1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十六年三月二十六日(月曜日)
午後二時二十九分開議
出席委員
委員長 千賀 康治君
理事 野原 正勝君 理事 松浦 東介君
遠藤 三郎君 小笠原八十美君
川西 清君 川端 佳夫君
河野 謙三君 中馬 辰猪君
原田 雪松君 大森 玉木君
金子與重郎君 横田甚太郎君
松本六太郎君
委員外の出席者
参議院議員 池田宇右衞門君
農林事務官 古西 一郎君
参議院参事
(法制局第三部
長) 岡田 武彦君
専 門 員 難波 理平君
専 門 員 岩隈 博君
専 門 員 藤井 信君
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三月二十四日
委員佐藤親弘君、圓谷光衞君及び金子與重郎君
辞任につき、その補欠として平野三郎君、河野
謙三君及び小林運美君が議長の指名で委員に選
任された。
同月二十六日
委員小林運美君及び稻村順三君辞任につき、そ
の補欠として金子與重郎君及び八百板正君が議
長の指名で委員に選任された。
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三月二十三日
農業協同組合法の一部を改正する法律案(池田
宇右衞門君外五名提出、参法第一一号)(予)
同月二十六日
農業協同組合法の一部を改正する法律案(参議
院提出、参法第一一号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した事件
小委員の補欠選任
農業協同組合の一部を改正する法律案(参議院
提出、参法第一一号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02819510326/0
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001・千賀康治
○千賀委員長 これより農林委員会を開会いたします。
付託議案の審査に入ります前に、小委員の補欠選任についてお諮りいたします。委員の異動に伴いまして、肥料対策小委員会の委員が四名欠員となつております。この際その補欠を委員長において指名いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02819510326/1
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002・千賀康治
○千賀委員長 御異議なしと認め、
河野 謙三君 平野 三郎君
八百板 正君 松本六太郎君を肥料対策小委員に指名いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02819510326/2
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003・千賀康治
○千賀委員長 これより農業協同組合法の一部を改正する法律案を議題とし、審議に入ります。
なおこの際御報告いたしておきますが、本案は去る三月二十三日予備審査のため本委員会に付託になりましたが、本日参議院を通過いたしまして、先ほど本付託となつたのであります。この点御了承を願います。
それではこれより本案の趣旨について提案者より提案理由の説明を求めます。池田宇右衞門君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02819510326/3
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004・池田宇右衞門
○池田参議院議員 農業協同組合法の一部を改正する法律案の提案理由を説明申し上げます。
現下の農業協同組合の現状にかんがみまして、農業協同組合の事業の運営に弾力性を与え、かつ組合員の意思を組合の業務に積極的に反映させる措置を講じ、農業協同組合の健全な発達をはかる必要があります。そこで組合経営の面につきましては、役員が本腰を入れて組合経営に没頭し得るようにするために、その任期を三年にまで延長し、市町村長の農業協同組合については、役員を総会外において選挙できる道を開き、また医療施設については、組合員以外の者が組合員の事業の利用分量の五分の二までこれを利用できるようにいたしまして、組合の経営が円滑に進み得るような措置を講じ、資金面では、税金のかからない回転出資金制度を新たに採用し、これを事業運転資金として活用することにしたのであります。また組合が連合会を設立し、あるいは連合会に加入しまたは脱退しようとする場合には、総会で特別議決をすることにし、組合員の意思を組合に十分反映し得るようにしたのであります。
以上の措置に伴い、行政庁の監督権の整備をはかり、役員の職務を行う者がないときは、行政庁は、役員選挙のための総会を招集し、また組合の設立認可後九十日以内に設立登記をしないものにつきましては、認可の取消しをなし得る権限を付与することにしたのであります。何とぞ慎重御審議の上、御可決あらんことをお願いいたす次第であります。
なお、はなはだかつてなお願いでございますが、幸い御賛同を得られますならば、来る四月が單協、五月が連合会の役員の改選期となつており、また農協の医療施設の員外利用分量を五分の二に拡大することができれば、厚生省の公的医療機関の指定が受けられることに話がついておりまして、その指定が三月末か四月初めに行われる予定でありますので、この改正法案が三月中に成立すればまことに好都合と存じますので、これを御了承いただきまして、格別の御配慮をお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02819510326/4
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005・千賀康治
○千賀委員長 これより質議に入ります。通告がありますのでこれを許します。金子與重郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02819510326/5
