1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十六年五月三十日(水曜日)
午後三時一分開会
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○生活保護法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
○社会保障制度に関する調査の件(報
告書に関する件)
○継続調査承認要求の件
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001・山下義信
○委員長(山下義信君) これより本日の厚生委員会を開会いたします。生活保護法の一部を改正する法律案を議題に供します。本案の審議は質疑を続行中でございましたが、質疑のあるかたはどうぞ質疑を願います。
この際お諮り申上げたいことがございます。社会保障制度の調査に関しまして、御決議を願つて置きたいと存じます。本調査は先に議長の承認を受けまして、調査を進めて参つたのでありますが、今度の国会開会中には終了いたしませんので、未了報告書を提出し、且つ閉会中も又継続して調査することとし、その手続きについては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03519510530/1
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002・山下義信
○委員長(山下義信君) 御異議ないと認めます。
なお未了報告書には多数意見者の署名を必要としますので、御異議のないかたは順次御署名を願います。
多数意見者署名
石原幹市郎 小杉 繁安
藤原 道子 松原 一彦
常岡 一郎 河崎 ナツ
井上なつゑ 長島 銀藏
中山 壽彦 谷口弥三郎
藤森 眞治発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03519510530/2
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003・山下義信
○委員長(山下義信君) 御署名漏れはございませんか。……御署名漏れはないと認めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03519510530/3
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004・藤原道子
○藤原道子君 社会局長にお伺いいたしますが、現在生活扶助によつて入院しておる入院患者の生活扶助料は現在幾らになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03519510530/4
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005・木村忠二郎
○政府委員(木村忠二郎君) 現在病院に入院いたしまして、入院の医療の扶助を受けておりますもので、生活の援護を受けますものは、大体入院費のうちには飲食物の費用全部が一応含まれておりますので、それ以外の日用品の費用といたしまして、四百五十円を基準といたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03519510530/5
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006・藤原道子
○藤原道子君 何分にも御承知のように今日物価高によりまして、四百五十円では到底やつて行けないというところから、いろいろな問題が起つおると思いますが、私の手許へもそうした入院患者からの陳情等がたくさん来ておりまして、最近全国を廻つて見まして、至るところの病院に余りにも少い生活費の訴えがあるのでございますが、局長は現在の四百五十円で妥当なりとお考えで、ございましようか。それともこれを早急に引上げるという考えを持つておいででございましようか。この点を……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03519510530/6
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007・木村忠二郎
○政府委員(木村忠二郎君) 現在の日用品の経費を見込んでおりますのは、現在の生活扶助は、一般の生活費の基準というものと睨み合せましてきめただけで、現在生活扶助の基準が妥当であるかどうかということは、これで生活ができるかどうかということになるのでございまして、それにつきましては、できないということは言えないと思いますが、果して何と言いますか、いつまでもこれで差支えないかどうかという点につきましては問題があると思います。現在制約されておりますのは、財政的な問題に制約されておるのです。厚生省といたしましては、現在の基準をなお引上げるように努力しなければならんと考えておるのでありまして、それにつきましては、常に引上げ方につきまして各種の資料を集めまして折衝いたしております。従いまして我々としましては、この最低生活の基準というものはできるだけ高いことがよい、できるだけ高いのがよいことは申すまでもありません。ただ一般の生活水準との関係もございますし、財政の睨み合せの問題もございますので、全然生活ができない、生きてゆけないというものであつてはならないのは申すまでもないのでございます。それからどの程度まで引上げるかということについては、さつきも申しました各種の要素で制約されておりますから、私どもといたしましては、これが十分であると考えておらないのです。できるだけこれが高くなりまするように努力いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03519510530/7
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008・藤原道子
○藤原道子君 私は生活保護法の精神は、最低生活を保証するというところにあると思うのです。生きられないということでございますが、生きるということは生活ということと違うと思うのです。その点どういうふうにお考えですか。どうやつても生きておればいいというお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03519510530/8
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009・木村忠二郎
○政府委員(木村忠二郎君) 生きられないという線以下に置くということは絶対にいかんと思います。その上にどの程度までの線を引くか、つまり僅かに辛うじて生きておるというところから、上にどこに線を引くかということは、いろいろの問題で制約されるのではないか。結局国民全体の生活の程度の問題並びに国の財政の問題、この両者が絡み合いまして、どこまで引上げるかということがきまるのであります。現在きめておりますところの生活保護の基準につきましては、辛うじて生きておるというだけのものではないと考えております。ただ併しこれで以て満足すべきかと申しますれば、満足すべきものではなかろう。勿論日本全体の生活水準というものが満足すべきものではないのです。それにいたしましても、なお満足すべきものではないと考えております。従いまして、これか基準の引上げにつきましては常に努力いたしまして、これに対しまする財以当局の、財政の状況というものと睨て合せまして、私たちといたしましては、できるだけ高いものにいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03519510530/9
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010・藤原道子
○藤原道子君 私は是非局長の良心にお訴えいたしまして、是非早急に引上げるべく、それこそ強力な手をお考えいたい。これで見ますと、入院患者は何と申しましても、自宅との通信その他もあろうと思いますが、通信費が、葉書が四円でありますと、二枚でございますね、手紙が一回ということになつておるのでございます。殊に理髪代等で三十円、それから雑費等におきましても、身の廻り品等というところは五十銭、一円を規定しているのですね。この点余りみじめではないかと存じますので、入院患者は何と申しましても、精神的なものも相当影響するのでございますから、どうか早急にこの点についてお引上げを考慮されたい。恐らく私はこの倍額ぐらいが必要荷ないかと、これをよくよく見てそういうふうに感じるのでございますか、仮に今局長はどの程度に近く値上げをしてやろうというようなお考えでございますか。くどいようでございますが、余りにも地方へ参りましても要求が熾烈でございますので、私は返事なども出して上げたいと思いますので、その点についての一つのお考えを伺わして頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03519510530/10
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011・木村忠二郎
