1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十六年三月二十二日(木曜日)
午後一時五十五分開議
出席委員
委員長 木村 公平君
理事 青木 正君 理事 船田 享二君
飯塚 定輔君 大内 一郎君
本多 市郎君 松本 善壽君
山口喜久一郎君 山口六郎次君
苫米地義三君 松岡 駒吉君
河田 賢治君 小平 忠君
出席政府委員
内閣官房長官 岡崎 勝男君
総理府事務官
(外国為替管理
委員会委員) 大久保太三郎君
行政管理庁次長 大野木克彦君
検 事
(法務府矯正保
護局長) 古橋浦四郎君
国税庁長官 高橋 衞君
委員外の出席者
專 門 員 龜卦川 浩君
專 門 員 小關 紹夫君
三月二十日
委員平澤長吉君辞任につき、その補欠として飯
塚定輔君が議長の指名で委員に選任された。
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三月二十日
法務府設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第四七号)(参議院送付)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した事件
小委員の追加選任
法務府設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第四七号)(参議院送付)
行政機関職員定員法の一部を改正する法律案(
内閣提出第四九号)
大蔵省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第九六号)
外国為替管理委員会設置法の一部を改正する法
律案(内閣提出第一一一号)(予)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X00719510322/0
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001・木村公平
○木村委員長 これより会議を開きます。
本日の議事に入ります前にお諮りいたしたいことがあります。去る三月二十日委員の平澤長吉君が委員を辞任せられ、その補欠として飯塚定輔君が委員に選任せられました。つきましては、飯塚定輔君を恩給法一部改正に関する小委員に追加選任いたしたいと存じますが御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X00719510322/1
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002・木村公平
○木村委員長 御異議がなければさよう決定いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X00719510322/2
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003・木村公平
○木村委員長 本日はまず去る三月十六日、予備審査のため本委員会に付託されました外国為替管理委員会設置法の一部を改正する法律案を議題といたし、政府より提案理由の説明を求めます。岡崎官房長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X00719510322/3
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004・岡崎勝男
○岡崎政府委員 ただいま上程になりました外国為替管理委員会設置法の一部を改正する法律案について御説明いたします。
外国為替管理委員会は昭和二十四年二月二日総司令部覚書第一九六八号に基く同年三月十六日政令第五十三号によつて設立されましたが、その後同年十二月一日法律第二百二十九号、外国為替管理委員会設置法が制定され、同法に基いて外国為替及び外国貿易取引の手続に関する事務を掌理し、また外国為替特別会計を運営して参つたのであります。この設置法制定以来一年四箇月を経過いたしましたが、この間同委員会設置の目的を達成する上において、次のような必要が設められるに至つたのであります。
第一に、現在外国為替及び外国貿易管理の事務は、外国為替管理委員会のほかに大蔵省、通商産業省、経済安定本部等の間に分散して処理されておりますが、これらの取引の手続についてはできるだけ調整をはかり、官庁相互間の連絡を円滑ならしめる必要があること。第二に、この調整の機能を円滑に遂行するために、外国為替管理委員会は、常時前掲の各行政官庁及びその他の関係機関との間に協議を交換する必要があること。第三に、現行設置法では、外国為替管理委員会は外国為替銀行に対し一定の制限及び條件の範囲内でのみ監督を行うことになつておりますが、関係法令の規定に従い、外国為替銀行に対する監督の範囲を拡大し、かつ外国為替銀行以外の関係金融機関に対しても監督を行う必要があること。
これらの必要性にかんがみまして、本法案は現行設置法を次のごとく改正いたそうとするものであります。第一に現行設置法第三條中新たに第一号を設けまして、外国為替管理委員芸の所掌事務の一として、外国為替の取引及びこれに関連する外国貿易の取引の手続について、必要な調整を行うことを追加いたしました。第二に現行設置法第四條の第八号から第十号までの、外国為替管理委員会の権限に関する規定の一部を改正いたしまして、同委員会が前掲の第二、第三の必要性として述べました点を完全に履行できるようにいたしました。以上が提案理由の大要であります。何とぞ愼重御審議の上、御採択あらんことを御願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X00719510322/4
