1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十六年三月二十二日(木曜日)
午前十時五十三分開会
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本日の会議に付した事件
○国土調査法案(内閣送付)
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001・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) それでは連合委員会を開会いたします。
今日の委員会は第二回目でありますが、前回十六日の委員会におきましては、国土調査法案につきまして、提案理由及び条文についての説明を聴取いたしました。本日は同法案につきまして質疑に入りたいと思います。その前に、この前の委員会におきまして、各委員から資料の提出要求がありましたが、只今政府側からその要求に基く資料をお手許に配布してあるはずであります。従いましてこの資料につきまして簡單に、先だつての要求資料であるかどうかという点をチエツクしてもらうために、簡單に説明をお願いしたいと思います。小舟さんどうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014072X00219510322/1
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002・小舟清
○説明員(小舟清君) お手許にお配りいたしました資料につきまして簡單に御説明申上げます。
第一は国土調査事業年次計画案でございます。一枚のものでございますが、これは江田委員から御要求になりました国土調査の年次計画でございます。この事業計画は、正確には、今後若し法案が通りました後におきましては、国土調査審議会等において審議せらるべきものでございますが、事務局におきまして現在構想いたしております年次計画は次のようで、お配りいたしました通りでございます。即ち国土調査事業は昭和二十六年度以降十年間に完成することを目途といたしております。併しながら基準点測量は、昭和二十六年度より三十年度までの五カ年間に優先実施完了いたす予定でございまして、それ以外の事業につきましては、初年度三%、次年度五%、以下漸次増加いたしまして、第五年度以降平年度といたし、全事業量の一五%を年年実施いたすという考えでございますが、併しながらその際に土地分類調査及び水調査に関します基本調査につきましては、他の調査に優先して実施いたすべきであるというふうに考えておるわけでございます。
次に国土調査に要する経費の負担区分についてという、お配りしました一枚の資料がございます。これは赤木委員、兼岩委員から御要求になりました地方の負担及び各官庁の負担という御要求の資料でございまして、国土調査の経費の負担につきましては、現在の法案にございますように、国は基本の事業を実施いたし、地方公共団体等は、それを基礎といたしまして本体とする国土調査を実施いたし、国は地方公共団体等に対して、特定の場合に補助金を交付する、この建前になつておるわけでございまして、この建前によつて国が、或いは地方公共団体が、それぞれどの程度負担いたしますかという点につきましては、今後の実施の模様によつて明確になるわけでございまして、確実なる予想をいたすことは困難でございますが、ただ総額につきましては、約三百億円を要するものと計算されております。この総額の負担の割合につきましては、先ほど申上げました方針によりまして、表に掲げてございますように、国が実施いたしますものは全額国庫負担でございますが、それ以外のものが実施いたすものにつきましては、国の勧告に基く事業を実施する場合に、国庫より補助金があるわけでございまして、その際にその事業の性質によりまして、国又は都道府県、地方公共団体の担当いたす分野が異なつておるものでございます。その関係を明確にいたしましたものがこの表でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014072X00219510322/2
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003・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) ちよつと待つて下さい。今説明中ですがちよつと申上げますが、実は速記が足りなくて、今法案を一つ上げる電通委員会で、どうしても二十分ばかり速記をくれないかというお話なんです。で、都合のいい、きりのいいときだけをちよつと抜いて欲しいというわけでありますので、あと質疑に入つた場合は成るべく速記がついておつたほうがいいと思いますので、今の資料説明の時間をそこに充ててやつたほうがよかろうと思いますが、よろしゆうございますか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014072X00219510322/3
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004・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) 速記停止。
午前十一時一分速記中止
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午前十一時二十七分速記開始発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014072X00219510322/4
