1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和二十六年三月十四日(水曜日)
午前十一時十一分開議
出席委員
委員長 千賀 康治君
理事 中垣 國男君 理事 野原 正勝君
理事 松浦 東介君 理事 吉川 久衛君
理事 足鹿 覺君
宇野秀次郎君 小笠原八十美君
小淵 光平君 川西 清君
河野 謙三君 中馬 辰猪君
幡谷仙次郎君 原田 雪松君
平野 三郎君 八木 一郎君
金子與重郎君 八百板 正君
池田 峯雄君 横田甚太郎君
出席国務大臣
農 林 大 臣 廣川 弘禪君
出席政府委員
農林事務官
(大臣官房長) 塩見友之助君
農林事務官
(大臣官房農林
金融課長) 富谷 彰介君
農林事務官
(農地局長) 平川 守君
農林事務官
(農業改良局
長) 小倉 武一君
農林事務官
(畜産局長) 山根 東明君
委員外の出席者
農林事務官
(農政局農政課
長) 渡部 伍良君
專 門 員 難波 理平君
專 門 員 岩隈 博君
專 門 員 藤井 信君
三月十四日
委員金子與重郎君及び池田峯雄君辞任につき、
その補欠として小林運美君及び木村榮君が議長
の指名で委員に選任された。
—————————————
本日の会議に付した事件
農林漁業資金融通法案(内閣提出第六四号)
積雪寒冷單作地帶振興臨時措置法案(松浦東介
君外百四十名提出、衆法第一一号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02119510314/0
-
001・千賀康治
○千賀委員長 これより農林委員会を開会いたします。
農林漁業資金融通法案を議題といたし、質疑を行います。質疑は通告順に許します。小笠原八十美君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02119510314/1
-
002・小笠原八十美
○小笠原委員 総括的な質問は、農林大臣並びに大蔵当局の御出席を待つてそれから行いたいと思うが、まずもつて官房長に御答弁願いたい。
この前から問題になつている畜産関係、蚕糸関係は、簡單にオーケーもとれた。そこで今度それを裏づける予算関係の振りわけはどういうふうになさるおつもりであるか。これが確立しないと、われわれは本案の審議に迷うのです。だからその内容がきまつておれば、それを明確にしてもらいたいということと、またかりにその内容が確立していないということならば、これからの見通しという点について明確にしていただきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02119510314/2
-
003・塩見友之助
○塩見政府委員 ただいまお尋ねのございました点については、六十億の預金部資金の導入については、まだ詳細な内容のものは遺憾ながら作成されていないのでございます。それで過去において何回かつくつたものもございますけれども、この国会のいろいろな御要望というふうなものを織り込んで、相当それを訂正しなければならないということで、今鋭意研究中でございますが、できるだけ早くそれを作成してお目にかけたいとは存じておりますけれども、まだできておりません。事務当局の作成の方針としては、御趣旨を体しまして、できるだけ共同施設、特に畜産であるとか、蚕糸であるとか、幾らか従来の考え方としては軽視されていたようなふうに感じられる点に相当重点を置いて、それで案をつくりたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02119510314/3
-
004・小笠原八十美
○小笠原委員 ただいまの御答弁の六十億というのは、最初の畜産、蚕糸の入らない前の六十億というお話でありますか、それとも今後補正的に六十億というものをやつてくださるのであるか、どちらでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02119510314/4
-
005・塩見友之助
○塩見政府委員 これは今後額をふやして行く預金部資金の方の六十億についてでございます。この特別会計の金利の計算、それから特別会計の收支の計算というふうなものが、大体において六十億をさらに導入するという前提のもとに立つているという関係から、また過去において金利補給とか、その他いろいろ農林、畜産、蚕糸、水産というものの予算折衝上の関係からも、大蔵省の方では、これは農林漁業資金融通法の関係のそのわくをふやしてやつて行つたらどうか、こういうふうな折衝の過程においてけられたようなものも相当ございますので、その点については大蔵省としては、私の聞いている限りでは、好意的にできるだけ善処するということで、その六十億全体のわくについて幾らということは、今明確に答えかねる段階に至つておりますが、必ずこの点については、われわれとしてひとつ緊褌一番、できるだけの額をとりたい考えで、今折衝をいたしたいと考えているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02119510314/5
-
006・小笠原八十美
○小笠原委員 この六十億の範囲内で計画、割振り決定がしておらぬことは、それはごもつともなことでありますが、しかしながら、今後のことはまだ未決定の問題でも、大体予想だけはつく話であります。この法案を提案する時分に、すでにおきまりになつた六十億、これがかりに振当てができたといたしますと、さらにこの題目に畜産、蚕糸というものが出た以上は、すでにきめた六十億の内容にも変更があるべきだと思う。同時にこれから追加するものは、按分しようとか、あるいは事情によつては取捨選択も必要があるでしようが、今度出るものは全部に対して関係のあるものでありまして、追加された事業的な内容がある以上は、今のきまつた六十億に手が入らぬという理由はどういうところが、それが私にはわからない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02119510314/6
-
007・塩見友之助
○塩見政府委員 その点は、われわれの方としては、預金部資金の導入によつてわくを拡げられるという、ある程度の自信を持つているものでございますから、できるだけ関係方面と折衝を済ませました既存の六十億については手を触れないで、またそれがある程度折衝の経過上さらに減つてもいいと、そのような理由もなかなか申しにくい関係にもございますので、あとの六十億のわくの方をふやすことによつて、それを優先的に考えて参りたいという考え方でいるのでございまして、できるだけの努力は拂うつもりでございますから、御了承願いたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02119510314/7
-
008・小笠原八十美
○小笠原委員 そこでわれわれがわからなくなつてしまうのでありますが、そうすると、一体根本からお尋ねしなくてはならぬ。畜産、蚕糸を追加するという問題に対しては、政府当局の方では、政務次官を初め皆さんの方で、なかなか向うの方はめんどうだから、これはやりかねるとか、あるいはもう見込みなしとかいう宣告までもやられたが、しかしそういうはずはないというので、われわれ委員側から満場一致をもつて、こんなものはのめない、何とかこれだけは追加をといつたところがオーケーが来て、その結果を裏面で聞いてみると、政府も協力なされた、それがために向うの方でも簡單に畜産と蚕糸の追加を認めたということを承つておりますが、これは事実ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02119510314/8
-
009・塩見友之助
○塩見政府委員 従来の経過から申し上げますと、農業という言葉の中には、一応畜産及び蚕糸というふうなものは含ませておるという考え方でこの法案を立案したわけで、共同施設の方の農業倉庫にもこの六十億のわくが当てはめられていないと同様に、畜産、蚕糸というふうなものもわくが当てはめられていなかつたわけでございますけれども、当初から落そうというふうな考えではなかつたようでございます。ただ具体的に六十億の中にわくが入つていないというふうな点に対しまして、こういう農林漁業に対する特殊の金融については、数年前学校であるとかその他いろいろな関係の特殊金融が問題になつた際以来、非常にむずかしい状態にあつたものですから、農林漁業の中でも、特にほかとのつり合い上、特殊性が強調されるというふうな点で、当初は遠慮して非常に限定して出した。それをこの議会において非常に広げろというふうな御趣旨の意見が強くて、それで共同施設の方にも具体的にそういうふうな問題も全部含めるという形で、議会の御意向を尊重しまして折衝した結果、了解を得た、こういう経過になつております。その点はそういうふうな経過でございますので、今後においてできるだけわれわれとしては努力を拂つて、御趣旨に沿うように折衝して参りたい、こう考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02119510314/9
