1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十六年二月十二日(月曜日)
午前十一時十一分開議
出席委員
委員長 夏堀源三郎君
理事 奧村又十郎君 理事 小山 長規君
理事 西村 直己君 理事 天野 久君
佐久間 徹君 清水 逸平君
三宅 則義君 水田三喜男君
塚田十一郎君 内藤 友明君
宮腰 喜助君 松尾トシ子君
竹村奈良一君
出席政府委員
大蔵政務次官 西川甚五郎君
大蔵事務官
(主税局長) 平田敬一郎君
委員外の出席者
專 門 員 推木 文也君
專 門 員 黒田 久太君
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二月十日
租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣
提出第三五号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した事件
所得税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
二五号)
法人税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
二六号)
通行税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
二七号)
登録税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
二八号)
相続税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
二九号)
印紙税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
三〇号)
骨牌税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
三一号)
国民金融公庫法の一部を改正する法律案(内閣
提出第三二号)
開拓者資金融通特別会計において貸付金の財源
に充てるための一般会計からする繰入金に関す
る法律案(内閣提出第三三号)
租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣
提出第三五号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X01319510212/0
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001・夏堀源三郎
○夏堀委員長 これより会議を開きます。
一昨十日、本委員会に付託になりました租税特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたしまして、政府当局より提案理由の説明を聽取いたします。西川政府委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X01319510212/1
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002・西川甚五郎
○西川政府委員 ただいま議題となりました租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。
すでに先日、所得税法の一部を改正する法律案外六法律案の提案の際に申し上げました通り、朝鮮動乱後の国際情勢に対処いたしまして、早急にわが国の経済の自立を達成するため、急速なる資本の蓄積が要望いたされまするので、政府は税制上資本蓄積を促進するための各般の措置を講ずることといたしたのでありまして、さきに提案いたしました所得税法及び相続税法を改正するほか、さらに租税特別措置法を改正することとし、ここにその改正案を提出いたすことと相なつた次第でございます。
以下本改正案の内容について申し上げます。まずこの際、銀行預金の増加をはかる等、貯蓄の一層の増強に資するため、預貯金及び公社債の利子等に対する所得税の課税にあたり、源泉選択制度を認めまして、その税率を百分の五十といたしました。次に会社の社内留保を増加いたしまして、自己資本の蓄積に資するため、積立金に対する百分の二の法人税の課税を廃止することといたしました。ただ同族会社に対しましては、五十万円を越ゆる留保金額に対する現行の百分の七の税率を、百分の五の税率に改めることといたした次第であります。
さらに、今後わが国が国際経済社会に参加して、経済の復興をはかつて行く上に緊要と認められる特定の機械設備または船舶等につきましては、取得後三年間は法定償却額の五割増の特別償却を行い得ることとして、これらの機械等の新規取得を容易ならしめることといたしております。
また見返り資金で保有する銀行等の優先株式、または優先出資に対する配当につきましては、資金コストの低下に資するよう、所得の計算上これを損金に算入することといたしました。
なお、従来輸入砂糖に対しましては、免税措置を講じて参つたのでありますが、最近における砂糖の消費の実情に顧み、これを廃止することといたしておるのであります。
何とぞ御審議の上すみやかに御賛成あらんことを、切望してやまない次第でございます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X01319510212/2
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003・夏堀源三郎
○夏堀委員長 この際御報告いたしておきます。一昨十日の理事会におきまして、税関係法案の審査方針を協議いたしましたが、その結果お手元に配布いたしておりまする審査日割表のごとく決定いたしましたので、御了承願います。
なお公聽会は、来る十七日土曜日の午前十時より開会の予定でありまするが、公述人の選定につきましては目下選考中でありまするので、一両日中に決定次第御報告いたします。
次にただいままで本委員会に付託になつております税制改革八法律案を一括議題といたしまして質疑に入ります。三宅君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X01319510212/3
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004・三宅則義
○三宅(則)委員 私はただいま議題となりました所得税法の一部を改正する法律案外税に関しまする若干の質問を試みたいと思うものでございます。毎国会同じような質問でありまするが、国会が改まりましたことによりまして、やはり感想もあらためて申し上げるわけでありまするから、どうぞその辺を御了解の上において御答弁を願いたいと思う次第でございます。
〔委員長退席、小山委員長代理着席〕
まず第一に、前国会のことを申しますが、前国会におきまして、所得税その他については大幅の削減をせられまして、国民の要望にこたえられた点は、わが国会といたしましても、政府といたしましても、まことに適切なる法案を審議いたしたものであると思いまして、そのことは了承いたしたわけでございます。これに伴いまして今度の税法改正につきましては、やはり前の国会において審議した通り、所得税につきましても基礎控除の大幅に引上げられた点でありまして、これもまた当を得た次第であると思いまするが、この点についてもう一度認識を改めまするために、政府にお伺いいたしたいと思う次第でございます。今度の税法の改正によりまして、特に不具者の控除を認められた、また老年者の控除を認めたという点につきましては、まことに進んだ制度であると思つております。ただ基礎控除の点につきましては、二万五千円から五千円を上げられただけでありまするが、これもまた他の控除がありますからという意味合いにおいて、三万円に上げられたのにすぎないかと思うのでありまするが、この辺はどうかということを一つお伺いいたします。
二番目は、扶養控除を上げておりまするが、本人が不具者であつた場合にはもちろんのこと、本人の分も一万五千円引けるということを聞いておりまするが、実際そういうふうに考えておられるかどうかということを一つ、もう一つは学生等におきましても、やはり勤労学生等の自分の所得の中から、五万円以下のものについては一万五千円を認めるというふうに考えておりまするが、これらは同じものでありましても、二重に引けるものであるかどうかということを確かめておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X01319510212/4
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005・平田敬一郎
○平田政府委員 不具者控除につきましては、扶養親族の控除と同額の控除を従来から行うことにいたしておりまして、今回も一万二千円の控除額を一万五千円の控除に引上げることにいたしたのでございます。そういたしまして、この控除はもちろん本人が所得者である場合におきましては、基礎控除とダブつて控除するわけでありまして、三万円の基礎控除のほかに、不具者控除といたしまして、一万五千円の控除をいたすわけでございます。
