1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十六年三月九日(金曜日)
午後一時四十分開議
出席委員
大蔵委員会
委員長 夏堀源三郎君
理事 奧村又十郎君 理事 小山 長規君
佐久間 徹君 苫米地英俊君
三宅 則義君 水田三喜男君
宮幡 靖君 内藤 友明君
松尾トシ子君 深澤 義守君
農林委員会
委員長 千賀 康治君
理事 野原 正勝君 理事 足鹿 覺君
遠藤 三郎君 小淵 光平君
川西 清君 河野 謙三君
原田 雪松君 平野 三郎君
大森 玉木君 坂口 主税君
八百板 正君 池田 峯雄君
横田甚太郎君
水産委員会
委員長 冨永格五郎君
理事 二階堂 進君 理事 林 好次君
理事 上林與市郎君
石原 圓吉君 小高 熹郎君
川村善八郎君 田口長治郎君
永田 節君 小松 勇次君
佐竹 新市君 井之口政雄君
出席国務大臣
大 蔵 大 臣 池田 勇人君
農 林 大 臣 廣川 弘禪君
出席政府委員
大蔵事務官
(銀行局長) 舟山 正吉君
農林事務官
(大臣官房長) 塩見友之助君
農林事務官
(大臣官房農林
金融課長) 富谷 彰介君
委員外の出席者
農林中央金庫理
事 山下 利義君
農林中央金庫総
務部長 杉野精一郎君
大蔵委員会專門
員 椎木 文也君
大蔵委員会專門
員 黒田 久太君
農林委員会專門
員 岩隅 博君
農林委員会專門
員 藤井 信君
水産委員会專門
員 徳久 三種君
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本日の会議に付した事件
農林漁業資金融通特別会計法案(内閣提出第六
三号)
農林漁業資金融通法案(内閣提出第六四号)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004678X00119510309/0
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001・千賀康治
○千賀委員長 これより大蔵委員会、農林委員会、水産委員会の連合審査会を開会いたします。
本日の委員長の職務は都合によりましてまず私が勤めさせていただくことになりましたので、御了承を願います。
それではこれより農林漁業資金融通特別会計法案、及び農林漁業資金融通法案を一括議題といたし、両案に対する質疑に入ります。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004678X00119510309/1
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002・千賀康治
○千賀委員長 質疑は通告順にこれをお許しいたします。冨永格五郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004678X00119510309/2
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003・冨永格五郎
○冨永水産委員長 農林漁業資金融通法案が去る一日農林委員会にかけられ、審議せられておりますが、水産委員会におきましてもきわめて関連の大きい法案でありますだけに、私どもの委員会におきましても、それぞれ法案の説明を聞き、今後も可能な範囲において質疑をすると考えておりますが、本日ここで大蔵、農林合同審議会を申し込みまして、私どもの立場から質疑をいたしたいと考えた次第であります。
この法案に対して、私どもは農林大臣並びに大蔵大臣、それぞれの所管につき御質疑をいたしたいと思いますが、ただいま農林大臣が御出席になつておりますから、主として農林大臣に対しての質問をいたしたいと思つております。もちろんただいま申し上げました通り、融通法の各項につきましては、適当な機会を見て質疑をしますし、また他に質疑を通告いたしておりますたくさんの委員各位からもいたされると思いますので、一応私からは、農林漁業融資計画、六十億の配分内容について質疑をいたしたいと考えるものであります。公共事業費の中において、北海道開発庁の分ももちろん含んでおりますが、漁業に対する農業、林業の比率を見ますと、水産業の約十三億に対しまして、農業は百二十二億でありまして、約十倍、林業は六十億で約五倍、すなわち水産業は大体農業の十分の一、林業の五分の一というふうになつておるのであります。この融資計画を見ますと、六十億のうち農業は約四十二億、林業は十二億、水産業は三億でありまして、その比率を見ますれば、農業の十三分の一、林業の四分の一であります。従つて公共事業費の場合における農業と水産業の比率と対比してみますと、十分の一が十三分の一に減ぜられておるという、この内容が示されておるのであります。従つて私ども水産に関與いたします者といたしましては、当局の考え方が、必要以上に水産業を軽視している傾向があるやに、この案からは見られるのでありますが、この点に対して一応御説明願いたいと思います。なお続いて二、三御質問がありますが、まずこの点を一応お尋ねいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004678X00119510309/3
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004・廣川弘禪
○廣川国務大臣 法案の内容についてのお話でありまして、按分比率について御質疑のようでありますが、決してわれわれは軽んじておるわけではありませんので、單に数字が少し違つておるという程度であろうと思います。今後また他の特別会計や、預金部資金等もこれからたくさん入れたいと思いますので、その時期にはまたその点を是正する考えでおるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004678X00119510309/4
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005・冨永格五郎
○冨永水産委員長 ただいまの農林大臣からの説明に対しては、おそらく他の委員からも関連的な質問がなされると思います。
次に水産業については、法案の第二條四号に、「漁港の修築又は復旧に必要な資金」と相なつており、これがおもでありまして、六号に言うところの「共同利用に供する施設の造成、復旧又は取得に必要な資金」については、ほとんど取上げられておらないように考えられるわけであります。漁港を整備することはもちろん重要でありますが、漁港の整備のみでは水産業の振興は期せられないのでありまして、その他漁獲物の高度利用についての製氷、冷凍施設あるいは倉庫等は、ぜひとも資金計画の中に織り込んでいただきたいと考えておるわけでございます。私どもの伺つている範囲におきましては、もちろんその重要性を認めて織り込むことになつている――この表には載つておらないけれども、そういうふうには考えられておるというところまでは伺つておるのでございますが、その真偽について、所管大臣からはつきりお聞き取りをしておかなければならないし、またたとえばそういうふうな含みがあるといたしましても、少くもこの融資計画に載つておらない限り、ただ含みだけでは絵に描いたぼたもちになるのでありまして、あるいはこの計画に載つてさえも、ともすればあぶないと考えられる予算計画が、まるきり頭から載つていないということでは、その点非常に遺憾に考えられるのでありますから、そういう含みがあるかないか、またその含み等はいかなる方法で実現せられるお考えでおられるか、この点をお聞きしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004678X00119510309/5
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006・廣川弘禪
○廣川国務大臣 漁港その他についてのお尋ねでありますが、これは預金部資金を入れた場合に十分考えたいということであります。それから高度利用につきましては、見返り資金からの含みもありまして、見返り資金から直接貸しつける方途もありますので、その点を見合せてやつておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004678X00119510309/6
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007・冨永格五郎
○冨永水産委員長 次に、法案の名称を見ましても、農林漁業資金融通法案というようになつておるのであるにかかわらず、この表を見ますると、塩田その他にも予算が考えられておるのであります。これらは、私どもが考えまするのに、政府事業であるならば、はつきり政府事業として行くべきであつて、何もこれは金を貸しつけて利息をとつて云々というようなことにはならないのではないか。もちろんこの点は大蔵大臣所管ではございまするが、しかし少くもこれが農林漁業融資計画である限りにおいて、農林大臣におかれてもお考えがあることと存ずるので、大蔵大臣が出席せられてからまたあらためて質問するといたしましても、農林大臣はどういうお考えでこういう所管外のものを入れたのか。もちろん関連性はあると思いますが、この融資計画の性格上、私どもは納得できないと考えるのでありますが、この点について一応農林大臣のお考えをお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004678X00119510309/7
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008・廣川弘禪
○廣川国務大臣 ちよつと見ると塩とは縁がないようでありますが、やはり田がついておりまするから関連を持たさしてもらいたいと思うのであります。われわれといたしましては、せめて食糧塩だけでも内地でつくりたいということで、閣議でさようにきめたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004678X00119510309/8
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009・冨永格五郎
○冨永水産委員長 今私の方から申し上げた質問につきましては、農林大臣におかれては、それぞれいろいろの含みを持つて考えていただいておるようでありますが、私ども水産委員の立場からいたしますと、さらに再質問の形になりますが、この融資計画というものはどうしてもこれで押し通さなければならない、もちろん閣議決定である以上、さようにお考えになつて、軽々にこれをかえられるものであるとは思いませんが、しかしわれわれのはなはだしく納得できない内容でございますので、これをもう一ぺん白紙に還元して、水産業の重要性を認めて、愼重にお考えになる余地はないかどうか、また預金部資金がさらに六十億考えられているということも承つているのでございますが、そういう場合にはやはりこの率で行くものか、さらにただいま申し上げましたような、水産関係の重要性にかんがみられまして、ただいま質問いたしました点をお取上げになつて、再配分をお考えになつていただけるかどうか、この点を伺つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004678X00119510309/9
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010・廣川弘禪
○廣川国務大臣 白紙にしてくれというお話でありますが、いろいろ困難な事情を冒して、やつとここまででつちあげたのでありまして、ぜひこれは御承認を願いまして、まだそのほかに皆さん方の御協力を得て、どうしても近いうちに、われわれは六十億の預金部資金を入れたいと思うのでありまして、その方面に重点を置いてもらいたいと思う次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004678X00119510309/10
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011・川村善八郎
○川村委員 ただいま冨永委員からお話のあつた農林漁業の融資計画について質問をしたいと思います。私は少しく専門的に農林大臣に質問をしたいのでありますが、もし農林大臣がおわかりにならなければ、農林大臣にかわるべき人から御答弁願いたいと思います。
そこで農林漁業についての融資をするというお気持は――法案の細部にわたつていささか議論がありますけれども、趣旨についてはまことに敬意を表するものであります。ただ漁業というものの見方の問題であります。そこで私の第一に伺いたいのは、われわれは海を農業の田や畑と同様に考えておるのであります。この融資計画の中にも、北海道魚田開発という字句がある。田畑同様に見ていることはこれをもつても明らかであります。そこで田である以上はこやしをやらなければならぬ、あるいは灌漑等もやはり海の中に通さなければならぬ、またいわゆる土地改良にひとしいこともやらなければなりません。そしてこの土地改良的なものに魚礁というものがあります。これはもちろん農林大臣は御存じかもしれませんが、海の中に暗礁をつくつて、これに魚をつける、そうしてそれを漁獲するという使命を持つた魚礁というのがあります。それからこんぶ礁、これはこんぶやのりやその他海藻をつけるところの仕事であります。それから植付林といつて魚を岸に寄せるところの林をつくる。それから磯を掃除して、磯草をつけるというようなことは、田畑であるならば土地改良であります。その土地改良をいかに考えているか、これも漁業の一環として考えるべきであると思いますが、いかがお考えになりますか。
