1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十五年十二月十二日(火曜日)
午前十時五十五分開会
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本日の会議に付した事件
○地方公共団体の議員及び長の選挙期
日等の臨時特例に関する法律案(内
閣提出、衆議院送付)
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001・岡本愛祐
○委員長(岡本愛祐君) これより地方行政委員会を開会いたします。
御報告申上げます。昨日の委員会で地方公共団体の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律案の審議につきまして、公聴会は開かず参考人を呼びまして、その参考意見を聴取することに決定いたしました。その人選を委員長、理事に御一任願つたのでありますが、次の通りにいたしたいと思います。
参考人といたしまして市政調査会から前田多門君、それから選挙制度調査会から宮澤俊義君、それから東京都選挙管理委員会から委員長の代理者、これはまだ人名は決定いたしません。それから東大教授の杉村章三郎君、それから早稻田大学教授の吉村正君、それから一般といたしまして朝日新聞の論説委員の西島芳雄君、ぞれから毎日新聞社の論説委員の池松文雄君以上の通り選定しましたが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X00219501212/1
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002・岡本愛祐
○委員長(岡本愛祐君) じやそういうふうに決定をいたします。多少都合によりまして顔触れが変更することがあるかも知れません。あらかじめ御了承を得て置きます。
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003・岡本愛祐
○委員長(岡本愛祐君) それでは地方公共団体の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律案を議題といたします。本審査となつております。先ず国務大臣より提案理由の説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X00219501212/3
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004・岡野清豪
○国務大臣(岡野清豪君) 只今上程されました地方公共団体の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律案につきまして、その提案の理由並びに内容の概略を御説明申し上げます。
全国大多数の地方公共団体におきましては、その議会の議員及び長の任期が明年四月に満了となり、従つて後任者の選挙は、公職選挙法の規定によれば、三月上旬乃至四月下旬の間、各地方公共団体が任意に定める期日に施行されることになるわけであります。然るにこの選挙の期日並びに選挙運動の期間は、たまたま地方団体の予算編成時期に当つているのでありまして、地方公共団体の議会の議員及び長をして、選挙に煩わされることなく、明年度予算案の編成並びにその審議に当らしめるため、選挙の期日を四月下旬以降に定めると共に、これらの各選挙をできるだけ同時に行わしめて、選挙事務の合理化と経費の節減を図ることが適当であると存ぜられるのであります。
以上の趣旨によりまして、公職選挙法に対する特例を設け、この法律施行の日から昭和二十六年四月二十九日までの間にその任期が満了すべき都道府県及び市町村等の議会の議員の任期満了による一般選挙は、四月二十九日に、この法律施行の日から昭和二十六年五月二十日までの間にその任期が満了すべき都道府県知事及び市町村長等の任期満了による選挙は、五月二十日にそれぞれ、同時に行うことといたしたいと存ずるのであります。又、同一の趣旨に基きまして、議会の議員の数がその定数の二分の一を欠き、議会が成立しない状態となつた場合のほかは、議員の再選挙又は補欠選挙を行わず、又、この法律施行の日にすでに退職の申出をしている長の後任者の選挙のほかは、明年五月二十日までの間に、長が欠けましても、その選挙は、すべて五月二十日に行うこととしたのであります。
なお、議員の選挙に立候補した者については、同時選挙の趣旨の徹底と選挙の公正とを期するため、同一区域について行われる長の選挙の候補者とはなれないものといたしました。
最後に、現在公職選挙法の規定中、地方公共団体の議会の議員及び長の任期満了前に行う任期満了による選挙の告示後に、議員又は長が欠けた場合の選挙の取扱い並びにそれらの後任者の任期の起算方法に関する部分について、この際規定を整備する必要を認めましたので、所要の改正を公職選挙法に加えることにいたしたいと存ずるのであります。
以上が、この法律案の提案の理由並びにその内容の概略であります。何とぞ慎重御審議の上、御賛成あらんことを御願い申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X00219501212/4
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005・岡本愛祐
○委員長(岡本愛祐君) 提案理由について御質問ございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X00219501212/5
