1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和二十六年二月二十七日(火曜日)
午後一時三十四分開会
—————————————
本日の会議に付した事件
○水先法の一部を改正する法律案(衆
議院提出)
○北海道開発のためにする港湾工事に
関する法律案(衆議院提出)
○海難審判法の一部を改正する法律案
(内閣提出)
○港域法の一部を改正する法律案(内
閣提出)
○港則法の一部を改正する法律案(内
閣送付)
○海事代理士法案(内閣送付)
○一般運輸事情に関する調査の件
(航空事業に関する件)
(昭和二十六年度運輸省関係予算に
関する件)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X00419510227/0
-
001・植竹春彦
○委員長(植竹春彦君) 只今から運輸委員会を開催いたします。
先ず第一に水先法の一部を改正する法律案を審議いたしたいと存じます。これは衆議院の伊藤代議士の御提案になりますので、提案者から提案理由及び改正案の大綱について説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X00419510227/1
-
002・伊藤郷一
○衆議院議員(伊藤郷一君) 只今提案になりました水先法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨並びに提案理由を御説明申上げます。
御承知の通り北海道釧路港は、気流並びに地理的関係上過去永年に亘る気象の平均観測によりますと、年間を通じまして、その約三分の一に相当する百有余日は、濃霧に閉され、五十六日は暴風に見舞われているという全国稀にみる惡天候の下に置かれておるのであります。かかる濃霧或いは荒天に際しまして、港内における船舶航行の困難は想像に余りあるものがあるのであります。又冬期におきましては、港内沿岸の海面と釧路川の川筋が結氷いたしまして、この氷が北々東の強風に押し流されまして、南埠頭附近に集結いたしますが、港内の実情を知らない船長は、船の操縦を誤り氷のためローダーによる石炭の積込み作業が全く不可能に陷る場合が生じるのであります。
次に潮流の影響でありますが、特に南北両埠頭の附近におきましては、満潮時と落潮時に波が岸壁に対しまして、直角に作用いたします関係上、不慣れな船長は、船体を岸壁に接触させまして、船体に支障を與えたことが少くないのであります。なお当港は水深が比較的浅いため錨泊に適する水面は極めて狭く、港長が理想的に指定することができる錨地は僅かに四千トン級船舶の九隻分に過ぎないのでありますが、在港船は常時十五六隻で、多いときには二十六隻にも達する場合もありまして、港内を有効に利用しなければならないにもかかわらず、港内の状況に不案内な船長が勝手に投錨いたしますため、船舶の収容力を一層減退さしている実情であります。一方当港への入港船舶は、総トン数八百トン以上の鋼船だけでも昭和二十四年は三百四十五隻、昭和二十五年は四百十五隻の実績を示し、本年は更にこれを上廻る見込みでありまして、港内の混雑は火を見るより明らかであります。
以上の諸点に鑑みまして、水先法の一部を改正いたしまして、釧路に水先区を設け、港内の実情を把握している水先人に、水路を嚮導させますれば、船舶の航行の安全並びに港内の整頓を期せられるばかりでなく、延いては船舶の運行能率の増進に寄與するところ少なくないのであります。なお当港に水先区を設定することにつきましては、かねてより現地港湾関係者から熱烈なる請願がありまして、又運輸当局におきましても現地の実情を調査してこれが実現方について着々準備を進めつつあるのであります。以上は誠に簡単でありますが、本法案を提案する理由であります。何とぞ愼重御審議の上速かに御可決あらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X00419510227/2
-
003・植竹春彦
○委員長(植竹春彦君) この際議事の進行方につきましてお打合せ申上げたいと思いますが、只今水先法の一部を改正する法律案の提案理由の説明がありましたのですが、本案並びにその次の北海道開発のためにする港湾工事に関する法律案、これは両案とも公報には予備審査とありまするが、これは衆議院をすでに通過して衆議院送付案になつております。従いまして本審査でありまするが、本日の議事の進行を海難審判法の一部を改正する法律案と港域法の一部を改正する法律案、その他公報に載つておりまするたくさんの審査事項がございまするので、本日は本水先法の一部を改正する法律案の質疑に入ります前に、一応参議院の専門員としてこの問題に対する調査の結果を報告いたさせ、そうしてその次には以上申述べました各法案の提案理由の説明と、それに対する専門員としての調査の結果の報告を得まして、それから次回の運輸委員会に質疑を迴す、そういうようにいたしましたら如何でありましようか。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X00419510227/3
-
004・植竹春彦
○委員長(植竹春彦君) それでは……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X00419510227/4
-
005・菊川孝夫
○菊川孝夫君 委員長、それで提案者はその際に当然説明の衝に当られるのは差支ないのですね。次回に開きまして、我々質問するに当つて提案者として出席して質問に答えられる用意はございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X00419510227/5
-
006・伊藤郷一
○衆議院議員(伊藤郷一君) ございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X00419510227/6
-
007・菊川孝夫
○菊川孝夫君 それじや次回でようございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X00419510227/7
-
008・植竹春彦
○委員長(植竹春彦君) ではそういうことにいたします。それでは審議を元に戻しまして、水先法の一部を改正する法律案に関して、専門員の報告を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X00419510227/8
-
009・岡本忠雄
○専門員(岡本忠雄君) この改正法律案は、従来釧路地区が水先区として指定されておりませんので、ただそれを水先区として新らしく指定するだけの手続であります。外国船、アメリカ等からもすでにときどき入りまするし、実情はこの委員会としても去年の夏調べてございますが、独立の水先区として指定することは極めて適当であるという結論になつておりまするので、この法案については何ら疑問もないものと、調査の結果を得ております。以上。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X00419510227/9
-
010・植竹春彦
○委員長(植竹春彦君) 次に、北海道開発のためにする港湾工事に関する法律案の御審議をお願いいたします。先ず提案者玉置衆議院議員の御説明をお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X00419510227/10
-
011・玉置信一
○衆議院議員(玉置信一君) 只今議題となりました北海道開発のためにする港湾工事に関する法律案につきまして、御説明を申上げます。お手許に配付されておりますと思いまするが、それより少しく詳しく申上げることにいたしますが、これは内容につきましては全く一つも違つておるところはありませんので、その点あらかじめ御了承を願つて置きます。
さて、御承知のように、戰後我が国経済の復興に当りまして、北海道における資源の開発は著しく重要度を加え、このため第七回国会におきましては北海道開発法の制定をすら見るに至つたのであります。然るに同じく第七国会において制定されました港湾法は、遺憾ながら北海道開発の早期促進に関係せざるばかりでなく、却つてこれを阻害するのではないかとさえ認められる点が多々あるのであります。即ち同法第四十二條は港湾の修築に要する費用はその五〇%を港湾管理者が負担すべきことを規定しているのでありまするが、これは北海道における資源開発の前提的要件である港湾の整備を決して促進するものではないのであります。第一に今日北海道の諸港湾は内地の各港湾と異りまして、殆んどすべてが未完成港で、すべてが建設途上にあるのであります。而もこの途上におきまして戦争に際会し、これがために工事の殆んどが中止又は停止されました結果、今日いずれの港湾も整備が著しく荒廃しているのでありまして、最近の船舶保険統計によりますと、港湾内の保険事故は北海道の港湾がずば抜けて多いことを示しておるのであります。いうまでもなく資源開発に当つては交通施設の整備がその基礎要件でありまして、従つて今日北海道におきましては、港湾修築を何よりも優先して行わなければならないことは周知のところであります。北海道庁の調査によつて見ますると、北海道における港湾を一応整備するためには今後なお莫大な費用を要することになつて、これを数字がはつきり示しておるのでありますが、港湾法はその五〇%を結局北海道内の非常に住民の負担となることを規定するものでありまして、かかる負担は人口密度が小く且つ経済力の稀薄な北海道住民の到底負い得ないところでありまして、これを條件とする限り北海道港湾の整備は恐らく困難且つ不可能事となることは明白であります。更に法湾法は同法制定前に比較して北海道に対してより苛酷な條件を附加したのであります。即ち同法制定前におきましては、御承知のごとく相当古い歴史を持つところの北海道拓殖計画の実施以来、港湾修築に当りましては国がその水域及び外かく施設に対しまして全額を、又けい留施設その他の臨港施設につきましては七五%をそれぞれ負担して今日に及んでいるのであります。更に港湾法はこれを一律に五〇%に引上げ、その結果港湾修築に関しては北海道住民に新たなより大きな負担を附加することになり、これはこの重大な時期において北海道住民の港湾修築について盛上つて来たところの熱意を冷却させるものではないかと存じまして、この点からいたしましても、この法律における北海道港湾の整備を期待することは一層困難な事情に立至つておるのでございます。