1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十六年五月十八日(金曜日)
午後一時五十八分開議
出席委員
委員長 夏堀源三郎君
理事 奧村又十郎君 理事 西村 直己君
理事 内藤 友明君
佐久間 徹君 島村 一郎君
清水 逸平君 高間 松吉君
苫米地英俊君 三宅 則義君
宮幡 靖君 宮腰 喜助君
松尾トシ子君 竹村奈良一君
深澤 義守君
出席政府委員
大蔵政務次官 西川甚五郎君
大蔵事務官
(主計局法規課
長) 佐藤 一郎君
大蔵事務官
(主税務局調査
課長) 泉 美之松君
大蔵事務官
(国税庁直税部
長兼主税局税制
課長) 原 純夫君
委員外の出席者
農林事務官
(水産庁魚政部
長) 松任谷健太郎君
農 林 技 官
(水産庁魚政部
経理課長) 増田 正一君
専 門 員 椎木 文也君
専 門 員 黒田 久太君
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五月十六日
委員武藤嘉一君辞任につき、その補欠として宮
幡靖君が議長の指名で委員に選任された。
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五月十七日
船主相互保険組合法の一部を改正する法律案(
内閣提出第一六八号)(予)
外国保険事業者に関する法律の一部を改正する
法律案(内閣提出第一六九号)(予)
保険業法の一部を改正する法律案(内閣提出第
一七〇号)(予)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した事件
連合審査会開会要求に関する件
租税債権及び貸付金債権以外の国の債権の整理
に関する法律案(内閣提出第一五九号)
租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣
提出第一六〇号)
船主相互保険組合法の一部を改正する法律案(
内閣提出第一六八号)(予)
外国保険事業者に関する法律の一部を改正する
法律案(内閣提出第一六九号)(予)
保険業法の一部を改正する法律案(内閣提出第
一七〇号)(予)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X05119510518/0
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001・夏堀源三郎
○夏堀委員長 これより会議を開きます。
議案の審査に入りまする前に、連合審査会開会の件を議題といたします。
実は目下本委員会におきまして審査中の、租税特別措置法の一部を改正する法律案につきましては、本法律案が漁業権の消滅に伴う補償金の課税上の特例を設けることを目的といたしておりまするために、水産委員会より、右案についての連合審査の申入れを受けております。本委員会といたしましても、右申入れはもつともと存じますので、この案について水産委員会と連合審査会開会の決定をいたしたいと存じますが、この点御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X05119510518/1
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002・夏堀源三郎
○夏堀委員長 御異議ないと認めます。それでは右案について、水産委員会と連合審査会を開会することに決定いたしました。
なお右連合審査会開会の時日につきましては、明十九日午後一時といたしたいと存じますが、この点御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X05119510518/2
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003・夏堀源三郎
○夏堀委員長 御異議ないと認めまして、さよう決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X05119510518/3
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004・夏堀源三郎
○夏堀委員長 次に、昨十七日、予備審査のために本委員会に付託に相なりまし船主相互保険組合法の一部を改正する法律案、外国保険事業者に関する法律の一部を改正する法律案、及び保険業法の一部を改正する法律案の三法律案を一括議題といたします。まず政府当局より提案趣旨の説明を求めます。西川政府委員。
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船主相互保険組合法の一部を改正する法律案
船主相互保険組合法の一部を改正する法律
船主相互保険組合法(昭和二十五年法律第百七十七号)の一部を次のように改正する。
第十五条第七項中「第二百三十九条第四項及び第二百四十条」を「第二百三十九条第五項及び第二百四十条第二項」に、「及び第二百四十七条から第二百五十三条まで(株主総会の決議の取消)」を「、第二百四十七条、第二百四十八条、第二百五十条、第二百五十二条及び第千百五十三条(株主総会の決議の取消又は無効)」に改める。
第二十条を次のように改める。
(商法の準用)
第二十条 商法第百九十三条及び第百九十四条(発起人の責任)、第二百六十六条第四項(取締役の責任の免除)並びに第二百六十七条から第二百六十八条ノ三まで(取締役の責任を追及する訴)の規定は、組合の発起人に準用する。この場合において、商法第二百六十七条第一項中「六月前ヨリ引続キ株式ヲ有スル株主」とあるのは「組合員」と読み替えるものとする。
第三十条中第四項及び第五項を次のように改める。
4 前項の場合において、同項の期間内に、正当の理由がないのに、理事が臨時総会招集の手続をしないきは、同項の組合員は、主務大臣の認可を受けて、臨時総会の招集をすることができる。
5 五分の一以上の組合員が臨時給会を招集する必要があると認める場合において理事がないときは、その組合員は、主務大臣の認可を受けて、臨時総会の招集をすることができる。
第三十二条第一項中「出席した組合員の」を「 半数以上の組合員が出席し、その」に改める。
第三十四条を次のように改める。
(商法の準用)
第三十四条 商法第二百三十九条第四項及び第五項並びに第二百四十条第二項(特別利害関係人の議決権等)、第二百四十四条(株主総会の議事録)並びに第二百四十七条、第二百四十八条、第二百五十条、第二百五十二条及び第二百五十三条(株主総会の決議の取消又は無効)の規定は、総会に準用する。この場合において、商法第二百四十七条第一項中「第三百四十三条」とあるのは「船主相互保険組合法第三十二条第四項」と読み替えるものとする。第三十五条第四項を同条第五項とし、同条第三項の次に次の一項を加える。
4 役員は、定款で定めるところにより、総会において、解任することができる。
同条の次に次の二条を加える。
(業務の執行)
第三十五条の二 組合の業務の執行は、定款に特別の定のある場合を除いて、理事の過半数で決する。
(組合の代表)
第三十五条の三 理事は各自組合を代表する。
2 組合は、前項の規定にかかわらず、定款で定めるところ若しくは総会の決議により、組合を代表すべき理事を定め、若しくは数人の発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X05119510518/4