-
010・小笠原八十美
○小笠原委員 ちよつとこまかくなるけれども、そこが理論的にぼくらにわからぬ。政府の方も議会の意思を取入れて、そうして共同で向うに折衝した結果オーケーが来たということになれば、六十億という既存のものに事業が追加されたことに対して、政府は協力したということになる。そうなれば、既存の六十億に対する予算の分配の割振りをしなければいかぬ。しかしただあなたの方で急に向うに折衝するのはめんどうくさい、ややともすれば切り込まれて来て、六十億が四十億になるかもしれぬと言う。これはかつてな話で、なればなつたでかまわないが、なる理由がない、向うでも許したのだから……。これは新事業に対して割振りの責任を持つてのオーケーなんだ。これにそういう杞憂を持つこと自体がわれわれにはわからない。しかし相手は向う様のことだから、向うの流儀でどういうことをされるかもしれぬ。されるとしても、日本が日本の立場において、理論的にそういう事業が加わつたら、元の内容的予算もやはり配分を新たにしてやる。それから追加のものは全部に対しての追加であつて、いかに畜産が食糧問題で重要であり、養蚕が輸出産業の日本の経済確立の上に重要であると言つたつて、これは議論にならぬ。今後の六十億が全部この二つにとれるということでもない。従つて従来の六十億に対して提案した法案は、事業が加われば、そこから根本を直して行かなければこつちの方では納得しかねる点がある。しかも官房長自体が納得できておるかどうか疑わしい。自信があるかどうか疑わしい。それを大蔵省の役人が、あぶないからこれは手をつけないで、新たに出してやるからそれでうまくやつてしまおうとかなんとか、そういうことはこの法律提案の趣旨に反する問題で、そうなれば畜産と養蚕の別法において、これに対し予算をとる法案をともかくここに出すということならわかる。これが加わつた以上は、そういうわけには行きますまい。これはあなたの方で、委員が何と言つてもここにこういう事業が加わつた以上は、元の予算の割振りを根本的に直すのが理論的に当然であつて、役所としてはそれ以上できませんと逆に言うのがほんとうで、それをそのままにして、そつちから、もらつた上で何とかしようということは、一体それで政府の答弁になりますか。その点がどうも私にはわからない。それは官房長一人の御意見か、政府全体の御意見か、政務次官も事務次官もそんなことに同意しておるのかね、あぶなくてしかたがない。もし御答弁ができなければ、大臣が来てからということで一応保留するとか、もし少し相談した結果、まとまつたものを述べるとか、これは重要な問題で、悪い例を残すことになるから、この点だけははつきりしてもらわなければ困る。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02119510314/10
-
011・塩見友之助
○塩見政府委員 ただいまの御質問は非常に重要な問題でございますし、われわれ事務当局だけの判断でお答えできないような点にひつかかつておると思いますので、できれば大臣が来られてから、大臣からお答え願つた方がいいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02119510314/11
-
012・小笠原八十美
○小笠原委員 それでは大臣が来るまで保留します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02119510314/12
-
013・千賀康治
○千賀委員長 川西清君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02119510314/13
-
014・川西清
○川西委員 この農林漁業資金融通法案は、御承知の通り長期低利の資金を融通して、農林漁業の生産力を増進するのが目的なんでありますが、こういうような融通資金について、原案のように多種類の利率を設けますことは、あまり前例のないことでありまするし、この差異をつける根拠を正確に求めることはむずかしいと思います。参考資料として御配付になりました、農林漁業資金の貸付條件算定に関する資料を見ましても、こういうふうに利率に差異をつける根拠は、どうしても解しがたいのであります。私は塩に関係しておりますが、林業関係、特に林道関係も同様であろうと思うのであります。現在塩の賠償価額は、二十三年に一トン九千七百五十円ときまりましたままで、その後変更されておりません。塩は農業と同様に原始産業でありまして、この賠償価額によりますれば、生産費だけで一ぱいでありまして、償還の余裕などは全然ないのであります。また塩田の造成にいたしましても、一町歩約二百万ないし三百万円かかりまして、農地以上の経費がかかる。こういうような事情に照しまして、各部分とも農地改良並みに利率を七分五厘、五分五厘、四分五厘と一定にするのが適当と考えるのでありますが、この点につきましてどういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02119510314/14
-
015・富谷彰介
○富谷政府委員 ただいまの利率が、各議長によりましてまちまちになつておるという点でございますが、これは各事業主体があげます経済効果を金額に換算いたしまして、償還可能な限度まで利率を逆に上げて参つたということになつております。その上げました理由を申し上げますと、預金部資金からの導入の規定は特別会計法の第十二條にありまして、その最高限度は——現在同特別会計の出資金は、御承知のように六十億円となつておりますが、この出資金の限度まで借りられる。但し金額は予算で定めるというふうになつております。資金を導入するためにそれぞれの業種について上げたというふうになつておりますが、その限定について申し上げますと、これの主管は大蔵省でございますので、大蔵省の主管課と連絡の上で利率を算定いたしました。現在の利率で償還可能であるという基礎は、お手元に差上げました資料にある通りであります。
それから林道に関しましては、現在市中銀行から林道開設に融資されておるような関係もございますので、それを勘案いたしましてこのような利率といたしたような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02119510314/15
-
016・川西清
○川西委員 今御答弁がございましたけれども、この資料だけによりましては、利率をこういうふうに区別してつけなければならぬという、はつきり得心の行くような根拠がどこにも見出しがたいのであります。さらに預金部から六十億だすということは、われわれの最も念願するところでありますけれども、特に先ほど官房長の答弁にもありましたように、仮定のもとの話でありまして、現在配付になつておる予算の参考書によりましても、現在のままでありますれば一億八千万円の利子收入がある。手数料その他で約九千万円、残り九千万円は余裕金として出て来るわけでありまして、原案による利子收入は平年度約三億六千九百七十八万五千円、それに対して私の申しますように利率を一定にいたしますと、利子收入は三億五千百四十万円になりまして、差引利子收入の減少額は千八百三十八万五千円、約千八百万円だけの差がある。それでありますから、余裕金が九千万円あつたのが七千何百万円くらいに減るだけのことであります。この点につきましてどういうふうに考えるか。さらに六十億出ることはもちろん念願しておることでありますけれども、これについては、先ほどもお話がありましたように、まだ内訳も決定しておらない、すべて仮定の話であります。そういう仮定のもとの話が実現いたしましたような場合には、さらに補正予算を計上して千八百万円くらいどうでもなる。それでありますから、その点につきましてどういうふうに考えるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02119510314/16
-
017・富谷彰介
○富谷政府委員 ただいまのお話でございますが、利息收入を年利にして三厘下げますと、これによりまして預金部導入資金の限度というものは現在の六十億円から四十五億円に落ちるわけであります。一ぺん下げておいて、わずかの金額だから補正予算でどうでもなるじやないかというお話でありましたが、一旦下げて、それによつて貸出しますと、現に利息收入がその分だけ落ちるわけであります。補正予算で一般会計から利子補給でもない限りは、一旦下げた利率によつて六十億を導入するわけには参りません。
それから利子補給の点でございますが、私ども考えますに、かように一般会計及び見返り資金特別会計から無利子の金をもらつて低利融資をして、その上になおかつ利子補給を別途に要求するということは、少し筋が通らぬのではなかろうかという考えを持つておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02119510314/17
-
018・川西清
