1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十六年二月一日(木曜日)
午後一時四十九分開会
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本日の会議に付した事件
○水産物増産対策に関する調査の件
(漁区問題及び漁業協定締結等につ
いて、ダレス氏に懇請することに関
する件)
(漁業用塩に関する件)
(漁業用石油に関する件)
○水産業協同組合法の一部を改正する
法律案(内閣送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014562X00619510201/0
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001・木下辰雄
○委員長(木下辰雄君) 只今から委員会を開会いたします。
この前の委員会で委員長としてダレス特派大使に対する漁業に対する要望の件を御協議いたしましたが、その際林君から一応内容を説明いたしましたが、その案文の変更その他を委員長に御一任されましたので、衆議院並びに団体関係とも十分協議いたしまして、ここで更に成案ができましたので、一応御報告いたして御承認受けたいと思います。これをちよつと朗読いたします。
漁業協定締結、及び漁区の制限撤廃に関する懇請
特派大使閣下におかれましては、対日講和促進のため、かねてから多大の御高配を頂き、我々日本国民として誠に感激に堪へないところでありまして、ここに深甚なる謝意を表する次第であります。
今回重ねて御来朝を得ました機会に、講和問題に関連して我々の最も深い関心を抱いている表記の件に関し、閣下の一層の御盡力によつて諸案件の実現いたしますよう参議院水産委員会の決定に基き、更に陳情いたします。
御承知の通り我が国は今次大戰によつて領土の大半を失ひ、主要食糧において毎年三百万屯の不足を生ずることになりました、これは民族の生存上、大きな脅威でありまして、我々としては新たに国民の食生活に科学的な再検討を加えたければならない重大時機に直面しているのであります。
然るに一方国民栄養の基本的な要素となつている動物性蛋白質についてみれば、その八十パーセント以上を補給する水産食糧は、終戰以来沿岸漁業の濫獲によつて、ようやく資源沽渇の顯著なる事実が現われ、遠洋漁業に多くの期待をかけざるを得ない事情にあるのであります。故に我々は今後の太平洋漁業の在り方については、誠に重大なる関心を拘かざるを得ないのでありまして、閣下、並びに貴国政府、貴国民各位の、我が国民の食生活の伝統、慣習、及び第二次大戰以後の食糧事情等に十分なる認識を持たれ、人道的見地から公正妥当なる解決を與へられんことを切望するものであります。
懇請事項
一、国際漁業協定締結に関する件
公海の資源保護と各国の特殊性を尊重し、漁業から起る国際紛争を未然に防止するため公正妥当な国際漁業協定の締結を希望いたします。而して協定締結にあたつては国際法の示す領海内はその所属国の主権の管轄下に置かれるものであり、公海は航行並びに漁撈が自由であるという原則が前提となることは言うまでもないところでありますが、更に既往における我が国の漁業の実績並びに開発の事実等を十分尊重されますよう要望いたします。
二、諸島嶼の帰属に関する件
ポツダム宣言にいう侵略によつて獲得した領土でなく、歴史上すでに明らかな、我が領土は講和條約によつて当然日本に帰属すべきものと考へます。これらの諸島は漁業根拠地として水産業の上からも極めて重要な地位を占めるものでありますから。閣下並びに貴国政府の格段の御配慮をお願したい。
三、漁区の制限撤廃に関する件
現在の漁獲高を以てしては国民の食糧に不足であるばかりでなく、国民栄養の保全の上からも憂慮すべき状態にあります。
併し制限漁区内においてはこれ以上増産することは不可能なばかりでなく、すでに資源枯渇の事実が現はれ、このまま放任しがたい切迫した状況に立ち至つております。
自立経済達成の基盤をなす食糧充足の見地から講和会議前速かに漁区の制限を撤廃されるよう要望いたします。
以上であります。何か御意見がありましたら……若しなければ御承認頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014562X00619510201/1
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002・千田正
○千田正君 それは衆議院のほうと大体同様の趣旨でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014562X00619510201/2
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003・木下辰雄
○委員長(木下辰雄君) 大体内容は同じでありますけれども、表現の仕方が多少違つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014562X00619510201/3
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004・千田正
○千田正君 大した差はないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014562X00619510201/4
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005・木下辰雄
○委員長(木下辰雄君) ええ、そうです。殆んど同じです。それから団体から出す要望書も大同小異であります。御異議、ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014562X00619510201/5
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006・木下辰雄
○委員長(木下辰雄君) それでは御承認を得たものといたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014562X00619510201/6
