1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十六年五月二十八日(月曜日)
午前十時五十一分開会
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本日の会議に付した事件
○租税特別措置法の一部を改正する法
律案(内閣提出、衆議院送付)
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001・小串清一
○委員長(小串清一君) これより大蔵、水産連合委員会を開会いたします。租税特別措置法の一部を改正する法律案について質疑をお願いいたします。
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002・小林政夫
○小林政夫君 大蔵大臣に御質問いたします。漁業権証券に対して特別な措置を講じた場合に、その課税について再評価税を一応考慮するというふうに非常な軽減な処置をとつてもらつたということについては非常に漁業界一般としても感謝しておるようでございますが、なお一歩進めて事務当局として考えられる案としては、これがぎりぎりの線であると我々も考えるのでありますが、現在漁業界の置かれておる窮状を考えるときに、むしろ積極的な国家資金の注入をしてこの漁業界の窮状を打開しなければならないというような情勢でもございますので、この漁業権証券に対する課税については大きい国策としての立場から是非もう一歩進めて免税の処置を講じてもらいたいと思うのであります。特にこの漁業権証券として国の負担をするようではありますが、将来において免許料或いは特許料というようなものによつて国は漁業権証券を出したと同額のものを、又それに対する国の負担する金利等も含めた免許料、特許料を取るわけでありまして、時間的なズレはあつても国の負担としては終局的には何もないということでございますので、特にこの課税については特別な措置といたしまして是非免税をやるべきではないかと私は思うのでありますが、大臣の御所見をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014621X00219510528/2
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003・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) 所得のあるところは所得税を納めてもらうのがこれは建前でございます。その納める場合につきましてはいろいろな事情を十分加味して適正な方法を講じなければならんという建前で所得税は納めて頂きまするが、できるだけその法の趣旨を考えてとつたのが今回の措置でございます。何分にも法案をきめて頂きましても実際問題としては個々の問題でいろいろな点が起きて来ると思いまするが、私は考え方といたしましては、小林委員のお話のように、できるだけ実行上少くして行くようにいたしたい。これは御承知の通りに譲渡所得といたしまして所得税法を適用するのをやめまして、フラツトで六%、即ち再評価ばかりの税に代えたわけなのでございまするが、実際問題となりますと財産税の調査のときの漁業権の評価というのが非常にまちまちだと思うのです。私はこの点につきましては、元になるものでありまするから課税の実際上できるだけ妥当な呑みやすい方法で行きたいという考えを持つております。従いましていろいろな点を考えた上、今御審議を願つているような法案になつたのであります。でもともとこの漁業権証券の発行というものは、日本の水産業の画期的な措置でございまして、今まで通りにやつて参りますと資金化し得べきものを資金化し得ない。今度の漁業権証券によりまして今までの金利を資金化して行く。これが水産業に向つて行くような途を開くことになりますので水産業全体としては私はよほどよくなつて行くのじやないか。従つて問題は水産資金に枯渇しておる場合におきまして、この漁業権証券をどういうふうにして換価して行くか、百七十八億円の漁業権証券は、渡したままでは、これは資金化に相当困難がありまするから、渡した場合におきまして、そのどの程度を今年度の債務償還で現金化するか、又現金化せられない部分につきましては、それがどの程度の担保証券になつて金融の途が開けておるか、こういうことを考えて漁業権証券の証券認可もきめたいと思うのであります。百七十八億円のうち私は税が大体二十億円程度と見込んでおりますが、これもそれ以下で済めばそういうふうに成るべく安くしたいという気持を以て施行して行きたいと考えております。而して又別途漁業権証券の償還その他につきましても、只今できるだけのことをしようという検討を続けておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014621X00219510528/3
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004・青山正一
○青山正一君 漁業制度の改革というものは、漁業経営の切替を根本的な狙いとしているのであります。従つて旧漁業権の補償、それから証券の資金化、それから新経営体の発足、免許料の支払、補償財源に充当というようなこの一連の循環が円滑に計画的に実施されて、初めてこれは完了するわけであります。循環の鍵を握るものは、只今大臣がおつしやつた証券の資金化であつて、課税問題の処理もこれらを総合的に考えてこれは処理されるべきであろう、こういうふうに考えております。で先ず先決問題として漁業権証券の内容とその資金化の方法について大臣に承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014621X00219510528/4
