1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十六年三月二十日(火曜日)
午後三時九分開議
出席委員
委員長 千賀 康治君
理事 中垣 國男君 理事 野原 正勝君
宇野秀次郎君 小淵 光平君
川端 佳夫君 中馬 辰猪君
幡谷仙次郎君 原田 雪松君
平野 三郎君 金子與重郎君
八百板 正君 横田甚太郎君
羽田野次郎君
出席政府委員
食糧庁長官 安孫子藤吉君
委員外の出席者
農 林 技 官
(畜産局競馬部
長) 井上 綱雄君
專 門 員 難波 理平君
專 門 員 岩隈 博君
專 門 員 藤井 信君
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三月十九日
農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定
措置に関する法律の一部を改正する法律案(内
閣提出第一二〇号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した事件
小委員の補欠選任
食糧管理法の一部を改正する法律案(内閣提出
第七九号)
食糧の政府買入数量の指示に関する法律案(内
閣提出第八〇号)
競馬法の一部を改正する法律案(小笠原八十美
君外七名提出、衆法第一五号)
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001・千賀康治
○千賀委員長 ただいまから農林委員会を開会いたします。
食糧管理法の一部を改正する法律案並びに食糧の政府買入数量の指示に関する法律案の審議を進めます。質疑の通告がありますから、これを許します。八百板委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02519510320/1
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002・八百板正
○八百板委員 食糧関係法案についてお尋ねをいたしたいと存じます。この前の委員会におきまして、食糧庁長官は、需給と海外食糧とのウエートを五分五分に置くというお話であつたのでありますが、そうなりますと、いろいろの問題が関連して参りますので、この際中共大豆の状況をお伺いしておきたいと思うのであります。中共大豆は禁止状態にあるというふうにわれわれは聞いているのでありますが、これが日本の食糧全体の需給状態に及ぼす影響対策等について、どんなお考えを持つておられますか、伺つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02519510320/2
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003・安孫子藤吉
○安孫子政府委員 中共大豆は、お話のように杜絶いたしております。若干のものが香港を通しまして流れて来るものもありますけれども、それはごく少量でありまして、計画に載せるほどのものではありません。大豆を満洲物あるいは北支物に依存しておりました日本といたしまして、これが杜絶いたしますことは、大豆の流通状況から申しまして、またひいてはみそ、しようゆの原料等からいたしまして非常に困るので、早急に司令部とも相談をいたしまして、ガリオア大豆を相当入れることにいたしまして、大体その実行は完了いたした段階であります。今後は民貿の線によりまして、主としてアメリカ大豆を輸入するというふうになろうと思つております。端的に申しますれば、中共大豆の杜絶によります振り
かえをアメリカ大豆に依存している現状であります。大体大豆の需給状態は、きゆうくつながらも大きな破綻はなしに行けるのではなかろうかと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02519510320/3
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004・八百板正
○八百板委員 これは話が逆になりますが、朝鮮の問題が起りまして以来、応急的な輸出と申しますか、そういう意味で、日本の食糧が朝鮮に向けて出されたというふうに、われわれは開いているのでありますが、これはどのくらいの数量になりまして、そうしてどんなふうな穴埋めがあとで行われておりますか。さらにその値段等についてもお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02519510320/4
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005・安孫子藤吉
○安孫子政府委員 朝鮮向きに出すことになりましたいきさつは、御承知のように、経済協力局と申しまして、ECAと俗称いたしておりますが、ECAでもつて朝鮮に送るのが、いろいろの積出しの関係で間に合いませんので、一時日本政府が持つておりますも
のを立てかえてもらいたいという話がありましたので、それを出すことにいたしたのであります。これは交換の形式でもつて、同質同量のものを、あれは三箇月以内だつたかと思いますが、三箇月以内に返す、こういう契約をいたしまして、実行いたしております。途中でこのことが変更になりまして、後半期は第八軍との契約になつたのであります。両方合せまして実際出ましたのはそれほど大きな数字ではありませんで、三、四万トンであつたかと思います。そのうちECAと契約をいたしました部分については、同質同量のものがすでに返還をされて来ております。八軍関係が今返還の途中にあるということでありまして、全体の数量はそう大きくもありませんし、またこれが返還についても、順調に進んでいるということが言えると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02519510320/5
