1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十五年十二月十六日(土曜日)
午前十時四十三分開会
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本日の会議に付した事件
○行政書士法案(衆議院提出)
○地方公共団体の議員及び長の選挙期
日等の臨時特例に関する法律案(内
閣提出、衆議院送付)
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001・岡本愛祐
○委員長(岡本愛祐君) これより地方行政委員会を開会いたします。
今日会議に付する案件は、地方公共団体の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律案の本審査でございます。まだ御質問でございますか。議題に入ります前に安井委員より質疑があると……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X00519501216/1
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002・相馬助治
○相馬助治君 その前に一点私から申上げますが、この通常国会に入つてから行政書士法案が再提案され、通過してこちらに回付されておるようでありますが、これはこのままにして置くと、六十日間経てば一方的に成立する危險性があるのですが、今までの審議の過程に鑑みますると、先般提案者である衆議院側が参りまして、その面前においてこの行政書士法案に対しましては、殆んど党派を乗越えて反対的な、修正的な相当強烈な意見が開陳されたのでありまするが、今度衆議院で再び提案され可決された行政書士法案は、一点の、一字一句の修正もなしておりません。これは考えようによりますと、前にこの委員会において提案者側の出席を求めて、我々が真摯なる議論をいたしたことが、一顧だにされていないのでありまして、この問題については私どもとしては重大なる関心なきを得ません。従いまして委員長においてはこれらの情勢を勘案されまして、来春一月二十日に再開されまするや、この法律案に対して直ちに審査に入り得るように措置を講ぜられると共に、できることならば小委員会等のようなものを委員の御意見に従つて作つて、これが準備に当つて置くことのほうがよろしいかと思うので、後ほどこれについて、一つ皆さんに諮つて頂きたいということをお願いしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X00519501216/2
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003・岡本愛祐
○委員長(岡本愛祐君) 了承いたしました。なお申上げますが、前国会で行政書士法案につきまして皆さんから御意見のありました点を集めまして、修正案の原案みたいなものを今準備をいたしておりますから、それだけ申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X00519501216/3
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004・安井謙
○安井謙君 地方自治法第百五十八條の事務の分掌規定に基く件であります。都道府県に部の設定が掲げられておりますが、そのうちに、必要に応じて農林又は林務部を置くことができるということになつております。農林又は林務部を置いた場合に、商工部は置くことができない。商工部を置く場合は、農林又は林務部を置くことができないという規定になつておりますが、この農林を置いた場合に商工に関する事務は、一体どこでやることになるかということについてお伺いしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X00519501216/4
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005・鈴木俊一
○政府委員(鈴木俊一君) 農業に関する所掌事項をどの部で処理するかということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X00519501216/5
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006・安井謙
○安井謙君 そういうわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X00519501216/6
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007・鈴木俊一
○政府委員(鈴木俊一君) 農林部、商工部というような、本来ならば経済部の一部で処理いたしまする事項を二つの部に分けて分掌させるというようなふうにいたしまする場合に、農林部というものを作るということにいたしますれば、これはそこでやるわけでございまするが、なおその代りに農林部を設けませんで、林務部を設けるというようなふうにいたしますれば、林務関係以外の農業の所管は、残りまする経済部のほうで所管するというような恰好になつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X00519501216/7