それから今回新しく認めました老年者控除、未亡人の控除、学生の控除、これらの場合も同様でございまして、本人の所得からまず基礎控除の三万円を引きまして、そのほかにそれぞれ條件に該当する場合におきましては、一万五千円の特別控除を行おうということに相なるわけでございます。従いましてこれらの條件に新しく該当する人の場合におきましては、それだけ一般の場合に比較しまして、負担がよけいに減るということに相なるかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X01319510212/5
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006・三宅則義
○三宅(則)委員 今の主税局長のお話によりまして了承いたしました。まことによい制度を実施するわけでありまするが、これによりまして相当減税になると思います。その点この間資料をいただいたと思いますが、それについての御説明を少しくしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X01319510212/6
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007・平田敬一郎
○平田政府委員 これはお手元に昭和二十六年度租税及び印紙収入予算の説明、こういう相当分厚いガリ版のものをお配りいたしております。これの第三枚目のところでございますが、昭和二十六年度税制改正による事項別増減収額という表が掲げてございまして、これに相当詳細にそれぞれ計算を示しております。まず未亡人の控除におきまして、源泉所得税で二億八千六百万、申告で二億一千九百万、合せまして五億五百万円、老年者の控除で同じく源泉で二億八千三百万、申告で二億一千七百万、合せて五億円、勤労学生の控除でやはり源泉で二億九千三百万円、申告で二千四百万、合せまして三億一千七百万円、こういう減少に相なるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X01319510212/7
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008・三宅則義
○三宅(則)委員 ただいまの御説明でたいへんに減少いたしたわけであります。私はもう一歩つつ込んだことを申し上げて失礼でありますが、基礎控除は二万五千円から三万円になつたわけでたいへんよろしいと思いますが、地方などに参りますともう一段と下げてくれという話がある。この前も主税局長の言われますところでは、基礎控除のほかは扶養控除などがあるから、それを入れると九万円内外減るから心配ないということであります。もちろん農村等へ参りますとこういうこともけつこうでありますが、ただ中小企業等については、もう少し考え方を広げてもらいたいという陳情があるわけです。これに対して政府といたしまして何か考えを持つておられますが、承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X01319510212/8
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009・平田敬一郎
○平田政府委員 基礎控除額をどうするかという問題は、これは所得税の税率をきめるのと同じように、所得税の課税の上におけるきわめて重大な問題でありまして、私どもいろいろな見地から研究いたしておりますことは、前前から申し上げている通りであります。一つはやはりこれは国民の必要な生活費の実情を考慮に入れなければならないと同時に、いま一つは全体としての財政収入の必要性、並びに所得税の収入でどの程度期待せざるを得ないか、そういう財政需要の方面とにらみ合せまして、そのときとして妥当な控除額をきめるよりほかない、こういうような大体の考え方の結論にいたしておるのであります。そういたしまして以上の見地から申しますと、独身者の場合につきまして年額三万円の控除にいたしますれば、これはこの生活費の実情からして十分だとは申し上げにくいかと思いますが、従来に比較しますとよほどよくなつて来るというように見ております。それでこの額を、絶対に幾らでなければならないかという理論的な算式というものは、なかなか出て来ないようでありますが、私どもよく家計費調査等に現われました国民一般の平均的な生活の高さ等を参考にいたしまして、そのときとして妥当なものをきめるということにいたしておる次第でございます。なお今お話の通り、むしろ実際の免税点は世帶主で扶養家族のいるものが大部分でございますから、扶養家族の控除金額につきましては一割五分の控除でございますが、この控除を入れましたのが実際の免税点でありまして、この免税点につきましては、すでにお手元に配りました税制改正に関する要項というプリントの一番最後のページに掲げているのでございまして、給與所得の場合は五人世帯、つまり本人のほかに扶養親族が四人いる世帯の場合は、現在が八万五千八百八十三円の免税点ですが、これが改正後におきましては十万五千八百八十三円ということになりまして、普通の世帯でありますれば、給與所得者の場合は十万円まではかからないということになります。と同時にこれとほぼ同額を、かかる人につきましても控除するわけであります。従いまして三万円という基礎控除だけを考えますと低いようでございますが、実際の世帯ごとの免税点というものはもつとはるかに高いところにあるということを御了承願いたいと思います。事業所得の場合におきましても、四人の場合ですと現行が七万三千円が、今度は九万円になります。農家の場合なんかになりますと、扶養親族五人の世帯が大分ございますが、現行が八万五千円の免税点が十万五千くらいになりまして、従つて農家は今度の改正によりまして、納税者数がやはり相当減るようでございます。今一応見ております納税者数が改正でどうなるかということを、ちよつと御参考までに申し上げておきたいと思いますが、一番所得税が戦後重くなりましたのは二十四年、ドツジ政策に基く超均衡予算と言われておりましたときで、物価騰貴その他があつたにかかわらず、税法の改正を行わずそのままやりました結果、相当所得税の負担が重くなつておる年でございますが、そのときと二十六年度の改正後の見込み人員とを比較しまして申し上げますと、まず農業所得の納税人員が二十四年度におきましては三百二十九万三千人、それが今度の改正におきましては、百八十三万七千人程度に減ると見ております。これは半分まで行きませんが、約六割くらいに納税者がなつてしまう、四割強減るという見込みであります。営業者の方も若干小さい営業者がございますので減りまして、二十四年分が二百二十四万五千人でございましたのが、二十六年の見込みは百八十九万五千人程度に減少する。それからその他の事業者、これは漁業家とか医者、弁護士といつたような事業者でありますが、二十四年が六十五万一千人でございましたのが、改正後におきましては四十四万二千人、その他のいろいろな不動産所得とか、配当とかあるいは給與所得の一定所得以上の申告者、そういうものを含めまして、今のを合計しまして、申告納税の納税者の総体が二十四年分は七百五十六万人でございましたのが、二十六年といたしましては、四百六十八万五千人程度に減少する見込みでございます。これはいずれも二十五年度の改正と二十六年度の改正で、基礎控除、家族控除等の引上げによりまして、所得が増加したにかかわらず、納税人員がこのように顯著に減ることになつておるのでございます。それから給與所得者の納税人員は、これはなかなか正確な調査はわかりにくいのでございますが、納税義務者として申告された者の毎月平均によつてやつておりますが、それによりますと二十四年分は千百六十万一千人、それが二十六年度におきましては、千六十二万二千人くらいに減りまして、所得税全体で二十四年分は千九百十六万一千人ありましたのが、二十六年の見込みといたしましては、千五百三十万七千人程度に全体として減少する、こういう大体の見込でございます。これは所得がある程度増加したにかかわらず、それ以上に基礎控除や扶養控除の引上げがありましたために納税者が減少する。このように見た結果の数字でございますことを申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X01319510212/9
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010・三宅則義
○三宅(則)委員 今の局長のお話によつて大分よく了承しましたが、こういうことを地方をまわりますと言われます。確かに自由党あるいは政府はたいへんに減税だといつて喜ばれておる。しかしながら水増し課税をするのじやないかということを心配しておる。こういうことを言われます。私は断じてそんなことはない、こういうふうに考えておりますが、一体政府はどういうような方針で指示しておりますか承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X01319510212/10
