1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十六年三月二十六日(月曜日)
午前十一時十七分開議
出席委員
委員長 長野 長廣君
理事 岡延右エ門君 理事 佐藤 重遠君
理事 若林 義孝君 理事 小林 信一君
理事 松本 七郎君
柏原 義則君 甲木 保君
鹿野 彦吉君 坂田 道太君
東井三代次君 圓谷 光衞君
平島 良一君 井出一太郎君
笹森 順造君 渡部 義通君
浦口 鉄男君
出席政府委員
文部事務官
(大学学術局
長) 稻田 清助君
文部事務官
(大学学術局教
育職員養成課
長) 玖村 敏雄君
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本日の会議に付した事件
教育職員免許法の一部を改正する法律案(内閣
提出第一〇七号)(予)
教育職員免許法施行法の一部を改正する法律案
(内閣提出第一〇八号)(予)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005115X01719510326/0
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001・岡延右エ門
○岡(延)委員長代理 これより会議を開きます。
前回に引続き、教育職員免許法の一部を改正する法律案及び教育職員免許法施行法の一部を改正する法律案を一括議題とし、質疑を続行いたします。松本七郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005115X01719510326/1
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002・松本七郎
○松本(七)委員 私は三、四点について、原案を作成された政府の見解を伺つておきたいと思います。
第一は、今まで臨時免許状を持つて三年間勤務して、三十単位を履修した者には、上級の仮免許状が与えられるということが、別表四によつて明らかにされておるわけであります。このことは、臨時免許状の所有者が、一時的あるいは腰かけ的な気分を持たないで、教師としての将来に希望を持つて、教壇に立つて優秀な成績があげられるようにという趣旨であろうと解釈するわけです。ところが、この改正原案によりますと、臨時免許状の有効期間を二年とするということになつております。こうなりますと、先ほどのあの趣旨と若干反する結果を招来するのではなかろうか。と申しますのは、三十単位を二年間に修得するということは、ちよつと困難ではなかろうかと思います。この点、この前も他の委員から質問されておつたようですが、三十単位を修得するのに、どうしても最低三年間を要するということは、昨年以来の認定講習によつても、明らかではなかろうかと思うのです。またかりに三十単位を何らかの方法によつて修得したといたしましても、教壇に二年しか立つていないという場合、せつかく修得した三十単位がむだになつてしまうということになりますなと、結局臨時免許状を持つておる者に、何の希望も持ち得ないということになるのじやないか。こうなると、やはり教育に対する影響も相当考えなければならないと考えます。この三十単位を二年間にとることが可能だと考えておられる根拠というか、そういう点と、この有効期間をなぜ三年にされなかつたかという点を、まずお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005115X01719510326/2
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003・稻田清助
○稻田政府委員 ただいまお話にありましたように、別表第四におきましては、臨時免許状を持つておる者が、仮免許状を得ますためには、三年の経験と三十単位の履修が必要であるのであります。にもかかわらず、臨時免許状の有効期間が原案において一年であるという点につきましては、そもそもこの免許法制定当時におきましても、一応御論議を承つたところであるのであります。その理由と申しますのは、この免許法第五条におきまして、臨時免・許状と申しますものは、普通免許状あるいは仮免許状を持つておる者を採用することができない場合に限り発行することができる、こちらが本旨でありますので、こうした面に立つて考えますときは、一年々々切りかわるごとに、そのときの教員の需給状況を考えて臨時免許状を発行することが必要だ、こういう精神に出ておるわけでございます。従つて一年——今回の改正案においては二年に延長いたしましたが、一年あるいは二年の期間において、当然仮免許状を取得でき、再教育が受けられるとは考えていないのでございます。しかしながら、当初におきまして御説明申し上げましたように、また状況によつて、臨時免許状を、一年でありますけれども再発行することができるのでありますから、現実に助教諭が三年の教諭経験を得たといたしますれば、またその間再教育が得られるならば、別表第四が適用になりまして仮免許状が得られる道は開かれております。これらのことは、あくまでも教員の資質向上ということを本旨としておる第五条第三項の精神に立脚して考えなければならぬ問題と考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005115X01719510326/3
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004・松本七郎
○松本(七)委員 そうすると、質の向上を中心に、なるべく臨時免許状を少く、できればこういうものをなくしたいという趣旨と了承してよろしゆうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005115X01719510326/4
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005・稻田清助
○稻田政府委員 その通りでございます。現在一三・九%にも上つております助教諭は、職員構成から見まして、好ましからざる状態だと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005115X01719510326/5
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006・松本七郎
○松本(七)委員 次は特殊学校、すなわち盲聾学校の教員の点ですが、これが二級免許状から一級免許状になる場合は、従来は単位の履修という規定がなかつたにもかかわらず、今回新たに六単位を必要とすることになつた理由を伺いたいのであります。これはいろいろございましようが、現実に盲聾学校というのは、専門的技術を必要とするのでありますから、講師等もなかなか得がたい。勢い中央で講習を行うということが起つて、ただでさえなかなか定員不足をかこつておるこの特殊学校に、こういう改正をいたしますと、一層の重大なる支障を来すのではなかろうか。またこういうふうな講習会も、従来とかく形式的に流れて、ほんとうの技術修得普及というような点に当つておらないような面もあるやに聞いておるのであります。そこで特殊学校教員には、やはりその経験を重んずるということで、経験によつて上級免許状を得られるようにするのがよいじやなかろうかと思うのでありますが、この上、特殊学校教員が、特殊学校の教員になる前に、小学校、中学校の普通免許状の所有者でなければならないことになつておりますから、この六単位の履修ということは、いわば屋上屋を架するようなことになつて、実質的にはあまり効果も期待できないのではなかろうか。むしろこの際、六単位の履修ということを削除して行く方が、現実的ではなかろうかと考えられるのでありますが、この点の御意見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005115X01719510326/6
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007・稻田清助
