもとにおける何か一つの欠陥とも思えるのでありますから、努力して参りたい、こう思います。ひとつ委員長において善処していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X02219510519/39
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040・田中角榮
○田中委員長代理 今村君にお答え申し上げます。ただいまの発言は、公共事業費に対する根本的な問題でありますので、今村君要求の各政府機関の出席者の人選及び松井豊吉前災害対策特別委員長の出席につきましては、できるだけ近い理事会にはかりまして、善処いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X02219510519/40
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041・池田峯雄
○池田(峯)委員 この機会にちよつと次官にお伺いしておきたいと思います。というのは、一つは利根川開発法の問題であります。今これは参議院で審議中でございますが、この利根川開発法案に関しましては、重点的な論議はどういうことかと申しますと、建設省や農林省、特に建設省にまかせておいたのでは、利根川の治山治水ができないというのです。建設省にまかせておいたのではできないから、利根川開発庁をつくつて、そうして強力にこれを推進して行くのだ、これがこの論議の中心点になつておりますが、建設省としては、これについてどういう考えをお持ちであるか、次官から総括的な意見を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X02219510519/41
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042・中田政美
○中田説明員 利根川開発を建設省にまかしておつてはできないから、別な機関をつくるんだというような御意見なのでございますが、池田委員も御承知の通り、利根川開発の根幹なるものは、もとより治山治水でございますが、しかしながら利根川開発の事業の本体に属するものは、ひとり治山及び治水のみならず、それに類似し、あるいはそれに近接いたしますところの開墾、開拓、それから農業部門のこともこの範疇に入るわけでございまして、従つて建設省の所管だけでなく、総合的な開発事業というものは、少くとも現行の制度においては他の省の協力をまたなければならぬ点が多々あるわけでございます。従いまして、治水治山について建設省がいろいろと開発計画を持つておりますことにつきましては、これは御承知の通りでございますが、それらをもつと関係するところを加えた意味の総合計画を樹立して、これを強力に推進をするということにつきましては、機関をつくるつくらぬの問題はとにかくとして、総合開発の必要なことについてはわれわれは同感なのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X02219510519/42
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043・池田峯雄
○池田(峯)委員 私は、利根川開発法という具体的な法律が出ており、その提案者は、利根川の治水を建設省や農林省にまかしておいたのではいかんから、開発庁をつくるのだ、こういうふうに言つておられるが、まかせておいたのではだめだと言われるその建設省は、一体どういう考えを持つておるのかというところをお聞きしたいのですが、あなたの言われるところだと、利根川開発法に全面的に賛成であると、そういうふうに私ども受取つてけつこうなのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X02219510519/43
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044・中田政美
○中田説明員 利根川開発法の案の内容につきましては、私もかねてから石川参議院議員から承つておりますが、国会にいよいよ御提案になつた案そのものについては、その後あるいは変更があつたならば問題でありますけれども、もしも変更がないとすれば、新たに開発庁をつくつて、そこで総合調整をする、そうして実施については関係の各省がそれぞれ所管によつて実施するということになつておるそうでございまして、それらについて、はたして開発庁というものを特別につくつた方がよろしいのか、それとも現在の各省の所管をさらに有機的に総合調整するような一つの委員会的なものにするがよいかというような点につきましては、なおわれわれは検討した方がよいのではないか、結論に達していないことを申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X02219510519/44
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045・池田峯雄
○池田(峯)委員 よろしゆうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X02219510519/45
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046・村瀬宣親
○村瀬委員 本国会の会期もおいおい迫つて参りまするので、たまたま河川課の方がお見えになつておりますから、私は資料を要求いたしたいと思うのであります。きようも九段におきまして、治水連盟の全国大会があつて、われわれ出て行つおつたのでありますが、非常にこの問題が、いわゆる治水が治世の大本であるという問題について、毎年々々同じ議論を聞かされて参るわけであります。そこで私の要求したい資料といいまするのは、昭和二十年の終戦後から、政府で災害復旧を主にしました治水事業に組んだ予算並びにその年の治水関係の災害、これは植林から海に至るまでをやれば、大資料になるでありましようが、一応河川課関係の治水というものでよろしゆうございますから、災害額と、年々やつて行つた予算、工事量等の調査を、今日までの分をこの次までに出していただきたいと思います。目的は、一体三年計画ではありませんが、三年すれば打切るという慣例によりまして、次々に過年度災害をやつておるのでありますが、少しずつこの災害の残つた分が減つて行つているのか、ふえて行つているのかということについては、実はまだ国民の間にはつきりしたものがないのであります。ふえて行つているようなことはないと思うのでありますけれども、一昨年でありましたか、河川局におきまして十箇年計画をお立てになりまして、四千億円をもつて災害を復旧し、二千六百億円でもつて開拓工事を行うというような案をお立てになつたのでありますが、それらと対照いたしまして、一体できれば、一度にたまつておる借金を払うように、どかつと一度に災害を復旧してしまうならば、翌年からは、ある一定の災害復旧費だけで、国家は非常な大生産を上げ得るのではないかという昔からの理論を実現するのには、一体幾ら金がいるのかということを、もう一度はつきりしていただきたい。それにはいつも借金ができておつて、それが支払われておるのか、その支払いと借金との関係はどうなつておるか。借金と言いましたけれども、金のことではありません。これは災害のことであります。そういう点を明らかに、一目瞭然たる表を次会までにつくつていただきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X02219510519/46
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047・田中角榮
○田中委員長代理 明後二十一日午後一時より会議を開き、ただちに特別都市計画法の一部を改正する法律案に対し審議を進めることとし、本日はこれにて散会いたします。
午後三時四十二分散会
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〔参照〕
官庁営繕法案(内藤隆君外十五名提出)に関する報告書
〔都合により別冊附録に掲載〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004149X02219510519/47
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