1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和二十六年五月三十一日(木曜日)
午前十時五十六分開議
出席委員
委員長 關内 正一君
理事 松井 政吉君
江崎 真澄君 岡西 明貞君
尾関 義一君 黒澤富次郎君
關谷 勝利君 中村 清君
橋本登美三郎君 原田 雪松君
福永 一臣君 牧野 寛索君
松本 一郎君 椎熊 三郎君
田島 ひで君
出席国務大臣
電気通信大臣 田村 文吉君
出席政府委員
電気通信政務次
官 加藤隆太郎君
電気通信監 山下知二郎君
電気通信事務官
(業務部長) 田邊 正君
電気通信事務官
(施設局長) 林 一郎君
電気通信事務官
(経理局長) 肥爪 龜三君
委員外の出席者
電気通信事務次
官 靱 勉君
電気通信事務官
(大臣官房審議
室長) 杉山 榮藏君
電気通信事務官
(業務局周知調
査部営業企画課
長) 吉田 修三君
電気通信技官
(施設局施設部
長) 平井 始君
專 門 員 吉田 弘苗君
專 門 員 中村 寅市君
—————————————
五月三十一日
委員井手光治君、犬養健君、井上信貴男君、大
西弘君、森下孝君及び苫米地義三君辞任につき、
その補欠として原田雪松君、黒澤富次郎君、江
崎真澄君、牧野寛索君、尾関義一君及び椎熊三
郎君が議長の指名で委員に選任された。
—————————————
本日の会議に付した事件
電話設備費負担臨時措置法案(内閣提出第一八
一号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004847X02119510531/0
-
001・關内正一
○關内委員長 これより電気通信委員会を開会いたします。
前会に引続き、電話設備費負担臨時措置法案を議題とし、質疑を続行いたします。田島ひで君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004847X02119510531/1
-
002・田島ひで
○田島(ひ)委員 きのう私は中座いたしましたから、他の委員からすでに御質問になつた点を重複いたしますかもしれませんが、二、三お尋ねいたします。
これは大臣にお伺いいたしますけれども、通常国会が済みまして延期になつたあと、突然この法案をお出しになつた理由、たとえば装置料の値上げなんかは、この間すでに決定になつておりますが、どうしてそのときに関連してこういう問題をお出しにならなかつたのか。急にお出しにならなければならないような、予算との関係なんかで、何か理由があつたのですか、その点をちよつとお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004847X02119510531/2
-
003・田村文吉
○田村国務大臣 ごもつともなお尋ねでございますが、この電話の今日の窮迫の状態から、何とかいたしたいということで、それには資金の獲得が必要だ、こういうことで、実は装置料等の問題と別に引離しまして提案いたすつもりで、大分前から準備いたしておりましたが、いろいろ意見の検討を要する点がございましたので、延び延びに相なつておりましたが、実は本国会の初めに提案したい、こういう考えでおつたのでありますけれども、いろいろ関係方面の御了解を得たり、また意見の異なつた点等がありまして、その調整をいたしておりますのに日がたちまして、とうとう二十八日の日にようやく提案できるような運びになつたものですから、そこでこの法案を、それではこの次の臨時国会まで延期したらどうかという考えも出ないではなかつたのでありますけれども、しかし実は今日の電話の窮迫しております状況は、非常に迫つておりますので、一日も早くこの法案を通過させていただいて、資金の獲得ができるようにしなければならぬ、こういう状況に相なつておりましたために、まことに御迷惑なことでございましたが、最終になりまして、提案せざるを得ないような状況に相なつた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004847X02119510531/3
-
004・田島ひで
○田島(ひ)委員 そういたしますと、この電話の窮迫の原因につきまして、電通当局といたしましては、もつと根本的にお考えになるような方策がとられておりますかどうか。私は、装置料とは関連ないと申されますけれども、次々にこういう小さな法案が出て参りまして、まるでこそくり普請のような法律が出て参りますが、電通事業の今日の窮迫を解決するのには、もつと根本的な問題があるのではないか。それに対して大臣としてのお考えをお持ちになつておるかどうか、その点もう一度お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004847X02119510531/4
-
005・田村文吉