○川西委員 ただいまのお話のように、利子收入から総額を逆算されることはちよつと常識上おかしいと思う。この点につきましてはさらに熟考していただくように願います。
もう一点こまかいことだけお尋ねいたします。塩田の煎熬場は融資の対象になつておらないようでありますが、その点どういうふうにお考えでありますか。これは塩田の一部でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02119510314/18
-
019・富谷彰介
○富谷政府委員 塩田関係の煎熬施設——これは煮つめるための機械設備でございますが、これは今回の六十億の配分計画の中では、融資の対象と考えておりません。その理由といたしまして、これは塩田に限りませんで、すべての業種について同様でございまして、先ほどお話のございました畜産、蚕糸も同様でございます。とにかく資金の需要量は非常に多いけれども、配当さるべき金額が限定されている。そういうわけでこの六十億の配分計画につきましては、土地及び堤防、そういつた土地に付属する設備だけに限定いたして、煎熬施設に対しては将来の問題であるというふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02119510314/19
-
020・川西清
○川西委員 この点、塩田は農業同様に原始産業であることをもう一回勘案されまして、さらに御考慮を願うことを希望して質問を打切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02119510314/20
-
021・千賀康治
○千賀委員長 大臣に対して保留された分の質問を許します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02119510314/21
-
022・小笠原八十美
○小笠原委員 先刻大臣に対して保留した分についてお尋ねしたいと思います。今度、きわめて重要な食糧解決の畜産また輸出関係の日本経済に関係ある蚕糸、こういう事業がこの法案に加わつた。加わつたから、これに対する予算の裏づけを今官房長の方にお尋ねいたした。ところが今後さらに六十億の追加予算を予想して、このうちから相当に振当てると、相当御同情のあるお考えのほどはよくわかります。しかし法案の趣旨からいつて、今後出るものは別なんだ。出るか出ないかということはわからない。どんな口をきいても、これは確立したものではない。まだもらつたものではない、補正的なものである。すでに六十億ということがきまつている以上この六十億と、後に事業が加われば、その六十億に手をつけた割振りの計画が一致してこの法案になるということは、申さぬでも大臣の方は明確に御承知のはずである。これを逆にわれわれの方で動かすことは何事だと追究した場合に、事業が加わつた法案である以上は、これを動かすのはあたりまえだという答弁をなさることが政府の提案の理由になければならない。これには逆に手をつけたくないと言う。そうして新たにこれから来る六十億の中で考えようという夢みたいな答弁では、法案の提案理由にならない。大臣よく考えてください。しかもこの前も、畜産の問題とか蚕糸の問題を、何とかこれに加えなければならぬということを再三主張した。大臣もそれはよかろうと言つたけれども、事務当局の方は、関係筋がどうのこうのとおつかなびつくりで、幅を広げてはどうこうと、くだらないことを言つてとうとうここに来て、議員の方から修正というようなかつこうで、それに協力して向うのオーケーをとつたということである。またも予算に来ておつかなびつくりで、四十五億に減らされては困るとか、くだらないことを言つている。二度も三度も同じ轍をふむようなことをして、政府の体面にかかわるようなことをせぬでも、堂々と減らそうが引こうが、向うでオーケーを與えて事業を追加した以上は、それに予算の割振りをするのがけだし当然である。かえつてこつちの方で遠慮会釈をするから、ぼくらにわからない。当委員会を無視して瞞着するような気分が政府に多分にあつて、どうもわれわれには納得しかねる点がある。ことに大臣はよく考えて、委員会をもう少し重要視しなければならぬ。自由党から出た内閣、しかも大政党である。国民に対しても重大責任がある。それであるから、この委員会を軽視するような傾向があつてはいかぬ。なぜそういうことを言うか。畜産、蚕糸の問題を軽視しておるからだ。政務次官のごときは、政府を代表し、それは絶対不可能とまで言つたのを、こつちの方で出せば、さつさとオーケーが来る。そういう裏面工作は、いかにも委員会を無視しておるような気分が多分にある。今度の予算においても、当然改むべきもを改めないで、今後通ればと言うことは、それでいいでしようか。それで法案になるでしようか。それが政府のやり方でしようか。それがあぶないからといつて今官房長に聞いたら、官房長は正直だ。これはわれわれ事務当局がそう思つたのではいけないから、大臣からしつかりお聞きになつた方がいいでしよう、こういうことでそれまで保留にして、今大臣が出席になつたわけでありますが、どうか明快な政府のやり方を御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02119510314/22
-
023・廣川弘禪
○廣川国務大臣 何か押しつけられて喚問されたようですが……。第一に、農林漁業金融特別経済とでも言うのですか、それをつくるときのことを想起してもらいたいと思うのであります。長期資金というのは絶対できないということは、政府部内からも放送されておつたのであります。それをわれわれの方の農林省の全能なる官吏諸君が、一生懸命に苦労してつくり上げたのです。しかもまた予算編成期が迫つておつて、非常に短い期間にやつたのであります。そうしてやつとここまでこぎ着けたのであります。しかもまた特定の人は、政府の言うことは頭からはねつけるが、国会を尊重するくせのあることもよくあなたは御承知の通りであります。そういうようなことで、あなた方の御努力によつてその了解を得られたということは、日本の畜産、蚕糸界にとつては非常な光明を見出すことになるのであります。しかしわれわれとして考えたことは、これは明示いたしておりませんが、内容には十分含まれておつたはずであります。ただこれをはつきり明示したところに、今後の行き方に非常に明るい点を見出しておるのであります。これはわれわれとして考えた場合には、畜産なりあるいは蚕糸なりは、市中銀行の金融が比較的まだつきやすいが、その市中銀行の金融がつかない分を先にしたということで御了解を願いたいのです。特に蚕糸の方は、蚕糸業界においては現在自己資金を持つておるのでありますが、この自己資金を糸価安定なり、あるいは蚕糸業発展のために、どうしてもわれわれは使わなければならぬということで、懸命な努力をしておるのであります。その点にも含みを持たしておつたわけであります。それからまた畜産関係については、中金から特別な方法でこれを出させようということで、いろいろ苦心しておつたのであります。その方面に重点を置いてかようなことになつたのでありまするが、しかしここで皆様方に法律をきめてもらえますれば、日本の財政当局も法律には従わなければなりませんので、等額の金をこの中に入れなければならぬことになるのであります。この法律を先にきめてもらえば、いや応なしに六十億のものは入れなければならぬ義務を持たせることになるのであります。でありますから、この法律を通してもらいたいというのが私らの提案理由であります。こういうようなわけで、決して私たちといたしましては、そのうちの三十億だとか、四十億だとかいうようなことで退歩するのじやない。法律の明文の示す通り、等額のものを入れるために努力いたすのであります。またあなたも長い間国会を運営せられておりまして、臨時国会を開かなければならぬということは十分御存じのはずであるのであります。特にこういつたようなもの、あるいはその他のことで臨時国会を開かなければならぬということは、あなたは百も承知でおつしやつておられることと思つておるのでありまして、そのようになつた以上は、それについて十分私は考えて行きたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02119510314/23
-
024・小笠原八十美
○小笠原委員 なかなか大臣は答弁がうまくて、迷わされるよ。こういうふうにわれわれ委員の方でも迷うような御答弁ばかりでは困るのです。これは重点がたつた一つしかない。いかにもこの法案でもつて長期資金にまで乘り出したことは、大臣も苦心し、事務当局も相当な骨を折つたことはよく知つておる。これは大成功だ、それまで行つたことはよくわかります。そこにただ畜産という重点と、蚕糸という重点と横に置いてやつた。今度中金から七分の利子を出すとか何とかで、やつかいものにした点がいかぬ。これはここに織り込んだものでありますが、臨時国会とか何とかいう問題は別の話です。別の話だが、今法律さえ通れば、六十億のうちに何とか入れなければならぬ。その六十億は多分ここの現在の六十億をさされるものだと私は思つておるが、今後の六十億のお話でしようか。それではちよつと困る。なぜ困るかといえば、そうすると法律にならない。今度六十億とれるか三十億とれるかわからないが、それのうちにおいて何とかしようということは、立法の趣旨にならぬのだ。そうでなく、今ある六十億をなぜそこへ割振りしないか。そういう御答弁でなく、もう一ぺん考え直してしつかりしてもらわなければ、これは法案にならない。この重点一つをはつきりしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02119510314/24