○稻田政府委員 申し上げるまでもなく、この免許法におきましては、すべての免許状につきまして、一定の単位数の専門教育の履修と、教職課程の履修が必要であるわけであります。ことに特殊教育などにおきましては、ただいまお話しましたように、特別にむずかしい教育でありますので、そうした要求を軽減すべき理由はないのでありますけれども、この免許法制定当時におけるそうした方面の養成及び再教育の現状から見まして、教員を得やすくする意味において六単位を軽減いたしておつたのであります。今回提案いたしております国立学校設置法の改正においてもごらんいただきますように、教育大学におきましては、特に四年の課程を設けることになつておりますし、そのほか養成といたしましては、全国四箇所の国立大学に、特殊教育に対しまする二箇年の課程を置いております。こういう点から見まして、養成におきましても、全国において三百三十名程度養成することになつておりまして、特殊教育関係二千四百名に対しましては、大体養成としては満足すべき数が出ることになつている状況でございます。また再教育といたしましても、特に通信教育におきましては、特殊教育のために特別に考慮を払つておりますし、あるいは研究集会、認定講習その他におきまして、再教育施設も充実して参りました以上、最初考慮いたしたように、ここに特別の軽減を考えず、他との権衡を考慮いたしまして、原則に返りまして、ここに六単位を加えることが適当だと考えるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005115X01719510326/7
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008・松本七郎
○松本(七)委員 次は、専科の教員につきまして伺いますが、これは青年学校令の廃止によつて、学制の改革で小学校に勤務した者と中学校に勤務した者とおかれたおけでありますが、今度の改正で中学校に五年勤務した者は二級免許状が得られるにもかかわらず、不幸にして小学校に勤務した者は、二級免許状の切りかえが不可能になつている。基本の免許状は同一でありながら、また同じ義務制の学校でありながら、差別をつけたという理由がはつきりしないのです。何ゆえ小学校または中学校に五年勤務した者については二級免許状を与えるというふうにされなかつたのか、その点を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005115X01719510326/8
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009・稻田清助
○稻田政府委員 ただいまお話のように、従来小学校の初等科、高等科におきまする専科教員につきまして、このたび中学校の教員といたしたわけであります。その理由と申しますのは、要するに、小学校は新しい免許制度及び小学校自体の教科の成立ちから考えまして、全科担任を本質とするわけであります。従いましてごく狭い部面を扱つております専科教員は、小学校に参りますよりも、中学校の方へ参りまして、それぞれ担任の教科を担任してもらいたい、こういうことがありますので、中学校についてのみ門を開いたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005115X01719510326/9
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010・松本七郎
○松本(七)委員 次は、初等科免許状の所有者が、小学校に五年勤務した場合に、小学校二級免許状が得られるのに、幼稚園に勤務した場合に、なぜ二級免許状になれないかという点であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005115X01719510326/10
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011・稻田清助
○稻田政府委員 申し上げるまでもなく、この初等科教員としております者は、非常に簡易な養成施設を通りまして養成せられた方々であります。従いまして、幼稚園というように、特別に幼児の保育というような点について、専門的知識、技能、経験を有します者に対しましては、小学校に対しますよりは、適当でないという程度が相当大きいものと考えまして、このたびは例外を開くことでありますから、例外の開き方を局限いたしまして、小学校のみにとどめたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005115X01719510326/11
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012・小林信一
○小林(信)委員 今回のこの改正を見ますと、いろいろな点で、一般教職員が希望しておるような傾向に向つて来ておるのでありますが、この問題は、国会が開かれるたびごとに問題になつて来ておるものでありまして、単にこれが、教員諸君が受講するために費用がかかるとか、あるいはそのために時間がどうのというふうな問題だけでなく、考えてみますと、この免許法の運営いかんということが、やはり日本の現在の教育を進展させるかいなかというふうな重大なものを持つて、おるように考えられるのであります。そういう点を十分御考慮しての修正だと考えておりますが、私たちの見ておるところでは、ただいま行われておるこの免許法というものは、根本的には資質の向上ということをねらつておるのでありますが、その目的にあながち沿つておらずに、単位を取得して上級の免許状を得るというだけで、その講習等もきわめて形式的であつて、そういう熱意を持つて教員諸君が講習に臨んでおらない。従つて法の持つております性質と、その法の建前からして行われるこの再教育というものが、私たちの見るところでは、どうも本質に触れておらぬように考えるのであります。最近の再教育あるいはこれを受けるところの教員諸君の実態というふうなものについて、文部省でお調べになつておられる点、あるいは文部省が考えておられる点を、この際お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005115X01719510326/12
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013・稻田清助
○稻田政府委員 御指摘の認定講習の受講状況につきましては、昨年の夏以来いろいろ問題がありまして、われわれといたしましても、その点非常に心配いたしたわけでございますが、その後におきまして実況を調べましたところ、全体で五十八万四千人ばかりの教員が、一級上の免許状をとりますためには、こうした現職教育、あるいは認定講習で単位を修得しなければならないのでありまして、大体その修得すべき単位数を平均いたしますと二二・四単位であります。しかるに、この免許法以前に、いろいろな議習によつて、単位に換算し得べき講習を受けておるわけでありますが、そこで取得した単位が三・三単位、二十五年度において取得いたしました単位が平均一人四・二単位でありますので、差引今後十四単位程度修得すればよろしいことになるわけであります。この十四単位を、昨年の夏の改正によつて延長せられました期間内に修得いたすとすれば、つまり五年間に修得するということになりますれば、一年三単位足らず修得すればいいわけであります。一年間に三単位と申しますれば、かりに夏休みを充当いたしますれば、夏休みの三週間のうちにおいて、別に苦痛なく修得せられる単位であろうと思います。そういうような点から見まして、期間につきましてはそう無理がない。週日の間に、自分の受持ち授業を欠いてまで受講しなければならぬというような状況ではないと思うのであります。それ以外に、通信教育というようなものも、昨年の秋以来発足いたしまして、遠隔の地にある方々においても、単位が修得しやすくなつております。また、ただいま御指摘のありました講習の内容でございますが、教育学部芸学部も、だんだん教授陣容が充実して参りましたし、特にこうした校外講座の運営等が重要な問題でありますので、昨年の暮れ以来、全国各地区にわかれまして、それぞれ学部の関係者あるいは教育委員会の当局というような方々にお集まりいただいて、二週間の研究集会をいたしたわけでございます。そういうようなことがあるわけでありますし、また、かたがた予算でごらんの通り、本年度におきましては一億九千万円、来年度におきましては一億五千万円の旅費補助を計上いたしてございます。またアイフエル等の関係におきましても、こうした現職教育の状況をいろいろ見ておられますが、最近行われます講義の内容が、非常に充実したというような評判も聞いておりますので、今後におきましては、ことに今回の改正によりまして、さらにこの七条の期間を五年延長するということになりますれば、無理なく単位修得の道が得られるだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005115X01719510326/13