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005・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) 速記を始めて。政府委員から提出資料の説明をやつておる間に速記がなくなつたわけでありますが、速記がなくなつてあと、その説明が続けられまして、国土調査法案に基く土地分類調査及び水調査と関係がある各種調査の概要という資料について、及び国土調査参考資料、特に外国の実情を知らせる意味での資料でありますが、これらの資料についての説明が継続され、その後、赤木委員及び兼岩委員から資料の追加の要求がありまして、それをめぐつて二、三の発言があり、政府委員から追加要求の資料を提出することを約束されまして、そして質疑に入つたわけであります。
質疑に入りまして最初羽生委員から、この法案を施行するについて、責任者である経済安定本部長官の決意なり、或いは実施する見通しなりというもの等についての確乎たる方針を、適当な時期に成るべく早く承わりたいという発言がありましたのに対しまして、この法案が本審査になると共に、最も早い時期にそのような発言を、安定本部長官に要求することを委員長から約束しまして、そうして内容に関する質疑に入つたわけであります。内容に関する質疑の最初、赤木委員から、本法案と従来の土地調査との関連についての質疑があり、これに対して政府委員との一問一答中でありまして、現在その一問一答が続けられておつて、特に国土総合開発法との関連について、この法案を提出される前にどの程度の関連が研究されたかというような質問が今なされておるところであります。そこまでが丁度速記のなかつたときでありますので、以下速記をずつと続けたいと思います。赤木君からの質問に対しまして政務次官の答弁を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014072X00219510322/5
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006・小峯柳多
○政府委員(小峯柳多君) 国土の総合開発は、経済再建の手段として、もう欠くことのできない有力な側面でありますので、先般御審議願いました国土答開発法によつて実際の活動を始めておるわけであります。その国土総合開発の審議をいろいろお願いしております過程におきまして、審議をします場合の実際に使う国土に関する材料がかなり不整備な点があるのであります。今お願いしておりますのは、そういう不整備な材料を科学的に整備しようというのが狙いであるのでありまして、なかなか大仕事であります。といて、この基本的な調査が整備するまで国土総合開発の審議を遅らせるというわけにも行きませんのでありますから、一方に国土総合開発法に基く審議を進め、なお一方不整備な材料を科学的に整備して参りたい、従つて正確な材料を整えるということが今御審議願おうとしております国土調査法の内容でありまして、これによつてデーターをしつかり科学的に整備して、更にそれを使つて国土総合開発をする、建前としましてはむしろこれが先行すべきものでありますが、いろいろの関係で、実はもつと早く、十年も二十年も早くなさなければなりません、近代国家としては当然なさなければならない仕事が遅れておりましたものですから、一方に国土総合開発の審議を進めながら、その材料を並行して整備したい、材料とその扱い方の関係になるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014072X00219510322/6
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007・赤木正雄
○赤木正雄君 この法案によつて根本の調査をなさる、それが又国土開発の基礎となる。それはもうよくわかりました。併しそうしますと、さつき政務次官の言われた通り、一面から見ると、これがなければ実際国土総合開発は運用できない、そういうふうにも思われます。又その時期を待つことはできんから国土開発としても何かの機関を通じてやつて行く、こういうふうにおつしやいました。なお又この法案によつて科学的、これを頻りに科学的にと言われますが、今、国土総合開発のほうにしても、集まつておる材料においてやはり科学的にやるべきもので、何も科学的はこの法に関係するもののみが科学的でなく、国土総合開発、それこそ科学的にやるべきものと思つております。この席に政府委員が若しおられれば、国土総合開発法に関係したことで聞きたいと思いますが、誰かおられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014072X00219510322/7
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008・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) ちよつと速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014072X00219510322/8
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009・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) 速記を始めて。只今赤木委員の質問中、総合開発関係の役所のかたが見えておるかということでありますが、先ほど私が申しました建設交通局次長の山崎君がちよつと席を外しておりますので、その間おりますのは総合開発審議会の事務所の企画班長首藤君が参つております。よろしうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014072X00219510322/9
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010・赤木正雄