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005・西川甚五郎
○西川政府委員 ただいま議題となりました保険業法の一部を改正する法律案外二法律案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。
まず保険業法の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。保険業法の改正点の第一は、いわゆる保証保険事業を保険業法上の保険事業として認めようとするものであります。保証保険事業は、現に諸外国において保険会社によつて行われており、今日わが国においても一般から要望されているのでありまして、保険会社が物品納入者、被用者または工事請負人等の一般契約上の債務者から保険料を受入れ、物品注文者、使用者または工事発注者等の債権者が、契約の履行に関してこうむる損害を補填する事業であります。本来保険事業は偶然の事故を契約成立の要素としまして、保険契約者の故意による場合にはこれを担保しないのでありますから、この点保証保険事業は、本来の意味の保険事業とは申しがたいのであります。しかしながらこの事業は、損害保険事業に類似し、損害保険会社に行わせることが適当であると認められますので、今回右のいわゆる保証保険事業を、保険業法上の保険事業に含ましめることに改正いたそうとするものであります。
改正点の第二は、商法の改正に伴うものであります。すなわち保険業法は、保険相互会社について、商法の株式会社に関する規定を全面的に準用しておりますので、改正商法に従つて、相互会社の特殊性を考慮しつつ、準用規定に所要の改正を加えるものであります。また保険株式会社につきましては、改正商法の規定が適用されるのは当然でありますが、保険株式会社に無額面株式の発行を認めることは、その資本の金額を不確定にするものでありまして、他の金融機関における場合と同様、不適当でありますので、保険株式会社には無額面株式に関する商法の規定の適用を排除することといたしました。また資産の評価純益を資本準備金として積み立てるべきものとする改正商法の規定については、すでに保険業法に財産の評価及び売却純益を、特別準備金として積み立てることを強制している特別規定がありますので、保険会社についてはその適用を排除することとしたのであります。
以上の諸点が保険業法の改正の要点でありますが、そのほか現行法の罰則は実情に即しないので、これを相当程度強化するごとといたしております。
次に、外国保険事業者に関する法律の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。商法の改正に伴い、この法律の中で商法の規定を準用している部分について、規定を整備する必要がありますので、このため所要の改正を加えるとともに、保険業法におけると同様に、外国保険事業者につきましても、新たにいわゆる保証保険業法を日本において営むことを認め、このほか罰則の強化をはかることといたしました。
最後に船主相互保険組合法に関する法律の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。船主相互保険組合については、商法の株式会社に関する規定が多数準用されておりますので、今回の商法の改正に伴い、船主相互保険組合の特殊性を考慮しつつ、所要の改正を加えようとするものであります。
以上三法律案につきまして、その提案の理由及び概要を御説明申し上げましたが、何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願いいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X05119510518/5
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006・夏堀源三郎
○夏堀委員長 次に、租税債権及び貸付金債権以外の国の債権の整理に関する法律案、及び租税特別措置法の一部を改正する法律案の両法律案を一括議題といたしまして、前会に引続き質疑を続行いたします。深澤君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X05119510518/6
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007・深澤義守
○深澤委員 租税特別措置法の一部を改正する法律案について、二、三の点を質問申し上げたいのでありますが、提案理由にあるところの第二の土地収用等に伴つて交付される補償金に対する課税の問題があるのでありますが、土地収用によりまして補償金を交付するような事件が、現在どの程度ございますか。その点をひとつお聞きしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X05119510518/7
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008・泉美之松
○泉政府委員 建設省の方の資料によりますると、土地収用事業といたしまして認定いたしました件数は、昭和二十二年以降の統計がございますから順次に申し上げますと、昭和二十二年が七件、二十三年が十九件、二十四年が二十五件、二十五年が三十七件、このように最近になりまして漸次増加して参つておる状況にございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X05119510518/8
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009・深澤義守
○深澤委員 なお、この件数の内容のわたりまして、たとえばこれはどういう種類の事業を行うことによつて、土地収用をしなければならなかつたかどいう、その内容がおわかりでございましたならば、ひとつ承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X05119510518/9
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010・泉美之松
○泉政府委員 これは土地收用法そのほか都市計画法、各法律の規定におきまして、それぞれ公共事業的なものと認められましたものにつきまして、収用という規定が発動されることになるわけでございます。煩わしゆうございますから、昨二十五年のものについてだけ申し上げますと、二十五年度、三十七件のうち、学校建設が十一件、河川の改修が十一件、道路の関係で五件、鉄道の関係で三件、あと病院、上水道、下水道、用水路、橋梁関係が各一件ずつ、それから官庁の庁舎の拡張が二件、こういうことになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X05119510518/10
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011・深澤義守
