1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十六年三月九日(金曜日)
午後一時五十三分開議
出席委員
委員長 長野 長廣君
理事 岡延右エ門君 理事 若林 義孝君
理事 小林 進一君
柏原 義則君 甲木 保君
坂田 道太君 高木 章君
東井三代次君 圓谷 光衞君
平島 良一君 笹森 順造君
浦口 鉄男君
出席政府委員
文部政務次官 水谷 昇君
文部事務官
(大臣官房宗務
課長) 篠原 義雄君
文部事務官
(大学学術局
長) 稻田 清助君
委員外の出席者
專 門 員 横田重左衞門君
專 門 員 石井つとむ君
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三月七日
公立大学管理法案(内閣提出第八二号)
国立大学管理法案(内閣提出第八三号)
国立大学管理法及び公立大学管理法の施行に伴
う関係法律の整理に関する法律案(内閣提出第
八四号)
同日
学校給食法制定に関する請願(庄司一郎君紹
介)(第一〇七六号)
同(塩田賀四郎君紹介)(第一一一〇号)
ニユース映画、教育映画助成に関する請願(佐
々木更三君紹介)(第一一〇九号)
北海道学芸大学拡充の請願(伊藤郷一君外五名
紹介)(第一一一一号)
九州大学放射線従業員待遇改善に関する請願
(福田昌子君紹介)(第一一三五号)
大垣市立興文中学校校舎建築促進に関する請願
(大野伴睦君紹介)(第一一三七号)
私立学校共済組合設立に関する請願(松本七郎
君紹介)(第一一三八号)
の審査を本委員会に付託された。
同日
産業教育法制定に関する陳情書
(第三三八号)
博物館法制定に関する陳情書
(第三四二
号)
教職員の結核療養期間延長に関する陳情書
(第三六七号)
を本委員会に送付された。
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本日の会議に付した事件
宗教法人法案(内閣提出第五一号)
公立大学管理法案(内閣提出第八二号)
国立大学管理法案(内閣提出第八三号)
国立大学管理法及び公立大学管理法の施行に伴
う関係法律の整理に関する法律案(内閣提出第
八四号)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005115X00819510309/0
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001・長野長廣
○長野委員長 これより会議を開きます。
前会に引続き、宗教法人法案を議題として質疑を続行いたします。浦口君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005115X00819510309/1
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002・浦口鉄男
○浦口委員 前回の委員会に、私欠席をいたしまして、質問の機会を得ませんでしたので、あるいは一部重複する点がありましたならば御了承を願いたいと思います。総括的に二、三お尋ねしてみたいと思います。
この提案理由の中に、信教の自由の基盤の上に立つ新たな宗教法人制度の確立が、各方面から要望される実情にあつた、それに即してこのたびの法案が出た、こういうふうに御説明になつておりますが、実は新興宗教団体方面からは、かつて宗教に対して国家から保護を受けたこともない、また保護を受けて、宗教というものが必ずしも正常な発展をして行く、こういうことでもない、いまさらここに政府がこの法案をそういう意味合いで考えられたという点が、たいへんふに落ちない、こういう意見も出ております。その点に対して、まず政府の御意見をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005115X00819510309/2
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003・篠原義雄
○篠原政府委員 お答え申し上げます。いわゆる新興宗教団体と申しますのは、終戰後、宗教法人令に基きまして、宗教法人として届出のあつたものが、一般には新興宗教団、こういうふうに呼ばれておるようでございます。それらにつきましても、やはり従前の教派なり教団が受けていたと同じように、平等な公平な租税その他の恩典を、現行宗教法人令にのつとりまして現実に受けておるわけであります。それで新しく宗教法人法を設けまして、さらに宗教財産の確保を期しておる次第であります。その他位がさらに確保されるという意味において、一般の各宗教団体と同じように、地位の確保が法の上において平等に取扱われるという趣旨、そういうふうに申し上げている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005115X00819510309/3
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004・浦口鉄男
