1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和二十六年五月十九日(土曜日)
午前十時五十七分開議
出席委員
委員長代理 理事 青木 正君
理事 江花 靜君 理事 坂田 英一君
理事 船田 享二君
大内 一郎君 田中 萬逸君
橋本 龍伍君 平澤 長吉君
本多 市郎君 松本 善壽君
山口六郎次君 松岡 駒吉君
河田 賢治君
出席政府委員
内閣官房副長官 井上 清一君
総理府事務官
(国立世論調査
所長) 小山 栄三君
特別調達庁長官 根道 廣吉君
総理府事務官
(特別調達庁長
官官房長) 辻村 義知君
総理府事務官
(行政管理庁管
理部長) 中川 融君
外務政務次官 草葉 隆圓君
外務事務官
(政務局長) 島津 久大君
委員外の出席者
議 員 北澤 直吉君
專 門 員 亀卦川 浩君
專 門 員 小関 紹夫君
―――――――――――――
五月十八日
国家警察予備隊設置費全額国庫負担の請願(倉
石忠雄君紹介)(第一九八二号)
戦傷病者に対する恩給増額の請願(金子與重郎
君紹介)(第二〇〇一号)
公務員の新恩給制度確立に関する請願(栗山長
次郎君紹介)(第二〇一四号)
同(吉川久衛君紹介)(第二〇四二号)
同(吉田省三君紹介)(第二〇七五号)
同(井出一太郎君紹介)(第二〇七六号)
元軍人老齢者の恩給復活に関する請願(青柳一
郎君紹介)(第二〇七七号)
の審査を本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した事件
審議会等の整理のための総理府設置法の一部を
改正する法律案(内閣提出第一四三号)(予)
外務省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第一四四号)(予)
審議会等の整理のための国立世論調査所設置法
の一部を改正する法律案(内閣提出第一五一
号)(予)
特別調達庁設置法の一部を改正する法律案(内
閣提出第一五三号)(予)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X01319510519/0
-
001・青木正
○青木(正)委員長代理 これより会議を開きます。
本日委員長が所用のため、理事の私が委員長の職務を行います。
本日は利根川開発法案、審議会等の整理のための総理府設置法の一部を改正する法律案、審議会等の整理のための国立世論調査所設置法の一部を改正する法律案、及び特別調達庁設置法の一部を改正する法律案を議題といたし、質疑を行います。
まず審議会等の整理のための総理府設置法の一部を改正する法律案、及び審議会等の整理のための国立世論調査所設置法の一部を改正する法律案を一括議題といたします。質疑の通告がありますから、これを許します。江花靜君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X01319510519/1
-
002・江花靜
○江花委員 国立世論調査所設置法関係について御質問申し上げます。
今度の審議会の整理に関して閣議決定が行われたのでありますが、その場合に、行政機関に対して拘束力を有するようなものはまつたく廃止するという意向なのか、あるいは特に例外を認めるというのか、それをちよつとお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X01319510519/2
-
003・井上清一
○井上(清)政府委員 ただいまの御質問にお答え申し上げます。先般政府におきまして審議会等の整理をいたしました機会に、審議会等の権限に関して各種の角度から検討をいたしまして、その際ただいまお話になりましたように、決議機関的な性格を持ち、強く政府を拘束するような審議会は―これは審議会の性質にもよるのでございますが、それほど決議機関として強い性格を認めなくてもよいものにつきましては、責任の明確化という点から相当性格をかえたものがございます。しかし必ずしもその方針で貫くというわけでもございませんで、その審議会の性質、またその機能等によりましてそれぞれ違つておるのでございますが、その目的、性格等によりまして、かえたものも相当ございますことを申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X01319510519/3
-
004・江花靜
○江花委員 必ずしも全部が全部徹底的にそれで貫く方針でないということは了承しましたが、閣議決定のうちの一番最初の審議会等の設置の方であります。ここに途中からでありますが、「当該行政機関の職員のみからは得られない参考的乃至勧告的な意見を聴取するために設置される」云々、こういうことがあつて、「但し、」として但書に「左に掲げるような場合には、個々の特定事項について審議する審議会等を設置することができる。」こういうふうに使いわけてありますが、これは何か含みがあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X01319510519/4
-
005・中川融
○中川(融)政府委員 ただいま御質問の趣旨は、今度の二月十六日に閣議決定で決定いたしました審議会等の設置の基準の中におきまして、原則といたしまして、審議会等は一般的に適用される事項について、参考的ないし勧告的な意見を聴取するために設けられるものである。しかしながら例外として次のようなものについては、「個々の特定事項について審議するものを設けることができるというふうに書いてあります。その「個々の特定事項について審議する審議会等を設置することができる。」という点につきまして、どのような意味合いが含まれておるのであろうかというような御質問であるというふうに聞いたのでありますが、この点につきましての基本的な政府の考え方を申し上げて御参考に供したいと存じます。
審議会等につきましては、現在のところ法規的には国家行政組織法の第八條に審議会、協議会等を法律をもつて設置することができると書いてございます。それに諮問的な、あるいは参考的な事項に関するものであつて、いわゆる外局である委員会でないというように書いてあるのでございます。しかしながらその程度でありまして、はたして実体がどのようなものを意味しておるかということは、現在までの法規上では不明確でございますので、いろいろ審議会、協議会という名前を持ちながら、その内容におきましては、いわば行政委員会に非常に近いような強力の権限のものもあり、あるいは諮問的機関としては少し権限が強過ぎるというようなものもあるのでありまして、いろいろ疑念を生じまして、種々問題も起きて来る実例もございますので、その点につきまして、今回は閣議決定をもつて、はつきり審議会、協議会というものがどういう性格のものであるかという点を明らかにする趣旨で、この設置の基準がつくられたのであります。従いまして国家行政組織法の趣旨から申しましても、いわゆる審議会、協議会等という名前のつくものは原則として諮問的機関である。従つで諮問的機関であるという性格からいいまして、結局個々の具体的事項につきまして諮問するということになりますと、勢いその具体的事項につきまして審議会の権限というものはどうしても強くなるわけでございます。個々の事件につきまして審議して答申というものを出しますと、結局その審議会の答申というものが、非常に強力な結果を来すことになりますので、原則といたしましては、個々の特定事項については審議しないものであるということを明らかにしたのであります。しかしながらこの原則をあまりに一貫して実施いたしますと、非常に行政上どうも支障を来すものもありますので、それらのものは例外としてここに特記して、おくという趣旨であります。その例外的なものといたしましては、たとえば弁護士など、そういうものの職業的資格の試験検定をする際は、これは行政機関ではどうしてもできませんので、やはりその道の専門の人を集めまして審議会で審査してもらう。名称は試験委員というような名称になりますが、これが必要であるということでございます。同じくそういう資格を剥奪をする、懲戒をするというようなことも必要になつて参りますので、これらのものにつきましても、やはり今と同じような趣旨で、専門的知識のある人の審議会、委員会等で審査してもらうことにいたすほかないのであります。また第三のものといたしましては、審議会自体が官吏のみで組織されておるというものの、あるいは審議会の委員がほかの営利的な事業と兼職ができない旨、法律上の制限がある場合があるのでございますが、この二つの場合のうちすなわち官吏のみの場合は、要するに行政機関内部の連絡打合せの意味でできておる趣旨でありますので、これはさしつかえない。それからその審議会の委員がほかの営利的事業と兼任を禁止されておる場合と申しますと、結局これは審議会の委員が要するに政府のみから報酬を受けておるという状態でございますので、いわゆる公務員が行政に当つておる場合と同じように考えて大体いいのではなかろうか。従つて外部からいわば不当な影響というものはまずないと考えられますので、この場合は特に例外でありまして、特定事項についても審議し得るということにいたしたのであります。そのほか経済関係でないものにつきましては、さらに第二項におきまして、この特定事項を審議し得る場合をさらに広く認めておるのでございます。これは経済関係に関する事項にあたりまして、部外から影響のおそれが特に多い、心配が多いということから、さように経済関係のものについては制限が比較的厳重でありますが、その以外のものにつきましては、さらにその制限に対しまして例外を広く認めておるのでございます。その例外のここにあげました三つの場合は、「行政処分に対する異議の申立、紛争等を裁定する場合」「損害額、補償額等を制定する場合」「特定の行政行為について広く部外の公平な意見を聞く必要がある場合」、これらの場合は特定の事項についても審議することができるというように規定しておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X01319510519/5
-
006・江花靜