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008・安井謙
○安井謙君 その場合、この農林又は林務部とあるのですが、これは農林部と林務部を併置することは勿論できないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X00519501216/8
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009・鈴木俊一
○政府委員(鈴木俊一君) 農林部又は林務部いずれかを作るということでありまして、農林部を作つて、更に林務部を作るということはできない建前に現在の法律になつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X00519501216/9
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010・安井謙
○安井謙君 これは何か直す方法は……、別に直すというようなお考えはありませんか。今のところの規定は非常に不分明だと思うのですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X00519501216/10
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011・小野哲
○政府委員(小野哲君) 只今鈴木次長から御説明申上げましたように、現行法での取扱いにつきましては御了承が願えるかと思うのでありますが、即あ現行法上、都道府県の局部に関する地方自治法第百五十八條の規定につきましては、例示的な規定とは考えておらないわけであります、ただ併しながら将来の問題といたしましては、現行法の建前を改めて、法律では單に局部の基準を定めるにとどめるというふうな考え方に相成りました場合におきましては、只今お話になりましたような点につきましても、考慮せられるべき問題ではないかと、かように思うのでありますが、現行法上の建前といたしましては、鈴木次長の申上げましたような扱いをせざるを得ない、従つて農林部をやあまして、或いは農務部と林務部に分けるというふうなことはできない、こういうふうに考えておる次第であります。
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012・岡本愛祐
○委員長(岡本愛祐君) よろしうございますか。
それでは地方公共団体の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律案の質疑を行います。(「質疑はなし」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X00519501216/12
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013・竹中七郎
○竹中七郎君 質疑を打切り討論に入られんことを。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X00519501216/13
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014・岡本愛祐
○委員長(岡本愛祐君) 竹中君から御動議が出ましたが、質疑は盡きたものと認めて御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X00519501216/14
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015・岡本愛祐
○委員長(岡本愛祐君) 御異議ないと認めます。それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたはそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。なお修正意見がございましたら討論中にお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X00519501216/15
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016・岩木哲夫
○岩木哲夫君 私は民主党及び社会党、第一クラブ等の共同提案にかかりまする只今議題となつておりまする法案に対する修正の意見を僭越でございまするが、私から申上げまして、皆様の御賛同をお願いいたしたいと存じます。
修正要点を申上げる前に、なぜ私たちが修正意見を持つことに余儀なくされたかという点について簡單にその要旨を申上げますれば、今般政府提案のこの選挙期日に関しまする法律案につきましては、衆議院の委員会におきまする質疑応答の内容を見ましても、又本参議院の当委員会におきまする各委員の質疑討論の内容を見ましても、政府提案にかかわりするものは、元来の地方自治の本旨に悖る点がある。即ち地方自治は、直接住民の選挙によつてそれぞれの長或いは決議機関、つまり執行者なり決議者、決議機関等の代表が選任されるのが建前であらねばならないのであります。ところが政府の今般の案によりますれば、先議会の議員を選挙して、それから相当日を置いてからそれぞれの自治体の首長を選挙するということ、丁度議会の議員選挙のような形が起る懸念が少なくない。これは前段に申上げました地方自治の本旨に悖る点が著大であるという疑義が強くあるわけであります。