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007・木下辰雄
○委員長(木下辰雄君) 次に、水産業協同組合法の一部を改正する法律案、これは政府が衆議院に提出されまして、本院はこの委員会に予備審査として付託された法案であります。一応政府から提案理由の説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014562X00619510201/7
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008・島村軍次
○政府委員(島村軍次君) 只今上程になりました水産業協同組合の一部を改正する法律案の提案理由を御説明いたします。
水産業協同組合法が施行せられましてから約二年を経過いたしたのでありますが、その間全国津々浦々に至るまで四千六百余の組合が現に設立され、その事業も漸次本格的な軌道に乗つて参つておることは御同慶に堪へないところであります。
併しながら、この協同組合の現状を観察いたしますと、組合員の出資金は非常に少く、その結果新組合結成以後の借入金並びに旧団体から引継いだ負債の重圧を受け、その経営が非常に苦難の途を辿つているのでありまして、このように組合の経営的基礎が薄弱の上に、その経理組織の整備も十分ならず、更に信用事業についてもその整備発達の必要が今後大いに大でありまして、そこで水産業協同組合法の一部を改正いたしまして、組合の自己資本の目標額、信用事業の運用等に関する基準を定める政令の根拠規定を設け、更に組合の業務又は会計について一年一回の定例検査を行うこととし、組合の利益によつてその最大限の強化を期待しようとするものであります。これが本改正案の大要であります。
何とぞ愼重御審議の上速かに御賛成、御決議あらんことを切望いたす次第であります。簡單に御説明申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014562X00619510201/8
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009・木下辰雄
○委員長(木下辰雄君) 法案の内容について一応御説明願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014562X00619510201/9
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010・山本豊
○政府委員(山本豊君) 主なる点は二点でありまして、それに若干加つたものが極く僅かあるわけでありますが、その一つは第五十七條の次に一條加えまして、ここに先ほど提案理由にございましたように、いわゆる組合の自己資本の額、基準額を設けるわけでありますが、更に余裕金の運用、或いは信用事業の運営に関する基準を政令で定められるという根拠規定を設けたことであります。その自己資本は然らばどういうふうにきめるか。或いは又運用金の運用基準、信用事業のいわゆる経理の別経理になることでありますとか、或いはその事業運営の基準でありますとか、こういうことを政令で一つ根本的な点を規正したいと、こう考えておるわけであります。この政令につきましては、現在一応成案を得ておりまするけれども、まだ関係筋その他とも折衝が済んでおらないのでありますが、近く本委員会におきましてもいろいろと御意見を承わりまして、それらを加味して最後決定に持つて参りたいと考えておるわけであります。
それから第二点は、出資組合の業務、或いは会計の状況につきまして、毎年一回常例として政府は検査をし得る、こういう規定であります。この規定によりまして、現在ややともしますと放漫に流れておりまする組合の財務状況をよく監督指導いたしまして、組合事業の運営に資したいと考えておるのであります。この二つの点が主要な点でありまして、あとはこれに関連する改正であります。
なお、この機会にちよつと説町の補足をしておきたいと思うのでありますが、この法律案に関する予算はどうかという御質問必ず出るかと思うのでありますが、この点は、この改正は前に農業協同組合につきましてもすでに前々国会でありましたか、通過を見たものでありまして、農業協同組合につきましても、これは若干の予算を伴うのでありますが、これが二十六年度の予算にようやく若干計上される運びになつておるかに聞いておるのでありますが、本改正案の実施に当りましては、大体この検査の関係におきまして、或いは指導面におきまして、中央並びに地方に極く少数ではありまするが人を置かなければならんのでありますが、それに伴う予算が大体二千四、五百万かかるものと思つておるのであります。これも詳細な計画はまだ立てておりませんけれども、この予算をどうするかという問題があるのでありますが、前の農業協同組合の例にならいまして、事前に取ればこれに越したことはなかつたのでありまするが、現在策定しております二十六年度予算にはまだ入つていないのであります。先ず逆になりましたけれども法案の通過を一つ急ぎまして、通過を見ました曉におきまして、次回の臨時国会等におきまして、そう大した額でもございませんので、この程度の予算を是非確保して実際面に移して行きたい、こういうふうに考えておるわけであります。簡單でございますが、御説明申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014562X00619510201/10
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011・木下辰雄
○委員長(木下辰雄君) 何か御質問ありませんか。……御質問ありませんければ、これは本付託となりましてから改めて更に検討いたすことにいたしまして、この法案の審議は一応これで打切ります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014562X00619510201/11
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012・木下辰雄