○田村国務大臣 電気通信の戰災後の復興が遅れておりますために、皆さんの方でもたいへん御心配になりまして、復興審議会をつくつていろいろの成案を得ました。たとえば企業形態自体についてはどういうふうにするがいいか、公共企業体に移した方がよかろう、こういうような御結論もいただいておりましたが、これはまだ関係方面の御了解を得ませんので、それまでに至つておりません。しかし特に昨年の朝鮮事変が起りましてから、国内における電話の需要が一層熾烈な状況に相なつて参りました。たとえば都会におけるビルデイングのようなものも非常な勢いで、昨年の秋、今年の春になりまして起つて来たというような状況にあり、また住宅の建設が昨年来急速に進みつつありますので、それに要する電話の必要も起つて来たということで、昨年来また電話に対する熾烈な要望が強くなつております。そういうような状況下にありますので、今日国の資金だけでこれをまかなつて行き得るということが、困難な状況にあると考えましたので、今のような法案を提出いたしたのでありまするが、今後の根本対策等につきましては、もちろんいろいろの点から検討されねばなりませんが、私どもも十分検討いたしまして、ある程度まで恒久的な案を立てるというふうにいたして参りたいと、せつかく検討いたしておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004847X02119510531/5
-
006・田島ひで
○田島(ひ)委員 たしか二十三年度には電話公債というのが発行されておりますが、これにはたしか年五分の公債の利子が拂われております。今度三万円ほどのお金をおとりになるのですが、期限が過ぎました後はお返しにならないように見受けます。そうしますと固定資産といいますか、増設機械は出資者のものになるのですかどうですか、その点をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004847X02119510531/6
-
007・田村文吉
○田村国務大臣 それは初めからいわゆる寄付者といいますか、負担者の所有にはならぬのでありまして、電気通信省の所有になるわけであります。ただそう一本にいたしますだけでは、せつかく三万円も出した、あるいはまた増設機械の方にいたしましても、数百万円の金を投ずるということになりますので、もし一年や半年の間に都合によつて移転をするとかいうようなことで、電話がいらなくなる場合に、それつきりではまことにお気の毒じやないかということから、一般の加入電話につきましては、五年の間に不要になつた場合にはその金をお返しします。それから増設電話の方におきましては、十年間お使いになつて、その間に不要になつたという場合には、過去に使用された使用料という意味ではありませんけれども、そういうものを引きまして、一年に一割ずつ引いた勘定で、十年の間ならば、残金をお返しするということにいたしたのでありますが、根本観念は、やはり電気通信省の所有に属しているものであるという考え方で立法されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004847X02119510531/7
-
008・田島ひで
○田島(ひ)委員 特別な費用をおとりになる点につきまして、これはやはり最近の物価の値上りとかなんとかいう点との御関連の上で、こういう法律をお出しになつたのでございますかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004847X02119510531/8
-
009・田村文吉
○田村国務大臣 今度の考え方は、物価の値上りとは実は切り離しておるのであります。但し今度増設いたしますものにつきましては、大体物価の値上りを見込んだ意味で、三万三千円の電話をつける。PBXも幾らか安くなる。その点は物価の値上りもありますが、今の予定の通り進んでおるものにつきましては、この中には物価の値上りは全然見ておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004847X02119510531/9
-
010・田島ひで
○田島(ひ)委員 そうしますと現在の軍拡経済から見ますと、私どもはどんどん物価が上つてインフレは必至だと考えておりますが、その点物価が騰貴いたしましても、今後五年の間この額でもつてやはり増設可能でありましようかどうか。さらに非鉄金属の不足が非常にいわれておりますが、そういう中でこれだけの負担をしたら、請求されるものだけ増設ができるかどうかという問題も、確かに見通しがおありになりますかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004847X02119510531/10
-
011・田村文吉
○田村国務大臣 御承知のごとく現在電話を引きますのにも、物価値上り前には一個について約十六万円くらいかかります。三万円いただきますということは、それのほんの二割に足らないような金額なのでありまして、つまり実費を全部負担していただくということ、PBXの方だけに対してはそういうふうに考えておりますけれども、今の加入電話の方につきましては、実費の二割に足らない金額を御負担願う、こういうことでありますから、さよう御承知願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004847X02119510531/11
-
012・田島ひで
○田島(ひ)委員 この法案の第七条には、国の機関に対してはこれが適用されないとなつておりますが、たとえば特需関係については、連合国のサービス関係なんかの機関はどうなりますか。また講和後にはそういうものはどういう処置がとられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004847X02119510531/12
-
013・田村文吉