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014・小林信一
○小林(信)委員 今御説明の点は、大体当初においては、そういうことが非常に論議されておつたのでありますが、最近いろいろと、予算の問題あるいは講習の内容等につきましても、また単位の修得を容易にし得られるようなことにつきましても、文部省として御留意されておるから、ややそういう点が問題がないようになつておるのですが、私が先ほど申し上げたのは、今お話になつたところにもありますが、結局講習の内容の問題だと思うのです。今のところまだ、私たちの見るところでは、あすこに行つて講習を受けたところで、それは実質的には身にならない、単に単位を取得するための形式的な講習である、こういろふうに考えられるのです。そこで文部省としては、その講習内容等につきまして、何か努力しておられる点があるのか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005115X01719510326/14
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015・玖村敏雄
○玖村政府委員 第一は、今年のいわゆる教育指導者講習会を東京において開きました。これは大学の教授で、新しい教員養成に従事する人々に、一層高い程度の教育をするという専門課程を、二十五の部門にわたつて開きました。このことは、おそらく教授陣の増強という点で、非常に大きな効果があつたと信じております。
第二はアイフエルつまり教育指導者講習会の中で、全国の各都道府県教育委員会の代表一人、それから関係大学の教授一人以上を全部集めて、そしていかようにして講習の内容を充実し、どのようにして運営を円滑にして行くかということの研究協議会を開きました。このことによつて従来五里霧中であつたこの種の講習会の運営に、非常に組織のある、見通しのある計画が立つようになることと期待いたしております。仰せのごとく認定講習の面が、非常に形式的になつて効果が少いといううわさは、私どもかねがね承つておつたのですけれども、最近は各都道府県教育委員会からの報告によりましても、また大学の教授らの報告から徴しましても、非常に改善されつつあるように承つておるのであります。この意味で、おそらく二十六年度の夏の休みを中心に、講習の内容は著しく改善されると見ていいのじやないかと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005115X01719510326/15
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016・小林信一
○小林(信)委員 課長さんは、その点でアメリカの方へおいでになつたとお聞きしているのですが、私はアメリカのものをそのまま持つて来ておるかどうかよく知りませんけれども、日本の教育のあり方という特別なものでなくても、教育者のあり方というものは、教育者に責任を強く感じさせて、良心的、信念的に教育する、そこに成果があがるので、それをいかに認めて行くかということが非常に問題なのです。そういう点から、従来割に日本の教育は発展して来たわけなんですが、講習という形の上で何か非常に制約されて、一定の課程を通りさえすれば、上級免許状が得られて一つの資格が得られる。資格ということは、結局資質が向上したというふうに見られておるのですが、しかし教育というその性質から考えれば、なかなか割り切れないものがあるじやないかと思うのですけれども、そういう教育者の自覚される状態を、この講習がはたしてそういう点を充実して行くことができるかどうかということが、私は問題だと思うのです。それは講習というようなものでなくて、教師自体の自覚を、長い時間かかつて要望して行かなければならぬものだろうと思うのですが、そういう点につきまして、指導者の教育をやつたとか、あるいは責任者を集めて、運営等について協議したというものでなく、現在の教育者のあり方について、何か文部省が考えて、そういう意向を講習内容等に盛つておるかどうかということを私は心配しておるのです。その点につきましては、どんな態度をとつておられるか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005115X01719510326/16
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017・玖村敏雄
○玖村政府委員 アイフエル教育指導者講習会で、全国の人たちに集まつてもらつて協議したと申しますのは、単なる形式的なことを相談したのではございませんで、今おつしやいましたように、いかにして教育者の積極的な自発的な学問を取上げまして、そして、それが大学の教育と密接に結んで行くかということまでも話合つておるのでありまして、過去においてもそうでありましたが、将来においても一層現場の教育者の要望と大学の講義というものとの関係を密接にするようにしたのであります。従来私非常に残念に思いますことは、あまり十分な勉強をしないで、しかも形式的に単位がとれるようにというような傾向が強かつたわけであります。夏の休みの講習が、形式的で価値がないというふうに批判することについては、これは両者に責任があると思うのであります。受講者と講義をする者との両者に、責任があると思うのであります。この両者が相寄つて、現場の要求というものを満たすには、どうしたらできるかということを話合つて、その上で講習計画を立てるというふうに話を進めて行きたいと思つております。
それから、もう一つ申し添えておきたいと思いますのは、従来の日本の各都道府県で行われました講習会には、たとえば指導主事とか高等学校の校長とか、あるいはその県以外の他の大学の教授とかいう人たちを連れて来て、協力関係をつくるという点がまずかつた。つまり大学ひとりよがりといいますか、変な孤立的な講習会をやつていた。こういう点も今回ぜひ改めなくてはならないということを皆さん十分納得して、一つの新しい見解に立つて開こうという態度が、私、最近特に強く見られるように感じております。
〔岡(延)委員長代理退席、佐藤(重)
委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005115X01719510326/17
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018・小林信一
○小林(信)委員 大体御心配せられておる点、私たちの憂慮しておるところと一致しておるのでありまして、非常にいいと思います。そこで問題になりますのは、私も今お話になつた点で、両者がやはりこの問題については真剣に臨主なければならないと思うのでありますが、やはりそこに何か抽象的な講義をするというふうなことが多いのですが、今の地方の教育等から考えますと、実験とか実習とか、そういうものがもつとなされるように考慮されなければならぬと思うのです。全然そういう点が見られないというのは、やはりどこかに財政的に、あるいは施設的に、まだ充実されておらぬのじやないかと思うのですが、そういう点は必要ないのか、必要があつても、まだ施設あるいは予算等がないからというのか、その辺お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005115X01719510326/18
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019・玖村敏雄
