1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十六年二月十三日(火曜日)
午後零時三分開議
出席委員
委員長 夏堀源三郎君
理事 小山 長規君 理事 西村 直己君
有田 二郎君 大上 司君
川野 芳滿君 佐久間 徹君
清水 逸平君 塚田十一郎君
三宅 則義君 水田三喜男君
内藤 友明君 宮腰 喜助君
竹村奈良一君 深澤 義守君
出席政府委員
大蔵事務官
(主税局長) 平田敬一郎君
委員外の出席者
専 門 員 椎木 文也君
専 門 員 黒田 久太君
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本日の会議に付した事件
所得税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
二五号)
法人税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
二六号)
通行税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
二七号)
登録税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
二八号)
相続税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
二九号)
印紙税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
三〇号)
骨牌税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
三一号)
租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣
提出第三五号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X01419510213/0
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001・夏堀源三郎
○夏堀委員長 これより会議を開きます。
所得税法の一部を改正する法律案外七税法改正法律案を一括して議題といたしまして、質疑を続行いたします。質疑は通告順によつてこれを許します。三宅君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X01419510213/1
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002・三宅則義
○三宅(則)委員 私は昨日主税局長と一時間にわたりまして問答したのでありますが、多少残つておりますから、二、三点を本日申し上げたいと思うのであります。
今度の税改正によりまして、われわれ国民生活の安定を期する上において、基礎控除の引上げ、扶養控除のこれまた引上げ等によりまして、われわれといたしましてはまことによき改善をなし得られたと思うのでありまして、特に老年者六十五才以上の者につきましては、基礎控除の三万円のほかに、また一万五千円を控除するというような案、さらに未亡人に対しましては、これまた基礎控除いたしましたほかに一万五千円を控除するというふうになり、また勤労学生に対しましても、一万五千円を控除するというふうな新たなる制度を設けたことについては、満腔の敬意を表しておる次第でございます。これにつきまして私の心配にたえませんのは、わが国の総人口の過半数を占めておりまする農山村に対しましては、ほとんど国税が無税になつた。控除によりまして十万円内外のものは、所得税が免除になつたわけでありまするが、地方税との関連におきまして、なお相当地方税の方は、住民税もしくは固定資産税等において加重せられる場合があります。この際国税に基準を置くことでありまして、昭和二十六年もやはり地方税の決定にあたりましては、国税が中心になると思いますから、政府当局といたしましては、国税をきめまするときにおきましては、もちろん正確を期するとともに、地方とも連絡をとりまして、地方事務所、税務課等を指導いたしまして、その円滑なる発展を期することが、わが国の税務行政の円満を期するゆえんであると信ずる次第でございます。つきましては政府の中心であり、これを立案せられましたる主税局長におきましては、国税局はもちろんのこと、さらに地方財政委員会等とも連絡をとりまして、その円滑を期するように指導もし、また監督せられたいと思いますが、現在の局長のお考えを承りたい、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X01419510213/2
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003・平田敬一郎
○平田政府委員 税務行政につきまして、関係の市町村と緊密な連絡をとるようにすべきではないか、こういう御意見でございまして、これはまことにごもつともな御意見だと承ります。それで古くから緊密な関係があつたのでありますが、最近市町村の徴収を国税の直接徴収にかえました関係上、若干緊密度が薄くなつて来たようでございますが、二十五年度の改正から、市町村民税と国税の課税標準とが非常に密接な関係があるというような関係におきまして、再び非常に緊密になつておりまして、最近におきましては、市町村の側からむしろ非常に連絡を要望する声が出ております。非常に私どもけつこうなことだと考えておるのでございまして、さような点につきましては、極力関係市町村と連絡をとりまして、国税並びに地方税の行政が円滑に行くように努めて参りたい、そうすべきものであると、かように考えておるのでございまする発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X01419510213/3
