1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十六年三月三十一日(土曜日)
午後零時二分開議
出席委員
委員長 松永 佛骨君
理事 青柳 一郎君 理事 丸山 直友君
理事 亘 四郎君 理事 福田 昌子君
高橋 等君 田中 元君
中川 俊思君 堀川 恭平君
松井 豊吉君 山村新治郎君
金子與重郎君 今野 武雄君
松谷天光光君
出席政府委員
大蔵事務官
(主計局長) 河野 一之君
厚生政務次官 平澤 長吉君
厚 生 技 官
(医務局長) 東 龍太郎君
委員外の出席者
厚生事務官
(医務局医務課
長) 河野 鎭雄君
厚 生 技 官
(医務局看護課
長) 金子 光君
専 門 員 川井 章知君
専 門 員 引地亮太郎君
専 門 員 山本 正世君
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三月三十一日
委員金子與重郎君辞任につき、その補欠として
小林運美君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員小林運美君辞任につき、その補欠として金
子與重郎君が議長の指名で委員に選任された。
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三月三十一日
保健婦助産婦看護婦法の一部を改正する法律案
(青柳一郎君外九名提出、衆法第四二号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した事件
小委員の補欠選任
保健婦助産婦看護婦法の一部を改正する法律案
(青柳一郎君外九名提出、衆法第四二号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X02219510331/0
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001・松永佛骨
○松永委員長 これより会議を開きます。
ただいま当委員会に付託になりました保健婦助産婦看護婦法の一部を改正する法律案を議題とし、審査に入ります。まず提案者より提案趣旨の説明をお聞きしたいと存じます。提案者青柳一郎君。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X02219510331/1
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002・青柳一郎
○青柳一郎君 ただいま上程になりました保健婦助産婦看婦護法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明申し上げます。
この法律案は御存じのように小委員会をつくりまして、小委員会の並々ならぬ御努力によりまして、やつとでき上つたものでありまして、皆さんすでに御存じのところでありますので、簡単に申し上げようと存じます。
現行法は昭和二十三年の七月に制定されたものでありますが、いたずらに看護婦、保健婦、助産婦の素質の向上に急のあまり、必要な各種養成所、学校などの設置要件も厳格でありますので、従つてその設置数が少く、その卒業生の数が減少しつつありますため、国民保健上必要な看護婦、保健婦、助産婦の数を確保することが、きわめて困難な現状にあるのでございます。特に過日本委員会におきまして議決せられました結核予防法の施行と相まちまして、結核予防には看護婦数を増加することが必要でありますので、今回准看護婦の制度を設けまして、数の増加による看護力の増強をはかるとともに、従前都道府県知事の免許を受けておりまする看護婦は、一定條件の講習を受けることのみによりまして、厚生大臣の免許を、すなわち国家登録に切りかえようとするのが、本法案提出の理由であります。
次に本法案のおもな内容を申し上げますれば、第一は甲種看護婦、乙種看護婦の別をなくなしまして、看護婦を准看護婦に改めたのであります。すなわち新たに都道府県知事の免許する准看護婦制度を設けまして、乙種看護婦のごとき業務制限をこれに付さないことにしたのであります。
第二はこの准看護婦であつて、三年以上業務に従事しておつた者または高等学校を卒業した者は、看護婦学校または養成所におきまして二年以上修業いたしますれば、看護婦国家試験を受けることができることにいたしまして、看護婦たるの道を従来よりも少しく広げたのであります。
第三は、旧看護婦は国家試験を受けることができるばかりでなく、小学校から最終学校までの間における修業年数、並びに看護婦になるのに必要な学科を修めた年数、これを合せましたものと経験年数とを合算いたしまして、十三年を越える者は、厚生大臣の定める講習を受けた場合には、厚生大臣の免許を受けることができることといたしまして、旧制度による看護婦諸君の要望にこたえようとするものでございます。なお旧看護婦は法律改正後におきましても、看護婦の名称を用いまして、従前通りの業をなすこともできるのであります。
第四は、乙種看護婦につきましては、旧看護婦と同一の取扱いをすることといたしたのであります。すなわちいつ何時でも看護婦たるに必要な国家試験を受けることができることといたし、さらに旧看護婦と同じように、十三年間の年数を学科あるいは実習した者につきましては、厚生大臣の指定する講習を受けました者を看護婦たらしめんといたしておるのでございます。
第五は保健婦の学校、養成所並びに助産婦の学校、養成所における修業年数を、従前一年以上であつたものを六箇月に短縮したことでございます。
以上が大体本法案の提案理由でございます。
なおこの際私は小委員会におきまして、小委員の皆様方が並々ならぬ御努力、御熱意を傾けていただきました点を、厚く深くお札を申し上げまして、提案理由といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X02219510331/2
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003・松永佛骨
○松永委員長 この際本案に対し、政府当局の意向をただしておきたい、こういつた意味におきまして、丸山、福田、今野、金子の各委員より発言を求められております。順次これを許します。丸山委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X02219510331/3
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004・丸山直友
○丸山委員 ただいまの改正法律案につきましては、先般この委員会におきましての委員長その他の御発言にもございましたように、かなりの難航をしておつたわけでございます。この内容につきまして、厚生省東京とわれわれと多少所見を異にする部面がございましたので、これが通過いたしましたあかつきにおきましては、この運用に関しまして、厚生省当局の万全なる措置を私どもとしては希望しておるわけでございます。
それにつきまして二点ばかり厚生省当局の御意向を承りたいと考えるのは、第一はお手元に差上げてあるかと考えまするが、この法律案のねらつておりまする要綱として、私どもが収集したものの中に、准看護婦の養成所の設置の要件というものがあるのであります。すなわち「医療法第四條に定める各科を有する病院には、病床数にかかわらず、これを設置することができることとすること。二、二以上の病院又は診療所を合して医療法第四條に定める各科の病床を有するときは、これを利用してこれを設置することができることとすること。」第三番目には、「都道府県又は都道府県医師会等は夜間又は時間制のものを設置することができることとすること。」——というようなことが私どもとしては要望しておる点であります。これは法律の文面には現われないものでございまして、省令をもつてこういうことが現わされなければならぬと考えるのであります。ただいまの提案理由の説明の中にもございましたが、現行の法律はあらゆる規則があまり厳重過ぎて、養成所の設置要件につきましても、あまり厳格に過ぎるがために、看護婦の数の確保に困難を感じておるということが申されましたように、こういうふうな点について十分なる考慮が拂われなければ、この数の確保という本法改正の目的を達することはできないと考えるのであります。その意味におきまして、厚生省当局においては、われわれの要望條件にこたえるだけの省令を定めて、これを運用していただかなければならぬと、私は考えておるのであります。この点に関する御所信を承りたいのであります。これが第一点であります。
第二点は、同じくこの法律改正の附則の第十二に、厚生大臣の定める講習ということがあるのであります。厚生大臣の定める講習と申しまするものは、当然厚生大臣が御自由にお定めになるわけでございまするが、われわれは、この講習の内容、方法というようなものにつきましては、先ほど来申し上げましたような理由によつて、あまりに厳格に過ぎ、実数を確保するのに支障を生ずるような講習であつてはならないと考えるのであります。またこれに関する予算措置というものも考えなければならぬのであります。全国既得権者が約六万ありといたしまして、これに対して講習をいたしまするに要する費用というものは、まだ予算が完全にとられておらない状況でございます。この点に関しましては、大蔵省当局者の御出席を求めておつたのでございましたが、まだお見えになつておりませんので、この予算獲得に関しては、厚生省側としてどういうふうな努力を拂われる予定であるか。また厚生大臣の定める講習というものの内容は、私の希望するところは、やはり准看護婦養成所のごとく、都道府県または都道府県医師会等が行う講習、あるいは政府が行う講習というふうな範囲の広いものといたしまして、その数の確保に遺憾なきを期したい、かように考えておる次第でございまするが、この点に関するお考えはいかがであるか。なお、私の要望することとして、これに関する指令あるいは省令等を出されます場合には、一応厚生委員会にその内容をお示しくださいまして、われわれが納得の行くものをお出しくださらんことを、私は特に要望いたしたいと考えますが、この点はいかがでございますか、御答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X02219510331/4
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005・平澤長吉
○平澤政府委員 ただいまお尋ねがありました第一点については、実情と十分にらみ合せまして、数の充足が満足に参りますように、中心をそこにおきまして、実施の上においては、いわゆる従来のごとく厳格であるという規格上の問題でございまするけれども、要は現状の実績にかんがみまして、数の充足を重点において施行して参りたい、かように考えておる次第でございまするから、ただいまお話がありました設置要件として示されてあるものの運用につきましては、ただいま申し上げました通り、実情にかんがみ、数の充足に欠くることなきような運用をして参ることを、ここで申し上げたいと思う次第であります。