○赤木正雄君 よろしうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014072X00219510322/10
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011・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) それでは質問を続けて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014072X00219510322/11
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012・赤木正雄
○赤木正雄君 先ほど申した通り、一面考えて見ますと、これが根本的にできない以上は、国土総合開発はちよつとできない、こういうふうに思われるのです。併し国土総合開発の委員会を置きましても、やはり一々それぞれやつておられる。これは我々委員会に聞いたのです。そういう観点でありますから、何ら両者の連絡はないように思います。果してこの連絡があるならば、どの点が連絡があるか、それがはつきりしない。又仮に、或いは農林省或いは建設省が材料をおとりになりましても、やはりこの法案のために材料をおとりになる。又国土総合開発のために材料をとられる。同じ材料を二つの所でとられる。それをどういうふうに科学的になるか知りませんが、非常に面倒のように思う。それに対しての関係はどうなつておりますか。或る場合によつてはこれがあれば国土総合開発も要らないような気がいたしますし、又国土総合開発を根本的にやるなら、これが要らない。そういうような気がしますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014072X00219510322/12
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013・小峯柳多
○政府委員(小峯柳多君) 両方とも私どものほうの役所で所管いたしておりますのでお答え申上げます。先ほど御指摘がありましたように、正確に言えば、この材料ができてから国土総合開発の進め方をすべきものだと思いますが、何にいたしましても、それが全部済みますまでにはなお十カ年くらいかかるということでありますから始めておるわけであります。例えば土地なんかにつきましても、土地台帳を作りました時の調査以来、政府もやつておりませんが、実際上は或る程度見当を付けてやつておることもあると思います。従つて次善の策でその後もやつておりますし、又国土総合開発のほうもそういう材料を使つてやつておりますが、この機会にすつかり洗い直して参りたい、この材料を使いますから、若し上手に総合的に連絡が付きませんと御説の通りダブることもあります。併し国土総合開発審議会から国土調査会のほうへ要望事項が来ておりまして、これこれのものはお前のほうでやれ、根本的な材料をまとめたからというようなことでありまして、その間の連絡は遅滯なくやつておるつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014072X00219510322/13
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014・赤木正雄
○赤木正雄君 この前の国会で国土総合開発の審議会の委員長その他の人に来てもらいまして、一体これは何年くらいで国土総合開発をやるか、そのときの御答弁では、やはり十カ年で完成するとおつしやいました。そうすると今の十カ年、これと同じ十カ年、今政務次官がこれができてから又その先にというお話であります。そうしますと委員長が我々に委員会で発言したことと年限の相違があると思いますが、これはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014072X00219510322/14
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015・小峯柳多
○政府委員(小峯柳多君) 私はこの十カ年が済んでから国土開発をやるということでなしに、当面必要な国土開発り審議を進めて頂きまして、その間、材料で補つて行きたい。なお食い違つたものは直して行くようにしますれば、並行してやつて行けるという観点から申上げたのでありまして、両方の年限と大体同じにしておりますのも必らずしも矛盾に考えていないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014072X00219510322/15
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016・赤木正雄
○赤木正雄君 それは、私は非常に政務次官のお考えは先ほどのお考えとは根本的に相違があると思います。つまりこの調査が完全にできて、それから国土総合開発をやる、併し十年で同じにやるということになりますと、その間に非常に矛盾があるのであります。或いは国土総合開発のほうが行き過ぎだと考えていいか……。併し国土総合開発も打棄てることはできぬから一日も早くやらなければならぬ。そうしますと、折角、国土総合開発の研究をしても、その精密な調査が十年の後にできて、そうして又折角できた総合開発計画を又やり直さなければならん、こういう結果になると思いますが、今、政務次官は十年ぐらいで互いに補足しながらやるとおつしやいましたけれども、先ほど政務次官のおつしやつたのは、やはりこれは根本調査になると、こういうふうなお話があつた、私はこういうふうな根本的な調査があるならば、これは本当に結構だと思いますが、その間において、やはり只今の政務次官の御答弁に齟齬する点がある。両方とも十年とおつしやいましたけれども、その前にはやはりこれは根本とおつしやいましたが、やはり要するのに、どちらかの法案を作つて置けばよいので、同じような法案がダブると、こういうふうなちよつと考えがいたすのですが、それはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014072X00219510322/16
