1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十六年五月二十六日(土曜日)
午前十一時四十六分開会
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委員氏名
大蔵委員
委員長 小串 清一君
理事 大矢半次郎君
理事 清澤 俊英君
理事 杉山 昌作君
理事 木内 四郎君
愛知 揆一君
岡崎 真一君
黒田 英雄君
九鬼紋十郎君
佐多 忠隆君
野溝 勝君
松永 義雄君
吉田 法晴君
小林 政夫君
小宮山常吉君
高橋龍太郎君
山崎 恒君
油井賢太郎君
森 八三一君
木村禧八郎君
水産委員
委員長 木下 辰雄君
理事 青山 正一君
理事 千田 正君
秋山俊一郎君
入交 太藏君
松浦 清一君
佐藤 尚武君
櫻内 義雄君
細川 嘉六君
玉柳 實君
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本日の会議に付した事件
○租税特別措置法の一部を改正する法
律案(内閣送付)
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〔大蔵委員会理事大矢半次郎君
委員長席に著く〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014621X00119510526/0
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001・大矢半次郎
○委員長代理(大矢半次郎君) これより大蔵、水産連合委員会を開会いたします。
租税特別措置法の一部を改正する法律案を議題に供します。これは予備審査であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014621X00119510526/1
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002・木下辰雄
○木下辰雄君 今日は大臣や次官はおいでになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014621X00119510526/2
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003・大矢半次郎
○委員長代理(大矢半次郎君) 大臣の出席を要求しておりますが、何か今本省のほうで会議中で支障があつてすぐには出られないとこういう……、それから事務次官は政府委員によつて……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014621X00119510526/3
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004・木下辰雄
○木下辰雄君 私は大臣か政務次官がお見えになれば質問応答において非常に意味があると思いますけれども、本日は大臣や次官がおいでになつておりませんので甚だ遺憾に思いますけれども、この租税特別措置法に対して私どもの水産委員会で方針が決定いたしました件について一言御説明いたしたいと思います。漁業権証券が今後消滅いたしまして、それに対して政府が補償する。この補償した額に対しては元利合計を、又漁業者が免許料、許可料の形でそれを払つて行くというのが今度の一応政府の構想でありますが、一旦補償してもらつたものを全額元利を返すというのにもかかわらず、ここに税をかけるということは如何にも不合理であると、かように思うのであります。最初漁業法の改正当時は農林当局においては、この漁業権証券に対しては課税をしないということを委員会においても明言されておつたのであります。私どももそういうことはあつてはならんといつてもとより無税であるということを固く信じておりました。ところが最近に至りましてこれには多額の所得税がかかるのだということを聞きまして、実は非常に驚いたのであります。その際水産当局に対して私のほうで質問いたしましたが、免税の措置を今折衝中であるというお話がありまして、それで大蔵当局に向つては突込んで御質問はしなくて、暫らく様子を見ておつたところが、だんだんだんだん変化いたしまして、最後には再評価税としてここに法案が出ておりますように、約十四億程度の課税をする、所得税は課せないというようなことに結着した。それでは甚だけしからんじやないかという水産委員会からの水産当局に対する質問に対しまして、実は十五億の課税はあるけれども、この見返りとして大蔵省に対して財政支出を水産業に対する特別会計に対して今折衝中である。だからして一旦税を払うけれども、それは財政支出として漁業に関する金融の特別会計に向つて支出をしてもらうんだ、その交渉をしておるという話でありましたので、私どもはその成行きを見守つておりましたが、甚だ大蔵当局のお考えではなかなかむずかしいというような意向も聞きましたので、これはどうも困る。若しこれが初めから漁業権証券に税がかかるということがはつきりしておりますれば、私どもは漁業法の施行法を改正して、漁業権証券に対してはり国税も地方税も課せないという改正を実は提案するというつもりでおりました。併し政府当局間の折衝において円満に解決するならば何もそういう改正法律を出さんでもよかろうということで控えておつた。併し非常に時期が切迫いたしまして、今はその改正法律を出すことは時間的に不可能である。然るに再評価税として漁業権証券は取られる。それに対して財政支出を出すということはまだ決定しない。大蔵当局ではむずかしいだろうというようなお話を聞きましたので、我々としては非常に遺憾に思つておりますし、又漁民としてもこれに対しては強く反対をしております。永年の自分の生活の根拠である漁業権を政府に買上げられる。