第二は選挙の趣旨というものがどうも昏迷の虞れがある。即ち地方自治体といえども、都道府県と市町村とはおのおのその性格を異にしておる。行政事務におきましても、殊に当面する税金の問題、或いは将来行政事務再配分等の諸般の状態から考えましても、且つその財政内容におきましても、すべてにおきまして同じく地方自治体といえども相当性格なりその行う趣旨が可なり相違いたしておるものが、政府原案によりますれば、これらの執行機関の代表者及び決議機関の代表者が、おのおの混成して同日にやるということは、まだこうした地方自治の選挙に対して極めて選挙民の経験の浅い、現在の状態におきましての選挙民の非常な昏迷が現われて来る、政策、選挙の目標の趣旨がまぎらわしくなつて来るということは、甚だその当を得てない。要するに選挙の趣旨、目的が一貫しないという点に対する重大なる疑義と欠陥があるように考えられるのであります。第三は、特に執行機関の長の選挙が、相当日を置いてやられるというところに、最も懸念する空白期間が多くあるという点であります。この点は固より差支えのないという解釈も起るか知れませんが、今日地方自治が極めて重要なる状態にあるし、且つ現在の税制問題、或は徴税問題等につきましても、今なお論議が盡きていない、こうした状態におきまして、執行機関の長が、著しく空白の事態を翻すということは穏当でない、かような欠陥があると思うのであります。
第四番目は、これらを通観して、政府及び選挙管理委員会と議員との質疑の内容を検討いたしますれば、極めて政府原案には、理由が薄弱であるにかかわらず、強いてこれを主張なさつておる論議の究極を窺いますると、政治的意図が多分に含まれておるかのような気分が窺われるのであります。選挙は飽くまで純理的で且つ公正でなくてはならない建前におきましては、かような感じを受け易いような法案の内容につきましては、当参議院の性格におきましてはこれを慎重審議して、いわゆる純理の立場、公正なる立場においてこれを修正するということが、超党派的に極めて妥当である、かような結論に達しましたるが故に、元来この案につきましては、社会党におきましても或は第一クラブにおきましても、又私たち国民民主党におきましても、それぞれの修正意見を、政府原案に対蹠的に、或は対抗的に修正原案を持つておつたようでありますけれども、これは前段私が申上げましたる通り、政治的意図を以て対蹠的に、対抗的にこの原案を主張し、或は殊更反対党なるが故にこれを修正せんとする、或は拒否せんとするというようなことは、いずれの場合におきましても穏当でないというような観点から、この際我々は政府原案につきましても、強くこれを通過させる建前を一応白紙に流して頂き、又野党である各政党の者たちは固より、我々におきましてもそういう修正意見は一応白紙に流して、そうして純理と公正の立場に立ち、再検討を要するという角度で再検討をいたしましたるところ、次に申上げまするような修正意見を持つたわけであります。
その修正意見の要旨を説明する前に、條文をこの際私から申上げたいと思います。
地方公共団体の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律案の一部を次のように修正する。
第一條第一項中「昭和二十六年四月二十九日まで」を「昭和二十六年四月三十日まで」に、「昭和二十六年四月二十九日とする。」を「市町村(特別区及び全部事務組合を含む。)の議会の議員の場合にあつては昭和二十六年四月二十五日、都道府県の議会の議員の場合にあつては昭和二十六年四月三十日とする。」に改める。 第二條第一項中「昭和二十六年五月二十日まで」を「昭和二十六年四月三十日まで」に、「昭和二十六年五月二十日とする。」を「市町村(特別区、全部事務組合及び役場事務組合を含む。)の長の場合にあつては昭和二十六年四月二十五日、都道府県の長の場合にあつては昭和二十六年四月三十日とする。」に改める。 第三條第一項を次のように改める。
市町村(特別区及び全部事務組合を含む。)が行う第一條第一項の選挙と市町村(特別区、全部事務組合及び役場事務組合を含む。)が行う前條第一項の選挙と、及び都道府県が行う第一條第一項の選挙と都道府県が行う前條第一項の選挙とは、それぞれ同時に行わなければならない。同條第二項中「第百十九條第二項」を「第百十九條第一項」に、「とみなす。」を「とする。」に改める。
第四條第一項を次のように改める。
第一條第一項又は第二條第一項の規定により行われる選挙における候補者となつた者は、公職選挙法第八十七條第三項に該当しない場合でも、当該選挙が行われる区域の全部又は一部を含む区域について第一條第一項又は第二條第一項の規定により行われる選挙における候補者となることができない。
以上であります。