これは北海道開発法という特別な法律で制定されて、北海道の開発に国として特別な関心を持つて行こうという段階におきましては、決して時宜に適したこととは申されないと思うのであります。勢い北海道の総合的な開発も困難となり、開発の目的である国民経済の復興と人口問題の解決に寄與するということも著しく支障を及ぼすことになると思うのであります。そこで北海道の開発促進のためにその目的を以て行う港湾工事につきましては、港湾法の規定にかかわらず国は必要によつては工事の直営を図るばかりでなく、その工事も従前通り水域及び外かく施設につきましては金額を、又けい留施設その他臨港施設につきましては七割五分を国庫において負担する。即ち北海道の港湾工事につきましては従前通りにして行こうというのが本案制定の要旨であります。国庫の負担金について北海道に特例を設けようとするのは決して本法案だけではありません。すでに道路法、河川法、土地改良法、又第七国会で制定されました漁業法等の基本的な土木関係法規にその例を見るところでありまして、これらの法律ではすべて金額乃至極めて高率の負担を国庫が負うことを規定しておりますし、又地方財政法は特に北海道開発に関する経費について特例を認めているのであります。本特例法案もこの例にならうものでありまして、而も本法案は何ら新たに国庫の負担を増額せしめるものではなく、従来の建前をそのまま継続されんことを規定するにほかならないのであります。
以上が大体本法案を提出いたしました根本的の理由でございます。これを以て提案理由の説明を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X00419510227/11
-
012・植竹春彦
○委員長(植竹春彦君) 次に、提案者から本法律案の要綱について御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X00419510227/12
-
013・玉置信一
○衆議院議員(玉置信一君) 北海道のためにする港湾工事に関する法律を設けまするこの法律の要綱につきまして簡單に御説明を申上げます。それでは各條項につきまして御説明を申上げます。
第一條につきましては、この法律の目的を規定した條文であります。本法は本来北海道の開発に資することを目的としたものでありまして、むしろ先の国会で制定された北海道開発法とその精神、目的を同じくするものでありまして、目的的には港湾法の規定する内容と趣旨を同一にするものではないのであります。従つて本来港湾法とその体系を異にすべきものであるが、規定する内容が港湾法の規定する一、二の條項と異つた取扱いを定めようとするものでありますから、技術的には本法案を港湾法の特例とするのを適当としたにとどまるものであります。それから第二條でございますが、本條は港湾管理者のする港湾工事に関する費用の分担を規定した條文であります。港湾法はその四十二條第一項におきまして、「重要港湾において、一般公衆の利用に供する目的で、水域施設、外かく施設又はけい留施設の建設又は改良の重要な工事をする場合には、その工事に要する費用は、国と港湾管理者がそれぞれその十分の五を負担する。」ことを規定しておるのであります。本條はその特例をなすものであります。第一に港湾法は国の費用負担の対象を重要港湾に限定しておるのであるが、本法は運輸大臣が北海道開発のため必要であると認めるものであれば、重要港湾に限らず地方港湾であつても差支えないことにしておるのであります。けだし本法は北海道開発という特例の目的を持つ法律でありますので、港湾を限定せず、真に開発上必要なものについては、如何なる港湾につきましても国がその費用を負担せむとする意思に出たものにほかならないのであります。第二に、港湾法は一律に十分の五を国が負担することを規定しておるのに反し、本法におきましては水域施設又は外かく施設の建設又は改良につきましてはその全額を、けい留施設又は港湾施設の建設又は改良にかかるものにつきましてはその十分の七・五を国がそれぞれ負担することにして、負担割合を二段階に分つておるのでありますが、これは現に北海道の港湾工事について国が実施しておる公共事業費の支出方法をそのまま踏襲したものであつて、恐らく工事対象の重要度、費用の大きさによつてかかる段階を設けられたものと認められます。この意味におきましても、本法は従来国の持して来た方針を、即ち港湾法制定以前に国が北海道の港湾工事に対し実施し来つた態度をそのまま継続せしめようとするものであつて、新らしい事態の創設を意図しておるものではないのであります。なおこの場合運輸大臣が北海道開発のため必要と認めるものは単独にこれを無制限になし得るのではなくて、本條第二項において、港湾法第四十二條第三項を準用してある通り、即ちこれによつて国が負担することとなる金額については、あらかじめ国会の議決を経て予算に組み入れられた予算の範囲内においてのみ、これをなし得ることは勿論であります。次に本條第二項において港湾法第四十二條第四項の規定を準用することを定めておりますが、右の規定は国の負担金の支出方法を定めたものでありまして、この準用によつて本條によつて定められた国の負担金及びこれに関連して地方財政法によつて定められた金額はそれぞれ港湾管理者に交付されることになるのであります。
次に第三條、本條は国の北海道港湾に関する直接工事について規定したものであります。港湾法においてもその第五十二條においては国の直轄工事を認めておりますが、その場合を重要港湾に限定し、且つ目的を一般交通の利便を増進するため必要がある場合に限つているのでありますが、本條においては前條同様重要港湾であると否とにかかわらず、北海道開発のため必要であると認めた場合には国が直轄工事をし得ることを認め、この点については港湾法の特例をなすものであります。無論この場合その工事については国と港湾管理者の協議が整うことが前提であり、而も国の工事は国の予算の範囲内に限られることは当然のことであつて、この点については港湾法の規定とその趣旨は全く同じであるのであります。
本條第二項はこの直轄工事における費用の負担について規定し、この場合の国の負担金は前條の規定の準用によること、即ち水域施設、外かく施設については全額、けい留施設、臨港交通施設については十分の七・五を前條同様国が負担すべきことを規定しているのであります。工事主体の如何により国の負担金に差別を付くべからざることはもとより当然のことであります。本條第二項は更にこの場合における費用の出納方法を規定しているのでありますが、本條の場合は前條の場合と異り国が直轄工事を行うのであるから、これに関連して当然港湾管理者が負担すべき性質の費用は管理者が国に納入すべきことを規定して、責任の所在と財政支出の保全を明らかにしているのであります。
それから第四條は、実は「港湾法第四十六條(国が負担した港湾施設の譲渡等)の規定は、前二條の規定によりその工事の費用を国が負担した港湾施設を譲渡し、担保に供し、又は貸し付けようとする者に準用する。」というもので、これは極めて簡単で、前條に何らの拘束とか何とかというものはないものでありますから、ほんの読んで字の通りでございます。以上を以て各條項の説明を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X00419510227/13
-
014・植竹春彦
○委員長(植竹春彦君) 専門員の御報告を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X00419510227/14
-
015・岡本忠雄
○専門員(岡本忠雄君) 本案につきまして、一応私のほうの調査の結果を御報告申上げます。
この特別立法は前国会の終り頃から懸案になつておりまして、ずつと研究を続けて参つております。今回本土程になつたわけでありまするが、只今提案者の御説明もありましたように、大体それでわかるのでありまするが目的が北海道の開発であるということ、それから併しながら財政的な面、即ち負担能力が北海道にはないから、従来のごとく国がやるべきであるという根本的な考え方からいたしまして、負担率をこの特別法で新らしく規定して出されておるわけであります。この法案自体につきましては、そういう根本の問題を除きましては別に議論すべき点もございません。のみならず一面漁港法において規定しておるところの北海道の漁港に対する補助金、国の負担金等の権衡から考えましても、この特例法ができることによつて両者の権衡はとれることに相成りますという点が挙げられます。又一面角度を変えまして目的の面から見ましたときに、東北のごとく未開発の地域がまだある、そういう所にもこういう特例が必要ではないか、従つて全国的にそういう地方を含めた特例法が必要ではないかという議論もあり得るわけでございまするが、とにかくそういう問題が検討の対象となるべきだろうと考えられます。
以上一応御報告申上げます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X00419510227/15
-
016・植竹春彦
○委員長(植竹春彦君) それではその次の海難審判法の一部を改正する法律案の大綱について、御説明を政府委員からお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X00419510227/16
-
017・長屋千棟
○政府委員(長屋千棟君) 改正案の大綱について御説明申上げます。
