1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和二十六年五月二十五日(金曜日)
午前十一時二十二分開会
—————————————
本日の会議に付した事件
○連合委員会開会の件
○商法の一部を改正する法律の施行に
伴う銀行法等の金融関係法律の整理
に関する法律案(内閣送付)
○租税債権及び貸付金債権以外の国の
債権の整理に関する法律案(内閣提
出、衆議院送付)
○地方自治法第百五十六條第四項の規
定に基き、税関の支署及び出張所並
びに支署の出張所及び監視署の設置
に関し承認を求めるの件(内閣提
出、衆議院送付)
○信用金庫法案(衆議院提出)
○信用金庫法施行法案(衆議院提出)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X04119510525/0
-
001・大矢半次郎
○理事(大矢半次郎君) これより第四十回の大蔵委員会を開会いたします。
お諮りいたします。租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、水産委員会から連合委員会開会についての申込みがございましたが、如何いたしますか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X04119510525/1
-
002・大矢半次郎
○理事(大矢半次郎君) 御異議ないと認めます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X04119510525/2
-
003・大矢半次郎
○理事(大矢半次郎君) 次に商法の一部を改正する法律の施行に伴う銀行法等の金融関係法律の整理に関する法律案につきまして、法務委員会のほうで同様連合委員会を開催いたしたい旨申込みがございました。だれも御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X04119510525/3
-
004・大矢半次郎
○理事(大矢半次郎君) 御異議ないものと認めます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X04119510525/4
-
005・大矢半次郎
○理事(大矢半次郎君) 次に商法の一部を改正する法律の施行に伴う銀行法等の金融関係法律の整理に関する法律案を議題に供します。これは予備審査であります。先ず政府より提案の理由説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X04119510525/5
-
006・西川甚五郎
○政府委員(西川甚五郎君) 只今議題となりました商法の一部を改正する法律の施行に伴う銀行法等の金融関係法律の整理に関する法律案につきましてその提案理由を御説明いたします。
昭和二十五年五月成立いたしました商法の一部を改正する法律は、本年七月一日より施行せられることとなつておりますので、これに伴いまして銀行法、貯蓄銀行法、信託業法、担保付社債信託法、無盡業法、銀行法の債券発行等に関する法律及び証券取引法の七法律中商法を準用している規定その他商法改正に関連する規定を改正するために、本法案を提案いたしました次第であります。ただこの場合、金融機関の特殊性に鑑み、商法の二、三の規定に特例を設けることといたしましたので、これを御説明いたします
即ち、第一点は、銀行、無盡会社、信託会社につき無額面株式の発行を認めることは、その資本の金額を不確定にし、金額機関においては望ましくないと思われますので、その規定の適用を排除いたしました。
第二点は、銀行、信託会社、無盡会社について改正商法の規定により作成される計算書類の附属明細書の記載事項及び様式は、金融機関が一般事業会社と業態を異にする事情に鑑み、主務大臣が定めることといたしました。
第三点は、銀行及び預金業務を営む無盡会社について株主の会計の帳簿書類の閲覧又は謄写に関する規定は、信用機関としての特殊性に鑑みましてこれを適用しないものといたしました。金融機関については、その事業の公共性に鑑み、主務官庁の特別の監督を受け、とくに嚴重な検査が励行されておりますので、右の規定の適用を排除いたしましても株主の利益を害するようなことはないと考えます。なお、銀行等の債券発行等に関する法律により発行する金融債の発行限度の計算の基礎等となる自己資本の定義につきましては、改正商法の規定により、株式のプレミアム発行差額及び資産の再評価差額等が資本準備金として経理せられるようになりましたので、右の資本準備金が同法の自己資本に算入することができるように改正を加えました。又、銀行等が見返資金による引受によつて発行した優先株式は、主務大臣の定める消却計画に従つて消却することとなつておりますので、この場合の資本減少については、株主総会の特別決議を要しないものとすることといたしました。
以上が本法案の提案の理由及びその内容の大要であります。
何卒御審議の上速かに本法案に御賛成あらんことを御願いいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X04119510525/6
-
007・大矢半次郎
○理事(大矢半次郎君) 次に租税債権及び貸付金債権以外の国の債権の整理に関する法律案を議題に供します。政府より概要の説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X04119510525/7
-
008・佐藤一郎
○政府委員(佐藤一郎君) それでは提案理由の説明はいたしてございますが、私から補足申上げます。
租税債権及び貸付金債権以外の国の債権の整理に関する法律案、これは明治四十四年の法律でございますが、租税外諸収入金整理に関する法律というのが従来からございました。この法律は、租税と、国の政府貸付金と、それを除きました一切の国の収入を、それの予定通りに取り立てができなかつた場合に、あと始末をどうするかということを規定してございまして、従来は主務大臣が、結局債務者の資力がとてもないと見ましたときには、定期貸か或いは据置貸に編入いたしまして、そうして一定の時期が参りましたならばそれを免除し得るという規定になつております。今回全面的な改正をいたしましたが、内容においては変つておりません。ただ今回特に提案いたしました根本の動機は、この法律に基きます従来の施行規則におきまして、その定期貸並びに据置貸に編入せられました貸付金の管理を、地方長官に任しておつたのであります。御承知のように地方自治法ができまして、只今のいわゆる知事は国の機関ではございません。それで、国のそういう諾収入の整理ということについても、どうも予定通りにはかばかしく事務が進捗いたしません。今回大蔵省のほうに、各地方に財務部というのがございますが、その財務部で租税外の諸收入金の整理をやつて、そうしてできるだけ事務の運営を円滑にしたい、こういうふうにいわば所管を変えることといたしたのであります。その結果この法律の改正を思い立ちましたところが、何分には明治四十四年にできました法律でございまして、そのほかに朝鮮、台湾等の規定が入つておりましたり、いろいろと改正を要する点がございましたので、それらをいじくりまして、全面的な改正になりました。内容的には従来と変つておりません。なお、お手許に資料として差上げたと思いますが、只今これに該当いたします金額が千七百三十三万九千円、件数にいたしまして二千六百五千件ございます。そのうち大部分が一般会計でございまして、千七百万のうち千五百六十九万円というものは一般会計のものでございます。なお、定期貸と据置貸に分けて見ますと、そのうち据置貸が千二百五十九万円、定期貸が四百七十四万円となつています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X04119510525/8