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005・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) 漁業権証券の資金化につきましては、先ず第一にどれだけの条件で漁業権証券を出すかという問題でございます。これにつきましては只今検討を加えておりまするが、大体五分五厘、五年間の期間にするかという考え方が普通行われております。それが終戦後におきまして、最近の公債発行の条件がそれであつたのです。これは農地証券の場合とは違いますが、あれは譲渡利子で低率でございましたが、今度は農地改革とは性質が違いますので、大体五年間の五分五厘ということにいたしまするか、或いは三年間の五分或いは五分五厘にするか、或いは十年間の六分にするか、いろんな説がありますが、今これは検討しておるのでございます。これは第一の点であります。第二の点は今年度どれだけの漁業権証券を償還するか、こういう問題でございます。衆議院におきましても今年度の償還金額につきましていろいろな議論があつたようでございますが、私はその情勢によつて考えなければならん。その情勢が漁業の再編成がどういうふうに行くか、或いは又、財政的にどれだけの償還金額があるか、この償還金額はわかつておりまするが、既存の証券の償還がどれだけするか、又既存の証券にしてもどこの持つている証券をどれだけにするかこいうことから総合的に考えなければならんので、今年度の債務償還の漁業証券の償還の額については申上げかねると申上げたのでありますが、只今でもどれだけの今年度の漁業権証券を償還するかということにつきましては、今後とも検討して行きたい。又漁業再編成の状況を見まして私はよろしき方法について行くべきだという考えを持つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014621X00219510528/5
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006・青山正一
○青山正一君 この資金化に当りましては、この重点をどこに置くかという問題について承わりたいと思うのです。資金化に当りましてはこの漁業制反改革の上の要求と、それから財政金融的な要請を国民経済上の見地に立ちまして調整して行く必要があると思うのでありますが、漁業の側から申上げますと、第一にただ何でもかでも金に換えてくれればよいというのではなく、制度改革の進展に伴いまして、計画的に制度改革の目的に合致した方向へこの資金化を進めて行く必要がのろう、こういうふうに考えております。それから第二点に課税問題もこの免許料の算定も共に証券の額面を基礎にしている以上、資金化に当りましても、漁民が不当な損失をこうむらないように政府として慎重な配慮と具体的な措置が必要であろう、こういうふうに私は思うておるのであります。又この制度改革の性格から言つて、資金化の時期と程度と方法が決定的な意味を持つことになりますからして、やや立入つてお聞きしたいと思うのは、第一に市中銀行の担保融資についてであります。市中銀行の担保融資は証券の条件によつていろいろ変ろうと思うのでありますが、いずれにいたしましても常識的に見ましても、この買取りの場合も担保の場合もデイスカウントは免がれないし、又旧債取立に漁民を追込むようなものであろう。又この中長期資金は非常に無理で、せいぜい短期資金を少し見てもらう程度になろう、こういうふうに私どもは想像でき得るのです。政府としてこの中長期資金としては、別に有利な資金化の途を大きく開いて、それによつて資金化を制度改革の目的に合致せしめて行く施策に重点を置くべきは当然だと思うのであります。
第二に買上償還についてであります。買上償還は、これは最も端的な方法であろうと思うのでありますが、これについては次の事実をとくと考えて頂きたいと思うのであります。第一に証券は大体単位協同組合あたり平均三百万円くらいになるだろうと思われるのでありますが、その現実においてはその分布は相当でこぼこがある。それから第二に単なる買上げだけではそのでこぼこは調節できない。折角資金化しても有効な一つのまとまつた生産施設にはこれはなりにくいだろうと思うのであります。第三点といたしまして、この買上償還の方法によるときは、その償還された資金が必ず特定の施設に振向けられるというところまでは、これは追求できないと思うのであります。
以上の点を考えますと、本当に有効な資金化を実施しようとすれば、どうしても買上償還と長期低利な融資等を組合せて政府の責任ある指導を伴つた資金化の方策を講ずべきは当然だ、こういうふうに私は考えておるわけなんです。それに対して大臣の返答をお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014621X00219510528/6
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007・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) 全く同感でございます。そういう趣旨によつて農林省が主になつておやりになることを大蔵大臣としても希望しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014621X00219510528/7
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008・油井賢太郎
○油井賢太郎君 この際大蔵大臣に伺つて置きたいことは、今回出されたところのこの特別措置法によつて最初計画されたいわゆる租税収入と大分変つて来ると思うのですね。最初は七十億の租税収入を見込んでおられたと思うのです。それが今回この法案を出しますと、先ほど大臣が十億というお話があつて、その間六十億というものの減税がここに現われて参るのですが、予算の関係上はこれは差支えないのですか、或いは補正予算をお出しになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014621X00219510528/8
