1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十六年三月十七日(土曜日)
午前十一時四十三分開議
出席委員
委員長代理理事 奧村又十郎君
理事 小山 長規君
大上 司君 川野 芳滿君
佐久間 徹君 島村 一郎君
清水 逸平君 苫米地英俊君
西村 直己君 三宅 則義君
宮幡 靖君 宮腰 喜助君
松尾トシ子君
出席政府委員
大蔵政務次官 西川甚五郎君
大蔵事務官
(日本專売公社
監理官) 久米 武文君
大蔵事務官
(主税局長) 平田敬一郎君
大蔵事務官
(主税局税関部
長) 石田 正君
委員外の出席者
大蔵事務官
(主税局税関部
業務課長) 木村 秀弘君
大蔵事務官
(主税局税関部
調査統計課長) 藤田 茂君
專 門 員 椎木 文也君
專 門 員 黒田 久太君
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三月十六日
復興金融金庫に対する政府出資等に関する法律
の一部を政正する法律案(内閣提出第一一四号)
関税法の一部を改正する法律案(内閣提出第一
一七号)
企業再建整備法の一部を改正する法律案(内閣
提出第九四号)(参議院送付)
同月十七日
たばこ專売法の一部を改正する法律案(内閣提
出第一一八号)
再評価積立金の資本組入に関する法律案(内閣
提出第一一九号)(予)
同月十六日
たばこ民営反対の請願(三木武夫君紹介)(第
一三〇八号)
同外十八件(佐々木更三君紹介)(第一三〇九
号)
同外四十六件(高橋清治郎君紹介)(第一三一
〇号)
同外三件(飯塚定輔君紹介)(第一三三七号)
同(庄司一郎君紹介)(第一三三八号)
同外一件(八百板正君紹介)(第一三七八号)
同外四十一件(志賀健次郎君紹介)(第一三七
九号)
同外六十三件(志賀健次郎君紹介)(第一三八
〇号)
同外一件(圓谷光衞君外一名紹介)(第一四〇
八号)
国民金融公庫法の一部改正に関する請願(今澄
勇君外五名紹介)(第一三三五号)
未復員者給與法等の改正に関する請願(關内正
一君紹介)(第一三三六号)
同(中村清君外一名紹介)(第一三七七号)
中小企業銀行法制定に関する請願(今澄勇君外
五名紹介)(第一三四二号)
山林富裕税査定に関する素地評価軽減の請願(
前田正男君紹介)(第一三七三号)
つばき原油に対する物品税撤廃の請願(畠山鶴
吉君紹介)(第一三七四号)
旧漁業権に対する補償金の免税に関する請願(
田口長治郎君紹介)(第一三七五号)
未復員者給與法の適用範囲拡大に関する請願(
畠山鶴吉君紹介)(第一三七六号)
旧赤坂離宮を国際迎賓館として保存の請願(畠
山鶴吉君外四十六名紹介)(第一四〇九号)
の審査を本委員会に付託された
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本日の会議に付した事件
農林漁業資金融通特別会計法案(内閣提出第六
三号)
外国為替資金特別会計法案(内閣提出第八一
号)
緊要物資輸入基金特別会計法案(内閣提出第八
八号)
物品税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
八九号)
保税倉庫法及び保税工場法の一部を改正する法
律案(内閣提出第一〇一号)
復興金融金庫に対する政府出資等に関する法律
の一部を改正する法律案(内閣提出第一一四
号)
関税法の一部を改正する法律案(内閣提出第一
一七号)
たばこ專売法の一部を改正する法律案(内閣提
出第一一八号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03619510317/0
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001・奧村又十郎
○奧村委員長代理 ただいまより会議を開きます。
昨十六日、本委員会に付託に相なりました復興金融金庫に対する政府出資等に関する法律の一部を改正する法律案、関税法の一部を改正する法律案、及びたばこ專売法の一部を改正する法律案の三案を一括議題として、政府より提案趣旨の説明を求めます。西川政務次官発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03619510317/1
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002・西川甚五郎
○西川政府委員 ただいま議題となりました復興金融金庫に対する政府出資等に関する法律の一部を改正する法律案提出の理由を、御説明申し上げます。
今回改正しようといたしますおもなる点は次の四点であります。
その第一点は、復興金融金庫の国庫納付金は、収益勘定からのものと資本勘定からのものとの二本建となつておりまして、その債権を保全するための費用につきましては、従来収益勘定で経理されていたのでありますが、この費用のうち本来債務者の負担すべきものは「債権保全費用立替金として資本勘定で経理するのが適当でありますので、今回これを資本勘定からの国庫納付金の計算に算入することとしようとする点であります。
第二点は、復興金融金庫が引受けた農林債券の償還金につきましては、従来その国庫納付に関する規定が設けられていなかつたのでありますが、これを昭和二十六年度において国庫に納付せしめ、その納付額に相当する金額の減資を行おうとする点であります。
