1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十六年五月二十一日(月曜日)
午後一時五十二分開議
出席委員
委員長 小金 義照君
理事 多武良哲三君 理事 中村 幸八君
理事 高橋清治郎君
今泉 貞雄君 小川 平二君
澁谷雄太郎君 中村 純一君
福田 一君 眞鍋 勝君
南 好雄君 加藤 鐐造君
風早八十二君
出席政府委員
公益事業委員会
委員 松永安左エ門君
公益事業委員会
事務総長 松田 太郎君
公益事業委員会
技術長 平井寛一郎君
公益事業委員会
経理長 中川 哲郎君
通商産業政務次
官 首藤 新八君
通商産業事務官
(通商機械局
長) 玉置 敬三君
物価政務次官 郡 祐一君
経済安定事務官
(物価庁第三部
長) 川上 為治君
委員外の出席者
專 門 員 谷崎 明君
專 門 員 大石 主計君
專 門 員 越田 清七君
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五月十八日
委員村上勇君辞任につき、その補欠として眞鍋
勝君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十一日
委員眞鍋勝君辞任につき、その補欠として村上
勇君が議長の指名で委員に選任された。
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五月二十一日
ニツケル製錬事業助成臨時措置法案(内閣提出
第一七七号)
同月十八日
農事用電力の使用に関する請願(佐々木盛雄君
紹介)(第二〇一二号)
鉱毒災害防除費国庫補助早急交付に関する請願
(渕通義君紹介)(第二〇三三号)
西横山及び西平両発電所施設返還に関する請願
(福田一君紹介)(第二一一九号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した事件
計量法案(内閣提出第一三七号)
計量法施行法案(内閣提出第一四〇号)
ニツケル製錬事業助成臨時措置法案(内閣提出
第一七七号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02919510521/0
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001・小金義照
○小金委員長 ただいまより通商産業委員会を開会いたします。
まず本日当委員会に付託せられましたニツケル製錬事業助成臨時措置法案につきまして、提案理由の説明を求めます。通商産業政務次官首藤新八君。
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ニツケル製錬事業助成臨時措置法
案
ニツケル製錬事業助成臨時措置
法
(目的)
第一條 この法律は、臨時にニツケ
ルの製錬事業の助成の措置を講ず
ることにより、ニツケルの増産を
図り、国民経済の発展に寄与する
ことを目的とする。
(事業者の指定)
第二條 鉱石を使用するニツケルの
製錬事業(以下単に「事業」とい
う。)を行う者は、この法律に基
く助成を受けようとするときは、
通商産業大臣の指定を受けなけれ
ばならない。
2 前項の指定を受けようとする者
は、この法律の施行の日から三箇
月以内に、左に掲げる事項を記載
した事業計画書を添えて、通商産
業大臣に申請しなければならな
い。
一 事業のための設備の概要
二 事業のための設備の工事設計
及び工事の完成の予定期日
三 事業のため必要な資金の額及
びその調達の方法
四 事業開始後三年間の生産の予
定数量
五 事業開始後三年間の予想され
る生産に要する原価
六 事業開始の予定期日
七 鉱石の取得の計画
3 通商産業大臣は、前項の規定に
よる申請があつた場合において、
その申請が左に掲げる基準に適合
していると認めるときは、指定を
しなければならない。
一 当該事業が開始されることに
よつて、ニツケルの供給がその
需要に対し著しく過剰とならな
いこと。
二 当該事業のため必要な設備の
工事に要する費用の額が通商産
業省令で定める額をこえないこ
と。
三 当該事業における生産に要す
る原価が通商産業省令で定める
額をこえないこと。
四 事業開始の予定期日がこの法
律の施行の日から一年以内であ
ること。
五 当該申請をした者が事業を適
確に遂行するに足りる能力を有
する法人であること。
第三條 前條第一項の指定を受けた
法人(以下「指定業者」という。)に
ついて合併があつたときは、合併
後存続する法人又は合併により設
立した法人は、指定業者の地位を
承継する。
2 前項の規定により指定業者の地
位を承継した者は、その事実を証
する書面を添えて、遅滞なく、そ
の旨を通商産業大臣に届け出なけ
ればならない。
第四條 指定業者は、第二條第二項
第一号から第四号まで又は第六号
に掲げる事項を変更しようとする
ときは、通商産業大臣の認可を受
けなければならない。この場合に
おいては、第二條第三項の規定を
準用する。
2 指定業者は、事業のための設備
の工事を開始したとき、若しくは
その工事が完成したとき、事業を
開始したとき、又は事業を廃止し
たときは、遅滞なく、その旨を通
商産業大臣に届け出なければなら
ない。
(指定の取消及び失効)
第五條 通商産業大臣は、指定業者
が前條第一項、次條又は第七條第
一項の規定に違反したときは、そ
の指定を取り消すことができる。
2 通商産業大臣は、指定業者が第
七條第一項の規定により積み立て
た額が同項右号に掲げる額の合計
額に達したとき、又はその事業を
廃止したときは、その指定を取り
消さなければならない。
3 第二條第一項の指定は、この法
律の施行の日から四年を経過した
ときは、その効力を失う。
(販売価格)
第六條 指定業者は、政令で定める
額をこえる価格でその生産したニ
ツケルを販売してはならない。
(特別積立金)
第七條 指定業者は、その生産した
ニツケルを販売したときは、左に
掲げる額の合計額(以下「積立基準
額」という。)に達するまで、特別
積立金として、一トンごとに政令
で定める額を積み立てなければな
らない。
一 事業計画書に記載した設備で
あつて通商産業省令で定める製発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02919510521/1
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002・首藤新八
○首藤政府委員 ただいま上程せられましたニツケル製錬事業助成臨時措置法案の提案理由を御説明いたします。
申すまでもなく、ニツケルは、特殊鋼、電気通信機械、造船、輸出製品のメツキ用その他各種の重要な用途に不可欠の基礎物資でございますが、遺憾ながら、わが国の国内資源には見るべきものがなく、輸入にまつ以外に道がない状況でありますところ、重要な戦時物資として、現に米国はじめ各国で輸出統制が厳格に実施されておりまして、十分な輸入はきわめて困難であり、昨年下期以降需給のはなはだしい逼迫を示しておりますることは、すでに御承知の通りでございます。ただ、幸いに、わが国は、戦時中セレベス、ニユーカレドニヤ等のニツケル鉱石を国内におきまして処理いたしました経験と技術を有しており、当時の設備もなお残存いたしておりまするし、原料鉱石の輸入につきましても、現に、これらの地区を初め、相当な引合が参つておるような次第でございます。しかしながら、わが国において輸入鉱石による国内製錬を実施いたしまする場合には、世界の総生産量の八割以上を占めまするカナダの場合等に比較いたしまして、生産量におきましても、生産原価におきましても、格段の相違がございますため、将来情勢の変化により、低廉なこれらの外国産ニツケルが十分に輸入されますようになりましたあかつきには、たといわが国の製錬業者がいかに努力いたしましても、とうてい立ち行かないという競争上の不利と大きな危険があるのでございます。今日、ニツケルの国内市価は非常な高値を呼んでおりまするにもかかわらず、新規の企業は申すに及ばず、過去において十分の経験と技術を有する製錬業者といえどもあえて、事業を再開し得ない最も根本的な理由は実にここに存するのでございます。以上のような事情にかんがみまして、政府といたしましては、この際、臨時にニツケル製錬事業に対する助成措置を講じまして、緊急にニツケルの増産をはかり、もつて国民経済の発展に寄与するために、本法案を提案いたしました次第でございます。以下、本法案の骨子につきまして、簡単に御説明申し上げます。
