1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十六年五月二十八日(月曜日)
午前十時五十五分開会
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本日の会議に付した事件
○日本国有鉄道法の一部を改正する法
律案(衆議院提出)
(右法案に関し証人の証言あり)
○一般運輸事情に関する調査の件
(調査報告書に関する件)
○観光事業に関する調査の件
(調査報告書に関する件)
○継続調査承認要求の件
○港湾法の一部を改正する法律案(衆
議院提出)
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001・植竹春彦
○委員長(植竹春彦君) 開会いたします。
一昨日の委員会においてお打合せの通り、本日は今回の日本国有鉄道法の一部を改正する法律案につきまして、これを只今より議題に供し、そしてお打合せの通りこの法律案について四人の証人をお呼びいたしました。加賀山国有鉄道総裁、鈴木監理委員会委員長、佐藤監理委員会委員、齋藤国鉄労働組合中央執行委員長、この四名のかたに順次証人として各委員からの御質問に答えて頂きたいと存じます。つきましては本問題に御証言願いまする際には、御発言の前に宣誓をお願いいたしまして、それから御発言をお願いいたしたいと存じます。宣誓書の朗読を願います。総員起立を願います。
〔総員起立、証人は次のように宣誓を行なつた〕
宣誓書
良心に従つて真実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。
証人 加賀山之雄
証人 鈴木 清秀
証人 佐藤喜一郎
証人 齋藤 鉄郎発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/1
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002・植竹春彦
○委員長(植竹春彦君) それではこれから本法律案について質疑をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/2
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003・菊川孝夫
○菊川孝夫君 私は先ず第一番に監理委員長である鈴木清秀さんにお尋ねしたいと思います。
今日は実は監理委員会を廃止するというような方向に向つての法律案が衆議院で議決されまして本院に回付されておりますので、非常に重要な問題だと思いますので、相当突込んでお尋ねいたしたいと思います。鈴木さんは私にとりまして曾つての上官でもあるし又大先輩でもあります。従つて質問するに当りまして、ややもすると先輩に対する礼を失するというようなきらいがあるかとも思いまするが、これもいい法律をこしらえよう、こういう見地の上に立つての質問であるので、若しそういう点がありましたらお許しを磨いたいと思います。
それでは第一番にお伺いいたしますが、第十回国会に日本国有鉄道法の一部を改正する法律案が提出されていることを、鈴木さんは監理委員長として御存じになつているかどうか、この点についてお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/3
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004・鈴木清秀
○証人(鈴木清秀君) 御質問にお答えいたします。日本国有鉄道法の一部を改正する法律案が議員提出法案で提出されておるということは存じております。併しながらこの法律案を知つておりますのは、いわゆる監理委員長としての職責で知つておるわけではありませんで、いわゆる個人でと申しますか、或いは監理委員会においてそういうことがあるということが懇談的に述べられて知つておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/4
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005・菊川孝夫
○菊川孝夫君 第二にお伺いいたしたいことは、この法律案の提出について提案者は誰であるかということについて御存じになつておりますか。例えば内閣から提出されておるか或いは議員の提出になつているかということを御存じになつておるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/5
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006・鈴木清秀
○証人(鈴木清秀君) 議員の提出案だということを存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/6
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007・菊川孝夫
○菊川孝夫君 それでは今日までに提案者のほうから監理委員会又は監理委員長に対しまして、この改正案を提出するに当つて何か公式でも非公式にでも意見を求められたことはおありになるかどうか、一つお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/7
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008・鈴木清秀
○証人(鈴木清秀君) 公式にも非公式にも提案者から私のほうへ意見を求められたことはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/8
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009・菊川孝夫
○菊川孝夫君 それでは鈴木さんが監理委員長に就任以来今日までの間に、運輸大臣又は内閣総理大臣から監理委員会に対してこういうふうにして欲しいというような申入れ、希望等を公式にお受けになつたことはおありになるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/9
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010・鈴木清秀
○証人(鈴木清秀君) 内閣総理大臣からはもとよりございません。運輸大臣におきましては職務の上において御相談申上げたことはございます。併しながらいろいろの御指図といいますか、御命令というようなものはまだありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/10
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011・菊川孝夫
○菊川孝夫君 第五番にお伺いしたいのは、これは佐藤さんと鈴木さんと両監理委員にお尋ねしたいのでございますが、あなたがたを推薦するに当りまして、監理委員に推薦するに当つて、あらかじめ下交渉というようなことがなされると思うのであります。藪かち棒にきめてしまつて、内閣のほうから国会に直ちに提出するということは私はないと思います。必ず推薦に当りましては下交渉がなされて、若し議決を経た、国会の同意を得たならば任命するから、あらかじめ承知して欲しいというような下交渉というものがあると私は思うのでありますが、その交渉をどういう方面、誰からそういう交渉をお受けになつたか、その点についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/11
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012・鈴木清秀
○証人(鈴木清秀君) その交渉は、もとより当時の運輸大臣から交渉を受けました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/12
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013・佐藤喜一郎
○証人(佐藤喜一郎君) 私にも御質問であつたと存じますが、御返事は鈴木委員長の通りであります。当時の運輸大臣から私の平生やつておる仕事と責任が果せる限度の任務であるかどうかということで内意を聞かれたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/13
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014・菊川孝夫
○菊川孝夫君 その受諾をされるに当りまして、日本国有鉄道法の第十条の規定に定められました監理委員としての職責を十分に果し得るという確信の下に御受諾下さつたことだと信ずるのでありますか、さようでございますか。指導統制云々という第十条の職責を果す点につきまして……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/14
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015・鈴木清秀
○証人(鈴木清秀君) もとよりお受けいたしまするにおいては、その職責を十分果し得られると信じてお受けいたしたのであります、発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/15
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016・菊川孝夫
○菊川孝夫君 特にここで鈴木さんにお尋ねいたしたいのでございますが、あなたの本職と申しますか、交通営団の総裁とこの監理委員との職が両立するという自信があつての上のお引受でございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/16
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017・鈴木清秀
○証人(鈴木清秀君) 両立し得ると考えておつたからであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/17
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018・菊川孝夫
○菊川孝夫君 次にお尋ねしたいのは、名誉職であるということはこの法律でもきまつておりますが、名誉職であることに対して途中で不満を感じられるようなことがなかつたかどうか、というのは名誉職であるからして手当、給料というものは全然出ません。殆んど公共の福祉のために奉仕をするというようなことで、実費支給だけのことになつておりますが、この点につきまして、こういう忙がしい仕事であるのにただで働かせるというような不満があつたり、或いは途中でこんなことだつたら引受けるのではなかつたというようなことがおありでなかつたかどうか、この点についてお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/18
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019・鈴木清秀
○証人(鈴木清秀君) 報酬を受けないということは前から承知しておりますし、又この仕事が報酬を受くべきものではないということを信じております。から、そういう気持を起しません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/19
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020・菊川孝夫
○菊川孝夫君 次にお尋ねしたいのは、あなたの御経験によりまして専任の有給制、即ちほかに職をお持ちにならずに、而も給料を国鉄なり内閣から受けるという専任有給制と現行の名誉職無給制と、どちらがいいかということを、第一回に監理委員に御就任になりまして、今日までおやりになつた経験に基きまして、どちらがいいというふうにお考えになるかどうか、この点をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/20
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021・鈴木清秀
○証人(鈴木清秀君) この監理委員会が有給であるほうがいいか、或いは無給であつて名誉職であることがいいか、これはいわゆる組織の思想の根本に関係するものだと思います。有給であるということは、実際面から申しますると、結局運営の執行の局に介入する虞れが有給で常勤であれば非常にあり得ることがあり、又そうあるべきだと考えます。かくするときは、運営の執行の統一の指導性を欠きまして、能率の挙るものではないと思うのでありますが、今日の監理委員会のごとく、総裁以下の運営機関に対して指導統制をするところの権限と責任を有するものは、名誉職であることが事業の能率化を図り、公共の福祉を増進するに適しておると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/21
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022・菊川孝夫
○菊川孝夫君 この点につきましてでございますが、実は本法案を提案される提案者のほうでは、名誉職無給制であるがために、とかく單なる諮問機関或いは監査機関に墮しておるようなきらいがあつたということを提案理由の一つに挙げておられるのでありますが、あなたはこの点について御存じになつておるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/22
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023・鈴木清秀
○証人(鈴木清秀君) 提案者の御理由は奈辺にあるかは私はよく存じておりません。併しながら監理委員会が無報酬であるがために單純なる諮問機関に堕するという理窟には当然ならないと思います。又我々が監理委員会として指導統制して行きます上においても、よくこの国鉄の運営が能率化され、公共の福祉を増進するよう十分注意を拂つて、絶えず指導統制しておりますので、そういう単純なる諮問機関に落ちることはないと信じておりますし、又過去の我々がとりました実績においても単純なる諮問機関になるとは存じておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/23
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024・菊川孝夫
○菊川孝夫君 次にお尋ねいたしたいのは、いよいよ核心に触れたいと思うのでありますが、監理委員会の存廃についてでありまするが、何といつても監理委員長としてその最も中枢にここ二カ年間あられたことでありまして、従つてその監理委員会が若しなくなつたならばどういう影響があるだろう。どういう方面に悪い影響があるだろう。又どういう方面にいい影響があるということにつきましても、一応今日までの御経験に基きまして、まあ結論にまだ達しておられないかも知れませんが、構想その他はお持ちになつておると思いますで、先ほどからお尋ねいたしましたところ、今回廃止するという案が出ておるわけでありますから、これに対しましては積極的な御意見も一応今日まで整つておられると思いますので、この点について整つて……又言い得る範囲の最大限の御証言を一つお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/24
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025・鈴木清秀
○証人(鈴木清秀君) 監理委員会が設置せられましたのは、私の考えまするところ、近代の企業形体であるところのいわゆる。パブリック・コーポレーシヨンに伴う必然的組織だと考えておるのであります。従つてこの監理委員会を廃止して、そうして政府直属の機関といたしますることは、いわゆる元の国鉄の組織に返つて、官庁の一部の組織に返つて来る、そういう思想だと思います。そういう思想のほうが、いわゆる自主性を保たせて企業運営をするところのパブリック・コーポレーシヨンと、どちらがいいのかということになりますると、これはいろいろの議論があり得ると思います。国有鉄道が発足いたしまして未だ年月が少うございまするが、果してどちらの運営がいいかということはかなり議論されるべき問題だと思いますが、一番研究し論究すべきところのものは、そういう官庁行政的組織に今返すのがいいか、或いは又今の自主性を持つて行くほうがいいかという議論になるかと思うのであります。その是非善悪につきましては今かなりの議論があると思いまするが、コーポレーシヨンが発足いたしましてとつておつたところの途、又あの終戦後打撃を受けて、回復して参りました途上から見て、コーポレーシヨンになつたということが決して惡い結果を生じておるとは私は存じておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/25
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026・菊川孝夫
○菊川孝夫君 そうすると更に重ねてこの点についてお伺いしますが、鈴木さんとしては公共企業体としていよいよその本領を発揮するには監理委員会は必要不可欠のものである、こういう確信をお持ちになつたわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/26
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027・鈴木清秀
○証人(鈴木清秀君) いわゆる運営の、コーポレーシヨンとしての経営において執行の部面と一般的監理の部面とがあるだろうと思いますが、近代の大規模の組織においては、大体においてこの執行部のすることの監理のほかに経営的監理をして、執行部の何と申しますか、独裁專恣に任せることのない機関を存置される傾向に私はあると思うのであります。これがいわゆるコーポレーシヨンの組織に対する二重機関の設置の理由でありまして、私はこういう制度は、公共機関が自主性を保ちながら而も公共性を保持する上においていい組織だと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/27
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028・菊川孝夫
○菊川孝夫君 次に巷間伝えられるところ、これは提案者からそういうことは述べられておりませんが、今回の桜木町の事故の問題についても相当影響しているように、まあこう入つて来るわけであります。勿論そういうことはないと思います。提案者もそういうことはないと言つておられますが、さてお尋ねいたしたいのは、桜木町事故につきまして、第十条に基きまして業務の運営を指導統制する責任を負うということになつておられますが、この指導統制について、特にこの指導につきまして、桜木町事故のような事故を起さしたことにつきまして、監理委員会として責任をお感じになつておるかどうかという点が第一点。次に原因であつた六三電車の改造が十分行届いておつたかどうかということだと思いますが、これにつきまして如何なる指導をされたかどうか、どういう指導をされたか、これを早くやるように指導せられたかどうか、そのまま放置しておられたかどうか、この点についてが第二点。第三点は本事故に鑑みまして再びこのような事故を起さないように御指導、或いは運営について指導されたと思うのでありますが、又将来如何なる指導をされようとしておられるか、この三点についてお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/28
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029・鈴木清秀
○証人(鈴木清秀君) 私はこの法案の改正が桜木町事件によつて提案されたものだというような憶測は一つもしておりません。桜木町事件について国有鉄道が責任を帶びておるということはこれはいなめない事実だと、そういう点において監理委員としても非常に遭難者その他について、誠に恐縮遺憾の点と存じておる次第であります。従いましてかかる事故が再び惹起せざるよう事故の原因につきまして今糾明しております。事故の原因に対する中間的報告は監理委員会に参つておりまするけれども、その後その直接の事故に携つた人々の拘置されておること、或いは出て来ましても、それによつて証言の言葉の食い違いその他におけるところの事実、及び路線における実地検査その他に対するところの原因の報告がまだ私の手許に参つておりません。これは国有鉄道のみでなく、監理委員会としては嚴正なる批判とか分折をいたしたいために、監督官庁にもお願いして、その報告をできるだけ早く提出するように求めております。いずれそれは完成して私の手許に参ることと思います。それによりまして事故の原因が如何なる原因に基き、又それが従事員の指導訓育上、或いは経営の方法の如何というような問題も糾明されることと思いますが、その後でないと如何なる責任の程度があり、如何なる責任の範囲に及ぶかということは申上げかねると思います。それからなおお尋ねのこれに対する事故を防ぐ方法について監理委員会はどういう方法をとつたかというお尋ねがございましたが、当時国鉄の運営、総裁以下役員の緊急対策としてとられておりますところの方法を聽取いたしまして、速かにそれを実行に移し、早く車両の改造その他について完成するように指導いたしまして、それと共に事故の将来起ることを防ぐために、現在も各部局がそれぞれ運転の安全を保持することに努めておりますが、これを横からよく批判し、そうして指導し、又従来の欠点その他においても考究するように、安全委員会を作るよう総裁以下に監理委員会は何といいますか、指図いたしまして、直ちに総裁のほうはその規定を相談し、監理委員会に提出いたしましたので、その議を経まして承認いたしまして、すでにその安全委員その他の任命を完了して事故防止に当つております。
それから六三型の電車そのものについての議論でありますが、これは事故の原因が糾明され、はつきりいたしませんと確たる御答弁を申上げることはできないのでありますが、監理委員会としては、あの電車が、殊に電気部分において改造せられて普通の電車と大差なきまでに改造せられておるということを聞いております。併しながらただ違うところは、いわゆる窓枠の面、天井の裏に何といいますか、二重天井になつておらないということでありますが、そういう差異があると聞いておりますが、六三型が果してそういうもので、普通電車とそれだけの違いであるかどうかという問題に対しては、なお運輸省その他の調査の結果を待つて我々ははつきりさせるつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/29
