1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十六年五月二十三日(水曜日)
午後二時三十一分開議
出席委員
委員長 松永 佛骨君
理事 青柳 一郎君 理事 丸山 直友君
理事 金子與重郎君 理事 福田 昌子君
大石 武一君 高橋 等君
田中 元君 堀川 恭平君
清藤 唯七君 岡 良一君
今野 武雄君 松谷天光光君
出席政府委員
厚生政務次官 平澤 長吉君
厚生事務官
(社会局長) 木村忠二郎君
厚生事務官
(兒童局長) 高田 正巳君
委員外の出席者
專 門 員 川井 章知君
專 門 員 引地亮太郎君
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五月二十三日
委員生田和平君及び砂間一良君辞任につき、そ
の補欠として渡邊良夫君及び今野武雄君が議長
の指名で委員に選任された。
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五月二十一日
地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、
検疫所の支所及び出張所の設置に関し承認を求
めるの件(内閣提出、承認第七号)
同月二十二日
覚せい剤取締法案(中山壽彦君外四名提出、参
法第二二号)(予)
同日
医師法、歯科医師法及び薬事法の一部を改正す
る法律案反対に関する請願外一件(佐藤重遠君
外一名紹介)(第二一二七号)
同(佐藤重遠君外一名紹介)(第二一三二号)
同(宮幡靖君紹介)(第二一三九号)
同(南好雄君紹介)(第二一四〇号)
同外一件(小坂善太郎君紹介)(第二一四一号)
同外二件(山手滿男君紹介)(第二一四二号)
同外三件(福田昌子君紹介)(第二一四三号)
同外一件(丸山直友君紹介)(第二一四四号)
同外三件(平野三郎君紹介)(第二一九三号)
同(今野武雄君紹介)(第二一九四号)
同(宮原幸三郎君外一名紹介)(第二一九五号)
同(荒木萬壽夫君紹介)(第二一九六号)
同(村瀬宣親君紹介)(第二一九七号)
同(中島茂喜君紹介)(第二一九八号)
同(内藤隆君紹介)(第二一九九号)
同(西村直己君紹介)(第二二〇〇号)
同(長野長廣君紹介)(第二二〇一号)
同(松本一郎君紹介)(第二二三八号)
同(福田昌子君紹介)(第二二三九号)
結核病床増設に関する請願(井出一太郎君紹
介)(第二一二八号)
結核患者に国民健康保險の全面適用に関する請
願(井出一太郎君紹介)(第二一二九号)
アフター・ケア施設確立に関する請願(井出一
太郎君紹介)(第二一三〇号)
同(今野武雄君紹介)(第二一九〇号)
国立療養所における給食費増額等に関する請願
(井出一太郎君紹介)(第二一三一号)
同(今野武雄君紹介)(第二一九二号)
医師法、歯科医師法及び薬事法の一部を改正す
る法律制定の請願外二十八件(伊藤郷一君紹
介)(第二一四五号)
同(甲木保君紹介)(第二二〇二号)
同外四十一件(高倉定助君紹介)(第二二〇三
号)
同(平井義一君紹介)(第二二四〇号)
同(關谷勝利君外一名紹介)(第二二四一号)
同外一件(青野武一君紹介)(第二二四二号)
同(甲木保君紹介)(第二二四三号)
同外二十五件(三池信君紹介)(第二二四四
号)
同外六件(北川定務君紹介)(第二二四五号)
同外二件(大村清一君紹介)(第二二四六号)
同外十一件(大西正男君紹介)(第二二四七
号)
同外三十九件(澁谷雄太郎君外一名紹介)(第
二二四八号)
公的保護事務費の増額に関する請願(平野三郎
君紹介)(第二一八四号)
結核患者の作業療法に関する請願(今野武雄君
紹介)(第二一九一号)
兒童保護費を地方財政平衡交付金から補助金制
度に切替の請願(倉石忠雄君紹介)(第二二二
七号)
遺族援護強化に関する請願外一件(神田博君紹
介)(第二二三七号)
の審査を本委員会に付託された。
同日
医薬分業反対に関する陳情書
(第七五〇号)
医薬分業を目的とする薬事法等の改正に関する
陳情書外十件
(第七五一号)
医薬分業反対に関する陳情書
(第七五七号)
同
(第七五八号)
同
(第七五九号)
同(第七
六一号)
兒童福祉関係経費の特別補助に関する陳情書外
四件
(第七六四号)
医薬分業を目的とする薬事法等の改正に関する
陳情書
(第七六六号)
医薬分業反対に関する陳情書
(第七六八号)
社会福祉事業法施行に伴う義務的経費の財源措
置に関する陳情書
(第七七五号)
社会保險診療報酬單価改正に関する陳情書
(第七七六号)
医薬分業反対に関する陳情書
(第七七八号)
社会保險診療に関する陳情書
(第七七九号)
医薬分業反対に関する陳情書
(第七八
〇号)
医薬分業を目的とする薬事法等の改正に関する
陳情書
(第七八一
号)
同
(第七八二号)
医薬分業反対に関する陳情書
(第七八三号)
同
(第七九一号)
国立療養所患者待遇改善に関する陳情書
(第七九四号)
医薬分業反対に関する陳情書
(第七九九号)
を本委員会に送付された。
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本日の会議に付した事件
生活保護法の一部を改正する法律案(内閣提出
第一七一号)
兒童福祉法の一部を改正する法律案(内閣提出
第一七二号)
身体障害者福祉法の一部を改正する法律案(内
閣提出第一七三号)
地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、
検疫所の支所及び出張所の設置に関し承認を求