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004・三宅則義
○三宅(則)委員 私の今の考えを申しますと、今主税局長が国税局や地方事務所と連絡をとるというその主張は、まことにけつこうであります。私のかねてからの持論でありますが、この際もう一度新国会になりましたから、局長にお尋ねをいたしたいと思うのであります。実は従来は郡もしくは市には所得税調査員がありまして、税務署のつくりましたものに対しまして、多少これを勘案するという制度があつたのでありますが、戦時中これがなくなつた。それでありますから、今後は税務官吏の方々が、これを御決定になることになつたのでありますが、今日戦争も済みまして、お互い申告納税と相なつて参りました。昭和二十四年が一番税が高くて二十五年度がだんだん下り、二十六年度は改正によりまして非常に減額になつたわけでありまして、われわれは満腔の敬意を払うわけでありますが、中には実情に即せず、相当の所得があるにかかわりませず、なお軽減と申しますか、あるいは脱税と申しますか、その当を得ないものがあるわけであります。それにつきましては、私の持論でありますが、各市町村に十名ないし十五各くらいのたとえば村長であるとか、協同組合長であるとか、あるいは村会議員とかいうような有力な人を基準にいたしまして、財務調査員というものを選定いたしますならば、たとえば山間部の方の農村と平野の方の農村とは、同じ反則でありましても収穫数量が違うとか、所得が違つて来るわけであります。
〔委員長退席、小山委員長代理着席〕
それにもかかわりませず、都会におりますところの税務署長がこれをきめるということになりますと、よく実情を把握できない。平坦部と山間部とを同じようにきめろというような場合がありまして、はなはだ迷惑する。このごろは民主主義でありますから、個人が自分自身で計算をいたして申告すればよろしいのでありますが、ときにはその公平を期し得ない場合があります。今の税法では民主納税になつておりますから、所得税調査員に類するようなものができておりませんが、これを決定する場合におきましては、やはり旧来のような各町村の有力な人の意見を聞いて、しかる後にこれを参考にするということが、穏健にして妥当なる決定方法であると思いますが、主税局長はさらに現今の税法から拡大されまして、将来はそういうような線を生かした方がよろしいと私は思うのであります。今のところはそういうふうになつていないようでありまするが、何とかこれを是正せしむる方策を議せられるような用意と努力を払われますか、承りたいと存ずる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X01419510213/4
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005・平田敬一郎
○平田政府委員 民間の方にお願いしまして、税務調査の諮問をするというような制度につきましては、前の国会でも三宅さんからたびたび御意見がございまして、お答えいたした通りでございます。申告納税制度を設けまして、まだ日が短かいわけでございますが、今の段階におきましては、私どもやはり今のようなところで、もう少し進んで勉強して行きたい。それでもなかなかうまく解決できないような場合におきましては、さらにお話のような点を研究するようにしてみたらどうであろうか。今の段階におきまして、すぐ制度といたしまして、昔の調査員みたいな制度をこの際設けろというところまで、実は参つていないのでございます。ただ事実上の問題といたしましては、調査に関しましていろいろ税務署等が一定の仕事を頼んで、それによりましてなるべく調査の適正を期するというような方法は、現にうまくやつているところもあるようでございます。それから必ずしも運用がうまく行つていないようなところもあるようでありますが、事実上の問題として、できる限り正確な調査をするためのいろいろな方便というものは、これはそれぞれ地方の実情に応じまして、しかるべき方法を採用してもいいじやないか。しかし制度としてはつきり設けて、決定する際には必ずそういう委員会の諮問を経なければならないというような制度を設けることにつきましては、この際再反省をするのにはまだ少し時期が早いのじやないか、このように考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X01419510213/5
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006・三宅則義
○三宅(則)委員 私一人でやつてもいけませんから、もう一点だけ質問させていただきたいと思います。私は主税局長の今の答弁を聞きまして、前からの持論でありまするが、ぜひ今後の税務行政を円滑に進めまするにつきましては、民間人の意見をある程度まで尊重することは当然であります。ただ若い二十二、三才の税務官吏が突然やつて来まして、お前のところはこれだけの所得があるというような、旧来の、戦前戦後を通じまして数年間行われたようなことは、だんだんなくなつて参りました。二十四年から二十五、二十六年とだんだん整備をされて参りましたが、なお末端に参りますと、多少その弊があります。でありまするから、主税局長は国税庁を初めとしまして各税務署に至るまで、こういう国会におきまする議論、あるいは国会で申された事柄は、末端までよく浸透させてもらいたいと思う。私は昨年も東北地方、北海道地方をまわつて参りましたが、今国会で申し上げた事柄が、一箇月ないし二箇月後にはだんだん浸透して参るようになつております。しかしなお今後の税務改正等につきまして、国会で調べられた事柄あるいは論議せられた事柄は、国税庁庁報その他において浸透してもらいたいということが一つでございます。