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011・平田敬一郎
○平田政府委員 もう三宅さんとはたびたび申し上げております通り、水増し課税という風評があるかも存じませんが、私どもはあくまで所得は税法に従つて正しい所得を計算する。それが実は唯一の基準になりまして、予算といえども何ら基準でないということは、前々から申し上げておる通りでございます。各個人の納税義務者と税務署との間におきまするよるべき基準は法律でございます。その法律の政府側の解釈は、いろいろこまかい通達等を最近公表しておりまして、明らかにいたしております。この解釈は納税者が異議があれば訴訟で争うことができる。政府としては一応こういう解釈にしておるという解釈を明らかにいたしまして、事実を調べてその事実に法律を当てはめてみますと、おのずから所得が出て来る、こういうふうになるべきものでありまして、私どもそれ以外の見地から所得を査定すべきじやないと考えております。ただ全部の納税者について、全部実額調査ができないような場合が従来ありまして、従いましてそういう場合におきましては、ある程度調べのついた納税者と比較権衡の方法によりまして、一種の課税をやつていたわけであります。これは昔からやつていた方法でありまして、ある程度認められて来たわけでございますが、その基礎が十分でないというような非難は、確かに従来相当あつたようでございます。でございますので、その点につきましては、最近は特に勉強することにいたしまして、営業所得者等につきましては、今年は少くとも四割程度は実額調査をする。つまり実地につきまして納税者の収入調査をやる。帳面がない場合におきましては、その営業の実態をよく調べまして、できる限り個別的に妥当な所得を把握するということに努力することにいたしまして、今年はそういう方向で相当成績が上るように見受けております。今月、来月、再来月等の間に、そういう問題が実際問題としていろいろ表面に出て来るかと思いますが、そういう方向でよほど勉強しておるようであります。
それから農業所得の場合には、農家について一々帳面を調べることができませんので、御承知の通り標準率と申しますか、大体反当りの収穫量は供出の関係その他に基きまして、なるべく正確なものを調べ、それに対しまして一石当り幾らの収入、いわゆる所得の標準率、これも各地域ことになるべく妥当なものをとりまして、それを公表いたしまして、できる限り申告で納まるようなことをいたしております。この標準率のつくり方につきましても、大分二十二年、二十三年あたりは問題がございましたが、二十三年でございましたか、全部やり方も公表いたしましてやりました結果、最近はよほど団体等の話合いも円滑に行きまして、うまく行つているように見受けられます。こういう方法につきましても、ますます勉強いたしまして、さつき申し上げましたように、なるべく政府といたしましても的確な所得を把握することに努めまして、それによつて課税の適正を期するようにして参りたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X01319510212/11
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012・三宅則義
○三宅(則)委員 今平田局長よりたいへん耳寄りな話を聞いたわけであります。私どもは実額調査を行うことはかねてから申しておるところでありまして、去年までは二割ないし三割まで行こうという話であつたのであります。しかるに本日は四割程度を営業者について見る、こういうたいへん進歩したことでありまして、これは確かに必要なことと思います。実は私は昨年の八月地方へ参りまして調べてみましたが、大体一割五分から二割まで行かないと言つておりました。本年はおつしやる通り四割までおやりになるということでありまして、四割までやれればたいへんけつこうな話であります。私は二十四年と比べまして、二十五年はよくなり、二十六年はさらによくなるであろうというふうに見ておりますが、はたして局長の言われるところまで行きましようか、どうでしようか。その点を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X01319510212/12
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013・平田敬一郎
○平田政府委員 今のお話について、こまかいところはまた国税庁からお話があることと思いますが、私どもも方針はよく知つておりますので申し上げます。今年は法律案におきましても、申告納税の時期を一月延ばしまして、二月にいたしました。そういう関係もありまして、調査期間が今までよりも幾分延びております。それと税務官吏も、やはり年を経るに従いまして熟練者が大分ふえて参りまして、相当営業者の実態につきまして調査し得る経験者が、増加いたして参つたのであります。最近聞きました報告によりますと、四割くらいのところまでは、大丈夫行けそうだということで勉強しておるようであります。東京あたりにおきましても、大体調査はつきまして、申告につきましても税務署に呼び出しまして、できる限り事前相談をやるというところまで行つておるそうであります。その点につきましては、従来に比較いたしまして、よほど私は改善がはかり得るのではないかということを期待いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X01319510212/13
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014・三宅則義
○三宅(則)委員 それではもう少しお伺いいたしますが、かつて大蔵大臣並びに吉田首相は、特に発言を求めて、税制はきわめて親切に取扱う、ことに重大問題は講和と税金である、こういうふうに言われたわけでありまして、もつともな話でありますが、税につきまして、ぜひとも国民のために妥当な決定したいということは、われわれといたしましても当然だと思います。これについて、大体八割程度は申告を是認し、二割くらいを更正決定するという線を出そうということを、言明されたと思うのでありますが、そういう線が出ることがまことに必要であると思う。二十四年あたりはむしろ更生決定の方が八割、申告が二割くらいでありまして、本年は総理の言われたように、大幅にそういう線を出させるべく調査を進められておると思いますが、はたしてそうであるか。本委員会において、ひとつ主税局長から御発表願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X01319510212/14
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015・平田敬一郎
○平田政府委員 今のお話のような、更正決定が八割で申告が二割というようなことはないと思つておりますが、特に申告を多くするということで全力をあげてやつておるのでありまして、申告は累年多くなつております。二十五年分といたしましては、これはいい意味の目標だと思いますが、大体申告税の見込みの税額の八割くらいは、申告で出て来るというようなことを一つのねらいといたしまして、極力申告の成績がよくなるように、今努力いたしておるのでありますが、一つの目安でございますので、あまりむずかしい数字ではないということを御了承願いたいと思います。できる限り調査いたしまして納税者ともよく話をつけまして、申告で所得税が、正しく課税標準が申告され、納まるように持つて行こうということで、非常に努力しているのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X01319510212/15
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016・三宅則義
○三宅(則)委員 地方をまわりまして、よく承ることでありますが、かつての税法は戦時立法でありまして、所得は全部合算するということであつたのであります。これを除こうということで、少くとも給與所得につきましては、所得者ごとになつたわけであります。今回の改正によりまして、親族でも妻以外の者は全部合算からはずす、こういう意味でございましようか。その辺を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X01319510212/16
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017・平田敬一郎