まづ、通商産業大臣は、本法に定める一定の基準に従いまして、申請のあつた業者のうちから助成の対象となるべき製錬業者を指定することにいたしておるのでございます。この指定を受けました業者に対しましては、その生産したニツケルを、政令で定める価格を超える価格で販売し、その一トンごとに政令で定める金額を特別に積み立てるべき義務を課しておるのでございます。この積立金が製錬設備の復旧及び必要な原料鉱石の買付のために投下しました資金の額に達するまで積み立てられましたならば、企業の危険は完全にカバーされ得たわけでありますが、積立ての中途におきまして、国際情勢が一変し、低廉は外国産ニツケルが十分に輸入されるようになるか、もしくは鉱石の輸入が、杜絶するか、その他これに類するような事態が発生しましてやむを得ず事業を廃止いたさねばならぬことになりました場合には、廃業による損失額、すなわち、製錬設備、附帯設備及び手持ち鉱石につきまして、本法に定める方法により評価損を算定いたしました上で、これをまづ業者みずからの積立金で補充させ、不足する部分を国家が補償金として交付するということにいたしましたわけでございます。従つて、補償の條項は、万一の場合にのみ必要なものなのでありまして、積立金が投資額で積み立てられましたのちは、もちろん補償の要はないわけであります。もとより政府といたしましては、国の負担を軽減し、または補償の必要が現実に起らないようにするため、建設費の節減を措置するほか、積立ての早期完了等の措置について十分考慮する方針でございます。なお、指定業者に対しましては、本法によつて最悪の場合の危険負担を国家が保証するわけでありますから、政府といたしましては、事業計画の内容の重要な部分の変更を認可制といたしますほか、違反の場合の指定の取扱、必要な報告の徴収等、十分な監督をなしうるための規定を設けますとともに、政府の処分に不服のある場合の不服申立ての機会をも与えまして、本法を公正に施行するため万全を期しておる次第でございます。
以上本法案の提案理由及び内容の骨子につき、概略御説明申し上げた次第でございますが、何とぞ以上の趣旨をおくみとりいただきまして、愼重御審議の上すみやかに本法案を可決せられますようお願いいたす次第でございます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02919510521/2
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003・小金義照
○小金委員長 次に電力料金についての調査を進めます。発言の通告がありますからこれを許します。多武良哲三君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02919510521/3
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004・多武良哲三
○多武良委員 去る十八日経済安定本部長官はマーカツト総司令部経済科学局長から、電気料金の認可決定の権限は公益事業委員会に属すべきであるとの覚書を受取つたということが新聞に出ておりますが、この詳細につきまして、政務次官から御説明を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02919510521/4
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005・郡祐一
○郡政府委員 多武良さんからお尋ねがございましたので、この機会に電気及びガス料金の決定されます経過並びにただいま持つております考え方について御説明申し上げます。
電気及びガス料金は、もとより商工大臣が認可または決定いたしておつたのでありますが、物価統制令が施行されましてからは、物価庁長官が経済安定のための物価政策の責任官庁としてこれを所管いたして参つたのであります。公共事業令が施行いたされまして、当時公益事業委員会の準備等をいたしておりました通産省と折衝いたしまして、とりあえず空白状態を起しませんように、公共事業令の施行と同時に、物価統制令に基きまして、他の法令に指定をいたして物価庁長官の所管といたして参つたのであります。その後公益事業委員会から右の権限の専管をいたしたい旨の申入れもございまして、また物価庁といたしましては、愼重に検討いたしました結果、物価庁長官と公益事業委員会の共管とすることが適当であろうということで、両当局の間に折衝をいたし、また関係方面のの間にも折衝を重ねておつたのであります。しかるところただいま御指摘の十八日の覚書によりまして、権限の所在については一応これが公益事業委員会に属することが明らかに関係方面の意向として表明いたされた次第でございます。
この機会に物価庁が従来共管を主張しておりました理由を申し述べて御参考に供したいのでありますが、第一に電気及びガス料金は家計及び産業にきわめて大きい影響を及ぼす。生計費でも相当の割合を占めますのみならず、重要な産業の生産コストにおきましてかなりの高率を示しておる。こういう状況から考えまして、物価全体を見て参ります場合に、電気料金の占める地位が非常に高い、これが第一の理由でございます。第二には電気料金、ガス料金の原価計算を行います上から申しましても、料金決定の基礎であります石炭、鉄鋼、セメント等の原材料なり、ガスの副産物であるコークスの価格等につきましても確たる見通しをつけ、要しますればこれらの価格の安定をはかるということが必要になつて参ります。そのような料金決定の上で大きな作業をいたします場合に、物価庁長官と共管にしておくことが適正ではないだろうか、こういう点であります。第三には、これらの料金の決定のいかんは、産業、金融その他一般経済政策に関連がきわめて密接である。これらの理由によつて、物価庁が共管をいたすことが適当だという主張を持つて参つたのでありますが、先ほど申し述べましたように、十八日のメモで関係方面の意向がはつきりいたしたのでありまするから、これら共管の理由はこの際さらにこれ以上詳しく申し上げることを差控えるものであります。現在物価庁といたしましては、本年三月かなり大幅な統制の解除もいたしておりまするし、個々の物価の形成については、必ずしもその権限等を強く固執せず、これは料金の問題だけではなくて、個々の物価形成について一つ一つを論じまするよりは、むしろただいまの物価庁のいたしておる作業の重点は、日本の物価というものをいかにして安定させて参るか、そうして個々の物価について、その動向なりその決定なりの場合に、それらについて物価政策上必要なる発言をして参るというのがただいまの状況なのでございます。かように考えますると、米であるとか、鉄道運賃であるとか、これらのものはもちろん農林大臣なり運輸大臣が責任の大臣であり、またそれぞれの役所が権威を持つておるのでありまするけれども、米価なり鉄道運賃の決定を共管にいたしますことが、何ら運輸大臣なり農林大臣の責任と紛淆もいたさず、また権威もそこねることがなく、むしろ妥当な決定をいたしておるという状況であります。すでに権限について覚書により関係方面の意向がはつきりいたした今日であり、従いまして物価庁といたしましては、先ほど申しました物価統制令に基いて他の法令において指定をいたしておりまするその指定を適当な時期に廃止する考えでありまするが、同時に以上申し述べましたような物価政策全般なり、原価計算上必要な点につきまして、物価庁の意向が十分反映できますよう、物価庁の考え方というものを、十分公益事業委員会の認可の際に実現し得ますような考途を講ずることにいたしたいという希望を持つておるのであります。そのような意味合におきまして、権限という問題を離れて、一般物価の上からの物価庁の判断というものが、結局料金を正しく決定いたします上に可及的完全に反映いたし得るような方向をとりたいと考えておるのであります。こういう点について、公益事業委員会と十分緊密な連絡をとつて参ろうと思つておるのが現在の状況であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02919510521/5
