1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十六年二月六日(火曜日)
議事日程 第九号
午後一時開議
第一 外航船腹緊急増強に関する決議案(星島二郎君外三百六十九名提出)(委員会審査省略要求事件)
第二 裝締師法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
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●本日の会議に付した事件
日程第一 外航船腹緊急増強に関する決議案(星島二郎君外三百六十九名提出)
日程第二 裝蹄師法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
行政監察特別委員会設置に関する決議案(佐々木秀世外二十二名提出)
午後一時四十一分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X01019510206/0
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001・岩本信行
○副議長(岩本信行君) これより会議を開きます。
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002・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 日程第一は提出者より委員会の審査省略の申出があります。右申出の通り決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X01019510206/2
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003・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。
日程第一、外航船腹緊急増強に関する決議案を議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。坪内八郎君。
〔坪内八郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X01019510206/3
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004・坪内八郎
○坪内八郎君 ただいま議題となつておる、自由党、日本社会党、国民民主党、労働者農民党及び農民協同党の各党共同提案にかかる外航船腹緊急増強に関する決議案を、右各党を代表いたしまして御説明申し上げたいと存じます。なお一言つけ加えますが、本決議案は海運議員連盟会員二百名の総意により超党派的に上程されておるものであります。
まず決議案を朗読いたします。
外航船腹緊急増強に関する決議案
最近における世界情勢の緊迫と待望の講和成立の日近きに対処して、日本経済の自立を図り、国民生活の安定を期するために現下最も緊要なるは、食糧その他の生活必需物資並びに重要産業の原材料を速やかに確保するにある。
しかもわが国の地理的経済的事情ことに朝鮮動乱を契機とする極東情勢の変化により、重要物資はすべて遠隔地よりの海上輸送による輸入に求めなければならない現状である。しかしてわが国の現在保有する劣弱なる外航船腹をもつてしては到底所期の輸送を完遂し難い。
よつて政府は外航船腹増強に関し資金の確保等必要なる諸方策の急速且つ円滑なる実施に遺憾なきを期すべきである。
なお政府はその結果に関し速やかに本院にこれが報告をなすことを要求する。
右決議する。
以上の通りであります。
御承知の通り、朝鮮動乱の勃発の結果、特需物資輸送のための船腹の急激なる需要を喚起し、さらに中共がこの動乱に介入するに及び、米国の非常事態宣言となりまして、遂に米国船の東洋回航の停止、中共の貿易禁止にまで進展したのであります。この結果、わが国が中国に仰ぐべき必需物資は他の遠隔の地に求むるを余儀なくせられまして、これが輸送に関しても今後は邦船積みを主とせざるを得ない状況となり、わが国海運界は甚大なる影響を受けることになつたのであります。
前大戰によつて壊滅に瀕しましたわが国の外航可能の大型船の保有量は、連合軍総司令部の深甚なる御配慮により、新船建造、戰時標準型船改造等をもつて、ある程度増強して来ましたが、資本の蓄積をまつたく失つた船主経済の不如意と、船舶資材の不足等のため、とうてい所望の域に達しないので、現状のまま推移すれば、今後遠洋輸入物資の邦船積みを約五割としても、二十六年度上下各半期においてそれぞれ百万トンの船腹不足を来すことが予想されるのであります。従つて、ようやくにして復興の緒についたわが国重要産業の原料輸入は不可能となり、またようやく円滑になりつつある民生物資輸入がとだえることとなり、講和会議近しとしても、物心ともに整備しつつあるわが国産業の基盤は崩壊するおそれがあると思うのであります。
ここにおいて、わが国復興の最緊要事である外航船腹緊急増強に対し献身の努力を傾注すべきであると考えるのであります。私は、本決議案を上程いたしまして政府に対し次に述べる方策を急速に実施するよう要求する次第であります。特にこれが実施にあたりましては、最も困難を予想せられますのは資金面でありますから、この面において政府は強力なる施策を講ずる必要があると思うのであります。