めるの件(内閣提出、承認第七号)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X02719510523/0
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001・松永佛骨
○松永委員長 これより会議を開きます。
まず兒童福祉法の一部を改正する法律案、生活保護法の一部を改正する法律案及び身体障害者福祉法の一部を改正する法律案、以上三案を一括して議題といたし、質疑を續行いたしたいと存じます。今野委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X02719510523/1
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002・今野武雄
○今野委員 いろいろの点についてお伺いしたいことがあります。第一に、お医者さんの方でも、最近健康保險でかかる方が多くなつたと言われております。同じように普通に給料をもらつていて、普通に働いておる家庭でも、なかなかやり切れないで、細君が働かなければならない。そのために一才、二才の小さな子供を託兒所に預けなければならない、こういうような要求が東京都内やなんかでも、非常にふえて来ているわけであります。元来兒童福祉法というものの建前は、普通に働いていれば、こういうような補助とかいろいろなものを、あまり受けなくてもいいはすなんで、いわゆる社会の落伍者がこういうような法律の恩典を受ける、こういう建前のものかもしれませんけれども、実際問題としては、普通に働いていてもなかなか暮せない、そのために、今のような事例が非常に多くなつて来ているわけであります。そうすると、兒童福祉法というものの考え方——この間の兒童憲章に、非常に美しい言葉がありましたし、兒童福祉法の一番最初のところにも、非常に美しい言葉があるわけでありますが、そういうものをここに実現するためには、兒童福祉法についての予算的措置とかその他についても、考え方をずつと格段にかえて行かなければならない、こういうふうに考えられるわけでありまするが、その点について、厚生省ではどういう考えに基いてやつておられるか、その点をまず聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X02719510523/2
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003・高田正巳
○高田政府委員 御質問の御趣旨を、あるいは私十分に了解いたしておらないかもしれませんけれども、今おつしやいましたように、小さい子供を預けて働かなければならないお母さん方が相当あることを、私ども承知いたしております。従つてその保育所を設置することが必要であるというふうに承知をいたしております。私どもは兒童福祉施設の設置については、補助費のうちで保育所を一番の重点にいたして、その経費を保育所の方に多くまわすように今日やつております。従いまして、今の御質問の御趣旨に沿つたような考え方をいたしておるのではないかと私は思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X02719510523/3
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004・今野武雄
○今野委員 私の質問の趣旨は、こういうことなんです。つまり昔流の考えで言うと、世間のお世話になるという人は、例外的な人間であると考えております。ところが、賃金が安い、給料が低いというようなことのために、今やそれが例外的なことでなくなりつつあるということです。そうすると、そういう規模でもつて行政を考えておられるかどうか、こういう点です。今までの観念そのままで考えて行くのでは、増大する要求にとても応じ切れなくなるのではないか。たとえば普通のお医者さんでもそうです。今までは健康保險は少かつたが、昨年あたりを見ますと、町のお医者さんでも、健康保險でかかる人が多くなつて来ている。そういうようなありさまで、事実上そういうものに対する考え方がやはりかわつて来なければならない。この間もお医者さんが大分陳情に参つたようですが、そういう点です。そういう最近における変化、そういうものに対処して、行政の建前というものをかえるお考えがあるかどうか、その点です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X02719510523/4
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005・高田正巳
○高田政府委員 今日私どもがやつております行政の対象といたしまして、落伍者というお言葉をお使いになりましたが、私どもの方で申せば、孤兒とか浮浪兒とかいう特殊な人ということになるかと思うのでありますが、私どもの仕事といたしましては、そういう特殊な兒童に対する仕事と、そうではなく、一般勤労家庭の子供でありまするとか、一般大衆の普通の子供さん方を扱う仕事と二つあるわけであります。御指摘の通り、前の方の仕事につきましても、十分手が延びておりません。その方に金の面その他で今日非常に多くを要しておることは事実でありますけれども、だんだんとあとの方の仕事に重点を移して行きつつあります。たとえば、施設の例で申しますれば、保育所というようなものを重視しておるということは、その傾向の一つの現われでありまして、だんだんと転換をいたしておるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X02719510523/5