大体この改正の点は七つございます。その内の主なものの御説明を申上げますと、海難審判法に新たに独自の証拠規定を設けること、現行法の四十條の第二項に「証拠については、簡易裁判所における刑事訴訟に関する法令の規定を準用する。」こういう文言もございますが、実際簡易裁判所の証拠法というものは新たにできました刑事訴訟法には制定されなかつたのであります。これは丁度海難審判法の制定に当りまして、証拠法をどうすべきかという議論がございましたときに、刑事訴訟法も新たに制定されるので、その中には極く簡易な簡易裁判所の証拠規定というものができるのだという予定でございましたので、こういう條文を作つたのでございます。いよいよ刑事訴訟法が出て見ますというと、その簡易裁判所の証拠規定というものはございませんで、どれもこれも一本建の刑事訴訟法の証拠法というものが適用されるという形になりまして、従いまして嚴密に申しますと、海難審判に関する限り証拠を取るべき何らの準拠すべき規定はないと言つてもいいのでありますが、それでは審判がやれませんので、現在までこの刑事訴訟法にきめたむずかしい証拠規定を準用して参つたのでございます。従いまして、この何ら強制法を持つておりません刑事でない、海難の原因を探求する審判におきまして、刑事訴訟法のむずかしい証拠法を適用いたしますと、非常に手数がかかりましてなかなかやれないので、これはどうしても独自な証拠法を制定すべきであるというので新らたに証拠法を入れたのでございます。
第二点は高等海難審判庁の採決に対しまして不服ある場合には、高等裁判所へ提訴することができる。この場合におきまして、その被告は高等海難審判庁であるべきでありますが、高等海難審判庁の採決の執行官たる海難審判の理事官、これは執行官であるからして、これを被告といたしまして攻撃をし防禦をするという建前にいたしておつたのであります。然るに海上保安庁法が制定されまして、従来海難審判庁の職員であつた理事官というものは海上保安庁の職員に切替つたのでございます。従いまして、只今のところはよその官庁のものが審判庁の長を代表して、その被告となつていろいろ攻撃、防禦に当つておるという形でございまして、いろいろ訴訟手続きにおいて二重にも三重にも余計な手数が要りますので、これは本来の高等海難審判庁の長官を被告として提訴された場合に裁判所で争うという形にすることが一つでございます。
その次は、現行法におきましては、審判官は運輸大臣がこれを任命するという規定でございますが、一般の官庁におきましては公務員法の建前から皆その長が部下の職員を任命するという形でございますので、海難審判庁におきましても高等海難審判庁の長官が、今まで運輸大臣が任命しておつたものを高等海難審判庁の長官がこれを任命参するという工合に変えることでございます。
この三つが主な点でございます。その他は審判庁に廷吏を置く、それから現行法に審判所という名前がところどころ用いてありまして、何か審判庁のほかに審判所という役所が別にあるような形に見えますので、非常に混同いたしますので、これを全部海難審判庁と改め、或いは会議体という工合に実質的にこれを書改めるということが一点であります。
それから高等海難審判庁の第二審の請求期間は七日間としてございますが、その受審人の責に帰すべからざる事由によつてその七日で第二審の請求ができなかつた場合、これには現行法においては何ら救済の道がございませんので、これになお七日間の余裕を與えるということが一点。それからあとは鑑定人、通訳人等に報酬を與える、以上の七点が改正の主な点でございます。で、その中で最も主要な三点、即ち証拠法を制定いたしましたことと、高等海難審判庁長官に海難審判庁審判官の任命権を持たせるということ、もう一つは、高等裁判所へ提訴せられた場合に、高等海難審判庁長官が被告となるという、この主な三点につきまして、もう一度御説明申上げますと、この高等海難審判庁長官に任命権を持たせる点におきまして、現行法は第十條の第二項に、「海難審判庁審判官は、運輸大臣がこれを任命する。」とございましたのを、高等海難審判庁長官がこれを任命するという工合に変えるのでございます。ところがこういたしますと、現在の高等海難審判庁長官は自分が審判をやります関係上、海難審判庁審判官という官名を併せ持つておりまして、それにおいて審判をいたしておるのであります。ところが今度は自分が海難審判庁審判官を任命するということになりますと、どつちが鶏か卵か分らんという形がそこにあつて、非常に混同いたしますので、今度は高等海難審判庁長官は運輸大臣がこれを任命いたしまして、そうして高等海難審判庁長官は地方の海難審判庁の長を補する。それから海難審判庁審判官を任命するという形にはつきりいたしたのであります。
九條に、高等海難審判庁長官が海難審判庁の職員の人事権を持つようにするために、高等海難審判庁長官の任命資格を明瞭にしたわけであります。海難審判庁は地方裁判所のような性格を持つておる関係から、審判を行う上におきましては、各海難審判庁がそれぞれ独立性を持つておるのでありますが、審判行政の面におきましては、高等海難審判庁は外局の性格を持つておりまして、地方海難審判庁は地方行政機関的な性格を有しておるのであります。従つて高等海難審判庁長官は外局の長官として事務を統轄しているのでありますから、現在運輸大臣の持つております海難審判庁審判官の任命権と地方海難審判庁の職権を高等海難審判庁長官に移して、海難審判庁の職員に対する人事権に自主性を持つようにしたのであります。
次に、高等海難審判庁長官は外局の長官として事務を掌握すると共に、みずから審判庁として重要な海難事件の審判を行いまする海難審判庁審判官の経歴を有する者の中から任命されるようにしなければならない規定でありまして、これは従来からも行われていることでありますが、ここにその資格要件を明定した次第であります。
十條、十一條の改正はこれに伴いまする改正でございます。それで十一條におきまして、高等海難審判庁長官は、現行法におきましては海難審判庁審判官という官名をやはり持つておるのでありますが、今度は高等海難審判庁長官一本になりまして、海難審判庁審判官が審判をするということになつておりますが、高等海難審判庁は審判にタッチできないということが起りますので、十一條におきまして、審判官というのは高等海難審判庁長官とそれから海難審判庁審判官、これを審判官と言うのだ、これが審判をするのだという工合に変えまして、これは丁度裁判所におきまして、裁判官という名前と同じように審判官を制定したわけでございます。
それから先ほど裁判所の訴えの場合の被告のことを申上げましたが、それは第五十四條に、「前條第一項の訴においては海上保安庁海事検査部の理事官が、高等海難審判庁を代表する。」とこうございましたのを、「前條第一項の訴においては、高等海難審判庁長官を被告とする。」と、この点は本法制定当時は理事官も審判庁の職員でありましたのでありますが、その後海上保安庁法の施行によりまして、海上保安庁の職員になりました。併しながら理事官は高等海難審判庁の行う裁定の執行者であるという理由から、本條の規定はそのまま改正せられずにありましたが、高等裁判所へ提訴された事件については、高等海難審判庁を他の官庁の職員である理事官が代表するという非常に変則的な形になつておるので、実際高等裁判所へ提訴されました事件についての運用面におきましては、連絡その他複雑な手数を必要とするばかりでなく、公判における攻撃、防禦に種種支障を生ずる点がありまして、訴訟の当事者としての実務はすべて実際は高等海難審判庁の審判官が行なつているのでありますので、行政事件訴訟特例法の通常の方式に従うようにいたしまして、高等海難審判庁長官を被告にするということに規定したわけであります。
以上主な点を御説明申上げました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X00419510227/17
-
018・岡本忠雄
○専門員(岡本忠雄君) この海難審判法の一部を改正する法律案につきましては、特に要点は審判官の任命権の問題と、それから証拠法の点にありますが、従来簡易裁判所における刑事訴訟に関する法令の規定を準用しておつたのを今度はやめることになつたわけでありまするが、この本法制定後の経験に徴しまして、極めて適当な改正のように判断されるのであります。そのほかにつきましても字句の修正、又は用語の整理、観念の整理等がたくさんありまするが、いずれも適当と考えられまするが、ただ施行期則以下この命令にゆだねられたる点との関連をもう少し検討を要するように考えますので、その点につきましては更に審査を進めまして、次回に御報告申上げたいと思います。一部審査がその点について疑問を持つたままで只今のところやつておりますから、一応その程度でございます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X00419510227/18
-
019・植竹春彦
○委員長(植竹春彦君) それでは港域法の一部を改正する法律案の御審議を願います。政府から提案の改正案の大綱につきまして御説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X00419510227/19
-
020・松野清秀
○政府委員(松野清秀君) 現行法は全国の港の中で、主として船舶交通の観点から主要港と認められる港につきましてその区域を定めることとし、その港域の測定に当りましては、土地の構成から考えまして、必要にして十分な範囲の地域を包含させるように配慮いたしますと共に、海上につきましては、旧開港港則並びに関税法別表及び旧横須賀等を開港に指定する法律別表、その他の港につきましては運輸省告示港湾区域決定の件等、大体におきまして従来定めのあるものを踏襲いたして参つたのでありますが、更に現地の公共団体等関係各機関の意見を聴取しまして、なお海上保安庁水路部の調査資料、海図並びに建設省地理調査所発行の地図及び運輸省港湾局の調査費料等によりまして、現行法をつぶさに検討いたしますと共に、現地の実情をも調査いたしました結果、現行法の別表の中には多々不備な点がありますので、新たに本法によつて港域を定め、必要のある地方と認められる地方につきましては、新たに港域を決定することとし、又港の状況の変化に伴いまして港域を変更する必要があると認められるものにつきましては港域を変更し、又現行の港域の規定では、その基準となつている対象物の変化等によりまして港域が明確でなくなつたものにつきましては、その港域の決定の方法を変更することとし、又港名を変更することが適当であると認められるものにつきましては港名を変更することにしまして、現行法の別表を全面的に改正することにいたした次第であります。大体……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X00419510227/20
-
021・岡本忠雄
