1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十六年五月二十八日(月曜日)
午前十時十八分開会
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本日の会議に付した事件
○生活保護法の一部を改正する法律案
(内閣提出・衆議院送付)
○身体障害者福祉法の一部を改正する
法律案(内閣提出・衆議院送付)
○児童福祉法の一部を改正する法律案
(内閣提出・衆議院送付)
○社会保障制度に関する調査の件(皇
太后陛下の救癩に関する記念事業に
関する件)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03319510528/0
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001・山下義信
○委員長(山下義信君) これより本日の厚生委員会を開会いたします。
生活保護法の一部を改正する法律案一身体障害者福航法の一部を改正する法律案並びに児童福祉法の一部を改正する法律案を議題に供したいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03319510528/1
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002・山下義信
○委員長(山下義信君) 御異議ないものと認めます。つきましては、政府の提案理由の御説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03319510528/2
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003・平澤長吉
○政府委員(平澤長吉君) 只今上程されました生活保護法の一部を改正する法律案につき、その提案理由を説明いたします。
本法律を提案いたします理由は、先に制定公布された社会福祉事業法の中に規定されている福祉に関する事務所の設置に伴いまして、生活保護法の実施においても、これに対応し、保護の実施機関及び費用等の規定を改める必要が生じたからであります。本法案の主なる改正点を申上げますれば次の通りであります。
第一は、保護実施機関に関する事項でありますが、現在市町村長が保護実施機関とされておりますが、福祉に関する事務所の設置に伴い、保護の実施機関を福祉事務所を管理するところの都道府県知事及び市町村長としようとするものであります。第二点は、福祉事務所を設置しない町村の長の協力義務に関する事項でありますが、このような町村長は保護の実施機関でなくなるわけでありますが、保護の実施機関が行う保護事務の執行を適切ならしめるために、緊急の場合これに代つて保護を行い、且つ又一定範囲の事項についてこれに協力をすべきものとすることにしようとするものであります。第三は、費用の支弁に関する事項でありますが、現在保護費等の支弁は市町村が行うものとされておりますが、保護実施機関が変更されることに対応いたしまして、保護費等の支弁も又保護を行う都道府県又は市町村がこれを行うものとしようとするものであります。第四点は、費用の負担に関する事項でありますが、その一は現在保護費等については、市町村及び都道府県がそれぞれ一割ずつを負担しておるのでありますが、これを保護費を支弁した都道府県又は市町村がそれぞれ二割を負担し、八割を国が負担することとしようとするものであります。その二は、現在居住一年未満の被保護者に対しては、都道府県がその保護費等の二割を負担することとなつていますが、市町村と都道府県とが同等の立場で保護費等を支弁することとなる関係上、このような居住期間による負担率の差別扱いを撤廃しようとするものであります。第五は、保護施設に関する事項でありすまが、現在保護施設は都道府県、市町村以外は公益法人が設置し得るものとなつていますが、社会福祉事業法によつて社会福祉法人なる特別法人が作られることになつたのに鑑みまして、社会福祉法人のみがこれを設置し得ることとしようとするものであります。
次に、身体障害者福祉法の一部を改正する法律案の提案理由について申上げます。
先般社会福祉事業の全分野における共通的基本的事項が確定せられたのでありますが、特に第一線の現業機関として福祉に関する事務所が設置され、この事務所を中心として福祉事業が総合的に行われることとなりましたので、身体障害者福祉行政の組織運営も早急にこれに即応いたしまして整備する必要があり、この法律案を提出した次第であります。以下本法案の内容についてその要点を御説明申上げます。
第一に、身体障害者更生援護の実施機関は、従来都道府県知事となつておりましたが、これを改めまして、社会福祉事業法により設置された福祉に関する事務所を管理するところの都道府県知事、市長及び町村長としたのであります。第二番目には身体障害者福祉司、身体障害者更生相談所、福祉事務所等、身体障害者の更生援護の業務に従事する末端現業機関の所掌事務を明確にすると共に、それら相互の関係を調整したのであります。第三に、本法は十八才以上の身体障害者を対象として更生援護措置を講じているのでありますが、今回十八才未満の身体障害者兒童についても、兒童福祉法により各種の更生援護措置を講ずることといたしているのでありまするが、身体障害者手帳については、便宜上本法により交付することとしたのであります。
以上が本法案の要点でありまするが、何とぞ愼重御審議の上、速かに御可決せられんことをお願いする次第であります。
次に、只今議題となりました児童福祉法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由を御説明申上げます。
この法律案はこの三月制定を見ました社会福祉事業法において社会福祉事務所の制度が創設せられ、児童福祉行政についても第一線機関として働くことになりましたため、これと従来の兒童福祉の機関との活動領域の調整その他兒童福祉法自体の規定中、二、三の点を改正しようとするものであります。
次にこの法案の内容について御説明いたしますが、第一点としては、今申述べました社会福祉事務所及び社会福祉主事に対し一定の児童福祉行政事務を行わせることであります。第二点は、法人の設置する兒童福祉施設に対して、その修理、改造、拡張又は整備に要する費用に対して補助する途を開くことであります。第三点は、身体に障害のある兒童に対して保健所長が相談に応じ必要な療育の指導を行うほか、盲人安全杖、補聴器、義肢、車椅子等の補装具を交付し、若しくは修理することができるようにすることであります。第四の改正点は、兒童福祉施設の長の親権の規定を整備すると共に、児童相談所長が家庭裁判所に対して親権の喪失及び後見人の選任又は解任の請求をすることができるようにすることであります。第五点は、兒童の事後補導の万全を期するため、義務教育を終了した児童を預かつて保護し、自立に必要な指導をすることを目的とする保護受託者の制度を設けようとすることであります。最後の改正の点は教護院の教科に関する事項について、教護院の目的の特殊性に鑑みて、教護院の長が、文部大臣の勧告の範囲内で必要な学科教育ができるような規定にしようとすることであります。
以上が兒童福祉法の一部を改正する法律案の主な改正点の説明であります。何とぞ愼重御審議の上、速かに可決せられんことをお願いいたす次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03319510528/3
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004・山下義信
○委員長(山下義信君) この際生活保護法の一部を改正する法律案並びに身体障害者福祉法の一部を改正する法律案につきまして、社会局長の補足説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03319510528/4
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005・木村忠二郎
○政府委員(木村忠二郎君) 生活保護法の一部を改正する法律案につきまして、補足的な御説明を申上げます。改正案の要点につきましては、只今政務次官から御説明をいたしましたようでございますので、これにつきまして、主な点について若干詳細に御説明申上げたいと思います。