即ち修正の要旨といたしまするところは、市町村の議会の議員とその執行機関の長との選挙日を同日にして、そしてその日を昭和二十六年四月二十五日に投票を行うこととし、都道府県議会議員と及びその執行機関たる知事の選挙を同日にこれを昭和二十六年四月三十日に行う、かような方法に改めるのが骨子であります。
その理由といたしまするところ先ほど来私が申上げましたことで大体盡きておりまするが、地方自治の本旨に鑑みまして、特にその自治体の行政内容及び自治体の性格及び税金その他各般の事情等から見ましても、この際それぞれの自治体の執行機関とその議会の議員とが同じような日にやるということは、地方自治のこうした選挙訓練にまだ十分慣れていないような者にとりましては、極めて明確でありまするし、先ほど来申上げました自治体の性格、選挙の趣旨というものが一貫するという点であります。
又第二は、先の政府原案のごときその空白期間が起らないという長所があると考えておるのであります。ただ任期中に多少の選挙運動をなし得る四日乃至五日の日数がありますが、事実上立候補いたしました場合には、こうした自治機関のすべてのものを任期中に悪用又は利用することは、現在の状態におきましては殆どそういう悪い例は心配はないであろうということが考えられるからであります。又こういう方法をとりますれば、先に議会の議員が出て、あとからそれらの長が現れるというような工合に恰も議会が選出する、議員が選出するというような気持の考えを一掃することでありまして地方住民が直接自分の信頼する力量のあるそれぞれの首長、それぞれの議会の議員を極めて明確に選挙し得る理論が終始一貫するということであります。従つて政治的臭味が一切ないこの方法は、保守党或いは革新党を問いませず、又地方の県の実状、勢力を問いませず一切が白紙であり、一切政治的臭味がないという点の特徴があろうと考えておるのであります。ただ期日が四月二十五日と四月三十日というように五日間の接近をしている点に、選挙管理委員会等の事務の輻輳が多少は予想されますが、併しこれは決して至難ではない。過去におきましても、昭和二十三年度におきまして四月二十日に参議院議員の選挙があり四月二十五日に衆議院議員の選挙があり、四月三十日に都道府県及び市町村議会の議員の選挙があり、五月五日に知事及び市町村長の選挙があるといつたような工合に、まだこうした選挙に十分訓練、経験の乏しい自治体ですから五日ごとに、而も四回あつた等の事例に鑑みまして、相当今回の選挙は予定された計画の下に予定された事務配分の下に行われるという点から考えましても、多少の輻輳はあるといたしましても、困難な問題ではないという見解が成り立つと思うのであります。
以上の考え方によりまして、今回社会党、第一クラブ及び民主党の共同提案になりまする修正意見が関係方面の了解を得た次第でありますので、この際各位の御賛同を切望いたします。
ちよつと申し誤りましたが、知事、首長は四月五月でありますので、訂正をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X00519501216/16
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017・中田吉雄
○中田吉雄君 私は日本社会党を代表いたしまして、今回提案されました法案に対して党の態度をはつきりいたしたいと思います。
社会党といたしましては、政府原案に反対いたします。ただ来年の改選期が恰も予算の編成期に該当するから、これを調整しなくてはならないという政府の善意を活かしますためには、只今岩木委員から修正案を出されたような案にするのが、長所を活かしながら短所を是正するところの最も公平妥当な案であるという結論に達した次第であります。その詳細な理論的並びに具体的な説明につきましては、本会議に讓ることにいたしまして、党の態度をここに表明する次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X00519501216/17
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018・岡本愛祐
○委員長(岡本愛祐君) ほかに御発言ございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X00519501216/18
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019・高橋進太郎
○高橋進太郎君 自由党を代表いたしまして修正案に反対し、原案を支持する旨を説明いたしたいと存じます。
只今岩木委員から修正案についての御意見がございましたが、私はこの修正案が最も難点といたしますところは、即ち二つの選挙を、一方は四月二十五日、一方は四月三十日とし、その間五日だけの間隔がないという点であります。これはしばしば参考人、或いは公聽会等においてこれら関係者よりその説明を承わつたのであり、又政府関係者からも親しくその選挙事務の実情を聞いたのでありまするが、即ち前回行なつたところの選挙におきましては、未だ公営選挙法の施行がない。従つて或いは選挙公報の配布であるとか、或いは立会演説の決定であるとか、そういうようないろいろな事務、いわゆる選挙公営に関するところの事務が殆んどなかつたために、或いは短期間においてやり得たのでございまするが、現在の選挙の建前におきましては、少くとも二週間の期間がその間になければ、事務上到底これを遂行するに相当なる困難とむずかしさがあるということを、しばしば言明されておるのであります。従つてこの修正案が二つの選挙をその間僅か五日間においてこれをなせということは、全く事務上におけるこれらの難点を殆んど無視する点でありまして、賛成のいたしかねる点であります。