-
009・九鬼紋十郎
○九鬼紋十郎君 一番古いのはいつ頃からのがあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X04119510525/9
-
010・佐藤一郎
○政府委員(佐藤一郎君) これはちよつとそういう資料がありませんのでお答えいたしにくいのですが、大体この法律を御覧願うとわかりますように、債務者が無資力になつたかどうかということの判定を主務大臣がいたしまして、そうしてその結果これはもうとても見込みがないと思いますと、定期貸、据置貸ということにいたします。そうして定期貸、据置貸にいたしまして二十年たちまして、とても駄目だというときには、免除し得る、こういうことになつておりますからして、そう極端に古いものはないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X04119510525/10
-
011・小林政夫
○小林政夫君 一般会計のその他ですね、項目だけでいいですけれども、どんなものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X04119510525/11
-
012・佐藤一郎
○政府委員(佐藤一郎君) これは弁償金、違約金、返納金以外のものでございますから、そうして租税と政府貸付金を除いたものでございますから、これはちよつと内訳は私のほうでもわかりませんのですが、雑多なもの、あらゆる政府の諸収入ですね。負担金もございましようし、それから一般のいわゆる契約上の債務のそのまま不履行になつているものも一切入つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X04119510525/12
-
013・小林政夫
○小林政夫君 例えば最近起つている価格差益というようなものも入るわけでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X04119510525/13
-
014・佐藤一郎
○政府委員(佐藤一郎君) これは勿論、価格差益金もこの法律の対象になります。ただ価格差益金の場合には、恐らくまだ主務大臣が定期貸、据置貸に編入する措置をとつておらないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X04119510525/14
-
015・佐多忠隆
○佐多忠隆君 各省、各庁の長において管理する債権というのはどれくらいあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X04119510525/15
-
016・佐藤一郎
○政府委員(佐藤一郎君) 各省、各庁の長において管理すると申しますのは特別会計になりますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X04119510525/16
-
017・佐多忠隆
○佐多忠隆君 特別会計です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X04119510525/17
-
018・佐藤一郎
○政府委員(佐藤一郎君) 特別会計の現在の分は百六十四万円ございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X04119510525/18
-
019・杉山昌作
○杉山昌作君 租税債権で收入金を納付することが困難な場合の措置は別にありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X04119510525/19
-
020・佐藤一郎
○政府委員(佐藤一郎君) あれは国税徴収法によりますが、これは全然こういうような趣旨の規定はございませんです。御承知のように例の滞納処分をいたしまして、そうして結局取れないときにはそのまま免除するということになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X04119510525/20
-
021・杉山昌作
○杉山昌作君 そうすると貸付金債権はどういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X04119510525/21
-
022・佐藤一郎
○政府委員(佐藤一郎君) これは昭和十年にできました別の法律がございまして、それによつて処理されております。政府貸付金処理に関する法律というのが昭和十年にできております。貸付金と申しますのは、大体が震災のあれでありますとか、そういう大抵特殊な事態によつて政府が計画的に貸付をするわけであります。従つて貸付を最初からしますときに、当然のこととしてこの免除の規定を適用するということは、理窟からいえばおかしいわけです。それぞれ全然別個の單行法によりまして、仮に免除をいたしますとか、いろいろな條件を緩和いたしますときには、その都度、法律を改正乃至は提案いたしまして、そうして御審議願つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X04119510525/22
-
023・佐多忠隆
○佐多忠隆君 債務を免除する予定になつている現在の価額というのはわかつておりますか。現在すでにもう免除しなければならない……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X04119510525/23
-
024・佐藤一郎
○政府委員(佐藤一郎君) ちよつとそれはわかりませんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X04119510525/24
-
025・佐多忠隆
○佐多忠隆君 そういうものがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X04119510525/25
-
026・佐藤一郎
○政府委員(佐藤一郎君) この定期貸、据置貸の中で、どの程度のものが免除になる見込みかという、ちよつと、これは全然見当がつかないです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X04119510525/26
-
027・佐多忠隆
○佐多忠隆君 現在ではないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X04119510525/27
-
028・佐藤一郎
○政府委員(佐藤一郎君) この定期貸、据置貸が千七百万ございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X04119510525/28
-
029・佐多忠隆
○佐多忠隆君 免除になるものがその中に……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X04119510525/29
-
030・佐藤一郎
○政府委員(佐藤一郎君) これは一遍定期貸か据置貸という特殊な貸付金に形を変えてしまうわけです。そうして今度それが十年なり二十年たちまして、その際に主務大臣がとても駄目だと思つた際に初めて免除ができるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X04119510525/30