○田村国務大臣 今の国の云々というものは、特需関係とは全然考え方が別なのでありまして、国で財政収入にいたしますのを、一々そうしなくてもいいだろうということで、国のものはいただかないというだけのことで、特需関係とは何らの関係を持つていないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004847X02119510531/13
-
014・田島ひで
○田島(ひ)委員 この法律案が通りますと、やはり相当業務はふえて参ると思いますが、現在でも非常に従業員が不足しておりまして、非常に従業員の労働強化となつております。たしか今年度の建設要員は一名もふえていないと記憶しておりますが、これの要員関係はどうなりますか。増設に伴つて従業員の増加が見込まれておりますかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004847X02119510531/14
-
015・田村文吉
○田村国務大臣 工事は必ずしもすべてを直営でやるわけではありませんで、請負でもできます。大部分は請負でやつておりますから、その点についての御心配はないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004847X02119510531/15
-
016・田島ひで
○田島(ひ)委員 その点もう少し詳しく御説明していただきたい。そういたしますと従業員に負担はかからないと申されるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004847X02119510531/16
-
017・田村文吉
○田村国務大臣 もちろん仕事はふえますから、若干の監督的の方面におきましても分量がふえるということになりますが、これがために従業員の労働過重ということには万々ならないつもりでありますし、もしそういうことが将来起つて参りますれば、それに対する措置はいたすつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004847X02119510531/17
-
018・田島ひで
○田島(ひ)委員 これに関連しまして、この法案とはちよつと関係ありませんけれども、最近従業員の三割ほどの行政整理がまた実施されるようなことがいわれておりますが、これはたしか政治諮問委員会の決定だということを私も聞いておりますが、そういう見通しをお持ちになつておりますかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004847X02119510531/18
-
019・田村文吉
○田村国務大臣 電気通信省は御承知の通り現業官庁でありまして、現業の人たちの仕事の分量というものはおのずからきまつておるのでありますから、そう簡単に人を減らすというようなことはできませんので、かりにそういうお話がありましたが、私は承知いたしておりません。おりませんが、そういうような話が一般官庁にありましても、電気通信関係においてはそういうことは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004847X02119510531/19
-
020・田島ひで
○田島(ひ)委員 もう一点関連しまして、従業員が非常に超過勤務がふえております。この点で超過勤務の手当が、特に東京都内の通信局あたりでは、一週間平均三十二時間の起動に対して十五時間くらいの手当しか出ていない、半分以下だといわれております。これは命令によるところのはつきりした超勤の手当が拂われていないということでありますが、その点の詳細な御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004847X02119510531/20
-
021・田村文吉
○田村国務大臣 こまかい資料等は、もし必要でしたらあとで差上げることにいたしまするが、超過勤務手当というものは、現業官庁には非常に必要なものでありますので、超過勤務された方に対しては、十分にこれの支拂いができるようにしたい、こういうことで行つておるのでありますが、現在の超過勤務手当は、ある程度までは生活補給みたいなものと誤解されるような意味も含んでおります。さような関係で、超過勤務手当が必ずしも超過勤務した者に、かつきりと十分に支拂いができておるかということになりますと、予算の関係で不十分の点もないではないと考えておりますが、しかし将来にわたりまして超過勤務手当は、完全に支拂われるということにいたしたい、こういうふうに考えております。なおそういうような点につきましての資料等は、あとで御必要に応じまして御配付いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004847X02119510531/21
-
022・田島ひで
○田島(ひ)委員 その点は、あとから詳細な資料をいただきたいと思いますが、これは給與法違反でもありますから、相当重大な問題だと思いますので、重ねてその点をお願いしておきます。
最後に、電通省と郵政省に戦後分離されましたが、最近これがまた合併になるというようなうわさがされております。この点、電通相のお考えはどうでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004847X02119510531/22
