1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十六年二月二十四日(土曜日)
午前十時五十八分開議
出席委員
委員長 冨永格五郎君
理事 鈴木 善幸君 理事 二階堂 進君
理事 林 好次君
石原 圓吉君 小高 熹郎君
川端 佳夫君 川村善八郎君
田口長治郎君 永田 節君
平井 義一君 小松 勇次君
井之口政雄君
出席政府委員
外務事務官
(條約局長) 西村 熊雄君
水産庁長官 家坂 孝平君
委員外の出席者
議 員 玉置 信一君
参 考 人
(日本遠洋底曳
網漁業協会專務
理事) 田中 道知君
專 門 員 杉浦 保吉君
專 門 員 徳久 三種君
参議院水産委員
会專門員 岡 尊信君
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本日の会議に付した事件
参考人招致に関する件
水産業協同組合法等の一部を改正する法律案
(参議院提出、参法第一号)
漁業経営安定に関する件
水産資源に関する件
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001・冨永格五郎
○冨永委員長 これより水産委員会を開きます。
この場合緊急質問があります。これを許します。田口委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004562X01419510224/1
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002・田口長治郎
○田口委員 私は東支那海における以西底びき網及びトロール漁船が、中共政権によりまして多数拿捕されておる問題につきまして、水産庁長官に質問をいたしたいと思うのであります。
従来この中共、朝鮮その他から東支那海に操業しておりますところの漁船が、拿捕されましたことは枚挙にいとまないのであります。数字的に申しますと、今日まで拿捕されておるものが七十六隻、なお今日帰つて来ない漁船が五十三隻、こういうような多数に上つておるのでございますが、昨年の十二月以来またこの問題が盛んに起りまして、十二月以来今日まで、拿捕されておる漁船だけで十三隻を数えておるのであります。東支那海は、御承知の通り九州と大陸の間にマツカーサー・ラインがありまして、日本の漁船はこのライン内で操業をしておる次第でございます。このライン内で操業しておる漁船を、しかも今回は非常な計画的方法をもちまして、拿捕しつつあるのであります。帰つて参りました漁民の話を聞きますと、非常に快速でありますところのアメリカ式のきんちやく網漁船、これが大体百トンないし百二十トン程度の船でございますが、この船を数隻、日本の漁船が操業しておる周囲に、遠まわしにいたしまして、そうして、小銃だとかあるいは機関銃を発砲する、どうかいたしますと小口径砲までも発砲して、威嚇をもつて船を停船せしめまして、そうして武装したところの兵士を日本漁船に乗り込ませる、そうして上海の沖にありますところの花鳥山に船をひつぱつて行つておる。こういうような方法で、まつたくわれわれから考えますと計画的の拿捕行為を行つておるのであります。そうして、上海にその船を連れて行きまして、漁民だけは別に古い船を一そう與えまして、日本に帰しておる。そうして帰す際におきましては、大いに注意をしなければならぬような状態があるように考えるのであります、たとえば漁業者に対しましては、非常に恩惠を売る。共産主義を吹き込んで、君らにはこの船を與えるから、この船を資本家こやつてはいけない、君ら全体の財産として保全をしろ、こういうようなことで老朽の木造船を渡して、それで日本に漁夫だけは帰しておる。こういうような実情で、そういう方法で昨年の十二月以来拿捕された船が十三隻ある。御承知の通り、この東支那海は日本の食糧供給地として非常に重要な場所でございます。ここに日本の漁船が、今日まで多数の者が安心をして操業をしておつたものが、かくのごとく計画的の拿捕、こういうような状態になりますと、おそらく従業員は安心して仕事ができない。非常な不安を持つて、出漁するかしないか、こういうようなことに現在迷うておるような状態であります。われわれの常識から申しますと、たとい日本の漁船がマツカーサー・ラインの外にありましても、連合国外の政府から拿捕されるというりくつは、どうしても考えられないのであります。国際法によりますと、領海内に侵入した場合におきましては、これは当然中共政権から拿捕されることがありますけれども、領海外の公海におきまして、連合国以外の国からかつてに拿捕される、こういうようなことは、われわれの常識としては、とうてい判断がつかないのでございます。こういう点から申しまして今回の拿捕にいたしましても、ほとんど国際法を無視しました、まつたくむちやくちやのことと考えるのでございます。こういう状態でありますれば、この海洋の秩序というようなことは、絶対に保たれませんし、また安心して漁業はできない、こういうように考えるのでございます。この状態は、おそらくこのやり方から考えまして、なお継続するのではないか、こういうふうに考えられまして、そのことからこの東支那海の漁業に対して、ほんとうの不安状態をかもして来る、漁業者からいいますと、もう出漁しない、こういうような状態になると考えるのでございますが、かくのごとき状態に置いておりますことは、これは日本の食糧政策から非常に重大問題でありますが、当局といたしましては、この現状に対しまして、どういう対策を現在とられつつありますか、その点をはつきりとお伺いいたしまして、そうして多少でも漁業者に安心して従業させる、こういうようなことにしたいと思うのでありますが、国民が安心するような対策を今お考えになつておりますれば、この際明確にしていただきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004562X01419510224/2
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003・家坂孝平