まず施策の第一点は新船の建造でありますが、昭和二十六年度新船建造計画におきましては、六十一億円の見返り資金及び同額の国内資金をもつて約十三万トンが四月早々着工の予定になつておることは御承知の通りでありますが、わが国将来の船腹構成を考えるならば、できるだけ優秀新造船を拡充すべきであり、さらに見返り資金のわくの拡大並びに預金部資金の融通をはかり、少くとも本年中に、わが国年間造船可能量たる五十万トン新造を実施すべきであると考えるのであります。
次に第二点は、戰時標準型船及び在来船の外航船級取得のための改造でありますが、船腹の緊急増強に対応いたしまして、戰時標準型船及び在来船のうち外航船級取得可能のもの約二十六隻、二十五万重量トンについては、船主はすでにその工事を準備し、あるいは予定しておりますが、これに必要なる資金を船主が調達することは非常に困難であるがゆえに、新船建造の場合と同様に、見返り資金、預金部資金等よりの融資をはかる必要があると思うのであります。
第三点といたしましては、沈船引上げ船腹について申し上げます。すなわち、前大戰においてトラツク、パラオ、沖繩島周辺に沈没した船舶のうち、最近の調査によりますと十七隻、十四万総トンの引上げ修復が可能といわれております。これが実現方につきまして関係方面に懇請するとともに、資金手当を考慮すべきであると思われます。
次に第四点といたしましては、米国政府所有リバテイ船の日本政府への貸與についてでありますが、以上に述べました諸方策をもつていたしましても、なお現下の緊急なる船腹需給は均衡を保ち得られませんので、海外市場より既成船の購入または借入れの措置をはかる必要があります。しかしながら、買傭船の市況は変動著しく、適船を適当価格で引受けることが困難であると考えられます。従いまして、米国政府所有船のわが国政府への貸與が考えられますが、本件につきましては米国国内法規によつて禁止されておる模様でありまして、この点、政府は、わが国海運振興に深甚なる考慮を拂われつつある米国政府当局に対して窮状を披瀝いたしまして、その実現を懇願すべきであると考えられるのであります。
最後に、船主による外国船の買傭船についてでありますが、先ほども申し述べましたように、一般市況に応ずる買傭船を行う場合、目下のところ船主としては資金難のために、せつかくの引合いも見送らなければならない実情であります。この点政府は、金融債のひもつき引受等による資金の裏づけをするよう措置をとる必要があります。
以上、各項目にわけまして政府において緊急に処置すべき諸点を申し述べましたが、結論といたしましては、わが国船腹緊急増強対策としては、優秀船隊保有及びわが国造船業発展という国家百年の大計より、あくまで優秀船の建造、改造を第一とし、船腹の需要に応じ外国船の買傭船に遺憾なきを期すべきであると信ずるものであります。これが解決策として、所要資金の調達がすべての先決問題であります。政府はすべからくこの点に関し早急に明快なる施策を講ずるとともに、これが恒久的な対策として、海事金融を含む長期金融施設を設立する必要があると考えられるのであります。
以上をもつて私の趣旨説明を終りまするが、わが国民性の安定並びに産業振興は実にかかつて船腹増強にあることを明察せられ、わが国復興を念願せられるところの各党諸君の絶大なる御賛同をお願いする次第であります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X01019510206/4
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005・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 採決いたします。本案を可決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X01019510206/5
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006・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて本案は可決いたしました。
この際運輸政務次官から発言を求められております。これを許します。運輸政務次官關谷勝利君。
〔政府委員關谷勝利君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X01019510206/6
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007・關谷勝利
○政府委員(關谷勝利君) 最近における国際情勢の緊迫化に伴い、世界的に船腹不足は著しくなつておりまして、従前のごとく貿易物資の大部分を外国船に依存することは、きわめて困難な事態となるに至つたのであります。過去、政府におきましても、日本海運の国民経済に占める重要性に照しまして、鋭意外航大型船の整備充実に努めて参つたのでありまするが、いまだに国際船級を取得いたしておりまする船舶は百四隻、約六十万総トンを保有しているにすぎない状態であります。このような船腹をもつてしては、とうてい国民経済の維持発展に必要な食糧及び工業用原材料の輸入確保は期待し得ないのであります。政府は、このような情勢の変化にかんがみまして、既存計画船舶の竣工を促進し、さらに新造を中心に改造及び沈船の引揚げ修理並びに外航船の買傭船を計画し、具体化を急いでおる現状であります。このときにあたりまして、当院におきまして船腹増強について決議せられましたことは、まつたく慶賀にたえない次第でありまして、この強力な御支援にそむかざるよう、今後懸命の努力を拂う所存であります。各位におかれましても、政府の意をくみとられまして、積極的な御協力をお願いする次第であります。