○政府委員(木村忠二郎君) 現在の生活扶助は、一般の基準というものとの比較もございますので、これを二倍にいたしますれば、殆んどそれで以て命を繋がなければならん。私どもといたしましては、現在の生活扶助そのものにつきまして、生活費の引上げということは困難ではなかろうかと考えております。これにつきましては、一般の生田保護の基準等とも見合いまして、そのほうの引上げもやりまして、同時に只今の問題も解決いたすようにいたしたいというふうに考えております。これは全体を通じまして、やはり一部だけの引上ということはなかなか困難ではなかろうかというふうに考えております。特に生活保護の基準ということと、只今の入院者に対します日用必要品というものは相当関連するのであります。内容は勿論入院費のほうが多いようであります。これらの点につきましては、どちらを多くするかというような、内容につきまして、片方だけ上げるというわけに参りませんので、全体を通じまして考慮いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03519510530/11
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012・藤原道子
○藤原道子君 一般の生活保護法も近く引上げられるりということに伺つておりますが、どの程度にお引上げのお見込でございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03519510530/12
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013・木村忠二郎
○政府委員(木村忠二郎君) 一般の生活保護法の引上げは実は五月一日から引上げをいたしております。これが従来五人世帯で五千三百円でありましたものが、五千八百円というふうに相成つているのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03519510530/13
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014・藤原道子
○藤原道子君 五千八百円というのはどういうところから算定されたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03519510530/14
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015・木村忠二郎
○政府委員(木村忠二郎君) これにつきましては、我々といたしましては、内容の改善ということをいたしたいということを考えたのでございますけれども、差当りの問題といたしまして、最近におきまして物価の上昇というものを見込みまして、これによりまして計上いたしたようなわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03519510530/15
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016・藤原道子
○藤原道子君 私は相当量値上げになつていると思つておりましたが、五千八百円ということで非常に驚いているのでございますが、いま少し御考慮願いたいということが一つ、それから基準は五千八百円になつておりましても、なかなか基準だけ出ている人は少いように私は聞いているのです。そうしてこの頃は生活保護の請求をするときの査定と申しましようか、あれが非常にきびしくて、本当に真つ裸にならなければ保護してもらえないというような場合がたくさんあるのでございますが、それがいろいろ本省からの通達によつてだんだんきびしくなつて来ているということを、この間某村に参りましたときに、余りにひどいじやないかということを私申上げましたら、そういうような答弁があつたのでございますが、現在生活保護法を適用する査定基準というようなことは、どの程度に置いておいでになるのでございましようか。今のやり方では私どもが生活保護法を作つたときの親心と申しますか、そういうものが殆んど没却されておりますので、この点についてお伺いして置きます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03519510530/16
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017・木村忠二郎
○政府委員(木村忠二郎君) 現在は従来と方針は変つていないのでありまして、やはり生活費の基準が只今申しましたような基準に相成つております。その基準から収入を差引く、勿論極めて小額な臨時の収入は差引きませんけれども、一定の收入は差引く、なお働いているものにつきましては差引額を若干考慮するということになつております。なお保護を開始いたします場合の資産の調査でございますが、この資産につきましては、その生活に必要な程度のものを持つておりますことを妨げるものではないのであります。必要に鑑みまして、そのときの状況から見まして、一応生活に必要であると考えられるものにつきましては、これを所持いたしておりますことを認めるようなことにいたしております。それらにつきましては、従来よりは逐次取扱いが緩和いたしておるということを申上げて差支えないと思います。この点につきましては、だんだんと標準をきめまして、地方に対しましてその旨を通じております。従いまして、そういう資産調査の取扱いという点につきましては、従来より逐次合理化されて来つあるというふうに私たちは存じております。なお各種調査に対しまして、むしろ扶助額を切ることは私のほうは要求いたしたことはないのであります。監査いたしました結果、甚だしく不合理のあるものにつきましては、これは十分注意いたしまして、不合理のないようにいたさしております。と同時に、私どもといたしましては、濫給いたしておりますものはいかんということと、これ以上に洩れておるものがないようにしなければならんという点をやかましく言つておるわけであります。従いまして私どもといたしましては、皆に公平な扶助が行われるということを望んでおるわけであります。濫給がありますことは結局不公平になることでありまして、正しく扶助を受けておるものにつきまして甚だ不公平になり、又洩れておるものに対してはその権利を保証しないということになるのでありまして、これも又よろしくないと思います。両々相待ちまして、適正な扶助が行われるようにいたしたい。なおこれを確保いたしますためには、やはり扶助が行われました内容が、正しいものであるということが正確に書類として残る、いつも書類を残して置くという必要があるのではないかと考えまして、この点につきましては、いろいろ指導いたし参りまし、又標準等をこしらえまして、逐次これに合せております。そういたしませんと、監査に参りましても、果して妥当な扶助をいたしておるかということはわかりません。ただいい加減にいたしておりますと、あとから参りましても、水掛論になる虞れがあります。従いまして私どもといたしましては、事務的にきちんとした取扱いができるようにする。而もこれを取扱う人の気持は温かい親心でなければならんという気持で仕事を運んでおります。このたびの改正の趣旨につきましても、やはりこの点をできるだけ強化いたしたいと考えております。ただ我々徒らに予算が少くて済む。財政の支出が少くて済むということを望んでおるのではない。国民の税でございますから、これを適正に使われるようにして、出さなければならんものには出す。出してはならないものには出さないというように整理して行きたいと思います。これまで監査は盛んにやつております。地方もやつておりますけれども、監査の精神はそういう精神でいたしておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03519510530/17
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018・藤原道子
○藤原道子君 あなたの精神と、地方におきましての実施状況におきましては、非常に食い違つておる点があると存じますので、なおその点はお調べになつて遺憾なきを期して頂きたいと思うのでございます。それと資産状況でございますね。生活保護法を適用開始のときに調べる資産状況、それはどの程度を基準にしておりますか。お前のところは鍋が二つあるから駄目、お前のところは子供のオーバーがあるから駄目、お前のところは自転車があるから駄目、この自転車はなくてはならない行商などに使つておる自転車でも、それがあつたのでは適用がされない。何も彼も裸にならなければ、本当に鍋が一つ、お釜が一つ、それからお茶椀が幾つというところまでほじくつておる実例があるのでございますが、ここまできびしい査定をしておいでになるが、どの程度の資産としておられるかという点を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03519510530/18
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019・木村忠二郎