○浦口委員 今の御説明で聞くと、大体この法案が物的な面を規定したことにとどめてあるので、そう点一応了承するわけであります。そこでこの法案の最初に、宗教の定義が書いてあるのでありますが、この中には「信者を教化育成」ということが掲げられておるわけであります。もちろんこの字句だけを見ますと、これは当然そうあるべきであると思うのでありますが、少くとも教化育成ということになりますと、その教化育成の内容そういうものが、おのずから検討されなければならぬ、こう思うのであります。ところが信教の自由ということによりまして、その宗教団体の教義、あるいは教化の内容そのものについては一つも触れてない。こういうことは、再三お聞きしておるのでありますが、これは非常に根本的な問題であり、また幅の広い意味を持つて来るわけでありますので、この前の委員会においても、また各宗派の懇談会におきましても、非常に重点が置かれて論議されたわけであります。この教化育成というものの内容について、一応当局としてはどういうふうに御解釈になつて第二條をおつくりになつたか、その点をお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005115X00819510309/4
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005・篠原義雄
○篠原政府委員 「信者を教化育成」というのは、宗教団体の主目的の一つといたしまして、宗教団体全部がほとんど教義を広め、儀式行事をする、あるいは信者の教化育成をするということを、共通な要素としておりますので、これを掲げたというのでございます。この意味内容は、信者に教義を深めて行く、あるいは教えをますます体得せしめる、あるいは教師の養成をする、あるいは未信者を信者にいたしまして行くとか、こういう活動を教化育成という言葉でもつて表示したというふうに御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005115X00819510309/5
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006・浦口鉄男
○浦口委員 そういうことになつて参りますと、おのずから教組、それから経典、あるいは教義という非常に問題になつて来ると考えられるのでありますが、宗教法人として申請された場合に、この審議会ではどの程度その問題について触れられたか、その限界を一度お聞きしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005115X00819510309/6
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007・篠原義雄
○篠原政府委員 この法律におきましては、宗教団体は法人となり得る道を開いたというところでございまして、宗教団体それ自体が、客観的に現実的に宗教団体であるものならば、その道は開かれる、そうしてこの法律の上で宗教法人となりますにおいては、特殊の恩典なり保護が與えられる関係上、少くとも宗教法人となる前提として、宗教団体としての自主的な活動母体が必要だという意味から見れば、その宗教団体はいかなるものかというので、一般の宗教の現象を静かにながめますと、先ほど申しました教義を広め、儀式行事を行い、信者を教化、育成するという要素がございます。これを定義といたします宗教団体であるならば、宗教法人としての道が開かれる。従つてこれらの三つの主目的を有しているかどうかということによつて、宗教団体なりやいなや一応見定めるという趣旨でございまして、教義あるいは経典、縁起というものを、一々出さなければならないのだという趣旨ではございません。宗教法人として申請する場合においては、みずから自己の責任におきまして、客観的に宗教団体であると称するに適当だと思われる書面を出していただけばけつこうであります。経典、縁起等をわざわざ出さなくてはならないのだという趣旨ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005115X00819510309/7
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008・浦口鉄男
○浦口委員 そういたしますと、いわゆる宗教と宗教団体との相違が、当然考えられて来ると思うのでありますが、この間も新興宗教団体の方々のお話では、いわゆる政府の見方でする、宗教団体という形式は備えていなくても、一人の教祖なら教祖がいて、そこに相当の信者を集めて、いわゆる第二條にうたつておりますような、信者をある意味で教化育成している、こういう場合に、なぜあえていろいろ形式を整え、役員その他株式会社のような内容を持たなければ、これに対する特典が與えられないか、こういうことについて、非常に大きな疑問があるという意見もあつたのであります。もちろん、これは法人として扱われなくとも、宗教活動は自由であるということは、われわれ承知をいたしておりますが、その点について非常に疑問があるのでありますが、どういうふうにお考えになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005115X00819510309/8
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009・篠原義雄
○篠原政府委員 世に宗教団体といわれ、また一定の教義を持ち、信者を持つて活動されている、しかもそれが宗教法人でないものもたくさんございます。宗教団体であつても、宗教法人となろうとする意思がなければ、必ずしも宗教法人になる必要はございません。それで、宗教団体でも、宗教法人となつていないものもたくさんございます。なおこの法律は、宗教団体は宗教法人になれるという道を開いたにすぎないのであります。どんな宗教団体でも、全部宗教法人にならなければならないのだ、あるいはなるにはこうするということではございませんで、御自由になりたいものがなつてほしい。それにつきましては、法が規定しておりますところの保護、恩典というものがございます関係上、少くとも公益法人としての体をなし、規則を作成することが、少くとも国民全般から考えまして必要だろうという意味合いのもとに、法人となる場合における手続を定めたのが、本法の趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005115X00819510309/9