簡單でありまするが、政府の所信を述べまして、ごあいさつといたします。(拍手)
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第二 裝蹄師法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X01019510206/7
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008・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 日程第二、裝蹄師法の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。農林委員長千賀康治君。
〔千賀康治君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X01019510206/8
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009・千賀康治
○千賀康治君 ただいま議題と相なりました、内閣提出、参議院送付、裝蹄師法の一部を改正する法律案につきまして、農林委員会における審議の経過並びに結果の概要を御報告いたしたいと思います。
現行裝蹄師法は、昭和十五年に制定せられ、現在に至つているのでありますが、戰時戰後を通ずる諸情勢の変化によりまして不備の点がございますので、所要の改正を加えようとするのでございます。
ただいま改正の要点を申し上げますと、第一は裝蹄師の免許制度に対する改変でございます。すなわち、学校教育制度の改革に伴いまして、新制獣医大学におきましては、特に裝蹄学の講義がなく、單に外科学の一部として取扱われておるのに過ぎませず、裝蹄師としての技術及び学術の修得が不十分でありますので、これら新制大学の卒業生及び新制大学卒業の獣医師に対しましては裝蹄師の無試験免許を行わないことといたしまして、また旧陸軍関係の特修技術者に対する無試験免許制度を廃止いたすのでございます。但し、現在無試験免許の資格を持つておる獣医師及び獣医師の免許を受ける資格のある者については、昭和二十八年末までは猶予期間を置きまして、その間に申請すれば無條件で資格を授與し、それ以降は無試験免許の特典が失われることとなるのでございます。また一方、裝蹄師の養成を目的といたしまする裝蹄高等学校または大学を卒業する者には無試験免許の資格を與えることとしたのでございます。
第二は、裝蹄師は毎年十二月末現在において所要の事項を農林大臣に届け出ることといたしまして、裝蹄師の業務状況の的確なる把握に資したことでございます。
第三は、裝蹄師に対する免許の取消し、あるいは業務の停止処分等の行政処分を行う際には、公聽会を開いて意見を述べる機会を與え、裝蹄師の権利が不当に侵害されないような措置を講じたのでございます。
第四は、罰金の金額を現在の経済状態に適合するように改めたことでございます。
本法案は、一月二十六日、予備審査のため本委員会に付託せられまして、去る二日、提案理由の説明を島村農林政務次官より聽取の上、質疑を行いました。次いで同日参議院を通過いたしまして、あらためて本委員会に付託せられましたので、昨五日引続いて質疑を行つたのでございますが、自由党小笠原、原田両委員、民主党吉川委員、社会党足鹿、八百板両委員、共産党山口、横田両委員の各委員より発言がございまして、獣医師と裝蹄師との関係、裝蹄師と畜産並びに農業生産力向上等の問題に関し、政府委員との間に質疑応答が行われたのでございます。この質疑を通じて本法案改正の趣旨も明瞭となり、各委員とも異議がございませんので、同日、質疑終了後、討論を省略して採決に付しましたるところ、全会一致をもつて原案の通り可決せられた次第でございます。
以上御報告申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X01019510206/9
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010・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X01019510206/10
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011・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
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行政監察特別委員会設置に関する決議案(佐々木秀世君外二十二名提出)(委員会審査省略要求事件)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X01019510206/11
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012・福永健司