○政府委員(木村忠二郎君) 只今お挙げになりましたような資産はございましても、私どもとしましては、これを処分するということを要求はいたしておりません。普通に使いまする日常の茶椀皿の類は、新らしく買います際にはいろいろございますけれども、従来持つておりますものにつきましては、特別の替沢なものでない限りは、これをどうこうするということは全然考えておりません。鍋等につきましても、これが一つあるか二つあるかという点につきまして問題にはいたしません。又自転車等につきましても、今お話がございましたが、それが収入の元になつておりまするので、これはもう置いておいて収入の基にするというほうが、生活保護法としては正しい扱いであるということに指導いたしております。これらについては、その点非常に詳細なものをこしらえまして地方に示しております。地方におきまして、なお間違いの点があるかも知れません。これにつきましては十分指導いたしたいと思います。それから地方によりまして、中に二、三取扱いを異にするところがあるということについては、その地方によつて事情の違う場合があります。例えば都市におきます場合と、農村におきます場合は一般の生活環境が違いまして、都市においては持つておつていいものが、農村では一般に持つていないものがありますから、これらはどうだろうかというようなことが出て来るわけであります。これらにつきましては、それほどやかましく言わなければならんというように考えておりません。今のような考えを以て、その住んでおります社会の状況、一般の状況と睨み合せてやりませんと、周囲のものの非常に関心を引くものでございますから、その点は十分注意しなければならんと考えております。ただ先般山下議員の御質問の際にお答えいたしましたように、我々としましては、保護を受けておりますものが、その周囲の人からあれは保護を受けておるのだということがわからないように、できるだけ事務の取扱いといたしましてはいたしたいと思つております。そういうような取扱いをいたしますれば、世間の思惑というものも大分なくて済むのではないかというふうに考えておりますので、今回これが福祉事務所に引上げられますと、その点が相当緩和されるというふうに考えまして、これらの点につきまして、今後の処理におきましては十分注意いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03519510530/19
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020・藤原道子
○藤原道子君 最近において、予算の関係で生活保護を何割で打切れというような指令が出されたようなことはないでございましようね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03519510530/20
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021・木村忠二郎
○政府委員(木村忠二郎君) そういうようなことはいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03519510530/21
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022・藤原道子
○藤原道子君 それから重ねてお伺いいたしますが、今度引上げられまして五千八百円で生活が五人家族でできるとお考えでございましようか。それからいま一つは、五千八百円では私どもから見ますと、到底生活できないために内職をする。そうすると、私たちはどうやら千円や千五円の内職収入でございましたならば、それは私は当然認めるべきだと思う。ところがそういう僅な五百円とか、千円とかいうようなものもみんな天引にしてしまうということになると、結局働いても千八百円、働かなくても千八百円ということになると、結局惰民を養成する。働くのはばかばかしいというような惰民を養成するというようなことになる、かように考えるのでございますが、この一生懸命で立上ろうとして、生活ができないからと思つて努力して得た僅かな収入に対しても、地方におきましても、東京におきましても、そういう例がたくさんございます。ところが只今局長は僅かな収入、零細な收入は、これは差引かない。その零細という点はどの程度にお考えでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03519510530/22
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023・木村忠二郎
○政府委員(木村忠二郎君) 生活保護の基準の引上げの点につきまして、細かく申上げますると、生活扶助につきまして、五千八百円ということにいたしましたほかに、住宅扶助につきましては、従来の七十円というものを三百円、教育扶助が従来平均いたしますと、月六十五円というのを百七十五円というように引上げておりますので、五人世帯におきまして、学校に行つております子供を持つております家族につきましては、相当大きな引上げがなされております。従いまして一応子供が一人といたしまして、六千三百円程度のものが生活扶助として扶助せられる基準になるわけでありますが、なお医療費は全然必要ないということになりまするし、一応これで生活ができないということはないと思います。併し勿論満足すべきでないというふうに考えております。我々といたしましては、生活保護の基準に使いまする内容を、なお充実したいと思いますことは、皆様がたもつねづねおつしやつておることでございまして、努力いたしたいと思います。これにつきましては、なお我々としていたさなければなりませんのは、生活保護の実施状況というものを正確につかまえることが必要じやないか。現在までそれをつかまえておりまするけれども、調査いたしておりまするけれども、それでも現在ではこれのつかみ方が十分でない。これは何と申しましても、事務組織が十分できていないためであります。従いまして我々といたしましては、正確な実態をつかみまして、これによりまして今後基準の引上等についても財政当局に要求する基礎といたしたいと思います。これは本年度におきまして、まあ昨年度からやつておることでございまするが、生活の実態調査を一般国民と、それから保護を受けておりますものと双方に通じまして、今いたしております。これを一年間いたす予定でございまするが、これらによりまして得ました結果は、今後の生活基準をきめまする資料といたしたい。これによりまして正確な資料を以て要求するということによつて、これらの遺憾の点をなくするようにいたしたいというふうに考えておるわけであります。それから零細な一時的な収入というものは月五百円ということにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03519510530/23
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024・藤原道子
○藤原道子君 月五百円でございましたら差支えない。五百円越すと全部差引くのですか。越えたものを差引くのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03519510530/24
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025・木村忠二郎
○政府委員(木村忠二郎君) 大体五百円までは引けることになつております。五百円までは引くことにいたしております。つまり五百円といつてはどうですが、五百円の残りを差引くことに大体なる……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03519510530/25
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026・藤原道子
○藤原道子君 五百円を越えたものは差引くことになる。六百円だつたら百円差引きになるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03519510530/26
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027・木村忠二郎
○政府委員(木村忠二郎君) これは何と申しますか、収入の金額、全体の金額というものとの割合を考えていたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03519510530/27
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028・藤原道子
○藤原道子君 基準額が五千八百円、ところが内職も何もなくても三千円とか、三千五百円とかいうだけしかくれない。予算がないから駄目だというようなことで断わつておりますのは、これは違法でございましようね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03519510530/28
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029・木村忠二郎
