1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和二十六年三月十五日(木曜日)
午後二時二分開議
出席委員
委員長 小金 義照君
理事 阿左美廣治君 理事 多武良哲三君
理事 中村 幸八君 理事 高橋清治郎君
理事 今澄 勇君 江田斗米吉君
小川 平二君 神田 博君
澁谷雄太郎君 中村 純一君
福田 一君 村上 勇君
風早八十二君
出席国務大臣
通商産業大臣 横尾 龍君
出席政府委員
外国為替管理委
員会委員長 木内 信胤君
通商産業政務次
官 首藤 新八君
通商産業事務官
(通商振興局
長) 井上 尚一君
中小企業庁長官 小笠 公韶君
委員外の出席者
專 門 員 谷崎 明君
專 門 員 大石 主計君
專 門 員 越田 清七君
—————————————
三月十五日
委員川崎秀二君辞任につき、その補欠として河
野金昇君が議長の指名で委員に選任された。
—————————————
本日の会議に付した事件
中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案
(内閣提出第九七号)
輸出品取締法の一部を改正する法律案(小川平
二君外三十二名提出、衆法第一三号)
輸出入に関する件
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X01719510315/0
-
001・小金義照
○小金委員長 これより通商産業委員会を開会いたします。
理事会の申合せによりまして、まず輸出入に関する件について調査を進めます。本件に関して発言の通告があります。これを許します。澁谷雄太郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X01719510315/1
-
002・澁谷雄太郎
○澁谷委員 外国為替管理委員長がお急ぎのようですから、先に為替問題についてお尋ねしておきたいと思います。
この前の委員会で私が質問をいたしましたときに、現在の情勢におきましては輸入を確保することが非常に重大であるということを申されております。そこでこの輸入を確保するには、どうしても現在日本が持つておるところの外貨の量がどういうふうな状態になつており、これから先どういうふうな状態になつて行くかということが一番われわれの懸念するところでありまして、このことに対しましては、前回の質問のときに、委員長はさしつかえがなく行けるだろうというお話でありました。また国内の円資金におきましても、どうやら輸出とにらみ合せて行けるだろうというお話であつたのでありますが、すでに外貨予算として本年一月から三月までに許容されましたものが、追加がありますからもつと大きくなつておると思いますが、八億ドルという大きな金高に上つておりますし、昨年の一月から十二月、つまり年度でなく、昭和二十五年の一月から十二月までの外為の輸入確認の実際のドル金額は、十億四千七百万ドルであるということであつて、本年に入つてから、一月から三月までで、予算ではありますけれども、外貨予算ではすでに八億ドルの予算が許容されておる。なるほどそれがために最近の輸入の状況は非常によくなつて参つておるのであります。先般も通産省の案として新聞に出ておりましたから、これはあとで通商産業大臣にお尋ねしたいと思つておりますが、輸入は相当順調に進んでおります。ただ私たちには、このあとの輸入に必要な外国為替に、はたして事欠かないで済むかどうかということが一番懸念されるわけであります。これは外為の委員長からのこの間の御説明にもありました通りに、政府が十二月末に持つておつたところの外国為替は五億二千万ドルであつた。政府の手持ち外貨はなるほど五億二千万ドルでありますけれども、その中で自由に使い得るものは、すでに日銀に外貨貸付として三脚三千七百万ドルの外貨が出ておりまして、差引残高は一億八千万ドル見当、こういうふうに想像されるわけでありまして、しかも今後ますます輸入を促進せしめるということになりますと、輸出は相当に進展しておりますけれども、はたしてこの程度の外貨でこれから先の輸入をまかない得る見通しがあるかどうか、確信があるかどうかという点について、まず外為の委員長から詳細な御説明をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X01719510315/2
-
003・木内信胤
○木内政府委員 御質問の点でありますが、昨年来輸入促進が叫ばれておつて、何か外貨が余つてしようがないような感じがありましたが、最近になりまして、外貨は足りないということが、新聞にもたくさん出ております。その間の事情を結論的に申しますと、輸入を促進しようと思つていろいろやつた施策がようやく効を奏し出して、一月以来輸出で入つて来る金よりも、輸入で支払う金が多くなつておる。言いかえれば、それがすなわち輸入が促進されたことでありまして、商品が日本の国内に姿を見せたということでは、まだ十分でないかもしれませんが、金の面では輸入の方が勝ち出しました。これは一月以来の現象でありますが、今に続いております。従いましてその金額が、輸出が非常に衰えてそうなつたのなら非常に憂うべきでありますが、輸出は決して衰えておるのではなく、依然として相当な金額が出ておりますから、それを越して輸入されるようになつたことは輸入奨励策がきいて来たということで、この点は私ども非常に喜んでおるところであります。にもかかわらず、何となく将来が懸念されるように思われますのは、いろいろな意味で外貨が足りなくなつたという現象が入り乱れておりますために、どういう意味で足りなくなつたかが多少混乱があると思いますので、それを説明させていただきます。
第一は、お尋ねの日銀に売るべき外貨がなくなつたという点でありますが、これは今の通称日銀ユーザンスと呼びます制度は、先方から輸入いたします場合に、外国の輸出業者に払う金は、即金で輸出品が出るときに払つてしまう。しかしその払う金は日本の輸入業者が円を提供して、私どもから外貨を買つて払う、これは為替銀行を通じてであります。それをしばらく待つてやろうというのが制度の骨子であります。その待つ手段としまして、いろいろなやり方があるのでありますが、現在やつておりますのは、私どもの会計から日本銀行へ外貨を売りまして、その外貨を日本銀行は為替銀行に貸しまして、為替銀行はそれを私どもの会計にまた預け入れる。こういう三角形の取引をしておりまして、預け入れたものを受取つて、私どもは外国の銀行に支払いを済ませるということにいたしております。ところがその制度には一つ妙なことがあります。将来その手形が向うで提示されますときに必要な全額というものを、信用状を発行しましたときに——これは今申しました三角形の取引をする仕組みになつておる。ところが信用状発行のときはまだ要求せられておりますいわゆるマージンというものは五〇%でいいのでありますから、全額の金はいらないのですが、一〇〇%日銀に売る、日銀は為替銀行に貸す、為替銀行は私どもに預け入れるという操作をするのであります。ですから金がありましても——たとえば五億ドルの金がありますときに、五億ドルの信用状が出ますと私どもの手へ返つて来るのではありますが、要するに所有者は為替銀行という関係になつております。これは現在の制度ではきわめてアーテイフイシヤルというわけで、いかにも持つでまわつた制度になつておるところでありますが、要するにその関係で信用状の残高に相当する金を日銀に売らなければなりませんし、その金は今ほとんどなくなりました。現在御承知の通り信用状の残高は非常に多いのでありまして、その全額を売つております以上は、この金が第一に行き詰まるのはあたりまえでありまして、今その状態であります。