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006・八百板正
○八百板委員 そうしますと、物で返していただくのでありますが、その場合の物は、輸入食糧その他の一般輸入計画の中に食い込んで行くということはないわけですか。その点伺つておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02519510320/6
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007・安孫子藤吉
○安孫子政府委員 これは輸入計画のわく外になつて入るものでありますので、輸入計画には食い込みません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02519510320/7
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008・八百板正
○八百板委員 輸入食糧の計画実行の順序というようなものは、国内食糧との関連において立てなければならないのでありますが、これを立てる機関である買入れ審議会と申しますか、中央のそういう機関との関連というようなものについて、伺つておきたいと思います。絶対量が足らないのでありますから、国際情勢の間に間に、結果において農民に対する供出が押しつけられる結果を招く危険が非常に多いと思うのでありまして、そういうような観点から、この点について事情を明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02519510320/8
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009・安孫子藤吉
○安孫子政府委員 需給計画を策定いたします順序、機関についてのお尋ねだと了解いたしたのでありますが、これは大体年度計画を食糧庁を中心として立てるのであります。その立てましたものを安本と協議して、安本において全般の物資状況と比較検討してこれを確定いたします。それを司令部に提出をして、司令部の食糧係と申しますか、フード・ブランチで相当検討を加えまして、それが本国政府に連絡がとられて、最後的に需給計画が確立をいたすのであります。大体順序はこういうような順序になつておりますが、その際に需給計画を立てる上においての、日本国内の供給力をどの程度に見るかということが、一つの大きなフアクターになつて参るのであります。これはその年の作況、肥料その他農業の経済事情というようなものが全部からんで参りますので、食糧庁といたしましては、生産を担当いたしております農政当局と十分な連絡をとりまして、その辺の検討を加えて参るというようなことで。国内供給力を大体見ているということをお答え申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02519510320/9
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010・八百板正
○八百板委員 そういたしますと、輸入計画が主で、それに見合う国内の供出計画が立てられるというような結果になつて、やはり結局において、自主性は供出の両から言うとなくなることになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02519510320/10
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011・安孫子藤吉
○安孫子政府委員 あるいは私の説明の仕方が悪かつたと思いますけれども、国内の物の最大限の集荷がどの程度であるかということを一応農林省として算定をいたします。それから過去におけるいろいろな実績その他の動向から見、また厚生省等からの資料に基く人口増加の想定もいたしまして、それで総需要量を決定し、それに対して、できるだけ国内産の食糧をもつて充当いたしたいという観点から国内の供給力を判定いたしまして、その足りない部分について輸入を要請する建前になつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02519510320/11
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012・八百板正
○八百板委員 今までも同僚委員によつて尋ねられておるのでありますが、もう少し明らかにするために、昨年の麦の追加供出を行いました当時と今日との間に、どのような事情の変更があるかということを、国際情勢並びに麦の世界需給状況、消費の関係あるいは船腹の関係、それぞれの関係において、うなずけるような御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02519510320/12
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013・安孫子藤吉