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009・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) 漁業権証券の交付によりまして、六十億とか七十億とかというその収入は、私は全然見込んでおりません。予算には見込んでおりません。大体歳入予算を組みますときには、個々の問題につきましてはあまり考慮に入れないことにいたしておるのであります。全体を見通してやるのでございます。漁業権証券があるから、これだけ法人関係で殖えるとか、法人関係で増加するとか、こういうことは見込んでいないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014621X00219510528/9
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010・小林政夫
○小林政夫君 私は今油井君の質疑とは逆に、この十億という漁業権証券に対する課税は、恐らく政府としては税収見込に挙げておられなかつたものであると思うのであります。このたびの措置によつて新らしく十億という税収が殖えるわけであります。只今大蔵大臣は一応課税はこの程度は止むを得ない、併し水産業に対しては、積極的に金融措置によつて考えて行きたいというような御意向でありまして、大いに考えて頂きたいと思いますが、現在いろいろ水産庁方面においても要望があるようでありますが、大蔵当局として具体的に次に補正予算の組まれるような情勢になりましたら、その予算措置と関連して具体的にどういうように考えてもらつておるか、これを承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014621X00219510528/10
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011・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) 今具体的にどれだけ水産業のほうに出すかということを申上げる段階に至つておりません。先の国会等で議論になりましたのは、農林漁業金融の六十億円にプラス六十億円ということは、あの特別会計法の十二条できまつておりまするが、このプラスの六十億円を出すか、出さないか、出すにしたらどれだけ出すか、こういうことにつきましては今後の予算編成及び本年の補正予算編成におきまして十分考慮して行きたいとは考えておりまするが、今幾ら農林漁業のほうに出すかということはきまつておりませんので、漁業関係にどれだけということを申上げる段階に至つておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014621X00219510528/11
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012・小串清一
○委員長(小串清一君) ちよつと申上げますが、地方行政委員会のほうでちよつと大臣に答弁に来てもらいたいというのですが、短かい何でしたら……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014621X00219510528/12
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013・油井賢太郎
○油井賢太郎君 先ほどのお話でこの措置法が出ても大して予算には影響がないような工合に受取れたのですが、これはそうすると特別の措置をしたといつても、別に国家財政のほうから見るというと、殆んど影響がないというふうに解釈できちやうのですがね。これは相当減税だと私は思う。そうすると、相当の減税をするということはやはり予算の上においては、大きな影響が来ているのじやないかと思うのですが、そこはどういうふうになつていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014621X00219510528/13
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014・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) 予算の見積りには考えておりませんので、予算自体には影響はございません。厳格に申しますと、今の租税制度を変えるから減税ということも言い得られるでしようが、油井さんの話では予算ということに影響があるか、こういうことでございますが、予算には影響はないと思つております。これは初めから見込んでいなかつたからであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014621X00219510528/14
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015・青山正一
○青山正一君 どうも先ほどの御返答ではちよつと満足できないのですが、仰せの通り御尤もだ、こういうふうに簡単にやつけられてしまいますとどうも話のしようがないのですが、大臣はこの三、四日前に衆議院の水産委員会と大蔵委員会の合同委員会で特別会計のことを言うておられたのですが、この大臣の言われる特別会計というのは農林漁業特別会計のことと思うのでありますが、その中に漁業特別会計で果して今度の漁業制度改革の裏付が完全に実施できると考えておられるのかどうか、第一の金額の点で本年度どの程度考慮しておられるかということは先ほど申しておられましたが、第二の点として漁業生産の共同化の資金の中にはいわゆる固定設備のほかに、漁船とか特に漁具が相当にあるのでありまして、更に回収に三年ぐらいを要する蒔付け資金などというものがありますが、この共同施設という限定があるのに、あの特別会計から融資できるかどうかという問題と、それから若しできなければ政令を改正してやるかどうか、それから更に司令部関係の了解の見通しがその場合つき得られるかどうか、そういう点について御質問申上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014621X00219510528/15