○江花委員 今の御説明、非常に御懇切な御説明でありますが、ただちよつとここを読みましたところでは、この
一般的な政策とか、方針とか、法律、政令その他の規則の草案、その他一般的に適用される事項については、当該行政機関の職員のみから得られない参考的ないし勧告的な意見を聴取するために設置されるものとする。だからこれは単に諮問機関であることは明瞭であります。原則は諮問機関とする。「但し、」とあつて今御説明になつた第一項のうちのイロハ、及び第二項に掲げるようなものの場合には文言も「審議する審議会等を設置することができる。」こういうように書いておられますから、しかく厳重な感覚でお書きになつたかどうか、わからぬが、強く言えばこれが決議機関である。こういう場合には但書以下の第二項までにまたがつては決議機関であるようなことになり、それから一般の政策その他については諮問機関、こういうふうに読みわけられるような感じがするわけであります。なおつけ加えますと、官吏のみで組織された委員というものも多数あると思いますが、これが決議機関的な性格を持ちますと、本属長官の権限とどういうふうなことになるか。関係各省の役人が集まつて決議すると、それによつて本属長官の権限が拘束されるというようなことにもなつて来るのであります。強く考えれば、その特定部分については合百議制官庁みたいになる。それも特に必要があつて設けるとたれば別でありますが、こういうふうに一般的にうたいますと、その辺がわかりません。私から申し上げますが、要するにこの「審議する審議会」というのも、そう別に決議機関にするというほど強いものではないわけですね。その場合が多いかもしらぬが、そこをちよつと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X01319510519/6
-
007・中川融
○中川(融)政府委員 今御質問の点でございますが、これは今の御意見通り、ここに書きました「審議する審議会」というのは審議するだけでありまして、それが決議する、あるいは決定権を持つておるという意味ではございません。あくまでも審議するだけでありまして、その審議しました結果を本属長官が採用しますかいなかは、やはり最終的にはその長官の意思にかかつておるわけでございます。ただ個々の特定事項でございますので、諮問機関として審議する場合にも、やはり一般的事項を審議する場合に比較いたしますと、どうしても事実上の拘束力が強くなるという意味から、これらの特定事項について、審議する場合は特に限定しておる趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X01319510519/7
-
008・江花靜
○江花委員 了承いたしました。
もう一つ、審議会等の整理のための国立世論調査所設置法の一部を改正する法律案ですが、この「第五條第二項を次のように改める。」とありまして「2 調査所の所長は、左に掲げる事項について、審議会の同意を求めるものとする。」こういうことになつておりますが、そうするとこれは「同意を求める」であつて、別に同意を求められなかつた場合に、この所長が一定の方針をきめるとか、計画を定めるとか、そういうようなことについて特に定めることができなくなる、同意を得られなかつた場合にはそういうことはないのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X01319510519/8
-
009・小山栄三
○小山政府委員 お答えを申し上げます。世論調査所の審議会と申しますのは、改正前におきましては決定機関になつておりました。その後内閣の方針に従いまして、行政の面だけを審議会の決定機関から除きまして世論調査そのものはあくまでも公正であり独立でなければいけないという点から、調査の内容それ自身に関しましては、審議会が決定権を持つておる形になつております。ただ所長の任命とか委員の任命とかその他におきましては、これは広い意味の行政行為のために、審議会が決定機関ではないという形になつております。従つて調査の項目その他世論調査自体に対するものに対しましては、審議会が決定権を持つておるという形になつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X01319510519/9
-
010・江花靜
○江花委員 くどいようでありますが、そうするとこの調在所の調査研究方針を定めるとか、調査の実施計画を定めるとか、あるいは調査の結果の発表方法を定めるとか、こういうことについては審議会の決定というものは決議の性格を持つわけですね。それ以外の方は「同意を得て」というのを削つてあるのですから、そういうことになるのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X01319510519/10
-
011・中川融
○中川(融)政府委員 今御質問にありました通り、今回の改正は、ここにあります三つの事項につきましては審議会の同意を求めることとするということになつておりますので、同意を求めたければならないことになります。従つて審議会の同意を得なければこれを決定し得ないわけでありまして、その意味では決議機関と申しますか相当強いものであります。しかしこれを現行法と比べますと違いがわかるわけでありますが、現行法では結局あらゆる事項につきまして審議会が決定するようになつておるのでありまして、現行法から申しますと、むしろ審議会が主でありまして、世論調査所というものは従のかつこうになつております。それを今回はかえまして、調査所がやはり主でありまして、これこれのある特定の事項についてのみ審議会の同意を求めるということにいたしまして、同意を求める範囲を最小限度に限定いたしたのでございます。従いまして現行法から見ますと、審議会の権限というものはよほど小さくなりまして、まあこの程度であれば、諮問機関であるという大きな建前に矛盾しないで、しかも国立世論調査というものを公平にやつて行かなければならないというどちらの趣旨にも合致し得るということになつておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X01319510519/11
-
012・江花靜
○江花委員 一般の方針とか企画とか、そういうことについては審議会が決議権を持つ、こういうことになるようでありますが、決議を得られなかつた場合はやられてしまうのかというりくつもありますが「まあしかし運用の面でそういう事態は発生するおそれがないものと考えるものですから、了承いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X01319510519/12
-
013・河田賢治
○河田委員 関連して、先ほどの話ですが、審議会が仕事の上で調査所の調査研究方針を定め、調査の実施計画を定め、調査の結果の発表をできるだけ決定する、これが公平にやられるという点で改正ができておるのですが、そうなりますとこれが相当の独立性を持つという意味において、やはりこの所長並びに所員の選定にしましても、今度の改正ではむしろ総理大臣のみが任命権を持つてしまう。それから所員は審議会の同意を必要としたものが、今度は単に審議会の意見を聞く、取捨選択は大臣の鑑定によることになつておつて、今度はできるだけ独立性を保たせる、しかも仕事の範囲においてはこれが限定された諮問的な機関になるという意味であるならば、やはり人員の構成においては、審議会の同意なりもしくはその推薦をできるだけ広く採用するという意味において、今度の改正の方がむしろ逆な効果であると思われますが、この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X01319510519/13
-
014・中川融
○中川(融)政府委員 まず第一点の審議会の委員の選定の点でございますが、これは現行法におきましては、ただいま御指摘のございましたように、審議会自体が審議会の委員を還元するといいますか、同意を得て初めて内閣総理大臣が任命し得ることになつております。これはいわば審議会が前の委員を更新いたします際に、その審議会自体が、自分の後任者となるべき委員を選定するという結果になるわけでありまして、その点が非常に不合理があります。それか上また審議会のみならず行政機関である委員会の委員につきましても、その委員会自体が自分の後任者を選任するというような例はほかにはないのであります。これは非常に合理的でないと思われますので、今回は改正をいたしたいと思うのであります。しかしながらこれは改正をいたしましても、無制限に内閣総理大臣がどのような人でも自分の欲するような人をつれて来て、審議会の委員に任命し得るのではないのでありまして、法律上これは世論の調査に関係のある民間の団体が推薦する学識経験のある者のうちから、内閣総理大臣が任命するということになつております。現行法ではこれらの「世論の調査に関係のある民間の団体が推薦する学識経験のある者のうちから、審議会の同意を得て内閣総理大臣が命ずるとなつておりますのを、その「審議会の同意を得て、」という條項を、削除するだけでありますので、やはり内閣総理大臣は世論の調査に関係のある民間の団体が推薦する学識経験者の中から選ばなければならないことになつております。従いまして世論の調査に関係のある民間団体が推薦する者は、おのずから世論調査につきまして公平にこれを判定し、得る学識経験者を推薦することになりますので、その中から内閣総理大臣が任命することにいたしましても、いささかもそれによつて公平を害されるというようなことはないと思われるのであります。