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005・木村公平
○木村委員長 以上をもつて政府の提案理由の説明は終りました。御質疑はありませんか。——別に御質疑がなければ次に移ります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X00719510322/5
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006・木村公平
○木村委員長 次に行政機関職員定員法の一部を改正する法律案を議題といたします。御質疑はありませんか。——御質疑がなければこれより討論に入ります。討論の通告がありますからこれを許します。河田賢治君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X00719510322/6
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007・河田賢治
○河田委員 行政機関職員定員法の一部を改正する法律案に対しまして、共産党は反対の意見を表示しておきます。定員法ができましてからこれらの増減がいろいろと行われて来たのでありまするが、今回の増減にはもとよりふえるものとしましては食糧配給の事務の増加とか、失業保険の業務関係であるとか、あるいは国立結核療養所の職員であるとか、あるいは国立学校関係の職員等の、きわめて日本の経済並びに現実において必要とするものも多分に織り込まれておるのでありまして、この点において増員することには共産党としても賛成するにやぶさかではないのであります。しかしながら今日日本の置かれておる政治的、経済的な立場からしまして、また日本の経済を根本的に建て直す上からしましても、きわめて重要なものが等閑に付せられて、單に予算的な措置からしてこれが減らされるというような面も少くないのであります。たとえば農林省の統計調査関係においては千四百八十人が減らされる。ところが御承知の通り、農林関係におきましては、日本の耕地面積、田畑についても十分一筆調査がなされていない。また山林調査などもまだ根本的な調査というものがほとんどないのであつて、現在の統計というものがほとんど信ずるに足りないということは当局自身も認めておるので、まだ当局自身が必要であることを痛感しておる。ところがこういうものが單なる予算的な措置によつて廃止されて、日本の経済の根本的な確立、政策の樹立、こういうものに非常に関係のある部面が減らされておる。あるいは電波監理業務、こういうものがまたふえておる。あるいはまた海上保安庁、こういつたいわば日本の彈圧機関、支配機構のきわめて特殊なものがふえておる。こうして日本の現在置かれておる外国の植民地化あるいは軍事基地化、こういうものの方向にますます増員されておる。従つてこの電気通信関係におきましても、増員なるものはほとんどこうした軍事的な目的の方向に多く使われるのであつて、一般民間においては幾ら電話で呼んでも出ぬわというような状態で、ほとんど機能を果していない。従つて今日このふえる部分におきましても、現在の日本の状態におきましてはむしろ日本の軍事基地化あるいは植民地化をますます増強させる方向に使用されておる。従つて定員法がこういうふうな改廃が行われるということは、結局日本の人民生活をますます破滅に落し、われわれの生活がますます困窮になるということを憂うるのであります。従つてわが党はこれに対して反対の意思を表しておく次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X00719510322/7
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008・木村公平
○木村委員長 青木正君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X00719510322/8
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009・青木正
○青木(正)委員 私は自由党を代表いたしまして本案に賛成の意見を申し述べるものであります。
ただい共産党からいろいろと御議論がありましたが、今回の定員法の改正によつて最も増員になりまする電気通信省関係のことにつきまして、共産党の御議論と私どもはまるで反対な考えを持つておるのであります。今回の増員は電話施設の拡充に伴うための当然の増員でありまして、このことはまつたくわが国の国民生活の向上のために、きわめて必要なる電話の拡充というものに伴う当然の措置と考えられるのであります。その他の点につきましてもいずれも今回の定員法の改正は妥当なものと私どもは考えるのであります。簡單でありますが、以上をもつて私の賛成の意見を申し述べる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X00719510322/9
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010・木村公平
○木村委員長 討論は終局いたしました。
これよりただちに採決に入ります。本案に賛成の方の御起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X00719510322/10
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011・木村公平
○木村委員長 起立多数。よつて本案は原案通り可決いたしました。