それからさらにここには漁業の問題で、漁港の修築と漁港の災害復旧等の問題に重点を置いて考えておりますが、それを林業と比べますと、林業の植栽とかあるいは補栽というようなことも相当に重要現して融資の割当計画をしております。なるほど漁港は漁業には土地でございますので重点的ではありますけれども、ただ漁港をつくつてやつただけでは、決して漁業は発展するものではありません。漁港に次ぐべきものは、すなわち漁港法に織り込んでおりますところの機能施設、これを具体的に申し上げるならば、重油タンクあるいは給水、あるいは冷蔵庫、の他倉庫、製氷等の機能施設がなければ、漁港の使命を十分に発揮することはできませんし、さらに漁業の発展を期し得ることはできないと考えます。片一方林業については、もちろん道路等のごときは固定資産となるものであるけれども、植栽とか補栽といつたようなものはむしろ機能的なものであつて、これは決して固定的なものではありません。従つて漁港の機能を発揮せしむるには、もちろん漁港については相当の予算も織り込まなければなりませんし、今度の融資措置から行きまして、相当の融資をしなければならないことは当然でありますけれども、その漁港を十分に活用するためには機能施設、すなわち先ほど申し上げたような施設についても十分に融資をして、活発にその漁港を働かせて、漁港を安定させなければならないと考えているのであります。そこでこの二つの問題を、私は漁業と一貫して、すなわち田や畑同様にやるべきである、農業と同様にやるべき施設であると考えるのでありますが、農林大臣のお考えはどこにあるか、私はお考えによつてはさらに質問いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004678X00119510309/11
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012・廣川弘禪
○廣川国務大臣 ただいまの魚礁、こんぶ礁、植付林等についての考えは、私まつたくその通りだと思うのであります。なおそれにつけ加えて山を伐採いたしますと、河の水が混濁いたしまして、微生物の発生を妨げたり、あるいはこんぶ礁を非常に妨害いたしたりすることはよく承知いたしております。これは農地改良と同じようにわれわれは考えております。
それからまた漁業についての魚港の問題でありますが、漁港は港内におけるすべての設備までやはり包含するのが当然だろうと思います。あなたの御指摘のほかに、もう一つ海員また職員の厚生施設等までも含めるのが、当然だろうと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004678X00119510309/12
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013・川村善八郎
○川村委員 ただいま私が農業と漁業等につきましての根本の考え方を具体的に質問いたしましたが、その通りだ、むしろ大臣は積極的に私以上に考えているのであります。そこでこの法案の内容には、なるほど第二條の第六号におきましては、「農林漁業者の共同利用に供する施設の造成、復旧又は取得に必要な資金」そういうふうに機動性を持つた項目になつております。であるが、事実この融資計画の内容を見ますと、私がただいま質問し、農林大臣がお答えした趣旨には、何らこれには考えられておりません。この点において私はいささか不満を持つものであります。そこで農林大臣は、今後の預金部資金の獲得によつて何とか考えようという腹のようであります。しかしこれは、獲得してみなければどうなるかわかりません。農林大臣は水産委員会において、いわゆる水産銀行はできるんだと自信満々でわれわれに説明しております。その水産銀行がお流れになつて、そうして今度のこの農林漁業資金融通法案というものが出て、これでお茶をにごすつもりであろうと私は考えるのであります。はたして水産銀行は、農林大臣の強弁されたように実現ができるのであるかどうか。それから、ほんとうに今度の預金部資金から相当の融資が出て、漁業に対しては、ただいま私が申し上げたようなものに融資をするという決心を持つておられるかどうか。これは決心を持つても、実現できなければ何もなりません。繪に描いたぼたもちではどうにもなりませんので、私たち漁民に、融資を多額に獲得するという意思がほんとうにあるかどうかということを、まずもつて承ります。
もう一つ、この融資計画の中に「塩田その他」と書いてある。「その他」といえば相当に広くなります。まず「その他」ということの見解と、それから塩田というふうなものは農業でありますか、漁業でありますか。私どもは漁業に塩田があるとは考えたこともありませんし、これまで水産委員会で問題になつたこともありません。農林大臣はこれを農業とみなすか、漁業とみなすか、この見解を明らかにしてもらいたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004678X00119510309/13
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014・廣川弘禪
○廣川国務大臣 最初私たちの構想が百五十億であつたことは、あなたの御承知の通りであります。それを六十億に圧縮したために、そのような無理が出ておるのであります。それで六十億の融資をつけてあなた方の御希望に沿うように努力したい、こう言つておるのでありまして、この委員会を通じて、ここにぜひこの六十億の預金部資金の融資が入るように、御協力を願いたいということを言つているのであります。
それから水産銀行の構想とはまつたく違つておるのでありまして、水産銀行は決してお流れになつておりません。今事務の折衝中であります。また水産業に対して、別な金融をつけなければ、あの漁業改革の問題が根本的に解決しないことも、あなたは十分御承知だろうと思うのであります。そういうあなた方の今までの信念で、ぜひ御協力を願いたいと思います。
それから塩田について、これが何業に属するか、ということにつきましては、これは塩業に属するものであると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004678X00119510309/14
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015・川村善八郎
○川村委員 大体前者については了承いたしますが、ただその問題についての冨永君の、この融資計画を白紙にすることができないかという質問に対しては、相当苦慮をしてこれまで持つて行つたのだから、白紙にすることはできないというお答えであります。私は白紙にしようとまでは申しません。
〔千賀委員長退席、冨永委員長着席〕
ただこの融資の内容を、農林大臣において大幅に訂正をする御意思があるかどうかということを承り、さらに「塩田その他」と言つたら、塩田は塩業だと言う。塩業であることはわかります。この農業であるか漁業であるかはつきりしない塩業に対して、何ゆえに農林水産融資をするか。ここに私は問題があると思います。塩業であることはわかります。塩業は農業でもなければ、漁業でもないとするならば、法律をつくつて、そうして法律に沿わない融資を何ゆえにするかということを、私は農林大臣に質問したいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004678X00119510309/15
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016・廣川弘禪
○廣川国務大臣 先ほど「その他」ということの説明を申し落しましたが、これは書いて字のごとく、農林水産関係で列挙しないものを指すと御解釈を願いたい。
それから塩田についてのお尋ねでありますが、これは農業と漁業の中間にあつて、立地條件から見ると相一貫しておるようなものでありまするから、その程度でごかんべんを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004678X00119510309/16
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017・川村善八郎
○川村委員 融資計画については、いろいろ事情があるようであります。しかしそれを緩和するためには、漁業方面には特に預金部資金の借入れをして、融資の完全を期すという御お心持を尊重するのでありますから、近いうちにぜひその実現をされんことを要望いたしておきます。
さらに、塩業というものは中間にある。まことに解せないのでありますが、これらも農林大臣の腹の中に何か含みがあると思つておりますので、これ以上責めません。ただ漁業があまりに閑却されておりますので、これなりの融資計画で、今後何か補足するところの資金計画がなければ、われわれは返上するという機運であります。でありますから、本案の問題につきましては、もちろんわれわれの所管ではないといえども、水産委員会には相当強い反対があるものと覚悟しなければならぬので、どうか農林大臣は、その太つ腹なところで預金部資金を早く獲得して、漁業資金融通に資するように御努力願つて、私の質問を打切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004678X00119510309/17
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018・冨永格五郎
○冨永委員長 農林大臣は参議院の本会議に御出席にならなければならないようですので、委員各位はなるべく簡單に、要点だけお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004678X00119510309/18
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019・永田節
○永田委員 わが国の国内の政策といたしまして、電源の開発と水産の向上はもちろん焦眉の急務である、かように了承いたしております。また廣川農林大臣も、この見通しにつきましてはよく御了承のことと存じます。つきましては、原案の六十億という予算の割振りにつきまして、水産常任委員会に何らかの形で意見を求められ、愼重に御検討になられたのでありますか。その一点をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004678X00119510309/19
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020・廣川弘禪
○廣川国務大臣 個々の配分につきましては、多分委員会に付託したことはなかつたと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004678X00119510309/20
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021・永田節
○永田委員 農業の政策の向上というものは、廣川農政の賢明なる策によりまして、たいへんな増産を来しておることは、すでに数字によつて明らかでありまするが、ひとり水産のみは取残されておるような感が深いのであります。先ほど大臣の御説明の中には、預金部資金をやがて六十億放出するということの内容に触れて御説明があつたのでありますが、われわれはこの額面の多少を言うのじやない、その配分を議論するのであります。この六十億の配分がわずかに三億数千万、いわば全額の二十分の一が水産に割当てられておる。ここに矛盾がある。たとえば灌漑、土地改良、林道等いろいろな名目があげられてはおりまするが、これらの事業は、すでに今日の農業の増産の域をもつて一応解決の第一段階にある、かように了承してさしつかえない。一方水産はたいへん進歩が遅れておるのでありまするから、むしろこの方に急ピツチをかけて行かなければならないのじやないか、かように考えるのでありまするが、農林政策について、かくのごとく厖大な割振りをしたという根本はどこにあるのか。すなわち農林事業の成績に関する決算表、水産事業に対するところの決算表というふうな、貸借対照表とかいうふうなものがありまして、それに基いて愼重審議せられたのであるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004678X00119510309/21
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022・廣川弘禪
○廣川国務大臣 これは先ほども申し上げた通り、最初百五十億の予定で出発いたしたものが、いろいろな関係で六十億に縮められたのでありまして、中の配分もそれにつれていろいろ苦しい思いをして圧縮いたしたのであります。貸借対照表というようなものによつてこの基準をきめたというのじやないのでありまして、これはいろいろな事業量の算定等にもよつたのでありましようが、ただ一番無理だつたということは、百五十億の基礎がゆらいだということでありまして、われわれは六十億の預金部資金を入れることに努めまして、その不足を補いたいと思つておるのであります。
それから農業についてのいろいろなお話でありますが、実際千九百万石をふやすのには、七千億程度の金がいることは御存じの通りであります。それに対して水産が少いと言われますが、決してどつちに重点を置くというようなことではないのでありまして、要は百五十億のものが縮まつたということで御了解を願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004678X00119510309/22
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023・永田節
○永田委員 話が少し飛躍いたしまするが、昨年の暮れの十幾日かに発足いたしましたところの、中小企業の信用保証とかいうものに対して、約百八十億が放出されておる。また見返り資金は中小企業関係において月額三億ずつ出して、年頭約二十六億という数字が出ております。この予算の大きい意味の配分から行きましても、特に水産関係は農林に比較いたしまして、すべての予算の割振りから行きまして、たいへんな虐待を受けておるという感じを抱くのでありますが、その点大臣はどういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004678X00119510309/23