さらに第二点でございまするが、費用の問題は、いろいろ計算してみますると、おおむね半額国庫で負担をするという計算で、六万とするとおおよそ二千五百万円くらいではなかろうかというように、私は事務当局から承つておるのでございまするが、その点はまだ私から正確な数字を申し上げる段階ではございませんけれども、仰せられる通り、省令等を出しまするときには、数次にわたつて御研究せられまして立法されることでございまするから、厚生委員会等にもお諮りをいたしまして、御意見を伺つて施行して参りたいと存ずる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X02219510331/5
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006・丸山直友
○丸山委員 省令等をお出しになる場合は、意見を伺つてとおつしやるのでございますが、私は出される前に、その案文を全部お示し願いたいという意味で厚生省に申し上げたのであります。もちろん御相談も願わなければなりませんが、最後の決定案については、必ずこれをお示し願いたいということをお願いしておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X02219510331/6
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007・平澤長吉
○平澤政府委員 御要望に沿うようにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X02219510331/7
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008・松永佛骨
○松永委員長 次は福田委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X02219510331/8
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009・福田昌子
○福田(昌)委員 この看護婦法案の改正案は、約半年にわたつてもみにもんで、それこそ慎重審議された法案でございます。毎日の衆議院の公報にも、厚生委員会が今日もまた看護婦制度に関する委員会というようなことで、ほかの方からどのような研究をしておられるのかということまでも聞かれたほどに、愼重に審議した看護婦法であつたわけでございまして、この点に関しましては、うるわしい厚生委員会の超党派的な各委員の御努力でできたことを、私どもは非常に喜んでおる次第であります。なるほどこの委員会においてきめたこの修正案に対しましては、あるいは皆さんの中には、なお御不満な方もありましようし、また看護婦さん自体におかれましても、これはきわめて御不満な点が多々あると思うのであります。小委員であつた私自身におきましても、不満な点がたくさんあります。しかしこれは占領下におきまするところの今日の情勢下においては、ある程度やむを得なかつたという点におきまして、これは了承しなければならない問題であろうと思うのであります。このように看護婦制度というものは、各委員の美しい献身的な努力によつてでき上つたのでありまするが、この法案をめぐりまして、成立に至りまするまでの間には、きわめていろいろなことを私どもは教えられたと考えるのでございます。問題は看護婦法の修正の内容自体にとどまらず、これが及ぼしたところの影響というものは、非常に大きなものがあつたと私は考えるのであります。
第一に、国会と行政機関であるところの政府との関係で、私はこの法案修正をめぐりまして、ちよつぴりお役人様のほんとうの態度とお考えというものがうかがわれたような気がいたすのであります。日本の行政機関でありまするところのお役人は、口では公僕というようなことを申しておられまするが、実質におきましてはなかなかさようでないということを、私どもは絶えず考えておつたのでありまするが、この看議婦法をめぐりまして、その姿が如実に出たということを、私どもは認めざるを得ないのであります。ことにこのお役人が相もかわらず官僚独善的な、また国民の上に位するがごとき、さらにまた国会の上に位するがごとき感じを従来持つておられたのでありますが、この法案の審議をめぐりましても、まつたくその点がはつきり出たということを、残念ながら認めざるを得ないのであります。衆議院のほかの委員会は存じませんが、厚生委員会におきましては、会期が終りかけになりますと、従来でもたくさんの法案が山のごとく積み出されて参りまして、そして今日出された法案を今日あげるのだということを、絶えず言われたのでありまするが、そのことはとりもなおさず、国会という一つの立法府であり、また慎重な審議権を有するところの国会のあり方というものを、政府自体が従来非常に無視した考えを持つておられたからでありましたが、看護婦法の問題におきましては、ことに立法府であるところの国会の上を越しまして、行政府たるお役人がこの法律案の改正に対しまして、とらの威をかりて、袞龍のそでに隠れて、御自分の立場を主張なされた点が多々見受けられたのであります。こういうことはまつたくわれわれとしては残念にたえないところでありまして、この点厚生省当局の方はよく御反省を願いたいと思うのであります。世間には今日、御承知のように日本人の立場——自分が日本人であるという誇りを失いつつあるところの、パンパンガール的な行動をとつておる人がたくさんあるのであります。われわれから見ますると、いかにも国籍があちらの国に移つたかのごとき態度でふるまわれる方があるのでございます。私はこういう。パンパン的な物の考え方というものを非常に遺憾に存じておはつたのでありますが、今日のお役人の中には、残念ながらこのパンパン的な考えを持つておられる人が、相当あるということを認めざるを得ないのを、看護婦のこの法案の修正案の成立を通して感じたのでありまして、この点もきわめて遺憾であるということを申し上げます。われわれは日本人であり、日本人のための、ことに日本人の看護婦さんのための地位の向上と、その保護とのために、いろいろなことを努力いたしたいのでありまして、われわれは決してアメリカに国籍が移つたのではないということを、行政当局は十分お考え願いたいと思うのであります。金子課長におかれましても、金子課長はあくまでも日本の看護婦さんのための課長であるということを、十分お考え願いたいのであります。この際十分なる御反省を要望いたしたいと思うのであります。それにつけまして、ただいま丸山委員からお話がありましたように、私はこの保健婦助産婦看護婦法の法律に関しまする限り、その運用にあたりましては、省令であれ、次官通牒であれ、あらゆる細則というものは、その決定案は一応この厚生委員会にお諮りの上実施するということを、この厚生委員会においてお取上げの上、御決定願いたいと思います。
それとあわせて、厚生当局にお願い申し上げたいことは、こういうような修正案が出されますこれまでの経緯におきまして、これは審議会の方々と、十分なる御協議の結果でありましようが、非常に高い看護婦制度を看護婦さんのためにお考えくださつておつたのでありますが、この法案の審議の途中におきまして、既得権者に対しましては、従来はどうしても国家試験を受けさせることは恩典であるというようなことを主張された厚生当局御自体が、百八十度豹変なさいまして、既得権者を新制度の看護婦さんに無條件に切りかえてもいいのだというような御意見を出されたのでありまして、私はそういうような、きわめて信念のない、どのようにでも豹変されるところの厚生当局の看護婦制度というものに対しまして、この一事をもちましても、十分に信頼するに足る信念がないということを考えざるを得ないのであります。その意味におきまして、私は今後のこの法案の運用について、厚生当局に対して、忌憚ない言葉で申しますると、おまかせできないという不安なものを、多々感じておるのであります。従いまして、重ねてお伺い申し上げたいことは、この既得権者の問題の場合でありますが、この方々たちに認定講習をいたします場合の予算の問題であります。これは丸山委員からお尋ねがありまして、次官もお答えになつておりましたが、この二分の一国庫補助で、しかもわずか二千五百万円のこの金額、これくらいは厚生当局としては十分お出しになるという御意思があるかどうか。さらにまた進みまして、二分の一国庫補助というようなことでは、とうてい地方的には、これは数多い講習会はできがたいのであります。従つてわれわれはこれに対しまして、金額の国庫負担ということを要求いたしますが、これに対しまして厚生当局はどのようなお考えを今日持つておられるか。大蔵当局にどのような運動をするおつもりであるか。またその運動のいかんを厚生委員会にいつ御発表願えるかということを、お尋ね申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X02219510331/9
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010・平澤長吉
○平澤政府委員 ただいまいろいろ御意見がございましたが、私どもはもとより立法府のことにつきまして、議会においていろいろ御立案せられますことについては、十分尊敬いたすのみならず、その御趣旨のあるところを必ず遂行して参りますように努めなければ相ならぬと存ずるのでありますが、反面また行政上の事柄といたしますれば、やはり行政上のことにおけるその一つの持前、建前がありますから、その点は私どもといたしましては、十分に区分をいたしまして、それぞれの分野を相侵さず、またそれぞれの分野が十分にその機能を発揮いたしますように、心がけて参らなければならないと存じておるような次第でございます。しこうしてその次の段階でございまするところの講習等に要する費用の問題につきましては、全額国庫負担をなすようにという、ただいまの御要望でございまするが、その点については、実はこの法案によりまして——長らく御審議くださつたのでございますが、これがきまりますれば、その点について、財政ともにらみ合せまして、全額でしかるべきや、あるいはまた二分の一程度ででよろしいかというようなことについては、この法案が通ると同時に、私どもその方針を定めまして、それぞれ財政措置を講ずるように努めたいと存ずるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X02219510331/10
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011・福田昌子
○福田(昌)委員 ただいまの厚生次官の御答弁、まつたくごもつともと存じまするが、重ねて意見を申し上げ、御答弁願いたいことは、厚生行政の分野においてもそれぞれ持分がある、従つてその範囲内においてやりたいということ、これは当然に存じます。しからば次官におかれましては、今日の看護婦に対しまするところの行政のわくというものが、今日の状態で当然であるかどうか、これは予算の面においても、あるいはまたいろいろな待遇の面におきましても相当考慮し、大幅に早急にわくを広げなければならない問題として、お考えになつておられるかどうかということを、まずお尋ね申し上げたいのでございます。