これはいたし方ないとして、それに対しては百七十億程度の補償、漁業権証券をもらう。併しそれは自分らが免許料、許可料に全部換算するのだ。それに対して、たとえ十四億でもと申しますが、大きな金です、これが税がかかるということは非常に不合理であるということで、漁民間においても強い反対意見があるのです。私どもこれに対しては非常に遺憾に考えて、水産委員会としては絶対に承服できないというようなつもりで、今私どもは農林当局に対しても大蔵当局に対してもそういうつもりで今意思表示をいたしております。本日この連合委員会において大蔵大臣が見えましたならば、私はそれに対して本当の大蔵大臣の意見をお聞きしたい、かように考えておつたのであります。この前の連合委員会においても私は大蔵大臣に向つてこの旨を強調いたしましたが、漁業権証券に対しては特にいろいろ考えておる、今調査しておるというようなお話がありましたので、多分その調査はいいほうに向くのじやないか。農林当局の折衝と相待つて何らかの解決を見るのじやないかと期待をいたしておりましたが、その期待も甚だ怪しいというふうな事情を聞くのです。課長がお見えになつておるようですからして、率直に大蔵省のこれに対する真意をお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014621X00119510526/4
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005・櫻内義雄
○櫻内義雄君 議事進行について……。今日この予備審査についての連合審査が初めて行われるのでありますので、この際委員長にお尋ねしたいことがあるのであります。この租税特別措置法の一部を改正する法律案の説明はもうすでに本委員会では行われておるのでございますか。それから又この法案のお取扱についてのお見通しも承わりたいのであります。というのは只今も水産委員長からお話がありましたように、私どもはこれに対して非常な関心を持つております。そうして少くとも大蔵大臣から責任ある御説明なり、又その御答弁を求めたいというのが我々の真意なんであります。それを折角のこの連合審査でありますので、只今の委員長の発言がございますが、この辺に関しまして委員長にちよつとお尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014621X00119510526/5
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006・大矢半次郎
○委員長代理(大矢半次郎君) 前段の提案の理由の説明というのは先般大蔵委員会ですでにありました。併しこれは御承知の通り予備審査でありまして、まだ正式に本院のほうには廻つて来ていないわけであります。従つて今後の審議の見通しというのも衆議院のほうの審議の経過を見なければはつきり申上げることができんと思つております。それから大蔵大臣のほうには出席方を要求しておりますが、先ほど申上げました通り、今本省内部で協議中で少し遅れる模様でありますが、重ねて成るべく早く出席するように要求いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014621X00119510526/6
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007・青山正一
○青山正一君 議事進行について……。昨日衆議院の大蔵、水産の連合委員会があつたわけなんですが、その際において大蔵大臣に対しまして衆議院の各委員からいろいろ質問した際に、大蔵大臣のお話では事務当局が何をやつておるか、そういうことはこちらは知らんというふうなお言葉がたびたびあつたように見受けられるわけなんです。でこの際、やはり大蔵大臣に出席を求めて本日の連合委員会が、後でもかまわんですからして、一応これは大蔵大臣の見えるまで中止なすつて、そうして大蔵大臣が見えてからお話するというふうにしなければ、結局事務当局は何を言つたか、それは知らんというようなお話では、ここに事務当局のおかたは何人もおられますけれども、結局これは問題にならんと思います。今日はどうしてもその大蔵大臣の都合で工合が悪いというならば明日改めて更に連合委員会を開くというふうにしたらどうかと思うのです。今ここにそれは事務当局のおかたがおりますけれどもどういうわけですか連絡がついておるのかつかないのか知りませんが、大蔵大臣は事務当局が何を言うておるか知らんけれども、自分の考えはこうだというふうな建前で言うておられますが、この際やはり大蔵大臣列席なすつたほうが却つてその席上いろいろ聞いたほうがよかろうと思います。その点各委員に一つお聞き願いたいと思います。(「異議なし」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014621X00119510526/7
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008・油井賢太郎
○油井賢太郎君 今青山委員からお話がありましたが、我々大蔵委員は水産庁側の意見というのはまだ聞いてないのです。幸い水産庁のかたがたが見えられておりますから、大蔵大臣出席の前に我々としては水産庁側の意見を一応お聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014621X00119510526/8
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009・大矢半次郎