○深澤委員 最近各地で飛行場の拡張等の問題で、土地収用の問題が相当起つておるようであります。これは昭和二十五年度におきましても相当あつたやにわれわれは聞いおるのでありますが、これに対する問題は土地收用としてやつておりますか。そしてこの土地収用に伴う補償として処理しておるのでありますか。その点はどうでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X05119510518/11
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012・原純夫
○原(純)政府委員 今回の法案の効力の発生の日取りが二十六年一月一日となつております。従いまして今回の改正法案では二十五年度中の収用分はカバーされないわけであります。しかしながらこれはいろいろな行きがかりでそうなつたのでありますけれども、実体的には、二十五年は御存じの通り税法が全面改正になりまして、譲渡所得は前のように半分にして課税するということのなくなつた時期でもありまするし、こういう関係で田畑を取上げられるという場合に、何らかの手を打たなければならぬというふうに考えまして、運用上、今回の改正法案とそう大きな違いのないような結論を常識的に出すように、持つて参りたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X05119510518/12
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013・深澤義守
○深澤委員 そういう施行期日の問題も何でございますが、二十五年度、この土地収用によつて処理したものが三十七件である。これを見ますと、学校、河川、道路、鉄道等に関係するもののみでありますが、現実には飛行場の拡張ということによつて、土地の問題は相当問題かありまして、その補償等についても、われわれはしばしば特別調達庁なんかにも交渉したことがありますが、そういうアメリカの飛行場拡大のために取上げられておるもの、それはこの土地収用によつて処理されておるのかどうか。今後そういう問題が起つた場合において、これを適用するのかどうかという問題です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X05119510518/13
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014・原純夫
○原(純)政府委員 具体的にそういう場合に、土地収用法を発動いたしまして、収用しておるかどうかという点に関しては、ただいま存じません。収用法を発動して収用いたしますれば、この法律の適用があるということで、なるべくそういうかつこうへ行くように持つて行かれるならば、税負担が妥当なことに相なりはせぬかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X05119510518/14
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015・深澤義守
○深澤委員 そういたしますと、この際お聞きしておきたいのでありますが、大体終戦処理関係、あるいは占領方針関係において、土地が必要とされる場合においては、一体どういう処理をして行くのが基本的に正しいのか。その点についてはどういう考えを持つておりますか。今後そういう問題が相当起きて来ると私は思いますし、昭和二十五年度において相当その問題が起つたのです。それに対しては、政府の方ではどういう考えを持つておられますか。その点を明確にこの際お聞きしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X05119510518/15
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016・原純夫
○原(純)政府委員 そういう場合の土地の取得の仕方自体というものは、実は恐縮でありますが、私所管外でありますから、お答えを御遠慮いたしたいと思います。われわれといたしましては、この収用法によつて収用される限り、改正法の方針によつて税負担はかなり緩和なものになるということを申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X05119510518/16
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017・深澤義守
○深澤委員 それではその土地収用の問題について、別の方面からお聞きしたいのでありますが、土地の取上げが土地収用法によつて行われる場合において、それを補償する場合の価格でありますが、その価格はいわゆる農地調整法による価格を標準とするのか。あるいは今度の地方税の再評価等によつて、新たなる土地価格が出て来るのでありますが、それによつて評価するのであるか。それとも特別な評価をするのであるか。そういう点についてはどういうお考えを持つておりますか。その点をお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X05119510518/17
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018・原純夫
○原(純)政府委員 この点に関しましても、方針としていかなる評価をしてこの補償をするかということは、これまた所管外でありますので、こういう方針だという角度から私申し上げかねますが、今回の改正法案を立案いたします際に、いろいろ調べましたところで、大体どんな見当になつておるかということを申し上げたいと思います。やはり先祖伝来の田畑を追われるというような関係から、実際上補償価格は通常時価と言われるものを若干上まわるというような傾向にあるというふうに、私判断をいたしております。農地の時価というものは、売買の実例も少うございますし、なかなか判定がむずかしいのでありますが、大づかみに何して、三万円、四万円前後であろうと思いますが、収用価格は若干これを上まわつておるのが、大体の傾向のように私は観察いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X05119510518/18
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019・深澤義守
○深澤委員 どうも私はそういう考え方では非常に不満であります。なぜかと言えば、時価を多少上まわるという程度では、補償にならないと思います。つまりその土地を失うことによつて、その失つただけの支障を今後永久に受けるわけであります。従つて農業関係の人が、五反歩持つておつた者が二反五畝を収用されたという場合におきましては、その人の農業というものはもう成立しないのであります。従つて補償というものが、単に時価を上まわるという程度のものでは、はなはだ不十分であると考えます。従つて単に時価を上まわるという程度のものでなしに、永久に失うことによつて受けるところの損害を補償しなければならないということは、当然であると思いますが、その点は一体どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X05119510518/19
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020・夏堀源三郎