○福永健司君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、佐々木秀世君外二十二名提出、行政監察特別委員会設置に関する決議案は、提出者の要求の通り委員会の審査を省略してこの際これを上程し、その審議を進められんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X01019510206/12
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013・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 福永君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X01019510206/13
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014・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
行政監察特別委員会設置に関する決議案を議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。佐々木秀世君。
〔佐々木秀世君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X01019510206/14
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015・佐々木秀世
○佐々木秀世君 ただいま議題となりました行政監察特別委員会設置に関する決議案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
まず決議案の案文を朗読いたします。
行政監察特別委員会設置に関する決議案
一、本院に委員三十人をもつて構成する行政監察特別委員会を設置する。
二、本委員会は、国の行政が適正にして且つ能率的に行われているかどうかを監察し、以つて立法その他国政の審議に資するため、行政の運営上障害となつている各般の事情を総合的に調査し、且つ、その責任を調査する。
地方公共団体の行政については、国の行政と直接関連あるものに限り、特に必要があると認めた場合には、前項の趣旨によりこれを調査することができる。
なお、本委員会は、特に必要と認めるときは、国が直接又は間接に財政援助を與えている団体の事業運営についても、前二項の趣旨により、調査を行うことができる。
三、本委員会は、調査の結果に基き必要と認めたときは、所管の機関に対し、必要適切な措置に関し勧告することができる。
四、本委員会及びその小委員会は、国会の会期中たると休会中又は閉会中たるとを問わず、必要と認めた場合には、開会することができる。又本委員会及びその小委員会は、必要と認めたときは、何時でも証人の出頭又は帳簿、書類等の記録の提出を求めることができる。
本委員会の申出により、議長が必要と認めたときは、調査員その他必要な職員を臨時に任命し、その給與を決定することができる。
本委員会に要する経費は、月平均百五十万円以内とし、委員長又は委員長の指定する理事の請求により、議長が支出させる。
五、本委員会は、少なくとも月一回その意見を付して調査報告書を議長に提出しなければならない。委員会が必要と認めたときは、議院に口頭で報告することができる。
前項の報告書が提出されたときは、議長は、これを印刷して各議員に配付する。
昭和二十二年五月二十日、第一回国会が開会せられ、いわゆる隠退蔵物資の摘発を目的といたしまして、同年七月二十五日、本院に隠退蔵物資等に関する調査特別委員会が設置せられましたことは、諸君御承知の通りであります。この委員会は、第二国会においては不当財産取引調査特別委員会と改組せられ、一年有半、政治献金問題、兵器処理委員会、石炭国管問題、繊維疑獄事件等を調査いたしまして、政界、官界、財界等に時ならぬ旋風を巻き起したことは、いまさら申し述べる必要もないと考えます。しかして、第五国会にあたりましては新たに考査特別委員会が設置せられ、第九国会まで活発なる活動を続け、税務官吏汚職事件を初め、不法労働争議挑発行為としての国電スト事件、平市をめぐる騒擾事件、広島日鋼事件、熱海決議事件を調査し、その他公団をめぐる不正事件、徳田要請事件等、いずれも日本再建に重大なる悪影響を與えたものとして、その責任の所在を究明したのであります。また最近、電力再編成をめぐる政治献金事件を調査いたしましたことも、諸君の記憶に新たなことと存じます。なお一方、文化の発展、科学の発達に多大の寄與をしたものとして、湯川、永井両博士等の功績を調査して、政府にその表彰方を勧告したのであります。かくて考査委員会は、十分にその目的を達し得たものであり、その功績もまた大なるものがあつたといわねばなりません。
しかして第十国会となり、議院運営委員会に特別委員会設置に関する小委員会が設けられ、不省委員長となり、数回協議を重ねた結果、新たに行政監察委員会を設置すべしとの多数の意見の一致を見ましたので、本決議案を提出したのであります。
本委員会は、委員三十名をもつて構成し、国の行政が適正にかつ能率的に行われているかどうかを監察し、もつて立法その他国政の審議に資することを目的といたしたのであります。行政の運営上障害となつている各般の事情を総合的に調査し、かつその責任を調査することをその任務といたしております。特に総合的に調査をするという点におきまして、各常任委員会がおのおのの所管について調査することと競合しないよう考慮されております。