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010・浦口鉄男
○浦口委員 そういたしますと、宗教団体でないものが、宗教法人になつたりする場合があるということを言われておりますが、その具体的な場合をちよつとお示し願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005115X00819510309/10
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011・篠原義雄
○篠原政府委員 現在宗教法人令下におきまして届出の宗教法人の中に、その目的が、あるいは一般通念から申しますと、広義の意味では宗教団体であるかもしれない、しかしながらその事業形態なら、活動形態をながめますと、特殊な場合には、営利事業あるいはその他の收益事業を主目的にしているがごとき団体も、見受けられるのであります。従つて二條で規定いたしますように、こういつた目的を主目的にしている団体が宗教団体である、こういうふうに規定した次第であります。現実に宗教法人と届け出られるものを見ますときには、往々にしていわば、営利事業をやつている、それが主目的であるというようなものまでも、宗教法人という名においてみずから登記する関係上、宗教法人になつて恩典を受けているという実情があります。これは現実の事実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005115X00819510309/11
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012・浦口鉄男
○浦口委員 その辺の限界がたいへんむずかしいと思います。たとえば、この法案にもありますが、営利事業は禁止していないわけです。要は、そのあがつた牧益を教義の普及その他のために公共性を持つて使えばよい、こういうふうに法案に盛られておると思うのであります。その職業の業種別については、おのずから制限はあると思いますが、法文の上においては明確にしてないわけです。そういたしますと、かりにダンス・ホールを経営しているとか、あるいはいかがわしい旅館のような営業をやつておるというような宗教団体も相当あると思うのであります。但し、それからあがつた收益を、教義そのもののために使うということになれば、これを黙認するかどうかその点お尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005115X00819510309/12
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013・篠原義雄
○篠原政府委員 その宗教団体というものが、この法の上に予定しておりますのは、やはり国民全般なり、あるいは一般公共性という角度から考えてみまして、経営しておる事業が、はたしてその宗教法人の主たる目的になつているかなつていないか。多くはもちろんある種の祭壇を設けて、個人的にお参りする、こういうものもございましようが、しかしながら、信者の教化育成を主目的の一つにしているか、あるいは儀式行事を主目的の一つにしているか、こういう点になりますと、その事実を比較いたします場合におきまして、営利を主目的にしている事実がございますので――たとえば自転車業をやつておる、しかもそれがちやんと許可を受けてやつておる。その土地、建物は宗教法人の用に供しておる、こういうことが見受けられるのでありますが、これはここでいう宗教団体とは考えないという趣旨にわれわれは了解しておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005115X00819510309/13
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014・浦口鉄男
○浦口委員 たいへんその点がむずかしい問題になつて来ると思いますけれども、そういう本質とあまりにかけ離れた、いわゆる営利を主とした事業をやつているという場合は、これを禁止するということができるわけですね。その判定はもちろん審議会がやると思うのでありますが、その場合の処分といたしましては、その営業を停止させるだけにとどまるか、あるいはあまりにそれがこの法の趣旨をはずれていれば、法人そのものをも禁止するようになるか、その点をちよつとお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005115X00819510309/14
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015・篠原義雄
○篠原政府委員 事業の停止とか、あるいは認証の取消しというような重大な場合におきましては、宗教法人審議会の御意見を聞いた上で、処置することになつております。その場合におきまして、宗教法人審議会にかけて、そこで公平なる御判断を仰いだ上で、それは少くとも官の所轄庁の自由で、あるいは悪意的な態度に出ないという限りにおける宗教法人審議会の意見を聞いた上でやるということにするならば、お説の点は、公平なる建前から判断されるのじやないかというところに、われわれは期待をかけておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005115X00819510309/15