それと、さらにはまた、半額の二千五百万円でいいかどうかというようなことを、検討したいというお考えでございますが、御検討いただくことは、これはありがたいことでありまするが、次官御自身におきましては、半額で、しかも半分を地方負担にまかせて、看護婦の講習ができるかどうか、それで十分であるというお考えを持つておられるかどうか、どの程度予算獲得のために、積極的な運動をなさるお考えがあるかということを承らしていただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X02219510331/11
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012・平澤長吉
○平澤政府委員 私はただいまの状態で、看護婦の制度の問題並びに実情において、決して満足しているものではございません。国会におきましても、こうした修正せられますような御意見が出て来たというのは、そこにあるのだろうと思いまして、その点は私も同感に存じておる一人でございます。さらにこれを、国会の意思を尊重いたしまして、なるべく多くの数字を、財政当局と協議をいたしまして支出するように努めたいと存じます。ただいまお話がありましたいかなる運動方法をとるかということにつきましては、私どもは自分の與えられた権限の範囲内において熱意をもつて実情を訴え、現情に満足せざるゆえんから、かくのごとき立法ができているのでございますから、可及的にそれに沿うように努めて参りたいと存ずる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X02219510331/12
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013・福田昌子
○福田(昌)委員 養成所に関しまする問題でありますが、養成所に関しましても、これは各委員からその養成機関を増加し、拡大することに関しましての御意見がるる出ておるのでございますが、今日の状態におきましては、養成機関に対します規格上のいろいろな取締りのみ一方的に厳格に過ぎておりまして、これに対しますところの国庫補助というものは、きわめておそまつにしか考えられていないのでございます。それでいて看護婦が足りない、看護婦の数をふやさなければいけない、また教養内容を高めなければならないというようなことは、きわめて矛盾した状態といわなければならないのでございます。従つて養成所に対しまする国庫補助に対しましては、厚生当局はどのようにお考えになつておられるか。また大蔵当局と従来までにどの程度の交渉をなさつたか、今後はどういうお考えのもとにおいて、大蔵当局と強硬な交渉をなされ、予算を獲得するつもりがあるかということを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X02219510331/13
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014・平澤長吉
○平澤政府委員 その点は私ども政府機関といたしまして、最善の努力をいたして各機関と協議をすると申し上げるしかほかに方法はないと思います。いかなる手段、方法というようなことについては、われわれ実情を訴え、財政当局とも十分事態を検討して最後決定になるのでございまして、われわれの與えられた範囲内において熱情を持つて、かつ理解を求めて結論に到達するように努める、こう申し上げるより
ほかにないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X02219510331/14
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015・福田昌子
○福田(昌)委員 河野主計局長にお尋ねしたいのでありますが、看護婦問題に対しまして、ことに養成所の補助費あるいはこれまでの看護婦さんの既得権者あるいはまた新制度の看護婦養成機関を出られました人たちに対する国家試験のために必要な費用というものに対しまして、厚生当局とどの程度の交渉をしていただいたか、厚生当局からどの程度大蔵省に積極的にお働きかけいただいたかという、これまでの経過をお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X02219510331/15
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016・河野一之
○河野(一)政府委員 従来の看護婦についての問題でなしに、旧看護婦の規則によつて看護婦の免許を受けた者に対して、今後どうするかというお話でごさいましようか——これは認定講習という制度が、従来ほかの医師等についてあるわけでありますが、そういつたものにつきまして、どういうふうな経費がいることになるか、これは具体的にお話を伺つてみないとわからないのでありますが、特にこの点について、厚生省から幾らの経費がいるというようなお話は、実はただいまのところ受けておらない次第なのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X02219510331/16
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017・福田昌子
○福田(昌)委員 主計局長のお答弁によりまして、厚生当局が看護婦制度に対しまして、きわめて冷淡であるということがうかがわれるわけであります。従来女子の職場におきましては、女工哀史という言葉が生れるくらいに、女工さんというものがきわめて下積みな、冷遇された、職場においての圧迫を受けておつたのであります。私はあえて今日の看護婦さんが、昔の女工哀史を地で行つておるとは申しませんが、それに近い、非常に冷遇された立場にあるということを考えまして、看護婦さんのためにまつたく同情を禁じ得ないと同時に、義憤を感じておるものであります。そういう看護婦さんのために、厚生当局が今日まで大蔵省に対しまして、その養成と技術の向上のために、積極的な行動を開始して大蔵省当局と交渉を持つていないということは、返すがえすも残念といわなければならないと思うのであります。従いまして、従来のそういう厚生当局の看護婦さんに対しまする冷淡な態度は、今日限り拂拭いたしまして、今後は看護婦さんのために、また日本の医療行政のために、もう少し積極的な態度を持つて大蔵当局との御交渉を願いたいと思うのであります。
次に河野主計局長にお尋ね申し上げたいのでありますが、看護婦さんの既得権者に対しまする認定講習には、ただいまのところではこの法律案によりますると、約六万の看護婦さんの既得権者を講習いたしまするのに、一箇月間の講習にして約五千万円程度の費用がいるということが考えられておるのであります。きわめてささやかな、つつましい五千万円の費用でありまするが、この程度のことを主計局長としてはお出しになれるお考えがあるかどうかということを承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X02219510331/17
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018・河野一之
○河野(一)政府委員 認定講習の経費といたしまして、どの程度の金額が必要でありまするかどうか、これは厚生当局からまだ話を聞いておりませんので、何とも申し上げられないのでございますが、五千万円がささやかであるかないか、これは国会においてこういうようなことをやる必要があるとお認めになりまして、法律案をおつくりになるということでありますならば、これは金額の問題もございますけれども、できるだけ考えなければならぬのじやないかと思うのであります。これももちろん厚生省の御意見もありますので、私今何とも申し上げられません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X02219510331/18
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019・福田昌子
○福田(昌)委員 ただいま河野主計局長の御意見によりますると、厚生省のお話ぐあいによりまして、非常に御考慮くださるというありがたいお言葉であつて、非常に感謝しておりますが、これに対しまして厚生当局は一体どの程度の強い確信を持つて、大蔵省当局と折衝してくださるか。次官の先ほどの御答弁では、研究いたしまして半額の二千五百万円になるかもしれないというふうに聞き取れるお言葉であつたのでありますが、私はこういうようなきわめて弱腰な御意見というものに対しまして、きわめて遺憾な感じを持つのでありまするが、重ねて厚生次官の御意見並びに主計局長が看護婦の既得権者に対しまする認定講習に対しまして、ぜひこの程度のことは捻出いたしたいという熱意があるかどうかということをお尋ね申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X02219510331/19
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020・平澤長吉
○平澤政府委員 今お尋ねがありました熱意のことは、顔には現われませんが、心では熱意は十分ございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X02219510331/20
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021・福田昌子
○福田(昌)委員 では御交渉いただきまして、それをいつごろ厚生委員会において、その交渉の結果を御発表願えるかということを承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X02219510331/21
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022・平澤長吉
○平澤政府委員 この法案が通りますれば、即刻そのことにかかる予定であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X02219510331/22
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023・福田昌子