○玖村政府委員 まつたくおつしやる通りだと思います。たとえば昨年度の京都大学、あるいは京都学芸大学が一緒になつてやりました京都府の夏期講座というものは、仰せのような点を非常に重んじまして、会員非常に喜んで、この種の講習会だつたら、われわれはみずから金を出してでもぜひやりたいと言つておりました。これは従来の日本の教育関係の学問が、ドイツの学問の影響を受けて、非常に抽象的、観念的であつたということは、いなまれない事実だと思います。そういう点を考えまして、二十五年度に三箇月二回にわたる教育指導者講習会をいたしましたわけでありまして、こういう点も徐々に改められるべきものだと考えます。なお免許法の中に、学校を単位としてある特殊な問題に対して大学の教授の指導を受けた実際的な研究を、すべて単位に換算することができるということもできておりますので、問題はそれを今後現場の職員と大学とが結びつけて、いかに組織的にやつて行くかという点にあると思います。御趣意のほどは、私どもまつたくそうだと考えますので、いよいよそういう方向に向つて進めるようにしたいと考えます。
それから施設その他のことも、これは新制大学の教員養成に関する部分の全体と関連がありますので、本年度の予算の中にも、決して十分ではありませんが、そういう点を考慮しつつ、施設を充実している最中であります。やはり今後に期待したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005115X01719510326/19
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020・小林信一
○小林(信)委員 やはりそういうふうに先生方も、単にそれが自分の上級免許状を取得すると、いうようなことでなくて、相当悩んでいるものを持つているのですから、そういう点にただ彫式的なものだけでなく、ほんとうに研究にとつ組むというふうな気分に、一応ここでもつて、政策の上からもかえて行かなければならないと思うのですが、何かまだ従来からの、何でも形式的に時間をそこへ行つて過せばいいのだ、そして試験も形式的に受けて来ればいいのだというふうなことで、どうもこの免許法の問題は当初からうまくなかつたわけなんです。これは教員諸君の自覚というふうなことも、皆さんから言わせれば言うかもしれませんが、その点は当局の方にも大きな責任があると思うのです。単に地方の講習の実情を見せていただくと、その程度のものがわからぬならば、文部省が考えている資質向上の再教育でないというふうにおつしやるかもしれませんが、そういう理論的なものと、教育の実際のあり方というものは、そこに多少違うところがあると思うのです。そこであとでお聞きしなければならぬ点があるのですが、この際相当そういう点に御留意なさつて、教員の意欲をそそるような方途に持つて行かなければならぬと思うのです。そういう点でも、実験、実習という単に化学の方の面ばかりでなしに、実際児童を扱うというような具体的なものまで、講習される方が内容を持つておらなければいけないと思うのです。単に大学の先生であれば、講習者としての資格があるというようなことでなくて、もつと教員の実態も知り、中・小学校の先生が実際毎日行つている授業の事実も知つているような、そういう人たちを御選択されて、その人たちがりつぱな意欲をもつて臨まれるような方途が大事ではないか。それにはやはり先だつものは予算だと思うのですが、そういう点は今後相当考慮していただけると思うのです。そこで今度この修正をなされるのに一番問題になつたのは、また申しては失礼かもしれませんが、そういう形式的な一定の単位をとる、そして試験を受けるというふうなものばかりで、はたして資質向上ができるかどうか。やはり私は前々から申したように、その人の経験年数、これは時間的なものになるかもしれませんが、そういうふうなものを相当考慮して行かなければ、免許法の現在持つているものが、資質向上のほんとうの仕事に役立つことができないような気がするのですが、そういう点を、今回この修正をなされるについてお考えになられたかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005115X01719510326/20
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021・稻田清助
○稻田政府委員 お話のように、その経験年数につきましても、相当考慮しなければならないと考えまして、この免許法施行法にごらんいただきますような初訓、専訓その他につきましては、そうした面を十分考慮いたしたわけであります。全般の問題といたしましては、先ほど松本委員にもお答えいたしましたように、現在の認定講習の状況から見まして、すでに相当単位数も取得いたしておりますので、この上のこうした講習のやり方を改善することによりまして、将来を充実するのが一番適当だと考えております。こうした講習を一風して経験ばかりにたよるというような方策は、とり得なかつたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005115X01719510326/21
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022・小林信一
○小林(信)委員 内容をずつと見せていただきますと、まだそういう点を内容に入れることは、非常にむずかしいことだと私は思います。どうしてそこを生かして行くかと、いうことがむずかしいのではないかと思います。事実を私たちが見ておりますと、校長さんたちに言わせると、この免許法が出たために、毎日の授業がおろそかになり、単に単位取得に努力すれば、教員は自分の身分を安定さすことができるという形になりがちである。従つて教育の成果は阻害されるような形になつて行く、あるいは学校の運営等も、その点で相当前よりうまく行かないというのです。これは極端になると、校長さんが意のままに教員を動かすというようなことがあるわけです。あるいは教育の閥をつくつて、前の視学さんというようなものが、いろいろな関係者の中に一つのつるをつくつておいて、自分たちの関係する者に対しては、どんどん抜擢して行くというふうなことが、従来行われたのです。これは決してそういうふうな意味ではないと思いますが、実際授業をして成果のあがるような者は、この免許法によらずに他の方法で抜擢して行くような方法も考えられないものかと、私は考えておりますが、その点はどのように考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005115X01719510326/22
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023・稻田清助
○稻田政府委員 お話のように、勤務成績が、教員の資質からいつて非常に大切だという趣旨からいたしまして、御承知のように、この免許法におきましては、単に経験年数ばかりではなく、勤務成績良好な者に対して、免許状を与えるわけでありまして、その勤務成績良好を証明いたしますものが校長でございます。従いまして、お話のように、その授業を上のそらで、単に単位取得に専念するようなやらせ方を、校長はやらせてはいけないわけであります。そういう点につきまして、もしこの認定講習を受ける機会あるいは期間が、受講者に対して非常にむずかしい条件でありますれば、そうした無理も出がちだと思いますけれども、期間もここに五年延長いたしましたし、先ほど申し上げましたように、夏休み中において三週間も勉強いたしますれば、この平均の単位が今後においてとれるような状況でございますので、そうした平素の教育に対する悪影響は、将来に向つてはなくなることと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005115X01719510326/23
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024・小林信一