○夏堀委員長 深澤君に御相談いたします。建設省の方から、あとで明日にでもまた適当な人を呼んで、御質疑願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X05119510518/20
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021・深澤義守
○深澤委員 それではその方の関係の人においでを願いたいと思います。
私は漁業の方の問題についてはよく知らぬのでありますが、この際お伺いしたいのであります。漁業権に対する補償金の交付をするのでありますが、大体この漁業権の所有というものは、漁村に参りますと網元がありまして、また網元から権利を譲渡されたものがあるというくらいに、非常に区分はたくさんあると思うのですが、大体この漁業権の補償金を交付する対象は、網元、それからまたさらに権利を分与されておる漁業権者というものがたくさんあるようであります。それらの点の内容について、もしおわかりになりましたらお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X05119510518/21
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022・松任谷健太郎
○松任谷説明員 お尋ねの点は漁業権者に対する補償金の交付先の問題だと思いますが、これは漁業法施行法の九条に、漁業権たる本権と、それから漁業権を目的とする入漁権、賃借権、それからまた使用貸借による借主の権利という各種の権利を、漁業権を消滅さしたときに有している者に対して、その補償をするというふうな規定になつておるわけでございまして、実体的に申し上げますると、現在の漁業権を持つておる主体は、漁業団体でありまする漁業会と、それから個人と会社というふうに大ざつぱにわけることができると思うのであります。その率から申しますると、漁業会で持つておりまする漁業権の件数が大体全体の六四%、個人で持つておりまするのが三二%、会社で持つておりますのが四%というような割合になつておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X05119510518/22
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023・深澤義守
○深澤委員 この漁業会が持つておる六四%というのは、つまり漁業協同組合のことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X05119510518/23
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024・松任谷健太郎
○松任谷説明員 御承知の通り漁業会と申しまするのは、旧漁業団体でございまして、一種の統制団体である性格を持つておりましたので、それが戦後民主化の線に沿いまして、新しく水産業協同組合法という法律が制定されまして、現在では漁業協同組合という民主的な団体に切りかわるということになつておりまするが、ただ従来持つておりました漁業権の主体は依然として漁業会で、この漁業制度改革によりまして漁業権の切りかえが行われるというときと同時に、この漁業会は解散するということになつております。それ以後はすべて漁業協同組合が漁村の団体として運営されるわけでございます。従いまして漁業権の主体というものも、今度の漁業制度改革によりまして、協同組合に新しく免許されるという関係になるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X05119510518/24
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025・深澤義守
○深澤委員 そういたしますと、この漁業権の補償の交付をするのは、新しい漁業協同組合であるのか、それとも元の運用主体であるところの漁業会に行われるのか、どつちでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X05119510518/25
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026・松任谷健太郎
○松任谷説明員 権利の主体でありまする漁業会に、一応漁業権の補償というものが行われまして、補償金額というものは漁業会の会員でありまする漁業者が、同時に漁業協同組合の組合員でありますので、持分をもつて協同組合の方にその補償金額が移つて行くというふうな、法律上の関係になつておるわけでございます。従いまして結果的に申しますると、新しい団体である漁業協同組合に、漁業会の補償金というものが移つて参るというような構成になつておりまして、例外的に漁業会の中へ漁業者でない者が入つておりました場合におきましては、脱退するという面が生じますが、それは一割程度だろうというふうな推定をいたしております。その部分につきましては、補償金額は一応持分に応じまして払いもどしをされる、その残りのほとんど全部が協同組合に移るということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X05119510518/26
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027・深澤義守
○深澤委員 漁業権の再評価という問題が取上げられておりまするが、この再評価の基準はどういうところへ置かれるのか。その点をひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X05119510518/27
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028・原純夫
○原(純)政府委員 昨年成立いたしました再評価法によりまして、各種の資産の再評価の限度額というものがきまつておりますが、当時この再評価の考え方を、いろいろと種類のある資産について、それぞれの資産の特性に応じた値上りと申しますか、インフレーシヨンの割合というものを見ることをせずに、通貨の購買力一般という見地から、大ざつぱな線を引いてございます。そのためにいろいろな資産の細目について一応調べてみますと、かなり実情に合わないというものも出て参ります。漁業権などは特にその一例でありまして、かつての取得価額ないし財産税課税時期の評価額というものはかなり低い。またその後の魚価の値上りというようなものが、一般の物価の値上りよりも急であるというようなことのために、そういう特性を入れまして計算した額は、かなり高いものになつて参ります。そういう行き方で再評価限度額をきめるという方法が、一つあるわけでありますけれども、このお願いいたしております法案において、補償金額をもつて再評価額とするというふうにお願いいたしておりますのは、この再評価という、いわばテクニックを使いまして、ただいま所得税法の規定しております譲渡所得の全額課税というものを緩和しようという、若干政策的な意味が含まれておりますので、この補償金額が、厳密な意味で他の再評価額と相対応するということからは、若干の開きがあろうかと思います。すなわちそれは、長年持つておりました権利を取上げられる、または収用の場合におきましても、祖先以来の土地を取上げられるというようなことに対応して、その税負担を何とか常識的な線に持つて参りたいと考えていたしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X05119510518/28