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006・多武良哲三
○多武良委員 ただいま政務次官から従来の電気料金決定方針の大体と申しますか、それからさらにまた公益事業委員会との連絡についての御意向も承つたわけでありますが、今回覚書が発せられました結果、公益事業委員会が電気料金の認可決定を行うこととなると思いますが、電気料金は政務次官から今お話がありました通り、一般物価に重大な影響を及ぼすものであり、国民生活にも密接な関係を持つておるものでありますが、この認可決定に際しまして、今後物価庁とどういう連絡をとり、またどういう方針でお進みになりますか。松永委員長代理から御説明を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02919510521/6
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007・松永安左エ門
○松永(安)政府委員 電気料金の決定は、ただいま物価庁の方から御説明がありました通りでありますが、電気料金の決定は産業及び公益にとつて重大でありますので、よく打合せをしてやるつもりであります。なお事務的の方法等は、これから両事務当局の間で打合せがあると思つております、発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02919510521/7
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008・多武良哲三
○多武良委員 松永委員長代理からただいま御説明を承りまして了承いたしました。現在の三千キロ以上の大口工場用電力の割当量に関してでありますが、生産計画とは何ら関係なく、単に料金算出の基準を示したものでありまして、料金をどういうふうに合理的に決定いたしましても、各工場の支払い料金は割当量によつて左右されるという実情であります。このことはいたずらに混乱を起す結果になる心配があるのでありますが、この制度を今度公益事業委員会に移しまして是正する御意思があるかどうか、委員長代理でなくともよろしゆうございますが、委員会から御説明を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02919510521/8
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009・中川哲郎
○中川(哲)政府委員 お話のございました通り、現在の制度におきましては、三千キロワット以上につきましては割当によつて超過いたします場合、安い料金と火力料金の開きがございます。新しい料金制度の改訂にあたりましては、なるべくならば割当と電気料金というものは別個の存在にいたしたい、その方が妥ではないかという意見を持つておりまするけれども、一面におきましては、その関係は非常に複雑なむずかしい問題を持つておりまするので、安本その他関係方面とも十分意見を尽しまして、なるべく妥当な方向へ持つて参りたい、かように考えております。まだ具体的な行き方につきましては未決定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02919510521/9
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010・多武良哲三
○多武良委員 次に、電気料金の値上げのうわさがありまして、ほぼ決定的のようでありますが、料金値上げの必要について若干の御説明を願いたい。あと六箇條ばかりありますが、その値上げにつきまして、今後料金別にも火力料金制を採用するかどうか。それから電力の割当制はどういうふうにやつて行くか。消費規正はいかなる需給関係になつたら発令するお考えであるかどうか。現在でも電力は不足の状態にありましてある程度の消費規正を行わねば重要産業に十分電力を供給することができないように考えられるのであります。また新規——特需その他により急激に増加しつつある新規需用に対しても電力を供給するとすれば、当分は年中消費規正の必要があると思いますが、消費規正の需給関係につきまして、どういう御発令をなされるか、承りたいと思います。
次に電気料金のうち大口電力料金は、各社の実情に即しまして、規定料金よりあるパーセンテージの範囲内で適当に戦前のように割引くようなことを許すお考えがあるかどうか。
最後に料金の最後的決定に際して、国会の意向をどのくらい尊重していただけるかどうか。たとえば国鉄運賃は国会の承認を得なければ決定ができないように現在なつておりますが、こういうことについて、具体的な御説明が願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02919510521/10
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011・松永安左エ門
○松永(安)政府委員 ただいま多武良さんから電気料金の改訂について御質問がありましたが、電気料金の改訂は四月二十八日の要望書として出ております。そのころまでは新会社の発足もありませず、私どもの方で一通り要望書を調べてはおりますし、またその前からも事務局ではさようなことを常に研究はしておりましたが、その後五月一日新会社発足後、種々個々の会社から要望があります。のみならず各社間の地域の融通電力の単価等も従つてきめたい、あるいはそのほか火力を水力で補給するいわゆる水火調節金の問題についても一定の方法をきめたいということと関連しまして、目下各会社のお申出をあるいは御一緒に承り、あるいは個々に承つて、これらを事務当局で整理しているところであります。その後この土曜日ごろでありましたか、新会社の値上げの御希望の書類がまた一通りあらためて出されております。これもまだ検討しておらないのでありますが、大体その率だとか、あるいは先刻御質問になりました火力並びに割当等はあまり大差ないもののように見受けられるのであります。右様のわけでありまして、今日いわゆる世間に申します値上げ問題について、公益事業委員会が願書を取上げて、拒否いかがするかという段階にまでなつておらぬのでありまするけれども、重要な問題でありますので、愼重な研究をいたしております。
大体各社の希望の要点を考えてみますと、物価がはなはだしく高上しており、また人件費——何しろ電気関係の者は十四万人からおりまするが、これらの人件費等が最近著しく動いております。また将来ともこの水準を高めて行かなければならぬ情勢に迫つております。そういうことにかんがみて、料金の均等化をはかりたい。そうしなければ営業は赤字ばかりで、一日も仕事にならないというのが大体の考え方であります。