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012・木村公平
○木村委員長 次に法務府設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。これに対して御質疑はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X00719510322/12
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013・河田賢治
○河田委員 今度の法務府設置法の一部改正について直接問題になつておりますのは、広島の拘置所、あるいはその他横須賀刑務所等が内容になつておるのでありますが、この際刑務所の在監者に対する処遇の問題につきまして若干政府当局に質問しておきたいと思うのであります。実は私の手元へ、今年神戸刑務所を出ました人がずつと長い書類をよこしておるのでありますが、これを見ますと彼自身は、偽証はごうまつも含まれていないという誓約をいたして、ちやんと捺印までしてよこしているのであります。この内容は相当こまかいところまで入つておりますので、私は一々これらについての質問はいたしませんが、現在政府当局ではこの政治犯に対して、従来軍国主義時代には思想犯と申しておりましたが、現在の政治犯に対して、憲法に保障された政党加入の自由、あるいはその他いろいろあるわけでありまするが、こういうことに対して大体どういうような方針で処遇をおやりになつているか、この点をまず根本的に聞きたいと思うのであります発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X00719510322/13
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014・古橋浦四郎
○古橋政府委員 法務府におきましては、受刑者に対しましてこれを政治犯あるいは非政治犯というような考え方をもつて、別な態度で臨んでいることはございません。すべて法律に違反いたしまして刑の確定いたしましたものは、この受刑者として一様の取扱いをいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X00719510322/14
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015・河田賢治
○河田委員 では神戸刑務所において現われております具体的な内容を、これに基いて私は質問したいと思うのです。この刑務所では政治犯に対しては非常な差別待遇を與えている。第一に收容者のいろいろな連中を使いまして、それぞれ計画的にスパイ組織をつくつている。政治犯の隣室にはいろいろなものを入れて、それから情報を取寄せるとか、あるいはいろいろな形でこのスパイには自由を與え、特権を賦興する。そうして級をどんどん上げてやるというような待遇を與えて、独居拘禁者、あるいは患者、あるいは少しでも級が上り、自由な身になるという希望を巧みに利用してスパイ網をつくつている。そういうことを現実にこの刑務所ではやつているらしい。またこの川西副看守長でありますが、こういうことを始終言つておるそうであります。彼自身は政治犯を收容する第三管区長をやつているそうでありますが、非常に軍国主義者であるといううわさがある。しかも彼が言うていることは、思想犯は社会平和の敵であつて、殺すべき罪状である。ゆえにこれを徹底的に絞めるべきであるということを盛んに言つておるそうです。またそういうふうなことをしていろいろな懲罰を加えたり、いろいろな暴行なども行われている。こういうふうな具体的な事実があるのであります。政府としても各刑務所ヘそれぞれ巡閲官を派遣しておるようでありますが、そういう報告は一体上つて来ているのかどうか、この点をまずお聞きしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X00719510322/15
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016・古橋浦四郎
○古橋政府委員 神戸刑務所におきまして、共産党員である受刑者に対しまして特殊な対策を講じているということは、現地の監督官からも、また本省から参りました巡察官からもいまだ何らの報告を受けておりません。さように御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X00719510322/16
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017・河田賢治
○河田委員 もしもそうであるならば、そしてこういうここにあげましたようなことが事実であるならば、これはまだほかにも私は質問しますが、政府としては刑務所の職員なりあるいは責任者に対して、何らかの処置をおとりになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X00719510322/17
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018・木村公平
○木村委員長 ちよつと河田君に御注意を申し上げたいと思うのですが、私信を基礎にされたる御質疑というものは、信憑力がどの程度あるかということがはなはだ不可解でありますので、万一御質疑の場合には、相当量の資料等をお添えになつて御質疑になるのが委員としての礼儀かと思うのです。これは單なる私信と私どもは考えたいと思うのですが、その一片の私信をもつて、ただちに仮定の質問をなさるということはどうかと思うのですが、その点ひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X00719510322/18