○家坂政府委員 以西底びき漁業が中共側の不法なる拿捕事件を昨年末以来しばしば起しておることにつきましては、私ども非常に遺憾に思つておるのであります。すでに昨年末以来十三隻に上つておる情報を入手しておるのでありますが、これに対処いたしましては、事件が起るたびに、私どもの方からは司令部にも逐一御報告をし、なお外務省、保安庁にも連絡をとりまして、その善処方を要望して参つておつたのであります。しかしあまりにしばしば起きますので、実は昨日NRSの水産部長にあてまして、その善処方を要望する文書を出し、なお私からも逐一詳細なる報告をまとめておりまして、何とか方法を講じてもらいたいということを、実はお願いして参つたわけであります。これは方法といたしましては、目下私どもが備えております取締船だけでは、なかなかその力において完璧を期するわけには行かぬのでありまして、この点はなはだ残念に思つておるのでありますが、何とか司令部からその保護をしていただきたいということを、具体的に目下要請をしておるのであります。それで司今部といたしましても、事件の重大さを考えられまして、この問題に対してよく考えてみる、こういう話を実はきのう得て参つたのでありまするが、まだその具体的な方法につきましては、私どもの方に何らのお話がないような状態であります。
それからなおこの被害をこうむりました事業者には、何とは経済的な保護をすべきことが必要であろうと考えまして、漁船保險の面から特別な何か措置を講じたい、かように考えまして、目下いろいろの法案の改正を取進め中であります。かようにいたしまして、司令部側から何らかの具体的な保護を求めるとともに、また不幸にしてこの被害を受けた事業者に対しましては、保險の角度から幾らかでもその損害を填補してやりたい。かように考えまして目下措置を急いでおる状態であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004562X01419510224/3
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004・冨永格五郎
○冨永委員長 條約局長は急いでお帰りにならなければならないそうですから、條約局長の分をひとまずしまして、それからもう一ぺん今の問題を取上げます。
この場合委員長より関係当局にお尋ねいたします。まず外務省当局にお聞きいたしましすが、政府は最近において、司令部を通じて国際捕鯨委員会から、対日講和條約締結前に、捕鯨取締りに関する国際條約に加入することについて、好意的なる申入れを受けたように仄聞しますし、去る二十日の閣議においては、国際捕鯨取締條約に加入する方針を決定しているから、当然本條約加入についての諸般の準備を進めておらなければならないと存じますが、この点について御説明を願います。西村條約局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004562X01419510224/4
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005・西村熊雄
○西村(熊)政府委員 今般総司令部の御好意あるあつせんの結果、日本政府が、一九四六年に締結されておりまする国際捕鯨取締條約に正式加入の手続をとることを許可されることになりました。それで二十日の閣議に、條約の加入でございますから、国会の承認を必要といたしますので、国会に承認手続をとるように、閣議の御決定を得まして、国会に提出されるのを待つておる次第でございます。いずれ来週早々には国会に御提出になるということを、昨日の夕方内閣から拝聽いたしました。いずれ国会に御提出になりますれば、外務委員会なり、当委員会なりに出席いたしまして、政府当局として加入手続をとるに至りました経緯、條約の内容等について、詳細説明申し上げる機会があることと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004562X01419510224/5
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006・冨永格五郎
○冨永委員長 次に水産庁長官にお尋ねいたしますが、鯨族という大きな天然資源を、将来の世代のために保護することが、世界各国の利益であるという根本理念はしごくもつともなことであり、過去においてわが国がかかる條約に加入いたしていなかつたことこそ、むしろふしぎであると思われます。つきましては、わが国政府においても、可及的すみやかに本條約に加入して、国際的地位を得、現在加入している他の諸国とともに、来る七月ケープタウンにおいて開かれる予定の捕鯨委員会には、ぜひとも委員の一人として出席できるようにすべきであると考えますが、この点について御答弁願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004562X01419510224/6
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007・家坂孝平
○家坂政府委員 今まで日本といたしましては、この捕鯨取締條約に参加しておらなかつたのでありまするが、事実南氷洋その他の水域におきまして鯨族を捕獲しておりますことにつきましては、世界のどの国にも負けないだけの力を持つておつたのであります。それでこの捕鯨取締條約が世界の鯨族の保護、保存をモツトーといたしまして成り立つておる以上、今度私どもが世界の一員といたしまし、水産の立場から十分責任を持つて、この條約の精神に基きまして、捕鯨を操業し得るということは、非常に喜ばしいことと考えておるのであります。ぜひ加入いたしまして、加入したる以上は、十分にこの條約の精神に基きまして、日本の捕鯨業というものを発展させて行きたい、かように考えておるのであります。また今年七月には、捕鯨委員会がケープタウンにおいて開かれるということでありますが、それにはぜひ日本からも正式なる委員が派遣せられまして、十分日本の捕鯨業のために有利な條件を持ち出しまして、斯業の発展のために資することが必要であろうと私は考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004562X01419510224/7
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008・冨永格五郎
