1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十六年五月十日(木曜日)
午後三時三分開議
出席委員
委員長 安部 俊吾君
理事 北川 定務君 理事 猪俣 浩三君
鍛冶 良作君 佐瀬 昌三君
花村 四郎君 古島 義英君
牧野 寛索君 松木 弘君
田万 廣文君 梨木作次郎君
上村 進君 世耕 弘一君
委員外の出席者
参 考 人
(最高裁判所事
務総局民事局第
三課長) 橘 喬君
專 門 員 村 教三君
專 門 員 小木 貞一君
五月九日
破産法及び和議法の一部を改正する法律案(内
閣提出第一四一号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した事件
参考人招致に関する件
民事調停法案(鍛冶良作君外三名提出、衆法第
四九号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02119510510/0
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001・安部俊吾
○安部委員長 これより会議を開きます。
この際お諮りいたします。新聞事業における株式譲渡制限等に関する特例法案起草小委員長より、同小委員会において、法案起草に関し参考人を招致し、その意見を聴取したいとの申出がありました。参考人は朝日新聞社神戸岩男君、毎日新聞社原為雄君、日本経済新聞社福島俊雄君、北海道新聞社的場利貞君、神戸新聞社光田顕司君であります。同小委員長の申出を許すに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02119510510/1
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002・安部俊吾
○安部委員長 御異議なければ同小委員長の申出を許すことに決しました。
なほ参考人を招致すべき日取り、または参考人の多少の異動については、委員長及び小委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02119510510/2
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003・安部俊吾
○安部委員長 御異議なければ、さよう御一任いただいたと認めます。
それでは本日の議事に入りまして、今日の日程中民事調停法案を議題といたします。提出者より同法案の逐條説明を聴取いたします。鍛冶良作君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02119510510/3
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004・鍛冶良作
○鍛冶委員 逐條説明をいたしたいと思います。
まず第一條はこの法律の目的であります。民事上の紛争の究極的な解決手段として、民事訴訟制度の利用が何人にも保障されておりまするが、社会情勢の変化等によつて、法規をそのまま適用することが社会條理に反する場合、多くの日時と費用を犠牲にして法律のみによる黒白を法廷に争うよりも、当事者の互譲により具体的に妥当な解決が得られるならば、一層望ましいことでありまして、本法はかような見地から公正な裁判所をして当事者間の紛争をあつせん調停させ、正しい内容を盛つた円満な解決に導くについての手続を定めたものであります。本條は右のような調停制度の本旨を明らかにしたものであります。
第二條は調停事件であります。本條は、調停の対象が民事上の紛争のすべてに及ぶこと、調停を行う権限が裁判所に属すること及び紛争当事者に調停の申立権があることを定め、主体及び対象の面から調停事件の概念を明らかにしたものであります。調停は借地借家調停法により、まず借地借家関係の紛争について認められ、その後小作調停法以下各種の調停法の制定により、次第にその対象が拡げられ、戦時民事特別法の制定によりまして、遂に民事関係の紛争全般に拡充されて今日に及んでおりまするが、本法はこれら各種調停法規を統合した一般法として、第一章通則中の本條において調停の対象一般を規定し、従来の借地借家、小作、商事及び鉱害各調停に相当する紛争の調停については、特則として第二章各節に規定しております。従来の金銭債務臨時調停及び民事特別調停は、いずれも臨時立法において定められたものでありまするが、前者は制定当時の特殊な経済事情に基くものであつて、現在としては特に別異の取扱いをする必要がないものとして、後者は元来が補充的な一般民事調停の性格を有し、本法の通則規定中に発展的に解消せらるべきものとして、いずれも特則の規定を設けておりません。なお家事調停については、その対象の特異性に応じ、一般の裁判所と系列を異にする家庭裁判所の管轄とされ、家事審判とも密接な関連を有し、むしろ家事審判法において統一的に規定することが取扱い上も便宜でありますから、本法においては、統合の対象から除外することといたしました。附則第十一條による一部改正のほかは、家事調停に関する現行規定はそのまま存置するわけであります。すなわち本條が、本法の民事調停に関する一般法たる性格を明らかにしているのに対しまして、家事審判法の家事調停に関する規定は、特別法の意味を持つこととなるわけであります。
第三條は管轄であります。本條は調停事件の土地管轄の原則を定めたものでありまして、現在の民事特別調停事件の管轄を定めた戦時民事特別法第十四條とまつたく同趣旨の規定であります。すなわち簡易裁判所の性格、当事者の利害等を考慮しまして、調停事件は特別の定めがある場合を除いて、相手方の住所またはこれに準ずる場所の所在地の簡易裁判所の管轄とし、なお合意管轄をも認めることとしました。土地管轄に関する特別の定めとしては、宅地、建物、農事、鉱害、各調停について本法第二章中に、また家事調停について家事審判規則中に、それぞれ規定されております。
第四條は移送の点であります。本條は、当事者の便益を考慮いたしまして、管轄違いの事件及び管轄に属する事件の移送を認めるほか、土地管轄については広く裁判所に裁量による移送または自庁処理の権限を認めて、著しくこれを緩和したものであつて、すでに家事調停については家事審判規則第四條に同趣旨の規定があり、その運用の実績に徴しまして、これを一般調停にも採用することとしたのであります。なお従来は各種調停がそれぞれ別個の根拠法に基いていたため、異種の調停事件相互の移送は認められず、当事者の不便を免れなかつたのでありますが、調停法の統合の結果本條によりましてこれら異種の調停事件の間にも、移送の道が開かれることとなつたわけであります。
第五條は調停の機関、本條は、裁判所において調停事件を取扱う機関を定めたものであります。調停は法律の適用にあたり、社会條理をも加味した具体的妥当な処理を必要としますので、原則として裁判官のほかに良識ある民間人をも加えた調停委員会で行うものとし、例外として、事案により裁判官だけでも行い得るものといたしました。なお、調停の長所の一つは民間人の関與する調停委員会の運営にあり、当事者もその良識による解決に期待するところが大きいのでありますから、その申立があるときは必ず調停委員会を開かなければならないことといたしました。
第六條は調停委員会の組織であります。本條は、調停委員会の構成を定めたもので、現行の各種調停法のいずれにも同趣旨の規定があるわけであります。
第七條は調停主任と調停委員、本條は、調停主任の指定、調停委員候補者の選任及び調停委員の指定について定めたもので、現行の各種調停法にほぼ同趣旨の規定があります。だだ、従来調停主任となる裁判官の指定は毎年あらかじめすることを要するものとしている点は、裁判官の一般事件に関する事務分配の措置との権衡上調停事件のみについて特にこれを法律に規定する実質的理由に乏しいので、その点の定めを除くことに改めたわけであります。
第八條は調停の補助、本條は、調停委員会が紛争の円満な解決をはかるについて、調停の補助者として、適当な第三者の協力を求められることを定めたものであり、現行の各種調停法——小作調停法では「勧解」の名称を用いております。——に同趣旨の規定があります。
第九條は旅費・日当・宿泊料、本條は、調停委員及び調停の補助者に対する旅費等の支給について定めたものであり、従来の各種調停法においても、その額の定めは、経済事情の変動に応じ容易に改定し得るよう勅令または政令に委ねられておりますが、本法は、家事審判法にならい、これを最高裁判所規則に委任することといたしました。
第十條は手数料、本條は、調停の申立手数料の納付とその額の基準について定めたものでありまして、その具体的な額の定めは、前條と同趣旨により最高裁判所規則に委任することといたしました。ただ、国の収納金は法律で定めるものとする財政法の精神に従い、手数料徴収基準の最高限のみは、本法に定めております。なお、価額算定不能の場合の基準額は、同様の場合における訴訟物の基準額に従つたものであります。