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024・廣川弘禪
○廣川国務大臣 決して水産業を軽視しておるのではございませんで、本年度の公共事業費等を見ましても、昨年より大分ふやしておるのであります。ただこの配分について多少少いきらいがあるのでありますが、これは先ほども申し上げたようなぐあいでありますから、御了承を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004678X00119510309/24
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025・永田節
○永田委員 そこで結論に入りたいと思うのであります。まだたくさん伺いたいのでありますが、たいへん本委員会に恐れをなしておるのか知らないが、大臣はもう逃げ腰でおるから、あまり質問しませんが、かりに預金部資金から六十億出たといたしましても、また御説のように百五十億理想通り出たといたしましても、問題は水産に関する予算の割振りなんです。従つて六十億の預金部資金の放出ができたあかつきには、やはりかくのごとく二十分の一ぐらいの予算を水産に持つていらつしやるおつもりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004678X00119510309/25
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026・廣川弘禪
○廣川国務大臣 その点は十分是正したいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004678X00119510309/26
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027・永田節
○永田委員 そこで先ほど冨永君から、水産の三億二千八百万の予算は返上するというふうなお話があつたのでありまするが、私も同感です。私だけではありません。水産委員会ではこの予算の配分にいたく憤慨いたしております。一億や五億の金ならば、むしろ頂戴しない方がよかろう。それよりも大臣の御認識、政府側の御認識を新たにしていただきたいと考えておるのであります。先ほど川村委員からもお話がございましたことく、水産委員会は野党も與党も、あげてこの配分には反対いたしております。このことは御答弁いりません、お含み置きを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004678X00119510309/27
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028・冨永格五郎
○冨永委員長 奥村委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004678X00119510309/28
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029・奧村又十郎
○奧村委員 ただいま提案されておりまする両法案に関連いたしまして、私は水産銀行の構想に関しまして、いま一つは農林中央金庫に対する農林大臣の抱負に対してお伺いいたしたい。この両法案実施によつて、水産の漁港、船だまり等の長期資金がかなりまかなわれる。ところが水産の短期資金あるいは両法案以外にまかなわるべき長期、中期の資金、これは主としてことしの夏以後に交付される約百七十億見当の漁業権証券を担保とする金融である、こう考えるのであります。この漁業権証券担保金融は、昨年末の大蔵委員会・水産委員会合同委員会において、大蔵大臣、農林大臣はたいこ判を押して引受けてくださつたものでありますが、この漁業権証券担保金融を実施するためには、いかなる機構をもつて行うか。おそらく農林大臣のいわゆる水産銀行の構想は、これに関係が深いものと思われるのであります。ところが漁業権証券の八割以上は、御存じの通り沿岸漁業の漁業協同組合及びその連合会、いわゆる系統団体の所持しておるものであります。この系統団体に対しての円滑な漁業権証券による金融は、いかにして行うか。御存じの通り、この系統団体がつくつた金融機関が農林中央金庫であります。すでに現在農林中央金庫は水産金融を約五十五億いたしておる。しかも系統団体のつくつた金融機関である。これを離れて漁業権証券に対する金融はとうてい考えられないのであります。従つて水産銀行も、一応銀行として看板はあげましても、事務その他のことは、おそらくここに提案されました特別会計の考え方と同じように、農林中金に実際上扱わせる、こういうふうに行かなければ、真の水産金融は実現できないと考えるのであります。その点農林大臣は、ややもすると水産銀行を普通銀行にするのだという考えを持つておられるやに承るが、普通銀行にしたならば、農林中金との結びつきはとうてい不可能であります。この意味において、普通銀行ということはお考えになつておらぬと思うのでありますが、この漁業権証券担保金融にからんで、農林中金と水産銀行との構想をいかなる関係に持つて行かれるか、これが一番大事な点であると思いますので、その点をひとつお尋ねしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004678X00119510309/29
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030・廣川弘禪
○廣川国務大臣 水産金融については、だれも非常な関心を持つておるところであるのでありますが、この水産金融の一番目睫に迫つている問題は、第一に現在の目先の金融が一番問題になつております。それから根本的の問題は、あなたのおつしやる通り、漁業権証券の資金化が問題になるのであります。この二つのものを仕組んで、そうして金融をつけようというのがわれわれのねらいであります。あなたのおつしやる、系統団体の中金を通してということでありますが、これもその通りであります。われわれといたしましては、あなたのおつしやる構想のように、系統団体である農林中金を通じての考えと、それから別な形の独立した水産の系統団体の構想と、それから一般銀行法による構想と、三ついろいろ考えておるのであります。そのいろいろな案を大蔵省とただいま折衝中でありますので、どの点におちつくかはまだ確たる見通しはつきませんが、どつちにいたしましてもこの百七十億の資金化と、目先の金融をもう少し活発にしなければならぬという目途で行つておるのでありまして、ただいま事務の折衝中でありますので、確たる回答はまだいたしかねる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004678X00119510309/30
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031・奧村又十郎
○奧村委員 多年懸案でありました水産金融に対しまして、歴代の農林大臣はほとんど無為無策でありましたが、廣川農林大臣に至つて初めて、たといまだ朗報にとどまつておるとは言え、水産銀行という声をあげていただいたということは、まことに頼もしいと思つておるのであります。しかしこれは実際に締めくくりをつけていただくということを十分にひとつお考えになりまして、目的は、何としても水産金融が潤沢に行われるようにお願いいたしたいと思います。
次に私は、農林中金の金融について一、二点お尋ねをいたしたいと思うのであります。この両法案によれば、実際の審査、貸付、回收等は農林中金に委託するということになつておるのであります。ところがこの特別会計による融資と、従来の農林中金の長期、中期の融資と同じ性格の融資があるということになつて、農林中金としては、この特別会計ができることによつて、今後の運営にかなり重大な変化を起すのではなかろうかと思うのであります。この際に農林中金の運営等について、農林大臣の特段の御配慮をいただきたいと思うのであります。と申しますのは、現在の農林中金は、資金繰りにおいて非常な困難な状況に立つておることは御承知と思います。昨年の四月総司令部の注意を受けて、農林中金もかなり経営を引締めてはおりますか、諸般の情勢から金繰りが非常に困難になつて来ておる。それに対して、農林大臣は今後どう考えて行かれるか。現在食管からの仮渡し金が次第に減つて来ております。昨年の年末と比べると百五、六十億減つております。しかも麦の統制を廃止するとするならば、麦に対する代金の仮渡しが当然減つて来るということ、また農林中金の農林債券の発行のぐあいも遅々として進んでおりません。しかもこの農林漁業の資金必要額は年々ふえて来ておる。この点において格段の御配慮を願いたいと思うのでありますが、これはただいま早急に御答弁を承るということはちよつと無理かと思いますので、一応この現状を申し上げておきたいと思うのであります。ただしかし一点ほど、両法案に関連して問題があるのであります。すなわち農林復興融資の問題であります。御承知のように、約二十億ばかりのものは、昭和二十三年において農林中金が復興金融金庫のかわりに、つまり肩がわりと申しますか、代行と申しますか、二十億の復興融資を行つたその見返りに、農林債券が復金によつて負担されたところが、その農林債券が司令部の指示がありまして、昨年急に返済された。結局政府の無理な工作によつて、約二十億の融資を農林中金が押しつけられたかつこうになつておる。といたしますれば、これは政府の責任であるから、当然この新たにできた農林漁業の今回の特別会計に、この二十億の復興融資を肩がわりさせるべきであると思うのであります。またかたがた農林中金の今の経営状況から言つても、そういうふうに持つて行くべきであると思うのでありますが、この点は農林大臣、どうお考えになつておられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004678X00119510309/31
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032・廣川弘禪
○廣川国務大臣 農林中金についてのだんだんのお話でありますが、ただいまお話のような食管特別会計から入る金、あるいはその他の貸出し等についてのいろいろな問題があることは、御承知の通りであります。また司令部からいろいろな示唆のあつたことも事実でありますので、われわれといたしましては、十分これを検討して行きたいと思つております。また今の復金のお話でありますが、これもただ顔だけの融資をつけて、実際はとられたということもよく承知しておりますので、この農林中金の今後の運用については十分検討いたしまして、農民の金融として間違いのないようにしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004678X00119510309/32
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033・奧村又十郎
○奧村委員 最後に一点、そこでこの両法案の実施によつて農林漁業の長期低利の融資はかなり打開され、しかもこの預金部からの融資がなおこの上六十億流れるとすれば、長期融資は非常に潤沢になると思うのであります。しかし一方短期融資をどうするか、すなわち農業手形の融資、麦の統制がはずれた場合、麦に対する農業手形をどうするか、またばれいしよその他の、つまり統制のはずれた穀物に対する農業手形の実施ということは、ぜひとも必要であると思うのでありますが、これに対して今どういう御用意を考えておられるか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004678X00119510309/33
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034・廣川弘禪
○廣川国務大臣 統制がはずれたものに対しましても、農業手形は継続して行く考えであります。それから短期融資につきましては、やはりこれも預金部資金等から入れまして、大体われわれとしては五十億入れてくれということで交渉中であるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004678X00119510309/34
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035・奧村又十郎
○奧村委員 その他短期融資として預金部から五十億入れるということはけつこうでありますが、それはどこへお入れになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004678X00119510309/35
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036・廣川弘禪
○廣川国務大臣 中金債券といいますか、それで話をつけたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004678X00119510309/36
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037・小松勇次