第三点は、復興金融金庫が融通した資金で、代物弁済として公社債を受入れることにより回収したものがあります場合には、その公社債の当該年度における償還金に相当する金額を、国庫に納付せしめようとする点であります。
第四点は、昭和二十五年度分の国庫納付金につきまして、その納付のための支出予算額が、その納付すべき額に対して不足いたします場合には、その不足額を昭和二十六年度において納付せしめることとしようとする点であります。
次に関税法の一部を改正する法律案について、提出の理由を御説明申し上げます。
今回改正しようといたしますおもな点は次の五点であります。
その第一点は、関税法は、戰時中行政簡素化の趣旨により、外国貿易船、輸出業者に対する許可、認可事項を極力廃止したのでありますが、近時の外国貿易の正常化に伴いまして、必要最小限度の取締り規定を復活することといたしました。
第二点として、税関の執務時間外の臨時開庁等には、従来、勅令または省令をもつて手数料を徴収していたのでありますが、財政法の規定の趣旨にかんがみ、これを法律に規定することといたしました。
第三点としては、外国貿易の伸展並びに関税率の全面的改正に即応いたしまして、関税の賦課に関して不服のある輸入業者の利益を保護するため、関税訴願審査制度を整備することにいたしました。
第四の点としては、近時密貿易の方法はきわめて巧妙になつておりまして、犯則者は往々犯則物件を海中に投下する等の方法をとつており、犯則貨物が漂流物または遺失物として拾得される場合が多いので、これらの物件を拾得した者は、税関または警察に差出さなければならないこととする等、水難救護法及び遺失物法の特例を設けることといたしました。
第五の点としては、密貿易者の検挙に重要な役割を果している第三者通報制度の一層の活用をはかるため、報告者に対する報償金を増額することといたしました。
その他港域法の改正に伴いまして、別表で規定しております開港の港名等について、所要の改正をいたそうとするものであります。
次はたばこ專売法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。
まず第一点は、農薬用タバコに関する特例を設けたことでありまして、農薬用葉タバコは、日本專売公社においてその収納を行わないこととし、他方これらの葉タバコも、製造タバコの原料として用いることもできるので、右の措置に応じ、たばこ専売法違反事件の取締り上適正な運用を定め、所要の規定を整備いたしたことでございます。
次に、第二点として製造タバコに対する災害補償の規定を整備いたしたことであります。製造タバコの小売人は、日本専売公社の指示するところに従い、一定の製造タバコの品種別手持数量を、常備しなければならない義務がございますが、日本專売公社の責めに帰すべき事由、または不可抗力によつて小売人が所持する製造タバコが、品質の悪変、包装の汚染等、販売に不適当となつた場合には、現行法では引きかえ制度によつて救済することとなつております。しかし、天災によつて小売人の製造タバコが滅失いたしました場合には、小売人は、手元に引きかえるべき製造タバコがないわけでございますから、このような場合には、その滅失した製造タバコの二分の一程度までは、補償することができる制度を設けることといたした次第でございます。
最後に製造タバコの包装の製造等の許可制について御説明申し上げます。たばこ専売法違反事件の取締りの必要上、新たに包装の製造または営業の目的を持つた所持、讓渡、販売等について、日本專売公社の許可を要することといたした次第でございます。
以上がこの三法律案の提案の理由であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03619510317/2
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003・奧村又十郎
○奧村委員長代理 次に農林漁業資金融通特別会計法案、外国為替資金特別会計法案、緊要物資輸入基金特別会計法案、保税倉庫法及び保税工場法の一部を改正する法律案、関税法の一部を改正する法律案、物品税法の一部を改正する法律案を一括議題といたしまして、前会に引続き質疑を継続いたします。三宅君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03619510317/3
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004・三宅則義
○三宅(則)委員 私が本委員会において質疑をいたしたいと思います事柄は、沖繩いわゆる琉球でありまするが、この地はかつては日本の領土でありましたし、砂糖でありますとか、あるいはしようちゆうでありますとか、その他の物資、大島つむぎ等も日本内地によく入つて来ておつたのです。ところが今日はそういうわけには参りませんから、昨年の議会におきまして、大島つむぎ等につきましては特に輸入税を免除する、こういうことを言つておつたのでありまするが、今年はどういうような結果になりまするか。当局は考えておられますか。私どもはなるべく昨年に類しましたように、輸入税等は免除いたしたいと考えておりますが、いかがなものでしようか、承りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03619510317/4