○小林(信)委員 その内容は、すべての条項に認められるものというぐあいに、実際毎日の授業の上でりつぱな成績をあげなければ、たとい単位をとつても免許状を与えないというふうに書いてありますが、その点は決して実際においては行われておらないのです。形式的に単位をとつて、一ぺん試験を受ければ、それでもつて免許状がとれ
るようなことになつておりますが、どういうふうにしたら、実際この法文の上に明らかにされているように、実質的にそういうふうなものが確立できるか、これは私は大きな問題だと思います。文部省の方は、そういう点は御心配になつておらないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005115X01719510326/24
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025・稻田清助
○稻田政府委員 その点は、昨年の夏の改正において、三年延長いたす前におきましては、いかにも認定講習受講の期間が短くありましたので、各受講者たちが、非常にあせつて参つたと思つております。また講習施設も、そういうような関係で、ごく短期間に大量の講習をやらなければならぬというようなところから、あるいは週間の授業を持つている日におきましても、授業終了後に講習会に行かなければならないというようなことで、かんじんの授業に対する研究が十分でき得なかつたという状況があつたと思うのであります。しかし、それは昨夏講習の期間を延長いたしましたし、また今回ここに御審議願つております案におきましては、さらに五年も延長いたすのでありますから、受講者たちも今後はそうあせることもなく、また講習を計画する向きにおきましても、そんな無理な計画をしないでも、この先は済むのではないかと私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005115X01719510326/25
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026・小林信一
○小林(信)委員 問題はどういうふうな内容のある講習をするか、そしてその講習についても、今教員諸君が言つておるように、そのために授業が犠牲になる、これはまだ現在もあるように見受けております。それから教員諸君の生活が、そのために脅かされるというふうな心配がないようにしてやらなければ、私は今おつしやつた良好な成績で勤務した旨の所轄庁の証明を有する者でなければならぬというふうなこの条項は、決して生きて来ないと思う。やはり局長さんのおつしやたように、とにかく今までの講習というものは、そういうふうにあせつたかもしれません。内容等において、実際充実しておらない点があるし、講習を受けるためには、教員諸君も無理をするというふうなことで、勤務状況は考慮されずに、とにかく単位を修得さえすれば認めてやつたというような形になつたと思うのですが、今後といえども、たとい時間を延ばしても内容を充実して行かなければ、やはりそういううらみは永久に残るのじやないかと思うのです。先ほども申しましたように、実験実習という部面には、政府でもつと積極的に施設もするし、そうして講師に対してむ相当内容を充実させるように——私実は講師の方に直接伺いましたが、やほり日本にある書物だけでなくて、外国の書物が読みたい。ところが、私たちがこうやつて講習に出るにも、なかなか洋書を手に入れるようなことまでして出ることができないのだというふうなことも言つておられるのです。この問題は日本の教育をどうするかという性格からも、内容を充実する点からも、私は重大な法律だと思うのですが、この法律を生かすには、そういう経費等の問題ももつと潤沢にして行かなければならないと思うのです。そうしなければその条項も生きて来ないと思うし、たとい校長さんの進言があつても、それを十分生かして行くことはできないと思うのです。それで私は内容についてお伺いするのですが、先ほど松本さんからお伺いされましたこの施行法の専科訓導、初等科訓導の項ですが、まず第一にお伺いいたしたいのは、すでに単位をとつてしまつたというふうな者があるのですが、あらためてこういう法律ができますと、単位をとつて二級免許状がもらえるようになる。そうすると今までやつた単位というものは無意味になるのか、あるいはほかに生かしてくれるのか、大分疑問を持つておるようですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005115X01719510326/26
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027・稻田清助
○稻田政府委員 お話のような方々に対しましては、法律が制定になりますれば、いずれ施行規則をつくるわけででございますので、施行規則を定めます場合に、妥当な規定を考慮いたしたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005115X01719510326/27
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028・小林信一
○小林(信)委員 妥当なというのは、どういう意味ですか、できましたら、詳しくお話を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005115X01719510326/28
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029・稻田清助
○稻田政府委員 単位を年数に換算いたします勘定を、法文化いたしたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005115X01719510326/29
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030・小林信一
○小林(信)委員 そうすると、それはさらにその上の上級免許状を取得するについて、十五単位とればいいところを、十五単位とつておいた。そうするとその十五単位と、いうものはそのまま生かすのか、あるいはそれを幾分の幾つかを生かすのか、そういう具体的なことはまだおわかりになつておりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005115X01719510326/30
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031・稻田清助
○稻田政府委員 その計算につきましては、さらに相当研究いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005115X01719510326/31
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032・小林信一
○小林(信)委員 一番当事者たちが心配しておるところだと思うのですが、まだ具体的には言えないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005115X01719510326/32
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033・稻田清助
○稻田政府委員 いろいろな心配はあるだろうと思いますが、御承知のように、免許法施行規則が非常に複雑なものになりますので、いろんな基準で横の関係、縦の関係を考えまして、計算いたしたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005115X01719510326/33
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034・小林信一
○小林(信)委員 そういうところを明白にしてやらないと、先ほどから申しておりますように、これは単に教員諸君の、自分が資格を上にするということだけでなくて、そこから生れて来る教育的な影響というものは大きいですから、そういうものが新しく考えられたのではなくて、根本的にこうすることが当然であつたという政府の見解であるならば、そのために今まで努力しておつた者は、私はなるべくこの際相当に認めてやらなければいけないと思うのです。受けた講習の程度というものが、それ相応のものであつたとするならば、とにかくすでにこの法律が本質的に初等科訓導に対しては小学校の二級免許状をやるべきであるという、そういう根本的な見解であるならば、この人たちがすでに取得したところの単位というものは、私は完全に生かしてやつて、次の単位をとるために単位に換算してやるべきだと思うのです。