-
025・廣川弘禪
○廣川国務大臣 あなたは、どうしても自分の方で固めた現在の六十億の中で配分しろ、こういうことのようであります。ところがここまで積み上げて来るのには、長い苦しい道行きをたどつて来ておるのでありまして、そこまで涙のないことをおつしやらずに、今度とれる六十億の中でわれわれは十分に努力する、こういうことを事務当局で心から言つておるはずであります。これは事務当局とわれわれとずいぶんお話したのでありまするが、これも先ほどここに畜産、蚕糸を入れたような方法でうまく行けばよろしいのでありますが、何せ急いでおるのでありまして、今国会にはどうしてもこれをやりたいのです。時間がもうなくなつておりますので、私は特になぞをかけて、今度の臨時国会、こういう目標を立つておるわけでありますので、その程度で御了解を願えれば、今後やつて行く上において非常に都合がよろしいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02119510314/25
-
026・小笠原八十美
○小笠原委員 今度はだんだんにわかつて来た。これは政治ですから、いろいろこういうことをやつていじくつておるのには相手があるものだから、折衛するうちに期間もなくなるという都合もある。それではあなたにひとついい方法をお知らせしよう。あなたの答弁はまだ未熟だ。あなたは大蔵大臣をここへ呼んで来て、大蔵大臣に六十億は確かだということを答弁させて、それでその六十億を、今の根本の六十億から割振りしたと同様な按分によつて、新事業に対して織り込むのだという答弁をあなたがなされば、わけなく済む。それを海のものか、山のものか未知にしておいて、ことに大蔵大臣がある席において、そういうことは知らぬという答弁をして、あとからまた焼直しをするといつても、さつぱりこの委員会としてはわからぬ。そこを同じ政府であるのだから、あなたの方からやつて、明日の朝でもここへ来て、はつきり答弁なさるにおいては、話はもつともだということになる。わからないようにしておいて、わかつてくれということは無理だから、その点政府の連帶の責任として、ここへ明確にする必要があると思う。どうかそれをやつていただきたい。
それからもう一つ、こういうことに対して、ぼくは畜産局長を呼んだのだ。大臣も聞いてください。そこで畜産局長に聞きたいのは、いよいよ畜産というものをあなたはここへ織り込んだ。それならば、どれだけの受入れ態勢をこしらえて、導入資金は幾らだ、何は幾らだということは、畜産局で今研究なされておるのか。漫然とこちらから割振りするのを待つておるのか。そこで、ばかにされる、畜産局廃止なんていつて、われわれは情ない。もう少しあなたはしつかりしてもらわぬと、畜産はどうなるのかわからない。せつかく大臣まで鶏の二千羽も飼つて大した畜産大臣になつておるのだから、この場合鶏に限つたわけではない、すべての問題であなたの方の受入れ態勢がなくてはならぬはずだ。その点の用意ができておるか、その点大臣に連絡をしておるか、事務的の連絡はどうなつておるか。それを承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02119510314/26
-
027・山根東明
○山根政府委員 私どもの方といたしましては、畜産に所要の融資の計画を立てております。事務的には、金融課長の方へは、この法案と関連してしばしば折衝いたしております。特に畜産の施設資金につきましては、はつきりした具体的な数字を差出しております。たとえば牧野の改良事業でありますとか、あるいは畜産物の共同処理加工に要する施設、こういうようなものにつきましては資料を差出しております。それに基いて官房の方でも計画を進めてくれておることと思います。家畜導入資金につきましては、実は最初からの問題でありまして、当時から私どもの持つております家畜導入計画に基く所要資金額というものは実は立てておるのであります。ただこれは、私どもがその資料を得ました過程を申しますと、かねてから経済部長会合その他で、県知事からとりました材料を基礎にいたしておるものでありまして、一応それを私どもの基礎にはいたしておるのでありますが、新しく経済自立計画が立てられたに伴いまして、畜産の計画もそれに即応して若干改訂を見たような関係で、巖密に申しまして、そのまま持つて行けるかどうかという点は、あるいは若干問題があるかとも思うのでありますが、大体のスケールは動かないという考えで、そういう意味では一応の受入れ態勢は私どもの方では持つておるというふうに御了承願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02119510314/27
-
028・小笠原八十美
○小笠原委員 そういう計画があればこれ以上は追究いたしませんが、この問題を解決するために畜産局に資料を要求しておきます。今ただちに御答弁いただくといつても、局長にはちよつとわからない点があるでしようから、その資料だけを詳細に準備してもらいたい。これは食糧問題の重要な畜産関係の責任を持つておる省のことであるから、農地部の方とよく連絡をとつて、一体日本に無畜農家はどれだけあるか、これを調べてもらいたい。それからもう一つは、種馬、種牛、種豚、これらのものが日本で減少して、日本の畜産というものは全滅の形をたどりつつある、これをどういう購入受入れ態勢にするか。それから今度の法案と直接関係はなくとも、予算が裏づけする家畜の衛生問題、伝貧のごときは国家が何億ずつ損をしなければならぬような今日の状態にあるにもかかわらず、原因不明なりとしておる。その原因不明が何であるか。学者に研究させる金を惜しんで、大蔵省がむやみに創つた点が原因でしようが、これは一ぺんに解決しなければならぬ重大な責任がある。なぜならば、馬の伝貧を研究するのにモルモツトを使つておる。馬に與える金を與えぬで、モルモツトに金を與えておる。これでは学者は研究も何できない。ただ学者は月給をとつて、何とかその日暮しをするためにモルモツトを使つておるだけだ。こんなくだらないことを政府はやつておる。畜産局は実際もう少しがんばらなければならない。その点もはつきりさせ、どれだけの予算があればいいかということも考え、それから今後これをどれだけ導入すればいいか。それから乳・肉・卵の問題が一番大きい。一般国民に配給するにはどれだけを必要とするか。これはだんだん文化的な食糧確保に進むにつれて、乳・肉・卵が問題になる。どれだけの鶴があつて、どれだけの乳があつて、どれだけの肉があつて、その資源をどこに求めて、それをどういうふうに配置するか、どういう牛が一番肉によろしいか、乳にどういう種類のものがよろしいか、卵はどうであるかというようなことを巖密に調べて、統計をとつて、政府の方針としては、こうこうこういうことを織り込まなければならぬ、こういうようなことをしつかりと現わしたものを——これは農林委員としてはだれでもほしい。もつともわれわれの調べと政府の調べと、その資料によつて突き合せて研究する必要があるのでありましようが、一応政府として準備が必要なんです。なかなかこの問題はしつかりしない。
それから話は進んで、次に突き詰めなければならぬのは、国営競馬の問題です。この問題に対して、せんだつてあなたの方で、国営競馬でフオーカスを一時中止した。そうして間もなくこれを復活した。この復活はぼくらも要求はしたが、だれがこれを中止したか、またそれによつて損害をこうむつた額が幾らあるか。しかも政府として一時中止したところ、ほかの方から反対されたからか、また復活された。こんなみつともないことはない。さらにまたフオーカスを中止したために、地方競馬の方にすつかり株をとられてしまつて、いまだに国営競馬が浮き上らないような状態にした。この責任をだれが負うか。この責任者を役人に一人も出さないということはどういうことだ。こういう不都合なことをした者に対して——競馬部長であろうが、畜産局長であろうが、こういう国家に大損害を與えた者に責任をとらせないことは何事だ。こういう畜産に関する重大問題に対して、みなしらを切つて、あぐらをかいて眠つておるのではだめだ。功罪をはつきりして進むようでなければ、畜産の方はいつでもばかにされて、畜産局長、あなたぼやぼやしておると、あしたにでも畜産局を廃止するということがどこからか出て来ますよ。出ない前に用心して、あなたの方で相当準備をして、国家的な立場に立つて大臣を補佐し、畜産の問題を一番先に掲げるようにしなければ、畜産の金なんかどこからでも出るから、これはあとまわしにした、こういうにぶい話を大臣がするようでは情ない。それはあなたの補佐役が足りないのだ。この点を十分お気をつけなすつて、しつかり立ち上らないと、わが日本の食糧解決の問題は土台が少し怪しくなる。あなたは国家において重要な立場にあるのだから、その点しつかりしてもらいたい。そうして詳細な資料を出していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02119510314/28
