1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十六年五月三十一日(木曜日)
議事日程 第四十三号
午後一時開議
第一 地方公務員法の制定に伴う関係法律の整理に関する法律案(内閣提出、参議院送付)
第二 ニツケル製錬事業助成臨時措置法案(内閣提出)
第三 緊要物資の売拂に関する法律案(内閣提出)
第四 農林物資規格法の一部を改正する法律案(河野謙三君外三名提出)
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●本日の会議に付した事件
弁護士法の一部を改正する法律案(本院提出、参議院回付)
全国選挙管理委員会委員の指名
全国選挙管理委員会予備委員の指名
日程第一 地方公務員法の制定に伴う関係法律の整理に関する法律案(内閣提出、参議院送付)
日程第二 ニツケル製錬事業助成臨時措置法(内閣提出)
日程第三 緊要物資の売拂に関する法律案(内閣提出)
日程第四 農林物資規格法の一部を改正する法律案(河野謙三君外三名提出)
電話設備費負担臨時措置法案(内閣提出)
理容師法の一部を改正する法律案(高橋等君他十一名提出)
午後二時二十二分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X04419510531/0
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001・岩本信行
○副議長(岩本信行君) これより会議を開きます。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X04419510531/1
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002・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 参議院から、本院提出、弁護士法の一部を改正する法律案が回付せられました。この際議事日程に追加して右回付案を議題となすに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X04419510531/2
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003・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
弁護士法の一部を改正する法律案の参議院回付案を議題といたします。
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004・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 本案の参議院の修正に同意するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X04419510531/4
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005・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて参議院の修正に同意するに決しました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X04419510531/5
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006・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 全国選挙管理委員会委員海野晋吉君が退職され、委員に一名の欠員を生じましたので、これを補充しなければなりません。よつてこの際、全国選挙管理委員会委員の指名を行います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X04419510531/6
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007・福永健司
○福永健司君 全国選挙管理委員会委員の指名については、その手続を省略して、議長において指名せられんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X04419510531/7
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008・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 福永君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X04419510531/8
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009・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて議長は全国選挙管理委員会委員に莊原達君を指名いたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X04419510531/9
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010・岩本信行
○副議長(岩本信行君) ただいま莊原達君が委員に選任されました結果、全国選挙管理委員会の予備委員に一名の欠員を生じましたので、この際予備委員の指名を行います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X04419510531/10
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011・福永健司
○福永健司君 全国選挙管理委員会の予備委員の指名については、その手続を省略して、議長において指名せられんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X04419510531/11
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012・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 福永君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X04419510531/12