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005・平田敬一郎
○平田政府委員 沖繩と日本との関税の問題につきましては、前回宮幡委員のお尋ねにお答えしておいたのでございますが、御指摘の通り、つむぎ等に対しましては昨年法律案を提案いたし、御可決願いまして免税いたしておりますが、その他の物資につきまして、なお若干問題があろうかと存じます。たとえば黒糖、あわもりというような沖繩特産の物資がございまして、これに対していかなる措置を講ずるか。これは確かに問題の点があろうかと考えるのでございまするが、そういう問題につきましては、別途適当な方策を考えて行つたらどうか、かように考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03619510317/5
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006・三宅則義
○三宅(則)委員 今主税局長のお話によりますと、別途に考えるということですが、早急にそうしたものにつきましても考慮せられて、その上で本議会に提出せられる御予定でありましようか。いかがでありましようか。その辺をひとつ承りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03619510317/6
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007・平田敬一郎
○平田政府委員 この問題はいろいろ問題がありまして、沖繩だけに限定して特別の立法をするのがいいかどうか、問題は相当複雑なものがあるようでございます。私どもの考えといたしましては、従来からの関係あるいは今後における交易関係等を考慮いたしまして、関税についてはできる限り特別の措置を講ずる方がいいのではないかと考えておるのでございますが、その具体的な解決方法などにつきましては、なお若干の問題があるようでございます。今すぐどういう措置をとるかというところまでは、本日申し上げる段階に参つていないことを御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03619510317/7
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008・三宅則義
○三宅(則)委員 それでは外人の日常用品に対する関税につきまして、お伺いいたしたいと思います。日本に在住しておられますところの外人は、文化指導とか外資導入とかいうような点におきまして、日本に貢献せられておるわけでありまするが、かかるお方の日常用品は、ただいまの提案になつておるところによりますと、関税定率法の改正によりまして食糧の輸入税を免除する法律が廃止となりました結果一従来免税せられておりましたものが、今後課税せられることになるように考えるのであります。たとえば紅茶とかコーヒー、チーズは三割五分、バターは三割という税率が課せられることになつておるのでありますが、このような日本で生産せられないものとか、されてもしごく少量であるとかいうようなものに対しましては、保護関税的な意味はないように考えております。この関税は軽減するとか、免除するとかいうことが適当であると思いまするが、政府の御意見を承りたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03619510317/8
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009・平田敬一郎
○平田政府委員 今御指摘の点は、確かに今度の関税定率法の案につきまして問題にいたした点でございまして、いろいろ研究いたしてみたのでございます。今、バターとかチーズの保護の必要がないという御意見のように承りましたが、そういうようなものについて、その点は私どもさように考えておりません。やはりこういうものにつきましては、それぞれ必要な関税率を設けまして、国内産業の保護をする必要はあるというふうに考えておるのであります。ただ税率につきましては、むしろ従来は大多数のものがぜいたく品としての関税の適用を受けまして、一〇〇%の課税をいたしていたのでございますが、これをむしろ今御指摘のような程度に合理的に引下げようというのが、今回の関税定率法の改正の趣旨でございます。その引下げた限度でございますれば、相当外国人等に及ぼす影響もあろうかと思いまするが、何とかしてしんぼうしていただけるのじやないかという点も考えまして今回の法案を作成いたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03619510317/9
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010・三宅則義