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016・浦口鉄男
○浦口委員 どうも公益性と営利性とは、必ずしも一致しませんので、その点むしろ純営利的と見られるものについては、その收益の用途というものについての指示を與える以外に、これをやらせないということが、宗教の本質からいつても適当でないか、こう思うわけであります。もちろん教義を広めるためには、いろいろ費用がいるわけであります。だから、どういう仕事をやつても、その利益が本質的に使われればいいということになると、そこに混乱が生ずると思うのでありますが、その点について、もう一段と鮮明な態度をこの法律にお示しになる方がよろしいのじやないか。これは私見でありますが、その点についていかがでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005115X00819510309/16
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017・篠原義雄
○篠原政府委員 ただいまの御意見、われわれも同感と存ずる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005115X00819510309/17
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018・浦口鉄男
○浦口委員 それでは問題をかえまして終戰までありました既成宗教が終戰後非常にたくさんに分裂をしたと思うのであります。この表を見ましても、法人としてすでに届出済みのものが、各派合せまして十八万余り、非法人が二方、合計二十万あるわけでありますが、終戰後こういうふうに分派がたくさんできたということについて、どこに原因があるか。政府としてこれを検討になつていられれば、その事情を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005115X00819510309/18
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019・篠原義雄
○篠原政府委員 分派独立の原因につきましては、種々さまざまでございますが、特に制度的にながめますと、その原因の一つといたしましては、宗教法人令が、非常に信教の自由を確保するという建前からできておるので、その自由のいわば一種の濫用に近いものもありましようし、あるいはそうでなくして純粋に自由を主張して分派独立したものもございます。あるいはかつて宗教法人、あるいは神社、寺院、教会というような制度的な法人格を取得するには、相当法令上困難でございましたので、それである種の宗教結社といつたような形で存在するとか、あるいは他の宗教団体の傘下に一つの教会として存在しておる、そういうような宗教団体が、信教自由の建前の法令下に独立いたしまして、そうして自己の教義のもとに完全な宗教団体となる、こういうような面のものもございます。これは一種教義的の面から独立した、こういうことがいえましよう。それから、あるものにつきましては、たとえば宗派あるいは教団の非常な財政的な圧迫と申しますか、強圧に耐えかねて独立しよう、そういうような経済的、財政的原因から独立分派するものもございます。あるいは個人的な感情問題から独立するといつたような例も、見受けられます。先ほど申しますところの宗教法人令の、非常に信教の自由を保全するというその趣旨から生まれたものと、それを濫用するというか、それから生れたものとが、今言つたような大きなわくとして考えられるのではないか、こういうふうに考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005115X00819510309/19
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020・浦口鉄男
○浦口委員 これはおそらく今後もなかなか減らないだろう、こう思うのであります。日本の敗戰後の国情を反映したものとも思うのでありますが、こういうふうに非常にふえて来るということが、はたして宗教の本質と合致するものかどうか、これは非常に重大な問題だと思うのであります。宗教は、もちろん自由でありますけれども、われわれといたしましても、その何が淫祠邪教であるか、あるいは善悪ということについては、国民が良識をもつて判断する、これが当然であります。これは私の試案で、この法案とは直接関係がないと思いますが、できれば各宗派の代表を集めた一つの機関をつくりまして、年に何回とか、定期あるいは不定期に各教義についての討議をする。もちろんその討議によつて結論を出すというわけではございませんし、政府自体がそれに対して干渉するということではいけませんが、そういう機関を将来つくるべきだ、そうしてやはり国民の良識による判断をより助長して行く、あるいはこれをうちかつて行くというようなことが非常に必要だと思いますが、そういう点について、政府は現在何かお考えになつておるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005115X00819510309/20
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021・篠原義雄
