1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十六年三月二十八日(水曜日)
午後二時三分開議
出席委員
委員長 松永 佛骨君
理事 青柳 一郎君 理事 丸山 直友君
理事 亘 四郎君 理事 柳原 三郎君
高橋 等君 田中 元君
中川 俊思君 堀川 恭平君
松井 豊吉君 山村新治郎君
清藤 唯七君 岡 良一君
出席政府委員
厚生政務次官 平澤 長吉君
厚生事務官
(保険局長) 安田 厳君
厚 生 技 官
(医務局長) 東 龍太郎君
委員外の出席者
厚生事務官
(保険局国民 山本 正椒君
健康保険課長)
専 門 員 川井 章知君
専 門 員 引地亮太郎君
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本日の会議に付した事件
国民健康保険法の一部を改正する法律案(亘四
郎君外五名提出、衆法第一八号)
歯科大学予科制度継続に関する要望の件
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01919510328/0
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001・松永佛骨
○松永委員長 これより会議を開きます。
まず国民健康保険法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行いたいと存じます。御質疑はありませんか。——御質疑もすでに過般来の応答によつてなくなつたようでございますが、この際青柳委員より委員長のもとに本案に関する修正案が提出されておりますので、これについて青柳委員に御説明をお願いいたします。青柳委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01919510328/1
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002・青柳一郎
○青柳委員 ただいま委員長が申されました修正案は、こういうふうにいたしたいと存ずるのであります。
その修正案をまず朗読いたします。
国民健康保険法の一部を改正する法律案に対する修正案
国民健康保険法の一部を改正する法律案を次のように修正する。
第四十七條の二第二項を第三項とし、同項中「前項」を「前二項」に改め、同條に第二項として次の一項を加える。前項ノ規定八保険者が自ラ審査ヲ為シ又ハ都道府県ヲ区域トセル連合会に対シ審査ノ委託ヲ為スコトヲ妨ゲズ
第四十七條ノ三中「前條」の下に
「第一項」を加える。第四十七條ノ七の次に次の一條を加える。
第四十七條ノ八 保険者ハ第四十七條ノ二第二項ノ審査ヲ為スニ当リテハ療養担当者ヲ代表スル者及公益ヲ代表スル者各七人以下ノ同数ヲ之ニ参加セシムベシ都道府県ヲ区域トセル連合会ハ第四十七條ノ二第二項ノ審査ヲ行フ為療養担当者ヲ代表スル者、保険者ヲ代表スル者及公益ヲ代表スル者各七人以下の同数ヲ以テ組織スル機関ヲ置クモノトス
この修正案の理由を簡単に申し述べます。今回提案になつております国民健康保険法の一部を改正する法律案の中に、診療報酬の審査機関といたしまして、診療報酬審査委員会並びに支払基金、この二つの機関を明らかにきめておるのでございます。ところが現在の実情から申しますと、もちろん各市町村の保険者は、審査をなす機能を持つておりますし、また都道府県を単位とする国民健康保険の連合会は、現実に診療報酬の審査を行つておるのでございます。しかるにこの保険者並びに国民健康保険連合会の行う審査が、法律に明定化されておらない場合には、現在の原案にあります支払基金並びに診療報酬審査委員会のみが審査を行つて、現実に行つておる保険者並びに国民健康保険連合会の審査が行えなくなるという心配もありまして、ここにこういう修正案を出しまして、保険者並びに都道府県を単位とする連合会が、審査をすることができることを明らかにしようとするのでございます。こういうふうに相なりますれば保険者、府県連合会、また新しく定められます診療報酬審査委員会並びに支払基金、この四者のうちどれに審査をやらせるのも保険者の自由、こう相なることによりまして、現実に即したことを、法律に明らかにしよう、こういう趣旨でございます。
以上御説明申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01919510328/2
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003・松永佛骨
○松永委員長 本修正案についての御発言はありませんか。——それではお諮りいたします、本案についての質疑は終了したものと認めるに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01919510328/3
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004・松永佛骨
○松永委員長 御異議がなければ本案についての質疑は終了したものと認めます。
次に本案の討論に入ります。岡君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01919510328/4
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005・岡良一