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006・西郷吉之助
○西郷吉之助君 この法案は、現行制度では首長の選挙が前に、議員の選挙が首長の選挙より後でありましたが、首長と議員の選挙は、今度の政府の提案と逆ではないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X00219501212/6
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007・岡野清豪
○国務大臣(岡野清豪君) この前は逆でございましたが、成るべく只今申上げた趣旨に副うようにして、動かすことを余り多く動かさないでやつて行きたいと考えまして、議員はそのままにいたしまして、首長だけを変えるということにいたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X00219501212/7
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008・西郷吉之助
○西郷吉之助君 そのときに首長は先にやり議員はあとにやつたというのはどういうことですか。いろいろそこに理由があるのではないですか。最初の場合どういうふうに考えていたのですか。又どうもこの法案は、新聞等においても、何か特定の政党がこれを自分のほうの政党の選挙を有利にせんがためにやつているようなきらいがあるようなことも聞くのですが、そういうことは全然ないのですか。そういうことが世間にあるのは、どういうところに誤解の理由があるのか、そういうことを率直に承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X00219501212/8
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009・岡野清豪
○国務大臣(岡野清豪君) お答えいたします。或る特定の政党の利益になるということは、一向選挙管理委員会として、政府といたしましても考えておりません。できるだけ、動かすことを少くして、そうして一時にやるというようなことで、又提案理由の説明を申上げましたように、選挙運動が予算編成の時期に打つからないようにいう苦心をいたしまして、いろいろ案がございましたが、こういう点に落着いたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X00219501212/9
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010・鈴木俊一
○政府委員(鈴木俊一君) ちよつと速記をとめて頂いて、前のいろいろな選挙期日の関係のいきさつのことを申上げたいと存じますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X00219501212/10
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011・岡本愛祐
○委員長(岡本愛祐君) じや速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X00219501212/11
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012・岡本愛祐
○委員長(岡本愛祐君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X00219501212/12
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013・西郷吉之助
○西郷吉之助君 今回地方自治庁が改正原案を出されたわけですが、この内容はいずれも地方公共団体に関するものであるのですが、なお且つ選挙管理委員会に関するものでもありますが、全国選挙管理委員会の委員の結論と今回出された政府の結論とは全く合致したのか、或いはこれが選挙管理委員会からも、その委員諸君の意向はどうであるかということも伺いたいし、なお且つ自治省としてはいろいろ地方公共団体の関係の仕事を面倒見ておられる、それは結構なんですが、政府がこれを考えられた基礎は、政府みずからがいろいろの事情を勘案されて、出したほうがいいというわけでお出しになつたのか、その原案に地方公共団体の大多数が、こういうことを要望したからこういう法案をお出しになつたのかこの点を……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X00219501212/13
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014・長世吉
○政府委員(長世吉君) 選挙管理委員会に関する点を私からお答え申上げます。この案ができますときに、私どもの委員会としても合同で協議をしておりまして、委員会だけの考え方としてはいろいろ出たのであります。主として今問題になりましたような、いずれを先にするかということ、日をいつにするか、組合せをどうするかという点において、その点は委員会でもいろいろ議論がありましたのですが、これでなければいかんという、最も理論的であるというものはちよつと決しかね、いずれも一利一害、長短があるので、地方自治体のほうでもいろいろ研究されたのでありますが、その後お互いに相歩み寄りまして、最後の結果としましては、ここに出されましたようなことに私どもの委員会の意見が一致したのであります。それまでに行きます間は、今申上げましたようにいろいろな意見が出ております。自治庁あたりでも相当に主張いたしました。併し又自治庁のほうの意見というものをよく伺つて見て、成るほどそれは尤もだというものも非常にあつたのであります。併し最後に委員会が決定しましたときは、今度提案になりましたものと全く一致しました。こういうのが経過の実情であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X00219501212/14