○冨永委員長 西村局長が公務でお急ぎのようでございますが、何か御質問があればお許しいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004562X01419510224/8
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009・二階堂進
○二階堂委員 この捕鯨取締條約加入の問題は、いずれ閣議にかけられて決定を見た上で委員会にかけられることになると思うのでありますが、この問題は、水産委員会といたしましても大きな問題として取上げなければならぬ問題でありますので、委員長におかれては、これはたしか外務委員会の方と考えますが、連合審査をされる手続を、今からしていただきたいということを要望しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004562X01419510224/9
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010・石原圓吉
○石原(圓)委員 日本は加入いたしておりませんけれども、今日までの諸外国の捕鯨に関する條約の條文の内容と申しまするか、條約の骨子になつておるところはどういう点でありますか。一応條約局長より、大体の荒筋だけを御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004562X01419510224/10
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011・西村熊雄
○西村(熊)政府委員 もちろん資料もございますし、御説明申し上げる用意も十分にございますか、近々国会に付議されて、委員各位の前に御説明する機会があると存じますので、今日申し上げるのはどうかと思いますので、ごかんべん願いたいと存じます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004562X01419510224/11
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012・冨永格五郎
○冨永委員長 次に漁業経営安定に関する件を議題といたします。
先ほど田口委員の緊急質問に関連して、特に以西底びき網漁船の東支那海における拿捕問題につきまして、日本遠洋底曳網漁業協会理事田中道知君が見えておられますので、同君を参考人として、本問題について御意見を承ることにいたしたいと思うのでありますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004562X01419510224/12
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013・冨永格五郎
○冨永委員長 御異議なきものと認めまして、田中道知君を参考人として御意見を承ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004562X01419510224/13
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014・田中道知
○田中参考人 私は以西底びき網漁業者をもつて組織する日本遠洋底曳網漁業協会の専務理事田中道知であります。今日は以西底びき網漁船の拿捕問題について、本委員会に陳情申し上げる機会を與えられたことを深く感謝いたしますと同時に、日ごろ皆さん方におかれましては、われわれ漁業者の問題を取上げて、日本の漁業政策樹立に万全を期せられておることに対しましては、心より敬意と感謝を捧げてやまないものでございます。
先ほど田口先生よりいろいろ申されましたので、重複するかと思います。すでに新聞紙にも出ておりますので御承知のことと思いますが、去る十二月七日、以西底びき網漁船第十雲仙丸が中共政権に拿捕せられて以来、十二月二十九日に四そう、二月十三日に一そう、二月十七日五そう、二月十八日二そう、計十三そう、他にまたこの二十二日に二そうが危險にさらされておるとの報に接しております。その他砲撃をされたもの、また網を切断して逃げたもの等々、東支那海公海はまつたく修羅のちまたと化の、戰場の観を呈しておるのでございます。幸いに最初拿捕されました五そうの船員五十四名は、一月の二十四日博多港に送還せられましたので、関係者一同は愁眉を開いた次第でございますが、これが船員の宣誓口述によりますと、中共におきましては船舶の必要に追られて、日本漁船の捕獲に大わらわでございまして、その襲撃方法は、先ほど田口先生から申し上げたような状況でございます。拿捕にあたりましては、陸上の無線局から無線電波探知機等によりまして、日本の船舶の方位を探知し、また最初日本船舶から没収いたしましたところの無線符号表を運用いたしまして、日本船舶の位置を察知して、ただちにこれを襲撃するというような状態であります。特に拿捕地点がマ・ラインを無視しておるということでありまして、拿捕せられんとする一船長か向うの海軍の士官に向いまして、われわれは断じて線内であるということを申し上げたところが、いやマ・ラインは、あれはマ元帥と蒋介石との間にきめた線であるがゆえに、われわれ新中国は知るところでない。文字通り東支那海は中国の領海であると称し、将来はどしどし拿捕するからということを申しておるのでございます。かかる観念のもとに拿捕を続けられるにおかれましては、以西底びき漁船は一そうもなくなるのみならず、これがまたどこまで響いて来るかということは、まことに寒心にたえないものがあるのでございます。また彼らは、乘組員に対しましては非常に好意的でありまして、共産主義の宣伝をいたしまして、また中国にとどまつて働けとまで勧誘いたしておりますのに反しまして、資本家に対してはいろいろなる誹謗をいたし、船は特に資本家のものであるがゆえに返してはならぬというようなことを申しておるとのことでございます。かくて拿捕せられました漁船は、あすはこれがまた拿捕する船に相なりまして、あるいはまたおとりともなりて活躍するにおきましては、危險はますます増大いたしまして、狹くはばまれました東支那海を唯一の漁場とします以西底びき綱漁船は、右往左往するところさえもなく、壊滅を待つよりほかはないのであります。