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006・今野武雄
○今野委員 それからこれも言いふるされたことだろうと思いますけれども、精神薄弱兒あるいは教護院に入れられている人、こういう人たちは、年齢が十八才以上になりますと救護を打切られる。そういうことでいろいろな例を聞くのです。東京のあるところでも、十五人ばかりの人が突然追い出されてしまつた。これでは、その子供たちは一体どうしてやつて行つていいかわからない。それから大島にある藤倉学園などの例をとりましても、あそこには精神薄弱兒というかつこうで入つて来て、四十才ぐらいになるまでおる者もあります。これは御承知のことだろうと思いますけれども、十八才以上になると、福祉法による扶助というものは得られないので、そのために精神薄弱兒の場合、今度は生活保護法によつておる。そうすると金額が少くなるので、かえつていろいろな費用がかかるのに、そういう扶助額が少くなる。そういう者をもう少し国家でめんどうをみることはできぬものか。これは長い間の課題になつておるようですが、長い間の課題になつていながら、毎年々々同じ問題が持ち出される。現に教護院などの場合には、そういう問題が起つているわけでありますが、こういう問題については、どんなふうに解決をおはかりになるつもりなのか、その点です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X02719510523/6
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007・高田正巳
○高田政府委員 お話の通り、精神薄弱の強度な者については、一生涯施設に收容して、ごめんどうを見る必要のある方々があることは事実であります。兒童福祉法が精神薄弱兒施設というものを持つておりまして、大体原則は十八才でございますが、二十才までは延長することができるわけであります。二十才以上に達しますれば、兒童福祉施設の中に入れておくわけには行かないという建前をとつておりますことも、御指摘の通りであります。しかしながら、そういう人を社会にほうり出しましても、これは何ともなりませんので、今日のところは、御指摘のように生活保護法の保護施設と関連づけまして、並べて、片一方は生活保護法の保護施設ということでやつておるわけであります。生活保護法の保護施設に行く金と、兒童福祉法の精神薄弱兒施設に行く金と、今正確に比較をいたすことは私できませんが、もしそれが、必要なだけ生活保護法の方に行かないということになりますれば、生活保護法によつて流れる金の基準額というものの検討に入るべきだ、私はかように存じております。その基準額を検討いたしまして、適正でなければ、それを修正して行くというのが筋だろう。いずれにしろ、二十才になつたならば、もう全然めんどうを見ないということのできない人たちがおるということは、御指摘の通りでありますので、そこはひとつうまく参りまするように努力いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X02719510523/7
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008・今野武雄
○今野委員 教護院の方はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X02719510523/8
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009・高田正巳
○高田政府委員 教護院は御承知のように、俗に申しまする不良少年を收容する施設でございます。従いまして、できるだけ短期に不良性を教護いたしまして直して、早く社会に出すというのが建前であります。年をとつてもその必要があるという者につきましては、大部分は刑法とかその他の対象になるのではないかと考えます。ただ問題になりまするのは、不良性はなおつたけれども、社会にほうり出したのでは、独立の生計を営むことが非常にむずかしいというふうな場合があると思います。これは教護院の收容兒童のアフター・ケアの問題として、いろいろ論議をされておるわけでありますが、現在では、そこまでなかなか手が延びておりません。もちろん相当程度のことはやつておりますが、完璧は期せられておりません。従いまして、この改正法の中にも、保護受託者というような制度を新たに設けていただきまして、さようなことにも寄與しようという意図を持つておるわけであります。さような場合には、もしそれが食つて参れませんようでしたならば、それは生活保護法の対象になつて行くということにもなるわけであります。ともかく問題は、すでに不良性はなおつたけれども、社会に立てないということだろうと思います。それらについては、今申し上げましたようなことでやつて参りたい、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X02719510523/9
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010・今野武雄