-
023・田村文吉
○田村国務大臣 現在はさような問題は議に上つておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004847X02119510531/23
-
024・田島ひで
○田島(ひ)委員 その点、郵政相としてはどんなお考えを持つておられますか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004847X02119510531/24
-
025・田村文吉
○田村国務大臣 将来公共企業体に移行いたしまするような場合には、そのために一つの省を置くというよとな必要はなくなつて来るのではないか、こう考えます。現在は従業員十六万を抱えまして、一つの大きな仕事をやつておりますが、これの経営経済は電気通信省でやつておる関係もありますので、現在ではこのままで行くことが当然である、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004847X02119510531/25
-
026・松井政吉
○松井(政)委員 ただいまの田島委員の質問ですが、非常に重要だと思うのです。田島委員から質問された事柄は速記にも載つておりますが、電通省は現業官庁であつて、給與法違反をやつておるかのような印象を與えるわけです。従つて給與法違反をやつているかどうか。それから超過勤務手当を法にのつとつただけ出しているかいないかということは、非常に問題でありますから、これはやはり委員会で明確にしておいてもらわぬといかぬと思いますので、当局からその点についての具体的な資料がなければ、あらかじめの説明でよろしゆうございますが、説明をしておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004847X02119510531/26
-
027・肥爪龜三
○肥爪政府委員 超過勤務手当の問題につきましては、ただいま大臣から御答弁があつたのでございますが、予算におきましても超過勤務手当は相当計上しておりまして、超過勤務を命じました者につきましては、遺憾なく拂つているのでございますが、なお重ねての御質問でございますので、十分調査をいたしまして、資料を提出いたしたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004847X02119510531/27
-
028・田村文吉
○田村国務大臣 私の言葉が足りませんために、あるいは誤解を招いたのではないかと思いますが、給與法に違反するようなことは絶対にございません。ちやんと出すべきものは出しておりますが、これが運用の実際の面におきまして、十分になお超過勤務手当を出さなければならぬ場合も起るでしよう。そういうようなことがあつて、十分のことができぬと、仕事の上にさしつかえる。だからもつと超過勤務手当もたくさん出すようにして、仕事の能率を上げる場合もあるという意味において申し上げたのでありまして、支拂うべき者に対して支拂わないというようなことはないつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004847X02119510531/28
-
029・關内正一
○關内委員長 通告者の質疑は終了いたしました。他に御質疑はありませんか。——なければ本案に対する質疑は終了いたしたものと認めます。
引続き本案を討論に付します。討論の通告があります。これを許します。福永一臣君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004847X02119510531/29
-
030・福永一臣
○福永(一)委員 私は自由党を代表いたしまして、ただいま議題と相なりました電話設備費負担臨時措置法案に対しまして、賛成の意を表するものであります。
すなわち、今日国民の電話に対する熾烈なる要望、それがわが国の経済の自立、その他百般の復興の要請に即応する叫びであるにかかわらず、資金面は一定のわくをもつて押えられ、需要のきわめて少部分しか満され得ないという窮状を、多少なりとも緩和しようとするものである点において、本案の趣旨はこれを了とせられるのであります。しかもながらその資金獲得の方法として、たとい臨時措置とは申せ、利用者の負担にこれを求めるということは、決して正道と申すことはできない。しかもこれによる増収をもつてしても、増設し得る数にさほど多きを期待することができないのであります。なお見方によれば、かれこれ権衡を得ないとか、あるいは公平を失している等のそしりを免れないおそれもあるのであります。これらの点については、各委員の質疑に対する政府の答弁によつて、相当解明せられたのでありますが、さらに多数国民の納得をかち得なくてはならないものと思われるのであります。電話の料金体系につきまして、現行の料金法別表だけでも、すでに相当複雑な付加方式をとつております。料金支拂者の側では、経営が独占企業であり、ことに国営であるがゆえに、また電話需要について、その充足欲求の急なるがあまりに、料金の種類、区分、金額などについて、あるいは納得できるといなとにかかわらず、要求されるがままに支拂うほかはないというような実情ではないかとも推測せられるのであります。特に設備費の負担につきましては、変転きわまりなかつたと申しても過言でない過去の沿革、並びに最近における電話公債法の廃止等の事情にかんがみ、この間に憂いを深くするものがあるのであります。よつて当局におかれましては、でき得る限り早期にこれを正道に立ち返らしめる方途を講ぜられまして、本臨時措置法案が実施となりましても、その廃止をすみやかにせられるよう努力せられることを強く希望して、賛成の意を表するものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004847X02119510531/30