○専門員(岡本忠雄君) 港域法の法律でありますが、お手許にあります通りの区域を定める法律でありまして、実は調査のしようがありませんので、大体提案理由に三つを掲げてありますが、それを信頼するよりほかに何も御報告のしようがないという次第であります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X00419510227/21
-
022・植竹春彦
○委員長(植竹春彦君) 次に港則法の一部を改正する法律案の御審議を願います。改正の要旨の説明を政府委員からお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X00419510227/22
-
023・松野清秀
○政府委員(松野清秀君) 近来港内停泊中の船舶の火災事故が相変らず相当数に上りまして、この火災による損害の防止軽減策につきまして種々検討いたしました結果、火災の起つたような場合に更に適切な火災警報がなされていたならば、人命及び財産の損害をもつと軽減し得たものである、かような結論を得たりであります。おなこの点に関しましては、米国並びにカナダ、更に東亜の諸港におきましても、港則において一般火災報知手段に加えて港内の火災警報発声設備に対しまして一定の火災警報を発する義務を課する旨を法制化いたしておることが判明いたしたのであります。なお関係方面からの強い要望もありまして、我が国におきましても、これらの火災警報に関する規定を港則法に取入れることが適切であるとかように考えまして、特定港内において船舶が火災を起した場合、船舶が発する火災警報に関する規定を設けようとするものであります。
なおこの法律案の條項について申しますると、港則法の第三十條の二といたしまして、「特定港内にある船舶であつて汽笛又は汽角を備えるものは、当該船舶に火災が発生したときは、航行している場合を除き、火災を示す警報として汽笛又は汽角をもつて長声五発を吹き鳴らさなければならない。」つまりどのような港の中にあるどのような船が、どのような場合にどんな信号をしなければならないかということをこの第一項に規定したわけであります。
第二項は「前項の警報は、適当な間隔をおいて繰り返さなければならない。」つまり火災の発生してから鎮火をするまでの間、適当な間隔で繰り返さなければならんということを規定しております。
第三項は「第一項の長声とは、四秒から六秒までの時間継続する発声をいう。」。これは第一項の長声とはどんな間隔で鳴らすのかを明らかにしたものであります。
なお第三十條の三といたしまして、「特定港内に停泊する船舶であつて汽笛又は汽角を備えるものは、船内において、汽笛又は汽角の吹鳴に従事する者が見易いところに、前條に定める火災警報の方法を表示しなければならない。」これは誰をこの汽笛の吹鳴に従事さしても間違いなく励行されるように特にこういうふうな掲示をさせるようにいたした次第であります。
大体以上の通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X00419510227/23
-
024・岡本忠雄
○専門員(岡本忠雄君) 港則法の目的は港内における船舶交通の安全及び港内の整頓を図ることを目的としておりまするから、今御説明のあつたような條項を加えて更にその目的を達しようとされるものでありますから、その点は極めて適当と考えられます。なお内容は極めて簡単なことでありますが、ただ字句の関係におきまして、三十條の二に、「港内にある船舶、」三十條の三は、「港内に停泊する船舶」となつておりまするが、どちらも「ある」ということでよいのではないかという疑問を抱く程度でありまして、ほかには何も問題はありません。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X00419510227/24
-
025・植竹春彦
○委員長(植竹春彦君) それではこの程度で次に移ります。
次に海事代理士法案の立法の要旨の説明を政府委員からお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X00419510227/25
-
026・壺井玄剛
○政府委員(壺井玄剛君) 海事代理士と申します仕事の内容は、船舶法によりまして船の大きさを測る「船舶ノ積量ノ測度」、それから船員法で、船員の乘、下船その他の登録をするという仕事、船舶安全法によります船舶検査の手続といいましたようないろいろな海事法令、これはその範囲は列挙してございますが、そういう海事法令の規定に基きましていろいろな申請、届出、登記というような手続一切の仕事を他人の委託を受けて行う業務でございます。丁度司法書士法による司法書士の仕事、税務代理士法による税務代理士の仕事、或いは弁理士法による弁理士の仕事といつたようなものに類似する仕事でございます。こういうような海事代理士の業務は、一般の利用面に非常に少からん影響を持つておるのでございまして、海事代理士の数は現在百五十人ぐらいでございますが、数は少うございましても利用する面が非常にたくさんあるのでございまして、これが一般の利用者に及ぼす影響を考えますというと、その信用度を確立し、それを利用します場合の一定の規制を加えるということが必要であると考えられるのでございます。そこで明治四十年から海事代願人規則というものが逓信省令で以てきめられておりまして、管海官庁の許可を得たものに限りまして業務を行うことになつておるのでございますが、新らしい憲法で以て法律と同等の力を持つておる法規でなければいけない事項に相当するものといたしまして、昭和二十三年一月一日以降効力を失つたのでございます。その後海事代理士の仕事は自由営業となつて今日に及んだのでございますが、一般の利用者から海事代願業務に対する官庁の監督が廃止されましたがために、しばしば不都合なことができるというようないろいろな陳情もございましたし、我々のほうでも研究しました結果、その法令を制定する必要を痛感いたしまして、かねがね研究中のところ、ようやく成案を得ましたので、司法書士法、税務代理士法等の先例に倣い、又在来からの海事代願人規則を織込みまして、各條項はできるだけ民主化された規定内容といたしまして、本案を制定したのでございます。
各條項につきまして簡単に申上げますというと、第一章の総則でございますが、これには行います業務の範囲といたしまして、先ほど御説明いたしましたような海事関係法規の諸手続に関しますこと、ただ手続だけではなしに委託を受けて委任業務としてやるという範囲まで及ぶことを規定しておるのでございます。この点は司法書士などと違いまして、軍に手続の書類を作成して出すという手続だけのことでなしに、委託を受けて相当深く仕事にタッチして行くという恰好になつております。資格の面におきましては、十年以上海事関係の官庁業務をやつておつて、且つ運輸大臣が業務を行うのに十分な知識を有しておると認定いたしました者を無試験で採用するということと、それから試験に合格したものというふうに制限をいたしております。これはほかの立法例よりか相当厳重な規定でございます。船舶職員、船員の方から無試験で海事代理士の資格を與えてくれという陳情があつたのでありますが、法令関係の仕事が相当たくさんございますので、やはり試験を必要とするという考えに相成つた次第でございます。欠格事由はほかの例にもありますように、未成年者とか一定の刑罰に処せられた者とか、或いは海事代願人で資格を剥奪された者というのを欠格の條項に該当するものといたしておるのであります。
第二章は海事代理士の試験制度のことでございますが、在来の海事代願人規則では試験のことは余り詳しくは説明してございませんでしたが、民主化の線に沿いましてできるだけ公平に且つ均等な機会を得られますように考えておるのでございまして、知識経験を有するもの五名のまあ試験委員を委嘱いたしまして、その人の意見に従つて試験問題を考えてもらい、それから又試験を実施するというふうな考え方にいたしております。
第三章は登録でございますが試験に合格し、或いは無試験者につきましては申請を待ちまして登録いたすのでございます。登録事項の変更、抹消等はおおむねほかの例に倣つたわけでございます。
第四章は海事代理士の業務の内容でございますが、最初第一章で申しましたものをもう少しくだいて書いてあるのでございますが、自分で自分の会社の仕事をするとか、或いは自分で自分の仕事をするものは海事代理士としての規制を受けないことは勿論でございまして、專ら他人の委託によりまして対価を得て料金を取つて業としているものでございます。弁護士であるとか税務代理士が本来の弁護士の業務に附随して代理士の仕事を行います場合には、勿論この法令で規定されないのでございまして、本来の業務の附随業務として当然その当該法規によつて行い得るのでございます。それから報酬につきましては、在来は海運局の管海官庁の認可事項となつておりましたが、本法によりましては民主化された手続によりまして、報酬額幾らということを地方の海運局長に届出てもらいまして、その届出を海運局長が不当であると認めました場合には聴聞会その他を開きまして、考えて改めるように手続きするということになつております。それから懲戒、罰則等はおおむね一般の例にならつて処置しておるのでございます。
附則といたしまして、現在百五十人の人たちで旧海事代願人規則で以て手続きいたしたものはそのまま引続いて今後とも業務を行い得るということにいたしております。代願人規則の適用によらずして行なつておるものにつきましては六カ月間の猶予をおいて、その間に試験を受けるというふうにいたしております。
以上大体本法の要旨でございますが、弁護士会から極めて簡単な意見が出ておりますが、それは名称については海事代理士というのは適当でないから、海事書士と改めたらよかろうということでございます。この点につきましては、我々の見解は、他人の委託を受けて委任業務としてただ單に書類作だけでなしに、委任を受けて一定の法律業務をし得るのでございますから、この名称は適当でないと考えます。
それから第二に職務の範囲について、「相談に応ずること」と第一條に善いあるが鑑定、調停等を含むとすれば、弁護士法に抵触するからいけないということでございますが、私どもの見解では鑑定等は含まないと思つております。