○小松委員 先ほど冨永君からの質問に対して、大臣は水産を決して軽視しておるものではない。ただこの融資計画書に盛られたところの数字は、仕事の分量によつてかように按分されたというように私に承つたのであります。この事業分量がここに数字によつて現われておりますが、水産方面から申し上げますならば、漁港のごときも百七十港で決して満足すべきものではないと思うのであります。二十六年度におきましても、相当の数の申請が、長い間の要望として政府に提出せられておるのであります。政府がかつてにかように分量を査定したからこそ、かように数字が減つて来たのではなかろうかと私は思うのであります。こういう点についても十分御考慮を願わなければならない。同時に、今回はかような三億余の数字であるけれども、二十六年度においてなお融資ができるならば、相当の額をもつて按配するとのお話でありましたが、二十六年度において、さらにどのくらい融資ができるお見込みであるか。その融資ができた場合には、この仕事の分量も増し、さらに水産に対するところの融資額を相当増額するところの確信があるかどうか、この点をまずお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004678X00119510309/37
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038・廣川弘禪
○廣川国務大臣 先ほども申し上げた通り、預金部資金から六十億を入れられる仕組みになつておりますので、この六十億のほかに六十億を入れまして、そうして潤沢にして行きたいというのが私の考えであります。それから漁港等についてのだんだんのお話でありまするが、今年初めてこれは長期資金というものの目途を一回つけたのでありまして、今後年々こういう特別経済から政府資金を流して、そうして徐徐にこの漁港の修築等をやりたい、こういう考えを持つておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004678X00119510309/38
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039・小松勇次
○小松委員 私は重ねて申し上げまするが、この六十億のほかに、さらに六十億の融資ができた場合には、ぜひとも十分の御考慮をもつて、水産方面に対しても、他の比率に劣らない同率をもつて、この融資額を計上されることをここに希望いたしておきます。
なおお伺いいたしたいことは、この農林漁業資金融通特別会計法案が今回提出せられたのでありまするけれども、この法案の提出せられる以前に、私どもは廣川朗報の一つとして農林漁業公庫をつくるということを伺つておつたのであります。その独立機関ができることを私どもは期待しておつたのにかかわらず、今回これを特別会計に振りかえて、こうして提出せられたというその間のいきさつを伺いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004678X00119510309/39
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040・廣川弘禪
○廣川国務大臣 公庫の構想も、特別経済の構想も、実際は内容においてはそう大して違わないのでありまして、最初から、公庫の場合にもこの中金を通じてやろうという考えでおりましたし、またこの経済でありましても中金を使うのでありますが、ただ公庫の場合にわれわれが考えておつた起債その他について、多少違つておるのであります。われわれはその起債等によつて相当額の資金を集める予定でおつたのでありますが、それがついえたので、これを預金部資金等から入れて補いたいと考えたのであります。この交渉過程において、どうしても納得してくれない方面がありましたので、ここにおちついたと御了解を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004678X00119510309/40
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041・小松勇次
○小松委員 その点は了解いたします。ただ、ただいまのお話では、この資金を中金に委託して、この業務を行う由でありまするが、われわれが懸念いたしますることは、御承知のごとく、農業も漁業もともに天然資源を相手にするところの仕事であります。従つて年によつては不作もあり、不漁の年も多いと思うのであります。そういう場合に、この回收が困難に陥ることもしばしばあろうと思います。かような危険に対するところの負担は、中金に委託した場合に、中金がするのか、政府がその危險負担をするのか、まずこの点を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004678X00119510309/41
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042・廣川弘禪
○廣川国務大臣 そういう場合には、危險の負担率は金融機関二、政府が八といたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004678X00119510309/42
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043・冨永格五郎
○冨永委員長 石原委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004678X00119510309/43
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044・石原圓吉
○石原(圓)委員 農林大臣が、主食の確保のために主務大臣として農業関係に重きを置いたということは、その割振りの上からもよくわかるのであります。しかるところ、この割振りを見ますると、水産関係が一、林業がその四倍、それから農業関係が十四倍になつておるのであります。合計六十億円がこういう割振りになつておる。そうして項目から申しますと、農業関係が十一項目になつております。林業は六項目であります。水産は三項目であります。目では三項目になつておりますけれども、漁港同様に、これは漁港の災害でありますから、これは一つと言つていいのであります。北海道の魚田の開発の問題がありますが、これはもう多年の懸案であつて、これは一項目につけ加えるだけの資格はないのであります。そうしますと、項目の上からも水産は一、林業は六、農業は十一項目になつております。ことにはなはだしいのは、水産の所管か農業の所管か、どこの所管かわからぬような塩田が、およそ水産の額と同額であります。この所管のわからないものと同額にしておるということは、どうしても農林大臣は水産をまま子扱いにしておる、こういうことはもうはつきり言えるのであります。このまま子扱いにするということは、かわいい子をぶつてならせというのか、あるいはあいつはだめだから虐待しておけというのか、一体農林大臣の心境がどこにあるのか、この点をまずお尋ねをしたいのであります。そうして農林大臣は、この三つの部門の割振りのときに、ほんとうに真劍にくちばしを入れてくれたか、あるいは最近に表ができてから知つたのではないかというような、私らは疑いがあるのであります。元来農林省というものは、農林事務次官を主として、そうして農業関係に重点を置いて、水産は、これは魚の関係でやむを得ないかもしれないが、ちよつと刺身のつまのような気持でおるきらいがあるのであります。こういうことでは水産がいつでき上るのか。農林大臣もよく知つておるはずですが、真珠は、一、二年に百億円の輸出になるはずである。これは西日本のどの産業に比べても、一番多くの輸出になることは的確であります。また今の講和條約の関係から申しても、総理大臣も非常に心配して、向うへ一札入れたようなこともあるのであります。こういうような、今後の発展というものは水産でなければならぬということになつておるこの問題に対して、あまりにも無視しておるのではないか、あまりにも農林大臣はまま子扱いにしておるのではないか、こういう感じがするのであります。まずこの点につきまして一応御答弁を願つて、次にまたお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004678X00119510309/44
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045・廣川弘禪
○廣川国務大臣 水産をまま子扱いにするのではないかというお話でありますが、決してまま子扱いにしていないのであります。それからまた塩田につきましても、これも決してまま子ではないので、国全体から見れば、どれも嫡出子であるのでありまして、決して甲乙はつけていないのであります。ただ先ほども何回も申し上げる通り、百五十億の上にまた債券を発行して、もつとたくさん金を使おうと思つたのが、圧縮されたのでかようになつたのであります。事務からいろいろ説明を聞かされて、私も納得しておるのでありますが、しかし納得できない点がありますので、どうしてもこれはもう少し金のわくをふやして、あなた方の御期待に沿いたい、こう考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004678X00119510309/45
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046・石原圓吉
○石原(圓)委員 もう一つまま子扱いの実証を示します。この塩田なるものは、大蔵省の所管と言わねばならぬ。塩の生殺與奪の権は大蔵省が持つておる。この間も漁業用塩を化学用塩と同じ価格にせいということで、われわれとても争つた。ところが大蔵官僚の若輩の方はいばつておつて、なかなかそれを認めない。化学工業用の塩と漁業用の塩とどうして差別をつけるか。大蔵省の官僚は、ただとることばかりで、この公平な処置をすることを知らない。これは大蔵官僚の諸君もよく聞いておいてもらいたい。こういう所管のわからぬようなものに三億幾ら、それから水産全体へ三億幾ら、同額です。これが的確なまま子扱いをしておる実例であります。われわれは野党でないのでありますから、言いたいことはいろいろあるが、どうも今ただちに党内野党というわけにはいかぬから申し上げかねますが、これはひとつ、今日ただいまより是正してもらわねばならぬ問題と思うのであります。
それからわれわれは、水産という産業は国際的であるというので、水産省設置の問題をやかましくやつておるわけであります。すでにこの水産省設置には、わが党の大部分及び野党の諸君も大部分賛成の署名ができておるのであります。また漁民約七十万人の署名もできておるのであります。ところが衆議院で煮え切らぬ、そのために参議院ではすでにもう法案を提出したのであります。おそらくこれは参議院では通過すると思うので、通過した上でこつちへまわつて来たら、所管大臣は農林大臣でありますが、農林大臣はこの日本の産業再建の大きな建前から、――従来の農林大臣のように自分の畑をとられて、勢力範囲をそがれるというような、そんな狭い、さもしい量見は、この農林大臣は絶対にないと思うのであります。でありますから、この点ひとつ衆議院ヘその案がまわつて来たならば、農林大臣は大きな見地から、高い観点から、この点を善処することを要望するのでありますが、これに対して、ここで農林大臣の所見をお述べ願えることになればけつこうであります。この点をお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004678X00119510309/46
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047・廣川弘禪
○廣川国務大臣 水産をまま子扱いにするというお話でありますが、たびたび申し上げた通り、決してまま子扱いしてないのでございまして、われわれのところで生れた米も、大蔵省へ持つて行つて、育てて酒にしてもらつたりすることもあります。またわれわれの方で塩を育てて専売公社に売らせるという方法もあり得ることであります。国全体から見れば、決してまま子扱いするものではないと思います。
最後に水産省の設置の問題でありますが、これは両院で決議をなされば、われわれは尊重いたしたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004678X00119510309/47
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048・石原圓吉
○石原(圓)委員 ちよつと省の問題ではあきたらぬのでありますが、その点は控えておきます。時間の関係上簡單に申し上げます。いかにしてもこの水産に対する措置は心外なのであります。私一人でないのであります。水産常任委員は、野党も與党も全部憤慨をしておるのであります。従つて私が野党ならば、もう返上ということに全面的の賛成をするのであります。しかししばしば大臣のお話もありまするが、この後にさらに六十億円を追加されるということでありますが、それは確信のあることでありますか。またそれが実現したならば、この不公平な割振りを、この次の追加によつて的確に是正をするかどうかということを、強くこの際にだめを押しておきたいのであります。この点をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004678X00119510309/48
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049・廣川弘禪
○廣川国務大臣 このほかに六十億入れるためには、十分私は努力いたす考えでおります。大蔵省と十分折衝いたしまして、これを入れましてあなたのお話の通り、ここで間違つていたのも直して行きたい、こういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004678X00119510309/49
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050・冨永格五郎
○冨永委員長 深澤委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004678X00119510309/50
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051・深澤義守