○委員長(木下辰雄君) 次に、物価庁から川上第三部長、大蔵省の専売公社から久米監理官、それから水産庁から次長、水野水産課長、西技官がお見えになつております。それで燃料の関税に関する件を議題に供します。先ず今回おきめにならぬとしておる輸入税法に対して政府の説明を求むるつもりでおりましたが、まだ係官がお見えになりませんので、これはあと廻しにいたしまして、水産物の塩蔵用の塩についてこの前二、三回開きましたが、引続いて水産物の塩蔵用塩の特別価格設定に関する件を議題に供します。
先ず私から久米監理官にちよつとお伺いしますが、第十国会の初めに水産業界からも非常に要望がありまして、この水産委員会としても主要なる水産物の塩蔵用の塩に特別価格を設定してもらいたいという要望をいたして参つたのでありますが、その後どういう関係になつておるか、久米監理官から一応御説明願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014562X00619510201/12
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013・久米武文
○政府委員(久米武文君) 今お尋ねの点をお答えいたします。水産物の塩蔵用塩のうち、特に「くじら」、「いわし」、「にしん」、「いか」、「たら」、「ます」、「さけ」、「さば」、結局「くじら」ほか「いか」を含めまして七種類の魚と申していいかどうか分りませんけれども、七種の水産物の塩蔵用の塩につきましては、これらの水産物が国民の食糧の源として生活必需品である。特にこれらの塩蔵用の塩について特別価格を設定して欲しいという御意見は前国会において両院の水産委員会、或いは大蔵委員会においても伺つております。これにつきましては、大蔵省といたしましてもその必要性を十分考えまして、これの実現方について研究を進めて参つております。ただ現在の塩專売法第二十九條におきましては、大体ソーダ工業塩という工業用の用途が限定されておりまするので、法律の立法問題といたしましては塩專売法の一部改正が必要になるわけでございます。塩の一般価格に対しまして特別価格を設定して欲しいという要望は、国会内におきましてこの水産物のほか、例えば味噌醤油の釀造用、或いは業務用の漬物、或いは輸出用の瀬戸物、或いは各種の化学薬品の原料に供する塩というふうにいろいろ要求がございます。こういうふうないろいろの要求の中で水産物、先ほど申しました「くじら」ほか七種類の水産物の塩蔵用の塩について特別価格を認めるということが最も緊急であり、優先的な地位を與えらるべきであるという御意見もいろいろ各方面で拝聽しておるのでございます。この塩蔵用の塩が特に他と切り離して優先的に扱わるべきであるということに、両院の大多数の御意見がそういう点にあるというのでありますれば、大蔵省といたしましても、この塩專売法第二十九條の改正について手続を進めたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014562X00619510201/13
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014・木下辰雄
○委員長(木下辰雄君) この問題について御意見ありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014562X00619510201/14
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015・秋山俊一郎
○秋山俊一郎君 只今監理官のお話を承わりまして、意を強くしておるものでありますが、御承知のように、もうしばしば理由については陳情もし、御承知と思いますが、水産物の輸送とか或いは貯蔵の面に、どうしてもなけりやならん魚塩でありまして、特に大衆に嗜好せられるいわゆる大衆魚類とでも申しますか、そういつたものは魚の原価が安い、そこに高い塩を使つて塩蔵するということになりますと、塩蔵魚が非常に高いものになり、これはまるで塩を買つているような恰好になるような感じもいたしますので、自然そういうものが塩蔵にならないで肥料に廻るといつたような面もしばしばございましたので、是非とも今日これらの貯蔵用或いは塩蔵用として安い塩を使わしてもらうということに強い要望があつたわけであります。伺いますと、近く当局のほうで御処置を願えるかに承つておりますが、願わくば少しでも早くやつて頂きまして、この漁期に間に合うような状態にして頂きたい。もうすでに漁期は大分過ぎておるようでありますから、又物によりましては、今漁期に使つた塩に対してもこれを適用するというようにお取扱ができればこれは大変仕合せかに存じます。今漬物用その他、工業塩の問題もあるそうでありますが、特に切り離して早急に御決定を願いたい、お礼かたがた要望申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014562X00619510201/15
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016・木下辰雄
○委員長(木下辰雄君) もう一つ私からも申上げますが、今御指摘になつた中で、「さけ」、「ます」についてはもうすでに以前から非常に安い塩を買つておる。それからこういうものについてはすでに特殊な価格で昔やつておつたというような関係もある。「くじら」は現在の価格では塩「くじら」を作ることは非常に損である。だから肉を捨てなければならぬというような立場にある。それから「いわし」、これは最下層の零細漁民がとつておるところの大衆魚である、成るべく国民に安い魚を供給するという立場からこれは要望されております。「いか」或いは「にしん」も同じであります。いろいろ味噌、醤油とか、そういうものもありますけれども、どうしても味噌、醤油あたりは我田引水かも知れませんが、大体大きな会社がやつておる。然るに大衆魚は零細漁民がとつておるという関係もありますし、又「くじら」あたりも大きな会社でやつておりますが、これが塩が現在のようならば、今言つたように肉を捨てなければならんというような立場にあるわけでありまして、大分ほかのものとは違うようですから、特に一つ十分な御考慮を願いたいと思います。