-
031・九鬼紋十郎
○九鬼紋十郎君 戰時補償なんかあれはどういうふうになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X04119510525/31
-
032・佐藤一郎
○政府委員(佐藤一郎君) 税金はこれは一切入つておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X04119510525/32
-
033・小林政夫
○小林政夫君 先ほどの説明で、知事の委任を解いて財務部長にする。大抵異存はないと思うのですけれども、一応知事のほうの側には勿論異存はないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X04119510525/33
-
034・佐藤一郎
○政府委員(佐藤一郎君) これは実は昔と違いまして今これはとるに足らないものでもありますからですが、知事のほうとしては別に国が特別に経費もくれないし、仕事だけ残つているわけです。又而もこれはやはり仕事として引受けている間は責められるわけですが、むしろ自治団体としては軽くなつたと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X04119510525/34
-
035・木内四郎
○木内四郎君 さつき伺つたところによると、租税のほうは滞納処分をして、取れなければ免除すると言われましたね、そういうことになつていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X04119510525/35
-
036・佐藤一郎
○政府委員(佐藤一郎君) 結局欠損処分にするということは取らないのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X04119510525/36
-
037・木内四郎
○木内四郎君 取らないというと、滞納処分をして、そうして足りなければそれですぐに免除にするのか。相当期間をおいて……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X04119510525/37
-
038・佐藤一郎
○政府委員(佐藤一郎君) 特別の期間はおいておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X04119510525/38
-
039・木内四郎
○木内四郎君 そうすると今度のこの法律案の第二條の考え方と少し違うように思うのだが、その点はどうですか。第二條じや資力がない場合にも据置貸として暫らくおいて、そうして期限が来てから十年、二十年たつて、定期貸或いは据置貸にして、十年、二十年たつてから免除する。滞納処分のほうは一度やつて見たが、ないから、すぐに免除するということになると、ちよつとこれと歩調が合わんような気がするのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X04119510525/39
-
040・佐藤一郎
○政府委員(佐藤一郎君) これは勿論歩調が合つておりません。それで租税のほうは、これは特殊な債権としてその取立て自体についていわば国税徴収法による特殊な滞納処分方法が特別な途が開かれておりますので、強力に措置ができるようになつています。それだけに又その強力に処分をした結果、どうしても駄目な場合には免除するということになつておりますが、これは普通の債権でございますので、そういう特別な措置を講じておりません。ただ無資力なときにいつまでも整理がつかないというので、止むを得ずこういう免除の規定を置いているという程度のものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X04119510525/40
-
041・木内四郎
○木内四郎君 滞納処分をして、差押物件は一応、例えば百万円に対して二十万円しかなかつたという場合にも、ほかにあるかも知れません。だけれども滞納処分をして、そうして競売したけれども、その不足額は直ちに免除するということは、ちよつとおかしいように思うのだが、あとで調べて、やはりいろいろ調査して欠損処分というのは別個の行政処分としてやるのじやないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X04119510525/41
-
042・佐藤一郎
○政府委員(佐藤一郎君) ちよつとその点は私たしかでありませんでしたので……、別個にやるようです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X04119510525/42
-
043・大矢半次郎
○理事(大矢半次郎君) 御質疑は盡きたものとして直ちに討論に入ることに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X04119510525/43
-
044・大矢半次郎
○理事(大矢半次郎君) 御異議ないものと認めます。それではこれより討論に入ります。別に御発言もないようでございますから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんですか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X04119510525/44
-
045・大矢半次郎
○理事(大矢半次郎君) 御異議ないものと認めます。それではこれより採決に入ります。租税債権及び貸付金債権以外の国の債権の整理に関する法律案を原案通り可決することに賛成のかたの挙手を願います。
〔総員挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X04119510525/45
-
046・大矢半次郎
○理事(大矢半次郎君) 全会一致と認めます。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。
なお本会議における委員長の口頭報告の内容については、本院規則第百四條によりあらかじめ多数意見者の御承認を願うことになつておりますが、委員長に御一任願うことに御異議ございませんか。
〔「異議なしこと呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X04119510525/46
-
047・大矢半次郎
○理事(大矢半次郎君) 御異議ないものと認めます。それから委員長の議院に提出する報告書に多数意見者の御署名をお願いいたします。
多数意見者署名
森八三一山崎 恒
小林 政夫 杉山 昌作
小宮山常吉 木内 四郎
佐多 忠隆 黒田 英雄
岡崎 真一 九鬼紋十郎
清澤 俊英
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X04119510525/47
-
048・大矢半次郎
○理事(大矢半次郎君) 次に地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、税関の支署及び出張所並びに支署の出張所及び監視署の設置に関し承認を求めるの件を議題に供します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X04119510525/48
-
049・佐多忠隆