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015・小野哲
○政府委員(小野哲君) 地方自治庁側で、この法律案を立案しました過程において、只今御質問になりました点についての概要を御答弁申上げたいと思います。来春の地方選挙に対処するために、どういうふうにすることが一番よいかということにつきましていろいろ意見もあり、又考え方も出て来たのでありますが、要は選挙経費をできるだけ合理的に且つ節約をして行くという考え方も持たなければなりませんし、且つ又現行の選挙期日によつて行うということになりますと、大臣の提案の理由にもございましたように、予算の編成時期に打つかるというふうな懸念もありますので、種々の観点から、どういうふうにすればよいかということを検討して参つておつたのであります。地方自治庁には地方自治委員会議を附属機関として設置されておりますので、これらの機関に諮りまして、各方面からの意見もできるだけ伺いまして、又全国選挙管理委員会とも密接な連絡をとりながら結論を出すようにいたして参つたような次第であります。従いまして只今選挙管理委員会からも仰せになりましたように、この程度のところで相互の意思が合致いたしたわけでありまするし、又この程度の案によつて遂行することが妥当であろう、かような結論に到達したわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X00219501212/15
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016・西郷吉之助
○西郷吉之助君 今小野政務次官のお話の中にも、地方行政調査委員会議の意向も聞いたというお話ですが、重ねて伺いますが、地方行政調査委員会議は、いろいろのことを全般に亘つて研究しておりまするが、それの勧告を最後にするわけですが、その内容も、今回政府が変えられたように、根本精神は、選挙においては首長のほうはあとにし、議員のほうを先に選挙するということですが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X00219501212/16
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017・小野哲
○政府委員(小野哲君) 私が申上げましたものは地方自治庁の附属機関である地方自治委員会議でありまして、この点については地方行政調査委員会議とは別箇の問題になつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X00219501212/17
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018・西郷吉之助
○西郷吉之助君 今私はちよつとそれを聞き違えたのですが、改めて行政調査委員会議のほうの結論を出す場合には、本来の政府の原案と同じような趣旨で、やはり議員が前で首長があとですか。そういうふうなことは、向うの意向を政府としてお聞きになつたことがあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X00219501212/18
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019・小野哲
○政府委員(小野哲君) 私どもとしましては、地方行政調査委員会議の只今お話のありましたような、目下調査立案いたしておりますものとは関係がないものと考えまして、従いまして地方行政調査委員会議の意見を聽取するということは必要でなかろう、こういうことで進んで参つたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X00219501212/19
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020・中田吉雄
○中田吉雄君 来年の改選期が丁度予算の編成期に当りますので今回のような立案の措置をとられましたということは、十分理由のあることだと思いますが、ただ私はこの選挙の期日をどういうふうに変更するかということを考える際に、法律の六十七号ですか、昭和二十二年の四月に新らしい措置法が施行された、この立法の趣旨というものを十分考えて見なくてはいけないと思うわけであります。私は申すまでもなく、今回頂きました資料によつてもわかりますように、従来の知事は官選であります。それから市町村長は議会の選挙で、それを知事が許可するというような形式で間接選挙の形態をとつておつたわけであります。丁度それはイギリスの議院の内閣制のような、多数党をとつたものが議会で選ぶという、我が国の方式と同じですが、ところがそれが二十二年の四月から施行されましたところの措置法によりまして完全にこの長と議会とを分けまして、三権分立の立場をはつきり地方自治法に取り入れたという点は、非常に考えて見なくてはならん点であると思うわけであります。