ほかに御意見ありませんか。ちよつと速記をとどめて……。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014562X00619510201/16
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017・木下辰雄
○委員長(木下辰雄君) 速記を始めて。
只今久米監理官からいろいろ理解のある御答弁がありまして、我々はそれの至急実現することを期待いたします。塩問題は一先ずこれで打切ります。
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018・木下辰雄
○委員長(木下辰雄君) 只今大蔵省の税関部の調査統計課長の藤田事務官がお見えになりました。局長はちよつと都合があつて今出られんそうですから、代つて出られました藤田事務官から、今回輸入関税のことについて、殊に水産用としての重油その他燃油についての関税の率をまさに決定せんとするような事態になつておりますが、その内容を一つ御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014562X00619510201/18
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019・藤田茂
○説明員(藤田茂君) 関税率の改正につきましては、只今原案を審議中でありまして、現在の進行状態を申上げますと、昨日、一昨日にかけまして、関税率審議会がございまして、これは大蔵大臣の諮問機関でございますが、それに諮りまして、昨日可決されたところでございますが、只今お話の原油、重油、粗油につきましては一〇%関税という原案で可決されております。これは今後いろいろな手続を経まして国会に提出されるという段取りになると思いますが、まだ関係筋の関係もありますし、完全な決定案というわけではございませんが、一応の原案といたしましては、只今申上げたような案で進行しておる状況であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014562X00619510201/19
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020・木下辰雄
○委員長(木下辰雄君) それからちよつとお尋ねしますが、原油、重油及び粗油に対しては一〇%、それから二として、攝氏十五度で比重が〇・八四九八を超えないもの、というのはどういうものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014562X00619510201/20
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021・藤田茂
○説明員(藤田茂君) それは古い分類でございまして、現在の分類はそれに原油、重油、粗油の一〇%に対しまして、潤滑油が三〇%、それからその他という項目でありますが、これは普通のガソリン、軽油等が入るのでありますが、これが二〇%、そういう分類になつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014562X00619510201/21
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022・木下辰雄
○委員長(木下辰雄君) 軽油、ガソリンは二〇%ですね。それからマシン油類は三〇%……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014562X00619510201/22
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023・藤田茂
○説明員(藤田茂君) そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014562X00619510201/23
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024・木下辰雄
○委員長(木下辰雄君) これは審議会がもう決定して成案にして国会へ出すような運びになつているのですか、現在……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014562X00619510201/24
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025・藤田茂
○説明員(藤田茂君) 審議会を通過いたしましたので、これから法制局を通りまして、それから閣議決定いたしますと、今度はガヴアンメント・セクシヨンの方に提出するという段取りになりまして、それが終りますと、所定の手続を経まして国会に提出するという段取りになりますので、若し早く行きますれば、今月末項に提出されるのではないかというふうに考えておりますが、関税定率法の本文の改正も若干ございますので、その方の審議もまだこれはほんの原案で、まだ関係筋の方に提出しておりますので、その方の見通しがちよつとはつきりいたしませんですが、できる限り今月末ぐらいを目標にして国会に提出したいという考えで案を進めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014562X00619510201/25
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026・木下辰雄
○委員長(木下辰雄君) これは水産庁としては重大問題ですが、この審議会の委員に水産庁で誰か入つておりますか、ちよつと山本次長にお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014562X00619510201/26