○委員長代理(大矢半次郎君) 実は大蔵委員会においても政府の提案の理由の説明だけ伺つて、まだ質疑はいたしていなかつた次第でありまして、会期も幾ばくもありませんからして、大蔵大臣に対する質問は大蔵大臣の出席の場合に讓つて、その他のかたに対する質疑をこの際やつて頂きたい、こう考えますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014621X00119510526/9
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010・清澤俊英
○清澤俊英君 これはおかしいじやないか、連合委員会は青山さんの提案なんだ、それを一応打切つてあれするのか……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014621X00119510526/10
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011・大矢半次郎
○委員長代理(大矢半次郎君) 打切らないで連合委員会において大蔵大臣以外の政府委員のかたがた、関係方面の政府委員のかたに御質疑があるならばやつたらどうか、こういうことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014621X00119510526/11
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012・櫻内義雄
○櫻内義雄君 先ほど私議事進行の発言をいたしたのは、この法案の取扱等についてお聞きしたわけでございますが、すでにその前に水産委員長よりの御発言もございますので、順序といたしましては一応委員長の御説明で又他の委員のかたがたの御発言で私も了承いたしますから、水産委員長の発言についての先ずお取扱からされたらいいじやないかと、かように思いますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014621X00119510526/12
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013・木下辰雄
○木下辰雄君 今の答弁を一つ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014621X00119510526/13
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014・泉美之松
○政府委員(泉美之松君) 只今水産委員長からお話があつたのでございますが、私ども聞いておりますところでは、漁業法の改正に関して論議がありました際、農林当局から漁業権の消滅に対する補償金に対しましては課税しないということは申上げておらないというふうに承わつております。又責任当局であります大蔵省といたしましては、一言も課税しないということは申上げておらないはずでございます。この点あらかじめ御了承なさつて頂きたいと思います。それで今回租税特別措置法の一部を改正いたしまして、漁業権に対する課税の軽減の措置を講じましたのは、御承知のことと思いますが、本年の九月及び十二月二十日を期しまして、漁業権の消滅が行われます。これに対しまして補償金が交付されるわけでございますが、漁業権は事業用の資産でございまして、資産の讓渡の代価たる補償金に対しましては、所得税法第九條の規定によりまして讓渡所得が課税されることになつておるのでございます。ただ、たまたま漁業権に対しまする財産税の評価額が低かつたことに基きまして、昨年制定されました資産再評価法の規定を適用いたしまして、財産税評価額、或いは財産税調査時期後の取得価格に対しまして、再評価倍数を適用して計算しました再評価額までのところへ再評価税を課す。再評価額を超える讓渡価格に対しまして、讓渡所得を課税することにいたしますと、多額の讓渡所得が出ることになるのでありますが、先ほど木下委員からお話がございましたように、政府の強制措置に伴つて消滅して、いわば強制的に讓渡が実現されるものであります点と、それから今申上げましたように、財産税の評価額が低かつたという特殊の事由がございますので、これについて讓渡所得を課税しない。現行税法上一番軽い税金といたしますのは、再評価税を課するほかはないというふうに考えられますので、再評価税を課するということにいたしたのでございます。この漁業権に対する補償の課税の問題は、なかなかむずかしい問題が横たわつておるのでございますが、いろいろ検討して参りました結果をいろいろ申上げますと、先ず第一点はこの所得税法第六條の規定によりまして、損害賠償によつて取得した金額に対しましては、所得税を課さないという規定がございます。で、一部にはこの規定によつて補償金は、損害賠償によつて取得したものに相当するから、これに対しては課税にならないというような御意見もあるのでございますが、御承知の通り所得税法の第六條の損害賠償によつて取得したと申しますのは、一時所得に関する規定でございまして、讓渡所得に関する規定でないのでございます。従いましてこの漁業権の消滅ということに対する補償金につきましては、やはり讓渡所得として課税の対象にならざるを得ないということになるのでございます。それからもう一点考えなければなりませんことは、補償金につきましては今後二十数年間に亘りまして、免許料、許可料を以て、今後漁業を営みます者から徴収することになつておるのでございますが、この免許料、許可料は申すまでもなく、事業所得上の経費になつて落ちるのでございます。従いまして今後漁業を営むかたがたの所得計算におきまして、こういつた免許料、許可料が経費として落ちますと、それだけ所得の額が少くなるのでありまして、政府としましては、所得税なり、或いは法人税の所得の計算におきまして、それだけ所得が少く、従つて所得税、或いは法人税の高い税率のところで実は税収が減ることになるのでございます。