第十一條は利害関係人の参加、本條は、利害関係人が任意的に調停手続に参加することを認めますると共に、紛争の解決上必要な場合には、調停委員会がその参加を強制し得るものとしたのであります。任意参加については、従来小作、鉱害、家事各調停についてのみ同趣旨の規定があるが、その他の調停においても実務上同様に取扱われており、手続の経済と利害関係人の利便とから当然のことであります。強制参加については、従来の各種調停法に利害関係人の参加を求め得る旨の規定がありますが、その効力については文理上疑問の余地もありますので、本條は家事審判法第十二條にならい、その強制的な効力を有することを明らかにしたのであります。利害関係人の参加を得て初めて紛争を完全に解決し得る事例が少くないのでありまして、その参加を強制することによつて、一層事件の妥当な処理を期待し得るわけであります。
第十二條は調停前の措置、本條は、調停委員会が調停を成立させるため、その手続を進めて行くについて特に必要がある場合には、手続終了に至るまでの仮の措置として、事件の関係人に対し必要な事項を命ずることができる旨を定めたものでありまして、たとえば調停手続中に当事者の一方が調停の目的物を処分する等の行為によつて調停の成立を事前に妨害するおそれがあるような場合に、調停の成否確定までその行為を禁止することによつて、紛争解決のための基盤を保全することができるわけであります。同趣旨の規定は、現行の各種調停法にもありますが、本来この措置は執行力を伴わないものでありますけれども、第三十五條の罰則の裏づけにより強化された点をも考慮して、調停委員会は当事者の申立をまつて特に必要な場合に限りこの権限を行い得るものとし、なお命令事項を例示して、その運用の適正を期することといたしております。
第十三條は調停をしない場合、本條は、紛争の内容が調停に適せず、または調停の申立が権利の濫用と認められる場合に、調停委員会が調停を拒否し得ることを定めたものであり、従来の各種調停法にも同様の規定があります。調停に適しない場合とは、権利の行使が法律上義務づけられて性質上互譲の余地がないか、請求が理非明白で道義的にも互譲による妥協を不可とするような場合をいい、申立権の濫用の場合とは、訴訟の遅延や執行の回避のみを目的として調停の申立をするような場合をいうのであります。なお、従来の調停法には同様な場合に裁判所が申立を却下し得る規定があつたが、本法は、家事調停の法規にならつて調停委員会の権限に関する本條の規定を第十五條により調停を行う裁判官にも準用することとし、実質上これと重複する趣旨の申立却下の規定は設けないことにしたわけであります。
第十四條は調停の不成立、本條は、調停不成立による事件終了の場合を定めたものであります。紛争解決について当事者の合意が得られない場合には、従来もいわゆる調停不調として事件を終了させる取扱いでありましたが、現行の調停法規の明文上はこのような取扱いに関する規定を欠き、事件終了の時期等について解釈上の疑義を生ずる余地もありましたので、本條を設けてこの点を明らかにしたのであります。なお、当事者間に合意が成立しても、その内容が違法または不当であつて、調停委員会としてこれを承認し得ないような場合にも、同様に調停不成立の措置ををとり得るものとしておりますが、これは調停委員会が単なる機会主義的な紛争の仲介機関ではなく、あくまで具体的妥当な解決を目ざすものであることを示すものであります。
第十五條は裁判官の調停への準用、本條は、裁判官だけで調停を行う場合に、調停委員会の手続に関する規定—調停の補助、補助者に対する旅費等の支給、利割関係人の参加、調停前の措置、調停の拒否及び調停の不成立に関する規定を準用する旨を定めたものであります。
第十六條は調停の成立及び効力、本條は、調停が成立する場合と成立した調停の効力について定めたものであります。従来の各種調停法では、調停委員会の調停において合意が成立した場合と裁判官だけの調停において合意が成立した場合とでその取扱いを異にし、後者の場合はただちに裁判上の和解と同一の効力を認めたが、前者の場合はさらに裁判所の認可決定をまつて初めて右の効力を與えられるものとしておりました。これは、民間人を構成員とする調停委員会によつて成立した調停については、強制執行力を付與するに先だち、法律的見地からその内容を審査するためでありましたが、調停委員会の構成員には裁判官が加わつているので法律的審査の点に遺憾はなく、実際上の取扱いとして裁判所が不認可決定をした事例はほとんど皆無でありましたところから、すでに家事審判法においては、家事調停についてこの認可決定の制度を廃止しております。本法においても、同様の趣旨から、この制度を廃止することとし、その他の点については、従前と特にかわりないのであります。
第十七條は調停にかわる決定、本條は、調停委員会の調停が成立の見込みがない場合に、裁判所が調停にかわる決定をなし得ることを定めたものであります。一方の当事者の頑固な恣意により、またはわずかな意見の相違によつて、調停が不成立に終るならば、それまでの手続は徒労に帰し、調停制度の実効を収め得ないことになるので、このような場合に裁判所が、調停條項にかわるものとして、事件の解決のために必要な決定をなし得る道を開いたのであります。この制度は、当初金銭債務臨時調停にいて採用され、やがて戦時民事特別法により鉱害調停を除く各種調停に拡大され家事審判法でもこれを採用しているが、本條は、その家事審判法第二十四條にならつて規定したものであります。なお「当事者双方の申立の趣旨に反しない限度で」というのは、紛争につき当事者のいずれかの主張する解決方向の範囲内でという意味であります。この決定の本質は形成の裁判でありますが、同時に財産上の給付を命じ得ることは当然であります。調停委員会を開かないで裁判官だけで調停を行う場合には、本條の決定はできないわけであります。
第十八條は異議の申立て、本條は、前條の決定の効力及びこれに対する不服申立ての方法を定めたものであります。従前の各種調停法においては、調停にかわる裁判に付しては即時抗告を認め、確定した裁判に債務名義の効力を與えておりましたが、調停の対象となる紛争は、大体訴訟の対象ともなり得るものでありますから、簡易な非訟的手続に基く裁判によつて訴権を終局的に奪うことは不当であり、またかような強制的解決は調停の本旨にも反するので本法では、家事審判法にならつて、調停にかわる決定は相手方の異議申立てにより失効することとし、異議がない場合にのみ裁判上の和解と同一の効力を認めることとしたのであります。結局当事者が不服である限り、この決定は所期の効果を生じないこととなるわけでありますが、家事調停における運用の実績に徴すれば、この制度はなお相当の実効を収めているので、一般の調停にも、これを採用することとしたのであります。
第十九條調停不成立等の場合の訴えの提起、本條は、調停の申立てをした者が、出訴期間を徒過しまたは出訴に伴う時効中断等の利益を失うことを防止し、調停制度の利用者の保護をはかつたもので、家事審判法第二十六條第二項と同趣旨の規定であります。すなわち、調停の不成立及び調停にかわる決定の失効の場合に、調停を求めた請求について二週間内に訴えを提供した場合には、訴訟係属の効果を調停申立てのときにさかのぼらせることとし、附則第十二條による民事訴訟用印紙法の一部改正と相まつて、調停の申立人の訴権の実行を容易ならしめ、ひいては調停を軽視する不誠意な相手方の調停に対する協力を促すことともなり、調停制度の実効的運営に資するものと思われます。当事者が調停の申立てを取下げた場合には、本條は適用されないのであります。
第二十條受訴裁判所の調停、本條は、当事者の申立てがなくとも、受訴裁判所にその係属する事件について調停手続開始の権限を與えた規定であり、かような権限は、現行の各種調停法においても認められているのであります。ただ、本條においては、新たに、その第一項但書で、受訴裁判所が裁量で事件を調停に付し得る時期を制限し、また第二項で、調停手続により紛争が解決した場合における訴訟事件の当然終了を認めることとしたのであります。前者は、先般の訴訟促進のための民事訴訟法の改正をも考慮し、訴訟がすでに準備的段階を終つていわゆる継続審理をなし得る段階に至つた後事件を調停に付するには、当事者双方の同意を要するものとして、裁判所の悪意によりこれまでの準備を徒労に帰せしめ訴訟の遅延を招く結果を防止しようとするものであり、後者は、紛争の解決により実質上訴訟の対象が失われるので、取下げの形式をまたずに事件を終了させることとして、手続の経済をはかつたものであります。
第二十一條即時抗告、本條は、家事審判法第十四條と同趣旨の規定である。次條において準用する非訟事件手続法第十二條によれば、裁判に対し普通抗告が一般に認められることとなるが、本来簡易迅速な処理を建前とする調停手続上の裁判に対しては、特に認める場合に限り、しかも即時抗告のみを許すことが適当であるとし、いかなる抗告を許すかについては、本法に基き最高裁判所の定める具体的な手続と関連して、これを最高裁判所規則に委任することとしたのであります。なお、調停委員会の行う処分、たとえば第十二條の措置のごときは裁判ではないので、本條の適用はないのであります。
第二十二條非訟事件手続法の準用、本條は、調停事件の性質が本来非訟事件であるところから、特別の定めがない事項については、補充的に非訟事件手続法第一編の規定によらしめることとしたものであつて、従前の各種調停においても解釈上同様に取扱われていたが、本法は、家事審判法にならつて、この点を規定上明らかにいたしました。従つて、調停手続における調書の作成、事実の探知、証拠調べ、裁判の方式等は、すべて非訟事件手続法の規定によつてまかなわれることとなるのであります。なお、本條但書は、準用の有無に関する解釈上の疑義を除く趣旨であります。