○三宅(則)委員 この前外国の方々が委員長にも陳情せられ、本国会にもおいでになつておりまするが、外国人のそうした使用物資に対しましては、なるべく関税を安くしてもらいたい、こういう陳情があつたわけです。外国人だけが使用する品物に課税するということは、外人に課税するということになりまして、国際感情の上からも、あまり好ましくない空気が起りはしないかと考えておるのであります。そこで何らか緩和の道は考えられないものであろうかということを伺いたいのであります。たとえば販売のためでなく、消費者がみずから個人的に輸入するものであることを、はつきり区別できるような場合におきましては、免税にするというような措置をとることはできないものでありましようか。この点につきましては、たびたび外国人の方々からも陳情があつたわけでありまするから、この際懇々と陳情のあつたことを申し上げるのでありまするが、政府といたしましてのお考えをこの際承つておきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03619510317/10
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011・平田敬一郎
○平田政府委員 この関税定率法には、免税に関しましての一定の規定がございます。それは大体旗行者の旅行用品及び旅客の職業上必要なる器具であつて本人の使用するもの、これは免税することにいたしております。それから引越しの際の本人または家族の用品、職業上必要なる器具、その他正常かつ相当の家財道具、但しすでに使用した実績のあるもの、つまり今まで使用したものを引越し荷物としまして持つて来る場合、こういう際におきましては、関税定率法の規定によりまして免税いたしております。その他の新品につきましては、免税するということはなかなか困難であろうと考えられるのでございます。個人が直接消費のために輸入するものを免税するということになりますと、これはやはり全般的に及ぼす影響が多大でございますので、そういう場合におきましては課税されてもしかたがない。むしろ関税の目的を達成するためには、やはりそういうような場合には関税がかかるようにしておくのが妥当であると、私どもほ考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03619510317/11
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012・宮腰喜助
○宮腰委員 関税定率法の問題でちよつとお伺いしますが、今までの第一次世界大戰、第二次世界大戰の根本原因は、経済上の機会均等、天然資源の機会均等を得られないことが根本原因になつて、戰争が起きたのじやないかと考えておる一人でありますが、今回の関税定率法の改正にあたりまして、保護関税的な性質を持つているものが相当あります。そういう場合に、外国の方から報復的な手段を用いられないかという心配が起つて来るのであります。こういう問題について、そういうような内容を持つたものがあるかどうかをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03619510317/12
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013・平田敬一郎
○平田政府委員 お話のような点は、関税定率法の率を審議する際におきまして、私ども十分愼重審議いたしたいのでありまして、今回提案しましたような関税率でございますれば、お話になるような心配はないものと私ども確信いたしております。世界的な傾向等も十分見まして、單に国内の事情のみならず、世界の関税率の動向、あるいはガットとかITO等の精神に照して、妥当な関税率を盛るということにつきまして、相当こまかく審議いたしておりますので、お話のような懸念はないものと私ども確信をいたしておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03619510317/13
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014・宮腰喜助
○宮腰委員 重油の輸入並びに原油の輸入の問題ですが、これなども国内では約一割くらいの生産で、九割を外国から買つて来なければならない。そういう場合に一割関税などというものは、保護関税に近いものじやないかと思うのです。これはわれわれはどうしても無税にすべきであると思うのです。今日の産業界復興のために必要であるところの資材を、もつとよりよく輸入する意味において、一〇%の税をかけるということは不当に思うのですが、局長はどういうお考えでありましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03619510317/14
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015・平田敬一郎