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027・山本豊
○政府委員(山本豊君) 水産庁は全然きまつていないのでありますが、併しこの審議会には各省次官が入ることになつておりますので、農林次官は参加しております。前の委員会にも申上げましたように、水産庁としては非常にこの問題を大きく取上げまして、実はもつと早く折衝すればよかつたのでありますが、この点非常に関係方面に御迷惑をかけているのですが、一応の意見をまとめまして、審議会におきましてもこちらの主張のところは次官から主張して頂いておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014562X00619510201/27
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028・木下辰雄
○委員長(木下辰雄君) それは何ですね、採用されなかつたわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014562X00619510201/28
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029・山本豊
○政府委員(山本豊君) まあそういうことだつたと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014562X00619510201/29
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030・木下辰雄
○委員長(木下辰雄君) この問題について御意見ありましたらお述べ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014562X00619510201/30
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031・秋山俊一郎
○秋山俊一郎君 この重油に対する関税を課するという問題は、我々もつい最近に聞いた問題でありまして、業者は非常に驚いておるわけであります。と申しますのは、本日も以西底曳網の業者二十数人がこの国会に陳情に出まして、漁区の問題に絡みまして非常に漁獲が激減しておる、そこへもつて来て漁業資材は高騰に高騰を重ね、而も補給金のごときものは打ち切られておる。そうしてどうにもならない羽目に追いこまれておる。而も昨年は又重油の値上げがあるということから上下から責められて、非常な今苦境に立つている。これが救済策につきまして真劍な陳情を只今までやつておつたのですが、この際に更に重油に関税をかけられるということになりますと、いよいよもう漁業というものは殆んどやれないような恰好になつて来ると思います。我々としても何とかしてこれを阻止しなければならん。かように考えておるのであります。この重油につきましては、曾つて戰前におきまして免税になつていた時代もあるのでありまして、これに今日この非常に窮迫した状態のときに、更に重い枷をはかせるということは、今日の産業を復興せしめるゆえんではないかに私どもは考えておるのでありまして、是非ともこれはこの法案の中から重油というものを除いて、現状に置いてもらいたいという強い希望を持つているわけでありますが、これに対しまして水産庁方面が先ず十分の連絡と方法を講じなければならなかつたのじやないかと思いますけれども、つい最近になつてこの話を伺つたわけでありますが、只今の山本次長からのお話によりますと、農林当局としても相当これに対して意見を申述べたということでありますが、ただ意見を申述べた程度でこれをずるずるにやられちや困るので、これは水産庁としても現在の水産経済の内容はよくおわかりであると思いますので、今後においても一つ強力に業者の実情を訴えて、同じ政府部内ではありましようけれども、この問題の善処方をお願いしたいのでございます。聞くところによりますと、水産庁としては知らなかつたというような話もありますが、それはどういうことなんでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014562X00619510201/31
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032・山本豊
○政府委員(山本豊君) ちよつと速記をとどめて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014562X00619510201/32
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033・木下辰雄
○委員長(木下辰雄君) 速記をとどめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014562X00619510201/33
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034・木下辰雄
○委員長(木下辰雄君) 速記を始めて。物価庁の意見をお伺いしたいと思いますが、適正物価をお考えになる物価庁としてはどういう考えであるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014562X00619510201/34
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035・川上為治