○政府委員(木村忠二郎君) 全然収入がないという人の生活の基準額だけ出さないということは、これは違法でございます。勿論これは何と申しまするか、収入と申しましても、ほかに例えば住宅ならば家を持つておるとか、或いは畑を持つておりまして、若干そのほうの生産物があるといつたような場合は、その生産物が消費されまするから、それは金が要らないということになつて差引くということはございますけれども、これにつきましても、細かい基準がございまして、その差引き方をきめております。そういうような標準によらずして、いい加減に適当な額をきめて行くということは我々のほうじや認めておりません。そういうことはさせないことにいたしております。それから先ほどもう一つお答えが洩れたのでございますが、我々といたしましては、金銭をやるやらんということで以て働く意欲を操作することはいたしたくない。むしろ働くか、働かんかというような点につきましては、そのケース・ワークによりまして、これを指導するというようなふうにして、金のほうは正確に収入があるか、ないかということで以てきめることにいたしたい。金で以て働くことを釣るというのは余りよくないことだというふうに考えております。そういうふうな建前で以ていたしておりますので、金銭給付につきましては、できるだけ正確にやりたいというふうに、尤も先ほど申しましたように、動くことによりましていろいろと経費がかかるというようなことも考えなければなりませんし、それからもう一つは働く意欲をなくするということもいけません。それやこれや差引額というものにつきましては考慮はいたしますが、働く者のほうに余計出すようにするというような、金銭で以て釣ることは適当でないのじやないか。この点につきましては、ケース・ワークをもう少し上手にやるように、この技術等についても今後十分訓練いたしまして、遺憾のないようにいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03519510530/29
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030・藤原道子
○藤原道子君 今度は先ほど教育費が殖えた、教育扶助が殖えたというお話でございましたが、その点につきまして、子供が苦学をして高等学校へ行つても、子供が一人高等学校に行つたということによつて生活扶助料は全部打切られてしまうということに相成つておるようごでざいますが、それは事実でございますか。若しそうであるとするならば、子供が苦学をして上の学校へ行く。折角優秀な頭脳を持つておる子供が進学の途に漸く希望を抱いて進む。これによつて家族全体の生活保護が打切られるということは、私はどうも納得しがたいものがあるのでございますが、その点はどうなつておるのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03519510530/30
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031・木村忠二郎
○政府委員(木村忠二郎君) 只今の上級の学校、つまり義務教育以上の学校の点でございまするが、これにつきましては、その義務教育以上のものを受けまする子弟につきましては、これを一応その世帯から切離しまして、そうして残つたものを一つの世帯といたしまして、扶助いたすように指導いたしております。これにつきましては、やはり先ほど申しましたような、その地方の実情というようなものがございまして、その地方全体でそういう上級学校に行くことが、社会通念として余り何と申しまするか、喜ばれないと言いまするか、認められないといつたような場所と、そうでない場所というものと若干相違はございますが、我々はそれを切離してやるということを指導いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03519510530/31
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032・藤原道子
○藤原道子君 その点はよく伺つて置きたい大切なことなんでございますが、それならば世帯と切離して、その子供が学校へ行くことは、世帯と切離して扱うので、一人息子が上の学校に行つたということで世帯全体が打切られないというようなことが原則で、従来地方の実情によつて好ましくない、ふさわしくないという場合には、それが生活保護法打切りに影響して来るという御答弁でございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03519510530/32
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033・木村忠二郎
○政府委員(木村忠二郎君) 今お話の通りでございます。やはり先ほど申しました、例外といたしまして申しましたこりの処理も大体そういうことはない成るべくないようにするというふうなつもりであります。我々といたしましては、方針として、今申しましたような原則に従うべきものであるということに一応考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03519510530/33
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034・藤原道子
○藤原道子君 大変私は嬉しい言葉を伺いましたので、私のところへそういう訴えだけでも今六通ばかり来ておる。昨日もやはり参議院のかたから、他の委員会の人から、実はこういう訴えを受けておる、実に困つておるのだが、何とかしてやれないものだろうかという御相談がございましたので、それでは今局長が言われたように回答してやつてもよろしいわけですね。若しもその地方に行つて受け入れられなかつたときには、あなたのほうでその地方が納得して法の精神を理解していないのでしようから、その点の御指示を重ねてやつて頂けるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03519510530/34
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035・木村忠二郎
○政府委員(木村忠二郎君) そのようにお答え頂きまして結構でございます。なお若しそれで違うような措置をいたしておりまして、不適当なところにつきましては、御指摘頂きますれば、是正いたしますようにしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03519510530/35
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036・藤原道子
○藤原道子君 そこで住宅の問題でございます。今度公営住宅法というものができて、ああいうふうになつたわけで、一つの進歩だとは思うのでございますが、現実に各所にございます余りにもひどい住宅、ここに住んでおる人たちが、そこで不良少年の出る原因にもなつておる、結核が生れる原因にもなつておるというような住宅につきましての緊急処置というようなものはお考えでございましようか。それから昨日だかの新聞に出ておりましたが、東京の真中にある、これですね、板橋駅の近くに、今なお防空壕の生活をしておる、そこは雨が降ればびたびたになつて住んでおられないという記事が出ておるのでございますが、こういうところも適宜御調査になつて対策を立てておいでになるのでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03519510530/36
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037・木村忠二郎
○政府委員(木村忠二郎君) 住宅につきましては、現在のところ御承知の通りに予算が少く、僅かでございまして、全国で以て更生住宅としましては、約五千戸ということにいたしております。これが実際問題といたしまして、九牛の一毛いうことで、なかなか十分のことはできませんので、我々といたしましては、今後できるだけこの点につきましては、もつと家が建つようにということを考慮しなければならんと思つております。なお建設省との話合の上で、一般の住宅等につきましても、できるだけそういうように措置ができるように努力しております。又現在いろいろの御施設願つておるものにつきましても、できるだけそれを適当のところができました場合に移しまして、これを活用するようにいたしたいというように考えております。住宅問題が現在のような状況であるということは、非常に遺憾でございまして、我我としては、これについてなお一層努力しなければならんと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03519510530/37
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038・藤原道子