それから第三点といたしまして、試験については毎年相当数の合格者を前提とした相当厳重な規定をおいておりますが、こういうケースも余り考えられないから試験制度をやめて見たらどうか。そうしてそれに代つて認可制度をとつた方がいいのじやないかということでございますが、我々といたしましては、現下の情勢に鑑みて、非常に海事に関する業務も殖えて参つた状況でございますので、広く公平に民主的に機会を與え得るような門戸を開いておく必要があるということを考えまして、この点についてはやはり試験制度を採用して行くことが適当であると考えておるのでございます。そのほか只今のところでは国内各方面からは意見も出ておりますが、さような状況でございますので、何とぞ御審議の上お通し願いたいと思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X00419510227/26
-
027・岡本忠雄
○専門員(岡本忠雄君) これは新らしい法でございますが、1大体よくできていると考えられますが、三つ四つ疑問の点を一応御報告申上げます。
第一條に「他人の委託により」ということがあります。この委託の法律上の性質でありますが、多分いろいろ全部を通じて考えて見ますというと、法律行為、事実行為の両方の依頼を含むものだと考えられますので、そうなると委任とか準委任というような非常な広汎な範囲に亘ることもあり得ると考えます。ところでそうなりますと、弁護士との権衡、弁護士との関係であります。本法の第十七條に「他の法令に別段の定がある場合は、この限りでない。」とありますが、これが相当ものを言うものと考えられますが、弁護士法には「弁護士は、当然、弁理士及び税務代理士の事務を行うことができる。」と書いてあります。海事代理士のことはこれには含んでおらぬのでありますが、税務代理士法には、こういう弁護士法の規定があるにかかわらず、特に弁護士を規定しております。こういう関係をはつきり説明をいずれ伺う必要があろうかと考えます。
第二には、第二條の二号でありますが、「行政官庁において十年以上」云々の規定でありますが、この認定は結局運輸大臣がやるものだろうと解釈されます。ところがその手続でありますが、運輸大臣がみずからやるのか、海運局長に委任するか、或いは何か省令でそういうものを定めるのか、特別に定めるのかという点がはつきりいたしません。のみならず一面設置法を見ますると代理士に関する條項が入つておりませんから、この一点から考えましても他にもありまするが、海事代理士に関する項、事項というのを、運輸省設置法を改正する條項をこの中に入れる必要があるだろうと考えます。それが第二であります。
第三には二十六條正の問題であります。報告の関係であります。一項は海事代理士に対して業務に関する報告を求めております。二項は、これに対して海運局長の協力を規定しております。これが而も第一項に対しては、この報告義務違反については罰則を後に規定してあります。第二項にはそれがないのであります。この協力義務の内容如何ということが、如何なることを協力を義務として海運局長に課するかということが検討される必要があると思うのであります。従来報告に非常に手数をかけて昔から悩まされておりまするので、そういう点もありまするし、片方に罰則を以て望む以上は、協力のほうにも相当のこれに権衡を保つような協力が必要だろうというような点が、更に政府の御説明を要求しなければならんだろうと考えられます。それから最後に、港湾運送業法が、この国会に出るような運びで政府では用意しておられるようであります。これは議員提出として出る予定で協力せられておりまするが、これが出る場合には、この法律のほうが先に済むならば、この法律に策の下しようはないのでありますが、港湾運送業法中に海事代理士に関する法律を挿入する必要がある、これは前に処置される必要があると考えられます。司法書士との関係においてあつたが如き問題を引き起されるだろうと思いますからこの点が疑問であります。
以上一応御報告申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X00419510227/27
-
028・植竹春彦
○委員長(植竹春彦君) ちよつと速記をとめて下さい。
午後二時五十六分速記中止
—————・—————
午後三時十一分速記開始発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X00419510227/28
-
029・植竹春彦
○委員長(植竹春彦君) それでは速記を始めて下さい。
国内航空運送事業会の一部を改正する政令につきまして政府委員の御説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X00419510227/29
-
030・松尾靜磨
○政府委員(松尾靜磨君) 国内航空運送事業の運営に関しまする覚え書に基きまして、昨年の十一月一日附で国内航空運送事業会を制定いたしまして施行されたのでありますが、その事業会によりますと日本におきます国内航空運送事業の経営については、日本に乗り入れておりますパンアメリカンとノースウエスト、或いはフィリピン・エアラインズBOAC等の七社の航空機会社の共同出資によりましてできました会社がそれに当る予定で取運び中でありましたけれども、本年の一月二十七日附で前に出ました覚書に修正が加えられたのであります。それによりますと国内航空運送事業の経営面は日本側で担当し、ただ日本人に禁止されております航空機の所有運航等は、前記の外国の会社が行うことになりましたので、これらの諸点につきまして事業会に所要の改正を加えた次第でございます。
その改正の要点を申上げますと、事業の主体でございまするが、この改正によりまして運輸大臣の免許を受けて国内航空運送事業の経営面を担当するのは日本法人であります。併し日本法人と申しましても外国人又は外国倉本を全く排除しているものではありませんで、その経営が実質的に日本人の手に保留されておれば十分でありまして、その限度内においては外国人又は外国資本の参加を認めております。なお日本人がこの経営により実質的に支配して行くということは免許の最終要件でありまして、又会社の存続の要件ともいたしております。
次に運航の実施、飛行機を実際飛ばして運航するという実施者でありますが、この実施のため必要な航空機の運航この実施は、前申しました外国会社が運輸大臣の許可を得て行うことにいたしております。なおこの日本側が経営面を担当いたしまして、外国会社が運航面を担当するわけでありますが、その運航の前渡り幾らという契約はやはり運輸大臣の認可を受けねばいかん、こういう規定であります。
その他今申しました三つの重点のほかに條文整理のために若干の改正を加えたのであります。又罰則の運営につきましてはこの日本法人と外国の会社を同等に扱つているのでございます。
なお政府として考えておりまする運行の線路回数は東京大阪を一日に三往復、東京、大阪、福岡を一日に一往復、東京、名古屋、大阪、広島、福岡を一日に一往復、東京、仙台、青森、青森は三沢でございますが、三沢、札幌、これを一日に一往復、差当つてこの幹線を考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X00419510227/30
-
031・高田寛
○高田寛君 二、一三御質問したいのですが、最初に昨年中は外国の航空会社が集まつて一つの会社を作つて、それ、が航空の事業を担当するというように計画を進められていたように聞いておりますが、その後まあこのオペレーシヨンのほうとトラフイツクのほうと分けて、トラフイツクのほうは日本にやらすというように変つて来たようですが、
〔委員長退席、理事岡田信次君委員長席に着く〕
どんな事情からこういうふうに変つて来たのかその辺を伺いたいと思いますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X00419510227/31
-
032・松尾靜磨
○政府委員(松尾靜磨君) ちよつと速記をとめて頂きたいといと思うのですが発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X00419510227/32
-
033・岡田信次
○理事(岡田信次君) 速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X00419510227/33
-
034・岡田信次
○理事(岡田信次君) 速記を始めて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X00419510227/34
-
035・高田寛
○高田寛君 次にお尋ねしたいのは、今度運航面は外国がやる、それから何といいますかトラフィックの方面は日本がやると、そういうことになつて、この日本側でやる航空事業というのはこれが経営上成立つものかどうか、これは戦前においても大日本航空あたりが相当補助金をもらつてやつていたのですが、今度外国の運航側をやるほうが結局実費に何がしのマージンを加えたものを日本側の会社から取ることになると思うのですが、そうするとトラフィックの方面をやる会社というものは経営が一体成り立つのかどうかということを疑問に思つているんですが、その点航空庁長官の御見解は如何でしようか。
〔理事岡田信次君退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X00419510227/35
-
036・松尾靜磨
○政府委員(松尾靜磨君) 御尤もな御意見でありまして、お説の通り外国の運航面を担当する会社は乗員も外国人でありますので俸給も相当に高い。従つてマイルあたりのいわゆる契約も高くなつて来るという悪條件はございます。なおそれでは政府がもと大日本航空にやつたような直接の補助政策をとるかどうかということは今のところ考えておりません。併しこのガソリンの輸入税とかその消費税、或いはこの航空郵便のきめ方、或いは飛行場の使用料の取り方、こういう方面におきまして我々といたしましてもできるだけの間接的と申しますか、そういう方面に努力をいたしまして、できるだけこのマイルあたりの運航費が安く行くように、できるだけこのトラフイツク・カンパニーのほうにも損害が行かないように、こういう考え方で目下関係方面と折衝中でございます。