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029・深澤義守
○深澤委員 そういたしますと、これは今言つた政策的な意味を含めての再評価の限度を、補償金額の程度にきめようという趣旨はよくわかつておるのでありますが、補償金額の決定の基準と申しますか、それがもしおわかりになつておりましたらちよつとお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X05119510518/29
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030・松任谷健太郎
○松任谷説明員 補償金額の基準は、すべて漁業法施行法に明示されているのでございますが、簡単に内容を御説明申し上げますと、補償金額が昭和二十二年の七月一日から昭和二十三年六月三十日まで—これをかりに基準年度と称しているわけでございますが、その期間においての賃貸料、それから漁獲金額というものを基準といたしまして、その基準年度中におきまして、全漁期間貸し付けられていた漁業権につきましては、その基準年度の賃貸料の十一倍、専用漁業権については十六倍ということが一つと、それから基準年度の全漁期間貸し付けられていなかつた漁業権につきましては、推定賃貸料と申しますか、近傍類似の漁業権の賃貸料を参酌して定めました推定賃貸料の十三倍というもの、そのうち専用漁業権の場合につきましては、貸し付けられていなかつたもの、それから人漁権というものにつきましては、その基準年度の当該権利による漁獲金額というような基準で、補償金額が定められるということに、法律の上で規定されているのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X05119510518/30
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031・深澤義守
○深澤委員 大体わかりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X05119510518/31
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032・奧村又十郎
○奧村委員 この租税特別措置法の一部改正法律案は、主として漁業権の補償金に対する取扱いの規定を書いてあるわけでありますが、これを審議するにつきましては、どうしても漁業権証券の交付及び将来のこれの取扱いということがまずはつきりしなければ、十分の審議ができないと思うので、この点を簡単にお伺いいたしたいと思うのであります。
漁業権証券は漁業法の規定に従つて交付されるわけてありますが、もうすでに政府におかれても、証券の交付の具体的な計画はお立てになつておられることと思うのであります。それでどれだけの金額をお出しになるのか、その証券の利率は幾らであるか、償還の期間はどういうことになつているか、それから漁業権証券はどういう性格のものであるか、つまり国債と同じ取扱いをやつて行くのか、つまり日銀券を保証物とするのかとか、いろいろなつまり漁業権証券の性格はどういうものであるかというふうな、一つの概略的なお話を、今日までにすでに政府の方針としてきまつておるところを、お話願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X05119510518/32
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033・泉美之松
○泉政府委員 この問題は大蔵省の理財局の国庫課の方で処理しておるのでありますが、私が聞いておる範囲で申し上げまして、もし間違つておりましたら後日御訂正いたしたいと思うのでございます。漁業権証券は十年後に償還する、年五分五厘の利率の、国債同様のもので交付するということになつておりますが、十年後に一斉償還するのでなしに、漁業法の方の規定に基きまして、今後漁業権を政府から免許を受けまして行使しまする者から、免許料あるいは許可料を徴收しますことになつておりますので、その財源によりまして十年以内にも買上げ償還の方法を講じて行くというような話合いになつております。なお補償金額が、現在水産庁の方から各府県に指示されまして、各府県の補償委員会の方にかかつておりまして、そこで現在各漁業権別の補償金額の算定をいたしております。これがおよそ今月の末から来月にかけましてできまして、府県知事の方から告示されることになります。そうしまとそれに基きまして、漁業権の方は御承知のように九月と十二月とに消滅することになつておりますので、それに間に合うように漁業権証券を印刷して、お渡しするというような手はずになつておるように聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X05119510518/33
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034・奧村又十郎
○奧村委員 これは理財局の方に来ていただかぬとわからぬのかもわかりませんが、しかし水産庁の当局の方も来ておられるから、少くとも税法でこういう取扱いを規定せられた以上は、大体わかつておられなければならぬと思いますが、この漁業権証券交付時期以後十年間に償還するというのは、十年間はすえ置きにしておいて、十年以後から償還を開始すると言われるのか。たしか私の記憶するところでは、二十三年間のうちに償還するというふうに、漁業法の規定はできておつたと思う。その後大蔵省と水産庁との話合いがまだ十分ついておらなかつたが、もうすでにこの法律が出た以上は、その話合いは終えておるものと思つてお尋ねするのであります。おわかりにならなければ、明日でも理財局から来ていただいてお話を承りたいと思うのです。
私のお尋ねしたことはあまり十分に御答弁できぬようてありますが、もう一つ特にお聞きしておかなければならぬことは、この漁業権証券は無記名で交付されるのか。特定の記名式で交付されるのか。譲渡ができるのか、できないのか。それから今の償還の点がはつきりしない。今のお話によると、免許料、許可料の財源によつて償還するということでありますが、そうすれば免許料、許可料を政府に受入れる特別の会計を別途につくつて、この会計でその償還をまかなつて行かれるのか。国債と同じように、一般会計から買上げ償還してやるのかというふうな点がはつきりしておるなら、ここで明らかにしていただきたいと思います。
それで現実に六%の再評価税は納めねばならぬ。その再評価税の六%というのは、現金で納めなければならぬだろうと思う。証券を代用で納めることができるのかどうか。現金で納めなければならぬということならば、一体漁業権証券という証券を受取つたはいいが、税金は現金でとられるということになると、莫大な証券補償金額の入るところは、さしあたつて税金を納めなければならぬために、借金をせなければならぬから、その税金のことはもう少しはつきりしないと審議に困ることになるので、この点はあす理財局の方にも来ていただいてお尋ねしますが、ひとつ御当局の方も連絡をしていただいて、十分御答弁の御用意をお願いしておきたいと思います。