なお四月に出しました表で、この前こちらで申し上げたかと思いますが、あるいは申し上げておれば重複しましようが、現行の給与規定で参りますると、日発、旧配電を入れたもの全体が九つの会社になつておるものと見た現行法におきまして、給与の標準は二百二十億くらい、数字によりまして二百八十億になります。これは調べてあります。これが一番大きな数字であります。そのほか減価償却が現在いかにも少うございまして、わずかに十五億くらいの償却であります。これは現在固定資産税のかかつておりますようなものに比べましても、ほとんど償却ということは名ばかりであつて、実際は資産の食い込みになつておる。これを現在の役に立つ固定資産に評価を直して考えますときには、約二百六十二億というような数字を出しておるわけです。これはまだ調査しておりません。またその償却方法、耐用年数の出し方等よほど研究しなければならぬ問題であります。これをもつてしましても、九倍ないし十五倍近いということは御了解願えると思います。そういうことをもつてしますと、全体の減価に関係するものは大きな数字になりまして、この数字をカバーするために全体の収入と支出との間に相当是正をしなければ、電気事業の信用を維持し、また資産の食いつぶしをせぬようにすることは困難になると思いますが、ことに最近三年門電力の改善工事を怠りましたために、はなはだしく電力のロスを起しておる。これらのごときもいわゆる国家のロスでありますが、同時に電力会社の収入を減少し、不当なる損害を国民一般に与えておるわけであります。これも相当早く改善したい、その改善はすなわち償却をするのと同じような意味になるのであります。全体で約二百五十億ばかりいる計算であります。それが今日要望書に現われておりますものの趣意でありますが、これは全体としてではなく、会社々々について個々の要望書が出ております。その率は平均して七割三分の値上げ案になつております。個々の詳しいことは、あとでまた各担当の者から御説明申し上げます。
それから最後にお話になりました料金の最後的決定について、議会にどういう措置をとるかというお話でありますが、これは別に何も考えておりませんが、私どもこれは命令的に料金をきめるのでなくて、業者の出しました料金をそのままうのみにせず、公聴会にかけるという前に相当研究してみたいと思います。その結果ある一定の考えを得ましたならば、九つの会社それぞれにつきまして、人手も足りませんけれども、やむを得ず九州区域に関する値上げは九州に参り、北海道に関することは北海道に手をわけて参りまして聴聞会を開き、需用者そのほかの声をよく聞きまして、聴聞会の議事を整理して持ち帰り、十分委員会で検討しまして、一つの料金決定案をつくり上げる考えであります。その前後において議会に対し十分御相談する時期を得させていただきましたならば、喜んで伺いまして御意見等も聞くことにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02919510521/11
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012・平井寛一郎
○平井(寛)政府委員 ただいま御質問のございました消費規正のことにつきまして申上げます。電力の供給量と需用の均衡が保てばよいのでありますが、最近の情勢では、季節的には時折供給力が需用に応じ得ないという状態になつております。これにつきましては、公共事業令に基きまして、電力需給調整規則というものがございます。これを運用することによりまして、季節的にひどく電気の不足いたしましたような場合に、需給の均衡をはかるような措置をとりたいと思います。しかしながら需給調整規則によつた法的な制限ということは、できるだけ避けたいのであります。そういう意味において、なるべく需用供給の面において支障のないようにいたしまして、たとえば季節的に電力の供給に不安を来した場合には、もちろんできるだけ供給するような措置をいたし、それでも足りないという場合には、まず電気業者と需用家の間で話合いをいたさせまして、その話合いの上に立つて、たとえば尖頭負荷時の需用の方を少し他の負荷時にずらしていただく、あるいは日曜、祭日のような場合の休みの日と、そうでない荷の重い日との間の需用をずらしていただく。そのほか特殊の需用家に対しましては、荷の需用供給の苦しい時間を避けていただいて、深夜その他の時間に使つていただく。そういう形を話合いによつて納得させていただくという方法で、相当の調整はできるのであります。そういうような面でなるべく需用者をして話合いによる自主的な調整に全力を注がせまして、それをもつてなお足りないという事態のときには、需給調整規則で混乱を防ぐという方法を講じております。
それからなお新規の需用に対しての御質問でございましたが、大体新規の需用につきましては、申込みはそれぞれの地区の電気業者にすることになつております。電気業者がその申込みを受けまして、自分の供給設備、供給能力を勘案いたしまして、できるだけその御希望に沿うように努力するのでありますが、大口の申込みにつきましては、委員会の方に意見を付して認可の申請をする建前になつておるのであります。また委員会といたしましても、供給施設、能力等を勘案いたしまして、できるだけ重要な、あるいは緊急を要する用途については支障のないような方法をとつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02919510521/12
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013・中川哲郎
○中川(哲)政府委員 お尋ねの電力料金に関して、大口の料金をあるパーセンテージの範囲内で適当に割引く考えはないかというお尋ねでございましたが、これにつきましては、従前もさような例があつたかどうかは存じませんけれども、一般的に電気供給規程というものを定めまして、大口には大口の産業用の電気料金が各社において一つの公定価格類似のものとなつて一応きめられているわけでございますので、特別の支障のない限り、その供給規程の料金によつてやることが各事業間の公平を保つ意味合いにおいて、むしろ妥当であるという考えで電力料金をきめている次第でございます。従いまして、一般的には割引するような措置は認めない筋合いでございますが、なお新しくできました公共事業令におきましては、特別の需用のあります場合には、いわゆる特約料金としてこれに即した料金を繰入れることもございますが、これはむしろ例外的な意味合いに扱うべきものと考えております。
なお料金制につきまして、火力料金制をどうするかという点でございますが、これは電力の需給が不均衡である現状におきましては、現在の火力料金がある程度需用を抑制するという一面を持つておりまして、今後の料金改正に当りましても、これを全面的に廃止し得るかどうかという点は十分検討いたしましてから、この方向を定めたいとも存じます。現在のところ電気事業者側におきましては、ほぼ現在の制度を存続したい意向を持つておりますが、一面需用家側におきましては、この制度の不便という点もございますが、かりにこれを全廃いたしますと、全面的に需用供給の均衡保持のために、それにかわる何らかの方法がいるのではないか。たとえば昔ありましたような各工場までにつきまして、全面的な電力の消費規正をいたさなければならないという事情もございますので、いずれがいいかということにつきましては、十分産業界の意見も聞きまして、委員会で決定して参りたいと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02919510521/13
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014・小金義照