○藤原道子君 私は法律は作文ではないと思つております。結局私たちが誠心誠意作つた法律が、実際面において生かされていないというところに非常に淋しさを感ずるもので、従つて法案審議の意欲をさえ失うときがあるのでございます。そういう点で私は繰返しくどいようですが、お伺いして置くのでございますけれども、現在社会に行われておりまする親子心中の悲劇等を、一時その原因を考えましても、調べましても、結局保護法の適用を受けておる人はやはり親子心中をしていないのでございます。ところが折角生活保護法、生活に困つて相談をしても、お前のところには兄弟があるじやないか、兄弟を頼んだらよかろうというような、兄弟であるとか、或いは実家であるとか、扶養義務者があるじやないか、まだまだ生活保護はもつとお前たちよりも下の人たちが受けるのだといつて殆んど取合つてもらえないということが一つの原因になつておるところが多いのでございます。そこで、たとえ、兄弟がございましても、なかなか今日の時代では給与ベースは自分の家族以外の者を見てやるところまで、豊かに与えられていない、こういう点もございますので、もつと生活保護法を作るときには余りやかましいことは言わないで、新憲法の精神によつてというようなところで審議されたはずでございますので、少くともこの実情を見て認めたほうが、適切に親心を以て私は運営されたならば、この社会悲劇も今よりはずつと減つて来るのではないかと、私はかように考えるのでございます。それでこの間も大地主が適用を受けていたというようなことは、でかでかに出る、これをすぐ濫給という例に持つて行かれる、そうして濫給があつてはならないという指令が流れる。そうすると、今以て濫給どころではない、私どもは漏給が多いことを憂えておりまので、ますます救いの手が狭められて来るという危険性が多分にございまして、ああした記事が出るたびに私はひやつとするのでございます。一部には濫給がある、或いは民生委員が情実によつて、いろいろな噂も聞いておりますけれども、こういうものは私は極く一部だ、本当に救われなければならない人が救われていないという面が非常に多いのでございますから、この生活保護法の持つておりまする使命は、そういうことのないように、生活保障法ともいうべき法律だと私は考えておりまするので、この点十分もつと心して適用をして頂きたい。私はまだいろいろ質問しよう思つて切抜き等もたくさん持つて来てありますが、今日は重大なるこの委員会のいろいろな問題もございますので、余り私一人で質問するのもどうかと存じますので、多くは申上げないようにいたしたいと思います。が、その点につきまして、十分一つ心して法の適用をして頂きたいということを、心から私は御註文申上げて置きます。
それから今度福祉事務所というものができて参りますると、町村に派生したものは一々福祉事務所の責任において見て行くわけでございますが、そうすると、急の場合にはそこでやつて行くようになつておるようでございますが、そうした場合の費用はどうなつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03519510530/38
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039・木村忠二郎
○政府委員(木村忠二郎君) 只今御指摘のありましたほかに、親子心中等の起ります問題、これは私たちといたしましても、甚だ何と申しまするか、申訳ないような気持をいつも持つのでございます。生活保護法の基準、そういう生活保護をいたしますような状態に到達いたしましたもの、これはむしろそういう点につきましては割合にいいのでございますが、従来相当な生活をした人が急に悪い生活になりますというと、非常に精神的に大きな打撃を与えるものであります。これらにつきましては、十分にそれに対しまするいわゆる社会事業家と申しますか、ケース・ワーカーというものが働くべき余地がそこにあるのじやないか、従来専門のそういう方面のケース・ワーカーというものは極めて不備でありましたので、こういうものの処理が十分できなかつたということは極めて遺憾でありますが、今回福祉事務所を作りまして、ここに専任のケース・ワーカーを置くということにいたしましたのも、逐次そういうような内容の充実いたしましたものを整備いたしまして、そういう取扱いに遺憾のないようにいたしたいという念願にほかならんのでありますが、一挙にそこまで行きまするかどうかということにつきましては、私たちも自信はないのでありますが、逐次そういういいものにいたして参りたいと考えております。これらの教育訓練といつたものにつきましては、十分注意いたしまして、今後できるだけ早い機会に、そういうようなものが大体これらの人たちに相談いたしますれば、解決が付いて来るというようなふうに持つて参りたいというふうに考えておるのであります。それから町村の応急の扶助をいたしましたものにつきましては、この法文にございまするように、町村が一時支弁いたしまして、そのあとは全部その負担できるところが負担をいたすというふうに相成つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03519510530/39
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040・藤原道子
○藤原道子君 今一つ註文を付けて置きたいのです。この何と申しますか、生活基準ですか、生活費の基準を算定する委員会というのがあるのですか、厚生省と大蔵省かどこかに……。生活保護法の費用の基準ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03519510530/40
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041・木村忠二郎
○政府委員(木村忠二郎君) 現在ではその基準をきめますのにつきまして、一応私のほうで案をこしらえまして、大蔵省と予算的に折衝いたしております。今後の問題といたしましては、基準を一々算定しますることにつきましては、結局やはり財政の関係がございますので、大蔵省と折衝しないとものがきまらんと思いますが、一応その内容をどうするかという根本的な問題につきましては、新らしくできまするところの社会福祉審議会というものの生活保護の分科会、ここで以て十分に審議して頂きたいという考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03519510530/41
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042・藤原道子
○藤原道子君 生活保護の分科会というのはどういうメンバーでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03519510530/42
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043・木村忠二郎
○政府委員(木村忠二郎君) これは法律が六月一日から施行になるのでございますから、その施行になつたあとからきめられることになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03519510530/43
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044・藤原道子
○藤原道子君 失礼いたしました。このときに私は特に註文を付けて置きたいのですが、貧乏人だからという、頭からきめられるのだろうと思うのですけれども、入浴量が一カ月二回となつているのですね。私は子供の福祉と申しましようか、こういう点から言つて、二回では私はあまりひどいと思うのでございます。この頃子供の施設に参りましても、月二回なんてところはない。殊に宗教団体のやつておる施設などへ参りますと、赤ちやんは午前と午後二回沐浴しておる。すべて平等に扱われる。子供は如何なる境遇に生れた者も差別なく愛護されるという精神で、児童憲章さえできておるはずなんです。ところが生活保護法を受けておる家庭の子供は一カ月沐浴は二回でよいというようなきめ方は、私どうしても納得が行かない。こういう点、一つどうぞきめられました児童福祉の線をもよくお汲み取りになりまして、一つ適切なる費用をお定め願いたい。幾ら貧乏人でも二回の沐浴では、保健衛生上からも非常に私は考えられるものが、多々あると思いまするので、私は意地悪を言うのではなくて、本当に保護の精神に則つて一つ細かい基準を定めて頂きたいということを強く要望いたして置きます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03519510530/44
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045・山下義信
○委員長(山下義信君) 他に御質疑はございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03519510530/45
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046・河崎ナツ
○河崎ナツ君 今度の生活保護法の一部を改正する法律案におきまして、そのうちの国の負担及び地方の負担ですね。この負担及び補助の何が変つて参りましたですかね。先ず最初に今までの国の負担は、保護費と事務費でございますが、大体どれくらいになつておるのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03519510530/46