○平田政府委員 石油類の関税率の問題につきましては、先般の合同審査会で大分詳しくお話が出まして、意見を申し上げておいたのでございますが、政府の原案の趣旨といたしましては、基本的にはやはりわが国の原油資源を保護し、さらに拡張をはかり増産をはかるというこの政策は、わが国にとりましてきわめて緊要なことである。一割というような非常に少い割合であるので、その必要はないじやないかという御議論もあつたのでございますが、しかしわが国に一割の原油が産するか産しないか、しかもそれが将来ある程度伸びる可能性があるかどうか、これは日本の石油業界と申しますか、石油の地位を高めると申しますか、国際的な取引の中におきまして、それを確保するゆえんであるということは、関税率審議会等におきましても多くの有識者の意見でございます。従いまして石油資源をでき得る限り保護し、さらに将来拡大するという必要性につきましては、大体におきまして異論がないように、私ども承知いたしておるのであります。ただ問題は、それを関税によつてどの程度保護するか。あるいは関税によらないで助成金等の方法で保護するのがいいか。この点につきましては、率直に言いましていろいろ意見のわかれるところでありますが、今の時世から申しますと、助成金ばかりにたよるわけにも行かない。しからばといつて関税率だけによつて保護するということは、他の産業に及ぼす影響等からできない。そういう点から考えまして、比較的低い一〇%の課税にしました。助成金も試掘助成金はある程度——一億数千万円出すことになつております。両々相まちまして石油資源の開発増産等に資するようにしたい。これが原案の趣旨でございます。ただ問題は、最近いろいろ事情がございまして、運賃等の関係で、外国の石油が必ずしも国内の石油よりも安くない、こういう事情が現在のところ、ごく短期の状況を見ますと若干出ておるようでございます。しかしこれも私ども長期にわたつて見ますと、日本の石油産業は外国の石油産業に比べまして、採算上あるいは経営上有利だということは言い得ないと考えるのでありまして、やはり若干長期な目をもつて見ますれば、この程度の関税率を設けて石油産業を保護して行くということは、わが国の基本政策としまして重要なことではないか、かように考えております。従いましてごく短期の事情と、やや長期にわたりまする関税政策、その点はよくかみわけて、適切なる判断を下さるべきものではないか、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03619510317/15
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016・宮腰喜助
○宮腰委員 それからパルプの輸入の五%の課税でございますが、ごく最近繊維会社あたりは、盛んに北海道、東北のぶな材の買牧にかかつていまして、以前は石当りせいぜい五、六百円であつたものが、今では二千円を突破する状態であります。それがために各会社は争つてこのぶな山を買い取るので、各町村に非常な影響を来しております。もしもこの繊維業者が濫伐するようなことがあれば、治山治水上も大きな問題であります。今日土地改良費が思うようにできないという時代に、また濫伐の結果、治山治水上に大きな問題を投げかけることになるのであります。私はこのパルプの輸入の問題も、どうせ外国へ出す品物が多いのでありますから、パルプの五割も無税にすべきではないかと考えるのでありますが、いかがでありましようか。
〔奧村委員長代理退席、小山委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03619510317/16
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017・平田敬一郎
○平田政府委員 パルプの関税率につきましても、いろいろ議論したところでございまして、結局一番低い五%の関税率にすることに結着いたしたわけでございますが、その基本的な考え方は——日本の今のパルプ産業は、現在のところ相当牧益を上げておりまして、どちらかというと好況であります。しかし長い目で見て、世界のパルプ状態の中における日本のパルブ工業の地位ということを考えますと、やはり将来相当保護を要する産業ではないか。今お話のような点は、むしろそのほかの方法でそれぞれ適当な措置を考えるにいたしましても、基本的な考え方といたしましては、やはりパルプ産業のできる限りの自給という方向に将来向つて行くのが、正しい行き方ではないかというような点から、この関税率を設定することにいたしたのであります。ただ御指摘の通り、現在は緊急に保護しなければならないかと申しますと、必ずしもそうでもない。そういう点を考えまして、関税率といたしましては最低の五%という税率、これによりますれば他産業等に及ぼす影響も軽微でございまして、しかも政府といたしまして、パルプ産業の保護という点を考えるという意味におきまして、相当な効果があろうという点を考えておる次第でございます。そのような意味において五%の関税率を、原案としまして作成いたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03619510317/17
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018・宮腰喜助
○宮腰委員 もう一点お尋ねしたいのですが、ごく最近、どういう方面から流れて来るのかわかりませんが、進駐軍の菓子類が町に氾濫しております。それで大きな業者からは、こういうような無制限な放出では困るという陳情もあります。現在露店あたりで、アメリカの菓子を盛んに売つておりますが、あれはどういう理由でああいうふうに放出されているのか。当初私らがこの委員会で伺つたときには、あれは臨時措置で、手持品を処理すればなくなるというお話であつたのですが、今もつて盛んに全国的な販売方法を講じて——系統立つた問屋か何かできておるようであります。私はあれはおそらく脱税によつて動いているものではないかと思うのですが、局長さんはこれをお調べになつたことがあるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03619510317/18