○今野委員 最初の精神薄弱兒の場合ですけれども、これは私聞きに行つたところが、やつぱり生活保護法の額がずつと低くなるわけなんです。その点は御考慮くださるという話ですが、できるだけ早くそういうことができれば幸いだと思います。普通の生活保護法でも足りないということで、いろいろ要求がありましようが、この精神薄弱兒の場合は、やつぱりそこの施設——公的な施設だかどうか知りませんけれども、私立の施設などでは、やはりすぐ追い出すなんということはできませんから置いておく。それがやつぱり相当いろいろな点で困る。こういうようなことになりまするし、その点は大した数じやないだろうと思いますから、できるだけ早くおとりはからい願いたいと思います。
それから片一方の教護院の場合は、荒川の方でやつぱり現在十五人ばかりほうり出されるということで、大分心配して、あつちこつち相談にまわつているというようなことも聞いておりまするので、満十八才になつたから追い出すというように、機械的にやらないで、何とかうまくやる方法を考えていただきたい。このことをお願いしたいと思うのです。
もう一つお伺いしたいことは、これはもうすでにこの前御質問があつたそうでありまするが、今度の生活保護法の改正で、社会福祉事務所ですか、そういうものが設けられてない町村では、負担を負わなくてもいいかわりに、今度は一々県に持つて行かなければならないことになるというのでありまするが、そういう小さな町村、ことに地方でありますると、今でも生活保護を受けるのは、人のお情を受けるというので、近所からもあまりよく言われず、役場などでも、往々にしてそういう観念で事務を処理している例などもあるわけであります。そうすると、県になれば遠いし、しかも県にまでそういう自分の町や村の恥をさらけ出すのはいやだというようなことから、事務の運営が非常に滞りがちになつて、現在生活扶助を受けている者やなんかも困るのではないか。現に大分打切りの傾向が出て来ておるわけです。單に普通の生活扶助ばかりでなく、医療扶助や何かについても、打切りが相当出ているような状態でありまするので、今度の制度の改正によつて、さらにそういう傾向が助長されるのではないかということが、心配されるわけですけれども、その点いかがでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X02719510523/10
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011・木村忠二郎
○木村(忠)政府委員 保護を要しまする者が、保護を受けたいという希望がありまする場合に、今度の新しい考え方で行きますると、大体郡に一箇所ぐらいの福祉事務所において、この仕事を取扱うことになるわけであります。県庁まで行くのではないのでありまして、福祉事務所でこれは扱うことになるのであります。その福祉事務所で扱う場合に、申請は郵送できます。また、もしも町村の役場に参りますれば、町村の役場にその取次を頼むということもできるわけであります。それから、もし近所の人が見かねるといつたようなことがございますれば、電話ででも福祉事務所の方にこれを申し出すことができるわけであります。つまりどの方法によりましても、とにかく福祉事務所まで申し出ますれば、事務所からただちに人が行つて調査いたしまして、扶助するかどうかということを決定いたすのであります。大体郡に一箇所ということになりますれば、必要がありまする場合には、いつでも出て行くだけの人間を用意いたしてございます。従来は町村に一人しかいないので、たまたまその人がほかに出て行つたというようなことで全然行けない場合、たくさんの事務所がありますれば、急の場合にはすぐ行けるということになりまして、どちらかと申しますと、その方が民衆のためには便利である。また一方から考えますると、これはそういうことがあつてはならないのでございますけれども、従来町村が費用を負担いたしておりますと、町村の体面を汚すというよりも、むしろ町村税をそちらに使われているということによりまして、町村民の人がとやかく言うことが多いのであります。町村が負担いたさないということになりますれば、町村民から直接とやかく言われることが少くなりまして、そのために本人も気まずい思いをしなくて済むということになりまして、むしろ現状よりは、その点改善されるということが言い得ると思うのであります。
それからもう一つ、従来ですと町村役場で扶助したか扶助せぬかということがすぐわかることによりまして、そのために非常にはずかしい思いをするというようなことがあつたかもしれませんが、今度は町村から離れた所にありますし、しかもだれを扶助しているかということは、扶助関係者以外一切知らせないというのが原則であります。従つて本人が扶助を受けておりますためにはずかしい思いをするということは、従来より少くなりますので、そういう面から申しますると、新しい制度の方が、私たちといたしましては、むしろいいのじやないかと考えております。もちろんこれはやつてみないとわからないことでございますが、私たちはそういう考え方から、その方がよかろうと思つている次第であります。なお最近扶助の打切りを盛んにやつておるというお話でありますが、むしろ扶助の数は減つておらぬのでありまして、どちらかと申しますと、ふえつつあるのであります。打切られておると申しますが、これはいつでも相当数打切つております。というのは、扶助を受けておりましたものでも、扶助を要しなくなつたものが、すでに相当数あるのであります。これを打切りまして、そうして新しく扶助を要する者にやるということもあるのでありまして、扶助を打切るべからざるものを打切つておりますれば、それに対しては異議を申し立てる手續もできますし、打切る場合には、異議の申立てができるということを必ず言い伝えまして、扶助の打切りということをいたしております。この点につきましては、ひどいことは、そうたくさんないのであります。もちろんたくさんのことでございますから、中にはそういうことがないとも限らない。もしそういうことがありましたならば、具体的な事実に基いて適当に処理いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X02719510523/11
