1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和二十六年五月三十一日(木曜日)
午前十一時二十八分開会
—————————————
本日の会議に付した事件
○理容師法の一部を改正する法律案
(衆議院送付)
○児童福祉法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
○小委員長の報告
○議員派遣要求の件
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03619510531/0
-
001・山下義信
○委員長(山下義信君) これより厚生委員会を開会いたします。
理容師法の一部を改正する法律案を議題に供します。先ず提案理由の説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03619510531/1
-
002・高橋等
○衆議院議員(高橋等君) 只今議題となりました理容師法の一部を改正する法律案の提案理由を説明いたします。
今回改正しようとする趣旨は、本法の施行以来の実績に鑑みまして、理容師及び美容師の知識技能を向上し、且つ衛生上の措置に万全を期することによつて公衆衛生の増進を図ろうとするものでありまして、そのため次の諸点について必要な改正を加えた次第であります。次に改正の要点を簡單に申し上げます。
先ずその第一点は、理容師及び美容師免許の資格要件に関する改正であります。従来理容師及び美容師の免許は養成施設で一年以上知識技能を修得し、更に一年以上実地習練を終えた者に対しこれを与えていたのでありますが、これまでの実績に鑑み、監督庁においてその知識技能を検定することは公衆衛生上欠くべからざるものと考えられますので、この際これらの者に対し都道府県知事の試験を課すように改めた次第であります。
その第二点は、理容師及び美容師の営業は原則として理容所又は美容所において行わなければならないことといたしますと共に、行政庁の指導の完璧を期するため、その開設に当つては事前届出を必要とするように改めたことであります。従来から理容所又は美容所の設備を持たずに出向いて歩く業者の中に公衆衛生上寒心に堪えないものが少くなく、又これに対する監督も不徹底になりがちでありますので、この際理容又は美容の業を行う者は、理容所又は美容所を設置しなければならないことにいたしたのであります。尤も病院の患者又は婚礼の衣裳等の場合のように、止むを得ない事情で理容所又は美容所に行くことのできない者のために、省令で定めるところによつて出張営業も例外として認められているのであります。
その第三点は、これらの業者に対する指導監督を民主的に行わしめるために都道府県において必要と認めまするときは理容審議会又は美容審議会を設置することができるように規定をいたしたのでありますが、これは昨日の衆議院の委員会におきまして、この理容審議会及び美容審議会につきましては、これを設置しないという修正案が出されております。いずれ修正になるものと御了承、お願いをこの際いたしておきたいのであります。
なお理容師及び美容師の技術の向上、施設の改善その他相互の指導連絡を図りまするために理容師会、美容師会又はそれらの連合会を組織することができるようにしたのであります。最後にこの法律の題名を理容師美容師法と改めたことであります。従来法律上「理容師」は理髪師と美容師を含めた呼称でありましたが、世間一般に理容師と申しますると理髪師のみを指すことが普通でありまするので、社会通念に適合するよう改めた次第であります。なおこの題名の変更に即応いたしましてこの法律全般に亘つて「理髪」を「理容」と改めるため字句の修正を行なつた次第であります。以上が理容師法の一部を改正する法律案の提案理由及び改正点であります。何とぞ御審議の上御可決賜らんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03619510531/2
-
003・山下義信
○委員長(山下義信君) 本案の審議は後刻に譲りたいと存じます。御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03619510531/3
-
004・山下義信
○委員長(山下義信君) 御異議ないと認めす。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03619510531/4
-
005・山下義信
○委員長(山下義信君) 次は兒童福祉法の一部を改正する法律案を議題に供します。御審議をお願いしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03619510531/5
-
006・井上なつゑ
○井上なつゑ君 この案について伺いたいことがございますが、先ず第一に今度の改正案が出ましたのでございますが、この法律が出まして、どのように兒童の福祉の向上が違つて出て参るのでございましようか。その点第一に伺いたいのでございます。全体的と申しましようか、総括的に……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03619510531/6
-
007・高田正巳