○佐多忠隆君 これはこの議案そのものの問題ではないのでありますが、それに関連するのでありますが、前の国会におきまして、税関の官吏に武装させる案を決定したと思いますが、その後その武装の状況、或いはそれがどういうふうに活動しておるか、或いはすでにそれを使用するような事実が出ているかどうか、その辺の事情を御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X04119510525/49
-
050・北島武雄
○政府委員(北島武雄君) 税関の官吏に銃を携帶させます件につきましては、税関部といたしまして直ちに年度初めから用意いたしまして、現在百丁の銃を購入し、すでに各税関に配付いたしまして、目下第一期の訓練中でございます。従いましてまだ活動するような状況に至つておりません。非常に危險なものでございますから、十分に訓練いたしまして携帶させたいと思います。(「異議なし」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X04119510525/50
-
051・大矢半次郎
○理事(大矢半次郎君) 札幌に出張所を設けるのはどういうわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X04119510525/51
-
052・北島武雄
○政府委員(北島武雄君) 札幌には御承知のように各官庁、銀行が集結いたしておりまして、輸出入商品の事務或いは銀行の為替事務、その他一連の税関業務と密接な事務の仕事があるのでありまして、現在小樽の税関支署で仕事をいたしておりますことは非常に不自由でございますので、札幌に出張所を設けようという趣旨であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X04119510525/52
-
053・大矢半次郎
○理事(大矢半次郎君) ほかに御発言もないようでありますから、直ちに討論に入ることに御異議はございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X04119510525/53
-
054・大矢半次郎
○理事(大矢半次郎君) 御異議ないものと認めます。それではこれより討論に入ります。別に御意見もないようでありますからして、討論は終局したものと認めて御異議ございませんですか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X04119510525/54
-
055・大矢半次郎
○理事(大矢半次郎君) 御異議ないものと認めます。それではこれより採決に入ります。本案を承認することに賛成のかたの挙手を願います。
〔総員挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X04119510525/55
-
056・大矢半次郎
○理事(大矢半次郎君) 全会一致と認めます。よつて本件は原案通り承認すべきものと決定いたしました。
なお本会議における報告の件は例によりまして委員長に御一任下さいますようお願いいたします。
「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X04119510525/56
-
057・大矢半次郎
○理事(大矢半次郎君) それでは御署名をお願いいたします。
多数意見者署名
森 八三一 山崎 恒
小林 政夫 杉山 昌作
小宮山常吉 木内 四郎
佐多 忠隆 黒田 英雄
岡崎 真一 九鬼紋十郎
清澤 俊英
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X04119510525/57
-
058・大矢半次郎
○理事(大矢半次郎君) 次に信用金庫法案及び信用金庫法施行法案を議題に供します。質疑を続行いたします。
私から飯田課長に伺いたいのです。信用金庫につきまして、業務の区域というのがありますが、東京のような大都市の適正規模の区域というのは、どの程度の所を考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X04119510525/58
-
059・飯田良一
○説明員(飯田良一君) 信用組合に業務の区域というのは、結果的にはあるのでありますが、法律的には一定の地区を基盤とするというふうな場合に、その地区内の組合員、誰が組合員になれるかという意味において地区があるわけでございます。従いまして、それが間接的には業務の区域ということにもなつて参りますのでございます。東京のように経済圏としてかなり広地域に亘つている場合におきまして、單に東京都一円とか、それに準ずるような広範囲な地区を設けることは、信用組合の協同組織という意味合いから不適当でありますので、現在の状態におきましては、大体原則といたしましては数区、或いは場合によりまして東京都の組合の存する区域という程度の地区を認めております。それ以上東京都全体というふうに亘ることは避けたいというふうに存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X04119510525/59
-
060・大矢半次郎
○理事(大矢半次郎君) 現在ある信用協同組合のうちには、随分広い区域を持つておるのがあるように思われます。実際はどういうふうになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X04119510525/60
-
061・飯田良一
○説明員(飯田良一君) 信用組合にいろいろな種類のタイプがありますので、一概には申上げられないのでございます。一定の地区内の一般大衆誰でも組合員になれるというふうなものにつきましては、先ほど申上げましたように地区が非常に広範囲に亘るということは成るべく避けるということにいたしておるのでございます。ただ同業者の組合とか或いはこれに準ずるような一般大衆を相手としない特定の資格の組合員を相手とするというふうなものにつきましては、むしろ或る程度の広地域ということによりまして全体のバランスをとるということも必要な場合もあるのでございます。大体におきまして地域的なものに基礎を置く一般大衆を相手とする組合というふうなものにつきましては、数区を單位とする。又特殊の同業的な組合というふうなものについてはもつと広い地域の、東京都の地区の存する一円というふうな広範囲の地区を認める、かような按配をとつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X04119510525/61
-
062・大矢半次郎
○理事(大矢半次郎君) それから一般の協同組合におきましては、一人の出資額も或る程度制限すると同時に、利用の方面におきましても或る制限を加えておるのではないか。例えば信用協同組合におきましては一人に対する貸付限度をどの程度にするかというような制限があるようですが、この信用金庫につきましては法律上原案に何もありませんが、政府としてはどういうふうにその点お考えになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X04119510525/62
-
063・飯田良一