それから第二の点の世論調査所長の任命でありますが、これは現行法におきましては「所長は、世論の調査について専門的知識を有する者のうちから、審議会の同意を得て内閣総理大臣が任命する。」ということになつておるのであります。この世論調査所長というものは、やはり政府機関の職員でございます。政府機関の職員の任命につきまして、この審議会の同意を得てこれを任命するという例もほかにちよつとないのでございまして、これもはなはだ合理的でないということで、今回の改正をいたしたのでございますが、しかし今回の改正も無制限に審議会の同意を削つたのではないのでありまして、「審議会の同意を得て、」というのを審議会の議を経てというふうに字句を多少かえた程度でございます。審議会の同意を得て―審議会が同意をしなければ内閣総理大臣は絶対に任命できないというふうにいたしますのは、いかにも政府の職員を任免いたします内閣総理大臣、あるいは本属長官の職権というものに対して、非常にその例を見ない制限でございますので、今回これを審議会の議を経てということにいたしまして、審議会の議を経ることは必要である。しかしながらその同意を得てというのよりは、若干軽くなるわけでございますが、その程度のことにいたしまして、公平に所長を選定するという趣旨を生かすと同時に、任命権者といたしましての内閣総理大臣の公務員法に基きます職権を、やはり生かして行くというふうにいたしたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X01319510519/14
-
015・青木正
○青木(正)委員長代理 ほかに御質疑ございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X01319510519/15
-
016・松本善壽
○松本(善)委員 ただいま共産党の委員からの御質疑がありましたことについて、払一言申したいことがあります。
終戦後におきまするところの審議会設置の要項より考えてみまするに、審議会のあり方は、内閣の責任の帰趨を、今までと違つた、行政官庁というあり方とは別個な考え方をして、いわゆる外部のサークル的なあり方において、あるいは内閣のいわゆる政府の責任の一端をも遂行し得るような状態に相なつておるように思われる事項がしばしばある。しかしながら翻つてこの政府の責任のあり方と、国民の福祉増進ということから考えてみます場合において、いかに審議会が今日まで国民に対して迷いを与えていたかということは、いまさら申すまでもないことであります。むしろ西欧の文化やその他をそのまま日本に入れたということによつて、日本におけるところの文明文化のあり方において、マイナスの面を扱つておると、私はかく考えるのであります。従つて審議会の改正というものはおそきに失している。従つて過去におけるところの経験の連鎖によつて、今かような改正を出したということはしごく当然のことである、かく考えまして、われわれとしてはごうもこの改正に対して異議をさしはさむものではない、かかる観点に立つて、私も一言私の意見を申し述べて、この法案のすみやかなる実施に向つて進まれんことを希望申し上げておきます。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X01319510519/16
-
017・青木正
○青木(正)委員長代理 ほかに御質疑がございませんければ、次に外務省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
議員北澤直吉君から委員外発言の申出がありますが、これを許可するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X01319510519/17
-
018・青木正
○青木(正)委員長代理 御異議なければこれを許します。北澤直吉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X01319510519/18
-
019・北澤直吉
○北澤直吉君 ただいま議題となりました外務省設置法の一部を改正する法律案について二、三当局の御意見を伺いたいと思います。
今回の改正案によりますと、外務省に新たに国際経済局を設ける、それから京都の連絡調整事務局及び地方連絡協議会を廃止する、この三点であります。しかしながら御承知のように、講和条約の問題も非常に具体的になつて参りまして、條約の調印、批准というものも、そう遠くない将来には実現し得る見込みが立つたのであります。そこで締結後には、現在の外務省の機構は大幅に改正しなければならぬ、むしろ日本の各行政機構というものは、講和の後におきましては、大幅に改正する必要がまると思うのであります。特に外務省の機構というものは、講和後においては大幅に改正する必要があると思うのであります。従いまして今回のこの改正はそれまでの暫定的なものでありまして、講和後には新しい構想を持つた大幅の改正が行われる、こういうふうに了解いたすのでありますが、まずこの点について政府の御意見をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X01319510519/19
-
020・草葉隆圓
○草葉政府委員 今回の改正の要点は、ただいま御質問にありました三点でございますが、これは講和を前に控えました意味におきましての問題ももちろん含んでおりますが、前会の設置法の説明で申し上げましたように、在外事務所が従来十数箇所ありましたのに、さらに今回七箇所を増設いたしましたし、また現在の見込みでは、年度内に十数箇所を増設し得る見込みで進んでおります。従いましてどうしても在外事務所関係の事務の増加に伴いまして、一局を設置いたしまして、これらの事務の円滑を運営を期して行きたいと存じますのが第一、さらに講和の準備として、あるいは通商航海條約の締結の準備なり、また国際経済機構去り、これに対する條約の加入なりという準備行為として、国際経済局を設置しようとするものであります。従つて御質問のように、いよいよ講和の内容がさらにはつきりいたしますると、各省全般に対する機構改革という問題も起りましようし、またこれに関連して、外務省の本来の根本的な機構の整備強化という問題も起つて来ると存じます。今回の改正は、とりあえず現在のやむを得ない事態における最小限度の、従来の事務の整備という点から行つたのでございまして、さらに講和に対応する機構といたしましては、お話のように各省関係並びに外務省の本来の改正に向つて進んで行かなければならないという考えを持つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X01319510519/20
-
021・北澤直吉
○北澤直吉君 ただいまのお話にもありましたが、国際経済機構に対する日本の加入の準備、そういう事務も非常にふえて参りましたことが、今度の国際経済局をつくります一つの理由になつておるのだと思いますが、これに関連して伺いたいのは、新聞報道によりますと、最近日本と外国との貿易協定あるいは金融協定、たとえば日英支払協定、ああいうふうなものは、従来は大体総司令とやつて日本政府は、オブザーヴアーとしてやつておつたが、今度そういうものに対する締結権というものは、司令部から日本に委譲されたというふうに新聞に出ておるのでありますが、こういうふうな貿易協定あるいは金融協定というものに対する締結の権限が、司令部から日本政府に委譲されたということは事実でありますかどうか。またそれに対する見通しをひとつ伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X01319510519/21
-
022・草葉隆圓
○草葉政府委員 現在では、まだ実はそういう点に対しまする全般的な締結権の委譲というところまでは参つておらないのであります。しかし現在は、こういう場合正におきまして、日本政府の意見を十分聞いて進めて行くという状態でありまするが、将来は、いずれこういう問題に対しましても日本政府へ委譲して来る見込みを持つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X01319510519/22
-
023・北澤直吉
○北澤直吉君 そうしますと、今週か、来週行われます日英間の支払協定の交渉でありますが、あれはやはり日本政府が責任を持つてやるのでなくて、司令部と英国側との間に話合いがあつて、それに対して日本政府は参考人というか、そういうような形で参加するのでありますか、その点を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X01319510519/23
-
024・草葉隆圓
○草葉政府委員 実際は、さきに申し上げましたように、日本の政府の意見をいろいろ聞いて進めて行くのでありまするが、形の上では、司令部においてとりきめるという形になつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X01319510519/24
-
025・北澤直吉
○北澤直吉君 日英支払協定の場合における日本政府の所管は一通産省か外務省か、どちらの権限に属するのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X01319510519/25
-
026・島津久大
○島津政府委員 貿易関係の話合いの実情は、ただいま政務次官から申し上げましたように、日本側の意見を十分取入れてもらつておるわけなのでありますが、これは相手の国によつて多少の差異があるのであります。実際上は、最近は日本側の関係の係官が出まして、相手方と直接お話合いをしております。ただ先ほども申し上げましたような形式の問題になりますと、やはりスキャップと相手国との間のとりきめという形を、今日までとつておる次第であります。その際所管がどうということになりますと、司令部が所管をしております間は通商産業省の所管という形になつております。一方御承知のように、外務省の設置法にもございますように、通商関係の協定を結ぶのは外務省の所管ということになつております。将来こういうような協定の当事者が日本というふうに権限が委譲されましたあかつきは、もちろん外務省所管であります。そういうわけで、通商産業省の所管にはなつておりますが、内容的に申しますと、海運の関係もございますし、また食糧の関係もございますし、また全般的に外務省の事務にも深い関係がございますので、実際上は、実際の話合いに出席いたします日本側の係官は、通商産業省、外務省の両方から出て話合いをしておる実情でございます。なおまた金融のことになりますと、大蔵省、外国為替管理委員会、その他海運、食糧関係になりますと、運輸省、農林省という方面の係官も出てやるのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X01319510519/26