それでは全然別の面からお尋ねいたしますが、水産庁からいただいた刷りものを見ますると、旧漁業権の所有者、その約六四%は旧漁業会の所有である。従つて補償額の百七十八億のうち百三十八億円までは旧漁業会に交付される、こういうことになつております。ところが旧漁業会は、この漁業権の処理の問題が片づつきますと、これは当然解散すべきものになつております。そうするとこの漁業会に対する税は六%で済みますが、漁業会が解散して会員に財産を配当と言いますか、分配した場合、その分配に対しては通常の規定による所得税がかかる。これはそういうことになつていると思うのです。そこでそういう税がかかるが、そうすると、再評価税の六%のほかに、解散による分配金に対する税がかかる。これは一つの大きな問題になつて来ると思う。そこでこれはこまかい問題になりますが、この間漁業会員が現実にはその分配金を取得するのじやなくして、その分配金はそのまま新たにつくられた漁業協同組合に移して、漁業協同組合の財産にしておるはずであります。そういう場合には一応形式としては旧漁業会の分配金を受取つて、新漁業協同組合に出資金を拂う、こういうことになるので、やはり税の対象ということになるのですが、そうするとこの提案理由にあるような、非常に手厚いおぼしめしはあつても、現実には税は相当かかる。この点の御用意は政府としては全然お考えになつておられないのかどうか。これは大蔵省の方と水産庁の方と両方から御説明を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X05119510518/34
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035・泉美之松
○泉政府委員 ただいまお尋ねの、漁業会に対しまして補償金が交付された後に、課税関係がどうなるかということにつきましては、われわれとしましてはこのように考えております。漁業会が補償金をもらつて解散するわけでございますが、解散しますことによつて脱退する者が、先ほど御説明がございましたように約一割ほどおられるわけでありますが、この脱退される方につきましては、普通の所得税がかかることになるのであります。これは今後漁業を営まない場合ということになりますので、やむを得ないことかと思うのでございますが、しかし漁業会の会員で、漁業協同組合の会員になつておられる方の持分につきましては、水産業協同組合の法律の規定に基きまして、水産業協同組合から漁業会に引渡しを求める。それに応ずることによつて、財産が移るという法形式をとつておるわけであります。普通の配当という形になつておらないのでございます。かりにこれを普通の配当と実質が同じように考えましても、所得税法の建前から行きますと、金銭をそのほかの財産と同時に残余財産の分配をしたのでなければ、かからないようになつております。漁業協同組合の方へ移る人の持分につきましては、所得税はかからないというふうに解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X05119510518/35
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036・奧村又十郎
○奧村委員 それでよくわかりました。そこで旧漁業会の一割の、つまり新たな漁業協同組合に加入しない人の立場になりますと、これはちよつと問題があるのではないかと思うのであります。それはそういう新たな漁業協同組合に加入しないで、現金で受取つて漁業会から離れる。そういう人に対しては普通の所得税がかかる。これはその当人のほかの所得と合算してかかるわけですが、これは配当所得と同じ取扱いなりと考えるのでありますが、その通りですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X05119510518/36
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037・泉美之松
○泉政府委員 お答えいたします。漁業会から脱退するへについては、御承知のように漁業会は、現在漁業権の管理団体としてのみ残つておりまして、その他の資産につきましては、水産業協同組合の方へ引移つておるわけであります。脱退する予定の人の持分につきましては、なお漁業会がその資産を有しております。従いまして今度漁業会が解散するごとによつて、脱退する人に残余財産の分配をいたしますと、その中には漁業権の補償に相当するものと、その他の資産の残余財産の分配と両方が入ることになります。そこで補償金の方につきましては、これは再評価積立金でございますので、法人税法の十六条の規定によります積立金に該当いたさないことになりますので、これらの分は所得税法の上では配当所得でなしに、みなす譲渡所得になることになります。それから漁業権の補償金額以外のものにつきましては、積立金の部分に対応するものは配当所得として配当控除を受けますが、それ以外のものはみなす譲渡所得になろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X05119510518/37
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038・内藤友明
○内藤(友)委員 ちよつと今の質問に関連して……。これは松任谷さんにお尋ねしたいのですが、旧漁業会の持つております財産を、新しい漁業協同組合に持つて行くのであります。ところが新しい漁業協同組合が、旧漁業会地域内に二つも三つもできているのです。そういう場合はどこへ引渡すかという問題があると思うのです。水産庁はそれは数の多い方に渡すのか、どういうお考えを持つておられますか。これは今の奥村さんのお尋ねに関連しております。それをはつきりしておきませんと、今度幾つもの漁業協同組合ができるので、漁業協同組合は何人か寄りますと自由につくれるのですから、えらい問題が起るのではないか。数の多い方におやりなさるのか。どこが本家だかどこが分家だかわからない状態です。そこをひとつはつきり……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X05119510518/38
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039・松任谷健太郎
○松任谷説明員 この問題は画一的にお答えできないような問題だと思いますが、現地でいろいろと、たとえば経済事業の施設の譲渡の場合でも同様でございますが、協同組合が漁業会の地区内に二つか三つできたという場合に、その施設をいずれの協同組合に移すかという問題につきましては、関係漁業協同組合が一応協議いたしまして、その施設が一番必要であるというような協同組合に移しまして、その財産関係はあとで整理するというようなやり方をとつたわけでございますが、今度の問題につきましては、基本といたしましては、要するに会員が持分を持つて、組合員としての資格で協同組合に入るわけでございますので、それが一番基準になりまして、会員と組合員との相関関係と申しますか、連絡関係と申しますか、そのもとに持分の総の額移動があるというふうに御解釈願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X05119510518/39