戰後食糧増産という国家の要請にこたえまして、なけなしの自己資金と貴重なる復金、興銀の国家資金の融通によりまして、雄々しくも立ち上つた、以西底びき網船主も、今日の状態に立ち至りますと、まつたくぼう然自失の形でございます。とりわけこれに従事いたしておりまする一万二千の船員は、戰時と同様砲煙彈雨に生命の危險をさらしてうき目を見ておるのが現実でございます。といつて他に転出の道を持たず、これを天職とする彼ら乘組員こそ、敗戰国民とはいいながら実に哀れな状態であります。すでに胸間に貫通銃創を受けまして、病院に呻吟しておる船員は、何とか政府でしてくださいと悲痛な叫びを上げております。これら哀れなる者を救うことこそ、真の済世救民の道ではなかろうかと存ずるのでございます。私どもも政府の力におたよりすると同時に、でき得る限りわれわれ自分たちでも一丸となつて、せめて一片の共済の方法なりと講じたいと存ずるのでございます。しかし終戰以来漁場の制限、漁船の減船整理、その他打続く経済不振にたたられて弱り果てた業界は、自身に余す力もないのであります。いわんや積極的な拿捕の対策については、集まれるはつかねずみであり、あの大きな赤いねこに対しては、鈴をつけるすべはないのであります。どうぞ皆さんにおかれましては、この見地を御賢察賜わりまして、適当なる御考慮をいただきたいことをお願いする次第であります。われわれは皆さん方の御施策に対しては、満腔の信頼をもつて期待しておるのでありまするが、少くとも次の諸事項につきましては、ぜひとも早急にお手当を願いたいと存ずるのであります。すなわちわれわれは武装をしておりませんので、逃げ歩くより方法はないのであります。従つて保護のために快速哨戒船を要所に配置いたしまして、中共船の行動を察知哨戒の任に当つていただきたいと思うのであります。
次に日本漁船は、あの狹いマライン以内にとじ込められておりますし、なおその漁期には、その狹い中の一部分に蝟集するということで、従つて拿捕もきわめて容易にされるに状態にありますので、ここマ・ラインを撤廃いたしまして広い区域で漁獲をさせていただくならば、この拿捕もまた少くなるのではなかろうかと思います。と同時に、中国におきましては、あのラインの関係上自分の領海の感を持つておりますので、これを何らかの形式によつて、支那海は支那領海ではないという宣明をしていただきたいと思うのであります。
最後に拿捕されました未帰還の船につきましては、これが返りますよう、特段のおとりはからいを願いたいと思うのであります。
以上貴重なる時間を拜借いたしましてお耳を汚し恐縮に存じますが、何とぞわれわれの苦衷を、そうして実際悲境を御同情賜わりまして、格段の御配慮をお願いする次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004562X01419510224/14
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015・冨永格五郎
○冨永委員長 参考人に対する御質問があればお許しいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004562X01419510224/15
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016・井之口政雄
○井之口委員 ちよつと御質問申し上げます。十二月以降は今日の中国の人民共和国の方から逮捕されたのが約十三そうというただいまのお話でありましたが、それ以前に、蒋介石がなお中国の政権にとどまつていた時分にも三十一隻、韓国李承晩政府によるもの二十二隻というような、従来逮捕された実例もあるじやなかろうかと思います。この辺がはつきりわかりませんが、しかもいまだにそれが返つて来ていないものがおたくの方からの陳情書によりまするとなお四十隻にも達している。今度の場合起つているのはまだ十二隻であるが、それ以前に起つておりまするのは六十三隻、かつ返らないものさえも四十隻といような御報告になつてるいようでありますが、これは一体先の国府軍並びに韓国の李承晩政府によつて逮捕されていたところのものは、どういう原因によつこの逮捕になつたのか。それからそれがどうして返してもらえないのか。またそれに対しておたくの方で、どういうふうな見解をもつてどういうふうな請願、陳情などなされていらつしやつたのでしようか、ちよつとこの点もお伺いしてみたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004562X01419510224/16
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017・田中道知
○田中参考人 ただいま御質問があつたのでありまするが、われわれは断じて線外で拿捕されたことはないのであります。これが不法拿捕につきましては、政府当局を通じまして、いろいろ御折衝を願つておるのでありますが、帰つて来たものもありますが、帰つて来ないものにつきましては、その事情は一切不明でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004562X01419510224/17
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018・冨永格五郎
○冨永委員長 この問題は重要でありますので、なお愼重に調査いたす必要があると思います。次回の本委員会におきまして、参考人の御出席を求めまして、御意見を承ることにいたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004562X01419510224/18
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019・冨永格五郎
○冨永委員長 御異議なしと認めまして、参考人より御意見を承ることいたします。なお人員及び人選につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004562X01419510224/19
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020・冨永格五郎