○政府委員(高田正巳君) 最初の提案理由の説明の中で政務次官からお話を申上げましたのでありますが、第一点といたしましては、福祉事務所がこれは別の法律で御承知のようにできまして、それに社会福祉主事が置かれることになりました。これらの社会福祉主事乃至福祉事務所が児童のことにつきましても取扱うことになりましたので、兒童福祉に従事する人間がそれだけ殖えるということに相成るわけでございます。社会福祉主事は先般社会局長のほうからも御説明を申上げましたように、今日はまだ十分な段階に達しておりませんけれども、今後ケース・ワーカーとして訓練を重ねて参りますれば相当程度の域に達し得るだろうと思います。そういたしますればこれらの人たちが児童の問題についてもタツチしてくれるということで、それだけ何と申しますか、従事者の人数が殖えるということで手が届くことになるかと存じます。それから第二点といたしましては、これは直接どうこうということもございませんけれども、一部の兒童でありまするけれども、身体に傷害のある兒童に対して従来は非常に兒童福祉法は手が遅れておりました。ほんの僅かの肢体不自由兒施設があるだけでございます。それを今回の改正で保険所におきまして療育の指導をいたすというふうなことになり、なお又手帳を持つておりまする子供に対しましては盲人安全杖とか補聴器とか、義肢義足とか、そういうふうなものを交付又は修理するというふうなことに相成りまするので、この点は一部の特殊の兒童ではありまするけれども、今までに比べまして非常な進歩が見られるのじやないかと思うのでございます。
それから第四の点は、これは非常に法律的な問題でございまするけれども、一連の親権に関する規定が改正の案の中に載つております。これは非常に法律的な規定ではありまするけれども、従来ややもいたしますると悪い親が親権を持つておるために何とも関係者ができなかつたというふうな場合に措置をすることができるというようなことにもなりまするし、一つの福祉の大きな法律的な手懸りになるだろうと、かように考えておるのであります。それからその次の点といたしましては、アフターケアの問題が非常に論じられておるわけでありますが、保護受託者という制度を新たに設けまして、年長の、義務教育を終つた子供につきましては、自立の途を得させるということの一助にいたしたい、かように考えておるような次第であります。この点も児童福祉に大いに関係があるものと思います。
それからそのほかにもございまするが、なお全般を通じまして御覧頂きますると御了解頂けますように、兒童相談所というものを非常に強化をいたして参りたいと考えております。これは法律の改正だけではなく、予算の面におきましてもこれについての予算の準備をいたしております。兒童相談所を兒童問題についての専門的な中心機関といたしましてこれを活用することによつて、仕事に何と申しますか、科学性を与えて行けるようにいたしたいという狙いを持つております。私どもはこの点に非常に期待をいたしておるようなわけでございます。
それから次は、これは直接の兒童の福祉ということに相成りまするかどうか、プライベエイトの施設に対して一定の限られた場合ではありますけれども、従来全然臨時費の補助金が出ないという規定になつておつたのです。それを御改正を願いまして、一定の場合におきましては出せるということにいたしましたので、プライベエイトの施設におりまする子供といたしましては一つの福祉の増進になる、かように考えております。今非常に乱雑に申上げましたが、このような点が兒童の福祉に関連をいたす主なる点と考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03619510531/7
-
008・井上なつゑ
○井上なつゑ君 少し細かしく承わりたいのでありますが、先ず身体傷害者でございまするが、今度、先日通りました身体傷害者福祉法にもありましたように、兒童で身体傷害者の福祉といいましようか、その兒童福祉法に適用される人数がございますね、大体どのくらいの子供がこれによりまして救われますか、人数がわかつていたら一つ。……それから保健所は今度この身体障害者の子供を扱わなければならないのですが、保健所内に特別の施設と申しましようか、何かそういうようなものを設けられましたかどうか。先ずそれだけ承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03619510531/8
-
009・高田正巳
○政府委員(高田正巳君) この肢体不自由兒と申しますか、身体障害兒と申しまするか、広く身体障害児としまして、大体の数は八万ぐらいということに私どもの調査ではなつております。まあこれらの兒童が、程度の差はございまするけれども、その何と申しますか、恩典に浴し得る建前になつております。それから第二点は、保健所の中に何か特別な施設をするかというようなお話でございますが、保健所の活動といたしましては、そこにいろいろな治療の機械とか或いは職業補導の設備とかというふうなものを持つことは目的といたしておりません。さようなものは肢体不自由兒施設のほうに設け、或いは整形外科病院の施設を使うということに相成つて参るかと思つております。ただ保健所といたしましては、専門のかたが相談に応じて、これはこういうふうにしたらよかろう、どこそこに行つたらよかろうというふうなまあ相談に応ずる。そうして指導をやるということを保健所でやつて行つたらどうであろうか。さような意味で改正案を立案いたしたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03619510531/9
-
010・井上なつゑ
○井上なつゑ君 よくわかりました。それではその次に承わりたいのは、保護受託者を置くとおつしやいましたが、今のところでは保護受託者はどのくらいの数になるのでございますか。お見込数、これを一つ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03619510531/10
-
011・高田正巳