しかし全額といいましても、事実向うで積出しが行われまして、外貨が所要されるときまではいらない金なんです。その意味において、窮迫は要するに国内の記帳上の問題であつて、現実に金がないのではないのであります。私はその制度を改正してほしいということを日銀と今協議して、まだ未決定であります。理由は、今のような状態に陥ることが困るというのが、その改正理由の一つであります。しかしながらこれを国家的立場から見まするならば、別にこわいことはない、何ら貿易がそれで行き詰まるということはないのでありまして、制度さえ直せばいいのであります。そこで今度は現実の金の方でありますが、これはすでに御承知のように、昨年末五億一千九百万ドル、ポンドを合せましてそれだけあつたのが頂上でありまして、それから下落に向いまして、二月末で四億十千八百万ドル、約四千百万ドル減りました。これが実情であります。このようになりましたことは、私最初に申しました通り輸入促進の結果でありますから、一応喜んでいただきたい点ではありますが、そのように進んで行つて、先々は心配はない。私どもの考え方といたしましては、輸出の手取りだけ輸入するということは、それだけでも日本に商品がたまつて来るはずのものであります。綿花の方でいいますと、六綿花を買えば十になつて輸出されるという状況でありまして、商品によりましては三の輸入原料が十になるものもあります。従つて輸出した額をことごとく輸入するならば、原料の手持ちはふえて来るわけであります。但し今の物価騰貴の関係もありますから、手放しにそうは申せません。かつ、日本国の産業は、原料品の手持ちが非常に少いことが憂えられておりますから、今申した関係で、輸出の全額を輸入すれば、原料はだんだんストックがふえて来るはずだといつて、手放しに楽観するわけではありませんが、りくつはそうなんです。りくつはそうだが、現実はどうだと考えますと、まあ現在のところなら、輸入はできるだけやりたい。ずいぶんできて来たけれども、もう少しやりたいと思うのはだれしもの希望であると思います。従いまして、外貨がだんだん減少態勢になるようではまずいから、この際、今まで金があるからいらないという理由のもとに停止しておりましたドルのクレジットを得たい。それがドル・ユーザンスと通称いわれるものでありますが、それを得ることによつて、金をそう減らさずに、輸出よりも相当多額な輸入を当分続けて行きたいと考えておるわけであります。このドルのユーザンスができるかどうかはまだ断言はできませんが、大体できるものと私どもは信じておりまして、不日きわめて近い機会に交渉がまとまると思います。そういたしますと、若干また余裕ができまして、さらに多くの輸入ができることになります。しかしドルのユーザンスをかりに一億使うとすれば、一億分だけよけいに輸出を越えて輸入ができるかというと、そうは参りませんで、ユーザンスしておる期間、手形の未決済のあるものは少くとも五〇%のマージンを積まなければなりませんから、一億買えば、五千万ドルだけしか響いて来ないわけです。しかもそれは、その金額が多くなればなるほど、きつちり五〇%ではいけない。それよりも少し余分に、なるべく金を多く積んでおくことが信用を博するゆえんでありますから、五〇%きつちりというわけには行かない。金額がふえればふえるほど、たくさんになりますと、浮いて来る金の方は減つて来るわけであります。そこでどんなことになるかわかりませんが、そのほかにも繰回し金として若干のものが余つておる必要がありますし、終局的なリザーヴとして、ある金額を持つておる必要もあると思いますから、現在のバランスはこれよりもあまり減らないように、なるべく早くユーザンスを起すことによつてバランスを相当高く保ちながら、輸出よりも若干多い輸入を当分続けて行けば幸いだと思います。多分そうなるだろうと思います。その見地から見ますれば、さきにも申し上げました通り、輸出よりもやや上まわる輸入が可能であろうと考えられますが、まず日本の国情としては、それは満足していい状態ではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X01719510315/3
-
004・澁谷雄太郎
○澁谷委員 そういたしますと、結局現在の日銀のユーザンスをそのまま続けておつたならば、外貨の使用に非常な支障を来すように考えられるわけです。ここで現在のユーザンスの制度をかえるか、さもなければ、ほかの方法をとらなければならないということに、結局進まなければならぬような情勢に置かれておるとわれわれは考えるわけであります。これが私たちの一番懸念するところでありまして確かに輸入を促進させて——あるいは輸出が順調に行かなければ、外貨が減ることは当然のことでありますが、現在の状態ではそういうことはあり得ないだろう。やはり相当輸出は促進することができるだろう、従つて輸入も相当多量に確保することができるだろうという想像はつくのであります。ただ、先ほどお話の通りに、日銀に〇〇%の外貨を出さなければならぬということの制度をあくまでも続けて行くことになれば、国内におけるドル資金の運用上支障を来すようなことになつて来るだろうと思う。こういうことになつても、結局は輸入が促進されないことになりはせぬかということをわれわれは懸念するわけであります。そういうふうにせんじ詰めますれば、どうしてもこのユーザンスの制度を根本的にかえることが、差追つた大きな問題のように思われるのです。その点につきましては、どういうお考え方でお進みになつておるのですか。曲りなりにも、このままでもつてどうやら今のドル・ユーザンスというのは——今お話のごときユーザンスは、日本銀行に保有されておる金その他のものを担保にしての、いわゆるドル資金の獲得か、あるいは外国銀行から為替を供与されて、何らの保証なしでそういう制度が設けられるという考え方のドル資金のユーザンスの問題か、その問題についてのお見通しはどういうようなことなんですか。そのことをお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X01719510315/4
-
005・木内信胤
○木内政府委員 御質問の第一点の日銀ユーザンスでありますが、これは純国内的の問題でありまして、現実にドル資金がないわけではないのであります。国内の今の仕組みをかえればしのげるわけであります。つまり事がむずかしくなりますのは、信用状発行のときから一〇〇%日銀に売つた形式になりますから、金はまた返つて来るのだが、一応この金はなくなる。返つて来た金をまた売ればいいということも考えられるのです。つまりからでいくらでもまわるのはさしつかえない制度なんでありますが、これは法律的にも多少疑義があつて、氣持が悪いとすれば、手取り早いことを申せば、日銀に売る金額を、現実に先方において必要とされる五〇%まで落せばよい、そうすることでこれはしのげるわけであります。落すのに、ついでながら今の外貨貸付という変態的な制度をやめて、もう少し常態に近いところまで一足飛びに行こうというのが私の考えだつたのです。そこまであえて行かなくても御懸念の点はないのでありまして、その制度があるために、輸入が滯るということには絶対に陷れないつもりであります。
第二点の、ドルのユーザンスを借りるときに、それに積み上げるべきマージン・マネーというものは金塊を利用するかしないかというお尋ねだと思いますが、金のことは今のところ考えておりません。金のことを問題外といたしまして、現実に私どもの持つておりますドルの現金、すなわち向うの銀行に預金してあるものに対して、預金が一億あるならば二億のクレジットをくれてもいいじやないか、こういう交渉をしておるわけであります。実際のところはもつと小さな金額でありますが、比例はそうであります。ですから、その一億に対して一億というのは、現実にはそう倍とは行かないで、二億借りたいならば一億三、四千万はなければならない、こういう状態にあるということをさつき申し上げたつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X01719510315/5