第一の保護の実施機関の点でございますが、これは法案におきましても、第十九條の改正で現われておりまして、第十九條の改正以外におきまして、字句の修正がこれに伴いまして各條項についてあるわけでございます。第十九條におきましては、従来市町村長が原則として保護の実施機関となるという建前をとつておつたのでございますが、社会福祉事業法によりまして、福祉に関する事務所を設けまして、ここにおきまして総合的、包括的な社会福祉行政の現業を取扱うことにいたしました関係から、この福祉事務所におきまして、生活保護法につきましての現業の仕事をやらせることにいたしました。これに伴いまして福祉事務所を管理いたしますところの都道府県知事及び市長並びに町村長が保護の実施機関となるようにいたしたのでございます。その保護の対象の所管の関係につきましては、従来の場合と内容は同じでありまして、ただ管轄区域が変つて来るということだけになつておるのでございます。なお福祉事務所におきましては、生活保護に関しまするところの現業の仕事、つまり要保護者を発見いたしまして、これに関しまする調査をいたし、或いは指導いたしますとか、第一線の仕事をいたすことに相成つておるのでございますが、なおその保護のいろいろ調査たしました結果、保護の決定をいたしますこと、これは都道府県知事並びに市町村長が保護の実施機関ということになつておりますので、これをやることになるのでございますが、実際の手続といたしましては、福祉事務所長にこれをしつかりやらせますことが適当であると考えますので、福祉事務所長にこの決定実施の権限を委任するということができる規定を設けまして、この仕事が円滑に行くことを期しておるのであります。この実際の運営の状況につきましての指導監督の点につきましては、遺憾のないような指導監督の規定を設けてございますので、これを委任することによりまして、不便はないように相成ることと考えております。なお保護の実施機関が福祉事務所となります関係上、従来町村長がやつておりましたものが福祉事務所長になるということになりますので、その管轄区域が広くなりまする関係から、要保護者に対しまして不便を来たすということがあつてはなりませんので、これに対しまして、先ほど提案理由の説明の際にもありましたように、福祉事務所を設置してない町村におきましても、その町村区域内におきまして、急迫した事情にあつて放置することができないような実情にあります要保護者に対しましては、応急的措置として、市町村が必要な保護を行うことにいたしてございます。なおそうでない、緊急でない場合につきましても、保護を要します者を発見いたしまして、或いはその保護を要しまする者の生計事情等の変動を発見いたしました場合、或いは保護の開始につきましての申請を町村長に提出されました場合、或いは保護の実施機関から、或いは福祉事務所長から、要保護者に対しまして、保護金品を交付する場合、これらにつきまして協力いたしまする趣旨を規定いたしまして、これによりまして、保護の実施に対しまして、末端におきまして遺憾のないような処置をいたしましたわけでございます。
第二の点は、保護施設の経営主体といたしまして、都道府県、市町村以外に公益法人がこれをやることになつていたのでありまするが、今回要保護者を収容いたしまして保護いたします保護施設というものにつきましては、その事の重大性に鑑みまして、社会福祉法人でなければならんということにいたしまして、従来の公益法人というものを社会福祉法人に改めたのでございます。この点は社会福祉法人という制度を作りまして、社会福祉事業の純粹を図ろうということにいたして、かくのごとくいたしたわけであります。
次に、費用負担の点でございますが、費用の負担につきましては、保護の実施機関の属しておりまするところの都道府県或いは市町村というものが保護費を支弁するということにいたしました。その負担関係につきましては、従来実施機関が一割、国が八割、その中間におきまして、都道府県が一割という負担をいたしておつたのでございますけれども、今回都道府県と市町村とが保護の実施機関といたしましては、同等の立場に立つことになりました関係から、先ほど提案理由の説明の際にお話がございましたように、これを実施機関が二割、国が八割ということにいたしたわけであります。この点につきましては、財源措置といたしまして、平衡交付金の配分につきまして、この点を調整いたすように地方財政委員会のほうと話合いをいたしまして、その了解を受けたという次第でございす。従いまして、従何町村に行きました平衝交付金が、その関係に関するものにつきましては、これが都道府県に行くということになり、従来都道府県に行きました市に関するものは、これが市のほうに移るということに相成るわけでございます。
生活保護につきましては、改正の主要な点は大体今のような内容でございます。
次に、身体障害者福祉法でございまするが、これもやはり社会福祉事業の制定に伴いまして、福祉事務所におきまして、身体障害者福祉に関しまする各種の援護措置をここで一貫して、この第一線業務としてやるということにいたしたいというのが改正の主要点でございます。そのために福祉事務所の條項を設けまして、身体障害者福祉司を福祉事務所に置きまして、ここで身体障害者の福祉に関する措置をいたすことにいたしたのでございます。これが第九條の改正でございます。福祉事務所におきまする身体障害者福祉司は、市及び町村につきましては、現在予算的措置が十分いたしてございません関係上、これを市として置くことはございません。都道府県に置きまするところの福祉事務所についてのみ身体障害者福祉司を置かなければならんことにいたしたのでございます。これにつきましては、やはり市及び町村に身体障害者福祉司を置くことは望ましいと考えるのでございますが、小さな町村等におきまして、身体障害者福祉司を置くことは実際上不可能でもありますし、不経済でもございまするので、この間におきましては、予算的な措置ができません関係と、その置きますることは却つて不経済であるということもございまして、置くことができるという規定にいたしたのであります。併しながら五大都市のごとき大きな市におきましては、成るべく置くようにいたしたいというように考えておる次第でございます。身体障害者福祉司を置いてない福祉事務所におきましては、そこにおきまする身体障害者福祉に対する技術的な指導をそのもよりの福祉事務所におりまするところの身体障害者福祉司が技術的な指導及び援助助言をいたすことができるようにいたしました。なお障害者福祉司を置いてない福祉事務所の長は、もよりの福祉事務所の身体障害者福祉司の技術的な援助、助言を求めなければならないことにいたしまして、この関係を円滑に行くように規定いたしたのでございますが、身体障害者福祉の事業につきまして、従来法律の規定が極めて不備であつたのでございまするが、今回社会福祉主事の資格要件が法律上明らかになりましたのに伴いまして、これよりも技術的に高等のものを持つておらない身体障害者福祉司につきましてのその資格要件を法律上明らかに規定いたしました。なおこれにたいまして、身体障害者更生相談所と福祉事務所との関係を明らかにいたすことができるように規定の改正をいたしたのでございます。なお福祉事務所を設置しない町村におきましても、この福祉施設、福祉の措置に関する仕事に協力をする必要がございまするので、これにつきましては更に第十二條の規定を設けまして、福祉事務所を設置しない町村の長が福祉事務所の仕事及び都道府県知事の仕事というものにつきまして協力をいたしまするような規定を第十二條で明らかに設けたのでございます。身体障害者手帳の点につきましては、これは児童福祉法によりまして、肢体不自由の兒童に対しまする各種の措置が強化せられまして、これに対しまする手帳を交付する必要があるのでございまするが、身体障害者が、肢体不自由の兒童が年をとりまして、即ち十八才以上になりますと、身体障害者の適用を受けることになるのでありますが、その間手帳が二つあるのは不便だと考えられますので、便宜上この手帳の交付を身体障害者福祉法で一括規定いたしまして、それに関する規定を整備いたしたわけでございます。その他の点につきましては、主として字句の点が主でございまして、その措置機関が変りました関係から、字句の修正を従来の法律におきまして、実際の実情と少し異なつたものがございましたものを、実際に合うように改めた、例えば失明者に対しまする更生施設と並びまして、身体障害者の更生施設ということになつておりましたものを、肢体不自由者ということに変えまして、その注文が重複することのないようにいたしましたり、失明者に対しましては、中途失明者に対しましては、更生施設を設けまして、中途失明者についてのみ更生施設とありましたのを、「失明者更生施設」というものにいたしまして、中途失明者もこれが利用できるようにいたすというふうの字句の改正をいたしたのでございます。それから費用の負担につきましては、これはやはり生活保護法と歩調を合わせております。
最後に、この法律におきましては、先般制定いたしました社会福祉事業法によりまして、公益質屋法を改正いたしまして、公益質屋は社会福祉法人でなければならないということにいたしたのでありまするが、これが公益法人から社会福祉法人に変更をいたしまする手続をします期間の間、公益法人であつても公益質屋が営めることにいたしませんと、現在存在いたしておりまする公益法人の経営しておりまする公益質屋が六月一日から実施ができないことになりますので、これにつきましての経過規定を便宜この法律の附則として設けたのでございます。
大体以上が身体障害者福祉法の一部を改正する法律案の要旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03319510528/5
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006・山下義信
○委員長(山下義信君) 兒童福祉法の一部を改正する法律案の兒童局長の説明は後刻に譲りたいと存じます。
生活保護法の一部を改正する法律案の審議は如何いたしましようか、お諮りいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03319510528/6
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007・石原幹市郎
○石原幹市郎君 これは本日説明を聞いただけでありますので、一応我々も研究をいたしまして、質疑その他は後刻にいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03319510528/7
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008・山下義信