○平田政府委員 合算の制度につきましては、お話の通り従来は同居親族の分は、全部合算で課税する方式をとつて参つたのでありますが、昨年から大部分合算をはずしまして、未成年者と妻の資産所得、それが一つ、それからもう一つは扶養親族として控除の申請をした者の所得、この二つを例外としまして合算することになつて、残つていたわけであります。その資産所得と申しますのは、配当、銀行預金の利子、公社債の利子、そういう配当所得、利子所得並びに不動産の賃貸所得、地代、家賃、小作料というような不動産所得、これだけは二十五年度の改正におきましても、妻と未成年者の分だけは合算を残したのでございます。しかし合算した方がいいかどうかは、各個人ごとに課税を決定するという考え方をとりますと、いいかどうか問題が相当ございます。それから合算します結果といたしまして、非常に申告等の際におきましてめんどうなことになる。税金の按分計算その他非常に問題がありますので、むしろこの際全部合算をやつた方がいいじやないかということになりまして、今回の改正で所得税はすべて、その所得は各人ごとに決定して課税するという原則一本にすることにいたしたのであります。これは私ども少くとも簡素化には、相当役立つのではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X01319510212/17
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018・三宅則義
○三宅(則)委員 今のお説の通り、簡素化になることはわかりますが、ただ悪い人がありまして、自分の所得を妻や子の名義に分散するおそれがあると思います。こういうものにつきましては、どう考えられておりますか。従来はそういうものがあつたわけでありますが、今後なくなるというお考えでございましようか。それとも何か方法がありましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X01319510212/18
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019・平田敬一郎
○平田政府委員 従来は実はそういう点も若干心配いたしまして、合算することにいたしておつたのでありますが、それは心配して踏み切ることに決意いたしたのであります。これはある程度まとまつた資産を贈與、譲渡いたしますと、相続税がかかるのでございまして、妻の名義の預金といたしまして、その預金がほんとうに妻の預金である、自分の所得だという主張をしますと、やはり贈與税がかかつて来る。子供の場合も同様なことになりますので、相続税等をきちつと課税いたしまして、分割したような場合はやはり合算しないで、それぞれ分割課税を認めてもいいのじやないか。この辺の弊害よりも、むしろさつき申しましたような手数の簡素化とか、あるいはほんとうに別所得の分は個人ごとに別々に課税するという、この原則を適用した方がいいのじやないかと考えまして、合算をやめることにいたしたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X01319510212/19
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020・三宅則義
○三宅(則)委員 合算はやめることになつたことは了承いたしまするが、悪いものも少くなつて行くように、ぜひ相続税をとるようにやつてもらいたいと思うのです。
次は保険料の問題であります。保険料は大分上つて来ておりまするが、二千円に限定されたのはどういう理由でありますか。もう少し三千円、四千円というように上げた方がいいという説もあるし、あるいは全然認めない方がいいという説もありますが、その辺はどこに基準を置かれたか承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X01319510212/20
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021・平田敬一郎
○平田政府委員 保険料の控除の制度はいろいろ考えたのでありますが、インフレで保険思想が大分破壊されておりまして、実は保険がインフレの犠牲を受けた一つの大きなものではないかと私ども考えておりますが、この際保険思想の再建をはかつて行きたい。生命保険の形におけるものは、非常に長期資金になつておると思いますので、資金の充実ができるということは、全体として望ましいことではないかということに重点を置きまして、所得から保険料を控除する制度を新しく設けることにいたしたのでございます。この額をどうするかという問題は、なかなか問題がございますが、最近の保険の実際の状況等から考えまして二千円控除いたしますると、大体平均五万円くらいの保險金額まで、保険料控除が認められるということになるようであります。もう少し上げて十万円くらいまで控除したらどうかという説も確かにあるのでございますが、ただ一方におきましては、相当歳入に響いて参りまして、二千円以上の保険料を拂い込んでいる人の場合におきましては、保険料の二千円控除を認めますことは、基礎控除を二千円上げるのとまつたく同じ効果を持つわけでございます。従いまして、これがあまり多額なものになりますと、歳入に相当大きな大影響があつてなかなかむずかしい点がございますので、まず一般の大衆の通常入る程度の保險金というようなところに目安を置きまして、二千円くらいの保険料控除にしたらどうかという考えであります。これがはたして今後もそのままでいいかどうかということになりますと、将来はおそらくある程度研究の余地があろうかと思いますが、今といたしましては、この辺が妥当ではないかという考えを持つておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X01319510212/21
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022・三宅則義
○三宅(則)委員 しからば次に、預貯金等に対するところの課税の源泉選択制度を認められるということでありますが、その税率を百分の五十というところに基準を置かれておるようであります。その制度につきましても、局長の腹はどこにあるかということをお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X01319510212/22
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023・平田敬一郎
○平田政府委員 源泉選択の制度は、実は税のシステムから行きますと、相当重要な例外を認めたことになるのであります。といいますのは、御承知の通り所得税は全部総合して累進税率で課税するというのが理想でありまして、あらゆる所得について総合課税を行う。源泉で徴収いたしましても、それは一応の所得税の前拂いにすぎないので、ほんとうはいつかは総合いたしまして、源泉で納めた税金を差引いて所得税を計算する。結果におきましては、総合累進課税の適用を受けると同じ結果になるように、税ではすべて仕組んでおるのでありますが、ひとり預貯金等について例外を認めましたのは、一つは、趣旨にも強調してあります通り、銀行預金等の総額が、実は戰前と比べますと非常に顕著に減つております。金額から行きますとふえておりますが、貨幣価値の下落の点を考慮いたしますと非常に少いのでありまして、実はその辺が金詰まりその他の誘因だと私は思います。つまり全体として資金の量をふやす必要性が多いので、そういう政策との調節をはかりまして、例外を設けるということにいたしたのであります。その際に税率をどの程度にした方がいいかということはいろいろ問題がございますが、今までの沿革等を考えまして五〇%の税率がいいだろうという考えに至つたのであります。と申しますのは、五〇%の税率といたしますと、これは源泉選択でかけつぱなしでございますから、市町村民税はかからなくなる。従つて所得税の税率と市町村民税を加えた税率とを比較して考えますと、課税所得金額三十万円を越える所得の辺からは、選択した方が有利であるという比較計算に大体なるようでございます。今度の新税法によりますと、課税所得三十万円を越える者の限界税率は、所得税が四五%、それに一八%の市町村民税が加わりますので、最高の限界税率は五三%くらいの負担になるのでありますが、それ以上の所得者はそれよりも高い税の負担を受けるわけでございます。しかしまずその辺のところを押えまして、その辺からは選択した方が有利であるというようになるのでございますが、その辺のところで税率をきめたらどうかということで、五%にしたわけでございます。従いまして、それ以上の所得者は預金の選択をやりまして、幾分でも預貯金をふやす。ことにタンス預金等が預貯金の形でふえて参りまして、それが有用な資本として働くようにすることが、この際緊要じやないかということを考えまして、税の理論から行きますと例外でございますが、このような例外を認めることにいたしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X01319510212/23
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024・三宅則義