-
006・澁谷雄太郎
○澁谷委員 それで万々一の場合においては、日銀に払う金を、一〇〇%のものを五〇%にすればそれでややこの急場は切抜けられる、国内的の問題であるから行けるということでありますれば、さしあたりはさほど大きな問題ではないと考えられる。ところが新聞・雑誌でいろいろのことを書き立てられておりまして、実際に輸入に必要な外貨が日本に足らないのだという印象が全体の国民に強く響いておるのではないかと考えられるのであります。これらの問題については、もう少しはつきりとした姿を、少くともわれわれ委員会ぐらいには発表していただくことが私は必要ではないかと思うのです。さもないと、輸出も相当に進展しておるのであるからして、さほどに外貨の不足を来すような感じがないのではないかと思われるのですが、今のユーザンスの制度のために、実際においては手持ち外貨はあるが、外貨を運用するのに事を欠くために、外貨が不足するという形になつて参りますが、世間というものはそう考えない。これを混同して、外貨が足らないのだ、ただ全体的に足らないのだという感じが非常に強くなつておると思うのです。でありますから、それをぜひ委員会などに発表していただきたいことを特にお願いしておきます。
いま一つは、この前の委員会でもユーザンスの問題で御説明のあつた通りに、日銀ユーザンスの問題は根本的に直さなければならぬ時期に到来しておるというふうにわれわれも考えるのです。それらの問題についてもぜひとも努力していただかなければならぬと考えております。まだほかに、為替問題に関連がありますのでお尋ねしたいのですが、お急ぎのようですから、外為委員長に対する質問はこれでやめることにいたします。
引続きまして、通商産業大臣にお尋ねしたいと思います。せんだつての三月九日の新聞を見ますと、通商産業大臣車中談として、特に沼津あたりでいろいろなことを放送されたように聞いておるのですが、あの新聞に出ておる記事を通商産業大臣は全部御了承になつておられるのですか、まず第一にそれをお尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X01719510315/6
-
007・横尾龍
○横尾国務大臣 大体において承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X01719510315/7
-
008・澁谷雄太郎
○澁谷委員 それだといたしますると、われわれ現在の状態におきまして、通商産業問題ついていろいろお尋ねしたいことがありまして、通商産業大臣の御出席を待つておつたのですが、この委員会には御出席にならずに、ああいうことを放送されることは、非常にわれわれ委員会を侮辱しておるように感ぜられるのであります。まさか通商産業大臣はさようなことはないと私は確信いたします。そこで私のお尋ねすることにつきまして、丁寧懇切な御答弁をお願いしたいと思います。あの新聞発表を見ますと、いわゆる新通産政策というふうに書いておりまして、まことに通商産業大臣としては思い切つた政策を持つておられましてたいへんけつこうなことと思うのであります。そのうちの輸入対策についてでありますが、なるほど外国為替管理委員長からも大体お尋ねしてわかりました。また三月二日の新聞にもでかでかと、通商産業省の調査によつて輸入物資の需給状況を発表しておられます。まずお尋ねしておきたいことは、あの新聞に発表されておりまする輸入物資の需給状況というものは、はたして通商産業省が責任をもつて発表された正確な数字かどうかということをお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X01719510315/8
-
009・横尾龍
○横尾国務大臣 何日に発表した数字か知りませんが、新聞に書いてあるものだと、大体において発表いたしました数字は輸入を確保したいということであります。もう一つ、われわれが、委員会に無断で、九州くんだりまで行つたということははなはだ申訳ありませんが、しかし基礎産業の鉄鋼の、日本最大な鉱炉の火入れでありましたので、それも見ておくことが、あるいは基礎産業上、ことに製鉄問題に関していいじやないかというので参つたのでございます。決して委員会を侮辱したということでないことを御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X01719510315/9
-
010・澁谷雄太郎
○澁谷委員 新聞に発表されております数字は、通商産業大臣がお認めになつて——大体においてということはちよつと言葉がはつきりわからないのですが、いやしくも数字でありますから、大体においてでなく、正確な数字が発表になつていなくてはならぬと思うのですが、しかし私たちの懸念することは、あの数字に間違いがありますと、私はそれが非常に大きく各方面に累を及ぼすのではないかということを考えるわけであります。そこでまずもつて、あの数字には聞違いがないかどうか、大臣は責任をもつてあれを発表されたかどうかということをお尋ねするわけなのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X01719510315/10
-
011・横尾龍
○横尾国務大臣 たしか今のお話のものは、十二月末で持てるものとか、ABCと書いてあつたものではないかと思います。実ははなはだうかつですが、あれは私の目を通つていないので、局で発表しましたのが漏れたのじやないかと思うのでございます。そのうちには多少修正しなければならぬものもあるので、今本省で調べつつあるということだけは聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X01719510315/11
-
012・澁谷雄太郎
○澁谷委員 大臣が十分に目を通しておらない、しかも今まだ数字を修正しておるということになりますと、あの数字には相当に間違つたところがあるということを、今是認されていることと思うのであります。そこでわれわれがお尋ねしたいことは、ある品種に対しましては相当に多量のストックがあるかのごとくに見えております。少いものはなるほど確かに少くて、今戰時中でも何でもないのですから、少いものはできるだけ多量に国内に輸入を促進させて、保留することに努力すればよろしいのでありますが、間違つて、とほうもないような大きな数字が現われておりますと、これから先輸入の促進の問題に対しまして、非常な大きな間違いが起るのではないかと思うのです。それらの問題については、私は報道機関に発表されることはけつこうでありますが、それと同時に、少くとも絶えずわれわれ委員会に対して、そういつたものの数字は、新聞に発表と同時くらいには発表していただかなければならぬのではないかと思う。さもないとわれわれの調べたところでは確かに大きな間違いがあります。現に今月の中旬の雑誌ダイヤモンドにも、あれはでたらめだということをはつきり書いてあります。まあ見方によつては、相当にでたらめではないかと思われるところもあるのであります。少くとも現在のように、日本が非常に物資の確保をめざしておりまして、また対外的にもいろいろな問題がありますときに、そういうふうに、ありもしないものが特に多くあつて、そんなに不足を感じないかのごとく世間的に感じさせることは、これは通産行政からいつて一番大きな問題ではないかと考えるわけです。