1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十六年三月二十三日(金曜日)
午前十一時十八分開議
出席委員
委員長 千賀 康治君
理事 野原 正勝君 理事 松浦 東介君
理事 吉川 久衛君 理事 足鹿 覺君
宇野秀次郎君 遠藤 三郎君
小笠原八十美君 川端 佳夫君
川西 清君 河野 謙三君
佐藤 親弘君 中馬 辰猪君
圓谷 光衞君 幡谷仙次郎君
原田 雪松君 八木 一郎君
金子與重郎君 坂口 主税君
稻村 順三君 松本六太郎君
出席政府委員
農林事務官
(農政局長) 藤田 巖君
農林事務官
(農地局長) 平川 守君
農林事務官
(畜産局長) 山根 東明君
食糧庁長官 安孫子藤吉君
委員外の出席者
農林事務次官 山添 利作君
農 林 技 官
(畜産局競馬部
長) 井上 綱雄君
專 門 員 難波 理平君
專 門 員 岩隈 博君
專 門 員 藤井 信君
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三月二十二日
委員金子與重郎君及び羽田野次郎君辞任につき、
その補欠として小林運美君及び松本六太郎君が
議長の指名で委員に選任された。
同月二十三日
委員河野謙三君、平野三郎君、小林運美君及び
八百板正君辞任につき、その補欠として圓谷光
衞君、佐藤親弘君、金子與重郎君及び稻村順三
君が議長の指名で委員に選任された。
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三月二十二日
家畜登録事業助成強化に関する請願(原田雪松
君紹介)(第一四五五号)
外地引揚獣医師免許に関する請願(坂本泰良君
紹介)(第一四九一号)
競馬法の一部改正に関する請願(川端佳夫君紹
介)(第一五〇七号)
日野上村地内三栄、霞両牧場の改良事業費国庫
補助の請願(稻田直道君紹介)(第一五〇八
号)
かんがい用満濃池改修工事費国庫補助の請願(
島田末信君紹介)(第一五四二号)
農林漁業資金融通法制定に関する請願(小林進
君紹介)(第一五四三号)
農協再建整備法制定に関する請願(中川俊思君
紹介)(第一五四四号)
麦類に対する銘柄設定に関する請願(川西清君
紹介)(第一五四五号)
の審査を本委員会に付託された。
同日
七島い(藺)作付面積増反に関する陳情書
(第四三五号)
を本委員会に送付された。
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本日の会議に付した事件
食糧管理法の一部を改正する法律案(内閣提出
第七九号)
食糧の政府買入数量の指示に関する法律案(内
閣提出第八〇号)
農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定
措置に関する法律の一部を改正する法律案(内
閣提出第一二〇号)
競馬法の一部を改正する法律案(小笠原八十美
君外七名提出、衆法第一五号)
開拓に関する件
競馬に関する件
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02719510323/0
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001・千賀康治
○千賀委員長 これより農林委員会を開会いたします。
付託議案の審査に入る前に、野原委員より開拓関係について政府当局に質疑を行いたいとの申出がありますが、これを許可するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02719510323/1
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002・千賀康治
○千賀委員長 異議ないようでありますから、それではこれを許します。野原委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02719510323/2
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003・野原正勝
○野原委員 私はこの際開拓問題に関しまして、農林当局に対しまして、二、三お伺いいたしたいと思います。日本の開拓をもつて国内の食糧問題を解決し、また人口問題もそれによつて解決をして行くという、戦後の国土の狭隘な日本として、敗戦後の深刻な日本農村の建直しにあたつての国策として取上げられた開拓問題であります。そこでその開拓にあたりましては、いまだ開拓の余地が非常にある東北及び北海道等を初め、全国至るところ、いやしくも開拓に適する所は余すところなく開拓を行う、大きな構想を持つて百五十五万町歩の開拓及び十万町歩の干拓という大構想を持つて出発をされたのであります。その開拓行政を円滑に行うべく、政府におきましては、その必要とするところに農地事務局を設けて、開拓行政の徹底を期すべく、現地の機関として農地事務局が設けられておるのであります。各県にはそれぞれ開拓の係を置き、職員を配置し、そうして開拓行政が円滑に行くように計画をし、保護助長をしておつたと思うのであります。特に東北におきましては、事業分量において非常に多いのでありまして、今日までのところ、すでに未墾地の取得が二十一万町歩、そうしてまた、純入植をした数がすでに三万五千町歩を越えており、増反の七万八千戸を加えるならば、厖大な農家がそこに開拓を営んでおるのであります。内地の開拓事業に対しましても、その比率は約三〇%に及んでおるのであります。従いまして、開拓の問題に関する限りにおいては、東北、いわゆる仙台の農地事務局が、事業分量においても一番多い。従つて、東北の開拓の成果というものは、日本の開拓全体の大きな問題であろうと思うのであります。ところが、政府の助成であるとか、あるいはまた営農資金であるとか、あるいはまた開拓住宅をつくるというような問題になりますと、すべて事業分量に比例して、公平にその仕事に補助が行われ、住宅がつくられるということが当然であるにもかかわず、従来の農地事務局のありきたりを見てみまするとはなはだ不均衡である。すなわち、事業分量が約三〇%になつておるにもかかわらず、たとえば県の議員で、開拓関係の仕事に従事している職員の補助というものを見ましても、これが全体の二〇%以下である。あるいはまた営農資金の方面を見ましても、事業分量が三〇%ならば、当然三〇%なくちやならぬのに、わずかに二四%にすぎない。あるいはまた住宅に至りましては、全国の平均は、開拓入植をして家を建てた人たちの全体に対して、すでに七七%の住宅が建つておるにもかかわらず、東北におきましては六四%しかできていない。一三%も低いというようなことでありまして、すべてを通算いたしまして、東北における事業分量に対する補助その他の率というものは非常に低いのであります。これはまことに納得の行かない事柄でありますが、その点に関して、政府は一体どういう御方針で開拓の仕事を進められて来たか。幸いここに農地局長がお見えでありますから、まずその点をお伺いいたしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02719510323/3
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004・平川守
○平川政府委員 従来の開拓の重点が東北あるいは北海道にありますことは、お説の通りであります。従いまして、われわれといたしましても、もちろんその事業分量に応じて各般の施設をいたすつもりでおるわけであります。たまたまいろいろ御指摘の点等につきまして——たとえば同じ家屋を建設いたしましても、他の地方において離脱者が割合に多いというような場合には、統計上、現在戸数に比較してほかの地方によけいの家屋が行つたというような関係もございます。またそのほかにも若干——たとえば各種の開拓、建設の施設等におきましても、特殊の地帶において、水田化のために非常に多くの金を要するというようなこともございます。そういうようないろいろの関係から、統計的に見ますと、従来とかく東北方面が低率にあつたような感もいたしておるのでありますが、本年度におきましては、お話の営農資金等におきましても、またその他の施設あるいは人員等の点につきましても、事業分量に応じて、できる限り重点の場所に振り向けるということで作業いたしておるのであります。二十六年度におきましては、御指摘の御希望の点を相当に満たし得ると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02719510323/4
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005・野原正勝
○野原委員 ただいまの局長の御説明では、今までの農地局は、東北地方に対して十分な予算的措置であるとか、あるいは補助等を出していなかつたということを、暗に白状されたようであります。私は過去のことはあまり追究しようとしないが、問題は今日すでに非常に遅れてしまつている。遅れてしまつているものに対して今後何とかして考慮したい。特に二十六年度においては、そういう点を考えて作業しておるというが、あまり遅れてしまつたのではしようがない。できれば、二十六年度においては全部を挽回したいと思うのでありますけれども、予算的措置などでなかなかそうばかりとも行けないと思うのでありますが、それならばはたしてどの程度まで遅れを取返すことができるか。そこで具体的な問題としまして、私はここに営農の住宅のことをひとつ考えてみたいと思う。東北の住宅戸数は、すでに三万二千七百七十五戸という戸数が必要である。それに対して、建設の補助になりましたものが今日まで二万四千四百十二戸である。まだ補助にならない戸数が八千三百六十三戸もあるということであります。そこで今年の事務局のいろいろの計画をわれわれが仄聞しますと、新規の予算において四千八百戸、既入植において四千戸をやるということでありますが、この既入植の四千戸ということになりますと、全部でわずか八千八百戸といたしまして、一体どんなぐあいにこれを配分するか。実は岩手県といたしましては——岩手県あるいは東北六県、北海道を入れまして、どうしても八千三百六十三戸を少くも今明年のうちに解決をしたい。遅れても二十八年までには全部をさせないと、他の方面に比べてはなはだしく不均衡であるということで、開拓者連盟の諸君によつて、非常な血の出るような叫びが今発せられておるのでありますが、一体この住宅の問題に関しましてはいかにお考えになつているか。でき得べくんばこれを具体的にお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02719510323/5