最後にもう一点申し述べておきたいと思いまする点は、われわれの観念からいたしまして、中央と地方との緊密なる連繁はもちろんでありますが、税負担の公平を期し、また国民生活の安定を期するためには、将来を今ここで測定することはできませんが、農村等におきましては、なお多少の減額をする必要がある、こういうような希望を持つているのであります。昭和二十六年は申告納税を二月にせられて、三月に更正決定をせられるわけであります。そこで昨日も伺つたことでありまするが、大体八割程度は申告を是認し、ことに農山村等におきましては、大体標準価格の適正なるものに関しましては再更正はしない、こういうことが私は必要であろうと思うのでありまするが、今日主税局長はどういうふうに考えられておりますか。その辺をもう一度承りまして、質問を終りたいと存ずる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X01419510213/6
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007・平田敬一郎
○平田政府委員 今のお話の点は、昨日申し上げた通りでございまして、できる限り申告によつて納まるような方向に持つて行きたいというので、目下勉強いたしておるのでございます。更正決定をやる場合におきましても、よく実際を調べまして、調べた結果に基いて確信のあるところでやるという考えであります。そうして調査がつきましたら、事前に納税者等ともよく懇談して、できる限り正しい課税標準額が申告され、税金が納まるようにいたしたいという考えでございます。その点まつたく三宅さんの御意見は同感でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X01419510213/7
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008・三宅則義
○三宅(則)委員 もう一点追加いたします。私昨日東京商工会議所におきます中小企業者もしくはある種の団体の会合に出た際に、こういうことを言つておる人がありました。それは前国会において、審査を請求した場合——今度は再調査となりましたが、再調査を請求した場合に、三箇月以内に必ず直すという線を出したわけでありますが、なお地方へ参りますと、三箇月どころではない、半年たつてもまだ更正決定したものに対する再調査がない、こういうことを言う人があつたのであります。前国会におきましては、税務署に再調査を申請したならば、必ず三箇月以内にこれを直す、しかしてなおこれをしなかつた場合においては、あとの三箇月以内で国税局でこれを直すというような線をつくつたのでありますが、地方に参りますと、そういう新しい税法が徹底していないと考えられる点があるわけであります。これは国民の方も知らぬのでありまするが、ごとに税というものにつきましては、問題が不可解であるという点も多少ありましようから、どうか時に触れ時節に応じまして、国税局、税務署等を利用されまして、そういつた民意を尊重する軽便なる方法、いわゆる再調査については税務署で三箇月、国税局で三箇月、六箇月以上たてば必ず直る、あるいは直さなくても、これに対するイエス、ノーがわかるような制度の徹底するように、主税局長から国税局、税務署まで湯透してもらつたならば、国民も安全になり了解が行くと思います。くどいようでありますが、国民に徹底せしめるために、簡易なる税法の普及版というようなものを出しまして、国民生活の安全を期するとともに、税知識はお互いに平凡なるものはだれでもわかるというものを出してもらうことを、特にお願いいたしまして、私は局長の御答弁をもう一ぺん承ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X01419510213/8
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009・平田敬一郎
○平田政府委員 お話の点はまことにごもつともでございまして、私どもも極力税法の趣旨の徹底をはかつておるのでございますが、なお御指摘のような点につきましても、一層徹底をはかりまして、十分目的を達成するようにいたしたいと考えます。
〔小山委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X01419510213/9
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010・宮腰喜助
○宮腰委員 簡単に四点ばかりお伺いいたします。税をとる上に、納税組合をつくりこれを強化することが、今後必要でないかと考える点がたくさんあります。一時的にまとまつた金をとられるよりも、毎月々々あるいは毎日というぐあいに、納税組合でもつくりまして、そうして納期にその貯金を下げて納めさせろということは非常にいいことでありますが、これを何らかの方法で立法手続におきまして法制化するということが、必要じやないかと思います。またこの集金の問題れついては、今郵政省では赤字財政でありますから、郵便配達夫にこれを集めさせるという方が、合理的だと考えられるのであります。納税組合を法制化するということと、それから郵便の配達夫に集金をさせるということが、非常に効果的のように思いますが、政府はどういうお考えでありますか。この点を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X01419510213/10