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016・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) 細かい問題で私よく存じませんが、とにかく金は必要な方面に流れるようにいたさなければなりません。で、農林漁業の六十億円にいたしましても、今お話の漁船なんかについては、やはり出し得るのではないか。これは多分地方別に分れておつたと思いますが、漁船にも出せるようになつております。而して、又おしまいには一番尾行に、その他必要なる施設とこう書いてありますが、網なんかが入るか入らんかという問題は、これは情勢によつて入るように考えるのが本当じやないか、とにかく要るところに金が流れるようにするのが法律政令の建前でありますので、できるだけ便宜に副うようにいたしたいと考えているのであります。而して漁業の再編成につきましてどれだけの金がどの役割をするかという問題につきましては、衆議院の合同委員会で申上げましたように、漁業権証券の償還の金額又その用途についての検討、第二には漁業権証券を担保にしてコンマーシヤル・ベースで借りる資金、第三には、今お話になつております農林漁業の特別資金の増加によりまして、どの程度水産業のほうに紐付と申しますか、出た場合におきまして、農林省のほうでおやりになるということも考えなければならんと思うのであります。従いまして三者一体となりましたものでありますから、合同委員会におきましても今年度の債務償還の金額は私は言わなかつたのであります。とにかく水産業というものが、日本の産業界における地位、又将来の必要性ということも考えまして、できるだけのことは必要に応ずるように努力いたしたいと考えるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014621X00219510528/16
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017・青山正一
○青山正一君 それならば結論的に一つお伺いしたいのですが、今後の補償に対する課税というものは、いわゆる自然増収ではなく、先ほど小林さんのおつしやつた通りに幾分これは強制的なものであつて、而も大蔵当局としても全然これは予想しなかつたものであろうというふうに私は考えております。この点これを一つお心にして頂きたいと思うのであります。第二点は、この補償金の財源は今後漆業者の支払う免許料によつて税金分は言うに及ばず、証券の利子まで含めて取るようなことになつておると私は聞いております。その点も一つ大臣お心にお聞き止め願いたいと思います。第三点は、若し課税するとすれば十五億と予想されるのでありますし、この税収は特別会計の財源に充てて漁民に融資する形で還元する場合、これは大臣の一存でできることであろうと、こういうふうに私どもは考えております。殊に花も実もある大臣は、そういうふうなお気持は多分にあると思うのであります。その点一つ十分にお考え置き願いたいと思うのであります。第四点は、特別会計は、勿論濫設は避けるべきであろうと思うのでありますが、目的も性格も明確に異なつておつて、而も運用において行政指導が高度に要求される漁業制度改革促進のための国家的な融資については、別にすつきりした形で特別会計を明確に設けまして、農業と共に国民経済の基礎をなす漁業の画期的な改革の裏付をしまして、提案者たる、これは政府です、提案者たる政府の責任を全うすべきことだと思うのでありますが、これらの点について一つ大臣の御返答を願いたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014621X00219510528/17
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018・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) 漁業権証券交付によりまして、所得発生の十億円程度のものは自然増収になる予定いたしていなかつたのでありますから自然増収になると思います。然らばその増収の分は、漁業権証券交付によりまして漁業者は元本利子に相当のものを払うのだから政府は丸儲けじやないか、こういうわけでありますが、これはよく計算してみないと金利その他できまつておりますからわかりません。而も私は五分五厘で今の設備の代りに政府が証券を出して、そうしてそれが換価されることになりますと、そういうことを望む会社なんかが相当あると思いますので、十億円払つたから、政府がそれだけ丸儲けするかというと私はそうも考えられないと思います。次に第三点の、それだけ上つたものは、それだけのものは水産業にそつくり持つで行くべきではないか、いわゆる目的税的にお考えになるようでございますが、これは十億円儲かつたから、これで水産業の復興が十分できるとは考えておりません。そんな程度で日本の水産業は行けるものではないのであります。従いましてあまりセクシヨナリズムに、これだけ水産業から特に払つたのだからこれだけ出すということは、水産業の将来のために心配でありますから、私は十億円に限らず、ほかのほうからできるだけ水産業に出すという考えで進んでいるのであります。第四点の、漁業制度の改革によりまして、今後政府といたしましては十分のいわゆる監督指導をしなければならん。これも先ほどお話になりました通りで、御尤もなお話でございます。第一の主管庁である農林省は十分の指導監督をなさいましようし、我々といたしましてもできるだけの犬馬の労をとるつもりでいるのであります。なお先ほどの一点二点につきましてのお話は私が考えしおつた通りであつたので、お説御尤もだと言つたのでありまして、繰り返して、あなたの説を繰り返しただけでありますので、只今お説の通りとお答えしたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014621X00219510528/18