○深澤委員 大体農業、林業、水産業というものは、日本の大きな国家政策の中で虐待されているのです。これはもう過去の歴史が証明しておる。そしてもつぱら工業、特に大産業に国家の資金と金融が全部集中されておる。そのために農業、漁業、林業というものがだんだん荒廃しておる、こういうことは何人も認めるのです。水産委員会の諸君が、水産に対し主張されるのは、やはり水産がそういう形において虐待されて来たこと、そして今壊滅に瀕しておる、そこに私は問題があると思う。そこで今度の農林漁業金融計画が出たのですが、先ほども言つたように、千九百万ないし二千万石の食糧自給自足は、これは日本の大問題であると私は考える。これに対しては七千億の費用が必要であるということも言われておる。おそらくまた林業、漁業の方面においても、そういう問題が当然重大な問題になる。ところがこれに対して六十億ではまつたくすずめの涙。これに対しては農民諸君にしても、漁業の諸君にしても、林業の方面にしても、多大の期待を持つておることは間違いないけれども、ふたをあけてみれば、結局何の足しにもならない結果になると思う。そこで私がお伺いしたいことは、おそらくこういう計画が出て来るためには、大きな総合計画が私はあると思う。これは廣川さんが言われておるように、興農国会までも開こうと言われた。そして二十六年度の予算を見て来ると、自立経済ということが盛んに言われておる。この自立経済という大きなわくの中で、今度の農林漁業の占める金融の役割はどの程度のものであるか。これをわれわれは知りたい。またそういう点は総合計画の中でどの程度のものであるか、何年実施するのか、今後はどのような計画でやるか、こういう点をひとつお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004678X00119510309/51
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052・廣川弘禪
○廣川国務大臣 総合計画の中でどのくらいの役割をするかというお話ですが、ちよつと私手元に数字を持つていませんのでわかりませんが、安本から出ておるあの自立経済のことをお指しになる男と思いますが、われわれといたしましては、今まであなたのおつしやるように軽く見られたということがあるならば、これを是正して行きたいと思つておるのであります。何分にも戦後初めて長期資金を出すのでありまして、いろいろな苦しい中からここまでこぎつけたのであります。出た額は少いのでありますが、今後ともこういう形でこれを継続して行きまして、できるだけ自家資本をこの中に入れたい、こういうふうに思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004678X00119510309/52
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053・深澤義守
○深澤委員 そこでなおお伺いしますが、大体私は、現存の農業、漁業、林業というものが非常に苦しい状態にあると思う。ところが今度のこの融資によつて、相当高い利率によつて、この金融を考えられるというのですが、しかし本来的にいえば、これは国庫の公共事業の性格をもつて、農民に負担をかけないように、あるいは漁業、林業にあまり負担をかけないようにして、国家がほんとうに力を入れて、こういう土地改良とか、あるいは林道、造林、あるいは漁港の修築ということをやるべきであると考えるのです。従つてこれは公共事業として、補助事業としてやるべきことであつて、こういう金融によつてやらせることはむしろ邪道ではないか、こういうことを考えるのですが、その根本的な理念の問題について、ちよつとお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004678X00119510309/53
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054・廣川弘禪
○廣川国務大臣 これはあなたのおつしやるのとはちよつと違いまして、やはり公共事業の出るものにもこれを貸しつける、補助の出るものにも貸すのでありまして、決してあなたの言われるように邪道ではないと私は思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004678X00119510309/54
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055・冨永格五郎
○冨永委員長 林委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004678X00119510309/55
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056・林好次
○林(好)委員 ただいま議題になつております農林漁業の融資の計画につきましての、この農林関係におきまする水産に対して不均衡であるということは、先ほどから與党の委員からも強く御要望がありましたので、今後預金部資金から相当の額が繰入れられるといことでありまして、そのときには必ず水産方面も均衡のとれる是正がしていただけるものと信頼をいたしまして、一応その方は省略をいたします。
まず農林大臣にお伺いいたしたいのは、今回の融資計画書を拝見いたしますと、農業方面の項目の中に、農産工業に対します貸付制度が設けられていないことは、まことに遺憾であります。と申しますのは、最近陸上の農産工業の廃液が保護河川に流出されまして、河川が非常に荒廃をいたしておりまして、従つて遡河漁業に対しまして、重大な脅威を與えている事実があるのであります。そうして近く厚生省からも、水質汚毒防止法案が提出されようとしておりますが、私は一例といたしまして、右の事実を参考として例を申し上げたいと思います。
北海道のばれいしよを原料といたしました澱粉工業は、農産工業としてあまりにも有名でありますが、この澱粉工場の廃液が、許可條件としては当然つくられていなければならない廃液槽がないために、どんどん河川に廃液を流され込んで、遡河魚類がほとんど遡上をしないような現況になつているのであります。これは北見の網走川の一例でありますが、昭和二十二年には、さけの新魚は四万五千尾が遡上しているのでありますが、二十三年度におきましては二万八千尾、二十四年度におきましては、その約五分の一の九千八百尾、なお昨年におきましても同様九千八百尾という、驚くべき遡河の低下を来しているのであります。そこで澱粉の業者みずからもその有害を認め、法規上からも当然廃液の沈澱槽をつくらなければならないと考えているのでありますが、資金の関係でそのままに放任されて、年々河川をさらに荒廃させているような現状なのであります。また澱粉工場では、その許可條件として、乾燥室は不燃性のものによらなければならないのに、これも実際には行われていない現状でありまして、このために北海道では年々六十ないし七十の工場が燃焼しているような現状であります。かくのごとく当然つくつていなければならなかつた澱粉工場の沈澱槽と乾燥室の不燃化が、自己資金の困難から実現していない現在、これに融資するお考えがあるかどうか、お伺いする次第であります。一工場の設備費は、大体五十万円程度でできるのでありますが、北海道の澱粉工場は二千二百工場が全部でありまして、全部に五十万円の融資をいたしますとするならば、十一億円が必要になるわけでありますが、その全部を一度にやることは困難としても、特に保護河川に廃液を流している工場は、至急に設備の完璧を期さなければならないと考えているものであります。先ほど申し上げました水質汚毒防止法案が通過すれば、是が非でもこれはやらなければならないことなのであります。御存じのように、最近総司令部から水産業に対し勧告案が示されましたが、その内容を見ても、資源の維持培養を第一に取上げておるのであります。北海道では、さけの上つて来る時期と澱粉工場の操業時期がまつたく同一でありまして、このままではさけが年々不足して来るために、孵化事業にも大きな影響を與えることになるのであります。水産資源の枯渇を防止し、将来永遠に漁場が荒廃しないようにするためには、勧告案から見ても、当然この際長期資金を澱粉工場に融資し、農産工業と、水産業発展のために総合的計画を実現すべきであると考えるのでありますが、政府といたしましては、この農産工業に対しまして、現在はわくに入つていないようでありますが、この方面に貸出しをする御意思があるかどうか、まずもつてお伺いいたしたいのであります。
その次には、先般アメリカからリツチ博士が、日本の水産施設の研究に来られまして、特に北海道の鮭鱒の孵化事業には非常な興味を持たれ、全道くまなく視察され、帰られるときに、次のような言明をされたことは、農林大臣としても記憶されていることと思います。すなわち日本の孵化事業の施設ややり方は、アメリカから見たならば、三十五年遅れているということであります。その古い、二十五年前のやり方ですらも、現実に完全に実施されていないのであります。水産業は掠奪漁業の時代は過ぎたのでありまして、今や資源の枯渇防止に全力を注ぎ、積極的に資源の培養に努めなければならないのでありまして、内水面の漁業に対する人工孵化の拡充強化をはかり、人工養殖の可能なものはことごとくやるべきでありまして、これらの事業は国営にするか、あるいは国の補助事業として、一日も早く完成をしなければならないと思うのであります。
この点につきましては、賢明なる廣川農林大臣が北海道に参られましたとき、鮭鱒の孵化事業をくまなくごらんになりまして、このような消極的なことではいかぬので、大いに積極的にやらなければならぬというような御意見でありまして、三箇年計画をもつて一億円の融資をするということで、北海道に十箇所、内地に五箇所を今年つくるという計画になつておりますが、おそらくこの一億円はこの資金のわく内に入つていないと思いますけれども、すでに水産庁といたしましても、あるいは現地側といたしましても、一億の融資が受けられるものとして計画を進めておるのでありまして、この一億はぜひ貸付を願わなければならぬのでございます。この二つの問題について、農林大臣として誠意ある御答弁をお願い申すものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004678X00119510309/56
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057・廣川弘禪
○廣川国務大臣 汚水防止に関して農業生産物の向上に対する貸付の話でありますが、あなたのおつしやる通り、工場から出る汚水を濾過するための濾過池のないために、非常に川を汚毒しておることは事実であります。それによつて魚が上つて来ないこともはつきりわかつておることであります。それに対する融資等についてのお話でありますが、これは研究いたしたいと思つておるわけであります。なおそのほか鮭鱒孵化事業の一億の貸付の問題もよく検討いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004678X00119510309/57
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058・冨永格五郎
○冨永委員長 二階堂君、簡單に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004678X00119510309/58
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059・二階堂進
○二階堂委員 簡單に質問いたします。私も先ほどからこの六十億の融資分配について不満を持つて、この点農林大臣にもいろいろ御質問いたしたのでありまするが、非常な苦労をして大体この点までこぎつけたのだ、了承してくれということであります。この点は了承いたします。なおこの少い額を補うために、預金部資金から六十億の融資をする用意がある、こういうことを農林大臣が言つておられます。私はこの点もその確信がありやいなやということを、もう一ぺん農林大臣にはつきりお尋ねしたいと思います。昨日の農林政務次官の答弁によりますと、四十億になるかもしれない、あるいはその額はまだわからぬ、こういつたようなあいまいな答弁をしていたのであります。こういうようなはつきりしていないことをいろいろ申されると、私どもは今問題になつておるようなことが、この次にまた問題になるのじやないか、いろいろ苦労してみたけれども、二十億になつてしまつた。だから水産にはこれこれしかやれない、こういうような結果になることを非常に恐れるものでありますが、農林大臣とされましては、ほんとうに預金部の方から六十億融資する見通しがあるか、確信があるのかどうか。その場合にまた土地改良の項目に上つております幾多の項目に該当するような項目を、水産のいろいろな事業の中に明細に織り込んで、そうしてこれに相当するだけの、今少いと言われ問題になつておる、しわ寄せになつておるようなものを、補うだけの決意を持つておられるかどうか、明確に御答弁願いたい。大蔵大臣も来ておられますから、この点についてどういうふうにお考えになつておるか、あわせて御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004678X00119510309/59
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060・冨永格五郎
○冨永委員長 二階堂君に申し上げます。今廣川農林大臣に対するだけの答弁を願つて、大蔵大臣はあとから願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004678X00119510309/60
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061・廣川弘禪