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030・菊川孝夫
○菊川孝夫君 それでくどいようでありますが、その点について事故が突発いたしまして、正式に問題を取上げて正式な監理委員会をお開きになつたか、お開きになつたとしたらば何回お開きになつておるか。
それから事故の現場、或いは事故車両等について実地に御覽になつたことがあるかどうか、監理委員会として調査委員を挙げるかどうかして御覽になつたことがあるかどうか、この点についてもう一点お聞きいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/30
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031・鈴木清秀
○証人(鈴木清秀君) 事故の起つた当日、私は旅行中でありましたが、翌る日帰京いたしますや、すぐ国有鉄道のいわゆる運営部門の役員のかたに会つて事故の聽取をし、応急処置を尋ね、更に臨時監理委員会をすぐ開催いたしまして、そうしてそれらのことを更に調査いたしまして、早く善後策を講じ、殊に御遭難のかたに対して十分なる弔意を表するよう即座に提案いたしました。それと同時に、先ほど申したごとく、運輸省のかたがたに、監督官庁に願つて事故の原因を早く糾明してそうして出して頂きたいということをお願いしました。
それで運輸省のほうでも実地検査をやり、又車両の検査をやるということでありましたから、どうぞその報告をしてもらいたいということで、我々は実地には参りませんが、その報告を待つておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/31
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032・菊川孝夫
○菊川孝夫君 次にお尋ねいたしたいことは、昨年の国鉄の機構改革以来の実績を御調査になつておるかどうか、この御検討になつておるかどうか。この機構改革以来、下部の職員の中には、国鉄の職員の中にもいろいろ意見があるだろうと思う。又幹部の中でも意見があるだろうと思う。又直接影響を受けるところの一般の利用者のほうにも意見が相当あるようであります。なかんずく監理局設置問題等をめぐつていろいろ意見があるわけでありますが、これにつきましてその実績を御調査になり、且つ御検討になつておるかどうか。ですでに或いは結論を得られて、このままで押切つて行こうとしておられるか、それとも不備な点を将来改正するために、特にまあ講和を控えまして、講和後の日本の本当の独立した曉に対処すべき一つの大きな構想の下にと申しますか、新たなる構想の下にこの機構改革をもう一遍検討しようというふうに、指導されるに当つてそういう指導をされようと企図されておるか。それともこのままでいいというので、暫く実情を見るというところでおられるか、この点について一つお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/32
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033・鈴木清秀
○証人(鈴木清秀君) あの機構改革をいたします際にも、監理委員会は、又そつちのほうの運営のほうの総裁以下の役員もそうでありましたが、非常に愼重を期して、北海道におきまして行い、次に四国において行い、そうして第三番目に全国に亘つて行なつたのでありまして、非常に愼重を期して行なつたのであります。併しながらその後におきまして、この監理局の運営問題について種々の議論を聞いてはおりました。併しながらその運営に対しましてまだ十分なる運営の欠点その他に対する調査の報告を求めておりません。組織というものは、社会が流転し、経済界が変りますと共に対応すべきものでありますので、現行の組織がいつまでも永続しなければならんものであるとも考えておりません。又現行の組織の惡いところは直さなければならんともとより考えております。併しながらまだそれらの欠点について報告を十分聞いておりませんので、今これを直すや否やというようなことについては私は申上げかねます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/33
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034・菊川孝夫
○菊川孝夫君 次に監理委員会には専任の職員を配置してあるかどうか。ありましたならばその人数、それから或いはあなたの意を受けて動く、本当の監理委員会直属の職員を動員するというような必要をお認めになつておるかどうか、それを要求されたことがあるかどうか、こういう点についてお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/34
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035・鈴木清秀
○証人(鈴木清秀君) 監理委員会は先ほど申しましたごとく、国有鉄道の原則的な重要な問題を調査し、又日々の運営状態を監視することを最も大きな責務と考えております。それがために、余りに多く運営の目々の執行に介入することは、機動性を失い、能率を失い、運営機関の活溌なる活動を妨げるものだと思いますので、私のほうとしては事務員を、いわゆる調査その他の事務員を設けてはおりません。併しながら監理委員会は絶えず又必要において執行部分の関係の職員を呼んで、そうして事情を聽取し、又報告を聞いております。それのみならず、監理委員会は総裁以下に対してこれこれの仕事、重要なるこれこれの仕事をきめる際においては、必ず監理委員会に諮らなければいけない。又こういうことは報告しなければいかんということを、いわゆる例示して実行させております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/35
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036・菊川孝夫
○菊川孝夫君 この報告についてでありますが、これは日本の官僚と申しますか、この官界にあつた人たちの報告は、非常にうまく筋道の通つたようにちやんと図の上にはできておるわけであります。これはもう鈴木さんもお認めになつておるだろうと思いますが、ところが実際の運営になりますると、やはりちよつとこの小首をかしげなければならんということが往々あるわけでございます。独自のやはり指導統制する面におきましては、向うから報告の出て来たやつを見て、そのままこれは善良なる人間、皆んないいというふうに解釈してしまつた場合もあり、又別な角度から今やつていることに対して、これはいかんというようなことも言わなければならんし、もつと強くやれと言わなければならんこともある。弱めなければならんというような面もあるだろうと思います。その点につきましては、やはり専任のあなたの直属の事務局とかを置きまして、これを派遣しまして、この報告と完全に合致するかどうか、そうぜんと執行部のほうでは、自分のほうでは執行の責任が成るべくこれで回避できるように、これは当然なるだろうと思うのであります。従つて指導統制せられる場合におきまして、今やつていることをいいように報告して来るのが大体常識になつております。惡い報告をして来るようなことは、先ず先ず実際現われてしまつたものはもう止むを得ないといたしましても……そういう点については、これはどうも不審を感じられたというようなことが今日までなかつたから、すべてその報告はいいものであるとして受取られて、その上に立つて指導統制に当られたか、或いは特別にその事務局或いはその他の者を派遣したり、或いは直接おいでになりまして現地調査等をおやりになつた今日までの経験がおありになるかどうか、この点について一つお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/36
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037・鈴木清秀
○証人(鈴木清秀君) まあ運営部門におきましても、日々の業務を執行しておる者と、その業務を監察しておる部門があることは御存じの通りであります。従いまして我々のところに説明に来られる、又我々が説明を求めるおかたは、両方とも必要があれば求めておるのであります。鉄道のごとき大きな組織の下におきましては、必ずやそう虚偽の報告をし得られるものではないのであります。いわんや公衆に接するものでありまするから、社会公衆からの声もあるのであります。私は不肖の者でありまするが、他の監理委員は社会人として非常に御活躍しておられるかたであります。従つて社会の人の声及び要求というようなものをよく聞かれまして、又それを監理委員会において、この聞こういうことを聞いたが、こういう事情はどうなつているか、又自分は汽車に乗つてこういう欠点があつたが、こういう点はどうして直さないかというようなことがたびたび監理委員会の席上に上るのであります。又監理委員会としても、社会のおかたの声を聞くために大阪に参りまして、大阪の有志のおかたを商工会議所に三十人くらい集つて頂きまして、忌憚なき意見を聞いて頂きました。こう申しましては失礼でありますが、ここにおられる高木参議院議員もその席に来ていろいろ意見を開陳して下された一人であります。その後我々も他の地方においてもそういういわゆる我々が知識を注入して頂きたい会を開きたいと存じ薫りましたが、いろいろの都合がありましてまだその後は着手しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/37
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038・菊川孝夫
○菊川孝夫君 次にお尋ねしたいのは、鈴木さんは交通営団の総裁として現職にあられるわけでありますが、交通営団は国鉄が一番大きな投資者になつております。どちらかといいますると、表現がおかしいかも知れませんが、資本家なのです。国鉄そのものが……、そこから資本を投下された会社の社長をやつている、こういうような恰好になつておりまして、子会社という、民間でいいますと子会社の社長が親会社の監理委員会の取締役会長というような恰好だと思いますが、総裁を社長といたしますと……。そういうような関係にあることがいろいろの点に、仕事をやられる上において或いはどうも矛盾を感ずるというようなことがあつたり、又遠慮しなければならん、親会社の社長に対して子会社の社長はちよつと遠慮しなければならんというような事実が、ひけめを感ずるというようなことと申しますか、そういう点が今日までの間になかつたか、あつたか、この点についてよくお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/38
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039・鈴木清秀
○証人(鈴木清秀君) 交通営団の仕事はいわゆる民間の営利会社と違いまして、公共的性格を持つておる事業をやつておりますので、資本は借りておりますが、その資本の運営にあつては営団の公共性を考えて自分はやつておりますので、それがために国有鉄道に気兼ねをしたりするようなことは一つも私はいたしたことはございません。却つて私は監理委員長として自分の職責を全うするためにかなりの指導統制をやつておるつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/39
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040・菊川孝夫
○菊川孝夫君 今日までのうちに、この第十条に基きまする指導統制につきましては、監理委員会としては、議決されたようなものは公文書で以て或いは総裁に対して手交するというような形式をおとりになつているか、口頭でなつているかわかりませんが、とにかく記録はされてあると思いますが、重大なる大きな監督、指導、或いはこういうことをせいというような勧告をされた、今日まで二カ年に亘つてやられました主なる事項について御記憶がございましたら、一つ主なる点だけでよろしうございますが、お知らせ願いたいということが第一点と、次に自動車運送事業は、これは非常な復興と申していいだろうと思います。戦前の状態に復して、より以上に又それよりも繁昌して参つております。又一方におきましては航空事業もこれは今に開始されようといたしております。従つてこれらの復興によりまして、国鉄がこれと競争しなければならん立場に当然立たなければならんと思うのであります。これは戦前にもあつたことでございまして、我々は下級従業員として国鉄に奉職しておりました当時も、その深刻な競争の表面に立たされた経験もございまして、この事態がもうすでに目前に私は迫つておると思うのであります。その対策を今から十分に国鉄の運営指導に当りまして立てておかれなければならんと思うのでございますが、必要であると私は思います。これにつきましてこの将来のこれとの競争、公正なる意味の競争でございますが、どういうふうにしようという指導をおやりになつておるかどうか、この点につきましては経済の專門家であられます佐藤さんと鈴木さんの御両名から一つ御意見を拝聴いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/40
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041・鈴木清秀
○証人(鈴木清秀君) 監理委員会が過去においてどういう仕事をなしたかということの御質問でありまするが、これを申上げるときはとかく自己宣伝になる虞れがありますので、誠に非礼だと考えまするが、それをお許しを願いまして、忌憚なく申上げます。
先ず第一に御存じ願いたいのは、私は思うに国有鉄道は旅客貨物の輸送を確保し増進して、公共の福祉に副うことが一つでありますと共に、国鉄が非常な一大消費者であるということを又考えなければならないと思います。従いまして国有鉄道が貨物、貨車の輸送をし、そうして公共の福祉を増進するためには、企業の安泰を来すために独立採算をしなければならんことは当然でありまして、又物資の購入、工事の請負に対しましてもその点に気を付けなければならんのでありますが、同時に非常な消費者であつて、日本産業に影響するところ多いので、その物資の獲得、或いは資金の支拂方法等に対しても格段の考慮を監理委員会としては拂わなければならんと思うのであります。そういう点において、私以外の監理委員は非常に事業及び金融に堪能なおかたでございますから、それらについていろいろの注意をせられておられるのであります。それで過去のことも一体……。もう一つは監理委員会は先ほどのようにこういうことは必らず相談しなければならん、又こういうことは事前に報告しなければならんということをとりまして、国有鉄道の外部機関でなくて、内部機関であります。従つていろいろの公文書を以て、こういう決議をして、こうしろという決議をするということは割合にないのであります。それよりは原案をいろいろ注意してそうして直させて、又原案を持つて来る、こういう場合が非常に多いのであります。それで監理委員会の歩みました遂について少しお耳障りかと思いますが申上げます。
第一、監理委員会が発足いたしましたときは、御存じのあの政府の政策による大量の人員整理であります。これは鉄道運営の衝に当る人の決死の覚悟と従事黄みんなの涙ぐましい準備によつて目的通り殆んど完成いたしたのであります。これは世の支援があつたためとは存じまするが、運営の衝に当る者の労に我々は感謝することが非常に多いと思う。これは国有鉄道の独立採算制に一歩進んだ大きな歩みでありますると同時に、国有鉄道従事員の規律の確立に対して大きな功績があつたのであります。こういう点につきまして監理委員会は絶えずこれに対して激励し、又細心なる監視を行なつております。又予算の編成に当りましては、いわゆる執行部のほうから予算の原案を持つて参りますると、その收入について、経済状態から見て果して妥当なりや否や、又支出の面において車両の修理、線路の修理に事なきや否やというようなこと、及び工事において電化の問題、車両製作量の問題、殊に車両における老朽化の特別修繕の問題というようなものに特別の注意を拂つて質問をし、又その予算のいろいろの変更をして、大蔵省及び関係方面に交渉することをし、そうして時々交渉中も聞きまして、今の日本経済上これで止むなく、又日本の輸送状況からこれでよろしいと思つたときに監理委員会は予算の承認をするのであります。又先ほど申しました消費者でありまするから、石炭の購入につきましては格段の注意を拂いまして、炭価の策定においても非常に注意を拂い、交渉前に聞き、交渉中にも聞いております。又この支拂時期或いは支拂方法というものは、石炭業界に影響するところが多いのでありますから、あのインフレ時代は二カ月で購入を認めておりましたが、今は六カ月にし、又銀行の信用によつて前渡金を交付する方法も講ぜられました。又車両の製作においても車両事業は日本の基幹産業であることを考えまして、我々は操業のコンスタントに行くような方法でいろいろの注文をするよう、鉄道経営の執行者のほうを指導しておるのであります。なお又連絡船の売却をよして、そうして保管せしめたり、或いは日本通運法で株価の起算を収益還元法を指示したり、或いは運賃改正においてはその増加率を将来経費の節約において、賄える分を減らすように、又仲裁委員会の裁定においては、自分の経費を節約して裁定に応ぜられるよう十分な努力をするように総裁のほうにも勧告しておるのであります。かくのごとくして、そのときどきにおいてその事情を聽取いたしまして、そうしていろいろその案に対して、言葉を換えて言えば、向うの原案をいろいろ注意して、合同作成になつたような場合もたびたびあるのであります。これは私は実際上の指導統制だと思つておるのであります。
次に自動車及び航空事業でありますが、殊に航空事業の発達というものは将来認められることでありますし、航空会社も設置され、先にはこの航空会社の経営見込みというもの及び国鉄に対する料金問題というようなものの報告を行い、それに対して種々の意見を交換いたしました。根本において自動車と航空とのいわゆる交通の使命というものを如何なる点におくのが国策上いいかどうかということは、監理委員会の問題というよりは運輸大臣の問題だと私は思つております。ただ監理委員会としては、この国策に定められた範囲において両方が完全に国民のために使命を達成し、併せて国有鉄道においては独立採算制が維持せられることが監理委員会の任務だと考えております。それがためには国有鉄道の線路及び車両の整備をして、旅客に対するサーヴイスを以てこれに対抗する、いわゆる料金競争ということでなくして、いわゆるサーヴイスの向上を以て対抗することが我々公共的機関であるものの使命だと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/41
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042・佐藤喜一郎
○証人(佐藤喜一郎君) 今鈴木委員長から具体的に使命というような事項についてお話がありましたから、私から附加える点はないのであります。一般的にいつてパブリック・コーポレーシヨンになりましてからも、国鉄の運営が一時的には独立採算制に余りに片寄り過ぎたという懸念がなきにしもあらずということがあつたのであります。ただそこで独立採算制と、日本の唯一の国有鉄道であります関係上、非常に公共性を持つておりますので、これが調和といいますか、協調をどういうふうな点で相矛盾なく最小限度の協調を持たせるかというのが、我々がいろいろな案が出て来ます上にしよつちゆう考えて来た一つの何であります。
次は先般の桜木町事件のようなときに起ります世間の批判の中に、相当贅沢な施設の列車ができておるが、ああいう金があるならばもつと緊急に修理せなければならんものがあるではないか。こういう点でありますが、この点につきましても我々としては平素から賛沢な施設に流れないようにこれは考えておるのでありますが、同時に国鉄としては只今申しましたように、日本の唯一の産業の根幹をなしておりまして、これが観光事業というものにも若干の関係があり、若干の贅沢なと思われる施設をすることも又国策の上から見て犠牲を拂つてもやる必要がある。こういう見地から贅沢な施設を許しているわけであります。今委員長が触れました電化の問題等につきましても、これは最大の車両消費者であります国鉄が、日本の産業の維持という面において余り自分勝手な採算にのみ走ることは許されませんので、この点についても平素委員会の運営において絶えず国鉄の当局者にこの点も留意するように申しておるわけであります。他の自動車の運営の問題につきましても、先ほど委員長が申しました通り委員会としては不当な競争を排除するという意味であつて、どういうふうな面に自動車、航空、鉄道が相併立して国民の福祉に寄與するかどうかという、そういう政策はむしろ運輸省のやる仕事であつて、我々として與えられた任務を忠実に守るという意味で、こういう点では我々の考えを運輸省に申すことはありますが、そういう政策面に、どうしたらいいということは我々の任務でないというふうに考えております。私の回答は終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/42
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043・菊川孝夫
○菊川孝夫君 只今の御証言によりまして、まあ内部に一つ融け込んで、どちらかというと総裁のブレーンとしての役目を十分お果しになつたというふうに我々は拜聽したのでありますが、ただここで最後に私お尋ねしました自動車運送事業と航空事業というものの復興によりまして、当然好むと好まざるとにかかわらずその競争を強いられることになる。又それなら公正な意味において、と申しますのは、戰争中、戰後を通じまして何と言つても国鉄にいたしましても私鉄にいたしましても、既存の交通事業というものはいわゆる旧勢力と申しますか、これはやや独占企業的な夢をむさぼつておつた状態である。どういう状態であつてもお客は幾らでも来てくれる、あぶれるという時代がなかつたのであります。今日では併しバスがどんどん動き出して参りますと、旅客をうんと取られてしまう、荷物がトラックのほうに行く、或いは航空機が本当に東京から大阪へ飛ぶようになりますると、今の特急というような問題も私は大きな影響を受けると思うのであります。こういう点につきまして、今から相当対策を立てておかなければならんと私は思うのでありますが、その公正なる競争に堪えて、そうして独立採算制を維持して公共の福祉に副えるようにしなければならんと思うのであります。これは大きな問題だと思うのでありますが、この点につきまして佐藤さんに特にお伺いいたしたいのでございますが、経済人といたしまして、特に代表的な経済人といたしましてどういうふうにして対処させようとしておるかというような点につきまして、十分監理委員会においても御検討になつており、或いはこういう方向からやろうというような結論が出ておるかどうか、この点についてお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/43