○福田(昌)委員 重ねて養成所の補助費でございますが、これに対しまして、きつと厚生当局におきましても、看護婦さんが数においてきわめて足りない現状でありまするから、これに対して多少の計画的な腹案をお持ちだろうと思いまするが、この養成所に対しまする補助費、これの増額に対しまして、どの程度の腹案を持つておられるか、これに対してどの程度の交渉を大蔵省とお持ちになつたかということを、重ねてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X02219510331/23
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024・河野一之
○河野(一)政府委員 現在の二十六年度の予算のわくの中に、看護婦の養成所の補助があると存じておりますが、それをふやせという御意思なのでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X02219510331/24
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025・福田昌子
○福田(昌)委員 仰せの通りでございまして、予算におとりいただいておるわけでございますが、私どもとしては、この非常な数の窮乏にこたえて、この養成機関の数をふやしたい、またその一箇所に対しまする補助金額も増加してもらいたいというのが趣旨でございます。そういう点に対しまして、厚生当局では多少の腹案をもつて、こういう、当然必要なことに対して、これまで考えておつたかどうか。大蔵当局と交渉してくださつたかどうかということのお尋ねでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X02219510331/25
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026・平澤長吉
○平澤政府委員 二十六年度の予算が、御承知の通り御審議願つておつたのでございまして、ただいまの御要望は今後において二十六年度中にもつと増せというようなことでなしに、今後増額するように努めよということではなかろうかと拝察いたしますので、私どもこれらの充実のためにはさらに増額をしていただくように、財政当局とも折衝したいと存ずる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X02219510331/26
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027・福田昌子
○福田(昌)委員 次官の御答弁に、ちよつと一点足りないところがあるのでございます。増額していただきたいということは、厚生当局も多少これまでお考えになつておられただろうと思いますから、その増額してもらいたい額は、どれくらいのところをお考えになつておられたか、それを大蔵当局にどのように交渉されたかということを聞きたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X02219510331/27
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028・平澤長吉
○平澤政府委員 ただいまのところでは、いろいろ折衝いたしました結果、二十六年度の予算が結論として生れたのであります。それまでの間には、単にその養成所だけでなしに、他の面におきましても、いわゆる軽重おのずからありまして、結論が出たような次第でございまして、私どもは十分に折衝したつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X02219510331/28
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029・福田昌子
○福田(昌)委員 金子課長にお尋ね申し上げたいのでございまするが、この養成所に対しまする今日の補助費について、看護課長としてはどのようなお考えを持つておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X02219510331/29
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030・金子光
○金子説明員 お答え申し上げます。ただいまいただいております看護婦養成所に対する補助は、経常費の補助ではございませんで、新しく学校を建てようといたします法的医療機関に対する建築の補助でございます。一校当り大体二百万円程度の建築の補助をいただいておりますが、私どもが二十六年度いただきましたのは四箇所分でございまして、必要といたします所はまだまだ幾らもありますので、これではとても間に合い兼ねますが、私自身の考えといたしましては、昨年実は大蔵当局に御折衝申し上げましたときに出しました資料でもおわかりいただけると存じますが、私どもが希望いたしまする四、五分の一くらいを本年いただいた勘定でございます。なお今度の法律改正に伴いまして、新しく計画を立て直さなければならぬと考えておりますので、この次に折衝してお願いいたします分はいささか計画がかわつて来るかと存じますが、今ではかように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X02219510331/30
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031・福田昌子
○福田(昌)委員 河野主計局長に最後にお願い申し上げておきたいのでございます。現下の医療問題を解決いたしますためには、何といたしましても優秀な看護婦さんを数多く持つということに努めなければならないのであります。そのためには、何と申しましても、看護婦さん方の養成と、養成機関の充実、またすでに免状を持つておられる既得権者の方々の教養の向上等に努力していただくと同時に、さらには各国立病院、療養所、その他官公立の病院におられます看護婦さんの定員、また待遇改善ということを早急に御考慮願わなければならない焦眉の急を告げておる時代になつておるのでございます。こういう点にかんがみまして、主計局長は何とぞ日本国民の健康保持のために、看護婦制度——繰返し申し上げますが、各病院の定員とか看護婦制度に伴いますところの、いろいろな制度の改革、待遇改善等のために特別の御考慮をされて、英断をもつて予算の増加をお願い申し上げる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X02219510331/31
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032・松永佛骨
○松永委員長 先ほどの丸山委員の御発言中に、大蔵省当局に対して、ただしたい御意見があつたようでありますから、再度御発言を願います。丸山委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X02219510331/32
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033・丸山直友
○丸山委員 先ほど大蔵省の当局者が見えておりませんでしたから、予算の関係はただ厚生省だけにお伺いしたので、追加して大蔵当局にお尋ねしたいと思います。
大蔵省当局はお金だけ扱つていらつしやいますので、看護婦制度なんて御理解が薄いのではないかと思いますから、一応その筋を申し上げます。日本の看護婦は従来質が悪かつたのでありますが、その質を上げるために二十三年度においてレベル・アツプを目的とした、ねらいとした看護婦制度の改正が行われました。しかるにその改正があまりに急激にすぎましたので、その看護婦の実数を得ることができないという結果が起りましたために、ここにわれわれは再びその改正を企てて審議している最中であります。看護婦の実数が不足しておりまする状況は、その一例を申し上げますれば、国立の結核療養所における看護婦の充足率は、全部を通じまして七五%くらいで、現在二五%くらいの欠員があるのであります。これはもちろん給料の悪いというようなこと、あるいはその他の條件が悪いということが影響しているかもわかりませんが、しかし事実上看護婦の実数が不足しているということは間違いないことであります。そういうような意味から、私どもはこの看護婦のレベル・アツプを企てるとともに、実数の充足をはかりたいというのでやつている次第でございまするが、それにつきましては、どうしても厚生大臣が定める講習を受けた旧看護婦を新しいレベルまで上げて行くことをやらなければならぬのであります。そのために、先ほど来お話がありましたように、現在おる六万名に対して一年間の講習を、全額国庫補助でやらして五千万円くらいいるではなかろうか、半額補助して参りまするならば二千五百万円くらいいるのではなかろうか。この予算は旧看護婦を上げまする目的でございまするが、旧看護婦の六万名がこれだけの金を使つて講習をいたしますると終りになり、将来は続かないでこれだけで打切つてしまうことになるので、そういう予算を私どもとしては要請いたしますとともに、そのほか先ほど来養成所云々というお話がありましたが——私どもはこの法律を多分ここで通します。そこでさらに必要なことは、先般私どもは結核予防法を改正したのであります。その線に沿いまして、結核対策を強化拡充させるために、一万七千二百床のベツトをことしの予算で獲得してあるのであります。増床計画が成立しているのであります。しかしそれはベツトをつくる費用だけでありまして、それに要する看護婦の充足をどうするかという予算は、その中に出ていないのであります。従つて、この法律がここで通過いたしまして、厚生大臣の定める講習が今後行われるといたしまするならば、当然厚生当局としては補正予算を要求せられるわけであります。現在認められておらないが、この法律の通過を見るならば、必ず補正予算で要求せられるはずであります。その場合に、厚生省は、今まではとかく大蔵省に対して発言力が弱くて、その予算を頭からカツト・ダウンせられるという現実を、われわれはまざまざと見ているのであります。現にある県におきましては、私の聞きましたところによりますと、一億以上のたいへんな金をかけて、裁判所だか刑務所だかを今建築中であるということであります。裁判所や刑務所へ一億以上の予算をとつてやられるかもわかりませんが、私どもが行政視察をやつてみますと——あの国立病院や国立療養所の内容をごらんくださいましたならば、おそらくあなたが結核におかかりになつたときに、あそこに入院することはまずごめんをこうむるとおつしやるであろうというような内容であるのであります。(笑声)これをりつぱにするための費用は、幾ら厚生省当局が要求しても、なかなか大蔵当局はこれに対して頭を下げてくれないような実情なんであります。そういうような面から考えまして、私どもこの法律を通過させた後の厚生省の補正予算要求に対して、あなた方はどんな考えをもつてお臨みになる覚悟であるか、一言承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X02219510331/33