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012・今野武雄
○今野委員 もう少し具体的に申し上げますと、最近東京などで出ておる例でございますが、生活保護を受けておるけれども未亡人などで、子どもがいてなかなかやつて行けない。それでいろいろな失業対策事業に働きに行くということになると、今度片方は打切られる、こういうようなことで、非常に困つておる例があります。こういつた失業対策事業に女が出て行くというのは、よほどの場合で、そういうように子どもが多くて夫がいないとか、あるいは夫が病気であるというようなことが多いのであります。そういう場合に、ほとんど機械的に、こつちをやればそつちは打切られるというようなことが行われておる。こういうようなことで、いろいろ陳情を受けておるわけでございますけれども、そういうようなことが、はたして政府の建前であるかどうか、これをお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X02719510523/12
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013・木村忠二郎
○木村(忠)政府委員 生活保護を受けておりました者が、單に就職の道ができた、たとえば今の失業対策事業に出たといつたような場合におきまして、失業対策事業に出たからといつてただちに打切るということは、いたしておりません。いかなる收入のある者でありましても、たとえば、ある人が就職いたしておりまして、定期の收入を得ておりましても、家族が多くて最低基準の生活費よりも少い收入しかないという場合には、その差額を支給するようにいたしておりまする従いまして、失業対策事業等に出まして收入がありましても、その收入が、最低生活費の限度を越しておりまする場合にはこれを打切りますが、越さない場合に、これを打切ることはございません。その点につきましては、正確にそういうふうにいたしております。最近東京におきまして、相当打切つております例がございますのは、これは調査いたしました結果、扶助すべからざるものに扶助しておつたというものが、相当多数あるように発見いたしまして、それらの点につきましては、われわれの方におきまする監査の結果、明かになりましたものは打切らしておりますが、これらはどう見ましても、打切るべきものであるとわれわれも考えております。
なおこの点につきまして、一言つけ加えておかなければならぬことは、生活扶助の今の限度が低いか高いかという問題であります。現在の限度があまりに低いので、これではどうにもならぬではないかということは、また別の問題でございますが、一応打切る場合には、今の打切り限度を基礎にしているということを御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X02719510523/13
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014・今野武雄
○今野委員 低いという点につきましては、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X02719510523/14
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015・木村忠二郎
○木村(忠)政府委員 これも相対的の問題でありまして、絶対に生命を維持することができないというようなものではないのであります。現在の基準によりますれば、生きて行くことはできまするし、一応働くこともできるわけであります。従いまして、これが高いということは申しません、低いことは確かに低い。これは現在の財政の問題とかあらゆるものを考慮いたしましてこういうことになつております。われわれといたしましても、なおこの点につきまして、もう少し上げたいという希望は持つております。その希望に対しましては、現在の財政がこれを許さないという状況でありまして、財政状態の許す限り、できるだけこれは引上げたいと考えております。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X02719510523/15
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016・松永佛骨
○松永委員長 次に、日程を追加し、地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、検疫所の支所及び出張所の設置に関し承認を求めるの件を議題とし、審査に入ります。まず本件の趣旨の説明を平澤政務次官より聽取いたしたいと存じます。平澤政務次官。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X02719510523/16
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017・平澤長吉
○平澤政府委員 ただいま議題となりました検疫所の支所及び出張所の設置に関し承認を求めるの件について、提案の理由を説明いたします。