○安孫子政府委員 昨年の麦の追加割当というお話がございましたが、これは何かの誤解ではなかろうかと思います。と申しますのは、昨年は麦の追加割当はいたしませんでした。ただこういうことはあつたのであります。昨年の麦の割当については、事前割当でありますから、すでに一昨年に割当をいたしておいたのでありますが、昨年の麦の收穫期にあたりまして、大体の情勢から、相当大幅の補正をいたしたいというふうに私どもは考えておつたのであります。麦の作況の実情等も考えまして、生産者といたしましては減額補正量がはなはだ少くて、災害農家が非常に困つておるから、できるだけゆるやかな減額補正、大量の減額補正がほしいということが世論になつておりました。従いまして全般の需給の状況が、昨年は一昨年に比較いたしまして緩和いたしておりました事情もありまして、麦の減額補正については、できるだけ大量にいたしたいということで、関係方面と折衝いたしておつたのであります。ところが朝鮮事変が勃発いたしまして、相当緊迫いたしたような実情にありまして、そのために、当初私どもとしては、大幅の減額補正をいたそうと企図いたしましたことが貫徹いたしませんで、相当きつい——きついと申しましても、前々年度に比べますれば、それほどきつい補正ではないのでありますが、当時の感覚といたしましては、相当きついような結果になる減額補正がやられたのであります。そのことでなかろうかと思います。生産者の立場から申しますと、大体相当大幅の補正があると思い、また補正の時期も早いと思つておつたのが、補正の期間も相当遅れ、しかもきつい減額補正が来たものでありますから、すでに処分をしたようなものもあつて、供出をするのに非常に困難を来したというのが実情であつたと思うのであります。その当時の情勢と、今日における国際情勢の比較のお話があつたのでありますが、私どもといたしましても、一般に穀物価格が昨年の六、七月ごろよりも上つておるということは事実であると思います。穀物価格も上つておるし、船賃も上つておるという実情であります。この点は悪い材料といえば悪い材料でありますが、そうかといつて、物が買えない、船がキヤツチできないという状況でもありませんので、去年の六、七月ごろに比べまして、いろいろ国際政局の背景となります問題については、変化もあり、進展もいたしておりますけれども、食糧買付の面から申しますれば、根本的に変化を来しておるという実情はないという判断のもとに、いろいろ買付の計画も実施しておる実情であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02519510320/13
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014・八百板正
○八百板委員 現在の食糧の手持ちといいますか、需給状況について、われわれの聞き及ぶところによりますと、必ずしも十分でないというふうに聞いております。たとえば食庫、輸送、工場等、各一箇月分のストツクを必要とするという見解に立ちましても、現在のストツクの状態は三箇月分必要であるにかかわらず、三箇月分しかないというようなわけでありまして、在庫量が少いというようなことを私は聞いておるのでありますが、この点について長官は、今日の状況が満足すべき状態にあるとお考えになつておりますかどうか、お答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02519510320/14
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015・安孫子藤吉
○安孫子政府委員 これは資料として提出いたしておりますが、昨年七月一日における政府並びに公団の持つております食糧の繰越しは、三百二十万トン程度あつたのであります。それが今年の六月から七月への繰越しは、公団はもうなくなりましたので、民営の卸並びに小売に配給をいたしましたのと、ストツクをいたしましたのと、政府手持ちを合せまして、大体二百二十万トン程度になるのではなかろうかというふうに今年の分は想定いたしております。そうしますと、昨年七月から本年の七月を比較をいたしますと、おおむね百万トン前後の持越し減という形が出て来ておるわけであります。しかし内容を分析してみますと、昨年の七月一日における持越しの中には、雑穀でありますとか、あるいはいも並びにいも製品、そうしたものが相当あるのであります。しかし今年の六月末日から七月に持ち越しますものは、これは米麦の適格品と申しますか、米麦だけになりますので、この数字をこのまま比較するわけには行かないと思うのであります。しからばどの程度あつたかと申しますと、二十万トンから三十万トン近くこうした不適格品があつた。そうすると、百万トンの差に対して三十万トンを除外して考えますと、七十万トン程度のものが、昨年七月における持越しと今年七月における想定の持越しとの差になるわけであります。この七十万トンの差は何から来たかというと、約半分は国内産食糧の減であります。国内の集荷が、一昨年に比べて昨年産米が少かつたということ、と申しますのは、作況の関係もありますが、補正を相当大幅にやつた。一昨年は二百四十万石程度の減額補正であつたと思いますが、昨年産米は五百万石の補正をいたしておるというようなわけで、国内産の集荷の面において約半分は減つておるのであります。その残りの二十五、六万から三十万トン程度が輸入減であります。輸入が当初予定いたしました程度に入つて参りませんために、その減を来しております。この輸入減につきましては、極力努力をいたしまして、できるだけその差を縮めたいということで、努力を継続しておる最中であります。