その点についてはひとつ特に御注意を願うと同時に、これは大臣が御存じないならばないようにはつきり答弁していただきたい、かように考えるわけであります。場合によつては取消しをしていただくと同時に、またほんとうに通産省が責任をもつて発表のできるような数字を出していただきたい、かように考えるわけであります。ことに私たちの考えますことは、なるほど外国為替管理委員会では一応外国為替の許容をいたしましても、せんだつての私の質問にもありました通りに、昨年の十一月、十二月から今年にかけては、外国の物資が非常に大きく価格の変動を来しております。また運賃その他にも非常な大きな狂いが出ておりますが、そのときにトン当り幾らあるいはボンド当り幾らというふうな予想で許容されたものが、はたしてその価格でもつて輸入されておるように計算しておるか、まつたく外国為替管理委員会で査定したのと違つて、現実に入つて来る価格でもつて、あるいは現実に買いつけた価格で、これから先入つて来る物資を計算しておるかということが、どうもわれわれにはつきりしないところが相当多いと思うのです。だから、こういうふうな問題では、少くとも昨年末から本年にかけまして、平均しましたらば、われわれの想像でも三割程度の値上り、あるいは運賃の値上りというようなことでもつて、三割以上の食い違いが出て来ると思うのであります。そういたしますと、初めに外国為替を許容したときに確保するところの数量が、実際においてはそれよりも非常に少い数字になつて来やせぬかというふうな感じが非常に強いのであります。これらの問題をどういうふうな方法でもつて検討されて、あの数字をお出しになつたか、その根拠を大臣から御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X01719510315/12
-
013・首藤新八
○首藤政府委員 私からかわつて御答弁申し上げます。ただいま澁谷委員の御指摘の、この前の新聞発表の数字が、供給力が非常に多いという御意見でありましたが、澁谷委員は、この供給力ということを、国内在庫ということを主として対象としてお考えになつておるのではないか、あるいはまた新聞記事がそういうふうに考えさせるような記事であつたかとも考えるのでありますが、あの発表の数字は、要するに将来確実に入るもの、すなわち信用状を開設いたして、将来必ず入るものであるという想定のできるものを、一応供給量として発表いたしたのであります。従つてそれは、全部国内在庫というわけではなく、将来確実に入るもの、これを算定して供給力として発表いたしてあるのであります。従つてあの量は、大体今後入つて来るというふうにお考え願つてさしつかえないと考えております。
同時に、第二点の、価格は昨年より非常に上つた、さらにまた運賃も上つた、かれこれ三割近くも金額の上で上つたという御説でありますが、まさにその通りでありまして、物によつたらば倍あるいは倍以上も上つたものがあるのであります。そこで政府といたしまして数量を発表いたします場合には、大体日銀と緊密な連絡をとつておりまして、それぞれの信用状を開設いたした場合には、できる限りその数値を明記さしておりますので、それらの数量を合算いたしまして発表したということになつておるのであります。為替許可の申請をした場合にはわかりませんけれども、エル・シーを開設いたします場合には大体数量が把握できるようなことになつておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X01719510315/13
-
014・澁谷雄太郎
○澁谷委員 ただいま首藤政務次官から御答弁があつたのですが、私は誤解をしておるのではないのでありまして、普通の状態でありますれば、政務次官の言われる通りの状態でありまして、私たちは、国内に在庫があるとかいうような問題は毛頭考えておりません。あの記事にも数字がはつきり載つておりますから、やはりこれから先到着すべき予定の数量というふうに考えますから買いつけてあるもの、あるいは買付交渉中のものも入つておると思うのであります。最近の値上り、あるいは運賃の値上りが多いために、ややともするとそこに間違いか起る。ところが外国為替を許容したとき、あるいはエル・シーを組むときの相場ということだけで、簡單に数量を把握しておるというふうに考えることは、少し早計ではないかと思われるのであります。その点において相当の食い違いが起り得ることは想像できるわけであります。そういうふうな問題は、かりに小さい問題といたしましても、ああいうふうな数字を発表することは、すべての問題に影響するところが相当大きいのでありますから、よほど愼重な態度をもつて進んでいただきたいことを私は要望するわけなのであります。それでありませんと、物によつては非常な誤解を招くおそれがある、こういうことであります。ことに現在のような、あるいは国際割当をしなければならぬような重要物資の確保の問題というような場合におきまして、日本はあれだけのストックがあるではないか、あるいはランニング・ストックがあるではないか、そうすれば、これから先当分のうちは、日本に対しては割当を中止してもよろしいじやないかというような感じを抱かせるような数字は、よほど愼重に考慮をして進んでいただかなければならぬというふうにわれわれは考えるわけであります。この点に関して、大臣はどういうお考えを持つておられるか、それを伺つておきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X01719510315/14
-
015・横尾龍
○横尾国務大臣 澁谷委員のおつしやる通り、よけい持つておるというような感じを与えることは、今後の割当に関しましても非常な不利なことと思いますが、表をつくりましたのは、おそらくどれくらいまで買付が進んでおるから、先はいつごろから買いつけなければいかぬ、あるいはどういう趨勢にあるかということを言うためにつくつたものだと思います。それが、不幸にして新聞に出てしまつたのですが、たとえばABのBと書いてあるものの説明がまだ不十分であつたために、今おつしやるような誤解と申しますか、そういうふうにとられたことに対しては、もう少し説明すべきであつた。しかしこれは出すつもりでつくつたのではないので、省内で、たとえば一箇月ぐらいしかない、早くとらなければならぬという見当をつけるためにつくつたものと思う。今おつしやるように、私らは常に、よけいあるからといつて油断をし、少いからといつてあわてるということをしないように、大体の案を、二箇月なら二箇月、三箇月なら三箇月というものを目安にして、数量を買いつけて行きたいということを、私常に申しつけておりますので、それをするためにつくつたものと思います。今政務次官から申し上げましたように、説明の足らぬために御迷惑をかけ、誤解を与えたことに対しては、今後こういうものを出すときにはよく注意をいたしまして、疑惑を生じないようにしたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X01719510315/15
-
016・澁谷雄太郎
○澁谷委員 私の通商産業大臣に対する質問は、まだ非常にたくさんございます。これは大臣から直接に御答弁を願わなければならぬ問題ですから、引続きお願いしたいと考えておりますが、ただいま理事の方から、今手元にまわつております法案をこれから審議したいということでありまして、これも委員会としてはもつともなことと思いますので、通商産業大臣に対する質問は、これで一時保留いたしまして、後日ゆつくり時聞のありますときに大臣にまたお尋ねしたいと思いますから、さよう御承知を願います。それでは私の質問をこれで保留いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X01719510315/16