第二十三條この法律に定めのない事項、本條は、近時の立法例にならい、憲法第七十七條が最高裁判所に手続に関する規則制定権を與えた趣旨を尊重して、本法に定めるもの以外の必要な事項は、すべてこれを最高裁判所規則に委任することを定めたものであります。従来の各種調停法に定められている事項のうち、本法に別段の定めのないものについては、最高裁判所規則においておおむね現行法と同趣旨の規定が設けられることとなるものでありましよう。
第二十四條宅地建物調停、本條は、宅地建物の利用関係の紛争に関する調停事件につき、土地管轄の特例を定めたものであつて、このような事件は、その性質上紛争の目的物の所在地の裁判所に処理させるのが適当であるとの理由によるものであることは云うまでもないのであります。ただ、現在では、借地借家関係の紛争のみについて借地借家調停法に本條と同趣旨の管轄が定められているが、使用貸借関係、相隣関係等一般に宅地建物の利用関係の紛争についてて同様のことがいえるので、本條では、借地借家調停の名称を廃し、広く宅地建物調停としてこれを規定したのであります。
第二十五條農事調停事件、現在の小作調停の対象の範囲は、小作調停法による小作関係の紛争の外、農地調整法により農地その他農家使用の薪炭林等の利用関係の紛争にも及んでいるが、本法ではこれを農地または農業用資産の利用関係の紛争として一括し、小作調停の名称もその実体に即して農事調停と改めたのであります。農業経営に付随する土地、建物とは、たとえば農業者の居住する家屋及びその敷地等農業経営を維持するについて直接必要な農地以外の不動産をいうのであります。農地等の利用関係の調整については、耕作者の保護、農地の利用増進等国の農業政策とも密接な関連があり、その他紛争の性質上、現行の小作調停法中にも一般の調停と異る特則的規定が少くないので、本法においても以下数條に必要な特則規定を設けることといたしました。なお、本法に定めるもの以外の従来の小作調停に関する特則的規定は、おおむね最高裁判所規則に定められることとなるのでありますが、農地委員会の勧解前置については、これまでの運用の実績や農地委員会にかわり新たに設けられる農業委員会の実体に照してその廃止が予定されているわけであります。
第二十六條管轄、本條は宅地建物調停に関する第二十四條と同趣旨により、農事調停事件の土地管轄の特例を定めたものであります。ただ農地等の利用関係の紛争は、一般に複雑深刻なものが多いので、従来の小作調停と同様に原則として地方裁判所の管轄といたしてあります。
第二十七條は、小作官等の意見陳述、本條は、農事調停について、農業政策的見地をも考慮し、それとの調停をはかるため、国又は都道府県の関係行政庁の職員である小作官または小作主事に、調停委員会に対する意見陳述の権限を與えたものであります。現行小作調停法にも同趣旨の規定があるわけであります。
第二十八條は、小作官等の意見聴取、本條は、調停委員会に対し調停の事前における小作官または小作主事からの意見聴取を義務づけた規定で、その立法趣旨は前條と同様であります。
第二十九條は、裁判官の調停への準用、本條は、裁判官だけで行う農事調停についても、小作官または小作主事の関與に関する前二條の規定を準用する旨の規定であります。
第三十條は移送等への準用、本條は、農事調停につき、裁判所が管轄に関する裁量的措置として事件を移送または自庁処理する場合及び調停に代る決定をする場合にも、第二十八條を準用して、事前の小作官または小作主事の意見聴取を要するものとした規定であつて、立法趣旨も同條と同様である。なお現在の小作調停には、管轄に関する裁判所の裁量的権限は認められていないので、その場合についての本條のような規定はございません。
第三十一條は商事調停事件・調停委員会の定める調停條項、本條は、商事紛争について、調停委員会を実質上の仲裁的権限を與える趣旨の規定であります。本来商事紛争は、その性質上、長期にわたり費用を要する訴訟的解決よりも、専門業者の合理的打算の上に立つ迅速な自主的解決に親しむものであつて、現行の商事調停法も商事調停委員会に当事者の合意に基き仲裁判断の権限を與え、欧米における商事仲裁制度と同様にその活用を期待したのであります。しかしながらその仲裁判断の手続や効力が煩わしい民事訴訟法の規定によるためか、国民の利用するところとなつておりません。その規定は有名無実の観を免れなかつたので、本條は、従来広く国民に親しまれて来た調停手続上の簡易な措置として、実質的仲裁の機能を営ましめ、その利用を促進しようとするものであります。特に当事者の書面による合意を必要としたのは、その愼重確実を期したものであり、合意の成立の時期は、調停申立ての前後を問わないわけであります。
第三十二條は鉱害調停事件・管轄、本條は、鉱害調停についての土地管轄の特則を定めたものであります。その理由は、農事調停につき第二十六條で述べたところとほぼ同様でありますが、鉱害紛争は通常その規模が大きいので、合意による簡易裁判所の管轄は認めていません。なお、現行鉱業法では、損害発生地以外の地方裁判所に合意管轄を認めておりますが、必要の場合には第四條の裁量的移送によれば足りるものとして、これを認めなかつたわけであります。
第三十三條は農事調停等に関する規定の準用、本條は、鉱害調停について、農事調停の小作官等の関與に関する規定及び商事調停の調停委員会の仲裁的権限に関する規定を準用することとしたものであります。鉱害賠償の紛争の解決に関しては、単なる私的な損害填補の関係のみでなく、鉱山企業の維持、育成等に関する経済政策的見地との調整を考慮する必要があるので、各地方における所管行政庁の長である通商産業局長に意見陳述の機会を與えると共に、企業経営に関連する社会的規模の紛争として、その性質上やはり仲裁的解決に親しむものとして、調停委員会の特別権限を認めたのであります。
第三十四條は不出頭に対する制裁、本條は、期日の呼出しを受けて出頭しない者に対する過料の制裁の規定であります。調停は、調停委員会と当事者とが期日に会合し、説得の機会を得て初めてその機能を発揮し得るでありますが、不誠意な当事者は、呼出しに応じないことによつて、調停制度を全く無視し得る結果となる。しかるに現行の各種調停法ではわずかに五十円以下の過料を科し得るにとどまり、物価の変動に伴い制裁規定としてほとんど有名無実に帰しておりますので、その額を三千円以下に引上げた。なお本條では、家事審判法にならつて、当事者以外の事件の関係人に対しても制裁を科し得るものとするとともに、裁判所の呼出しに応じない場合についてもこの制裁を認めることといたしました。この点の改正は、事実調査等のため当事者以外の者に出頭を必要とする場合があり、また裁判所の呼出しについて制裁を不要とする特別の理由が認められないからであります。
第三十五條は措置違反に対する制裁、本條は、第十二條の措置に違反した場合の制裁規定であります。右の措置が調停の運用上必要であることについては、前に述べたとおりでありますが、現行法では、農地調整法第十一條の規定による措置について違反に対する過料の制裁が認められている以外には、一般に何らの強制力をも伴わず、この措置を無視する者に対してはまつたく実効性を欠いております。このことは、いたずらに不誠意な当事者を利する結果となり、かような措置を認めた意義を不徹底に終らせるばかりでなく、裁判所の威信という点にも好ましくない影響を及ぼすので、一般の調停についても同様の制裁を認めることとし、この措置を間接的に強制し得る手段を講じたのであります。
第三十六條は過料の裁判、本條は、前二條の過料の裁判及びその執行について、非訟事件手続法の過料の一般規定に対する特例を定めたものであります。すなわち、前二條の過料の制裁は、裁判所が事件処理の職責を遂行するに当つて、みずから自ら手続の円滑な進行をはかるための手段として認められるものでありまして、その性質上検察官の関與を認めることは適当でなく、その執行についてもこれを裁判官の権限にゆだねることが、一層その目的にかなうわけであります。
第三十七條は評議の秘密を漏らす罪、本條は、調停委員会の評議の秘密を保つことによつて、調停主任及び調停委員が外に対する顧慮なしに安んじてその所信を述べることを担保する趣旨の規定でありまして、現在金銭債務臨時調停法及び小作調停法にのみ同趣旨の規定がありますが、評議の秘密を保持する必要は上記の調停のみは限らないので、これを一般規定化すると共に、物価の変動に応じて罰金の願を引き上げたわけであります。
第三十八條は人の秘密を漏らす罰、本條は、調停手続を密行とし、当事者その他の関係人が安んじて実情を述べることを担保する趣旨の規定でありまして、従来の各種調停法にはこのような罰則規定はなかつたが、家事審判法には同一趣旨の規定が設けられており、刑法の弁護士、医師等の秘密漏泄罪や国家公務員法の定める公務員の秘密漏泄罪等の権衡上からも、調停委員についてかような刑事責任を認めるのを適当としたものであります。
次は附則であります。
第一條は施行期日、本條は、この法律の施行期日を定めたもので、この期日は、わが国最初の調停制度である借地借家調停法が施行されてからちようど三十年に当るからであります。
第二條は借地借家調停法等の廃止、本條は、本法の制定に伴い、従来の各種調停法を廃止するということであります。
第三條から第十條までは、本法の制定に伴い、関係法律中調停に関する規定の削除その他條文の整理を行なつたものであります。