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047・木村忠二郎
○政府委員(木村忠二郎君) 保護費は八割が国の負担でありまして、残りの二割が地方の負担になつております。事務費につきましては、従来は全部地方の負担になつております。今回新たに事務費の予算といたしまして、三億円余の計上をいたしておりますが、これは地方に対する大体半額補助というつもりで計上いたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03519510530/47
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048・河崎ナツ
○河崎ナツ君 国の支出が八〇%というそのパーセンテージはよろしいですが、実際昨年度或いは今年の予算はどのくらいになつておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03519510530/48
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049・木村忠二郎
○政府委員(木村忠二郎君) 昨年度は百六十億の予算になつております。百五十億でありましたものが、あと十億余殖えておりまして、百六十億になつております。それから今年度は、当初予算で組んでおりますものが二百十億に相成つております発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03519510530/49
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050・河崎ナツ
○河崎ナツ君 それは国の負担のほうでございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03519510530/50
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051・木村忠二郎
○政府委員(木村忠二郎君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03519510530/51
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052・河崎ナツ
○河崎ナツ君 そういたしますと、今度の御変更で国の負担はどのくらいになるのでございますか。先ほど三億ということを聞きましたが、ちよつとぴつたり来なかつたのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03519510530/52
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053・木村忠二郎
○政府委員(木村忠二郎君) 国の負担が、今度の予算が二百十億でございまして、これはその二百十億の予算で以て、現在の改めました基準で一応やつて行けるという考え方でございます。これは勿論実際に保護を受けまする者が殖えたり、或いは保護を受けます者の経済状態が悪くなつたりいたしますと、足りなくなるということもあり得るわけですが、或いは余るということもあり得るわけですが、併し一応の見通しといたしましては、現在の予算で以て一応やれるだろうということでいたしております。それから先ほど三億と申しましたのは、これを処理いたしまする事務費でございます。地方におきまして、この仕事を取扱うに必要な各種の事務的な経費、人件費でない事務的な経費というもの及びこれを監査いたしまする、指導監督をいたしまするところの経費といつたようなものを合せまして、国から補助いたしまする経費が約三億ということに相成つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03519510530/53
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054・河崎ナツ
○河崎ナツ君 そうすると、もう一つ伺いますが、国の負担のほうが今度二百十億に殖えて行つておると、その殖えて行つておりまするのは、保護すべき被保護者が殖えておりますからですか、それとも国の負担のパーセンテージを増すために殖えたのでありますか。その辺のところを伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03519510530/54
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055・木村忠二郎
○政府委員(木村忠二郎君) これは要保護者が数が殖えた点もございますると、生活保護の基準が上つたという点と両方であります。比率につきましては、全然変りはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03519510530/55
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056・河崎ナツ
○河崎ナツ君 そういたしますると、こういうふうに負担が変つて来たというその理由と申しますのは、まだほかにもございましようから、今度変えた理由をもう少し伺わして置いて頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03519510530/56
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057・木村忠二郎
○政府委員(木村忠二郎君) これは大体一年間にどのくらい保護者の数が現在殖えつあるかという一応の殖える傾向をとりまして、その傾向に合せて今後も一応殖えて行くということを考えましていたしております。それから保護費の基準を引上げまするので、引上げたことによりまする一定の比率で以て金額が上る、この両方を睨み合せまして、一年間の予算を見込んでおります。従いまして、大体我々の考えたと同じような、従来と同じ傾向で以て保護者が殖えて来ますれば、これはこの予算で間に合うと思います。併しながらそれよりも何か社会的な事情で以て保護を受けまする者が殖えて来る、或いは失業者が殖えるとか、或いは何か事故が起きるというようなことで以て保護を受けまする者が急激に殖えますると、これは予定が狂うわけでございますので、これで足りなくなるということがあり得るわけであります。そういう場合におきましては、足らなくなつた場合には、つまり補正予算で以て支払わなければならん。つまりこれは義務費でございまして、予算がないからとらんというわけには行かないのであります。必要がありますれば、その予算をとらなければならんということになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03519510530/57
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058・河崎ナツ
○河崎ナツ君 こういうことを伺いましたのは、地方に参りますと、これを町村においての負担が、保護すべき人があるにもかかわりませず、その中に地方の町村の負担が殖えるものだから、つまり漏給の……、給与すべきものをも地方の負担が殖えるということで漏給になつて行くと、こういう実情がかなり町村にございますものですから、そういうのがこれで多少救われて行くということになるというようなことからも、この割が変つて来たということにもなるのでございましようか、その辺のことにつきましての御所見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03519510530/58
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059・木村忠二郎
○政府委員(木村忠二郎君) この点につきましては、一応漏給があるかないか、どの程度あるかといつたような点につきましては、わかつておりますれば、すぐ是正しなければならない問題でありますから、我々といたしましては、今是正してないものはわからない。これにつきましては、先ほど申しました三億という予算及び昨年度は五千万円ばかり年度末と申しましようか、年末には殖やしまして、これで以て地方の実施状況を精密に調査いたしております。そういうようなことからして、逐次漏給については是正をします、濫給も是正いたします、というふうにいたしておりますが、これにつきましては、全然どのくらい減るか、或いはどのくらい殖えるかという点については見通しは付きません。大体従来いろいろとやつております傾向をとりまして、その傾向で以て予算を組んでおりますので、今後の実施状況によりまして、これが足りなくなるか、余るかというようなことはわからないのであります。若し余るような場合が起きましたら、我々としては余らせるよりは基準を引上げるほうがいいと思います。余るような見通しが付きますれば、基準の引上げのほうにこれを使いたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03519510530/59