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013・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて議長は全国選挙管理委員会の予備委員に柏正男君を指名いたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X04419510531/13
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014・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 日程第一、地方公務員法の制定に伴う関係法律の整理に関する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。地方行政委員長前尾繁三郎君。
〔前尾繁三郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X04419510531/14
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015・前尾繁三郎
○前尾繁三郎君 ただいま議題となりました地方公務員法の制定に伴う関係法律の整理に関する法律案につき、地方行政委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
御承知のごとく、第九国会におきまして、地方公務員の身分取扱いに関する基本法である地方公務員法が成立いたしましたので、これに伴い関係諸法律に所要の整理改正を加える必要が生じ、五つの関係法律、すなわち地方自治法、警察法、教育委員会法、労働組合法及び恩給法の一部を改正する法律につきまして規定の整備を行おうとするのであります。
改正のおもなる点の第一は、地方自治法におきまして、現行法では、雇用人等、私法上の雇用契約に基く職員について規定を欠いているのでありますが、地方公務員法がこれらを地方公務員として取扱つているのに応じまして、その職の設置、定数及び身分取扱いについて所要の規定を設けることとし、また地方公共団体の長、議会の議員等の兼職制限の範囲につき「有給職員を兼ね得ない」とありましたのを、「常勤職員を兼ね得ないうものと改めているのであります。
第二は、警察法につきまして、都道府県公安委員会及び市町村公安委員会の委員の兼職禁止の範囲に関して、地方自治法同様、「有給吏員」とあるのを、「常勤の職員」と改めること、その他所要の改正を加えているのであります。
第三は、教育委員会法につきまして、雇用人について、その職の設置、定数及び身分取扱いについての規定を新たに設ける等の改正を加えているのであります。
第四は、労働組合法におきまして、地方公務員法の制定に伴い不要となりました規定を削除してあります。
第五に、恩給法の一部を改正する法律につきまして、地方公務員法によつて設置せらるる人事委員会または公平委員会の事務職員のうち、都道府県及び特別区の事務職員につき、恩給継続の特例を認める改正を行つているのであります。
本法案は、五月十七日、予備審査のため本委員会に付託され、同二十一日政府の提案理由の説明を聽取し、若干の質疑がありました後、五月二十六日、本付託となり、同二十八日、討論を省略して採決いたしましたところ、多数の賛成を得て可決すべきものと決定いたした次第であります。
右御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X04419510531/15
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016・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 討論の通告があります。これを許します。立花敏男君。
〔立花敏男君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X04419510531/16
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017・立花敏男
○立花敏男君 日本共産党は、本法案に反対であります。
御承知の通り、地方公務員法は、百五十万の地方公務員から労働三法の適用をはずしまして、労働者としての基本的人権を奪つたものであります。従つて、これが制定に関する関係法令の整備をいたすとすれば、当然奪われました諸権利に対しまして、あるいは保護をはずされました利益に対しまして、これを擁護すべきが当然だと考えるものであります。しかるに、この法案は何らこの点に触れていないのであります。
実際問題といたしまして、現在宮城県におきましては、組合の委員長以下十六名、北海道の稚内におきましては、同じく委員長以下十名の不当首切りが起つておりまして、さらに青森県においては四百名、あるいは長野県松本市においては現定員の二〇%の首切り等等、全国至るところの自治体におきまして、不当首切り、行政整理が続々と日程に上りつつあるのであります。しかも、その大部分は地方財政の困難が理由でありますが、御承知のごとく、地方財政の困難は、外国の軍事的下請政策のためにますます困難の一途をたどりつつあるのであります。吉田総理は機構改革の構想を発表いたしておりますが、まず第一に吉田総理があげましたものは、三〇%の行政整理であります。まさに地方公務員法は、共産党の指摘いたしましたごとく、地方公務員の手足を縛り上げておいて、その首を切るための首切り法案であるということは事実でございます。
地方公務員法の施行後、地方公務員は、まつたく首の切られつぱなしであります。何となれば、宮城県庁では、首を切られました人々が地方の労務委員会に訴えますと、お前たちはもはや労働者ではないと言つて、この提訴を取上げません。また知事に対しまして労働組合が交渉をいたそうといたしますと、もはやお前たちには労働組合はないのであるというふうに、交渉に応じないのであります。まつたく地方公務員は、首を切られても泣寢入りの状態であり、またどこへも文句が言つて行けないというのが現実であります。