○廣川国務大臣 先ほどから申しております通り、六十億入れても利率方面においてはかわりないことは御承知の通りでありまして、六十億入れるように大蔵省と折衝するということを申し上げておるようなわけで、十分折衝いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004678X00119510309/61
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062・大森玉木
○大森委員 私ははなはだ遺憾な点があるので、農林大臣にお尋ねいたしたい。なぜかというと、農業は蚕糸、畜産そして農耕、この三つの問題があるにかかわらず、畜産はこの融資の中に入つていない。農林省において畜産をもう少し認識してもらいたい。なぜかと申しますると、先ほどからいろいろお話がありまするが、水産も必要、それから農業もむろんこの通りやられることを私は希望いたすのでありますが、畜産の市場における経済動物というものの真価を御承知ないからだ。食糧の自給態勢も、畜産によれば必ず解決がつくものであるという自信を私は持つておる。しかるに現在の農家は、牛を飼うにも資金がない、いろいろな点で困つておるのでありまするが、しかるにこの場合にここに何も畜産というものが載せられていないということは、はなはだ遺憾であると私は思う。皆さんに詳しく説明する時間がありませんが、私は自信を持つておる。何としても家畜を飼育して、現在の経済動物を一千億くらいのものは置く、それは七〇%は繁殖できる。こういう状態のものをこのままに放任しておくということはどうであるか。畜産によつて食糧自給態勢というものは完全にできるものであると私は思う。政府がもう一ふんばりふんばつて、これに力を入れたならば、二年たたないうちに必ず輸入食糧というものはいらなくなるという確信を持つておる。私いつぞや農林大臣にこう申し上げると、それは同感であるということをおつしやつておられたのだが、ここに何にも現われてないことを遺憾に思うので、この場合簡單に農林大臣の心境をお尋ねいたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004678X00119510309/62
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063・廣川弘禪
○廣川国務大臣 農業部門において畜産が非常に重大な位置を占めておることは、お説の通りであります。ただ長期資金をそこに流した方がよいかというと、あなたの言つておるように流した方がよいにきまつておるのでありますが、しかし大体家畜類は中短期資金でも間に合うのじやないかということで、農林中金を通じてその道を開きたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004678X00119510309/63
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064・内藤友明
○内藤(友)委員 先ほどの六十億の預金部資金の問題でありますが、農林大臣から、それは今交渉しておるのだからというお話でありますが、まことに心もとないのであります。実は農林漁業資金融通法案というこの法律案の固めて来てある元は、六十億の預金部の金を入れて、この六十億の金と百二十億の金でできておるのです。それですからいまさらこうしようというと困るのでありますけれども、大蔵大臣はどういう御交渉を受けておられるのですか、それをはつきりしておかぬと、この基礎がぐらついて来るのじやないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004678X00119510309/64
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065・池田勇人
○池田国務大臣 同じ閣内の閣僚でございますから、正式に交渉とか何とかいうことはございませんが、廣川さんからひとつ預金部から金を入れろというような話はございます。しかし今お話のように、十二條によつて繰入れることにつきましては、大蔵大臣の事務であり、しかしてこれは予算を伴うものであります。だから百二十億が元になるとお考えになるのは、これは少し先走り過ぎておるのじやないか。今度六十億の一般会計並びに対日援助見返り資金から出しておる、これを御審議願つておる。今後貸付を支弁するために必要があるときには、この六十億という額の範囲内において借入金ができる、その仕事は大蔵大臣がやる、こうなつておるのでありますから、百二十億を元にしていただきますと困るのであります。
それから今ちよつと聞いておりますと、この六十億円がきまつたようにお考えのようでありますが、大蔵大臣は一つも交渉を受けておりません。しかしこれは金融に関するものでありますから、私のところへ一応御相談になるものと私は考えておりますが、実は私はまだ見ていないのでございます。農林省の腹案じやないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004678X00119510309/65
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066・内藤友明
○内藤(友)委員 これはそういうお答えだとちよつと困るのでありまして、この審議をやめた方がよいということになるのであります。と申しますのは、六十億の資金額が出ております。これは政府から出たのでありますから、これによつてやつておるのであります。ところがこの間からの委員会の質疑応答によりますと、六分一厘の資金コストになる。そのうちの三分は預金部への利拂いである。それから三分は手数料だ。一厘は政府の手数料だということが、実はこの利率をきめてあるもとになつておるのであります。これは七分五厘とか八分とかなつておりますが、六分一厘というものが基礎になつておる。そこから行きますと、六十億の預金部資金が出るものだという基礎の上に立つておる。もしそれが出なくて、今ここに出ておる政府資金二十億と四十億の見返り資金から出るものであるならば、この六分とか八分という利率はもつと引下げて行かなければならないものなのです。でありますから、私は今大蔵大臣が言われるようなことはどこにも出て来ないと思うのであります。これは今までの委員会の速記録をお目にかけてもよいと思いますが、どうもそこから見ると困るのであります。閣内の交渉というようなことはあり得ないとおつしやいますが、それはそうかも存じませんけれども、そういうことをおつしやらず――そうなりますと、この法律の基礎がだめになるのでありますから、そこをもう一ぺんはつきりさせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004678X00119510309/66
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067・池田勇人
○池田国務大臣 私が事情を知らなかつたのですが、その線で関係方面と話を進めつつあるそうであります。閣議へかかつておりませんので、私が知らないで申し上げましたが、その線によつて関係方面と交渉しておられる、ただ私の方はそれを見ていなかつたということであります。向うと交渉がまとまりますれば、われわれもそれに反対する気持はありませんが、まだ私はその審議に乗つていないというわけであります。その表は私は見たことはありませんが、百二十億円にして計算する場合に、六分一厘とかおつしやいますが、これはどういうふうな計算の内容になつておるのですか、この予算がいつできるかによつてずいぶん違つて来ると思います。たとえば補正予算を十二月にやるか、五月にやつてすぐあとの六十億円を出すかということによつて計算が違つて来ると思いますが、私はそういうことを見ておりません。でありますから預金部資金の方から出す四百億円の金融債については、参考表として出しております。しかしこれは金融債ではありません。しかしてあの預金部の予算になつておる以外に、この会計に六十億円を入れるということは御審議を願つておりません。でありますから、実際問題として六分一厘の計算は、それではいつ六十億を入れるという計算ができておるか、私はその点はもつと考えなければならぬ問題だと思います。事実はこうであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004678X00119510309/67
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068・内藤友明
○内藤(友)委員 まことに困るのでありまして、今までの委員会での政府側の御答弁は、この資金のコストは大体六分一厘だ、六分一厘なるものの計算は、政府資金の二十億と見返り資金からの四十億で、この六十億は利息はただのものです。それに六十億の金を入れるから、そこでそれは預金部に利息を拂つて行かなければならぬから、それが三分になる。それから中央金庫その他の金融機関の取扱い手数料が三分で、政府は一厘とるのだ。それで六分一厘になるのだから、これがこの資金のコストになつておる。それが七分、八分ということになつておるのだ。こういうようなことは委員会でしばしば皆さんから御答弁があつた。ですから政府資金だけ出るならば、これは無利子でありますから、もつと利息は安くしてもよいのではないかという議論が出て来るのでありますが、そういう御説明でありますから、それではこの利息もこれでよかろうと一応了承しておる。ですから、これは廣川さんの方とあなたの方とよくお話合いをいただきまして、これは大事な法律でありますから、間違いのないようにやつてもらいたいと思います。いまさらそういうお話では実は私ども困るのであります。それだけひとつよくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004678X00119510309/68
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069・池田勇人
○池田国務大臣 毎日朝から晩までひつぱり出されまして、事務当局から十分の報告も聞いておりませんが、正直に申しまして、私はそういう話は聞いていないのであります。予算全体の考え方から申しましても、いつ預金部から六十億円出すということがきまらない以上は、その計算はほとんど不可能ではないかと私は思います。あとから農林当局に聞きますし、大蔵事務当局が相談に乗つておるならば、それもあとから聞きますが、それがどういう計算で行くのかは、六十億の出るときがきまらなければ計算できません。あなた方は御納得なすつていても、私にはわからないのであります。あなた方の御審議、御決定がなければきまらない問題なのです。そこで、そういうものは大体こういう線で話をつけておるということでありましよう。ただ私は聞いていない。廣川さんから聞きましたら、下の方でやつているからお前は知らないのだろうと言う。その通りです。しかしこれは事務当局の非常な行き過ぎだと思います。なぜかと申しますと、あなた方の御審議があつて初めて予算的措置を講じて金が出せる。それがないのにずつとやるということはいかぬ。そこで一応大蔵省は、今後いつごろ出すか、こういうことにならなければいかぬと思います。しかしまた預金部の金でなければならないというのではありません。金融債の四百億を来年度出そうとしておるが、四百億の金融債が農林中金へどれだけ行くか。農林中金へ行く金をこの六十億円と合してやればそういう計算ができますが、私は思うに、事務当局がやるのは、預金部資金から出る四百億円の金融債の身がわりの金とタイアップした計算ではないかと思います。その点は、今言つたように、朝から晩までこちらにおりますが連絡がありませんので、よく連絡をとりますけれども、金融債の四百億円のうち農林中金へどれだけ行くか。その金がこれとどうタイアツプするか。しかして、足りないときにおいて、別に預金部というところから金が六十億円出せるかどうか――郵便貯金あるいは簡易保險がふえないと出ないのでありますが、どういうふうなふえ方をするか。こういうことから考えて行かなければいかぬのではないかと、私は思います。そこで、今まで御審議なさつたことにつきましては、われわれはあくまで尊重して参りますが、この金に加うるに預金部の金融債、そうしてまた別にどれだけの御賛成を願つて使うか、こういうところからずつと締めて行かなければ、なかなか結論は出ないと思います。だからこの預金部の金が出なくても、四百億円の金融債の引受けが――これは六分五厘でありますか、七分五厘になりますか、あるいは八分五厘になりますか、八十億の金融債を引き受けて、これとタイアツプしたらどうなりますか。それから三十億しかこれとタイアツプしない金が出たときに、またそれから六十億出て、九十億の預金部資金が出たときにどうなりますか。そこまで検討が進んでおらないと思う。そこでしばらくお待ちくださいませんかと言うのであります。こういう点から検討して行きたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004678X00119510309/69
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070・冨永格五郎
○冨永委員長 農林大臣に対する質疑を打切るに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004678X00119510309/70
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071・冨永格五郎
○冨永委員長 御異議ないものと認めまして打切ります。
大蔵大臣に対する質疑の通告があります。これを許します。深澤委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004678X00119510309/71
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072・深澤義守