-
031・關内正一
○關内委員長 椎熊三郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004847X02119510531/31
-
032・椎熊三郎
○椎熊委員 日本の電話事業は、根本的に再検討しなければならないものじやないか。この法案のごときは臨時的なものであつて、本質的には一つの弥縫策であると思う。私どもはコーポレーシヨンの方式で行くか、現在のような国営状態で行くかということは、非常に大きな問題があると思います。これらは私どもは真剣に当委員会を中心として、さらに深い研究を進めてみたいと思います。
当面の問題としては、積極的な施策を実施すると標榜しておる現内閣の施政の根本方針のうちに、非常に食い違いがあるのではないか。国家再建のために盡力せられ、多くの功績を残したる現内閣としては、もつと日本の経済産業復興のために、電話事業のごときについては非常なる深い関心を持つておらなければならぬ。本年度通過いたしましたる予算の面におきましても、私は非常に不満です。たとえば電気通信省の事務当局と大蔵省の事務当局との折衝の過程を私ども聞いてみますると、非常な熱心な論争の結果、ある一部電気通信省側の意見というものが、やむなくではありましたろうが、大蔵当局が認めざるを得ないような状況にあつたにもかかわりませず、閣議の決定におきましては、さらに両事務当局の認容したる案が削減せられておるという、非常に不幸なできごとに遭遇しておる。これは私、先般大臣に向つて、非常に失礼な言辞をもつてこのことを追究いたしましたが、これはひとり個々の大臣の問題ではなくて、現政局を担当する吉田内閣の重大なる責任だと思う。この内閣の国家再建に対するほんとうの深刻なる観点が一体どこにあるか、根本はそこにあるのであります。本法案のごとき弥縫策をもつて、一時を糊塗せんとするがごときは、日本の電話事業、ことに国家再建の基盤をなす事業に対する内閣の考え方としては、私は遺憾千万です。しかしながら、さればといつて当法案がいけないのか、いろいろこの法案の内容についても、私は疑問の点がなきにしもあらずではございまするけれども、それよりもさらに考えなければならぬのは、国民の電話に対する熾烈なる要求であります。これは何とかして、どんな策でも、違法にあらず、不法にあらざる範囲においては、これを満してやることは、当然現政府の義務でなければならぬのであります。われわれがかつて逓信行政に関係しておりました時代には、電話公債の問題等も研究されたのでありますが、占領下にあつてこのことが自主的に解決できなかつたことを、私どもは遺憾に思つております。いずれにいたしましても、当面差迫つたる電話需要者の熾烈なる要求にこたえるという意味において、はなはだ弥縫策的、膏薬張り的な、不完全なる考え方ではありましようけれども、これを認容することもまた当面の問題として、多少国民の要求にこたえるゆえんであると存じまするので、私どもは将来に向つては根本的の施策をめぐらす、内閣に向つては国家再建の根本義に向つて思いを深くいたされんことを要望しつつ、当案には賛成するものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004847X02119510531/32
-
033・關内正一
○關内委員長 松井政吉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004847X02119510531/33
-
034・松井政吉
○松井(政)委員 私は今審議をされまして、大体の質問が終つたところでありまするが、電話設備費負担臨時措置法案につきまして、ただいま椎熊委員が申し上げたように、法案の取扱いにいたしましても、内容にいたしましても、きわめて不十分なものがあると思うのであります。しかしながら電通事業の復興と加入者の希望が、このことによつて少しでも多く満される、こういうことの考えから、左の条件をつけまして賛成をいたします。私が申し上げる条件は、当局としては、この法案の扱い方と内容について、各委員が質問討論の中で行いましたように、不十分であるという点を明確に確認していただきまして、われわれが付しました条件については積極的な善処方をお願いしたい、かように考えるわけであります。