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006・平川守
○平川政府委員 ただいま、具体的に東北地方に何戸というところまではつきりいたしておりませんが、お話の趣旨は、要するに、現在入つている開拓者、あるいはこれから入る開拓者に対して、適正な比率をもつてこれを分配するというところにあるかと存ずるのであります。そういう趣旨につきましてはまつたく御同感でございますので、従来の不足分等を十分考慮いたしまして、その分も考慮した上の適正な数字に割振りをいたして参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02719510323/6
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007・野原正勝
○野原委員 今ここでにわかに具体的な数字をもつて答えろと言つてもあるいは無理かもしれませんし、局長が、この点に関しては十分善処するという御答弁ですから、その問題に関しては、私もこれ以上追究いたさないつもりであります。
次に、開拓行政を行うための県の地方職員に補助をやつておるのでありますが、これに対して非常に東北が少いということがはつきりしている。これは比べてよいかどうかわかりませんが、岩手県と大阪を例にとつて考えてみても、入植面積その他等から見ましても、あるいは農地取得の面積、売渡しの面積、開墾した面積、融資の実績というふうなものを全部計算いたしまして、岩手を一〇〇にいたしますと大阪は平均して四・六%、五分に達しないのであります。従つてかりに職員の定員に補助がありまして、事業分量に応じてやるとするならば、かりに四・六%という大阪の事業分量を切り上げて五といたしましても、岩手県にかりに百人の補助をするならば、大阪は五人でよろしい。しかし事業分量は少いが、いろいろ仕事も多いから、それに割増しをして考えても、かりに倍の十人で済むということになるはずである。ところが大阪と岩手の場合を比較すると、定員において岩手県の百五十六人に対して大阪が四十四人である。この比率は二七%に当る。ちようど事業分量に対して五倍の定員が行つておるということであります。しかもまことにふしぎなことには、この内訳はどういうことでこうきめているのかわかりませんが、われわれの調査によれば、この二七%という定員の歩合を見ますと、開拓あるいは干拓関係の実数からいいますと、大阪はほとんど事業分量がないにもかかわらず、十人の人がいる。これを数字から見ると、まさに六二%に当る人が行つているということで、まことにどうも納得の行かない数字でありますが、一体大阪といえば、これは第二の大都会であつて、非常に人口が稠密であり、工業が発達している。こういう大都会だから人間も多く必要である。岩手県の方は非常に大面積を有し、これから大いに開拓を必要とする厖大な土地を持つており、開拓にも非常に適する地帶であるけれども、そこは由来非常に僻陬の、まだ文化の程度も低いから、人間は少くてもよいということになつているのか。どういうぐあいで一体五%にも足りないほどの事業分量に対して、五倍も大阪は定員をやつているのか。岩手県はどうしてこんなに少いのか。私どもはこれに対して、はなはだどうもどの角度から考えても納得が行きかねる。この際これに対して納得の行くような御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02719510323/7
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008・平川守
○平川政府委員 御指摘の点は、確かにそういう傾向があるのでありますが、これは人の問題でありますので、事業分量、たとえば農地面積とかいうような事業分量の比率そのままには参りませんで、やはり開拓なら開拓という仕事がありますと、そこに最低單位の人というものがどうしても必要であるということに相なるわけでありまして、全体の職員の数が十分でありませんために、比較的事業分量の少い所にも最低單位の人員を配置せざるを得ぬということがあるわけであります。またことに仕事の分量が土地によつて地方的には変更をいたしますので、それに即応して補助職員の数を移動するということは合理的ではありますけれども、これも人の問題でありますために、その数字に比較して一挙に動かすことも困難であるわけであります。そういうことからして御指摘のような多少の不合理性があることは認めておりますので、これはできる限り直して行きたい。二十六年度の場合におきましてもできる限り是正をする。ある程度仕事の少い所から多い所に移すことを、できる限りやつて行きたいと考えておりますが、それがなかなか申し上げましたように、面積の比率通りにきちつとして行くわけに参りかねるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02719510323/8
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009・野原正勝
○野原委員 農地事務局が仙台、東京、金沢、京都、岡山、熊本と六つある。ところがこの農地事務局のそれぞれの事業分量を一応調査しました結果、金沢のごときは仙台の農地事務局を一〇〇といたしますと、金沢は全体とてわずかに一六%にすぎない。あるいは京都のごときも三四%である。岡山が四一%、熊本が六九%、東京が七四%、もちろん仙台が一番多いわけであります。それにいたしましても、金沢、京都を合しても半分に充たない、やつとこ五〇%であるというような所へ、何もこの農地事務局を二つにわけて直ぐ必要はなかろうと思う。そういう所に農地事務局を置いて予算をむやみに使うよりも、むしろ東北地方のごとき、ほんとうにこれから大きな開拓のできる仕事にどしどし予算を振り向けるのがほんとうかと思うのであります。ここに次官もおられますが、この農地事務局等をそんなふうにかえる意思はありませんか。私どもは、従来どういうわけでこういうことに配置されたのかわかりませんけれども、一三%や一六%というような、そういう小さい仕事だのに、一つの事務局でございますというわけで、これ以上よけいな定員など置く必要はなかろうと思う。そういうことをなるべくやめて、そして遅れている地帶に持つて行くならば、先ほど局長も言われたように、従来の行きがかりをなるべく早く修正するということが非常に促進されると、私は思うのでありますが、その点に関する政府当局の御見解を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02719510323/9
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010・平川守
○平川政府委員 ただいま申し上げました人員の関係等は、農地事務局についても同様のことがございますので、二十六年度におきましては、できる限り是正をするという態度で進んでおります。農地事務局の問題につきましては、これは金沢等は北陸一帶の農業上の特殊性もございます関係上、一つのまとまつたブロツクとして、事務局を一つ置くという意味があるかと思うのであります。そのかわりには事務分量がお話のごとく少い、従つてそれに応じて定員等も少くするということで訂正して参りたいと考えております。農地事務局は、御承知のように農地改革の仕事と、開拓あるいは土地改良関係、両方持つているのであります。そのうちの開拓方面、あるいは改良方面につきましては、事務分量の多い地方にできる限りの人の配置がえ等をいたすということは、二十六年度において考えて参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02719510323/10
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011・野原正勝
○野原委員 これは直接農地局の問題ではないわけでありますけれども、この機会でありますから、特に局長の御見解を伺い、またそれに対しまして関係の方面に対してよろしくひとつ御協力願いたいと思います。それは信用基金の問題でありますが、開拓営農を確立させて、開拓農民をしてりつぱに成功させるためには、ある程度の資金が必要である。そこで農林中央金庫を通じて開拓者には金の融資ができるという一つの道を開くべく、政府におきましては開拓者からも零細な資金を出させ、そしてまた各県のそれに相当する金額を、県の補助あるいは県の保証で出させるいわゆる一号基金、二号基金でありますが、それに対しまして政府はその開拓者及び県の補助金等を合したものの二倍に相当する額、昨年設置されましたものでは、開拓者の一号基金が二千五百万円、県の補助が二千五百万円、政府の保証が一億円、合計一億五千万円信用基金を設定いたしまして、これの五倍に相当する限度において開拓者に対する資金の融通をしようという、非常に思いやりのある資金制度を設定されたわけで、私どもは非常これに期待しておつた。ところがだめなんです。岩手県の場合におきまして、一号基金において二百万円をすでに醵出をしており、二号基金においては県の余裕金の中から三百万円を出しておる。都合五百万円の基金を出しておるのでありますが、これだけのものを積立てておるにもかかわらず、貸出しにおいてわずかに三百八十万円ばかり貸しておるにすぎない。五百万円の醵出でありますから、これに相当する一千万円は当然国庫から保証される。すると千五百万円の五倍までの貸付ができるとなれば、七千五百万円まで借りられる。そこまで貸していただければ営農が確立されると非常に喜んでおつたところが、一割にも満たない、わずかに三百八十万円ほど貸しておつて、農林中央金庫はなかなか貸付をしないという実情だそうであります。農林中金の方にも、これは十分調査をしてその事情を聞きたいと思つておりますが、これがはたして事実とするならば、せつかく農地局が営農確立のためにはからつたこういうりつぱな計画が、農林中金という、いわば政府の代行機関であるところの金融機関によつて、まつたくその目的がはばまれておるというがごときことは、とかくの非難をあびておる農林中金に対しまして、私どもは心外千万で、はなはだゆゆしき一大事であると考えます。これはひとり岩手県ばかりではないと思います。この信用基金の問題に関連して、営農の確立上開拓者に資金がまわらないようなことがありましたならば、政府がいくら補助をやつて開拓を推進いたしましても、営農ということはできないのでありますから、農地局の方面におきましても、これに対して十分な監視をして、この問題を処理されることを特に要望する次第であります。