-
017・小金義照
○小金委員長 次に、輸出品取締法の一部を改正する法律案を議題といたします。昨日に引続き質疑を継続いたします。発言の通告がございますからこれを許します。今澄勇君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X01719510315/17
-
018・今澄勇
○今澄委員 この法案は、われわれも議員提出の法案として署名をいたしております関係上、この法案の大綱にわたつては、われわれも賛成であり、別段ただすところはございません。ただ一、二点、これを政府が施行する場合において問題となる点を御質問申し上げ、なおかつ提案者の代表に二、三点の疑義をただしておきたいと思います。
第一点は、登録制度を実施することになれば、取締りを強化するために第八条を改正する必要はないようにも考えられるが、この点について簡單にお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X01719510315/18
-
019・小川平二
○小川(平)委員 この法律によつて登録をいたしますのは、昨日も御説明申し上げましたように、機械のごとき特定の商品でございます。機械のごときは、これを検査いたしますのに、一定の設備と同時に、一定の知識経験を有する検査人を必要とするわけでありまして、このような特殊商品に限つてのみ登録をいたすわけでございます。爾余の商品については、従来通りの方法で検査をいたすわけであります。従いまして、第八条を改正いたしまして、適正な検査を経ざる不良品が、そのまま輸出されるごとき事態を防止する必要があるわけでございます。なおまた機械のごとき商品におきましても、一定の設備があり、そうして一定の知識経験を有する検査人が検査をするといたしましても、あるいは怠慢によつて、あるいは故意に適正な検査を行わないという場合もあり得るわけでございますから、さような意味において第八条の改正をいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X01719510315/19
-
020・今澄勇
○今澄委員 そこでもう一点は、いわゆる検品の問題は、これは純然たる個人間の取引上の問題にすぎないのだが、しかるに政府がこれに介入、干渉するということは、不必要でもあり、不当なようにも考えられるが、この点についての御見解を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X01719510315/20
-
021・小川平二
○小川(平)委員 ごもつともな御質問と存じます。仰せのごとく、いわゆる品違いの場合は、これは純然たる個人同士の契約に国家が介入をし、干渉することになるわけでございますが、品違いと申しましても、たとえば機械の部品が、先方のバイヤーの要求とわずかばかり寸法が違うといつた場合におきましては、この輸出した品物はいわゆる不良品ではございませんけれども、部品の寸法がわずかばかり違うことによつて、これが致命的な問題になる、こういうわけでございまして、こういうような品違いが続出するというようなことであれば、どうしても何らかの措置を講じなければなりません。実際の問題といたしまして、品違いが二割ないし三割に上つておるというような実情でありますので、このたびのような措置を講ずることにいたしたわけでございます。実はこれにつきましては、この法律に規定いたしますような單純な戒告ということから一歩を進めて、罰則を設くべきであるというような有力な意見もあつたわけでございますが、ただいまの御質問のように、何と申してもこれは純然たる個人間の契約の問題なのであるから、そこまでするのは行き過ぎじやないかというわけで、戒告にとどめたようなわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X01719510315/21
-
022・今澄勇
○今澄委員 御説明でよくわかりました。提案者のこの法案とりまとめに関するいろいろな御努力を多として私は了解をいたします。
次は政府に対してひとつ……。この法案が通過して法律になつた場合には、登録制度を実施する物資の指定、その他主務大臣に全面的に委任されるようになるものが多いので、これらの問題については政府は十分愼重にやつてもらわなければならぬが、この点について首藤政務次官なり大臣から、どういう心構えであるか、ひとつ御見解を承りたい。
もう一つは、この検査人を選ぶにあたつては、特殊な技能、あるいはいろいろの知識を必要とするこれらの検査人を、政府としては実際的にはどういうふうなことで選ばれるのか、担当の係官から御説明を煩わしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X01719510315/22
-
023・横尾龍
○横尾国務大臣 今のお話のように、至つて愼重に扱わなければならぬかと思います。ことにわが国の製品の外国における声価を維持するためには、どういたしましても、よく検査をいたしまして、もちろん今のお話の通り、各種の機械に対しては、おのずから技術の面において違うところがありましようけれども、機械をやつておる者はおおよその善悪の見当はつき得られるかと思いますので、多種多様の技術者を置かなければならぬことはないかと思いますが、しかしこれは最も重大なものでありますから、人選に際しましては愼重にやつて行く必要がある、こういう考えであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X01719510315/23
-
024・首藤新八
○首藤政府委員 大臣から詳細な答弁をいたしましたので、私から重ねて答弁する必要はないと考えますが、今澄委員から指名されたので一応御答弁いたします。私は率直に申せば国営検査ということは実はどうかと考えておるのであります。こういうことをしなくても、メーカー自身が、検査を必要としないでもやつて行けるりつぱな品物をつくるような指導をすることが適当であるというふうに根本的には考えておりますが、しかしながら現在の日本の中小工業の現状、並びに経済状態その他から考慮いたしますと、やはり国営検査をある程度やらなければ、製品の声価を落す、従つて一昨年でありましたか、輸出品の検査取締法ができたのでありますが、しかもその後の実情を考えますと、どうしてもあのままではやはりいかぬ、検査をやる以上はもう少し嚴格に、そしてどこまでも品位を落さないような、声価をあげるような検査をやらなければ徹底しないという考えを持つておつたのでありまして、そういう意味から今回議員提案で出ましたこの取締法の改正案は、まことに時宜に適した法案であると私は考えておるのであります。従つてただいま申し上げたような趣旨から考えましても、この法案が通過いたしましたならば、十二分にこれを効果的に運用いたしたい、かように考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X01719510315/24
-
025・小金義照
○小金委員長 次は風早八十二君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X01719510315/25
-
026・風早八十二