現在横須賀港の検疫は横浜検疫所、大阪港の検疫は神戸検疫所、羽田飛行場の検疫は東京検疫所、呉港の検疫は広島検疫所、関門港の若松区の検疫は門司検疫所、四日市港の検疫は名古屋検疫所においてそれぞれ分室的事務所を設けてこれを実施中でありますが、この事務所を、先般改正になりました厚生省設置法第二十條第三項の規定によります支所または出張所にいたしまして、業務の万全を期したいと存じますので、ここに地方自治法第百五十六條第四項の規定によりまして国会の承認を求めるため、これを提案いたした次第であります。
何とぞ愼重御審議の上、すみやかに承認されますようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X02719510523/17
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018・松永佛骨
○松永委員長 本案に対する質疑は、先般の検疫法案においてすでに終了いたしておると存じますので、本承認を求めるの件に対して、質疑を終局するに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X02719510523/18
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019・松永佛骨
○松永委員長 御異議なければ、本件の質疑は終局したものと認めます。
引續き討論に入るのでございますが、本件の討論につきましては、別に通告もございませんので、これを省略し、ただちに採決したいと存じますガ、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X02719510523/19
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020・松永佛骨
○松永委員長 御異議なしと認め、討論を省略し、地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、検疫所の支所及び出張所の設置に関し承認を求めるの件の採決をいたします。本件を承認すべきものと決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X02719510523/20
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021・松永佛骨
○松永委員長 御異議なしと認め、本件は承認すべきものと議決されました。
なお本件の議長に提出する報告書作成に関しましては、先例により委員長に御一任願いたいと存じますから、さよう御了承を願います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X02719510523/21
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022・松永佛骨
○松永委員長 先ほどに引續きまして兒童福祉法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を續行いたしたいと存じます。松谷君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X02719510523/22
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023・松谷天光光
○松谷委員 兒童福祉法の一部を改正する法律案について、財政問題は明日の委員会でさせていただきまして、きようは高田局長に、簡單なことでございますから、伺つておきたいと思います。改正案の十八條の三にも加えられましたように、保健所が特に身体に障害のある兒童の療育についても指導するように、法文化されることになつて参りましたが、従来身体障害兒童の中にも、精神薄弱兒とか、あるいは盲聾唖兒童については、相当当局がいろいろ調査をお進めであり、また文部当局との御連絡の上にも、満足とまでは行かないまでも、相当の効果を改めつある段階だと考えるのでございます。特に肢体不自由兒童についての当局での御関心が、どうもまた完全——完全と申しますより、ほとんどないに近いような状態より、今まで拝見することができなかつたのは、たいへん残念だと思いますが、現在こうした法文化も見られる段階になりまして、肢体不自由兒童について、当局がもし対策を具体的にお持ちでございますれば、それを伺わせていただきたいと思います。また突然御質問申し上げましたので、いろいろの資料などをきようお持ちではないと思いますので、できますならば、具体的ないろいろな資料を御当局で調査いただいた数なども、後日できるだけ早い機会に提出していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X02719510523/23
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024・高田正巳