なおここにもう一つつけ加えて申し上げておきたいのは、アメリカの好意からララ物資が開拓者の方面にもすでに相当数量与えられており、開拓者は非常に喜んでおるのであります。ところが東北では、実はまだ一つもララ物資をいただいていないのであります。これは東北地方が寒いところから、東北に向くような厚ぼつたいものでも来たときに、お前の方にまわしてやろうというお話だということも実は聞いておりますが、それにいたしましても、他の農地局関係の方が全部行き渡つておるときに、東北地方だけはまだ何ももらつていないというような状況である。農地局はいろいろそういつた方面に関連が、あるわけでございましようが一体どんなわけで東北に対してはララ物資が行つていないのか、その事情もあわせてこの際お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02719510323/11
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012・平川守
○平川政府委員 ただいまの資金の問題につきましては、ただいま具体的な数字をよく存じませんが、これはお話のありましたような割合いで、政府の方でも特に開拓民が基金を積み立て、それに対する五倍の限度まで中金系統において貸出しをいたす、こういうことになつております。ただ個々の具体的な貸出しは中金が判定をしなければなりません。それだけを必ず貸すというわけではないのでありまして、肥料その他の資金でありますならば、その限度までは貸出しをするというわけであります。どういうわけで貸出しが少いのか、なおよく調べてみます。
ララ物資につきましては、これは厚生省の所轄になつておりますので、そちらと連絡をとりまして、逐次まわすことになつておると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02719510323/12
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013・野原正勝
○野原委員 局長のまことに誠意のある御答弁で一応納得をいたしましたが、私思うのに、信用基金の貸出しが非常に少いということ、要するに農林中金が開拓農民への貸出しを躊躇しているというその原因の一つは、事業分量に相当しただけの補助金ももらえない、住宅をつくるにも補助金をもらえないようなことになつておるがために、開拓の問題に対して非常に心配している、安心ができない。政府の補助が十分にないようなものにまで、金を幾ら貸してくれといつて頼まれても貸せないじやないか、こういうことになると思うのであります。結局農林中金をして貸出しをはなはだ躊躇せしめる原因の一つは、農地局が従来とり来つた開拓行政に対して、何らかそこに欠陷があるからではないか。実は私はその関連を心配するのであります。そうなりますと、二重にも、三重にも開拓民を苦しめている。極端に言うならば、東北の開拓農民の犠牲において全国の開拓を推進して来たということに対しては、これは農地局の大きな責任であろうと思う。今後かかる問題の再び起きないように、誠意を持つて急いでこの問題を解決していただきたい。
なおこうした問題に関しましての跡始末等は、いずれまたあとで結果その他取扱つた際の実情等を十分お伺いすることといたしまして、農地局長の誠意を私は一応信頼いたしまして、ただいまの質問はこの程度で終ることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02719510323/13
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014・千賀康治
○千賀委員長 これより食糧管理法の一部を改正する法律案及び食糧の政府買入数量の指示に関する法律案を一括議題として、審議を行います。質疑を許します。質疑の通告がありますから、これを許します。横田甚太郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02719510323/14
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015・横田甚太郎
○横田委員 簡單に伺います。二十六年の三月二十二日の朝刊、夕刊には、一斉にアメリカの外国農業関係局長アンドリユース氏の意見が出ておる。廣川農相は、日本に対して非常に友好的なるアメリカがおるから、食糧のことについては心配はいらない。日本は食糧の輸入国であるが、三百万トンはおろか、四百万トンでも買えるであろう、こう言つておる。これに対して、ここではそういうことを言つておらない。アメリカはそうは出せないであろう。日本が食糧を買うためには、自分の国で金の都合をつけなければならないと言つておる。その都合をつけるのには、日本の労働者を安く働かせることによつて、アメリカから入れたところの品物について加工する。この方法によつてもうけた資金によつて米を買うわけである。従つてこの買う先はアメリカではないのであつて、東南アジアから買う。こういうことを言つている。この点について、廣川農相の楽観説であるところの、友好的なアメリカがいるから、食糧の輸入に対しては大丈夫だという見解、それに対するアメリカの外国農業関係局長の見解、これは非常に違う点があるんですが、一体真相はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02719510323/15
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016・安孫子藤吉
○安孫子政府委員 私も新聞記事しか読んでおりませんし、またそのほかの実情も存じませんが、私があの新聞記事を読んで感じますことは、東南アジアと申しますか、シヤム、ビルマ、仏印、あの一帶が何と言つても米の給源地でありますので、やはりそこで生産を相当増強して、そこから日本へ入れるというのが本筋ではないか、これだけの意味ではないかと思う。アメリカから出すとか、出さぬとかいう問題ではない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02719510323/16
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017・横田甚太郎
○横田委員 そういたしますと、かつてアメリカ人が日本に対して申しました。日本は食糧の足りない国である。金も足りない。それに対して食糧をやつておるのだということを常に言つております。われわれはもらつておるのじやない、高く売りつけられておる、こう言つておるがために、共産党はアメリカ人の心証を害した。しかしアメリカから入つておる物は安くなかつた、高くあつたということは事実なんです。そこで私たちがあなたに聞きたいのは——日本の農村を非常に疲弊させるということが戦前の政策であります。それで農民が太らないために、日本の工業生産品は農村に売れずに、外国にはかなければならない。外国にはけばこれが侵略の根源であるということは何回も言われた。今度も同じことであつて、農村が非常に太つておるというのは非常な間違いであります。そういたしますと、日本の農村に売れなくなつた物を外国に売る、また日本の農村といたしましては、どうしても農業改革のために、あるいは権威ある近藤康男さんの言つておる病虫害対策、あるいは、深水のやり方、それ以外に深耕、こういうようなものをいろいろあげておるのです。これをやるがためには、日本の工業力をどうしても再建しなければならない。この工業力を再建するためには、どうしても日本の労働者を安く働かさなければならない。安く働かせるためには、日本の労働者に食わせる米は、百姓が引合おうと引合うまいとそんなことは問題ではなく、安く買いたたかなければならない、こういうことになつて来る。そういう過程において、曲りなりにもドツジ氏が好むような資本の蓄積というものが日本にできる。買弁資本ができる。そうして工業がやがて活況を呈する。これを東南アジアへ持つて行つて売りつけなければならない。そこにはドル資金がない。売りつけた結果として、そこから送り込めるものは農業である。こうなりますと日本の農民としては、日本工業再建のために、引合わぬような農産物価格で、日本の農民がつくつた物を巻き上げられる。そこで再建されたところの工業製品を売りさばくために、またそのかわりとして海外から非常に日本の農民には都合が悪いところの米とか麦とかを買わなければならない。こうなつて来ると、いつまでも日本の農村から、戦争の根源であるところの帝国主義あるいはフアツシヨ的な基盤が除かれないと思う。こういう状態はいつごろになつたら除かれるか。これに対する食糧庁の見解を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02719510323/17
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018・安孫子藤吉
○安孫子政府委員 主食を輸入に大部分仰ぐことは適当はでないと考えております。できるだけ国内において増産をしたい、こういう考えですから、その増産の目的が大体達成されれば、そういう現象はなくなると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02719510323/18
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019・横田甚太郎
○横田委員 増産々々と申しますが、今農林省が立てております増産では足りないのです。いわゆる今度の三箇年増産目標が達成されましたあかつきには、やはり二百五十万トンの食糧を外国から輸入することが必要だと言われておる。これは事実です。しかしわれわれは二百五十万トンを外国からの輸入に依存しなければならないということはきらいです。日本には農耕地に適する土地が三百万町歩ある。これは何年たつても開墾対象になつておらないのです。だからあなたが食糧の増産と言われますが、増産は十石増産しても増産です。百石増産しても増産です。しかし廣川朗報大臣のほら放送によりますと、七千億の外国の金を借りて日本の農村に注ぎ込んだならば、ここから千九百万石の米が取入れられるということですが、この見込みがあるならばどうしてやらないのですか。われわれの言うところの増産は、何も自給度の向上を意味するのではない。この点を聞いておるのです。これに対して、食糧庁にはつきりした見解がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02719510323/19