第二点は、修正案によりまする組合せによりますれば、市町村の首長と議員とを同時選挙し、府県の首長と府県の議員とを同時選挙すると、こういうことになつておりまして、一応府県は府県、市町村は市町村というような工合になつておりまするけれども、凡そ選挙の最も至難といたしまするところは、棄権率を少くするということが非常に重大なることでございます。この前の選挙におきましては、相当の棄権率があつたのでありまして、たび重なる選挙によりまして、何とかしてこの棄権率を少くするという、その方法についていろいろ意を用いてあるのでありまして、その点は原案が巧みに、最も一般住民の選挙関心の強い市町村の選挙と府県の選挙とをうまく組合せまして、そうしてそれによりまして選挙の投票率を高めようとする。この原案は誠に時宜を得たところの、日本の選挙民の現状、又日本の住民の実情から見まして、私は極めて適当なる措置であると思うのであります。そういう原案の妙味を全然没却するというところにおきまして、私は修正案に賛成できないのであります。
第三点は、修正案によりますれば、いわゆる市町村の首長の決選投票と、県の場合における決選投票とで、いわゆる決選投票のことを考えますれば、投票の回数が一回多くなるという難点であります。これによりまして徒らに選挙費用を嵩高し、手数を煩雑にし、それだけ回数を余計にするということは、選挙全般から見まして望ましくないことと考えるのであります。
以上の諸点からいろいろと修正案については熟慮いたしましたのでありまするが、原案と比較いたしまして、遥かに原案がこれらの点を克服しておる点から見まして原案を賛成するものであり、修正案に対しましては賛意を表しがたいものであるということを表明するものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X00519501216/19
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020・小笠原二三男
○小笠原二三男君 我が社会党の意見は中田委員から申上げましたので、これ以上申上げる必要はないと思つて差控えておつたのですが、自由党のほうから思わざる反対の意見が開陳せられましたので、これはやはり一応言うべき点は言うて、誤解を解いて置かなければならんと考えますので、重ねて只今の反対意見に対して疑義のある点、又社会党として誤解を受けている点についてはつきり表明したいと思う。先ず第一に事務上の煩瑣に堪えないという点でありまするが、地方公共団体の議員並びに首長の選挙そのものの本質は、地方の民主的な政治の発展のためにあるのであつて、その本質的なものが、事務上の煩瑣であるが故に歪められるという点がありますならば、これは絶対承服できない点なのであります。而も過般来当委員会の懇談会において選挙の理想が、形体としては四つある選挙を同時に行うことがいいことであるということは、自由党の皆さんも御賛成になつたところであります。而も選挙管理委員会のかたが参考人として言われる場合においても、そうしたことが投票率を上げることにおいて最も望ましいが、投票技術上、選挙民の立場に立つて、なかなか今の日本の現状においてはむずかしいということを言つておるのであつて、その選挙事務を取扱う点について煩瑣である、到底やれないということは、誰も言つておらんのであります。選挙人の立場に立つてむずかしいということだけお話になつておられるのでありまして、四つの選挙をやるのではなくて、これが二つに分けられた選挙であり、而もその間五日という余裕があつて、最初小規模のほうの選挙を行う点において何らその点不都合がないのである。而も選挙管理委員会が過去数年の経験に鑑みて、その事務能率を挙げる点においても研究しておる点もあるでありましようから、大いに地方の自治発達のために事務当局の御協力、或いは御努力を願うということで、この部面は克服できるものと我々は考えておるのであります。而も事務が煩瑣であるが故に本質的な選挙の性格を歪めるということであつては、絶対我々としては賛成することができないのであります。
第二番目として、組合せの問題において、原案によりますと投票率が上り、修正案によると投票率が低下するということでありますが、そういう投票率向上という建前に立つ技術上の問題も重要でありましよう。併し技術的な問題においても、少くとも地方住民は素直に自分の直接關與する市町村の首長或いは村会議員を同時に考え合わして投票するということは、素直なる気持の発露であろうと思うのであります。それを例えば市町村の首長と県知事とを同時選挙するということは、何ら行政或いは政治上の関連もないことでありまして、ただ單に近き顔見知りの市町村の長を選ぶことに便乗して顔見知りでない県知事その他の票までも頼まれ仕事で投票させるという嫌いがなきにしもあらずなのでありまして、それよりもやはり地方自治に関心を持たせるという本質的な部面に立つて、公共団体の長並びに議員を同時に研究の上に投票せしめるということが、最も至当なことであると私は考えるのであります。(「同感」と呼ぶ者あり)而もこのことによつて投票率か低下するということ以上に、或いは原案よりは投票率が高くなるということさえ我々は確信するものであります。(「同感」と呼ぶ者あり)