○三宅(則)委員 私はかねてから言つておるのでありますが、前の税の改正のときもたいへん下つたようであります。ただ下らないのは三十万円ないし四十万円程度のところが下らなかつた。これを大幅に減税したいというのがわれわれの趣意でありましたが、今度階段を設けられまして多少下つたようでありますが、もうちよつとよけい下げてもらつた方が、われわれ中堅階級としては最も望ましいであろうと思うのであります。その辺の構想を承りたいと同時に、また三十万円以上の所得に対しまして五〇%となつておりますが、これはもう少し幅を広げた上で、五〇%にしてもらつた方がよろしいと思いますので、その辺の構想をもう一度承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X01319510212/24
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025・平田敬一郎
○平田政府委員 税率につきましては、前の国会でもいろいろお答えいたしたのでございますが、ご指摘の通り二十五年度の改正で税率が比較的軽くならなかつたのは、実は二十万から三十万、四十万、五十万の程度のところでございます。従いましてこの辺の税率はいかにも高過ぎる。労働者といえども、ちよつと超過労働をやりますと、二十万くらいの課税所得になつてしまう。船員の方々などの陳情を大分受けたことがありますが、加俸を受けるとすぐ二十万円以上になる。その程度の所得でございますので、なるべくこの辺は税率を下げたいということで私ども考えたのでございまして、結果から申しまして、これで十分であるかどうかということは、いろいろ御意見があるかと思いますが、この課税所得二十万円の場合におきまして、今は百分の五十でございますが、これが改正案によりますと四十に下りますから、まあ十だけ下つて来る。今の税率は五十万円を越える金額のところが百分の五十五でございますが、この辺は百分の五十になる。こういう改正を行うことによりまして、二十万から五十万くらいの所得税の納税者の負担は、昨年と違いまして本年は相当減るようでございます。これではたしていいかどうか、これはいろいろ御意見もございましようが、基礎控除三万円、扶養控除一万五千円、それから所得税全体の負担ということを考えますと、まず今年としてはこの程度の税率が妥当ではないかと考えております。たとえば給與所得におきましても、月額三万円で扶養家族が奥さんと子供三人、つまり四人の所帯でありますと、現行法によりますと七千七百九十一円の負担ですが、改正案によりますと五千九百十七円になりまして、千八百七十四円の減税になり、二割四分程度減るのでございます。昨年はこの辺はあまり減らなかつたようでございまして、ことに市町村民税がかかつて来た関係がありまして、所得二、三十万円のクラスは家族が少いと案外負担がふえるという例もあつたようでございますが、本年はお話のような趣旨を極力取入れることにいたしまして、このような改正案にいたしたわけでございます。市町村民税も本年は標準税率の一八%はすえ置きといたしておりますので、昨年みたいなことがなくて、所得税の負担は実質的に相当下るというふうに考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X01319510212/25
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026・三宅則義
○三宅(則)委員 今のお活によりまして、三十万円内外あるいは四十万円程度のところが、大幅に減税になつたことは事実です。昨年あたりは地方をまわつてみましても、かえつて上つておるじやないかという陳情をたびたび受けまして、私は困つた。この事柄をこの前の国会に申し上げたところ、幸いに政府といたしましても原案をつくられたわけでございまするが、もう少しくこの次の国会に至るまでに研究の余地があるということで、この点はひとつげたを預けておきます。
次にもう一つ伺いますが、春色申告につきましては大分よくなつて来ました。法人税につきましては、青色申告をいたしておりますが、なお個人ではなかなか青色申告はできません。なお今度の改正によりまして、再調査及び審査請求中のものは、青色申告に限つて差押え、公売をしないという線を出されておりまして、これはまことにけつこうでございまするが、もう少し線を広げまして、善良な納税者に対しましてこの制度をぜひひとつ続行せしめたい。審査請求中は公売をやられると困ります。まじめな人に対しましては、もう少し範囲を広げたらどうかと思うのでありまするが、いかがでしようか承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X01319510212/26
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027・平田敬一郎
○平田政府委員 私も将来の理想はこういう再調査、再審査の段階の際は、公売等はさしひかえるように扱つて行けるようになることが、実は望ましいと考えておるのでございますが、現在の実情からしますと、なかなか今、全般的にこのようなふうに行きますのは、少し困難だろうと考えております。しかしとにかく青色申告書の場合におきましては、みずからちやんと帳簿をつけて、その帳面に基きまして自分は正しい所得の申告をするのだというように、一応推定できるような納税者がございますので、こういう納税者の場合につきまして、異議がある、文句があるという場合におきましては、やはりそれが片づくまでは公売、差押え等を行わない方がいいのではないかというように考えまして、このような制度にいたしております。従いましてこれは法律上できないという法律上の制度にいたしておるわけでありまして、一般の納税者の場合におきましてはこの規定がないから、しからば何でもかんでも差押えて公売するかと申しますと、必ずしもそうは行かないので、お話のような点については、今の段階では運用の面においてでき得る限りの配慮を加えることにいたしておきまして、法律上できないということにしますのは、まだ行き過ぎじやないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X01319510212/27
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028・三宅則義
○三宅(則)委員 今のお話はまことによい制度であると思うのでありまして、了承いたしました。私はかねてからもそうでありまして、また押し問答になるようでありますが、大体納税者が納得するようになつて参りました。ただむちやくちやに更正決定をせられると困るのでありまするが、今度の法律で申告の時期が二月に確定申告をする関係から、更正決定は実は三月になるのではないかと思うのでありますが、そういたしますると、更正決定をしたものは、四月もしくはその以後において納入するような段階になりはしないかと思うのであります。そういたしますると予算面等につきまして、どういうふうに影響いたしますか。また締切りが一箇月遅れるという場合もありましようが、この点について納税者の便益をはかりまするために税務署その他を督励されまして、なるべく更正決定を少くすると同時に、また異議のあつた場合には早く見えてやつてきめたい。この前の国会において、異議のあつた場合には再調査を三箇月以内にやるという線を強く出したわけでありまするが、そういたしますると、更正決定を三月出すということになりますると、四、五、六のうちに再調査は完了なさる予定でありましようか、その辺をひとつ承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X01319510212/28
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029・平田敬一郎
○平田政府委員 今お話の通り、本年といたしましてはなるべく申告主義と申しましようか、申告で目的を達するように納税者の協力を求めると同時に、役所もそういう態度で極力指導して行くということを第一義にいたしております。しかしなかなかそういう原則通りに行かぬ場合もありましようから、ある程度の更正決定はいたし方がないと思いますけれども、これをできるだけ少くするという考え方でいたしておるのであります。しかも更正決定をやります場合におきましては、実額調査に基きまして更正決定をする考えであります。青色申告書等につきましては相当帳面の調べがございますので、あまり急いで決定しない。愼重に調査し、愼重に納税者と話し合いました上で、どうにも見解の相違があるという場合には、やむを得ず更正決定をしなければならぬ場合があるかもしれませんが、十分な手数をかけまして、遅れてもやむを得ないという考え方であるのであります。そういたしまして更正決定いたしました場合の審査の処理でございますが、これは実は二十五年度に設けました協議団というのが、今年からほんとうは動き出すことになります。今までも動いておりますが、所得税につきまして全面的に動き出すのは今年からであります。この運用をうまくはかりまして、極力迅速かつ適正審査のできるように努めたい。このような意味で二十五年分の所得税を協議団がどうさばくか、これを十分御監視願いまして、うまく行くように御鞭撻願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X01319510212/29