地方公務員法によりまして、こういう問題を扱うことになつております人事委員会は、しかし遺憾ながら現在はまだないのでありまして、来月の十二日にならなければでき上らないのであります。これは明らかに法の不備でありまして、地方公務員法施行後数箇月間は、まつたく地方公務員の利益を守る法律の空白状態であります。そればかりか、地方当局者は、地法公務員法五十三條をたてにとりまして、組合の登録を拒否しておるのであります。たとえば宮城県、愛媛県あるいは京都府等におきまして、実際問題として組合の登録が認められず、従来円滑に組合業務を遂行して参りましたところの職員労働組合は、その登録を拒否されまして、今後組合としての仕事を円滑に遂行することができなくなりつつあるのであります。
かくのごとく、地方公務員法三十六條あるいは三十七條を運用いたしまして、一方的な首切り、行政整理をやると同時に、他方では五十三條を不法に運用いたしまして、従来ありましたところの組合をすら否定しようとしているのであります。しかし、この法の不備に対しましては、政府は何らこの法案によつてこれを改善する提案をしていないのであります。
今や日本の労働者は、法律によつては自分たちの権利を、あるいは生活を守ることができなくなつておるといわなければなりません。このことは、最近の進駐軍関係の労働者に対する取扱い、あるいは新特需関係の直接ドル拂いにかかる労働者の取扱いにも明白に現われつつあるところであります。すなわち、進駐軍要員労務者は、七月一日よりドル拂い制を適用せられることになりました結果、労働基準法その他国内法によりますところの労働者の諸権利は保障せられなくなりました。ところが一方、アメリカの労働基準法の適用を受けるのかといえば、そうでもないのでありまして、この点に関しまして、外務省は、一種の治外法権であるといつて、ごまかしておるにすぎません。
一体、これら労働者は、どこの国の、どの法律によつて労働者としての自分が保障され、あるいは権利が守られるのでありましようか。このことは、新特需関係の日立等、大経営労働者数十万についても同様の取扱いがなされんとしておるのでありまして、まことに日本の労働者にとりましては重大な問題と言わざるを得ないのであります。政府はこれに対しまして、何ら態度を明らかにせず、また責任を回避しておるのであります。
一体、彼らは労働者であるのか、奴隷であるのか、このような状態のもとに追い込まれた進駐軍関係労務者は、先般大会を開きまして、深刻な不安におびえながら、日本人労働者の身分は日本政府が保障すべきであるという悲痛な叫び声をあげておるのでありますが、吉田総理は、この叫びを、何と聞いておるのでありますか。
今や吉田内閣の労働政策が、このような労働者の無権利状態を拡大し、日本のすべての労働者を奴隷にする方向に進みつつあることは明白であります。しかも、この奴隷化政策が、外国のための、また戰争のための奴隷化政策であることも明白であります。日本の労働者が人間である限り、この吉田内閣の奴隷化政策に対しまして、必ずや立ち上るでありましよう。また日本の労働者が、日本人として日本の独立と平和を心から望んでおる限りは、吉田内閣が日本の労働者を外国の奴隷にし、その結果、日本を━━━━━━━やり方に対しましては、断固として鬪争も立ち上るでありましよう。
日本共産党は、吉田政府の売国政策の一環であるところの本法律案に対しましては断固として反対するものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X04419510531/17
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018・岩本信行
○副議長(岩本信行君) これにて討論は終局いたしました。
採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X04419510531/18
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019・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X04419510531/19
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020・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 日程第二、ニツケル製錬事業助成臨時措置法案、日程第三、緊要物資の売拂に関する法律案、右両案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。通商産業委員長小金義照君。
〔小金義照君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X04419510531/20
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021・小金義照
○小金義照君 ただいま議題となりましたニツケル製錬事業助成臨時措置法案の、通商産業委員会における審議の経過並びに結果について御報告申し上げます。
わが国のニツケル資源はきわめて貧弱でありまして、従つて、ほとんど全部を外国からの供給に依存しておるのでありますが、最近アメリカその他の諸国が、これらの緊急物資の輸出統制を強化いたしましたため、わが国の国内市場における供給の逼迫はなはだしく、従つて、価格もまた暴騰を見るに至つたのであります。わが国においては、かつて戰時中、輸入鉱石からニツケルを製錬した経験があり、当時の設備もなお残存しておるものがあるのでありますが、もともとわが国のニツケル製錬事業は、資源に惠まれず、立地條件が整わないために、国際情勢の推移いかんによつては、ただちに壊滅することが必至である関係上、今日におきましては、この危険を冒してまでこの事業に着手しようとする企業者はないという実情であります。そこで、ニツケル製錬事業をこの危險から保護する措置を講ずることによつて緊急増産をはかり、もつて国民経済の発展に寄與せしめようとするのが、本法案の提案理由でございます。
法案の概要を申し上げますと、一定の基準に従つて製錬事業者を指定し、これら指定業者の生産品を一定の価格で販売せしめ、その利潤の中から一定の金額を積み立てさせる。そうして、他日情勢の変化によつて操業を中止しなければならないような場合には、この積立金をもつて設備の償却その他廃業による損失を補填し、なお不足するときは国がこれを補償しようというのであります。
本法案は、去る二十一日通商産業委員会に付託せられまして、即日提案理由の説明を聽取し、爾後数回にわたつて慎重審議を重ね、一昨二十九日、討論採決を行いました。討論に際し、自由党中村幸八君、国民民主党高橋清治郎君、日本社会党加藤鐐造君、以上三氏は、いずれも所属の党を代表して、本法の運用に関する強い希望を付して賛成の意を表明せられ、日本共産党代表風早八十二君に反対の意を表せられ、採決の結果、多数をもつて原案の通り可決すべきものと決しました。これらの詳細は会議録に讓ります。