尤も考え方によりましては、今後免許料、許可料を徴収するということにいたしますれば、それによつて或る程度漁獲高などの基礎が正確になりまして、従来より所得の把握が容易になるから、それだけ税収が殖えるじやないかというような議論もあろうかと思いますが、税の建前といたしましては、それは成るほど実状においてそういうような事情があるかも知れないのでありますけれども、理論といたしましてはやはり経費として落ちただけ所得税の収入が減ることになるわけでございます。政府が全然損をしないということはないのでありますから、この点も御了承頂きたいと思うのでございます。いささか事務的になるかと思いますけれども、我々といたしましては現行税法上許される一番軽い税というのはこれ以外に方法はない。又これを非課税にするということにつきましては、他に任意讓渡する場合に再評価税、讓渡所得税両方を課税しておりまする場合に比較いたしまして、やはり権衡上非課税とすることはでき得ないということに考えるのでございます。この程度の課税をするということ は止むを得ないのではないかというふうに考えておるのでございます。なおこの補償金を漁業証券で交付いたします場合に、この漁業証券の買上償還をやる、或いは水産業農林業融資特別会計の金額を殖やしまして、水産業に対しまする融資の途を開くということにつきましては、いずれ大臣がお見えになりましてから御答弁があると思いますから、私のほうからは省略させて頂きます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014621X00119510526/14
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015・油井賢太郎
○油井賢太郎君 水産庁のかたがお見えになつているので、これに関連して質疑を申上げたいと思います。漁業権の補償金の免税についてのいろいろ請願陳情が我々大蔵委員のほうへ来ておりますが、それによりますと、農地証券発行の前例に基いて免税にしてもらいたいというようなことも書いてあるのです。ところが農地証券は大蔵当局の話を聞くというと、これは免税になつておらないのだが、実際的に買上価格が低いので、結局免税措置と同じような結果になつている。漁業権のほうは相当買上げ価格も、いわゆる補償金が高いのであつて、農地証券の場合と大分違うということを大蔵省方面では説明している。それから又聞くところによりますと、水産庁側では当然これは免税であるということははつきりと発表されたというようなことも聞いているのです。この食違いがどこにあるかということを、この際明確にお示し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014621X00119510526/15
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016・藤田巖
○政府委員(藤田巖君) 実は私はこの先月の五日に水産庁のほうに参りましたので、この漁業法案が国会で御審議されましたときの事情については直接は私存じておりません。ただ本来この漁業権を整理いたしまして消滅するものについての、いわゆる補償としての補償金額、これについては恐らくその当時の水産庁といたしましては、当然免税、税金というものがかからないものであろうというふうな予想を私はしておつたと想像いたします。実際問題といたしまして仮に所得税がかかるといたしますれば、恐らく百七十億の補償金に対して七十億なり八十億の所得税がかかることになる。そういうふうなことを予想することはちよつとおかしいのでありまして、やはりぎりぎり切りまして最低限度の補償をしようというふうな趣旨、これはつまり補償金が非常に多くなりますと、それに見合つておりますところの免許可料というものを出さなければならん、従つて補償金が非常に莫大になりますと、今後経営するのに負担にかかつて来るわけであります。従つて当然これについての税金というものは、恐らくその当時は考えていなかつたのだろうと私は想像いたします。先ほど大蔵省のほうから、これは当然免許可料は経費に落されるものであるから、その利益のうちから、利益は当然免許可料を払えば少くなるわけだから、二重負担にはならないというお話もございましたので申上げますが、それは理窟はそうであろうと存じます。理論はそうであろうと存じますが、現実の課税のやり方を考えて見ますと、やはり末端におきましてはどうしても、何と申しますか、二重負担になるような虞れがなきにしもあらずと考えます。従つてそういうふうな趣旨からして、従来の水産庁といたしましては、やはり税金は当然免除されるべきだというような話で進んでおつたろうと私ども想像するのであります。ただ問題は、それがどの程度までコンクリートに、政府間において話合いが徹底しておつたか、疑問があるのであります。恐らく大蔵省も農林省も、そこの問題は余り究めずに来た、そうして現実にかかるということになつて、それをどうするかということが初めて狙上に乘つて、ここに今回のような措置になつてというふうに、私は常識的に考えて、さような経過じやないかというふうに思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014621X00119510526/16
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017・油井賢太郎
○油井賢太郎君 その当時大蔵当局と水産庁の、交渉された経過の実際にわかる人の話を我々委員会で聽きたいと思うのです。それを一つ要求しておきたいことと、もう一点は、この漁業権というものに、讓渡でなく損害賠償であるという点を、明白にこれはなつておるかどうかという点ですね、従つて免許料であるとか、許可料というのは、別に損害賠償とは関係がないというふうに考えられるのです。その点を明確にして頂きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014621X00119510526/17