○小金委員長 ただいま議題となつておりまする電力料金に関する件について、ほかに御発言はございませんか。——それでは次の問題に移ります。
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015・小金義照
○小金委員長 計量法案及び計量法施行法案を一括して議題といたします。この両法案に対する質疑は、すでに去る十七日の委員会において一応質疑を打切りまして、爾後の質疑は公聴会の公述に関するもの及び補充的なものに限り認めることにきめました。念のため申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02919510521/15
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016・眞鍋勝
○眞鍋委員 ただいま議題になつております計量法案に対しましては、むろん以前から関心を持つておりましたが、先般公聴会を開いたときに、この問題は国民の実情にかんがみましてよほど考慮を要することだと思つたので、またそこで大所高所よりこれらに対する賛否の意見が聞かれると思つたので参つたのありますが、われわれの考えているところと、公聴会の意見とは大分趣きを異にしており、十三名の中で十一名までは、この計量に関係する課長なり専門家ばかりでありまして、ほとんど同一の意見を徴し、ことに二、三の方からは、本法案をもつて——メートル専用でもつて社会を指導して行くというようなことも聞いたのでありまして、こういう国民に非常に大きな関係のあるものをこんな一課長くらいの人に指導されては困ると思つて、私は委員ではなかつたのですが、とりかえてもらつて意見を申し述べたいと存じ、きよう参つたような次第でございまして、専門的の質問はすでに済んでおられるかもしれませんが、私も委員の一人としてこれに対し多少の意見もあるので本日この委員会に列し、わずかでありますが、所感の一端を述べてみたいと思いますので、お許しを願います。「このメートル法の専用に関しては、日本経済新聞の今年の三月二十八日の社説に載つておりますが、私のもつともと考えておるところを述べておられますから、これを引用して、あとで私の意外をつけ加えてみたいと思います。
わが国の度量衡の制度は昭和三十三年の末まではメートル法、尺貫法、ヤードポンド法を併用し、三十四年以後はメートル法一本に統一することになつているが、現行度量衡法を改正して新しく計量法を制定する機会に、メートル法専用を再検討すべきことが強く要望されている。通産省の考えている計量法の制定は、計量士制度の創設等を目的とするもので、メートル法専用は現行法通り三十四年からとなつているが、その時期も八年後に近づき、現在のメートル法普及状態から見て、三十四年後メートル法一本にすることが実際問題として、はたして可能かどうか多分に疑問であるばかりでなく、メートル法に統一する必要があるかないかという根本問題は、メートル法専用の方針を決定した当時とまつたく同様に論議の余地が多く、むしろその後の実情は統一も困難である、必要のないことを証明しておると言つても過言ではありません。度量衡法によつてメートル法専用を決定した理由は、わが国の度量衡制度を国際的な度量衡制度であるメートル法に統一することが便宜であり、簡単であるという点にあつた。その当時は国際的にも度量衡制度統一の機運が高まりつつあつたので、わが国としてもそうした国際的な動きに協調しようとしたもので、その趣旨は必ずしも悪いとはいえないが、他面わが国の実情を無視してことさらメートル法一本にする必要がないという意見は、その当時から強かつた。ことに米英では今日でもメートル法とポンドヤード法を併用しており、メートル法でなければ対外取引がでないというものではない。そればかりでなくいくらメートル法に統一したところで、われわれの生活環境や條件が改まらない限り、メートル法一本にすることはかえつて、われわれの生活を不便、複雑にするだけである。たとえば間とか坪とかいう単位で表しているわれわれの住宅は、メートル法によつて小数点以下何位かのきわめて複雑な数字で表さねばならない。
結局度量衡制度などというものは、それぞれの国の生活状態と密接に結付いて発達したもので、それを変更するためには、生活の環境なり條件なりから改めて掛らねばならぬ。ところが今日までの経験はそれがいかに困難であるかを何よりも明白に証明している。メートル法専用の方針が決まつてから、学校ではメートル法だけを教えているが、そうした無理な教育を受けた子供が成長した後いかに不便を経験していることか。もちろんわれらはメートル法専用に反対するからといつて、尺貫法一本にせよというのではない。和服を作る場合には尺、洋服を作る場合にはヤードで結構である。また戦時中のような国粋主義からメートル法に反対するのでもない。一部に再メートル法普及運動を起す必要がいわれているが、いまさらメートル法普及運動などというのは多くの人にとつて古証文を引張り出すようなものである。現状から見ておそらく三十四年になつてもメートル法専用は不可能で、再び実施を延期しなければならないであろうが、そんなことなら一日も早くメートル法専用を御破算にした方がいい。昭和三十三年まで併用を認めたのは、メートル法専用の準備期間としてであつたが、今日までの経験はメートル法專用の無理なことを疑問の余地がないほど明かにしているのであつて、この経験を尊重してメートル法専用を中止すべきである。」と論じておられましたが、ことごとく私らの意見と合致しますから、引用して申し上げたのであります。
次に今度この政府提案の計量法案の目的と申しますか理由を見ますと、「計量の基準を定め、適正な計量の実施を確保し、もつて経済の発展及び文化の向上に寄与することを目的とする。」とありますが、文化の向上に寄与するというのは、少し私には受取れぬのであります。文化の消長は民族の存亡に関係があることはもちろんでありますが、終戦以来文化国家の建設が叫ばれておりますが、はたしてその実績は上りつつあるだろうか。かえつて世情は混乱し、人心は険悪におもむくこと、今日のごとくはなはだしいのはありません。明治維新以来欧米の文明が輸入せられて、当時一世紀以上も遅れていたわが国の文明が僅々五、六十年の間に長足の進歩を遂げ、とにもかくにも世界列強の間に伍するに至つたことは中外のひとしく認めた事実で、それというのも高度の新文明を移植するに足るべき基盤がわが国に存在したからである。正倉院の御物を見てもわかるように儒教、仏教等の外来文化を摂取して同化純化した日本人なればこそ、欧米文化をもただちにとつてわれに融合させたのであつた。しかるに不幸にして世界大戦の終つた大正の末から昭和にかけて、世界の変動に伴いわが国情、政情並びに人心ともたえず動揺して安定するときなく、世界第二次大戦には、ついに無謀なる戦争に突入して一敗地にまみれるに至つた。かくて、あつものにこりてなますを吹くのたとえのごとく、わが国民の間には戦後茫然たる虚脱状態の中に民族的自覚を喪失し、祖国の歴史も文化も道義も一切否定し去らんとする風潮を生じ、ことに青年子弟においてこの弊最もはなはだしく、さらにはき違えた個人主義、自由、平等を振りまわし、古来の礼譲、節義、勤労、勇気などの美風はその片鱗だに認められず、かくて祖国の文化遺産を喪失した上に、外来文化不消化病にかかつたあわれむべき亡国の廃徒充実する世の中となつた。かくて文化国家の建設も百年河清をまつに等しい。しからばこれをいかにせばよろしいか。私は国民的自覚をとりもどし、真の愛国心を振起することが先決問題だと考える。祖国を愛することのできない人種が集まつて国家を形成するということはふしぎである。神がかり的な神国思想の妄なることはすでに実験済みである。と同時に、極端なる民族劣等感のさらに戒しむべきを思わねばならぬのであります。近ごろ文部省ではいたずらに国字を少くし、あるいはまた通産省も文化の見地からこういう法案を出されるような趣きでありますが、文化のため、ことにわが国は御承知のごとく敗戦後六年の間、連合国の占領のもとに国民は虚脱状態になつておる、この時節にこういうような大法案を出すということは私は受取れないのであつて、もう講和会議も近いのでありますから、講和会議をして、しかして自由独立の国になつて、そして研究をしても遅くはないと思うのであります。ことに三十三年といえばまだ相当日月もあるから、今日この虚脱状態のもとにかかる大法案を出して一挙にこれを可決するということは、わが国文化の上から申しましても、先刻申し上げましたような点から申しましても、本法案はもう少し検討し、あるいはまた延期をいたしまして、いろいろな点から最も慎重な態度でもつて臨むことが望ましいと私は信じましたので、諸君のごとき専門的の立場ではありませんが、ここに一言させていただきたいのであります。