○説明員(飯田良一君) 現在信用組合に、法律的には、一人当りの貸出しの最高限というふうなことで法律的に限定をするということはいたしておらないのであります。併しながら事業方法書といういわば組合の事業を行う上においての基礎になるような規則を定められておるのでございます。その事業方法書の認可に当りまして、大体自己資本の四分の一、百分の二十五というのを最高といつたしまして、それ以上は同一人に対して貸出しをしてはならないというふうな指導を行なつておるのでございます。ただ、これを法律的に條文に現わしますと具体的な場合に非常に困つてしまうことも出て来やしないかと思うのであります。例えば信用金庫になりました場合に、自己資本の額が相当多い場合、それを一律に何分の一というふうなことをいたしますと、自己資本が多い場合は、何分の一といたしましてもかなりその枠が拡がつてしまつて、いわば少額金融という面から大分離れてしまうという面もあろうかと思いますので、むしろ法律的な規定といたさずに、今後も事業方法書の認可ということによりまして、飽くまでも少額金融、それから組合の力というふうな問題と睨み合せて根本的に一定いたしておるのがよろしいかと考えます。いずれにいたしましても、事業方法書によつて十分な指導を行なつて参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X04119510525/63
-
064・大矢半次郎
○理事(大矢半次郎君) それから先般通過した相互銀行法におきましては支払準備に関する規定等もありましたが、この案に、信用金庫においては員外預金を扱うにもかかわらず、支払準備に対しましては何ら規定するところはないのですか。何か相互銀行との間にバランスがとれないようなふうにも考えられます。それから大蔵省といたしまして将来そういう方面はどういうふうに御監督下さいますでしようか。その点を……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X04119510525/64
-
065・飯田良一
○説明員(飯田良一君) 御指摘のように、信用金庫も相互銀行も国民大衆の零細な資金の吸収を図るという意味合いにおきまして、預金者保護には特に気を付けたければならないと考えておるのであります。現在でも信用協同組合におきましては特に法律的に支払準備を幾ら持たなければいけないというふうな規定はないのでありますが、監督命令といたしまして、信用組合に関する経理基準というものを公表いたしまして、支払準備の充実に万全を期しておるのでございます。全国大多数の組合は、現在その支払経理基準に従いまして潤沢な支払準備をいたしておるという現況であるのでございます。ただ法律にこれを規定するかどうかの問題でございますが、相互銀行におきましては、預金の受入による資金と、それから掛金の受入による資金と、いわば質的に相当異なる両者の資金が扱われるわけでございます。即ち具体的に申しますと、掛金受入の資金は大体三年平均固定する極めて長期の安定性資金、これに対して預金受入によるものは、性質上一般銀行よりかなり定期性を帶びると思いますが、掛金に比べますとかなり短期性を帶びておる。従つて預金の受入によるものが、いわば従来の無盡に相当する給付という形で、固定化され比較的長期的に運営されるということが無制限に行なわれては、非常に不安定な受入になるという意味合から、特に預金受入に関する資金の支払準備ということに関しては、一般銀行にないにかかわらず、嚴格な規定を置いた趣旨になろうかと思います。
従つて信用金庫におきましては、その資金の構成は普通銀行とさしたる相違はありません。ただ多少長期性の安定性ある資金が、定期積金或いは定期預金の形で考えられるわけでありますが、いわゆる預金の受入による資金において差異はありません。
今後、銀行法の立案の場合に、仮に支払準備の規定等が導入される場合においては、それに準じて信用金庫法の改正も必要になつて参るかと思います。
現段階においては、やはり銀行法と同じような指導で支払準備にも万全を期して参る、これで十分ではなかろうかと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X04119510525/65
-
066・小林政夫
○小林政夫君 先ほどの業務方法書で、貸付最高額を押えるというか、適当に調節するというか。それだと、この第二十九條の業務方法書に記載事項は云々と書いてあるが、一人に対する貸付最高限度は相当重要なことであつて、例示的なことであるから……、「その他の業務方法とする。」とあるから、そういう意図があれば貸出の最高限度というものは例示的に挙げるべきだと思うのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X04119510525/66
-
067・飯田良一
○説明員(飯田良一君) 例示として成るほど記載事項の中に入つておりませんが、従来も大体こういうふうな表現によつて、その当然の記載事項として記載いたして参つたような慣例によりて、この程度の表現を用いましたけれども、重要な事項として勿論その記載事項に加えて参るつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X04119510525/67
-
068・大矢半次郎
○理事(大矢半次郎君) 相互銀行との関連の御説明がありましたが、ただ相互銀行、普通銀行と信用協同組合或いは信用金庫はおのずから性質が違うのであつて、預金方面においても員外預金を扱うというのが非常な特色のあるところであつて、従つてこの点は普通銀行或いは相互銀行よりもなお愼重に考慮する必要があると思いますが、然るにこの法案を見れば、資金の運用面においては組合員からの預金と、員外、組合員外からの預金と何らその区分なく取扱うように見えているが、ここに少しなお再検討を要するところがあるように考えられるのでありますが、如何でしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X04119510525/68
-
069・飯田良一
○説明員(飯田良一君) 信用金庫を純然たる貯蓄銀行的な、小さな意味の貯蓄銀行的な見方をいたしまして、預金者保護のみに徹するという考え方をとります場合には、或いは従来の貯蓄銀行法にありましたように、むしろ資金の運用制限に重点を置いた規定ということも或る意味において考えられるかと存ずるのであります。目下の状況におきましては、法律の規定にいたさずに、彈力性ある監督的な運用におきまして、実情に即した運営を図るほうが、一方における中小金融の疏通という狙いと睨み合せましてむしろ現実に合つているのではなかろうかという考え方を探つておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X04119510525/69
-
070・小林政夫
○小林政夫君 第十條で、加入の資格が「その信用金庫の地区内に事業所を有する者」ということで、事業所を有しておれば各種の信用金庫に加入し得るわけでありますが、信用の重複といいますか、一人の事業者に対して事業所が何カ所もあることによつて幾つかの信用金庫に加入し信用重複を来たす虞れがあるのではないか。それを如何にして運用上調整されるか……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X04119510525/70
-
071・飯田良一
○説明員(飯田良一君) 信用協同組合或いは今後の信用金庫におきまして、組合員に対する信用の供與という考え方を採つておりますために、常時組合員の状況は一般金庫に比べて非常に把握しやすい立場に置かれているのであります。従来の様子を聞きますと、或る組合に加入しておる組合員がよその組合に加入しているかどうかということを相互に通報するというような方法によつて常時調べておつたという徹底振りであつたわけであります。現状におきましては組合員の数も相当数に上りますし、必ずしも全体にそういう調査が行われておるということは言えないかと思うのでございます。併しながら一般銀行にないところのいわば常時組合員という意味において接触のあるという強味によりまして、事実問題として従来と同様に信用の重複というようなことは避けられるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X04119510525/71