第十一條本條は、本法で定めた事項のうち、家事調停についても採用することが適当であるものについて、家事審判法中に本法と同趣旨の規定を追加する等の改正を行つたものであります。
第十二條本條は、調停申立人の訴権の行使を容易にし、その保護を厚くする趣旨から、本法及び家事審判法に定める調停不成立の場合の訴えの訴状にはすでに支出した調停申立手数料額との差額に相当する印紙を貼用すれば足りるものとし、民事訴訟用印紙法の一部を改正したものであります。
第十三條は従前の調停事件、本條以下は、本法施行の経過的措置に関する規定でありまして、本條では、本法施行前に係属した調停事件については、ずべて本法附則による廃止または改正前の調停法規に従うこととし、手続の簡明を期したわけであります。
第十四條は調停委員となるべき者の選任等、本條第一項は、本條施行の際あらためて本法による調停委員候補者を選任する煩を避けるため、第二項は、前條の従前の例によるべき事件について従前の各種調停法による調停委員候補者を選任する煩を避けるための規定であります。第三項は、調停主任の指定に関する同一趣旨の規定であります。
第十五條は罰則の適用、本條は、従前の法律による罰則の適用に関する経過的措置を決めたものであります。本法施行前の行為についてはすべて従前の例によるものとしまするが、本法施行後の行為について従前の罰則を適用する場合については、本法の罰則規定との権衡をはかる趣旨から、従前の規定中罰金及び過料の額を本法と同程度に引上げ、なお過料の裁判及びその執行については特に本法の規定を適用することとしたものであります。
以上をもつて説明を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02119510510/4
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005・安部俊吾
○安部委員長 これにて逐條説明は終りました。なお本案に関しまして御質疑もしくは御意見の御開陳はございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02119510510/5
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006・梨木作次郎
○梨木委員 今提案になつております民事調停法によりますと、従来調停申立てがあると、訴訟手続を中止するという規定が借地借家調停法にあつたのですが、これを見ますとないようでありますが、これはどういう趣旨で訴訟手続を中止する規定を置かなかつたのか、そしてこれは実際上どういうように運営するつもりであるか、これを聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02119510510/6
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007・鍛冶良作
○鍛冶委員 これはこの規定にはありませんが、最高裁判所の規則で定める予定になつております。大体の考え方は、調停の申立てあるいは裁判所の任意によつて、それを中止するかどうかをきめられるということにしたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02119510510/7
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008・梨木作次郎
○梨木委員 最高裁の規則できめるということでありますが、借地借家調停法では、調停申立てがあると、必ず訴訟手続を中止しなければならないという規定があつたと思うのであります。これは、やはり調停の申立てがあつても本訴が進行して行くようでは、調停の目的を達成できないと思うので、やはり従来のように、申立てがあれば、どうしてもこれは法律の規定によつて中止させるという制度を残しておかないと、調停の目的がうまく達せられないと思うのであります。だからこれはどういうように最高裁の規定ではきめるつもりなのか。従来の借地借家調停法にあつたような、訴訟手続は当然中止されるという規定を、最高裁の規則でもよろしいが、そういうものを設ける意図が提案者の方においてあるのかどうか、もう少し明確に聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02119510510/8
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009・鍛冶良作
○鍛冶委員 私の考えでは、当然すべて中止するということはどうかと思う。これは申立てがあつても、事件の性質によつてはこれを認めないという規定も、ここに設けておるわけですから、その性質を調べた上で、やめなければ目的が達せられない、趣旨に反するということになれば、当然裁判所へそれを申し出る、そうでない場合であればさしつかえないということで、申立てを受けた調停裁判所の裁量にまかせることが適当ではないかと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02119510510/9
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010・梨木作次郎
○梨木委員 それは調停の裁判所でなくて、本訴の方の裁判所が問題なんです。調停の方ではないのです。私の聞いているのは、本訴が起つておりまして、そうして調停の申立てがある、そこで調停申立てをしたという証明書を持つて行くと本訴がとまるのか、その点です。だから本訴の継続している裁判所の方の処理の仕方が従来とどういうぐあいにかわるのか、そこのところを聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02119510510/10
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011・鍛冶良作
○鍛冶委員 それは今言うた通り、調停の申立てがあつたから当然ということはどうかと思う。あとは最高裁判所へあなたの御意見として注文しておきますが、当然ということはどうかと思う。ここには現に、調停の性質そのものによつて調停委員会で却下することができるということになつているのですから、却下すべきものだつたら当然とは行かぬと思う。そこで調停裁判所が見て、これは本訴をとめるべきものだと思えば本訴をとめるというふうにするのが最も適当ではないかと思う。しかしこれはここであなたと私と議論しておつてもしようがない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02119510510/11
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012・梨木作次郎
○梨木委員 大体の構想を聞きたいのです。これはやはり最高裁の規則だけにまかすのではなくて、従来もこの制度は紛争解決の方法としてかなり利用されて来たと思うのでありまして、私たちはこの法案の審議にあたつて、無條件で最高裁の規則に委任してしまうということについては、非常に異議を持つておるわけなんで、あなたの方の大体の構想を聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02119510510/12
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013・鍛冶良作
○鍛冶委員 あなたの言われることを聞いて、あとで相談することにいたします。但し、さつき言う十三條とのにらみ合せがありますから、当然というわけには行きませんですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02119510510/13
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014・梨木作次郎
○梨木委員 もう一つ、私たちが調停でぶつかる問題で、従来の調停制度のもとにおいてなかつた事柄でありますが、というのは、どうもぐあいの悪い調停委員にぶつかると困るわけです。つまりへんぱな調停をするおそれがある場合に、この調停委員を忌避する制度というものは、従来の調停法においてはなかつたわけであります。で今提案されている民事調停法を見ましても、相当重要な権限が調停委員会に與えられておるようでありますが、何らかの形において、この調停委員がへんぱな調停をするおそれがある場合におきまして、これを忌避する制度を設けた方がよくはないかと思うのです。これはもちろん裁判をするわけじやないが、忌避の制度はある程度適用する余地があるのじやないかと思うのであります。この点も相当問題だと思うのでありまして、ぜひともこれについての適当な制度を設けておく必要があると思うのであります。その点どういうぐあいに考えておられますか。われわれが実際やつてみて、忌避するというと何かぐあいの悪いようなかつこうをしておりますが、といつてこれを権利として主張するわけにも行かない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02119510510/14