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034・河野一之
○河野(一)政府委員 厚生省の仕事は従来から非常に重要であると考えまして、ことに国民医療の問題につきましては、私ども財政当局といたしましても、できるだけの力を注いでいるつもりであります。社会保障制度の件につきましても、これは結核が中心で、御承知のように、先ほど通過いたしました予算におきましても五百六億、前年度に比較しまして、百二十億ふえているのであります。そういうことで、今後厚生行政については、できるだけ努力して参りたいという考え方にかわりないのであります。この問題につきましても、同様な趣旨で厚生省の御意見もよく拝聴いたしまして、十分善処して参りたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X02219510331/34
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035・松永佛骨
○松永委員長 次は今野委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X02219510331/35
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036・今野武雄
○今野委員 私が政府の所見をただしたいと思う点も、大体似たような点が多いのでありますが、第一に、現在六万おる看護婦さんを新しい制度に切りかえる。それについてただいまのお話を聞いておりますと、政府では一年間の講習として、六万人について何か五千万円というようなことでしたが、そうすると、一人について千円に足りない金額なんです。これではたしてその講習ができるかどうか。また聞くところによると、私あとから加わつたのでわかりませんが、五年間かかつてやるのだというようなお話もあつたようですが、そうすると、長い間今までの資格を持つた看護婦さんを、相当不安定な状態に置きわしないかということがおそれられるわけです。現在看護婦さんが足りない、また質の向上も言われておる際に、自分の身分などについて、非常に不安定な状況に長く置かれるということは、これはいろいろな場合に、業務の上でもさしつかえるわけでありますから、できるだけすみやかにこれをやつていただきたい。これは私小委員の一人として、小委員会でもそのことを申し上げて、大体御了解を得ておるはずでありまするが、この点厚生省としては、いつごろまでにこの切りかえができるのか。またその講習というのはどういう程度にやつて行くのか。先ほど提案者の方並びに丸山委員からも、これはできるだけ早く充足させるように、こういう趣旨のお話がありましたが、その点の厚生省としての所見を承りたいと思うのであります。私ども提案者の一人に今度加わつておるのですが、政府が法案を提出するときには、それに対して私どもがいつでも言うことは、こういう法律を実施するだけの自信があるか、財政上の裏づけがあるかどうか、こういうことを責めるわけですが、今度は私どもが提案者として、それを責められる立場になるわけでありますから、これはますますもつて責任が重大になるわけです。ですから実施がどういうふうに行われるか、いつまでに切りかえができるか、この点をとくと承りたいと思うのであります。それが第一点。
それから第二点といたしましては、今度看護婦のレベルが非常に上りまして、新制高校を出て、さらに三年の教育を受けるということになりますと、従来からすれば非常にこれはレベルの高いものになるわけであります。そこで今度は、保健婦または助産婦の場合にも、それにさらに半年をつけ加えるということになつております。しかし従来から見ますと、助産婦や保健婦にしましても、高等小学校など出た人が、いろいろな講習を受けたり何かしてそのままなつている。それで従来はやつて来ておるわけでありますが、それから見ると、これからできる看護婦というものは、そういう従来から比べて見れば、レベルが高いということになる。そうすると国家試験などについても、今度の法律の改正では触れなかつたわけでありますが、この国家試験などについても、看護婦の国家試験一本でも行き得るのじやないかという考えも出て来るわけであります。そしてお医者さんの場合と同じように、その上内科とか、あるいは精神科とか産婦人科とか、それぞれの専門の修練を若干積んで、あとは国家試験ではなくて、そこのインターンをやつたところの証明でもつて行き得る、こういうようにもできるのではなかろうか。インターンという言葉は悪かつたかもしれませんが、専門をやつたその証明でもつて行き得るのではないか、そういうことは、この助産婦や保健婦を急速にふやすというような目的にも、やはりかなうものだと思うのでありますが、その点について、この法律の運営の面で、何とかかげんができるかできないか。その点を第二点としてお聞きしたいと思います。
大体以上の点をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X02219510331/36
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037・東龍太郎
○東政府委員 ただいまの御質問の第一点につきましては、養成計画の少し詳細を申し上げれば御了解が願えると存じます。その説明は看護課長にさせたいと思いますが、御了承願いたいと思います。
第二点の教育程度の問題、あるいは国家試験の問題でありますが、なるほど数を確保するということのために、試験の数を少くするということは、確かに最も有効な方法だと存じますが、この問題につきましては、国家試験をやるということが、既定の事実という前提のもとに考えなければならないことを、御了承願いたいのであります。
それから保健婦、助産婦の教育年限のお話がございましたが、従来の保健婦と申しましても、その制度は、高等小学校を出てからあと二年もしくは三年の養成学校というようなことでありますので、その年限が非常に違う。だから今度の方法は非常にむずかしくなつたと言われますが、それは考え方でありまして、私どもそれほど違うとは考えておりませんので、それが非常な隘路になつて、保健婦、助産婦等が著しく少くなるというふうな懸念は、実は持つておりません。もちろん今までほどたやすく行くとは存じておりませんが、そういうふうなことを補いますために、現在存在しております五箇月講習で、そして保健婦になるという道を一年間延ばすというようなふうに、今後の改正でもお願いしたようなわけでありまして、数の補充についてのいろいろな隘路については十分考究もいたしまして、でき得る限りのそれに対する救済策は講じたつもりでございます。ただ国家試験をどうしたらというようなお話については、これはどうも国家試験を行うということを前提として、最もいい案を考えなければならぬという点を御了承願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X02219510331/37
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038・金子光
○金子説明員 先ほどのお尋ねの講習計画について御説明申し上げたいと存じますが、お尋ねのときに、一箇年で二千五百万円、それで全部六万人の講習ができるのはおかしいというようなお話でありましたが、それはそうではないので、今考えております講習の最も可能だと思われるコースについて御説明申し上げたいと存じます。
コースとして持ちます場合には、やはり講習人員も相当制限いたしまして——看護婦の教育は単に学説だけではものになりませんので、実地修練がなければなりません。それで実地修練をも加味した上での教育ということになりますと、やはり一週間やそこらの講習では教育にもなりかねますので、現在考えておりますところでは、最低一箇月ということでございまして、なお人員は一回五十人というのが、どの場合にでも使われております。ただいまの講習の行き方でございまして、五十人一箇月というコースをもちまして、各都道府県で年間に十回いたしますればフルでございます。十二箇月ございますから、十二回できるはずだとは思われますけれども、一日も休みなしにコースを持ち切ることは不可能でございますので、準備その他につきまして、二箇月の休養がないと無理だと存じます。それで一年間いたします場合は十回が限度だと存じます。一回一箇月五十人で十回というのが各都道府県の計画になると存じます。それで約六万人が試験を受ける対象になるであろうと考えましたのは、現在実働が八万ございますが、そのうち第一回の国家試験を受けました者が約八千何ぼございます。それで第二回目の国家試験と、なおそのほかことしの八月三十一日までに検定試験をもつて新しく生れて来る人たちもあろうかと思いますので、少く踏んで六万残る、こういつふうに勘定しております。この六万人の人たちのうち、全国でいたします講習で一年間二万三千人をこなすことができると仮定いたしますれば、二年かかるわけでございます。これは計算上の三年でございますが、実際問題といたしましては、ことしの八月三十一日に初めて看護婦の免許をもらう人たちができるわけでございますから、この人たちが新しい法令でおきめになりました通算十三年という線に来るまでには五年かかります。それで先ほど五年かかるという話が出たのだと存じます。通算十三年という線が引かれましたので、ことし初めて免許をとる人は、高等小学校を出た方で検定試験をお通りになりました方ならば、五年かかるわけでございます。それで現在おります方たちは、人数だけで計算いたしますと三年ででき上りますけれども、実際には五年やつていなければみんながこの分に入らない勘定になるわけであります。
金額は先ほど申し上げた通りでございまして、一箇月で各都道府県がいたします場合、二分の一の補助の場合には二千五百万円、それから二箇月のコースになりますとその倍、こういうような勘定になるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X02219510331/38
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039・今野武雄