-
029・廣川弘禪
○廣川国務大臣 小笠原さんから、大蔵大臣を連れて来てここでしやべらせろという話でありますが、池田君もこの間連合審査会で言つておる通りに、法文の一々を読んでないものでありまするから、ああいつたちぐはぐな答弁をいたしておりますが、この法律さえ通してもらえば、必ずこれは道義的に大蔵省を縛ることができるのでありますから、早く法律を通して、縛ることをお考え願いたいと思うのであります。われわれとしては、池田君にも十分あなたの意のあるところを伝えておきます。事務の方でも、これを事務的に十分折衝いたすことにやぶさかではございません。
最後にフオーカス廃止の問題についてでありますが。これは私が処分してやつたので、私はその責任を感じて済まなかつたと考えておりますから、どうぞ御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02119510314/29
-
030・小笠原八十美
○小笠原委員 大臣、そんなことを言つては困るよ。私と言つて、あなたはフオーカスのことを何も知らぬのに、そんなとぼけたことを言つて、部下をかばうのはいけない。そういうのなら、部下の罪悪に対して別の観点からこの次掘り下げて、大臣に責任を負わせる。大臣がそういうつまらない、わかりもしないことを、おれがやつた——最後はあんたが判をついたことはわかつておる。しかし大臣に判をつかせるように迷わせた者はだれだと私は言つておる。その根本の点を聞かなければ、みんなおれだおれだと言つてしまつてはだめだ。そうすると補佐役というものはさつぱりわけがわからなくなる。
それから今の大蔵大臣の問題、もし大蔵大臣がここで答弁できないということが何かであつたならば、非公式でもよろしい、われわれ各党から一名ずつ行つて、あなたが立会人で大臣の前で、法案が通ればこの問題に対しては解決つけるという、その話はできるかできないか、その点をひとつあわせて御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02119510314/30
-
031・廣川弘禪
○廣川国務大臣 それは十分私相談します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02119510314/31
-
032・横田甚太郎
○横田委員 臨時国会を開いて、いろいろこういうふうな問題をきめるような機会があるような話でございましたね。それで一応聞いておきたいのですが、廣川農林大臣は畜産のこの問題より、もつと大きな問題である興農国会を朗報で放送されたことがある。しかしそれは、去年が終つても一向興農国会はなかつた。今度の臨時国会はいつごろの見通しなんですか。それをちよつと承つておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02119510314/32
-
033・廣川弘禪
○廣川国務大臣 臨時国会は必要に応じて開かなければならぬと私は考えておりますが、いつ何日というふうに明示するわけには参らぬと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02119510314/33
-
034・横田甚太郎
○横田委員 その臨時国会は、去年のようにまた正月を越しますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02119510314/34
-
035・廣川弘禪
○廣川国務大臣 そんなに悠長ではないと、私は私の勘でそう思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02119510314/35
-
036・横田甚太郎
○横田委員 そういたしますと、畜産のことについては、市中銀行から相当の金融の方法もあると言われましたね。具体的な例を聞きたいのですが、時事新報の二十六年二月八日に報道した記事として、こんなことがあります。「穀倉の秋田県といつても、單作地帶なので、県当局は営農合理化の一方法として、昨年八月に家畜導入資金の貸出・借入を奨励したのである。知の郡では十五町村・約三百農家が借入を申請したのであるが、」云々、こういうようなことがずつと書いてある。あとは略しますが、ここには農村で農馬を持つておられない、飼料が高いから持つておられない。しかたがないから、農耕にいる馬であるにもかかわらず、これを近郊地に売り渡している。こういう記事が出ている。こういうことに対しましては、どういうふうに具体的に金融の道があるかということを承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02119510314/36
-
037・廣川弘禪
○廣川国務大臣 私は比較して申しておるのでありまして、土地改良等にはほとんど市中銀行は見向いてくれません。しかし少額な牛馬買入れ等については、無盡の金であるとか、あるいはまたそういつたような市中の金融機関でついておることを私は承知いたしております。さように比較して申しておるのでありまして、この一般の購入資金、特に開拓者その他單作地帶あるいは零細農等については、投入資金の必要なことは十分承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02119510314/37
-
038・横田甚太郎
○横田委員 その金額が今まで一体どのくらい入つておつて、具体的にはこういう金はどうしたら借りられるか。大体畜産関係のことについて、中金にいろいろ金融のあつせんをいたしましところが、なかなかこれはやつてくれないのであります。ところが大臣の方から言われますと、やられておるように言われる。やられておるように言われるのであるから、どういうふうにやつておられて、具体的にこの問題はどうしたら解決つくかということだけを承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02119510314/38
-
039・廣川弘禪
○廣川国務大臣 そこで私がいつも提案しておる中短期の金でありますが、農林中金の中金債を預金部で引受けてもらつて、そしてそれをまわしたいということを、いつでも私は申し上げておるはずであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02119510314/39
-
040・横田甚太郎
○横田委員 時間もないそうですから、もう一言だけ申しますが、私が聞きたいのは、日本の農産物の二十八年度の達成目標を見て参りますと、これは大体二十八年度において、公平にわけまして一人が三斗一升ほど飲めるようになつておる。しかしこれでもやはり一人あたりの牛乳は一日一合になつていない。現在アメリカにおきましては、あるいはスエーデンにおきましても、一人が四合ほど飲めるような状態である。なんぼアメリカでも四合も飲めないというので、ずいぶん日本にアメリカの牛乳が入つておるように思われるのであります。この牛乳が良質であつたらよいが、あまり良質でないものもあるらしい。聞くところによると、学校給食に使つている中にアメリカの牛乳が相当あるらしい。そのアメリカの牛乳を飲むと、相当下痢を起すことがある。だから子供たちがこの牛乳をもらつたときには、廊下を歩くときにはゆすぶつて歩いてこぼす。ここで聞きたいのは、アメリカの過剰畜産物が日本にどのくらい入つておるかということと、過剰畜産物が入つておるその金額と、この金額をアメリカに拂わずに日本の農村に投入する、そして日本の畜産を達成するがために政府がとつておられるところの、畜産に対する何か自主的な方法があるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02119510314/40
-
041・廣川弘禪
○廣川国務大臣 アメリカの乳産品の過剰いたしておることは、私よく承知いたしております。大体日本の市価の年額で日本に入れたいという話があつたのであります。但しこれは日本の畜産界を圧迫いたしますので、われわれは輸入を断つております。ただ進駐軍用として入つておるものが市中に流れておるかに聞いておりますが、正式のルートで一般家庭に配給されておるものは、私はないと思います。どう流れておつても、表向きは進駐軍用としてある程度のものが入つておることは承知いたしておりますが、これは内地に入れないように私は努めております。また申入れのあつたときに断つたことを記憶いたします。