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019・河田賢治
○河田委員 一応はつきりしておきますが、これは私あてのものではないのであります。これは党の方へ送つて、来たものであります。本人自身も、法律のことはよくわかりませんが、この証言は法律上の責任を負うべきもので、偽証はごうまつも含まれておらないことを誓約いたしますと書いておる、そして彼が見聞したり、彼が実際に処遇をされたことに対する、それぞれの証人の名前をあげて来ております。従つてこういう問題を等閑に付するということは、われわれとしてはできないのであつて、現にわが党の立花代議士も、神戸刑務所へ行つてその不当なやり方に対して詰問したことがある。そういう場合には、ここにも書いてありますように、さつそく献立を変更して、豚肉入りのカレーライスを支給した。このときは当局も非常にあわてておつたというようなこともここで見受けられるのでありますが、こういうふうに何も共産党の代議士が刑務所をたずねたからといつて、特別に料理を変更してもてなす必要はないのであつて、正しい処遇をしておるならば、普通のやり方でやつて行けたのではないかと思うのです。こういうふうに、この刑務所で政治犯に対する特別な処遇が行われているということは、われわれもけげんにたえないので、この点を政府委員からわれわれは明らかに聞いておきたいと思うのです。この中にはたくさんあります。刑務所の内部におきましても、職員などは非常に乱れておりまして、たとえば町のボスなんかに対しては、やはり家庭との連絡をとつて、タバコなどをもらつておるとか、いろいろそういうこまごましたことはありまするが、私どもが重点として聞きたいことは、要するに政治犯に対する現在のこうしたスパイ網組織をつくつたり、あるいは病気になつた者に、レプラ菌とかあるいは結核菌を注入しようというので、看護人がそういう血をとつてやることもあるらしいので、そういう相談もしておつたということも聞いておるわけで、こういうような事実があるということは、少くとも今日の新しい憲法のもとにおける処遇方式としてあるべきではない、こういうふうに考えるわけです。こういう事実は政府としては十分調べて、万一あつた場合にどうされるかというその責任をあなた方にただしておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X00719510322/19
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020・古橋浦四郎
○古橋政府委員 何ですか非常に抽象的な仮定論で、政府の所信を問うというようなお話でございまするので、私責任を持つてお返事することができません。具体的にお話しくださいますれば、調べることは調べまして、それに対する処置を講じたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X00719510322/20
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021・河田賢治
○河田委員 ここに書いてあることは、かなりこまかい具体的なことなのです。こういうことを一々こまかいことまであげたくはないのでありまして、要するに、政府の方針として、政治犯に対して差別的な待遇を行うか行わぬかということなのであつて、そしていろいろな事件につきましては、もちろん行刑当局に対するそれぞれのあなた方の監督する立場から、これは十分監督していただきたいと思うのです。そうでないと、軍国主義的な頭を持つた個人々々の者が、昔風な天皇制時代と同じように、かつてな解釈をして、そうして政治犯に対する処遇やあるいはまた一般の受刑者に対する処遇についても、きわめて不穏当な処置をするというような事実があれば、これはわれわれとしてはほつおくわけには行かないわけでありまして、この点の処置だけを私は聞いておきたいと思う。これだけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X00719510322/21
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022・古橋浦四郎
○古橋政府委員 政府におきましては、共産党員である受刑者に対するために、特別にスパイ網の政策をとるとか、あるいはそのほか特別な手段をとつてこれに対する用意をしているというようなことは毛頭ございません。最初に申し上げました通り、いずれも憲法に保障せられました国民といたしまして、受刑者としての取扱いを平等にいたしておることを御了承願いたい。これが当局の方針でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X00719510322/22
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023・木村公平
○木村委員長 他に御質疑はございませんか。——他に御質疑がなければ、これより討論に入ります。討論の通告がありますから、これを許します。河田賢治君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X00719510322/23
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024・河田賢治
○河田委員 法務府設置法の一部を改正する法律案につきまして、共産党は反対の意思を表しておきます。