○冨永委員長 御異議なしと認めまして、さようとりはからいます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004562X01419510224/20
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021・冨永格五郎
○冨永委員長 この場合玉置議員より、委員外発言を求められておりますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004562X01419510224/21
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022・冨永格五郎
○冨永委員長 異議なしと認めまして、発言を許します。玉置君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004562X01419510224/22
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023・玉置信一
○玉置信一君 貴重な時間をさいて委員外の発言をお許しいただきましたことを、委員長初め委員各位に感謝の意を表する次第であります。
実は二月一日一だつたと思いますが、同僚松田代議士が小手繰り問題に関連いたしまして、不肖私の名前を引合いに発言されておる問題について、一身上の弁明を行い、なおこれに関しては当局の所見も伺つておきたいと思います。松田君の発言の内容は、速記によりますと、次のように申しておるのであります。「玉岡代航士が、小手繰り転換を二年間そのまま継続する場合においては、次の二年後においてこれを消滅することを当初の案に盛つておつたものを、二年後においてまた大手繰りに転換し得るのだという議論を後に選挙区において述べたがために、そうした言葉の行き違いから、ここに相当数の許可を整備委員会に提出することのでき得なかつたものも出て参つたことを、かねがね調査に行つて発見したのであつて、これを水産庁に向つて、当初からさような意味合ではなく、要するに小手繰りを全面的に転換することがあらゆる資源維持のためにもなることであり、当初の水産庁の目的に合致することであるがゆえに、かかるものに対して、ただちに、許可を與えて転換をさすべきであるという議論を具申したところ、長官においてはこれに対しては適当であるというお考えを持たれたようであつたのでありまするが、その後において一向にこの問題が進捗していないのでありまして、この点に対する長官の御意見はどのようになつておるのか。あなたは政策をもつてこの水産行政に臨んでおる者であり、部誤長と立場の違うことを私どもは先ほどの言明によつてはつきりと認識し、また裏づけられておるものでありまして、あなたのお考えがどのようなことになつておるのか、この点を承りたいと思います。」云々。以上のほかにたくさんありますが、まず要点だけ申し上げて、私の弁明をさせていただきたいと思うのであります。
そもそもこの問題の起りは、一昨年飯山長官時代に取上げられたことでありまして、第一回の北海道に対する手繰り問題は、八十五艘を北海道に内地から入会するということでありまして、その次にまた水産庁においては、北海道の小手繰りを整理すべであるというころから、北海道に百五十艘を許すということで、この小手繰り問題を処理するにあたりまして、日にちは忘れましたが、水産庁に山本次長、松任谷部長、十川部長もおられたと思いますが、増田技官その他の係官が集合いたし、主として北海道の問題であるから、北海道選出の水産関係代議士に集まつてくれということで、ここにおられます冨永委員長初め川村代議士、松田代議士、林代議士、不肖私が集まつて、この小手繰り問題を討議するにあたりまして、たまたま私の管内の離島——内地の方はよく御存じありますまいが、今日の領土の北端、しかもマツカーサー・ラインが島の一部にかかつておりますあの北端にある利尻島の鴛泊村の小手繰り業者は、当時こぞつてこの大型転換に反対したのである。そこで私も当初から、内地の大型漁船を多く入れるということについては全面的に反対をいたした一人であります。と申しますことに、浩岸零細漁民の面に及ぼす影響はきわめて大きいという北海道零細漁民の反対の声、ひいては道の一体となつた道民の声等を参酌いたしまして、ともあれこの鴛泊村は特殊地帶であるから、何とかこの点については考慮を拂つてもらいたいということを申し上げたのであります。そこで時間が長くなりますから、要点だけを拾つて申し上げますと、小手繰りを全面的に転換させる、させないという話合いを進めるために、水産庁の会議の席上、噴火湾とは多少異なつておるのでありますが、この離島をどうか特殊地帶として、鴛泊村の十一、二隻ある許可小手繰りの転換はしばらく猶予してもらいたいという申入れをしたのであります。ところが、これに対して他の先輩同僚議員諸君は、転換するのにあすこを特別に取扱うということはめんどうだから、この場合一緒にやつたらどうかということでありました。私は強硬に同僚諸君にもお願いいたしまして、それでは三箇年間猶予をして、三箇年後に小手繰りりを転換させる。三箇年後において転換できないものは、それで権利を喪失するということの協定をするように懇請いたしたのでございます。それが他の方々の話合いで何とか妥協がつかないかということになつたのでありますが、たまたまそのとき同僚である松田議員と私の間においては、不本意ながらも非常な議論を闘わしたのでありましたが、三年ということはひどいから、ひとつ二年に協定したらどうかということで二年にして、但し二箇年延期するものは八月三十一日までに、しこうして期限後には大型に転換するということを、あるいはしないということの申出を、書面によつて出すということの協定が成立したのであります。そこで私は業者の代表が押しかけておりましたので、すぐにこの協定になつたことを伝えたのでございます。またさらに水産当局には、この協定を実行するよう要請いたしたのでございます。ところがたまたま昨年の五月でありましたか、参議院の選挙の際に、私が現地に参りました際、鴛泊の小手繰り代表著から、実は二箇年間猶予してもらうという協定になつたはずのものが、宗谷支庁管内の水産係の技官から、八月三十一日までに転換しなければ、もう大型に転換することはできないという指導を受けた。