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044・佐藤喜一郎
○証人(佐藤喜一郎君) 只今の御質問でありますが、先ほども申上げましたように各種の交通の方法ができて国民が非常に便利を得るということは、従来アメリカの例に見ましてもわかつておるのでありますが、それが国民経済の力の上で十分にやり得るかどうかということについてはこれは別の問題であります。私は個人的には諸外国で見るがごとき贅沢な航空施設というものをやるだけにまだ日本の経済的の基礎がないものと見るのでありますが、先ほど申しましたように観光客誘致という、観光事業という観点からすれば、長い将来を考えてこういう施策が必要であるかと思います。但しこれらのことは運輸省或いは内閣乃至は国会としてお考えになることであつて、国有鉄道の監理委員としては現在の機構においてあらゆる競争には十分堪え得るという確信を持つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/44
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045・菊川孝夫
○菊川孝夫君 今の点につきましてはちよつとお話とは何ですが、まあ確信をお持ちになつておればそれで結構であります。
次に監理委員会は国有鉄道法の第十条によつて指導統制をされます。一方運輸大臣は第五章の規定によつて監督をされることになつております。これは表現が監督と指導統制でありますから成るほど違うようであります、字に書いた場合には。併し実際にやる場合になりますとそう監督と指導とどう違うのだということになつて来ると、なかなかその使い分けというものはそう簡単なことではないと私は思うのでありまして、従つて往々にして運輸大臣から、五章から従つて来る監督権と、あなたのほうが言われる指導権とが、総裁のほうに二本の線から参るわけになります。これが今日まで競合した、食い違つたという事実があつたかなかつたか。若しそれが食い違うような場合は、どちらが優先するとお考えになつておるか、この点についてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/45
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046・鈴木清秀
○証人(鈴木清秀君) この国有鉄道法の法的解釈につきましては、これは私がお答えすべき筋でもないと思いますからお許しを願いたいと思います。ただ今過去におきましていわゆる運輸大臣の監督権と我々の指導する統制との間に食い違つたことはございません。又そういう場面に、運輸大臣からこうあつたが、監理委員会としては反対だというような場面に私は逢著したことを記憶いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/46
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047・菊川孝夫
○菊川孝夫君 もう二、三点お伺いしたいと思います。公共企業体は何と言つても経理と人事の独立が私は必須の要件でなければならんと思うのでありまして、これはいろいろ本を読んで見ましてもそうでありまするし、現にそうなければならんと思うのでありますが、ところで第四章の会計の規定につきましては、これは経理の独立制というものは殆んどないように私は見受けますし、現にないんでありますが、つきましてはこれについては勿論監理委員会としては今日まで指導統制されるに当りましてこういう点を改正したほうがよかろう。これはあなたのほうとして意見を述べる必要はない、或いはそういう権限がないとおつしやるかも知れませんが、この仕事に携つて来て指導統制をされて来た経験としては、当然これはこういうふうに直したほうがよかろうという何か結論が得られた、或いは現行のままでいいかどうかという点、或いはそれともこういうふうに改正しなければならないという点、あなた個人としてでも得られておると私は思うのでありますが、又そのくらいの結論が得られなければならんと私は思うのでありますが、その点につきまして御意見がなければないで結構でございますが、おありになつたら一つここで我々が将来法の改正をいたしますに当りましても重大な参考というのは、今改正案が出ておりますから、幸にするならばついでに仮に修正するというようなことも考えられるのでありますから、そういう点からお尋ねするわけですから、一つ卒直な御意見の表明をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/47
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048・鈴木清秀
○海人(鈴木清秀君) この只今の日本国有鉄道法の組織の四つの自主性につきましては、お尋ねなされました通りに財政の自主性が割合に少いと思います。若しもこれを将来もいわゆるパブリック・コーポレーシヨンとして行くならばこれらに対する自主性をもつと拡充しなければならん、或いは包括予算制度のごときものによつて議会の承認を得るというような方法をとらなければならんかとも考えまするし、又今の日本国有鉄道におきましては、これは佐藤さんのほうが御專門でありまするが、金融その他の状況からいたしまして、鉄道のいわゆる資産に入るべきところの設備をする資金というもの、会社でいえば増資その他に充てるところの金というものが非常に不足しておると私は考える。こういう点に対して国会及び政府において特段の御考慮を携われることが望ましいことであり、我々もそういう方面においてもつと資金を仰ぎたいと思つて、その意味を関係の方面に陳情いたそうかと考えておりますが、これらは私の個人的意見でございまして、ただ監理委員会としてこれらの財政的規定の改正についての成案は得ておりませんことを併せ申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/48
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049・菊川孝夫
○菊川孝夫君 今度は佐藤さんにお尋ねいたしたい点がありますが、今日まで御指導になりまして、第四章の会計の規定中、特に佐藤さんは非常に豊富な御経験からこれについてはいろいろ御意見がおありになるだろうと思うのでありますが、特に第四章中今日まで御指導されて来た経験に基いて、障害になつたのは、これが一番障害になつておつたという点がおありになつたならばこの際お聞かせ願いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/49
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050・佐藤喜一郎
○証人(佐藤喜一郎君) お答えいたしますが、私は委員をやつておりますが、政府の財政法その他の財政法規のことには実は余り詳しくないのであります。但し我々の普通民間事業をやつております者の経験から、しばしば民間におきまして、こういうことをやりたいが、それは法律に縛られておつて駄目だ。或いはこの点は予算の面でできないというふうな事態にときどきぶつかつたことを記憶しております。従つて今の国有鉄道の年次予算の立て方というものは余りに伸縮性がなくて、もう少し機動性を持つた、実態に即したような形で財政法の適用が国有鉄道にあるべきであるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/50
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051・菊川孝夫
○菊川孝夫君 特に佐藤さんに重ねてお伺いするのでありますが、四十二条の二の借入及び鉄道債券についてでありますが、これはまあ佐藤さんの御專門だと思いますのでお尋ねいたしたいわけでございますが、これが非常に縛られておるわけでありますが、この条章についてもつと私は国有鉄道総裁の権限を持たしてもいいのではないかと、さように考えるのでありますが、今日までの御経験に基きましてその改正の要をお認めになつておるかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/51
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052・佐藤喜一郎
○証人(佐藤喜一郎君) この条文自体はすぐ改正の要があるが、まだこれは議論の余地があると……。私も結論を得ておりません。但し国有鉄道の運営移管の問題も日本の経済のあり方と若干の関係を持つております。例えば具体的に申せば、民間に資産が著しくたくさんあるならば、国有鉄道の運営についてもつと国家資金から離れて、その民間資金を利用するということも考えられるのでありますが、現状においては遺憾ながらその点が日本の経済力がそこまで及んでおらないと私は個人的には考えております。従つてこういう点について将来改正をしたいとは思つておりますが、まだその時期が……急ぐことはないというような感じを持つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/52
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053・菊川孝夫
○菊川孝夫君 次に本改正案は御存じになつておるでしようか、鈴木さん、国会に提案されておるのを……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/53
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054・鈴木清秀
○証人(鈴木清秀君) そう詳しくは存じておりませんが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/54
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055・菊川孝夫
○菊川孝夫君 さようでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/55
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056・鈴木清秀
○証人(鈴木清秀君) まあ大きな方針の問題については……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/56
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057・菊川孝夫
○菊川孝夫君 方針の問題については御存じ……、で、この改正案のごとく改正いたしました場合に、特に総裁以下の任命権の問題でございますが、任命の方法の問題、それから監事を設ける問題等につきましてでありますが、このように改正いたしました場合に、鈴木さんも長い間国鉄でお育ちになつていろいろの御経験もお持ちになつておるわけでありますが、過去におきましてはこの国鉄に今まで千二百億円の予算がありまするために、どうしてもまあ利権漁りといつたら語弊があるかも知れませんが、その勢力が伸びて来る。即ち、或いは政権の担当政党が変るたびにこの総裁の位置に大きな影響を及ぼすと思うのでありますが、総裁、理事その他の位置に……、そうするとそういうことが私はあり得ると、過去の実績に徴しましてあり得ると思うのでありますが、鈴木さんはどうお考えになるか。監理委員会がおありになるならば、その点については余り極端なる介入は、監理委員会が緩衝地帶としてこれを抑へ、そうして自主性を相当保持できると思うのでありますが、この点については監理委員会がなくなつた場合には、若しもあなたがたがおられなくなつた場合にはそういう危険があるとお感じになるかどうか。まあ大丈夫だろう、こういうふうに考えるかどうか、この点についてお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/57
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058・鈴木清秀
○証人(鈴木清秀君) 改正法案の監事ということが……、実は条文は余り存じておりませんので、普通の監査のものであるか、或いはドイツの国有鉄道法のようないわゆる一般の経営の組織に対しての監査の方向であるか、いわゆる指導監査の方向であるか、その意味がはつきりわからないのでありますが、若し指導監査の意味であるとするならば、言葉は違つていても今の監理委員会と大差ないものと考えるのであります。それで若し監理委員会を廃止し、総裁、副総裁の任命をそのように改正すれば、利権或いは政治の影響があるかどうかという、利権その他の問題に対しましては私は何ら顧慮することはないと思うのであります。ただ政局の問題については、監理委員会を廃止すればいわゆる官庁的のものになつて来る。それはつまり能率的のものよりも、言葉では公共を重んずる、その代りに政府の政策に影響を受けることが多いということは、一般学者のこういう組織について言われる言葉であります。過去の経験からこういう改正をしたら、将来起り得るや否やということは、これは政府の、政治家のとる態度のことでありまして、我々が云々することではないのでありまするが、いわゆる組織の、観念上から言いますと、いわゆる政局の影響を受けやすい組織になつているということは否めないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/58
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059・菊川孝夫
○菊川孝夫君 それでは最後に一点、国鉄の将来の組織並びに機構、それから現在の国鉄法等につきましては各方面、これは又国鉄総裁もお持ちになつており、監査委員会としてもお持ちになつており、国会議員の中でもいろいろ直さなければならん、改正しなければならんということは、終戰の混乱時代から徐々に立直つて参りましたけれども、新らしい事態に適合するようにこの間機構改革をされましたけれども、どうもしつくりしないものがあるように感じられるので、我々実地に調査いたしまして、各現場機関で聽取いたしましてもそういう意見も出て参ります。特に外部のほうの、民間の諸団体等からもそういう意見が出て参つております。従つて監理委員会としてもそういう構想に向つて今日まで検討され、或いは国会の常任委員会等においてもまた別な角度からこれを検討する。それから通運業者、一般関係業者、或いは利用者等から経験に基いて検討し、且つは国鉄に長いこと勤めておつて且つ割合に閑職にある人もあるが、外部から眺めて、これの先輩というような点からも意見を徴することも必要だろうと思います。こういうふうにしまして相当な長い期間を、相当な長い期間と言つては語弊がありますが、或る程度のかすに期間を以てして、そうして又すつきりしたものに改正したほうが私はいいと考えるのであります。そうしなくてはならんであろう。併し朝令暮改的なものはすべきでない。かように私は考えるのでありますが、この点につきまして、鈴木さんが監理委員長として今日まで携つて来られた経験から、そういうふうにお考えになつておるか、なつておらんか。この点につきましては佐藤さんからも御意見を承わりたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/59
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060・鈴木清秀
○証人(鈴木清秀君) 先ほど申しましたごとく、この国有鉄道の監理委員会を廃止することは、いわゆるコーポレーシヨンの性格上において非常に違つて来るものであるということを申しました。従つてその違つて来る機構がいいか、或いは現在の機構がいいかということは、先ほど申しましたごとく、かなり国有鉄道が日本国民の福祉に関係すること多いだけ、それだけ非常に考究せらるべき問題だと思います。現在におきまする日本国有鉄道は、発足いたしまして数年でありまするが、その成績において又見るべきものは私はあると思うのであります。併しながらこれからの国家の歩む道といたしましてどちらがいいかということは愼重に考えらるべき問題でありまして、殊に国会の法律立法権を持つておられるおかたにおいては、そのどちらに行くかということについてのお考えをお持ちになることが大切なことだと思うのであります。又同時に内部組織の問題につきましては、先般申しましたごとく社会も移り変りしますし経済状態も変る。いわんや講和会議においてはかなりの変動が我々は各産業にあり得ると思う。そういう場合においては今とつておる組織その他についても再考究しなければならん時機亦到来するのではないかということは考えられると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/60
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061・佐藤喜一郎
○一証人(佐藤喜一郎君) 只今の点でありますが、私としても今菊川さんのおつしやつたように、如何なる点に改正を要する事態が起つておるか、如何なる点がそのままでいいか、法律案全体を十分取上げて愼重にお考えになる必要があるということを私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/61
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062・菊川孝夫
○菊川孝夫君 私はこの監理委員会のかたに対する質問を一応これで終りまして、あと総裁、それから国鉄労働組合の委員長に対するお尋ねを保留いたしまして、私ばつかりやつておりますとどうも皆さんがた迷惑だと思いますので、一応あとの二名の証人のかたに対する質問を保留いたしまして、これで一応終らせて頂きます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/62
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063・内村清次
○内村清次君 暫時休憩の動議を提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/63
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064・植竹春彦
○委員長(植竹春彦君) 如何ですか、皆さん今内村委員から暫時休憩の動議が出ましたが、御異議がなければ……ちよつと速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/64
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065・植竹春彦
○委員長(植竹春彦君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/65
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066・内村清次
○内村清次君 それでは先ず監理委員会が構成せられましてから、この運用の面につきまして内規あたりを作つて会議の進行をやつておられるかどうか、その点。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/66
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067・鈴木清秀
○証人(鈴木清秀君) 先ほどお答えいたしましたうちに申上げた通りに、いわゆる運営執行の衝に当る者に対しまして、これこれのものは事前に必ず諮つてもらいたい、これこれのものは報告してもらいたいという大綱とその詳細の事項をきめております。併しながらそれは最小限度のことでありまして、委員会が開かれますごとに、その都度事件が生じましたときに電話を以て関係者を呼び寄せてその報告を聞き、指導をしておるのであります。なお内規というものはないのでありますが、監理委員会は毎週一回木曜日に開催することにきめております。それで殆んど今までにおきまして結構何といいますか、休みましたことは、私の記憶では一、二回切りないと思います。又臨時において開いたことも再三ある、そういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/67
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068・内村清次
○内村清次君 そういたしますと毎週一回というのが常例的に会を開いておられる。その際にこの国有鉄道法によりますると、勿論全員委員の御出席のない場合のときにおきましての会議の議決方針を明確にしてあるのでありまするが、現在までの会におきまして監理委員会のかたがたで殆んど全員が御出席になつたというようなことはないのであるかどうか。又その中に常に御欠席をされておるというような委員のかたがたがあるかどうか。その点一つ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/68
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069・鈴木清秀
○証人(鈴木清秀君) 実際から申しますと、大体全員出席しておると申上げてよろしいのであります。ただ大阪のほうに住まわれておるおかたがありますので、このおかたにつきましては私のほうから重大な問題があるときは出て頂きたい。そのほかにおいては少くとも一つ置きには是非出て頂きたい。又御本人も必ず出ておられます。一時御病気をなさつたことがありましたが、そのときにはちよつと休みました、肺炎を患つたときは……。又臨時のときには、委員会のときには出ておられまして、あの桜木町の事故以後においては一週二回開催したこともありますが、その際にも出て頂いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/69