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015・鍛冶良作
○鍛冶委員 ぼくが答えるとどうも変になるが、私の意見としては、調停委員会にはそんなことはいらぬのじやないかと思う。裁判ならば裁判官の意思で押しつけるものですが、調停はいやだつたらやめればいいので、あなたのおつしやることには私は従いませんと言えば済むのですから、そこまで言わなければならぬということはなく、それは相当考慮を要すると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02119510510/15
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016・梨木作次郎
○梨木委員 それはそうなんですが、しかしこれは東京あたりの実例でも、そういうのにぶつかると言つておりますが、地方では調停委員というものに対して当事者は相当権威を認め、またその人たちの言動を非常に気にかけ、また調停委員の意見というものを相当尊重しておるような傾きがあるわけであります。それが地方では大体調停委員はどういう経歴で、どういう性格の人か、いろいろなことがわかつておるわけです。この場合に、権利としてこれを忌避し、あるいは排除するというようなことを、制度上認めておかないと、非常に意に満たない調停を承諾するような傾きが出て来る。それはなるほどりくつからいつて、承諾しなければいいと言われますが、なかなか地方ではそういう調子に行かないんです。これはもう一ぺん考えておいてほしいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02119510510/16
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017・安部俊吾
○安部委員長 猪俣浩三君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02119510510/17
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018・猪俣浩三
○猪俣委員 今の梨木君のことは、一応提案者において考慮していただいて、あとまた懇談でよく相談してみたいと思います。
第五條ですが、これはまあ文意上は大体わかるけれども、「裁判所は、調停委員会で調停を行う。但し、相当であると認めるときは、裁判官だけでこれを行うことができる。」これは裁判所にかかるわけですか。つまり相当であるかないかという認定は、裁判所がやるという意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02119510510/18
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019・鍛冶良作
○鍛冶委員 そういうわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02119510510/19
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020・猪俣浩三
○猪俣委員 そういうわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02119510510/20
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021・鍛冶良作
○鍛冶委員 ついでに申しますが、相当であるということはどういうことかというと、事実に対してそう調べぬでもわかり切つておることならば、裁判官だけでやるという意味に解釈しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02119510510/21
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022・猪俣浩三
○猪俣委員 それからさかのぼりまして、第四條の二項だが、これは小さいことですけれども、その終りの方の行に、「土地管轄の規定にかかわらず、事件の全部又は一部を他の管轄裁判所に移送することができる。」これは「他の管轄」という文字をやはりつけなければならないのですか。他の裁判所としてはいけないのですか。そこで他の裁判所としたのと、他の管轄裁判所としたのとは、どういうふうに違うことになるのか。管轄のある裁判所が他に移送することを認めた場合だが、そうするとその場合は、それは管轄裁判所でないのじやないですか。ぼくはよく読んでみないのですが、事件の全部または一部を他の裁判所に移送することができるという意味ではないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02119510510/22
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023・鍛冶良作
○鍛冶委員 そういう意味だけじやないのだな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02119510510/23
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024・猪俣浩三
○猪俣委員 第四條の二項の終りの方です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02119510510/24
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025・鍛冶良作
○鍛冶委員 これはずいぶんこまかい議論になるが、土地管轄でなくてもいいが、事物管轄でなければならぬというような議論が出て来るようです。事物管轄のあるところまでは行つてはいかぬ。土地管轄はなくてもいいが……。こういう意味なんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02119510510/25
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026・猪俣浩三
○猪俣委員 そうすると、事物管轄というのはどういうことになるか。今度は金額なんかには制限はないのでしよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02119510510/26
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027・鍛冶良作
○鍛冶委員 たとえば地方裁判所から他の裁判所というと——そんなことはめつたにないけれども、そういう議論をすれば、高等裁判所に持つて行つても、最高裁判所に持つて行つてもいいということになる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02119510510/27
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028・猪俣浩三
○猪俣委員 審級の意味か。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02119510510/28
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029・鍛冶良作
○鍛冶委員 そういうことになる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02119510510/29
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030・猪俣浩三
○猪俣委員 事物管轄ではないよ。審級管轄だ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02119510510/30
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031・鍛冶良作
○鍛冶委員 それはめつたにないことだ。鉱害事件は地方裁判所となつていますね。農事もそうだ。それを他の裁判所といつて、簡易裁判に持つて行つては困る。他の地方裁判所です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02119510510/31
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032・猪俣浩三
○猪俣委員 そういう意味ですか。わかりました。
それから十三條、「事件が性質上調停をするのに適当でないと認めるとき、又は当事者が不当な目的でみだりに調停の申立をしたと認めるとき」というのは、今の説明書に大体例が書いてありますが、一体これは調停法の本質にかかわる問題であつて、むやみに、これは適当じやない、これは不当な目的だというふうに調停委員会で認定されることも、これまた調停委員会の作用というものを本質的に否定することになるので、一体これは一定の基準がなければならぬと思うが、かような基準はやはり最高裁判所の規則制定権でつくるのか。一体基準は全然置かないで、調停委員会の任意な認定にまかせる趣旨なのであるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02119510510/32