〔佐藤(重)委員長代理退席、委員
長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005115X01719510326/34
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035・稻田清助
○稻田政府委員 教員がその在職の年数の間におきまして取得いたしました単位は、むだなく勘定いたしますように考慮したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005115X01719510326/35
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036・小林信一
○小林(信)委員 そういう御見解ならば、たいへん喜ぶと思います。それと並行して考えて行くのですが、同じ表の中の二十四号ですが、「「幼稚園の教員の二級普通免許状」を「幼稚園の教員の二級普通免許状及び小学校の教員の仮免許状」に改める」というように一つはなつております。それから七号のところですが、ただいま松本さんから、小学校の教員の二級普通免許状を与えるならば、この人たちにも幼稚園の免許状を与えるべきだというお話があつたのですが、こういう横の関連については、根本的にどういうふうにお考えになつておられるか。つまり小学校と幼稚園、あるいは中学校と小学校というふうな関連についてはどういうふうな見解を持つておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005115X01719510326/36
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037・稻田清助
○稻田政府委員 十四号の方は小学校、幼稚園——まあ同様な養成機関から出まして、幼稚園の免許状を持つておる者は小学校の免許状を持ち得るというふうに改正いたしたわけであります。
七の四の方は非常に簡易な養成を通つて参りました初等科訓導が、小学校の教員としての二級普通免許状を安易に得られる道をこのたび開いた例外でございまして、先ほど私が申し上げましたように、この場合は幼稚園の先生といろ非常に特殊な経験なり、あるいは特殊な養成教育を必要といたします部面にまでこれを延長いたしますことは、不適当だと考えたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005115X01719510326/37
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038・小林信一
○小林(信)委員 同じく七の三ですが、国民学校専科教員の免許を有する者が、中学校の教員の二級普通免許状がもらえることになつたのですが、これらの横の関連を考えてみましても、小学校の方に全然免許状を持つことができないのは、あるいは何か仮免許状、そういうふうなものが得られるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005115X01719510326/38
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039・稻田清助
○稻田政府委員 現行法によりまして、仮免許状が得られるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005115X01719510326/39
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040・小林信一
○小林(信)委員 それがなぜ二級普通免許状がもらえないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005115X01719510326/40
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041・稻田清助
○稻田政府委員 これは小学校が全科担任教育制度でありますので、それを考慮いたしまして、その免許法ができておるという本質から出て来ておるわけであります、御承知のように、専科教員は、たとえば裁縫とか、あるいはまた音楽とか、芸能の一部とか、非常に狭い教科につきまして資格があるわけでありまして、それらの方々は、中学校の方もこれも相当広い領域ではありますが、小学校の全科担任に比べれば、一定の限界のある教科を受持つわけでありますから、こういう方は中学校の方で先生になつていただく。小学校の方においては、二級まで考えることは不適当であると考えたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005115X01719510326/41
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042・小林信一
○小林(信)委員 しかし、この人たちがこの免許状を持つて国民学校におられた期間は、さまざまあると思います。やはり相当な期間持つておられた方もあると思いますが、さらに五年以上中学校に勤務した経歴を持たなければ、これに該当しないのです。そういうように経験年数というものを見て行くと、小学校の方に参つた場合に、二級免許状ぐらいは与えても、何ら実質的には問題ないと私は思います。ただ裁縫の専科だけであつたというので、小学校の方で国民学校時代にやつておられた方は、それは確かに全科目を担当する小学校の二級免許状というものは、無理かもしれませんけれども、かつての国民学校におられた専科の先生は、たとい裁縫の専科の先生であつても、たいがい学級を担任しておられた、そうして全科目にわたつて相当経験を持つておられると思うのです。それがさらに中学校の五年という経過を経ておるならば、これは二級普通免許状を与えてもさしつかえないと、私は松本委員の質問を聞いて感じておつたのですが、その点いかがでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005115X01719510326/42
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043・稻田清助
○稻田政府委員 専科教員は、従来においても、大体国民学校初等科の上級あるいは高等科の勤務であつたと思いますが、そういう方々は、新しい制度において大体中学校の教員になられたし、また将来においても、そういうふうにかわつていただくことが、むしろ望ましいと考えております。先ほど申し上げましたように、あくまでも小学校の教育は、教員としては全科担任であり、また各教科におきましては、非常に相互連関の必要の大きい教育でありますので、非常に狭い部面を受持つておられた専科教員が、お話のように従来小学校の程度において勤務したとしても、それは代用的性格をもつて全科を担任しておられたにすぎないのではないか。それなれば、この法律におきましては、せいぜい仮免許状程度が至当であつて、二級に進みます道は、中学校の方に明けるのが適当ではないかと考えられるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005115X01719510326/43
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044・小林信一