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011・平田敬一郎
○平田政府委員 納税貯蓄組合の必要性は、今お話になつた通りでございまして、私どもも申告所得税の円滑な納税に資するところ多いと考えますので、何とかひとつ法制化するようにいたしたいという考えで、目下国税徴収法の改正と関連いたしまして、研究いたしておるところでございます。なるべく御趣旨に沿うようにいたしたいと考えております。なおその際郵便局をどの程度利用するかという問題は、これはあとの運用の問題になろうかと思うのでありますが、実情に応じまして、できる限り適切な措置を講じたいと考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X01419510213/11
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012・宮腰喜助
○宮腰委員 それから登録税法の問題ですが、よく登記所あたりで登録印紙を用紙に張つて出しますと、吏員がたまたまはぎとりまして、はぎとり事件というものがたびたび刑事問題として現われております。これを取締る上において、証紙を張つたなら一応そのまま申請しまして、その証紙を所長のところへ持つて行つて、これを大蔵省に返還させるというような方法をとれば、その危險がないように思うのでありますが、この登録税で、昨年はぎとり事件として相当大きな事件があつたのであります。その登録税の手続の上において、何らか特別の措置を講じて行かなければならぬと思いますが、主税局ではどういうお考えを持つておられましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X01419510213/12
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013・平田敬一郎
○平田政府委員 今お話の点は具体的にどういう問題でありますか、少し研究を要するかと思います。税法におきましても、それぞれ印紙の二重使用等は、厳重に罰則を設けることにいたしておるわけでございますが、運用がどこまで正確を期し得るかというところにかかつて来るのではないかと思います。なおこのような問題について研究の必要がございますれば、よく研究した上でまたお答えいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X01419510213/13
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014・宮腰喜助
○宮腰委員 今の問題ですが、全国でおそらく何百万円というはぎとり事件が昨年起きたわけです。検察庁でも相当追究してみて、私もその実際の関係を、日本橋の商業登記所で、その手続上の経過を見て参つたのですが、今の状態で行けば、はぎとりは自由にできると思うのです。登記申請の場合に、印紙を張つた用紙はなるべく所長の手元から大蔵省に返還させるようなことにすれば、このはぎとり事件というような脱税は起らないと思いますので、その点十分御研究願いたい。善良な吏員があやまちを起す原因にもなると思います。
もう一つ、相続税法の問題でありますが、相続税法で、相続を開始されまして税を徴収されるまで、一年なり一年半なり長いものは二年も三年もかかつている。そういう場合に、別に不動産に対して適切なる処置をするような手続もございませんので、結局税をとるときは所得財産がからつぽになつて、ないという状態がたびたびあります。結局これは脱税する一つの方法として行われる場合が多いのでありますが、この相続税法により税を徴収する場合に、税の決定前に何らかの適切な処置を講ずる方が、税の徴収の上に非常に効果的じやないかと思うのですが、そういう手続はできるものでしようか。その点をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X01419510213/14
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015・平田敬一郎
○平田政府委員 御指摘の通り、従来から相続税の決定は遅れがちでありまして、大分あとになつて決定して税金が納めにくいという例も多かつたのでございます。でございますが、事柄の性質上なかなかむずかしい点もあるようでございます。ただいかにもおそ過ぎる点がございましたので、今回は時効の期間を三年に改めたのでございます。従いまして、税務官庁の調査もなるべく促進をはかりまして、お話のようなことはできるだけ少いように努めて行つたらどうかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X01419510213/15
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016・宮腰喜助