なお地方公共団体の行政につきましては、国の行政と異なり、一般的、後見的な監督権はないといわねばなりませんので、ただ国の行政と直接関連のあるものに限り、特に必要と認めた場合におきまして、国の行政との関連において総合的に調査することができるものとしております。
また、特に必要と認めるときは、国が直接または間接に財政援助を與えている団体の事業運営についても、やはり国の行政との総合的関連において調査することができるものとなつておるのであります。
しかして本委員会は、以上の調査の結果に基き必要と認めたときは、特に本会議を通さないで、委員会から所管の機関に対し必要適切な措置に関し勧告することができるものとしております。
その他委員会の特殊権限、事務職員の任命、委員会の経費、調査の結果報告等につきましては、従来の考査委員会とほとんど同様でありますので、説明を省略いたします。
以上簡單でありますが、本決議案の趣旨を御説明申し上げた次第であります。何とぞ諸君の御賛成をお願いいたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X01019510206/15
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016・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 討論の通告があります。これを許します。猪俣浩三君。
〔猪俣浩三君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X01019510206/16
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017・猪俣浩三
○猪俣浩三君 ただいま佐々木君の提案いたしましたる決議案につきまして、第一点、その構成及び運営上について反対をいたします。
今までの不当財産取引調査特別委員会におきましても、考査特別委員会におきましても、その構成は三十名からなる超党派的な委員をもつて組織するという断り書きがありました。しかるにかかわらず、今回の提案からは、この超党派的という言葉を削除された。これはいかなる意図に基いて特別にかような措置をなされたのかわかりませんが、自由党の諸君の意気込みのほどがうかがわれると存ずるのであります。大体かような委員会は、まつたく超党派的に運営いたしませんならば、その有終の結果を得られざることは明らかなことでございまして、私どもは、この委員会こそは、いかなる小会派からも一名以上委員として出して、按分比例によらず、真に公正妥当なる運営をすることが正しいと考えるのでありますが、それと逆転して超党派的なる言葉さえも削除してしまつて、そうして自由党多数の委員会たらしめる計画ありと私どもは認定せざるを得ないのであります。かような構成運営、この提案をなされた自由党諸君の意気込みから察しまするというと、これはおそらくは自由党諸君の党略に使われることは火を見るよりも明らかと存ずるのであります。かような意味におきまして、かような構成の決議案に対しましては私どもは反対をいたします。(拍手)
これは過去におきまして、われわれは苦い経験を持つておる。近く行われましたるところの考査特別委員会における日発事件の調査にいたしましてもいよいよこれから私どもが本格的な調査に乗り出したいと思つて非常な苦労をいたしまして、いろいろな材料を整えてやりましたそのとたんに、これは打切りである。動議を出されてしまつて、ぺつしやんこである。そうして、それから間もなく日発の総裁自身から、三十数億円の含み資産がある——公益委員会の委員長は、最初これは不正であると断定したのでありますが、かようなことが暴露された。これは考査特別委員会の恥であります。私は、調査の過程におきまして、この電燈料金に不正があるということを指摘して、これを調査する準備を進めておつた。そうして、詳細なる経理の表も私は出した。しかるにかかわらず、その調査を途中にして打切つてしまつた。何も要領を得ないような前総裁だの、副総裁だの、何々課長だのいうようなものをざつと調べて、それで打切りである。ほんとうの中心人物は一人も登場させない。かようなやり方をやつておりましては、何ら事の真相を把握できないことは明らかである。かような意味におきまして、本決議案のような運営の方法では、これは自由党の諸君、その他の諸君の党利党略に使われるおそれがあるゆえ、われわれは、この意味において反対する。(拍手)
なおまた、その調査の範囲におきましては、なはだ不審があります。何がゆえにこの決議案にありますような二項だけに調査の範囲を限られたのであるか。この点ついて、われわれは理解できない。われわれの考うるところによるならば、この決議案に出ておりますような二項は、これは憲法の国政調査権に基きまして各常任委員会において十分監察ができるはずであります。大蔵委員会において大蔵省関係、法務委員会において法務関係、これを十分監察できる。また今までもやつて来たのである。こういう国家機関を、特別な委員会をもつて、百五十万円も出して、そうして監察するとは、どういう意味であるか。これは私は、はなはだ不審である。私は、真にこういう機関、監察の機関が必要であるとするならば、それは何人からも監察されておらないところの国会議員それ自身だつても——これは国会議員に対しまして、世の疑惑をこうむるような、いわゆる政治道徳上非難されるような者がありました際に、自粛自戒の意味におきまして、国会自身がこれを調査し、これを監察するということが第一でなければならぬと思う。