大体さような状況でありまして、私どもといたしましては、ただいまお話がありましたように、世界の情勢から申しまして、できるだけ政府手持ちをたくさんにいたしたいということで、努力をいたしております。外貨の面においても、食糧の部分をふやすことについて、また各国との取引の円滑をはかりますためにも、司令部等と再三再四折衝をいたしまして、海外からの輸入を確保することに努めております。大体現在の手持ちをもつていたしますれば、三箇月ないし四箇月の食糧はまかない得るわけでありますけれども、私どもといたしましては、少くとも半年程度のものは何とか手持ちにいたしたいということで、努力をいたしております。しかしながら、四—六あるいは八—十など、これらの月は、世界的に穀物の端境期にありますので、買付につきましてはなかなか困難を来すのではないかと思うのでありますが、できるだけ手持ちをふやしたいということで努力をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02519510320/15
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016・八百板正
○八百板委員 なおいもの場合の経験について考えてみますと、いもの場合は、予定した計画が政府でくずれておる。たとえば四十万トンの計画が六万トンにしか及ばなかつたので、ほとんど潜在需要者の方にまわつて、かんじんの主食の方にまわらなかつたという話を聞いておりますが、今度の麦をはずすという場合、ああいうような経験を、どんなふうに解釈せられてりくつをつけておられるか、それを承つておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02519510320/16
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017・安孫子藤吉
○安孫子政府委員 いもの問題は、政府が買えなかつたけれども、それがやはりいもの正しい用途に使用されておりますので、政府が配給したということが、必ずしもそれが正しく消費されたということではなく、自由でありましても、やはりそれが正しい用途に、それぞれの使命を持つた用途に消費されておるのだと私は理解いたしております。主食というお話もございましたけれども、二合七勺のわく内に入れたのだからそれが主食であり、しからざるがゆえに主食でないということも言えないだろうと思うのであります。やはりいもは、各人の好みに応じまして、あるいは腹を満たしてもおるでありましようし、また工業原料としても、従来政府あたりが出しておりましたが、その方面にもまわつておるのでありまして、その点はそういうふうに理解いたしておるのであります。また政府がそれを買わなかつたからということに結びつくとのお話でありましたが、政府が買わないからそれが消費されなかつたというのではないので、その点については、以上申し上げたような考え方をいたしております。
それから麦もこれをやつた場合に、潜在需要がどうなるかというお話でありますが、これは非常にむずかしい問題でありまして、いろいろの角度から検討いたしておりますけれども、自由経済時代における麦の工業用その他の用途というものは、どの程度あつたかというようなことを見ていろいろ算定をいたしております。現在需給推算上は二十万トン近い用途を見込んでおりますけれども、これが七・八割、あるいは十割程度の潜在需要の増というものはあるだろうというふうに思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02519510320/17
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018・八百板正
○八百板委員 そういう前提の上に立つて考える場合に一応考えられてしかるべき事柄は、統制をはずすという考え方と、もう一つは配給量をふやすということもそこで考えられていいと思うのでありますが、この配給量をふやすということについては、どんなふうに考えられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02519510320/18
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019・安孫子藤吉
○安孫子政府委員 米で配給量をふやすならば、これは全般の上に非常にプラスでありますが、麦製品並びに麦についての配給量の増加ということは、からまわりをいたしまして、それほどの効果を上げ得ないと思います。米ならばそれをぜひやりたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02519510320/19
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020・八百板正
○八百板委員 なおこれに関連して伺います。日米経済協力の構想ということが、最近問題になつて来ましたが、このために、日本の重要資材について、国際的な角度から割当が行われるような情勢が察知せられるのであります。いわゆる国際物資割当の計画の参考資料として、わが国のそういうものが考えられているように聞くのでありますが、そういうものとの関連において、農業や鉄道の資材について、農林当局はどういうふうな資料をこの具体案の提出に際して出されて、なお必需物資の農業関係資材の不足を来さないという見解をとつておられるか。これをちよつとお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02519510320/20