先般総司令部の科学局技術課にリーズ氏を訪ねて、われわれの考えと通産省提出の計画法案についての意見が異なつておることを述べて、意見を徴したのでありますが、リーズ氏も、この計量法案についての論議は差控える、というのは占領目的に反せざるものであるならば、いかなることが論議されようともそれはよろしい。それについて論議をさしはさむ余地はないが、もし自分の個人として、技術家として尋ねられるならば、あるいはメートル法に統一した方が便利かもしれないが、さりながらアメリカにおいても、イギリスにおいても、国民はポンド、ヤードを使つておるということを申されておりました。先進国であるアメリカにおいても、またイギリスにおいても、やはり国民全体としては固有のポンド、ヤードを使い、学術的方面においてはメートルを使つておるのでありますが、しかも今日において、英米以上のさんぜんたる文化を有しておる国はない。ことにわが国は精神的文化においては英米にあえて劣つておると私は思わない。こる精神文化、東洋文化は、かえつて英米にこれを施さなければならぬ。これを私の友人の長井亜歴山氏は、ドイツ生活二十年、しかもこの日本の尺貫法はそう簡単に捨てるべきものでない、非常に尊重すべきものがあるから、よほど研究を要する。あるいは町とか、間とか、坪とかいうことはちやんと保存して、そして両方をあわせて用いる方法も考えられぬことはないというので、外国——ドイツばかりにおること二十年、総領事も勤めたりして帰つた亜歴山氏もそういうことを言つておるのでありまして、先般も申し上げましたことくに、これは単に専門家ばかりできめることでなくして、この法案のよつて及ぼすところは国民全体でありますから、国民の全体的見地に立たなければならぬ。従つて私どもは、公述人の賛否の多少によつてこれを決するというようなことはいかがなことかと存じます。先般も申し上げました馬場恒吾君のごときは、あの太平洋戦争中には一人——ほかの操觚界の人あたりが迎合する人もなきにしもあらざるときに、毅然として所信に向つて邁進したのでありますから、今日から考えますと何百人、何千人の人より、馬場君一人の方が正しい意見を吐いた。しからばこういうような公聴会は、馬場君の言うように、すなわち本案のようなくだらぬ案はひま人のやることであつて、平地に波瀾を起す。また小汀利得氏のごとく、百害あつて益するところは二、三であるという人もあるし、ことに伊東忠太博士のごとき、尺貫法及びヤードポンド法、メートル法の三者を併合するのが最も妥当であるという先覚者の言に聞くべき必要はないかと思われるので、私は実は決選選挙に帰つておつて、多忙のためにみずから稿を草することができませんでしたから、あえて日本経済新聞の社説を引用して、もつて私の意見の一端を述べさせていただいた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02919510521/16
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017・首藤新八
○首藤政府委員 眞鍋委員からいろいろ御高説を拝聴いたしたのであります。しかしてこの立法の目的の向上ということに対して詳しいお話があつたのでありますが、これはいろいろ人によつて見解を異にすると思いますから、その点にはこれ以上触れることを遠慮いたしたいと思います。ただしかしながら、眞鍋委員の御考慮を煩わしたいと存じますのは、ポンド、ヤードの併用期間が従来とも三十三年末となつておつたのでありまして、今度の法案もやはり従来の法律と同じように、三十三年末となつておるのでありまして、その間いささかの変化もないのであります。ただしからば、なぜこういう法案を出したかという原因でありますが、それは経済の進展あるいは変化によりまして、今日までの度量衡法は御承知のごとく長さ、面積、体積、質量、温度、圧力等々のわずか六種の単位について規定してあつたのでありますが、しかしながらそれでは、現在の経済に実際に使われておりますところの計量器が入つておりませんので、そういう点に非常な不便を来しますので、あらためて時間とか速さ、加速度あるいは熱量、角度、流量、粘度、濃度、光度、光束、照度、周波数とかいう、実際に現在使われておりながら計量器としての法的措置を講ぜられていないものを加えて、実際の取引に支障なからしめることを目的としたのが本法案の一番大きな目的であるのであります。さらにまたかりに三十三年、三十四年になりましても、貿易であるとか、あるいはまた土地家屋であるとか、そういうふうなものはその後におきましても従来の尺貫法なり、あるいはヤード、ポンドを併用しても一向さしつかえないという法文なのであります。従つてかりに眞鍋委員の言われるごとく尺貫法なりポンドヤード法なるものが、今後も久しい間の習慣の惰性として、三十三年末が来ましてもなおメートル法を専用とすることが無理であるというような社会情勢でありますならば、あらためてそのとき検討いたしても決して遅くはないのではないか、かように考えておるのでありまして、現在計量法を制定いたしましても一向従来のヤード、ポンドあるいは尺貫法の併用には関係ないのであります。率直に申し上げますれば、この計量法と、眞鍋委員の言われるところの尺貫あるいはヤード、ポンドの併用には何等関係ない、別問題であるというふうにお考え願つた方がいいのではないかと考えておるのであります。繰返して申しますが、今後におきましてもなお日本の国情が、尺貫法あるいはポンド、ヤード法をどうしても併用することがいいんだ、公共の福祉にそれの方が寄与するのだというような社会情勢でありましたならば、将来そういう機会に、御希望のような法案に修正されることが適当ではないかというふうに考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02919510521/17
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018・眞鍋勝
○眞鍋委員 私は昭和三十四年以降、尺貫法あるいはボンド、ヤード法は取引に使用できす、それらの計量器の製造、販売は不可能となる。それに違反するときには多額の罰金を課せられることになつておるように受取つておるのであります。従つてそういう非民主的、非実際的な法律案に対して、今申し上げましたような考えを持つているのですが、あなたの言う通りになるとそういうことはありませんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02919510521/18
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019・首藤新八