これをさておきまして、ほかばかり監察するということは片手落ちであります。みずから糺して、しかる後他を調査するということが順序でありまして、私どもは、この国会議員の中に、不幸にして政治道徳上非難さるべきものがあつたら、国会議員みずからこれを調査して世間に発表するということが中心の委員会でなければならぬと思うのでありまするが、さようなことは、さつぱり抜いてしまつて、そうして常任委員会でいつでもできるような行政機関だけをやるというようなその趣旨は、はなはだ私は不可解であります。なおまた、この地方公共団体に対しまして監察するということは、これは地方自治の原則をあるいは破るような結果を引起すのではないかと憂慮にたえないのでありまして、かようなことは、この中心的な使命にすべきものではない、地方公共機関と必ず摩擦を起すことができて来る、おのれのことをまずさておいて、かような出過ぎたことまでやらかすというような、かような趣旨に私どもは反対であります。
なおまた、この調査の範囲だけだといたしますると、はなはだ疑義が出て来る。たとえば、天下の耳目を聳動いたしましたるところの小瀧鉱山融資事件なんというものは、ここで一体調査できるのかどうか。あれは、現にわれわれから考査特別委員会に提案しております。考査特別委員会は、これを受付けておるにかかわらず、とうとうこの調査をしない。調査しないうちにこれを廃止いたしまして、今度は別な機関を持つて来た。私ども邪推かも存じませんけれども、ああいうことは調査したくないために、こういうふうなことをやらかして来たんじやないか、こういう疑いを持たれる。小瀧鉱山融資事件のごときは、まことに明白な事件でありまして、これは徹底的に追究しなければならぬ。これは一体この機関でできるかどうか、はなはだ疑義が出て来るのであります。
かようにいたしまして、どうもこの提案者の真意につきまして、われわれは、はなはだ疑問を持つ。この超党派なる言葉を削除し、この調査範囲をかように限定いたしまして、そうして常任委員会でいつもできるようなことだけを取上げて、百五十万円も金を使つて、與党多数のうちにこの調査をする。おそらくはこれはレツド・パージの下調査の機関にならずんば幸いであると私は考えている。そうして、自由党に反対のような思想傾向や行動をやる者を一々調査して、これを何とかいう形で処分するというような調査機関にこれは転落するのではないかという疑いが十分ある。(拍手)
かような意味におきまして、その運営上から見ましても、調査の目標から見ましても、はなはだ妥当を欠き、党利党略に使用されるおそれあるこういう委員会、しかも百五十万円も使う委員会に対しましては、社会党といたしましては反対をいたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X01019510206/17
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018・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 中川俊思君。
〔中川俊思君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X01019510206/18
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019・中川俊思
○中川俊思君 私は、自由党を代表いたしまして、ただいま上程になつております行政監察特別委員会の設置に対して賛成の意見を表示したいと考えます。
ただいま社会党の猪俣君から、るる御反対の意見が開陳されましたが、何ゆえ本特別委員会を設置しなければならないかという本質的の意義に対する御論拠がきわめて貧弱でありまして、私のすこぶる遺憾とするところであります。
第一点の構成並びに運営について超党派的でないという御意見でありますが、猪俣君は国会議員として相当の経験も経ておられまするし、今日の機構並びに運営がどういうふうにしてなされておるかということは、いまさら私が説明するまでもなく、十分御存じだと考えるのであります。すなわち、本特別委員会を設置するにいたしましても、所定の手続を経て議院運営委員会にこれをはかり、社会党を代表して出ておられる諸君におかれましても、その際に十分にこの点については了解をしておられるはずである。しかも、この決議案の中に超党派的ということが書いてないからというので、これを超党派的でないというようなことは、いささか詭弁といわなければなりません。すなわち社会党の諸君の中からも、この委員の三十人の中にお加わりになることは、十分おわかりのことと存ずるのであります。ゆえに、そういう点につきましては、ことさらに自由党に対するいわゆる党利党略上から反対を表明される点であると考えまして、あえてとるに足らざる御議論だと考えるのであります。
なお行政監察特別委員会が——現下のわが国の行政に携わつておりますところの官僚に対して国会は十分監査をしなければならない、このことは十分御存じのはずである。しかるにかかわらず、官僚統制のすきな社会党の諸君は、官僚にこびを売ろうと思つて、やつぱりこの官僚をかばうようなことを言つておられることは不可解千万と考えるのであります。