○岡(良)委員 簡単に申し上げますが、かねて衆議院も院議をもつて国民健康保険の運営上、当面する財政の危期を克服するために、療養給付費の国庫による補助の実現を要求していることは御存じの通りであります。かつまた社会保障制度審議会の勧告においても、その点を強調しておることもこれまた御存じの通りであります。ところが本修正案は、これを単純にながめますると、組合員が払い込むべき保険料を税金の形で取立ててもいいということによつて、いわば強制する、いわば払わなければ差押えするとともできるというふうなことだけが強調されるような趣があるのであります。従いましてわれわれは健康保険を愛するという気持、これを育て上げようといろ気持からは、保険者の強制力ということもさることながら、さらに国そのものが、あるいは社会保障制度審議会の勧告にらたわれているがごとく、療養給付費についても大幅の補助、助成をもつてこれが育成に当るという建前が必要であろうと思うのであります。従いましてわれわれはこの改正案に対しては賛意を表しますが、あわせて強い條件といたしまして、政府は同時に国庫補助による療養給付費の一部負担の実現を要求する次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01919510328/5
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006・松永佛骨
○松永委員長 以上で討論は終局いたしました。
これより国民健康保険法の一部を改正する法律案の採決をいたします。まず青柳一郎君の提出された修正案を可決するに賛成の諸君の御起立を願います。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01919510328/6
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007・松永佛骨
○松永委員長 起立総員よつて本修正案は可決いたされました。
次に修正部分を除く原案を、原案の通り可決するに賛成の諸君の御起立を願います。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01919510328/7
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008・松永佛骨
○松永委員長 起立総員。よつて本部分は原案の通り可決され、本案は修正議決いたされました。
なお議長に提出する報告書の作成に関しましては、先例により委員長に御一任願いたいと存じますから、さよう御了承を願います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01919510328/8
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009・松永佛骨
○松永委員長 次に医療制度に関する件を議題とし、本件に関連して歯科大学予科制度継続に関しての発言を求められており達すので、これを許します。田中委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01919510328/9
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010・田中元
○田中(元)委員 国民の医療の重大な部門を持つております歯科医療の担当は、歯科医でなければできません。しかるに一般医学は、数十年にわたつておる大学教育によりまして、大学教育が基本となつて今日に及んでおりますが、歯科医師の教育は、つい最近に至りますまで、専門学校が主体であつたのでございます。そこで数年前より大学になつたことは歯科医学の発展であり、歯科医療の発展であると、心から喜んでおる次第ではございますけれども、急速にさようなことになつた次第でありますので、将来歯科医師の数に相当減少を来すのではないか、かように心配する向きが多々あるのでございます。そこで私は本要望決議案を出します前提として、厚生省に承りたいのでございますが、現下における歯科医師の数の増減の状況は一体どうなのか、今後社会保障制度の実施を考慮して、歯科医療に絶対的要素でありまする歯科医師の数は、一体どれくらいを必要とするのであるか、この点につきまして、まず第一に厚生当局の御答弁をお願いしたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01919510328/10
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011・東龍太郎
○東政府委員 ただいまの御質問にございました歯科医師の数の増減の状況でございますが、ただいまお話にもありました通りに、終戰後歯科医育等の改正の問題が、連合軍総司令部公衆衛生福祉部を通じて重要な問題として取上げられました結果、その教育制度に大きな進展を見たわけでございまして、歯科教育につきましても、歯科医教育審議会が設けられ、愼重審議の結果、従来ありました、歯科医学専門学校八校を歯科大学六校に圧縮すると申しますか、必要な淘汰が行われまして、学校の程度が上りありますと同時に、学校の数が減りました。そうして昭和二十八年度になりますと、これらの新しい大学の卒業生が出るという状態でありますが、同時に裏門学校なるものは廃止せられ、その結果、従来は年間約千二百名の卒業者を出しておりましたのが、大学になりますと、それが約六百名程度に減少する見込みでございます。