それから日本でもたくさん乳を飲ませたいということでありますが、そこでわれわれが考えておることは、日本の役牛を半乳牛化することであります。労働にも耐えられ、しかもまた良質な乳も出るような牛に改良いたしたいということで、私たちは黒澤君を北欧——特にデンマーク、スエーデン、あの辺の、乳用に耐え、しかも労働に耐える牛の実態生活を調査に行つてもらつておるのであります。日ならずして帰つて参りますが、その資料に基いて、私はこれを善処いたしたいと考えておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02119510314/41
-
042・原田雪松
○原田委員 小笠原委員に対する大臣の御説明でほぼ了承を得たのでありますが、大臣みずからの答弁でありますので、おそらく間違いはないと固く信じております。しかしながら政府のおつしやることは、ややもすると龍頭蛇尾といいますか、全然形を消してしまう傾向がある。一例を申し上げますと、昨年来国営競馬のマージンを畜産奨励費に三分の一出そう、こういうことを実は農林委員会で決議をいたしまして、了承を得ておる。ところがその後一銭も出しておられません。それと同時に、今度の農林漁業資金金融法の改正でも、ようやくオーケーをとつたのが畜産業と蚕糸業だけであります。けれどもこれは言つただけで、中身は何にも伴つていない。だから先ほど申し上げましたところの、見返り資金の六十億ではどうにも手が届かないから、別途預金部資金から六十億を出しますから、それによつてその方を何とかしよう、こういうことでありますが、これもはつきりしてない。だからでき得る限り、この点は歩合度をきめていただきたいと私どもは考えるのであります。しかもこの金がもし龍頭蛇尾に終ることといたしますならば、農林委員としては、特に畜産方面の諸君が腹を切らなければならぬような立場になるということは、十分洞察を願わなければならない。もちろん大臣も、その意気でもつて御善処方を願わなければならぬと思つております。
次にもう一つお尋ねしたいことは、これは資料をあとで求めたいのですが、阪神競馬の開設以来の收入のデーター、それから阪神競馬の賃貸に要するところの家賃あるいは借入れの方法等の書類、それからそれに対するいろいろな契約書類、こういうものをぜひ出していただきたい。
なお最後に、先ほど農林委員会というものの性格について、小笠原委員からお話がありました通り、もう少し重視してもらわなければならぬ。実は私ども、軽視しておられるのじやないかと思う。何となれば、農林委員は全国の国民の半数を占めるところの農村の代表者である。しかも水産業、あるいは商工業に比べまして、農林くらい純真で正直でものを言えない者はない。だから常に税金に苦しめられ、供出に苦しめられ、その他のことで苦しめられて、経済的破綻の状態に追い込められておる。大臣は所管大臣でありますから御承知のことと思いますが、私どもはそういう意味から、ここに連なるところの農林委員というものは、農民のほんとうの魂の火のかたまりでなければならぬと思うのであります。そういう意気込みでいろいろなことを相談もし、あるいはいろいろなことを改良してきめるのでありますが、これがなかなか表に現われない。これ役所の方で取上げないという場合には、ややもすると農林委員のみならず、日本農村を軽視することになりはしないか。私はこういう点を憂うるのであります。食糧増産の面から需給態勢の面まで、ほとんど農業が背負つておるのであります。私どもが終戰後食糧に困つた時代においても、農村は魚も食わないで、蛋白カロリーもとらないで生活して来たことは事実であります。そういう面から考えて来ましても、どうかするとほかの委員会と農林委員会が太刀打ちできないというような、何となくさびしい感を抱くような諸君がここには多いのであります。大臣は所管大臣でありますので、農林委員会の性格を十分御承知であります。どうかもう少し御出席願いまして、われわれを鞭撻せられまして、ほんとうに日本農民のためになるような政策を打立ててもらうように、最後にお願いしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02119510314/42
-
043・廣川弘禪
○廣川国務大臣 先ほどの、これから期待しておる六十億についてうやむやになると、農林委員会として面目がないというようなお話でありますが、これはまつたく政府としてさようなことをいたした場合には、政府自身の責任であるのでありまして、われわれといたしましてはどうしても六十億を入れたい。そしてこの法律によつて政府が決定されたことに、十分に政府が全責任を負いたい、こういう考えでおるわけであります。これはあなた方農林委員会の意を体して、大蔵省に十分折衝をいたします。それからまた全人口の約半分を占めておる農民の代表である農林委員会を尊重してもらいたいということでありますが、われわれは文字通り尊重いたしておるのであります。
それから農村に対するところの金融、あるいはまた国家資本のわけ方についてのお尋ねのようでありましたが、私どもは最初から国家資本を農村に投入いたしまして、最も経済力の脆弱な農村に資本の蓄積をしてもらう考えでおるのであります。それでこの間からだんだん一万田君が提唱いたしておる、日本に外資を入れないということがそこにあるのであります。われわれも、この点については前々から準備をいたしておるのでありますが、大体今、日本の金に換算して七千億の資本を農村に入れますと、千九百万石が——机上のプランと言われるかもしれませんが、はつきりそれが出て参るのであります。そういたしますと千九百万石外国から買つておつたものに拂う金を、工業原料として入れて、日本の富がなお増すようになるのであります。その一例は、あのアメリカからパキスタンに投入いたしておる大量の資金はどうして入れておるか、あるいはまたどういう方法でこれを使つておるかというようなことを、今詳細に検討いたし、また農林省としてもそれに対応する準備を今進めておるようなわけであるのでありまして、決して農村を軽視いたしていないのであります。われわれは自立経済をお互いに叫んでおるのであります。真の自立経済は、ここから私は出発しなければならないと考えて、その方面に努力いたしておるのであります。決して農林委員会を軽視する考えはないのであります。なお御要求の資料は出すようにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02119510314/43
-
044・千賀康治
○千賀委員長 小淵君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02119510314/44
-
045・小淵光平
○小淵委員長 長期資金の関係で、先ほど小笠原委員の質問された中に、大臣が、蚕糸に対してはすでに自己資金等もあるので、それを一時流用しておいても間に合うのだというお話をちよつとお聞きしたのですが、この自己資金とはどの金を指して言われたのか、それをちよつとお伺いしたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02119510314/45
-
046・廣川弘禪
○廣川国務大臣 小淵君、それはちよつとお聞き違いだと思います。蚕糸業界には、清算事務に入つておるうちに、いわゆる蚕糸家または蚕糸家としての金があるのであります。私はこれを正常に資金化したいということを言つたわけで、蚕糸業発達のために清算事務に入つて、その清算事務の中で保管しておる金があることは、あなた方先刻御承知の通りであります。これを正常化された資本にしたいということで、折衝中であるということを言つておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02119510314/46
-
047・小淵光平
○小淵委員 私も多分その金を指して言われたのじやないかと思うのですが、これは非常に趣きの違う金になつて来ておるわけであります。すでに御存じの通りと思うのでありますが、これは蚕糸業界の例の清算金になると思うのであります。これはひとり養蚕業にのみというわけには行かない金なんでありまして、なかんずくこれを流用するには、相当困難な問題もあると考えなくてはならないと思うのであります。ただ私どもの一番心配したのは、この金もあるのだから——大臣が非常な心配をなされておつて、あとの六十億も心配される。そのときにもしこういうようなこともあるのだからというようなことが考えられておつたなら、それこそ私は、この蚕糸業の増産の前に、大きな考え違いをしていられることがあるのじやないかということを憂えたのであります。これはこの間もちよつとお話したのですが、概して蚕糸局の予算が非常に少いのであります。この点は蚕糸業の重要性を考えていただけば、大臣もすでによくおわかりになつてくださるものと考えております。ただこの蚕糸局の少いところに持つて行つて、戰争中ほとんど五分の一以下に生産がされておるところのこの繭を、何とか五倍、六倍に引上げて行こうというのが現在の蚕糸業の考え方であります。そこで一番重要なる稚蚕共同飼育場であるとか、産繭の共同保管に関する施設の問題であるとか、あるいは検定繭の地域別の乾燥場の設置であるとかいう問題は焦眉の急であります。こういう重要なことがあるにもかかわらず、蚕糸局の予算が比較的少いのであります。その上にわれわれは、自己の資金が流用できるのだというお考えが入りますれば、ともすれば御心配願つた六十億は、非常に削減された結論の出て来るとをおそれるのであります。蚕糸業の重要性は特に御承知だと思いますが、この点に特段の御配慮を願うことと、こういう金がそう簡單に使えるものでないということをひとつ御認識の上、実現されたときの御考慮の資料にしていただきたいことを、特にお願い申し上げておく次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02119510314/47