○風早委員 一点だけお尋ねしておきたい。大体提案の御趣旨はわかるのでありますが、測定設備の規格、設備そのものの規格の問題につきまして、計量法なんかともにらみ合せて、やはり統一的な規格水準というか、規格の方式というか、そういうふうなものが考えられておるわけですが、これは計量法案はまだ出ないけれども、いろいろ今までの度量衡と違つて来るという問題があるわけですが、測定器その他の設備について、何か特別な問題がありましたら伺いたい。これは委員長でもまた專門家の方でもけつこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X01719510315/26
-
027・小川平二
○小川(平)委員 申すまでもなく個々の商品につきまして、それぞれ登録の基準を異にしておるわけでございますが、御参考までに一例を申し上げたいと存じます。これは昨日も一個の例として申し上げたわけでございますが、カメラについて申し上げますと、検査設備の基準といたしましては、第一にシャッター試験器、第二にシャッターの繰返し試験器、第三に分解力測定裝置、第四に焦点距離測定器・第五にハルトマン写真鏡玉検査器、こういつた程度のものになつておるわけでございます。そのほか個々の商品につきましてお尋ねがございますれば、検査の基準を申し上げるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X01719510315/27
-
028・風早八十二
○風早委員 機械そのものじやありませんが、鉄鋼二次製品なんかの場合でも、日本の規格とアメリカの規格とが違うわけです。そのためにいろいろ都合が悪いこともある。今のシャッター試験器であるとか、あるいは焦点距離の測定器であるとか、必ずそういうものはあるわけですが、そういうそれぞれのものの規格を、そごに国際的に何か新しく一致したものを求めるのか、たとえばアメリカの方からそういう規格そのものについて一つの要求があるのか、そういう点がわかりましたならば、ひとつ御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X01719510315/28
-
029・小川平二
○小川(平)委員 申すまでもなく輸出品の検査の問題でございますから、お尋ねの基準は当然国際的な基準に応じて定めるものでございます。現在までにアメリカの方からさような問題について政府が要求を受けておるという事例はないそうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X01719510315/29
-
030・風早八十二
○風早委員 それではその問題はそのくらいにしておきまして、もう一つだけ、財政的な裏づけといいますか、これについての予算は御説明があつたかもしれませんが、大体新しく登録制度を設け、登録機関を設け、その他政府が直接乗り出すということにつきまして、どのくらい金がとつてあるか。さらに中小メーカーがこの登録制度その他今度の改正法に基いて、実際にそれに応じて行く場合に、多少なりとも新しく負担が出やしないかと思いますが、そういう点について何か考慮されておられるかどうか、これについて伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X01719510315/30
-
031・小川平二
○小川(平)委員 金の裏づけがあるかどうかというお尋ねでございましたが、実際の問題といたしまして、この法律を施行いたしますと、提案理由を申し上げた際に御説明申し上げました通り、今日までは民間検査機関において非常にルーズなでたらめな検査をやつておる、それを役人がおつかけまわして、いわば忙殺されておるという状態なのでございますが、この法律によりまして、一定の基準を設けて登録する、これからは適正な検査をするということになりますと、かえつて人手も省けるという関係になつておりますので、格別金の裏づけを何ら必要とせずしてこの法律を施行できることになつておるわけであります。
第二のお尋ねでございますが、昨日も同趣旨のお尋ねが中村委員からあつたのでございますが、中小企業等におきましては協同組合をつくることによつて検査をいたすことができるわけであります。検査機関が大企業に独占されるというような弊害は万々起るまい。また場合によりましては、依頼がありますれば国営の検査所が依頼に応じて検査をいたす道も開かれておりまするので、御懸念のような、法律が施行されることによつて、中小企業、小さいメーカーが非常に不利な立場に陷れられるというふうなことは、まあ万万あるまいと考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X01719510315/31
-
032・小金義照
○小金委員長 以上をもちまして発言の通告は全部終了いたしました。それでは本案に対する質疑を打切ります。御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X01719510315/32
-
033・小金義照
○小金委員長 御異議がございませんようでありますからさよういたします
続いて討論に移ります。中村幸八君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X01719510315/33
-
034・中村幸八
○中村(幸)委員 ただいま議題と相なりました輸出品取締法の一部を改正する法律案につきまして、私は共産党を除く、各党を代表いたしまして賛成の意を表するものでございます。
申すまでもなく輸出品の品質向上は、わが国経済全般に対する信用に関する問題でございます。本来ならばかかる法案の出現をまつまでもなく、業界等が自発的な意思によつて日本商品の声価の維持に努力すべきものであると思うのであります。しかし実際問題といたしまして、品不足、品がわり、きずもの、破損等、全般にわたつて種種買手側から苦情が参つておるようでありまして、その品種別件数は、通産省提出の資料によりましても明らかなところであります。しかも実数は商社相互間のその後の新契約に盛り込むことによつて、事実キャンセルを増大しておる実例がかなり多きに上ることからいたしまして、私どもの想像としては実際はこの数字以上に上るものと想像できるのであります。世界の軍拡予算による軍需なり準軍需物資の購入により、わが国の輸出貿易も未曽有の景況に惠まれておる今日、一段の注意をいたしませんと、長い間のわが国商品に対する不信は永遠にぬぐわれなくなるのでありまして、いわばこれが絶好の機会と申しても過言ではないのであります。
幸いにも今回制定されます登録制度は、この弊を除去する民主的な方途としてまことに時宜に適したものであると思うのであります。ただわれわれが注意しなければならないことは、今後講和条約の締結も間近いことでありますから、不当に卑屈に、先方の苦情を受入れることのないように、正々堂々と、守つてやるべき利益はわが業界のために守つてやることが肝要であると思うのであります。願くは本法律案の意のあるところを業界各位もよくよく了とせられ、誠心誠意、わが国輸出品の品質向上に成果あらしめられんことを祈るものであります。以上簡單でありますがこれをもつて私の賛成演説といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X01719510315/34
-
035・小金義照
○小金委員長 風早君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X01719510315/35
-
036・風早八十二
○風早委員 私は日本共産党を代表して、このせつかく提案になりました法律案に対しまして反対の意見を表明するものであります。