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030・三宅則義
○三宅(則)委員 私はこの前も他の委員会で聞いたことでありますが、本委員会でぜひ聞いておかなければならぬ事柄は、所得税法は平田さん御承知の通り難解です。これを理解するのは非常に困難である。普通の人は読むだけでもめんどうで、読めないということになつております。こういうようなむずかしい法律は、専門家、たとえば税務代理士とかあるいは役所の人とか、あるいは特殊の研究家というものにおまかせしておいて、大体の筋書きがだれでもわかる、こういうふうに簡素化せしめるために、條文を法三章とも行きますまいが、今の十分の一くらいに縮めて、一般の人にわかるように書きかえて、それを一般の普及版として出す、こまかいものは本冊で読む、こういう制度を設けられたらどうかと思いますが、政府はどういうように考えておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X01319510212/30
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031・平田敬一郎
○平田政府委員 お気持はまことにごもつともなことだと思いますが、税法は実はだんだんむずかしくなりまして、改正すればするたびにむずかしくなるという御非難を受けて、私ども恐縮に思つております。これはやはり国民の権利義務に関する重大なものでございますし、さつき申しましたように、やれ水増しだ、やれ何だというふうなことをあくまでも佛拭いたしまして、あくまで法律に基いて納得して納めさせるということにいたしますためには、どうして本法律はこまかくならざるを得ない。今回も新しく未亡人控除とか勤労学生控除とか、いろいろ控除制度を設けましたが、これだけでも実は税法は複雑になるのでございまして、やはり公正を期しようと思えば複雑になり、あまり複雑になるとまた文句が出て来まして、運用上適当にやつたらどうかということでありますが、これまたおもしろくありません。戦後の流れ、傾向といたしましては、ある程度むずかしくなりましても、法律としましてはしつかりしたものをつくつておきまして、紛争の余地を極力少なからしめて、法律によつてきちつと納税し、徴税して行くというようにせざるを得ぬのじやないか、このように考えております。ただお話の点はまことにごもつともでありますので、別途に法律のほかにできるだけ適切な、わかりやすい解説書等をつくりまして、それによつてわかるようにいたしたい。今国税庁でそういう計画をいたしております。外国におきましても、税法はわかりにくい、専門家でなければわからぬというように言つておるらしいのであります。そこで役所で無料なり安い値段で、一般大衆にわかるような解説書等をつくりまして、普及をはかるようにしたいという考えでございます。法律自体は、お話の趣旨に従いまして簡素化すべきものは極力簡素化する。たとえば合算の廃止、これは実際簡単になりました。申告書などもこのために非常に簡単になりました。そういうふうにやるべきことはもちろん十分やりまして、御期待に沿うようにいたしたいと思います。しかしそれでもやはり税法というものは、相当むずかしいものにならざるを得ないのでありますから、今申し上げた方法で、極力そういう欠陷を補つて行くようにいたしたいと考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X01319510212/31
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032・三宅則義
○三宅(則)委員 私は皆様にお許しを得まして、もうちよつとお願いしたいと思うのです。実は私の年末の主張でありますところの、税のとり方を公平にするために、各地に税の税籍簿というようなものを制定してもらいたい、こういう希望を持つておる。この事柄はこの前の国会でも申したことでありますが、移転をいたしますと、東京都におきましてはその移転先に申告をすると思いますが、申告の未完了のときにおきましては、二年、三年と脱税になつておる場合があるのでありましてこういう場合を除きまするためには、やはり税籍簿というものを米の配給と同じように、どこへでも持つて行くような制度にしたらよろしいと思うのであります。たとえば日本橋におりました者が品川へ参りますときには、品川へ持つて行くというふうにいたしたらどうかと思うのであります。これにつきましては多少経費もかかることでありましようが、今度は地方税も加えて各税務事務所というものができましたから、それと連絡をとりまするならば、税籍簿というものは完備できるようにも考えられるのでありますが、私の主張でありますところの税籍簿につきましては、どういうふうに考えておりますか。この際明敏なる局長から御答弁を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X01319510212/32
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033・平田敬一郎
○平田政府委員 三宅さんの御意見はたびたび拜聴いたしまして、実はそれに対しまして私もたびたびお答えいたしたのでございます。なかなかいい着想だと思いますけれども、さて具体的にどういうふうに計画して行くかということになりますと、またなかなか問題があつて、簡単に行かぬ節も多いようでございます。それで所得税等につきましては、もちろん住所地を所轄する税務署に調査簿というものが現在あるのでありまして、移転しますと調査簿をそれぞれ移転先に送りまして、移して行くということになつております。三宅さんのお話はそういう組織を納税者でない者にまで全部つくつて、完璧なものにしたらどうかという御案だと思いますが、確かに一つの名案だと思いますけれども、実行にあたりましては、なお研究した上でないと、簡単にそのままできるかどうか問題が多かろうと思いますので、よく御意見を承りまして研究してみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X01319510212/33
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034・三宅則義
○三宅(則)委員 実は私の心配いたしておりまするのは、協議団が今度でき上つて実施に移るわけでありますが、昨年の協議団の状況を見ますとあまり活発でなかつた、こういうふうに私は了承しておるわけです。今度は再調査を早く済ませまして、協議団に持つて来るということになりますれば、場合によりますと相当数が協議団に舞い込むかと思うのです。そういたしますると協議団は、関東信越等にいたしましても、各市に分店と言いますか出張所があるわけでしようが、時間的に間に合うか合わぬか。あるいは再調査の方は税務署でできますから、残つた重要問題だけを協議団にまわすから、さしつかえないというような意味でありましようか。この点について承りたい。
もう一つ申しますならば、やはり協議団員は熟練な人と思いまするが、業種団体もしくは地方の町村長、その他の有力な人の意見をある程度加味して、しかる後に協議団の制度を実行したい。また一方から考えますと、税務代理士等の意見もよく聞いた上で協議団の人が決定する。こういう制度を実行してもらいたいと思いますが、今どういうような状況になつておりますか。本年度の協議団に対しまする構想を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X01319510212/34
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035・平田敬一郎
○平田政府委員 協議団は先ほど申し上げました通り、二十五年度からつくりましたが、本格的に動き出しますのは、実は二十五年度分の所得税からだと思います。しかし最近までにある程度の実績を上げておりまして、去年の十二月三十一日現在国税庁に集まりました報告によりますと、協議団が引受けました件数が所得税で二千九百二十六件、そのうち納税者の要求をいれまして、全部取消しいたしましたのが二十六件、それから納税者の要求をいれまして一部取消し、減額いたしましたのが千二百二十二件、それから納税者の主張を理由なしといたしまして却下いたしましたのが六百七件、合せて千八百五十五件を十二月三十一日までに処理いたしております。残りが千七十一件でございまして、おそらくその後着々やつておると思いますが、所得税につきましてはさよな成績を上げております。法人税につきましては、全体の引受が四十四件、これは全部取消しはなくて、減額が六件、棄却が八件、計十四件処理いたしまして、三十件残つております。これはおそらく法律問題等で、少しむずかしい問題が残つておるのではないかと思いますが、そのような成績を上げております。協議団の構成につきましては、昨年の国会でいろいろとお話を申し上げ、一応御賛成を得て実行いたしておるわけですが、これは何と申しましてもまだ生れたばかりでありまして、今試験台にあるわけでありますので、もう少し成績を見ました上で、お話のようなことにつきましては、もちろん再検討いたすべきところは再検討いたしたいと思つております。しかし私は協議団に対しましては、納税者の味方であるという考えを十分持つて、適正な処理をする必要があるということを常に強調いたしております。そうしますと、この協議団に持ち込まなくても、持ち込む前に負けそうだというような問題は、税務署の方で片づけてしまう。そういう間接的効果も大分あるのでありまして、協議団にかかつたケースのほかに、そういうこともあるということをあわせ考えて、協議団制度の功罪をよくごらん願いますように、お願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X01319510212/35