○政府委員(川上為治君) この問題につきましては、石油類の全般的な価格の問題に対しまして、非常に大きい影響を及ぼしますので、私どものほうとしましては、一昨日ですか、昨日の審議会におきましても、安本副長官から少くとも税率そのものは認めましても、これが実施することにつきましては、当分の間はやめてもらいたいということを強く主張をして頂いておいたわけですが、昨日の審議会におきましては、やはり決定になつたというふうに我々は聞きましたので、そういたしますというと、昨年の十二月の十三日に石油類の価格改訂をいたしまして、関係方面に対しまして非常な衝動を與えたわけなんですが、最近におきましては、更にその後船運賃が相当、約倍以上に上つておりますので、又石油類の改訂をしなければならんというような情勢が起きて来ているわけであります。それに更に関税が一割も、或いはそれ以上かかるというようなことになりますというと、單に重油だけの問題ではなくて、すべての石油類の価格が非常に高騰いたしますので、どうしてもこの関税は率そのものはあらかじめきめておきましても、少くとも当分の間はこれをやめてもらいたい、徴収をやめてもらいたいというような気持を我々としましては強く持つているわけであります。従いまして、審議会というのは別に決定機関でもありませんので、今後或いは閣議なりその他の方面において最後的な決定をされると思うのですが、私どものほうとしましては、是非ともこれはこの際は取りやめて頂きたいというような気持を持つております。どうしてもこれを徴収するということになりますれば、石油類の価格につきましては、ほかにいろいろな方法を講じません限りは、即ち価格調整措置を国としてやるとかというようなことをしない限りにおきましては、相当の値上げになるだろうということはこれは止むを得ないと私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014562X00619510201/35
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036・秋山俊一郎
○秋山俊一郎君 この重油その他石油類につきましては、昨年の値上げの際にも水産庁は実は立遅れたように私は聞いておりますが、どうもその辺の連絡といいますか、何か少し遠いような感じがしまして、非常に心許なく思つておりますが、今後一つ、外局であるというような関係から連絡が薄いとも考えませんが、我々が水産庁の設置を要望するところもそこにあるわけで、とかく重要な点から少しはずれているような感じがして、非常に情けなく思うのですが、特に今後は大臣、次官ともその辺を十分連絡をお取り下さいまして、手遅れのないように、どうせやらなければならんものならこれは止むを得ませんけれども、かような問題も政府部内におきましても、必ずしも一致した意見でもないかに承わります。そういうものがいつの間にかずるずると行つてしまうということは、今日の民主主義でもないかと思うのです。その辺特に御注意をお願いいたします。
それからこの石油に関する関税の問題はこれはどちらにお尋ねしたらいいか、大蔵省にお尋ねするのでありましようが、日本政府の自発的な提案であるか、或いは関係筋からの何か強い示唆でもあつたものであるか、おわかりになつておれば承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014562X00619510201/36
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037・藤田茂
○説明員(藤田茂君) この石油の関税は関係方面の示唆、尤も石油関税ばかりではありませんので、関税率全般についてでありますが、関係方面の示唆というような点はありませんでして、大蔵省を中心にしまして、農林省、通産省、経済安定本部、外務省などが寄り集りまして、相談をして作りました率でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014562X00619510201/37
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038・秋山俊一郎
○秋山俊一郎君 やはり現政府は一方に強く減税を言つておられますが、こういうものは現在の政府の方針からしましても、又ここに新らしい税をかけて行くということは多少その趣旨にももとるとも考えます。この際、そのような税は今お話のように、できればこういうものを一応留保して頂くことを希望いたしますが、止むを得ず税率を決定されましても、実施を延期してもらうということをして頂けば目的に副うわけですが、我々も今後早急にこの問題についてはそれぞれの当局に要望いたしまして、現在の水産の経済に大きな支障を與えないようにやつて行きたいと思います。関係御当局の更に御協力を頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014562X00619510201/38
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039・木下辰雄
○委員長(木下辰雄君) 如何でありますか。この問題に対して委員会として何とか意思表示をする必要がありますれば、御発言を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014562X00619510201/39
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040・秋山俊一郎
○秋山俊一郎君 今申述べましたように、非常にこの漁業に対して重大な問題でありますので、委員会といたしましては、この関税の、これは法律として出て来ると思いますが、この法案に対して反対といいますか、業者の現状から見てこういうものを制定されては困る。これの撤廃かたを要望する決議書かなんかを出してもらつたら都合がいいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014562X00619510201/40
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041・木下辰雄
○委員長(木下辰雄君) ちよつとお諮りしますが、本委員会の決定事項として、委員長から重油問題に関する関税設定に反対の意思を表示することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014562X00619510201/41
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042・木下辰雄