まず第一に先ほど首藤政務次官も言われましたが、確かに現在の段階におきまして、国営検査というものはどうか。われわれはもちろん将来におきまして、適切なる国営検査というものは必要だと考えますが、現段階ではこれがはなはだ問題だということは、これは首藤さんとは別な理由で、結論は同じことを考えております。と申しますのは、大体これは自由党の自由主義の立場を一応前提といたしますと、まずいものは賣れないのであります。何も一々検査をやかましくすると言わなくても、実際に売れない。売れないからひとりでに業者はやはり検査を嚴重にやらざるを得なくなつて来るし、そうなつておるわけであります。実は苦情が検査不十分な理由によつて出ておるといいますけれども、しかし実情はそんなものはないとわれわれは見ております。つまりいろいろ相場の変動でありますとか、その他引取りが不利益であるとか、勝手なクレームというものを今までやつております。むしろ日本の業者の方としては迷惑千万で、ずいぶん泣かされておる場合もあるわけであります。過去の件数、その内容を見ましても、これは確かに明らかなところであろうと思う。そういう次第でむしろ問題は今日の貿易制度、これは非常に自主貿易ではない。自由な貿易ではないのでありまして、こういう貿易制度をそのままにして、いくら業者が検査を嚴重にしてみたところで目的は達せられない。そういう点からいたしまして、こういう制度を今急に嚴格にするということははなはだ意味が少いのではないかと考えます。
第二にこの測定設備の充実、あるいは測定者の資格の問題でありますが、これは確かに制度といたしましては一理あることでありまして、当然に測定をするならば測定器械も十分に備えなければならない。そのことはもう明らかであります。しかしながら今日われわれがもう一つ考えなければならないのは、先ほど小川提案者代表も言われましたが、国際的な基準、あるいは進んで国際的な経済の一環になるということは、これは当然のことだ、それは確かにその通りでありますが、今日この問題を具体的に考えてみまする場合に、はたしてほんとうの意味でわれわれが国際経済の一環になるのか、あるいは国際の規格——機械類はすべて国際的に同一の規格ができれば、各国どれくらい能率が上るかわからないのでありまして、これは非常にけつこうであります。しかし今日具体的には各国千差万別であります。しかも日本で実際に国際基準にのつとるという場合には、これはわかつておる。なぜならば日本が国際経済の一環になるというその意味は、現実にはアメリカ経済の一環になるということ、規格におきましてもまつたくその一つの適用にすぎないのであります。計量法なんかもやがて姿を現わすでありましようが、これはみんなやはり問題がある。われわれはこういう場合において、いわゆる国際経済の一環というものが、言いかえれば日米経済協力である。しかも日米経済協力というものは、これはアメリカの軍拡の一環として、日本が再軍備させられるということになるわけであります。それらはずつと筋が通つておる。その問題の一環としてこれを見る以外にはなかろうと思う。そういう意味におきまして、事は何でもないようなこと見えますけれども、なかなかここに重大なる意味あるとわれわれは考えざるを得ない。こういう点はまだこれからの問題でありますから、私どもも今これを一々こうだ、ああだと論争することができないのは、はなはだ遺憾であります。しかしながらそういう観点に立ちまして、この法案に対して多大の疑問、疑惑を抱かざるを得ないのであります。これがやがて明らかになつて来るという場合におきまして、最後の決断が下されると思うのでありますが、今日はまだそこまでに至つていないのははなはだ申訳ありません。しかしながらこれらの理由、すなわち第一には今実際問題は決して検査の嚴格化ということにあるのではなくして、貿易制度そのものがはなはだ問題である。これをほんとうに世界の各国と、特に中国関係なんかとも自由に貿易できるようになる。こういうことにむしろ主眼点を置いて、これにすべてを集中して行くということが第一義である。そういう意味でこういう問題の意義が非常に少い。そして残された意義というのは、今の測定基準というふうなものについて、新しく測定器械があるいはアメリカから入つて来る、あるいはアメリカから入つて来ないで、むしろ日本で測定器はつくられる能力がありますが、その場合の基準が一方において大体出て来ている。こういうふうなことになりますと、これはわれわれの最も今日警戒しなければならないと考えている、いわゆる日米経済協力、この問題につながるものと考えざるを得ない。この二つの点において、私は遺憾ながら反対の意見を表明した次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X01719510315/36
-
037・小金義照
○小金委員長 以上をもちまして討論は終局いたしました。引続いて採決いたします。
輸出品取締法の一部を改正する法律案に御賛成の諸君の起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X01719510315/37
-
038・小金義照
○小金委員長 起立多数、よつて本案は原案の通り可決いたしました。
この際本案の報告書作成その他の手続についてお諮りいたします。これは先例によりまして委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X01719510315/38
-
039・小金義照
○小金委員長 御異議ないようでありますから、その通り決定いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X01719510315/39
-
040・小金義照
○小金委員長 次に中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案につきましては、去る十三日に提案理由の説明を当局から聽取いたしましたが、本日はこれより質疑に入ります。質疑は通告順によつてこれを許します。多武良哲三君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X01719510315/40
-
041・多武良哲三
○多武良委員 この改正する法律案を拝見いたしますと、行政庁に定款の認証や組合に対する調査の権限を与えることは、行政庁の組合に対する不当の干渉を招く原因になるように思われるのですが、この点いかようにお考えになつておりますか、御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X01719510315/41
-
042・小笠公韶
○小笠政府委員 お答えいたします。行政庁の認証にいたしましたのは、従来は公証人による定款の認証になつておつたのでありますが、従来一年有半の組合法施行の経験から見ますると、どうしても行政庁のような組合制度の発達に非常な関心を持つているところの認証という方が、健全な組合の発達に適当ではないかというふうに実は考えて直すことにいたしたのであります。
第二点の報告検査の問題でありますが、現行法におきましては、組合員の申出がなければできないというふうなことに相なつているのでありますが、これまた実施の経験から申しますと、現在組合の運営の中には、組合制度の十分な理解なしに、かえつて当該組合員の公正なる利益を害するような運営の向きもありますので、特定の条件のもとに、すなわち定款とか、法令に違反しているとかいうような場合、また著しく組合運営が不当であるというふうな場合に限り、積極的に行政庁が組合を見たり、あるいは必要に応じて指導して行くということにするのが、現在の協同組合の健全な発達上適当ではないかというふうに考えて直したのでありまして、これによつて御指摘のような行政庁がみだりに干渉するということはなく、かえつて健全な発達が期待されるのではないかというふうに考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X01719510315/42