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033・鍛冶良作
○鍛冶委員 まあこまかく言うとそういう憂いもあるかしらぬが、裁判所の常識にまかせていいのじやないですかな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02119510510/33
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034・猪俣浩三
○猪俣委員 裁判所じやない。調停委員会だ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02119510510/34
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035・鍛冶良作
○鍛冶委員 調停委員会では、裁判官が中に入つておる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02119510510/35
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036・猪俣浩三
○猪俣委員 すると、調停委員会の常識にまかせるという意味なんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02119510510/36
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037・鍛冶良作
○鍛冶委員 そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02119510510/37
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038・猪俣浩三
○猪俣委員 それから二十七條です。小作官等の意見陳述というのですが、小作官または小作主事が意見を陳述することができる。ところが小作調停法の第十七條を見ますると、「争議ノ目的タル土地ノ所在地又ハ当事者ノ住所地ノ市町村農地委員会又ハ市町村長ハ裁判所二対事件ノ経過二付陳述ヲ為スコトヲ得」、こういうふうな規定があるのですが、この精神をくみまして、少くともこの小作調停事件については、小作官という役人のみならず、今度は農業委員会ですか、農業委員会に対しても、意見が述べられるような規定を置いたらどういうものかと思うのでありますが、それはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02119510510/38
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039・鍛冶良作
○鍛冶委員 これは御意見ごもつともと思います。この二十七條及び二十八條ですか、これは従来の小作調停法の規定を受けてこれを置きましたので、これを表わしたのですが、そういう必要があれば、さきにあつた補助員として頼むのもよろしいし、最高裁判所のルールの際にも考慮いたしたいという考えです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02119510510/39
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040・安部俊吾
○安部委員長 田万廣文君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02119510510/40
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041・田万廣文
○田万委員 非常に趣旨は私もよくわかるのです。ここで大事だと思いますのは、調停委員会を組織する調停委員、この委員の方の選任については、第七條の第一に、地方裁判所から前もつて選任する者ということがございます。この選任する一つの基準といいますものは、どういうぐあいになつているのでしようか。その点一つ伺いたい。と申しますのは、先ほど梨木君からも御質問がございましたが、非常に不公平なへんぱな調停を強行するという人がたまたまあるわけなんです。そういうときに非常に当事者としては迷惑をこうむる、できるような調停を調停委員がみずからぶちこわしているような結果がわれわれ実際においてタツチした問題であるのです。調停委員というものが非常に重大な役割を持つておるだけに、相当考慮を拂われた人物が出なければいかぬ、その点についてひとつお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02119510510/41
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042・安部俊吾
○安部委員長 この際ちよつとお諮りいたしますが、本案の審議のため、最高裁判所の民事局第三課長の橘喬君を参考人といたし、その意見を聴取いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02119510510/42
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043・安部俊吾
○安部委員長 御異議なければさよう決します。橘君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02119510510/43
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044・橘喬
○橘参考人 従来の実例を御説明申し上げますと、大体裁判所で適当な方というのを、主として地方の公共団体あるいは自治団体その他公益的な団体の方に推薦をお願いいたしまして、それらの方で推薦を受けられた方を裁判所が審査いたしまして、その中で適当な方を選ぶようにいたしております。なおこの点について、私どもの方でも裁判所の規則等を設けまして、選任等の規定は明らかにいたすようにしたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02119510510/44
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045・田万廣文
○田万委員 不適当と思われる調停委員に対する解任のことは——私もこれを今初めて拝見するのでわからないのですが、解任問題はどういうふうになつているのですか。鍛冶さんにひとつ御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02119510510/45
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046・鍛冶良作
○鍛冶委員 別にそれは規定がない。もしそういうことがあれば、その次のかわるときにそれを認定しなければいい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02119510510/46
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047・田万廣文
○田万委員 不適当な人間を期限の来るまで一年なら一年まで待つということは適当でない、悪い者はやはりはつきりと解任した方がいいと思う。この点に対する立案者の御意見はどうなつておりますか。悪いものは期限まで置いておく必要はない。悪ければいつでも首にした方がいい。この点について考慮を拂われたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02119510510/47
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048・鍛冶良作
○鍛冶委員 めつたにないが、もしそうだとすれば、任期中といえども、その者を具体的の事件に当てはめぬようにしておけばいいのじやないかと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02119510510/48
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049・田万廣文
○田万委員 具体的の事件に当てはめぬというのはどういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02119510510/49
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050・鍛冶良作
○鍛冶委員 順番に事件をまわして行くのであるから、その人をのけてまわして行けばいい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02119510510/50