なお日本でもう一つアメリカの航空事業と比べて不利なことは、夜中に飛行機の運航ができない。それは一般社会情勢が、例えば地上の交通機関だとか或いは宿泊の関係、そういう社会情勢がアメリカのように行つておりませんので、どうしても晩の十一時頃から翌朝の四時か五時までの間は全部の飛行機を地上で遊ばせなければならない。飛行機は地上で遊んでおつては一銭の価値もない。こういう状況でありますので、やはり若干の不利はあると思います。併しこの運賃をできるだけ安くするということになればやはりお客の乗る率が多いということは、アメリカの各航空会社でもそういう統計がはつきり出ておりますので、成るだけ私どもは運賃をそう高いものにしないで、できるだけ搭乗率を、できれば九〇%なり一〇〇%近くまで持つて行くようにしなければなかなか経営が困難ではないか、こういう工合に考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X00419510227/36
-
037・高田寛
○高田寛君 この経営の面を非常に心配するのですが、長官は最近アメリカを視察して帰つて来られたように伺つておるのですが、アメリカなぞでは一体航空事業が経営が成立つておるものかどうか。或いは又やはり何らかの形で補助を受けて成立つておるのかへその辺のところもお伺いしたいと思うのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X00419510227/37
-
038・松尾靜磨
○政府委員(松尾靜磨君) アメリカの航空会社はやはり国内の幹線でございますね、大陸を横断しておる幹線をやつておる主な航空会社、例えばユナイテツド・エアラインズ、アメリカンエアラインズ、トランスワールド・エアラインズ、イースタン・エアラインズ・ノースウエスト・エアラインズとこういう大体一流会社でございますが、こういう幹線をやつている航空会社の収入は旅客が非常に多く旅客収入がそれは大体八五%から九〇%、航空会社の收入のうちの航空郵便のほうは、郵便物は一〇%、貨物は五%です。この幹線をやつている航空会社は郵便の契約においてもそう恩典に浴していないのです。それで今申しましたように旅客收入が大部分でありますので、別に政府の郵便物に対する収入は大して収入の減になつていない。それで大体これは賄つて行つている。そういうような状況でございます。併しこの支線即ち短いところをやつている線、こういう会社の郵便物の契約には政府が相当に補助的の意味を加えてやつておる。それで旅客收入よりも郵便の收入のほうが多い、大体半々くらいになつておるというような状況でございます。それで支線にはやはり郵便物の運送契約で間接的な相当の補助を受ける、それで会社が成立つて行ける、こういうことが言えると思います。併し幹線の非常に有利な会社をやつている今の五大会社或いは六大会社というものはやはり旅客で自立して行つておる。こういう状況でございます。
なお飛行場のいろいろな地上の施設は別に経営者がありますが、航空路の施設も非常に進んでおりましてこういうものに非常に莫大な経費をかけてやつております、これは全部政府がやつております。併し飛行場の使用料は規定通り各会社の経営者がどしどしとつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X00419510227/38
-
039・高田寛
○高田寛君 先般来新聞にもいろいろ今度の日本の航空事業を目指していろいろな会社設立の動きなぞも新聞でちらほら見えておりますが、これなぞについては大体相当に大きなものをまとめて行くというふうにお考えか、或いは適当なものがあれば、どれかに早いものがちに一つやらそうというお考えか、その辺の御見解も一つ伺つて置きたいと思うのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X00419510227/39
-
040・松尾靜磨
○政府委員(松尾靜磨君) たくさん事業をやりたいという希望者がおられるようでございまして、政令によりますとやはり事業の希望者は申請書を出してもらえば、ということになつております。併し我々といたしましては、この会社はやはり相当経営面において、特に現在は非常に不利な状況にありますので、やはりしつかりしたいわゆる資本的なバツクのある会社、そしてみんなが日本国民の全体が納得するような立派な会社ができ上ることを我々は期待する次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X00419510227/40
-
041・高田寛
○高田寛君 これはこの前御説明願つた運輸省の予算を見ても、航空庁関係として余り施設などは二十六年度予算に載つていないのですが、それで今度やはり民間航空事業ができれば飛行場なり格納庫なり或いは待合空なり、いろいろな施設が必要じやないか、こういうものはやはり政府で施設されなければ、とても会社に負担させることはできないのだろうと思いますが、その辺の飛行場とそれに附帯する設備なぞの御計画、それから予算の見通しなぞについても一つお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X00419510227/41
-
042・松尾靜磨
○政府委員(松尾靜磨君) 定期航空を安全確実に育てて行くには、仰せの通り地上の保安施設というものがこれは不可欠なものでございます。アメリカがあれだけ定期航空が発達しまして完全に交通機関の第一線として、汽車、或いは船舶と堂々と競争しておりますのは、飛行機だけの発達じやなくして地上のいわゆる航空路の援助施設と申しますか保安施設、特に超短波を使つた施設、これに頼つている機上のそういう計器類、この発達は非常に驚異に値いするものがございます。それで戰前は私たちのところではそういう施設は全然ありません。このための予算といたしましても二十四年度の補正予算といたしまして、札幌から福岡までの一応計画を立てたのでございます。十一、三億でございましたでしようか、一応計画を立てまして大蔵当局と折衝いたしましたが、やはり財政上の非常に不足の点から、大体五千万円程度二十五年度の補正予算として承認を受けまして、それではどうしても最小限どころじやない、どうしても行きませんので、今文この最小限二、三億程度の金を今大蔵当局と折衝中でございます。これは勿論最も緊急に必要な通信施設でございます。通信とそれから無線局とこれのみでありまして、他の施設はできるだけ当分の間占領軍の使えるものは占領軍のほうのものをできるだけ使わしてもらう。お説の通り将来の理想的な計画としては、アメリカでやつております通りにやはりこの飛行場の施設、事務所或いは格納庫等はその飛行場の経営者が設置いたしまして、それを航空業者に委任するという方向が一番いいのじやないかと考えておりますけれども、非常に莫大な経費を要しますので、こういう問題は講和会議後はやはり継続事業か何かにいたしまして、長期に亘つてやはり計画をやる必要があると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X00419510227/42
-
043・松浦定義
○松浦定義君 この航空運送事業は非常に国民が待望しておりまして一日も早からんことを念願しておつたと思うのですが、只今お話を聞きますと、相当政府としましても予算の関係で実現する場合にはいろいろの支障があるというふうに聞いておるわけですが、特にそういうことが若し今後影響するということになりますと、私ちよつとこう仄聞いたしましたところで見ますと、今この内容で見ますると北は北海道から九州までというような、非常に広範囲な事業計画でありますが、若し予算の関係等で或いはその一部、特に遠距離に対しましてそうした面からの航路の設置が非常に遅れるとか或いは実現できないというような面があるのではないかというふうに考えております。従つてこの北海道と東京の線が、大蔵省等で或いはこの点について相当こう考慮され、そうした面について反対が一部にあるのじやないかというようなことを実は漏れ聞いておる点があるのですが、こういうことは事実こうした事業に対して政府といたしましても積極的にやらなければならん問題でありますし、特にこの問題は政令で行つておる関係から、そうしたことがないというふうに考えておりますけれども、現在の長官のお考えでは当然そういうことは杞憂だというふうにお考えでありますか、多少でもそうした面についての或いは御心配等があります。か、この点を一つお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X00419510227/43
-
044・松尾靜磨
○政府委員(松尾靜磨君) 線によりましては後先になる面がありはせんかというような御懸念でございますが、只今申しました通りに昨年度の補正予算では東京、大阪、福岡線をやれる経費だけの補正予算を認められたのでありまして、今私たちといたしましては、どうしても日本の幹線であります北海道から福岡までは是非やりたい。なお北海道は特に交通上非常に不便でありまして、北海道の地元からも非常に熱烈な要望もございますので大蔵当局にもそういうことを伝えてございます。私たちといたしましても、この北海道から福岡までの線はできるだけ努力をいたしまして、同時に開通できるようにいたしたいとこう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X00419510227/44
-
045・小酒井義男
○小酒井義男君 御説明を聞いておるとなかなかいつ飛立つのかわからんというような気がするのですが、大体どうなんでしよう。長官のほうでいつ頃になつたら飛行機が飛び立つのだという見通しを持つておられるでありましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X00419510227/45
-
046・松尾靜磨
○政府委員(松尾靜磨君) その航空運送事業会社の申請の期限は、大体三月三十一日限りといたしております。それで四月の初旬の運輸審議会にかけまして公聴会を開きましてその結果を見まして、大臣が認可を與えるということになります。それで外国の会社とこちらの会社が契約をやつて、そうしていよいよ運航開始ということになりますが、先ほども申しました通りにこの税金の問題、それから郵便輸送の問題は今盛んに関係方面と交渉をやつておりますので、順当に行きますれば私たちといたしましては六月一日前後という頃合いには開始できるのではないか、こういう工合に予想いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X00419510227/46