○宮腰委員 これは前の委員会でも再三各委員から質問されておりますが、地方税と国税との先取特権の問題です。地方によつては、国税にやられるともう地方税はとれないから、地方税の方で先にやつてしまおうということで、お互いに税の徴収競争が行われておる部面がたくさんありますが、これは何とか方法を改められまして、地方財政から考えれば、政府からの配付税はなくなり、平衡交付金にかわつたわけですが、財政上も独立するという意味合いから、国と地方と同等の資格を認めたのじやないかと思うのですが、これなどもやつぱり国税優先主義をとつて行けば、こういう弊害はないと思うのです。これは税法上国税優先主義をとる方がかえつて競争を防止して、地方税の徴収も円滑に行くように考えられるのですが、政府はこれを今後改正する必要があると考えるかどうか。その点をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X01419510213/16
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017・平田敬一郎
○平田政府委員 お話の通り同順位に対しまして、先着主義と申しますか、先に着手した方が優先して徴収するということに、実は二十五年度の改正でいたしたわけであります。それにつきまして、お話のような弊害が確かにあることは事実でございまして、何か対策はないものかと実は研究いたしておりますが、二十五年度の改正の趣旨は、なるべく地方団体にしつかりした地方税の財源を与えまして、それで地方自治の強化をはかろうということに基本がございますので、やはり今までのように国税が常に優先するというようなことにしてしまうのは、今の段階ではどうであろうか。やはりこの制度は当分置きまして、その上でさらにまた検討してみたらどうかと思いますけれども、今のところ同順位主義を変更する考えはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X01419510213/17
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018・宮腰喜助
○宮腰委員 ごく最近、農村あるいは中小工業者なんかのいろいろな座談会に出席いたしますと、常に特需業者に対する税が軽過ぎる。こういうインフレ状態で、農村はくわが上る、かまが上る、上るだけ上つて収入は少い。こういうような場合に、特需業者からもう少し税金をとる必要があるのじやないか、こういう質問をたびたび受けますが、この点も今後單に法人税やあるいはまた所得税一本で行くという状態になる場合は、たいてい減価償却——過当な減価償却とかいろいろな形で、結局脱税をされてしまうのじやないかと思うのです。財政上の支出も多いときでありますから、こういう関係につきまして特に研究しまして、今までの法人税、所得税以外に、何らかこれに対する税の対策を考えて行かなければならないとわれわれも考えますが、その点について政府では研究されているかどうか、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X01419510213/18
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019・平田敬一郎
○平田政府委員 動乱以来相当部分の産業が活況を呈していることは事実でございまして、昨年の下半期の決算——下半期の決算と申しましても、九月以降の決算面におきましては、はつきりそれが現われているようでございます。ところでそういう状態の際に、すぐ何か考えないかという御質問でございますが、これは率直に申しまして、まだまだ日本の基礎産業というものは本格的に復興していない。大分よくなりまして、ほんとうによくなつているところもありますが、しかしまだ基礎が脆弱なものも相当あるようでございます。少しよくなつたからといつて、この際すぐ超過利得税、臨時利得税のような方法で課税を考えるのは、どうも少し早過ぎはしないか。この際としましては、産業の基礎をつちかい、資本の蓄積等に資する意味におきまして、やはり適当な競争をやりまして、収益の上つた場合におきましては、その収益の相当部分を社内に留保いたしまして、設備の改良、拡張を行うようにいたしたらどうか。むしろそういう必要性が最近の段階におきましてはまだ顕著でございますので、今すぐ特別な課税をしたらどうかというような考えは、今のところ持つていないのでございますが、ただ今後の推移によりまして、そういう問題はよく研究をしなくてはならぬのではないか、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X01419510213/19
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020・宮腰喜助
○宮腰委員 政府は非常に親心のあるようなことを言われますが、実際の税の徴収の仕方を見ますと、たとえば利益が上つて来た、そうして減価償却をはかつて行く、こういう意味で、今の産業設備では悪いから早く償却しまして、よい機械と入れかえようとする経理の処置に対して、査察庁あたりは、こういうような過当な減価償却ではいかぬというので、追徴、加算税、脱税ということで処理されている事件がたくさんあります。こういうような場合を考えると、なるほど親心あるような考えを持ちながら、また産業を合理化しなければいかぬ、資金のめんどうも見なければいかぬと言いながら、産業の合理化の資金は一銭も出さない。他方減価償却をやつて行くと、これは不当な減価償却だから脱税だということで、査察でどんどん締めつけられて、つぶれかかつておるような会社もたくさんあります。こういうような問題につきまして、局長の言われるのは、なるほどその点はよいが、他方の点についてどうも不合理なやり方があるようです。この点について今後十分御研究願いまして、減価償却の問題については特別なごしんしやくを願わなければ、新しい設備に改善するということは、とうてい不可能ではないかと思います。こういう点について今後局でも十分ごしんしやく願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X01419510213/20