○委員長(山下義信君) 三案の審議は後刻に譲りたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03319510528/8
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009・山下義信
○委員長(山下義信君) 御異議ないものと認めます。
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010・谷口弥三郎
○谷口弥三郎君 この際私から皇太后陛下の思召を継承して記念事業をいたしたいということにつきまして、厚生委員会の御了承を得たいと思います。皇太后陛下がにわかに崩御せられましたことにつきましては、我が参議院におきましても、院議を以て誠に哀悼に堪えません旨の弔詞を去る十九日に捧呈したことは、御承知の通りでございます。同陛下が御在世中に数々の仁慈を垂れさせられました中にも、救癩事業につきましては、特にその方面にお力を入れて頂きまして、光明皇后様と相対して、或いはそれ以上にこの事業の癩の撲滅などにつきまして、御仁慈を垂れさせられたことは、国民の深く感謝感銘いたしておるわけでございます。従つて私どもは、同陛下の思召を継承いたしまして、救癩事業に関するところの記念事業を行いたいと思いますので、我が癩に関する小委員会にこれをお任せを願いまして、今回の国会が済みましたら、休会中に草案を作りまして、次回の国会にそれを差出して皆様がたの御承認を得たいと存じますのでございます。どうぞよろしくお取計らいを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03319510528/10
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011・山下義信
○委員長(山下義信君) 只今谷口委員の御提案に対しまして、御意見ございませんですか。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03319510528/11
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012・山下義信
○委員長(山下義信君) 御異議がないようでございますから、皇太后陛下の救癩に関しまする御熱心なる御事績を記念する何らかの事業計画を研究いたしますために、谷口委員の御提案にありました問題を挙げて癩に関しまする小委員会に御調査を委託いたしますることに御異議ございませんですか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03319510528/12
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013・山下義信
○委員長(山下義信君) 御異議ないものと認めまして、決定いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03319510528/13
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014・石原幹市郎
○石原幹市郎君 私はこの際医師法、歯科医師法及び薬事法の一部を改正する法律案の審議のことにつきまして、一応懇談の機会を作つて頂きたいと希望するのであります。それは一昨日の委員会におきまして、これを休会中の継続審議に付すべきであるという一応の決定を見たのでございます。併し今回更に会期延長の問題も起つておりまするし、又一昨日の委員会におきまする決定に当りまして、委員の中に若干考え違いをされておつたような人もあつたやに承わつておるのであります。何分この法案は、民生に関する重要法案でありまするので、今後のこの取扱、審議の方法等につきまして、今一度皆様の御了解を得て懇談の機会を作つて頂きたいと思います。希望を申述べまして、委員長から適当なお取計らい方を願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03319510528/14
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015・山下義信
○委員長(山下義信君) 只今石原委員から、医師法、歯科医師法並びに薬事法の一部を改正する法律案の取扱いについての、過般議決いたしましたそれらに関連しての懇談会を持ちたいという御意見ですが、他に御意見ございませんか。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03319510528/15
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016・山下義信
○委員長(山下義信君) 他には御意見ないものと認めて懇談会に移ることにいたします。
先ほど委員長が癩に関することについて申上げました、そのことについて補足して置きますが、癩に関しまする小委員会は、休会中はございませんので、これは挙げて社会保障制度の調査事項の中に含まれるものと御了承願います。
それでは暫時休憩いたします。
午前十時四十五分休憩
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午後四時四十二分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03319510528/16
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017・小杉繁安
○理事(小杉繁安君) 只今から厚生委員会を開きます。
先ず身体障害者福祉法の一部を改正する法律案を議題といたします。御審議をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03319510528/17
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018・山下義信
○山下義信君 本案につきましては、質疑を打切り、討論は省略して、直ちに採決あらんことの動議を提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03319510528/18
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019・小杉繁安
○理事(小杉繁安君) 山下委員の動議に御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03319510528/19
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020・小杉繁安
○理事(小杉繁安君) 御異議ないと認めます。
それでは質疑を打切り、討論を省略いたして採決に入ります。身体障害者福祉法の一部を改正する法律案を原案通り可決することに賛成のおかたの御起立をお願いいたします。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03319510528/20
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021・小杉繁安
○理事(小杉繁安君) 全会一致と認めます。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。
それから委員長が議院に提出する報告書に多数意見者の署名を付することになつておりますから、本案を可とされたかたは順次御署名をお願いいたします。
多数意見者署名
中山 壽彦 河崎 ナツ
井上なつゑ 松原 一彦
谷口弥三郎 藤原 道子
石原幹市郎 藤森 眞治
有馬英二発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03319510528/21
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022・小杉繁安
○理事(小杉繁安君) 御署名漏れはございませんか……。御署名漏れはないと認めます。
なお本会議における委員長の口頭報告については、委員長に御一任願いたいと思いまするが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03319510528/22
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023・小杉繁安
○理事(小杉繁安君) 御異議ないと認めます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03319510528/23
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024・小杉繁安
○理事(小杉繁安君) 次に、生活保護法の一部を改正する法律案を議題といたします。御審議をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03319510528/24
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025・河崎ナツ