なお本法案が可決せられた後、自由党高木吉之助君から、賛成討論の中に表明せられた政府に対する要望の趣旨をくんだ決議案が提出され、可決せられました。
その内容は、一、フエロニツケル製造事業を助成するため、原鉱石買付に要する外貨資金の割当、法人税の免除等に関し、ニツケル製錬事業に対すると同様の特別措置を講ずること、二、指定業者の選定、指定業者の製品の販売価格並びに補償金額の決定、その他本法運用上の重要事項を諮問するため審査会を設置すること、というのであります。
次に議題と相なりました緊要物資の売拂に関する法律案につきまして、通商産業委員会における審議の経過並びに結果の概要を御報告申し上げます。
まず提案の理由と、その要点を申し上げます。御承知の通り、最近輸入されます稀少物資ないしは緊要物資の国内価格騰貴の結果、いわゆる特殊需要の調達価格が高くなつて参りましたので、そのためいわゆる特需に応ずることが、困難ないしは不可能となるようなありさまでありまして、一面には日米経済協力の障害となり、多面に少からざる貿易外收入の減退を来すことになりますので、この際緊要物資輸入基金をもつて取得する物資について、必要に応じて輸入原価諸掛を加えた価格で特需の受注者に拂い下げることによつて、特需の受注を円滑にする必要があるのであります。しかしながら、財政法並びに物品の無償貸付及び讓與等に関する法律によりますと、国の物品を時価よりも低い価格で売り拂うことは、法律によつて定める場合のほかは許されないことになつておりますので、緊要物資輸入基金で取得する物資を時価よりも低い価格で売り拂うことができるようにするためには、同法律の特例を新たに設ける必要があるのであります。以上が本案の理由であります。
本法律案は、五月二十四日、当委員会に付託せられ、二十五日、政府委員より提案理由を聽取し、さつそく質疑に入り、自由党小川平二君、社会党加藤鐐造君、今澄勇君、共産党風早八十二君より、二十六日、二十七日と三日間にわたり、政府委員との間に熱心な質疑応答が展開せられました。または二十九日には、委員外発言として、社会党田中織之進君が質疑を行つたのであります。なおその内容につきましては、委員会会議録を御参照願うことといたします。
二十九日質疑を終了し、引続き討論に入りましたところ、自由党を代表して小川平二君、国民民主党を代表して高橋清治郎君、日本社会党を代表して今澄勇君よりそれぞれ賛成の意見が開陳せられ、また日本共産党を代表して風早八十二君より反対の意見が述べられました後、ただちに採決いたしましたところ、多数をもちまして可決いたした次第であります。
以上御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X04419510531/21
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022・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 討論の通告があります。これを許します。風早八十二君。
〔風早八十二君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X04419510531/22
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023・風早八十二
○風早八十二君 私は、日本共産党を代表して、ただいま上程せられました緊要物資の売拂に関する法律案、ニツケル製錬事業助成臨時措置法案の二法案に対し、絶対反対の意思を表明するものであります。
昔、封建時代の中国におきまして、信賞必罰、一刀両断の恐るべき法律として法三章というものが出たことがありますが、今回この緊要物資の売拂に関する法律案は、法一條にすぎません。しかも、このたつた一條の法律案こそは、罪人を殺すかわりに、多数の労働者を殺し、一切の中小平和産業メーカーを殺し、遂には日本民族全体を戰争と破滅に導く悪魔の劍にほかならないのであります。
この国会は、三月、わが党の反対を押し切つて緊要物資輸入基金特別会計法案を採択して、この特別会計に二十五億円の巨額の予算を投ずることを決定したのでありますが、緊要物資の売拂に関する法律案は、この二十五億円の最初の使い道として、アメリカからの軍需品注文に応ずる特定のメーカーに、特にニツケルを市価より安く売り拂うことを内容としたものであります。ニツケルは、御承知のように飛行機や戰車などになくてならないボール・ベアリングや彈丸の材料として、アメリカの大軍備拡張計画にとりましても緊要物資である。稀少品目にも数えられているものであります。米国軍需資本家は、すでに八方手をまわして買いあさりをやり、その結果、日本のごとくニツケル原鉱石も少く、生産設備も少い国では、あとが続かず、気づいてみたら、ニツケルはまるで市場から消えうせてしまつておつた。こういうわけで、市価は今トン当り三百五十万円にも暴騰しております。こんな高いニツケルを用いて、單需品の注文、たとえばボール・ベアリングの注文に応じたのでは、その調達値断が高くなるのは明らかであります。ところが米国は、ニツケルが安いころに先刻買い占めて、しかも米国においては、トン当りわずか邦貨換算で四十万円を出ないのであります。ですから、米国が日本にボール・ベアリングをつくらせる場合、米国でトン当り四十万円のニツケルでつくつたボール・ベアリングより高い値段で買うはずはないのであります。他方、日本のメーカーも、トン当り三百五十万円もするニツケルをもつてボール・ベアリングをつくつて、トン当り四十万用のニツケルでつくつたボール・ベアリングと同等の値段で売るというばかはないわけであります。しかるに、ここに、現内閣がたいへん御熱心な、日米経済協力という珍妙な方式があるのであります。日米経済協力などと申しますと、まるで日本とアメリカとが、現状のままでも対等で協力し合うかのごとく、言葉はまことに美しい。また実際にも日本にとつて何ほどか利益であるかのごとき印象を與えます。現に吉田内閣は、そのような印象を與えるために、たいへん努力して来たことも事実であります。しかしながら、政府のせつかくの努力は完全に失敗に終りました。