第一番には、電話そのものの根本的問題について、立法措置が検討さるべきである。たとえば利用者に全額設備費を負担させて、所有権、財産権を利用者に與える立場をとることが、将来の電話について必要であるのか、それとも現在のように国有国営の形で行くことがよろしいのであるか、これは根本的に考える必要がある。本法案によりますと、利用者に一部設備費の実費を負担させて、しかしながら国有国営の立場をとるのでありますから、当然電話回線あるいは交換機等の設備については、五百万設備をする方が、金をかけましても、これはやはり客観的に見れば財産権、所有権が持たされないのであります。機構におきましては七百万円の金を使うのでありますから、当然使う方といたしましては、主観的な財産権として経理上の処理はするでありましようが、客観的には国のものであります。こういう取扱いは、あくまでもこの法案はとりあえず的措置でありまして、電話そのものの根本的な問題に触れていないということである。従いましてこれは根本的なものに触れて、ここでもう一ぺん立法措置が考究されてしかるべきであると考えますので、電話そのものの根本問題について今後検討をしていただきたい、これが第一点であります。
第二点は、利用者に負担させるからというので、今回の法律によりまして、設備費が三十億円から歳入見込みになつておるのでありますが、これは椎熊委員も指摘をしたように、利用者に負担させることによつて、設備費が三十億円歳入の面で出て来るのであるから、国家全体として、かりに大蔵省当局等が、来年度予算あるいは臨時国会における補正予算の面で、電通事業の復興に関する問題、あるいは国有国営の事業継続の立場から、利用者に対するサービス、利用者に対する希望を満たさせるための設備費、建設費等が減らされるようなことがありますならば、利用者に負担させたこの法律の精神は死んでしまう。従いましてこれは予算が伴う法律案でありますから、やがて予算の補正が考えられる、あるいは来年度予算の編成について考えられると思うのですが、その際にはこういう点についてはとくと御留意をしていただきたい、これが第二点であります。
第三点は、少くとも予算を伴う法律案は、予算を補正して、補正予算と法案とを同時に出すというのが、大体建前でなければなりません。今回はこの法律案は通過いたしまして、七月一日から実施をいたしますと、実施と同時に予算の歳入は入つて来るのでありますが、歳出の面につきましては、残念ながら予算の補正をしなければ、歳出の費用として使うことはできせせん。従いまして法律案は通過をして、歳入の面はぼちぼち入つて参りますが、歳出の面に対する予算の補正は、臨時国会が開かれないとものにならないということになりますので、こういう予算を伴う法律案の提出等は、できるだけ補正予算と同時に出すべきであるという、手続上、取扱い上の問題について今後留意をしていただきたい、これが第三点であります。
第四点は、本法律案の中におきまする国家機関は、なるほどこの法律の適用を受けないことになりますが、地方公共団体等についても考えてもらいたい。
第五点といたしましては、一般利用者の負担額が、この法律案から見ますと、五年以内にやめた場合は返還するとなつておりまするが、少くとも国有国営でやつていながら利用者に負担させる場合は、五年という年数については十分なる検討を行う必要があるのではないか、こういうようなことにつきましても、今後十分考えていただきまして、電話そのものの本質、電話そのものの根本的な問題、さらに本法案に対するもろもろの矛盾の条項等は、これの修正、改正等の時期等についても、十分検討せられるよう努力していただきたいということを、強く意見を付しまして賛成をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004847X02119510531/34
-
035・關内正一
○關内委員長 田島ひで君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004847X02119510531/35
-
036・田島ひで
○田島(ひ)委員 私は共産党を代表いたしまして、本法案に反対をいたします。
反対の第一の理由は、この法案が、相かわらず一般大衆の負担と犠牲によつて、財源の一部分をまかなうということになつているのでありまして、大口需要であるところの進駐軍関係、警察関係の方は、そのままになつているからであります。この法案は三十三億の収入を見込んでおりますが、増設に要する原価、軍拡計画による物価の値上り、業務増加による人員の問題、あるいは非鉄金属等の資材の不足などに対しては、まつたく今日の日本の経済が、アメリカの軍拡経済の下請機関となつております状態では、このような計画性を持たない姑息的な法律では、この法案が要求しておりますところの目的は決して達せられないと見るからであります。さらに根本的には、すでにこれまでわが党がたびたび繰返して主張して参りましたように、戰後のわが国の電気通信事業は、第二次大戦による被害と、施設すなわち機械や線路の老朽荒廃を根本的に解決せず、しかも蓄積された矛盾の上に立つて極度に酷使されて参つているからであります。たとえば戦後施設の復興のために要する最低必要の建設費すら與えられないで、戰災による崩壊、老朽のまま独立採算制がとられてしまつた点にもあるのであります。二十四年度には政府は通信復興五箇年計画を立てたのでありますが、これも経済九原則の名によつて、ほとんど打捨てられてしまつております。事業の戰前復旧のための従業員の問題も、これはむしろ増加を要すのが当然であるのに、増加は見込まれないで、かえつて定員法によつて機構の簡素化という名目で、定員がずつと削減され、大幅に従業員の不足を来しているのでありまして、資金についても見返り資金の一部分か入つておりますが、これも一般大衆のためには用いられないで、通信事業がまつたく買弁化して、昨年の朝鮮動乱以来は、国民大衆の通信は、ほとんど国連協力の名によつて、再び戰時態勢に進められて行つているというのであります。