○深澤委員 今の大蔵大臣の御説明は、われわれが一応予算委員会で決定し、本会議で決定した資金運用部資金計画から申しまして、大体その説明が妥当だと思いますが、そこで問題になりますのは――先ほど私はちよつと申し上げたのでありますが、日本の金融が非常に変調であることである。農業、林業、あるいは水産方面に対しては、金融関係においても今まで非常に不十分である。そうしてもつぱら重要産業、基幹産業の方面に集中されておるということが今までの行き方であり、それがおそらく今までの政策の根本であつたと思うのであります。そこでこの農林漁業金融特別会計というものが今後ずつと継続されて行く場合において、このような規模においてずつと継続する方針を大蔵省としては認められるのかどうか、その点を第一にお聞きいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004678X00119510309/72
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073・池田勇人
○池田国務大臣 われわれが多年農業、林業、水産等に対して深い関心を持つておつたのが、ようやくここで実現したのであります。私は、われわれが政治をしている間は、今後ともこの方針を続けて行きたい、しかももつと拡大して行きたいという考えを持つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004678X00119510309/73
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074・深澤義守
○深澤委員 そこで、最近の日米経済協力の線に沿いまして、この財政金融というものの一応の制約が出て来ると私は思うのです。本日の日本経済によりますと、閣僚懇談会によつて財政金融計画の大綱を決定され、これを関係方面に出されたということが報ぜられておるのでありますが、この財政金融対策の中で、農林水産関係の金融かどういうぐあいにきまつているか、お伺いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004678X00119510309/74
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075・池田勇人
○池田国務大臣 日米経済何とかというものにつきまして、経済閣僚懇談会を開いたことはございません。従いまして御質問のようなことにつきましての答弁の資料を持ちません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004678X00119510309/75
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076・深澤義守
○深澤委員 これは本日の日本経済に出ているのでありますが、新聞が事実無根であるとすれば、それはそれといたしまして、今大体預金部の資金の運用の問題が問題になつたようでありますが、今度の国会におきましても、資金運用部資金特別会計を設置いたしまして、この預金部の金が多くは金融債あるいは電通、国鉄等の見返り資金の肩がわりの方面に振り向けられる、そのためにこの預金部資金というものが、地方への還元あるいは農林漁業方面に流れる可能性というものは非常に少いということで、地方でも大分これを問題にしているし、あるいはそれぞれ団体でも問題にしているのでありますが、こういう制約の中で農林漁業金融関係に出されることについて、われわれは今後非常に不安を感ずるのであります。それならば大体二十六年度以降どういう計画を持つて流して行かれるか、この点をひとつお伺いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004678X00119510309/76
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077・池田勇人
○池田国務大臣 今回の改正をお願いするまでは、預金部の金は公社債の引受にほとんどとどまつておつたのであります。金融債の引受は認められておりません。一昨年の暮百億円の銀行預託だけを認めておつたが、それではお話のような趣旨に合わないからというので、公社債の引受のみならず、金融債の引受もすることにいたしたのであります。これによりまして、一方は市中金融機関を通じて出ましようし、また他方は農林中金を通じて出るということになつて、今までよりはよほど改善されて来ると思うのであります。従つて農民、漁民の方々の希望に沿い得ると私は考えているのであります。しかしこれだけでは十分でないから、今後もこれを拡大して行こう、こういうのであります。しかして預金部資金の運用につきましては、今御審議願つております資金運用部におきまして計画を定めます。しかしてこの計画を定めるのは、委員会を設け、総理大臣を会長とし、郵政、大蔵両大臣を副会長とする委員会に諮つてやつて行こうとしておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004678X00119510309/77
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078・深澤義守
○深澤委員 そこでなおお伺いいたしたいことは、農業関係に流します場合において、預金部資金を流すのにしましても、他の資金を流すのにしましても、六分何厘ということは――もちろん一般の金融関係から申しますれば、あるいは普通の利息だと考えますが、最近の農業の実態ははなはだ困難であります。従つて資金貸出しの過程において、相当貸倒れというような問題も出て来る可能性が私はあると思う。この貸倒れに対して、一体どういうふうにお考えになつておられるか。
もう一つは、大体こういう事業は公共事業費の国庫補助によつてやるべき性格のものであつて、こういう金融を通じてやるということは、現在の農業等においては、その負担にたえられないのではないかと思いますが、この問題についての大蔵大臣の見解を質したい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004678X00119510309/78
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079・池田勇人
○池田国務大臣 貸倒れの問題について御心配のようでありますが、われわれの経験から申しまして、庶民階級への貸出しというものはあまり倒れるもののないものであります。国民金融公庫などは、ほとんど無担保あるいは保証でやつておるのでありますが、貸倒れは一般の大銀行よりも少いというふうな事例があるのであります。農民の方におきましても、漁業をなさる方におきましても、そう貸倒れというものはあるものではない、またある程度の分は金融としてやむを得ないわけでございますが、その準備はいたしております。
第二の御質問の、農業とか漁業という原始産業の方については、国家資金、利子のつかないものであるべきではないという議論はあります。ありまするが、これもやはり経済行為であります。経済行為であります以上、全部国民の税でもつて負担するという原則は、私はどうかと思います。そこで増産その他で採算がつかなかつたり、あるいはなかなかむずかしい場合におきましては、国の公共事業費でやつて行く場合もありますし、またある程度の補助で行くものならばそれで行かしましようし、また六分程度の金利、あるいは八分の金利でも、金さえやつて行けば採算がつくようなものは貸し付けてやつて行く。いずれにいたしましても、要はできるだけ増産し、できるだけ農村、漁村の方々の收益をふやし、生産を増して行く方法をとればいいわけでありまして、これ一本で行かなければならないということは、あまり思い過ぎの考え方と思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004678X00119510309/79
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080・深澤義守
○深澤委員 従来の農林予算の問題については、大蔵省との折衝の関係で、相当の査定を大蔵省からすでにされているようにわれわれ聞いているのであります。そこで私は、今日日本の食糧が足りないという問題は、他の経済問題も重要でありましようが、これは非常に重大な問題であると考えます。この問題を解決するためには、少くとも政府が相当力をこれに注ぎ込む必要があると思う。先ほども廣川農林大臣は、大体自給自足のための千九百万石を増産するためには、七千億程度の資金を必要とすると言われている。それに対してはあまりにもすずめの涙のような結果になると私は思います。従つて私は、日本の大蔵大臣が日本の食糧自給の問題についてどういう方針を持つておられるか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004678X00119510309/80
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081・池田勇人
○池田国務大臣 今度の予算をごらんくださつても、また今御審議を願つております農林水産特別会計の問題にいたしましても、今までの政府の大蔵大臣よりは、私はよほど力を入れている考えでおります。今後ともこれをますます推し進めて行きたい。千九百万石という計算は、戰前朝鮮あるいは台湾等から入つて参ります食糧から申しましても、また人口の増加から申しましても、千九百万石では十分ではございません。これに要する金の七千億というものは、政府の財政資金ばかりでまかなうものではなしに、やはり一般国民の資金蓄積に期待する面も多いのであります。一度に税金をふやしてこれの方へ使うということは、いわゆる経済の円滑なる運用から言つても考えなければなりませんし、増産のためにはできるだけの力を盡していることをつけ加えて置きます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004678X00119510309/81
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082・林好次
○林(好)委員 昭和二十六年度の国内の塩の生産目標高をお知らせ願いたいと思います。さらに二十五年度におきまする国内の塩の生産高、さらに戰前におきましては国内にどの程度の塩の生産の実績が上つておりましたか。まずもつてこれをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004678X00119510309/82
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083・池田勇人
○池田国務大臣 戰前の塩の生産高につきましてははつきり記憶がございませんが、大体塩の使用は食料塩と工業塩とが半々というところでございます。ソーダ工業が非常に殷盛をきわめておる場合におきましては、これは工業塩の方が多いようでございますが、大体食料塩が百三十万トンぐらい、工業塩もその程度あるいはそれ以上かと思います。一時非常に減りまして三、四十万トンぐらいの国内生産でございましたが、これが五、六十万トンぐらいに相なつておるじやないかと思います。しこうして足らぬ分は外国から持つて参りまして、百万トン余りの食料塩と、それに加えるの工業塩をやつておるのであります。しこうして昨年の八、九月ごろまでは塩の輸入が非常に順調に行きました。しかもまた予算では十八ドルぐらいに見込んでおつたのが、八、九ドルに下つた。これでは塩が多過ぎるというので、何とかして塩を売りさばこうということになつて、食糧塩も暮れに引下げる、こういうかつこうをとつたのでありますが、中国との貿易が不円滑になりましたために安い塩が入らぬ。それに船賃が上つて、最近は十八ドルから二十ドルぐらいの高額になつておると思います。そこで政府の財政から申しまして、三千円の工業塩をうんと上げたいという気持で進んでおります。一旦下げた食料塩を上げるわけには行きません。またここには漁業関係の方がおいでになりますが、さきの国会で魚の防腐に使う塩についても、ある程度下げる約束をいたしたので下げることにいたしましたが、大体の見当はそういうところだつたと私は記憶いたしておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004678X00119510309/83
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084・林好次
○林(好)委員 ただいま大蔵大臣からお話がありましたように、塩は食料塩と工業塩で非常に重要な役割を果しておるわけでございます。終戰当時塩が国内で非常に拂底いたしまして、国が大きな犠牲を拂い、助成金を出して、非常にコストの高い塩をつくつたことがございますので、塩の生産はまことに重要なものでございます。今回のこの資金の融資計画を見ますと、塩には二億円ほどより貸付をしないことになつておりますが、ただいまも申し上げましたように、塩の生産の重要性にかんがみまして、塩田に対する融資に対しましては、相当の増額をするよう是正される御意思があるかないかを承ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004678X00119510309/84
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085・池田勇人