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021・安孫子藤吉
○安孫子政府委員 鉄その他が農機具その他に使われるが、それの割当を、国の一つの権力なり機関なりでやるかという問題だと思いますが、そういうことをやらなくても、大体生産が追いついてやつて行けるものだというふうに考えております。もつとも直接の担当問題でもございませんので、また連絡をいたしまして、はつきりしたお答えをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02519510320/21
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022・八百板正
○八百板委員 この問題に関連いたしまして、農業手形との関連が起つて来るのでありますが、前に代金のあと拂いの問題についてお尋ねいたしました際に、中金に前渡しに渡してあるのだからというお話があつたのであります。そこでこの中金への前渡しという形をもつと徹底さして、生産農民に対して前に渡す、または買いとると同時に代金を引渡す、こういう方法が考えられるものであるかどうか。そうすべきであると思うが、この点どう考えるか。なお最近青森方面の情勢を聞いてみますると、供米代金がすぐにもらえないために、一方において、配給を受ける農民が、配給を受けることができなくて、配給の辞退が起つている。配給を受けているのは村の巡査だけであるというような報道が、青森五所山原方面から報ぜられておるのであります。たとえば、最も辞退の激しい北津軽の場合においては、食糧公団支所の調査によれば、郡下の一月分配給総人口三万八千百八十名、所要配給量米換算七千百五十一俵、一箇月米二十日分、代用食十日分、以下いずれも米換算——に対し、受配量三千百七十八俵だけで、残る半分以上の三千九百七十三俵が辞退されている。二月になると辞退者はさらにふえて、最近の受配済み数量は一千四百七十四俵、辞退は三千二百俵となつている。郡内二十三箇町村中、順調に受理しているところは二村のみで、内潟村のごときは、配給人口約六百名中、完全に配給を受取るものは、村の駐在巡査ただ一戸だけだ。こういうようなことが報ぜられておるのでありますが、こういうふうな情勢を御存じであるかどうか。先ほどの代金の即時払いとの関連において、お答えをいただきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02519510320/22
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023・安孫子藤吉
○安孫子政府委員 代金は、現在の制度では、買うと同時に払つているというのが建前でございます。それが現金でなく、支払い証票という小切手類似のもので払つておるということであります。一々現金ということでは参りませんので、そういう制度をとつておりますが、そのかわり、建前としては現金支払いというような建前でやつております。
それから今の配給辞退でありますが、代金支払いが非常におそいから配給辞退があるのだというようなことは考えておりません。再調いたしてみますけれども、東北地帶の農村におきましては、やみ米が相当安く出ている。公定価格を割つているという実情である。そのために配給が辞退されているというふうに承知をいたしておるのであります。五所山原一帶の問題については、もう一度再調してみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02519510320/23
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024・八百板正
○八百板委員 それから農民の保有米の問題について、今までいも、米四合とされておつたように存ずるのでありますが、保有数量は、この買入手続法による場合、現在どういうふうに考えられておるのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02519510320/24
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025・安孫子藤吉
○安孫子政府委員 四合保有からいもをはずしましたときには、いもを除いた米麦の保有数量というものを地域的に算定してきめてやつて参りました。これから麦をはずしますと、やはり麦を除いたものでの保有数量というものが算定されなければならぬのであります。機械的に麦の分を引いただけではいけませんので、やはりそこにもう少し全般的な観察を加えて、保有量を決定いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02519510320/25
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026・八百板正
○八百板委員 そうすると、具体的にどういうことになるのですか。御承知だと思いますが、刑務所の屋外労働などに対しても、今まで農民に対する配給量よりも多くの配給量が配給せられておるのであります。こういうようなことは、農民に対してよい影響を与えることではないと思いますので、できますならば、こういう事情について、この際十分な考慮が必要であろうと思うのでありますが、この点に対する御所見を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02519510320/26