私はそういうような配慮から、昭和二十二年の四月の五日に先に長の選挙が行われ、そして四月三十日ですか、あとに議会の選挙が行われたというふうに理解するものであります。そういうはつきりした三権分立の立場をはつきりしまして、長と議会とが相互に自立性と独立性を保ちながら、全体としては調和のとれた地方自治の運営をやるというふうにする立場を打ち出してあのような日取りが決定された、私は相当愼重な配慮からこの決定をされたものと思うわけであります。ところが今度逆になりますと、私の乏しい体験からいたしまして、新らしく議員が当選しまして、今度長の選挙が行われるというときには、何としても長に立候補する人は、新らしく当選した議員に選挙の戰いに援助を依頼する、こういうような形になつて、間接選挙の形態が事実上行われると思うわけであります。そういうようなことは、地方自治の現在の段階から見まして、私は甚だこれはいかんのではないかというふうに考えるわけであります。地方自治におきましてスキヤンダルや不正があります際に、よく考えて見ますと、そういうのは大抵長と議会との関係がはつきり対等の立場にない、例えば知事が議会のいろいろな好ましくない要求にもかかわらずそれが防ぎ切れん、或いは理事者側の不正に対して議会が十分なる批判と監視をようしないというようなことによつて起きておると思うわけでありますが、今回のように首長の選挙をあとにされますと、どうしても新らしく先ず議員が最初に当選し、その人に援助を依頼して長が当選しましたら、はつきり議会と首長との対等の立場という関係が事実上破れてしまうというふうに考えますので、予算編成期に当りますから、そういう点の弊害を是正するという考慮を拂うにいたしましても、依然として私はこれは長の選挙を先にやつて議会の選挙をあとにするというのが、この三権分立の主義を貫いておる自治法の立場からして正しいのではないかというふうに考えるわけであります。若しこういう選挙が、政府の立案されているような改正法が実施されますと、これは間接選挙の形態であつて、私は自治法の根本精神に反するのではないかというふうに考えるのですが、これに対してどういうふうに考えるでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X00219501212/20
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021・小野哲
○政府委員(小野哲君) お答えを申上げます。なお補足的には次長からも答弁いたしたいと思いますが、只今中田さんが仰せになりました地方自治法に盛り込まれた考え方、即ち地方制度が、長と議会との間におきまして対等の立場におけるいわゆる大統領主義を採用しておるということにつきましては私もその通りと考えておるのであります。従いまして中田さんの御意見は、これらの考え方を貫く意味合いにおきまして、理論的には十分に首肯される点もあると私も考えております。と同時に長と議決機関との関係におきまして、地方政治の円滑なる運営を図つて行くという点から考えますと、只今御指摘になりましたようにいわゆる三権分立によつて対等の立場にのみ重点を置くということが果してどうであろうか。むしろ民主政治の実態或いは政党政治の基本的な考え方からいたしますと、制度上におきまして対等の立場に置かれておるものとは申せ、地方政治の運営におきましては、両者が相関連し、又円滑なる運営を目途といたしまして運営されるものではないかと、かように考える次第でございます。従いましてお説のように長の選挙を先にいたしました場合と、議員の選挙を先にいたしました政府原案のような場合と、そのいずれの関係におきましても、只今申しました地方政治の実際的な運営の点につきましては同様な問題が起るのではないかど、かように思うのであります。過去における府県制或いは市町村制におきまして行われました、特に市長の例をとりましても、いわゆる間接選挙、即ち市会におきまして候補者三名を推薦いたしました上で、上奏し裁可を乞うというような形式とは、実質的にも異つておることは申すまでもないことでございまするので、私どもといたしましては、お説は誠に御尤もとは存じまするけれども、実際問題、実質的な問題から考えますると、その間の前後を異にするという場合におきましても、必ずしも支障は生じないのではないかと、かように考える次第でございまするが、なお補足的な点については鈴木次長から御説明をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X00219501212/21
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022・鈴木俊一
○政府委員(鈴木俊一君) 只今政務次官から申上げましたことにつきまして、更に私から補足することはもうないのでありますが、中田さんの仰せになりまするように、大統領制度の方式を飽くまでも貫いて行くという形で、その論を非常に強く一貫して参りまするならば、およそそういう権力分立の建前に影響を及ぼすような方式はいかんというような御議論が出ることは確かにその通りだと思います。併し今政務次官も申しましたように、実際の運用といたしまして大統領制度の一つの欠点と申しますか、或いは弱点と申しますか、その点はやはり長と議会との運営の間がどうしても円滑を欠くという点であろうと思います。で予算にいたしましても條例にいたしましても、或いは個々の執行の問題にいたしましても、実際問題として議会と足を合わせて行かない限りは、長としてはなかなか仕事がやれないのが実情でございますからどうすればこの両者のことが円滑に行けるかということは、やはり当面考慮して置かなければならないと思います。