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021・平田敬一郎
○平田政府委員 宮腰さんのお話は、確かに実際論としてはもつともだと思うのでありますが、事柄を少しわけて考えますと、私はお話のように、過去のものと申しますか、インフレ時代の税金につきまして、今課税しておりまするそのものにつきましては、確かにお話のような点があると思います。しかしこれはそのときといたしまして、そういう税法あるいはそういう経済条件のもとにおきまして事業をやり、あるいはこの重い税の負担に耐えて一般の国民は納めておつたわけでありますから、その時代の税金に対しまましては、やはり厳重に調べまして、そのときとしての妥当な納税をしてもらうよりほかないと思います。遅れまして最近そういう課税をいたしておる例もございますが、これはわれわれの現実の生活からいたしましても、二、三年前の状態から考えますと、やはり当然そのとき納むべき税金が納まつていなかつたというものにつきまして、かような措置をとるのはいたし方がなかろう。ただ程度の問題につきましては、いろいろ考えなくちやならぬ問題があるかと思いますが、その当時といたしましては、そのようなことに相なつていたわけでございます。ただ二十五年の改正後におきましては、実はそういう点は非常に改善されたのでございまして、超過所得税もなくなり、再評価によりまして償却高も大分増加いたしております。法人税三五%を納めるだけでありますから、会社方面等におきまして、特に私はお話のような点は、新しい年度の分については、ほとんどなくなつているのではないかというふうに感じます。しかしなお一層この際資本蓄積等の必要がございますので、償却等につきましては、耐用年数をさらに全面的に合理化するとか、さらに今回提案しましたような特別償却等の方法も設けまして、極力社内の資金蓄積によりまして、設備の改良拡張等ができるようにいたしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X01419510213/21
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022・清水逸平
○清水委員 簡單に一言……。本法案で大幅の減税と資本の蓄積のための措置を講ぜられたことは、私ども非常に喜んであります。そこでこの資本蓄積について伺いたいと思います。源泉選択によつて税率を百分の五十として、預金者の自由意思にまかせるということにここではなつておりますが、この貯蓄というものは、大体所得の生活費に対する余剰、そういうのが銀行に貯蓄されるもので、零細なものが非常に多いわけですから、これらのものに対してはむしろ無税にするのがよろしいのではないか。私はこういう考えを持つております。貯蓄をしないで、たとえばそれを家に置いておくとか、あるいはほかの物品にかえたとかいうものだつたら、所得の対象にならないのでありますけれども、銀行において利子がつくと、それには税金がかかつて来る。政府は五〇%を課税されるこの利子所得に対して、総額をどのくらいにお見込みになつておりますか。それにつきまして、五〇%はもつて下げたらいいのではないかと思いますが、これに対する御意見を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X01419510213/22
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023・平田敬一郎
○平田政府委員 銀行預金の利子に対する課税を、もつと優遇したらどうかという御意見かと思いますが、御承知の通り最近はなかなか税金は重いのでございまして、大分控除を引上げたのですが、なお生活が苦しくて税金を納める余裕がないという声が実は一般的でございます。にもかかわらずやはり財政上の事情その他で、どうしてもある程度の税金は納めてもらうという趣旨で、税法をつくつておるわけでございますが、そういう際でございますので、やはり余裕がある場合におきましては、税金を軽くするという考え方は、今の段階では少し行き過ぎではなかろうか。自分の生活費さえ足らないような人でも税金をとられている。余裕があつて貯蓄をしたその貯蓄の利子に対して税金がかからないというのは、これは今の税負担全体を考えますときに、少し行き過ぎではなかろうかというように考えまして、貯留全体に対しまして非常に大胆な減免をいたしますことにつきましては、実は率直のところ私ども少し躊躇するのでございます。ただ貯蓄の中でも非常な零細な貯蓄は現在も免税いたしております。郵便貯金の利子、それから国民貯蓄組合の利子は、現在免税いたしておるのでございまして、そういう点は考えられますが、一般的にさらに大幅に軽くするということはいかがであろうか。ただもう一面、しかしながら総合課税の結果、非常に税が高くなる部面が実はあるのでございまして、そういうのはいくら何でもこういう貯蓄の必要性が顕著なときでございますから、この際税率を少し緩和しまして、選択課税の方法を認めたらどうであろうかというのが、選択課税の案を提出いたしました趣旨でございます。五〇%は表面上ちよつと高いようですが、市町村民税を入れますと、先日も申しましたように三十万円を越ゆる人の税率は、実は五〇%を越えるのであります。四五%の所得税に対して一割八分の市町村民税がかかりまして、たしか五二%くらいの税になると思いますが、その辺からは選択をして負担の軽減をはかり、それで貯蓄の増加等をはかる、こういう趣旨にいたしておるわけでございまして、一般に税が重い際でありますし、よほど税としましては特例でございますので、まあこの程度の税率でしんぼうして、いただくくらいが妥当ではないか、こういうように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X01419510213/23