-
072・森八三一
○森八三一君 信用金庫は、第一條によりまして「協同組織による」中小企業者に対する金融機関であるとはつきりいたしておりますが、そういう観点から考えますると、信用協同組合について中小企業等協同組合法に規定されておりまするように、剰余金の配当等については、当然非営利的な性格を発揮するために、制限せられるべきものと思われますが、金庫に制限を特に設けられておりませんのはどういう理由でありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X04119510525/72
-
073・飯田良一
○説明員(飯田良一君) 只今の御質問は、他の協同組合的なものには、法律を以て出資、配当の最高限がきめてあるのにかかわらず、信用金庫については最高限をきめてない理由をお尋ねというふうに存ずるのでございます。信用金庫は一方協同組合的な理念に立脚して運営が行われることは今後といえども当然あるのでございますが、ただ一般の協同組合と違う本質的な特徴があるのでございます。いわば員外預金を扱い、従いまして預金者に対しての保護の意味から自己資本の充実ということに関して極めて切実な要求を持つのでございます。自己資本の充実ということになりますと、出資の増加ということを図らなければならないと思います。この場合におきまして、出資に対して或る程度彈力性を持つ配当ということが行われるということがやはりどうしても必要になつて参るのでございます。勿論、加入者は利益を目的として配当を得るということによつてのみ加入をするわけではないのでございますが、他の金融機関が一割程度の、少くともその程度の配当をいたすような現状におきまして、信用金庫のみを現在法定いたしまして、年何分或いは年一割というふうに最高限をきめますことは、かような意味合からふさわしくない。その意味におきまして彈力性を持つて参りたい。併しながらこれが無限であることは協同組合の本質に反するのでありますので、定款でその最高限度を定める。その定款で定める場合においての指導は一般金融機関の配当率の動向などを睨み合せまして、それより上廻るようなことはございませんが、それより低目になるかと思いますが、いずれにいたしましても、大体、準ずるようなきめ方をいたして参る。そこに出資に対する或る程度の魅力ということも加味して参らないと、自己資本の充実そのものに関して支障が起るのではなかろうか、かような配慮に基きまして五十七條の第三項におきまして、定款で最高限を定めるけれども、併しそれを特別に法定いたすということはいたさぬ、かような趣旨と存ずるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X04119510525/73
-
074・森八三一
○森八三一君 信用金庫の行いまする業務は、この原案によりますれば、信用協同組合の場合と殆んど内容的には差異がない。本質的にも信用協同組合も信用金庫も協同組織による中小企業金融機関であるという点で本質も違つておらないのにかかわらず、一方、協同組合は制限があり、金庫のほうは定款で規定をするという運用上の幅を持たしているという差異を持たせられているが、非常に信用協同組合と信用金庫との間に性格上の本質的な相違がありますれば理解できるのでありますが、現われております法文の各條章から考えますれば殆んど相違がない。本質的な相違がない。而して一方は制限をし一方は制限をしておらない。信用協同組合というものも自己資本の充実ということは極めて焦眉の急務であつて、当然のことと思うのであります。差異がない、而も自己資本の充実は双方ともにやらなければならないことであり、双方ともに員外貯金を取扱うという建前において、一方は制限があり一方は制限がないということは如何かと思いますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X04119510525/74
-
075・飯田良一
○説明員(飯田良一君) その点に関しましては、信用協同組合と信用金庫の本質的な問題でございまして、提案者において御説明願うのが筋かと思いますが、事務当局の見るところに限局いたしまして申上げるならば、いやしくも員外預金を取扱い、その面において性格的にまさに貯蓄銀行という姿である現在の大多数の信用協同組合につきまして、その金融機関的な面に対して十分な根拠法を與えますと同時に、自己資本の充実、従いまして信用の基礎を確立するということは是非ともいたさなければならないと存ずるのであります。員外預金を扱う限りは、その基礎法規は信用金庫法のような性格を帶びた法規であるべきと存ずるのでございます。一方制度としての信用協同組合につきましては、その本来の成立の基礎が協同組合員の内部の組合員による、いわば相互金融というところが主眼でございまして、員外預金がいわば例外的なものと考えるべきでございまして、その理論を突き詰めて参りますと、信用協同組合の員外預金には無制限ではなくて、何らかの制限があるべきが至当ではなかろうか、こういうふうに考えられたのでございます。ただ現在できておりまする原案におきましては、御承知のように両者において差異がないのでございます。その点に関しまして、仮に員外預金の比重が非常に多いようなものにつきましては、是非ともこの信用金庫法によつてこれを規整して参る。信用協同組合につきましては、おのずから員外預金のウエイトが極めて低い、いわば相互金融制に徹した組合のみがこれに基くということにいたして参らなければならないのでございます。法律的にはつきり分けられないといたしますと、これは運用上なんとかしてそういうふうな指導もいたして参らないと、員外預金そのものの保護ということに関して非常に不十分な点がありはしないかというふうな感じがいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X04119510525/75
-
076・森八三一
○森八三一君 只今お話のような観点から申しますると、信用金庫は、より一層強く員外貯金者の預金の確実な運用について、最善の注意を払わなければならん立場におりますにもかかわらず、信用協同組合の場合には余裕金の運用に制約があり、金庫の場合には制限がないということは、建前上逆にやつておるようにも思われるのですが、その考え方につきましてお話を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X04119510525/76
-
077・飯田良一
○説明員(飯田良一君) 信用協同組合における建前から言えば、むしろその中小企業等協同組合法という基礎法規の理念から十分推測できることでありますが、むしろ建前は自主的な運営というところに重きがおかれておるのでございます。余り監督官庁としていろいろなことをやらないという建前になつておると思うのであります。従いまして、最少限度の規定を法律におきまして、法律に規定する以外のことは成るべく自主的な運営に任せるという建前かと存ずるのでございます。又設立の数も非常に多いのでありまして、どちらかというと自動法規的な作用を営ませるという観点が強いかと思うのであります。信用金庫におきましては、法律にございますように、自巳資本の充実というふうな意味合から、いわば財産的な基礎付けということも十分できると存ずるのでございます。又金融機関としての基礎が非常に十分なことになりますると、従いまして、これの運営に当る役員、その他職員の素質、或いはその他の面におきまして、かなりの向上が予想されると思うのであります。むしろこれらの役職員の健全なる良識というものに相当重点をおいて考えて然るべきではなかろうかという感がいたすのでございます。なお、その上に行政官庁といたしましても、十分な指導監督を加え、健全な良識と、それから、それに対して側面的に、行政官庁の指導監督という面におきまして、具体的に現実に即したやり方をとつて参るほうが、金融機関の経営上、むしろよろしいという見方になると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X04119510525/77