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020・安孫子藤吉
○安孫子政府委員 増産と申しましても、一年で目的が達成されるわけではありませんので、その方面で相当資本の蓄積もやつて自給度を向上する。どうしても足りない部分は、今お話がありましたように、南方からも入れましようし、あるいはエジプトからも入れましようし、アメリカからも入れるということで、需給の調整をはかるという行き方をとりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02719510323/20
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021・横田甚太郎
○横田委員 長官は非常に戦闘的な答弁をされました。一年で増産できないのは私もわかつておるのです。あなたより私の方が米をつくつた数が多いから、それはよくわかつておりますよ。ところが、その増産の当面必要とする資本の蓄積です。日本の農村に資本を蓄積したと言つておられるが、これはどこの統計で、どういう実積で言つておるのですか。日本の官僚並びにアメリカの占領政策は、農村にあつたということは言えない。だから資本蓄積をやつたと言われるならば、どういうような資本蓄積をやつたか、その点を承りたい。日本の農村に対してはわずかな土地をやつておる。これは地主の土地を小作人の土地に書類上で書きかえただけである。そこから税金ばかり取立てて、農民は引合わない。これはわれわれが聞いても腹が立つことです。昨年アメリカの米を一石一万七百二十円で買うておいて、日本の米はいつも四千二百五十円で買うておる。こんなことをやつておつて、日本の農民が何でありがたいと思いますか。だから農村に対して資本蓄積をやつたという考えは、一体どこから出るのですか。科学的に日本の資本をどういうふうにして農村に蓄積したか承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02719510323/21
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022・安孫子藤吉
○安孫子政府委員 ちよつと聞き間違いがあるのじやないかと思います。資本蓄積をやつたというのではありません。そうことを今後やつて、増産をはかるということを申し上げたのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02719510323/22
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023・横田甚太郎
○横田委員 それでやつてと言われるのですが、そこがおかしいのです。あなたは増産一年にしてならずと言つておる。増産は一年にしてならずと言つておりながら、資本の蓄積をやつていない。これから金をためてやりますというようなことでは、どろぼうが入つてからなわをなつておるのと一緒です。だから……(「議事進行」と呼ぶ者あり)今の議事進行というのは、おそらく私の質問に対する進行だと思いますから、ひとつ議案の審議の方に入りますが、実にでたらめしごくな答弁で、これは長官の人格にもかかわるから、今後やめていただきたい。
それから私が一番不快に思いますことは、あらゆる経済の分野におきまして、すべてに自由が叫ばれておる。きようは実に自由党の野原委員は勇敢でありました。農民の声全体が、供出をやめてしまえということを言つておる。私は、供出がほんとうの供出であるならば、やめろとは言わない。現在日本でやられておるのは、供出ではないというのが共産党の建前なんです。これは供出じやない。これは強盗なんです、掠奪なんです、收奪なんです。だから私はその形においては一緒だと思う。これでは、今の政府の官僚のやるところの供出はやめてしまえと農村が言うはずだと思う。この点については、農民に対して強制的に物を取上げないという形において一致するのです。そこで伺いたいのは、戦時中あるいは戦後を通じまして、非常に統制ということがやかましく言われておつたけれども、人気が悪くて、みんなやめになつておるにもかかわらず、農村は依然として供出が続いておるのです。麦だけは八百万石除かれた。これは問題があるが、八百万石除いた。これを推し進めて行つたならば、八百万石の麦以外の麦が全部統制からはずされるものであるならば、米もやがてはずされるだろうと予想する人もある。しかし海外の事情はそうではなく、やはり供出というものは続く。だから農村に対して加えられておるところの強制的なる收奪というものが、一体いつまで続く見込みであるか。これを聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02719510323/23
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024・千賀康治
○千賀委員長 横田君に申し上げますが、前に島村政務次官になさつた質疑と、安孫子長官になさる質疑とはほとんど内容も、表現も同じようであります。同じことを、答弁する人がかわつたからといつて、ここで繰返されては非常に時間の経済上も困りますので、当局に対しましては、特に技術的な面を直接聞いてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02719510323/24
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025・安孫子藤吉
○安孫子政府委員 收奪がいつまで続くかというお話ですれども、私どもは收奪とは考えておりません。従つていつまで続くかということも、そういう意味でお答えいたしかねます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02719510323/25
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026・横田甚太郎
○横田委員 この点はまた許さないと言われるでしようが、ちよつと聞きます。大体收奪と考えるか考えないか、そんなことはかつてです。あなたの方は出さないからわからないだろうが、とられる方は値段が安くてむちやくちやに取上げられる、これは收奪だ、この点をよく御記憶を願いたい。
それから同じことを聞いておると言いますが、政府は厖大な調査機関を持つており、費用をかけておつて、われわれ日本の農民の一部を代表する自由党も、この疑問に対しては徹底的の討議をしておらないということが、私の聞きたい原因であつたのです。これは今度の機会にゆつくり聞きます。伺いたいのは、これは委員長安心してもらいたいのですが、このあなたの方からもらつておる買入れ数量の指示の文書です。これは何回読んでも腹が立つのですが、意見を聞くと書いてある。農民の意見を聞き、市町村農業委員会の意見を聞き、都道府県農業委員会の意見を聞く、こう書いてある。人の意見を聞くということは実にけつこうでよいことです。しかし前にはこれが書いてなかつたかと言えば、やはり意見を尊重するということがはつきり書かれてあつた。その意見は聞いておつても通らない。その場合において、もめた問題を解決するために、いわゆる食確法の第八條の規定があつたのだと私は思います。その第八條の規定の適用が非常にうまく行つておらなかつた、これがいわゆる食確法をめぐるところの争点であつたと思います。そこで今度は意見をどのくらいお聞きになるのか。意見を聞いておつたがために今までもめておつたのではないか。この点私は疑問ではないかと思いますが、その意見を聞く度合いが絶対的のものであるか、あるいはそうではなく、政府が供米をとりやすい形において意見を聞くのか、これを聞きたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02719510323/26
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027・安孫子藤吉
○安孫子政府委員 運用におきましては従来と同じ程度に、またそれ以上に十分意見をお聞きしてやつて参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02719510323/27
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028・横田甚太郎
○横田委員 その具体的の例はここにあるのですよ。あなたはいつもここまでは認めておるのです。末端における個人の米に対する生産高、これはわかりにくいと言つておるのですが、わかりにくい点はここにもありますよ。延原観太郎という男は大阪市大淀区大仁本町二丁目六十七番地に本社を持つておる会社の重役であります。これが田をつくつておるのです。そうして二百俵前後の米をとつておる。しかしこれは大阪に籍がありながら米を出していない。そうして米に対しては、強権発動一歩手前の強盗供出がなされておる。私の考えによりますと、米とか麦とかいうものをつくつておるものは、全部地籍として上つておるわけです。これに対して割当があるのです。どこかでこういうふうな形において米を出さないところがあるならば、どこかで米をよけいにとられるところがあるのじやなかろうか。その例がすなわちここにあります。これがうそだと思つたら、私長官と一緒に行きますよ。それからまた隠し田を持つておる人がある。この人が出さないがためにほかの人がよけいとられるわけで、これが一〇〇%出て来ないでもめておる。これは東京の南千住ですが、ここにおきましては、米が一〇〇%出ておるとあなたの方には報告されておるにもかかわらず、実際は出ておらない農家がありまして、それが経済調査庁に呼ばれておるのです。ここで私の非常に大きな疑問とするのは、意見を十分に聞いておるものであるならば、こういう問題は起らないはずです。これは自由党の人は関係ないと言うが、長官はいつもこのことについて悩んでおると思います。良心があれば悩むのがあたりまえだ。だからこういうものは、いつどういう形において解決するかということを承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02719510323/28
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029・安孫子藤吉