○今野委員 たいへんよくわかつたのでありますが、ただ私前に文部委員をやつておりまして、そうして教員免許法という法律の審議に携つたのですが、そこでも認定講習の件で、教員の間に大問題になつたのです。私ども文部委員全部、昨年の夏各地方に散つて調査に参りました。私も東北地方をずつと一巡して参りましたが、そこで見たことは、実にこれがうまく行かないことなんです。第一は、国庫の補助が非常に足りないこと、そのために都道府県の財政的な負担が多いこと、それから講師が足りないこと、それから講習を受ける個々人の負担が意外に多い、書籍代とか、参考書代、それから遠くから来る場合の宿泊代とか、旅費とか、こういうものが非常に多くて、実際上その講習を受けるために家とか土地を売るという教員も出ておるのでありまして、これは東北では事実あつたのです。そればかりでなく、先生が三人、四人という学校がたくさんある。極端な場合には先生一人の学校も相当あります。先生が非常に少い分教場などでは、資格を受けるために先生を抜かれると、どうも授業ができない。ところが東北地方みたいなところに限つて、また無資格の先生が非常に多いわけです。そのために、この実施は実際上どうにもならぬというので、これを昭和二十八年度までにすつかり実施するのを、しかたがなく三十一年度まで延ばすことを昨年やつたのであります。文部大臣もそのためにずいぶん苦労したようです。教員組合も、そのために非常に大きな努力をいたしました。そういうようなことがあつて大騒ぎになつております。そうしてこの問題は、いまだに十分な解決を見ていないのであります。しかしこれはどうせそのころになれば講和が結ばれて、占領当局もいなくなるだろうから、そうしたらそういうような免許法なんというめんどうくさい問題はどうにかなるだろう、そういうような妙な安心感をもつて地方当局も事に処しておる。しかし個々の先生たちの身分は、非常に定まらないままであるということがあるわけであります。こういうようなことですと、教育の上でもさしつかえるという大問題である。ところが今度は、生命を預かる看護婦さんです。病人を預かる看護婦さんです。その場合に、やはりこういうような支障があるならば、これは非常に大問題だと思うのであります。でありますから、この点については、実際上できる方法をまずやつて、しかる後に実力をつけるようなことをやるというような運用もできるのではあるまいか、こういうようにも考えるわけでありますが、そういうようなことについてお考えがあるかどうかお聞かせを願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X02219510331/39
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040・東龍太郎
○東政府委員 認定講習の実際の問題を御経験になつておる委員の御発言でありますので、それについて私どもの方がお教えを受けておるわけでございますが、そういうふうなむずかしい結果があるといたしますれば、われわれとしてはなお一層十分な準備と十分な用意をもつて始めなければ、同じような結果を来すであろうという想像はつくのであります。従つてこれには財政的な裏づけ等が非常に重大だと存じます。私どもといたしましては、そういうふうに殷鑑遠からずというようなものがありますならば、なお一層計画を綿密にいたしまして、そういうふうな非難を受けないように善処いたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X02219510331/40
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041・今野武雄
○今野委員 それから主計局長にお尋ねしたい。それは、最近の地方財政の非常な困窮状態については、主計局長もよく御存じだろうと思う。それで地方当局は、教育の仕事にしても、厚生の問題にしても、いつでもこうやつてわれわれがかつてに法律をつくる。法律をつくるのはいいけれども、その法律によつて地方の末端に至るまでいろいろな負担を受ける。たとえば、今度の教科書を無償で配給するという件も、半額国庫負担と言つたけれども、実質は半額じやなくて、もう三分の一か、あるいはそれ以下になつてしまつて、そのために地方当局の財政上の迷惑ははなはだしい。六・三制も同じことであつて、そういうようなことから、中央でもつてきめたものについては、中央でもつて責任を持つてもらいたいという声が、地方全体の声としてあるわけであります。この際非常に重要な看護婦の問題でありますから、この法律を施行するに要する費用、すなわち講習のこと、あるいは准看護婦の養成所のごとき、その他看護婦養成機関のごとき、こういうような問題に対して、もつと力を入れてもらえないか。先ほど講習の件については、半額国庫負担ということでありましたが、それを実行いたしますと、実際には三分の一なり四分の一になつてしまうのですから、この際もつと思い切りよく全額国庫負担の線が出せぬものかどうかその点をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X02219510331/41
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042・河野一之
○河野(一)政府委員 地方団体におきまして、いろいろな法律が出まして、そのために経費がかさむという事実は相当あるようであります。地方財政平衡交付金の問題につきまして、ずいぶんそういう御議論が出たことを拝聴いたしております。ただ私どもの考え方といたしまして、平衡交付金を算定いたします場合においては、法令による経費については、合理的な基準を見出しまして、それによつて財源を配分するという方法を実はとつておるわけであります。何でもすべて国が全部を負担してやるということは、これは国と地方との事務の配分の問題でありまして、そういう事務が地方の事務になつております以上、原則的に地方においてその経費を負担するというのが趣旨であります。国が補助金を出しますのは、シヤウプ勧告でも、御存じでありましようが、奨励的なものに原則的に限るべきものであつて、地方の事務に対して国が経費を全部持つということは、これは責任の所在からいつて、あるいは地方の事務であるとされておる場合に、国の方で全部持つということは、なかなかそう簡単に割り切るべきものでないじやないか。せつかく行政調査委員会議におきまして勧告が出ております。こういう点を検討いたしまして、事務の配分の問題、財源の負担の問題については、なお相当研究いたして参りたい、こう考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X02219510331/42
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043・今野武雄
○今野委員 ただいまの点非常に重大なんですけれども、私がおそれるのは、さつき申した通り、そういう基準とかいろいろなことを申しますが、実際上は半額というと、それが三分の一なり四分の一になるというこの現実の事実なんです。しかもその上、先ほど申したように個人の負担とか、いろいろなものも出て来るおそれも、この問題についてはあるわけであります。ですから、私はこの際もし全額ということができないならば、半額から全額にすぐ飛躍しなくてもいいのですから、この問題については国家の政策として非常に重要なんであるから、もつと奮発しよう、こういうようなことがあると思う。これは覚悟次第だろうと思う。ですからその点をお伺いしたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X02219510331/43
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044・河野一之
○河野(一)政府委員 国といい地方団体といい、これはいずれも公的な機能を営んでおるものでありまして、地方がやるその仕事の範囲というものは、つまり地方自治の面でいろいろそこにわけ方があるわけでありますが、地方自治の内容といたしまして、地方団体がどういうふうな仕事をするかどうか、こういうことについて現在の建前としましては、国家が干渉するというのは適当でないということでやつておるわけであります。もしこれがどうしても国自体がそれをやるべき筋合いのもの、そういう本質上のものがありますれば、そういうことでありまして、もしこういうような法律が出て、各地方団体においてその通りやらなければならぬという真に御決意をなされるならば、その負担の財源の配分をすべき筋合いのものであろう。国の方におきましても、もちろん無理なやり方をしてはいけませんが、そこに合理的な管轄というものは、どうしてもあるものでありますから、それがためにすべて国が全額負担してやる、あるいは高率の補助をしてやるということは、最近における国と地方の財政の区分、事務の配分という面から見て、なお検討を要するものがありはしないか、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X02219510331/44
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045・今野武雄
○今野委員 それでは厚生当局にお尋ねしたいのですが、これは教育の問題でも厚生の問題でも同じでありますが、特にこういう医療を受ける者の機会の均等というような見地からすると、地方財政が非常に貧弱なところでは、——ゆたかなところではこういうものは相当やれる、自力でもやれるところが相当あると思います。しかし貧弱なところでは、従来ともにこういう医療なんかに恵まれていない。そういうところは地方財政も足らないから、やはりこういう法律ができると、それをやるのに四苦八苦するということが出て来るわけです。そういうものに対しての考慮、これがやはり費用の支出の場合に相当考えられなければならないと思うのです。全額国庫負担となれば、その点は実にすつきり行くわけです。その点について厚生省としては一体どういうふうにお考えになつておるか、ひとつ政務次官からお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X02219510331/45
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046・平澤長吉
○平澤政府委員 御承知の通り、最近社会保障制度審議会の意見等も、政府に答申せられておるのでありまするが、大体それらの趣旨も現在の日本の経済、財政事情にかんがみまして、医療の上において、またそれに関連するもので、全額国庫で負担をしているというような面は、実はあまり多くないのであります。もとより仰せられる通り、御意見として全額国庫でということであれば、そういう建前もまたおのずからあると思いますけれども、現状では医療並びにそれに関連するものはおおむね——ほんの一部、最近の結核予防法なんかにありますところの国が強制してやらねばならないというような事態の医療等につきましては、国庫が全部負担するということがありますけれども、私の知つておる限りにおいては、おおねね全額国庫負担の方針はまだ樹立されていないように考えておる次第でございますから、ただいまの問題については、先ほど申し上げました通り、財政当局とも十分相談いたしまして決定いたしたい、こう申し上げたのでありますが、方向としては、現状では厚生省の医療に関する大方のものは、そういうかつこうになつておるということを申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X02219510331/46
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047・今野武雄