また、各常任委員会とダブるということをおつしやつておりますが、これは先ほど同僚佐々木議員より御説明のありましたように、またこの決議案をごらんになりまするならば十分おわかりでありまするが、各常任委員会の所属に関する事項でありましても、各常任委員会の所属に関する事項を総合的に調査するというのがこの委員会でありまするから、決して各常任委員会とダブリません。かりに百歩を讓つてダブるといたしましても、私はさしつかえないと思う。今日の状態では、各常任委員会に国政の調査権があつても、十分に行政監査が行われておるかどうかといえば不十分なんです。
〔発言する者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X01019510206/19
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020・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 御静粛に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X01019510206/20
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021・中川俊思
○中川俊思君(続) ゆえに、私どもといたしましては、十分に国会の使命とするところのこの行政監査をやる上からいつても、いいものであるならば、どしどしこれを設けて、そうして国会の使命を完遂することが私どもの使命だと考えておるのであります。
また、国会議員を監督するような監査機関を設けたらどうか、まことに驚き入つた御議論でありまして、一体この行政監察委員会が今日できますまでの経過をたどつてみますと、さきに隠退蔵物資摘発委員会が設置されまして、二十三年の一月に、不当財産取引調査特別委員会が社会党内閣の時代に設立されたのであります。この不当財産取引調査特別委員会というものは、官界並びに財界における不正行為の調査を目的として設立されたにもかかわらず、このときの調査内容を検討してみますと、やれ辻嘉六の政治献金問題であるとか、あるいは栗栖大臣に対する政治献金であるとか、西尾末廣の政治献金問題というような、そういうものばかりを、このときには扱つておつたのであります。それからだんだんと発展いたしまして考査特別委員会になつたのでありますが、考査特別委員会になりましては、なるほどそういうような、いわゆる一連の政界のスキヤンダルをさらけ出すような問題はきわめて少うございまして国会本来の使命であるところの行政監査に立ち返つたことは、皆様方が、今日までこれに関係のあつたものをごらんになれば、十分おわかりの通りであります。すなわち、薪炭特別会計事件であるとか、あるいは運輸省の拂下げ事件であるとか、配炭公団事件等、それぞれ、行政監査上最も関係のある問題ばかりであつたのであります。
以上の論点から申しましても、また地方行政を監査することはけしからぬ、こういうことでありますが、猪俣君は法律家であり、十分これらの点についてはおわかりのことと存じますが、憲法六十二條によつて、議院は国政全般の調査を行うことを規定されておる。ことに今日の地方行政に対しましては、国庫から相当の交付金が行つておることは御存じの通りであります。その交付金がどういうように使われておるか、こういうふうなことを調査いたしますことは、これは当然国会議員のなすべきことである。これが今日までなされていなかつた。ゆえに、できるだけこういう問題について調査をしなければならないというのが本特別委員会設置の意義であります。
私は、去る第五国会におきまして、この行政監察特別委員会をすみやかに設けなければならないという意見を自由討議の時間に開陳したことがあるのでありますが、簡單にそのときの要旨を申し上げてみますと、今日国会の使命が予算の審議と行政の監督にある以上、名実ともに反対党のスキヤンダルを摘発するような委員会はすみやかにこれを廃して、国会本然の姿に帰らなければならない、こういう意味から、私はこの点を主張したのであります。それが今日ようやく実を結ばれましたことにつきましては、諸君とともに大いに賛意を表し、これがすみやかに本院に設置されまして強力なる行政監察委員会が設立され、国民の血税が一銭一厘たりとも、むだな費用に使われないように、私どもとしては十分監察する義務があることを痛感するのであります。
何とぞ諸君の御賛同を得まして、本委員会がすみやかに設置されんことを希望する次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X01019510206/21
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022・岩本信行
○副議長(岩本信行君) これにて討論は終局いたしました。
採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X01019510206/22
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023・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて本案は可決いたしました。
本日はこれにて散会いたします。
午後二時三十分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X01019510206/23
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