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036・三宅則義
○三宅(則)委員 私の心配いたしますのは、調査部はいいのですが、査察部の方でまわつて来ますと、まことにぐあいが悪い。もちろん過去において相当もうけた人が今ごろになつて吐き出すということもあるので、査察ということも必要かもしれませんが、今の段階から考えますと、調査はけつこうですが、査察というものはある程度で打切つたらいいのではないかと思います。インフレもだんだん収束いたして参りましたし、経済も平常化せんとするときに、査察部が摘発に参りました結果、その会社がつぶれるようなことがあつては経済再建上おもしろくない、こういう観点のもとに、政府といたしましては査察部を廃止いたしまして、調査部一本にするという勇気と努力を持つておられるかどうか、承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X01319510212/36
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037・平田敬一郎
○平田政府委員 査察部のあり方につきましては、いろいろ御意見も出ておるようですが、申告納税制度の建前をとつております以上、やはりこういう特別な調査官と申しますか、特別な査察官の制度を残しておくことは必要だと思つております。特定の任務を與え、その任務に従つて責任を負わせてやらせるということになると、おのずから一生懸命になつてやるということになるわけでありまして、特に悪質の脱税者の調査摘発ということは、一般の調査だけではむずかしい実例からいたしましても、査察官の調べで若干行き過ぎの点も確かにございますが、非常にうまくやつているケースも相当あるのであります。そういうのはやはり査察官としての権限を持たしてやらなければ、うまく行かないというのも多いのでございまして、やはりこういう制度は漸次運用につきまして、ますます巧妙にやるというふうに行かなくちやいかぬと思いますが、そういうふうに十分注意を加えつつ、やはり残しておいてもつとみがきをかけて、いい査察ができるように持つて行くべきものではないか、かように思います。税務の仕事は非常に広汎でございまするので、やはりある程度専門的にわけましてやらせるということがどうしても必要でありまして、告発とか訴訟とかいうことになりますと、相当むずかしい法律問題等もございまして、一般の調査官だけではよく消化しきれぬ問題が多数あるのでございます。そういう問題もございますので、やはりこういう制度は私は必要ではないかと考えております。ただ運用につきましては、よほど改善の余地がまだたくさんあると思つておりますが、そういう点は国税庁も大分勉強することになつておりますので、だんだんよくなつて行くというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X01319510212/37
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038・三宅則義
○三宅(則)委員 本日はこの程度で終りますが、私の心配いたしますのは、せつかく企業再建をいたそうというときに、ちよん切られるようなおそれがある。ですからよほど査察の人には注意を促しまして、あまり行き過ぎのないようにお願いしたいのですが、一体昨年はどのくらいの査察をいたし、どのくらいの効果があつたかということがおわかりですか。おわかりであれば、どのくらいの件数で、どのくらいの資金と、現在どうなつておるかということについてお答え願いたい。査察の結果つぶれるようなことになつても困りますので、そういうことのないように運用の妙を講ずるよう、政府も努力しなければならないと思いますが、昨年の実績を承りまして、あとの方の質問に譲りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X01319510212/38
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039・平田敬一郎
○平田政府委員 私のところに国税庁から報告が来ておりますので、ひとつ申し上げますと、二十三年度が調査しました延べ件数が千三百五十三件、そのうち告発しました件数が六十八件、二十四年度におきまして調査いたしました件数が千五百八十一件、それから告発いたしました件数が百二十四、それから二十五年は、これはまだ途中、ございまして、たしか十二月の現在だと思いまするが、調査しました件数が七百四十一、告発いたしましたのが四十件になつております。それで査察によつてふえました税額は、二十三年度が加算税、追徴税等を入れまして五十二億九千七百万円、二十四年度が八十五億三千万円、二十五年度が三十五億一千六百万円、こういう実績になつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X01319510212/39
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040・宮腰喜助
○宮腰委員 協議団の問題に関連してちよつとお伺いしておきたいのですが、行政法上は大体その決定機関であるところの官庁に対する異議の申出とか、あるいは上級官庁に訴願をやる、訴願をやつたあとには行政訴訟をやれ、法令違反はただちに行政訴訟をやれ、こういうぐあいに訴訟法上の区別をしないと非常にまちまちで、訴訟をやつて来る入もある、協議団の方へやつて来る人もある、あるいはまたその書類がまごついているということで、これは一般の刑事訴訟法なり民事訴訟法では、そういう規定が厳格にされておりますが、税法ではそういう規定が明確になつていないのでありますから、こういう異議の申出とか、あるいは税が重いということについて、実施上の調査関係だとか法令上の解釈関係について、何かまとまつた方法をとつておかないとまごつく場合があるのじやないか。その点当局ではどういうお考えを持つていられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X01319510212/40
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041・平田敬一郎
○平田政府委員 更正決定に対しまして異議がある場合においては、通常の場合はまず第一段階は、処分いたしました当該税務署長に対しまして再調査の請求をする。これが第一段階の手続でございます。それでその再調査の請求がありまして、その処分に対して不服がある場合には、上級官庁でありますところの国税局長に対しまして審査の請求をする。これが第二段階。それで審査の請求の処分に対しまして不服があります場合には、これは訴訟に持つて行く。それで三月たちまして処分がない場合には、納税者はいつでもそれぞれ次の段階の異議の申立てができるという規定にいたしております。従いまして一定の秩序は現在におきましても立てているのであります。それから国税局の調査官の調査によりまして決定したもの、これは再調査の段階はございませんで、いきなり審査の請求ができる。それぞれいずれも各税法によりましてその順序等は規定しておりまして、大体は明らかになつている見込みでございますが、なおお尋ねの点が具体的にどういう問題でございますか、それと関連しましてお答えいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X01319510212/41
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042・宮腰喜助
○宮腰委員 これを何か税を徴収する場合、督促する場合、そういうことをやはり徴税令書あるいは税の徴収関係のポスターの中に織り込んで、記載してあげた方が非常に便利だと思うのです。とることばかり請求しないで、こういう場合はこういうことができるんだということは、新しい憲法上から考えても必要じやないかと思います。