○安孫子政府委員 従来いろいろ運用して参りまして、矛盾もあり、またむずかしい問題もあつたのであります。しかしその点は順次解決されつつありますが、ただいまお話の点はやはり最後に残つている点でありまして、これは調査網なり、機能を十分にいたしまして、事実をつかんで具体的に処理して参るという以外に解決法はなかろうかと思つております。その点は関係者も漸次習熟され、また方法もかわつて来ておりますので、これは米の供出が今後も続いて参るわけでありますが、逐次改善されて行く、またそういう方向に努力して参りたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02719510323/29
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030・千賀康治
○千賀委員長 川西委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02719510323/30
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031・川西清
○川西委員 食糧の政府買入数量の指示に関する法律案及び食糧管理法の一部を改正する法律案は、この前相当時間を費しまして大体質問も循環的な質問になつて参りましたので、この程度で質疑を打切られることを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02719510323/31
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032・千賀康治
○千賀委員長 川西委員の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02719510323/32
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033・千賀康治
○千賀委員長 御異議なしと認めます。よつて両案に対する質疑はこれをもつて終了に決しました。
なおただいまの横田君の発言中不穏な点が多々あると思いますので、速記録を取調べの上、委員長において適当な処置をとわたいと思いますので、御了承を願います。
これをもつて暫時休憩いたします。
午後零時七分休憩
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午後三時一分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02719510323/33
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034・千賀康治
○千賀委員長 これより農林委員会を開会いたします。
この際小笠原君より、競馬問題に対する政府の所見をただしておきたいとの申出があります。これを許します。小笠原委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02719510323/34
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035・小笠原八十美
○小笠原委員 競馬問題について、緊急質問として聞きたい。局長も見えておるし、競馬部長も見えておるのだから。法のことについては、私が提案したのだし、これむろん望ましい。それにまたこれがなければ馬主の方が非常に混乱を来すから、これはよろしい。政府の方でもこの問題をやつてくれという申出もあつたのだが、こういうことはよろしいとして、私は政府の心構えがどこにあるのかを聞きたい。なぜなれば、今は民営競馬が目前に追つておる今日である。政府はせんだつて地方競馬の法律改正をした。馬の使用が増加した。その資源をどこに求めるか、この用意がありますか。あなた方は、とつた金をみな大蔵省に納めることはよくわかつておりますけれども、馬一匹持つたことがあるかね。どこから馬を持つて来るか。民営にあつた馬を持つて来れぬじやないか。種馬はどうか。いないじやないか。これをどうするか。その準備が少しもなくて国営をやつておる。どこにあなた方は競馬をやる資格があるか。この問題が恐ろしい。国営競馬の方も、これを増加するのはよろしいが、あとの資源を補充する用意がどこにあるかということを前もつて御答弁を承つておきたい。局長はしろうとでわからなければ、競馬部長でいい。競馬の資源の準備がどこにあるかということを詳しく聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02719510323/35
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036・井上綱雄
○井上説明員 御答弁申し上げます。ただいま小笠原さんからお話のありましたように、地方競馬の方におきましては、南関東だけをとりましても約六百頭ございます。国営の方は、約四百五十頭ばかりの競走馬を持つておるわけであります。ところが地方競馬の方は、実際の数は六百頭でございますけれども、走つておりますものはそのうちの三分の二程度でありまして、あとは大体故障馬とかあるいはあまりよくない馬でありまして、大井競馬の例をとつてみましても、その走つております馬の七〇%までは国営競馬の下つた馬である、こういうことになつておるわけであります。使い方が荒いためにいろいろ損耗も激しいのでありまして、出る馬は大体四月ぐらいで使えなくなるという現状でございますので、地方競馬の側といろいろ相談をいたしておりまして、なるべく資源を愛護して競馬を開催するように、せんだつて当局者集めましていろいろ協議をいたしたのであります。大体地方競馬の開催が、戦災都市その他を含めまして非常に多くなりまして、二十六年度のスケジユールを見ますと、東京周辺の四つの競馬場で、三百六十五日のうちで十七日しか休む日がなく、休日、日曜を通じて行われるというような現状でございまして、この点につきましては、現在法律上許されておりますので、やると言えばどうもいたし方がないのであります。ただわれわれといたしましては、ただいま小笠原さんから御心配がありましたように、こういう問題について何か制限を加えるというようなことがなければ、資源の問題で行詰まるのは当然と考えております。でございますので、極力当局者とも折衝いたしまして、この地方競馬の損耗を少くするように協議を進めております。それから国営競馬の方は、年間大体百五十頭から二百頭ぐらいの補充が必要でございますが、二十六年度におきましては大体見当がついております。でございますが、その後になりまして生産が伸びないおそれも十分ございまして、その点はまことに心配をいたしております。生産者の意欲を向上する——特にこの産種を改良する種牝馬あるいは種牡馬等につきまして適切なる方策が講ぜられることは、競馬の当事者として、最も望ましいことでございます。直接には生産の関係は私の管轄外になつておりますが、畜産局の方によくお話をいたしまして、なるべくこの問題を——地方競馬の方の資源を大事にするように、一方国営におきましても、いろいろ操作をいたしまして、現在の資源を愛護するように、極力努力して行きたいと考えております。これは小笠原さんのお話の通りであると思いますが、何かこの競走馬の再生産の問題について、適切なる方策がほしいことは申すまでもございません。ただいまのところでは、最も適切な方策が講ぜられておるとは言えませんが、その方面の協同組合等を通じまして、いろいろな方策がとられつつあります。これも決して十分でございませんで、なお将来の問題としていろいろあると思いますが、これらの点につきましては、なおよく研究を遂げまして、具体策につき、いずれこの農林委員会にもお願いしなければならぬ筋合いだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02719510323/36
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037・小笠原八十美
○小笠原委員 現在お話の通りだと、政府が競馬を持つておりながら、競馬の資源を考えないというのは一体どういうわけであるか。資源なくして何年継続できるか。何年目にへたばつてしまうという計画であるか。そんな事業の計画が世の中にあるもんか。一体この責任をだれが負うのか。こんなばかげたことをやつて、資源が枯渇することがわかりつつ、その対策をちつとも講じない。その欠陷のあることはわかる。一つの競馬であつても、これは資源確保に対する競馬だ。この一回のレースを、全部生産の方に還元するというような方法をとつたことがあるか。それだけ大蔵省に要求したことがあるか。さらにない。漫然とただ競馬をやつて、全部へたばつてしもうことを見ているのみだ。そんな計画がありますか。政府のどこの局へ行つても、どこの課に行つても、どんな末端に行つても、こんなばかげた計画はどこにありますか。それを考えてごらんなさい。ただやつておるのはこれだ。これは井上君、よく知つておるだろう。競馬では生産者賞というものをやつている。この生産者賞という金は、一体幾らやつて、幾ら馬主に行くんだ。これがわかつておるかね。競馬部長、答弁してごらんなさい。あなたはわかつておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02719510323/37
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038・井上綱雄
○井上説明員 生産者賞と申しまするのは、日本競馬会が競馬をやつておりました当時からやつておりましたもので、生産意欲を向上するということでございますので、これでは資源の培養ということには非常に微弱でありますが、ただこの生産者賞を、ただいまは積み立てておきまして、それで種牡馬を購入するのに役立てておるように生産者協会の方で言つておりますが、そういうことはきわめてよいことだと考えております。しかしもちろんこれでは十分ではありません。ただ馬で最も困難を感じておりますのは、小笠原委員御承知の通り、われわれの方の競馬の規則は、負担重量が増加し——これはもちろん賞金によつて増加して行くのでありますが、一定の賞金が増額になりますれば、従来はそれによつて自然に生産者に返るように規則ができておるわけであります。ところが現在のように地方競馬が盛んに行われますと、当然馬が地方競馬に食われて行くというところに問題があるように考えるのであります。でありますから、極力資源の増加をはかることが根本問題でありますが、値段の方から申しますと、非常に馬が高くなつておりますが、必ずしも高くなつたから生産が上るとは考えられませんので、先ほど申しましたように、法制的にもいろいろ考えなければならない問題が起ると思います。その辺のところは、いずれまた具体案を立てまして、後の機会に種々お願いしなければならぬ筋合になつておると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02719510323/38