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019・木村秀弘
○木村説明員 お答えします。現在町に氾濫しておりますアメリカの物資につきまして、大体の流れる径路といたしましては、PX、QXというような軍の施設から兵隊さん連中が買い取りまして、それをただでやるとか、あるいは横に流すどかいうものがございます。それからまた第二の径路といたしましては、OSSとかあるいはSS、いわゆる外人商社、あるいは明治屋のように外国産品を販売しております店から、外人等が購入いたしまして、それを流すというような品物もございます。それから第三には、以前大量にありましたように、PXの商品でもつて不要になつたものを、大量に拂い下げるというような場合がございます。それから第四といたしましては、たとえば呉の英濠軍が、手持ちのウイスキーとかあるいはお菓子とかいうようなものを拂い下げる場合もございます。それで現在こういう拂下げをどういうふうに防止しておるかと申しますと、第一は、そういう正規の拂下げの場合には、ただちに業者に直接に拂い下げるということでなく、通産省のルートを通して拂い下げていただきたいというような懇請をしたことがございます。それからまた経済調査庁あるいは税関において、そういう販売しておる店をいろいろ調査したこともございます。しかしながらこれは国際的に非常に微妙な関係にございまして、そういう物品が自由に買われて、それを売るということをとめるということは、ちよつと現在の状態では困難でありまして、買受人を処罰するという規定は現在ございません。もしSSとかOSSとかいうような商社が、日本人に売りさばいたという場合におきましては、指定生活物資配給規則という規則に触れまして、それを処罰する二とができるのでございますけれども、そうではなくて、それを軍なりあるいは外人が買いまして、それを流したという場合におきましては、これを処罰するという規定がございません。従いまして徹底的な取締りは、現下の状態のもとでは非常に困難なことになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03619510317/19
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020・宮腰喜助
○宮腰委員 これはタバコの例でありますが、タバコなんかは持つてると、さつそくMPが来てつかまえて処罰される場合が多いのでありますが、タバコ收入は国家の財政収入を守るということで必要でございましようが、お菓子の場合でもMPの取締りをやれるものかどうか。その点を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03619510317/20
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021・木村秀弘
○木村説明員 タバコの場合におきましても、現在御承知のように相当横流し品が氾濫しておるのでございますが、菓子類につきましてもこれをどこまで取締るか。また徹底的に取締るためには、先ほど申し上げましたように、商社が流すのでなければ、買つて横流しをする人を徹底的に取締る必要があるのでございまして、これができないということになりますと、どうしても徹底的な取締りはまずできない。従いまして現在取締つております範囲は、商社自体がやみ流しをするというこの点については、相当嚴重な取締りができておりますけれども、今申し上げたような前の場合におきましては、やはりどうしても取締りが徹底的にはできないということになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03619510317/21
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022・宮腰喜助
○宮腰委員 それからもう一点お伺いしたいのは、第三国人が外国へ輸出するといつて、特別な安い価格で配給を受けて、それを国内に売却して不当なもうけをしている人があるようであります。悪徳な業者がそういう外人と組んで、安く買つて、ただちに日本の国内に売却するという事実がありますが、これなども相当嚴重に取締らなければ、日本の産業界に大きな影響を與えるのじやないかと思います。そういう実例がたくさんありますが、こういう事件について取締りをやつたことがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03619510317/22
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023・木村秀弘