現在御承知のように長が議会の解散権を持ち、或いは議会が長に対する不信任決議の議決の権限を持つということがありまして、これと一体大統領制度というものが結びつくかつかないか、理論的にはやはり問題があると思います。大統領制度を根本的に突詰しめて参りますならば、一方が一方の存在を失わしめるような、こういう権限を與えますことは、その趣旨からいつても適当でないと思いますが、これは併し将来の問題でございまするけれども、こういうような制度がやはり長と議会との間の円滑なる運営に対しまして若干の暗影を投じているのが現状であろうと思います。選挙の制度の問題に関しましても、住民が直接執行機関、議決機関を選挙するのでありますけれども、そういう建前の中にも、若し何らかの両者が円滑に行くような方式がそこに求められまするならば、やはりその程度において一つの実益のあることではないかと思うのであります。そういう意味から申しますると、議会の議員が先に選挙せられまして、あとから長が選挙せられるということは、中田委員も先に御指摘になりましたような、その事実そのものが考え方によりますれば長と議会との間の運営を円滑にして行くという、こういう一面の大統領制度の持つ欠陷を若干でも緩和する長所がそこに見出されるのではないかと思いますが、併しこれは議論に亘りますことでありますし、ただそういうような考えも成り立つのではないかということを申上げる程度にいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X00219501212/22
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023・中田吉雄
○中田吉雄君 これは見解の相違になると思いますので、その程度にしますが、これは毎年こういうことになると思うのですが、改選期には臨時の特例とされて、将来も四年ごとに起るこういう矛盾というものを、根本的に調整するようなことをなぜお考えにならなかつたかという点についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X00219501212/23
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024・小野哲
○政府委員(小野哲君) お説は誠に御尤もでございまして、私どもも若し時間等が許される限りは恒久的な立法をいたすべきであると、かように考えておつたのであります。併しながら御承知のように時間的の制約等もございまするし、来春の地方選挙の準備その他につきましては、選挙の技術的な問題もございまするので、かれこれ勘案いたしまして、来春の地方選挙につきましては臨時特例の措置を講ずるということにいたした次第でございます。ただ御意見のように、将来の問題といたしましては、地方選挙につきましては何らか恒久的な妥当な措置を法制的に確立することが必要であろう、かように考えていたような次第で、従いましてこの点につきましては、なお十分に検討を加えまして、御意見のような方向に進んで参りたいと考えている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X00219501212/24
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025・中田吉雄
○中田吉雄君 今回、前もそうなんですが、地方公共団体ごとにこの期日をまとめる方法の長短なんですが、例えば知事と県会議員、市長と市会議員というようなまとめ方と、今のようなまとめ方との利害得失といいますか、そういうものをどういうふうに御理解していらつしやいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X00219501212/25
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026・鈴木俊一
○政府委員(鈴木俊一君) これは団体單位に選挙を行うということが、理論的に申しますと、或いは一番理論にかなう方式ではないかと思います。ただいささか技術的の問題になりますが、現在の問題といたしましては決選投票の問題がございまするので、これを若しばらばらに行うということになりますると、やはり知事、県会議員の選挙をやりまして、そのあとに知事の決選投票を行う方法も一つであります。又そのあとに町村会議員の選挙をやりまして、又市町村長の決選投票をやることができます。こういうことで、極く技術的に申上げまするならば、そういうことで結果においては二つの選挙が四つに分かれる地方団体が、相当出て来る。そういう点が従来選挙を煩雑ならしめるという一つの技術上の弊害であるのであります。そこでやはり一番理想を申上げますれば、このすべての地方選挙を同じ時期にやることが一番理想であろうと思います。こういたしまするためには、やはり先ほどちよつと申上げましたように、不信任議決でありまするとか、長の解散権というような制度を根本的に改めまして、任期の途中で長なり知事なりが更新するというようなことがないようにいたしますると共に、選挙の日を法定いたしまして、その日にすべての地方選挙をやる、又同時に投票の方法に関しましても單一式、その他の方式を考えますると同時に、候補者制度等に関しましても、やはり更に政党によるもう少し強い統制などが加わりまするようになりますと、一定の日に地方選挙をまとめて行うということが可能になりまするが、決選投票もそうなれば、そのあとで一度やれば済むということになりますので、将来の方向といたしましては、やはりそういうふうな形に持つて行くのが理想ではないかというふうに、考えるのであります。