東京でお話合い願つたことが実行されないので困つておる。道庁当局の意向はどうかひとつ確かめ、さらにあなたが東京において話されたことであるから、水産庁の意向も確かめてもらいたいということでありました。そこで私は帰りに北海道庁へ参りまして、水産部長と漁政課長に会わんとしたのでありますが、水産部長は外出して不在でありました。小松漁政課長に、この次第を話しましたところが、ああそうでありましたか、それでは宗谷支庁に指導のやり直しをいたしましようということで、その足で、私はたしか臨時国会のために上京するときであつたと思いますが、さつそく水産庁へ参りまして、このことを重ねて増田技官に申し上げたのでございます。増田技官もそうでありましたなということでありました。そこで水産委員会が始まつておりましたので、日にちは忘れましたが、水産委員会に参りまして、重ねて私は山本次長にこの旨を申し上げたのでありました。ところがたまたま松田代議士から、それは違う、要綱が出たのであるから、そういうばかな話はないじやないか……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004562X01419510224/23
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024・冨永格五郎
○冨永委員長 玉置さんにお話いたしますが、きようは松田委員も欠席せられておりますが、いかがでしよう、実は法案も上程されておりますが、松田委員が来られたとき、もう一回御出席をしていただくことにして……(「結論を早く出しもらつて」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004562X01419510224/24
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025・玉置信一
○玉置信一君 そうして川村代議士からも要綱が出たのだ、要綱通りやるのがほんとうだ、それは君の感違いだろうという注意があつたのでありますが、それは要綱が出たことにより、一般的には要綱によつてやることは当然のことであるが、話合いはかくの通りでありまして、私の言つていることは、決してうそでない、現地において二年後には大型に転換されるというておるのではなくてそういういきさつのもとに、協約したことが実行されないというために、かかる問題が生しておるのでありますして、その点について私ははなはだ遺憾に思いましたが、当時山本次長に話しましたところが、山本次長は私に言つた約束もありますが、ここは公開の席でありますから申し上げません。それから増田技官も当日肯定されたことでありましたので、幸いにここへ増田技官を呼べという川村代議士のお話でありまして、この委員会の席に呼んで確かめましたところが、どうも話があいまいで、要綱というものが出た以上やむを得ないというようなことで、結局公式論においては、協定はたな上げされて、私の理論が負けた形になつたのである。しかしあくまでも紳士協約をしたものであるから、私は重ねて水産庁に参りまして山本次長及び増田技官に対して、私はうそを言つていない、約束は必ずやつたはずだ、協定したはずだ、しかも協定通りに行うというならば、これは何をか言わんやであると言いましたところが、いろいろとその間に含みのある話をされたのでございます。これはまたの機会に詳細を述べることにいたしまして、そうした結果、二年後という話が出たのでありましようが、私はちようど川村代講士からも、かつて八十五そうを入会させるときに、飯山長官との間にあつせんをしていただいたこと、これはまた石原前委員長及び鈴木小委員長が当時現地に行つて、いろいろと陳情を聞かれた問題でありますので、これもきようは申し上げませんが、そうした事情等も勘案いたし、われわれは少くとも水産委員会、ことに北海道選出の代議士間にそうしたいきさつのために争いをする醜を天下にさらすことは愼むべきであると思つて、あまり強硬な話もいたしませんでした。今度の場合においても、私はこういうことを申し上げたくないのであります。しかるに同僚であり、ことにわが党の同士である松田君がしかも、地元北海道のことであるのに、遺憾ながら松田君によつて話をされ、公開された問題でありまするがゆえに、あえて一身上の弁明をする立場から、公開の席で申し上げるわけでありますので、この点も特に私は御了解を得て、單なる感情論で私は申し上げるような、さようなスケールの小さい男でもないのでありますが、ただ事態が、一般的に二箇年後でも大型に転換できるといつたことく誤解され、漁民に対して與える影響の大きいことを思いまして、この点を申し上げた次第であります。松田代議士が申しておりまする多くの発言の中にありまするこれらの中に離島の小型漁船を、今からでも転換するように当局に追つておりまするこの点は私も同感であります。私は先ほど申しましたように、皆さんの御注意もあり、水産庁が関係筋から資源維持その他から小手繰り転換を示唆されておるからと言われ、また私の約束に対して非常に困つて、いろいろ含みのある話もされたので、それらの点を察知いたしまして、七月の十八日に実は現地の業者に転換を勧告いたしております。これも時間がありませんから読み上げることをやめますが、そういう実情でありまして、当時から私はすでに、転換を奨励し、勧告いたしておつた。でありますから、こういう実情を特に委員各位に御了承を願い、特に水産庁におかれましては、この現地の実情を御認識願いまして、松田代議士よりこれからでもやるというならば、さらに私は全面的に小手繰りをなくし、ほんとうに資源の維持のために、また漁民が安心して生業にいそしめるように、当局においてこの残りの小手繰りの転換を許すということにしてくれるならば、欣然として私は業者を転換せしむるように努力をいたす決心であります。はなはだ簡單で私は残念であるが、またの機会にさらに申し上げるといたしまして、本日はこの程度にとどめまして、長官のこれに対する御所見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004562X01419510224/25
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026・家坂孝平