-
048・廣川弘禪
○廣川国務大臣 あなたの御趣旨はよくわかるのであります。しかし糸価が安定することによつて養蚕も安定することでありまして、相関運しておるものであります。非常にむずかしいと御指摘になりましたが、まことにむずかしいのであります。これはどうしてもわれわれは了解をつけたいと思つて努力いたしておるのであります。あなたの御指摘の稚蚕共同飼育場に関しましては、本会計に入つておると思つております。産繭の共同保管のことは、今後期待しておる六十億の中に十分考えたいと思つておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02119510314/48
-
049・小淵光平
○小淵委員 そうしますと貸付金の種類の中に、すでに稚蚕共同飼育場の予算がこの項目の中に入つておると言われるが、私はそうではないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02119510314/49
-
050・廣川弘禪
○廣川国務大臣 ちよつと記憶が間違つておりました。今後それを考えたいということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02119510314/50
-
051・小笠原八十美
○小笠原委員 今大臣より千九百万石の解決について、外資の多額のものを入れる、そして解決をつけたいという御要望的な御答弁があつたのであります。そこでここに大きな問題がある。なぜならば、これからどうしたつて生活も文化的になるのでありまして、アメリカと同様に乳・肉・卵というものは必要になるので、そこで米麦ばかり増産しての解決はつかぬ。多分あなたの方はお考えおきあるでしようが、ここに畜産の乳・肉・卵を織り込んだために千九百万が千五百万とか千三百万とか、どこで歩どまりをして、どこで畜産を発達せしめるかという御見解があるに相違ないから、畜産局に説明して資料を出し、どれだけは畜産資源で、どれだけの融資が獲得できるか。同時に米麦の関係はどの辺まで行くと日本の食糧が解決がつくか。従つて外貨の利用というものは、農村関係の農作物並びに畜産にどういうふうに振り当てる計画があるか。一応ここに一万田さんが計画を立てると同時に、農林省の方の全般に対する御計画があるに相違ない、それをひとつお示し願いたい。そうして来るとはつきりわかつて来ます。
それからただいま原田委員の質問に対し大臣は、もしこの六十億が補正ができないとすれば、この法律を置くことは重大だ、政府も困るのだ、こう言われたのでありますが、われわれ委員会はその問題ではない、委員会として見通しがどこかについたことによつてこれを通過せしめないと、われわれ委員の職責が立たぬということを論じておる。従つて最小限度委員会で大蔵大臣が御答弁ができるだけの用意と準備がまだできない、あるいはそういうことをすることがどこかでさしさわりがあるからということならば、非公式でよいから、各派代表の委員に対して御答弁を願つてそれで進まう。先刻申し上げたのはその意味でありまして、ただ漫然と通しさえすればこうだ、われわれにも責任があるのだといつただけでは、われわれ委員としての職責が盡されない、これだけを申し上げておきます。
それから事務当局から、簡單なことですがちよつとお聞きしたい。それは今度この六十億、さらに追加したもの合せて今の金融問題に利用するということになつて、地方銀行あるいは中金に二割八分の政府並びに銀行の補償関係、これは一体どうなるのか。補償のことはぼくにわからぬが、かりにある銀行が一千万円貸したとする、そのときに二百万円さえとつてしまえば、その銀行に先取権があつて損がないということになるのか、この一千万に按分しての二割ということになるのか、共同出資ということになるのか、そうでなく、おのおの單独的な責任になるのか、この点をはつきりしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02119510314/51
-
052・塩見友之助
○塩見政府委員 ただいまの補償の点につきましては、銀行が優先いたします、按分いたしません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02119510314/52
-
053・千賀康治
○千賀委員長 午後は二時より再開することにいたしまして、暫時休憩をいたします。午後の日程は、積雪寒冷單作地帶振興臨時措置法案に対する質疑であります。
午後零時二十四分散会
————◇—————
午後二時二十五分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02119510314/53
-
054・千賀康治
○千賀委員長 午前に引続き会議を開きます。
これより積雪寒冷單作地帶振興臨時措置法案を議題といたし、質疑に入ります。足鹿覺君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02119510314/54
-
055・足鹿覺
○足鹿委員 ごく簡單な問題でありますが、非常に重要な点でありますので、一、二点お尋ねをいたしたいと思います。
第一点は、この積雪寒冷單作地帶振興臨時措置法案の積雪寒冷單作地域は、主として北海道、東北、北陸等の地域に限られておるがごとき印象を受け、北海道、東北、北陸の振興法案の別名であるかのごとき誤解もあるようであります。しかし法案の示しておるところによりますと、これはただ單に東北、北陸、北海道等の地域に限定されるべき性質のものでないことは明らかであります。さてそこで問題になりますことは、この積雪寒冷單作地帶の定義について、私どもが参考書類としてもらいましたもの、また法案によつて見ましても、きわめて抽象的でありまして、了解しにくいという点であります。その点について、提案者の御所見を承りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02119510314/55
-
056・松浦東介
○松浦委員 これは足鹿君仰せの通り、第二條に明確にうたつております。「農林大臣は、積雲寒冷單作地帶振興対策審議会の議決を経て、積雪寒冷がはなはだしく、その区域内における農地の利用率が低くて農業生産力が劣つている道府県の区域を積雪寒冷單作地帶として指定する。」こういうふうに明文にある通りでありまして、
〔委員長退席、野原委員長代理着席〕
積雪寒冷がはなはだしく、また農地の利用率が低く、しかも農業生産力が劣つている。この三つの條件を備えた地域をば、農林大臣が議案といいますか、諮問案といいますか、それを雪積寒冷地帶振興対策審議会にかけまして、そこで愼重な審議を経て、その議決によつてこれを道府県に指定するのでありまして、あらかじめわれわれがどの県ということを指定しておるわけではありません。日本が南北に細長く、しかも太平洋面が表日本と呼ばれ、日本海に面する方が裏日本と言われておりますが、その中で、大ざつぱに言うならば、北日本と裏日本ははなはだ惠まれない。こういういろいろな悪い立地條件を持つておる。その中から、いろいろな資料のもとに、おそらくそういう指定という問題が起るのであろうと思うのでありまして、立案者、あらかじめどの県を当てるということは、現在のところ考えていないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02119510314/56
-
057・足鹿覺
○足鹿委員 今松浦さんから御答弁をいただいたのでありますが、もう少し私の明らかにしておきたいと思うことは、いわゆる積雪寒冷地帶というものの考え方については、この法案の第二條にもありますし、この参考資料の中にも一応抽象的に触れてある。しかしかりに農林大臣が指定して行く場合におきましても、ある一つの條件を仮定してやる考え方が盛られて行くものであろうと考えます。たとえば高度でもつてある一つの條件を見る、あるいは照度、日照、降雨量、積雪量というように、それらのものが総合されて、耕地としての非常に不利な條件がつくり出されておるのでありまして、そういう一つの條件と申しますか先刻私は定義と申し上げましたから、きわめて抽象的にお答えになつたようでありますが、そういうような点について、いかようにお考えになつておるか。その問題が明らかになりますと、これはある局地に限られたものでないということが一応明らかになつて来ると思うのであります。その点をもう少し具体的にお願いいたしたいのであります。もしできますならばこれらの点について参考の意見を農林当局からでも聽取できるようでありまするならば、委員長の方においてしかるべくおとりはからいを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02119510314/57