わが党は、本年に入つて日米経済協力なる言葉が宣伝され始めたとき、いち早くその本質を暴露し、これこそは日本経済を米国の軍備拡張の下請的一環に具体的に編入するものである、その結果は、好むと好まざるとにかかわらず、日本を再軍備と再侵略の軍国日本にかり立てるものである、しかも、これら一切の費用は日本持ちでなければならないという、とんでもないしろものである、このことを、同僚川上君の演説以来、具体的な事実の論証をもつて、再三、再四、再五指摘し、警告し続けて来ましたことは、御承知の通りであります。政府並びに與党の諸君は、川上君を除名することによりまして、その声を押えることができたと考えておられるのでしようか。それは耳をおおうて鈴を盗むのたぐいではありますまいか。
しかるに、政府並びに與党の諸君にとつてまことに笑止千万なことは、マーカツト経済科学局長が、わが日本共産党の指摘して参りました日米経済協力の正体をそのまま裏づける声明を行われたことであります。去る十六日、マーカツト経済科学局長の行つた声明は、第一に、アメリカは日本に対して長期の注文をするような全般的な計画は考えていない。米国の軍需物資調達計画による日本への発注は、日本に過剰設備があり、日本に注文した方がアメリカにとつて有利だと思われる場合に限つてその都度行われる。第二に、日本がそのような重要な品物の注文を引続いて受けたいならば、その国内価格を国際価格の水準まで引下げる政策をとらなければならぬ。第三に、日本がもしアメリカの言う通りの製品を、アメリカの希望する通りの品質と値段とで供給するならば、アメリカはこれに必要な原料を供給し、製品も買いとつてやるが、そうでなければ、必要な原料もやらないし、食糧も送つてやらない。以上であります。
マーカツト経済科学局長の補佐官モロー氏も、すでに本年三月二十三日の記者団会見、さらに三月二十九日の経済同友会の幹部諸君との会見で、日本の調達値段は、米国でつくられる同じ品物の値段よりも一割以上安くならなければならない、と嚴命しておるのであります。モロー氏は、マーカツト局長の今申した声明のあとにも、五月十八日でありますが、日本が米国から割当てられる軍需資材、たとえばニツケルにしても、あくまで米国の国防生産方式によつて決定されるのであつて、これをボール・ベアリングをつくるのに使うことはよろしいが、自転車のような緊要でないものに使うニツケルはやらないと言明しておるのであります。これでは、いかに向米一辺倒論者でも、しいんとならざるを得ないのであります。
日米経済協力は、日本経済自立化の名のもとに、日本経済の孤立化、日本経済の崩壞を意味することは、今や明瞭であります。マーカツト経済科学局長は、このことを公然と認めただけではなく、それはアメリカの知つたことじやないという趣旨を明らかにしております。いわく、日本が講和締結後、これまでなしとげた経済的発展を後退させるようなことがあつても、米国は日本に援助を與える責任があるとは考えていない。
私は、この法案に関しては、ただ次の二点を指摘しておけば足りると思うのであります。
その第一点は、特需と民需との関係であります。すなわち、特需メーカーにだけニツケル原料が入る結果、自転車その他——これは数百品目にわたりますが、ニツケルを材料とする平和民需メーカーは原料難に陥つて、競争関係からしてもつぶれてしまうということであります。
第二点は、特需メーカーについては、その調達値段が問題になるのであります。政府は、国民の税金からなる二十五億円の一部をもつて、ニツケルを比較的安く、特需メーカー、具体的には、たとえばボール・ベアリングのメーカーに売り拂うのでありますから、一見すれば、特需メーカーはたいへんに利益であるように見えます。確かに、全然ニツケル資材をもらえない平和産業メーカーに比べれば有利な立場であるに違いありませんが、それ自身としては一向にありがたくないのです。なぜならば、ニツケルを安くもらえるとはいつても、トン当り四十万円という米国の市価のものを、政府の説明によれば、五十万円見当で買い取ることになるのでありますから、トン当り十万円も高い材料をもつてボール・ベアリングならボール・ベアリングをつくり、これをアメリカで四十万円の材料でつくつたものより一割以上安い調達値段でアメリカに引渡さなければならない。またニツケルが入つて来ると申しましても、はたして注文品をつくるに足るだけのものが入つて来るかどうかはまつたく保障の限りでなく、結局注文を引受けさせられるための誘いの水にすぎないということになる。一旦引受けた注文に応ずるためには、どうしても国内でトン当り三百五十万円もするニツケルを買いあさつて材料を補わなければならない。そうなると、ますます調達コストは高くなり、調達値段ではますます引合わぬということになるのであります。
従来、政府当局は、私の質問に対して、引合わぬ値段で無理に特需を引受ける必要は毛頭なく、政府としても、そのようなことをメーカーに要求していない、こう答弁し続けて来たのであります。五月三十日の東京新聞にも、そのように報道しております。しかしながら、政府のこの答弁くらい、人を食つた、インチキな答弁はありません。というのは、先に述べたマーカツト局長やモロー氏の言明を見れば明らかであります。いな、本日の朝日新聞は、アメリカの契約官スコツト大佐と日立製作所との軍需契約について、このことを典型的に証明しておるではありませんか。
さて、しかしながら、特需メーカーは、無理にも引受けなければならない特需注文を、損をしないで引受けるとしますれば、もはや残された道は二つしか考えられない。一つは、設備の改善、機械化などによりまして、労働の生産性を増すことによつて生産コストを切り下げるということであります。他の一つは、申すまでもなく直接労働賃金を切り下げるということです。このうち第一の方法をとるには、新たに長期設備資金が必要でありますが、大多数の中小メーカーには、これはまつたくできない相談です。しかし、かりに金融の道のつく大メーカーにしましても、マーカツト局長によつて、長期の注文を日本に出す計画はないとはつきり御託宣をされてみると、だれが好んでわざわざ設備の拡張をやるでしようか。結局労働賃金に切り込む道をたどる以外にはないのであります。通産当局は、私の質問に対して、調弁価格は安いから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X04419510531/23
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024・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 風早君に申し上げます。申合せの時間が過ぎましたので、簡潔に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X04419510531/24