財政的に見れば、施設すなわち固定資産に対する合理的な減価償却が行われておりません。資本の食いつぶしによつて、わずかに運営されている状態であります。他の面から見れば、従業員の過重労働、低賃金によつて、この事業がわずかに運営されているといつてもよいのであります。人員の不足と、拡充修理されない施設に対するサービスの行き詰まりの状態は、このような一部分の料金の値上げや臨時措置によつては、とうてい解決されない問題であります。特に国連協力の名によつて、業務量の増加が日ごとに強化されております上に、職制の強化がまた従業員の上にひどく現われております。従つてさらに業務量の増加は、用員の問題についても、あるいはその他の問題についても、今後根本的に解決策を立てなければ、電気通信事業の本来の使命は果されないのであります。このような点からも、さきの電気通信料の一部値上げに対しましても、わが党は反対いたしたのでありますが、このような平和産業としての電気通信事業が、再び戦争への道に進められております以上は、決して一般大衆へのサービス事業としての電気事業は、利用される道が開かれないのでありまして、根本的に今日の軍拡による戰時態勢的な通信事業を改めて、本来の平和産業として平和的な方面にこの通信事業が向けられない限りは、その根本的な方策がとられない限りは、私どもはこのような小さな法案を何度出されても、決してこの法案に盛られているような点すらも、所期の目的は達せられない、こう見まして、根本的な電気通信事業に対する復興計画あるいは増設計画がなされない限りは、ますます混乱を招く結果になります。そういう意味におきましても、共産党は絶対に反対いたすものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004847X02119510531/36
-
037・關内正一
○關内委員長 これにて討論は終局いたしました。
電話設備費負担臨時措置法案について採決いたします。本案を原案の通り決するに賛成の各位の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004847X02119510531/37
-
038・關内正一
○關内委員長 起立多数。よつて本案は原案の通り可決いたしました。
お諮りいたします。本案に関する報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004847X02119510531/38
-
039・關内正一
○關内委員長 御異議なしと認めます。さよう決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004847X02119510531/39
-
040・關内正一
○關内委員長 この際今会期も近く終了いたしますので、委員各位に対し一言ごあいさつを申し上げたいと存じます。
本会期におきましては、公式に委員会を開きますこと二十一回、その間審査の対象となりました議案は、付託になりましたもの四件、起草いたしましたもの二件、請願五十四件、うち審査を終つたもの四十三件等でありまして、件数から見ますと比較的少く、ことに提出を予定されておりました電気通信省所管業務の基本法たる有線電気通信法案、電気通信営業法案は遂に提出の段階に至らず、審査に入ることのできなかつたことは、非常に残念に存ずるのであります。しかしながら、審査いたしましたものは、電話設備費負担臨時措置法案、電信電話料金法の一部改正案、日本放送協会の収支予算、事業計画、資金計画、並びに委員会で起草いたしました有線放送業務の運用の規正に関する法律案、電波監理委員会設置法の一部を改正する法律案でありまして、特に有線放送業務運用規正法案の立案にあたりましては、小委員会におきまして連日御審議を願つたのであります。また法律案の審査のみならず、国政の調査におきましても、電気通信事業の健全なる発展のためにあらゆる努力を傾注し、また電波の規正、国際放送再開促進、あるいは近く発足を見る民間放送のあり方、テレビジヨン放送実施促進等について検討の上、政府当局を鞭撻して参りました。かくして委員各位は終始真摯なる態度をもつて、委員会の権威と責任を一段と高からしめたのであります。
本委員会がかくのごとき偉大なる足跡を残しましたことは、委員各位が十分なる誠意と、あらゆる高き識見を発揮されて、円満に議事を運ばれたからにほかなりません。ことに常にこの委員室において、和気あいあいのうちに審議を進められる態度は、本委員会の一つの特質とも言えるのであります。しかして浅学短才の私が、大過なくこの重大なる任務を途行いたし得ましたことは、ひとえに委員各任の常に寄せられたあたたかい御支援のたまものと深く感謝いたしております。ここに簡單ではありますが、委員各位の御努力に心から敬意と感謝の意を表するとともに、第十回国会における委員会の予定の審査を議了いたすに際し、一言ごあいさいつ申上げる次第であります。なお政府当局の本委員会の審査に寄せられた御協力、並びに専門員、事務当局の御努力に対しても、深く感謝いたす次第であります。
これにて散会いたします。
午前十一時四十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004847X02119510531/40
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。