○今野委員 先ほど半額ということを聞いたときに、私実はひやつとした。厚生省みずからそういうお考えでは、とても大蔵省と渡り合えないだろう。大蔵省は、ただいま話を聞いたように非常に冷たい態度である。それに対して渡り合うのに、そういう態度ではとても渡り合えないと感じた。結核の場合は強制的だと申しますけれども、この法律が実施されて、実際に看護婦としてやつて行けるかどうか。これは看護婦にとつては強制的な問題である。この法律でそういうふうに縛つておるから、従つてそれをやる以上、しかもそれが非常に必要なこととして、政府の動きを待たずして、やはり国会としてこれを提案して、それできめて行く、こういうからには、これはやはり非常に重大なものだと考えていただかなければならないと思う。従つてやはり厚生省としては、全額国庫負担の建前で進んでいただきたい、こういうように思うわけであります。ぜひともそういう信念を持つてやつていただかないと、これは非常に困難を招いて、結局また講和後になつたらどうにかなるたろうということになります。しかしそれは免許法や六・三制の場合には、これは実を言うと政府の提出、しかも占領当局から進められてやつたということであるわけです。これはそうじやないのです。こちらからみずから進んでやつておるのです。従つてこの点については、そういうような空気がかもし出されるということは、決して好ましくないわけですから、ぜひとも力を入れて、全額国庫負担でこれを完成するようにしていたただきたい。これを特にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X02219510331/47
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048・松永佛骨
○松永委員長 次は松谷委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X02219510331/48
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049・松谷天光光
○松谷委員 主計局長のお忙しいところを引きとめて恐れ入ります。先ほども福田委員がすでにお述べになつておりましたように、私はこの改正案の中に、幾つもの不満な点を持ちながらも、ここまで長い経過を経てでき上つて参りましたこの改正案を見ますときに、非常に感慨無量のものがございます。ことに全委員がひとしく抱いておる感激であろうと思います。こういう席で申し上げていかがかと思いますが、私は委員長に心から感謝を申し上げたい。また與党の各委員の方々の御熱意や、御理解等に対しても——もちろん意見の一致しない点もございましたけれども、その熱意というものに対して、満腔の敬意と感謝をささげながら、この改正案の提案者の一人にさせていただいており、過去の私の議員生活の中で味わい得なかつたものをもつて、本改正をつくらせていただいたということは、簡単ではございましようけれども、ここに盛られているところの内容というものに、あるいはまたここまで参りますまでの経過過程というものは、先ほど福田委員が示されたように、国会の審議権と行政府の立場、立法府と行政府の責任なり、あるいはその権限というもののあり方をはつきりと指摘したと同時に、講和を前にして、日本の将来へのあゆみ出しの一歩を築き上げる土台を、この法案の審議過程において築くことができたと考えざるを得ないのでございます。少くとも私ども一つの意見の上に立ち、国会の審議権を確立しながら、ここまで改正案を築き上げて参りましたことを喜びますと同時に、私は先ほど来の各委員とあるいは厚生当局また大蔵当局との質疑その他の中に、一つ不満なものを感ずると同時に、非常な不安を感ぜざるを得ないのでございます。それは各委員の御指摘になられましたように、紙の上に書いた文字で表わすところの改正はできましても、実質的な内容を伴つた具体的効果を、私どもがどれだけこの法案によつて築いて行くことができるかということでございます。やはり予算の裏づけのない法律というものは、過去の経験からいたしましても、その効果が減少するばかりでなく、場合によりましては、害さえも與える場合がございまして、私どもは多くの努力を拂い、多くの苦闘をいたしながら、ここまでたどりつきましたせつかくの法律改正を無にしたくはない。私はここまでの経過に、あまりにも予算的な面において、大蔵当局あるいは厚生当局の中に、その熱意が薄かつたのではないかということを、はなはだ残念に思うのでございます。河野主計局長御自身としては、厚生問題に非常に御理解を持たれるということで、はなはだうれしく存じますが、やはり今日までの大蔵当局のあり方というものは、各省の中でも最もおとなしいとされている厚生省の要求に対しては、どうも言語道断の行動がままあられたことは、いなみ得ない事実でございます。また先ほどからの政務次官の非常に御遠慮がちな厚生当局の御要求、御意見の発表を伺つてみましても、今野委員と同様に、私もまた非常に不安を感ぜざるを得ないのでございますが、大蔵当局また厚生当局が、もつと熱意を持つて、この改正されて行く法律が、実質をはつきりと現実に誕生させて行くことができるような具体的な予算的措置に、全幅の努力をしていただきたい。これは與党の方々がその努力をしてくださることは、当然私は信じて疑わないところでございます。と同時に厚生当局ももつと腹をすえてやつていただきたい。先ほどから出ておりました既得権者の養成の問題にいたしましても、厚生当局はもつと強い腹を持つていただきたいと思います。先ほど政務次官のお話で、この問題については別だ、大体厚生の予算を全額国庫負担とするまでの考えはないというお話でありました。もちろん問題によりまして、全額国庫負担しなければならない性格のもの、あるいはそうでなくてさしつかえないもの、またそうあつてはならないもの、いろいろ具体的な問題によつて相違がありましようが、少くとも本改正の中に盛られておりますところの既得権者の切りかえ等につきましては、私は当然全額負担してしかるべきものであろうと思います。先ほど河野主計局長のお話の中にも、全額負担では、責任の所在が明かにならないというお言葉がございました。あるいは国家が干渉するようなことになるから、むしろ半額が当然であるがごとき御発言があつたのでございますが、私の考えでは、これはむしろ地方的な責任においてなさせるべきものではないと考えます。既得権者の資格を国家の政策の転換によつて変更を来したのであります。もちろん厚生当局初め大蔵当局も強制的なものではないのであるから、その責任はないと言われるかもしれませんが、しかし新看護婦の免許を早く得なければならないということで、もちろん強制はしないにいたしましても、しかし既得権を国家の政策が転換して一応剥奪されると同じような状態にならざるを得ないと思うのでございます。医務局長も首をひねつておられるので、私の言うのが違うとお考えかもしれませんが、(笑声)私はその既得権者に対する責任は、どうしても国家自体が持つべきものであろうと思うのであります。それと同時に、今野委員が言われておりましたように、医療を受ける国民の立場から参りましても、機会均等にこれを受けようということを希望いたしますならば、やはり地方財政にゆだねるのではなく、既得権者の費用、あるいは新規則による新規養成の費用は、国家において責任を持つて行くべきが当然ではないかと思うのでございます。こういう点で非常に御理解があると伺つております河野工計局長に一層の御研究をいただき、一層の御奮発をいただきまして、最も発言の紳士的である厚生予算に対しまして、全幅的な支持をしていただきたい。そうして全額国家支出というところまで、この金を可能にするおはからいをいただきたいと思うのでありますが、河野主計局長の御決意あるいはまた御見解を重ねて私は伺わせていただきたいと思いますと同時に、厚生当局がなお今後全額国庫負担の線に沿つて要求をなしてくださる御意思があるかどうか、あくまでも半額で交渉を続けるという御意思であるかどうか、たいへんくどいようでございますが、私は将来の問題としてこの点を伺わせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X02219510331/49
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050・平澤長吉
○平澤政府委員 この看護婦法の一部を改正する法律案は、先ほど各委員からも申されましたように、私ども知る限りにおいては、政府の提案でございませんで、議員各位から出されたのでございます。しかも半年以上もかかりまして、つぶさに検討いたされましたから、それらの点については、予算のことについても、すべて十分御検討せられたことと私は存じ上げておるのであります。従つていろいろ御心配せられますことは、私ども議員の審議権というものを十分尊重いたしまして、今までの経過も十分考えまして、この委員会において、ひとしくそうした御要望もあり、立案者がそういう御見解であるとすれば、あくまでも審議の経過等にかんがみて、その立法精神に沿うて進んで行かなければならないと、政府当局としては考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X02219510331/50
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051・河野一之
○河野(一)政府委員 厚生省の行政の問題につきましては、財政当局といたしまして常々努力いたしておるところでございまして、昭和二十六年度の予算におきましても、大蔵大臣が財政演説でお述べになりましたように、社会保障制度、それから文教というものは優先的に考えるというように言われております通りに、厚生省の行政は、最近財政におきましても画期的な飛躍を遂げておると、私は確信いたしておるのであります。ただこの具体的な問題につきましては、まだ私も詳しく伺つておりませんので、厚生当局とよく御相談を申し上げまして、善処したいと考えておる次第であります。ただ全額云云のお言葉があつたのでありますが、重ねてさからうようなことを申し上げて恐縮でありますが、国家的に重要なという意味合いと、その経費をどこで負担するかということは別な問題でありまして、国と地方団体は、おのおの公的な機能を営んでおるのでありますから、そこに事務の配分があるのでありまして、その点もあわせて考えませんと、何とも申し上げかねるということを、御了承願いたいと存ずるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X02219510331/51
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052・松谷天光光
○松谷委員 政務次官は、国会の意見を尊重した線に沿つて、予算的な措置も考えるというお話でございましたので、国会の方も、與党の方々のお骨折りによりまして、十分の予算的な点も考慮して参りたいと思いますので、その際は政務次官初め各当局の方々の格段の御努力をいただきたいと思うのでございます。