○首藤政府委員 ただいま申された御意見は、従来の法案がそういうふうになつておるのでありまして、今度の計量法案が通過したからといつて、それが変化したわけでも何でもないのであります。従つてただいま申し上げましたことく、計量法案と尺貫法なりポンドヤードの併用は、全然別個の問題でありますから、一応これは切り離して今後の日本の社会情勢が三十三年になりましても、この法案で決定してあるようにメートル專用とするのには時期尚早である、むしろ社会情勢に反するというような状態でありましたならば、そのときにあらためて修正するということの方が適当でないか、かように考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02919510521/19
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020・眞鍋勝
○眞鍋委員 あえて論議はしませんが、法律を出した以上、千古不変というわけには行かないが、少くとも相当期間の見通しをつけて制定しなければならぬのに、三十三年まで待つていけなければ延ばす、またやつていけなければまた延ばすというようなことよりか、深甚の考慮を払つて、相当の見通しがついてからやられたらどうかと私は思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02919510521/20
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021・首藤新八
○首藤政府委員 現行の度量衡法は明治四十二年に制定したものでありまして、その後幾たびか修正されて、そして結局併用を三十三年末ということに修正しておるのであります。従つて今日から計算いたしますれば八年後に迫つておりますけれども、当初この三十三年を決定したときから起算いたしますれば、相当の余裕期間があつたのではないかと考えられるのであります。しかも当時よりも今日のメートル法の使用の率というものは、はるかに高くなつておるのでありまして、漸次メートル法の専用の情勢に推移しつつあるというふうに申し上げてもいいのではないかというふうに考えておるのであります。従つてわれわれの今の見解は、おそらくもう八年間猶予を与えるならば、メートル法を専用しても一向さしつかえない社会情勢を展開いたすのではないかというふうな見解のもとに、前の法案をそのまま修正せずに提案いたしておるのであります。しかしながら御説のごとく、久しい間の日本の習慣として、今後八年間経過いたしてみても、メートル法を専用することは不可能であるというような情勢がありますならば、少くとも国会はさような周囲の情勢をよく判断されて、適当な措置を講するであろうことは予想されておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02919510521/21
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022・眞鍋勝
○眞鍋委員 私は政務次官と意見を異にしておるのであります。ことに戦争中などは非常な混乱を呈して、むしろ逆に見えたように考えるのであります。なるほど学校あたりであの狭き教室の中において教育を受けてはおるけれども、学校を出るとたちまち三年か四年して忘れてしまう。これは必要なものならばなかなか忘れないが、必要でないものは忘れる。いなかに行きますと実際よくわかるのであつて、ほとんど全部といつてもよい。私ども老人ばかりでなしに、若い者でも忘れておる。社会がそうであるからであつて、狭き教室でなくして広き社会、しかしてまた多くの人がやつておりますから、いなかになんか行つてみると、決してあなたの言つたような調子には参らぬのであつて、そこが意見の相違といいますか、あなたのような京阪地方の繁華なところにおる者と、われわれのようないなかにおる者とは見方が違いますから、私はかえつて逆であろうと思うのであります。いろいろな点から私は考慮いたしまして、どうも通産省の意見とは食い違いがあるのであります。ここであなたと議論をしたところがしようがありませんが、仰せの通り国会議員は多数おるのだから、私と同様な考えをつておる者も多数あるだろうし、ことに私どもが議席を有しておつたときには併用論はほとんど全部でした。しかも昭和十七年のあの推薦選挙に出ておるときを見ても、ほとんど比較にならぬで、反対者は十数名であつたのであります。尺貫法存続連盟の橋本さんのお話でありましたが、あなたと同じように国会議員が同一意見ならば、それはすらすらと賛成ができるけれども、私のような者が多ければ、早急にこの国会を通さなければならないわけでもあるまい。もつと考慮されたらよかろう。但しメートルばかりでなしに、ほかのいろいろの課目がふえておるというのでありますから、そういうようなものは必要かもしれぬけれども、この会期はなはだ切迫した今日、これを先日公聴会で経験したような、ごく賛成の者ばかりを連れて来てこれで公聴会でしたということは、はなはだもつて了解に苦しむのでありまして、今も申し上げましたことく、これは十何年か前に委員であつたときに多少研究もしたりして意見を述べておつたのでありますが、私は法務委員であるし、この間の決選選挙で一昨日帰つて来たような次第で、いずれあなたと論議するならこつちも研究してやりますから、ここに法理上の議論はやめておきます。せつかく論議は済んでおつたのですが、またその点を私のために再検討されたことを深く感謝します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02919510521/22
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023・首藤新八
○首藤政府委員 私もこれ以上は議論は遠慮いたしますが、ただ一言申しておきたいのは、先般の公聴会に賛成者のみを私の方で特に招集したかのような御意見でありますが、決してそうではないのでありまして、各業態の代表者、ことに信用のおける方として平素から人格手腕を認められておつた方のみを実は出席願つた次第であります。しかもこれは画会の方で出席を願つたのでありまして、通産省としては必ずしも関与してないことを御了承願つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02919510521/23
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024・小金義照
○小金委員長 次は風早八十二君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02919510521/24
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025・風早八十二
○風早委員 私の質問は大体この前いろいろな点についてすでに終つておりますので、きようはそのときちよつとお尋ね漏らした一点についてお尋ね申し上げます。計量行政審議会の構成についてでありますが、これには民間委員を入れないことになつておるようであります。第十章に規定してあるようですが、これは現在設けられておるいろいろな審議会や委員会などとも多少違つていはしないか。なぜ民間委員を入れておられないのか、その点についてこの前お尋ね申し上げるのを忘れましたのですが、きようお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02919510521/25
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026・玉置敬三