-
043・多武良哲三
○多武良委員 改正案には商法の詳細な規定が準用されるようなことになつておりますが、こうすることによつてかえつて組合運営の円滑を妨害しはせぬかと考えられますが、この点いかようにお考えになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X01719510315/43
-
044・小笠公韶
○小笠政府委員 お答えいたします。このたびの商法の改正の分が七月一日から施行されることになつておりますが、従来の協同組合法には旧商法の規定が非常にたくさん準用されておるのであります。その条文が今回改正され七月一日から施行されますので、そのままで参りますと、組合制度と株式会社というようなものとの相違から、必ずしも適当でないというふうに考えられるのであります。そこで組合制度の本質に即して、改正商法の規定の適用を適当としない部分だけを特に直して行こうというふうに考えたのでありまして、商法の規定が現協同組合法に準用されておりますので、それを組合制度に即したように直して行こうということでありまして、お尋ねのような御心配はないだろうというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X01719510315/44
-
045・多武良哲三
○多武良委員 最近信用金庫法案が国会内でも問題になつておるようでありますが、この信用金庫法案と関連いたしまして、信用協同組合の将来をどのようにお考えになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X01719510315/45
-
046・小笠公韶
○小笠政府委員 信用金庫法のことにつきましては、政府部内として正式にまとまつた意見はまだ拜聽いたしておりせまん。従いまして、信用金庫法の成立を前提として信用協同組合をどう持つて行くかということについては、信用金庫法の問題がまだはつきりいたしておりませんので、はつきりしたことを申し上げにくいのであります。私個人の考え方といたしましては、中小企業の金融の問題といたしましては、信用協同組合、いわゆる相互金融の考え方をできるだけ広げて行く。従いまして、いわゆる純粋の金融機関として預金者の保護に重点を置いた考え方よりも、相互金融、相互扶助というふうなものを織り合せた信用協同制度をできるだけ健全に育てて行く方が適当ではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X01719510315/46
-
047・多武良哲三
○多武良委員 最近新聞にも載つたと思いますが、名称は別といたしまして、中小企業銀行が設立されるということが新聞に出ておりましたが、この点に関しまして通産当局はどのように考えておられるか、承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X01719510315/47
-
048・小笠公韶
○小笠政府委員 中小企業の金融につきましては、御承知のような中小企業の内容でありますので、できるだけ各種の施策があつた方がいいというふうに私は思つております。御承知のように、中小企業専門の銀行をつくるという意見がありまして、すでに大阪に不動銀行ができておりますし、その他の県におきまして、特に東京あたりでもそういう話がございますが、できれば非常にけつこうだと思いますが、問題はできたあとの資金源をどう供給して行くかという点が一つ問題になると思うのであります。その点を十分に道をつけて行く、ということになりますれば非常にいいのではないか、こういうふうに私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X01719510315/48
-
049・多武良哲三
○多武良委員 次に中小企業信用保険法につきまして簡單にお伺いしますが、せつかく政府の見返り資金を放出しておきながら、市中銀行の不協力かあるいは受入れ態勢側の不整備か、いずれにいたしましても、これが活発に動いておらない。聞くところによると、まだ十三、四億も貸出していないというような状況でありますが、この点につきまして中小企業庁としてはどのようにお考えになつておりますか、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X01719510315/49
-
050・小笠公韶
○小笠政府委員 お答えいたします。中小企業向けの見返り資金の問題でありますが、御指摘の通り、十一月から月三億、従前の三倍に上つたのでありますが、十分に活用されておらない現状で、おそらく十二億余が三月末までに持ち越されそうな状況であります。この理由は、一つの問題といたしまして、従来のこの制度を利用する条件が少し低過ぎたということが一つあろうと思うのであります。すなわち資本金が三百万円で、かつ従業員二百人以内の者に限る、それから協調率が五十対五十ということになつておつたのであります。そういうような点から比較的に利用が少かつたのでありまして、これらの点を直して行くことが活用を便にするゆえんだと思います。そんな点で、去る二月二十日ごろであつたと思いますが、この借入れをし得る資格を上げたのであります。すなわち資本金五百万円以内でかつ従業員三百人以内、それから一件の貸付を三百万円であつたのを五百万円まで出し得ることにいたすとともに、協調率を五十対五十でもよいし、また七十対三十でもよいというふうに制度を広げたのであります。これである程度活用の道が順次広がると思いますが、なお広い大きな部面におきます活用が実際上中小企業にはできないのでありますが、五百万円、三百人以下で切られると利用ができないというような部門がございますので、この面にもこの制度を利用し得るような方向に目下話を進めておるのであります。それからもう一つの問題は個人経営が比較的利用しにくい立場にあつたのであります。これも経営内容さえはつきりしておれば、個人も法人も同じように利用し得るように話をいたしておるのでありまして、大体近く解決するものと思うのであります。そういうような事情でありまして、この中小企業向けの見返り資金も順次活用されて行くものと思うのであります。同時に一面においてこれをできるだけ周知徹底させる必要があると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X01719510315/50
-
051・小金義照
○小金委員長 他に御発言もないようでありますが、一応質疑を打切ることに御異議ございませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X01719510315/51
-
052・小金義照
○小金委員長 それでは中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案の質疑はこれをもつて終了いたしました。
本日はこれにて散会いたします。
午後三時二十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X01719510315/52
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。