-
027・北澤直吉
○北澤直吉君 次にお伺いいたしたいのは、今回国際経済局というものができるのでありますが、これと通産省の通商局との関係でございます。提案理由の説明によりますと、従来の外務省の権限には変更を加えるものではなく、また他省の権限との関係において問題を生ずることもない、こういうことでありますが、国際経済局と通産省との関係はきわめて微妙な関係だと思うのです。建前としましては、大体通産省は日本の国内における事務、国際経済局は日本の国外における経済関係をやるというふうなことでありますが、その権限の分界は必ずしも明らかでないと思うのであります。政府の方の考えでは、ちようどイギリスのボード・オブ・トレードと外務省の関係というふうにお考えだと思うのでありますが、この権限の分界が私はなかなか明らかでないように思うのであります。たとえて申しますと、今度の国際経済局の事務の中で「国際経済事情の調査並びに国際経済に関する統計の作成及び資料の収集を行うこと。」と書いてあります。これは通商局の海外事情に関する調査とか、そういうものとダブるように思うのでありますが、こういう面におきまして、通産省の通商局と外務省の国際経済局との間の権限の分界について、どういうふうなお考えを持つておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X01319510519/27
-
028・草葉隆圓
○草葉政府委員 これは実は設置法の説明のときにも申し上げましたように、現在政務局で行つております仕事の中で、通商航海に関する利益を保護し増進するという問題、また国際経済機関との協力及び通商航海條約その他通商経済上の協定の問題、それからただいまお話のありました調査並びに国際に関する統計の作成及び資料の収集という、従来の政務局でやつでおりましたのを国際経済局に引継いで、そこで独立した一局としてやつて行こうとするのであります。従来とも政務局のこれらの関係におきましては、通産省の関係、ことに市場課等におきましての関係は、相当密接にあつたわけでありますが、今回は一応政務局の中のこれらの問題を国際経済局に独立させるということ、それから将来の問題といたしましては、将来かえつてややこしい監督その他統計の調査等において、複雑な、分界点がはつきりしないというものが相当あろうと思います。これは先に申し上げましたように、講和を中心にしました際に、十分従来の例等も検討して参るべき問題と考えております。今回とりあえず政務局の中にありましたこれらの事務を、国際経済局として独立した取扱いをして行きたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X01319510519/28
-
029・北澤直吉
○北澤直吉君 ただいまの御説明で了承しました。
次にお伺いいたしたいのは、国際経済局の事務の中で、先ほどもお話したのですが、第一は通商航海に関する利益を保護し、及び増進すること、第二は国際経済機関との協力及び通商航海條約その他の通商経済上の協定に関すること、第三がただいまの国際経済事情の調査云々とありますが、こういう経済通商航海に関する事務の根本であります日本の大きな通商政策、海外に対する大きな通商政策というものを樹立することが、非常に必要であります。現に一昨日のマーカツト少将の報告書にも、日本はすみやかに通商政策をきめて、世界に発表する必要があるというふうなことを言つておるのでありますが、この根本であります通商政策の樹立というものは、これは一体どこでやるのか。外務省でやるのか、あるいは通産省でやるのか、ただいまのところはどういうふうになつておりますか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X01319510519/29
-
030・草葉隆圓
○草葉政府委員 この問題が、日本の将来の中心の問題であり、また現在においても大きい問題でありますことは、御質問の通りであります。現在はいろいろな関係におきまして、通産省、経済安定本部、また対外的な問題につきましては外務省というように、おのおの各関係省がその他の関係省とも協力いたしておりますが、将来の日本の海外貿易、通商関係におきましては、これらの問題が、中心の機構において複雑な状態にならないように、十分検討して行くべき問題だと存じております。従いまして当然外務省を初めとして、関係の各省が、講和を前にいたしました検討ということを十分考えながら、御質問の要点等も含んだ意味におきましての進展を、私どもははかりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X01319510519/30
-
031・北澤直吉
○北澤直吉君 将来の通商政策の樹立につきましては、機構を整備したいというふうなお考えは了承いたします。
そこで外務省に国際経済局をつくつて、ここでいろいろな国際経済関係の仕事をせられるのでありますが、こういう仕事を外務省がするにあたりまして、民間の専門的な知識を織り込む、これを活用する、こういう見地から、戦争前にはたとえば外務省に参与とか、そういうような形で民間のそういう権威者を入れるようなことがあつたのでありますが、今回外務省において国際経済局をつくるような場合におきましては、そういうような民間の権威者の知識を活用するような方法をお考えでありましようか、これを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X01319510519/31
-
032・草葉隆圓
○草葉政府委員 この問題は前々からいろいろ御意見なり御質問等を拝承いたしている点であります。また在外事務所等における活動の上におきましても、御意見等を拝承いたしておりますが、現在は国家公務員法関係等におきまして、簡単にできにくい事情もあります。しかし将来の国際経済あるいは在外事務所その他貿易等の関係におきまして、民間の有力なる知識人を吸収する具体的な方法を、目下検討いたしております。さような知識を入れながら、一体となつて進み得るような方法を研究いたしておりますが、現在の公務員法の関係で、ただちには困難だと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X01319510519/32
-
033・北澤直吉
○北澤直吉君 もう一点伺いまして、私の質問を終ります。それは京都の連絡調整事務局の廃止問題でございますが、これに関連して伺いたいのは、最近スキャツプの係官の言明によりますと、日本の各地にある地方民事部は、これを廃止するというようなことであります。そうしますと、今回は京都の連絡調整事務局だけの廃止でございますが、もしそういうふうに日本の各地の地方民事部が廃止せられるようになりますと、京都の短絡調整事務局のほかにも廃止せらるべき連絡調整事務局があろうと思いますが、そういう点についての政府のお考えを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X01319510519/33
-
034・草葉隆圓
○草葉政府委員 これは講和を前にいたしまして、だんだんと御趣旨のような状態に進みつつあるのではないかと考えております。まだ具体的なことは明示されておらない次第でありますが、講和後における講和の内容によりまして、そういう状態も勘案しながら、将来のことを考えたいと存じます。従つて全部が必要でないようになりました際は、お説のように廃止になりますが、それはもうしばらく情勢をよく検討して、それに即応して参りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X01319510519/34
-
035・河田賢治
○河田委員 今北澤議員からお話がありました問題ですが、きようの新聞を見ますと、地方民事部が、これはアメリカの予算の関係も織り込まれておると思いますが、たとえば一九四八年には三千八百五十名の文官がいたが、本年末には四百名以下にするということです。大体これから年末にかけまして、特に民事部を重点に置いて廃止されるということが、きようの新聞に出ておりますが、そうしますと、この民事部の廃止に伴つて、連絡調整事務局などの仕事もだんだんと減つて来ると思いますが、これに対して政府は、今度は京都の連絡調整事務局だけ廃止されますが、そういうように一局二局と事務局が減れば、それだけやはり人員も他の方にまわすとか、あるいはそこの仕事の程度に応じて、人員の配置も縮小されると思いますが、そういう見通しについては、まだ全然この法案には盛られておりませんが、これはどういうふうになさるお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X01319510519/35
-
036・草葉隆圓
○草葉政府委員 現在は京都の連絡調整事務局だけを廃止することにいたしましたが、それらの見通しとしては、今お話のような状態に進んで行くのではないかと存じております。しかしまだ正確に日本政府に対して、はつきりした通告をして参つたのではございませんが、だんだんとそういう状態に進むのではないかと考えております。しがしこれは民事部だけではなく、ほかの関係においても連絡事務が相当多数ありますので、それらの状態とにらみ合せて、今後進んで参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X01319510519/36
-
037・松本善壽