○篠原政府委員 ただいまのような私設の団体と申しますか、こういう団体が必要なことは、宗教団体側でも、相当お考えになつておるようであまりす。国が強制してそういう団体をつくるということは、これは当然信教の自由の関係からできないことと存じますが、そういう機運も宗教界に見受けられますし、政府といたしましても、国民全般の宗教尊重なり、あるいは信教の自由の確保なり、かつまた宗教活動の円満のために、自発的にそういう団体を設けることは望ましいことと存じておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005115X00819510309/21
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022・浦口鉄男
○浦口委員 そのような方向に、政府があらゆる機会にこれを推進されることを希望いたすものであります。なぜかと申しますと、教育基本法においても、いわゆる宗教的情操というものに、非常に重きを置いております。なお今後の日本の防衛ということが、必ずしも再軍備ということと別にいたしまして、かりにそういう事態が将来起るといたしましても、その前提といたしまして、いわゆるダレス特使の言葉を借りて言えば、間接防衛と申しますか、そういう点については、人間の宗教心というものが、宗派というものを別にいたしまして、非常に重大だと思うのであります。でありますから、私はそういう点について、政府が積極的な態度で、今後いろいろな場合に推進願いたい、こう思います。なお一つ二つ根本的問題を持つておりますが、これはまた文部大臣がおいでになつた機会にお尋ねしてみたいと思いますので、今日はこれをもつて打切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005115X00819510309/22
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023・長野長廣
○長野委員長 一時宗教法人法案に対する質疑を打切りたいと思います。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005115X00819510309/23
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024・長野長廣
○長野委員長 国立大学管理法案(内閣提出、第八二号)公立大学管理法案(内閣提出、第八三号)国立大学管理法及び公立大学管理法の施行に伴う関係法律の整理に関する法律案(内閣提出、第八四号)以上三案を一括議題とし、政府の提出理由の説明を聽取するに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005115X00819510309/24
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025・長野長廣
○長野委員長 御異議なしと認めます。よつて日程は追加されました。
これより提案理由の説明を求めます。水谷政府委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005115X00819510309/25
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026・水谷昇
○水谷政府委員 ただいま議題となりました国立大学管理法案及び公立大学管理法案並びに国立大学管理法及び公立大学管理法の施行に伴う関係法律の整理に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容の骨子について御説明申し上げます。
現在七十校を数える国立大学は、設置後すでに二箇年を経過し、鋭意その教員組織及び施設、設備等の整備充実に努め、新しい大学としての使命を果しつつあることは、御承知の通りであります。大学における教育及び研究をして、十分その目的を達成せしめるためには、大学の人的及び物的條件の整備充実とともに、大学の管理、運営の適正をはかることが、きわめて重要なことであります。政府は、かかる観点から国立大学の管理に関する法律を制定する必要を認め、相当久しきにわたり研究を試みて来たのであります。しかし、事は大学教育の成否にかかわる重要性を持ち、また世論の関心を集め、種々論議せられた経緯にかんがめ、この法案起草のために、特に国立大学の学長、教授及び一般学識経験者等よりなる起草協議会を設け、約一年余にわたつて審議を重ね、その間幾たびか案を改めて各方面の意見を聞き、または公聴会を開く等、できるだけ愼重に立案に当つて参りました。この長期間にわたる協議会の審議の成果に基いて、この法律案を作成し、ここに御審議を煩わすことにいたした次第であります。
国立大学管理法案は、この法律の目的として冒頭に掲げております通り、国立大学の管理について、その自治を尊重するとともに、民意を反映せしめて、国立大学の適正な管理をはかることを目的とするものであります。大学の自治は、従来もわが国の大学が貴重な伝統として守つて来たところでありまして、これは新制の大学においても、ますます尊重しなければならない大学行政の基本原則であります。しかしながら、一方国立大学は、国民一般が負担した国費によつて維持経営せられている国家の最高の教育及び研究の機関として、国家、社会に対して、大きな責任を負つていることを考えますと、大学の自治を強調するあまり、大学の管理、運営がいやしくも独善とへんぱに陥ることがないよう、大学行政へ公正な民意を反映させる方途を講ずる必要があるのであります。かかる見地に立つて、大学の自治の尊重と、大学行政への民意の反映という二つの目標を、わが国の実情に即して最も合目的に調和せしめることが、この法律案の根本精神であります。
次に、国立大学管理法案の内容について、その骨子を御説明し申上げます。