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040・奧村又十郎
○奧村委員 先ほどの泉政府委員の御答弁によりますと、この漁業会の分配金に対しては、みなす配当とその他の取扱いと両方になるという御答弁ですが、その二つになると、税法上やはり—たしかあれは控除が違つて来ると思いますが、それはどういうことになりますか。私今ちよつと忘れましたので、簡単に教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X05119510518/40
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041・泉美之松
○泉政府委員 みなす配当になります分につきましては、配当控除の二五%の控除があるわけでございます。みなす譲渡の方につきましては、この配当控除というような関係はございません。それでこの脱退する人につきまして、何らか軽減の方法はないかと、いろいろ考えたのでございますが、他の資産と一緒になります関係上、これを区別して補償金に相当する部分だけ負けるというようなことが、なかなかむずかしい関係がございますので、このようなことになつているのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X05119510518/41
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042・奧村又十郎
○奧村委員 そこで私は特にこの点を心配しておつたのです。つまり個人所有の漁業権に対しては六%の再評価税だけで、所得税はかからぬ。それから漁業会の所有の漁業権に対しては六%のほかに、脱退者に対してはまた所得税が今の御答弁のようにかかる。そうすると、漁業会で持つている漁業権に対しては、税法上特に余分の負担がかかる。ところか個人で持つているのは、むしろこれは不在地主的なもので、幾分税はよけいかかつてもいいのです。漁業会というのは、これは昔から部落総有の観念で持つておつたので、これにはあまりかけたくないということで、水産庁が非常に御努力になつたが、実際上は逆になつている。これは税法上は困難なことであつたでありましようが、規定では現実にそうなつているのであります。これは意見になるので、意見を表明するにとどめておきます。
私はきようはこの程度にして、また明日理財局からおいでになつてから御質問いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X05119510518/42
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043・夏堀源三郎
○夏堀委員長 その他御質問はございませんか。—それではただいま議題になつております、租税債権及び貸付金債権以外の国の債権の整理に関する法律案につきまして、この際大蔵省主計局法規課長より補足説明を聴取いたすことにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X05119510518/43
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044・佐藤一郎
○佐藤(一)政府委員 すでに提案理由の御説明をしておりますが、ごく簡単にそれに対して補足を申し上げたいと思います。
この法律は、すでに御説明申し上げましたように、明治四十四年にできました租税外諸政入金整理に関する法律というのが、現行法として現在ずつと続いてございますが、それを一応廃止しまして、全面的な改正ということで、旧来のものを廃止してかわりにつくつたというにすぎないわけでございます。
今回この法律を特に全面改正いたしました理由は、租税と貸付金以外の諸收入金につきましては、この法律にもございますように、従来の法律においても定期貸とすえ置き貸という二つの貸付金にかえまして、そして管理しておつたのでございまして、従来はこの管理を地方長官がやつておつたのでございます。ところが御承知のように公選知事になりまして、かつまた地方団体の経費というようなことも関係いたしまして、実際問題といたしまして、各府県知事においてこの諸收入金の跡始末というか、取立てにあまり熱を入れないのでございます。これは政府の諸政入金の残りでございますから、熱の入らないのも一応もつともなわけでございます。しかしながら私どもといたしましても、いつまでもこういうものをほつておけないものですから、大蔵大臣が直接にこれを管理いたすことに直しまして、そしてこれを、その下部組織である財務部というのが現在地方にございますが、そこで取立ててやつて参ろう、地方にも迷惑を少くしたい、こういう趣旨で今回改正をいたしたのでございます。従来はそれを勅令で規定してございましたが、最近の立法の傾向といたしまして、そういうものを一切法律で規定するということにかわりましたし、なおそのほかに、たとえば従来の規定には朝鮮や台湾等の規定もございましたので、条文整理と合せまして、一応全面的な改正ということにいたしました。なお債務の免除を認める規定でございますが、従来はすえ置き貸においても、定期貸においても、ともに二十年ということになつております。しかし定期貸とすえ置き貸は性質が異なるわけでございまして、すえ置き貸の場合には貸付のときから二十年、定期貸のときには納期から二十年ということで均衡を失しておりますので、それを二十年と十年というふうに改めました。きわめて手続的な規定でありまして、従来と内容的には少しもかわつておりません。それだけちよつと補足して御説明申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X05119510518/44
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045・三宅則義
○三宅(則)委員 私はただいま議題となつております租税債権及び貸付金債権以外の国の債権の整理に関する法律案につきまして伺います。これは租税及び貸付金以外とありますが、どのくらいありますか。何か現況をお調べになつたものがありましたら、参考までにひとつお示しを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X05119510518/45
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046・佐藤一郎
○佐藤(一)政府委員 これはたしか資料としてお手元にお出ししたいと思つておりましたが、もし出ておりませんでしたら、至急に出します。ただいま現在額といたしまして、この法律の該当になりますものが、金額にして千七百三十三万九千円、件数にして二千六百五十六件でございます。なおそのうち定期貸が四百七十四万九千円、すえ置き貸が千二百五十九万円、こういうことになつております。その内容は、一般会計が大部分でございまして、千七百万円のうち、千五百六十九万円というものは一般会計でございまして、特別会計はその残りの百六十四万円、こういうことになつております。債権の内容は大体そのうちで弁償金が八百六十万円、違約金が四十二万円、返納金が五百五十二万円、その他が二百七十八万円、こういうことになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X05119510518/46