○玉置政府委員 民間の御意見を積極的に排除したものは何もないのでありますが、この多数の内容をなします政令、省令等におきましては、全部公聴会で聞くことになつております。しかも民間の方々の意見は、特に委員会の制度にしなくても十分拝聴し得ることと思いまして、関係行政機関ということにいたしたのであります。もちろん中央、地方並びに学校の先生等はこれに入るものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02919510521/26
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027・風早八十二
○風早委員 趣旨は別に不賛成でもないように今承りましたが、民間人を入れた方がよろしいというお考えはないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02919510521/27
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028・玉置敬三
○玉置政府委員 いい悪いという問題ではなくて、この原案におきましては、私は十分意見を拝聴し得ることができますし、また一般人の意見は公聴会におきまして十分拝聴し得る、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02919510521/28
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029・風早八十二
○風早委員 これは決して通産省の役人というわけではないのであつて、審議会でありますから、むしろ民間人で構成するというくらいがあたりまえであろうと思います。われわれ常識として当然そう考えるわけであります。別にこれを執行する機関でも何でもないわけであります。広く皆の意見を聞いて役人がやるというのは別に問題ないと思いますが、審議会において特に民間人を入れない審議会がこれからどんどん出て来るというこれは一つの先例になるかと思いますが、そういう点については何か特別な事情があるのか、これはどういうお考えで特にこうされたのか、なお今の御説明ではちよつと了解しかねると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02919510521/29
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030・玉置敬三
○玉置政府委員 特別に積極的に排除した理由はないのでありますが、十分拝聴できることと、政府の責任において——いろいろな場合には拝聴した上で決定したいということで、あえて委員会のメンバーに入れる必要はない、こういうふうに考えた次第であります。これをごらんいただきますと、全部省令、政令等の制定は公聴会ということになつておりますので、そこで十分利害関係人の御意見も拝聴できるということにいたしておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02919510521/30
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031・風早八十二
○風早委員 公聴会と言われますが、先ほどの質疑をやられた方も言つておられますが、実際公聴会がどういうものだかということは、これはもうお互いにわかつておることで、審議会が役人だけでできるということになれば、これはまつたくこういう機関が二重にできて来はしないか、そういうものは当該責任官庁があるのですから、それでもつて事は十分足りるのじやないか、ことさら審議会を設ける趣旨というのは、民間の人たちをここに集めて来て、そこで専門的にも衆知を十分に摂取して、それに従つて政策を立てる方針をきめるということで、これは常識上最も妥当だと思うのですが、そういう点で特に民間委員を排除して、もう公聴会にまかしてあるからそれでよろしいということは、どうも屋上屋を架する、役人の機関のただいたずらな増設であるという感を持つわけです。何か特別な事情があつたのならばそれはまた別問題でありますが、政府がそういう考えでやられるということになれば私は大反対です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02919510521/31
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032・玉置敬三
○玉置政府委員 先ほどと申し上げましたように、特に排除するという気持はなかつたのでありまして、お話の精神等におきましては、委員会を通じなくても公聴会あるいは直接十分御意見を拝聴できると考えまして、計量関係の仕事は各省関係にきわめて多いことでありますし、また特に地方庁とも密接不可分の関係にありますので、これらの関係職員とさらに学者の方々を含めて行政審議会を設けたわけであります。お話の点につきましては、特に積極的に民間の御意見を排除するということがないとともに、政府の決定しましたものにつきましては、その範囲におきましては十分責任を明らかにして進みたい、こういう考えでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02919510521/32
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033・風早八十二
○風早委員 それでは積極的にお尋ねしますが、この問題に関して特にGHQから特別な指示あるいはレコメンデーションがあつたかどうか、そういう点についてお答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02919510521/33
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034・玉置敬三
○玉置政府委員 本法律案につきましては、従来の法律案の手続によりまして、御承知のようにGHQとも交渉いたしまして参りました次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02919510521/34
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035・風早八十二
○風早委員 私の今の質問に対してお答え願いたいのです。この行政審議会に民間委員を入れないことについて、特にGHQから指示があつたのですかと、こう聞いておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02919510521/35
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036・玉置敬三
○玉置政府委員 本法案に対しては、特にそういう指示が出ないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02919510521/36
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037・小金義照
○小金委員長 この際お知らせいたします。去る十八日本委員会の村上勇君が辞任せられまして、眞鍋勝君が補欠選任せられました。この際それだけを追加御報告申し上げておきます。
ほかに御発言はございませんか。別段御発言がないようでありますから、これにて両法案に対する質疑は終局いたしました。
本日はこの程度にて散会いたします。明日は午後一時より開会いたします。
午後三時十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02919510521/37
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