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019・小林政夫
○小林政夫君 只今の春山さんのお説の中に漁業金融についての特別会計を別途設けるという意思があつたと思います。私も同感なんでありますが、現在の農林漁業金融特別会計の中において、六十億円の中で、水産用のものは、漁業用のものは三億四千万円程度のものでありまして非常に微々たる金額であります。大蔵大臣の十億やそこらの僅少な金額では済まないという力強いお言葉で、業界としては非常に喜ぶでありましようが、そういつた多額の金を注ぎ込むといたしましては、農林と漁業を分けまして漁業金融特別会計というものを別途に作る、特にこの新制度の改革のあとずけをして立派に改革の目的を達成せしめるという意味においてもいろいろ行政指導を要する面があるわけでありまして、そのあとずけをはつきりさせる意味においても特別会計を以て運用して行くのがいいのじやないか、こう考えるのでありますが、御意見はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014621X00219510528/19
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020・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) 水産業に対しまして水産銀行とか、或いはその次が水産特別会計とか、いろいろな議論が出ておりましたが、私は反対でございます。大体特別会計というのはできるだけ少いのが本筋であります。今回設けました農林水産の特別会計で十分賄えると思います。而して出しました金額の割振りにつきましては、農林大臣の所管で、適当にお分け願うと思います。大蔵大臣は国庫大臣といたしましてその使用につきまして意見を申述べる考えでおりますが、この点は農林大臣が農林水産等の十分その情勢について検討の上お出しになるのが適当な方法であると私は考えているのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014621X00219510528/20
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021・小林政夫
○小林政夫君 そうすると、大蔵大臣の構想は、只今設定されている農林漁業特別会計の枠を殖やして、その中から漁業のほうへせいぜい廻すようにするというお考えでございますが、先ほどの補正予算において六十億ぐらいの枠を殖やすというようなことでありましたが、この制度改革、六十億というのは前から言われておつたことであつて、この制度改革に伴う特別な証券の金融化、その他による漁業方面等の資金のために今の十億では足りない。うんと持つて行くというのは予定された六十億よりも別にそれをプラスしてもらうというお考えがあるのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014621X00219510528/21
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022・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) 先ほどお答え申上げました場合において、プラスの六十億を出すか出さんかわからんし、出すにしてもどれだけ出すかわからんというお答えをしているのであります。六十億プラスに出すということはお答えしておりません。出すか出さんかということも問題である。出す場合にどれだけの金額かということも問題である。而して出す場合に今年度の六十億の自然増収があるからそれを入れろというお話でありますが、他に自然減収があるかも知れません。而して十億というものは将来長い間の十億で、本年一年の間に使うべきものではないのであります。私は今年度補正予算に対する言質は一つも与えておらないつもりであります。どうぞ御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014621X00219510528/22
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023・櫻内義雄
○櫻内義雄君 先ほど来の大蔵大臣の御答弁のうちから、私ども水産委員としては一つ是非承わつて置きたい点があるのであります。それは買上償還につきまして御明示にならなかつたわけであります。その理由としては漁業用編成の状況と実情に合せて行きたいと思うというわけでありますが、現在水産庁においては漁業制度改革促進事業計画というものを立てられまして、そうして本年度三十九億、明年度五十四億、そうして三年目には四十一億というような、そういうすでに具体的な案をここに出されておるわけなんでございます。そういたしますと、我々が大きな関心を持つておることは、この水産庁の持つておる事業計画というものが、実際に遂行できるのかできないのか、これは一にかかつて大蔵省の買上償還の具体的な明示がなければならないと思うのであります。それがない。こういうことになると前途の見通しなく、今回の法案について我々が態度をきめて行かなければならんというような実情にあるのでございますが、買上償還の具体的な計画が出されるのはいつであるか、又水産庁のこの制度改革の促進計画を御承知であるのかないのかという点について最後にお伺いしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014621X00219510528/23