○河崎ナツ君 丁度政府委員もおいでになりますから、この法案を審議いたします前に少し伺わせて頂きたいと思います。この生活保護法の一部を改正する法律案は、だんだん改正せられまして、大変適切になつて参るのでありますが、実は地方へ参りましても、いろいろ聞くのでございますが、一昨日、五月の二十六日、毎日新聞の都内版で以て取扱つております生活保護法の運用の仕方におきまして、非常にルーズなところがある。その例に挙げております、六千坪も持つている地主が生活困窮者として扶助を受けておるというような実情、或いは係員が扶助者を調査に行つたところが、案内の民生事務所が家さえ知らなかつた。或いは同一戸籍内にあります兄が工場を経営して大した立派な生活をしている。ところが同じ戸籍にあります弟が補助を受けておる。いろいろ実施面においてそういうルーズなところがある。私たちは、これは東京でございますが、地方では逆なことを言うております。受けていい人に行つてない、それらの理由、原因を挙げておりまするその原因が、ここで一応生活保護法の一部を改正する法律案を審議するにつきまして、伺つて置きたいのですが、その原因をこういうふうに挙げておりますのですが、従来の、前の地区民生委員の調査でやつておつたところが、今度民生事務所或いは職員がそれをする。その結果、割合に調査がいかないという原因を一つ挙げておられまして、それから又職員の受持区域が広範で、手不足で行渡らない。補助金の出し方が国庫が八割とか、都が二割くらいの方法では、実際住んでおる区は懐ろを痛めないからルーズに取扱つている。東京都はこんな実情でありまして、各地方では生活保護法が、国庫が八割、県が一割、関係町村が一割、関係町村に関係して来るから、なかなか厳しくなつて来て、出すべき人にも出さないような、物差しが厳しいことを相談も受けて聞いておるのでありますが、実情はこんな様子でございますが、いろいろ生活保護法の一部を改正する法律案で、民生事務所が、実際職員のかたが取扱つて参るということがはつきりして参りますと、都のほうもこういう実情を挙げられておりまするのですが、これにつきましては、運用の仕方についてお気付きのところを伺わせて頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03319510528/25
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026・木村忠二郎
○政府委員(木村忠二郎君) 東京都の生活保護法の運用につきまして、極めて遺憾な点があることは毎日新聞の紙上に出ております。私どもも拝見いたしまして、承知いたしておるのであります。従来東京都におきましては、生活保護法の施行状況につきまして、必ずしも適当でないというものがあるように伺つておりまするので、これにつきましては、厳密な調査をする必要があるというふうに考えておつたのであります。昨年以来運営状況につきまして、全国的に調査をいたしまして、濫給があつたり、漏給があつたりすることのないように、果して適正なことが行われておるかどうかということにつきまして、現地におきまして実地監督を全国的にいたしたのでございますが、この監査につきましては、相当本腰を入れまして、監査をいたしておるのであります。その結果、各県におきまする実施状況につきまして、いろいろと適当でない点が発見されつつあるのであります。生活保護法の施行状況が、このように適切でないものがありますることは、どうもその仕事をいたしておりまする人たちが、まだ本当に専任の職員が十分揃つてやつていないという点にあるようでありまして、特に東京都におきまして、只今御指摘のありました点がございますことは、東京都以外の大阪、京都、神戸、横浜、名古屋等の五大都市につきましては、すでに昨年の中頃からと申しまするか、もう少し早くから有給の専任職員を十分整備いたしまして、この仕事を徹底的に実施いたすようにいたしておりまする関係上、その仕事のやり方は非常に適切になつて来つつあるのでありますが、東京都におきましては、各種の関係から、まだその整備が十分進行していないという誠に遺憾な状態にあります関係上、今回の監査の結果、遺憾な問題が担当あつたように承知いたしておるのであります。当局といたしましても、これに対しまして嚴重なる勧告をいたしまして、これの是正を図らせるようにいたしますと共に、今回の社会福祉事業法なり、生活保護法の改正なりによりまして、それらの遺憾の点は改めたいというふうに考えておるような次第であります。只今御指摘がありましたように、民生委員制度によりまして、有給吏員になりましたために
ルーズになつたということでなくして、有給吏員は従来区がこれを決定いたしております。その結果、現在おりまする民生事務所の中の職員が、必ずしも区内における優秀なる職員が配置されるのでなく、どちらかと申しますと、適当でない者が配置されておるという傾きがなきにしもあらずという状況であります。併しながらその人員につきましては、東京都はすでに早くからこれに対しまする有給職員に国庫補助をすると言つているにかかわらず、この職員の配置状況というものが必ずしも適当であるということは申されない。これは都自身がみずから置かずして、区がその職員を置いておるという関係に基くものではなかろうかと考えるのであります。従いまして各県におきましては、ほかの県におきましては、大体有給職員が百世帶に一人を最低のところにしておるのであります。ところが東京都におきましては、これよりも遥かに少い職員で以てやつている、百四、五十から二百世帶を一人が受持つておるという状態であります。而もこれに従事しております職員は、老人でありますとか、又慣れない若い女子のかたでありますとか、而も研究をいたしておらん人がやつておるような状態でありまして、余りその仕事がてきぱき行つていないということが事実であります。この点につきましては、東京都におきましては、早急な改革をいたすということにいたしておりまするし、厚生省におきましては、これらに対しましては、十分注意させるようにいたしたいと考えております。特に今回の法の改正ができますれば、その無駄な点は十分是正されるというふうに考えております。なお御指摘になりました点に、大地主が保護を受けたということは、やはり適用の誤まりであることは言うまでもないのでありますけれども、生活上におきましては相当困難しておる。土地そのものにつきましては、売れないものがございまして、そういうようなものもあつたようであります。これらにつきましては、それぞれ処置いたすべきであるにもかかわらず、その処置をせずにやつておつたということは遺憾であります。特に生活保護面について、そういうふうにしなければならないことは、生活の困窮に陷る者が、従来相当の生活をいたしておりました者が生活の困窮に陷るその場合の生活指導が十分行われませんと、その際にまだそれで以て生活ができるにもかかわらず、心理的にその生活の困窮度がひどくなつたということによりまして、打ちのめされてしまう、生活の意思を失うということが往々にあるのでありまして、それらが親子心中等の最も大きな原因になつております。生活保護法の考えておりまするような最低の生活なら、営まれる程度の者が、そういうようなことになることが非常に多いようであります。むしろ生活保護法の適用を受けなければならないという人よりも、そこに、にわかに落ち込んだという人のほうが多いのであります。従つてその際におきまして、補助のやり方等につきましては、練達なる職員が常時これに対しまするところの援護をして行かなければならないと考えます。これらの点につきまして、何と申しまするか、保護をしなかつたということが遺憾であるというのでなくして、むしろその点に伴いまするところのいろいろの措置が、例えば民生委員と連絡しまして、それを守るとかいう措置が十分でなかつたという点にあるのではないかと考える。それらの点を総合してやりまするやり方につきまして、まだ東京都におきましては、十分慣れてないという事例もあるようでございます。その点につきましては、至急に是正されるのであるというふうに思つております。私どもといたしましては、生活保護法の事務につきまして、あとから見まして、十分の監査ができまするように、組総をできるだけ早くいたしまして、そうして監査を徹底したい、漏給しないように、濫給しないようにいたしたいと考えております。今後は事務職員の整備と法律の整備とによりまして、遺憾のないように処置いたしたいというふうに考えております。従来よりは一層よくなるというふうに考えられるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03319510528/26
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027・河崎ナツ
○河崎ナツ君 大変よくわかりましたのですが、もう一つお尋ねいたしたいのは、その濫給とか漏給ですね。そういうようなことで、東京都では非常にここに皆さんからも問題があつたので、今度は調べるというが、適正に行われているかどうかということを、いろいろ重なつているから、調べる前に、或いはどこかにそれがひどくならんうちに、或いは適正に行われているかどうか調べると言いますか、適正に運用せられているかどうかということを知るような総合的な、あなたのほうにもわかり、或いは県なら県でわかるというような、そういう一つ糸がどこかに繋がつていることはございませんでしようか。組織の上と申しますか、どうもその組織は私ども一体はつきり覚えておりませんが、折角いいのができましても、生かされているか、生かされていないかということが一番問題でありますから、その点をちよつとお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03319510528/27