第一に、新たに文部省に国立大学審議会を置くことにいたしました。国立大学審議会は、国立大学長の互選する者、日本学術会議がその会員のうちから推薦する者、学識経験者で、その任命について両議院の同意を得た者等、合計三十人の委員をもつて組織するものでありまして国立大学に関係のある法令の立案、国立大学のための予算の見積り、その他この法律に規定する特定の重要事項で、国立大学一般に関することについて、文部大臣はその基本方針を決定する場合において、あらかじめその意見を聞かなければならないことといたしました。かくして国立大学に対する文部大臣の権限行使の方式を民主化し、この法案の所期する目的を達成しようとするものであります。
第二に、各国立大学ごとに新たに商議会を設けることといたしました。商議会は、当該大学の学長、当該大学の教授のうちから選定された者、一般学識経験者について文部大臣が任命する三十人以内の商議員で構成せられるのでありまして、学則その他重要な規定の制定改廃、学部学科の設置、廃止等、特定の重要事項について、評議会がその大学の方針を決定するにあたつては、学長はあらかじめ商議会の意見を聞かなければならないことにいたしました。かくして従来学長、学部長または教授その他大学関係者のみによつて行われて来た国立大学の管理運営に、大学関係者以外の学識経験者が参與する道を開き、大学行政への民意の反映をはかろうとするものであります。
第三に、評議会は数個の学部を置く国立大学に置かれ、教授会は各学部に置かれる管理機関でありまして、当該大学または当該学部の重要事項は、それぞれ評議会または教授会の審議決定を経なければならないのであります。
第四に、学長及び学部長等につきましても、任期、職務等に関する規定を設け、それぞれその大学または学部運営の責任者たる地位を明らかにいたしました。
以上述べて参りました各管理機関の組織、権限等について規定するにあたりましては、最小限度必要なことを法律で規定するにとどめ、各大学の特殊事情に応じて、その大学の規定で必要な定めをなすことができることとし、できるだけ各大学の自主性を尊重する建前にいたしたのであります。
次に、公立大学管理法案について申し上げます。
公立大学管理法案も、全国の公立大学の代表者がしばしば協議して決定いたしました方針に基いて、作成いたしたものでありまして、立法趣旨においては、国立大学について述べたことと同様であります。従つて、この法律案の形式も国立大学管理法案と揆を一にし、公立大学の評議会、教授会、学長及び学部長等につきましては、国立大学の場合と異なることはございません。ただ公立大学は、地方公共団体の設置する大学である関係上、その管理運営についても、国立大学の場合と趣を異にする点がありますので、それについて特別な規定を設けたのであります。
すなわち公立大学の管理について、国立大学の商議会に相当する機能を持つ機関として、公立大学参議会を設けることといたしました。公立大学参議会は、各大学ごとに設けることとはせず、大学を設置する地方公共団体ごとに、これを置くことができることとし、当該大学の学長、教授のうちから選定された者及び学識経験者よりなる二十人以内の委員をもつて組織され、公立大学の管理について自治を尊重し、民意の反映をはかる機関といたしたのであります。公立大学参議会は、地方公共団体の特殊事情も考慮し、任意設置の機関といたしましたが、事情の許す限りこれを設置して、公立大学の適正な管理をはかることが望まれるのであります。
最後に、国立大学管理法及び公立大学管理法の施行に伴う関係法律の整理に関する法律案は、教育公務員特例法及び文部省設置法に所要の改正を行うものであります。
以上が国立大学管理法案及び公立大学管理法案並びに国立大学管理法及び公立大学管理法の施行に伴う関係法律の整理に関する法律案の提出理由並びに内容の骨子でございます。何とぞ十分御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005115X00819510309/26
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027・長野長廣
○長野委員長 国立大学管理法案及び公立大学管理法案並びに国立大学管理法及び公立大準管理法の施行に伴う関係法律の整理に関する法律案の概要説明。稻田大学学術局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005115X00819510309/27
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028・稻田清助
○稻田政府委員 簡單に補足して説明することをお許し願いたいと思います。
第一は、ただいま説明のうちにございました、本法案立案の経過につきまして、起草を煩わしました大学管理法案起草協議会の性格あるいは審議の経過でございます。
国立大学及び公立大学の管理方式につきましては、現在まで多年慣例で運営いたして参つたのでありますが、文部省におきましては、これらの大学の管理に関する法律を制定いたす必要を認めまして、年来研究を続けて来たのであります。昭和二十三年十月に至りまして、いわゆる大学校試案要綱を発表いたしまして教育刷新審議会、国立大学長会議等に諮りましてから、この法案に関しまする論議は、あるいは大学の教職員、学生、あるいは大学教育に関係のありまする諸団体はもとより、一般世間におきましても相当活発となりまして、それぞれの立場から種種の修正案が試みられたのであります。文部省におきましても、法案の重要性を考えまして、愼重に立案に当らなければならないというところから、昭和二十四年三月、日本学術会議から大学管理法立案のために、新たに民主的な機関を設けて、これに諮問することを要望した建議もなされましたので、同年九月に至りまして、大学管理法案起草協議会を設けまして、本格的に立案に着手いたしたのであります。