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070・内村清次
○内村清次君 先ほどの証言の中に、運輸大臣の監督権におきまして、監理委員会がこの監督の問題とは一つも齟齬がなかつたというような御証言があつたようでありまするが、只今までの過程におきまして運輸大臣のほうから命令的な事項が監理委員会を通じて国鉄になされたような重大な経過があつたかどうか、この点をもう一つ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/70
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071・鈴木清秀
○証人(鈴木清秀君) 只今まで一回もございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/71
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072・内村清次
○内村清次君 先ほど最終の御証言の中に、鉄道の、いわゆる国鉄機構の改変についても今後におきましてそういう点も顧慮しておるというような御証言があつたようでありまするが、監理委員長といたしまして、この国鉄の一部変更が今回議員提出となりましたその動機の一つといたしまして、この国鉄の機構変更というものについての強い政府の要望があるというようなお感じがなされておつたかどうか、この点を一つ伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/72
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073・鈴木清秀
○証人(鈴木清秀君) 私はこの法案が提出されますのは、日本国家の日本国有鉄道のあり方としてよろしいものとして御提出なされたものと存じますので、国有鉄道内部の組織の問題がこの国有鉄道法改正に関連するものとは考えておらないのであります。先ほども申されましたが、国有鉄道内部の組織の変更は今どうするこうするということを申上げたのではなくして、組織というものは時代及びその経済状態と併行して行くのである。従つて特に講和会議後になれば多くの企業の態勢も変り、或いは日米経済協力というようなものもいろいろ変つて来るだろう。そういう際においては現在の機構の改変と睨み合して研究考慮さるべき時期があるだろうということを申上げたのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/73
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074・内村清次
○内村清次君 今日までの監理委員会が取扱われましたところの問題の中のこれは大きな問題でありましたと存じますが、この国鉄の組合関係と経営者、即ち当局との間柄におけるところの紛争問題も相当これは大きな問題であつたと思いまするが、そういうようなことを取扱いますについて監理委員会の構成、即ちメンバーにおきまして完全にこれが指導と統制ができたというような点につきましての御感想はどうでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/74
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075・鈴木清秀
○証人(鈴木清秀君) 組合の健全なる発達を図りますることは国有鉄道の経営上重大なことでありまするので、監理委員会としてはこれを望んでおります。ただ個々の団体交渉はこれは業務運営執行の衝に当る者がいたしますので、そのほうに主に委任して、その経過その他について指示し、又これに対する対策を行なつております。それで先ほど申上げましたごとく、仲裁委員会の裁定に対してはできるだけ応じられるよう経費の捻出をするというようなことを注意しておりまするし、曾つてありましたところの神奈川の山猫争議に対しても、運営執行委員のとりましたる処置に対して激励いたしております発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/75
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076・内村清次
○内村清次君 監理委員会の構成につきましては、このコーポレーシヨンになりました際におきまして相当国会におきましてもいろいろな方面、これは角度は違うかも知れませんが、いろいろな方面からこの構成について意見があつたと存じます。こういう意見を総合いたして見まして、現在の監理委員の構成五人のうちにおいて、全般に亘るところの、いわゆる企業全般に亘る業務の円滑なる運用ができるというような方向に、この委員会というものが健全にしておるかどうか、これが第一点ですが、第二点といたしましては、監理委員長といたしまして、この監理委員会を更に強化せなくては今後の即ち監督統制の面において欠陥がありはしないかというような杞憂を持つておられるかどうか、この二点につきまして一つ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/76
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077・鈴木清秀
○証人(鈴木清秀君) これは監理委員会の構成メンバーがいわゆる利益代表的なものにするのか、或いは経営というものを、いわゆる公共の福祉を増進するように能力経験主義で行くかという考えの持ち方だと思うのであります。今の国有鉄道のコーポレーシヨンになりましたのは、経営の面が能率的に運用され、公共の福祉に副うように経験及び能力を注いで行くという方針をとられておりますので、現行のような選出方法で差支えないのだと考えます。殊に利益代表に対しましては、最終の国有鉄道の支配権が議会に存するのでありまするからして、この点において正しいのではないかと私は考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/77
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078・植竹春彦
○委員長(植竹春彦君) 速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/78
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079・植竹春彦
○委員長(植竹春彦君) 速記を始めて下さい。
それでは暫時休憩をいたします。休憩に入ります前に、証人の御退席に当りまして申上げます。
証人におかれましては、公務非常な御多忙中お繰合せの上御出席御答弁頂きましたことに対しまして厚く御礼を申上げます。
それではこれにて暫時休憩に入ります。
午後零時三十分休憩
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午後三時三十三分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/79
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080・植竹春彦
○委員長(植竹春彦君) これより再開いたします。この際お諮りいたします。一般運輸事情に関する調査及び観光事業に関する調査について報告書を提出するごとになつておりますので、その案文等委員長に御一任をお願いいたしたいと思いますが、御異議はございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/80
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081・植竹春彦
○委員長(植竹春彦君) 御異議ないと認め、さように決定いたします。
なお報告書には多数意見者の署名を必要としますので、御異議のないかたは順次御署名を願います。
多数意見者署名
岡田 信次 高田 寛
仁田 竹一 内村 清次
菊川 孝夫 小酒井義男
高木 正夫 松浦 定義
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/81
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082・植竹春彦
○委員長(植竹春彦君) 次に一般運輸事情に関する調査については閉会中もなお継続して調査を行いたいと思いますが、御異議ございませんか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/82
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083・植竹春彦
○委員長(植竹春彦君) それでは本件の継続調査要求書を提出することに決定いたしました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/83
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084・植竹春彦
○委員長(植竹春彦君) 次に午前に引続き証人のかたに御質疑を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/84
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085・内村清次
○内村清次君 私は国鉄労働組合の中央執行委員長の齋藤鉄郎君に対しまして、今回国会におきまして日本国有鉄道法の一部改正案が提出されたのでありまするが、この内容の点につきましては企業体移行後におきまする労働組合の立場からいたしまして、労働組合におきましても相当関心を持たれた点があるやに存じまするが、先ず一般的なこの改正案に対する御意見から承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/85
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086・齋藤鉄郎
○証人(齋藤鉄郎君) 私、国鉄労組の委員長の齋藤であります。只今お尋ねの点にお答え申上げます前に参議院の運輸委員の各位には、昨年の仲裁裁定の問題を初め、国鉄のいろいろな問題につきまして深い御理解と御援助とを賜わつておりますことをこの席から厚くお礼を申上げます。又先般の桜木町の電車事故につきましては国鉄労働組合として深く遺憾の意を表明し、犠牲者の各位に対しましては心から哀悼を捧げ、再びかかる事故の起らないように管理者側と協力いたしまして原因の排除に全力を盡したいと思つておりますことを申上げたいと思います。
今内村議員からお尋ねの点でございますけれども、私ども労働組合といたしましても極めて重要な問題でございますので、真剣にこれらの点を検討いたしたわけでございますが、この改正案を拜見いたしますとその主要な点は監理委員会を廃止しようということと、それに伴います人事の任命方式の変更並びに運輸大臣の監督権限の強化という点にあるように思われますので、主としてこの点について申上げたいと思うのでありますが、併し根本の問題として皆さんにお願い申上げたいことは、鉄道は公共企業体として運営するのだという基本的な理念について一層の確信を持つて頂きたいと思うのであります。このお考えが確固不動のものでありますれば、今回の提案のごときも私はみずから解決するのではないか、そのように考えておるわけであります。何となれば鉄道を公共企業体にするということは、御承知のようにその目的とするところは能率的な経営によつて公共の福祉を増進することにあるからでありまして、以前のような運輸省式と申しますか、官庁式の経営方法では幾多の欠陥があつた。これを是正しなければならないというところに大きな狙いがあつたと思うのであります。即ち国鉄が政治的に、或いは政党的に惡い影響を受けるというようなことを排除して、或いは又行政的な制約のために能率的な経営ができなかつた。そういう欠陷を是正するというところに高い理想があつたと思うのであります。而も資本金は全額国庫負担になつておる。国営の企業に民主主義の国としての国会の意向と優越性というものを反映せしめて公共性を増進し、同時に企業性を発揮せしめるように深い配慮の下に生れたのが監理委員会という監理の制度ではないかと思うのであります。もとより公共企業体の監理委員の任命の形式等につきましては決定的なものはなく、例えば国鉄と専売公社を比較して見ると、或いは外国のそれもまちまちのようでありますけれども、公共企業体の本来の目的からしますならばどのような任命方式がよりその本来の趣旨に適うものであるかということによつて決定付けられると思うのであります。その点今回の改正案は監理委員会を廃止をすると、それから副総裁は内閣が任命する、それから理事は運輸大臣の認可を要する。及び監事は内閣が任命するというようなことは全く政治的な影響を受けることとなりまして、改正とは我々は思わない。労働組合としてはこれは改惡であるというので反対の意思を決定している次第であります。以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/86
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087・内村清次
○内村清次君 今回の改正案の大きな眼目は先ほど証人からも言われましたような監理委員会の廃止でありますが、労働組合といたしまして、而も今日御出席の齋藤委員長は、国鉄の労働組合関係におきましては終戰後その組合運動に携わられまして、而も国鉄の労働組合の結成が今日に至るまでの推移の点につきましてはよく御存じのかたでありまして、組合の目的の一つといたしておりまする企業の民主化という点につきましてこの監理委員会が設置せられました現在の法規中におきましても、相当労働紛争が国鉄内部において仲裁裁定を契機といたしましてあつたことは我々といたしましてもよく存じておるのでありますが、そういうような紛争の過程からいたしましてこの監理委員会の任務の中におきまして、いわゆる指導責任の分野からいたしまして、非常に団体交渉その他の面につきましてもそういう一般的労働関係について障害になつたというような点があつたかどうか。この点につきましてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/87
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088・齋藤鉄郎
○証人(齋藤鉄郎君) 今のお尋ねの点でありますが、国鉄経営の民主化というような点は、なかなか即断が困難でありますので、全く民主化されて来たということは断定的に申上げかねますが、併し新らしい憲法が生れまして以来、国鉄の企業というものもだんだんに民主的になりつつあるということは申上げることができると思うのであります。それから監理委員会が労働問題を解決するために何らか積極的な手を差伸べておるかというような意味の御質問のようでございましたが、監理委員会の任務については、法規上から御承知の通りでございまして、労働問題等については余り深く関與をしないのではないか、ただその内容につきましては監理委員会がどのように運営されておるかというような点につきましては、私ども労働組合とは絶縁されたような形にありますので、如何とも申上げかねるのでありますけれども、併し監理委員会が国鉄の民主化或いは労働組合運動上にマイナス的な具体的な事例があつたというようなことは、私只今までに記憶いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/88
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089・内村清次
○内村清次君 更に齋藤委員長はこの日本国有鉄道法が制定せられまする前のときにおきまして、即ちその責任と監督の所管というものがすべて運輸大臣にありました際におきましても、組合の最高幹部のお一人といたしまして、組合問題を処理された関係があつた経緯を私たちは存じておりまするが、今回の改正によりましてその運輸大臣の権限が強化されて参りまして、この改正案の中にありまするような組織及び業務運営というような基本的な変更、こういう問題を運輸大臣の権限でやられるというようなことに相成るのでありまするが、この権限の強化につきまして労働組合から眺めましたところのこの権限強化の観点につきましては、具体的な問題といたしましては、もう昨年のこの業務組織の問題も、経験から御勘案になりまして、このように運輸大臣のほうが権限を持つたほうがよろしいんだというようなお考え方があるかどうかですね、この点一つ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/89
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090・齋藤鉄郎
○証人(齋藤鉄郎君) 先ほどもちよつと申上げましたが、国鉄が企業体というものに改められて特殊の法人組織になつたのも、行政的な制約から解放されて、そして会社までは行きませんでも、会社に近いような自由な企業性が発揮された合理的な経営を目的としたこと、即ち経営に自主性を與えようというところに目的があつたと思うのであります。然るに只今御指摘のような点で、国鉄の基本的な業務運営の変更を運輸大臣が命ずることができるというようなことになりますと、企業の自主性というのがその根幹において覆えされて、国鉄総裁の責任ある業務運営は不可能になるのではないかというふうに私ども非常に心配をいたしておるわけであります。そう申上げると、或いは反対の説としてそれでは運輸大臣の意向が国鉄に反映しないことになるのではないかというような御心配もあるかと思われますけれども、現在の国鉄法の第五章には、運輸大臣の監督権が嚴然と謳つてありまして、毛頭そのような心配は私はなかろう、従いまして私どもとしては、運輸大臣の権限が必要以上に拡大強化されるということは、国鉄が折角企業体というものになりながら、企業性が発揮できないという心配が非常にありますので、現在の法規の程度がむしろ賢明ではないかというふうに考えているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/90
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091・内村清次
○内村清次君 最後にいま一点お伺いいたしたいのですが、今回の改正は、すでに先ほどの証言によりましてよく御存じで、而も御反対の発言であつたように承わりますが、この日本国有鉄道法の改正に当りましては、むしろこういう反対的な、即ち改正よりも、どこに一つ重点を置いて今後企業の公共性を生かしながら、又運営におきましても独立採算的に、而も又組合の掲げておられるところの諸条件を満足するような方法にみずから協力態勢を持つというようなこと、即ち或いは経理の問題だとか、或いはその他の、即ち組織の問題につきましての御意見があるかどうか、その点を一つお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/91
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092・齋藤鉄郎
○証人(齋藤鉄郎君) その点につきましては、第一に要望申上げたいのは、行政上の自主性を確立したいということであります。第二の点は人事上の自主性の確立ということであり、又先ほど午前のときに菊川委員からも申されましたが、特に私どもとして組合運動を通じ、或いは業務面から見て参りまして、是非とも企業体として確立いたしたいのは、財政的な宿主性の確立という点でございます。この点については深く御理解があると思いますので余り申上げませんが、特に財政的な自主性の確立という点でございます。現在の国鉄の企業というものは、独立採算制ということだけが非常に強く強いられておつて、一面において運賃等においては非常に低く採算割れをしておるというような不合理をそのままに、独立採算だけを強いられておる。その結果何らかの合理化ということで、一番弱い部面にそのしわ寄せがあつて、或いは人員整理になり、或いは又低賃金というような問題が起つて来る。労働条件の低下と、いろいろな問題が起つて来るのでありまして、私どもといたしましては、運賃問題の合理的な解決、それから財政的な自主性の確立、これを是非お願いいたしませんと、折角公共企業体として国鉄が再発足したのでありますが、何か脚を縛られて、二人三脚で走つているような恰好でございますので、是非とも財政上の確立ということをお願いいたしたいと存ずるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/92
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093・植竹春彦
○委員長(植竹春彦君) 齋藤証人に対して他に御質疑はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/93
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094・菊川孝夫
○菊川孝夫君 組合として日本国有鉄道法の一部を改正する法律案に対する要請書として各議員に配付されておりますが、これは国鉄労働組合の名前で配付されておりますが、これは反対の意見書であります。これは組合の如何なる機関において決定されたか、執行委員会であるか或いは中央委員会であるか、大会であるか、この点について……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/94
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095・齋藤鉄郎
○証人(齋藤鉄郎君) 中央闘争委員会の会議によつて決定されたものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/95
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096・菊川孝夫