○松本(善)委員 北澤議員によつて一応質問された以外に、まだ疑問に思うことがありますので、簡単にお尋ねいたしますが、今回在外事務所の派遣要員に充てるために、本省の定員増八十名を本法律案の内容としてうたわれておるのでありますが、この八十名は、もちろん御趣旨のごとく、在外事務所の派遣要員であることは一見明瞭でありますけれども、ただいまこの改正法案に盛られんとする中において、京都の連絡調整事務局の廃止あるいは地方連絡協議会等の廃止、かかる二点における問題を取上げても、この人員は余るわけである。従つてこの調整事務について、すでにこの法案が盛られる前に見直しを立てられておるかどうか。先ほど前議員から参与云々がありましたが、かかる点はすでにお見通しの上にこの八十名という定員が出たのだと思うのでありまするが、その点なおはつきりいたしませんがゆえに、この八十名という定員がいかなる見地に立つて出たか、この点について明瞭にしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X01319510519/37
-
038・草葉隆圓
○草葉政府委員 実はこの国際経済局の場合におきましては、本省の定員は増減なしにやりくりでいたしておるのであります。外務省といたしましては、増員を大分希望いたしておるのでありますけれども、これはいずれ講和を前にいたしました、先に申し上げましたような根本的な場合に考えるべきことで、今回は各省、各局その他地方連絡事務所等の減員によりまして、京都は従来定員が七名でありまして二名だけが実在しておるのでございます。そういう地方事務所から十七名、あるいはその他から四十九名ほどしまして、従来の定員と合せて国際経済局を今度は九十八名にいたします。従つて九十八名に対しましては新しく増員はいたさなんだのでございます。
日本政府在外事務所の定員を八十名にいたしましたのは、ただいま在外事務所の定員が七十三名で、実際は六十九名でございます。今回七箇所増設を見込みまして、四十一名これに新しく増員を必要といたすのであります。それに本年度内におきましては、大体十四箇所増設する見込みで進んでおります。これらの数を入れまして八十名全部在外事務所の定員といたして増加いたしたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X01319510519/38
-
039・青木正
○青木(正)委員長代理 ほかに御質疑はありませんか。―なければ次に移ります。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X01319510519/39
-
040・青木正
○青木(正)委員長代理 特別調達庁設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。質疑の通告がありますからこれを許します。江花靜君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X01319510519/40
-
041・江花靜
○江花委員 特別調達庁の政府委員の方に御質問申し上げます。特別調達庁設置法の一部を改正する法律案がこのたび提出せられておりますが、第六條の4「長官官房に監察官一人を置く。監察官は、命を受けて庁務の監査に関する事務を総轄する。」こういうふうになつております。そこで命を受けるというのは、たとえば昔の規定であれば上司の命を受ける、こういうことだと思いますが、それに相違ありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X01319510519/41
-
042・辻村義知
○辻村政府委員 ただいまのお話の通りであります。上司の命令を受けてやるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X01319510519/42
-
043・江花靜
○江花委員 そうしますと監察官なるものは、官房長の命を第一次に受け、第二次といいますか、本属長官の命を受ける、こういうことになりますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X01319510519/43
-
044・根道廣吉
○根道政府委員 形の上で上司と申しますと、官房長であるかのごとき形になつておりますが、これは身分の所在が官房にあるということでございまして、実は上司というのは、直接長官の命を受けて、というような形において動かしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X01319510519/44
-
045・江花靜
○江花委員 お気持はよくわかるのでありますが、ただそうきゆうくつに今までのように考える必要はない。大体常識的に考えてもいいのでしようが、私どもの常識では監察官は命を受けて庁務の監査に従事する、あるいは掌理するとか、いろいろ今までの立法における用語例と違つておりますが、そうするとこれはどうしても長官、官房長の命令を普通の事務上の命令系統に従つて受けると解釈するよりほかない。どうですか、この「命を受けて」というのは、長官の直接の指揮に従うので、官房長の命は受けないのだという解釈はつきますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X01319510519/45
-
046・辻村義知
○辻村政府委員 ただいまの御意見まことにごもつともだと思います。われわれといたしましても、監察官は職責上むしろ官房長の指揮は受けないで、直接長官の指揮によつて監察事務を扱うようにいたしたいと考えておるのでございますが、ただそれをその通りに法制化いたしますと、どうしても官房及び各部のほかに監察官を設置しなければならないという結果になりまして、そういたしますと機構が全体として拡充するようなかつこうにもなりまして、なるべく行政機構を簡素化するという政府の方針の趣旨にも会いませんので、やむを得ず技術的な問題といたしまして、一応監察官は官房の中に設置はいたしますが、ただ運用上監察業務に関しては、長官の直接指揮によつて業務を執行するというようなふうにいたしたいと考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X01319510519/46
-
047・江花靜
○江花委員 今のお話よくわかるのです。それはわかりますが、しかしお気持だけでは、私どもやはり文言を通して拝聴したい。文言で受取れないことを―つまり命を受けるということは、近ごろは上司という言葉を使わないせいだと思いますが、命を受けるということは、これは明らかに、たとえば上司の命を受ける、従つて官房長の命を受ける、長官の命令はもちろん受けるというように解釈するよりほかはない。これは代議士ならば、あるいはそんな立法をするかもしれませんが、きちようめんなお役人がこういう立法で、こういう解釈をしろということではちよつと困る。それでもしやるならば、長官に直属しとか―直属というのは悪いのかしらないが、昔ならば長官に直属し、これこれの事務をつかさどる―しかしこの中には総轄という言葉があります。今専門員の人から聞くと、総轄ということは長官がやるので、これは用語例としてははなはだ適当ではないと思う。使つて悪いと思う。総轄という言葉は、やはり本属長官がやることで、いろいろの用語で御承知の通り、下の者は従事する、あるいは掌理する、そういうふうになるので、これでは非常にまぎらわしい。しかし運用の面においてはさしつかえないのだ、こういうことをおつしやるかもしれない。それでは別の面からもう一つ伺います。この官房長というものは、特にあなた方の意図されるような監査を行う必要のあるような事務を直接やつておるかどうかということをお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X01319510519/47
-
048・辻村義知
○辻村政府委員 第一点のお話でございますが、文字解釈といたしましては、ただいまお話のように解釈するのがもとより自然な解釈だと存じます。ただ私先ほど御説明申し上げましたような次第もございますので、「命を受けて場」という言葉を長官の命を受けてというように解釈をいたしまして、字義解釈をお願いできればたいへん仕合せだと思います。
それから「総轄」という文字の使い方でございますが、これはお話のように、庁務全般を総轄いたしますのは長官でございますが、ここにいつております「総轄」は、この監査に関するだけの言葉でございますので、そういう意味で監察官の監査に関する事務を総轄するという言葉を使つておる次第でございます。
それから官房長が監察官の監査の対象になる事務を持つておるかどうかというお尋ねでございますが、庁費は官房の所管でございますので、庁費の経理監査は当然監査の対照になると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X01319510519/48
-
049・江花靜
○江花委員 こまかい議論になるわけでありますが、この今のお話は、「命を受けて」として、そしてそれを長官の意を含ませるのだ、長官だけという意味で、官房長の命は監査に関しては受けないのだということを規定してあるので、「総轄」という言葉は監査についてだけ総轄するのだ、こう言いば一つの係主任でも何でもその持つていることについては総轄するのだという議論も出て来る。これは私専門でありませんけれども、立法には用語例というもの、やはり一応成文案というか一つの慣例というか、そういうものがありまして、総轄という言葉をこういう場合に使つている事例がどこかありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X01319510519/49
-
050・辻村義知
○辻村政府委員 ただいま実ははつきりした記憶がございませんのですが、たしか大蔵省の設置法に、財務官の設置に関する規定にやはり同じような言葉、あるいはこれに似た言葉が使われておつたのではないかと考えます。なお実はざつくばらんに申し上げますと、この法律の用語例につきましては、われわれまことにしろうとでございますので、あるいは不十分な点もあろうかと存じますが、実は一応法務府なりその他の専門家の御意見も承りまして、実はいきさつはいろいろございましたのですが、最後にこういう表現になりました次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X01319510519/50