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051・田万廣文
○田万委員 非常に便宜的なお話ですけれども、その順番に当てられた調停申立人は非常に迷惑をする。だから考慮を拂ううちの一項目として、解任の問題も、せつかくこういうりつぱな民事調停法案ができるのですからして、万全を期する意味で考慮を拂われる用意があつてほしいと思うがいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02119510510/51
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052・鍛冶良作
○鍛冶委員 ルールをつくるときに相当考えてもらうことにします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02119510510/52
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053・梨木作次郎
○梨木委員 今の問題に関連して聞きたいのは、あらかじめ選任されている調停委員が、具体的な事件を担当する順位、これは実際どういうぐあいに運営して行くか聞きたいのです。たとえば一地方裁判所の管轄内に三人なら三人の調停委員がおるといたしますと、これをどういうような割振りで当該事件について配置して行くのか。これは裁判につきましては非常に厳重な規定が事務配分の上であると思うのですが、私はなぜそういうことを聞くかと申しますと、どうも地方では一人か、二人——数人の調停委員が、ほとんど調停屋のようになつてやつておるという実例があります。これはどういうぐあいに運営しておるのか聞きたい。実際これはやつておるが、非常に奇異の感じを受ける。まるで調停屋さんのようなものがおる。そうしてそれを職業のようにしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02119510510/53
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054・橘喬
○橘参考人 裁判所におきまして選任いたしました調停委員を具体的な事件に選ぶ実情を申し上げますと、大体選任されました名簿の中から調停主任となりました判事が具体的事件とにらみ合せまして、その中で適当な方を随意に選ぶ、調停主任の権限になつておるというように考えまして、別段事件によつて配置するという措置を講じておるところはほとんどないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02119510510/54
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055・梨木作次郎
○梨木委員 りくつは最高裁判所の方ではそういうふうになつておるのかもしれませんが、実際は特定のほとんど限られた調停委員が調停をやるというようなことになつて来ておる。これはもつとも調停に選任された人が忙しくて来られなくて、ひまな人が始終事件をあてがわれるということになつておるのかもしれませんが、これでは実際調停を職業にするような調停委員が出て来るのであります。ぼつぼつこの弊害が出て来ると思うのでありまして、これらの点につきまして、調停委員の選任それ自身も相当問題になる。たとえば最高裁判所への報告は五十名とあつても、その中で実際調停委員として動けるのは少いということになると、調停屋のようなものになつて来る。一地方裁判所の管轄内において、この調停委員の割振り、各個の調停委員が調停を扱つておる件数、こういうものがどういうぐあいになつておるか、特定の人が非常にたくさん扱つておりやしないか、そういう点について非常に疑問を持つておるのでありますが、資料がありましたら教えていただきたい。今なかつたら次でもよろしい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02119510510/55
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056・猪俣浩三
○猪俣委員 裁判所の方がおいでになつておることはわかつたのでありますが、裁判所のこの調停法に関するルールをおつくりになるときに、当委員会の要望意見をある程度聞いておつくり願いたいという要望をいたします。これは法律上の要望ではなく、実際上の要望として、ここでいろいろ議論をしておつてつくりましても、あなた方がルールをつくる際に、妙なルールをつくるために、まるで法律がゆがめられることが過去の経験においてもある。そこで当委員会との連絡を密にしてルールをつくつていただきたいという要望を申し上げておきます。お帰りになりましたら、その点お伝えになつて善処していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02119510510/56
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057・鍛冶良作
○鍛冶委員 今の猪俣君のお申出ごもつともと思いますから、私から責任をもつてお伝えすることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02119510510/57
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058・梨木作次郎
○梨木委員 それでは第四條でありますが、管轄を移送した場合、この管轄の移送に対して、当事者が不服を申し立てる権限をどういうふうに認めておる趣旨なのか、つまり不当に移送された場合に、当事者は自分の権利を主張したらいいのか、それからその異議の申立てをする時期はいつまでにやつたらいいのか、この点についてどのように考えておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02119510510/58
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059・鍛冶良作
○鍛冶委員 やはり移送という決定は一つの裁判と見ますから、二十一條によつて即時抗告の対象となり得るものと考えております。しかしこれもここに書いてある通り、最高裁判所の定めるところによるわけでありますから、これは最高裁判所のルールできめるべきものと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02119510510/59
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060・梨木作次郎
○梨木委員 じやそれはまあそういうぐあいにしてもらつて、その次に七條で、調停委員を当事者が合意で定めるというのは、これはどういうようにすればいいわけですか。手紙はどういうぐあいになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02119510510/60
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061・鍛冶良作
○鍛冶委員 これはわれわれもずいぶん議論してみたんですが、当事者がこの人をやつてくれればいい、こういう申出を裁判所へするわけです。そうすると、これを裁判所が認めるわけですが、これをもし濫用されると、弊害が起らぬかと思うので、これも今までのわれわれの実例から見まして、事件の特殊性によつてきまることが主でなければならぬと思つております。この事件ならばこういう人で、普通一般の人じやいかぬのだ、特別の知識がいるのだとか、これはこういう特別の関係があるのだから、こういうう人だとか、そういう特殊性をもとにしなければ、そう何でもかんでもやれるものではないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02119510510/61
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062・梨木作次郎
○梨木委員 ところが当事者の合意さえあれば、裁判所が無條件でその調停委員を受入れるというようなことになつて来ると、これはやはり相当弊害がありはしないか。何がやはりここで当事者の合意があつた場合、さらに裁判所がある程度の拒否権を認めて行くというようなことにでもしておかないと、債務名義をつくり出すことに利用される危険がないかというようなことを心配しているわけなんですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02119510510/62
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063・鍛冶良作
○鍛冶委員 今そのことを言つておるのです。それだから二、項を読んでもらえばわかりますが、「調停委員は、左に掲げる者の中から、」とある。だからなるべくその申出を尊重いたしまするが、必ずそれに従わなければならぬということはないわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02119510510/63