なお一点、小さな点でございますが伺つておきたいのは、この厚生大臣の定める講習について、再三繰返されて質疑がなされて参りましたが、その際すでに受けておるところの講習をもつて、厚生大臣の定める講習とみなす場合があつてもよいではないか、またあつてもさしつかえないというような御答弁もあつたやに記憶いたしますが、なおそういう点も今後の省令その他の中に含めて行かれるお腹構えが今日おありになるかどうか。あるいはそういうものとは切り離して、やはり厚生大臣の定める講習というようなものを考えておられるかどうか。それによりまして先ほど課長からのお話の二万三千人、三年間の養成講習年限というような、年限の相違も出て来るかと思いますので、念のためにその辺を伺つておき、先ほど丸山委員初め各委員から御要求のございましたように、省令を決定なさる場合には、一応国会にその内容をお示しいただきたいということを要望いたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X02219510331/52
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053・東龍太郎
○東政府委員 講習の問題につきましては、先ほどどういうふうな御答弁を申し上げたか、私おりませんで失礼いたしましたが、私の考えといたしましては、何も新らしくつくる講習だけが、この認定講習であるという考え方でなく、でき得る限り広くと申しますか、あるいは受ける方に有利になりますように、そういうふうな考慮ある措置をとりたいと考え、なおその実態につきまして十分研究いたしまして——むずかしくするのが目的でないので、なるべく広く、なるべく早く皆さんがその資格を獲得されるのに有利なように考えたいと存じます。十分研究いたしました上で、意見もしくは案ができましたならば、ただいま御要求になりましたように、ことにこの法案は議員提出でつくつていただく法案でありますので、それに関連する規則のこまかいことにつきましては、疏通を欠くことのないように、十分御相談いたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X02219510331/53
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054・松永佛骨
○松永委員長 次は金子委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X02219510331/54
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055・金子與重郎
○金子委員 各委員から詳細にわたりまして、いろいろ当局に対する意見ないしお願いが出ましたので、私はそういうことを繰返して申し上げませんが、この議案が議員提出でありながら、政府当局にいろいろ注文をつけるということは、一面から行きますと、先ほど次官がおつしやるように、議員提出である以上、予算的なことも一切のことを勘案して後に提出されたものだという考え方は、常識なのでありますけれども、この法案がこういうふうにして純然たる議員提出であり、しかも現段階に出ておりますところの議員提出法案の大部分というものは、役人から頼まれた議員提出である。またそうでないものになりますと、地域的な議員たちの利益の裏づけのある議員提出というものが相当出ておる。こういうふうにいたしまして、まつたく利害関係もなければ、しかも役人の人たちは、むしろ協力の形はあまりとつてくれていなかつた、議員だけが汗をかいたという法律は、私は国会に入つて初めてでありまして、そこにいろいとな過程があつただけに、今日の問題が出て来るのだということを、次官はよく頭の中に入れておいていただきたい。
それからもう一つ、先ほど次官の立法、行政の建前ということに対する見解に対しては、私はそれは正しいと思う。立法府は立法をやるのだ、行政府は行政の建前から行政をやるのだということは常識であります。しかしながら、あなたの部下の職場へ行きましてもセクシヨンがある。そのセクシヨンはやはりセクシヨンを守ることによつて、全体の統一がとれるのだということが建前であります。しかしそのセクシヨンが強過ぎたときに、どういう結果が来るかというと、国民は非常に迷惑するのであります。でありますからして、私どもが立法したと言うけれども、その立法の意をくんで法律なり、行政的措置をとつていただかないと、そこにまた国民の受ける立場になりますと、立法の精神というものが、逆の立場に行くことがしばしばあるのであります。たとえば税におきましても、決して所得以上の決定をして、税金をたくさんとれという法律はどこにもないのであります。しかしながら行政的なやり方においては、たまたまそういうことが国民一般にはあり得るということを考えたときに、それは建前は曲げてはならぬということでありますけれども、お互いに注意し合う、また相談し合うということは、決して建前を阻害するということにはならぬと思いますので、この法律については、特に各議員があなたに要望しました内容にその点がありますので、その点を結論としてお願いしておきます。
最後に、本法案が本日の段階になりますまでの間に、非常に長い間かかりましたのみならず、その過程におきましては、非常にむずかしい、峠に登り詰めたという過程さえ経たのでありますが、ただここに私が最後に一議員として皆さん方にお礼を申し上げたいことは、この委員会は第五国会以来数十回開かれておりましたけれども、いまだかつて、役人を呼んではつたりを言つたり、議員がややもするとけんかしに来ておるのだか、国民のために相談に来ているのだかわからぬという状態は、一度も繰返されたことがないし、また自由党の諸君が絶対多数を持つておりましても、少数党を数で押すというようなことも一度もない。ことに私は最近この問題につきまして、一少数党の委員としまして感激いたしましたことは、私どもが正論で皆さんと御相談したときには、委員長すら自分の立場を落してまで正論には行くという、悲壮な気持まで表わしていただいたのであります。この気持があつてこそ、ほんとうに国会というものは生きるのだ、ややもすれば国会というものが、国民のために相談に来ておるのだか、あるいは国会に党の犬になつてけんかしに来ておるのだか、わけがわからぬというふうに受取れるような状態さえ、この国会の中では常に見ておるのであります。そういう状態であるにかかわらず、この委員会だけは、ひとり毅然としてこういう態度をとつていたということに対して、私は一議員として非常に感謝しておるわけであります。どうぞ次官も、あなたの持たれる委員会がこういう姿であり、しかもこの国会の二十二の委員会の中で、唯一の心持を持つている委員会をあなたはお持ちになつておるので、それだけにあなたもこの委員会の決議に対しては——そうでなくても大臣としておやりになることは当然でありますけれども、その上になおお考えおきくださいまして、そうしてこの厚生委員会は、たとい出席率も悪く、貧弱な委員会のようにも見えますけれども、国民の立場から見るならば、重要なるポストでありますので、私たちに注文をつけるところは注文をつける、私どもも一生懸命国民大衆のために相談し合う、この感覚で熱心に進いでいただきたいことを最後に要望し、またお礼を申し上げまして、私の発言を終りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X02219510331/55
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056・松永佛骨
○松永委員長 本案についての御質疑はありませんか。——それではお諮りいたします。本案についての質疑その他に関しましては、小委員会及び当委員会において十分検討されておりますので、質疑は終了したものと認めますが、さよう決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X02219510331/56
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057・松永佛骨
○松永委員長 御異議がなければ、本案の質疑は終了したものと認めます。
次に本案の討論に入りたいと存じますが、本案についての討論は、別に通告もございませんので、これを省略し、ただちに採決に入りたいと存じますが、さよう決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X02219510331/57
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058・松永佛骨
○松永委員長 御異議なしと認め、本案の討論は省略し、これより保健婦助産婦看護婦法の一部を改正する法律案の採決をいたします。本案を原案の通わ可決するに賛成の諸君も御起立を願います。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X02219510331/58
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059・松永佛骨
○松永委員長 起立総員。よつて本案は原案の通り可決いたされました。
なお議長に提出する本案に関する報告書の作成に関しましては、先例により委員長に御一任願いたいと存じますから、さよう御了承願います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X02219510331/59
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060・松永佛骨
○松永委員長 次に小委員補欠選任の件についてお諮りいたします。厚生住宅に関する小委員の中川俊思君、苅田アサノ君、松本六太郎君がそれぞれ委員を辞任いたされましたのに伴い、現在該小委員会の小委員が三名欠員になつており、加えて清藤唯七君が小委員の辞任を申し出られておりますので、この際補欠選任を行いたいと存じますが、清藤委員の辞任を許可し、選任の手続に関しましては、先例により委員長より指名するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X02219510331/60
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061・松永佛骨
○松永委員長 御異議なしと認め、再び委員に選任された中川俊思君並びに今野武雄君、羽田野次郎君及び金子與重郎君をそれぞれ厚生住宅に関する小委員に指名いたします。
次会は明後二日午前十一時より開会することとし、本日はこれをもつて散会いたします。
午後一時四十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X02219510331/61
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