その卒業生は、全部が国家試験に及第することをこいねがつておるわけでありますが、実情はさようなわけにも参りませんで、そのうちからまた幾分かの落伍者が年々出て参るというふうなことも考えられるのでございます。お手元に配付いたしたと存じますが、厚生省において一応推定いたしました歯科医師増加及び歯科医師一人当り人口数という表をごらん願いますと、ほぼ全貌が——現在の教育制度が続いて行きます限り、こういうふうな形になつて行くのではなかろうかと考えられるのでございます。もつともこの将来の数は推定数でございまして現在の歯科医師を元として、それに新しく国家試験を及第してふえるであろうと思われる医師の推定数を加え、また一方減耗といたしましては、歯科医師それ自身の消耗と申しますか、死亡率というふうなものは、それのみを抽出した的確なものがないそうでありまして、統計調査部の専門家といろいろ相談いたしました結果、やはり歯科医師も一般の国民全体の死亡率よりも少いことはない、従つてほぼ全体の率をとつておけば大過はないということを聞きましたので、ここに二十五才以上の平均死亡率一・六%というものをもつて年間の減少数といたします。そういうぐあいに加減いたしますと、歯科医師の推定数は求められるのでありますが、現在人口との比が、大体三千人に一人の歯科医師というふうな程度になつております。しかし人口は年々非常に増加して参りますので、それとの割合をもつて見ますと、歯科医師の数は、将来人口に対してはますます少くなつて行くということを懸念しなければならないというのが、私どもの調査に基く実情のようであります。しかも社会保障制度が実施せられ、歯科医療を受ける人の数が、非常にふえて来るというふうなことを考えますと、現在よりもはるかに多数の歯科医師がいるであろうということは、当然推測できるのでございますが、一体どのくらいあれば十分であろうか、あるいは満足すべき状態かということにつきましては、これは何とも数をあげて申し上げるだけの資料は持つておりませんが、歯科医学について先進国とわれわれが見ておりますアメリカにおける歯科医師の数は、一九四七年度において、大体人口千七百各に対して一名の歯科医師というふうな数が出ておるそうであります。従いまして、まずさしあたりの目途といたしましては、二千人に一人の歯科医師というところを目途とすれば、社会保障制度の実施によつても、相当程度の歯科医療が行えるのではなかろうかというふうにも考えておりますし、なお歯科医療全部が歯科医師でなくとも、いわゆる歯科衛生士による予防措置によつて、ある程度の歯科医療に対する大きな力が加えられるというふうなことも考えますと、まあ歯科医師については人口二千人に一人ということを目途とすべきではなかろうか、それが現在の私どもの考えであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01919510328/11
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012・田中元
○田中(元)委員 ただいま厚生省当局の御説明を承つたのでありますが、人口が増加して参るのに、歯科医師がだんだん減つて行くということは、重大なる医療問題として取扱つて行かなければならないと思います。大学教育は、先ほど申し上げました通りに非常にいい教育でありまして、われわれも大賛成ではあります。新制大学ができてけつこうです。特に昭和二十七年度からは文部省令の第四号によりまして、歯科大学というものは予科が置けなくなる。そういうようなことになりますと、医科のように長年大学教育をやつて来た人たち、あるいは一般社会がそういうふうに考えておられるところのものは、当然それは解決されて行くでありましようけれども、歯科教育のように、長年専門学校でやつて来たものが、いきなり新制大学としてやらして行くということになると、入学者が非常に減つて来るのではないか、私はこの意味におきまして、将来非常に歯科医が減つて来るのではないかという感じを持つのでございます。よろしく厚生省はその点に対して——もちろん厚生省自体は文部省と違いまして、教育制度の問題に対しては担当が違うこととは思いまするけれども、この問題に関する厚生省のお考え方を私はひとつ承りたい、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01919510328/12
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013・東龍太郎
○東政府委員 先ほどあげました大学を卒業して来る人の数と申しますのも、すべての歯科大学がその定員まで満員になつた場合に出て来る歯科医師の数でございます。従つてこれが最大限とでも申せますか……。ところが最近実情を承るところによるち、大学の方への入学希望者はきわめて少い。定員に比べて何分の一、一割にも満たぬというふうなことであるにかかわらず、予科であると、定員の何倍にもかるというのが、現在の実情だということであります。今後予科を廃止した後も、程度の差はあるにしても、定員に満死ぬというふうな状況が続いて参るとすれば、歯科医師の絶対数も減少いたします。いわんや人口に対する比率は、ますます下るということは当然予期せられるのでありまして、かような状態になりますことに対して、厚生省といたしましても、きわめて重大な関心を持たざるを得ないのでありまして、質の向上は何よりも願うところでありますが、数の確保ということも、国民の医療を担当いたしますものとして、きわめて重大な問題であります。