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047・三宅則義
○三宅(則)委員 今の御説明でよくわかりましたが、私どもの考えでは、件数は二千何百件、金額は千七百万円、大体平均しまして一件一万円弱、こういうふうになると思うのであります。これらにつきましては相当早く整理しなければならぬと思うのですが、今の政府の見通しとしては、どのくらいかかつたら整理が終了し得られるか。その時期をひとつ承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X05119510518/47
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048・佐藤一郎
○佐藤(一)政府委員 おつしやるように、私どももできるだけこれの整理を進めたいというので、今回取立ての機関をかえたわけでございますが、ただいまのところ、債権の性質上、いつになつたらこれが全部やまるかということは、ちよつと申し上げかねるのでございます。経済事情の変動等によりまして、この法律の対象にございますように、いわゆる無資力なるものが今後もやはり発生を予想されますので、ある程度の金額というものは引続いてずつとあることと思います。ただ現在の額については極力これを整理して行きたい、こう思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X05119510518/48
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049・三宅則義
○三宅(則)委員 はなはだ取越し苦労でございますが、能力を失つたものに対しては取消すというように、この法律にはなつておるのでございます。その状況にもよると思いますけれども、これは過去のことでございまして、知らぬでおるような人もあるかもしれませんが、財務部というものは各地方にたくさんあるわけでありますから、それを督励されまして、なるべく早く整理いたされることを希望します。
ちよつとこれに関係いたしますが、ほかの方の特別会計にもあるわけでありますけれども、ここにもあるようでありますが、いろいろ値の違つた点、たとえば価格差益金というようなものがあるわけであります。こういうものもここに入りましようか。統制のはずれる場合において、統制物資については価格差益金というものがあるでしようが、こういうものはここに入りましようか。それを承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X05119510518/49
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050・佐藤一郎
○佐藤(一)政府委員 この法律の冒頭にございますように、租税と貸付金債権以外のものはすべて、含まれます。従つてただいまのようなものも当然入るわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X05119510518/50
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051・三宅則義
○三宅(則)委員 しつこい質問のようでありますが、場合によりますと、価格差益金というようなものは、過去の経済情勢の変化にもよつたものでありまして、なかなか整理に困難があるように思うのです。そこでそれは、税務署もしくは国税局の方にまわつておるのでしようか。あるいはやはり財務部の方にまわつているのでしようか。私前に関東信越国税局に参りましたときに、価格差益金は国税局でやつていると言つておりましたが、これはどんなふうになつておりますか。その辺わかりましたら、この際明瞭にしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X05119510518/51
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052・佐藤一郎
○佐藤(一)政府委員 これはちよつとお断りしておきますが、最初の取扱いは、もちろん各所管大臣がやるわけでございます。それで差益金等については、税関係の機関がこれを取扱つております。しかし今度は、それがどうしても無資力と判断されまして、定期貸あるいはすえ置き貸というふうに、貸付金の形に形がかわつて参りました場合において、その管理は今度は財務部に移るわけであります。それで無資力の結果、定期貸なり、すえ置き貸なりにすることが適当かどうかということは、それぞれの所管の機関が、従来の機関がまずこれを判断してきめるということになつております。ただいまのような場合には、まだこれを編入するかどうかというところの段階まで至つていないであろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X05119510518/52
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053・三宅則義
○三宅(則)委員 それに関連してですが、薪炭特別会計のようなものは、国の財源で一般会計が補填したのですが、そういうような特別会計の一部は残りましようか。その辺政府はどう考えておりますか、はつきりしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X05119510518/53
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054・佐藤一郎
○佐藤(一)政府委員 薪炭等に赤字が生じまして、一般会計から繰入れますのは、特別会計の決算をいたす都合上、さしあたつて一般会計から繰入れるのでございまして、薪炭の特別会計が持つておりますところの個々の債権につきましては、決してただちに免除いたすわけではございません。薪炭特別会計が廃止になつた後には、一般会計が財源として取立てて参ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X05119510518/54
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055・夏堀源三郎
○夏堀委員長 先ほど水産委員会との連合審査会の時間を明日の午後一時と申し上げましたが、今水産委員会の方と連絡をとりまして、もしできれば明日は土曜日でありますから、午前十時からやりたいと思いますが、その際は公報でお知らせいたします。
本日はこれをもつて散会いたします。
午後三時二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X05119510518/55
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