それから予算編成の審議の時期との関係に関しましても、やはり予算が開始いたしまする数カ月前に任期が完了して、新らしい選挙をやつて、その新らしいものが新らしい予算の編成に携わると、こういうことが最も一番理想的な制度だと思います。併しそういう根本的な改革は、もはや今となりましては時間的余裕がございませんので、次期に見送るということにいたしまして、政府におきましては、現在の段階として可能な範囲で案を考えた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X00219501212/26
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027・中田吉雄
○中田吉雄君 政府が今回のような市長、長の選挙をあとにされるということを考慮された大きな理由として、決選投票の問題を数回に亘つてその理由とされて説明されたのですが、昭和二十四年に行われました知事、市長村長における決選投票は一体どれだけあつたかということを、わかりましたら一つお述べ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X00219501212/27
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028・鈴木俊一
○政府委員(鈴木俊一君) の選挙管理委員会のほうで調べまとた資料で、お手許に差上げました法律案の関係資料の五枚目のところに出ておる、表紙から算えて五枚目のところの昭和二十二年四月に執行の都道府県市町村長の決選投票に関する……、ちよつとこれを御説明申上げます……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X00219501212/28
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029・岡本愛祐
○委員長(岡本愛祐君) 前国会に配布したのでしよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X00219501212/29
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030・中田吉雄
○中田吉雄君 わかりました。この各選挙ごとに分けてやらずに一緒にすることには、費用の節約ということもあるのですが、これは選挙費用の内訳はどうなつておりますか、わかりませんか、どれくらいのものか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X00219501212/30
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031・石渡猪太郎
○政府委員(石渡猪太郎君) これもこの資料の七枚目に出ております。この資料で参りますと、これは極めて概算でございますけれども、この法律案の通りに同時に施行いたしますと、大体三十二億ということになつております。それから二番目に掲げておりますのは、団体で運営するという、中田委員の御説にありました都道府県、市町村ごとに選挙を執行した場合、これは三十三億になります。それから第三番目は、四種類の選挙を全部各別に行つた場合でありますが、それは四十二億、こういうことになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X00219501212/31
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032・岡本愛祐
○委員長(岡本愛祐君) なお速記に残す意味で決選投票の分をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X00219501212/32
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033・石渡猪太郎
○政府委員(石渡猪太郎君) 昭和二十二年四月に執行されました総選挙におきまして、決選投票を行いました団体の数は、都道府県につきましては六つございます。それから市町村につきましては、市区が十八、町村が二百二十四ございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X00219501212/33
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034・岡本愛祐
○委員長(岡本愛祐君) ほかに御質問ございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X00219501212/34
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035・吉川末次郎