言うまでもなく、法に触れた者を刑務所へ入れるとか、あるいは少年院とかその他に入れるということは当然なのでありますが、御承知のように今日大体においてこういう問題が取扱われるのは、社会の最も力の弱い部分が多く犠牲になつておるのであつて、法に触れたいわゆる大きな魚は法網を脱しておるというのが現実の状態であります。そしてこういう刑務所をふやし、少年院をふやし、不生産的なものをどんどんふやさんならぬということは、言うまでもなく政治の貧困を表わすものであつて、われわれはこういうものがふえずに、むしろどんどん減つて行くというのが政治のゆたかただと思うのであります。ところが御承知の通り、吉田内閣はこうした刑務所なりあるいは少年院とか、その他いろいろたくさんのものをふやして、ますます不生産的な、そうしてまた人間を悪に導くようなものばかりを増大させて行く。ことに受刑者に対する方針におきましても、ほんとうにここで社会の善良な人間に切りかえて行くというのでなくして、当局自身がいろいろ悪辣なことをやつて、横流しをやり、あるいは会計検査院の目をごまかすということが、どこの刑務所でもよく行われておるのでありまして、そして受刑者に対してもいい方向へ向うのでなくして、悪の方向をますます増長させているというのが現実の状態であります。従つてこういうもののふえるということは、われわれは今後絶対に反対するところでありまして、今回出されました法務府設置法の一部改正案についても、このような趣旨からしまして、われわれは反対するものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X00719510322/24
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025・木村公平
○木村委員長 松本善壽君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X00719510322/25
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026・松本善壽
○松本(善)委員 法務府設置法の一部を改正する法律案について、党を代表して賛成の意見を表せんとするものであります。
われわれは犯罪をどういうふうに見るかということも前提として考えなければなりません。われわれが民主的なる警察のあり方として、絶えず民主警察ということを口にする場合、こういうことが言われる、米国の諺にも、十人の犯人を走らしめよ、一人の無辜をつくるなかれ、こういうことがあるのでありますが、これが真の警察の民主化された実体であると私は確信しておるものであります。従いまして先ほど共産党の委員の御発言にもあつたようでありますが、私といたしましては、少くとも今後とるべき警察のあり方として、根本的な考え方として、今までの特高的なあり方が復活されて、いやしくも刑によつて刑務所に入り、その罪を悔いて、真人間にかえろうというような方々——刑務所に入つたということは、すでに反省して真人間になろうというのである、この方々に対してまた共産党的な、スパイ的な考えで監視の人たちがいぶかしい目をもつて取扱うというようなことは、断じてあつてはならないことであり、また私たちといたしましてもかようなことがないと信じておるものであります。従いましてさような考え方が共産党の考えであるといたしますならば、まことに哀れむべき党であると同情を禁じ得ないのであります。刑務所あるいはその他に入つたということは、すでに反省期に入つておるのであつて、この罪を悔いておるというようなものに対してはかようなことがあつてはならない、こういうことがあり得べきでないと私は申し上げたい。
今回提案になつておりますところの法務府設置法の一部を改正する法律案の内容を見ますならば、ことに少年院の分院を本院に昇格するというのでございます。これは当然だろうと思います。終戰後におきまして、少年は心のよるべきところがない、これはまことに政治の貧困だと私も思うのであります。しかしながら世界の各国において敗戰といううき目を見た場合において、少年はもちろんでありますが、われわれとしても、ある程度ある段階では無気力の姿にあつたように考えるのであります。ことに少年においてはさように考えるのであります。従いまして心のよるべきところを示されるのが、少年院の設置よりも先に考えられなければいかぬと思う。しかしながら現在、終戰後の五年間において少年に非常に犯罪傾向が見えておるというようなことについては、何とかしてよりよき教導を施したいという根本的な情の考え方からして、むしろ吉田内閣だからこそあやまつて罪を犯したものがあるのじやないか、もしもあやまつて罪を犯したようなものなちば何とかして救いたい、かような慈悲の政策として丁寧に教え導く姿において、分院を本院にする、これはわが党の真の慈悲の力であると私は確信しておる。従つて考え方が違うとかようにも違うのだということをさらに私は認識したのであります。その内容についてみますれば、本院から遠距離にあるもの、あるいは本院とその性質を異にしているもの、分院が多数あるため本院の負担が過重になつているもの、かような見解のもとに指揮監督あるいは運営上において困難を伴つておるようなものを是正した、こういうようなところまで吉田内閣は関心を持つて教え導いて行く、いわゆる罪は憎むけれどもその人間は憎まないという一つの現われである。私はかく考えておる。次には横須賀刑務支所を昇格して、連合国人の受刑者を引受けて收容して、外国人刑務所として運営することによつて過誤のないようにする、これはまことにごもつともな話である。次には広島拘置支所を広島拘置所というような姿に持つて行く、これもまことに当然のことと思うのであります。