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039・小笠原八十美
○小笠原委員 資源増加の大方針のことについてはよろしいとして、今あなたから伺つた生産者賞というものは何に使つておるのか。今私の聞き違いかもしれないが、これは生産者協会が積み立てて置くのだというように申されたが、積み立てて置くのですか、生産者に行くのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02719510323/39
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040・井上綱雄
○井上説明員 ちよつと言葉が足りなかつたので恐縮でありますが、当然生産者に渡るのであります。ところが生産者協会の総会におきまして、そのうちの三分の一を醵出しまして、その金でもつて地方の種牡馬の購入に向けておるというような状況であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02719510323/40
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041・小笠原八十美
○小笠原委員 そうすると、その三分の二は馬主、生産者の方に行くわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02719510323/41
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042・井上綱雄
○井上説明員 個々の生産者に渡つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02719510323/42
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043・小笠原八十美
○小笠原委員 それだから私はあなたにものを教えると言うのだ。君は監督する立場にあるのだろう。三分の二を何に使うか。それは生産意欲の高揚のためにその一部を使うとおつしやるだろう。それはいかにもよく聞える。しかしそれが実際に渡つておるのか。去年の二月ごろのがまだ行つていないが、一体何年目に行くのだ。それが忘れたころに、夢見たころに生産者のところにぼつと飛んで行つたつて、そんなものが生産意欲になるか。新聞やはがきによつて十万とか二十万とか、あるいは二方とか三万とか勝つたときにその金が行けば、それは喜ぶだろうし、生産意欲の高揚にもなるだろう。それが一年もたつてまだ行かないようなことで、君は監督しておるということが言えるか。君は一体何を監督しておるのか。第一、君は資源ということに頭を使つたことがないから、そういうぼんやりしたことをやつておるのだ。君はそれをよく知つておるのか、知つておらないのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02719510323/43
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044・井上綱雄
○井上説明員 ただいまのお話は取調べたいと思いますが、私の方は二、三箇月遅れるということはありますが、一年以上遅れるというようなことはないと思います。事務当局としても、この点はよく調べたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02719510323/44
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045・小笠原八十美
○小笠原委員 井上君、君は競馬の日本一の担当官のような顏をしておるが、そういう生産の方はさつぱりだめじやないか。それごらんなさい。第一、君のやつた仕事で、せんだつてフオーカスをやめて、また二、三日でひつくり返したり何かして、国家に対して幾ら損をかけたか。それがためにお株を地方競馬の方にとられてしまつて、全部国営競馬を裸にしてしまつた。これは全国を総合して、どれほど莫大な損害をかけたかわからないと思うのだが、君の考えはどうだ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02719510323/45
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046・井上綱雄
○井上説明員 ただいまおしかりをこうむりましたが、これはその当時議会の関係の方にも非公式には多少お話申し上げたのであります。当時の情勢から考えると、競輪にいろいろな騒動が起りまして、この騒動が起つたことに対して、結局国民的にこれらの賭博行為に対する全面的な反対を起ることは当然でありますので、それによつてこの際売行きが多少減ずることはやむを得ないといたしましても、これはやつた方がよかろうということで、上司にもまたお話をし、また議員の方にもお話をいたしまして、大体皆さんからも、それはやむを得ないだろうというお話もございました。これは決して責任のがれで申し上げておるわけではありません。それでいたし方がないということで始めましたところ、案外にも、新聞等でたたかれました影響等もあつて、全体として、ことに競馬におきましては大した騒動の起る気配もございませんでした。また主催者側といたしましても、いろいろと気をつけまして、そういうような事情で、まずこの適で騒動の起るおそれがない、こう思いましたので、何分にもこういう問題は長引けば損が重なる。結局騒動が起ることがないという見通しでもつて変更いたしたような次第でございます。但し現在の情勢におきましても、決して騒動が起らないということはございませんので、競輪におきましては、幸い近ごろは静粛でありますが、競馬におきましては二、三ごく最近にそういう問題が起りましたので、これらの点につきましては、これらの状態がとかく騒擾を起しやすい状態でありますので、注意をいたしておるような次第でございます。ただ連をやめたためにどれだけの損害になつかということにつきましては、私どもといたしましても、どのくらいであつたかということは、この際はつきり数字を示すことができない状況でありますが、連を売り上げるようになりましてから、約三割ほどその当時急遽上りましたような次第でございます。これはやめたという、その時その場の空気だけでは申し上げられませんので、これは中山の場合は八日間のうち五日間やめたのでありますが、その損害は幾らになつたかということは、まだ計算いたしておりません。いずれはつきりさせまして、もし御要求でありますならば、また他の機会にお知らせいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02719510323/46
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047・小笠原八十美
○小笠原委員 いろいろと弁解をしておるが、国家に対して幾ら損害かけたか、その点だけを聞いておるのだ。それを答えずに、君が長々と弁解をするから、またこつちの方でも聞きたくなる。そういう騒動を起したり、フオーカスをやめてまたひつくり返したり、そういう国家の大事業をおもちやにして、担当者である君が責任を負わずして、だれが責任を負うのか。これの相談相手をした議員や馬主が、それに対して責任を負うのか、あるいはこれは上司が判をついたのだから、上司が責任を負うと言うのか。これは君が競馬の最高の責任者なんだから、発案は君なんだから、君が全部の責任を負うべきじやないかと思うのだが、そうじやないのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02719510323/47
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048・井上綱雄
○井上説明員 責任を負わないと言つたのではありません。私はそのときに相談をしたということを申し上げたのであります。私はもちろんその責任者の一人であるということは申し上げたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02719510323/48
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049・小笠原八十美
○小笠原委員 今度は局長に伺いますが、君の部下の井上君は、これはしばしば問題の男だが、国家に対してこれだけの損害を与え、競馬担当者として
一箇月に二度も方針をかえ、馬主は見通しがつかぬので困らされているのに、国営がどうのこうのと言つてふんぞり返つているのでは、競馬がつぶれてしまう。こういう人を部長にし置いていいのか、しつかりしなさい。あなた、局長として一緒に連帶責任を負うつもりか。何のために功罪を明らかにしないのか。国家にこれほどの損害を与えたものをどうするつもりか、君でわからなければ大臣を呼び出して、大臣から聞こう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02719510323/49
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050・山根東明
○山根政府委員 お答えいたします。フオーカスの廃止、さらに引続いて復活の問題は、実は私も当時一つの意見を持つてやつたことであります。これも御質問の範囲を逸脱した答弁で、あるいはまたあとでおしかりを受けるかもしれませんが、先ほど井上部長が申しましたような趣旨で、愼重に検討した上でやつたわけでありまして、この結果先ほど部長から申しましたように、売上げとしては、あるいはある程度減つたであろう、そのために国に損失を招いたであろうということも、私どもは否定をいたしません。ただ私どもが一番心配いたしたことは、たまたましばらく休んでいる間に、競輪でああいう事件が起り、競馬が再開されてから、はたしてどういうことになるかということが、私どもの頭を非常に悩ました問題であつたのでありまして、私どもはフオーカスをやめたがためにそういう事態が起らなかつたということを、あえて申し上げるほどうぬぼれてはおらぬのでありますけれども、ある点では、私どもがしかく愼重を期したということが、フアンの一部にもおのずから自粛の念を促した効果もあるというふうに現在考えております。ただこれが結論として、こういうことをしたことは、非常に国家に損失のみを与えた、しかしてこれに対しては責任をとるべきであるということになりますれば、ただいま御暗示のありましたようなことにつきましては、私どもそういう気持を十分持つていることを申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02719510323/50