○吉川末次郎君 質問ではありませんが、先に証人を呼びまして、いろいろ意見を聞くことをきめたのでありますが、昨日の理事会で申しましたように、召喚される証人諸君は、それは地方自治に関するそれこそ大きな基本的な問題でもありませんし、局外者の意向はこういうことに関心を持つていないと思います。恐らく関心を持つておる人は、議員に立候補しようという人でありますが、殊に我々はそういうふうに思われますが、公平な意見を聞こうというので、特に今手許にありました資料をあらかじめ証人の手許に早く送つて上げて、その資料に基いて十分想を練つてこの委員会に臨むように、時間的余裕を與えられるように、委員長のお計らいを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X00219501212/35
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036・岡本愛祐
○委員長(岡本愛祐君) 今日中に送りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X00219501212/36
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037・中田吉雄
○中田吉雄君 私はこの前委員会の説明のときに欠席しておつて恐縮ですが、第四條の重複立候補の禁止のことですね、これを一つ、この理由を説明して下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X00219501212/37
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038・鈴木俊一
○政府委員(鈴木俊一君) これに関しましては、現在の公職選挙法の建前といたしまして、同時選挙の場合には重複立候補を禁止するという、こういう建前になつておるわけでございますが、今回の選挙は、先ほども申しましたように、この政府案の考え方としましては、でき得ますならば四つの選挙を一緒にやつたほうがいい、ただそれが全国的の、選挙管理委員会の考え方としては、これを一緒にやることは、技術上非常に困難であるというところから二つに分けたわけでございまして、従いまして本来ならば一つの同時選挙とも考えられるものでございますので、そういうわけで、現在の公職選挙法の同時選挙の重複選挙を禁止いたしましたのと同じ理由でございます。それから第二の問題といたしまして、府県議会の議員と市町村長というような者が、若しも兼職を認められておることに現在相成つておりますれば、これは両者重複立候補することの実益がございますので、当然認めなければならんわけでございますが、現在この両者の兼職を禁止しておる建前に相成つております。そういう建前の下において重複立候補を認めますということは、殊に選挙運動期間が殆んど重複いたしておりますようなこの選挙におきましては、やはりいわゆる選挙の撹乱と申しますか、悪い言葉で申しますならば、二股かけた泡沫的な候補者、こういうようなことが或る場合にはあるであろうし、そういう見地から申しまして、どうしても重複立候補ということは、選挙運動を十分公正に行わしめるといろ点から申して適当でないのではないか、こういうふうに考えるのであります。この根本の、府県議会の議員と市町村長の兼職禁止がいいかどうかということにつきましても、いろいろ議論があるようでございます。なかなか現在の市町村長の職責も重要でございますし、府県議会の議員の職責も非常に煩雑になり且つ長時間を要するようなことになつて参りましたので、大体理論的に申しますると、両者兼職をいたしますれば、町村行政の実情がよく府県議会に反映し、府県と市町村との両者の関連から申せば、それがいいという一つの論もあろうと存じまするが、やはり事実問題として、両者の兼職ということをいたしますれば、いずれの職責に対しても万全を期することができないと、こういうような結果に相成るわけでありまして、現在の建前におきまして兼職禁止という建前をとつております以上は、やはりこの重複立候補の禁止ということは止むを得ない結果ではないか、かように考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X00219501212/38
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039・岡本愛祐
○委員長(岡本愛祐君) ほかに質問ございませんか……。十二月十一日附で全国市長会々長金刺不二太郎君から委員長宛、各位にも参つておるようでありますが、地方選挙施行期日に関する件の要望が参つております。
標記の件に付ては曩に本会の要望を具申して置きましたが、次の点に付ては特に充分御考慮を願います。
こうありまして、
一、長の地位が空白とならぬ様にせられる事
二、長の選挙を議員選挙の前に行う事(議員選挙を前に行う事は従前の議会に依る間接選挙と同様の政治的結果を齎し長の公選制度の本旨に反する)
三、最後の場合に於ても長と議員の選挙は同時に行うこととし此の場合は、府県選挙と市町村選挙に区分する事
こういうのが参つております。それでは今日はこの程度で散会いたします。
午後十一時四十四分散会
出席者は左の通り。
委員長 岡本 愛祐君
理事
堀 末治君
吉川末次郎君
委員
石村 幸作君
岩沢 忠恭君
高橋進太郎君
安井 謙君
中田 吉雄君
西郷吉之助君
岩木 哲夫君
石川 清一君
国務大臣
国 務 大 臣 岡野 清豪君
政府委員
全国選挙管理委
員会委員
(全国選挙管理
委員会事務局長
代理) 長 世吉君
総理府事務官 石渡猪太郎君
地方自治政務次
官 小野 哲君
地方自治庁次長 鈴木 俊一君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X00219501212/39
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