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028・木村忠二郎
○政府委員(木村忠二郎君) 従来私どものほうといたしましては、東京都は相当事務も整備いたしておりまするし、前から整備されておりますので、これにつきましては、東京都自身が十分な監査をいたしておりまするものと考えまして、むしろ弱小なる各地方の府県の監査につきましては、十分にいたしておりまして、これの指導をいたしておつたのでございます。今回特に東京都につきまして、いろいろと今後の実施状況を見ますために、いわゆる実施の参考にいたしまするために十分な監査をしなければならんと考えまして、昨年この監査をいたしたわけでございます。その結果恐らく私どものほうとしましては、外部には漏らしたことはないのでございますけれども、そういうようなことがどこからか漏れ聞こえて、そういうような新聞記事になつたのではないかと存じます。これらのことにつきましては、監査いたしました区につきましては、徹底的に是正いたしまするように現在措置いたしております。それから、なおその他の区につきましても、東京都をして十分な監査をさせるように現在はいたしておりまするし、又厚生省といたしましても、今後他の区につきましても監査をいたしたい。現在監査いたしました区がたしか三区か四区だつたと思います。そのほかに二十区近くの区がございまするからして、逐次やつて参りたいのでございます。ただ監査いたしまするには相当日数もかかりまするし、手もかかりまするので、従つて厚生省といたしましては、なかなか手が廻りかねております。従いまして抜取りの監査をいたしております。その結果そういうような記事が出た。出ておりまする記事は若干或る程度誇張して書いておる点がございまするけれども、東京都としましては、他の県と比べまして、もう少しよくやつてもらわなければならんと思うにかかわらず、不良であつたという点を認めなければならんというふうに思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03319510528/28
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029・河崎ナツ
○河崎ナツ君 これを伺いましたのは、今日はまだ必要であるにもかかわりませず、又勧告案があつたにもかかわりませず、なかなか実施せられないのが社会保障制度でございまして、今日あります生活に対しまする法案の中で、この生活保護法は非常な大きな役割を果しております。而もその生活保護法に支持せられております者の六割近くまでは子供を抱えた女の人でありまして、今日の未亡人問題ともからみまして、未亡人が随分これで支柱を得ております。そういう人たちは割合に力が弱いものですから、支持せられるべきであるにもかかわらず給与せられませんでしたり、又いろいろ漏れやすいのでございまして、その意味から随分相談も私ども受けておりますのでございます。折角のいい法案を、社会保障法ができません限り、これはますます拡充し、ますますいいものにして、そうしてそれによつて支持せられる人、殊に大多数の子供を抱えた女の人たちを、せめてこれによらせたいと思つておりますわけでございまして、今お話の中にも大分そういうところに陷つた、まだここまで行かないうちに弱い人たちが心中をしておるというあの母子心中というのは、随分数が多いことは、この法の運営に繋がつておることが多いと思うのでございまして、そんな意味で、どうか法律は私たちがこしらえる係りでございますが、実施におきましての御監督、御奬励を特にお願いいたしまして、私はこの法案のことにつきまして種は、本当に誠心誠意を以て審議さして頂き、賛成いたしたいと平生から思つておるものでございます。なお一層この法案の実施につきまして、御監督、御指導をお願いいたしたいと思つておるものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03319510528/29
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030・山下義信
○山下義信君 ちよつと一つ二つ伺つて置きたいのですが、福祉地区事務所で今後の決定をし、その事務を扱うということになるのでありますが、被保護者への金品の支給というものの扱いは、やはり福祉地区事務所でやりますか、それとも被保護者の現住の町村に金品の支給の事務を、何と言いますか、委託と言いますか、やらせますか、全部地区事務所に引上げてやるということになさいますか、金品の支給についてどういう方針でしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03319510528/30
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031・木村忠二郎
○政府委員(木村忠二郎君) 金品の支給は成るべくならば町村を通しまして、町村で以てこれを支給するようにいたしたい、特に生活保護法を取扱います者が金品を直接扱いますることは、各種の弊害を伴う虞れがございますので、金品の扱いにつきましては、成るべく被保護者のかたがたが受取るのに便利のいい場所で受取るようにいたしたい。そうしてこれにつきましては、何と申しまするか、保護をする者との間に成るべく直接の関連を持たさないようにしたい。成るべく一般の金銭の支払方法によつて支払うようにいたしたいと考えております。最もいいのは郵便局を通しまして、普通の為替のようにして払うのがいいんじやないかと考えられるのでございますけれども、これにつきましては、現在のところ為替の料金というものについて、まだ何らの措置が講ぜられておりませんので、一応現在では町村を通しまして払うようにいたしたいと考えまして、今回の改正法におきましては、町村がそれを払うようにするような規定を設けたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03319510528/31
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032・山下義信
○山下義信君 法の局長のお考えも御尤もと思うのですが、私どもの意見は申しませんが、福祉地区事務所ができまして、いろいろ軌道にそれが乗つて来るということになりますと、それが金品の支給も地区事務所が扱つて、そこから現在地の町村の本人に直接行くような方法をとられるのが至当じやないかと思います。それでいわゆる被保護者が町村役場に出入しなくても済むところに地区事務所を置いたら非常によささというものがある、いわゆる金品の受領というものを町村役場を通してやるためにそこまで行くという、あの姿を存置することは一考を要すると思う。それで保護の決定の事務に当る者と金品の支給の事務に当る者が、これは別になることがよろしいと言われますことは同感です。併しこれはやはりその地区事務所内で事務の分離ができていいんじやないかと思います。それから今一つは、保護の決定について、或いは扶助額の増減についていろいろ被保護者が相談に出かけるというような、いわゆるかどかどしいことを言えばいろいろ不服の申立という言葉になりましようが、そうでなくして、いろいろ相談に行くところはやはり地区の福祉事務所であろうと思います。そうしますと、金品の支給事務がやはり地区事務所で行われておると、いろいろそれらの扶助の具体的な問題等につきまして、相談に行きますのもおおむね福祉地区事務所にその問題が持込まれて、そこでいろいろ審査も受ける、すぐに相談にも乗つてもらえるというあり方のほうが、そういうふうにだんだんと福祉地区事務所というものがフルに町村役場の手を離れて動くような方向に大体あるのじやないかと、私どもは考えるのであります。そういう点、局長は一つ御研究願えましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03319510528/32
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033・木村忠二郎
○政府委員(木村忠二郎君) 只今の山下委員の御説、誠に御尤もでございまして、私どもといたしましても、成るべく町村等を通さずに交付するほうがいいのじやないかというふうに考えるのでございます。毎月交付いたします金額でございますので、福祉地区事都所のほうでこれを毎月とりに来させるということは、場所によりましては必ずしも適当でないことがございます。従いまして、そういうようなことも考えられまするし、要保護者が町村から受取りまするということによりまして、やはり町村から受取るような感じを受けるというようなことで適当でないということも誠に御尤もであります。これらにつきましても、普通の為替を郵便局で受取るような形で以て受けられるような形にするのが、最も理想じやないかというふうに考えまして、この点につきましても、十分今度研究いたしたいと思います。それからなお福祉事務所におきましては、十分何と申しまするか、この金品が向うに届きましたかどうか、いつ頃交付されたかどうかということについては常に知つて置く必要がございますので、月少くとも一回被保護者の家庭を訪問いたしまして、十分相談もいたしまするし、あれをいたすようにいたしたいと考えております。御説誠に御尤もでありまして、これらの点につきましては、今後の運用について十分研究いたしたいと思います。ただここに先ほど申しましたことは、町村長にも保護金品を交付する場合の手伝いをする義務があることをこの法律に規定いたしまして、只今申しましたように、福祉事務所までとりに行けないというような者につきましては、福祉事務所の会計から、町村を通して本人に受取らせるという途を開いておる、差当りいろいろな便宜なことがございますので、こういうような交付以外に方法がないと存じますが、只今の御意見もございますので、やり方につきましては、十分研究いたしたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03319510528/33