○池田国務大臣 先ほど来問題になつておりますのを私は見ていないので、ほかへどのぐらいまわつておるかわかりませんが、私の想像で、六十億のうち三億円塩の方へまわれば、大蔵大臣としてはこれはありがたい、よくそこまで農林省が御努力なさつたと驚くぐらいでございます。私はそのぐらいでけつこうだと思います。ただ今後日本の食料塩をどうするかという問題になりますと、これはもう十数年来議論のあるところでございまして、有事の際を考えてどうしても減らされぬ、八、九十万トンは確保しなければいかぬ。百万トンは確保しなければいかぬという議論もありましたが、私は戰争を予定して日本の経済を計画することはいかがなものかと思うのであります。私は瀬戸内海の塩田をつぶそうという考えはもちろん持つておりませんが、外国の塩がふんだんに安く入つて来る場合におきましては、やはり国内の塩についても、そうどんどん助成をするということはどうかと思います。これは経済の原則であります。ただ絶対必要なものでありますから、なるべく増産には向つて行きますけれども、米麦と同様に考えるべきであつて、大蔵省所管だから、特に塩だけをやつて行かなければならぬという気持は持つておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004678X00119510309/85
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086・川村善八郎
○川村委員 本日農林漁業の金融について法律を制定して、さらにもう六十億預金部資金から借入れをして貸し出そうという大きな構想のもとに――これならば農林漁業のめんどうがいささかでも見られるという期待を持つて、農林大臣に質問をしておつたのであります。農林大臣は相かわらず朗報で、これに対する融資計画の不備な点は、さらに六十億を預金部資金から引出して、そうして貸して緩和するというような、われわれを非常に喜ばす答弁をしておる。ところが大蔵大臣に質問をすることになりましたならば、この案も知らない。もちろん六十億出すかどうかということは、まだわれわれはちつとも考えていない、予算措置もこれからだと言う。まつたくやみの夜にだれかに鼻をつままれて投げ出されたような感じがするので、まことに遺憾に存じておるのであります。そこで今私は、知らない大蔵大臣にこれ以上質問いたしましてもどうにもなりませんので、大蔵大臣も、農林大臣のこの計画、われわれ委員会のこの熱意も買つて、実現に十分努力するようにお願いをいたしまして、大蔵大臣にだけは私は質問しません。ただこの場合これを実現するに至りますれば、この法案の精神と内容とを相当に検討してみなければならない、かように考えるのであります。
そこで精神は、農林漁業金融の円滑化をはかつて増産をする、いわゆる農民なり、漁民の福祉を考えるということには違いないでしようけれども、さてこの法案の内容等を検討してみますると、漁業の方は恵まれないような状況になつております。簡單に申し上げまするならば、「漁港の修築又は復旧に必要な資金」ということが第二條の四号に載つております。さらに六号には、「農林漁業者の共同利用に供する施設の造成、復旧又は取得に必要な資金」となつております。第六号の問題は実際に相当広範囲になり、対象物が非常に大きいので、取上げるのに困難ではなかろうか。特に先日の委員会におきまして私が質問した問題に対して、山本次長は、これは協同組合の施設のみ考えていると言われた。そういうことになりますと、まつたく極限されてしまいます。それで漁業方面の融資を拡大するとすれば、何かそこにこれ以外の項目を入れない限り、相当容易ではありません。そこで私は先ほど農林大臣に、われわれの海というものは、つまり陸上の田や畑と同じものである、すなわち魚田と称しているものである、田や畑の改良がある通り、魚田にも改良がなければならないということを考えまして、その実例をあげて質問いたしましたところが、御意見には同感だ、その通りだ、むしろ船員の厚生施設等にもわれわれはこの融資をしなければならぬという、非常に太つ腹な意見があつたのであります。私は、この立案はどなたが立案されたかわかりませんけれども、とにかく農林当局が立案されたということだけは想像がつくのであります。でありますので、これは農林省内部で立案したとするならば、われわれは農林省内部の方々と相談をして、修正をすることも可なりだと考えております。そこでしばらく顔を合わさなかつた塩見官房長がここにお見えになりましたが、漁業法の立案あるいは協同組合法の立案等に御盡力された方でありますので、特にお伺いします。農林大臣の御答弁のごとく、魚田である以上、すなわち田である以上改良が必要だ、それに伴うところのいろいろな施設、事業というものも、またついて来るものであると思います。この点において、この法案の内容に組み入れるお考えがあるかどうかということについて、まずお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004678X00119510309/86
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087・塩見友之助
○塩見政府委員 先ほど大臣からお答えがあつたと思いますけれども、われわれといたしましても、六十億では足りないというふうな点は、はつきりと了解しておりますので、極力あとの六十億を預金部の方から出していただくように今努力中でございます。しかしその内容についてはほかの方の関係もあつて、まだ全部が確定するには至つておりません。今提示いたしました六十億につきましては、長い経過があつて、関係方面とも時間をかけて折衝した結果でございますので、修正しますとすれば、どうしてもそういうふうな点で相当な時間を必要とすると存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004678X00119510309/87
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088・川村善八郎
○川村委員 今塩見官房長から、関係方面の了解を得るために相当の時間がかかる、こういうことをおつしやられております。もちろん私たちも、いろいろな法案の作成にあたりまして、関係方面と交渉したことがございますが、このくらいの原案ができますと、あとは追加などのごときは簡單なんです。現に私、漁船法と漁港法を担当いたしまして、議員提出にして成功したのであります。その際にも、いろいろ折衝はめんどうであつたけれども、よく事情を話しましたところが、そうしなければならないとしたならば認めよう、委員の方々の強い意思であるならば、何ら占領の目的に反するものではないから認めようということで、簡單に認められた事例もあるのであります。そこで私は、字句につきましては、後ほど水産委員会において詳細に意見を述べまして修正したいと思いますけれども、ただ関係方面と折衝したのだから、これは絶対動かすべからざるものだ、こういうふうにあなた方はお考えになつておるのか。もし修正するとすれば、あなた方もわれわれも一致して関係方面の了解を得て、それが成功するならば修正してもよろしいという御意思なのか。絶対か、あるいはまだ余裕が残されておるのか、こういう点についてお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004678X00119510309/88
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089・塩見友之助
○塩見政府委員 今のお尋ねの点が、もしわくの問題でなくて、内部の運用で処理されるものであれば、政令等において十分中へ含めることも可能でありますけれども、わくの問題になると、さつき申し上げたような形でいくらか時間を要すると考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004678X00119510309/89
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090・川村善八郎
○川村委員 私はわくの問題を今質問しておるのではありません。わくはいずれかの時期において論議いたすものであるけれども、法律ができ上らないうちは、わくをいくら検討したつてそれは何にもならない。いわんや先ほど大蔵大臣が、まだその措置は何もできておらぬ、知らぬと言うに至つては唖然としたのでありますけれども、いやしくもこの法律を制定いたしまして、農村漁業の金融の円滑化をはかつて増産するという趣旨には、双手をあげて賛成するものでありますから、まず根本になる法律案そのものを先に検討して、さらにわくの問題につきましては、六十億の線で――これがどうしても動かすことができないとするならば、農林大臣も塩見さんも言われておるように、あとの運用で緩和するとかいろいろな方法がありましようけれども、まず根本となるべきところのこの法案を検討して、そして不備な点はこの法案を直してかかる方がいいんじやないか、こういうふうな意味で聞いておるのであります。わくの問題は後日に譲りまして、この法案に対する修正はどうかということについて、お伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004678X00119510309/90
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091・塩見友之助
○塩見政府委員 ただいまのは魚田開発等に関する内容になるようでございますが、これは政令で決定さるべきでございますから、こまかい問題になるかとも思いますけれども、十分御意見を伺つて、それがいれられるような形にすることは可能であろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004678X00119510309/91
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092・川村善八郎
○川村委員 もちろん魚田の開発という意味にもなりましようけれども、魚田の開発も必要でありますが、沿岸魚田を改良しないと、ちようど田畑に肥料がなくなれば作物がとれないと同様に、改良しなければ沿岸魚田に魚族がなくなるのだ。従つて魚田を開発するという沖合いの問題でなく、沿岸漁業の改良ということをどうしても織り込まなければならないのではないか。改良と開発とは絶対に違つております。開発というのは開くことだ。それから改良というのは、開いておる海に改良を加えなければならぬ。これはここで議論しても時間ばかりを費しますので、魚田の改良について具体的の問題は、あとでゆつくり塩見さんとひざを交えてお話したいと思います。農地の改良ということはたくさん項目に上つておるが、魚田の改良ということは一つもない。ただ漁港修築と魚田開発の二つだけだ。しかし開発することも必要だが、改良することもわれわれは急速度に進めなければならぬ、こういう趣旨で言つておるのでありますが、魚田の改良についてこの法律に織り込む意思があるかどうか。いずれにしてもこれはオーケーをとらなければならない問題とするならば、双方で当つてみてできないものか、こういうふうに私は申し上げたのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004678X00119510309/92
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093・塩見友之助
○塩見政府委員 北海道魚田開発となつておりますのは、見返り資金からこちらの方へ移されたものでございまして、この内容につきましては、ただ開発のみならず、改良も含めて行くことは可能であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004678X00119510309/93
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094・川村善八郎
○川村委員 ただいま塩見さんは、魚田開発の中に改良を含むと言われましたが、あなたの考えならそうでしよう。しかし北海道庁の考え方や水産委員会の委員の考え方、漁民の考え方は、魚田開発ということには魚田の改良は含まれておりません。これは過去の事業の成果から見ても、断じて含まれておりません。そうした専門的のことはあなたがおわかりにならないから、あとでゆつくり申し上げることとして、ぜひこの法案の内容を修正したいという意見を申し上げるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004678X00119510309/94
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095・石原圓吉
○石原(圓)委員 大蔵委員はお見えになりますけれども、農林関係の委員は一人もお見えにならぬようで、どうも水産委員だけが残つたような形になつてしまいましたが、この点だけでも、はつきりと水産関係がいかに虐待されているかということがわかるわけであります。先刻来、農林大臣と大蔵大臣との話に食い違いがあります。これは主として農林委員長の方で主管すべき案のように心得るのでありますが、もう一度委員長は農林委員長とその点を明確に御相談願い、さらに連合審査会を再開するか、しないかをきめて、必要あればすみやかに再開するようにおとりはからいを願いたい。私個人としては、引続き再開の意義があると心得るのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004678X00119510309/95
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096・冨永格五郎
○冨永委員長 本日はこれをもつて散会いたします。
なお必要があれば関係の委員長と協議の上、適当な機会にさらに連合審査会を開くことにしますから、御了承願います。
午後三時五十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004678X00119510309/96
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