○委員長(木下辰雄君) 御異議ないと認めます。その案文等はいずれ委員長のほうで作成いたしまして、皆さんにお目にかけます。……
ほかに御意見ございませんか。……專門員の発言を許します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014562X00619510201/42
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043・岡尊信
○專門員(岡尊信君) ちよつと物価庁の第三部長にお伺いしたいのですが、船賃の値上げで、仮に現状で置いたら何%くらい上るか。更にそれに関税一〇%をかけたら、総計して何%くらい原価から上る予定であるか、それを一つお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014562X00619510201/43
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044・川上為治
○政府委員(川上為治君) 今日重油だけの資料を持つて参つておりませんので、石油類の価格の全体的な資料しか持つて参つておりませんが、それによつて見ますというと、現行価格の原油のCIFの価格、即ち重油とか、いろいろな価格がありますが、それのもとでありますが、CIFの価格が七千九百二円というのが現在の価格の織込み原価であります。この七千九百二円に対しまして、最近におきましてはタンカー運賃が大体倍以上になつております。この七千九百二円のうちタンカー運賃は三千六百七十七円、これを見ております。それから原油が三千九百七十一円、原油というのは原油のFOBです。向うから積出す、輸出する際のFOBの三千九百七十一円、それから先ほど申しましたタンカー運賃三千六百七十七円、それ以外に保險料とか或いは輸入の諸掛りとか、そういうものを合せますと、七千九百二円というのが現在のあらゆる石油類の基礎の価格になつております。それに対しまして最近におきましては原油の、即ち輸出地の原油のFOBの価格が相当上つて参りましで、三千九百七十一円というものが四千三百七十八円ぐらいに見なくちやいけないじやないかというふうに考えております。ところがそれにタンカー運賃は物凄く上つておりまして、三千六百七十七円というものが六千百七十円程度は見なくちやならないのではないかというふうに見られております。そうしますというと、ほかは大して変りませんが、これだけでも一万八百二円に合計なるわけでありまして、七千九百二円というものが一万八百二円というものになるわけであります。それに更に関税を一割かけますと、一万一千八百八十二円ということになりまして、大体関税を拔きにしますれば、現行価格よりも一割八分程度上げなくちやならんものが、関税をかけますと二割五分程度上げなくちやならんというようなことになつております。従つて物価庁としましては、この問題に対しましては非常な関心を持つておるのでありまして、再々安本副長官を通しましてこの審議会に対しても話をしておりますが、昨日も審議会では別にほかの方面から非常に強い反対がなくて決定されたと我々聞いておりますので、それではやはり石油の価格に非常に影響しますので、何とかしてこれを停止してもらいたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014562X00619510201/44
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045・林達磨
○専門員(林達磨君) 大蔵省にちよつとお尋ねしますが、これで重油の関税収入は大体どのくらいになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014562X00619510201/45
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046・藤田茂
○説明員(藤田茂君) ちよつと資料を持つて参りませんでしたので、あとで調べまして提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014562X00619510201/46
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047・木下辰雄
○委員長(木下辰雄君) ほかに御意見ありませんか。それでは速記をとどめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014562X00619510201/47
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048・木下辰雄
○委員長(木下辰雄君) 速記を始めて、只今秋山委員の発見によりまして、至急委員会の意思決定をいたしまして、委員長から大蔵大臣、安本長官、農林大臣にその決定事項を通達いたします。非常に急を要しますので、案文は委員長にお任せ願いたいと思います。御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014562X00619510201/48
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049・木下辰雄
○委員長(木下辰雄君) 御異議ないと認めます。
それでは本日の委員会はこれを以て散会いたします。
午後三時五分散会
出席者は左の通り。
委員長 木下 辰雄君
理事
千田 正君
委員
秋山俊一郎君
松浦 清一君
櫻内 義雄君
政府委員
日本專売公社監
理官 久米 武文君
農林政務次官 島村 軍次君
水産庁次長 山本 豊君
物価庁第三部長 川上 為治君
事務局側
常任委員会專門
員 岡 尊信君
常任委員会專門
員 林 達磨君
説明員
大蔵省主税局税
関部調査統計課
長 藤田 茂君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014562X00619510201/49
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