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034・山下義信
○山下義信君 御答弁了承しました。少しくどいようでございますが、為替その他の送付方法を御研究下さつて、或いはテイケツトその他でも、若しこれが従来のやり方では、ずつと被保護者への金品の交付方に只今のような方法をお考え下されば、これは画期的に被保護者が非常に精神的にも喜びまして、非常な大進歩ではないかと考えますので、是非一つ御研究を願いたい。今一つ伺いますのは、この福祉地区事務所の設置を今回社会福祉事業法でお定めになりまして、自然生活保護法その他の関連の御改正をなさるわけでございますが、この福祉地区事務所設置につきましては、私ども伝え聞くところによりますと、地方当局が非常に難色を示しておるということである。言換えますというと、ぐずぐず不平を言つておると言いますか、言つておるということである。法律でこういうことを要望せられても、予算がないとか、いろいろなことを言つてぐずぐず言つているということであります。最近の地方の知事の会議でもそういうことを申しておるようでございますが、果して十月一日から、本法で申しますれば十月一日から御改正になるその福祉地区事務所の設置につきましては、円滑に実施できますようでございましようか、どうでございましようか、その点承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03319510528/34
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035・木村忠二郎
○政府委員(木村忠二郎君) 丁度福祉事務所を設置するようにいたしました時が、時、丁度、地方財政につきまして非常に一般の財源が困難になつた状況の時に際会いたしましたので、あたかもこの福祉事務所が町村財政を圧迫しているかのごとき感を持つというようなふうに相成つておることについては、誠に遺憾に堪えないのであります。厚生省といたしましては、この福祉事務所の経費につきましては、十分に予算的の措置につきまして考慮いたしまして、関係の方面、大蔵省なり、地方財政委員会なりの側と折衝いたしまして、今後財源的な措置を講じまして、なおこの社会福祉事業法案を作成いたしまする際におきましても、それらの当局と連絡をいたしまして、厚生省の理想から申せば十分でないが、一応財源措置がとられているという範囲内におきまして、その規定を作りました次第でありまして、先ずそれで以てとにかく仕事を一応やつて行こうということにいたしたのでございます。一人当りの受持のケースの数が、我々のほうとしましては、都市におきまして七十、町村におきまして六十というのが適当であるというふうに考えておるのでございますけれども、これを六十五及び八十といたしまして、予算的な措置ができておるわけでございます。従いまして法律もそういうふうなように措置いたしたのであります。従いまして理想から申しますると、やや足りないのでございますけれども、それでも我々といたしましては、これだけのことをいたしまするならば、何とかやつて行けるというふうに確信いたしております。ただ地方におきまして、地方のそういうような財源が非常に枯渇いたしております際でありますのと、それから地方におきまする職員欠員不補充の原則をとつております所が多いために、それらの点からこの福祉事務所で以てやるということは、必要止むを得ざることを認めながらも、いろいろとこれにつきましては、難色を増しておるような所があるようでございます。これが集まりますれば、やはりそういうふうな声が多くなつて来るのでありますが、各県ともこういうふうなやり方をやらなければいけないということを認めておるわけであります。なお今後この財源の措置が講じられます点を十分徹底いたすようにいたしまして、円滑にこちらに転換いたしますように努力いたしたいというふうに考えているのであります。ただこれにつきまして、いろいろと誤解をいたしておる点も多々あるようでありまするし、なおもう一つ、この問題をそういう問題に若干利用されておるという点も、地方財源が若干利用されておる点もあるようでございまして、我々といたしましても、それらの点につきまして、十分地方が納得の行くように努力いたしまして、十月一日には円滑にこれが改正できるようにいたしたいというふうに考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03319510528/35
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036・山下義信
○山下義信君 最後に一つ伺いたいと思いますのは、今回費用の負担区分を御改正になりまして、県のほうが二割、福祐地区事務所を持ちます市が二割ということになりまして、非常なこれは大改正であります。政府の根本方針としましては、地方の負担を増加させて行こう、国の負担を漸次減じさして行こう、今まで国が八割持つておりますが、これを七割にし、六割五分にして、これを漸次地方の負担を増加さして行こうという方針でありますか、その辺の方針はどういう方針を持つておられますか、我々といたしましては、これは国の責任においてやるべきいわゆる国家の扶助の仕事である、国かでき得れば全額を持つという方向に国の負担を多くして行くべきであつて、地方の負担を増加すべき筋合いのものでないと、原則的には私ども考える。併しながら、これらの国家の扶助というものが、これが本来の地方自治の固有の仕事を多分に持つておるという考え方ならば、地方の負担を漸次増加するという方向に行かれて勿論よいのでありますが、これを国の責任においてやる、地方のその固有事務は幾らかあるだろうが、極めてそれは少いという考え方であるならば、もう少し国の負担を増額し、この仕事は国家の仕事という性格をはつきり持たせて行ななければならんと、従来その方針で厚生省は進んで来られたのであると考える。生活保護法の改正も、又今回の改正も、福祉地区事務所の考え方も、今までその一つの線で進んで来られたと思う。然るに費用の負担の点に関しましては、今回の改正は地方の負担を増加しておられる。それは成るほど町村の一割をただ振替えただけであるから同じ二割であるとおつしやるけれども、併し町村の仕事はこれを引き上げたと、言換えますれば、この生活保護法の仕事をする者は県と市と、責任をこう持たせで、その地方のこの仕事に当ります者の負担を二割ということにしまするというと、一応地方の負担が増加したとも言えるように思うのでありますが、政府といたしましては、この生活保護関係の費用の負担区分は、将来根本的にはどういう方針を持つておられるかということを承わりたい。それから今一つは、今回の費用の負担区分の改正によりまして、被保護者への影響は将来何と申しますか、この費用の負担区分を変更することによつて、何らかの影響があると考えられておりますか。若し影響があると考えておりますれば、どういう面に影響を予想しておいでになりますか。この二点を費用負担の変更に関連して伺つて置きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03319510528/36
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037・木村忠二郎
○政府委員(木村忠二郎君) 只今お説がございましたように、生活保護法の費用というものは、国の負担をだんだん減らして行くというようなふうには我々は考えていないのであります。今回負担区分の改正につきましては、一応国と地方との予算の配分の際におきまして、八割、二割の基礎を以ちまして配分をいたしでございますので、その地方の配分だけの変更をいたしませんと、予算のほうを変更しなければならんということになります関係から、取りあえず従来の国と地方との負担という見地から調整をいたしたという次第であります。従いまして今後地方を増して行くというようなことは考えていないのであります。国と地方との財政の状況を睨み合せまして、今後若しも地方におきまして負担が困難であるということでありまするならば、国の負担のほうが殖えて来るというふうにならざるを得ないのじやないかというふうに考えております。なお本年度におきましては、従来生活保護法の事務費につきましては、地方だけでこれを持つておつたのでございますけれども、本年度からこの事務費につきまして、担当額の国庫補助をいたすことにいたしまして、この点につきましては、生活保護法全体といたしますれば、地方の負担が或る程度軽減になるというような措置を講じたような次第であります。全体としましては、そういうようなことでいたしておるのでございまして、まだ地方の市町村と都道府県との財源の負担の関係、財源の関係及びこれと国との関係を睨み合せまして、今後きめたいと思つておるのであります。ただその場合に、国の負担を逐次減らして行くというようなことは考えておりません。若し調整をしますれば、国の負担のほうが殖えて来るように調整すべきであると思つております。それからもう一点御質問のありました点でございますが、従来弱小の町村において、往々にして言われましたその全体の予算の中に現われまするところの保護費の支弁が非常に多いために、町村におきまするその支出を澁つておつたというような傾きのあることを往々にして聞いたのでありますが、こういうような点は、今後弱小な町村というものが保護費の支弁をいたすことがなくなりまするので、そういうような非難は今度の改正によりまして、解消するのじやなかろうかというふうに考えております。非常に大きな地域になりますれば、どうしてもそういうような面で制約されるということは、むしろなくなるということになります。従いまして我々といたしましては、あとは保護の実施を適正にやることについての指導を十分やつて行くということで、今後運営がうまく行くようになるというように考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03319510528/37