-
047・小酒井義男
○小酒井義男君 そうした場合に四月以後になつてからで、例えば地上要員のことですね、従事員が必要になつて来ると思いますが、そういうことはすでに或る程度準備をされておるのか、認可になつた後に初めてできるものか、どういうものなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X00419510227/47
-
048・松尾靜磨
○政府委員(松尾靜磨君) 地上の要員といたしましては、二十五年度の予算で私のほうの役所といたしましては六十五名増員を認められております。なお今度の今要求しておりますのでなお若干の人間を要求いたしまして当てたいとこう考えております。なお運航面を担当します外国の会社はそれぞれ準備をしておると思つております。なおその他のいろいろな飛行場の関係はできるだけ取りあえず軍が使つておる飛行場を殆んど使用いたしますので、できるだけ軍のほうのそういう方面についての協力を願つてやりたいと、こういう建前になつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X00419510227/48
-
049・岡田信次
○岡田信次君 先ほどから長官のお話を承わつている、結局一文なしでやろうというわけですね。又アメリカその他のお話を伺いますと、相当飛行場の設備その他に対しては国で適当に金を出しておる、ところがこの予算を拝見しましてもそれの方面に対するところの予算は一文もない。只今お話の航空要員も教育訓練の程度で六十万程度しかない、それで実際できるのですか、先ほどからもお話がありましたが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X00419510227/49
-
050・松尾靜磨
○政府委員(松尾靜磨君) 只今も申しました通りいわゆる飛行機の運航というようなことにつきましては、全部現在のところ、離着陸いたしまするところは空軍のおる飛行場でございますので、そういう方面は取あえずは軍のほうでやる。ただ併し通信の施設、それから無線局、こういうものは我々のところで取あえずやりまして、その他のものはできるだけ軍の協力を得てやる。これはアメリカ式に全部軍と民間の飛行場を切離しました場合、これはもう金がなくては全然できませんけれども、今のところ軍では一応の施設がありますので、できるだけ当分の間はそちらのほうに協力してもらいまして、順次予算をとりましてこちらのほうで施設をやる、こういう方針でないと早急にはなかなか行きませんのでそういうやり方をとつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X00419510227/50
-
051・岡田信次
○岡田信次君 そういたしますと、国内航空をやるために聞き及ぶところによると、航空庁としては本数億の金を要求しておられた、それが駄目だつたと、その十数億を要求されたときの御構想はどういうものでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X00419510227/51
-
052・松尾靜磨
○政府委員(松尾靜磨君) その構想は、例えば仙台は今度使います飛行場は松島にございます飛行場でございます。松島の飛行場は占領軍が使つております飛行場でございますので、これは飛行機の離着陸その他の施設は十分ございます。併し仙台から非常に松島の飛行場は遠い、約自動車で一時間半から二時間かかる。それで私どもといたしましては仙台の市内に元航空局時代に持つておりました飛行場がございましたのでこれを整備して地上のいろんな施設をやりまして使いたい、この計画。それからもう一つは札幌でございますが、札幌も千歳は相当に遠いへ札幌の近くにやはり飛行場がございますので結局民間航空基地としては、できるだけこの市に近いほうがやはりようございますので、そういう方面にも相当の金が要る。それから大阪の伊丹の飛行場でございますが、大きな飛行機を使うことになりますと滑走路が少し薄いのでありまして、若干これを補強せなけりやいかんというような面。こういう面とそれから取あえずの事務所、客の待合室、こういうものもやはり政府で一応建てまして、そうして航空会社にこれを賃貸しするという方針で一応十五、六億円程度の予算を我々のところでは考えたのであります。併しなかなか財政上困難でありますので最小限に切詰めまして取あえずは、この松島、千歳を使い、大阪も一応あまり大型を使わないようになりましたので補強をやめた。この絶対に必要な基地間の通信とそれから無線施設だけで、それから事務所も航空会社の事務所まではなかなか建てられませんので、役所の事務所だけにやるというような方向に切詰められましたのが、今申しました二、三億程度と、こういうわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X00419510227/52
-
053・岡田信次
○岡田信次君 そうすると少し意見になるんですけれども、恐らく甚だ中途半端なものになりますね。例えば東京、仙台間は一時間か一時間半足らずで行くのですが、あとそこから又仙台に行くのに二時間かかるというのじや、何のために飛行機に乗るんだということになるわけですが、それでもおやりになるおつもりなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X00419510227/53
-
054・松尾靜磨
○政府委員(松尾靜磨君) それは取あえずやるつもりでございまして、できればこの二十六年度の補正予算にやはり初め計画した通りのものは出すつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X00419510227/54
-
055・植竹春彦
○委員長(植竹春彦君) 他に御質問ございませんければこの程度にいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X00419510227/55
-
056・植竹春彦
○委員長(植竹春彦君) 次に予算に関しまする質疑を開始いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X00419510227/56
-
057・前田穰
○前田穰君 私は自動車のことを少し伺いたいのですけれども、今日は自動車局長も御出席ないようですからこの次の機会に自動車局長が出席されたときに質問したいと思います。今日は一つだけお伺いしたいのですが、この前気象台の予算について私の伺いましたときに、六十人ばかりの空定員をどういうふうにするかという問題について、官房長から御答弁があつたんですが私はあの御答弁では満足しないんです。もう少しどういうふうな工夫をせられたか、現在ではこれを救済する途がないのかということについてもう少し具体的の御答弁を願いたい。今日は官房長おられませんけれども、会計課長がおいでですから一つ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X00419510227/57
-
058・国安誠一
○政府委員(国安誠一君) この前の席上で官房長から六十名の人員に対しましては一応それが定員の中に入つておる、今新規にその中の何人かを採用いたしますとその人間が帰つて来た場合にあと埋めることができない、従つて定員法に縛られる現在におきましては、それを今埋めておくことはできないということを御答弁申上げたと思います。そういう事情でありまして、今のところ何とも手がないのではないかと考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X00419510227/58
-
059・前田穰
○前田穰君 私よく現在の人事の取扱かたを知りませんのでお伺いしたいのですが、運輸省の官名はどういうふうになつておりましようか。或いは空定員が運輸省にあるならば、そのうちの若干を兼官の方法で交渉することも必ずしも不可能ではないと思いまするが、六十人の人間を室定員にしておればその給與というものは当然浮いて来ているはずだと思うのであります。それから全部の用事が済んでしまつて一ぺんに六十人帰つて来るという場合を想像しますと、これはその補充が今言われたような事情で困難なことがあるかも知れない、併しながらそれは最後の場合だろうと思うので、それまでにときたま帰つて来るものがあつても、それは一部分でなかろうか、経過的には一部分ずつ帰つて来るのではなかろうか、そういうことを見込んで若干の補充はできるのじやないか。六十人手を束ねて遊ばせておいて、而もそれが非常に専門的な技術を要する職員がそれだけ多数に欠けておつて、それで気象台の仕事がどうしてできるのか、労働の強化をやつておるか、然らずんば非常に必要な仕事を欠いているのじやないか、それでいいのか、何らかそこに工夫をするのが当然じやないか。現在の法制でできないから手を束ねているのだというだけで、果していいものであろうかどうであろうか、こういうふうに私は感ずるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X00419510227/59
-
060・国安誠一
○政府委員(国安誠一君) 御意見の御趣旨はよくわかりましたのでございますが、六十名が現在の定員法によりますと、定員の中に入つておりますれば、そのよそにおつて月給が余つておるからといつてあと埋めることは、頭数の定員の点から不可能でございます。
もう一つは、一ぺんに帰つて来ないから若干ずつでも補充したらどうかというお話でありますが、結局それも定員を越えるという点から同じでありまして、大体職員の自然減も見込みまして、或る程度年々減つて行くもの、これに対する補充はいたしておりますが、それ以上はどうしても定員法の上から補充はできないのであります。