○家坂政府委員 小手繰りの問題は、大分歴史が長いのでありまして、実は私就任いたします前からも、いろいろ論議されておつたのであります。そこで私どもといたしましては、去年出しました要綱によりまして、それを基礎にして実施して参つておるのでありまして、あの精神をどこまでもくみとりながら実施して参つておるわけであります。今後もそのつもりでやりたいと思つております。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004562X01419510224/26
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027・冨永格五郎
○冨永委員長 次に水産業協同組合法等の一部を改正する法律案を議題として審議を進めます。前回の委員会におきまして、提出者より提案理由の説明を聽取いたしたのでありますが、本日は詳細な内容につきまして御説明を願います。
この際委員の皆様にお諮りいたしますが、内容の説明につきまして、参議院水産委員会專門長岡尊信君より発言を求められておりますが、これを許すに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004562X01419510224/27
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028・冨永格五郎
○冨永委員長 御異議ないものと認めまして、発言を許します。岡專門員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004562X01419510224/28
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029・岡尊信
○岡参議院水産專門員 ただいま議題になつておりまする、水産業協同組合法等の一部を改正する法律案の内容及び理由を御説明申し上げたいと思います。
この法律は、御承知の通り前国会におきまして、水産業協同組合法等の一部を改正する法律が可決されまして、同法中第六章の二というものを一つ加えまして、すなわち水産業協同組合の共済会というものの條文を、百條の二ないし百條の十一までを入れたのであります。これを実施いたしましたところ、非常に不便を感ずる点がありますのと、もう一つは整理をする点がありますのと、二つの関係上、この法律をさらに改正をしたいという提案であります。すなわち第一は、現行法は水産業協同組合共済会の理事の、少くとも四分の三は「会員たる水産業協同組合を直接又は間接に構成する個人」、すなわち正会員でなければならないということになつておりまするが、このほかに会員であるところの水産業協同組合の理事たるものをも加えるということに改正をするということであります。すなわち、共済会は主として水産業協同組合が会員となつて構成されておる団体でありますから、その理事につきましても前記の地位を認めることが適当であり、またこれによつて共済会の運営を円滑にするということになるのであります。御承知の通り、会員でありまする各府県の県水産業協同組合の連合会、あるいは單位組合の理事の中には、多くは員外の理事というようなきのが入つておる関係上、これを入れまして員外の理事でも共済会の理事にはなれるというように改正したいのであります。
その第二は、水産業協同組合の共済会をも農林中央金庫に加入すること、すなわち系統機関の中に入ることのできるようにしまして、預金とかあるいは借入金とかいうようなことを進めたいというのでもります。
そのほか幾分整理に関する規定があります。これはあるいは必要のない事項、重複しておる事項とか、いろいろな点をこの際整理しようというような関係で、この改正をしたのであります。
以上が御説明でございますが、なおこの條文的に申しますると、お手元にあります第三ページの終りから三行目に、読みかえの規定でありますから、むずかしいのでありますが、「又は会員たる水産業協同組合の理事たる者」ということを加えることと、四ページの最初にあります「又は設立の同意を申し出た水産業協同組合の理事たる者」というものを加える。あるいはまた七行目にありまする「又は会員たる水産業協同組合の理事たる者」というものを加える。こういうような條文の改正であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004562X01419510224/29
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030・冨永格五郎
○冨永委員長 本案についての質疑は次会に譲ります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004562X01419510224/30
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031・冨永格五郎
○冨永委員長 この場合、緊急質問があります。これを許します。井之口委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004562X01419510224/31
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032・井之口政雄
○井之口委員 先にもちよつと質問を申し上げましたが、例の鳴門におけるところの爆発事件であります。あの問題は、もうはや日にちも相当に経つておりまして、水産庁においてもこれを調査しこれに対する漁民の救済についても、相当の方針をもはや決定していなければならぬころだと思うのでありますが、地元の方のいろいろな情報を見てみますと、地元においては、鳴門市において市民大会を開かれ、そうしてこれらの爆発事件の責任が明らかに政府側にある。しかるに漁民の救済に対しては法の根拠がないという意味で、法務府の方が共済問題も取上げないというふうにしておるのは、きわめて不当である。これは一刻も早くこの被害をこうむつておるところの市民並びに漁民の救済を、全額国庫負担においてやるべきであるというふうな、一大運動も、地元において起つておる次第であります。