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038・山下義信
○山下義信君 そうしますと、今回の改正によりまして、被保護者の増減に対する影響は大体余りないというお考え方ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03319510528/38
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039・木村忠二郎
○政府委員(木村忠二郎君) 大体被保護者の数が増減いたすものとは考えておりません。直ちに影響があるとは考えておらないのであります。これにつきまして、今後措置を適正にやりまして、実際の状況が、従来が非常にルーズであつたということでありますれば、減つて来るかも知れませんし、従来が非常にきつかつたということになれば殖えて来るかも知れませんが、総体といたしましては、大した増減はなかろうと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03319510528/39
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040・小杉繁安
○理事(小杉繁安君) 別に御発言もございませんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03319510528/40
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041・藤原道子
○藤原道子君 私はこの法案には別に反対ではないのです。当然通過させなければならない法律だと思つているのでございますが、この生活保護法の運営その他につきまして、少し御質問申上げたいのでございますが、その前に委員会へお諮り願いたいと存じますが、会期の延長は、衆議院の議運ではすでにもう決定している、そしてまだ本会議には諮つておりませんが、衆議院のほうがもうきまつしてまえば、結局そうなるのじやないかと思うのでございますけれども、先ほど衆議院のほうの会期延長の理由は、北海道開発法案の審査に五日ぐらいはかかるであろうということで、五日間の延長を求めたのだということが議題で言われておりましたが、その北海道開発法案が衆議院の本会議を先ほど通過しておりますので、これはどうしても延長になると思うのでございますが、そういうことに若しなりますならば、これを今日どうしても上げなければならないというほどでもないのじやないかと思うのでございますけれども、若しできますれば、私は大事な、この頃の社会不安その他から考えまして、この際十分に私は伺つて、納得するまでお伺いしたいと思うのでございます。若し皆様の御賛成が得られましたならば、生活保護法の審議を明日に延ばして頂いて、引続いて兒童福祉法の御説明を伺つたら如何かと思うのでございますが、如何でございましようか。お諮り願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03319510528/41
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042・小杉繁安
○理事(小杉繁安君) 速記をとめて……。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03319510528/42
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043・小杉繁安
○理事(小杉繁安君) 速記を始めて……。それでは生活保護法の一部を改正する法律案については、この程度にいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03319510528/43
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044・小杉繁安
○理事(小杉繁安君) 次にそれでは兒童福祉法の一部を改正する法律案を議題といたしまして、政府の説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03319510528/44
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045・高田正巳
○政府委員(高田正巳君) 改正案の主なる点につきましては、提案理由の中に政務次官から御説明がございましたが、私は補足的に條を逐つて重要な点だけを簡単に御説明を申上げたいと思います。
第十一條の改正でございますが、これは社会福祉事業法の制定に伴いまして、社会福祉司が一般的なケース・ワーカーとして、兒童及び妊産婦の福祉に関する事項に関してケース・ワークすることになりましたので、それとの関係で兒童福祉司を兒童及び妊産婦の福祉に関する事項のうち、特に高度の專門的技術を必要とする困難なケースを取扱うことといたしまして、右のような改正をいたしまして、その意義を明確にいたしました次第でございます。第二項につきましては、従来兒童福祉司は都道府県知事の定める担当区域において活動していたのでありますが、ケース・ワークを法律的に行わせるために、ケース・ワークを、センターである兒童相談所長の指揮監督を受けることにした次第でございます。次に第十一條の二、これは新設の條文でございますが、兒童福祉司の資格をきめたのでございます。御承知のように社会福祉事業におきまして、社会福祉主事の資格が法律で規定されておりますので、それとの関係で、従来政令で規定されておる兒童福祉司の資格を法律で規定いたしまして、兒童福祉司が社会福祉主事よりもより專門的な資格を有することを明らかにいたしましたのでございます。なおこれにつきましては、附則のほうに経過規定を設けてございます。それから第十二條の改正でございますが、これは兒童委員が、兒童福祉司のみならず、新たにできました社会福祉事務所の社会福祉主事にも協力することを明らかにした改正でございます。
次に、第十五條の二、これは新設の條文でございますが、相談所の業務を明らかに規定をいたしたのでございます。従来兒童相談所の業務内容につきましては、第十五條の第二項で規定しておりましたが、同項を削りまして、兒童相談所の業務内容を独立の條文に置いて具体的に規定することにいたしました。このうちで特に兒童相談所の性格を特徴付けるものとして、新たに明記いたしました事項は、兒童相談所が專門的判定を行うことを規定いたしましたのが第二号でございます。これによつて兒童相談所を兒童問題に関する專門的機関としようといたしておるものでございます。
その次の第十六條並びに十六條の二の改正でございますが、兒童相談所を兒童問題の專門的機関としたことと相待ちまして、その所長、所員の資格を法律で規定いたし、必要な専門的な資格を有することを明らかにしたのでございます。所長につきましては、附則のほうに経過規定を設けておりますことを申添えて置きます。
それから次は第十八條の二、これは新設の條文でございますが、福祉事務所の業務内容を規定いたしましたのでございます。社会福祉事業法の制定に伴いまして設置されまする福祉事務所が、兒童福祉の機関として兒童福祉に関する業務を行うことを明確にいたしまして、その業務内容を規定いたしました。兒童相談所と異なる点は、福祉事務所は專門的な判定を行わないことと、兒童及び妊産婦の福祉に関する事項についてグループ・ワークを行うこと等でございます。福祉事務所はいわば第一線の兒童問題に関する一般的事項を手広く取扱う機関であるとも言えると存じます。その次の第十八條の三でございますが、第十八條の二におきまして、兒童福祉の機関として福祉事務所の業務の内容を規定したのでございますが、それと同じ意味で本條におきまして、保健所が兒童福祉に関する事項について如何なる業務を行うかを明らかにいたした條文でございます。
それから次は二十一條の二、二十一條の三、この二つ参は新設の條文でございまするが、身体に障害のある兒童についての條文でございます。保健所長が診査を行い、又は相談に応じ、必要な療育の指導を行うことを規定いたしました。これによつて比較的我が国で遅れております身体に障害がある兒童の保護が今後相当程度強化されることと期待いたしております。なお身体に障害のある兒童に対する手帳の交付は、身体障害者福祉法の改正の御説明の中にもありましたように、同項の規定によつて手帳を交付をいたしまして、手帳をもらつた兒童に盲人安全杖を交付し、又は補聴器、義肢、車椅子等の補装具を交付することを本法の二十一條の三によつて行うことにいたしました次第でございます。なお第二十三條の三の第二項は、兒童に現物を交付することを建前といたしますけれども、例外的に現物の代りに必要な金銭を支給することができることを規定いたしたのでございます。