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018・泉美之松
○政府委員(泉美之松君) 漁業権は、漁業法に特に規定してございますように物権とみなされております。一つの財産権であります。従つてこれを、当然免許をいたしておりますものを、国の大きな漁業改革という趣旨から、全面的に消滅さしてしまう、こういうようなことに相成るわけであります。その当時も、補償すべきか、補償する必要があるかどうかという論議があつたのでありますが、現在の憲法の示すところによつて、やはりかような措置についてはどうしても補償すべきであるというふうな見解で、この漁業権の消滅に伴つてのいわゆる補償というふうなことになると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014621X00119510526/18
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019・油井賢太郎
○油井賢太郎君 これは今日出席の大蔵当局では、或いは責任を持つた御回答ができるかどうか疑問でありますが、水産庁のほうでは消滅した分の損害賠償というふうに我々聞えるのですが、そうなると讓渡というのと全然根本精神が違つて来ると思うのであります。同じ政府内にそういうふうに食い違いが起きる、思想が二つあるというのはどうも解し難いと思うのであります。先ず政府側においてこの点をはつきりと、一本に統一してもらいたいと思うのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014621X00119510526/19
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020・泉美之松
○政府委員(泉美之松君) 初めにお断わり申上げておかなければなりませんことは、漁業法ができまして審議されておりました当時におきまして、農林当局から大蔵省主税局に対しまして、この課税がどうなるかというような御相談はなかつたのでございます。今年に入りまして、課税になるかどうかという御相談があつたのであります。我我研究いたして見ると、どうも課税にならざるを得ないというふうな結論に達したのであります。まあ水産庁当局としましては、恐らくこの所得税法に、損害賠償によつて取得したものという規定がございますので、それに該当して課税にならんというふうにお考えになつておられたと思うのでございます。従いまして、大蔵省に相談するまでもなく非課税であろうというふうにお考えになつておられたというふうに考えております。併し先ほども申しましたように、損害賠償によつて取得したのは一時的の所得のことでございます。讓渡所得には適用にならないのでございます。そこで補償金が讓渡所得なりや否やという点が問題になつて来るのでございます。これはいろいろ考え方があろうかと思いますが、我々といたしましてはやはり事業用の資産でありますが、漁業権が政府の指示によつて消滅されるという法律形式をとつておりますが、その実質は政府による強制買上げと同じと思うのでございまして、従いましてやはり強制買上げと同じになつて、讓渡所得ということにならざるを得ないと思うのであります。消滅という特別の法形式をとることによつて、讓渡という実質を覆えすことはできないものと考えております。勿論法律で讓渡と、所得税法なり或いは法人税法で讓渡というふうに規定されておりまする場合におきましては、土地収用の場合の收用とか或いは交換、それからそういつた性質のものまでも全部含むというふうに解されているのでございまして、この消滅ということも、やはり讓渡の一種の形態であるというふうに考えられるのでございます。それからあらかじめ申上げておかなければなりませんことは、成るほど所得税法には、損害賠償によつて取得したという規定がございまして、一時所得は非課税になつておるのでございますが、法人税法におきましては、非課税の規定がないのでございます。従いまして漁業権の補償金は、大部分は漁業会に交付されることになるのでございまして、仮に所得税法の損害賠償によつて取得したものという規定の適用をいたそうと思いましても、大部分の場合、漁業会の場合は適用がないことになりまして、それによつては何ら救う途はないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014621X00119510526/20
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021・油井賢太郎
○油井賢太郎君 今の消滅という形式的な言葉と、讓渡という実質というふうに御説明になつているのですが、これは重大な分れ途になると思うのですね、一体これを実質的に尊ぶということが建前なのか、形式的なものはいけないとかというふうなことになると、これは根本問題として大きな違いになつているのですね、無論この際、こういう委員会でこの点を言い争つて見ても、水掛論みたいになるのですが、これはここで以てこういう点を明確にするかということを一つ検討する必要があると思うのであります。でありますから、一応この辺で以て休憩なり何なりして、その問題を懇談的、或いは正確な回確のできるような人を呼んでなり、改めて開いて頂きたい。こういうふうに思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014621X00119510526/21
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022・大矢半次郎