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025・風早八十二
○風早八十二君(続) 賃金を不当に切り下げるなどということは万々ないと、臆面もなく、こういう恥知らずの答弁をいたしておりますが、その際にも私が立証したごとくに、特需メーカーのもとで、殺人的労働強化によつて、実質賃金はどんどん切り下げられ、また臨時雇をふやすことによりまして、名目賃金そのものの大幅値下げが行われているのが実情であります。これは、先ほど申した日立製作所の例によりましても、職制の上にもう一つ━━━━━━━━して来る。労働者の権利を奪うことが、はつきり契約内容に盛られている。このことを考えなければならないのであります。現に中央労働委員の商大教授中山伊知郎氏さえも、経済評論の五月号で言つております。朝鮮事変以来の賃金争議の特澂は、大部分賃上げ要求ではなくして、職制の強化、これに対する反対、名目的あるいは実質的賃金の切下げに対する反対だ、と言つているのであります。
次にニツケル製錬事業助成臨時措置法案でありますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X04419510531/25
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026・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 風早君、時間が過ぎましたから結論を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X04419510531/26
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027・風早八十二
○風早八十二君(続) 結論に入ります。——住友系の別子鉱業の新居浜工場一社に——中を割つてみれば、この一社にニツケルの国内需要に対する全供給を集中させて、これに対して国家補償を行わんとするのがこの法案であります。これこそ━━━商人と政府との結びつきによる軍需生産態勢の典型的な現われではありませんか。ここに見のがしてならないことは、新居浜でつくつたニツケルは、はたして国内の民需用に使われるかということです。この点についても、しばしば討論を繰返したのでありますが、新居浜でつくられる年産千二百トンのニツケルは、特需ではなく、全部民需に用いられるものに相違ないと、何回も通産大臣は、うその答弁をしておるのであります。ところが、これはもう先ほどのマーカツト局長やモロー補佐官の声明によりましても明らかであります。
私どもは、このごときが日米経済協力の正体であり、また結果であり、そうして両法案こそは、これに拍車をかける、その恥知らずの適用であり、典型的な軍事的、植民地的な法律である。━━━━━━━━━━━━━であるといわなければならないのであります。わが党は、平和と独立のもとに日本の平和産業の無制限の発展を期する立場から、断固としてこの二つの法案に反対するものであります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X04419510531/27
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028・岩本信行
○副議長(岩本信行君) これにて討論は終局いたしました。
両案を一括して採決いたします。両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X04419510531/28
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029・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて両案とも委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X04419510531/29
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030・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 日程第四、農林物資規格法の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。農林委員長千賀康治君。
〔千賀康治君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X04419510531/30
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031・千賀康治
○千賀康治君 ただいま上程せられました河野謙三君外三名提出にかかる農林物資規格法の一部を改正する法律案に関しまして、農林委員会におきまする審議の経過並びに結果について簡單に御報告申し上げます。
農林物資規格法は、米麦、雑穀等以外の農産物、林産物、畜産物、水産物につきまして、全国統一的な日本農林規格を制定し、これに基く格付を行うことによつて、これらの物資の品質の改善、生産の合理化、取引の効率化、使用消費の合理化をはかり、生産者、消費者双方に便益を供與し、ひいては国民経済の発展に貢献することを目的といたしておるのでありますが、現行規定によりますと、登録格付を実施する機関は、都道府県並びに一部の物資について政府の機関のみに限定せられておるのであります。しかしながら、乳製品やびん詰、カン詰等の物資につきましては、むしろ民間団体についてもこれを認めることが適当であるという理由で、農林大臣の登録を受けた法人をも登録格付を行い得る機関としたいというのが、改正の第一点であります。
次に、日本農林規格を制定する際の審議機関としまして、農林物資規格調査会が農林省に設置されておりまするが、規格の制定にあたつて、利害関係のある民間人が議決権を行使しますことには批判の余地がありまするので、純然たる諮問機関にその性格を変更したいというのが、改正の第二点であります。
その他若干の技術的な改正を行つております。
この改正法案は、五月二十五日農林委員会に付託され、二十九日、提案者より提案の理由の説明を受けましたが、改正の内容も局部的でありますので、簡單な質疑が行われたのみで審議を終了することとしました。