○菊川孝夫君 この要請書は当然あなたのほうの組織を通じまして、各支部へも指令と言いますか、通知をしておると思うのでございます。この意見は、これに対しまして各支部から意見が上つて来ておるだろうと思うのでありますが、重大な問題でありますから本部の決定通り賛成の意見が来ておるか、反対の意見が来ておるか、この点について……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/96
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097・齋藤鉄郎
○証人(齋藤鉄郎君) 国有鉄道法の部改正につきましては、今国会の会期末へ来まして私どもとしては突如としてこれを知つてわけでございます。従いまして今御指摘の支部或いは全国の分会等に対する連絡でございますが、勿論私どもは連絡をいたしました。その結果については反対の意向が次々と表明されて参つておりますけれども、そのことごとくを私どもは今本部としてその意向を取りまとめたという段階までには立至つておりませんけれども、現在いろいろな、支部或いは地方本部からやつて参ります情報或いは反対陳情者の意向というのはことごとく反対の意向にあるということは申上げられると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/97
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098・菊川孝夫
○菊川孝夫君 それではあなたは組合の最高の幹部として、この決定に従つて提案者であるところの衆議院議員の前田郁君ほか四名の諸君に対してお会いして意見を申述べたことがあるかないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/98
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099・齋藤鉄郎
○証人(齋藤鉄郎君) 私はいろいろな事情から只今御指摘の議員のかたがたに会つておりませんが、国鉄労働組合はいろいろと事務を分担してやつておりますので、国会関係を分担しておる者はこれらのかたがたに国鉄労働組合の意向は伝えてあると、そう信じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/99
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100・菊川孝夫
○菊川孝夫君 それではその意向を伝えた場合に如何なる返事を得たか、あなたは報告を得ておるかどうか、その要請書を持つてですね、これは我々にも配付されたが、当然立案者に対してはより以上に説明をし且つ了解を求めるような陳情はやつておられると思うから、又やつておらなければならんと思うのです。やつてどういう返事を得てあるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/100
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101・齋藤鉄郎
○証人(齋藤鉄郎君) 只今御指摘のかたの意向がどうであつたかということを、私今確信を以て申上げるほどはつきりつかんでおりません。ただ国鉄労働組合の者がお会いした議員のうちには反対のかたも随分あつたという程度しか只今のところ申上げることができません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/101
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102・菊川孝夫
○菊川孝夫君 次には監理委員会を廃止するということに対しましてあなたのほうでは反対の意向でありますが、つきましては今日まで或いは監理委員会からあなたがたの労働事情、労働運動の情勢等を調べるために報告書を求められたようなことがあつたかどうか。又は監理委員会に呼出されて、そうして意見を聽取されたことがあつたかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/102
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103・齋藤鉄郎
○証人(齋藤鉄郎君) 先ほど内村議員からお尋ねのときにも申上げましたが、監理委員会と私どもは絶縁されたような形になつておりますので、私どもから監理委員会に対して何らかの申入れをし、或いは意見を申述べたこともありませんし、又監理委員会のほうから労働組合に対して直接どうこうという指示があつたことは現在まで記憶いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/103
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104・菊川孝夫
○菊川孝夫君 次にあなたのほうでは、従業員の経営参加が認められるべきであるという主張をしておられます。経営参加につきまして実は公共企業体労働関係法では運営については団体交渉の範囲外にある。併しこれは参加することは例えば協力会議その他の形式で以て参加して、冒頭にあなたが陳述されたように例えば桜木町の事件のようなことを再び起すようなことのないように、これは労使相戒め合い、相携え合つてやつて行こうというような意味を持つことは一向これは、団体交渉は範囲外としてありますが、できると思うのであります。この経営参加について協力会議その他の方式で以て作りたいという要求をされたことがあるかどうか。それからこれに対して総裁のほうからどういう回答があつたか。それから或いは不服として調停委員会にかけたとか、そういう経緯がありましたらお知らせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/104
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105・齋藤鉄郎
○証人(齋藤鉄郎君) 国鉄の民主化、国鉄の民主的経営という点からいたしますれば、労働組合が経営の或る部分に参加すると申しますが、労働組合の意向をも十分反映されて運営されることが望ましい、そうすれば労働組合員としても経営に自分らが参加して、この運営については我々の意向が十分に反映しているんだということによつて責任を感じて真剣にやることができると思いますので、是非とも経営参加の形にありたいということで、労働組合としては組合が発足いたしました五年前から努力をしておるわけであります。五年前にはそういうことで経営協議会があつたわけでありますが、いろいろな事情から経営協議会はその後中断をいたしました。で最近いろいろな情勢から我々としてもいわゆる文字通りの経営協議会というようなものが困難であるならば、従業員の意向を経営に参加反映させるために協力会議でもよろしい、こういうようなものを持つてはどうかということを組合としても協議中であり、当局側においてもこれらについて最近考えておるということを聞いておるわけでありますが、最近においては正式にこれらについて当局に労働組合が申入れをしたということはございませんが、組合は現在これらの点について考慮中でございますので、近く何らかの形で当局に呼びかけるようになるであろうというふうに只今予定いたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/105
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106・菊川孝夫
○菊川孝夫君 あなたのほうの御意見として、この監理委員会がなくなつたならば、非常に政治勢力、政党内閣の完全な支配と抑制の下に置かれるということを言われておられるのでありますが、今日までの間に先ほど私が申上げましたように監理委員会とは殆んどこれは切り離されておつたと言われておりますが、併し監理委員長或いは監理委員のかたがたに対しまして、あなたがたの決定に従つて意見を具申したりするのは、これは一向差支えないと思うのでありますが、今日まで監理委員会に対しましていろいろ重要な意見を申述べたことがおありになるかどうか、この点について……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/106
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107・齋藤鉄郎
○証人(齋藤鉄郎君) 先ほども申上げましたように、労働組合としてはやはり団体交渉の相手が国鉄当局でございますので、専ら国鉄総裁を相手に団体交渉をし、或いはいろいろな申入れをやつておるわけでありますので、そうした事情から監理委員会に対してはいろいろな申入れをしたというような記憶は只今持つておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/107
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108・菊川孝夫
○菊川孝夫君 そこで本改正案のごとくしたならば政党内閣の完全な支配と抑制の下に置かれるというのは、これはどういうところから、過去の経験から言うのか勘であるか、どうしてこういう結論をお出しになつたかという点についてお伺いしたいのであります。と申しますのは、そういうことはないということを立案者のほうでは私が何回お尋ねいたしても強調しておられます。であなたのほうの意見とまるきり対立することになるわけでありますが、この結論をどこから求められたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/108
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109・齋藤鉄郎
○証人(齋藤鉄郎君) それは副総裁は内閣が任命するということが一つ私挙げることができると思うのであります。で総裁については両院の同意を要しますので、私は総裁についてはそう問題なかろう。併し副総裁は内閣が任命する、これが一つであります。それから理事は運輸大臣の認可を要する。更に運輸大臣が理事に対して罷免権を持つておるということが今度の改正案にあるわけであります。それからもう一点は、監事は内閣が任命する、こういう点から私ども考えますときに、どうしても政党的な色彩が強くなつて来るということは国鉄の何年かの歴史を見ました場合に想像に難くないところであります。特に私はこの監事の任命権者を内閣にするというようなことは地方自治体における監査委員の選任の場合等に照らしまして、これは今度の監事という職名では何をやるかという職務分担内容が明確にされておりませんので、地方自治体の監査委員と比較して申上げることはどうかと思われますけれども、併し地方自治体において監査委員を選任するというような場合は、自治体の長が議会の承認を得て選任をするということになつております。これらの点から照らして今度の改正案に、監事は内閣が任命するというような点については、私は非常な心配を持つわけであります。これらの点から言いまして政治的な支配を国鉄が受けることが濃化されるのではないかというふうに心配をいたしておるものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/109
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110・菊川孝夫
○菊川孝夫君 では最後に一言お尋ねしますが、あなたは去年の暮でしたか今年の初めでしたかに、組合から選ばれましてイギリスへ労働運動の実情を調査に行かれたはずであります。従つて国鉄労働組合の最高の責任者として当然イギリスヘおいでになつたときには、イギリスの鉄道の経営について研究をして来られたと思うのであります。この際に、イギリスの鉄道は国有鉄道になつているかどうかそれをはつきり、まあなつていると思うのでありますが、これはどういう監理方式によつて、例えば監理委員会があつて、その下に総裁、副総裁があるかどうか、こういう点については重要な研究目標の一つであつたと私は思うのでありまするが、そうしてその確信を得て帰つて、この今回の改正案に対する態度を決定するについても、あなたは相当有力な発言をされていると私は思うのでありますが、だつたらその点について一つ証言を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/110
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111・齋藤鉄郎
○証人(齋藤鉄郎君) 折角お尋ねでございますが、極めて短かい期間、而も事ら労働関係ということで参りましたので、御指摘の点を確信を以て申上げるほど調査いたして参つておりません。ただ私が申上げることができますことはイギリスの鉄道は私の鉄道、いわゆる私鉄というものが全然ない。全部国有鉄道であつて従業員の数は全部で七十万と聞いたわけでありますが、その運営の方式は日本の鉄道のように、いわゆる官庁式ではない。公共企業体のような形を取つているということはその通りでございます。それから経営の民主化の一つの現われとして一つの委員会を以て労働組合の代表者、或いはいろいろ学識経験者の代表者が加わりまして、国鉄の運営についての一つの委員会が設けられておりました。なお運賃の定め方についても折角でありますから申上げますが、日本の場合は国会の議決によつてきめることが財政法の第三条できめられているわけでありますが、イギリスの場合には日本における裁判所あたりと似たような運輸審判所というところにおいて運賃が定められているのでありますが、これらの点から見て日本の運賃の定め方というものについては深く検討して見てはどうかというふうに考えるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/111
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112・菊川孝夫
○菊川孝夫君 国鉄総裁が見えたが、よかつたら一つお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/112
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113・植竹春彦
○委員長(植竹春彦君) どうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/113
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114・菊川孝夫
○菊川孝夫君 よろしうございますか。それじや……、第一に国有鉄道総裁にお尋ねいたしたいのは監理委員会から今日まで受けられました指導統制の重要な、主なものにつきましてこういう指導を受けたというものがありましたら二、三重要な点だけ御証言願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/114
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115・植竹春彦
○委員長(植竹春彦君) その前にちよつとお諮りいたしますが、齋藤証人はもう……、どういたされますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/115
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116・菊川孝夫
○菊川孝夫君 もうほかのかたの御質問なければこれで……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/116
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117・植竹春彦
○委員長(植竹春彦君) それじやどうぞ御自由に……。証人として加賀山国有鉄道総裁に……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/117
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118・加賀山之雄
○証人(加賀山之雄君) 監理委員会ができまして二年になりますので、その間非常に数々のことについて指示を受け、又指示とまで行かない示唆程度のことでございましたら数限りがございませんが、只今のお問いは主なことということでございまして、機構改正の問題についてこれは経営上の最も重要な問題でございますので、いわゆる縦の責任体制を確立するということと、この監理の段階を一段減らすということについて我々の考えを十分述べ、この点について監理委員からは勿論その方針はいいと思うが、何しろ機構の改正というようなことについては極めて愼重でなければならんということと、その移り変りについて特に摩擦混乱、経費の増大というようなことを避けなければならんというようなことについて指示を受けたことは、私ははつきり記憶をいたしております。次に予算の編成時期はいつ頃とのことでございますが、我々のほうで予算の原案を作成するわけでありますから、この原案の作成に当りましては、我々のほうで作りました数字を前以て御覧を頂きまして、この予算原案の作成に監理委員会の御意向を十分取り入れて行うという方法を、我々として取つて参つております。次にこれは極めて最近のことでございますが、今回の不祥事件に鑑みまして、直ちに安全委員会を組織すべきであるという重大な御指示を得まして、早速にこれを規定化し、安全委員を任命いたしたということを御報告いたしたいと思います。その他先ほど申上げましたように、この定例或いは臨時の監理委員会において受けましたところの指示、示唆を申上げるならば、到底これは十分な時間を頂くわけに行かないというように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/118
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119・菊川孝夫
○菊川孝夫君 第二点にお尋ねしたいのは、指導統制と理事会の決定とが対立したことがあるかないか。こういうことをやれ、やつたらどうだという示唆がなされると思いますが、これができないという理事会の決定がされる場合もあり得ると私は思うのでありますが、そういうことは今までにあつたかなかつたか。あつたならば実例を一つお話願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/119
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120・加賀山之雄
○証人(加賀山之雄君) 今朝ほども監理委員長からお話もあつたかとも存ずるのでございますが、結論を申上げれば、さようなことは一回も私経験をいたしておりません。と申しますわけは、この監理委員会の席上、並びにこれはここにお目にかかる機会も数多いのでございまして、監理委員会の御意向というものは、私のほうではこの根本については十分に前以て伺つておる。かような状態でございまして、この状態は勿論理事会を通じ、その他の業務上を通じて各理事たちにもわかつております。従つて理事会で成案を作ります場合には、すでにもう十分に監理委員会の御意向を反映して、或いはその決定を待つた後でこの理事会の打合せをするというようなことにも相成りますので、その点からいたしまして、この二年間私どもといたしましてこれが対立をして、その解決に苦しんだという記憶は一度もございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/120
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121・菊川孝夫
○菊川孝夫君 ちよつとこれはうがつた御質問になるかも知れませんが、現在国鉄には副総裁を置くということは規定には今きめられてございます。ところが今副総裁は空席になつておるように思いますが、未だに置かれないのは、あなたは副総裁の分も十分やれるというので、これを無用物として置かれないのであるか。さもなければ第二十条の規定で「副総裁は、監理委員会の同意を得て、総裁が任命する。」とある。従つて私が先ほどお尋ねしたのは、副総裁を任命するに当つてその同意を得られないために今日まで置いてないのかどうか、この点について一つお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/121
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122・加賀山之雄
○証人(加賀山之雄君) この副総裁の選任につきましては、実はあつたほうがいいことは勿論でございまして、私どもといたしましても、適材を得て何とかして副総裁を補充したいという気持を持つておつたわけでございますか、このいわゆる部内を見まして、非常に適材と申しますか、現段階におきましていわゆる何と申しますか一人の人を特定して、副総裁を置くということは必ずしも適当ならない段階にございまして、この問題につきまして監理委員会にも相談をいたしまして、副総裁ではないが、いわゆる副総裁が複数であるというような考え方を持つて進むということで、いわゆる專任の理事、担当を持つております理事を、それぞれの分野における責任者として私の仕事を代理せしめるという立場で行なつて参りました次第で、その点について監理委員会に具体的に意見が合わなかつたために置かなかつたというような実情はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/122
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123・菊川孝夫
○菊川孝夫君 今の総裁のお話は、どうも何だかすつきりしないように思うのでございますが、あつたほうがいいが、監理委員会との意見の対立でない。ところが適任者があるような、ないようなお話でありましてはつきりしないのでございますが、あなたのほうで必要をそう認めない。これはあつてもなくても実はいいんだというふうなお考えか、その代理者が必要だこういつておられまして、ちよつと十分に呑込めておらないのですが、とにかく結論といたしまして副総裁の問題は別に問題じやないのでありまして、私は第二十条について監理委員会との対立問題に触れておるのです。それでは監理委員会に対しましてこういう人間を副総裁の認可をしたいというような同意を求めたこともないわけでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/123