○高田政府委員 お話のように、肢体不自由兒の対策が非常に遅れておりましたことは、事実でございます。ことにアメリカ等では、この面が非常に進んでおりますのですが、日本においてそれが遅れておりましたことは、事実であります。そして本年度の予算におきましても、この面に一つの重点を置きまして、私ども予算を折衝いたしたわけであります。また今回の法律の改正におきましても、二十一條の二、二十一條の三というふうな改正をいたしまして、肢体不自由兒対策を取進めたい、こういうふうに考えておるわけでございます。予算のことを申し上げましたが、本年度まず肢体不自由兒を收容する施設を持ちたいと存じまして、国費でもつて約二千万円ほどかけまして、昔からございましたのですが、戰災によつて燒けて、今日見る影もなくなつておりまする整肢療護園というものを復活をいたしまして、これを肢体不自由兒施設の中心施設として持ちたいと存じております。なお地方にもぽつぽつ肢体不自由兒施設の都道府県立ができて参つておるのでありますが、本年度におきましても、地方にもさようなものをつくつて参りたいと存じております。それから予算の面におきましては、この改正案の二十一條の三というようなものについての裏づけの予算も、本年度から計上されることに相なつております。従いまして、従来よりこの面の仕事に、本年度から十分力を入れて参りたいと存じております。なお御要求の資料等につきましては、後日お手元まで差上げたいと存じます。さよう御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X02719510523/24
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025・松谷天光光
○松谷委員 ただいまの御説明の中で、大体現在御当局が考えておられることがわかつたのでございますが、その場合に、当局が現在お考えになつておられるそうした療護園でございますとか、あるいはそういう重要施設の主眼は、やはり治療という面に重点をお置きになるのでございましようか。あるいはそこのところを、これは文部省の関係にも入るかと思うのでございますが、文部当局と相当御連絡の上で、やはり肢体不自由者は、ただ治療というだけでなくて、一種の特別な教育が必要だと思うのでございます。そういう点で、療護園あるいは收容所においては、そういう教育の面にまで進めて行こうとするお考えがおありになるかどうか、その点を伺つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X02719510523/25
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026・高田正巳
○高田政府委員 肢体不自由兒施設は、医療を重点といたしますことはもちろんでございますが、それだけでは御指摘のように成り立ち得ません。医療と生活補導と、職業指導と申しますか職業補導と申しますか、そういうようなものが三位一体になつて運営さるべきであると考えております。従いまして、さようなものを私どもは考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X02719510523/26
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027・松谷天光光
○松谷委員 その点了承いたしました。
次に、先ほどお願いいたしました調査その他について資料をお出しいただきたいのでございますが、今その実数について、すでに御調査になつたかどうか、それだけ伺わせていただいて、具体的な数字はあとでお示しをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X02719510523/27
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028・高田正巳
○高田政府委員 昨年度に要保護指導の調査をいたしました際に、肢体不自由兒につきましても、一応の資料を持つております。正確なことは、後ほど資料について申し上げたいと存じますが、私の記憶では六万であつたか八万であつたか、という数字が出ております。ただ肢体不自由兒の実数というものは、私はその統計資料に出ましたものよりも、多いのじやなかろうか。と申しますのは、御承知のように、これはあまり外に出したがらないというあれがございますので、実際の数は、もう少し多いのじやないかと考えております。と申しますのは、これを大人と子供と一緒にやつているわけでございますが、巡回指導等をいたしますと、肢体不自由兒の相当の数がこれに喜んで参加する、さような事柄から申しましても、もう少し多いのじやないかという考えであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X02719510523/28
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029・松永佛骨
○松永委員長 よろしゆうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X02719510523/29
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030・松谷天光光
○松谷委員 他の財政的な質問は明日に……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X02719510523/30
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031・松永佛骨
○松永委員長 次会は明日午前十時より開会することとし、本日はこれをもつて散会をいたします。
午後三時八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X02719510523/31
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