元来水産関係において、この瀬戸内海に沈下しておりまするところのたくさんな非常な危険物、爆発物は、戰争によつて沈下されて、ほとんどその八割見当は瀬戸内海方面にあり、そうして水産委員会においても、これの引上げについての予算を審議したこともたびたびあつたのでありますが、今日に至るまでなおそのまま放置されておる。きわめて危險な話である。たとえば大阪から別府まで行く航路も、ただ單に航路だけが掃海されておるという状態で、ちよつと横に入ると機械水雷がまだ海の底にうようよしているという状態である。(「うようよは誇張だと呼ぶ者あり)これはほんとうや。誇張じやなくて、事実この委員会に報告されて、委員会に提出した図画の中に、うようよしていることがちやんと書いてある。それがもしも今しばらく年限を置きましたならば、その沈下しておるところの鎖やいろいろなものが切れて、上に浮んで来る。そこを通る船は必ずこれにぶつつかることは明らかであります。現に今度引上げたところの鳴門海岸における爆発も、やはりこのことを立証しておるのでありまして、こういうふうなものも水産委員会において、もつとこれを多く審議しなければなりませんが、水産庁においても、この掃海の問題を将来どうやろうとしておられるか。さらに今度の鳴門問題で引上げたところのあの魚雷、機械水雷というような爆先物でありますが、聞くところによりますと、これは朝鮮方面に持つて行くために、その火薬を取り出す。そうしてこれを朝鮮の戰乱につぎ込むというふうなために、サルベージがやつていたというふうなことも聞いている。(発言する者あり)もしそういうことになつて来ると、日本の火薬を持つて行つて、朝鮮の今日の内部的な政治上の争いの中に日本が干渉し、さらに国連軍の手先になつて、今度は戰争に日本がまた引き込まれて行つて、われわれの子供、われわれの親兄弟がまた戰争にかり出されなければならぬという悲惨事が起つて来る。
〔「質問じやない」と呼び、その他発言する者多し〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004562X01419510224/32
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033・冨永格五郎
○冨永委員長 質問は簡單に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004562X01419510224/33
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034・井之口政雄
○井之口委員 こういうふうなことにならないように、この一つの爆発問題に関しても、十分国民の利益を保護するとともに、それが戰争の挑発また誘発というふうなものに利用されないように、十分水産庁においても考えなければならぬことだと思うのでありますが、さらにこれに関連して、今の拿捕問題も、これにもうすぐきびすを接してやつて来るのでありまして、もし今日の中国人民政府が日本の漁船を拿捕しておるというふうなことを、水産庁において反共、反ソの方面に利用して、日本の輿論を反共、反ソの方にあおり立てて、そうして戰争を挑発するようなふうなことになつたら、これはたいへんな、またわれわれの親、兄弟並びにわれわれの子供らが、戰争にひつぱり出されるというふうなことになつて来るのですが、水産庁においては、この重大な時期に、日本が置かれておる今日の状態を十分考えなければいかぬ。そうしてわれわれはあくまでもソ同盟並びに中国と講和を結ぶ、全面講和をやらないと、日本の置かれておる今日の状態から、将来に向つて、実に寒心にたえぬと思います。
〔発言する者多し〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004562X01419510224/34
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035・冨永格五郎
○冨永委員長 質問は簡單に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004562X01419510224/35
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036・井之口政雄
○井之口委員 今の鳴門問題もそれとの関係でひとつ取上げてもらつて、人民の被害をこうむつておる人たちを救済すると同時に、また将来そういうことの起らないような水産庁の方針はどういうものでありますか、ちよつとお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004562X01419510224/36
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037・家坂孝平
○家坂政府委員 鳴門事件につきましては、この前も一度御報告したと思つておりますが、実はそうした危險物の除去につきましては、海上保安庁がその任に当つておるのであります。それで予算方面におきましては、三億円を計上いたしまして、その実施に移りたいということになつておつたのでありますが、不幸にして、この三億円は成立しなかつたのであります。そうしたように私ども水産庁といたしましては、危險物でなしに、ほんとうに沿岸に入つておりまする漁業にじやまになるようなものだけを除去する役目を持たされておるのでありまして、この点につきましては、補正予算が通りませんでしたけれども、この次の機会をねらいまして、ぜひこの貫徹を期したい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004562X01419510224/37
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038・冨永格五郎
○冨永委員長 本日はこの程度にとどめまして、次会は二十七日火曜日午前十時より開会いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004562X01419510224/38
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