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124・加賀山之雄
○証人(加賀山之雄君) 一人の副総裁を設けるということについて監理委員会の御意見を伺つたことはございません。先ほど申上げましたのは結局何でも置けばいいことではなくて、結局人の組合せで仕事をやつて行くわけでございまして、今の段階としては特定の人を一人副総裁にしたいということについて、私としては非常に困難を感じて、むしろ今の段階では特定の人を副総裁としないほうがいいということを考えたから置かなかつたと、かように申上げた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/124
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125・菊川孝夫
○菊川孝夫君 次にお尋ねしたいのは監理委員会があるために非常によかつた、なかつたら大変になつたと思うような実例が今日まであつたかどうか。それから第二点としてその反対になければよかつた、ああいうものはないほうがむしろ自由に腕を揮えたというような実例があつたかどうか、この点について一つ伺いたい。実例があつたかどうか……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/125
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126・加賀山之雄
○証人(加賀山之雄君) あつてよかつたと申しますか、今朝ほど来委員長からお話があつたと存じますが、内部機関としての監理委員会が我々が運営の実施方策をきめて行きます場合に、何としてもこれは自分では十分いろいろなことを勉強しておるつもりでも欠けた点がないとは言えない。特に金融でございますとか、他の商工業面につきましてはどうしてもこの知識経験が非常に広汎であられるかたがたの御意見を、あらかじめ一応調査して運営の実施に移るということは極めて大切なことでございますので、具体的に例を取れと言われましても、これは又例えば予算の内容から御説明をして行かなければならないことに相成ると思うのでありますが、主として事業計画を定めて行きますような場合、或いは運賃の引上げを企画するような場合、或いは物の購入をいたす、その契約をいたしますような場合、このいずれの場合におきましても私どもといたしましては監理委員に諮つてこの決定を得て、我我が実施に移すということが国有鉄道の経営に非常に大きなプラスになつて来たということを確信しておるのでありまして、監理委員会がなければよかつたというようなことを考えたことは今まで一度もございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/126
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127・菊川孝夫
○菊川孝夫君 次にお尋ねいたしたいのは、今国会に提案されておりまする改正案のうちの重要な一つである重要人事、幹部の任免についてでありますが、役員の任免について相当任免の方式が変つて来るわけであります。副総裁、理事、監事の任命についてでありますが、この点に関しまして今まで総裁としての経験に基いてこういうやり方にやつては困ると思われないか、それともこういうやり方のほうがいいと考えられるか、これについてのあなたの率直な御意見を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/127
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128・加賀山之雄
○証人(加賀山之雄君) 責任を持ち運営をやつて行きます場合に、これは誰しも非常な大きなチエツクをされるということは喜ばないだろうと思うのでございまして、私にそれを聞かれますならばそれはこの総裁の判断で理事の任免ができる。これが総裁が理事の人事も握つておるということが非常にやりやすいということは当然のことであろう。これは單に私一個の意見と申しまするよりは、ことの当然のことに属するのではないかというように考えるのでありますが、併しながらこれは非常に大事な問題であります故に、いろいろの眼を以て見て、そうして国有鉄道の誤りなきを期するという意味で行きますれば、これは段階を以て更に運輸大臣の承認を得てというようなことに定めましても、私はこれは結局そのやり方、運営にかかつて来る。つまり同じ気持で総裁も人事を行い、運輸大臣も考えられるならば、結果としては私は一致するのではないかというふうに考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/128
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129・菊川孝夫
○菊川孝夫君 いや、ここが一つもう少しはつきりとは言いにくいかとも思いますが、御証言願いたい。第一に先ほど副総裁の件について私お尋ねいたしましたが、副総裁についてはあなたの御意思から今適当な人を選ぶといろいろ問題が起きるし、いろいろあるので、まあ複数制にして代理的に事務をやらしている。ところが新たに法律が改正になりますと、内閣が任命するということになつて、内閣から天降り的に来ることになるわけであります。従つて任命方式につきましても、今のやつでやつたならばあなたから監理委員会に同意を求めて、そうして任命できることになつておりますが、今度は事と次第によりましては、あなたはそういうふうにお考えになつておろうとも天降り的に副総裁が来ることになることはおわかりだと思うのであります。従つてそういうことをやられた場合には今でもその人選にもお困りになつておるというような際でありますからして、ましてや天降り的にそういうようなことをやられた場合に、非常に私はお困りだろうと思うのですが、これについて今までの経験から一つ卒直に御表明願いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/129
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130・加賀山之雄
○証人(加賀山之雄君) 私はその点につきましては天降りと言われましたが、総裁に無関係に副総裁がきめられるということは考えておらないのでございまして、国有鉄道の運営にとつて最も大切な、総裁の一番側近の、或いは補助者であり、それを代理する人である副総裁がさようなことで決定されるというようなことは万あるまいと私は存じます。併しながら若しそういうことをしようと思えばできることにはなるというふうには、今回の法律改正によりましてさような立場に相成ろうと、かように考える次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/130
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131・菊川孝夫
○菊川孝夫君 私は国鉄の総裁以下の幹部は相当今までの官庁とは違いまして、在任の期間も相当長く、在任いたしましても少くとも五年ぐらいは同じ椅子におつて、そうして十分につかんで行くと言いますか、腕を揮うというようになされて行かなければならんと思いますが、今日までの実績を鉄道省時代、運輸省時代を考えて見ますと、一最高幹部と申しますか、当局長官とか、そういつた次官とかが更迭いたしますと、それに伴つて大幅に同期生の者は全部やめてしまうというようなことが従来繰返されておりました。従つて私としてはそういうことは時代遅れであるから、成るべくそういう幹部というものはまあ過ちのない限りにおいてはやらせなければならないと考えますが、これについてあなたはどういうふうに今日までの経験に基いてお考えになつておるかどうかということが一つと、新たに法律が改正されますと、どうしても従来のいろいろの内閣更迭の際の経緯から考えまして、内閣が更迭した場合には政府機関の重要ポストにいる人については、総裁とかこういう人の位置の問題が問題になつたことは事実でございます。そういうことはないと申しましても、今日までは事実あつたのであります。従つて監理委員会があつた場合にはそういうこともないことになるわけでありますが、こういう点から考えましても、先ず第一に在任期間が相当長く腰を落着けてやるべきである。こういう考えを以ておられるかどうか。そういう考え方の上に立つて考えるならば、この二十条の改正はどうも私は面白くないと思うのですが、あなたはどうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/131
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132・加賀山之雄
○証人(加賀山之雄君) 只今御説の通りの考え方を私どもといたしましては日本国有鉄道の人事の上に徐々に実践をいたして参つた次第でございます。現に私どもといたしましては、人事の異動につきまして現にいわゆる卒業年度というようなものを重視するというような考え方、それから又系統、これは御質問になかつたかも知れませんが、系統を重んずるような考え方を全部やめてしまうということを信条といたしましてやらせて参りました。私は特にこの点につきましては強く部内の者に指示をいたしておる次第でございます。で、その実績といたしまして恐らく他の省と只今の日本国有鉄道の役員並びに職員をお比べ頂ければおわかりと思うのでありますが、各省におかれましてはすでに次官が何代も代り、局長もどんどん代つておるというような状態が見えておりますが、国有鉄道におきましては、それぞれの專門家が最も適当な位置におりまして、今日まで日本国有鉄道に改組になりまして以来、不動の陣容で以て今日まで参つたというのが実情でございます。二十条改正の可否について私は意見を求められることは、これは私といたしましては差控えさして頂きたい、かように存ずるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/132
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133・菊川孝夫
○菊川孝夫君 よくわかりました。次にお尋ねしたいのは、運輸大臣が第五章の規定に基いて監督権を発動し、監理委員会は指導権を発動して来て、あんたのところへは一方から監督という面から参ります。一方は指導統制という面で参ります。今日までにこの両方から来る線の食い違つて困つたことがあつたかなかつたか、この点については監理委員会にも証言を求めたのでありますが、あんたとして食い違つた点があつて困つた点があつたかなかつたか、若し将来においても或いは今日までの、過去におきましても食い違つた場合に、総裁としてはどういう態度を取るべきが正しいとお考えであるか、というのは総裁は監理委員会に対して責任を負う、こういうふうに法律ではなつておりますが、この点について一つ御証言願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/133
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134・加賀山之雄
○証人(加賀山之雄君) 歴代の運輸大臣を通じまして一度も私はそういう経験をいたしておりません。御承知のように監理委員会ができまして以後、運輸大臣はお変りになつておられますけれども、その如何なる場合におきましても、一度もそういう私は体験を持つておりません。従つて今仮定に基いて、そうした場合にはどうするかということでございましたが、それは結局問題は実施、国有鉄道の業務を総攬し、これを代表して経営実施の責任を負いまする総裁が一番困ることなのでございまして、そういうことのないように監理委員会や運輸大臣との最も緊密な連繋をとつて、そういうことのないようにするということに最大の努力を拂うべきやはり責任があるものと考えるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/134
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135・菊川孝夫
○菊川孝夫君 第二のあなたの御証言は一応希望としては成立つわけであります。そうなければならんはずであります。併し現に日発、これもやはり同じ総裁、性格は多少違いますが、日発総裁の問題にいたしましても過般の九分割をめぐりまして、非常にやはり対立したことがあるわけでありまして、あんたのほうは監理委員会に責任を負うということに法律ではきめておられます。又一方法律では任命権者はこれは内閣になつておる、こういうことになつおるわけですが、これによつて将来板挾みになるようなことがあるというような虞れはないかどうか、この点について……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/135
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136・加賀山之雄
○証人(加賀山之雄君) そう先のことについての御証言は私にもちよつと許して頂きたいと思うのでございますが、私といたしましては結局人を得て運営よろしきを得るならば、そこに極めて微妙なチエツク・アンド・バランスというか、そういつた関係があるのが国有鉄道のような大きな経営体にはこれは非常にいいことになると、かように考える次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/136
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137・菊川孝夫
○菊川孝夫君 それではそういう仮定の論争はやめにいたしまして、次に具体的にお尋ねいたします。鈴木監理委員長は帝都高速度交通営団の総裁でありまして、あんたは国鉄の総裁でして、これに対する投資者といたしまして、営団の総裁の任命については国鉄総裁たるあんたは重大な発言力をお持ちになつておると思うのでございます。従つてその人が今度あなたを指導統制されるというような立場に今日まであつたわけでありますが、その間のいわゆる一方は遠慮をするというような違いがなかつたか、率直にやはり指導されたかどうか、それからあんたのほうからはこれを利用して、これに圧力を加えたというようなことはなかつたかどうか、その点について……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/137
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138・加賀山之雄
○証人(加賀山之雄君) 公人としての立場はおのずから別個の関係であると思うのであります。それらの関係については私どもといたしましては成るほど鈴木監理委員長は交通営団の総裁でもあられますが、監理委員長としての鈴木さんということで我々は指導統制を受けたわけでありまして、全然そういつた公人としての関係をはつきりして置くべきものと思いますし、又事実全然それを考慮に置かずして努めて来たつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/138
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139・菊川孝夫
○菊川孝夫君 次にお尋ねいたしたいのは、監理委員の推薦に当りまして、国鉄にも下相談があつたか。監理委員会のかたのお話ではいずれもこれは運輸大臣から下相談があつたということでございますが、この人を推薦するに当りまして、あなたのほうへ御相談があつたかどうか、運輸大臣のほうから。この点について……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/139
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140・加賀山之雄
○証人(加賀山之雄君) 下相談という性質のことではないが、これは総裁が意見を申述べる筋合いのものではなかろうと存ずるのでございまするが、運輸大臣が人選されるに当りまして、私もその御連絡を頂いたということを記憶いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/140
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141・菊川孝夫
○菊川孝夫君 次にお尋ねいたしたいのは、今度は新たに監事を置こうと目しております、改正案によりまする一と……。ところが国鉄法の第五十条によりまして、国有鉄道は会計の監査がすべて会計検査院にその会計監査を受けることになつております。従つて監事といつてはこれはまあ法人の監事でありますからして、会計監査というような監査は重要だと思うので、一方これは国のほうから直接会計監査を受けておられると思うのでありますが、従つてこれを又監事を部内的に置くという必要は私はないと思うのでありまするが、あんたはこれらを置いた場合に二へん、監事の監査と、それから会計検査というのを受けなければならん、こう思うのでありますが、こういうことの必要が、私はないと思いますが、あなたはあると考えられるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/141
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142・加賀山之雄
○証人(加賀山之雄君) 重要なことでございますから、念にも念を入れるということは私は惡いことではないと存じますが、只今の実情といたしましては、特にいわゆる運輸の実施部門と経理部門とを責任を分けまして、すでに内部的には経理部門が、一応経理の監査もいたします建前になつておるのであります。更にこれが部外的には会計検査院の綿密な監査を受けて、国会の決算委員会に報告されるということになつているので、私はこの点において更に内部監査を強めるということは、必要ないとは申しませんが、結局問題は内部機関としてのものになるわけでありまして、更に只今経理部門が行なつておりまする監査の機能を強めるということには相成ろうがと思うのでありますが、絶対不必要というようなことは私は考えておらないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/142
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143・菊川孝夫
○菊川孝夫君 次にこれと伴いまして又一つの今度の新らしい改正案によりますると、運輸大臣の立入検査権というものを発動しようとしております。これは第五十四条でございます。新たなこの法案の五十四条で以て国鉄内部に運輸大臣の立入検査権、即ちちよつと証明書を持つてどんどん運輸省の官吏が国鉄内部へ入つて来て実地検査をやろう、こういうような条項があるわけでありますが、これは非常に私は重大な条項だと思うのでありまするが、私としてはそういう必要はない、一方は会計監査を置き、又監事も今度は置こうとし、更には内部的な監査をやつておられると思うのでありますが、そういうところへ又更に運輸省から、三本の監査を受けようということになろうとしておるわけですが、あんたはこれに対しましてそういうのはないほうがいいとお考えにならないかどうか、私はそんなことをする国有鉄道には必要はないと考えるのでありますが、あんたはどう考えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/143
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144・加賀山之雄
○証人(加賀山之雄君) 勿論経営自体が自立的に、自主的に十分監査もし、健全に経営をして行かなければならない。かように考えるのでございますが、いわゆる運輸大臣が一般的監督権の発動として特に特定のところを監査されるということにつきましては、私どもといたしましてはそれは迷惑だといつて、お断りをするというような気持は持つておらないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/144
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145・菊川孝夫
○菊川孝夫君 次にいつか運輸大臣は中二階だというような意味の発言をされたことがあるわけでありますが、これにつきまして国有鉄道が今日まで監理委員会があるということを一つ利用いたしまして、運輸大臣の監督権を無視をしたというような、これは意識的にそういうことがあつたかなかつたか。この点について運輸大臣との対立と言いますか、そのためにこれが與党の人たちを刺激したというようなことを巷間に伝えられているのでありますが、あんたはそういう覚えがあるかどうか、この点について御証言を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/145
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146・加賀山之雄
○証人(加賀山之雄君) 先ほども証言申上げましたように、運輸大臣と意見が衝突して、運輸大臣の意向を無規したというような体験は一度も私は覚えておらないのであります。ただ昨年実施しました機構改正に際し、又その後におきまして監理局の増設等の要望がございまして、その点につきまして我我といたしましては機構改革というものは、これは勿論永久的なものではないので、我々が運営上能率を上げ、又国民の福利を増進するために是なりと信じて行なつておるのであるという信念で実施いたしまして、その後実情を十分に検討しておるのでございますが、まだ勿論全面的な改正をいたしまして、約一年に相成るわけであります。その間いわゆる過渡的な不自由といつたものは多少は認められますが、いずれも能率的な運営、更に国民の利便を増して、福利を増進するために致命的欠陥となるというような状態は私どもにいたしましては、考えておらないのでございますが、これらの点につきまして一部非常に強硬な御意見がございまして、特に衆議院の運輸委員会におきまして、決議をされておるという実情がある次第でございます。この点につきましては、我々の信じておりまする点と多少食い違いがありまして、我々といたしましては更にもう少し時をかりて、そうして十分に研究をして参りたい。何分にも監理局を殖やすということはただではできないのでございまして、結局経費も殖えなければならん。そういう点を十分に睨み合せてやつてゆくつもりなので、時間をかして頂きたいという申出をしておるという事実がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/146