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017・小峯柳多
○政府委員(小峯柳多君) 材料を正確に集めて、その材料を組合せて、そうして、その材料をどういうふうに活かして行くか、どういうふうに国土の経済価値を高めて行くかというのが総合開発の問題なんです。その材料としては成るべく正確なほうがいいのは申上げるまでもありません。今いろいろ御意見を伺いましたが、これでやりましただけ、すぐそれが、国土開発の中に取入れられる基本調査もありましよう。又国土開発と連絡しながら特定な地域に対するものは特に他の仕事を進めるというようなこともあり得ると思いますので、形式的に言いますと、材料になるべきものを十年かかつて、而も実際国土開発をすでに始めているということは矛盾のようにとられると思いますが、併しここで調査したものを補正しながら行くという考え方をとりますれば、必らずしも、矛盾するものではないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014072X00219510322/17
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018・赤木正雄
○赤木正雄君 仮に国内においてどれほどの面積の山林を所有するか。或いはどれほどの面積の耕地を所有すべきであるか。或いは河川はどうする。都市の按分はどうするか。これは国土総合開発をやるに必要でありますが、併しそれに対してはやはりこの基本調査かあつて初めてできるのが本来だと、こういうふうに思われるのであります。この点から言うと、やはりこの法案が先行して、これによつて国土開発法案というものが一時棚上げしてもいい、こういうふうな気もします。併し又それはいけないのだ。国土の成るべく利用化を早くするために、一日も早て国土総合開発法を活かさなければならん、そして現在各省でやつておるもりを現在すぐ利用して、又実際利用していると思いますが、そういうことになりますと、やはり何といつても矛盾かある。その矛盾がやはりへ何と政務次官が言われても補うことができぬのです。又非常に費用の無駄がある。仮に河川測量にいたしましても、山林測量にしても、耕地の測量にしても、やはり農林省の出す耕地の測量は、これはこの法案によつてあなたのほうに出すものも、或いは国土総合開発に基いてやはり国土総合開発委員会の出すのと同じように私は思う。そういうものは違うはずはないと思います。河川においても然り。同じ日本の河川を法案に出すべきものと国土開発によつて出すものと同じものです。つまり同じもののために非常に費用がダブる、こういう不合理は、不経済はどういうふうに調整なさる考えでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014072X00219510322/18
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019・小峯柳多
○政府委員(小峯柳多君) 不経済の点は両方の委員会が連絡をして、同じ役所で見ておるのでありますから、調整ができると考えますし、又国土開発のほうは国土に関する総合的な開発計画というようなことになりますので、その必要になります基本調査だけは、この法律にありますものを優先して、先行してやることにしますれば、御趣旨にかなうものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014072X00219510322/19
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020・赤木正雄
○赤木正雄君 それなら、やはりこの法律によつて調査したものが国土総合開発の先ず基本と申しますか、そういうものになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014072X00219510322/20
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021・小峯柳多
○政府委員(小峯柳多君) 根本的にはそうでありますし、そうしたいと思いますが、なお、そういう面を完成できません前にも、国土の総合的な開発計画というものは、これは達観的と言いますか、少し大きい立場からの計画というものは成り立つものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014072X00219510322/21
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022・赤木正雄
○赤木正雄君 国土総合開発はそんな簡單なものとは違うと思います。(笑声)これは科学的にやつて初めて本当の価値があるので、達観的にやつたために今までの開発の不合理の点があるわけなんです。それでありますから、どちらか私はこの法案に矛盾があると思うのです。この矛盾がないようにして欲しい。先ほど申しましたような点も同じです。一つの建設省で河川測量をする、それもこの法案に基いて出すのもあり、国土総合開発に基いてやはり出すのもある。非常に無駄がそこに起つて来る。又農地にしても山林にしても同じ、人口の配分にしても同じ、同じことを必ず出すにきまつている。そういうような同じごとがあるならば、どちらかの、国土総合開発ができたのでありますから、あれがあれば、この法案に則るものをやる、そういうことはできないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014072X00219510322/22