しかるに、改正案の志向しまするごとく、すべての営利法人を登録格付機関として公認いたしまするならば、自己の生産品を不純な営利的動機でみずから検査し、不正な規格証票を貼付するという弊害もわが国の現状においては絶無ではないという観点に立ちまして、共産党を除く各派より、登録格付けを行い得る法人は、これを営利を目的としない公益法人に限定したい、という趣旨の修正案が提出され、自由党の川西清君から、その趣旨の弁明が行われたのであります。
そこで、この修正案並びに修正部分を除く原案につきまして、討論を省いて採決いたしましたところ、多数をもちまして、いずれも可決すべきものと決した次第であります。
以上、簡單ながら御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X04419510531/31
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032・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 採決いたします。本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X04419510531/32
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033・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 起立多数、よつて本案は委員長報告の通り決しました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X04419510531/33
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034・福永健司
○福永健司君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、内閣提出、電話設備費負担臨時措置法案を議題となし、この際委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X04419510531/34
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035・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 福永君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X04419510531/35
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036・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
電話設備費負担臨時措置法案を議題といたします。委員長の報告を求めます。電気通信委員長關内正一君。
〔關内正一君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X04419510531/36
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037・關内正一
○關内正一君 ただいま議題となりました電話設備費負担臨時措置法案に関し、電気通信委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
この法律案は内閣提出にかかるものでありますが、その提案理由とするところは、近来国民の電話加入に対する需要はますます熾烈であつて、加入申込みの積滯教は、本年一月末現在四十万を越え、昭和二十六年度末においては推定七十万余に達する状況であるが、これに対する電話拡張計画の面は、財政上の制約により、国家資金の調達に多大の困難があるのみならず、所要資材の値上り等の影響を受けて、とうてい国民の要望に沿いがたい実情にあるので、電話に対する緊急な需要を少しでも多く充足するための臨時措置として、拡張資金の一部を利用者に負担してもらう必要があるために本案を提出したというのであります。
次に本法案の内容を申し上げますれば、まず国の機関を除き、電話加入の申込みをする者及び戰災電話の復旧を請求する者は一定の電話設備費を負担するものとし、その負担額は、加入電話及び電話取扱局の種類ごとに、三万円以内において政令で定める規定になつておりますが、政府の説明によれば、政令においては、單独電話は、一、二級局、すなわち六大都市及び福岡、金沢は三万円、その他の局は二万円、二共同電話は、一、二級局二万円、その他の局は一万四千円、多数共同電話は一万円とする予定となつております。また同じく国の機関を除き、増設機械の設置の要求をする者につきましても、その設備費の実費を基準として、政令で定める額を負担せしめることとなるのであります。これらの負担金は、加入電話にあつては、新規申込みのものは五年以内に、戰災電話については期限を設けず、加入契約が失効したときはその全額を返還し、増設機械にあつては十年以内に、利用の廃止があつたときは、一年ごとに負担額の十分の一ずつを差引いた額を返還することとしておるのであります。
なお、この法律の施行期日は本年七月一日でありまするが、この法律による設備費負担は、施行の日より昭和三十年度末に至るまでの間の臨時措置となつております。
以上、法律案の概略につき御説明をいたしたのでありますが、電気通信委員会におきましては、本月二十九日、本案の付託を受け、三十日及び三十一日に委員会を開催して政府の提案理由を聽取し、引続き質疑を行つたのであります。
質疑応答のおもなるものといたしましては、まず、この法律の施行によつてどれだけの收入があるか、またこれを財源として、年度当初計画に比しどれだけの電話を増設し得る見込みであるかという問いに対し、政府は、收入は昭和二十六年度において約三十三億円、増設し得る電話の数は、加入電話三万三千、甲種増設三万、乙種増設一万である旨答弁がありました。次に、電話設備費の一部または全部を利用者に負担せしめることは、現行電話事業経営方針の根本に反するものではないかという質疑に対し、政府は、電話事業経営の理想からすれば、設備費は国が全額を負担し、使用料金によつてこれを償却して行くことが望ましいのであるが、国家資金の不足に当面し、やむを得ざる措置としてこの方策をとつた旨答えております。また、戰時中設備の転用を行つた、いわゆる動員電話の復旧の場合の処理いかんという質疑に対しては、政府は、この場合は本法律の摘要外であると答弁いたしました。その他、甲種増設機械の所有の帰属、電話市価、本案の適用の外に置かれる国の機関の範囲等、幾多の点をめぐり質疑が重ねられたのでありまするが、詳細は会議録に讓ることといたします。