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060・河崎ナツ
○河崎ナツ君 地方のほうは濫給よりも漏給のほうが、私たちが相談を受けます場合には多いのでございす。それは地方としてそれだけ殖えますと一地方のほうが又負担も殖えるものですから、どつちかといつたら嫌がつておる場合が多いのですから、これは調べるのも大変でございしようけれども、そういう問題につきましては、是非お調べのときに御考慮願いたいと思います。ただ報告だけではどうかと思うのでございますけれども、恐らく給与が余つておるというよりも、本当はもつと見てやるべきところを、まあ因習もありまして、見てもらうという……、周囲の人が大分知つておる人がありますから、見てもらうというのも今までの関係で嫌だし、又はかから来てそういうような問題にぶつかつたりしたときに、それは数が殖えると、地方費がこの中の負担分が殖えますから、まあどつちかといつたら、やはり減る場合のほうが多いことを……。そこで入院して、その村から出て療養所へ入院している人たちの口からも、入院者からも開きますし、まあどちらかといつたら、地方がそういうふうな結果に陥りやすい状況を知つておりますものですから、一応お伺いしたのでございますが、その辺又お考え置き下さいませ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03519510530/60
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061・木村忠二郎
○政府委員(木村忠二郎君) そういうような話をよく聞くのでございまして、今回の改正におきまして、仕事が都道府県に引上げられる。まあ市と都道府県ということになりますと、財政の殊に貧弱だと言われる町村、特にこの保護費が大きな影響を持つような町村につきましては、これをいたさないことになる。町村の今後やりまするところは、裕福な町村で、自分で是非やりたいという町村がやるわけでございますので、財政上の都合で以てやるべきこともやれないというようなことは今後はなくなるのじやないか、つまりこの法律によりまして、十月一日から保護実施機関が変りますると、それがなくなるだろうという見通しを以ちまして、今度の改正がいたされておるようなわけであります。まあそれだけが目的じやないのでございまするが、大体そういうことにいたしたいというつもりで以て改正ができておるわけでございます。で、この改正が実施されましたならば、今御指摘になりましたようなことは大体なくなると考えて差支えないのじやなかろうかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03519510530/61
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062・河崎ナツ
○河崎ナツ君 今のお言葉で一応は一つの問題は解決、安心いたせるのでございますけれども、もう一つの問題といたしましては、今度福祉事務所を置く町村がございますね。今まで町村は一割負担であつたのが、福祉事務所を置くという町村は、改正によつて二割の負担にまあなります。そうしますと、前よりも一層負担が殖えて来るというような問題がございますが、こういうことは、又一方そういう今申しました漏給なんかの問題にも関連して来て、まあいい顔はなかなか地方はついしなくなる。弱い人の生活のことでございますから、こういうことにつきましての又一つお考えを伺つて置きたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03519510530/62
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063・木村忠二郎
○政府委員(木村忠二郎君) 福祉事務所を設置いたしまする町村は、これは私のほうでやれと言うのじやないのでありまして、町村のほうで是非自分のととろで金を出していたしたい、事務所も作りたいし、それから扶助も自分でやりたいというところでございますから、そういう熱心な町村は今おつしやつたような心配は勿論ないと思います。勿論私のほうといたしましては、町村で以てやりたいと申しましても、その町村の財政力から見まして、これは無理だと思われるところにつきましては、それは適当じやない、こういうふうにいたしまして、やらせないつもりでおりますから、只今御指摘のような心配は町村にはなかろうと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03519510530/63
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064・山下義信
○委員長(山下義信君) 私もちよつと伺つて置きたいと思うのですが、立法者の立法意思を明らかにして置く意味で伺いたいと思うのですが、今回の改正によりまして、保護の申請のルートが違つて来るのでありますが、そこで第二十四条に第六項を新たに設けられまして、そして町村長を経由してもよい、こういうことが非常にこれは考慮せられたのだろうと思いますが、置かれてある。これは立法者の御意思は町村長を経由することを御奨励になるお考えですか。それとも成るべくならば保護の申請は直接保護の実施機関、即ち福祉事務所宛に申請するほうが好ましいと考えられますか。第六項を特に新たに設けられました立法の御意思を一つ承わつて置きたい。で、関連しまして、この場合に町村長を経由した場合には、町村長は要保護者に対するいろいろな事項を記載した書面を添えて実施機関に送付せよということをお命じになつておられますけれども、町村長の添付する書面はどれだけの、何と申しますか、働らきをいたし、どれだけの権威をお認めになるお考えでありますか、どうか、こういうことを承わつて置かなきやならんと思うのであります。それは後に至つて不服申立等の場合、この際に添付いたしました町村長のこれらの書面が物を言うときがあると思う。それで町村長を経由することを、「することも」とありますが、選択自由になつておりまするが、立法者のお考えは町村長を経由することが好ましいと考えられるか、或いは直接に申請するほうがよろしいと考えられるか、こういう条項がありますと、保護の申請者は考えなきやならん。どつちを選んだらいいか。この第六項を選んだらば、町村長の必要事項を記載した書面が添付してもらえる、これが働らきをするならば、これは要保護者としては町村長を経由したいような気もするので、この立法者の意思を明白にいたすほうがいいのじやないかと思いますから、この点を一つお答え置きを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03519510530/64
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065・木村忠二郎
○政府委員(木村忠二郎君) 経由につきましては、要するに要保護者の便宜という点を考慮しただけでございして、これにつきましては、経由をしなければならんとは考えておりません。経由することを奨励すべきものとも考えておりません。我々といたしましては、要保護者のほうにおきまして提出いたしまする場合には、町村長を経由いたしたほうが便宜だというような場合に、これを必ず直接持つて行かなければならんということにするのは適当でなかろうと思いまして、この規定を設けたような次第であります。これにつきましては、これを奨励いたしたいとは考えておりません。それから次のいろいろな事項を添附いたしまするものにつきましては、参考といたしまして添附させるという程度でありまして、この内容につきましての調査はやはり福祉主事がみずから出かけまして、そうして現場についてこれを調査するということにいたしております。福祉主事が責任ある調査をすることになつておりますから、その場合におきまする手がかりといたしまして、これらのものが参考になるということに相成りまして、これにつきましてどの程度重きを置くかということについては、実際それが重きを置くべきほどの確かなものでありますれば、自然重きを置くということもありましようし、そうでないものは重きを置かないということになります。要するにこれは単なる参考に作つたということで御承知願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03519510530/65
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066・山下義信
○委員長(山下義信君) そういう御趣旨であれば、又それで明白でありますが、それからこの二十五条の緊急な場合に町村長が処置をするとありますね。これはわかりませんから、お尋ねするのでありますが、職権を以てするということはどういう意味ですか。「職権をもつて」ということはどういう解釈にいたしたらよろしうございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03519510530/66
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067・木村忠二郎