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023・小峯柳多
○政府委員(小峯柳多君) もう御指摘のように無駄をやるという考えは別にありませんし、御趣旨の御意見に従いまして、そう調整は十分にやるつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014072X00219510322/23
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024・江田三郎
○江田三郎君 今の赤木委員と政府の話を聞いておりますと、大変大事なところを言つておるのですが、どうも私はここで聞いておりまして、政府委員のほうが十分この法案を理解しておらないのではないかという気がするのでありまして、これはおざなりの御答弁でなしに具体的なお話を願いたいと思う。この国土調査は非常に重大なものでありまして、戰後いろいろな立法ができた中の最も大事な一つだと私は思うのでありますが、是非これは完成させなければならんと思うのですが、問題は金と時間との制約があるわけでありまして、今政務次官のおつしやいました総合開発の前提にこれが行くので、両方の十年の時間的な問題を赤木さんが衝いておられましたが、そういう問題はやはり調整の途があると思うのでありまして、国土調査をやる必要なんかも平面的に日本国中どこも同じ歩調でやらなければならんというわけではないのでありまして、国土開発に必要な個所を優先的にとり上げて行くというような行き方も私はあると思うのです。それから只今申されました政府の関係各機関でやつておられる調査との無駄が出て来るのではないかという問題、この点が私は非常に重大な問題だと思うのでありまして、そのために先だつての委員会におきまして、資料のお願いをしたわけであります。この資料で見てもわかりますように、土地分類調査、水調査と関係ある調査を政府のいろいろな機関でやつておられるわけでありまして、若しそれらのやつておられる調査というものを一定の規格に乗せることができれば、これはここにできるところの審議会が直接やるのではなしに、いういろいろデーターというものは揃うわけです。ただ問題はそういうような関係各機関でやつておる調査というものを如何にしてこの一つの規格へ乗せるかという点、そこに問題があると思うのです。そういう点につきまして、法案を通読いたしますと、例えば地籍の調査につきましては、末端の土地改良機関がやる事業に対しまして、一つの勧告ができることになつておりまして、割合スムースに行くのではないかと思いますが、そういう末端の機関への勧告ははつきり書いてありますが、ここに出て来るところの政府の関係各省の調査と、どう調整をし、どうこれを規格に乗せて行くかということにつきまして、どうもこの法案で見るとはつきりしないように思うのでありまして、その点をはつきりして頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014072X00219510322/24
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025・小舟清
○説明員(小舟清君) 一番最後のお尋ねにありました政府の機関の実施いたします問題につきましては、法案の第三条におきまして、「国の機関が行う国土調査及び都道府県が行う基本調査の基礎計画は、経済安定本部総裁が定める。」こういうことになつておりまして、この基礎計画におきまして国の機関が行う調査につきましては、單に基本調査のみならず、その他の調査につきましてもこの基礎計画の中に詳細に内容を、実施方法等を定めまして、その細部の技術的な諸問題につきましては、第三条の二項の作業規程の準則におきまして詳細定める予定であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014072X00219510322/25
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026・江田三郎
○江田三郎君 それでは一つの具体的な例をとつてお尋ねして置きたいと思いますが、例えば公益委員会のほうで電源開発の調査をせられる。その電源開発の調査をせられるのには、ただ單に水の量というだけでなしに、上流の山の状態、或いは砂防の状態、いろいろのことが問題になると思います。そういうようなことはここに狙わんとするところの国土調査と同じことになるわけですが、そういう電源開発の調査をするときに、当然これだけの、この国土調査法に基くところのこれだけの調査をやれと、こういうような強制力か出て来るわけであるかどうか、例えば電源開発でなしに土地改良とかいろいろな問題についても出て来る。そういう点は一体どうなるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014072X00219510322/26
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027・小舟清
○説明員(小舟清君) この調査は水の問題につきましては第二条の定義にございますように、治水及び利水に関する資料にする目的を以ちまして、水に関する重要な事項につきまして、各種の調査の基礎となるような調査をいたすのでございます。従いまして電源開発の調査をやります場合におきまして、その基礎的な事項が、この国土調査の中に入るものもございますが、それぞれ特殊な事業目的のための調査といたしまして実施するものは基礎的なもの以外にいろいろございます。それらのものにつきましては、それぞれ特殊な立場からする調査を実施して頂く、こういう考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014072X00219510322/27