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006・金子與重郎
○金子委員 この法律案は、私どもが不満に思つた点を何かしら解決しておるようなところもありますので、大体賛成でありますが、なお法律案が出てすぐでございますので、こまかい調査をしております時間もないようでありますが、ちよつと今思い当つた点を二、三質問申し上げたいと思います。
この農業協同組合模範定款例新旧条文対照表の中に、第六条の、「農業協同組合連合会の設立の発起人となり」云々というところですが、この議決権だけは、どうしても三分の二以上の多数による議決を経なければならないのか。と申しますのは、單なる総会の議決を要するということでなく、どうしても特にこの会議の内容にまでここに入つているのか、その理由はどこにあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02819510326/6
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007・古西一郎
○古西説明員 私から御回答を申し上げます。この模範定款例の新旧条文対照表におきまして、その第六条で「この組合が農業協同組合連合会の設立の発起人となり若しくは設立準備会の議事に同意し又は農林中央金庫及び農業協同組合連合会に加入しようとするときは、総会において、総組合員(准組合員を除く。)の半数以上が出席し、投票によつて、その議決権の三分の二以上の多数による議決を経なければならない。」という規定を考えておりますが、これは今度の法律の改正案におきまして、連合会の設立あるいは加入につきましては、この問題の重要性にかんがみまして、その組合の総会で、特別議決によつてこれを決する、すなわち構成しております組合員の総意をできるだけ総会の意思に盛ることによつて、組合員の積極的な協力を得て、組合の態度を決定して行きたい、このような趣旨で法律改正がなされようとしておりますので、それに伴いまして、模範定款例を改正したい、かように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02819510326/7
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008・金子與重郎
○金子委員 その説明はわかるのですけれども、どうして総会の議決ということでなく、こういうふうに総会の内容にまで立ち入らねばならなかつたかという、その理由なのです。総会の議決によるということで、総会というものをそのまま信頼して行く形でなく、総会の内容まで、こういう形の総会でなければいかぬということを、どうして法律に書かなければいけなかつたかということなのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02819510326/8
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009・古西一郎
○古西説明員 第七国会におきまして、連合会の合併の際にもやはり同様な改正がなされておるわけであります。それと揆を一にいたしまして、合併の場合のみならず、加入あるいは設立という場合にも、その組合にとりましては非常に利害関係が大きいので、慎重に組合員の意思を組合に反映させて参りたい。現在は單に理事会の決定によつて、加入するか、あるいは設立するかという問題が決定せられておつたのでありますが、事柄が組合及び組合員にとりまして非常に重要でありますので、特に慎重な態度で臨みたい、こういう趣旨であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02819510326/9
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010・金子與重郎
○金子委員 私の質問にピントがはずれておるのではないと思うのだが、今まで役員会でやつたものを総会でやるということはわかる。それを、総会の内容まで、こういうふうに何分の一以上の出席で、何分の一以上の投票によつてきめるということをどうしてきめるか。こういうことをどうして聞くかというと、組合員が千戸以上ある農村に行きますと、実際問題といたしまして、こういうふうに総会の内容まで立ち入ると、りくつとしてはよろしいのですが、実際上運用が困るのです。だから組合長が総会を招集して、成規の総会が委任状によつて、数において成り立つておるならば、内容まで入つて、投票によつてきめるとか、何分の一できめるとか、そこまで言う必要はないのじやないか、こういう意味の質問だつたのですが、それはそれでよろしゆうございます。
それからその次に町村組合の場合に、総会の席以外において役員を選挙することができるという、その具体的な説明をひとつ承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02819510326/10
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011・池田宇右衞門
○池田参議院議員 ただいま御質問いただいたような、つまり千人以上の組合におきましては、総会の当日は予算、決算、事業計画等、幾多の総会に諮るべき問題が山積しておるようなその席上に、役員の選挙までできない場合が生ずるという関係上、組合員の多数あるときにおいては、選挙は、役員に適当な方を組合員が選ぶ意味からかんがみまして、選挙期日だけは特に別にこれをきめてもらつてもいいという新制度を開いた次第であります。さよう御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02819510326/11
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012・金子與重郎