この協議会は、教育刷新審議会、日本学術会議、大学設置審議会、国立大学長会議、大学基準協会、全国大学教授連合、日本私学団体総連合、日本教職員組合から推薦されました者それぞれ一名ないし二名、それに経済界、言論界、地方公共団体関係その他各界の学識経験者を加えまして、合計二十人の委員によつて構成せられたのであります。協議会は、発足以来、国立大学管理法案について愼重な審議を重ねまして、約三十回の会議を開いて検討しました結果、昨年十二月中旬、協議会としての最終案を決定いたしまして、文部大臣に答申されたのであります。その間におきまして、協議会は、この法案に関心を有しまする諾団体の代表者を招いてその意見を聞きまして、それを参考にして中間試案をつくりまして、広く公表するとともに、全国の国立大学並びにこの法案について意見を有します諸団体に送りまして、その批判を求め、さらに案を改めまして公聽会に付する等、できるだけ愼重に立案に当つて参つたのであります。国立大学管理法案は、この協議会の久しきにわたる審議の結果に基いて作成せられたような次第でございます。
次に国立大学管理法案の内容につきまして、簡單に御説明申し上げたいと存じます。
第一章は、この法律の目的を掲げてあります。
第二章は、新たに文部大臣の諮問機関として設けられます国立大学審議会に関する規定であります。国立大学審議会の組織につきましては、第四條に規定しておりまする通り、国立大学の学長が互選した者六人、日本学術会議がその会員のうちから推薦した者四人、学識経験者について両議院の同意を得た者十人、合計二十人の委員で構成せられるのであります。その権限といたしましては、第八條に規定してありますが、この点は提案理由の説明において盡されております。
第三章は、商議会に関する規定であります。商議会は各国立大学に民意を反映いたしますために、新しく設けられる管理機関でありまして、その組織は、学外の学識経験者を加え、評議会が第十八條に規定せられているような重要事項を決定する場合において、学長はあらかじめ商議会の意見を聞かなければならないとした点に特徴があるのであります。
第四章は、評議会に関する規定であります。評議会は数個の学部を置く国立大学に置かれるのでありまして、学長、学部長、各学部の教授二人、附置研究所長など大学関係者のみによつて組織せられるのでありまして、第二十五條に規定せられているような、その大学の重要事項は評議会の審議決定を経なければならないのであります。
第五章は、教授会に関する規定であります。教授会は国立大学の学部に置かれまして、学部長及学部の教授の全員をもつて組織されるのが原則でありまして、第二十九條に規定せられているような、その学部の重要事項は、教授会の審議決定を経なければならないのであります。
なお、單科大学におきましては、評議会の権限は教授会が行うこと、並びに数個の学部を置く国立大学の同一学部または單科大学の施設が地域的に分散しておりますために、全教授が集まつて、しばしば教授会を開くことが困難な事情がある場合におきましては、教授会の権限の一部を行わせるため、代議員会を設けることができること等について規定いたしております。
第六章及び第七章は、長学並びに学部長その他の管理機関につきまして、その任期職務等を定め、学長は評議会の、学部長及び教授会を置く附置研究所の長は、当該学部または研究所の教授会の定めた方針にのつとつて、その大学、学部または研究所を運営いたしまして、その責めに任ずべきことを規定いたしたのであります。
次に、公立大学管理法案でありますが、これは全国の公立大学の組織いたします団体でありまする公立大学協会が、愼重に審議して参りました結果に基いて作成したものであります。その立法趣旨並びに学内の管理機関につきましては、国立大学管理法案と同様であります。国立大学管理法案と異なりますおもな点は、公立大学参議会であります。公立大学参議会は、大学を設置する地方公共団体に置かれる任意設置の機関でありまして、その組織、権限については、それぞれ第十五條及び第十六條に規定しております。大学を設置する地方公共団体の長は、第十六條に規定してありますような事項につきまして、その基本方針を決定するに際しましては、あらかじめ公立大学参議会の意見を聞かなければならないのでありますし、また他方、評議会がその大学の学則その他重要な規程の制定改廃、人事の基準に関する事項等について決定いたします場合には、学長はあらかじめ公立大学参議会の意見を聞くことを必要とするのであります。
最後に国立大学管理法及び公立大学管理法及び公立大学管理法の施行に伴う関係法律の整理に関する法律案は、国立大学管理法及び公立大学管理法の施行に伴つて、教育公務員特例法中の関係の條文、及び文部省設置法の一部を改正いたす必要がありますために、所要の改正を行おうという趣旨の性質のものでございます。
以上簡單ですが御説明申し上げました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005115X00819510309/28
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029・長野長廣
○長野委員長 本日はこれにて散会いたします。
午後二時四十分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005115X00819510309/29
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