-
078・油井賢太郎
○油井賢太郎君 衆議院の田中委員が参られておりまするから一、二点伺いたいのですが、この前の国会におきまして、信用協同組合の一部修正案を衆議院でお出しになつたのであります。そのときは、要するに、今までの規定は協同組合の精神にも副わないし、又非常に信用協同組合の設立ということに対しても、大蔵省の監督という、そういう点が大きいので、これを緩和するほうがいいのじやないかというような、御趣旨のように承わつておつたのであります。それがまあいわゆる法規裁量というようなことになつて現われたと思うんですが、いずれ又根本的に修正するというか、或いは新法案を出すということも承わつておつたのであつて、今回この信用金庫法案が出たと思うのです。ところが、この信用金庫法案を拜見しますというと、この前、衆議院で、いわゆる法規裁量というようなことによつて、成るべく手軽に、一般庶民に対する、中小企業に対する金融機関の設立を望んだのと反して、相当嚴重な規正をするというふうに見られる。その間の経過と申しますか、大変今までの御主張と変つたように見受けられるのですが、その点について一つ田中委員から経過を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X04119510525/78
-
079・田中織之進
○衆議院議員(田中織之進君) お答えをいたします。この前の議会で信用協同組合に関する認可の問題について、法規裁量で当然一定の條件を具備したものについては、これを認可しなければならないということにいたしましたのが、実は従来の大蔵大臣の自由裁量によりまする場合に、いろいろ條件が満たないということの理由で、認可になるところと、認可にならないところが実は出て来るのでございます。特に従来の産業組合法、或いは市街地信用組合法に基いてできておつた信用組合で、この中小企業等協同組合法に基いて、信用協同組合に切換える場合の認可の手続を受ける場合に、或るものは認可になつたが、或るものは出資金等のいろいろの條件ではありまするけれども、それに名をかつて認可にならない所もあるというような事情がございましたので、私らは少くとも定款並びに法令の規定に適合するものはすべてこれを自動的に許可するような、法規裁量に切換えなければならないというような建前で、実はこの前の一部改正法案を提案をいたしたわけであります。それで法案が提出されましてから、委員会の審議過程におきまして大蔵省のほうからの意向に従いまして、やはり出資金の点及び金融機関として預金のいわゆる額というようなものが、経営上の経費の捻出等の関係から、当然一定の規模に達するということは、これは必要なんだという大蔵省側からの強い御主張がございまして、そこで信用組合の認可の場合の出資金が、六大都市、或いはそれ以外の市制の布かれておる所、市制の布かれておらない町村、こういう三段階にわかれて出資額をあらかじめきめますと共に、大体組合が、設立されましてから、一年後の預金の残高の目標というようなものも、あらかじめきめて置くことにして、それを別途政令で出すことによつて、その條件が満たされるならば、当然大蔵大臣が認可する、こういう形に大蔵省のほうも一つの認可基準というものをはつきり表へ出して置くから、それに基いて自働的に許可するというような方向へ持つて行きたいということで、同時に政令案文を委員会のほうに出して頂きまして、衆議院のほうは当初の我々の主張とは多少食い違つたのでありますが、これ又大蔵当局との一種の妥協の産物として衆議院を通過して本院の御審議を願つて成立したようなわけであります。ただ今回の信用金庫の場合には、その点が覇則裁量、いわゆる法規裁量ではなくて自由裁量に又戻つたことに相成つておりまするし、信用金庫の運営その他の点について相当制限的な規定もあることは事実でありますが、これは実は経過的に申上げますると、当初我々が考えたど言うよりも、大蔵当局において信用協同組合というものについての、ここに特金課長もおられますけれども、我々が考えているような理解と大蔵省の、金融機関としての信用組合に対する理解というものとには相当の距りがあるのであります。私、率直に申上げますと、信用協同組合というようなものが余りできることが、どうも他の銀行等の金融機関との間に大蔵当局として遠慮しなければならないような面もあるのじやないかと我々には推察されるのでありますが、そういう面から信用協同組合のうち一定の規模以上のものを、率直に申しまするならば牛蒡抜きにして、これを金庫等の一段発展した段階に持つて行つて、あと経過期間をとつて、あとは信用協同組合というものには何ら法的の規正も加えなければ、その意味において法的な組織としてのいろいろの助成方法等を加えるということでなしに、どちらかと言えば、自由放任と言えば響きがいいのでありますが、野放しにして置こうというような考え方で、当初の信用金庫法案というものが我々に提示されたのでありますが、それでは我々は飽くまで、中小企業者の協同組織としての信用協同組合というものが今度の金庫法のような形で一段整備された金融機関が、而も協同主義の立場に立つての金融機関として発展すること、これは望ましいことであるけれども、それに至る過程として、自主的にできるこの信用協同組合というものをまるつきり野放しにしてしまうというようなことは、これはよくない。法的な規正を一方に加えて、半面にこれに対する保護、助成、或ひは監督規定というものを設けて行くことが、これは金融機関として多分に自主性を認めながらも、一つの法的な性格を持つたものに発展せしむるゆえんであるという点から、大蔵当局において立案の場合に我々議員側の意見を加えて頂きまして、小委員会でこしらえ上げた案が、実は今回皆さんに御審議を願つているこの法案でございまするので、そういう点から、特に私の所属している社全党の立場から見まするならば、これにつきまして一定の基準を持ち、いわゆる法令、定款その他に違反しない限りにおいては、これは私らは法規裁量でどんどん認可をしていいという基本的な考え方を持つているわけでありますが、今簡單に申上げましたように、当初大蔵当局において立案せられておつたものについて我々の意見を容れて、一種の妥協的な産物としてこの法案が出て参つたのであります。その意味から見れば、只今油井さんの御指摘になつたごときことによつて、信用協同組合について自由裁量を法規裁量にまで持つて行つたことが、ここで又自由裁量に戻つている。そのほかにもいろいろの制限規定、監督規定が七むずかしく並べられているという点から見まするならば、私の党だけの立場から見まするならば、確かに意に満たない点が多々あるわけであります。