○金子委員 そういたしますと、総会の当日役員選挙を行わなくてもよろしいというが、その以外の場合に、役員選挙をするという方法は、総会でないということになりますと、それならば部落別に投票してもいいかということも総会以外の方法になるでありましようし、総会以外の方法というのはいろいろあるのですが、やはり総会と同じような投票日というものをきめて、選挙の投票の方法にはかわりないわけですね、投票だけは成規に今まで通りやるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02819510326/12
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013・池田宇右衞門
○池田参議院議員 新たに総会以外で選挙するときには、三十条の規定によりましてごらんくださる通り、役員の選挙においては、選挙ごとに選挙管理者、投票所ごとに投票管理者、開票所ごとに開票管理者を置かなければならないというように、選挙に対しましては、それぞれ選挙の手続その他選挙に関する方法を規定しておりますから、その規定に従つて選挙を行わなければならない、さようにひとつ御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02819510326/13
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014・金子與重郎
○金子委員 これは事務当局の方にお伺いしますが、今度の改正に対する剰余金の持分計算の問題で、どうかわつて来るかという点をお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02819510326/14
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015・古西一郎
○古西説明員 現在は共協組合の剰余金が出ました場合に、まず準備金に充てるべきものは充てる。それから教育情報繰越金にこれを入れる。なお剰余金があります場合におきましては、出資金に対する配当を行い、さらになお剰余金があります場合には組合員の事業の利用分量の割合に応じてこれを配当するというのが現在の制度であります。今度の回転出資金制度を採用いたします場合におきましても、その計算は同一でありまして、ただ組合員から回転出資金として払い込ませた分につきましては、毎事業年度末におきまして、これの持分計算を行つて行く、そういうぐあいになるわけであります。その持分計算の方法といたしましては、模範定款例にもありますように、「回転出資金に相当する額の財産については、各組合員の払い込んだ回転出資金の額に応じて事業年度毎に算定して加算する。但し、回転出資金が減少したときは、回転出資金に相当する額の財産について各組合員に算定されている持分額に応じて減額して算定する。」こうい方法を考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02819510326/15
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016・金子與重郎
○金子委員 回転出資金の問題はそれでわかりましたが、一番実際運用上ややこしくて困る問題は、今までは建前上準備金その他の積立金の持分計算ということが、法律にあつて実際上やれないということがあつた。持分計算の問題は、諸積立金の持分に応じて一応計算しておけということがあつたのですが、その点はここで触れておりませんか。組合の諸積立金があるでしよう。要するに法による積立金がありますね。これを各自の持分によつて一応年度末には計算しておくということが原則になつておつた時代があるのです。そうでありませんと脱退、加入や何かのときに困るのです。変化ができますから……。たとえば去年拔けた人と、今年拔けた人と、その年の持分が非常に変化があるわけです。だからいつもそれをすることが建前だという形でやつて来た時代があるのです。その点については、今度の法令はどういうふうにきめておるかというのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02819510326/16
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017・古西一郎
○古西説明員 従来の準備金とかあるいはその他の積立金につきましては、お話のように、毎年度末におきましてそれぞれ持分計算をしておるわけでありますが、これにつきましては従来通りで、かわつておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02819510326/17
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018・小笠原八十美
○小笠原委員 ちよつとわからないことが一つある。金子君の先刻の質問と答弁との間に割り切れないものが生れた。それは何であるかといえば、池田君のさつきの説明によると、総会の時分には決算、予算がある、こういうときに同時に選挙をしないでもよい、別の機会に選挙してもよいのだということなんだ。それでさらに金子君が質問して、それならば総会を開かんでもよいか、各部落ごとに選挙してもよいのか、こう質問されているとぼくは承つた。それに対して、第何条かによつて管理人を定めて選挙すればよいのだという御答弁のようで、さつぱりうやむやになつた。そうすると、一口に言えば、総会を開かないで選挙してよいのか、各部落ごとに管理人を定めたり何かする程度の手続によれば、今日は甲の部落で選挙した、その翌日は乙の部落で選挙した、それを総合して、七つ部落があれば、七日目に総合して、そして当選者を定めてよろしいというようなことになるのか、そこがはつきりしない。それをひとつ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02819510326/18
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019・池田宇右衞門