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027・安孫子藤吉
○安孫子政府委員 それは保有量の総額の問題になると思うのであります。四合保有をもつとふやすかどうかという問題ですが、現在の需給の状況からいたしまして、米の保有量をふやすということは困難かと思います。ただ地域的な保有量の差が出て参りますから、單作地帶等におきましては米の保有量が多く、二毛作地帶におきましては、米の保有量が比較的少いという実情等、相当全般的な観察をいたしまして、若干立て直しをしなければならぬのではないか、こういうふうに思つております。
それから刑務所との比較におきましても、刑務所の人には米だけをやつておるわけではありませんで、そのほか麦並びに麦製品なんかも、国でもつて一定量をやつておるわけであります。片方保有量との比較においては、農村といたしましては例外はありましようけれども、大体ほかにも食物がありますので、均衡の上からは、そう農家を圧迫したようなことではないというふうに存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02519510320/27
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028・八百板正
○八百板委員 金融関係の質問がございますが、これは一応保留しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02519510320/28
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029・千賀康治
○千賀委員長 他に質疑はありませんか。——ないようでありますから、日程を進めます。
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030・千賀康治
○千賀委員長 これより競馬法の一部を改正する法律案を議題といたし、質疑に入ります。質疑はございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02519510320/30
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031・原田雪松
○原田委員 今回の一部改正案では、ただ休みのあるところを運用して、回数を増すというようなことのように思いますが、これで一部の休閑地帶がカバーされることはもちろんけつこうなことだと思います。しかしながら、競馬法は前国会において保有率の問題の一部改正をやりました。なおまた今度一部改正をやる、こういうことになつておるのでありますが、ただわずかな改正のみで進むことがはたしていいかどうか、こういうことを私は非常に懸念するものであります。幸い部長もおいででありますから、聞きたいのでありますが、将来競馬法を根本的に改正する意思が、当局としてあるかどうか、その点を一点お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02519510320/31
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032・井上綱雄
○井上説明員 競馬法の全体を改正する意思があるかどうかという御質問であります。この点につきましては、たびたび農林大臣からも、いろいろな機会に御答弁があつたように考えますが、私の競馬部長としての個人の考えを申し上げますと、御承知のように、競馬が国営になりましたのは、当時の情勢からやむを得ざるものがあつて国営に相なつたわけでありまして、最も適当なる民営の方式ができまするならば、すみやかに民営に切りかえるのがよろしかろうと考えておるわけであります。つきましては、大臣からのお話もございまして、われわれとしては、最も愼重にこの点を研究いたしておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02519510320/32
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033・原田雪松
○原田委員 部長のお氣持がはつきりわかつたので、私も若干安心いたしましたが、少くとも従来のような民営に移しますには、運営のいかんということが、全国の畜産にきわめて重大な影響を及ぼすのであります。この理由にも書いてある通り、現在の国営競馬の馬の数はまことに微々たるもので、四百頭内外であると考えます。戰前は二千頭近くあつたものが、こんなに激減した原因がどういうところにあるか、その原因を一応探究する必要があるのではないかと考えます。