○木村説明員 お尋ねの外国へ輸出するために安く買つてそれを国内へ流すというお話は、第一の点は、外国へ輸出するものだから物品税を免税される。物品税を免税されたのだけれども、事実は国内へ流れるということがまず第一に考えられますが、終戰当初から昭和二十三年の終りか四年のころまでは、そういう例が相当あつたのでありますけれども、現在におきましては税関における船積みの確認証を持つて行かなければ、最後的な免税は税務署で受けられないという建前に、嚴重になつて来ましたので、この点は現在問題がなかろうかと存じます。
第二の点といたしましては、これは外国へ輸出するから特に安く仕入れられるというのは、私ちよつと意味がわからないのでありますが、そういう例が事実あるかどうか。今のところちよつと私の記憶では、そういう例はないと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03619510317/23
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024・宮腰喜助
○宮腰委員 最後に一点お願いしておきますが、横浜の税関長から、われわれが視察した後にも、特に注意をされておつた点があります。それはあの棧橋にある倉庫が税関の行政上非常にじやまになるから、国会あたりでも積極的にあれをとりはずすなり買収するなり、方法を講じてもらいたいということです。おそらく常識から言つてもそうだろうと思う。税関と棧橋の間にああいう倉庫を許可するということは、どういう関係で許可したかわかりませんが、あれは政府で買収して、適当なところへあの倉庫を建ててあげるということが合理的じやないかと思う。これは税関長初め、あそこにおられる職員すべての人が反対しておる状態でありますから、この点について特に研究の上御返答願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03619510317/24
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025・木村秀弘
○木村説明員 多分今のお話は、横浜税関の南棧橋の根つこにあります倉庫のことだろうと思いますが、あれが建ちます当初からわれわれも反対をしておつたのであります。おそらくああいうところへ倉庫を建てるということは、非常な異例でございまして、しかもああいう鉄筋ユンクリートの永久的な建造物をああいうところへ建てるということは、ほかの港ではあまり考えられないことであります。それで建つ前に相当われわれとしても反対いたしましたし、また大蔵省の当時の国有財産部——現在の管財局でございますが——あたりからも局長がおいでになつて、海運局といろいろ折衝を願いまして、簡單な仮建築の上屋ならばともかくとして、永久的なものは建てないようにというお話があつたのでありますが、その話があつたときは、すでに海運局と横浜埠頭株式会社との間に、一時使用の契約が締結されておつたという話で、その後そういう忠告を無視いたしまして、そこへ強行して倉庫を建ててしまつたわけであります。それで現在となりますと、税関の現在の建物が非常に手狭でありまして、四箇所にわかれております。なお検疫所の建物がございません。それで税関と検疫所と合同の庁舎をあそごへ建てる。どうしても検疫所あたりも、船が入つて参りますと一番に外国船にかけつけなければなりませんので、どうしても港の先に庁舎を持つ必要がありますので、こういう意味におきまして合同庁舎を建てたい。ところがそこにある倉庫を取拂うということにつきましては相当問題がございまして、非常に目下のところ困つておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03619510317/25
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026・大上司
○大上委員 政府当局にひとつお尋ねしたいことがあります。委員長より、あるいはまた各委員からいろいろ政府当局に希望を述べております。ところが本日また新しく法案が提出せられた。会期もごらんの通り切迫しておる。特にわれわれといたしまして勉強して行かなければならぬのは、大蔵省におきましては、たとえば租税の問題であると、各国税庁なり国税局、税務署を通じてすぐ資料は寄つてしまう。われわれ議員は真劍に取組んで、真劔に勉強して行くためには、相当時間をもらわなければできない。資料がないにもかかわらずこんなものを新しく出して来られた。しかも大蔵委員会にかかるものは予算と非常に関連性があるものが多い。政府は一体どう考えておられますか。まず政務次官のお考えを向いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03619510317/26
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027・西川甚五郎
○西川政府委員 先般西村委員並びに委員長から御忠告もありまして、各法案を出しまして、その審査に入る以前にその法律案の提案説明以外に、具体的に説明を申し上げようということで、各政府委員の方によく申し伝えまして、それ以後やつておるはずでございます。ただ法案がこういうようにたくさん参りますると、実際大上委員のおつしやる通り審査もできませんので、参考資料としてなるべく整えて提出するようにいたしたいと思つておるのであります。事実そういう欠陷がございまして、はなはだ困る点もございますので、十分その点は資料なども集めまして、御期待に沿うようにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03619510317/27