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051・小笠原八十美
○小笠原委員 どうも政府の答弁というものはそういうものかもしらぬけれども、あまり弁解ばかりが多くて、かえつて功績を残したようなことを言うが、そういうつまらないことを言つてはいかぬ。フオーカスをやめたために、フアンに対して自粛の念を与えたと言うが、地方競馬では皆やつたじやないか、それでも何も起らなかつたじやないか。局長は判を押しているから、部下の部長にばかり責任を負わしてはいかぬという人情からだろうが、そういうことでは困る。いわんや井上部長のような、無方針で競馬を担当してはだめだということが自覚できないか。陰でとんでもないことばかり言つて、そんなことではだめだ。競馬資源が枯渇してへたばりますよ。何とかこれから策を講じますと言うが、馬や牛は一年や二年でできるものではない。四才になつてから種付をして六才に生れる。こうして十年かからなければ競馬に持つて来れないのだ。今から十年たつたら井上君幾つになる。よく考えてごらんなさい。あまりくどく言うと他の法案にさわるから、この程度で打切つておくが、今までの井上君の態度や、国家に損害を与えたことに対して、とくと鏡を見て考えなさい。これだけ警告をして私の緊急質問は打切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02719510323/51
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052・千賀康治
○千賀委員長 それでは競馬法の一部を改正する法律案を議題といたしまして、審議を進めます。川西清君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02719510323/52
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053・川西清
○川西委員 討論を省略いたしまして、ただちに採決せられることを望みます。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02719510323/53
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054・千賀康治
○千賀委員長 川西君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02719510323/54
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055・千賀康治
○千賀委員長 御異議なしと認めます。
採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02719510323/55
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056・千賀康治
○千賀委員長 起立多数、よつて本案は原案の通り可決すべきものと決定いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02719510323/56
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057・千賀康治
○千賀委員長 これより農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案につきましては、すでに質疑を終局いたしておりますので、討論を省略してただちに採決いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02719510323/57
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058・千賀康治
○千賀委員長 御異議なしと認めます。ただちに採決いたします。
本案を原案の通り可決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02719510323/58
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059・千賀康治
○千賀委員長 御異議なしと認めます。よつて本案は可決すべきものと決定いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02719510323/59
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060・千賀康治
○千賀委員長 これより食糧管理法の一部を改正する法律案及び食糧の政府買入数量の指示に関する法律案の両案を一括議題といたします。
この両案につきましては、本日の午前をもつて質疑を終局いたしましたが、先般食糧の政府買入数量の指示に関する法律案に対しまして、松浦委員より修正案が提出されております。その修正案はすでに各位の手元に配付いたしておる通りであります。この際趣旨の弁明を求めます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02719510323/60
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061・松浦東介
○松浦委員 さきにわが自由党は、政府原案の農業委員会法案につきまして、一号委員、二号委員の区別による階層選挙制が、現在の農村の実情に照らして不合理である点、並びにこれによりまして農村における階級対立を不当に激化するおそれあるをもちまして、これを全層選挙とするよう修正いたしたのでありますが、これと関連のあります食糧の政府買入数量の指示に関する法律案の條項につきましても、所要の修正をする必要がありますので、ここに修正案を提案いたす次第であります。修正案はお手元に配付してございますから、それについてごらんをお願いいたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02719510323/61
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062・千賀康治
○千賀委員長 この際吉川君及び横田君より議事の進行に関して発言を求められております。これを許します。吉川久衛君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02719510323/62
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063・吉川久衛
○吉川委員 私は食糧の政府買入数量の指示に関する法律案と、食糧管理法の一部を改正する法律案の一案につきましては、わが党の金子委員よりかねがね質疑をいたしましたところが、満足できるような御答弁をいまだいただいておりません。そのために党内ではいろいろ問題がございまして、もう少し愼重に検討をしなければならないということになつておりますので、私が極力党内の調整に当つているわけであります。そこで委員長になるべく御期待に沿うように御努力したいということを申し上げておつたのでありますが、委員長は強引に本日これを押切りたいという御意向のようでございます。私どもが心配しております問題は、食糧の統制をはずすことはどういう理由に基くものであるかということについて、まだ政府の説明が十分でないのです。と申しますのは、この統制というものは需要と供給とがはなはだしくアンバランスになるような場合に、統制の意義が発揮されるのでありまして、今日まで行われた統制は、需要に対して供給がはなはだしく劣つていたということにあつたのでありますが、今後もまた、供給が十分になつて来たといたしますならば、需要と供給の逆のアンバランスの場合が起つて来るわけであります。こういうときに統制をはずすことはきわめて危険であるということと、これがすなわち農業恐慌の契機になるということが憂慮されることもありますが、もう一つには、海外からの食糧の輸入を有利にするためにこういうことをしなければならないのか。すなわち統制をはずすことによりまして、麦価の高騰は必然でございます。この麦価が高騰することによりまして、生産農民が相当うるおうのではなかろうかというようなことを、廣川農相は車中談で発表されて、農民をぬか喜びさせておりますけれども、こうすることによつて、国際価格に近寄りまして、外麦の輸入を容易ならしめることが、農業恐慌の契機になるということも憂慮されるのであります。そこで外麦輸入のためにやらなければならない統制の排除であるのか、それとも四月選挙の対策に備えて麦価を上げて、農民階級の票を獲得するためにやられるのか、それとも、統制を排除することによりまして混乱を生ずることは明瞭でありますにもかかわらず、これを断行しなければならないということは、結局自由党が多年唱えて参りました自由経済方式にもどるという考え方でおやりになるのであるか、そういう点について、私どもははつきりしないのでございます。おそらく麦価の値上りによりまして生産意欲を高揚させることが、一割増産を提唱する政府のねらいであるかもしれませんけれども、対米比価を下げることによりまして、麦の生産意欲は減退されます。そうして今日まで事前割当がまだ徹底的に行われていないこういうときに、私どもは今までの経験にかんがみまして、事前割当をその本質通りに実行することにしなければならないと思うのでありますが、事後割当のようなことで、今日まで事前割当が文字通り行われなかつた。従つて生産意欲を高揚させることができなかつたということから考えますならば、はなはだ意義のないことをおやりになるもので、まことに遺憾にたえません。しかも私どもの憂慮しますことは、統制が廃止になつた後に輸入された外麦、あるいは需給調整の都合では、政府はあとから買い上げるにもかかわらず、これらの麦をどういうふうに御処分なさるのか、機構あるいは制度ができていないときに、いたずらにこれを断行することは、結局商人を利益させることであつて、消費者、農民のためにならないという重大な内容を含んでおるものでありまして、私どもはまだまだ検討の余地が十分あると思うのでございます。こういう点について、納得の行くまで私どもに検討をさせていただきたいという理由で、これを本日打ち切つて採決されることはいかがかと思いますので、もしこれをあえてなさろうとなさるならば、われわれは反対する以外にございませんから、委員長におかれては、どうぞ本問題については慎重な御配慮によりまして、もつと十分審議を盡されんことをお願いする次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02719510323/63