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024・清水逸平
○清水委員 ただいまの源泉選択課税につきましては了承いたしましたが、もう一つ市中銀行が日銀から金を借りておる場合に、この貸金の回収が非常にやかましい。これは日銀の貸出し超過のためにやかましいのでしようけれども、しかしそのとり方があまりにもやかましい。そのため月末において、銀行自身が預金の払出しを奨励しておるような傾向がある。ああいうことになると、一般の預金者は預金するのに非常に不安を感ずる。これはあなたに申し上げることは妥当でないかとも思いまするけれども、預金の減少という結果を来す憂いがあるのではないかと思つております。これらのことは主税局長に伺うべきことじやなかつたかもしれませんが、そういう傾向もございました。これはお答えをいただかぬでもよろしゆうございます。
それからもう一つ簡單にお伺いしますが、けさもラジオで言つておつたのですが、鶏に課税する。最近の新聞にもちよいちよい出ております。ああいつた声が起るのは、末端の間違いだろうと私は思うのでございます。つまり鶏の収入に対して課税すべきであつて、鶏の何羽というものについて課税すべきものじやない、こういうふうに私は思つておりますが、ああして新聞でも再々鶏の課税問題が論議され、ラジオでもああして声を大きくして言われておるから、税のとり方について非常に誤解を受けておる、こういうふうに私は考えます。こういう際にこれらのことをはつきり伺つておく必要があるのじやないかと思いますが、この点お答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X01419510213/24
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025・平田敬一郎
○平田政府委員 お話の通り鶏自体に課税するわけではないのでありまして、鶏が所得を生んだ場合に、その所得に対して課税する趣旨でございます。ただ先般公表いたしました結果、いろいろ御批判受けておりますが、これは一にかかりまして、あまりこまごました所得は、この限度以下は調べないのだ、こういう意味の通達にしかすぎないのでございます。その限界を全然言つてやりませんと、また地方によつて区々になつて困るという非難がありますから、一応中央から調査の限界と申しますか、あまり零細な実益のない所得の調査はこの辺で差控えたらどうか、この意味において通達をいたした次第であります。問題は、もちろんお話の鶏もそうですが、所得の調査の限界を示したものでありまして、鶏自体に課税するということではございません。ただ卵を産んだり鶏をかえしたりしたような場合、それから収入が年どれくらいあるか、その収入を計算して、もちろん課税する場合は課税することにあるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X01419510213/25
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026・清水逸平
○清水委員 末端では、それが何羽以上あれに課税する、こういうふうにとつていはしないか。また果樹もそうです。私のところは非常に梅の多いところでありますが、梅一本について二百円、こういうような標準をもつて課税されておる。末端では往々当局の意思を尊重しないで、行き過ぎに徴税がされておる。今の局長さんの御返答の向きを徹底されるようにしていただきたいと考えます。本日は時間も経過しましたからこのくらいにして、また次の機会に譲ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X01419510213/26
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027・平田敬一郎
○平田政府委員 ちよつと補足して申し上げますが、鶏の場合におきましても、鶏から生れました所得に対して課税するわけでございますが、ただそれを計算する方法といたしまして、一年に普通の鶏は卵を大体何個ぐらい産むという平均を算定いたしまして、鶏がかりに五羽おりますと、所得がどれくらいある、こういう一種の標準をつくつて計算することがございますことは、御了承願いたいのでございますが、先般の通達は、あまりこまかいものをあさつて、零細な所得をしいて追求するようなことはしないようにという趣旨で出したものでございますので、その点御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X01419510213/27
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028・夏堀源三郎
○夏堀委員長 本日はこれをもつて散会いたします。
午後零時四十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X01419510213/28
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