○政府委員(高田正巳君) 只今ちよつと性格は違いますが、四親等を含めまして、それより遠い、全然他人という、子供を預つておりまする者につきましては、只今の規定で届出の義務を課しております。それによる届出は約六万私どもの手許に集まつております。併しながらこれが全部保護受託者になるかどうかということは甚だしく疑問でございます。私どもは、保護受託者は慎重に審議をいたしまして、適当な者だけを保護受託者ということにして行きたい。かように考えております。御参考になる他の例といたしましては、御承知の里親でございますが、これが約今日六千でございます。里親よりは数が多くなるかも知れませんけれども、十分愼重に検討いたしまして保護受託者にいたして行きたい、かように考えておりますので、その数字は幾らぐらいになりまするか、ちよつと私どもといたしましても只今推測をすることはむずかしいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03619510531/11
-
012・井上なつゑ
○井上なつゑ君 それから只今の御説明の中になかつたのでございますが、四十八条でございますか、あの教育でございますね、このうちに子供の教育、収容所に入つておつても教育をするということでございますが、一体これはどの程度に教育をなさるのでございましようか。入院をしております子供たち、アメリカなんかに参りますと、病院なんかでもみんな文部省と連絡をとつて、入院しておる子供には全部教育してちつとも遅れないようになつておりますが、一体これはどの程度までなさるおつもりでございましようか。その程度を承わりたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03619510531/12
-
013・高田正巳
○政府委員(高田正巳君) 御質問の趣旨を或いは取違えておるかも知れませんが、現在この兒童福祉施設に入つておりまする子供たちは、大体は義務教育を受けさしております。これは四十八条の第一項に関連する御質問かと思いますが、義務教育を受けさしておる。併しながら施設によりましてはそれ以上の教育を受けさしておるところもたくさんございます。なおこの育英のいろいろな制度が公私を通じてございますので、さような制度を利用いたすことに、施設者といたしましてはいろいろ努力をいたし、現実といたしましても努力をいたして、上の学校に行つておる者もだんだん殖えつつあるような状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03619510531/13
-
014・山下義信
○委員長(山下義信君) 井上委員にちよつと御相談申上げますが、井上委員の御質疑はまだおありと思いますが、ちよつとここで差挾むことがございますので、あとで御継続願いたいと思いますが、如何でございましようか。兒童福祉法の審議はこの程度にやめて後刻に譲りたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03619510531/14
-
015・山下義信
○委員長(山下義信君) 御異議ないと認めます。この際谷口委員に発言を許します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03619510531/15
-
016・谷口弥三郎
○谷口弥三郎君 昨日癩に関する小委員会を開きましたところが、この休会中におきまして、地方に出張いたしまして癩に関する調査研究をしたいという問題が起りましたところが、全員これに賛成したのでございます。従つて来る六月八日から一週間ぐらいの予定で、議員五名以内の者が熊本、鹿児島の両療養所を視察したいということを決議した次第でございます。委員長におかれましては右小委員会の決議事項を御採用頂きまして、この目的が達成されるようにお取計らいをお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03619510531/16
-
017・山下義信
○委員長(山下義信君) 只今の癩に関する小委員長の御報告並びに御提案に御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03619510531/17
-
018・山下義信
○委員長(山下義信君) 御異議ないものと認めます。
暫時休憩いたします。
午前十一時四十七分休憩
—————・—————
午後一時四十五分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03619510531/18
-
019・山下義信
○委員長(山下義信君) 午前に引続いてこれより委員会を再開いたします。医師法、歯科医師法及び薬事法の一部を改正する法律案を議題に供します。速記をとめて……。
午後一時四十五分速記中止
—————・—————
午後一時五十九分速記開始発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03619510531/19
-
020・山下義信
○委員長(山下義信君) 速記を始めて……。本日は、この程度で散会いたします。
午後二時散会
出席者は左の通り。
委員長 山下 義信君
理事
小杉 繁安君
井上なつゑ君
有馬 英二君
委員
石原幹市郎君
草葉 隆圓君
中山 壽彦君
長島 銀藏君
河崎 ナツ君
永井純一郎君
藤原 道子君
常岡 一郎君
藤森 眞治君
谷口弥三郎君
松原 一彦君
衆議院議員
高橋 等君
政府委員
厚生省兒童局長 高田 正巳君
事務局側
常任委員会専門
員 草間 弘司君
常任委員会専門
員 多田 仁己君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014237X03619510531/20
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。