-
058・松浦東介
○松浦委員 お答え申し上げます。私は今の地域の問題は、先ほど御答弁申し上げた要旨で盡きる、こういうふうに思つておるのでありますが、この法律案が通過いたしました際に、いろいろな資料といいますか、そういうものがたくさん出て来るだろうと思うのであります。たとえば農林省で持つております積雪研究所、そういう所にもいろいろ研究資料があるはずでございますし、たとえば積雲というのも大体どの程度のものであるか、あるいは寒冷というものはどの程度であるか、そういうようなことも大体資料が出ると思うのであります。そういういろいろな資料を勘案した上に、俗に言うところの北日本、裏日本の非常に惠まれない地方、そういう県の中で、ある程度そういう地域を含む県を、農林大臣は審議会にかけるのではないか、私はこういうふうに考えるのでありますが、今ここで東北六県とかあるいは北陸とか、そういうようにこの委員会でこれこれの県を指定しようということを申し上げることは、まだいささか早いのではないか、こういうふうに思う次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02119510314/58
-
059・足鹿覺
○足鹿委員 これは審議の参考資料だと思いますが、積雪寒冷地帶單作農業の特質と振興の意義というものは政府で編集されたものでありますか、どういうところで編纂され、研究されたものでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02119510314/59
-
060・松浦東介
○松浦委員 これはむろん農林省の資料も使いましたが、私どもの手元において作成したものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02119510314/60
-
061・足鹿覺
○足鹿委員 先刻申しましたように、この法案は非常に重要な法案であり、また私はすみやかに成立することを希望しておるものの一人でありまして、そういう意味において審議をすみやかにしたいために、御質問申し上げておるのであります。先刻も申しますように、私が今までお尋ねをしております点について、農林当局の方ではもう少し具体的に御研究の点をお答え願うことはできないでしようか。委員長の方でお打合せできましたら、お願いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02119510314/61
-
062・野原正勝
○野原委員長代理 政府から説明員が来ておりますが、渡部農政課長どうでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02119510314/62
-
063・渡部伍良
○渡部説明員 ただいま松浦委員の方からお話がありましたが、実はこの單作地帶の定義につきましては、程度の問題によつて、はつきりしておるところと区分が判定しにくいところがある。これは一昨年の暮れから昨年の春にかけまして、農業調整委員会に單作地帶の専門部会を設けまして、いろいろ討議いたしました。そのときに結局單作地帶の定義を、積雪量が多い、あるいは非常に寒冷であるという二つの條件を元にしまして、それに基いて土地の利用が非常に片寄つておる所を單作地帶として指定したらいいんじやないか。これを実際の行政施策の対象にするのは——たとえば、そういいますと、南の方の山の上も積雪單作地帶になるじやないか、こういう問題もできますが、これが非常に広汎に及ぶ場合は、相当広く南の方まで施策を及ぼすようにしたらいいじやないかというふうにわれわれは考えております。従いましてこの法案の第二條にも、そういう趣旨で織り込まれておるようにわれわれは了解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02119510314/63
-
064・足鹿覺
○足鹿委員 大体ただいまの御説明で一応了承いたしましたから、この程度で單作地帶の定義は打切りたいと思います。でき得る限りただいまの渡部さんの御説明の趣旨に沿うて、これが運用については、広く條件をひとしくする地帶につきましては——特にさような地帶における劣悪な農業條件で農業を営み、非常に遅れた零細農が多いのでありますから、あまねくこの法案の趣旨がさようなところにまで徹底するように運営していただきたいことを、私は熱望するものであります。
最後に、十三ページの法第十三條第一項第十八号の積雪審議会の委員の点について、「農業者の団体を代表する者三人以内」ということになつておりますが、一般に私ども農村関係の仲間でよく話します言葉の中に、協同組合関係は農業団体だ、農民組合や農民連盟あるいは開拓連盟というような農民団体という言葉で表現されておる農業団体もあるわけであります。それらのものすべてを包括しておると解してよろしいのでありますか。その辺を明らかにしておいていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02119510314/64
-
065・松浦東介
○松浦委員 この農業者の団体を代表する者につきましては、大体すべてを包含すると思いますけれども、その内容はどことどこということは、まだ全然規定されておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02119510314/65
-
066・足鹿覺
○足鹿委員 別にどれとどれという意味でなしに、いわゆる農民団体あるいは農業団体等すべてのものを広汎に含んでおる、かように解釈してよろしいのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02119510314/66
-
067・松浦東介
○松浦委員 これは広範囲に解釈してもよろしいと思いますけれども、事業者団体法その他でこういうものに入れないというものは、むろん省かれると思います。解釈としましては、広範囲に解釈してよろしいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02119510314/67
-
068・野原正勝
○野原委員長代理 ちよつと速記をやめてください。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02119510314/68
-
069・野原正勝
○野原委員長代理 速記を始めてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02119510314/69
-
070・足鹿覺
○足鹿委員 以上で質疑は終りです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02119510314/70
-
071・野原正勝
○野原委員長代理 他に御質疑はございませんか。——他に御質疑がなければ、この際討論を省略して、ただちに採決したいと思いますが、御異議はございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02119510314/71
-
072・野原正勝
○野原委員長代理 御異議がないようでありますから、これから積雪寒冷單作地帶振興臨時措置法案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02119510314/72
-
073・野原正勝
○野原委員長代理 起立総員。よつて本案は原案の通り可決すべきものときまりました。
なおお諮りいたします。本案に関する委員会報告書の作成に関しましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議はございませんか、
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02119510314/73
-
074・野原正勝
○野原委員長代理 御異議なしと認めます。さようとりはからいます。
本日はこの程度にとどめ、明日は午前十時より開会いたします。
午後二時五十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02119510314/74
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。