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024・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) 水産庁の再編成計画も一応は聞いております。併し御承知の通りに、あの再編成計画通りに行くかというと、なかなかそうは行きません。で、私は先ほどどなたかおつしやつたように、やはり実情に副つて行かなければならないのであります。三十九億円の当初の再編成計画が物価高、その他によつて、それでやれるかどうかという問題があるのであります。これはあまりに金額に囚われた、得てして事務当局は金額に囚われていろいろな計画を立てますが、それがなかなか実行に移らないというのが実情なんであります。実は私は必要があれば三十九億、四十五億、六十億出してもいい、七十億出してもいい。而して問題は、大蔵大臣として三分五厘や四分の国債を償還して五分五厘になるまでそれを抱き込んで置くことは好ましいことではない。従つて農地証券なんかに対しましても、御承知の通り、殆んど一年間で償還してしまう。我々今百九十億の債務償還費がありますので、百七十億ぐらいは一遍にやるくらいの金はありますが、一通にやつた場合に、農業界のほうの金の使い方を考えますと、私は一遍にやるということはよくないので、だから連合会におきまして、六十億やるやら、七十億やるやら、そのときの情勢に応じてやり得る金はございます。ただふんだんに出すということを申上げておる。で、私はここで四十五億や六十億の数字に囚われるべきものじやない、水産業の復興はそういうふうなちつぽけな金でできるものではない。計画はできるだけ促進するように、債務償還を早くやる、減る当局は三十五億円、或る当局は四十五億、或る当局は六十億、そういうことをおつしやるものじやないということを連合委員会で申上げておるのであります。高い金利の分を早く償却することは、これは財政当局も考えておるところであります。ただそこでむずかしい問題は、金をやるばかりが能じやない。日本の金融全体のことも考えなければなりません。渡した金が有効に使われることも考えなければならないのであるので、私は言明しないのであります。相当の金額は考えておる。そうするのが本当なんです。私はどちらかというと、たくさんにやつちやいけないと思うのでありまして、非常にそれが尤もな議論だと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014621X00219510528/24
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025・櫻内義雄
○櫻内義雄君 最後にお願いして置きたいのでありますが、只今の大蔵大臣の御説明を伺いますと、これをまどもに受ければ誠に水産界にとつては御同慶至極のお話であつたと思うのであります。そうなりますと、先ほど大臣は漁業特別会計のようなものは、これは設けるべきではない、という御答弁があつたのでありますか、今水産業界で、は、挙げて水産省の設置を望み、そうしてこの漁業制度の改革の促進については重大な関心を払つておる折でございます。大臣の御抱負、経綸の上から申しましても、むしろ只今のお話を承われば、この漁業制度の改革のために特別会計を設けられまして、而も追加事業着手の第一年度でございますから、大臣の御抱負を生かすために必要ではないかと、かように考えさせられるのでございますが、如何でございましよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014621X00219510528/25
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026・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) 先ほどお答えしたように、セクシヨンセクシヨンで特別会計を設けるということは私はとらない。私は農林大臣でありましても、水産庁長官でありましても、やはり大きいところに置いておいて、そうしてそれを総合的に考えるというのが私はいいと思います。特別会計を設けることが財政上好ましくないと同時に、水産省を設けることも私は反対いたしておるのであります。できるだけ行政を簡素にしなければなりません。然らば債務償還上、金額をどういうふうに使つて是正して行くかということについては、業者間で私は適当なる機関を設けられることが考えられるのじやないか。例えば県単位の組合で、金融の斡旋をする。その場合において県の漁業融合が債務償還さるべき証券を或いは一時担保で借りる、或いは組合当局は債務償還、こういう組合単位で申出が水産庁にあつて、そうして大蔵省と水産庁と相談して適当に促進するということが地についたやり方だと思います。政府が何ぼ特別会計を設けても、うまく行くものではありません。要は漁業者団体が適当な方法を考えられて、政府と折衝されるのが一番いい方法だと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014621X00219510528/26
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027・小串清一
○委員長(小串清一君) ちよつと大臣は警察法の関係でどうしても行かなければならないそうですが、あとは事務当局へお願いしたいと思います。如何ですか、事務当局に何かお聞きになることはありませんか。それでは連合委員会はこれを以て打切ります。
午前十一時二十七分散会
出席者は左の通り。
大蔵委員
委員長 小串 清一君
理事
大矢半次郎君
清澤 俊英君
杉山 昌作君
委員
黒田 英雄君
佐多 忠隆君
小宮山常吉君
小林 政夫君
山崎 恒君
油井賢太郎君
森 八三一君
水産委員
委員長 木下 辰雄君
理事
青山 正一君
千田 正君
委員
入交 太藏君
櫻内 義雄君
国務大臣
大 蔵 大 臣 池田 勇人君
政府委員
大蔵省主税局調
査課長 泉 美之松君
大蔵省主税局税
制課長 原 純夫君
水産庁次長 山本 豐君
事務局側
常任委員会専門
員 木村常治郎君
常任委員会専門
委員 小田 正義君
常任委員会専門
員 岡 尊信君
常任委員会専門
員 林 達磨君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014621X00219510528/27
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