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064・千賀康治
○千賀委員長 次は横田委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02719510323/64
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065・横田甚太郎
○横田委員 大体この法案に対して、どうして無理をするのか。前においても、食確法案については非常に無理をした。しかもその無理が実にきたない。午前中においては、何も質疑が打切られておらないのに、無理に打切つた。農林委員会の委員は二十五入おる。ところがそのときにいたのは確かに三人、三人で質疑を打切つた。共産党は一人であつて自由党は二人おつたから、なるほど自由党は多数おつた。それでさえ質疑を打切つたとよく言えたものだと私は思う。私は委員長に対して、どうしてこんな無理をするかと尋ねたところが、委員長の言うところによると、食糧庁長官が急いでおるからと言う。食糧長官が、なぜ農林委員会に対してこういう横暴を言うかというと、食糧長官の言葉によると、農林大臣が急ぐからと言う。ところがその農林大臣はおらぬじやないか。共産党非合法化問題でみそをつけて、どこへもぐつたかおらぬじやないか。それくらい重要な法案だつたら、大臣がここへ出て来てすわつていたらどうか。自分の鶏の世話をするのに熱意を示しておるならば、この法案に対しても熱意を示したらどうか。こういう意味合いにおいて、無理から無理を重ねてやるやり方が、すなわち前の国会の食確法に対するときにも、結局ポ政令になつたのではないか。委員長は好意的な議事進行だつたら許すと言つたが、実際でたらめだ。どうしてこういうことで好意的にやれるか。だからわれわれは、こういうふうな審議のやり方に対しての反対討論を言うさえもが、すでにもういやなのだ。どうしてもやるならおやりなさい。しかし議会は衆議院だけではないのです。参議院もあるのです。参議院で自由党はゆつくり苦しんで、また吉田さんが失言でもして、だれかにあやまりに行つてもらいなさい。それをわれわれは希望いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02719510323/65
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066・千賀康治
○千賀委員長 これより両案及びただいま松浦君提出の修正案について討論に入るわけでありますが、さらに議事進行の御要求がありますので、特に公平を期する上においてこれをお許しをいたします。遠藤三郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02719510323/66
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067・遠藤三郎
○遠藤委員 ただいま民主党及び共産党の代表者が、議事進行に名をかりて意見を述べておつたのでありますが、その意見を聞いておりますと、まことに事実を歪曲するものであります。第一、この法案が本員委会にかかりましてすでに一箇月にも及んでおるのでありますが、この問慎重に審議をして、あらゆる角度から検討して参つたのであります。もう問題となるべき点はことごとく出されて、おそらくこれほど愼重に扱つた法案はないのではないかと思うのでありまして、いたずらに審議の期間を制限するとか何とかいうことは、まつたく事実に反するものであります。この点を私は、この法案を議決する前にはつきりしておかなくてはならぬと思うのであります。それから反対の意見の中に、統制経済をやるには、需給がアンバランスになつたときに初めてやるのである、しかも現在もなおアンバランスの状態である。こういうことを言つておりますけれども、これまた事実に反するのであります。明年度においても、政府からるる説明がありましたが、二百八十五万トン程度の食糧の輸入は確実である。しかも現在政府が持つておる食糧は、三箇月ないし四箇月の配給分に十分であります。従いまして、食糧が今までのように非常にきゆうくつだということは、まつたく独断的な結論でありまして、私どもは、だんだん食糧は緩和されて来ておる、従つてこの際統制をはずすことは当然だというふうに考えております。
なお野党の諸君は、農民がこの統制解際に対して非常に反対だということを言つておりますけれども、これまたまつたく事実に反するものであります私は昨日の委員会においても、その点を明瞭にしたのでありますけれども、農民は今まで統制に非常に悩んで来た。もう統制の経済にはあきあきして来ておる。この際、麦の統制をはずすことに対しては、農民は全幅的に賛成であります。そのことは、個々の農家についてよく懇談をしてみれば明瞭でありますが、この点も間違いないようにしていただきたい。
それから第三の点でありますが、価格の点であります。価格の点について、麦の値段はだんだんこれを上げて行つて、外麦の値段に近づけて行くことによつて、外麦がどんどん入つて来て、そうして日本の国内産の麦の価格を圧迫するというような議論もありましたけれども、これは食糧事情の現状、ことに外麦の価格と日本の内地麦の価格との関係を全然知らない議論でありまして、現状においては、安い麦が入つて来て、日本の国内の麦の価格を圧迫するようなことは絶対にない。これは三才の童兒でもわかつている事柄なのであります。その点をはつきりしていただきたいと思います。なお事後割当の問題でありますが、統制をだんだん緩和して行く以上、事後的な措置を講ずることは当然であります。しかも、さらに必要に応じては供出ができるような制度になつておりますけれども、これは再三政府が言明しておりますように、普通の事態においては、この條項を発動しないのだ。万一の事態において、日本の全国民の食糧を確保するという意味から、こういう條項を発動せざるを得ないような事態が生じた場合のみに発動するのだ、その点は安心してくれということを、政府は再三言つております。この点は政府としても、決していたずらにこれらの條文を発動する考えはないという再三の説明にもかかわらず、なおこの点についていろいろ異論をさしはさんでおりますことは、まつたく政府の意図を歪曲するものであります。
以上、反対党の諸君が、今、議事進行に名をかりて反対討論に類するものをやつておりましたが、これはまつたく事実に反し、今の食糧事情を正しく理解しない、間違つた結論であるということを、この際はつきり申し上げまして、議事進行にかえる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02719510323/67
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068・千賀康治
○千賀委員長 別に討論の通告もありませんので、この際討論を省略して、ただちに採決に入りたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02719510323/68
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069・千賀康治
○千賀委員長 御異議なしと認めます。
これより採決に入ります。まず、食糧管理法の一部を改正する法律案について、採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02719510323/69
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070・千賀康治
○千賀委員長 起立多数。よつて本案は原案の通り決しました。
引続きまして、これより食糧の政府買入数量の指示に関する法律案の修正案について、採決いたします。これに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02719510323/70
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071・千賀康治
○千賀委員長 起立多数。よつて本修正案は可決せられました。
次に、ただいま可決せられました修正案の修正部分を除く原案について採決いたします。これに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02719510323/71
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072・千賀康治
○千賀委員長 起立多数。よつて食糧の政府買入数量の指示に関する法律案は、修正案のごとく修正すべきものと決しました。
なお、お諮りいたします。本日議決いたしました四法律案につきまして、衆議院規則第八十六條による委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02719510323/72
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073・千賀康治
○千賀委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
本日はこれにて散会いたします。
午後三時五十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02719510323/73
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