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147・菊川孝夫
○菊川孝夫君 最後に経理の点についてちよつとお尋ねをしたいのでございますが、四十二条の二によりまして、国有鉄道は運輸大臣の認可を受けて鉄道債券を発行することができるとなつております。今日まで鉄道債券を発行せられました……この認可を受けて発行せられました……私もちよつとよく記憶はないのですが、せられたことはありますか。その額、それからこれについて認可を受けるに当つて非常にあなたのほうの要求と、運輸大臣の認可とが食い違つたというようなことがあつたかなかつたか、その点についてお尋ねします。これは重要な経営上の問題だと思いますので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/147
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148・加賀山之雄
○証人(加賀山之雄君) 実は法律面はさように相成つておりますが、この細目を定める政令を作つて頂きませんと、実はその条項は生きないのでございまして、只今までにはその政令を出して頂いておらんのでありまして、従つて債券を発行するということを考えたこともございませんし、勿論債券を発行した実例はないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/148
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149・菊川孝夫
○菊川孝夫君 大体最後にそれでは締め括りとしてお尋ねいたしたいのでございますが、このようにして法律の中では鉄道債券を発行するということができることになつておりますが、政令がまだ定めてないので発行できない。一方におきましては国会にはいろいろと建設線の請願もございます。それから国鉄としても改善しなければならん面もたくさんあるだろうと思いますが、こういうところには長期のやはり債券を発行して、将来においてもやらなければならんと私は思うのでありますが、そういうふうにいたしまして、この法律も改正しなければならん、或いは政令も相当制定しなければならん、又過般の機構改革にいたしましても、その実績に徴しまして、新らしい時代に適合するような組織機構の改正もしなければならんと思います。で、国鉄も何といつても日本としては、初めてであるようなこの大きな企業を公共企業体に切り替えたわけであります。それも早急の間に切り替えたわけでございますから、いろいろ不備な面も、或いは十分準備が行き届かないうちに急いでやつたという面もあると思いますので、相当大幅な改革を私はしなければならん、改革と申します、改正をしなければならんと思います。法律の面においても、実際の業務の運営方式についても……。併しながらこれもそのときの思い付きばつたりと申しては語弊があると思いますが、少しずつやつて行くというのでなしに、私は今日までの経験を生かし、且つは将来の見通しも立てて、相当な準備期間を置いて、私はその改正、改革を実行すべきである、かように考えておりますが、総裁はそういうふうな考え方をお持ちになつておりますかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/149
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150・加賀山之雄
○証人(加賀山之雄君) 実は私、発言をお許し願えれば、今言われたことこそ本当にお願い申上げたいことでありまして、極めて国民の生活、国の経済、産業、文化に非常に重要な関係を持つております日本国有鉄道でありますが故に、この現われた一現象、或いは一駒を捉えないで、是非とも大きな流れ、過去の国鉄、運輸省或いは鉄道省と言いましたように、政府機関として経営されて参りました経験、更には僅かの期間でございますが、日本国有鉄道という公共企業体になりましてからの実績、更には諸外国におきまして公共企業体が如何に運営されているかというような実証、そういつたものを十分に御検討頂きまして、愼重にこの方向を、日本国有鉄道の経営方式を如何なる形にするかという経営方式の根本をお立て頂いて、それから法律の改正をお願い申上げたいと思うのが、我々の本当にお願い申上げたいところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/150
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151・内村清次
○内村清次君 只今菊川君から証言を求められましたその要点につきましては、私は重複を極めて避けたいという考え方で、極く二、三点の問題につきまして御証言をお願いしたいのです。この国会に提出されました日本国有鉄道の一部改正法案の骨子を草案せられまするに当りまして、與党関係におきましての動きがあつたことを総裁はいつ頃お気付きになつたのであるか、その時期につきまして先ずお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/151
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152・加賀山之雄
○証人(加賀山之雄君) 大変恐縮でございますが、この時期をはつきりと記憶しておらないのでございますが、本国会の途中であつたということだけは記憶しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/152
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153・内村清次
○内村清次君 これは私たちも実は耳にしたことでもありますが、総裁は今国会の中頃というようなお話でありますが、すでに立案の時期につきましてはこれは大体前国会の直後頃からそういう動きがあつたように、而もこれを衆議院におきましては各党の提案にしようかというような動きもあつたように私は承わつております。又一部にはこれは現在の国鉄の運営状態において相当何と申しまするか、非常に事件が多過ぎるのだというような、そういうことも聞いたわけですが、又たまたま今回の桜木町のあの事件がありましてから、これも又一つの理由として、早くこういうふうな改正をやらなくては責任体制というものが明確にならないというような、これもやはり噂を聞いておつたようですが、そういうような動機につきまして総裁が聞かれました時期からでもよろしうございますが、判断されて、そういう動機についてこの法案が與党間におきまして非常に熱烈になつて来たという何かあなたの管轄下の、即ち運営上或いはいろいろな観点、こういうような関係からの動機で思い当るようなことがあるかどうか、その点一つお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/153
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154・加賀山之雄
○証人(加賀山之雄君) 動機について思い当ることがあるかないかというお問いでございますが、私どもといたしましては御提案の理由を直接承わつてもおりませんし、その動機というようなことにつきましては実はよくわからないのでございますが、ただ先ほども申上げましたような地方の運営、組織の問題と、もう一度実は副総裁を置くべきであるという委員会の決議がございましたのでございますが、それに対して今日まで運営上の責任者として何もやつていないというようなことをお叱りを受けておりますので、勿論それが動機であるというようなふうには私は考えているわけではございませんし、考えたくもございませんが、そういう事情のあつたことだけを御報告申上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/154
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155・内村清次
○内村清次君 総裁は先ほど国会中に聞いたとおつしやつておられますが、與党のいわゆる提出者のほうで今国会に上程せられます間については、やはり自由党の政調会その他におきましてこの立案に対して、或いは総裁はどうか知りませんが、或いは又総裁も含まれておられるかも知りませんが、ほかの理事のかたがたその他のかたがたをその政調会に立ち会つて頂いて、現在の機構或いは監督の問題につきましての御意見を聞かれたようなことはなかつたのでありますかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/155
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156・加賀山之雄
○証人(加賀山之雄君) 国会内におきまして一度民主自由党の政調会が開かれますときに、私呼ばれまして意見を質されたことはございます。勿論法案の内容等について私どもがとやかくいう筋ではございませんで、ただ私どもといたしましては、この法律に基いて誠心誠意運営して来たことを申上げ、なお先ほど申上げましたように、法律を改正される場合には、日本国有鉄道の経営方式を根本的にどこへ持つて行くのが一番現状に適するのかということを、十分お究めの上御改正を煩わしたいというお願いを申上げておつた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/156
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157・内村清次
○内村清次君 この法案に対しましては、参画をして、そうしてこの点を改正をしてもらいたいというような特別の希望を述べられたような、この条項にそのまま現われておるという条項はないのでありますかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/157
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158・加賀山之雄
○証人(加賀山之雄君) 私どもが希望いたしまして、修正をして頂きましたという条項はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/158
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159・内村清次
○内村清次君 そういたしますと、先ほど菊川委員の証言を求められたに対しまして、総裁の最後の希望といたしましての証言は、よく我々も承わつておる問題でありますしへ又同時にコーポレイシヨンといたしましての自主的な経営を総裁に任せるというような上につきましても、同感な点もあるのでありますが、ただ御意見といたしましては、誠に漠たる御意見のようにあつたものでありますが、特に重要な今までの経験からいたしまして、この運営方式について国会に強く要望すると、強くこうしてもらいたいというような点はどの点であるか、これを一つ明確にして頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/159
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160・加賀山之雄
○証人(加賀山之雄君) お言葉で恐れ入りますが、私どもここへ意見を述べに実は呼ばれておるとは考えませんので、事実をありのまま御証言申上げておる次第でありまして、ただこの機会に希望意見があれば述べよということでありますならば、先ほど申上げましたように、根本的に経営方式を十分御検討を特に愼重に煩わし、そうして法案の改正をして頂きたいということと、特に本法案が政府提案として出ましたときの事情並びに参議院の運輸委員会におきまして、附帶的な御決議を頂いておる立場からいたしましても、更に財政、会計方面における自主性を更に高めて、能率を発揮するのに役立たせるという方面に力を注ぎ頂ければ、日本国有鉄道といたしましては極めてその方針に基きまして、飽くまでも合理的な経営に邁進するものであるということを私は証言申上げたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/160
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161・植竹春彦
○委員長(植竹春彦君) 他に……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/161
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162・前田穰
○前田穰君 午前並びに午後の菊川、内村両委員の御質問で、殆んど私のお尋ねしようと思つていることは盡きておるのでありますが、その中でただ私がもう少し事情がよくわからない点がありますので、それだけ、一点だけお伺いしたいと思います。それは午前にも監理委員のかたに御質問がありましたし、午後にも今国鉄総裁に御質問があつたのでありますが、指導統制の任に当る監理委員の仕事と、それから国有鉄道を監督しておる運輸大臣の仕事と、これは一体どういうふうに区別して考えたらいいのかということなんです。どうも監理委員の御説明でも、今までの国鉄総裁の御説明でもよくわからないのでありますが、それで角度を変えて一つ国鉄総裁は従来自分を指導統制する立場にある監理委員と、それから国有鉄道を監督する立場にある運輸大臣に対して、どういう心構えの区別と申しますか、どういう態度で、どういうつもりで対しておられるか、それを一つ伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/162
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163・加賀山之雄
○証人(加賀山之雄君) 法律の趣旨なり解釈は私ども申上げる筋合いではございませんが、私どもの心構えとしてどういうふうにやつて来たかというお問いと伺いましてお答え申上げますが、監理委員会は飽くまでも国有鉄道の内部機関でございまして、結局経営を行なつて行きます場合に、その最高の方針について指導統制をする、その方針に基いて総裁が実施の全責任を以て行うのである、かように考えております。飽くまでもこれは内部機関、つまり監督という立場はむしろ、まあ勿論監督ということにもなるのかも知れませんが、指導統制という言葉が意味します場合には、これは内部機関としてただやつておることを監視するだけではなくて、積極的に指示もし、それから改むべきことがあれば実施する前にすでにそれを直して行くというところに、監理委員会の私は機能があるのではなかろうか。従いまして法律の面からもさようになつておりますが、私自身も監理委員の一名に加わりまして、そのところでいわゆる最高の方針が立ち、そして立つた方針に基いて私がその監理委員会に全責任を以て実施の、国有鉄道を代表して業務に責任を負つておるということに相成るわけであります。で、運輸大臣はその監理委員会をも含めた国有鉄道の経営の実施についていわゆる監督をされる。而も当初の政府が国有鉄道法を提出されたときの提案理由に基きましても、できるだけ自主的な活動をし、能率を挙げさせるために運輸大臣の監督権限をその必要最小限度にとめたということが、提案理由として説明をされておるのでありまして、私どもの解釈といたしましては、勿論運輸大臣の監督権限は一般的事項に及ぶけれども、併し法律に限定された内容が法律的に申せば運輸大臣の監督の限度である、かようにこの審議の経過過程からいたしまして私どもといたしましては解釈し、今日まで参つておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/163
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164・植竹春彦
○委員長(植竹春彦君) 証人に対して他に御質問がなければこれを以て証人に対する質問を本日は打切りたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/164
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165・植竹春彦
○委員長(植竹春彦君) 御異議ないものと認めます。それでは長時間に亘りましてどうも御苦労をおかけいたしました。厚く感謝いたします。
それでは本日は本法律案の審議はこの程度にして、次の法律案に移りたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/165
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166・植竹春彦
○委員長(植竹春彦君) さように取計らいます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/166
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167・植竹春彦
○委員長(植竹春彦君) 次に港湾法の一部を改正する法律案を議題に供します。前回は提案理由の詳細な説明があつたのでありますが、本日は先ず專門員の調査報告を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/167
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168・岡本忠雄
○專門員(岡本忠雄君) 簡単に御報告申上げます。この港湾法は去る第七国会の閉会間際に提出をされたのでありまして、当時すでになお愼重審議を要する幾多の問題があつたのでありまするが、当時におきましてその筋の意向によりますと、港湾管理者が定められない間は接収港湾の解放が困難であるというようなことがありましたので、かような特殊事情を考慮せられまして修正すべき点については、これは十分検討を遂げて近い機会に改正措置をとるべきものである、かように委員会においても決定せられまするし、政府においてもこれを認めまして現行法が可決されたわけでございました。ところで港湾法に対する改正意見につきましては当初は、五大都市港湾協議会によつて陳情請願等の形を以て強く主張せられまして、その後関門地方を加えまして六大港湾協議会の名を以て改正意見が国会のほうに述べられておつたのでありまするが、一面港湾運送協会からはこれらの改正意見に対する反対陳情も、極めて微弱ではありましたけれどもあつたのでございます。そこでこの地方の六大港湾協議会の改正意見の主なる点を御紹介申上げますと、第一に港湾における行政権の作用、管理者の業務、私企業の行為等、これらの相互間になお調整を要する点があるから改正の措置をとるべきであるというのが一つ。第二は港務局の委員会の委員に議会の議員を一名加うべきであるということ、第三には例えば横浜と川崎が一つの港湾管理地帯を設立しようとする場合に、両者の協議が整わないような場合には従来の実績を尊重して、横浜が単独で設立できるようにすべきである。この三つの点が改正意見の主なものであつたのでありまするが、この第三の点を除きまして、今回ここに提出せられました改正案におきましては、地方の主張の一部分は盛られておるのであります。但しこのうちで第四条第一項第十一号の委員の斡旋という言葉が使つてありまするが、この意味が明らかでありませんので、この委員会におかれましては、これにつきまして提案者の御説明を求めて頂きたいと考えます。次に第四十二条以下工事費の負担に関する改正についての問題があるのでありまするが、改正案は特定重要港湾のカテゴリーを設けておりまして、国費の負担率を増加しております。又附則第五項におきまして特定の港につきまして当分の間特定重要港湾の例によると規定しております。この点につきましても政府に質して頂きたいことが二点ございます。第一には、本法が成立した場合に、特定重要港湾及び第五の特定の港の選定が如何なる基準によるか、具体的にはつきりいたしておりませんので、この点を質して頂きたいと考えます。第二には、予算的な措置に対してはつきりいたしませんので、これを質して頂きたいと存じます。
最後に漁港に関する第三条の改正について報告いたします。今回の改正によりまして、港湾法と漁港法と、この二つの法律の適用が競合する港湾ができることは疑いのないものと解釈されますが、この両者を調節するために、この際第三条に対応するがごとく漁港法の改正を必要とするのではないかという疑問が起つて参ります。この点につきましても政府に対して質して頂きたいと考えます。以上数項に亘つての問題があると思いまするが、その他につきましてはよほど前からいろいろ研究して見ましたけれども、私どものところとしましては問題がございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/168
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169・植竹春彦
○委員長(植竹春彦君) 次に質疑に移ります。順次御発言をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/169
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170・岡田信次
○岡田信次君 第二条の第五項二号三号に外郭施設の定義を追加しておりまするが、こういうふうに細かく挙げる必要がどうしてあるのか、この点を一つ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/170
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171・植竹春彦
○委員長(植竹春彦君) 港湾局長からお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/171
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172・黒田靜夫
○政府委員(黒田靜夫君) 第二条におきまして、外郭施設にいろいろの名称を掲げておるのでありまするが、この法律が名称の列挙主義を取つております結果、従来私ども港湾の外郭施設として護岸等を考えれば、一般法学的な常識では突堤とか或いは防潮堤、胸壁も入るというふうに解釈したのでございまするが、法文的には先ほど申しましたように、列挙主義を取る関係で、このような名称を追加しなくちやならんかと考える次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/172