さらに私が賛成せんとするもののうちに、特に医療少年院というものをつくつた、こういうようなことはまことに吉田内閣でなければできぬと思う。なぜならば少年が犯罪をいたすというような場合、人間の性は善である、悪であるという考え方がありまして、人間というものは失敗をするけれども、その少年の精神解剖をいたした場合においては、非常に普通の考え方でない、いわゆる医療的なる保護施設というものが当然なければならぬような状態のものが非常に多いと思う。従つてこういうような精神的な心の置き所を與えただけで、その人が健全なる考え方をなし得るかどうかということは疑問である。しかしながらここに医療矯正保護施設というようなことにおいて、いわゆる健全なる身体には健全なる精神が宿つておるかような状態から考えました場合において、健全なる身体をつくろうということがこの眼目である。ことに少年が今後伸びんとする姿において、医療施設がなかつたためにかような間違つたことをやつた、いわゆる気違い的なるところの暴行の発作が出たということは、しばしばわれわれが耳にし、また実地に知つておるところであります。ここにおいて医療少年院というものが設置されて、少年に対するところの保護政策も科学的になされるということは、まことに私は喜ばしい次第である、かような意味において、私は衷心より賛成の意を表する次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X00719510322/26
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027・木村公平
○木村委員長 討論はこれにて終局いたしました。
これより採決に入ります。本案に賛成の方の御起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X00719510322/27
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028・木村公平
○木村委員長 起立多数。よつて本案は原案の通り可決いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X00719510322/28
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029・木村公平
○木村委員長 次に大蔵省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
これより質疑に入ります。御質疑はありませんか。——御質疑がなければこれより討論に入ります。討論の通告がありますからこれを許します。河田賢治君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X00719510322/29
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030・河田賢治
○河田委員 大蔵省設置法の一部を改正する法律案について、日本共産党は反対の意思を表します。
今度の法案の内容は、大体三つにわかれておるのでありますが、そのうちで一番重要なものは、国税徴收の事務が増加したから、それに対応して国税庁に新らたに徴收部を設ける、これが一番の重点だと思うのであります。しかし国税徴收の事務が増加したということは、われわれは考えられないのであつて、これは非常にでたらめじやないかと思う。と申しますのは、御承知の通り昨年から見ますれば、ずつと税金の免税点なども上つておりまして、従つてそれだけ届出の人数なども減つておるわけなんです。従つてまた国税庁でもたしか五百人ばかり人が減つておるわけであつて、決して全体としての国税徴收の事務が増加しておるとはわれわれは考えられない、ただ問題は今日まで国税の申告とそれを査定する問題、それから徴收、こういう問題がきわめて各末端の税務署においては連絡が不統一であつて、たとえば直税の方で減額したもの、あるいは免税にしたもの、こういうものが徴収課の方へ事務がまわつていない。従つて徴收課は徴收課でどんどん差押えをやつて行く、話がついておるにもかかわらず、そういう徴收をやるということがしばしば末端の税務署に行われておるので、こういう結果が中央に反映して、この徴收部を設けて、じやんじやんと徴收しなくちやならぬというお考えになつたのではないかと、われわれは考えるわけであります。従つて今日、問題は單に徴收課をふやすというだけでなく、ほんとうに今日の税金のむちやな査定に対し、申告を十分認めてやるというような点が欠けておるのであつて、この方面の事務の運用をうまくやるならば、別に滯納とかあるいは徴收事務が困難になるということはわれわれはないと考える次第でございます。従つて今日このような国税徴收の面だけを強化するということはむしろ逆であつて、われわれはその他の面を増強して、徴收事務をできるだけ簡素にするということが、当然現在の行き方に適応するものだと思うのであります。ところが、政府の案では逆であつて、こういう徴收課を増強して、そうして税務官吏をもつてどんどんと滯納差押え処分をするとか、あるいは公売処分をするとかいうところに重点を置くということは、本末を転倒したものだとわれわれは考える。従つてこういう意味において、今度本庁に徴收部が設けられる、またここに相当の人員が置かれるということに対しては、われわれは反対せざるを得ないのであります。
以上が反対の理由であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X00719510322/30
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031・木村公平