かくて、委員会は本三十一日質疑を終了し、ただちに討論に入つたのでありまするが、討論に際し、自由党を代表して福永一臣君、国民民主党を代表して椎熊三郎君は、いずれも電話拡張に関する恒久的政策の樹立を要望するとともに、本案は現下の熾烈なる電話需要を緩和するやむを得ざる臨時措置としてこれに賛成する旨を述べられ、日本社会党を代表して松井政吉君は、電話設備費負担理論の再検討の必要、本法律案と予算措置との関連につき論ずるとともに、この受益者負担財源の確保により、国家資金の面に予算縮小等の悪影響を與えないように警告して本案に賛成する旨の意見を述べられ、日本共産党を代表して田島ひで君は、大衆の負担増加を理由として反対意見を述べられたのであります。
次いで採決の結果、多数をもつて本案を原案の通り可決いたした次第であります。
以上御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X04419510531/37
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038・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X04419510531/38
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039・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 起立者多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X04419510531/39
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040・福永健司
○福永健司君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、高橋等君他十一名提出、理容師法の一部を改正する法律案を議題となし、この際委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X04419510531/40
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041・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 福永君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X04419510531/41
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042・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
理容師法の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。厚生委員会理事高橋等君
〔高橋等君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X04419510531/42
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043・高橋等
○高橋等君 ただいま議題となりました理容師法の一部を改正する法律案につきまして、厚生委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
本法施行以来の実績にかんがみまして、理容師及び美容師の知識技能を向上し、公衆衛生の増進をはかろうとするのが、本改正案の目的であります。
本改正案のおもなる点を申し上げます。従来、理容師及び美容師は、養成施設で一年以上知識技能を修得し、さらに一年以上実地習練を終えた者に対して免許を與えていたのでありますが、その知識技能を検定することは公衆衛生上欠くべからざるものと考えられますので、この際これらの者に対して、都道府県知事の試験を受け、合格した者に免許を與えることといたしたのであります。
次に、衛生を完全にいたしまするため、理容所及び美容所の開設は事前届出制とし、理容または美容の業を行う者は、理容所または美容所において行わしむることとし、やむを得ない場合にのみ出張営業を認むることにいたしたのであります。
次に改正の点は、技術、施設の改善、その他相互の連絡をはかりまするために、理容師会、美容師会、またはこれらの連合会を組織することができるようにいたしたことであります。また、この法律の題名を理容師美容師法と改め、それに伴う條文の修正を行つたのであります。
本法案は、五月二十九日、本委員会に付託せられ、三十日、提案者より提案理由の説明を聽取した後、同日及び三十一日、委員と提案者及び政府委員との間にきわめて熱心なる質疑応答が行われました後、自由党の山村委員より、審議会の設置は不必要であるから、第十四條の三を削除すべきである、との修正案が提出されたのであります。
かくて討論を経て、まず修正案について、採決いたしましたところ、全員一致可決すべきものと決し、次いで修正部分を除く原案につき採決いたしましたところ、多数をもつて可決すべきものと決した次第であります。
右御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X04419510531/43
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044・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 採決いたします。本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X04419510531/44
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045・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り決しました。
明一日は午後一時より本会議を開きます。
本日はこれにて散会いたします。
午後三時十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X04419510531/45
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