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028・江田三郎
○江田三郎君 そういう点が少しはつきりしないのでありまして、国の機関が行う国土調査については、先ほど申されましたように第三条によつて一つの計画を立てて準則を作つて行くことはよろしい、ところが電源開発をやります場合に、公益委員会のほうで自分で調査し、或いは委託調査する場合には、これは厳密に言う国土調査と言えない、言えないけれども、実質は国土調査が狙わんとするところと同じことを、共通のデーターを取上げなければならない。勿論その国土調査が狙わんとするデーター以外にもその共通する部面があるわけなんです。そういうことについては一定の規格をきめる。例えば電源開発をする場合には国土調査のこれこれの部分並行してやれというような一つの勧告よりももつと強い権限がないというと、関係各省のやつたことが赤木さんがさつき心配されたように無駄ばかり繰返すことになる。そういう点がはつきり出ていないのじやないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014072X00219510322/28
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029・小舟清
○説明員(小舟清君) その点につきましては、第二条の第七号で基本調査その他の調査を行う。国の機関はこれらの国土調査のおのおのについて政令で定めるということになつておりまして、関係各省と十分お打合せいたしまして、政令で定めたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014072X00219510322/29
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030・江田三郎
○江田三郎君 政令で定めるといつて逃げてしまうのではいかんのではないかと思うのでして、土地改良区に対して監督ができるなら、やはりそういう国がやることについて勧告というのはちよつとおかしい。国がやることを国が勧告するのはちよつとおかしいのですけれども、もう少し強い権限が生れるところの審議会が出て来ないというと、何をしたのかわからないようになりはしないかということになる。更にもう一つ根本的に言えば、一体この何とか審議会というようなこういう形のもので、横の連絡調整がうまくとれるのかどうかということになるのでありまして、そういう点、ただ政令でどうやらするというようなことでは、私は結局何にもならんことになるということを虞れるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014072X00219510322/30
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031・小峯柳多
○政府委員(小峯柳多君) 御指摘、誠にその通りなんですが、ただ立法技術上、或いは政令にすると弱いというように御指摘になるのだと思いますが、私どもはこれで今御指摘のような目的は達成するというように見ておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014072X00219510322/31
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032・江田三郎
○江田三郎君 これで目的が達せられると言われましてもなかなかそうは行きません。従来の官庁のセクシヨナリズムからいつて、こういう一片の政令で問題が片が付くようには私は思われないわけであります。もともとこの国土調査法が出て来たところの経緯を見ますというと、最初は地籍の調査に重点をおいておられたのではないかと私は窺えるのでありまして、本当のこの調査の目的はここの第一条ではつきりあるように、地籍とかいうようなことは第二次的になりまして、国土の開発及び保全及びその利用の高度化ということに、その目的がはつきりしておりますけれども、この案全体を通じて印象付けられることは、依然として地籍ということに重点がおかれているのではないか。従つて地籍については土地改良区にはつきりあるから、国土の開発及びその保全とその利用の高度化ということについての基本的なもの、或いは国の各機関がやるものについては少し目的と法案の内容とがズレが来ているのではないかということを私は感じるのでありまして、私どもも、今政務次官がそうおつしやいましたところで、一片の政令で官庁のセクシヨナリズムがそう簡單に打破できるなら誠におめでたいと思いますが、これはそうではないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014072X00219510322/32
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033・小舟清
○説明員(小舟清君) 只今のお話のうち、地籍調査の点について重点があるのではないかというお話でございましたが、その点につきましては、従前と言いますか、以前から言われております地籍調査の中には、いわゆる基準点測量をも含めまして、いわゆる広義の地籍調査ということが考えられておつたわけでございますが、この国土調査を実施いたします場合の構想といたしましては、先ず国土の実態を明確にいたしますためには、この国土調査の基本図というものを作製することが極めて重要でありまして、その国土調査の基本図の上に他の諸調査が行われるものでございます。そういうふうにきめまして、只今は国土調査基本図が基礎になつているというふうに御了承頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014072X00219510322/33