併しこの点につきましては、信用協同組合から一段と金融機関としての性格を更に強化した形のものに持つて行くという建前から、これを是非成立させたいという一方からの強い要請もありましたので、私らはこの案に実は賛成して来たような経過で、私のほうの党の立場から率直に申さして頂きますならば、その信用金庫についても、自由裁量ではなくて、認可はやはり法規裁量で、條件を具備したものはどしどしやつて頂くというふうにして頂きたいのが本来の立場でございますけれども、実はこの点は、当然金融機関としての健全性、公共性に基く健全性というものを確保するという点から見まするならば、その條件が実質的にはつきり満たされなければならないという点は、私も認めているのでありまして、その條件を実質的に具備することによつて、自由裁量とは言いながら、大蔵大臣の恣意的なものではなくて、條件を具備したものは当然認可されるのだという認識の上において賛成している。ただ昨日の新聞に出ておりますように、我々が法規裁量で一定の條件も具備したものは当然認可されなければならないということで法規を作つたことが逆に利用されて、例えば常総信用組合、昨日の新聞に出ているように、條件を具備しているから大蔵省としては内認可をしてそうして出資の払込をやつて、本認可を受けるまでの過程において、非合法に預金を扱つたり貸出しをやつたりして、たびたび大衆に不測の迷惑をかけるという問題が、常総信用組合の問題として、昨日の新聞にも取上げられているような件も実は出ているのであります。これは先ほど特金課長とも別の問題で話合つたのでありますけれども、我々の、本当に條件を具備したものを、大蔵大臣のそのときの気分によつて、認可されるものと、されないものがあるというような不公平があつてはならないという建前からやつたものが、逆に内認可を得て半年もたつても本認可を受けない、その間に登記をしてしまつて勝手に便法を以ていわゆる無免許の信用協同組合として仕事をやつたために、いろいろなトラブルが起つたというような問題も出ているので、自由裁量になりましても、勿論大蔵当局として公正な立場から條件を分再検討して、いいものはどしどし認可して頂くという建前に立ちまするならば、必ずしも我々が当初強く要求いたしましたように、法規裁量という形を取らなくても、そこに現実の問題は調整できるのじやないかという、その意味から見れば、或いは一歩後退した考え方になつていると御判断されても恐縮でありますが、そういう心境に現在は至つているのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X04119510525/79
-
080・油井賢太郎
○油井賢太郎君 経過は現に伺つてよくわかりましたのですが、法規裁量の場合ですね。やはり一定條件を具備するとかいうことになりますと、その條件を具備したということの判定なり、認定なりというものは、やはりどこかできめなくちやならんと思うのですね。どうも自分だけでこういうふうな條件が備わつておりますといつたところで、それは信用の対象にはならないと思うのです。そういう点から見るというと、却つてやはり自由裁量ということは別に間違つたものではないと私は思うのですが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X04119510525/80
-
081・田中織之進
○衆議院議員(田中織之進君) 私ら一定の條件というのは、これは実質的に具備されるということを意味しているのでありまして、ただそういうことを形式的に、例えば出資額の問題でも、まあ五百万なら五百万、一千万なら一千万ということを書き出しても、実際の払込みが百万円しかないというような場合には、実質的に條件を具備していないことになるのであります。その点から、形式的に條件を具備しているからということで認可をしたために一応内認可をやつたために問題が起つているということもございますのですから、その点は、やはり実質的な條件を具備したかどうかということを確認するという意味合いにおいて、自由裁量で以て行くべきだという主張には、私は現在は賛成したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X04119510525/81
-
082・油井賢太郎
○油井賢太郎君 次に、信用協同組合の今度の場合、これは地方官庁において許可できるのですね。その場合、どうしても規模というものは余り大きくないと思うのですね。大きくないし、更に基礎というものも大規模でない以上は、お互い組合員ならばそれを守立てて行こうという熱意に燃えて相当それを守り立てることもできるのでしようが、組合員外の預金を吸収しなくてはならないというふうなことになりますと、従つて営利的要素が多分に含んで来るのじやないかと思う。その点についてあなたどう考えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X04119510525/82
-
083・田中織之進
○衆議院議員(田中織之進君) 私は員外預金等の問題については、理想としては飽くまで制限をせずに、信用協同組合として、多少小規模のものでも、飽くまで金融機関として純真な意図から出発する限りにおいては、制限を加えなくても私はいいのではないかという基本的な考え方をいたしておりまするけれども、ともすれば組合員である者たちの、これはいわゆる、何と申しますか、同志的な結合から出発したものが、そこまで意識のない人たちの預金を吸収したために、それに経営上何らかのミスを犯した場合に不測の迷惑をかけるというようなことも、これは経営上、運営上なきにしもあらずということが察知できまするので、或る程度のものは員外預金等の問題については制限を加えること、これは又金融機関の健全性を飽くまで最小限度にも確保するという上から見れば止むを得ない措置だというふうに思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X04119510525/83
-
084・油井賢太郎
○油井賢太郎君 よくわかりました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X04119510525/84
-
085・大矢半次郎
○理事(大矢半次郎君) お諮りいたします。この租税特別措置法の一部を改正する法律案、及び商法の一部を改正する法律の施行に伴う銀行法等の金融関係法律の整理に関する法律案につきましては、それぞれ通産委員会、或いは法務委員会と連合委員会を開会することになつておりますが、その前に大蔵委員会として質疑をやつたほうがいいというお考えならば午後続行したいと思いますが、如何でしようか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X04119510525/85
-
086・小林政夫
○小林政夫君 私は一緒でいいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X04119510525/86
-
087・大矢半次郎
○理事(大矢半次郎君) では本日はこれにて散会いたします。
午後零時三十四分散会
出席者は左の通り。
委員長 大矢半次郎君
理事
清澤 俊英君
杉山 昌作君
木内 四郎君
委員
岡崎 真一君
黒田 英雄君
九鬼紋十郎君
吉田 法晴君
佐多 忠隆君
小宮山常吉君
小林 政夫君
山崎 恒君
油井賢太郎君
森 八三一君
衆議院議員
田中織之進君
政府委員
大蔵政務次官 西川甚五郎君
大蔵省主計局法
規課長 佐藤 一郎君
大蔵省主税局税
関部長 北島 武雄君
大蔵省主税局調
査課長 泉 美之松君
事務局側
常任委員会專門
員 木村常次郎君
常任委員会專門
員 小田 正義君
説明員
大蔵省銀行局特
殊金融課長 飯田 良一君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X04119510525/87
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。