○委員長代理(大矢半次郎君) ちよつとお諮りいたします。もうすでに正午を過ぎておりますが、午後は一時から法務委員会のほうと連合審査をすることになつておりまするし、それで今日の午後はするわけは参らんと思いますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014621X00119510526/22
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023・青山正一
○青山正一君 議事進行について……。先ほど申上げた通り大蔵委員会として非常に御迷惑かも知れませんですけれども、やはり水産委員会のほうも非常に重大な問題でありますからして、明日でも改めて連合委員会を開いて頂くように、一つ委員各位に諮つて頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014621X00119510526/23
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024・大矢半次郎
○委員長代理(大矢半次郎君) 如何でございましよう。ちよつとお諮りしたいのですが、実は本日午前十時から開会するつもりのが、水産委員会のほうの御都合があつて少し開会が遅れたような状態でありまするが、会期幾ばくもありませんので、この連合委員会は一応これで終了ということにいたしまして、大蔵委員会を開いてやる場合に、丁度政府のかた、或いは大蔵大臣が出席するというような都合のいい場合に、水産委員のかたが出て順次御発言をして頂くというふうにして頂いたほうが、却つてこの審議がはかどるのではないかと思いますが、如何でございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014621X00119510526/24
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025・青山正一
○青山正一君 まあここに水産委員は、私と櫻内さんと二人きりなんですが、まあ委員長としてはどういうふうに考えておられるか知りませんけれども、租税の問題に関連して非常に水産の方面の金融的な措置ですね、そういうような問題も非常に大きく浮び上つて来るわけなんですが、あなたのほうの委員会にはつきりと大蔵大臣が出られる目安があることなんでしようか、どうなんでしようか、今後の機会において……。それならばそれでまあ私どもは委員長の言う通りに取計らつても結構ですけれども……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014621X00119510526/25
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026・大矢半次郎
○委員長代理(大矢半次郎君) 出席は是非要求いたしてそれを実現したいと考えておりますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014621X00119510526/26
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027・櫻内義雄
○櫻内義雄君 議事進行について申上げたいのでありますが、それは今日の連合審査をお願いしたいということは、責任ある政府当局の御答弁を求めたいためにこれをお願いしたわけなんです。而もこれは水産委員会の決定に基ずいてここにお願いしているのでございますから、委員長から只今連合審査は今日でやめて、そうしてあとは順次委員会において御発言をという御希望でございますけれども、これは併し委員会として決定している事項でもあり、且つは只今申上げたように責任ある御答弁を我々が求めたいということからお願いをしているのでございますから、直ちに只今の委員長のお申出には私どもは応ずるわけには行かないと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014621X00119510526/27
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028・油井賢太郎
○油井賢太郎君 どうでしよう。今水産委員会のかたがたからのお話御尤もでございますから、この次の大蔵委員会に、そのあとででも連合委員会をもう一ぺん開くというふうになさつては如何なものでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014621X00119510526/28
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029・大矢半次郎
○委員長代理(大矢半次郎君) それでは次の大蔵委員会に諮りまして、今の点はそのように取運びたいと思います。
本日の連合委員会はこれで以て散会いたします。
午後零時二十五分散会
出席者は左の通り
大蔵委員
理事
大矢半次郎君
清澤 俊英君
杉山 昌作君
木内 四郎君
委員
愛知 揆一君
黒田 英雄君
九鬼紋十郎君
松永 義雄君
油井賢太郎君
森 八三一君
水産委員
委員長 木下 辰雄君
理事
青山 正一君
千田 正君
委員
入交 太藏君
櫻内 義雄君
政府委員
大蔵省主税局調
査課長 泉 美之松君
水産庁長官 藤田 巖君
事務局側
常任委員会專門
員 木村常次郎君
常任委員会專門
員 小田 正義君
常任委員会專門
員 岡 尊信君
常任委員会專門
員 林 達麿君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014621X00119510526/29
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