○木村委員長 松本善壽君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X00719510322/31
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032・松本善壽
○松本(善)委員 私は大蔵省設置法の一部を改正する法律案に対しまして賛成の意を表せんとするものであります。
そもそも国税の徴收ということは非常に困難なる事務であります。ことに国税がいかにあるべきかということは、われわれ国民としては考えなければならぬことであり、党としてもまた考えをいたさざるを得ないのであります。終戰以来われわれはこの国税というあり方に対して、非常に複雑しておるということを認めておる。そうしてこのような状態でいつまでも行くなれば、むしろ国民も非常に煩雑のために苦しむのだろうと思う。それで現在までやつて来た税制のあり方を一々否定して行くということも一つの方法であると思う。しかしながら私はこれはとるべきでないと思うのであります。なぜかなれば、国家の税金というものは、簡單で、とりやすくて、そうしてわかりやすい方法でやる、こういう三原則が守られなければならぬということはわれわれも思つておるのであります。しかしわれわれは終戰後において、いかなるものがよいのであるかということは反省させられる点もありまするが、これを要するに、国税庁におけるところの職員に対して一瞥いたしまする場合において、あるいは終戰以前におけるところの税務官吏の素質が、現在よりもあるいはよかつたのではないかとわれわれは実際考えるのであります。なぜかなれば、税金の滯納あるいはその他において、実質的に素質の落ちたところの税務官吏があるために、正直者が非常にばかを見るというような現実も、しばしばわれわれは目撃しているのであります。かようなものについて、われわれはなおざりにすることはとうていできません。われわれは正しい者のために、必ずそういうような国税徴收事務に対する考え方を今までとはかえなければならない。これはわれわれがひとしく認めるところであると思う。従つて国税徴收事務に対する改正というものは、これはしごく当然なことであると私は思う。そして会計事務職員の研修制度ということをここに取上げているということは、私は第二として賛成しなければならぬ点である。今までは地方においては、普通三年以上の実務を持つ優秀なる者を税務官吏に取立てておる。それから本省その他においては、地方においてさらに五年以上の経験のある優秀なる者のうちから取立てをする、主税局その他における国税事務を扱う職員に抜擢しておる。こういうような今までのよい例が戰争のために破壞されてしまつた。従つて非常に素質が落ちておる。その素質の落ちておる職員をそのまま置くことは、国民の信望をになつて立つ私たち自由党としては忍び得ないのであります。従つてむしろ改正が遅きに失しておると私は考えるものである。今回会計事務職員の研鑽制度というような点が取上げられたことは、われわれとしてまことに衷心より感謝いたす次第である。
次には国税庁監察官の増員についてでありますが、税務官吏が犯罪を構成せんとしたり、あるいは税金のあり方に対する批評が悪くなつておる。これを逆宣伝してしまつて、私が聞くところによれば、共産党員諸君の中には、税金を納めるな、かような宣伝さえやつておることを私は目撃し、現実に私らは知つている。かようなことがあつた場合において、どうしてこの現在の素質の落ちたところの税務官吏でそういうようなことがわかるか疑わしいのである。従つてこの点にも着目せられて、かような増員をするということ、いわゆる監察行政を強化するというようなことはしごく当然のことである。従つてむしろ私はもつとふやしたいと思うものであります。しかしながら国家の予算、血の出るような税金からまかなうことであるということを知る上においては、私はこの程度ならば、これもまたしかたがあるまい。むしろより質の向上した監察官をもつとふやしたいとさえ思いますが、この程度でおさめたいと考えておる次第でありまするので、以上簡單ではありまするが、三ツの点を私は取出して、この案に対して衷心より賛成の意を表する次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X00719510322/32
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033・木村公平
○木村委員長 これにて討論は終局いたしました。ただちに採決に入ります。
本案に賛成の方の御起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X00719510322/33
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034・木村公平
○木村委員長 起立多数。よつて本案は原案の通り可決いたしました。
この際お諮りいたします。本日議決いたしましたる三案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X00719510322/34
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035・木村公平
○木村委員長 御異議なければさよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後二時三十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X00719510322/35
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