-
051・江花靜
○江花委員 同じ大蔵省系統の国税庁に御承知の通り監察官制度がございます。この監察官は、もちろん司法警察権も伴つておりますので、本属長官の監督権に基く今提出されました特別調達庁の監察官よりは、職務が非常に強いのであります。それでもやはり国税庁の総務部に属しておるようであります。これは詳しく調べてみませんが、おそらくそうだろうと思います。総務部に属して、職務はそれ以外の職務を行つてはならぬということが一つつけ加えてあるようでありますが、とにかく総務部に属しておるようであります。総務部の事務分掌規程におきまして、大蔵省設置法でありますか、これの第三十條の七の二であります。「国税庁の所属職員について其の職務上必要な監察を行い、法令の定めるところに従い」云々、こういう規定がある。これは国税庁の所属職員でありますから、国税庁の本庁内における職員ももちろん監査するわけであります。そういうように、総務部に属しておることは明瞭であります。そうしますと、総務部に属しておれば、これはもう規定を見なくても、総務部長の命令に従うということは当然考えられる。特別調達庁の場合も、官房長に属して、そうして特に官房長に仕事の関連をなくするという、独立して仕事をさせるほどの必要は私どもにはよくわからない。そう疑うこともないと思います。わかりやすくいえば、そう役人が役人同志を疑うという必要はない。官房長の人選その他は、やはり普通の業務のこととも違い、単なる技術上におけることとも違つて、当然人格においても清廉潔白の人、そういうものを大体選ぶはずであります。それをかように一般の系統から官房長をのけものにする、大体趣旨からしても私はおもしろくないと思う。それなら長官もあぶない。そういうことで要するに一般の監査を行うというこの規定によつて、長官官房にあつては、職務権限に特に専従して、そこに従わせる。はつきり監察官という名前をうたつてやらせるというところに異議がある。そういう趣旨ならばこれははなはだ好ましくない。本属長官までも、早くいえば言葉は悪いかもしれないが、一種の不正人物扱いしておる、そうしてやる。そういうことであつては私はいけないと思う。官房長をなぜ排除する必要があるか、こういうことであります。そんなに独立させる必要は―本属長官の監督権の実施にあたつて専門の係官を置くという根本の思想なんです。そう独立さして、あれを置くならば、どこか別の機構でもつて動かすということよりない、そこを少し強くお考えになり過ぎておるのじやないか。「長官官房に監察官一人を置く。監察官は命を受けて」こういえば当然常識として、官房長の指揮監督を受けるわけです。「監察官は、命を受けて」とあるのは、そうでなく、官房長を除外するという趣旨だ、こういうことになりますと、これは私どもにはすつきりしない。これはそういう趣旨をおつしやらぬで、そういうことだという答弁をなさらぬで、「命を受けて」というのは官房長の命を受ける。こういうことで何ら私はさしつかえないと思う。総轄するなんてしないで、事務に従事するで、けつこうであります。総轄するなんていう言葉はどつちでもいいが、使つて悪いという言葉ではないが、総轄するなどという言葉は特に御発言にならぬで、普通の言葉で、―ここにも総轄するなどという言葉は出てない。大蔵省組織規程にも「監察官室においては、法第三十條第七号の二に掲げる事務及び国税局監察課の事務運営の監督に関する事務をつかさどる。」と書いてある。総轄するなどという言葉は使つておりません。まあここだけを一例に引いては悪いけれども、だからもう少しすなおに、入り組んでよほど何しないとわからないようなものでなしに、読めばすつきりするような制度をおつくりになつてはどうですか。まことに手きびしいお考えを持つておられることはわれわれもうれしいのでありますが、しかしやはりすなおに、系統内の人を疑つたりするような扱いをしないように、すつきりした制度をおつくりなさつたらどうか、これは意見にわたりますが、何かもう少しありましたらよくお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X01319510519/51
-
052・根道廣吉
○根道政府委員 ただいまだんだんと承りましてごもつともだと存じます。またここに書きました文言の趣旨は、官房長をのけものにするという意味ではございません。特に監察の事務というものをはつきりさせたいということから書いたことでございます。また身分は官房にございますので、いろいろなことについては事実上は官房長のもとに立たざるを得ないのであります。しかしながら諸般の監察、監督事務につきましては、各部の部長の直接の所掌でありまして、現在いろいろな問題につきましては、長官の筋より出て、各部の部長より地方を監督、監査するというような仕組みをとつてございます。それを特に各部々々の部長でなくして、それらのものを事務的に統合して一人の監察官が監察を行うという、その線を強く出そうというような趣旨でこれはできたものでございます。なおさらに実際の運用におきましては、そういう摩擦の起るような妙なことにはならぬように、十分注意したいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X01319510519/52
-
053・江花靜
○江花委員 早くいえば一般の職員の身分があり、監督下にありながらなるべく独立性を与えて、監査の事務をやらせたいという御趣旨には何にも異論がないのであります。ただいろいろな創作をやられますと、頭の悪いわれわれ代議士は、なかなか解釈に、さなきだに骨を折つておるのであります。総轄という言葉もある、命を受けてで、実は官房長の命は受けない趣旨なんだという、そういう解釈が出ますと、私どもあなた方からいろいろ今後御指導御鞭撻をいただく場合に、非常に困ることになるのであります。なるべくこれはすつきりさして、普通の言葉を使つて運用の面でよろしきを得て行く、こういうことで行つていただきたい、監督権の作用でできるのであります。独立した機関でもないのでありますから、長官の命令だといえば長官の命令、あるいはどうこうする、こういうことにできますから、何がゆえにくどくお考えになる必要があるか、こういう私の趣旨です。ほかの例を見ましても、国税庁の監察官なんかは先ほど申し上げましたように、非常に権限が強いめであります。それでも総務部長の指揮を―指揮というと語弊がありますが、命令を排除して、直接国税庁長官に直結するのだというような規定は、私ども今のところは見当らない、それがあなた方の文言による説明だとして、そういう趣旨だということになると、ちよつと考えざるを得ないことになります。そこでここはもしお定めになるならば、これは意見にわたりますが、長官官房に監察官を一人置く、監察官は命を受けて庁務の監査に関する事務に従事する、これでけつこうであります。何もこのために地方の特別調達庁の出張所を監査できないということはない。これは本属長官の監督権の、一部の専従員としてやるのでありますから、そういうことに従事することはけつこうだと思います。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X01319510519/53
-
054・辻村義知
○辻村政府委員 だんだんお話を承りまして、御趣旨よく了承いたしました。まことにごもつともな点があると思います。要は先ほど長官からも申し上げましたような趣旨で、こういう表現にいたした次第でございますが、一つは條文の解釈の問題でもありますので、解釈上さらにもう少し検討さしていただきまして、十分御趣旨に沿うような運用をいたすことにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X01319510519/54
-
055・江花靜
○江花委員 それはそういうふうに何していただけば、私別に異論はありません。これはよけいなことでありますが、実施の面において監査に関する仕事の報告は、官房長に見せる前に長官のところに持つて来い、こういうことは事務の運用でできることです。決して無視するというわけではないと思います。先に見せる、こういうわけであります。あとはほかにそういう実際上の必要で、何か特別に特別調達庁だから、法律の文言まで特別な色彩を出す必要はない。なるべく通用する言葉を使つていただきたい。それだけを申し上げまして私の質問を終ることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X01319510519/55
-
056・松本善壽
○松本(善)委員 ただいま江花君から、大体ただしたようでありますが、まだ私どもとしては聞き足らぬことがあると思いますので、二、三の点についてただしたいと思います。
現在特別調達庁における監査の機能強化のために、長官官房に監察官を置く必要がある。かかる意味においてこういうものができ上つた、まことにけつこうなことである。そこで従来まで特別調達庁では監査事務に関しては、どういう現況であつたか、これをまず最初に伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X01319510519/56
-
057・根道廣吉
○根道政府委員 監査事務につきましては、今日まで、現在ももちろんでありまするが、しばしば自己監査を行つております。あるいはその場合には労務関係ならば、労務関係だけの監査を行うこともございます。経理監査、あるいはその他契約関係、技術監督面の関係、いろいろ別々にやることもございます。しかし最近のいろいろの実際の結果につきまして、そういうような監査をばらばらにやつたのではどうもぐあいが悪いというので、実は地方監査を行います場合には各部の係を同行いたしてまして大体において関係の部を全部集めた上に、一つの特別班を組織して地方の監査に当らせておつたような次第でございます。それをなお一層明確にする、ただ寄せ集めでなしに、一つの監察機関のもとに事務的に、明確に統合して、そのときどきに集まるというよりも、常時ある程度のスタッフを置きまして、監査すべき事柄を十分に研究する。そういう態勢を整えての監査も、やはりわれわれといたしまして、特に終戦処理費に関する業務は単に厖大であるのみならず、やがていろいろな改編が行われるときにあたりまして、さらに一層的確な監査をいたしまして有終の美をあらしめたい、そういうような趣旨で、従来やつておりましたところのものを、さらに一層明確にやる。こういう趣旨が多分にございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X01319510519/57