その次は二十二條並びに二十三條の改正でございまするが、社会福祉事業法の規定によりまして、兒童福祉に関する機関でありまする福祉事務所が設置されますので、助産施設、母子寮に入所させる権限、いわゆる措置権を市長及び福祉事務所を管理する町村長とし、町村が福祉事務所を設置しない場合には、その権限は都道府県知事が行うことを明らかにしたのでございます。なおこの都道府県知事の措置権は、後の三十二條の第二項の改正條文によりまして、都道府県の設置する福祉事務所長にその権限を委任させることができるようになつております。なお都道府県知事が措置権を行使するときには、その費用は都道府県が負担することに相成る次第でございます。
次は二十五條の改正でございますが、これは福祉事務所の設置に伴いまして、二十五條の要保護兒童の通告は、従来兒童相談所であつたのでありますが、福祉事務所も通告できることにいたした次第でございます。次の二十五條の二、これは新設の條文でございますが、福祉事務所長の措置を明確にいたしました條文でございます。福祉事務所が通告、相談を受けた場合に如何なる措置を行うかということを明記したのでございます。第一号の措置は、いわゆる專門的高度の技術を要するケースを相談所に移すという規定でありまして、これによつて相談所が專門的事項について、福祉事務所が一般的ケースについて取扱うということを明らかにしたものでございます。
二十六條の改正は、兒童相談所長が通告、送致又は相談を受けた場合如何なる措置をとるかを明記したものでございます。本條の措置として新たに加えられた措置のうちで、第三号は兒童相談所で受付けたケースで軽易なケースは福祉事務所に廻すということを明記いたし、兒童相談所と福祉事務所との関係を明らかにしたものでございます。
次に二十七條の改正でございますが、都道府県知事の措置に関する規定がこの二十七條でございますが、この改正のうちの第二号は、都道府県知事が兒童福祉司以外に社会福祉主事にもケースの指導をさせることを明らかにしたものでございます。又第三号の改正は、都道府県知事の措置として新たに保護受託者に兒童を委託するという制度を加えたことでございます。保護受託者というのは、義務教育を終つた年長兒童をその家庭に預りまして、又は通わせまして、必要な保護をすると同時に自立に必要な指導をしてもらうもので、都道府県知事が適当と認定した者を言うのでございます。従来からやかましく言われておりまする年長兒童の事後輔導、即ちアフター・ケヤーの問題の解決に大いに役立つであろうと期待しているわけでございます。なおこの保護受託者につきましては、兒童の労働力の搾取にならないよう十分な指導と監督を行なつて行くつもりでございます。なお保護受託者に対する兒童の委託は、兒童も年長となつておりまするので、あらかじめ兒童の同意を得ることといたしました。而も短期間のうちに兒童が自立能力を得るであろうということが予想されるので、一年以内の期間を定めて委託するものとする規定を置いた次第でございます。又兒童がその期間内に自立能力を得なかつたようなときに、引続き委託をする措置をとることができることといたしました。
次は、三十一條の改正でございますが、本條は兒童の在所期間の延長の規定であるのでありますが、措置権は都道府県知事が行う建前になつておりまするので、在所期間の延長の措置を都道府県知事のみに限定いたしまして、厚生大臣というのを削つた次第でございます。都道府県知事が在所期間の延長をするときは、従来は「兒童相談所が、その必要を認めた場合に限る。」とあつたのでございますが、都道府県知事が下級機関の決定に拘束されるという従来の規定をやめまして、兒童相談所長の意見を聞くということに改正をいたしました次第でございます。
三十三條の二、三十三條の三、三十三條の四、これらはいずれも親権の関係の規定でございまして、いわば民法の実体的改正とも言うべきものでございまするが、従来民法では親権喪失の宣告の請求は子の親族又は公益代表としての検察官が行い、後見人の解任の請求は後見監督人、被後見人の親族が行うことになつているのでございまするが、それ以外に兒童福祉の專門機関である兒童相談所長も親権の喪失、後見人の解任の請求をし得るということにいたしました次第でございます。第三十三條の三は、民法で後見人の選任は被後見人の親族その他利害関係人が請求することになつているのでございまするが、本條の規定により兒童相談所長が利害関係人の一人として後見人の選任を請求することができることを明らかにいたしました次第でございます。
ずつと字句の改正でございまするが、少し飛びまして、四十六條の二、これは当然のことでございまするが、正当な理由がない限り、施設の長は措置のための委託を拒むことができないということを明らかに規定いたしましたのでございます。
次は四十七條でございますがこれは全文改正でございます。施設の長の親権に関する規定でございまするが、これを今までのは非常に不明確でございましたので、整備をいたしましたものでございます。即ちそこに入所中の兒童すべてに対して親権を行うということになつておりまするのを改めまして、親権を行う者又は後見人のない兒童に対して親権を行うことに限定いたし、而も養子縁組の代諾については知事の許可が要ることといたしたのでございます。第二にこれと同時に右以外の兒童、即ち親権を行う者又は後見人のある兒童に対しましては、親権という言葉をやめて、これと同一の内容でありまする監護、教聽及び懲戒に関して必要な措置をとることができる、かように改めた次第でございます。
次に四十八條、これも全文改正でございまするが、第一項は従来の規定が法文上不明確な点がありましたので、施設の長の就学させる義務を明らかに規定をいたしたのでございます。第二項以下はこれは実体的な改正でございますが、従来教護院の教科に関する事項につきましては、監督庁の承認を受けなければならんことになつておりますのでございまするが、今回の改正によりまして、教護院において行われる教護の内容の独自性を尊重する建前といたしまして、その内容について文部大臣の勧告に従わねばならんこととした次第でございます。そうして教護院の教科が勧告に従わず、従つて不適当であると認められたときは、その教護院長が授与する教科を修めたという証明書が、学校の長が授与する卒業証書と同一の効力を有しないということにいたした次第でございます。
五十條の五号の二を附加えましたのは、これは先ほど申上げました身体障害者手帳を持つ兒童に対する補装具等の支給に要する費用の負担を明らかにした規定でございます。
次は少し飛びまして、五十六條の二、これは新設の條文でございまするが、従来兒畜福祉法におきましては、公立の兒畜福祉施設でなければ、設備費と申しますか、施設費と申しますか、いわゆる臨時費を補助することはできないことになつておりましたのでございまするが、この改正によりまして、一定の條件を充たす場合におきましては、プライベートな施設に対しても臨時費を補助することができるというふうに改正をいたしたわけでございます。これは我が国のプライベートの兒畜福祉施設の現状から非常に要望をされておりました規定でございます。なお五十六條の三は、これらに関連いたしまする監督の規定でございます。
大体重要な点はそんなところでございますが、次は附則に参りまして、一項は、社会福祉事業法において社会福祉事務所は十月一日より開設されるということになつておりますので、この法律もその施行の日と同一にいたしました次等でございます。併し教護院における教科の規定と私立の施設に対する補助の規定は緊急を要するので、公布の日に施行をいたすということにいたしました次第でございます。なお附則の最後のところでございまするが、この費用の平衡交付金との関係でこの條文を設けた次第でございます。即ち都道府県兒畜福祉審議会に要する経費と、都道府県知事が入所の措置をとつた場合の経費につきましては、平衡交付金に繰入れる必要がありますので、そのための條文整理のための規定を設けた次第でございます。
甚だ要点のみで恐縮でございましたが、大体主要な点を條を逐つて御説明申上げた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03319510528/45
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046・小杉繁安
○理事(小杉繁安君) 本日の審議はこの程度にいたしまして散会いたします。
午後五時五十一分散会
出席者は左の通り。
委員長 山下 義信君
理事
小杉 繁安君
井上なつゑ君
有馬 英二君
委員
石原幹市郎君
草葉 隆圓君
中山 壽彦君
長島 銀藏君
河崎 ナツ君
藤原 道子君
常岡 一郎君
藤森 眞治君
谷口弥三郎君
杉原 一彦君
政府委員
厚生政務次官 平澤 長吉君
厚生省社会局長 木村忠二郎君
厚生省兒童局長 高田 正巳君
事務局側
常任委員会專門
員 草間 弘司君
常任委員会專門
員 多田 仁己君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03319510528/46
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