○小林(信)委員 問題は、実際問題として、そういう専科先生のたちが、中学校の方にどれぐらい採用されておつて、小学校の方にどれぐらい採用されておるかということであつて、そのパーセンテージが問題だと思います。今おわかりにならなければ、さしつかえないのですが、その率によつて、相当考慮してやらなければならぬと思うのです。もし小学校の方に多く行つて いるならば——私の考えでは小学校の方に行つておるのが多いと思うのですが、そういう場合に、こういう制度が出てもあまり恩恵がない。従つて小学校の二級免許状が与えらるべきであるというふうに、その経験年数を重視する点から主張したいのですが、できましたらその数字をひとつお知らせ願いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005115X01719510326/44
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045・稻田清助
○稻田政府委員 今日、地方からの報告によります教員状況につきましては、切りかえられました免許法によります区別によつて、こちらは報告を受けておるわけでありまして、それらの免許状を持つておる方が、前歴はどういう程度であつたかということは、文部省においても材料は持ち合せていないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005115X01719510326/45
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046・小林信一
○小林(信)委員 次にお伺いいたしますが、施行法第二条第一項の表の第三号の上欄中これはたしか青年学校の先生だと思いますが、「(これに相当するものとして文部省令で定める者を含む。)」というその内容を伺いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005115X01719510326/46
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047・玖村敏雄
○玖村政府委員 今ここに一々の表を持つておりませんが、青年学校の教育養成の資格を認めた専門学校及び専門学校の実科のようなところ、そういうところの卒業生、同じ免許状を与えようというのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005115X01719510326/47
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048・小林信一
○小林(信)委員 そうすると、従来青年学校教員養成所を卒業した人たちの中で、臨時養成所という一年間の期間のものをやつた人があつたと思うのです、その先生方から、私たちも中学校の二級免許状にしてくれという要望があつたのですが、そたが含まれているのですか、いないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005115X01719510326/48
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049・玖村敏雄
○玖村政府委員 その臨時養成所というのは、暫定的にちよつとあつたものでありますけれども、その一年間のものは認めるつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005115X01719510326/49
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050・小林信一
○小林(信)委員 それもたいへん喜ばれる問題だと思います。それは非常に特別な期間であつて、その人たちも一年間やつたのですが、実質から言うならば、臨時という名目で今日まで、はずれておつたのです。それで何とかして私たちも人並に認めてもらいたいということを言われておつたのですが、そういう内容であるとすると、たいへん喜ばれると思うのであります。
それから同表の第九号です。これも青年学校だと思いますが、「昭和二十三年三月三十一日現に」というのを「昭和二十二年三月「日から昭和二十三年三月三十一日までの間において」というように、一年間の期間をつくつたのは、どういう意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005115X01719510326/50
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051・玖村敏雄
○玖村政府委員 これは昭和二十三年三月三十一日現在で、青年学校が廃止されたわけです。初めのように、その日に現にその職にあつた者とやつたのでは、それより前一年間ぐらいに教員の異動をしていたわけですから、小学校もしくは中学校の方にその人々が漏れますものですから、全部を救うために一年間といたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005115X01719510326/51
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052・小林信一
○小林(信)委員 同じ表の二十九号の問題で、「教育長又は官公庁の一級若しくは二級の官吏若しくは吏員」を「教育長、官公庁の一級若しくは二級の官吏若しくは吏員又はこれらに相当する職員」と改めて「又はこれらに相当する職員」という条項を入れたのは、どううい意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005115X01719510326/52
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053・稻田清助
○稻田政府委員 これは御承知のように、人事院規則が改正になりまして、一級、二級という区別がなくなつたわけであります。それにかわるべき職階と申しますか、そういうものはまだはつきりいたしておりませんが、要するに区別がなくなりましたので、大体それに相当するものができることを予想してこの相当という漠然たる言葉を使つたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005115X01719510326/53
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054・小林信一
○小林(信)委員 その点私も何か疑問に思つた点があるのですが、いずれまたお伺いすることにいたします。
先ほど松本委員の御質問の中にあつたことで、私もこれは非常に意外に感じたのですが、盲聾学校などの先生が、従来一級免許状をとるのに単位をとらなくてもよかつたのですが、これが六単位を加えられる。大体単位を減らされるような傾向に文部省が進みながら、この項だけは単位を新たに六単位加えた。これは先ほどのお話を聞くと、従来そういう再教育施設がなかつたということと、そういう人が得られなかつたということから、新たに加えたとおつしやるのですが、何か法律をつくる上からいたしますと、そういうことだけで、こういう六単位を従来加えなかつたということが、文部省の責任として言えるかどうか。私はやはりそこは必要がない、こういう特殊な学校に対しては、やはり経験年数だけでやつて行かなければ人が得られないという根本方針から、この単位は従来削除されておつて、また何かほかとの対比上、ここに六単位を加えられたような気がするのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005115X01719510326/54
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055・稻田清助