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034・江田三郎
○江田三郎君 この調査でいろいろなことを狙われておりますけれども、三百億円で、そうして長い年数かかつてやるというのですが、恐らくそういうことはペーパー・プランに終つてしまうと思うのでありまして、もう少しこの調査でやられることを整理せられる意思はないかということなんです。例えば土地の収量等級調査といつたようなことがありますが、これは実際できるものじやございません。この土地収量等級調査ということは、例えば一つの土地が米については適地であつても、麦については不適地だということもありましたり、いろいろなこと、私たちも農業の食糧供出の記録調査で一筆ごとの記録調査等をやつておりましたけれども、それはなかなかできるものじやない。そういうふうなことを、或いは細かな地籍調査というようなことをもう少し省いて、この総合的な開発なり、保全なり、利用なり、そういう点が大づかみにつかめられるような科学的な資料を作るということに、もつと重点を置いたらいいのではないか。そうなつて来るというと、今私が再三質問いたしますような中央の関係各官庁の横の連絡ということが一番大事になつて来るわけであつて、例えば一つの地点に総合開発の一つの前提ができたとします。そういうときにこの総合開発をやる。その場合には電源については域、は公益委員会のほうの調査がありましよう、或いはそこに関連した土地改良については農林省関係の調査がありましよう。そういうものを一定の規格をきめて、それをやるときには必ずこれだけの基本調査をしなければならんということの強い権限がこの審議会に与えられるようなことができれば、もつとスムースに而も能率的な調査ができるのではないかと思うのでして、ここに書いてあるような何もかにも狙わんとするやり方をされたのでは、私は三百億円あればいいのですけれども、そういう金は恐らく出つこないと思うのでして、或いは将来地籍調査等をやられまして、それから隠れ地が出て来て税金がたくさんとれるというようなお考えでありましようけれども、これはとんでもないことです。なかなかそういうわけに行かないのですから、そういう点について少し考え直されて見られたらいいのではないかと思うのですが、その点をお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014072X00219510322/34
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035・小峯柳多
○政府委員(小峯柳多君) 先ほどから御指摘のように、金と時間がやはり問題なものですから、誠に御趣意のようなこともよくわかるのでありますけれども、国土調査の審議会ということができますので、御趣旨のようなことは審議会でその運営については十分いたすつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014072X00219510322/35
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036・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) ちよつとここで議事進行につきまして御相談申上げたいと思います。速記を停止
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014072X00219510322/36
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037・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) 速記を始めて下さい。只今御相談を申上げましたように、ちようど十二時になつておりますし、質疑はまだたくさん残つておるようでありますので、今日はこの辺でもつて打切りたいと思います。御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014072X00219510322/37
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038・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) それではこれでもつて閉会することにいたします。
午後零時四分散会
出席者は左の通り。
経済安定委員
委員長 佐々木良作君
委員
中川 以良君
伊藤 保平君
藤野 繁雄君
菊田 七平君
兼岩 傳一君
農林委員
委員長 羽生 三七君
理事
片柳 眞吉君
岩男 仁藏君
岡村文四郎君
委員
瀧井治三郎君
江田 三郎君
三橋八次郎君
三輪 貞治君
溝口 三郎君
三浦 辰雄君
建設委員
理事
岩崎正三郎君
赤木 正雄君
小川 久義君
委員
島津 忠彦君
田中 一君
小林 亦治君
徳川 宗敬君
東 隆君
政府委員
経済安定政務次
官 小峯 柳多君
事務局側
常任委員会專門
員 桑野 仁君
常任委員会專門
員 安樂城敏男君
常任委員会專門
員 中田 吉雄君
常任委員会專門
員 武井 篤君
常任委員会專門
員 菊池 璋三君
説明員
経済安定本部資
源調査会事務局
長 小舟 清君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014072X00219510322/38
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