○池田参議院議員 まことに内容に対して親切な御質問でありますが、多年選挙に携わる小笠原委員として、日本の現段階において、部落ごとに集めた選挙ということは、農業委員会にも行われていないと確信しております。いわゆる協同組合において役員の選挙を行う場合においては、選挙期日を定めて、組合全体に通知いたしまして、その当日、広範囲にわたる地区であれば、便宜上投票所を各所に設けて選挙を行う、その開票をするときには、一箇所に集めて選挙管理者は選挙録をつくり、投票管理者は投票録をつくり、開票管理者は開票録をつくつて、そして署名し、選挙の完璧を尽すというような方法でありまして、今仰せのような部落ごとに日を異にして選挙ということは決してできないことになつておりますから、さよう御了承をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02819510326/19
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020・小笠原八十美
○小笠原委員 そうすればこういうわけだね。総会のときには選挙をやらぬでもいい。さらに選挙する時分には日程を定める。そしてそれを全会員に通知して、総会で一箇所に集まらぬでもいいのだ。各部落に集まつてそこに管理人を置いて投票させればよろしい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02819510326/20
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021・池田宇右衞門
○池田参議院議員 場合によつては……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02819510326/21
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022・小笠原八十美
○小笠原委員 それでもいいでしよう。その箱をみな集めて、一箇所でその日のうちに開票すればよろしい。場合によつてもではないだろう、やつてもいいだろう。場合によつてもと言うと、その場合はどういう場合だかわからなくなる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02819510326/22
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023・池田宇右衞門
○池田参議院議員 広範囲にわたる地区においては、その方法をおとりくださつてもよいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02819510326/23
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024・小笠原八十美
○小笠原委員 広範囲でなければ場所を指定しないが、指定してやつてもよいわけだね。それを一箇所に集めて、その日をきめて、その日に開票すればよいというわけだね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02819510326/24
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025・池田宇右衞門
○池田参議院議員 さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02819510326/25
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026・遠藤三郎
○遠藤委員 質疑を打切られんことを希望いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02819510326/26
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027・千賀康治
○千賀委員長 ただいまの遠藤委員の動議に御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02819510326/27
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028・千賀康治
○千賀委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
本案につきましては、討論を省略してただちに採決いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02819510326/28
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029・千賀康治
○千賀委員長 御異議なしと認めます。よつてこれより農業協同組合法の一部を改正する法律案について採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02819510326/29
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030・千賀康治
○千賀委員長 起立総員。よつて本案は、原案通り可決すべきものと決しました。
なお本案に対する衆議院規則第八十六条による委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02819510326/30
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031・千賀康治
○千賀委員長 御異議なしと認めます。さよう決しました。
次会は公報をもつて申し上げます。本日はこの程度で散会いたします。
午後二実五十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004988X02819510326/31
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