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173・岡田信次
○岡田信次君 そういたしますと、これ以外には大体外郭施設には列挙するものがないというふうにお考えになるのか。それからもう一つ、このうちで胸壁というのが最後にありますが、胸壁というものは何をお指しになるのか。それから第三号の物揚場又は船揚場というのがありますが、これはどういうものか、お尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/173
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174・黒田靜夫
○政府委員(黒田靜夫君) この名称が追加いたされますと、現在のところはない見込みであります。それから胸壁とは英語のパラペットを指すものでございまして、例えば護岸の上を波が道路に上るようなところに、道路面より一メートルとか一メートル二、三十高くしたパラペットを指すものでございます。それから船揚場は小型船を揚げまする斜面の意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/174
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175・岡田信次
○岡田信次君 いや、私は船揚場と物揚場とはどういうふうな関係にあるのか、それからもう一つ先ほどの胸壁ですが、そうすると胸壁は場合によつては防波堤にも、或いは護岸にも、突堤にも、提防にもつくと思うのですが、これを別にされるわけはどういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/175
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176・黒田靜夫
○政府委員(黒田靜夫君) 物揚場と申しますのは、小型船、はしけ等の荷役をやる施設を申します。船揚場は先ほど言いましたように、小型船を引揚げておきまして、避難さしたり、修理をしたりする。それから胸壁は、これは護岸にもくつ付くことがありますし、又防潮堤にも附属することがございます。これは防潮堤とか、護岸の改修をやります場合に、胸壁を部分的に附加する場合がありますので、こういう名称を使つた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/176
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177・岡田信次
○岡田信次君 どうも港湾局長の專門家を取つつかまえて議論するのは変ですが、今までの常識を以てしますと、胸壁というのは先ほどお話の防波堤なり、或いは防潮堤なり、護岸なりの一つの部分であると思うのですが、特にこれを挙げる必要があるでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/177
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178・黒田靜夫
○政府委員(黒田靜夫君) これは護岸の改良工事等をやります場合に、パラペツトを附加えてやる必要が生じて参るわけですが、胸壁という言葉を使うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/178
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179・岡田信次
○岡田信次君 次に先ほど專門員からもお話がありましたが、改正案の第三条の漁港に関する規定と漁港法との関係並びに両者の調整について伺いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/179
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180・黒田靜夫
○政府委員(黒田靜夫君) 漁港法によりますと、漁港を指定いたしまして、その指定された漁港に対しまして、整備計画を立て、予算が計上されることになつております。又一面港湾法によりますと、漁港の用に供する施設は、港湾から除外することになつております。それで例を申上げますと、長崎港のように、港の一部に漁港施設を作りたい、整備したいという場合に、漁港の指定をいたさなければ、そこに農林省関係の漁港の予算が計上されないのでございまして、長崎のような港湾におきましては、航路も共用しておりますし、泊地も共用しておりまして、漁港だけを分離して一つの港として考えられないのでございまして、こういつたような場合には、一定の水面をつけました漁港を指定いたします。又港湾法におきましては、その漁港区域全部を一括して港湾区域にいたしまして、いわば漁港の区域と港湾区域が二重にダブるような場合を考えておるのでございまして、このことは農林大臣から区域を運輸大臣に協議がありました場合に、両者の間で協議が調いまして、これは二重に指定できるように法を改正した次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/180
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181・岡田信次
○岡田信次君 次に第四十二条に関連して、国の負担が大分殖えることとなりますが、二十六年度における予算的措置はどういうふうになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/181
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182・黒田靜夫
○政府委員(黒田靜夫君) 二十六年度におきまする予算措置につきましては、予算編成の折に、港湾の管理者がいずれの港においてもきまつていなかつたがために、暫定的に従来の慣例を踏襲いたしまして、横浜、神戸のような外国貿易上重要な港だけにつきましては、全額国庫負担でやつておりますし、又国内産業の増進上必要であります福岡県の刈田のような港につきましては、七百分の五百五十だけを国が負担して参つておりますし、旧軍港におきましては、旧軍港が平和産業都市として転換するために必要な港湾施設の一部を全額国費を以て踏襲して来ておりまして、従来の慣例によりまして、二十六年度におきましては、全部そのような予算が計上されておりますので、変化はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/182
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183・岡田信次
○岡田信次君 そうすると大体二十六年度の予算においては、この改正法律案が出るということを予想されて組んでおると、さように解釈していいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/183
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184・黒田靜夫
○政府委員(黒田靜夫君) これは管理者がきまつておらなかつたがために、このような行政的な措置が大蔵省、安本等と協議の結果調つて、そういつたような予算が計上されたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/184
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185・岡田信次
○岡田信次君 そうしますと、二十七年度以降におきましては、この改正法律案によつて法律が改正しないものと比べまして、どのくらい年々国庫の負担が殖えて行くか、その点を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/185
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186・黒田靜夫
○政府委(黒田靜夫君) 二十七年度におきましては従来重要港湾等におきまして横浜、神戸その他は十割をやつておりまして、現行港湾法のように、五割を負担しておる場合はなかつたのでございます。二十七年度以降は改正によりまして十割までを負担することができるようになつておりますが、これは従来と同じでございます。ただ港湾の改良費をできるだけたくさんつけて頂くように私ども担当者としては努力いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/186
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187・仁田竹一
○仁田竹一君 四十二条の二項ですか、「特に重要な港湾で、政令で定めるもの(以下「特定重要港湾」という。」)この内容と申しますか、具体的な港湾が若し発表できまするならばお知らせ百を願いたい。なお最後の附則の五項に、「運輸大臣がする港湾工事の費用に関する国の負担又は補助については、当分の間、特定重要港湾における港湾工事の例による。」、この「当分の間」でありますが、港湾の場合によりますと、地元の負担の関係がございますので、何といつても相当の金がかかりますから、地方といたしましてはやはり何年間も継続的な計画を立てなければならんと思いますが、こういうような意味から申しまして、一体「当分の間」と申します大よその見通しと申しますか、お考えがありまするならば、これも併せてお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/187
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188・黒田靜夫
○政府委員(黒田靜夫君) 四十二条に申します特定重要港湾は、政令で決定いたすことになつておりますが、私どもといたしましてはこの四十二条による特定港湾は、国の外国貿易の増進上重要なものに限定いたすつもりでありまして、政令を出します際には、関係当局と愼重に協議を途げたいと思つております。その港につきましては、外国貿易の増進上重要なものと申しますると、大体六大港あたりが考えられるのではないかというふうに考えております。それから附則の「当分の間」政令できめる重要な港湾につきましては、特定重要港湾に関する負担率を適用するというこの港湾につきましては、やはり一定の基準を設けまして、関係方面と協議をいたすことになつておりますが、先ほど申しましたように、九州の刈田港とか、旧軍港市転換法の三条の精神を活かすための旧軍港を今のところ考えておる次第でございまして、「当分の間」は、これはその旧軍港におきましては、一応転換事業が終了するとか、その見通しがつく時期を考えておるのでございます。刈田港につきましても、石炭の小型船搬送施設が一応できる年度を考えておるのでございまして、これは将来の港湾改良費の予算の枠等とも関係がございまして、何年間とはつきり申上げることは困難かと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/188
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189・仁田竹一
○仁田竹一君 特定重要港湾はまあ六大港というお話がありましたけれども、旧軍港といつたものを、これに含めるというようなお考えは持つておられませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/189
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190・黒田靜夫
○政府委員(黒田靜夫君) 旧軍港につきましては、或る程度考えなければいけないのじやないかというふうに、これは従来沿革的に見ましても、全額国費でやつておりましたし、又終戰後そういう慣習になつておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/190
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191・小酒井義男
○小酒井義男君 この第二条で新らしく施設として付加えられておるのがあるわけなんですが、これは現在もうすでにこうした施設というものができ上つておるのか、新らしくここに加えられることによつて、これからこうした施設ができて行くのか、どちらでしようか。若しでき上つておる所と、これから手をつける所とあれば、どのくらいの比率といいますか、それをまあ勘で結構でございますから、細かいことは結構でございますが、そういう点……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/191
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192・黒田靜夫
○政府委員(黒田靜夫君) この防波堤施設の名称でございますが、これは防波堤とか堤防、突堤のようなものは、私ども護岸という解釈をいたしまして、従来と申しましても、港湾法が制定になりまして約一年になるのですが、その間護岸。中に防波堤も堤防も突堤も胸壁も総称されるということで、各港におきまして施行いたしておるのでございまして、今後もこの名称によりまする工事は施行いたすことと相成りますが、その率等におきましては、何分港の数が相当……対象の港湾の数が六百以上もございまして、ここでちよつと相当綿密に調べないと出て来ないのじやないかと思いますが、名称別に工事費を出すということは、なかなか今のような状態ではむずかしいのじやないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/192
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193・小酒井義男
○小酒井義男君 そうしますと、従来は総括してここに挙げられておつたのが、具体的に挙げられたということであつて、これを挙げたことによつて予算が殖えるというような内容のものじやないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/193
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194・黒田靜夫
○政府委員(黒田靜夫君) 仰せの通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/194
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195・植竹春彦
○委員長(植竹春彦君) 他に御質疑か……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/195
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196・岡田信次
○岡田信次君 もう一点、港湾工事の費用の関係ですが、臨港交通施設に一体どういたすのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/196
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197・黒田靜夫
○政府委員(黒田靜夫君) お答えいたします。臨港交通施設は港湾の臨港地区内におきまする道路とか、鉄道等を引込線と考えておりまして、重要港湾におきましては五割以内を国が負担し、地方港湾におきましても四割を補助する建前に、現行法ではなつておるのでございますが、この一部改正におきましては、特定重要港湾の臨港施設に対しましては、ほかの負担率等に倣いまして、これは外国貿易の増進上、或いは国内交易の発展上、特に必要なものについては七割五分までを国が負担することができるように相成つておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/197
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198・植竹春彦
○委員長(植竹春彦君) ちよつと速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/198
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199・植竹春彦
○委員長(植竹春彦君) 速記を始めて。別に御質問もなければ、これより計論に入りたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/199
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200・植竹春彦
○委員長(植竹春彦君) 御異議ないものと認めまして討論に入ります。御意見のおありのかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/200
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201・岡田信次
○岡田信次君 私は本案に賛成いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/201
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202・内村清次
○内村清次君 社会党は本案に賛成いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/202
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203・植竹春彦
○委員長(植竹春彦君) 他に御意見がなければ、これより採決に入ります。御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/203
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204・植竹春彦
○委員長(植竹春彦君) ではさように決定いたしまして、本案の採決に入ります。念のために申上げますが、本案は衆議院におきまして修正議決せられましたものが原案となつております。本案を原案通り可決することに賛成のかたの挙手をお願いいたします。
〔総員挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/204
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205・植竹春彦
○委員長(植竹春彦君) 全会一致でございます。よつて本案は可決と決定いたしました。
なお委員長の報告、爾後の手続は例によりまして委員長に御一任願います。多数意見者の御署名を願います。
多数意見者署名
岡田 信次 仁田 竹一
内村 清次 菊川 孝夫
小酒井義男 高木 正夫
前田 穰 松浦 定義
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/205
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206・菊川孝夫
○菊川孝夫君 済んだら実は、各委員会とも議運の成行きを見合せて、一応皆休憩になつているらしいのですが、この辺で一つ休憩してもらいたいことが一つと、もう一つ私が動議を出します。動議といいますか、意見を出したいと思うのは、実は、連日の新聞紙に盛んに海上保安庁の汚職事件が載つて、これはどこまで発展するかわからないという状態であります。これは非常に国民に與える影響も極めて私は重大だと思うのであります。新聞に出ておることが果して本当であるかどうかについて、私は委員会として一応聞く必要があると思います。私はほかの問題についてちよつと運輸大臣に皮肉なような恰好になりましたが、触れておきましたが、私はこれは真相について一応聞いておかなければならん大事な問題だと思いますので、今度委員会が開かれます明日でも、明後日でも結構です。一つ海上保安庁長官、これは政府委員になつておると思うのでありますが、海上保安庁長官並びに運輸大臣の御出席を求めまして、これを一つお聞きしたいと思うのでありますが、これを一つ皆さんの御賛成を得て出席要求をお願いしたい。(「異議なし」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/206
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207・岡田信次
○岡田信次君 私は菊川委員の動議に賛成いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/207
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208・植竹春彦
○委員長(植竹春彦君) 御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/208
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209・植竹春彦
○委員長(植竹春彦君) それでは御異議がないようでありますから、さよう決定いたします。運輸大臣の出席を要求いたしまする時期は法案審議等を勘案いたしまして、又改めて理事のかたに相談いたしまして、できるだけ速かに出席要求をしたいと考えております。
それでは本日はこれで散会いたします。
午後五時四十五分散会
出席者は左の通り。
委員長 植竹 春彦君
理事
岡田 信次君
高田 寛君
委員
仁田 竹一君
内村 清次君
菊川 孝夫君
小酒井義男君
高木 正夫君
前田 穰君
村上 義一君
松浦 定義君
鈴木 清一君
政府委員
運輸省港湾局長 黒田 靜夫君
運輸省鉄道監督
局長 足羽 則之君
事務局側
常任委員会專門
員 岡本 忠雄君
常任委員会專門
員 古谷 善亮君
証人
日本国有鉄道総
裁 加賀山之雄君
日本国有鉄道監
理委員長 鈴木 清秀君
日本国有鉄道監
理委員 佐藤喜一郎君
国鉄労働組合中
央執行委員長 齋藤 鉄郎君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X02619510528/209
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