○政府委員(木村忠二郎君) これは申請を待たずしてやる場合でございます。職権をもつてやるというのは申請を待たずにやるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03519510530/67
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068・山下義信
○委員長(山下義信君) この保護を行うについて町村長が持つておる職権とはどういう意味なのでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03519510530/68
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069・木村忠二郎
○政府委員(木村忠二郎君) 保護につきましては、原則として申請によりまして保護いたしますのが原則になつております。事情によつて放置することができない状況にありますということは、申請できなかつた場合に起つて来ることでありまして、これらの場合におきましては、町村長のほうから積極的にやるということを以て現わすことになつております。この職権を以てやるということは、従来からかようなところに使つて参りましたので、それでこういう言葉を使つた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03519510530/69
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070・山下義信
○委員長(山下義信君) 私が伺いましたのは、保護を実施し、或いは保護を決定する職権は町村長にはない。町村長には今度はそれがなくなりました。それで職権を以てやるということになりますというと、何か緊急な場合には保護を行うという職権を更に与えたものと解釈してよろしうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03519510530/70
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071・木村忠二郎
○政府委員(木村忠二郎君) これはこの前の第十九条の第六項におきまして、保護を行う職権を町村長に与えておりますので、それによりましてこの職権を与えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03519510530/71
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072・山下義信
○委員長(山下義信君) 前条の規定を指したものと解釈してよろしいのですね。で、要保護者を発見いたしまして、町村長が通報する義務が課せられておりますが、この通報というのは、どういうふうに解釈したらよろしうございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03519510530/72
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073・木村忠二郎
○政府委員(木村忠二郎君) これは何と申しまするか、事実上の通知でございます。そういうような状況がございました場合に、例えば要保護者がおると、これを見付けました場合には、要保護者がおるということを事実上通報するということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03519510530/73
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074・山下義信
○委員長(山下義信君) もう一つ伺つて置きたいと思うのですが、この福祉事務所でお取扱いになりまするお仕事でございますが、ここでいろいろな要保護者の身上相談や生活指導というようなものをお取扱いになるようでありますが、将来はそういう仕事もやはり本格的に本法により、又は福祉事務所によつて本格的にずつとおやりになるという考えでございしようか。そういう身上相談、生活相談といつたようなものにつきましては、将来それらの業務につきまして、何かお考えがございましようか。いわゆる公的扶助の金品の給付というもの以外に、いろいろ個々の指導の面、生活の相談、そういうような指導の面等も福祉事務所の本格的な仕事としてずつとお進みになる考えでございましようか、どうかということを承わつて置きたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03519510530/74
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075・木村忠二郎
○政府委員(木村忠二郎君) 只今考えておりますのはお話の通りに福祉事務所で以つては単なる金品の授受というだけでなくて、ここで以て生活の指導相談等に応ずるということを続けて参りたい。従いまして、社会福祉主事はそういうようなもののわかるところの各種の技術を身に付けるようにいた、したいと考えております。差当りはそう申しましても、なかなかこれに応ずるだけの技術が身に付かないと思います。逐次この内容を向上いたしまして、そのようにいたしたい。つまり何でもかでもこの人に相談が持ちかけられるということで、生活の相談は解決したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03519510530/75
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076・長島銀藏
○長島銀藏君 もはや質疑も出尽したようでございますから、質疑を打切りまして、討論を省略して直ちに採決せられんことの動議を提出したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03519510530/76
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077・山下義信
○委員長(山下義信君) 只今長島委員から、質疑を打切り、討論を省略して採決いたしたいとの動議が提出せられましたが、御異議ございませんですか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03519510530/77
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078・山下義信
○委員長(山下義信君) それでは本案は質疑を打切り、討論を省略いたしまして、採決をいたすことにいたします。
生活保護法の一部を改正する法律案を議題に供します。原案通り可決することに御賛成のかたの御起立を願います。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03519510530/78
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079・山下義信
○委員長(山下義信君) 全会一致でございます。よつて原案通り可決決定すべきものと決定いたしました。
それから本会議における委員長の口頭報告の内容については、本院規則第百四条により、あらかじめ御承認を願うことに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03519510530/79
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080・山下義信
○委員長(山下義信君) 御異議ないと認めます。
それから委員長が議院に提出する報告書には多数意見者の署名を附することになつておりますから、本案を可とせられるかたは順次御署名をお願いいたします。
多数意見者署名
石原幹市郎 小杉 繁安
藤原 道子 松原 一彦
常岡 一郎 河崎 ナツ
井上なつゑ 長島 銀藏
中山 壽彦 谷口弥三郎
藤森 眞治発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03519510530/80
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081・山下義信
○委員長(山下義信君) 御署名漏れはございませんか……。御署名漏れなしと認めます。
本日はこれを以て散会いたします。
午後四時八分散会
出席者は左の通り
委員長 山下 義信君
理事
小杉 繁安君
井上なつゑ君
委員
石原幹市郎君
中山 壽彦君
長島 銀藏君
河崎 ナツ君
藤原 道子君
常岡 一郎君
藤森 眞治君
谷口弥三郎君
松原 一彦君
政府委員
厚生省社会局長 木村忠二郎君
厚生省児童局長 高田 正巳君
事務局側
常任委員会専門
員 草間 弘司君
常任委員会専門
員 多田 仁己君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03519510530/81
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