第三に決選投票の問題でありまするが、決選投票は恐らくはこれは特例的なものでありまして、前回の結果に鑑みましても、極く一小部分に起る現象であります。従つてこのことによる費用の増加、或いは選挙事務の手続の煩瑣等は、日本の民主主義を推し進め、自治体の発達を願う上からしますならば、こういうことはこの際論議の対象にする必要さえない問題であるとさえ私は考えまして、重ねて修正案のほうが現状に鑑みて、より原案よりは純理に立ち公正であるということを堅く信じて、この修正案に賛成するものであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X00519501216/20
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021・岡本愛祐
○委員長(岡本愛祐君) ほかに御発言はございませんか。ほかに御意見もないようでございますから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X00519501216/21
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022・岡本愛祐
○委員長(岡本愛祐君) 御異議ないものと認めます。
それではこれより採決に入ります。地方公共団体の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律案について採決いたします。
先ず討論中にありました岩木君より提出の、国民民主党、社会党及び第一クラブの修正案を議題に供します。岩本君提出の修正案に御賛成のかたの御起立を願います。
〔起立者多数〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X00519501216/22
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023・岡本愛祐
○委員長(岡本愛祐君) 八人です。多数でございます。よつて岩木君提出の修正案は可決されました。
次に只今採決されました岩木君の修正にかかる部分を除いた、内閣提出にかかる法律案全部を問題に供します。修正部分を除いた原案に賛成のかたの御起立を願います。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X00519501216/23
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024・岡本愛祐
○委員長(岡本愛祐君) 全会一致と認めます。よつて地方公共団体の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律案は多数を以て修正議決されました。
なお本会議における委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四條によつて、あらかじめ多数意見者の御承認を経なければならないことになつておりますが、これは委員長において本案の内容、本委員会における質疑応答の要旨、討論の要旨及び表決の結果を報告することといたして、御承認願うことに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X00519501216/24
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025・岡本愛祐
○委員長(岡本愛祐君) 御異議ないと認めます。
なお本院規則第七十二條によりまして、委員長が議院に提出する報告書につき、多数意見者の署名を附することになつておりますから、本案を可とされましたかたは順次御署名を願います。
多数意見者署名
吉川末次郎 竹中 七郎
小笠原二三男 相馬 助治
中田 吉雄 西郷吉之助
岩木 哲夫 石川 清一発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X00519501216/25
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026・岡本愛祐
○委員長(岡本愛祐君) 御署名漏れはありませんか。御署名漏れはないと認めます。
それではこれで散会いたします。
午前十一時二十五分散会
出席者は左の通り。
委員長 岡本 愛祐君
理事
堀 末治君
吉川末次郎君
竹中 七郎君
委員
石村 幸作君
岩沢 忠恭君
高橋進太郎君
安井 謙君
小笠原二三男君
相馬 助治君
中田 吉雄君
西郷吉之助君
岩木 哲夫君
石川 清一君
国務大臣
国 務 大 臣 岡野 清豪君
政府委員
全国選挙管理委
員会委員 長 世吉君
地方自治政務次
官 小野 哲君
地方自治庁次長 鈴木 俊一君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X00519501216/26
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