ちようど同じような問題が看護婦制度についても、いろいろと御審議を願つておるようでありますので、私どもといたしましては、事文部省に属する学制の問題ではありますが、数の減りませんように、願わくば数がふえますような制度であることを心から希望いたしますので、現在の制度がもし将来において十分な数を確保するに不十分であるとすれば、願わくば文部省における教育制度の方に何らかの改良、改変を加えられまして、数の確保をはかり得るような方向に持つて行つていただきたい、私どもの方としていたし得ますことは、公正なる国家試験を行つて、十分りつばな診療能力のある歯科医師を免許することができるだけでありまするので、それらの免許を受けようとする、その候補着たる有資格者をつくるということに、今よりもより適切な方法がありますならば、そういう方法をぜひ選んでいただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01919510328/13
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014・田中元
○田中(元)委員 厚生省からの御説明によつて、十分にわかつた次第でございます。そこで、当委員会といたしましては、さように国民医療上重大な問題でありますので、国民医療上必要な歯科医師を確保するために、昭和二十七年度から行われます、いわゆる文部省令第四号による新制大学の歯科大学に、来年度からは予科が置かれなくなつております。そこで、国民全体の歯科教育に対する関心ができ上りまするまで、暫定的に予科を置いていただきたいというようなことを、当委員会から委員会の決議として、文部省並びに各方面に要望いたしたいと考える次第でございます。この点、委員長にお諮りいただくことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01919510328/14
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015・松永佛骨
○松永委員長 ただいま田中委員より、歯科大学予科制度継続に関する要望を、本委員会において決議されたいとの御提案がありましたが、本問題について何か御発言ございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01919510328/15
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016・高橋等
○高橋(等)委員 田中さんにお尋ねいたしますが、当分の間というのを大体どの程度とお考えになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01919510328/16
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017・田中元
○田中(元)委員 当分の間ということは五箇年間——たとえば産業の問題でありましても、何の問題でありましても、ある一つの計画と申しますと、大体五年間でございますので、五年の間ということを考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01919510328/17
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018・高橋等
○高橋(等)委員 ただいま田中委員からの御発言並びに厚生当局の御説明を承りまして、歯科医師の補充につきまして、当分の間こういう措置をとることは非常にけつこうだと思いますので、私はこの要望に対して賛成をいたすものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01919510328/18
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019・松永佛骨
○松永委員長 それではお諮りいたします。田中委員より御要望があつた通り、歯科大学予科制度継続た関する要望、ここに案文がございますから、一応朗読いします。
歯科大学予科制度継続に関する要望
歯科大学予科は、文部省令第四号(昭和二十五年二月二日)により、昭和二十七年度以降は生徒を入学させることができなくなる。かくては国民医療上必要な歯科医師の確保に支障を来す器それがきわめて大であるから、昭和二十七年度以降も、当分の間、引続き生徒を入学させることができるようにする必要がある。
右要望する。
以上でございますが、この要望を決議するに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01919510328/19
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020・松永佛骨
○松永委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
なおただいま決議いたしましたことにつきましては、議長並びに関係各方面に参考送付することと相なるのでございますが、それらの手続に関しましては、委員長に御一任願いたいと存じますから、そのように御了承願います。
次会は明日午前十一時より開会することとし、本日はこれをもつて散会いたします。
午後二時二十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01919510328/20
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