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028・宮幡靖
○宮幡委員 法律案の審議を急ぐ意味において、一つだけ伺つておきます。保税倉庫法及び保税工場法の一部改正及び関税法の改正と関連いたしまして、一点重要なことをお伺いいたしておきます。それは御承知のように自由貿易に返りまして、貿易も躍進して参りまして、特にすばらしい国際経済の変転期となり、ただいまでは特需の土に新特需、具体的に申せば日米経済協力の一環といたしまして、アメリカの民間業者から日本の民間業者への発注がある。こういうような事態が予想され、そうして原料資源等もあるいはプール的な操作も起るのではなかろうか、こういう事態であります。そこで貿易の態勢につきましても、いろいろな変更があると同時に、その具体的な方法についてもかなりの変更が予想されます。関税の問題としてこれを考えました場合において、かなり港におきましての加工貿易——国内におきましての加工貿易ということはしばらく別としまして、保税倉庫を介在いたしましての加工貿易、こういうものが起つて来るであろう。すなわち自由港区とかあるいは自由貿易地帯とか、こういうものを考えて行かなければならぬと思いまするが、自由貿易地帯の設定とか自由港区の問題とかにつきまして、大蔵省当局として、ただいまの御構想はどんなふうにお進めになつておりますか。この点をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03619510317/28
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029・平田敬一郎
○平田政府委員 お話の自由貿易地帯と申しますか、そういつた地帶を税関地域に設けまして、自由貿易、中継ぎ貿易の促進をはかるようにしたらどうかということにつきましては、これは昨年以来大分問題になりまして、研究してみたことも実は率直に申しましてあるのでございます。大蔵省としましては、こういう制限を設けてやるならば、あるいはやつてもいいのじやないかというところまで、研究が進んだこともあるのでございますが、その後さらにいろいろ検討いたしました結果といたしましては、今すぐ実行に移すのは少し早かろう。もう少し、今御指摘になりました保税倉庫法、保税工場法等の活用をうまくやりますれば、それによりましても相当目的を達成することができるのではないかというような点を考えまして、そのような地帶を制度として新たに設けることにつきましては、現在のところまだその方がいい、そうしなければならないという具体的な結論にまでは到達いたしておりません。しかしこの問題は御指摘のように、相当今後の日本貿易の発展に関連しました重要問題の一つであると考えておりますので、保税倉庫法、保税工場法等の運用の実際等もにらみ合せまして、今後におきましても十分検討して参りたい、かように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03619510317/29
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030・宮幡靖
○宮幡委員 大蔵省もすでに相当程度御研究なさつたようでありますので、その点は一応けつこうなことだと存じます。おそらく将来の貿易の状況から参りますと、包裝がえとか、あるいは内容を詰めかえるとか、あるいは一部の物をとりかえまして入れるとかいう場合に、やはり関税をくぐつて参ります物としからざる物と、いろいろな区別があると思いまして、どうしても将来の趨勢としましては、税関地帶に自由貿易の地帶——自由貿易港等までは私どもは考えておりませんが、そういう一つのゾーンを設けるということは必至になるのではなかろうか。私は今後とも、もちろん現在ありまする保税倉庫法あるいは保税工場法等の運用と活用によりまして、こういう自由貿易地帶というふうなものは広くない方がよいのでありまして、きわめて縮小されたものでよろしいのでありますが、もし現行法の改正等によりまして補足できない面がありましたならば、ぜひ御考慮願いまして、日本の貿易の円滑化をはかりますために、今後とも御努力をいただきたいことを、この法案の審議に関連いたしまして、希望として申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03619510317/30
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031・小山長規
○小山委員長代理 午前中はこれをもつて休憩いたします。午後は一時半から再開いたします。
午後零時二十八分休憩
〔休憩後は開会に至らなかつた〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03619510317/31
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