それからごく最近の新聞紙上にテイクラー式の整理方法を採用した、こういうことが出ておりますし、閣議でも問題になつたということを聞いておりますが、そうすると今までの徴収よりも有利な方法、徴収に便利な方法であるということになると、これはおそらくちよいちよい呼び出して調べることになると思うのです。こういう問題も一応整理にはいい方法かもしれませんが、年がら年中呼び出しては調べる、呼び出しては調べるでは、納税者には非常に迷惑な方法だと考えますが、その点について調和ができるかどうかということを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X01319510212/42
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043・平田敬一郎
○平田政府委員 今の方法は現在の国税徴収法のもとにおける運用の一つの方法としてやつているものでありまして、これは別に制度に基いてむずかしい問題としてやつているわけではございませんが、滞納の件数、滞納者が非常に多うございますので、各納税者ごとに滞納税額を調べまして、その納税者に税務署に来てもらいまして、あとの滞納税額の納付計画と申しますか、それをよく相談しまして、理由がある場合におきましては、税務署側も相当納税者の話を聞きまして、それによつてその滞納税額の履行を確保しよう。納税者の方も安心して、はつきりいつ幾日までに拂えばいいということになりますと、それによりまして商売の仕方なり、金繰りのつけ方もできて来るというわけで、こういう行き方は、ひとり役所だけの都合というよりも、むしろ納税者の方から言いましても、便利な滞納整理の一つの方法ではないかと考えております。お話の通りあまりたびたび呼び出されてはかないませんが、あるときに一定のことにつきまして話がつきますれば、そうたびたび呼び出すこともなかろうと考えます。そういう点につきましては、もちろん役所としましても十分注意いたしまして運用の適切をはかりますれば、これは相当の効果を上げ得るんじやないかというふうに考えております。ただこの方法は、今若干テスト的にあつちこつちでやつておりまして、模様を見てなるべく全国的に及ぼそうという考えでいるようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X01319510212/43
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044・宮腰喜助
○宮腰委員 これもごく最近閣議で問題になつたそうでございますが、滞納整理の閉鎖勘定の問題ですが、これは滞納すれば一日でも閉鎖勘定に繰入れるものでありますか。それとも認定の範囲、行政官庁が現場で認定した後でなければ、この閉鎖勘定に入れないのかどうか。その場合に、非常にずるくて、そういうふうな方法をとつておるものもありますし、また善意で拂えない方もあると思います。ずるい者は厳重に取調べる必要もあると思いますが、その閉鎖勘定の方法として何らか規定を設けられておるのでしようか。それとも単なる行政上のお考えでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X01319510212/44
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045・平田敬一郎
○平田政府委員 今の問題につきましては、実は国税徴収法の改正を近く提案すべく研究いたしておりまして、お話の通りなかなか立法上、技術上むずかしい問題がございまして、まだ実は最後の案はつくり上げていないのでございますが、一定の條件のもとに分納を認める、それから一定の條件を備えた場合におきましては、利子税なり延滞加算税をしばらく徴収しないでおくというような意味における一種のたな上げと申しますか、そういう制度を認めることにつきまして、目下実は具体案を練つておるところでございます。これはなるべく早く提出する見込みでございますので、その際に詳しく御説明申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X01319510212/45
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046・宮腰喜助
○宮腰委員 もう一つ、税を完納した場合に、奨励金といいますか、そういう金を交付してどんどん納税をさせて行くということは、非常に興味あるように感じていますが、これも何か閣議で問題になつたそうですが、そういうような報奨制度は、たとえば農村の供米のような場合でも、比較的成績を収めておる場合もあります。こういう意味で、奨励金制度は非常にいいように思いますが、この点について閣議では大分問題になりまして、採用するようなお話も漏れ伺つておりますが、この制度についてどういうような方法でやるか。その段階をちよつと伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X01319510212/46
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047・平田敬一郎
○平田政府委員 今のお話のうち、もしもそういう制度が納税者個々に対する制度でございますれば、これは少しいかがであろうか。これは各税法におきまして義務として納めるものでございますので、個々の納税者に奨励金を出すといつたような考え方は、少し行き過ぎじやないかと考えております。ただ納税組合とか市町村等、こういう団体でありまして、納税に関しまして非常に功労があるというような場合におきまして、その事績を表彰し、さらに将来勉強してもらう意味におきまして、一種の表彰を行つたらどうか。そういうことにつきましては、先般大蔵省といたしましても方針を決定いたしまして、実行する運びに至つております。大体大臣賞が二十万円ぐらいでありますか、それぞれあと国税庁長官とか、国税局長とか、税務署長とか、一定の限度を置きまして、今申しましたような事項に該当する場合におきましては、一定の報奨金を副賞としまして交付しまして、表彰するようなことをやることにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X01319510212/47
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048・宮腰喜助
○宮腰委員 それからもう一点お伺いしますが、富裕税という制度は廃止すべき制度ではないか。これがためにいろいろな調査で、たとえば現金調査をされるという心配のために、多くの現金を銀行から引出しまして、タンスのこやしにさせているものもたくさんあります。また証券を調べられると富裕税をとられるからといつて、証券を売却する。それがために証券の値上りができないというので、証券対策上非常に困つている状態であります。こういうぐあいで、この富裕税制度を全然撤廃しまして、所得の大きい人に対しては元の累進課税でやつた方がいいのじやないかと考えるのですが、政府は富裕税を廃止する御意思はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X01319510212/48
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049・平田敬一郎
○平田政府委員 これは前の国会でもたびたび申し上げました通り、直接税のシステムの上における一つの大きな提案であつたわけであります。所得税の補完税として、財産課税たる富裕税の制度を採用する。ことにそれに関連いたしまして、所得税といたしましてはあまり高率な累進課税を行わない。その反面、所得が資産の形に転化しまして資産所得を得るような場合におきましては、相当高率な課税をするという意味におきましてこの富裕税を起すというので、この制度は実は昨年の税制改革の直接税のシステムに関する重要な一点なのでありまして、
〔小山委員長代理退席、委員長着席〕
これがいいか悪いかは、確かに議論があると思いますが、私ども二十五年度から実行したばかりでございますし、理論的にも確かにすぐれた多数の長所があると思つておりますので、この際この税金をすぐやめるという考えはございません。しかし一ぺん改正いたしましても、相当な年限がたつた上で、よいかどうか、これは大いに検討の必要があろうかと思いますが、二十五年度の税制改革の一つのポイントをなす点だということを、御了承願いたいと考える次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X01319510212/49
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050・夏堀源三郎
○夏堀委員長 本日はこれをもつて散会いたします。
午後零時二十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X01319510212/50
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