-
058・松本善壽
○松本(善)委員 大体従来やられておりました監査のあり方については、各部の内部において、各地方の官庁に向つて監査をやつて来られた、かように受取つてよろしゆうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X01319510519/58
-
059・根道廣吉
○根道政府委員 さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X01319510519/59
-
060・松本善壽
○松本(善)委員 従来おやりになつておられたところの監査の内容については、もちろん過去における実際に行つたところの事例によつておわかりであると思うのでありまするが、各部々々の専門的な特別班を設けまして、そして各地方の監査をやる、これは特別の監査であつて、まことに内部監査としては適切なる方法であると私は考えます。ややもすると、わかりもしないで労務部以外の者が総轄監査をやらんとして労務部の監査をやる、かような専門外の監査をやつたがために、非常にその監査の趣旨が徹底せず、また監察官としての職責も果せないというのが、従来各省における監査官の行政職員に対してその信用を失墜しておるゆえんであります。しかしながら特別調達庁においては、各部におけるところの専門家が特別班を設けまして、各地方における行政の監査に従事されておるということは、まことに喜ばしいことであると私は考える。従つて従来やつて来られたところを、国家の要請に向つて特別調達庁の有意義さを増さんがために、何とかして今までやり来つたところの監査の事務を充実させたい、かような意味でお説のごとく第六條の第四として「長官官房に監察官一人を置く。監察官は、命を受けて庁務の監査に関する事務を総轄する。」かような考え方ででき上つた、この考え方はまことにけつこうなことであり、また監察官としては、かかることをうたわなくても、やり得るだけの人間がなければならない。考えようによれば、監察官はこれによつてよりよく監査がなされるであろうということも想像いたします。しかしながら前委員からこの問題についてるると指摘があつたようでありまするが、この可否については、なお研究の余地があるといわざるを得ないだろうと思うのであります。法文に盛ろうとした趣旨は了とするに余りあるものがあるのであります。しかしながら各省関係あるいはその他の法律的なる用語自体に関して、もしも多くいうならば、もう少しこの言葉についても考究された方がよろしいのではないか、かような考え方もありますが、監察官としてのこの価値ある法文をここに出したということは、もちろん監査行政においては画期的なことであり、また望ましいことであると一方においては私は考えるものであります。従いまして第六條の三の場合の「官房長は、命を受けて長官官房の事務を掌理する」その次の第四として重ねて読めば、「長官官房に監察官一人を置く。監察官は、命を受けて」―これは官房長を含める意味を持つて書かれているだろうということは、私はこれによつて了承するのでありまするが、なおくどいようでありまするが、この法の解釈の内容として、先ほどの係官からの説明が非常に誤解されていると思いまするがゆえに、第三と第四におけるところの「命を受けて」は内容が違うんだ、もちろん官房長の命も受けてやるという含みを持つて、この條文ができ上つておる。このまま読んでもでき上つておる。むりに官房長の命を受けないという考え方をとる方が、どつちかというとおかしいと私は思いまするが、この第六條第四項に関するところの監察官は命を受けてという解釈は、もちろんこれは官房長を含んでいないんだということを御提示になれば、それはふしぎだという考えが出るのであつて自然に読んでおれば、官房長はもちろんこの中に入るという常識ができておるのですが、その点についての質疑応答の中に懸念を持たせるがゆえに、この点をまずお尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X01319510519/60
-
061・根道廣吉
○根道政府委員 ただいまの御解釈のごとく、命を受けての中に積極的に官房長を排除するという意図が含んでおるわけではございません。私が先刻御説明申し上げましたのは、監察の業務そのものについては、長官が特命的に命を出す場合が多いであろうということを私としては予想しておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X01319510519/61
-
062・松本善壽
○松本(善)委員 大体了承するに余りあるものでありまするが、しからば一言この字句の修正を提案するものであります。命を受けて各庁各部の監査に関する事務を総轄する。現在やつておりますところの監査は、各部ごとに特別的なる監査を実行しておる。このことについて何らか総轄した結論を見出したい。あるいは財務部関係の監査の内容、あるいはまた労務管理に関する問題ができ上つておる。しかしながらこれを総轄をして結論を与えるという監察のあり方ではなかつた。そうした欠陷をここに補つて、何とかして財務部関係の監察の事務、それから労務関係の監査の内容を総轄して、そうして特別調達庁という中における監査というものを総合的に解釈して、庁全体が均衡をとつて行くのが当然だ、かかる見地に立つてこの字句が生れたと考えまするがゆえに、各庁各部の監査に関する事務を総轄する、かように入れるならば、もちろん総轄するという言葉が出ても、何ら疑義を生ずるところではないと考えるものであります。従つて私は命を受けて、庁務はもちろんでありますが、各部の監察に関する事務を総轄する。各部という字句を入れれば、このままでもその趣旨がよく徹底するのであつて、もちろん監査というものは総轄した監査をやるのがほんとうであります。総轄しない監査をやるということは片手落ちである。頭を見てそのびつこであることを見ない。監査というものは全体を批判するのが真の監査の本能である。従つて今までやつた各部の監査はびつこの監査である。従つて各部を統合した監査をする意味において事務を総轄する、すなわちこの各部という意味を生かせば、このままでもけつこうであると考えます。この考え方についても、一応長官の御意見を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X01319510519/62
-
063・根道廣吉
○根道政府委員 ただいまの御趣旨聞いておらなかつたわけじやございません。今の命を受けてその事務を総轄するという言葉自体が相当問題になつておるわけですが、われわれの用意あるいは調査が十分届いておらぬためにいろいろ誤解を招くようなことになつたのかもしれませんが、さらに一応考えさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X01319510519/63
-
064・松本善壽
○松本(善)委員 私の言うことをどうもよく聞き取つていないかもわからぬ、あるいは私の言うことも表現方法が悪いかもわからぬが、さようなことを私は申しておるのではありません。従つて私の前言を補足いたします。「命を受けて」ということは先ほど解決しておる。この「命を受けて」というのは、無理に解釈しようとしてもこれは官房長というものが入つておる、かような解釈方が通俗的なあり方である。これは私が先ほど申した通り、決してふしぎではあるまいと考える。従つてもろんこのままで受取つても、もしも従来の監査の内容をよくわかつている現実に立つて、各部の庁務というものの中に、各部の監査に関する事務を総轄する、各庁には部というものがあることは御承知の通りである、従来やつて来た監査というものは各部単位の監査である、かようなことはくどくどしく重ねて申し上げるほどでもないか、長官の頭が非常に混乱しているのか、私の頭が混乱しているのか、私の言わんとしておるところは、この字句の内容において、庁務の次に、各部の監査に関する事務を総轄するこう入れればすつきりしてただちに受取れる、従つてこの字句に対するところの修正をされる意思があるかないか、これを承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X01319510519/64
-
065・根道廣吉
○根道政府委員 ただいまお説のごとくその点につきまして研究いたして、御趣旨に沿うようにいたしたいと申し上げたつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X01319510519/65
-
066・松本善壽
○松本(善)委員 従つて庁務という解釈が総轄するということに関連して、官房長までも監査するという問題が必然的に現われるのであつて、庁務を各部ということにかえてしまえば、これは問題なくスムースに行く、これは要するに字句の問題である。庁務を各部に修正するならば問題はない、また監査に対しては総轄するのがあたりまえである。私は少くとも監査をするものは事務を総轄するのはあたりまえである、各部の半端な監査をするということは、むしろ企業体を跛行的なあり方に持つて行くのが当然である、かかる見地に立つて考える場合において、監査がなされる場合においては総轄監査をなさるのが当然である。従つて各部というものを入れた場合において、初めてあなた方が考えられるところの趣旨が全部現われるように私は考える。私は残念であるからして重ねて何回も申し上げるのである。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X01319510519/66
-
067・辻村義知