然らば最後にそれだけの人間を定員法で殖やしたらどうかという問題でありますが、これにつきましては我々といたしましては十分予算の面で努力はして参つたのでありますが、来年度の予算においては、気象台のみならず各省とも相当人員の行政整理といいますか減員を実行しております。気象台でも相当の増員を要求いたしましたが、そういつたほかの各官庁との振合いから、気象台につきましてはその必要性は認めるけれども増員は認められない、その代り減らすのをやめておくということで、現状通りということで話はついたのでありますが、そういういきさつもありますし、その点は只今にわかに定員の増加ということは認められないかと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X00419510227/60
-
061・前田穰
○前田穰君 運輸省の三級官というのですか、技術の三級官は全部充員されているのでしようか、定員と実員との間に差はないのでしようか、予算全体として。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X00419510227/61
-
062・国安誠一
○政府委員(国安誠一君) 只今その数字を持つておりませんので、若し何でしたらのちほど調べてから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X00419510227/62
-
063・前田穰
○前田穰君 私は細かいところを具体的に聞くつもりはないのですが、どれだけの工夫をしたのかということを伺いたいのです。実はもう方法のないところまで御研究になつておるならばこれは止むを得ないかも知れませんが、抽象的に伺つているだけでは特別に工夫が盡されたかどうかということに対して心証を得ないものですから、それで具体的なことを伺つているに過ぎないのであります。併しもう一つ突込んで言えば仕事をするために定員をきめているわけでありますから、仕事のできないような場合には何らかの方策を講ずるということが当然のことじやないかとかように考えるのですが、仕事ができなくても定員法に縛られるのだということはあまりに行過ぎじやないか、かように考えるのでありますが如何でございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X00419510227/63
-
064・国安誠一
○政府委員(国安誠一君) その六十名の経費につきましてはおつしやる通り終戰処理費のほうの関係になつております。これは法律上経費が余るというよりも予算上人件費が余るといつたほうが至当かと思うのであります。然らば予算上余つた人件費を何か定員外で経理するとか、もつといい工夫がないかというお話でありますが、只今のところ定員外の経費というものは法律上許されないと考えておりますのでこれもできない。併し結局定員法の改正をして人間を殖やす、定員を殖やすということ以外に手はないのじやないかと考えております。
それからもう一つ運輸省全体の定員の関係と睨み合せまして、欠員があるならばそれを気象台のほうに、例えば融通したらどうかというお説もあつたかと思いますが、これは的確にはよく分りませんがやはり法律の改正を要するのじやないかと考えておりますので、この点もう少し私のほうでも研究をいたして御答弁申上げたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X00419510227/64
-
065・小酒井義男
○小酒井義男君 二三点お伺いをいたします。歳入のほうではこれを拝見いたしますと百二十億が借入金と貸付金で入つて来るというので、国鉄の経費は赤字かというような気もするのですが、そうでなしに貯蔵品収入のところへ行くと六百十六億九千三百万という数字があるのですが、これが結局前年度の繰越金という形になつて来るのじやないかと思うのですが、これはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X00419510227/65
-
066・植竹春彦
○委員長(植竹春彦君) 運輸省のほうですよ。その小さいほうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X00419510227/66
-
067・小酒井義男
○小酒井義男君 失礼いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X00419510227/67
-
068・岡田信次
○岡田信次君 港湾局の関係なんですけれども、さつきの北海道の港湾工事の何か特例法のお話があつたのですが、あれとこの二十六年度の予算の関係はどうなつておりますか。これを見ますと北海道の改修費として二億七千万円もかかつておるんですが、あれによると相当これは殖えなければならない、殖えないとすると、仕事の量を減らさなければならんというような状態になりますが、その関係はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X00419510227/68
-
069・国安誠一
○政府委員(国安誠一君) 只今の御質問は実はちよつと御趣旨がわかりませんでしたが、港湾局の予算の中のこの公共事業費の割合でございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X00419510227/69
-
070・岡田信次
○岡田信次君 そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X00419510227/70
-
071・国安誠一
○政府委員(国安誠一君) その中の北海道の港湾改修費、これでございますね、先ほどの法律とおつしやいましたのが、この公共団体の負担率の変更の問題でございますか、それにつきましてはこの予算ではまだそれ以前のものを計上しておりませんから訂正してございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X00419510227/71
-
072・岡田信次
○岡田信次君 そうすると二十六年度の公共事業費の関係で、北海道に対して三億三千万円余り、この法律が実施になりますと、補正予算をとるか或いは仕事の量を殖やしてやろうと思つてもやめるか、どちらかになるんですね、公共事業費から負担する分が多くなりますから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X00419510227/72
-
073・国安誠一
○政府委員(国安誠一君) お説の通りかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X00419510227/73
-
074・岡田信次
○岡田信次君 そうしますと、この予算案に出て来る北海道の港湾の改修の内容を、今日でなくてもよろしうございますがお知らせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X00419510227/74
-
075・国安誠一
○政府委員(国安誠一君) これは調べまして一つ御答弁いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X00419510227/75
-
076・小酒井義男
○小酒井義男君 これは予算全体の問題に関係を持つて来ると思うんですがこの前もちよつと部分的には船舶の建造計画のところで御質問申上げたことがあるんですが、この運輸省の予算全体を通じても、やはり予算を組まれたときと現在とは物価の値上りということでとてもこの予算に計画されただけの事業はできんだろうということはこれは予想できるわけなんですが、この問題についてこれだけの予算の枠内でやれるだけのことをやつておくということでは済まんと思うんです。全部やはり計画しただけの事業をやるとすれば、直ちにもう補正予算という問題がなお追つかけて来ると思うんです。こういうことについて当局としてはどういうようなことを今お考えになつておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X00419510227/76
-
077・国安誠一
○政府委員(国安誠一君) 一般的に申しまして只今おつしやつた通りです。何分にもこの予算の編成時期が昨年の五月、六月頃から始めまして、九月頃に終る、それに比べまして、最近の物価事情を申上げますと相当揆ね上つておりますので、更にこれを四月以降に実施するという段になると、又々相当の狂いがあると考えますので、予算といたしましては如何ともいたし方がないので、一応これで予算としてはできるだけこの線に副つての実施を研究したいと思いますが、それでもどうしてもできない分は計画の変更なり、或いは補正予算なりということをその次の段階において考える必要がある、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X00419510227/77
-
078・植竹春彦
○委員長(植竹春彦君) これはまだ岡田さんに対する御答弁も済んでいない分もあるわけですが、本日はこの程度にして次回に質問を続行することにして、それまでに御質問の要点をお考えおき願いましようか、皆さん如何ですか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X00419510227/78
-
079・植竹春彦
○委員長(植竹春彦君) それでは本日はこれを以て散会いたします。
午後四時七分散会
出席者は左の通り。
委員長 植竹 春彦君
理事
岡田 信次君
小泉 秀吉君
高田 寛君
委員
山縣 勝見君
内村 清次君
菊川 孝夫君
小酒井義男君
前田 穰君
松浦 定義君
鈴木 清一君
衆議院議員
伊藤 郷一君
玉置 信一君
政府委員
運輸大臣官房会
計課長 国安 誠一君
運輸省海運調整
部長 壺井 玄剛君
運輸省鉄道監督
局長 足羽 則之君
運輸省鉄道監督
局国有鉄道部長 石井 昭正君
海上保安庁次長 柳澤 米吉君
海上保安庁整備
救難部長 松野 清秀君
高等海難審判庁
長官 長屋 千棟君
航空庁長官 松尾 靜磨君
事務局側
常任委員会専門
員 岡本 忠雄君
常任委員会専門
員 古谷 善亮君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X00419510227/79
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。