今のようなことによつて、競馬を国営で継続して行きますならば、おそらく優秀な馬は根を絶やすことになりはしないか、こういうことを非常に心配するのであります。なおまたもう一つは、この公共性を持つた地方競馬と国営競馬に開きがある。国営競馬でありますと、優秀な馬を入れなければいろいろな利益がない。ところが一般の競馬になりますと、出走手当を出しておる。そういうところに畜主としての收入があるわけです。こういうことからして、ややともすると、国営競馬の資格のあるものが地方競馬に落ちる、こういう傾向が多いようであります。これではどうしてもうまく行かない。少くとも民営競馬に移管するならば、そのマージンをもつて種畜の改善であるとか、あるいはある期間の飼育をやつたものは、あとを絶やさないような、いわゆる一つの保護を私たちは常に考えなければならない。そういう面からしても、現在のように国営競馬は、收入が税金になつてしまい、何ら奨励の面に還元されないといつたところに隘路があると考えられます。一日も早くこの民営競馬が実現いたしまして、そのマージンをもつて馬産の改良に従事するような方向に持つて行かなければならぬ。こういうことでこの議院へ提案するということになりますならば、少くも今の競馬部の方々は、協力態勢でやつて来なければならないのはもちろんのことだと思います。そうして初めて官民一体となつた競馬の、ほんとうの生きた運営ができる。こういう方向に持つて行かなければならない、さように考えます。競馬部にそういう意図があるとすれば、その資料であるとか、いろいろな参考になる従来の経理面のデータであるとかいうものを、率直にお出し願いまして、協力していただけるかどうか、その点をくどいようですが、もう一度お尋ねしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02519510320/33
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034・井上綱雄
○井上説明員 従来、議会から御要求になりましたものはもちろん、昨今は議員以外の方々からも御要求がございまして、大体すみやかに御満足の行くような資料を出すことに努めておりますが、何かそういうもので滯つておるものがございましようか、はなはだ恐縮でございますが、その点ちよつと承つておきますれば、私の方では極力そういうことにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02519510320/34
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035・原田雪松
○原田委員 御承知と存じますが、競馬を民営に移しますために、政調会で競馬法の改正審議委員会というものをこしらえております。ことにこれは議会を中心にして、これによつて強力なものをこしらえ上げよう、こういうことで、すでに委員の任命も終つております。つきましては、競馬部の方にその連絡がまだはつきりついていないかとも存じますけれども、御連絡申し上げますから、ぜひその委員と、専門家の部長以下の方々が一致態勢の形をもつて、この法案の完全実現を期するように努力していただきたい。今のお話でありますが、私どもお聞きして、非常に意を強くするのであります。まだ何ら要求をいたしておらないかもしれませんが、資料の要求は全畜連を通じてお願いした点もあるようでありますので、この後一層そういうことに協力する意味において、ぶちまけて、わがものとして御協力を願うようにお願い申し上げます。希望を申し上げまして、私の質問を終りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02519510320/35
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036・千賀康治
○千賀委員長 他に御発言はありませんか。——競馬法の一部を改正する法律案につきましては、他にないものとして、この程度で質問を打切ることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02519510320/36
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037・千賀康治
○千賀委員長 御異議なしと認めます。さように決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02519510320/37
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038・千賀康治
○千賀委員長 この際小委員の補欠選任についてお諮りいたします。委員の異動に伴いまして現在肥料対策小委員三名、農林公共事業小委員七名、畜産に関する小委員三名、家畜伝染病予防法案起草小委員二名がそれぞれ欠員になつております。この際その補欠を委員長において指名いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02519510320/38
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039・千賀康治
○千賀委員長 御異議なしと認めます。よつて
肥料対策小委員に
平野 三郎君 吉川 久衛君
羽田野次郎君
農林公共事業小委員に
小淵 光平君 川西 清君
川端 佳夫君 平野 三郎君
坂口 主税君 木村 榮君
羽田野次郎君
畜産に関する小委員に
川西 清君 平野 三郎君
吉川 久衛君
家畜伝染病予防法案起草小委員に
金子與重郎君 初田野次郎君
をそれぞれ指名いたします。
次会は公報をもつて御通知申し上げることとし、本日はこれにて散会いたします。
午後三時五十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02519510320/39
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