○辻村政府委員 ただいまの御意見よく了承いたしましたわけでございますが、ただ、言葉にとられるようでございますけれども、庁務と申しましたのは、もちろんお話のように官房が入つておるわけであります。官房を入れましたのは、先ほど申し上げましたようにす全体の割合からいえば小さいのではございますが、やはり庁費の会計事務というものが官房の所管になつておりまして、それも当然監察官の監査の対象にいたしたいというふうに考えておりまするので、そういう意味で各部のほかにそういうものも監査したいというように申しておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X01319510519/67
-
068・松本善壽
○松本(善)委員 私はこの用語を各部及び庁務と書かれれば、皆さんと考えておることの趣旨がそのまま現われる。もしもできるならばさような意味にあえて御訂正あらんことを切望してやまぬものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X01319510519/68
-
069・青木正
○青木(正)委員長代理 ほかに御質疑ございませんか。―河田君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X01319510519/69
-
070・河田賢治
○河田委員 私特別調達庁法の一部改正の條文についてではなく、お尋ねいたします。特別調達庁自身の問題について若干お尋ねをしておきたい。今日の新聞を見ましても、アメリカでは日本の調達機関を全部一つにまとめて日本に調達の分局をつくるということが出ております。マーカツト声明とか、いろいろなことがございまして、特別調達庁のあり方についても重大な時期になつておるのではないかと思います。また新聞の別な報道には、地方の民事部が廃止されて、アメリカの文官が三千八百ばかりから今年中には四百に減る。そういうぐあいで、調達庁自身の仕事にも大きな変動があると思うのでありますが、そういう見通しの下にこの法案が今出されておるものか。一体この調達庁は進駐軍の命によつてやられる調達が主なのであります、これがだんだん減じて来るわけであります。そうすれば勢い特別調達庁自身の仕事としては、これをだんだん縮小すべきであると思うのであります。そのことが法案の中に全然ないと思いますが、同時に今後朝鮮事変とか、アメリカの軍拡経済、こういうもので日本で相当調達されますと、この調達庁自身がこれにかわつて行くものかどうか、そういうお考えで今仕事をお進めになるのか、調達庁は終戦処理費による進駐軍の調達をやるのではなく、今後は日米経済協力ですか、そういう方面のいわば外国の注文を引受けるということになるのか、その点をひとつお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X01319510519/70
-
071・根道廣吉
○根道政府委員 事態の推移に伴いまして終戦処理費が徐々に減額される、あるいはなくなるということになりますれば、それは当然に調達庁の職務の縮小ということになつて来るわけであります。ただいまのところ特別調達庁としては、従来の通りの方式において調達庁業務をやつております。そのやり方についてわれわれといたしまして特にこうかわるというようなさしずを受けたことはいまだございません。従いまして当分の間われわれといたしましては、従来の終戦処理費のもとにおいて、現在の形において仕事をして行くつもりであります。もちろん近い将来講和條約が締結された後におきましては、当然かわることが予想されますが、そのときにはそのときの事態に応じましていろいろ考えるべきことが出て来ると思いますが、ただいまのところといたしましては、特にその点に関して申し上げることはございません。
なおもう一つの御質問、この改正案は近き将来の変革を予想しておるかというお尋ねでございましたが、終戦処理費そのものとしての直接の変革は現在ございません。講和が近いということに考えましていろいろ予想されることはございます。特に不動産の関係などにおいてはかえつて現在よりも、これを始末をつけて行く仕事に非常な労力がいるかと予想しておりますが、今のうちにわけておいて将来に備えて独立の部を設けるのが適当である、ことに現在におきましては、労務と不動産、その労務の問題も相当大きな問題でございますので、一人の部長に所掌せしめるのには、なかなか容易ならぬ点があろうと存じまして、わけたわけてあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X01319510519/71
-
072・松本善壽
○松本(善)委員 ただいま長官から終戦処理費に関するところの予算の割当には何ら変動がない、かようにお聞きしたのでありまするが、さようなことであるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X01319510519/72
-
073・根道廣吉
○根道政府委員 変動がないと申しましたのは、終戦処理費の予算について、今のところ何ら変動がないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X01319510519/73
-
074・松本善壽
○松本(善)委員 しからばその機構において、従来やりつつあつたところの機構を、講和を前にしたところの直接的に及ぶ影響によつて、特別調達庁のあり方についても相当つつ込んだ研究をしなければならぬという現実が目の前にある。このときにあたつて、いかにするかという問題が出た場合においては、その予算面をいかに運営するかということはもちろん当然考えるべきことであるが、労務のあり方を移行した場合においては、従来の官庁の会計から行くならば、非常に冗費というものが飛ぶはずである。あるいは各部の機構の変更とかいうような場合において、各部の予算科目にも出ないような費用が従来使われるのが通例である。従つてかような制限されたわく内において、行政がただちに改革され、そうして内部的なる組織が分担され、職員がそれに従事するということのこの一点から考えても、長官としても非常に荷が重いだろうと思う。しかる意味において、あるいは審議会における統合改廃もここにその一案として出たわけである。これももちろん当然である。しかしかような見地に立つて考えた場合において、一般の場合は、これを拡充するための研究の費用をとるとか、あるいはまたそれに要する研究的な、企画的な人員を別にとるとか、あるいは改廃する場合に当然に起るべきところの企画関係の費用または事務その他が付随的に及ぶのが当然である。しかしながらかようなことも考えておる現状において、どういうような施行方針をもつてこれに当られるか、この運営面においてよりよくお聞かせを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X01319510519/74
-
075・根道廣吉
○根道政府委員 お説の通り、特別調達庁は現在より近き将来にわたつていろいろな変化が起つて行くであろうことを予想いたしまして、いろいろのことを日夜考えております。この変化の中に、まずこれはなさねばならぬ、まずこうやつて置く方がいいと考えてつくりましたのが、今度の改正案、機構改革、それが単に本庁だけに現われて参つたわけであります。地方におきましては、現業面としましては、形の上におきましても、仕事の内容の上におきましても、現実にはまだ変化が起つておりません。従いまして、これはあるいはこのままにしておかなければならぬものでありましようが、われわれの予想いたしまする仕事の変革に備えまして少くとも労務と不動産は独立にして、片方においてやむを得ず契約及び監督を統合する、また統合することは、やむを得ずと申し上げましたが、別々におる方がいいのではありますが、また統合いたしますることによりまして、技術監督面と契約面というものが、一本になつて、いろいろな指揮監督をするというふうな点においてもまた利益のないわけでもございませんので、そういうふうな改正案の御審議をお願いしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X01319510519/75
-
076・青木正
○青木(正)委員長代理 松本君、時間も大分たちましたので、なるべく簡単に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X01319510519/76
-
077・松本善壽
○松本(善)委員 もう一点だけ結論をひとつ……。かかるような理由によりまして、一応了承いたしましたが、それによつて来るところの監査の現在のあり方を強化して、そして特別調達庁を考えた場合に、あるいは有終の美といつては失礼であるが、大体かような特別調達庁における業務の全体という考え方を非常に強くここへ持つて来られて、監査の権能を強く浮び上らせたということは、もちろん統合会社、あるいは整理関係において一般会社においてもその通りであり、また官庁の改廃についてもしばしばその通りである。かつての公団問題もあり、設ける、あるいは廃止するというような問題、あるいは拡充するという場合においても非常に問題があるはずである。このときにあたつて、監査機能を拡大して充実さそうというこの趣旨は、私どもとしてもまことに賛成である。従つてかかる意味合いにおいて、私も質疑としてはこれをもつてとどめて、参考意見として監査業務に対する強力なる施行を望んでやまないものである。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X01319510519/77
-
078・青木正
○青木(正)委員長代理 それでは次会は来週火曜日、二十二日午前十時半より開会いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時四十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004889X01319510519/78
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。