○稻田政府委員 その点先ほど概略お答えいたしたのでありますが、免許法制定の当時におきましても、また他との権衡なり、またこうした特殊教育の重要性、またむずかしさという点から考えますれば、当然ここに単位数を加えなければならなかつたのでありますけれども、ただその当時の養成あるいは再教育の状況を見ますと、非常に遺憾なことに、まだ整つていないものを感じましたので、単位を上げなかつたのであります。しかしながら、われわれといたしましては、この方面の教育の非常に重要なことを感じまして、特別にこれらの養成施設、あるいは再教育施設の急速に充実することを企画いたしたわけであります。そういうような点からいたしまして、先ほども申し上げましたが、教育大学に新たに四箇年のコースを設けましたり、また教育大学ほか全国四箇所の大学に二箇年コースの臨時養成課程を設けましたりいたしましたために、養成数としても、すでに三百三十名程度を養成いたします。これは盲聾学校の現在の教員二千九百名の一割以上の養成数でありますので、一般の養成計画から見ますれば、むしろこれは充実した養成数になるわけであります。またかたがたこの現職者の教育については、二十五年度においては四単位の講習を行いましたし、ほかの教員よりも多く就講できますような措置を講じたわけであります。あるいは通信教育等につきましても、特別の配慮を用いておりまして、現在の状況及び今後の状況を考えますれば、もうすでにこうした特別な考慮を払う必要はない、むしろこうした教育を重んずる意味において、当然他との権衡を考慮いたしまして、単位数を加えなければならない、こう考えたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005115X01719510326/55
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056・小林信一
○小林(信)委員 それではお伺いしますが、特殊学校の仮免許状を取得するのには、この単位を入れておらないのですが、そういう点は、どういう意味でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005115X01719510326/56
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057・玖村敏雄
○玖村政府委員 この仮免許状は、小学校、中学校、高等学校または幼稚園の教員の免許状を持つておりさえすればこれは——むしろなるべく多く新しく義務教育となりました方面に人を入れなければならないという事情がありますので、こういうふうにいたしたわけであります。そういう人たちがやがて二級免許状をとります場合には、八単位を要求するわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005115X01719510326/57
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058・小林信一
○小林(信)委員 やはりそこに何か特殊学校には、人を得る道が困難であるから考慮されているように、これからもうかがわれるのですが、そういう点がやはり各免許状のところにも、考慮されて行かなければならぬと思うのです。先ほどもお伺いした特殊学校のこの人たちには、横の方の関連がどういうふうにできておるか、たとえば二級普通免許状を持つておりさえすれば、あるいは小学校、中学校の方にも二級普通免許状が通用できるのか、あるいは仮免許状通用されるのか、その関連はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005115X01719510326/58
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059・玖村敏雄
○玖村政府委員 別表第七をごらんいただきますと、盲聾学校の方の教員にとつては、仮免許状を持つておれば、盲聾の方は二級にしてあるわけです。だから仮免許状は、この人たちが元持つていた免許状でなければ、元の学校には通用しない。小学校が仮だつたら、やはり小学校は仮になります。なお小学校は仮であるけれども、盲聾学校の方へ参りますとそれが二級になる、非常に一方ではやさしくしてある。基礎免許状は低くして、そして盲聾の方に入れば級は高くなる形になると思います。そこで特に今度加えました六単位なども、基礎免許状の方を上げないものですから、小学校、中学校の免許状の要求を上げないために、特殊教育の方の要求を入れなくては、非常に、バランスが他のものと失すると思います。申すまでもなく仮免許状には、単位も何も要求しておりませんが、将来教員が充実すれば、これにも単位を要求すべきであつて、今ないことは、何もいいことではないのでありまして、だんだん充実するに従つて、単位を要求すべきだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005115X01719510326/59
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060・小林信一
○小林(信)委員 仮免許状にも単位が必要だということになつて来れば、今基礎的に基礎単位として持つているものだけでなくて、二級免許状をとれば、小学校、中学校の方の二級免許状が与えられるという形になるのではないかと思います。そういう点からいたしますと、この二級免許状、一級免許状というものは、ただ特殊学校だけに通用するものであつて、ほかに関連がないとするならば、ここに入つてこの仕事をやろうとする人は、これ以外に教育の方を持つことができないわけであります。もし小学校、中学校の方へ行くためには、その方の単位をとつて行かなければならない。そうすると、やはりその人たちに、この仕事だけに精進せよという意味からしても、こういう単位を新たに加えられて行くということは、何かかわいそうな気持がしますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005115X01719510326/60
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061・玖村敏雄
○玖村政府委員 今の盲聾の学校の方の一級免許状を持つておれば、いかなる学校の校長にもなれるのです。普通の学校の校長にもなれるわけであります。それからもし普通の学校の二級とか一級になりたかつたら、普通の学校の一級、二級の単位をとらなくてはならぬ。かわいそうだとおつしやいますけれどもへ専門家としてこの人々を育てて行つて、そして将来は、もし理想的なことを言わせていただければ、二級普通免許状を持つた者が、さらに特殊教育の六単位をとつて一級になるのが望ましい。それで特殊な事情に応じましては、だんだんと要求を上げて行つて、この人たちの社会的地位が同時に上らなくてはならぬ。その現実と曲想とが一つの妥協をしているのが、この表の非常に不正合なところだと考えるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005115X01719510326/61
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062・小林信一
○小林(信)委員 私もそういうふうに承る。やはり理想のものからすれば、仮免許状から相当の単位を課してやつて行くべきだ。何か特殊な学校の現状が考慮されてできている法律だと思いますが、先ほどお話を聞くと、単に再教育の施設がないから、あるいは人がなかつたからという二面的におつしやつたけれども、やはり人がなかつたことが現状なので、そういうふうに行くならば、まだまだこの六単位のものをつけ加えるのではなくて、なお将来的に、また特殊学校の充実の方へ力を注いで行くために、そういう折衷的なものでなくて、もつと現状に即したもので行くべきだ、こういうふうに私たちは考えているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005115X01719510326/62
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063・長野長廣
○長野委員長 午前中の質疑はこの程度にとどめ、午後一時半まで休憩いたします。
午後零時三十一分休憩
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〔休憩後は開会に至らなかつた〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005115X01719510326/63
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