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064・梨木作次郎
○梨木委員 第十二條でありますが、こういう十二條のような命令を出しますね、この命令はいつまで有効かということは、どういうふうに考えておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02119510510/64
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065・鍛冶良作
○鍛冶委員 これは調停前の措置としてだから、調停ができてしまえば、その命令は効力を失つてしまいます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02119510510/65
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066・梨木作次郎
○梨木委員 それは大体そうだろうと思うのですが、いつまで命令は有効だということを何か規定しておく必要はありませんか。その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02119510510/66
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067・鍛冶良作
○鍛冶委員 おそらく命令を出すときには、調停の終了までこういうことをしていかぬとか、こうすべしとか書くに違いないと思います。当然のことと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02119510510/67
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068・梨木作次郎
○梨木委員 十九條でありますが、この調停が終了したその後において別に訴えを提起した場合におきましては、前の調停の効力をある程度援用できるような規定になつておりますが、ここでお伺いしたいのは、この調停を申し立てた対象と、それから訴えを提起した対象との同一性ということがかなり問題になると思うのでありますが、これはどういうふうに考えておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02119510510/68
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069・鍛冶良作
○鍛冶委員 これは別にここに規定はありませんが、一般訴訟法から考えるよりほかないでしよう。特別の請求であるとすれば、請求が違つたということになるが、同一の請求であれば、それは申立てを拡張して認めてもいいじやないですか。これはこれよりもむしろ民事訴訟法の規定で判断をしてもらうよりほかないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02119510510/69
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070・梨木作次郎
○梨木委員 しかしたとえば最初は賃料値上げの調停を求めて、それが不調に終つて、その後において明渡しの訴訟を起すというようなことはどうなるのですか。そういうようなことについてある程度の基準を設けておく必要はないですか発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02119510510/70
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071・鍛冶良作
○鍛冶委員 それは訴訟法にまかせるよりほかないと思います。訴えの併合であるかどうか——われわれが訴訟法で習つたときにはずいぶん議論があつたが、民事訴訟法にまかせるよりほかないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02119510510/71
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072・田万廣文
○田万委員 鉱害調停事件というものが、今度新たにできたようですが、たとえば製薬会社とか、その他製紙会社にしましても、いろいろ汚水を流すとか、あるいはその附近の住民に対して迷惑を及ぼすことが多い。これは鉱山という意味じやなくして、事業自体から発生するところのそういうものの調停はどの分に該当してやつて行くのですか。商事調停というのもおかしいし、ことさら鉱害調停という名前をおつけになつた趣旨から言うと、どうなるのですか。第二條の民事に関しての紛争というところで一括してよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02119510510/72
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073・鍛冶良作
○鍛冶委員 鉱害調停というのは鉱業法に定める鉱害だそうです。そのほかには鉱害としては及びませんが、かりにたんぼがいたんだとすれば、それは農事調停でも行けましようし、また一般の民事調停における損害賠償の請求としても行けるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02119510510/73
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074・安部俊吾
○安部委員長 では速記をやめまして、懇談会に入ります。
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〔午後四時十九分懇談会に入る〕
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〔午後四時二十八分懇談会を終る〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02119510510/74
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075・安部俊吾
○安部委員長 懇談会は終りました。本案の審議を進めます。北川定務君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02119510510/75
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076・北川定務
○北川委員 各派の共同提案といたしまして、ただいま議題と相なつておりまする民事調停法案に対する修正意見を提出いたしたいと思います
修正案は次の通りでございます。
民事調停法案の一部を次のように修正する。
第十條第二項中「二十円」を「十円」に改める。
第十二條中「現状の変更、物の処分等を禁止し、その他必要な事項を命ずることができる。」を「現状の変更又は物の処分の禁止その他調停の内容たる事項の実現を不能にし又は著しく困難ならしめる行為の排除を命ずることができる。」に改め、同條に次の一項を加える。
2 前項の措置は、執行力を有しない。
この修正の理由といたしましては、この調停の制度はなるべく簡易に紛争を解決するというのが目的でありまして、二十円とされておるのをその半額十円に減ずることがこの制度を利用するために最も適当であると考えられるからであります。
また第十二條中の修正は、調停の目的を達するために、この調停の実現を不能にする行為を排除するのには、法案をただいま申し述べました通りに変更することが最も適当であると思われるからであります。
また第二項につきましては、普通の裁判と違いまして、執行力を有しないということを條文上明確にせんとするものであります。
以上説明を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02119510510/76
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077・安部俊吾
○安部委員長 ただいまの北川定務君の本案に対する修正意見につきましてお諮りいたします。ただいまの修正意見をただちに関係方面へ提出いたしまして、諸般の手続をとりたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02119510510/77
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078・安部俊吾
○安部委員長 御異議なければ、さようとりはからいをいたします。
それでは本日はこの程度でとどめまして、明日午後一時より開会することにいたし、本日はこれにて散会いたします。
午後四時三十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02119510510/78
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